05/03/17 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成17年3月17日議事録          薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成17年3月17日(木) 15:00〜   厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(18名)五十音順   伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、◎井 村 伸 正、 笠 貫   宏、   神 山 美智子、 北 澤 京 子、 土 屋 利 江、 永 井 良 三、   長 尾   拓、 早 川 堯 夫、 広 津 千 尋、 本 田 佳 子、   松 尾 宣 武、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子、 宮 崎 秀 樹、  ○山 口   徹、 吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   欠席委員(5名)   板 倉 ゆか子、 井 部 俊 子、 岩 田   誠、 河 盛 隆 造、   望 月 眞 弓 3.行政機関出席者   阿曽沼 慎 司(医薬食品局長)、 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   本 田   一(総務課長)、 小 出 顕 生(医薬品副作用被害対策室長)、   川  原   章(審査管理課長)、 山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、   成 田 昌 稔(化学物質安全対策室長)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   森  口   裕(安全使用推進室長)、 植 村 展 生(監視指導室長)、   金 井 雅 利(血液対策課長)、 浦 山 隆 雄(血液対策企画官)、   境   政  人(農林水産省消費・安全局薬事・飼料安全室長) 他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○井村分科会長 委員の皆様、お忙しいところどうもありがとうございます。定刻とな りましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会の薬事分科会を開催させていただき ます。本日は板倉委員、井部委員、岩田委員、河盛委員、望月委員は御欠席という御連 絡が入っておりまして、宮崎委員は後ほど参加されるということです。それからただい ま入りました情報では永井先生が10分くらい遅れるということで、長尾先生がちょっと 遅れるということでございます。確かにいらしていないのですが、定足数を超えており ますので開催させていただきます。まず事務局の方から資料の御確認をお願いいたしま す。 ○事務局 事務局から資料の確認をさせていただきます。まず審議事項につきましては 事前にお送りしました資料1と2、報告事項につきましては事前にお送りしました資料 3〜34までございます。それから本日お配りしました資料35〜40。その他の事項につき ましては本日お配りしました資料41となっております。このほか議事次第、座席表、名 簿を本日お配りしておりますので、御確認いただきたく存じます。なお本日は審議事項 が2件、報告事項が38件、その他事項が1件の予定でございます。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは審議に入らせていただきます。審 議事項の議題1、資料1でございますが、「医薬品トラクリア錠62.5mgの生物由来製品 又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及 び劇薬の指定の要否について」でございます。この議題につきましては医薬品第一部会 で審議されたものですので、永井先生がいらっしゃいましたら御説明いただくところだ ったのですが、代わりに事務局の方で御説明いただけますか。お願いいたします。 ── 早川委員、長尾委員着席 ── ○事務局 それではトラクリア錠62.5mgについて事務局の方から説明させていただき ます。本剤の有効成分であるボセンタン水和物は、エンドセリン受容体拮抗薬であり、 スイスのロシュ社において創製され開発が進められたものでございますが、その後アク テリオン ファーマシューティカルズ社が全世界における開発・販売権を取得いたしまし て、欧米を中心に肺動脈性肺高血圧症を対象とした臨床試験が実施されました。現在ま でに米国、欧州35か国で承認されております。また日本においては希少疾病用医薬品の 指定を受けております。  このトラクリア錠62.5mgの審査の概略でございますけれども、臨床試験成績における 有効性、安全性の評価を中心に説明をさせていただきたいと思います。まず日本人及び 外国人の健康成人を対象とした第I相試験が行われた後、日本人の患者を対象とした一 般臨床試験が実施されております。今回の申請では日本人を対象とした試験のほかにも プラセボ対照比較試験を含む海外の試験成績も評価資料として提出されております。患 者さんを対象とした国内試験では21例と例数は少ないのですけれども、原発性及び膠原 病に伴う肺動脈性肺高血圧症に対して海外臨床試験と同程度の有効性を示しておりまし て、試験対象となった肺動脈性肺高血圧症に対する効果は確認されたと判断しておりま す。  それから臨床試験対象外の先天性心疾患など、特定の疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症 を対象とした臨床試験は、疾患ごとに実施するには患者さんの数が少なくて困難である と考えられました。さらに疾患自体が非常に重篤で予後が不良ということもあって、現 在、非常に限られた治療の選択肢の中で有用性が期待される薬剤であるということから、 効能・効果を臨床試験の対象に限定することは適切でないと判断しております。ただし、 重症度に関しましては後で申し上げますけれども、本薬投与による肝機能障害等の副作 用がございまして、その問題から治療上の有益性が優先される重症の場合にのみ投与が 考慮されるべきであると考えまして、重症度分類であるWHO機能クラスIII及びIVの症 例に限定することといたしました。  用法・用量につきましては、通常用量は海外と同じく投与開始から4週間は62.5mgを 1日2回、5週目から125mgを1日2回へ増量することが妥当と判断いたしました。一 方体重40kg未満の低体重患者については、海外試験において過量投与を避けるために増 量目標を通常の半分にするという規定がございまして、用法・用量に関連する使用上の 注意におきまして5週目以降も62.5mg1日2回投与の継続を考慮する旨の記載をする ことといたしました。さらに小児の患者におきましては、用量の推奨ができるほどのデ ータの集積はございませんけれども、海外で小児対象の薬物動態試験が体重別に規定さ れた投与量で実施されておりまして、海外市販後の小児投与例はこの試験の投与量に従 っているものが多かったということがございましたので、参考情報として薬物動態試験 で用いられた用量を添付文書の「臨床成績」の方に記載することとしております。  安全性につきましては、本薬を投与した場合、肝機能障害が発現するため、投与開始 前と投与中においては少なくとも毎月肝機能検査を実施し、検査値異常の程度によって 投与の中止を含む用量調節が必要であるという注意喚起を添付文書の「警告」の欄です ることとしております。また本薬は主にCYP2C9及び3A4で代謝を受けまして、 ワルファリンやカルシウム拮抗薬など、肺動脈性肺高血圧症患者で頻繁に使用される薬 剤との相互作用が予想されることから、「慎重投与」欄及び「相互作用」欄において注 意喚起をしております。  以上のような検討を行いまして、市販後の安全対策として全症例での定期的な肝機能 検査が必要であること、臨床試験対象外の肺動脈性肺高血圧症に対する安全性及び有効 性は確認されていないこと、小児における用法・用量が検討されていないことなどから、 本薬投与全例を対象とした市販後調査を実施する必要があると判断いたしました。した がいまして、承認条件として再審査期間中の全投与症例を市販後調査の対象とし、本剤 の安全性及び有効性を調査するとともに、集積された結果については定期的に報告する ことという旨を付した上で本申請を承認して差し支えないと判断し、2月25日に開催さ れました医薬品第一部会において御審議いただいたものでございます。第一部会での審 議により本薬は承認条件を付した上で承認して差し支えないという御結論を頂きました ので、本日、薬事分科会で御審議いただくことが妥当と判断いたしました。なお最初に も申し上げましたが、本薬は希少疾病用医薬品に指定されておりますことから再審査期 間は10年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれ にも該当しないと判断しております。以上でございます。御審議よろしくお願いいたし ます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして御意 見、御質問ございましたらどうぞ。いかがでございましょうか。 ○松本委員 安全性についてお尋ねします。この医薬品は肝機能障害の発現頻度が高い ようで、添付文書(案)を見ますと「警告」、「用法・用量に関連する使用上の注意」及 び「重大な副作用」の項で肝機能障害に関する注意喚起がなされております。ただこの 中で一点気になりますのは、この点線で囲ってある「用法・用量に関連する使用上の注 意」の表の中に、AST、ALTが3倍以上5倍未満のときにはなどと分けてあります。 この3倍以上5倍以下の場合肝機能が正常化したら再開することもある、それから5倍 以上8倍以下の場合は再開を考慮する、それ以上は再開してはならないというふうに、 非常に細く区切って別々の指示が出してあります。一般に薬剤性肝障害というのは再投 与は非常に危険で、2回投与した場合に何が起こるか分からないわけなのですが、こう いうふうに分けて指示を出されている理由としては何かそういう資料があってのことな のでしょうか。 ○井村分科会長 何かデータに基づいての分け方かということでございますが、事務局 はいかがでございましょうか。 ○機構 審査を担当しました総合機構の方から御説明させていただきます。こちらの記 載に関しましては米国、欧州等の添付文書に従った内容にさせていただいております。 このような細かい記載になった理由としましては、一つには本剤の疾患の特殊性で、ほ かに治療薬がございませんので、要するに肝機能障害が多少起こっても本剤を投与せざ るを得ない状態がどうしても起きます。それである程度肝機能値が回復したら本剤の再 投与も試みるということで、実際に再投与が実施された例が治験の際にはございました。 また再投与の場合は必ず初期の62.5mg、1日2回から開始するという規定は再開の場合 のところの注意書きとして記載させていただいております。 ○井村分科会長 いかがでございましょう。 ○松本委員 目安とする量が出ているだけでその根拠も乏しいでのはないかと思うので すが、この外国の添付文書を見ますと、米国にしろ欧州にしろ使わざるを得ないのでや むを得ないだろうと思うのです。そういうことで3日以内に肝酵素を検査するという条 件が付いているのですが、日本の場合には付いていないようなので…。 ○井村分科会長 ここに「*」が付けてありまして、「再投与する場合は、開始用量か ら始めること」と「3日以内に確認し」ということが下に書いてありますが、それでは ないですか。 ○松本委員 これですか。これがあればいいと思います。検査して大丈夫という証拠は ないのですが、使わせるからには最低限これくらい必要かと思います。すみません、こ れはちょっと小さくて見えませんでした。これはやはり少し大きく書いてもいいのでは ないかと思います。以上です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見ございませんでしょ うか。はい、どうぞ。 ○神山委員 その次の2の方には本邦で500人くらいというのが出てくるのですけれど も、この肺動脈性肺高血圧症という患者さんがどれくらいいるのかというのが書いてい ないような気がしまして、どれくらいいるのかということ。それから承認条件の書き方 ですが、議題1と2で同じような内容なのに書き方が違っているのはどうしてなのかと いうところを伺いたいのですが。 ── 宮崎委員着席 ── ○井村分科会長 事務局、御対応くださいますか。 ○機構 一番目の御質問は患者数が大体どれくらいかということでよろしいでしょう か。原発性肺高血圧症は、全国で300〜400人程度です。発症率は人口100万当たり年間 およそ1〜2人です。膠原病にともなう肺高血圧症はこれよりもまたずっと少なくなり ます。二番目の御質問に関してはちょっとまとめてどなたか…。 ○井村分科会長 次のものと同じようなとおっしゃいましたけれども、承認条件の書き 方がちょっと違うというのですが。 ○神山委員 意味があって違うのかどうか。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。先生が御覧になっているのは添付文書の 承認条件のところですか。 ○神山委員 違います。審査結果の承認条件という、どちらも1枚目の紙の話なのです。 1の方は「再審査期間中の全投与症例を市販後調査の対象とし」と書いてあって、2の 方は「本薬投与症例全例を登録して」と書いてありまして…。 ○井村分科会長 同じことだと思いますが。 ○神山委員 同じことなのですよね。なぜ同じことをこう違うふうに書くのかと…。 ○審査管理課長 申し訳ございません。同じことでございますが、書きぶりを同じよう にいたしませんとちょっと誤解を招くかと思いますので、この点については今後適切に 改めていきたいと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございます。ではそうしていただくことにします。よろし ゅうございますか。広津委員、どうぞ。 ○広津委員 これも書きぶりだけの問題かもしれないのですけれども、報告書と概要の 中に「ブリッジング」であるとか「外挿可能性」という言葉が散見されるのですが、こ れは多分通常のブリッジングとは随分様子の異なるものだと思います。それから内外で 有効性が大体同程度という記述もあるのですけれども、その辺は余りきちんと比べたよ うにも見えないので、むしろこれは希少疾病の優先審査ということで内外のデータの総 合評価というような意味合いではないかと思うのですが、ブリッジングという言葉を使 わないといけないのでしょうか。 ○井村分科会長 そのようなことはないと思いますけれども。はい、どうぞ。 ○審査管理課長 私の方も恐らく今広津先生からコメント頂いたようなことだと思いま すので、ちょっと適切に表現を改めたいと思います。もし審査をした機構側の方から追 加で説明等があればお願いできますでしょうか。 ── 溝口委員着席 ── ○機構 ICH-E5の質疑応答集に希少疾病用医薬品に関するブリッジング試験の取 扱いについてで記載がありまして、厳密なブリッジング試験などの実施は難しいと回答 しています。本申請はそれに該当しますので、広津先生がおっしゃるように国内外のデ ータを総合的に評価する形かと思います。 ○井村分科会長 ではそのように…。どうもありがとうございました。ほかにございま せんでしょうか。松尾委員、どうぞ。 ○松尾委員 小児科医としては、肺高血圧の子供の末期を考慮するなら、ある程度リス クがあっても有効性があれば承認されるべき薬剤だと思います。しかし配付資料を読ま せていただいてどれほどの臨床的効果があるか、よく読み取れないのです。例えば、肺 動脈圧とかウェッジプレッシャーの統計的有意差以外に、臨床的にどれほど子供の持っ ている症状が改善されるか記載がほしいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○井村分科会長 その点につきまして機構の方で何かありますか。 ○機構 総合機構の方からお答えいたします。御指摘のとおり希少疾病でございますの で、大規模スタディーでのような明らかな有効性を示すのは非常に困難でございます。 しかし本臨床試験では必ずしも検査所見だけではなくて、6分間歩行というWHO機能 分類クラスIII、IVの患者さんでなし得る評価項目が採られております。一方小児の方は 患者数の問題もございまして臨床的指標がとられていませんので、市販後心エコーを含 めて臨床的な有効性を調べていくという計画を立てております。 ○審査管理課長 御指摘のとおり、患者さんの数が少ないということで有効性について のエビデンスが必ずしも十分ではないのではないかということでございますけれども、 そこも先ほどの承認条件等と絡んでおりまして、市販後に症例を登録してきちんと有効 性、安全性を確認していくということでございます。またこの薬剤につきましては欧米 等で承認されていて関係学会等からの要望もあるということも付け加えさせていただけ ればと思います。 ── 永井委員着席 ── ○井村分科会長 ありがとうございます。松尾委員、それでよろしゅうございますか。 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。 ○笠貫委員 この薬の併用でのワルファリンとカルシウム拮抗薬への影響なのですけれ ども、肺動脈高血圧症という病態を考えますとこのワルファリンを併用することが多い のですが、そうしますと塞栓症という問題が生じ、カルシウム拮抗薬で血圧低下が非常 に強く出るということは、その併用効果としてのマイナス分が非常に悪さをすると思い ます。臨床的に重篤な病態を起こし得るということでは、この「併用注意」の欄と別に 「警告」のところでも触れておいてもいいかなという感じがするのですが。 ○井村分科会長 「警告」の方に移した方がいいという御意見ですか。その辺について は事務局はどういうふうにお考えになりますか。 ○審査管理課長 その件につきましてはちょっと検討させていただきたいと思います が、それでよろしゅうございますでしょうか。機構の方もそれでよろしいでしょうか。 ○機構 ワルファリンに関しましては本当に安定するまでのINR値をきちんと測って 投与量を調節していただく必要がありますので、「慎重投与」のワルファリンを投与中 の患者さんというところにその辺の記載はさせていただいております。カルシウム拮抗 薬につきましては、データとしてカルシウム拮抗薬の動態なり薬効なりにこの程度影響 を与えるというものがございませんので、薬力学的、薬物動態的に予想し得る内容を今 のところ「相互作用」欄に書かせていただいているという状況でございます。具体的な 内容につきましてはまた考えさせていただきたいと思います。 ○井村分科会長 よろしくお願いいたします。ということでよろしゅうございますでし ょうか。ありがとうございます。山口委員、どうぞ。 ○山口分科会長代理 対象の重症度についてWHOの分類が出てきますね。臨床家には NYHAが一般的なのでちょっと混乱を来すのではないかと思うのですけれども、どう なのでしょうか。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。 ○機構 総合機構の方からお答えいたします。これは御指摘のとおりでございまして、 実はNYHAの分類をそのまま準用してWHOの分類としたものでございます。我々と しましてもそこのところを懸念いたしまして、添付文書の「効能・効果」のところを見 ていただきますと、「WHO機能分類クラスIII及びIVに限る」と、その下に「NYHA (New York Heart Association)心機能分類を肺高血圧症に準用したものである」とあり まして、末尾の「参考」の項にWHO、臨床家の方が御覧になればこれはNYHAその ものだというふうに表示してございます。我々もNYHAと表記しようかということも 検討したのですけれども、公式には肺高血圧症の場合WHOの方がスタンダードになっ ておりますので、このような表現にして臨床家の先生方の御理解を助けるという形にい たしました。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ありがとうございました。ほかにございま すか。はい、どうぞ。 ○山口分科会長代理 たしか欧米では適応が原発性肺高血圧症と肺動脈性肺高血圧症の 二つに限られているのですが、今度の日本の認可では少し踏み込んで適応が広くなって、 あと市販後調査という話になったのでしょうか。 ○機構 米国も欧州も肺動脈性肺高血圧症全体で承認しておりまして、欧州の方が原発 性と膠原病に伴う肺高血圧症のみでしか有効性が確認されていないという記載ぶりにな っております。ですから一応日本も「効能・効果に関連する使用上の注意」にそういう 内容を入れておりますので、欧州に近い表記にさせていただいているつもりでございま す。 ○井村分科会長 ほかに御質問、御意見ございますか。よろしゅうございますでしょう か。それでは本件につきまして御了承いただいたものとさせていただきます。ありがと うございました。続きまして議題2、資料2でございます。「医薬品アトリズマブ原液、 アクテムラ点滴静注用200の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造承 認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の要否について」という議題で ございます。この議題につきましては永井委員がいらしておりますので、先生から御説 明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○永井委員 それではまず簡単に概略を御説明させていただきます。本剤の有効成分で あるトシリズマブ(遺伝子組換え)はIgG1サブクラスのヒト化された抗ヒトIL-6 レセプターモノクローナル抗体で、IL-6レセプターと結合するものです。これによっ てIL-6とレセプターの結合を阻害してIL-6の生物学的な作用を抑制するというこ とです。中外製薬が開発したもので、海外承認はございません。対象疾患はキャッスル マン病でございます。これはリンパ増殖性の疾患で、発熱、全身倦怠感、皮疹、貧血、 その他いろいろな検査値異常を示し、肝腫大、脾臓腫大、また二次性のアミロイドーシ ス等を合併いたします。経過中に悪性リンパ腫、間質性肺炎等を合併する患者さんも報 告されております。国内では1990年からの10年間に500〜600例報告されているという ことで、この医薬品が希少疾病用医薬品に指定されております。国内外におきましては 今までキャッスルマン病の適応で承認された医薬品はございません。これまで治療とし ましては、単独のリンパ節が腫大する限局型の場合にはリンパ節摘除が行われておりま す。しかしながら多発型の場合にはリンパ節摘除では症状の改善が認められないため、 副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤などによる対症療法が実施されております。原因はいま だ明らかではありませんが、病態はIL-6の関連が強く示唆されております。したがい まして、本薬がIL-6の作用を阻害することからキャッスルマン病の病態改善の可能性 があるとされ、開発されました。審査の詳細は事務局からお願いしたいと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは事務局から追加をお願いいたしま す。 ○事務局 それでは審査の概略につきまして臨床試験の成績を中心に説明させていただ きます。まずキャッスルマン病患者を対象とした臨床試験としまして、国内の第II相試 験とその継続投与試験の成績が提出されております。第II相は非対照の非盲検試験でご ざいますが、本薬8mg/kg、2週間隔投与において評価項目のC反応性たんぱく、フィブ リノーゲン、赤血球沈降速度、ヘモグロビン、アルブミン、全身倦怠感といった項目に つきまして投与前に比べて有意な改善が認められております。また参考評価項目として 申請者が出してまいりました腫脹リンパ節の大きさについても縮小が認められたという ことですが、これは長期的な経過を追う必要があると判断しておりまして、市販後更に 調査することを予定しております。さらに合併症である間質性肺炎及び二次性アミロイ ドーシス等につきましても、本薬投与前と比べて改善の認められる症例が存在しました ことから、市販後においても引き続き長期的な観察を行っていくことを予定しておりま す。  次に安全性につきましては、国内第II相試験で高頻度に発現した有害事象は鼻咽頭炎 等いずれも軽度又は中等度でございました。昨年の11月30日までにキャッスルマン病 以外の疾患に関して進行中の試験も含めて報告された死亡例は、国内外の全投与症例 997例のうち9例でございます。キャッスルマン病を対象とした試験では1例のみ認め られておりますが、これは本剤投与前より見られた合併症の悪化によるもので、本薬と の因果関係はなしと判定されております。本薬における特徴的な有害事象としては肺炎、 敗血症等の感染症がございますが、本薬の投与によってIL-6の作用が阻害されて感染 症罹患時の急性期の反応が隠ぺいされる可能性がございまして、それによって発見が遅 延し重篤化するおそれもありますので、その点については添付文書の「警告」欄と「重 要な基本的注意」の項で注意喚起をしております。またIL-6の作用抑制による血小板 減少や脂質上昇等につきましては副作用につながるおそれもございますので、定期的に 臨床検査を実施するよう添付文書の「重要な基本的注意」の項で注意喚起をしておりま す。  効能・効果としましては、当初「キャッスルマン病」ということで申請されておりま したけれども、その原因、発生メカニズムが不明であり、臨床的に意味があるとされる 腫脹リンパ節の縮退、消失についても参考評価項目ということでございましたので、「キ ャッスルマン病」という言葉を使うのは妥当ではないと判断しております。主要評価項 目として改善が確認されておりますのは、この疾患に伴う症状及び検査所見でございま す。ただ、一般的な症状、検査所見ということになりますとあらゆる症状、検査値につ いて改善が期待できると誤解されるおそれもございますので、治療上意味があると考え られる項目を列記するように改めております。また臨床試験の対象患者がリンパ節摘除 が困難な患者に限られておりましたことから、これもただし書きの形で付けております。  用法・用量については8mg/kgを2週間隔で点滴静注ということでございますが、効 果が不十分な症例に対してはC反応性たんぱくを指標にして投与間隔の短縮、具体的に は1週間に1回行うことで対応することとしております。また本薬投与により抗体の発 現が認められております。このメカニズムは必ずしも明らかにはなっておりませんが、 本薬投与後に血中のMRAのトラフ濃度が継続的に定量下限値未満であると抗体産生の リスクが高くなる可能性があるということで、投与量の減量は好ましくないということ を添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」で注意喚起するとともに、市販後 は抗体産生と血中MRAトラフ濃度又はC反応性たんぱくの値等の関係を調査すること としております。  以上の機構の審査及び医薬品第一部会で御審議いただきました結果、リンパ節の摘除 が適応とならないキャッスルマン病患者においてはキャッスルマン病に伴う諸症状及び 検査所見の改善に対する有用性が認められると判断し、本薬投与症例全例について長期 投与も含めた本薬の安全性、有効性について情報収集することを条件として承認しても 差し支えないとされ、薬事分科会で御審議いただくことになりました。また本剤も希少 疾病用医薬品ということですので、再審査期間は10年。これは生物由来製品に該当いた しまして、原体及び製剤は劇薬に該当するとされております。なお細かい話でございま すけれども、製剤原料の販売名が当初「アトリズマブ原液」として申請されております が、審査期間中に有効成分の一般名が「アトリズマブ(遺伝子組換え)」から「トシリズ マブ(遺伝子組換え)」に変更されたことに伴いまして、「アトリズマブ原液」から「ア クテムラ原液」というふうに名前が変わっております。資料の中に注釈が入っておりま す。以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの永井委員と事務局の 方からの説明に対しまして御質問、御意見ございましたらどうぞ。いかがでございまし ょうか。池田委員、どうぞ。 ○池田委員 これは非常にコントロールがうまくつく薬剤でして、とても有用だと思う のですけれども、最長どのくらいの期間投与された症例があるのか教えていただきたい ということ。それから恐らくこれは長期間投与が続くことが予想されるので、そのフォ ローアップはこれまでの薬剤とは違った形でやっていかなければいけないのではないか と思うのですけれども、その市販後調査のやり方をもう少し具体的に教えていただける と有り難いのですが。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。 ○審査管理課長 そこにつきましては市販後の計画等について機構の方で審査している かと思いますので、もしよければ機構の方から回答いただけますでしょうか。 ○機構 機構の方からお答えいたします。まず市販後調査の件でございます。先ほども 御指摘があったかと思いますけれども、本品目につきましては医師に十分に理解してい ただくように申請者の方から説明をしてもらい、その説明を十分に理解した医師、また 施設、患者も登録を行うということでございます。それで先ほどの承認条件のところに おきましても「全例を登録して」というふうに記載させていただいております。 ○池田委員 実は私も本薬を患者さんに使っていまして、キャッスルマンの診断もそう ですし、扱っている患者さんを見る医師の方もある程度限られたものだと思うのです。 日本が先駆けて使っていくということなので、やはり日本発の情報をきちんを出してい かなければいけない。ですからただ単に症例を定期的にフォローアップしますというの ではなくて、そこからまた新たな情報を選べるような形のフォローアップの仕方に工夫 があってもいいのかなと思ったので、あえて質問させていただきました。 ○井村分科会長 さらに何か機構の方からございますでしょうか。 ○機構 先ほど最長どのくらい投与された例があるかという御質問を頂きましたけれど も、これについては1,568日という例がございます。 ○池田委員 6年くらい。 ○機構 4年くらいです。 ○機構 資料の「ト」項の129ページにデータが載っております。ただ、もちろんこれ は投与開始日からデータカットオフ日までの計算になっておりますので、こちらの「ト」 項の129ページの一番上の第II相の第一段階からエントリーされた症例のデータが2004 年11月25日でカットオフした症例で1,568日となっております。中止という形のデー タがここにないので恐らくこのまま継続されていますから、さらにプラスアルファされ ているというような形で、目安と考えていただければよろしいかと思います。 ○井村分科会長 池田委員からの御質問に対する答えとしてはそれで十分ではないとは 思いますが。 ○池田委員 やはりこういう新規の日本発の薬が安全に使えるように、是非今後も引き 続きお願いいたします。特に今の時点では、ある期間使ってやめてもう治癒という形で はないという、疾病をコントロールするという位置付けだと思うのです。ですから、恐 らくどの医師もある時期でやめてしまって安心して患者さんが診られるという状況では なくて、役に立つ非常に有効な薬だと思いながらも、いつやめたらいいのかとかこのま まずっと続けていいのかとか、そういうことも含めていつも自問自答しながら患者さん を診療するようなタイプの薬ではないかと思うのです。ですからそこのところをうまく 情報としてまとめられるような形で…。 ○井村分科会長 ある程度市販後調査の基準みたいなものを…。 ○池田委員 やり方を各施設に任せないである程度一定にしてやってもいいのではない かと思います。 ○井村分科会長 それではその辺について御検討いただければと思いますが、よろしゅ うございますでしょうか。よろしくお願いいたします。北澤委員、どうぞ。 ○北澤委員 今のこととも関係するのですけれども、審査報告書の40ページにはこの薬 の真のエンドポイントは生存期間の延長であると書かれています。そこの後段でずっと 行きますと、今後長期にわたる十分な検討を行って確認する必要があると書かれていま す。ではその今言われているように症例を登録してずっとフォローしていくというやり 方で、真のエンドポイントであるところの生存期間の延長というのがどういう方法で確 認できるのかという辺りについて教えていただければと思います。 ○井村分科会長 いかがですか。審査管理課長、どうぞ。 ○審査管理課長 ちょっと追加があれば機構の方で補足していただければと思います が、基本的には今後キャッスルマン病で外科的摘除が適応にならない患者さん方にはこ の薬が使われるケースが多いかと思いますので、そういう意味では従来のヒストリカル コントロールの患者さんのデータとの比較しか実際上は難しいかと思います。 ○井村分科会長 そういうことになるかと思います。ほかに御意見ございますか。笠貫 委員、どうぞ。 ○笠貫委員 この薬の心電図への影響ですが、QT時間に影響する、しないというよう な議論があります。これはQT延長を認めたものについては、専門家の検討で自動計測 の問題であって専門医の判断では延びていないというふうにもなっているのですが、こ の添付文書の「副作用」のところに「心室性期外収縮」というのが出ているのと、頻度 不明でも「心不全」が存在しているということになりますと、副作用として心毒性の問 題というものについてどこまで資料があるのでしょうか。特に非臨床のところで活動電 位、K+チャネルまで含めたどこまでのデータがあって、さらに臨床のデータとしてこ れを基にして、添付文書の1ページのところに「QT延長の可能性が示唆されているこ とから、患者の状態に応じて心電図検査を実施すること」となっているのですけれども、 これだと「患者の状態に応じて」という意味合いが不明確かと思います。もし心毒性の 可能性があるならば、定期的にチェックをするという表現の仕方の方が妥当かなという 感じがするのですが、いかがでしょうか。 ○井村分科会長 永井先生、部会の方でそういうようなディスカッションはございまし たでしょうか。 ○永井委員 そこまではございませんでした。この添付文書の2ページの「心不全の報 告があるので、患者の状態を十分に観察し」ということでよろしいと思ったのですが、 御指摘のようにもし不整脈が多いとか、心拡大があるような場合にはかなり気を付けて 見ていかなければいけないだろうと思います。それほど多くのケースが報告されている わけでもないように理解したのですが、注意するにこしたことはないと思います。実際 にIL-6というのは心臓に作用するホルモンで心肥大を起こしますから、作用がなくな ると心筋の代謝に影響が出てくることは考えられると思います。 ○井村分科会長 笠貫委員、その件について重ねて何かございますか。 ○笠貫委員 今の非臨床試験のところでは見落としがあるかもしれないのですが、活動 電位とかK+チャネルに関する実験としてどこまでなされていたのかということが気に はなったのですが、もしデータがあったら教えていただけたらと思います。 ○井村分科会長 そのデータについてはいかがでございましょうか。 ○審査管理課長 そのデータにつきましては後ほどでもよろしければ御提示いたしま す。 ○井村分科会長 よろしゅうございますでしょうか。 ○審査管理課長 またその使用上の注意の部分につきましても、今の御議論を踏まえま してもう少し具体的に書いて注意喚起するかどうか少し検討させていただきたいと思い ます。 ○井村分科会長 よろしく御検討ください。ほかに御質問、御意見ございますか。松尾 委員、どうぞ。 ○松尾委員 池田委員が指摘された点ですが、昨日別の薬剤の長期フォローが難しいと いうことを別の会で議論いたしました。患者さんの家族の意識が全く変わってきて、協 力が得にくい現状があるわけです。ですから、この薬剤についても投与開始するときに 何らかの契約書を取り交わして、長期追跡が容易になるような仕組みを考えられればい いのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ○井村分科会長 御意見ありがとうございました。そういう御意見がありますので、市 販後調査のやり方等についてもうちょっと御検討いただければと思うのですけれども、 いかがでございましょうか。よろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 検討させていただきます。 ○井村分科会長 ほかに御意見、御質問ございませんでしょうか。池田委員、どうぞ。 ○池田委員 この添付文書に書いてあるのが、これは今回キャッスルマンの適応で出て いるわけですけれども、実際には今臨床試験は別の疾患で走っているわけですね。そう いう場合のデータは一部はここには含まれるのですか。 ○井村分科会長 先ほどの御説明ではいかがでございましょうか。今の御質問に対して 機構の方でお答えになれますか。 ○審査管理課長 例えば概要のイの15〜16ページを御覧いただければと思うのですけ れども、安全性の評価の場合にはもちろんほかに関係している症例も使用するはずでご ざいます。 ○池田委員 笠貫委員が御心配されていた心不全や不整脈というところも、当然MRA がほかの疾患で使われているそのデータもここには含まれていると理解していいのです ね。 ○審査管理課長 安全性の評価の場合にはほかの適応での開発中のデータも当然含まれ るということでございます。有効性の方は今回キャッスルマンのデータしか出ていない のですけれども…。 ○池田委員 もちろんそれは分かっています。 ○井村分科会長 先ほど死亡例については含まれているということがございましたね。 先ほど手を挙げられた方がいらっしゃいますが、これでよろしゅうございますか。あり がとうございました。ほかに御意見ございますか。宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 極めて初歩的な質問なのですけれども、この「組成・性状」のところで性 状が「無色〜微黄色の液」と書いてあるのですけれども、これは無色もあれば微黄色も あるということなのですか。それとも何か化学変化を起こしてこういうふうに色が変わ るのか。これはもし患者さんが見ていてちょっと色が違いますよということになると不 安感を与えますし…。 ○井村分科会長 添付文書の「組成・性状」の表の中ですね。 ○宮崎委員 そうです。これはどういうふうにとるのですか。生成過程でそういうふう になるのか、ちょっと説明してください。 ○審査管理課長 あとでどなたか委員の先生から補足いただくと適切かもしれません が、これは恐らく先生御指摘のように、出来上がってくる生産物は通常は無色透明であ るけれども、生成状態とか製造条件などによりましてわずかに色を帯びたような形で製 造されてくることもあるということで、ロットによって場合によっては異なるためこう いう記載になっているものと思います。 ○宮崎委員 思うではなくて、そうだということは確認だけしておいてください。 ○審査管理課長 はい。早川先生、何かコメントがあれば助けていただければと思いま す。 ○早川委員 これは実際臨床等に用いているものの実態が無色のものもあれば微黄色の ものもあると。たんぱくでございますので多少微黄色となることもあります。ただそこ は、だから何か変なことが起きているということではありません。ここは規格というの がございまして、例えば「無色」とだけ書いてしまうと微黄色が来たらアウトなのです。 今度は逆に微黄色とだけ書いてしまうと無色が来たらこれもアウトだということで、無 色から微黄色の範囲は品質上は問題がないと解釈しています。 ○宮崎委員 基準をクリアしているということですね。 ○早川委員 そういうことでございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ほかに御質問、御意見よろしゅうご ざいますでしょうか。それではこの件に関しましても御承認いただいたということでよ ろしゅうございますか。ありがとうございました。審議事項は以上の二つでございまし て、これから報告事項に入ります。報告事項も議題1からずらっと並んでおりまして、 非常に数が多いのでできるだけ効率よくやっていただきたいと思います。それではまず 議題1について事務局の方から御説明お願いいたします。 ○事務局 それでは副作用被害判定結果及び生物由来製品感染等被害判定結果について 御報告させていただきます。資料3になります。前回の分科会以降に2回の副作用・感 染等被害判定部会が開催されました。資料は各開催ごとのものと、その表紙に2回の件 数を集計したものとなっております。  それでは2回の副作用・感染等被害判定部会の結果についてまとめて報告させていた だきます。部会開催日は第6回が平成17年1月20日、第7回が2月24日に開催されま した。医薬品の副作用の判定における2回の合計申請内訳につきましては新規が181件、 継続が7件、現況31件の計219件でありました。調査結果においては支給決定すること が適当と考えられるものが177件あり、その内訳は請求どおり支給決定するものが72 件、請求期間の一部について支給決定するものが103件、請求内容の一部について支給 決定するものが4件となっています。また不支給決定することが適当と考えられるもの は33件あり、その内訳は不適正使用が7件、医薬品以外の原因によるものが9件、副作 用による疾病が入院治療を必要とする程度でない場合が7件、副作用による障害が日常 生活が著しく制限される程度の状態でない場合は3件、厚生労働大臣が指定する救済給 付対象除外医薬品を使用された場合が1件、判定に必要な資料が提出されず判定不能と されたものが6件となっています。また追加情報を得て再度審議することが適当と考え られたものが9件ございました。また今回第7回部会におきまして、平成16年4月1日 に創設された感染等被害救済制度の初めての感染被害事例について判定が実施されまし た。申請は1件であり、調査結果においては請求の一部について支給決定することが適 当と考えられました。以上で平成16年度の第6〜7回までの副作用・感染等被害判定部 会の結果の報告を終わらせていただきます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。今の説明につきまして何か御質問ございま すでしょうか。よろしゅうございますか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 2月24日の方だと思うのですが、6ページの114で原疾患が鼻炎、パブロ ン鼻炎カプセルで不適正使用というのがあるのですけれども、鼻炎に鼻炎カプセルを使 って不適正使用と言われるのが分からないので、何が不適正使用なのかちょっと教えて いただきたいと思います。 ○事務局 6ページの114は鼻炎でパブロン鼻炎カプセルLを使われて脳出血になった 患者さんですけれども、こちらの方は添付文書に1回1カプセルという記載がございま す。医療用医薬品だと適宜増減などがありますけれども、一般薬の方にはそれがござい ません。こちらの方は1回に2カプセル服用されて副作用を起こされておりますので、 不適正使用という形で不支給となっております。 ○井村分科会長 やはりちょっと心配ではありますけれども、しかしそういう理由だそ うでございます。ほかに御質問ございますでしょうか。吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員 今の同じページの上の方で、100〜105辺りがすべて「判定不能」となって おりますが、これは申請する病院なり医師の怠慢でしょうか。 ○事務局 今回は非常に判定不能が多いのですが、申請書の取りそろえにつきましては 総合機構でやられておりまして、申請書が不足したりそろわない場合に請求者に対して 申請資料を要求するのですけれども、その請求が随分たまっております。請求者の方に 提出する意志があるかどうか最終的に確認を取りまして、それ以上提出する意志がない というものに関しましては現在提出されている資料を基に部会の方で判定した結果、こ の資料ではちょっと副作用であるかどうか、原因薬は何であるかという判定ができない ということで「判定不能」という結果を出させていただいております。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ほかにいかがでございましょうか。よろし いですか。それではこの議題1につきましてはお認めいただけたということにさせてい ただきます。次は医薬品第一、第二部会の方から出ております議題2〜20まで、医療用 医薬品に関してでございます。これについて続けて御説明をお願いいたします。 ○事務局 事務局から報告させていただきます。議題2以下は今年の1月14日と2月 25日の医薬品第一部会、1月21日と2月24日の医薬品第二部会、それから議題6以下 で議題の下に「抗がん剤併用療法検討会関係」と書いてあるものがありますけれども、 それは去年の11月26日の第二部会で御審議いただいたものが入っております。以上第 一部会、第二部会で御審議いただいたものでございます。  まず議題2、資料4の鏡を御覧ください。医薬品フォリスチム注75、同150の生物由 来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに 毒薬及び劇薬の指定の要否についてということでございます。一般名は「フォリトロピ ンベータ(遺伝子組換え)」というものでございます。申請者名は日本オルガノン株式会 社。めくっていただきますと2ページに効能・効果として「複数卵胞発育のための調節 卵巣刺激」とありまして、体外受精に用いられる製剤でございます。部会審議結果でご ざいますけれども、再審査期間は6年とされております。  次に議題3、資料5でございます。医薬品アデノスキャン注60mg、同90mgの生物由 来製品、その他の指定の要否についてということでございます。一般名はアデノシン、 申請者名は第一サントリーファーマ株式会社でございます。効能・効果は「十分に運動 負荷をかけられない患者において心筋血流シンチグラフィによる心臓疾患の診断を行う 場合の負荷誘導」ということです。一番下の備考に飛んでいただきたいのですけれども、 心臓疾患の診断補助剤ということでございます。部会審議結果のところを御覧いただき ますと、これも再審査期間は6年とされております。  それから議題4、資料6でございます。医薬品プログラフカプセル0.5mg、同1mgの 製造承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定についてということでございま す。資料6の鏡を御覧ください。一般名はタクロリムス水和物、申請者名は藤沢薬品工 業株式会社(現 アステラス製薬株式会社)でございます。効能・効果でございますけれど も、今回は上の1、2、3に加えまして「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に 限る)」ということで、新効能を追加する新効能医薬品でございます。部会審議結果で再 審査期間は4年とされております。  次に議題5、資料7でございます。医薬品ギャバロン髄注0.005%、同0.05%、同0.2 %の生物由来製品等の指定の要否についてということでございます。一般名はバクロフ ェン、申請者名が第一製薬株式会社でございます。効能・効果は「脳脊髄疾患に由来す る重度の痙性麻痺(既存治療で効果不十分な場合に限る)」ということでございます。こ のバクロフェン自体は日本薬局方にも載っている非常に古い薬なのですけれども、今回 は髄腔内に直接投与するということで、備考の一番上の行にございますが、新投与経路 医薬品に区分されております。後の方の報告議題で出てきますが、これを使うときには 専用のポンプを使います。ですから医療用具のところのポンプとセットで使われるもの だということでございます。部会審議結果でございますけれども、これはオーファンド ラッグに指定されておりますので再審査期間は10年ということでございます。なお備考 の下の方に承認条件が書いてございまして、これも市販後一定期間使用症例の全例を登 録制として調査するということと、それから本剤の安全性及び有効性を十分に理解し、 施術に関する十分な知識、経験のある医師によってのみ用いられるよう、ポンプシステ ムを含めた講習をやっていただくということを条件にしております。  次の議題6以降は抗がん剤併用療法検討会の関係のものが出てまいります。この抗が ん剤併用療法検討会関係は前回もございまして、スキームの説明をさせていただいたか と思います。今回たくさんございますので簡単に説明したいと思います。  まず議題6、資料8でございます。医薬品アドリアシン注の製造承認事項一部変更承 認の可否についてということでございます。この議題6では対象は乳癌でございます。 ただ資料8を1枚めくっていただきますと乳癌以外にも子宮体癌とか悪性骨・軟部腫瘍 などいろいろながんに対して下線が引いてあります。これはアドリアシンとか後で出て くるシスプラチンやドキソルビシンなどもそうなのですけれども、抗がん剤の分野では キードラッグと位置付けられるもので、いろいろな癌種に対して併用療法で使われます。 今回も検討会の方では様々ながんに対して御検討いただいてその適応の追加に至ったと いうものでございます。ですから議題6では乳癌でございますけれども、資料の方はそ れ以外の議題の部分も含めて下線が付されているということでございます。  それから議題7、資料9でございます。医薬品プラトシン注の輸入承認事項の一部変 更承認の可否及びアドリアシン注、ランダ注、ブリプラチン注、シスプラチン注「マル コ」、シスプラメルク注射液の製造承認事項一部変更承認の可否についてでございます。 今度は同じアドリアシン注が表紙に出てきておりますけれども、対象となるがんは子宮 体癌でございます。  次に議題8、資料10でございます。同じく医薬品プラトシン注、アドリアシン注、ラ ンダ注、ブリプラチン注、シスプラチン注「マルコ」、シスプラメルク注射液という組 合せでございますけれども、今度は悪性骨腫瘍の追加でございます。  それから議題9、資料11でございますが、これは悪性骨・軟部腫瘍の適応追加でござ います。  それから議題10、資料12でございますけれども、今度はイホスファミド、イホマイ ド、ベプシド、その他の併用療法でございまして、小児悪性固形腫瘍の追加でございま す。資料12をめくっていただきますと効能・効果で下線を引いてあるところがございま すけれども、「小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽 腫、網膜芽腫、肝芽腫、腎芽腫等)」ということで、このようながんに対して今回適応追 加するというものでございます。  次の議題11は資料13でございます。これはアイソボリン注と5-FUの併用療法でご ざいまして、対象となる効能・効果は結腸・直腸癌。それに対するレボホリナート・フ ルオロウラシルの持続静注の併用療法に対する追加・拡大ということでございます。  それから議題12、資料14でございます。エルプラット注射用100mg、これは抗がん 剤併用療法ではございませんで、新有効成分含有医薬品でございます。一般名はオキサ リプラチン、申請者名は株式会社ヤクルト本社。効能・効果は「治癒切除不能な進行・ 再発の結腸・直腸癌」でございます。部会審議結果のところに記載がありますけれども、 これはその直前に御報告申し上げたレボホリナートとフルオロウラシルの静脈内持続投 与法とオキサリプラチンが併用される場合の用法・用量に限った上で承認するというも のでございます。新有効成分含有医薬品として再審査期間は6年。備考のところに承認 条件として全例登録で調査を行うということと、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直 腸癌患者を対象とした臨床試験を行って、本剤とレボホリナート、フルオロウラシルの 静脈内持続投与法との併用療法に関して日本人での至適用法・用量のさらなる検討を行 うということが条件になっております。  次は議題13、資料15でございます。硫酸ビンクリスチン、これはまた抗がん剤併用 療法になりまして、多発性骨髄腫の追加でございます。  それから議題14、資料16は5-FU、フルオロウラシルですが、これは頭頸部癌でご ざいます。  議題15、資料17はナツラン、オンコビン、これは神経膠腫でございます。この神経 膠腫に関しましては第二部会の審議結果の一番最後、「承認条件は備考欄に記載した」 ということがございまして、1枚めくっていただきますとその承認条件が書いてござい ます。承認条件として市販後の一定期間は塩酸プロカルバジン、塩酸ニムスチン、硫酸 ビンクリスチンの3剤を併用する抗がん剤併用療法を行った症例を可能な限り全例収集 し、有効性及び安全性を検討するということでございます。国際的にはエビデンスがあ るのは塩酸プロカルバジンとロムスチンと硫酸ビンクリスチンという組合せでございま して、日本ではそのロムスチンがないということで、代わりにニムスチンというものが 使われております。今回その日本人でのデータをもって承認をするというものでござい ますが、例数に限りがあるということでこのような承認条件を付けて市販後にそこをき ちんと見ていただく予定でおります。  それから議題16、資料18でございますが、ここからまた新薬に戻ります。一般名は タミバロテン、申請者名が東光薬品工業株式会社。効能・効果は「再発又は難治性の急 性前骨髄球性白血病」でございます。これはオーファンドラッグになっておりますので、 再審査期間は10年間。備考のところでございますけれども、承認条件としてこれも全例 登録で調査を実施することとなっております。  議題17、資料19でございます。一般名がルリコナゾール、原体の申請者が日本農薬 株式会社、製剤がポーラ化成工業株式会社ございまして、効能・効果は白癬等の皮膚真 菌症の治療薬でございます。これは再審査期間は6年です。  次が議題18、資料20のブイフェンド錠でございます。一般名はボリコナゾール、申 請者名はファイザー製薬株式会社(現 ファイザー株式会社)です。効能・効果は「重症又 は難治性真菌感染症」ということで、対象となる疾患がその下にたくさん書いてござい ます。これも新薬として再審査期間が6年ということと、承認条件としては本剤の血中 濃度に関する情報を収集し、至適血中濃度について検討を行うということが付いており ます。  それから議題19、資料21、21-2というのがございますけれども、HIVの薬でござ いまして、資料21のエムトリバカプセルは一般名がエムトリシタビン、申請者は日本た ばこ産業株式会社、効能・効果は「HIV-1感染症」。再審査期間は10年でございま す。1枚めくっていただきますと備考のところに承認条件の記載がございますけれども、 これはほかのHIV薬についても同じ条件が付されていて、それを今回も付けていると いうことでございます。  それから次の議題20、資料22のツルバダ錠、一般名が今御説明したエムトリシタビ ン と既承認のフマル酸テノホビル ジソプロキシルとの配合剤でございます。これも申請者 名は日本たばこ産業株式会社でございます。効能・効果は「HIV-1感染症」。これも 再審査期間は10年。2ページでございますけれども、承認条件も同様のものが付いてご ざいます。新薬は以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。続いて「希少疾病用医薬品の指定について」 をお願いいたします。 ○事務局 今度は希少疾病用医薬品について御報告させていただきます。今般新たに指 定させていただく品目は3品目ございます。資料23でございます。まず一番目は「SO T-107」、株式会社そーせいというところから申請されたものでございます。物は修飾 ジフテリア毒素とヒトトランスフェリンとの結合体でございまして、予定される効能・ 効果、対象疾患は「神経膠腫」でございます。そこに記載がございますけれども、日本 における患者さんの数は約4,500人ということです。それから二番目はサリドマイド、 藤本製薬株式会社から申請のあったものでございまして、予定効能・効果は「多発性骨 髄腫(既治療で効果不十分な場合に限る)」というものでございます。年間3,000〜5,000 人の患者と推定されております。この1番と2番は平成17年1月21日の医薬品第二部 会において御審議いただきまして、希少疾病用医薬品として指定して差し支えないとい う御結論を頂いたものでございます。次に三番目の静注用フェノバルビタールナトリウ ムでございます。これはノーベルファーマ株式会社から申請があったものでございます が、「新生児けいれん」を予定効能としたもので、日本では大体年間4,400〜6,700人の 患者さんがいらっしゃると推定されます。こちらは2月25日に開催されました医薬品第 一部会で御審議いただいて、オーファンドラッグに指定して差し支えないという結論を 頂きました。以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。大変大量の資料を一気呵成に御説明 いただきましたが、ただいまの議題2〜21につきまして御質問あるいは御意見ありまし たらどうぞお願いいたします。いかがでしょうか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 三つ質問があったら一遍に言わないで一つ一つ質問した方がいいですよ ね。○井村分科会長 その方がよろしいかと思います。どうぞ。 ○神山委員 資料4の「フォリスチム注75」という体外受精に使われる薬の話です。40 〜41ページに先天異常の発生率のことが出ていまして、41ページには「『生殖補助医療 後の先天異常の発生率は、自然受胎後に比べわずかに高くなるおそれがある。』という 記載に変更したい」と書いてありますが、添付文書の方は「生殖補助医療後の先天異常 の発生率は、自然受胎後に比べわずかに高いとの報告がある」というふうに「おそれが ある」ということが抜けていて、文章が違っているのです。それから私はこの数字がわ ずかに高いのかどうかは分からないのですけれども、そういうわずかに高いおそれが一 応あるとすれば、それを患者さんに伝えなさいということが添付文書のどこかにあって もいいのではないかという気がするのですけれども、その点はどうなのでしょうか。 ○井村分科会長 その点に関しまして事務局の方はいかがでございましょうか。審査管 理課長どうぞ。 ○審査管理課長 一点目につきましては、審査の結果が添付文書に反映されているかど うかちょっと確認をしたいと思います。それから二点目でございますけれども、これは 実際には採卵をしてin vitroで受精させるという生殖医療に使うものでございます。こ ういう医療の場合には通常医師等からこういう医療を受けるかどうかについてのかなり 詳細な説明は一般的にされているのではないかと考えております。 ○井村分科会長 松尾委員、どうぞ。 ○松尾委員 これは私も委員である生殖補助医療部会という別の会で盛んに議論してま いりましたけれども、医師の間のパーセプションギャップがあります。その理由の一つ は、我が国の実態がどうかという理解が必ずしも十分ではないのです。ICSIという 顕微受精の方法を開発したベルギーの教授が自分の症例をたくさんまとめまして、生殖 補助医療によって生まれた子供の先天異常のリスクは高いというデータを報告されてお ります。その後数年たって追跡記録を出されたのですが、同じ結果なのです。「わずか に」という意味は、絶対的な頻度は低いのだけれども、対照と比べれば統計学的に有意 にリスクは高まるということなので、日本語の文章は少しその辺が分かりにくいという ことがあると思います。  今御指摘いただきましたことと関連いたしますけれども、添付文書の記載を見ますと これが小児に対してリスクを伴った医療であるということが分かるような記述がないの です。「卵巣過剰刺激症候群」というのは母親の問題であって、子供に対する最大のリ スクは多胎妊娠の頻度が高くなって極小未熟児や超未熟児が生まれるリスクが高まると いうことは間違いない事実でありますので、やはりここを添付文書で強調していただき たい。それから添付文書の3ページに多胎妊娠のリスクがどのくらいあるかというので 「頻度不明」とあるのですけれども、これは適切ではないと思います。大体20%は多胎 妊娠になるということは事実でございます。子供に対してある程度リスクがあるという ことを今十分に説明されていないというところが現状でありますので、これは添付文書 を是非改めていただきたいと思います。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。確かに松尾委員のおっしゃるとおりだと 思うのですが、この辺について対処していただけますでしょうか。 ○審査管理課長 ちょっと確認でございますけれども、この場合はin vitroで受精させ たものを戻すという形になりますので、そうしますと通常受精卵を複数個戻すことによ って多胎が起こるという理解でよろしいとしますと、この排卵を誘発させる薬剤のとこ ろにそこまで書かせるべきなのかどうかというのは今ここではにわかに判断し難いとこ ろがあるのですが、いかがでしょうか。 ○井村分科会長 その方法がそういう結果を招いているということになるのだろうと思 いますが、松尾委員、いかがでしょうか。 ○松尾委員 多胎妊娠のリスクは、複数の胚移植に限りません。排卵誘発による機序も 重要です。添付文書の2ページの「1.重要な基本的注意」の(3)に「性腺刺激ホルモン を用いた不妊治療では多胎妊娠の頻度が高くなるので」というふうに書かれていますの で、これは方法を含めた意味に捉えていると思うのです。多胎妊娠の頻度が高くなると いうことは未熟児の出生頻度が高くなるということと同意語ですので、そういうふうに 理解した方がいいのではないでしょうか。戻す胚の数が多ければ多いほど多胎妊娠のリ スクが高まるのは当然です。EUでは、多胎妊娠は生殖補助医療の合併症であるという ふうに意識統一を図っております。この薬剤を使った結果、子供に何が起きる可能性が あるかはっきりした方がいいのではないかと私は思います。 ○井村分科会長 大変難しい問題だと思うのですが…。 ○審査管理課長 今頂きました議論を踏まえまして、恐らく現在使われております遺伝 子組換えでないほかの排卵誘発剤もあるかと思いますので、そちらとの横並びもござい ますので…。ただこの医療に係る周辺の部分の使用上の注意の情報をどこまで提供する か少し検討させていただきたいと思います。 ○井村分科会長 恐らくそれで神山委員の御質問の方も関連しておりましたので、是非 そのようにしていただきたいと思います。ほかに御意見ございますでしょうか。よろし ゅうございますか。 ○神山委員 資料20のボリコナゾールですが、この中の審査結果の2ページに「本剤に は視覚障害、肝機能障害、けいれん、心リズム系障害などの副作用が懸念されることか ら、リスクとベネフィットを熟考した上で使用すべきである」と書いてありますので、 そういうことをお医者さんが熟考してくださるのは結構なのですけれども、やはりリス ク・ベネフィットは患者の方も熟考すべきだと思いますので、これも患者に説明するよ うにということを添付文書に是非書いてほしいと思います。 ○審査管理課長 これにつきましても御指摘は理解いたしましたけれども、ほかにこう いう深在性の真菌症の薬剤がございまして、それとの並びがございます。それから私も 臨床的なことは必ずしも詳しく分かりませんが、こういうかなり内部臓器に真菌が生え るという場合には患者さんの意識レベルなどいろいろな判断があるかと思いますので、 必ず患者さんに説明するといったところの記載が適当かどうか少し検討させていただき たいと思います。 ○井村分科会長 そうですね。 ○神山委員 HIVの治療薬のときには患者だけではなくて家族などにも説明するとい う記載もありますので、患者さんの意識レベルに問題のあるようなケースではそういう ことになってもいいのではないかと思うのですが。患者の意識レベルに問題があるから だれにも説明しなくていいということにはならないと思います。 ○審査管理課長 もちろんそういう趣旨で申し上げたわけではございません。 ○井村分科会長 それについては御検討くださるということで…。 ○審査管理課長 今までのものとの並びとか整合もありますので…。 ○井村分科会長 消化管真菌症のようなものについても昔から薬がありますよね。 ○審査管理課長 そのとおりでございます。 ○井村分科会長 ではよろしくお願いいたします。ほかに御意見ございますか。先に進 んでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。それでは先に進ませ ていただきます。血液事業部会からの議題22につきましてお願いいたします。 ○事務局 それでは資料24を御覧いただきたいと思います。議題22、平成17年度の献 血の推進に関する計画を定めることについて御報告いたしたいと思います。まず1枚目 は諮問書でございまして、この計画につきましては2月21日開催の血液事業部会におき まして審議され、了承されました。それを受けまして2枚目が審議会の答申になってお ります。この答申を受けまして3月3日に告示になりましたものが3枚目以降の計画で ございます。内容につきましては、第1節で献血により確保すべき血液の目標量といた しまして198万リットルの血液を献血により確保する必要があるということでございま す。第2節では目標量を確保するために必要な措置に関する事項といたしまして、献血 に関する普及啓発の実施、献血の推進に際し考慮すべき事項、その他関係者による取組。 第3節ではその他の献血の推進に関する重要事項といたしまして、献血推進施策の進ち ょく状況等に関する確認・評価、災害時等における献血の確保等を定めたものでござい ます。  なお平成16年度の計画との変更点でございますけれども、推進計画の2ページの(1)、 「愛の血液助け合い運動の実施」のところでございます。この3ポツ目で都道府県献血 推進計画策定の支援についてでございますけれども、これにつきましてはいわゆる三位 一体改革におきまして廃止、税源移譲の対象となった関係の変更でございます。続きま して3ページの(5)、「若年層の献血への理解を深めるための普及啓発」につきましては 中学生を対象として血液全般についての資材を配布することで正しい知識の普及啓発を 行う。また若年層の献血に対する意識調査を行い、献血の推進方策や検査目的献血者の 防止のための啓発の在り方を検討し、対策を講ずるというところを追加いたしました。 続きまして(2)の(1)、「献血者が安心して献血できる環境の整備」のところでございま す。これにつきましては4ポツ目のところでございますけれども、平成16年度におきま しては献血者に生じた健康被害の実態に係る情報収集と救済の在り方について検討を行 ってきたところでございますが、平成17年度においては献血に伴う健康被害の予防対策 や献血後の健康被害の救済等について検討を行い、必要な措置を講ずるというふうに変 更してございます。次に4ページの(5)、「複数回献血の推進」でございます。ここにつ きましては平成17年度から各血液センターに複数回献血者を構成員とするクラブを設 立し、各種サービスの提供を行いまして複数回献血を推進し、献血血液の安定供給、安 全性確保に資することにしております。以上でございます。 ○井村分科会長 それでは今の議題22につきまして何か御質問、御意見ございますか。 神山委員、どうぞ。 ○神山委員 これが「厳重管理」の理由が分からないのですが。もう告示まで終わって いたらいいのではないかと思うのですけれども。 ○井村分科会長 なるほど。いかがでしょうか。 ○事務局 これは告示になっておりますので、オープンにされているものでございます。 ○井村分科会長 よろしいのですね。ありがとうございます。ほかにありますか。もし よろしければ先に進ませていただきます。それでは議題23〜27は機器・材料合同部会の 方から出てきておりますので、まとめてお願いいたします。 ○事務局 それでは続きまして議題23、資料25につきまして御説明いたします。お手 元の資料25-1ですが、医療機器の適合性認証基準案につきまして基本的な考え方をお示 ししております。表紙をめくっていただきますと、今年4月1日以降の改正薬事法で、 一番右端に「改正後」とある四角の真ん中に「管理医療機器」とございますが、このカ テゴリーの医療機器につきましては厚生労働大臣に登録した登録認証機関により認証を 受けなければ製造販売ができないということになっておりまして、これらの登録認証機 関で認証を行う際に必要な基準を定めるものでございます。具体的にはお手元の資料 25-2に219基準案と書いてございます。表紙をめくっていただきますと根拠がありまし て、それを更にめくっていただきますと2ページ以降に219の項目につきまして一般的 名称と引用するJIS規格、認められる使用目的、効能又は効果といった組合せで認証 のために必要な認証基準を整備するものでございます。既に整備されております144の ものと併せまして、最終的に4月1日の時点で363の認証基準を策定するものでござい ます。  続きまして議題24、資料26、医療機器の承認基準案についてでございます。資料26-1 で基本的な考え方を御説明いたします。こちらは資料25でお示ししました認証基準では なくて承認基準ということになります。これはカテゴリーで行きますとリスクとしては 先ほどの管理医療機器よりもさらに中高程度の高度管理医療機器等につきまして、厚生 労働大臣の承認を受ける際の基準を設けるものでございます。資料26-1の4ページをお 開きください。承認基準の通知の構成ということで、(1)の承認基準につきましては技 術基準としましてISO/IEC等、国際規格のあるものはそれを準用したJIS規格等 を用いまして、それが技術基準となります。それに標榜できる使用目的、効能・効果と 基本要件適合性チェックリストというものを併せたものとして承認基準を考えておりま す。具体的には次の資料26-2〜26-11までの10個の品目につきまして承認基準を策定す るものでございます。項目といたしましてはコンタクトレンズが資料26-2、眼内レンズ が資料26-3、経皮的冠動脈形成術用カテーテルが資料26-4、血液透析器、血液透析濾過 器及び血液濾過器が資料26-5、中止静脈用カテーテルが資料26-6、創傷被覆・保護材が 資料26-7、放射線治療シミュレータが資料26-8、加速器システムが資料26-9、X線骨 密度測定装置が資料26-10、最後の磁気共鳴画像診断装置が資料26-11。これらの10個 の項目につきまして承認基準を策定するものでございます。  続きまして、個別の医療機器3品目につきましてお手元の資料27、28、29で御説明し たいと思います。まず資料27ですが、これは先に医薬品の方で出てきましたバクロフェ ン髄注と組み合わせて用いる体内植え込み型のプログラマブルポンプでございます。性 能・使用目的につきましては、脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺(既存治療で効果不 十分な場合に限る)患者を対象にバクロフェン髄注を髄腔内投与するためのポンプでご ざいます。再審査機関につきましてはオーファンデバイスでありますことから7年。承 認条件につきましては資料27の別紙5という耳を開いていただきますと「審議結果報告 書」の下に書いてございますが、承認後4年間の使用症例全例においての使用成績調査、 すべての重篤な有害事象の把握、適切な措置を講ずること、それから本ポンプシステム の適正使用に関する講習の受講、施術に関する十分な知識・経験を有する医師による使 用、適切な措置を承認条件として付けさせていただいております。  続きまして資料28ですけれども、これは国内製造の透析用のコンソールでございま す。性能・使用目的、効能・効果は透析器により血液透析を行う際に透析液流量、温度、 静脈圧等をモニタし、目標とする除水量、除水速度となるように透析液の供給を調節す るために使用するものでございます。特徴としましては、こうしたプライミングとか脱 血、急速補液、返血等のプロセスを自動化したものでございます。資料27の品目と同様 に、3月3日の医療機器・体外診断薬部会において御審議いただきまして、条件付きで 承認を頂いております。再審査期間は3年、承認条件につきましては先ほどと同様に別 紙4の耳を開いていただきました「審議結果報告書」の下の方に記載してございますと おり、安全性が確保された透析用水及び透析液を用いて使用されるよう必要な措置を講 ずることと、本品についての講習を受け安全性及び有効性を十分に理解し、操作に関す る知識・経験のある医療従事者によって用いられるよう必要な措置を講ずること、それ から市販後6か月間に新規に導入する医療機関につきまして、導入後当初1か月の全症 例を対象として安全性に関する情報を重点的に収集することという承認条件を付けさせ ていただいております。  最後に資料29、経皮的心房中隔欠損閉鎖器具でございます。性能・使用目的、効能・ 効果は細い金属ワイヤーをメッシュ状に形成した円形の器具及びその付属品であり、以 下の適応基準を満たす患者の二次孔心房中隔欠損の欠損孔を経皮的に閉鎖するために使 用するものでございます。これにつきましては3月3日の医療材料部会の方で御審議い ただいて、条件付きにて御承認いただいております。再審査期間は3年。本品の形状等 につきましては資料中の別紙1-1のところに図面がございます。セプタルオクルーダー と言われる閉鎖用のメッシュとデリバリーシステム、それからサイジングバルーン、サ イジングプレートといったもののセットでございます。この使用方法につきましては、 下腿の動脈からデリバリーシステムを使いまして、図面では傘に例えて言いますと開い た状態ですが、これは折り畳んだ状態でデリバリーシステムの先端に収納して、下腿動 脈から目的の欠損孔のところまで到達させ、目的のところで開いて欠損孔を閉鎖すると いう器具でございます。別紙4でございますが、承認条件につきましては同様に再審査 期間中は本品使用症例全例につき登録の上使用成績調査を行うとともに、登録症例につ いては留置後5年間に生じるすべての重篤な有害事象を把握し適切な措置を講ずるこ と、先天性心疾患のカテーテルインターベンションに関する十分な経験を有する医師が 勤務し、経食道心エコーモニタリング及び先天性心疾患の開心術ができる体制が整った 医療機関で使用されるよう必要な措置を講ずること、それから適切な教育プログラムを 受講し、本品の安全性、有効性に関する十分な知識・経験を有する医師が使用できるよ う必要な措置を講ずることという条件を付けさせていただいております。以上です。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの議題23〜27に関しまして御質 問、御意見ございましたらどうぞ。いかがでございましょうか。池田委員、どうぞ。 ○池田委員 資料28の透析用監視装置です。これは見ていましたら別紙5の耳の11ペ ージに、GCPに係る書面及び実地調査の結果一部試験計画から逸脱している事例があ ったが、審査を行うことについては支障はないという記載がわざわざあるのですけれど も、これは余り感心しないのではないかと思います。というのは、ちょっと気になった のは、透析をやるところというのは公立の病院もあれば大学病院もあればいろいろあり ます。ただここは医療法人ばかりだということもあって、臨床試験をやっている施設が 割と均一と言いますか、やった施設に非常に偏りがあるのではないかという気がして気 になったものですからちょっと見せていただいたのですけれども、いかがでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 まずGCPの逸脱の点についてでございます。これにつきま して医療用具については法律上のGCPは今年の4月から施行になりますので、医薬品 よりも8年ほど遅れた状態で現在制度を進ませております。現在通知で指導するGCP のレベルにおいては資料の適合性についての調査をさせていただいておりますけれど も、これにつきましては逸脱は事実だったのですが、全体の評価には影響しないという ことを総合機構の方で確認して審査したものでございます。ただし透析の専門医療機関 にやや偏っていて実際に使われた場合のことを臨床試験が適切に反映しているかどうか という点につきましては、総合機構の審査におきましても審査上のポイントとなってお ります。そのことをフォローするために承認条件を付けているものでございます。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ありがとうございました。ほかに御質問ご ざいますか。北澤委員、どうぞ。 ○北澤委員 資料25及び26で医療機器についてカテゴリー分けが今度改正されるとい うことで、「一般医療機器」、「管理医療機器」、「高度管理医療機器」という3分類 になさるということなのですが、これはここだけで拝見しますと「管理医療機器」なの か「高度管理医療機器」なのかで対応が結構違うような気がします。素人考えで恐縮で すが、リスクが「低」というのと「中」、「高」というのがそのようにきれいに分かれ るものなのか、あるいは「低」であっても使い方によっては「中」、「高」になったり することはないのか、その辺りをちょっと疑問に思いましたので、分類について教えて いただければと思います。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 お答えいたします。まず分類についてですが、基本的に医療 上どのくらい危険な行為を行うのかという身体への侵襲性に着目してクラス分類を設け ております。侵襲性の高いものにつきましては、国際分類で行きますと原則としてクラ スIII若しくはIVに分類するという考え方に立っております。それによりまして、例えば コンタクトレンズにつきましては眼の粘膜に適用するということで、ちょうどクラスII とクラスIIIの境界ぐらいに来るものでございます。これにつきましては個別に身体に与 える影響についての審議を合同部会でいたします。それでコンタクトレンズにつきまし ては侵襲性があるという分類をしてクラスIIIの高度管理医療機器というふうに分類して おります。このように国際分類の考え方に従って個別の医療機器についての分類をして おります。実際には一般的名称を約4,000ほど定めて、その一般的名称ごとにどの分類 に来るかについては厚生労働大臣が指定して決めてやるというものでございます。  御指摘の管理医療機器であっても使い方によっては危ないのではないかということに ついてですが、使い方によって危ないようなものは原則として高度管理医療機器に分類 されるという考え方でやっているところでございます。管理医療機器につきましては侵 襲性が比較的少ないものについては第三者認証に移し、あるいは規制においては比較的 簡明な規制を行うといった考え方に立っているものでございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。北澤委員、それでよろしゅうございますか。 笠貫委員、どうぞ。 ○笠貫委員 資料29のASD閉鎖セットなのですが、これは添付文書の警告で「日本 Pediatric Interventional Cardiology研究会(以下JPICという)の定める」ということ になっているのですけれども、研究会の定めるという条件ですべてやるということにつ いては今まで余り見たことがないと思うのですが、これよりもこの研究会が小児循環器 学会あるいは日本循環器学会とどういう関係になるか分かりませんが、むしろ学会レベ ルでオーソライズされた方が望ましく、原案はこの研究会でいいと思うのですが、いか がでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 実はこれは部会におきましてかなり熱心に御審議を賜ったポ イントでございます。御指摘のとおり、これはまだ案の段階ではこのままになっており ますけれども、これにつきましては今後関係学会とも更に協議をしまして、できる限り よりリファインされたものが使用条件になるように更に整備する予定のものでございま す。これにつきましては部会でも御指摘を頂いておりまして、現在まだ新しい案ができ ていないものですから、やむを得ず元の案のまま資料を出させていただきましたけれど も、できる限り学会としてのものにそろえるということで現在鋭意作業中でございます。 ○井村分科会長 検討中ということで。ほかにございませんでしょうか。松尾委員、ど うぞ。 ○松尾委員 今の資料29でございますが、11ページの二番目のパラグラフのところの 「主要有効性評価基準」からの数行目です。この書き方ですと、この新しい器具を使っ た成績と通常の外科的手術の成績を比較した結果、有意差がなかったということだと思 います。しかし、そのことと「統計的に同等であった」ということは意味が少し違うの ではないかと思うのです。お聞きしたいことは、これは統計の専門家が加わった治験だ ったのかどうかというのが第一点です。それからもしかしてこれは非劣性検定でやるべ き治験ではないかというのが第二点です。広津先生もいらっしゃいますが、その二点に ついていかがでしょうか。 ○井村分科会長 広津先生、その辺についてはいかがでございますか。 ○広津委員 これは98.5%、100%という非常に1に近いところになっていますので、 厳密に議論するのは結構難しいのではないかと思いますけれども、御指摘のあったよう に、もしp=0.33ということで「統計的に同等であった」という記述が来ているとした ら、これはやはり改めてもらった方がいいように思います。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 これは今頂いた意見を検討して、可能な限り訂正いたしたい と思います。 ○井村分科会長 そうしていただきたいと思います。ほかにございませんでしょうか。 よろしゅうございますか。時間も大分迫ってきたので先に進ませていただきます。それ では議題28〜30が化粧品・医薬部外品部会からでございます。まとめて御説明をお願い いたします。 ○事務局 医薬部外品及び化粧品関係につきまして御報告いたします。まず医薬部外品 についてでございます。議題28、資料30、カネボウ トリートメントCの製造承認の可 否でございます。塩化レボカルニチン及びグリチルレチン酸ステアリルを有効成分とし、 肌荒れ、荒れ性、日焼け・雪焼け後のほてり等を適応とするクリーム剤でございます。 本剤は3月1日開催の化粧品・医薬部外品部会で御審議いただき、薬事分科会に報告し て差し支えないとされたものでございます。承認後2年間の安全性に関する市販後調査 を実施することが条件になっております。  次に議題29、資料31、カネボウ ホワイトニングEの製造承認の可否でございます。 5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2'-ジオール及びグリチルリチン酸ジカリウムを有 効成分とし、メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ、日焼け・雪焼け後のほて り等を適応とする乳剤でございます。本剤は3月1日開催の化粧品・医薬部外品部会で 御審議いただき、薬事分科会に報告して差し支えないとされたものです。承認後2年間 の安全性に関する市販後調査を実施することが条件となっております。  続きまして議題30、資料32、化粧品基準の一部改正についてでございます。化粧品に つきましては化粧品基準がありまして、その中に化粧品に配合することができる防腐剤 と紫外線吸収剤が規定されております。今回防腐剤としてポリアミノプロピルビグアナ イドと銀-銅ゼオライト、紫外線吸収剤としてジメチコジエチルベンザルマロネートと2 -[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステルが、資 料32の表中の最大配合量で化粧品に配合できるものとして収載されるよう要請され、3 月1日開催の化粧品・医薬部外品部会で御審議いただき、薬事分科会に報告して差し支 えないものとされたものです。この結果を踏まえ、化粧品基準の一部改正について御報 告させていただきました。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの28〜30までの議題についてはよ ろしゅうございますでしょうか。では先に進ませていただきます。議題31、32は化学物 質安全対策部会でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 議題31、32は資料33、34ということで配付させていただいております。こ ちらは少々薬事法から離れまして、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基 づく化学物質の指定ということでございます。  両方一緒に御説明したいと思うのですが、まず資料33の裏面を御覧いただきたいと思 います。こちらの物質は通称ジコホルでございますが、先生方もよく御存じのDDTの 誘導体でございます。OHの部分がございますが、こちらがHでございますとDDTと いうものでございます。それから資料34の裏を御覧いただきたいと思うのですが、こち らの物質は炭化水素の1,3-ジエンの水素部分がすべて塩素に置換した物質ということ でございまして、昔溶媒として使われていたものでございます。ジコホルの方につきま しては防ダニ剤、農薬として使われております。  恐縮ですが、資料33の表面に戻っていただきまして、こちらから御説明したいと思い ます。この2物質共、平成16年に化学物質調査会で御審議いただき、本年2月25日の 化学物質安全対策部会で御審議を賜りまして、第一種特定化学物質というものに指定し て差し支えない旨の御意見を頂いております。第一種特定化学物質は分解性が低く自然 に残留する可能性があり、2にありますように蓄積性があって生物濃縮などを受けやす いと。また3にありますように人への長期毒性などが高いと思われるものでございます。 このような物質は第一種特定化学物質として指定させていただきまして規制をかけると いうものでございます。指定された場合の規制でございますが、製造・輸入が許可制と なります。これまでにDDTですとかアルドリン、ディルドリン、PCBなどの13物質 が指定されておりまして、今まで第一種特定化学物質の中から製造・輸入が許可された 例はございません。今回の2物質はいずれもこの条件を満たすということで、御審議い ただきました結果指定して差し支えないということになりました。以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。悪い条件をすべて満たしているので指定し たいということでございます。よろしゅうございますでしょうか。それでは先に進ませ ていただきます。議題33〜38は動物用医薬品等部会からの議題でございます。御説明を よろしくお願いいたします。 ○事務局 農林水産省でございます。動物用医薬品等部会関係につきまして、議題33〜 38まで御報告させていただきます。まず議題33、資料35でございます。日生研株式会 社より製造承認申請されました日生研ARBP混合不活化ワクチンMEという豚用の不 活化ワクチンでございます。本剤はボルデテラ・ブロンキセプチカの不活化菌及びパス ツレラ・ムルトシダの培養菌から部分精製した不活化皮膚壊死毒素を主剤とし、マイク ロエマルジョン化したオイルアジュバントを含む製剤でございます。5の欄に用法及び 用量を示しますが、妊娠豚に対し1回2mLずつを1〜2か月の間隔で2回筋肉内注射す るというものでございます。ちょっと誤記がございまして、この欄の下から2行目の後 段ですが、「3週齢以上の豚に」という文章は間違いでございますので削除してくださ い。それから6の効能又は効果はボルデテラ・ブロンキセプチカ及び毒素産生パスツレ ラ・ムルトシダの混合感染、又はそのいずれかの菌の感染による豚の萎縮性鼻炎の予防 でございます。平成17年3月10日に開催されました動物用医薬品等部会で御審議いた だき、承認を可として薬事分科会に報告して差し支えないと。なおこれはマイクロエマ ルジョンという新しいアジュバントが入っていることから、新剤型動物用医薬品という ことで再審査期間は6年とされたものでございます。 ○事務局 引き続きまして議題34、資料36でございます。動物用医薬品のマイプラビ ン注100の製造承認の可否、再審査期間の指定及び毒劇薬の指定でございます。マイプ ラビン注100は三鷹製薬株式会社、現在の川崎三鷹製薬株式会社から承認申請があった ものでございます。ミロサマイシンを100mg(力価)/mL含む注射剤でございます。適応 症といたしましてはマイコプラズマ・ハイオニューモニエを有効菌種とします豚のマイ コプラズマ性肺炎を効能とするお薬でございます。豚に1日1回、体重1kg当たり5mg (力価)を3日間筋肉内に注射するというものでございまして、休薬期間が25日になって おります。ミロサマイシンは国内で開発されましたマクロライドの抗生物質でございま して、既に鶏あるいは豚用の呼吸器感染症のお薬といたしまして餌や水に混ぜて経口的 に投与するお薬が承認されており、再審査が終了しております。本製剤につきましては 3月10日の動物用医薬品等部会におきまして承認を可とし、薬事分科会に報告して差し 支えないとされたものでございます。毒劇薬には該当せず、新投与経路動物用医薬品と いうことで再審査期間は6年となっております。  それから引き続きまして議題35、資料37になります。動物用医薬品ロメワンの製造 承認の可否、再審査期間の指定及び毒劇薬の指定でございます。こちらは千寿製薬株式 会社から承認申請されております塩酸ロメフロキサシンを100mL当たり0.3g含有する 点眼剤でございます。犬の細菌性の結膜炎、角膜炎、眼瞼炎、麦粒腫を効能・効果とし、 1日3回、1回1〜2滴を点眼するものでございます。これにつきましては人体用で成 分と分量が同じものが既に承認されておりまして、再審査も終了しております。本剤に つきましても3月10日の動物用医薬品等部会で承認を可として薬事分科会に報告して 差し支えないとされたものでございます。毒劇薬には該当いたしません。新有効成分動 物用医薬品ということで、再審査期間は6年でございます。 ○事務局 続きまして議題36、資料38でございます。動物用生物学的製剤基準の一部 改正についてでございます。薬事法の第42条第1項に基づいて規定されております動物 用の生物学的製剤基準は、通則、医薬品各条、一般試験法及び規格の4部から構成され ております。そのうち医薬品各条につきましては新しいワクチンが承認され6年の再審 査を終了した後そのワクチンにかかわる製法、試験法及び貯法、有効期間が規定される ことになっております。そこでこの資料の表紙に1〜10の項目がございますが、今般1、 4、10以外の項目はこの新しいワクチンの再審査が終わったということで、それらの製 法、試験法及び貯法、有効期間を新たにこの医薬品各条に規定されるものでございます。 詳細につきましては時間の関係上割愛させていただきます。  次に項目1の通則の改正でございます。動物用医薬品は外国製造の医薬品がたくさん ございまして、海外の工場では実際には承認申請書に記載されている製造方法と若干異 なった方法で製造されている場合がときにございます。そういった場合には早急に事項 変更承認申請書を提出してもらい、製剤基準の改正と併せて承認してきたところでござ いますが、そういたしますと承認するまである程度の時間が必要になりまして、それま でその医薬品が海外から輸入できないことになります。そこで、製造方法に変更があっ てもその最終製品が同等以上のものであれば製剤基準と一致していなくても差し支えな いということで、そのことを明確化するために1ページの新旧対照表でアンダーライン で示した文章を加えさせていただきたいということでございます。つまり製造方法の変 更があった場合には、早急に事項変更承認申請を提出してもらい、製剤基準の改正を要 せずに承認できるようにしたいということでございます。  次にまた表紙に戻りまして、項目の4のマレック病(マレック病2型・七面鳥ヘルペス ウイルス)凍結生ワクチンでございます。これは後発品の承認に伴います当該医薬品各条 の一部改正でございます。具体的には18ページの新旧対照表にアンダーラインで示しま すように、「3.3.5 ウイルス含有量試験」の項目に、「ただし、特に承認されたもの はそのウイルス含有量とする」という一文を加え、今後承認される後発品のウイルス含 有量が先発品と若干異なっていてもいいとするものです。  それから最後に表紙の項目の10、豚コレラ生ワクチン製造用原種ウイルスでございま す。一番最後から2枚目の58ページになりますが、この豚コレラ生ワクチンの製造用原 種ウイルスにつきましてはこの製剤基準で規格が定められているところですが、右側の 欄に示すようにその有効期間はこれまで5年間とされておりましたけれども、今般追加 のデータが提出され8年まで安定であるということが確認されたので、左側の欄に示す ように有効期間は8年とするものでございます。本案につきましては平成17年3月10 日の動物用医薬品等部会で御審議いただいて了承され、薬事分科会に報告して差し支え ないとされたものでございます。 ○事務局 引き続きまして議題37、38、資料39、40を一括して説明させていただきま す。これは先ほど御説明いたしました議題34のマイプラビン注100の製造承認に伴いま して基準の改正をするものでございます。資料39の方でございますけれども、動物用医 薬品の使用の規制に関する省令でございます。これは薬事法の第83条の4に基づきまし て、残留等のおそれがあるものについて使用者が遵守すべき基準を定めるものでござい ます。医薬品名ミロサマイシンを有効成分とする注射剤、使用対象動物として豚(生後4 月を超えるものを除く。)ということで、用法及び用量が入りまして、先ほど御説明いた しました休薬期間である使用禁止期間は薬を使ってから食用に供するために屠殺するま での間に置かなければいけない期間を定めた省令でございます。これを基準の中に追加 させていただきました。ちょっと資料に誤記がございます。この新しい基準を入れる場 所なのですが、1枚目の「1 薬事法第14条第1項に基づくミロサマイシンを有効成分」 うんぬんの2行目のところでございます。「ポリスチレンスルホン酸オレアンドマイシ ンを有効成分とする」とございますが、これは誤りでありまして薬が一つ抜けておりま す。ミロキサシンを有効成分とする飼料添加剤というところの下にこれを追加させてい ただきます。  それから次が資料40でございます。動物用抗生物質医薬品基準というものがございま す。これは薬事法第42条第1項に基づく基準でございます。これにつきましても既に承 認されておりますミロサマイシンの経口投与剤、液剤や散剤、準散剤については基準が ございますが、今回注射剤が承認されますのでミロサマイシンの注射液ということで御 覧のような形のものを追加させていただくということでございます。これらにつきまし ても3月10日の動物用医薬品等部会で了承されまして、薬事分科会に報告して差し支え ないとされたものでございます。以上よろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの議題33〜38について何か御質 問、御意見ございますか。 ○神山委員 質問なのですが、この資料は持って帰っていいということですか。 ○井村分科会長 何も赤で判こが押してありませんが、よろしいのですか。 ○事務局 持ち帰っていただいて結構でございます。 ○井村分科会長 判こは正確に押されていると…。いかがでございますか。よろしゅう ございますでしょうか。なければ以上の件につきまして皆様方の御確認が頂けたという ことで、報告事項とさせていただきます。ありがとうございました。それでは部会から の報告は以上でございますけれども、その他の事項といたしまして薬事分科会規程及び 薬事分科会における確認事項の一部改正についてという項目がございまして、資料41 でございます。事務局の方からちょっと御説明いただきたいのですが。 ○事務局 それでは資料41につきまして説明させていただきます。こちらは本年4月1 日の改正薬事法の施行に伴いまして、「医療用具」という名称を「医療機器」に改める こととしております。これに伴いまして(1)、(2)にありますとおり、薬事分科会規程、 薬事分科会における確認事項中、「医療用具安全対策部会」を「医療機器安全対策部会」 に、また「医療用具」を「医療機器」に改称することとしております。2枚目以降につ きましては薬事分科会規程及び薬事分科会における確認事項改正案となってございま す。改める部分につきましては下線ゴシックで示しております。以上でございます。 ○井村分科会長 簡単なことでございますので、よろしゅうございますでしょうか。あ りがとうございました。何かほかにございますでしょうか。あるいは事務局の方から付 け加えることはございませんか。神山先生、御質問の件は次回でよろしゅうございます か。それでは時間もちょっと超過してしまいましたけれども、本日の議事は終わりにな ります。次の薬事分科会は6月中旬に予定されておりますが、日程は例によりまして先 生方の御都合を伺ってからということでございます。それではこれで薬事分科会を閉会 させていただきます。長いことどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714) - 1 -