05/03/14 第2回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会          今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会                  第2回議事録              厚生労働省雇用均等・児童家庭局        第2回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会                   議事次第                    日時:平成17年3月14日(月)13:26〜16:05                    場所:経済産業省別館827号会議室 1.開会 2.事務局説明 3.討議 4.報告 5.閉会 〔配布資料〕 資料 1  今後の研究会の進め方について(案) 資料 2  第1回研究会における主な議論の概要 資料 3  「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会」質問票に対する回答 資料 4  平成15年度 児童相談所における児童虐待相談処理件数等 資料 5  児童相談所運営指針(改訂後)抜粋 資料 6  家庭児童相談室の状況 資料 7  児童福祉法施行令の一部を改正する政令案 資料 8  「子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会」について 〔参考資料〕 ○ 児童相談所運営指針の改正について ○ 市町村児童家庭相談援助指針について ○山縣座長  まだ佐藤委員がお見えでありませんが、出席の確認が取れていないということですの で、申し訳ありませんが、2、3分早いんですけれども、ここで開催をさせていただき たいと思います。  まず、出席状況の方、今のも含めまして、事務局の方からよろしくお願いします。 ○長田総務課課長補佐  本日の出席状況でございますが、関根委員から御欠席という御連絡をいただいており ますが、あと、今、座長からございましたが、佐藤委員につきましては、ちょっと出 席、欠席確認をちょうだいできておりませんので、お席は御用意させていただいており ますが、そのような状況でございます。 ○山縣座長  ありがとうございました。  それでは、本日の議事の方に入っていきたいと思います。まず最初に、前回概略を御 提示しましたこの委員会の全体のスケジュールにつきまして、案ができたようですの で、説明をお願いをいたします。 ○長田総務課課長補佐  引き続きまして御説明をさせていただきます。恐縮ですが、座ったままで説明をさせ ていただきます。  資料の関係なんですが、中ぐらいの束になっているものと、すごく分厚い束のものが ございますが、分厚い束の方は、参考資料ということで、先だって、2月の中旬に、今 回の児童福祉法の改正を踏まえまして、児童相談所の運営指針の改定版と、新たにつく りました市町村向けの指針というものをそれぞれ通知をいたしておりますが、その完成 版を参考ということでお配りをさせていただいております。  本日の研究会としましては、中ぐらいの束の方の資料を使用させていただきたいと思 っております。  次第をおめくりいただきまして、資料1というので、「今後の研究会の進め方につい て(案)」という資料があろうかと思いますが、そちらをまずごらんをいただけますで しょうか。  今後の進め方の案ということで、座長とも御相談させていただきまして、先回は、青 森県の佐藤委員、それから三重県の上廣委員から、それぞれお取り組みの状況というこ とを御説明をいただきまして、その後、自由討議ということをさせていただいたわけで ございますが、本日以降、大体年末に向けてどういった形で進めさせていただこうかと いうことで、あくまで案ということでございますが、整理をさせていただいたものでご ざいます。  まず、2回目から、大きくは児童相談所を中心とした都道府県の問題、それから、市 町村を中心とした問題ということが大きく分けるとあるわけでございますが、市町村に つきましては、今回の改正で、具体的に制度として動き出すのが4月以降ということに なりますので、そういった点では、その施行状況というのは、若干でも見ながら考えて いく方がよいのではないかと、そういう点では、児童相談所の問題というのが、現時点 で既にいろいろな課題なり論点というものが明確になっているであろうということで、 まずは前半は児童相談所なり都道府県の問題を中心に取り上げさせていただいてはどう だろうかと、その後に、市市町村の問題を取り上げていだたくというような、大枠はこ んな流れでいかがでしょうかということでございます。  それで、本日以降の3回分を、主に児童相談所から見た児童家庭相談体制及び連携上 の課題というような設定をさせていただいて、その中で、本日は、幾つか課題があろう かと思いますが、主に児童相談体制の問題、それから3回目、次回につきましては、関 係機関との連携ということに焦点を当ててはどうかと、それから4回目につきまして は、市町村との連携、勿論、市町村も関係機関に入るわけですが、関係機関の中でもと りわけ市町村との関係というのは非常に大きいものがございますので、市町村の問題と いうものを取り上げてはどうかということでございます。  それから、5回目以降、また改めて御相談させていただきたいと思っておりますけれ ども、市町村における取り組みということで、初回に佐藤委員、上廣委員から御説明を いただきましたように、この研究会でも、市町村の関係の先生方にお加わりいただいて おりますので、できますれば、このお取り組みの状況などのお話をちょうだいできれば と、それを踏まえる形で御議論をいただければというふうに思っております。  それで、大体夏をめどに、一度議論の中間的な整理みたいなことをさせていただけれ ばどうかということでございます。  それから、秋以降、より具体的に市町村における児童家庭相談体制及びネットワーク 形成上の課題というような形で2回ほど設定をさせていただいておりますが、この中で は、受身的なものだけではなく、かなりその予防的な観点からの議論というものもして いただく必要があるのかなというふうに思っております。  それで、11月、12月ぐらいにかけて、1つの成果というような形でお願いをできれば どうかというふうに思っております。  それから、最後の※印の部分でございますけれども、たしか、前回の終わりのところ で山縣座長からもお話がございましたけれども、こういった議論を進める過程の中で、 こういった方からも少し意見を聞いたらどうだろうかとか、あるいは勿論、資料なども 含めてということになりますけれども、関係者、有識者からのヒアリングといったこと も織りまぜながら、より重層的な御検討をいただければというふうに思っております。  事務局からの説明としては以上でございます。 ○山縣座長  ありがとうございました。  年内月1回ぐらいのペースという非常にハードな委員会でございますけれども、提案 でございます。特に、御意見、御質問等ございますでしょうか。  それでは、おおむねこのスケジュールで行かせていただくということで御了解をいた だけたものというふうに理解をいたします。詳細につきましては、事務局と相談をしな がら、調整させていただきます。  それでは、今の提案に従いまして、本日の議題、中心的な課題は、児童相談所から見 た児童体制及び連携上の課題、特に、児童家庭相談体制のそのものについてということ で、議論を進めていきたいというふうに思います。  事前に、お忙しいところ、調査票を送らせていただきまして、それに対する非常にた くさんのお答えをいただきました。まず、その辺のところから説明をいただけますでし ょうか。 ○長田総務課課長補佐  それでは、引き続きまして、資料の説明をさせていただきたいと思います。  今、御説明しました資料1のほか、資料2以下としまして、資料2から資料8まで御 用意させていただいておりますが、このうちの資料の7、8につきましては、本日、最 後報告事項という形で御報告をさせていただきたいというふうに思っております。  それで、今回の議論の材料としての資料ということで言いますと、資料2から資料6 ということになります。それで、まず資料2の関係でございますが、これは第1回研究 会における主な議論の概要ということで、事務局の方でいろいろ御指摘をいただいた内 容を整理をさせていただいたものでございます。ただ、これは本来であれば、各先生方 に事前に御確認をさせていただいた上で配付すべきものかと思いますが、ちょっと時間 の関係上、その確認をさせていただけておりませんので、あくまで未定稿ということで 取り扱いをさせていただければと思っております。説明は省略させていただきますけれ ども、お目通しをいただきまして、ちょっとここは違うのではないかとかいったような 御指摘がありましたら、後ほど事務局の方まで御連絡をちょうだいできればと思ってお ります。  それから、資料3を後回しをさせていただきまして、資料4から6の関係でございま す。資料4につきましては、今回、先ほど資料1で提示いたしました、今回、児童相談 所の体制の関係を中心に御議論をいただくということでございますので、基本的な児童 相談所における相談の処理状況や、あるいは一時保護の状況といったデータの関係を整 理をさせていただいたものをお配りをさせていただいております。  それから、資料の5でございます。これは、今日、参考資料として配らせていただき ました改正後の運営指針の中で、特に児童相談所の職員体制とか、そういった部分にか かわる部分を抜粋ということでお配りをさせていただいたものでございます。  それから、かけ足で恐縮ですが、資料6の関係でございます。家庭児童相談室の状況 ということで用意をさせていただきました。これは、先回の研究会終了後に、小林先生 の方から、御要望がございまして、家庭児童相談室のもう少し詳しい資料をという御指 示がございましたので、用意をさせていただいたものでございます。  簡単に御説明をさせていただきますと、資料6、表裏の1枚紙でございますけれど も、全体として、家庭児童相談室は福祉事務所の中に設置をされているものでございま すけれども、福祉事務所そのものは、平成15年度で見ますと1,212 か所ということにな っております。このうち、家庭児童相談室が設置されているところが955 か所というこ とでございますので、福祉事務所全体に占める家庭児童相談室を設置している事務所の 割合は、全体の78.8%ということで約8割弱というような状況になってございます。  それから、職員体制としましては、社会福祉主事あるいは家庭相談員を置くというよ うな、要綱上そういうふうになっておりますけれども、家庭児童主事につきましては、 郡部、市部とも見ていただきますと、専任で、これは主に正規の職員の方であろうかと 思いますけれども、専任で置かれているところは非常に少ないということで、今大半が 兼任の職員というような状況になっております。  家庭相談員さんの方ですけれども、こちらにつきましてはいろいろ、実は、今日のア ンケートでも御指摘をいただいているところですけれども、郡部、市部ともに常勤とい う形で相談員が対応されているところというのはかなり少ないということで、大半が非 常勤の職員の方が対応をされているというような状況でございます。  それから、2の相談受付件数ということですが、こちらにつきましては、全体総数と しましては、平成15年度で94万5,440 件という状況でございます。このうち中ほどに家 族関係という欄がございますが、家族関係総数として22万5,000 件ということで、2割 強というような状況でございます。そのうち虐待関係が10万9,142 件ということで、こ れにつきましては、年々増加傾向にあるというような状況が見て取れるかと思います。 まあ、件数もそうですし、全体の相談件数に占める割合というのも、徐々に増加をして いるというような状況が見て取れるかと思います。  裏面は更に詳細な参考ということで、各都道府県別の設置状況であるとか職員の配置 状況というものを整理をさせていただいたものでございます。  資料6の説明としては以上でございます。  恐縮でございますが、メインの資料3というものにお戻りをいただきたいと思いま す。  資料3につきましては、先ほど座長からもお話をちょうだいしましたように、事前に 私ども事務局の方から幾つかの今後、この児童相談体制、主に児童相談所のサイドから 見た児童相談体制を御議論をいただくに当たりましての議論の素材とさせていただくべ く、主に論点になりそうな点というのを中心に質問をさせていただいたものを集約をさ せていただいたというものでございます。  大きくは、3つのパーツに分かれさせていただきまして、これは、研究会の先ほど説 明いたしました進め方に沿ってということでございますけれども、Iのところで、児童 相談所の体制関係ということで7つほど質問をさせていただきました。  それから、19ページ以降になりますけれども、これも大きなテーマとして児童相談所 と市町村との連携についてということでございます。  大きな3点目としまして、23ページ以下になりますけれども、III のところで、児童 相談所と関係機関との連携についてということで、医療機関とか弁護士とか、それぞれ の主だった関係機関というものを挙げて御質問をさせていただきました。  今回、大変お忙しい中御回答いただきまして大変ありがとうございました。この資料 のまとめ方ですが、基本的には、ちょうだいをしました資料をそのまま各質問ごとに張 りつけをさせていただいております。ただ、例えば、「である」調とか「です」「ます 」調とか、そういったレベルのものは少し事務局の方で整理をさせていただいておりま す。  それから、いただいた御回答は、資料として使用させていただくというお断わりをさ せていただきはしましたが、一応、例えば、何とか県の取り組みというような形で、固 有名詞的な御回答になっている部分については、そこを少し一般名詞化したような形で お出しをさせていただいております。大体そういったような形でまとめをさせていただ いております。  それでは、恐縮ですが、中身の方の説明を簡単にさせていただきたいと思います。3 つのパーツのうち、今日は主に児童家庭相談体制を御議論いただくということで、Iの ところ、大体18ページまでのところをざっとかいつまんで説明をさせていただきたいと 思います。  まず、1ページ(1)の問でありますけれども、これは前回の議論でも少し議論にな った部分でございますけれども、児童相談所の機能強化ということを考えるに当たっ て、集約化の方向に向かうのか、あるいは支所的な機能みたいなことも含めて強化を考 えていくのかということでございます。  まず、1つ目の○のところでございますけれども、集約ということに関しては、多角 的な検討ができるというメリット、それから、一方で、迅速な対応や継続的な支援など で移動に時間がかかるのではないかというような御指摘。  それから、支所的な機能強化ということに関しては、同じ○のところですけれども、 地域の特性に合わせた対応であるとか、迅速な対応が可能といったようなメリットがあ るのではないかという御指摘でございます。  2つ目の○のところの3行目のところでございますが、支所に人材を薄まきにするよ りも、集中的に配置する方が効果的ではないかと、そもそも、今後、支所的な機能とい うのは市町村が担うものではないかといったような御指摘でございます。  3つ目の○としまして、1行目の終わりの辺りからですが、顔を合わせるコミニュケ ーションが必要なのではないかというような御指摘、4行目の終わりぐらいから、距離 的に市町村や家族と行き来しやすい支所的な機能強化が必要な時期や地域があるのでは ないかといったような御指摘でございます。  4つ目の○のところでございますが、4行目辺りから、支所的な機能については、地 域と密着した活動ができるのではないかという一方で、虐待のような場合には、スケー ルメリットを考慮する必要があるのではないか。更に、最後の行からですが、モデルと して1か所の児相に子どものケアや親指導の専門機能を果たす組織を設置することも必 要ではないかというような御指摘であります。  次の○のところでございますけれども、一時保護所の併設や多職種がある程度の人数 配置され、コミュニケーションがとれることによって専門性の維持、向上が図れるこ と、判断し行動するための権限があるということが必要ではないか、こうしたことか ら、支所的な配置は好ましくないのではないかというようなことです。そして、中核市 レベルでは、必置義務としてもよいのではないかというような御指摘でございます。  それから、1つ飛びまして、このページの3つ目の○のところでございますけれど も、市町村の立場から言えばということで、近隣の児童相談所に十分な体制が整ってい る方が、日ごろからの連携強化、緊急時の迅速な対応などの点で有効である。  それから4つ目の○のところでございますが、児相は、虐待の専門機関とされている が、知識・判断・技術とも少なすぎるとか、医学的問題や医療側の状況への理解がなさ すぎる、といったような医療サイドからの不満というか指摘がある、そういった指摘を 踏まえて、次の段落のところですが、司法事例や後々まで前例になる新たな対応の工夫 例とか、広域を所管する機関との連携窓口、スーパーバイズ、データ分析といったよう な御提案でございます。  2ページの下から2行目辺りですが、高度の専門性と経験を要するために、集約する ことで効率になるのではないかと。  次のページに移りまして、上の辺りからですが、都道府県に1か所は弁護士、精神科 医・児童小児精神科医・小児科医・法医学医・小児婦人科医などの常勤または非常勤ま たは嘱託としてのチームを持つ必要があるのではないかといったような提案でございま す。  それから、3ページの2つ目の○のところ、中ほどでございます。職権保護後の保護 者面接などへの対応なども考えると、児相には一定数の職員が配置される必要がある、 また、困難事例やレアケースへの対応については、一定の蓄積が必要であるといったよ うなこと。  それから、最後のところでございますが、一定の児童相談所に職員を集中的に配置す べきということで、2行目の辺りですが、一定のレベルが十分確保できていない状況と 言わざるを得ない、まずは、各地に核となるものをつくり、そこを中心に機能強化を図 らないとなかなか難しいのではないかということでございます。  大変恐縮ですが、資料の3の後に、ちょっと1枚紙で回答の追加という資料がござい ます。ちょっといただいた時間の都合上、同じ形で編集できなくて大変申し訳ございま せんが、この1−(1)というところで、こちらの御指摘の中では、親子の再統合プロ グラム、ソーシャルワークは是非とも進めなければならないということで、児童家庭支 援センターがソーシャルワークできていくようにし、児相は措置権のみ行うようにすれ ば、やがてコストの削減につながるのではないかといったような御意見をちょうだいを しております。  総じて、傾向的には、児童相談所の担うべき専門性の強化という観点からは、集約が 望ましいという意見が、全体としては多いような感じでございましたが、それぞれ当然 メリット、デメリットがあるということで、おおむね御指摘は共通をしているというよ うな状況でございます。  続きまして4ページでございますが、児童相談所のあるべき職員体制、人員配置、専 門職種についての考え方をお聞かせをくださいということでございますが、一番上の○ でございます。児童福祉司の質をどのように確保するかが問題であるということで、3 行目辺りからですが、今回の改正で、一定の経験等児童福祉司の資格が強化されたが、 それを担保するようなシステムの導入が必要ではないかということ。あるいはまた、人 事異動というのを県単位というだけではなく、県にまたがって、すなわち広域的に考え られるというような御提案をいただいております。  2つ目の○のところでは、児童精神科医師の配置が必要との御指摘をいただいており ます。  3つ目の○のところでございますが、児童福祉司3人に対して心理職2名というのが 基本的な家族支援のチームを構成していく上で必要である。医師、小児科と精神科、そ れから保健師は必須ではないかということでございます。  (2)についてはということで、専門職種としての雇用が不可欠であるというような御指 摘がございました。  4つ目の○のところでは、人口あたりではなくて、担当ケース数あたりにするべきと いうような御指摘。  それから、(2)についてということで、児童福祉司については、社会福祉士を基礎四角 として、一定の研修終了者に児童福祉司を発令すべきである。  下から3行目辺りからですが、少なくとも研修等投資効果の期待できる福祉職採用に すべきである。現状を見ると、県の自主性に任せていたのでは改善は遠いのではないか といったような御指摘でございました。  それから5ページの一番上のところでございますが、児童福祉司については、少なく とも倍増が必要である。今は、初期対応が中心だが、今後は再発防止に関与することが 不可避であり、援助機能の充実が必要との御指摘でございます。  それから、次の第2パラグラフの辺りですが、現在は来所面談が多く、家庭訪問が少 ない。ただ、親や子どもとの直接接点を増やすことが必要との御指摘がございました。  3段落目のところで、児童相談所批判や不信は根強い、もっと協働のできるようなマ ンパワーが必要である。  次の段落のところですが、心理についてはとりあえず倍増が必要だと。特に、ここに ついては心理評価というのは、初期評価時に実施されているのが3分の1のみで、援助 効果や措置解除判定時にはほとんど行われていない、ということで、初期以外の今後の ケアにあたっての子どもの評価が必要であるというような御指摘でございます。  1つ段落を飛ばして医師についてですが、下から7行目ぐらいのところです。すべて の被通告児に医学的な検査が不可欠であるといったようなこと。  それから、下から4行目の辺りですが、児童福祉司にとって苦手な衣料機関連携の児 童相談所側の窓口としての役割も期待をしたいというような御指摘でございます。  5ページの最後の○のところですが、体験的に言って、仮に職員が増えても一人ひと りの時間外勤務の実態は変わらないという状況は続いている。なぜかと言えばというこ とで、本来ならば、やるべきことに手がつけられない状況があるので、4行ほど飛びま すが、増員で担当エリアが縮小したとしても、浮いた時間は直ちにできていなかったこ とに費されるというような状況があるのではないかという御指摘でございます。  更に、この○のところの一番最後の行の辺りですが、小児科医などの常勤配置、ある いは弁護士も配置されていると理想的であるといったようなことでございます。  それから、最後の○のところでございますが、人員については今の10倍ぐらいの人数 が必要である、ただし、ということで、一番最後の行の辺りですが、一度に増やすわけ にはいかないので、質の問題も含めて中期・長期の目標を立てるべきだと思う、という ような御意見でございます。  恐縮でございますが、追加の1枚紙のところでは、I−(2)でございますが、総人 口比ではなく、児童人口比でも配置することが望ましい、3行目辺りですが、専門性の 質を高めていく国家資格イコール専門性の質ではないと感じる。資格取得後も一定の期 間で資格の再取得を義務づけるといったような御意見でございます。  続きまして(3)でございます。7ページでございますが、児相の職員の専門性確保 ・向上のための、取り組んでいただいていることであるとか、課題や提案ということの お尋ねでございます。  1つ目の○の(2)の課題としては、というところですが、研修は系統立った計画的な 研修が行われていないというのが課題であろうというようなことで、その提案として、 1つ目の○の最後の行辺りですが、半年間の研修が保障されるシステムを全国レベルで 確立する必要がある、というような御指摘でございます。  それから、3つ目の○の5行目辺りですが、再任用制度が実施されているため、児童 相談所においても児童福祉司OBを任用しているということでございます。今後、大幅 な職員定数像は望めないことが見込まれるため、非常勤の専門職員を確保することが重 要になるという御指摘でございます。  それから、4つ目の○のところ、下から3行目辺りでございます。専門職採用が望ま れるところだが、専門職採用はあくまでスタートラインだと、養成していくための体制 が必要である。そのための動機づけなども必要ではないかと。  次のページにまいりまして、経験的には最低10年程度の継続が必要との御指摘でござ います。  同じ○のところで、下から3行目辺り、児童福祉司OBの活用は、微妙であるという 御指摘でございます。理由を書いていただいていないので、その辺り御指摘をいただけ ばというふうに思います。  次の○のところですが、3行目辺り、県の児相の仕事を、県の事務と位置づけた上 で、吏員である条件をはずし、児童相談所事務の委託や契約職員との採用を可能にし、 将来的には適切な法人等に運営を任せる方がよいのではないかと、そのためには、きち んとした職員の資格と養成のシステムを確立する必要があるといったような御指摘でご ざいます。  次の○のところですが、虐待対応というものが都道府県によるふぞろいが許されない と、とりわけ権利侵害の問題でございますので、サービス・援助については地域差もや むを得ないかもしれないけれども、こういった分野については国としての基準を実施で きるようにする策が不可欠であるといったような御指摘でございます。  それから、8ページの一番下の○のところでございますが、2行目辺り、現在取り組 んでいただいているものとして、赴任してすぐの一般的な新任研修を行った後に、年5 回の1日研修を実施、最近では2年目研修を実施するようにしているということでござ います。  下から3行目の辺りですが、所長の研修が義務づけられたが、児童福祉司や心理判定 員一時保護職員などに対しても研修を義務づけることが本当は必要であろうという御指 摘でございます。  それに当たってはということで、次のページの2行目辺りですが、適正な業務量にし た上で研修を義務づけることが必要というのは、すなわち、今の体制の中で研修だけ義 務づけてもなかなか参加できるだけの状況にないということの御指摘かと思います。  それから、9ページの同じ御意見の中で、下から2行目ですが、福祉職採用を行い、 他の部門での仕事も経験しつつ、児童福祉にも携わる形が妥当ではないかということ で、専門職採用はするけれども、児相一辺倒ということではなく、いろいろ幅を積んで いただきつつというような御指摘かと思います。  それから一番最後の○のところでございますが、弁護士も常駐に近い形でスタッフに いた方が望ましいというような御指摘でございます。  Iの(2)、(3)を通じまして、全体的に人員が足りていないということと、あと 職種的には、医師なり弁護士の配置というのは大変有用であるということで期待感があ るということではなかろうかというふうに思います。  10ページ(4)でございますけれども、児童虐待対応や少年非行対応のための専属組 織を設けることについての評価、課題ということでございます。これはたしか、前回の 議論の中で、座長の方からこういった専属の虐待対策班みたいなものを設けることの是 非みたいなことについての議題を提案をいただいたかと思いますが、それを踏まえてこ のような質問をさせていただいております。これにつきまして、1つ目の○でございま すけれども、まずは地区担当を持たないということで、機動的な対応が可能である、専 門性も高まる。ただしということで、かなりのストレスが伴う業務ということがありま すので、その職員さん向けの精神的なフォロー体制でございますとか、人事ローテーシ ョンの確立が必要との御指摘でございます。  2つ目の○のところでございますが、十分な人員配置の上、専属組織を設けるのであ れば有効である。  2行目の辺りで、数人の経験ある職員をフリーにして応援体制を設けた方が効果的で はないかということでございます。それから、ケースの引き継ぎのタイミングとして は、措置決定後が適当と考えるということでございます。  3つ目の○でございますが、2段落目のところでございますが、組織内でのコミニュ ケーション、他の部署がどれだけ口を挟めるかをどう確保するかが課題である。専従体 制内での地区担当分けをする方がスムーズ、初期段階の調査と見立てをする部門と治療 的な継続的なかかわりをする部門という組み立ての方が仕事がしやすいような気がする というような御指摘でございます。  4つ目の○のところでございますが、3行目辺りから、どの時点で地区担当者に引き 継ぐべきか見極めが難しいという現状がある。地区担当者も膨大なケースを抱えている 中で、専属組織からケースを引き継ごうと、渡すべきと思っても渡せていないという様 子があちこちの児童相談所でそのような問題を聞くというような御指摘でございます。  次のページに行きまして、上から2行目辺り、メリットとしては、メリットというの は専属組織を設けるということについてということになろうかと思いますが、虐待や非 行についての担当者がスキルアップ、システム化の促進。デメリットとしては、専従担 当者が精神的、時間的、業務的負担が大きいというようなことでございます。  11ページ、2つ目の○でございますが、専属組織は必要との御指摘でございます。  3つ目の○ですが、2つ目の段落辺りですが、虐待などの緊急性、困難性の高いケー ス対応は、担当地域を抱えて走り回っている児童福祉司が即応的に対応するのは難し い。虐待専任チームを設置するのは時の流れであろうと。  更にその下の行で、専任化のニードは高まってくるであろうと、だが、虐待の専任チ ームはストレスが非常に高い、だれにでもできるような業務ではないというのも率直な 現実である。  一番最後の○のところでございますが、虐待については専門組織を方がよい、緊急の 場合に迅速に対応できることが必要と、ただ、その際の職員のストレス、バーンアウト 問題については検討が必要だと。  それから、「また」以下のところでございますが、非行については、このまま意図的 な取り組みがなければ、児童相談所の手からどんどん離れていくのではないかとの危惧 があり、そういう面からも専属組織、非行担当者を設ける方がよいと思うと、設けるべ きか否かという次元の問題ではなく、設ける必要があるが地区担当との関係をどうする かというような問題ではないかという御指摘でございます。  総じて、虐待、非行も含めてということになろうかと思いますが、その迅速対応の必 要性あるいは専門性という観点から、そういった組織はおおむね必要という意見が大半 というような感じでございましたが、当然、それに伴う職員のメンタルヘルスの問題な ど、幾つかの課題が指摘をいただいているということではないかと思います。  続きまして、12ページ、Iの(5)でございますが、今回の児童福祉法の改正に伴う 市町村との役割分担を踏まえまして、従来、郡部をカバーをしていた県の家庭児童相談 室というのはどうあるべきかという設問でございます。  まず1つ目の○ですが、3行目辺りから、相談員自身が嘱託職員であり、職員の交替 があるために市町村の専門的な後方支援の機関になるのか疑問である。  2つ目の○ですが、こちらの取り組みの中では、家児相については廃止をしたという ことでございます。  3つ目の○ですが、児童相談所にこの家庭児童相談室の定数枠を移すことができない かというような検討をしているというような御指摘。  4つ目の○のところですが、町村が市になって家児相ができたところは、県の家児相 は廃止をしている、ただし、家児相における長い実績のある職員も多いので、児相の中 にそういった専門職員を取り込んでいければよいのではないかと、人的な配置を充実を して、児相にしていくべきだと考えるが、一時保護所が併設されていることが望ましい ので、難しいところだろうと、これはすなわち、今ある県の家児相に少し人を増やし て、児相化をしていってはどうかという御提案かというふうに理解をしております。も し間違いであれば御指摘をいただければと思います。  5つ目の○ですが、県の家児相は必要がない。  最後の○のところでは、十分機能していない家児相であれば廃止をして、機能してい る家児相であれば、その人たちは出向または「移籍」で町村のセクションに移ればいい のではないかと思う、ということでございます。大きくは、郡部の家児相そのものを組 織としては必要はないという意見が多い印象ではございますが、そこの今やっていただ いている相談職員の方のスキルというものをうまく生かすような仕組みが考えられない かというような御提案が多かったような感じでございましょうか。  (6)の一時保護所の問題でございます。ここも大体御指摘は共通をしております が、13ページ、まず1つ目の○のところでございますが、3行目辺り、非行児との混合 処遇という問題が指摘をされています。また、4行目の後ろ辺りから、手の掛かる被虐 待児の幼児が増加をする中、職員の不足は否めない、ということでございます。  2段落目のところで、一時保護所職員の明確な配置基準を最低基準で定めてほしい。 施設整備の補助制度の確立。  それから、一時保護委託に関してということで、第3パラグラフの3行目辺りからで すが、施設の方も満杯状態が続いているということで、一時保護委託の場合は、最低基 準が確保されれば、知事の裁量で、定員外でも委託できるようにしてほしいといったよ うな御提案がございます。  2つ目の○でございますが、児童福祉施設の場合には一時保護中でも学校教育を保障 することができるとか、日常生活につながるといったメリットがあるという御指摘、そ のためには、施設の一時保護委託の条件として、一時保護委託の積極的活用が望ましい ということでございますが、その際の一時保護委託費の問題というのを御指摘をいただ いております。  3つ目の○でございますが、2行目辺り、深夜近くになって、里親さんに一時保護委 託をお願いするというようなこともある、保護所の中では、混合処遇が大きな問題であ るということでございます。  それから(2)については、ということで、保護所を新たに整備をこちらの中では整備を されておるようでございますが、それでもなお混合処遇の問題は残るということで、混 合児童自立支援施設、旧の教護員でございますが、に一時保護機能を持たせられないか 検討をしたいということでございます。  13ページの最後の○のところでございますが、最近、夜間の触法ケースの身柄付き通 告が増加をしているというような現状の御指摘。次のページに移りまして2行目辺り、 さまざまな問題を抱えた子ども、年齢幅も広い子どもたちが保護されているということ で、生活指導場面での分離処遇が必要だが、設備的にも体制的にも保障はされていな い。  第2パラグラフの2行目辺りでございますが、一時保護所というのは、食う寝るだけ のところではなく、行動に表現されるものから子どもの特性を見たてて、発達・成長・ 変化のためのヒントを探り、ためしてみるところであってほしいというふうに考えてい る。  更に、被虐待児の安全を守るという視点からすると、児相とは離れていた方がいいの だが、総合的な支援を考えると常にコミュニケーションが取れるところでないと機能し ないというような御指摘。  次の○でございますけれども、委託一時保護については、目的から見て適切でない場 合がかなりあるのではないかと、これはすなわち、特に緊急保護から措置に移行した場 合、児相による調査、判定が大幅に省略されるおそれがあり、そういった観点から、安 易に拡大すべきではなく、県の一時保護所の充実をすべきと考えられる、ということ で、一保委託をした場合のアセスメントが不十分になるのではないかという御指摘かと 思います。  一時保護所という形は非効率と言われるが、安全確保、法的対応等必要な場合も考え ると、公的な責任は重いであろうということでございます。  それから、次の○のところでございますが、3行目辺り、障害時施設等や医療機関へ の一時保護委託を増やす必要。  (2)については、という3段落目の辺りですけれども、一時保護所機能の付加という ことで、心理職・教師の配属が必要。また、子どもの評価ということで、あるいは子ど もの分離ケアということで、一時保護所というのは、しっかりとしたアセスメントとア フターケアを担えるようなことが必要だというような御指摘かと思います。  15ページの1つ目の○のところでございますが、4行目辺りで、一時保護所を児童相 談所本所といずれも併設をされているということで、併設によるきめこまかい指導が可 能というような御指摘。  この○の一番最後の3行ぐらいですが、一時保護については2か月以内とされたが、 この2か月以内というのは児童福祉法で定めがあり、原則として2か月以内ということ が定めがあるわけでございますが、権利条約、これは子どもの権利条約のことかと思い ますが、なども踏まえて、その仕組みを検討すべきと、本来ならば職権保護は緊急最低 限の期間とし、それ以上は司法が関与する仕組みとすべきであろう、ということでござ います。  次の○ですが、2行目辺り、混合処遇の困難などが切実に議論されている。人も設備 も不十分な中で、現場としてはきわめて深刻ということでございます。  次のページにまいりまして、4行目辺りでございますが、国レベルでも積極的な取り 組みが必要だと。一時保護所も子どものプライベートな空間が確保しづらい、学習権の 確保等の問題がある。  次の行辺りから、一時保護所の活用が難しければ、近隣の児相とか擁護施設、自立支 援施設への一時保護委託の活用を考える必要がある。それには、一時保護委託費の問題 も関係はするであろうということでございます。  恐縮ですが、追加の1枚紙の方をごらんをいただきたいと思います。  I−(6)でございますけれども、他種類の一時保護所をつくり、抱えている課題に 応じて一時保護できることが望ましいということで、個別化、個室化、あるいは教育 権、学習権の保証がされていないということは、行政機関による虐待のようなものでは ないかというような厳しい御指摘でございます。  共通しまして、ある種の混合処遇の問題、設備人員の問題が指摘されておりますが、 一時保護委託ということに関しては、若干温度差が各委員の中であるのかなというよう なことでございます。  最後(7)でございますが、児童相談所業務のIT化についてということでございま す。これにつきましては、細かい説明は省略をさせていただきますけれども、総じてI T化そのものは必要であると、ただ、それに関していろいろな工夫なりは必要ではない かということかなというふうに思います。  ちょっと説明が長くなりまして恐縮でございますが、とりあえず今日の議題に関連す る部分ということで、Iにつきましての説明ということにさせていただきたいと思いま す。 ○山縣座長  各委員の方から、非常に丁寧な回答をいただきましたもので、説明の方も少し長くな りましたが、非常に貴重な御意見をいただいており、この場で議論する素材になるので はないかというふうに考えます。  これからの時間でございますけれども、今日の議事の中心はこの部分だけでございま す。あと事務的なお話が若干あるというふうに聞いておりますが、それは10分、15分で 終わるということですので、今から1時間半ほど時間が取れます。ゆっくり議論してい ただきたいんですけれども、逆に長過ぎるとどこを議論しているかわからなりますの で、以下の大きく3点で進めたいと思います。まず第1は、体制そのものに関するとこ ろについての議論の時間、2つ目は、職員の質、研修辺りの時間、配置も含めてです が、そういうあたりの時間、3番目が、中身的には重要なんですけれども、量的にも質 的にも少し本論とは離れている部分があると思われる家児相の話、一保の話、IT化の 話にさせていただきたいというふうに思います。それぞれ30分ぐらい、場合によっては 前半は少し長目でもいいかなというふうには思っておりますが、そういう形で議論を進 めていきたいと思います。  最初に、体制的なことについてですが、各委員の方で、御意見をお聞きいただき、さ らに補足をしたい、強化をしたいとか、もう一つは、他の委員の意見に対して質問をし てみたいとかいう方はいらっしゃいますでしょうか。この委員会は当面はまとめる必要 がありませんので、答えを出すというよりも、お互いの中身の違いとか、あるいは事務 局のお考えとか、そういう辺りをはっきりさせていきたいと思います。  それでは、最初に体制についての御意見なり御質問を伺いたいと思います。 ○岩佐委員  私は弁護士ですので、児童相談所の現場にいるわけではないんですけれども、ここの 体制の問題については、私自身は、ともかくどこかに集中した人材がいた方がいいので はないかという回答をしているんですけれども、本来、児童虐待とか非行とか、それだ けでないと思いますけれども、専門的な部分については、例えば、大阪の感覚で言う と、大阪は、児童相談所が市も含めて8か所ありますけれども、そのうちの1か所だけ が集中してできるというイメージでは困るというか、やはり大阪の感覚で言うと、8か 所ともができるというぐらいがあるべき姿で、それを40か所、50か所とか、全部の市に あるというのは、それは現実いろいろ難しいけれども、それぐらいを目指すべきではな いかと。  ただ、私も大阪以外の事情をそう詳しいわけではないんですけれども、全国的なこと を考えたときに、今、設けられている児童相談所を全部強化すべきだというふうな目標 を立てるとうまく行かないところがかなりあるのではないかと、そういう意味では、現 在、支所も含めたいろいろある児童相談所のうちの、恐らく全国的なやり方ということ を考えれば、どこかある程度のところまで集中してやれるところをつくり、そこから広 げていくという発想をせざるを得ないのかなというふうに思っていまして、本来のニー ズとしては、今あるぐらいの地域を管轄しているところについては、やはり1か所そう いう高度なものができるというのはいいなと思うんですけれども、まず、それが目標と いうのを言いにくい現状かなというふうに思って回答いたしました。 ○山縣座長  この回答を見ていまして、実は、ひょっとしたら私が長田さんと相談してつくった質 問票に誤解があったのかなと思ったのは、「支所」という言葉が、今の中央児相に集中 して他の一般児相を支所的なイメージでとらえて支所というふうに答えられた方と、も う一つは、前回の青森のように、児相そのものをばあっと増やして、倍増させて、支所 的なものというのは、そちらで答えられたパターンと両方ありそうな気がしています。 皆様方、青森の話を聞いたから児相が倍になって、そのうち圏域ごとに集中した大きい ものが、県内に1か所ではなくて、そこに何か所複数あって、さらにその下に支所があ るというふうなイメージでとらえられたのか。岩佐委員の話は、今の児相の数は全部集 中だと、それが要るんだと、プラス、やるんだったら、市レベルぐらいの圏域でイメー ジしたらどうかと。大阪ではできるかもしれないが、他府県ではどうもそうはならない かもしれない。 ○岩佐委員  大阪で言うと、今言う8か所ぐらいは専門的というか、 ○山縣座長  それは支所ではないと。 ○岩佐委員  そうです。それができるということが必要であるというふうなことの趣旨です。 ○山縣座長  そこら辺が回答者によって少しずれているかなという気がしますが、大丈夫でしょう か。 ○菅野委員  私のイメージからすると、支所というのは、本所があるわけです。本所に所属してい る職員が出張所にいる。組織としたら1つなんです。そんなニュアンスでとらえていま す。  それで、滋賀県の場合は、昭和53年に彦根が支所から児童相談所になったということ がありました。支所の場合、最終的な決定権は、本所の所長のところにあるというイメ ージでして、支所は出張所のイメージという感じでとらえて考えていました。それぞれ の組織で判断ができることというのが一番大事なのかなというふうに思っていますか ら、支所機能というのは、最終決定がないというイメージで答えました。  それから、ここには書かなかったんですが、人口とかいろいろあるんですが、うちの 方は田舎ですので、せめて片道1時間ぐらいの範囲ぐらいが管轄エリアというのがいい のかなと思うんです。現実問題、1時間半以上かけておうちに行って、30分ぐらいしゃ べって、1時間半かけて帰ってくるみたいな仕事になることもあるんですね。ですか ら、人口というよりも距離、今、このお話をお伺いしていて、そういう感覚も必要だっ たなというふうに感じています。 ○山縣座長  とりあえず、現場で現実に仕事をしておられて、そういう発想についてというのでし ょうか。 ○上廣委員  前回、説明したときに、保健福祉部への統合の中で、9か所の保健福祉部ができたわ けなんですが、児童相談所のない保健福祉部につきましては、支所的な役割を持たせた んです。その支所には、心理判定員1名とワーカーを1名配置してやったんですけれど も、そういう中でやっていく中で、その専門性が高められないとか、1人ではなかなか 大変だと、精神的なストレスも随分高いというようなことで、そういう反省に立って、 今回4月から、県を1本にしたセンター化をしていこうというような発想が出てきたの も事実なわけです。  ですから、私は、書きましたように、なかなか人が増えていかないという現実の中 で、支所に職員を配置してしまったことによって、三重県の場合は、専門性の低下と職 員の精神的なストレスが随分高まったのかなというふうに思っております。  以上です。 ○川崎委員  この支所というのをどういうふうに考えるかという問題があるんですけれども、私の 理解としては、支所というよりもブランチ児相というイメージでここに書かせていただ きました。京都府には支所がありませんけれども、支所という意味で言えば、先ほど菅 野さんが言ったように、遠いとか近いとかという問題は、そこに一定の何人かを配置し て、必要なことは、本所の児相と協議しながらそこで決定していくという、そういう意 味で言えば、支所というのは幾つかあってもいいかなと思うんです。ただ、今回の法改 正を見ますと、やはり児童相談所というのは、困難な事例に対応するとか、市町村等の 後方支援とかということなんですけれども、やはり困難な事例に対応するとか、あるい は緊急的に一時保護しなければいけないような事例とか、そういうものには児童相談所 は対応しなければいけないわけなんですね。  私もそこに書いたんですけれども、立入調査ですとか、そういう形で子どもの保護を しようとしますと、やはり担当のワーカーとか、担当の心理職とか、それだけで対応で きるものではないと思います。  実際に、この間ちょっと東京の例を聞いていたんですけれども、ものすごく我々には できないような人数を動員して、やはり子どもの保護をしたりしています。私たちも、 やはり立入調査しようとしますと、担当のワーカーだけではなくて、かなりの数、職 員、うち20名ぐらいですが、過半数を動員しないと実際にうまく行かない、というよう な事例を何回か経験しているわけなんですね。  そうしますと、児童相談所というのは、そういう困難事例に対応しなければいけない わけですから、やはりそれだけの人的な体制が各児童相談所においては、やはり必要な んだと思うんですね。そういう意味でいうと、つまり、困難な事例とかというのは、県 の中央児相1か所だけでやればいいんだというわけではないので、児童相談所というも のは、一定の体制が組める状態にしておく必要があるのではないかというふうに思いま す。  ただ、もう一つ、これは質の問題に若干かかわるかもしれないんですけれども、実際 に人がいればいいということだけではなくて、専門的な判断とか、法的な対応について も、それなりに難しい問題に対応しなければならない。そうしますと、各児童相談所は 一定の規模が確保できる体制にしておくということと合せて、この運営指針の改訂版が 配られているわけなんですけれども、質的な問題というのでしょうか、体制上の問題で 言いますと、この職員構成というのがありますね、3ページに、規模別職員構成の標準 というのがありまして、児童相談所のA級、B級、C級というふうになっているわけで すけれども、実際の、先ほど集中的に云々というのは、これはちょっと意味がわからな くて私書いているんですけれども、ここで言うA級というのは、1か所だと思うんで す。各都道府県に少なくとも、A級がないところもありますけれども、A級というとこ ろに、例えば、弁護士ですとか、常勤の小児科とか精神科の医師を配置するというよう な形で対応する、ただし、各ブランチの児相も含めて、困難事例に対応しなければいけ ないので、それなりの体制はつくっておく必要がある、それに加えて、この運営指針に 書いてあるA級、B級、C級への職員配置、ここに支所の問題も含めて書き加えていく という形で、児童相談所の体制をつくっていくということが必要ではないかなという気 がします。 ○山縣座長  恐らく、これを考えていくときには、今回の改正で動き始めると市町村の相談の仕組 みが、児童相談所から見て、あるいは利用者の方から見て、どれぐらい信頼できる機能 するものになるかということと関係してくるのではないかと思います。児童相談所をど んどん増やしていく、あるいは支所も含めて増やしていくと、市町村を強化した意味が どうつながってくるかといところが出てきますね。これは市町村の関係ですから、次々 回以降になるんですが、数の問題というのはそことかなりつながって考えていかないと いけないという問題ではないかと思うんです。その辺に関して何か御意見ある方いらっ しゃいませんか。 ○小野委員  町から見た考え方ということで少し書かせていただいていますけれども、町で、虐待 事例が起こった場合には、極めて緊急な対応が必要な場合なんですね。どの事例でもそ うなんですけれども、そのときに、短時間にそこの場所に来てもらえるというところは どうしても必要なんですね。福岡県の場合は、4か所ありまして、私どもの所属してい る中央児相というところに支所が1つあるんです。その支所が管轄しているんですけれ ども、とても中央児相の管轄面積がいびつといいますか、ひょろ長い地域なんですね。 ですから、その端の方に中央児相があるものですから、すぐに来られない、来るのに1 時間以上かかるという地域なものですから、どうしても支所が必要になってきた。そう いうふうな迅速な対応ということで言えば、支所は私どもにとってはとても必要な施設 なんです。  ただ、一時保護してしまった後は、専門的に中央児相の方にかなりスタッフがおりま すので、しっかり時間をかけて対応できると思いますけれども、とりあえず、その子の 保護をどうするかということをすばやく対応できるという意味では、地域の特性にもよ るんですけれども、一応必要ではないかということで話していただいています。  それから、支所機能は市町村が担うというふうに御意見でいただいていますけれど も、支所的機能の中には措置権がどうしてもあるものですから、市町村では担えない部 分があります。この担うというところで行きますと、例えば、一時保護された家族の相 談とか、そういう家族に対するケアというのはかなり市町村で担えるのではないかと思 うんですね。それには、相当な相談体制と相談スキルがないとできないと思いますけれ ども、それは今後の課題で議論されることと思いますけれども、中身によっては担うも のもできますし、こういうふうに書かれてしまうとちょっとどの部分かはっきりしない ものですから、どうなんだろうと思いますけれども、内容にもよるのかなと思います。 ○山縣座長  実際には私もそうですけれども、自分が知っている児相とかをイメージして話してい ます。ほかのところはよくわからないままに、きっとその程度、同じようなものだと、 一方的に信じて言っておりますから、市町村に対する回答の書き方も同じようなことが 起こっていると思います。 ○井上委員  済みません。座長と事務局の方が、支所的な機能と言われているものはどんなもの か、ここで、問い掛けでお聞きになりたかったことはどんなことか一度教えていただけ るとありがたいと思うんですが。 ○山縣座長  長田さんの方から。 ○長田総務課課長補佐  これは、勿論、前提の置き方によってもまた答えは変わり得るのかなという気はする のですけれども、基本的には今、全国182 の児童相談所という体制なわけでございます が、その182 ということに対して、これではやはり市町村が役割を担うということを前 提とした上で、この182 ということでいいのか、あるいはもう少し児相の幅として地理 的な対応のことも含めて、まさに出張という話が出ていましたけれども、そのような機 能というものを想定をした方がいいのかと、そういう趣旨でございます。 ○川崎委員  その支所的なというのは、182 か所に加えて支所のようなものを更に設置した方がい いかどうかという御質問だと思います。 ○菅野委員  私自身は、この答えの中に30万人に1か所ぐらいの児童相談所があればいいのではな いかと書いたんですけれども、それは、ある程度の人数と、ある程度の範囲ということ で、それから、今、滋賀県の場合には80万人と55万人をそれぞれ管轄する児童相談所2 か所なんですね。滋賀県の特性上、真ん中に琵琶湖がありますので、南と東に児童相談 所があります。西は中央が管轄しているんですが先ほど言いましたように1時間半以 上、車でかかるわけです。30万人と言ったのは、これから設置される基準でいくと、そ こそこの人数が確保できるのではないかというところです。  支所と本所という感覚は、私自身は、彦根児相が独立してから入っているんですが、 そこにいた職員の話を聞いたのですが、毎週会議に本所に行って、そこで議論して、温 度差のある中でいろいろな処遇を考えていかなければならないこと。普段コミュニケー ションがなかなか取りにくいということでの苦労もあり、中途半端になる。やはり決定 権を持っている児相が増えていくことが必要だと思います。  それから、先ほど話がありましたA級という大きな児童相談所に、治療機能とかより 高度な判断機能を有するような中核機能を持っていただければいいのかなというふうに 考えています。 ○長田総務課課長補佐  確認ですが、つまり、いわゆる決定権を持たない、出張所的な意味での支所というこ とで言えば余り拡大の必要はないけれども、ただし、さはさりながら、児童相談所182 か所というのは必ずしも多くはないので、そういった決定権を持つ児相のレベルで言え ば、30万人に1か所ぐらいの児相ということで、少し拡大がされるべきではないかと、 そういう御趣旨でよろしいですか。 ○菅野委員  そうです。 ○山縣座長  市町村に対するスーパーバイズというのはいろいろな方が言葉として入り込んでい る、そこら辺がやはりどれぐらいの児童相談所なり支所を含めてですが、必要なのか、 人口問題という1つの基準もあるだろうから、言われているような、これから人口減、 特に子ども数減の時代ですから、子どもベースの人口の方がいいのではないかという議 論も1つ当然あると思うんですね。プラス、スーパーバイズの話になると、市町村の数 といいますか、エリア内の数で、人口が少なくても3つしかないエリアと10個あるエリ アだったら業務量は、恐らく、会議の回数にしてもつ10回あるわけですから、そういう ところで見るのか、そこら辺も非常に、どれぐらいその市町村の自立度と児相依存度が 出てくるのか全く今わかりませんので、問題にはなると思います。  それから、前回からの話で、もう一つ、特化機能というのは虐待の話で実は前回から やらせていただいていたんですが、今回の回答を見ますと、非行に関しても幾つかそれ に近いお話が出ている、非行問題に対する少年法の改正との絡みでの児相の意義づけと か、児童福祉法の在り方が少し児童福祉関係者の一部から見たら非常にまずい方向に来 ている。しかも、実務者から見ると必ずしもそうではない、実務的にはあの方がむしろ 現実的ではないかという考え方もある。是非は別にして、非行もひとつ、そういう特化 型のところの可能性があるのかどうか、この辺についてほとんど前回から議論していま せんので、もし、非行問題に関する体制の在り方の御意見がある方がいらっしゃいまし たらお聞かせ願えたらと思うんですけれども。 ○川崎委員  済みません。先ほどの議論にちょっと戻りたいんですけれども、ちょっと舌足らずの 点もあったんですけれども、児童相談所に本所があって、支所を設けるか否かについて は私のところに支所がないので、ちょっと申し上げにくいところがあるんですが、先ほ ど言いましたように、児童相談所は、今後、困難事例の対応、これは直接対応しなけれ ばいけませんし、27条の処遇が必要な場合は、市町村が当然装置される。つまり、困難 な事例については直接児童相談所が対応するということが求められているわけなんです ね。このことについては2つの側面から考える必要があると、先ほど言いましたよう に、立入調査とか、児童相談所については、経験の蓄積とか、いろいろな意味で一定の 人的体制がないと、ますます困難になってくるのではないかということが1つ。  それともう一つは、先ほど支所的な機能も必要だというふうに今日の関係の方がおっ しゃっていましたように、緊急受理会議とか、市町村から言われたときにも、協議会の メンバーに当然児相所はなるでしょうから、当然、速かに市町村と協議の中で出向いて いって、協議に参加するとかというようなことが求められる。ということは、やはり直 接対応する、市町村とそういう形でやり取りするとなりますと、規模のメリットだけで 児相が1か所に集中してなくなっていくというようなことになると、そういった困難事 例に対して直接対応したり、市町村との関係が難しくなる。だから、この2つが両方バ ランスよく考えていかないといけないのではないかということを感じているわけなんで す。  それと、先ほどの非行の問題ということがありましたけれども、つまり事項別のよう な形でやるのか、地域、一人の担当の者が持っていくのかということなんですけれど も、私は、そこに書いたんですけれども、長いことやっていますと、いろいろな相談、 あらゆる相談を受けていく中で、いろいろな意味でそれなりに幅広くいろいろなことが わかっていったり考えられるというので非常にプラスだったと思うんですが、今日の状 況からしますと、虐待対応に関しても、これは緊急性、即応性ということと困難性とい う、両方の側面から非常に大変ですけれども、しかし、これだけの大変なものを地域全 体の中でやっていくことは非常に難しいですから、これはやはり専任化せざるを得な い。非行に関しても、当然少年法改正とかいろいろな動きがありますけれども、この間 のいろいろな経験を見聞きするに及んでは、やはり一定の専門化して対応していくとい うことが、住民サービスとかに関すると、どちらかというとプラスかなと、障害関係で もいろいろな制度ができていますから、そういうことも一つひとつ追いかけていくとな ると、事項別の流れが必要かなという感じはいたします。  ただ、そういう形で児童相談所言いながら非行のことしかやらない、わからないと か、障害のことしかやらないとわからないということになってくると、実は、それがも ろ手を挙げて賛成というわけではないけれども、いろいろその辺注意しながら、そうい う形の体制をつくっていかないと、児童相談所の専門性とかというものが、いろいろな 意味で要求される中で、何でもかんでもやりますけれども、何でもかんでも中途半端と いうことは許されなくなってきているかなということで、流れとしてはそういう方向を 目指すべきかなと、ただし、そこには落とし穴があるので、その辺を注意しながらやっ ていくということが必要ではないかなというふうな印象を持っています。 ○山縣座長   部門別のことについては若干異論のある方も御意見をいただいておるわけですけれど も、その辺の方々、御意見いかがでしょうか。地区担当にして職員配置をよくすればい けるのではないかと、青森の話などはそれに近かったような気がいたしております。質 の問題とか、そういうのは当然リンクさせて考えなければいけません。特化することに よる職員自身の疲弊の問題というのもあります。 ○菅野委員  特化するというふうに言われると、そこだけが独立して、その仕事しかしないという ふうになることが、先ほど川崎さんが言われたように、担当者の臨床的な幅を狭めてし まうという可能性は非常に感じます。ですから、初期に、エネルギーを注がなければな らないところで動くところと、それから、後の支援をするセクションという形の分け方 の方がいいのかもしれないです。でも、児童相談所で全部完結するようにしなければな らないのかというとそうではないなというふうに思っていて、先ほどの非行の話で思い 出したんですけれども、滋賀県では、非行少年の立ち直り支援事業というのがあって、 青少年支援センター、アスクルというのが立ち上がっているんです。これは非行少年た ちが学校ではなくて、少年センターの中にある教室に午後の時間なんですけれども通っ ていくような場所、たまり場みたいなものをつくって、そこに専任の職員を置いて、対 応してもらうというふうなことがあるんですね。  ですから、児童相談所の中で、何かが特化していくというよりも、例えば、地域の資 源の中にも特化したもの、これは一応県の単独事業だと聞いていますが、市町設置とい う形で、そういうふうなものが置かれたりしているんですね。  ですから、児童相談所が特化していくということも、部分的にはあるのかもしれませ んが、支援のところでも、そういう対象の子どもたちのための何か支援、場所みたいな ものとかができていくことが必要なのではないかと思います。児童相談所のケースワー カーはある程度の幅が必要ですし、それから、心理職も一緒だと思います。非行のケー スしか見られない心理職では困るんですね。人間の表現形態として問題行動が出てくる わけですから、根っこのところでどんな発達上の問題を抱えているのかという視点で見 られるような職員でないと難しいかなと思います。  だから、もしパートで分かれていくにしても、どこへ行っても仕事ができる人材を養 成しないと難しいというか、うまく行かないことが増えていきそうな気がします。 ○山縣座長  今言われた滋賀県の少年センターというのは、警察部門の組織と考えていいんです か。市町村の中にあるのはたしか。 ○菅野委員  これは私もよくわかっていないんですが、学校とか、まず、把握する機関というの は、児童相談所であったりとか、福祉事務所であったりとか、市町村であったりとか、 警察であったりとかになるんですけれども、基本的には、少年センターですから、警察 と教育委員会の管轄というか、両方が協力をしてやっているところなんですけれども、 そこにたまり場をつくろうみたいな形で活動しているんだと思います。 ○小林委員  今までの議論の続きですが、専門分化は、私の答えとしては必要だと書かせていただ きました。それは、より専門性がとにかく必要だからですが、もう一つ大事なことがあ るのではないかと思いますのは、今、児童相談所が虐待のことでとても忙しくなってい る中で、医療機関から見ますと、ほかのことへのサービスがどうしても後回しになって いっているようにみえます。でも、児童相談所は幾つかの大事な機能を持っておられ て、虐待がどんなに忙しくなっても、障害児とか他のことが手薄になってはいけないの で、とても危惧されます。そのために、虐待については専門的なことをしていきなが ら、他のそれぞれについても専門性を持つ必要があると思います。  それからもう一つは、先ほどの支所の機能ですが、私もアンケートを書くときに支所 というのが全くわからなかったのですが、支所の存続の判断は、利用者側のメリットか らも考える必要があります。利用者側から見て児童相談所が余りにも遠すぎた場合に は、困難な事例であればあるほど、児童相談所とコンタクトが取りにくくなると思いま す。大阪にはあの狭い地域に8ヵ所ありますが、虐待事例は一般に、生活背景の問題が とても大きくて、アウトリーチしないと相手の方から来られないことが多いために、重 要なケースにできるだけ必要時に会うとすれば、親からも来やすいという利用者側から の視点も必要で、地域によっては支所が要るのではないかという気がします。2つ申し 上げました。 ○山縣座長  ありがとうございました。資料6でいただいた県レベルの家児相が250 ある。これは 市部を除いていますので、これに指定都市の十幾つを入れると、その一部を支所と呼べ ばそれだけで数的には増えてきます。県の家児相の在り方も支所論の中にはきっと一部 出てくるのではないか、県の考え方によっては、県の家児相をどういう位置づけにして いくのか、後半の方で幾つか議論いただきますが、県の家児相については、必ずしも高 い評価を得ていないという感じのコメントが続いておりましたので、家児相という形を 取らずに、児相の関係の中で何か生き延びる道があるのか、それも町村の問題で対応し てということなのか、その辺は後半議論いただけたらと思います。  ちょっと話を進めさせてください。職員の質とか配置の話、特に、児童相談所の増プ ラスさらに支所による増などを考えると、そこまでやった中で問題別の対応が可能なの かどうか、それだけの職員が確保できるのかどうか、弁護士さんの話とお医者さんの話 も一部出ておりました。心理職等については、不十分ですけれども、一応イメージとし ては配置されていますが、お医者さんと弁護士については非常に少ない。そこら辺で、 実際問題に対応することが可能なのかどうか、平成9年の児童福祉法改正のときの児童 福祉審議会との関係でも、審議会の設置は、結局、ほとんどのところが、県1か所型で 対応しておられる。大阪も府1か所ですね。児童相談所ごとの設置になっていない中 で、あの審議会が機能しているかどうかはまた別の議論ですけれども、増やしたところ で、県レベルで職員が実際にどれぐらい配置可能なのか、その辺の議論をしておかない と、単純に量を増やせばいいという議論にはならないだろうと思うわけです。その辺に つきまして、職員の質とか配置、職種ごとの配置とか、少し御意見を聞かせていただけ たらと思いますが。 ○岩佐委員  私、人員がどれぐらい増えた方がいいですかと聞かれたから10倍ぐらいと書いたんで すけれども、要するに、本来どれぐらいあった方がいいかということを考えるときに、 こんな事案はどうするのかというふうに考えた方が共通なのかなとも思うんですけれど も、例えば、学校の中で、小学校1年生ぐらいでやたら周りの子をたたいたりけったり していて、夕方家に帰ったらよさそうなものだけれども、何か帰れなくてうろうろして いる。周りの保護者の人がいろいろ気になっているんだけれどもとりつくしまもない。 それで、子どもは何かぐちゃぐちゃになっていて、先生はどうしていいか全然わからな い。  私の感覚では、このぐらいになってきたら、基本的な児童相談所かどこかではスーパ ーバイズするか見たてをするかして、場合によっては地域とか市町村でいろいろ支えて いくというのがあるんでしょうけれども、そういうケースをはなから全部市町村でやっ てくださいと、それで、骨折れたら児相に持ってきてくださいというよりは、ちょっと 難しい可能性のあるケースではないかと思うんですけれども、多分、今みたいな子とい うのは、小学校に1クラスに1人か2クラスに1人ぐらいいる可能性が多分あって、数 を勘定すると少なくとも5倍とか10倍ぐらいいるのではないかと思っているんですが、 ただ、それを一気に増やすとか、もしくは専門的な人をずっと増やすというのがなかな か難しいので、できているところはより増やしていくということでいいんでしょうけれ ども、拠点から大きくやっていくというやり方をせざるを得ないのかなと思っていま す。  それともう一つは、弁護士の関係で言うと、思い起こせば大阪で今から10年ぐらい前 は、一応3人ないし4人ぐらいの弁護士が基本的には窓口になって、それで相談を受け たりしながら、ほかの弁護士さんにちょっと相談したりするという体制を取っておりま したが、現在は、直接相談を受ける弁護士が大阪府内で多分30人ぐらいいる。1つの児 童相談所で3人ぐらいは担当していますから、20人ちょっとぐらいですね。それでもも うちょっと欲しいかなという感じなんですね。  ですから、最初のころというのは、やはりそんなにいきなり全部出資しようという か、ブランチも含めて弁護士さん、お医者さんがいるというニーズの置き方が本当はあ るんだけれども、なかなか起きてこなくて、どこかで集中的にやり始めると、では考え てみたらもっと数があるはずなのでということで広がっていくという、そんな流れをた どるのかなと思いながら大阪のことを御紹介させていただきました。 ○山縣座長  今の岩佐委員が言われている大阪というのは、大阪府も大阪市も含めた議論というふ うに理解していいんですね。 ○岩佐委員  そうです。大阪府、大阪市、全部含めて8か所でということです。 ○山縣座長  子ども関係を扱ってくださる弁護士さんの配置というのはなかなか府県単位で相当ば らつきがあるというふうなお話もありますけれども、その辺はどうでしょうか。 ○岩佐委員  済みません。最後のところで日弁連の取り組みが不十分であると謝っているのはまた 私なんですけれども、今、御指摘のように、子どもの問題というのは全国で起こります し、特に弁護士は、裁判所の本庁があるところにはいるわけですけれども、そうでない ところにはまた人数が少なくなるけれども、子どもさん自体はむしろ衛星都市の方が多 かったりするということもあって、弁護士は全国レベルで考えると、いろいろとまだ不 十分な点が多いことが実際で、それまでどういうふうに具体的にやっていけるのかとい うことについても、何というか、ノウハウ的なことになるのかもしれませんけれども、 まだまだ弁護士の方も改善していかなければいけないところが多いと思っています。 ○山縣座長  周辺の児童福祉の本体のことはちょっと次に回していただいて、あと、お医者さんの 領域と心理判定の話が出ておりましたので、ご専門の2人から医療スタッフの児童相談 所への配置について御意見があれば。 ○小林委員  こうあってほしいという意見です。大阪で見ますと、大阪府は常勤の医者は1人で、 非常勤は何人かで、大阪市も常勤が1人です。「すこやか親子21」は2010年までに、全 ての児童相談所に児童精神科医を1人置くと2000年に出していますが、大坂でも今言っ た状況です。ですけれども、虐待の事例は、子どもの精神的・身体的健康状態をきっち り評価することが、とても大事です。マスコミなどに出ている児童相談所が関わってい て死亡した事例にも、多分医者が見ていたら、もっと重症度が上がっていただろうと思 うことが時々あります。つまり、処遇方針を決定するには子どもの心身の評価をきっち りしないと危ないと思います。このためには、やはり医者が身体的、精神的にアセスメ ントするという流れをつくらないといけないと思っています。  では、それをどこの医者がするのがいいんだろうということについてですが、医療機 関側にもそういう検査ができる体制が要りますけれども、児童相談所というところに も、少なくとも、診て判断でき、医療保健情報を集めて判断できる医者が不可欠だと思 います。では、どういう医者が要るのかを考えますと、今までどちらかというと児童精 神科医が強調されてきていますが、今回私以外の方も、小児科医の必要性を書いておら れますが、虐待は特に乳幼児については、身体的面を診ないと命が危い場合があります ので、児童精神科医と小児科医と両方が必要だと思います。もし、管轄地域の子ども数 が少ないところは、小児心身症医が、精神面と身体面と両方診られる医者ですので、そ ういう医者に虐待問題にもっと参画してもらえればいいのではないかと思っています。  次に、その医者をどう配属したらいいかということについてです。一般に医者は1人 で仕事をしていると質は高くなっていかないですが、何人かがチームで働くことによっ て質も上がっていくし、専門性を分担して対応しやすくなります。児童相談所の医者が 一気に増えることは現実的ではないでしょうから、都道府県1か所に医者を集めて、全 地域の医学的なことに関与し、他の児童相談所に巡回する方が、より専門性を高く維持 できますのでかえって効率的ではないかと思っています。  私は以前は保健所で仕事をしてきたのですが、保健所には保健専門の医者がいます。 児童相談所の医者も、児童相談所医という、非常に特有な専門領域ですので、そういう 医者を育てるぐらいのつもりで置いてほしいと思っています。希望ばかりですが。 ○山縣座長  ありがとうございます。最初は理想を言っておかないと萎縮しますので、夢は大き く。  では、少し心理職員の方の面から。 ○井上委員  私は、児童福祉司の配置が全国で一番少ないという県の病院で仕事をしてきて、今、 ここ2年間は、標準的な配置とされる県の大学で仕事をしています。児相の心理職員と 言ったときに、全くのイメージが違います。例えば、前者の県では、2年ほど前までは 児相の心理判定員は虐待に関与しないのが基本でした。そのために、病院で虐待の子ど もさんの対応を児相に求めると、例えば、こういうことが起きてきました。  ネグレクトで重度心身障害が起きて、その後家庭では無理で施設入所が必要になった りする場合、虐待対応の経験のない重心施設担当の心理職員が来てくださる。そうなる と、家族への対応がとても難しくなります。結局、入所した後、この子どもさんが施設 で亡くなり、面会をめぐる家族とのトラブルがあったので大変難しいことになりまし た。また原因不明の頭部外傷の子どもさんが入院しておられて、退院前に、お母さんが 「実は自分はDVを受けていて」という話になりました。交流人事で教育畑から来られ て1年目のワーカーさんは、DVはうちのシマではないからと言われました。細かなこ とはともかく置いておいて、後者の県になりますと、基本的に虐待に関しては児童福祉 司と心理職がチームで当たるというようなのが原則になっております。職員配置という こともありながら、職員の活用の仕方という辺りが随分重要になってくるんだろうとい うことを思います。そういう意味では、特化というときに、どういうチームで専任チー ムを作るのかということが重要になると思います。  2点目は、ちょっと相談体制の後の方になるんですが、厚生労働科学研究で親指導と か親教育のあたりをやっておりまして、分離保護された子どもの親教育をだれが担うの かというと、東京都は治療部がしっかりしておりますのでグループのやり方ができると 思いますが、田舎の方では、グループ化することができずに個別対応をする、つまり、 相談に来てくれない家族のところに児相が出向いて、親教育をしたり、施設で個別に親 と会って、親教育や親指導をしていくということになっていく。心理職が後の方での再 統合に向けての親指導、親教育に携わるのがいいのではないかなと思います。  そういう意味で、心理職がワーカーさんとチームになって動きながら、初期の子ども のアセスメント、それから、後半の方の親支援、親指導、親教育という辺りを担ってい くというようなことが大事かなと思います。 ○山縣座長  それでは、児童福祉司もひっくるめて皆さん方の方から御意見をいただけましたら。 ○菅野委員  児童福祉司になったのは3年前でして、それ以前は心理判定員をしていましたので、 例えば、ワーカーさんの仕事、児童福祉司と心理の仕事とやはり質的に違うなというの をすごく感じています。  ただ、今、虐待対応のセクションにいるんですが、例えば、一時保護されてくる子ど もたちへの説明。そのときに、一時保護されるのはあなた方が悪いのではないというこ ととか、保護されてくる子どもたちのファースト・コンタクトのところでのケアです ね。保護された子どもたちは、どちらかというと自分が悪かったから分離されたんだと いうふうに受け取っていく子どもたちが圧倒的に多いです。だから、ファースト・コン タクトのところで、子どもの心理状態なり何なりを見て、そのときにどう伝えていくの か、その場での判断ですね。子どもたちの状態に合わせて何を伝えていくのかというこ と大事だと思います。親への対応、子どもへの対応というところで、両方一遍にはなか なかできないですね。得手不得手が勿論あると思うんですが、そこではやはりデリケー ト対応をする事が重要で、そういう意味でチームの中には心理の人間が要ると思いま す。  ですから、これもやはりバランスかなというふうに思います。心理の人間は、どちら かというとすごく専門でこういうのが好みとか、ここが得意というのがすごく分化して いる職種だなというふうに思いますので、その辺りが児童相談所の中では扱いにくい部 分かなというふうに思います。 ○小野委員  なかなかこういう場で、町のレベルで発言する機会がないものですから、何でも言わ せていただきたいと思って言わせていただくんですけれども、この相談の流れというの は、文脈で言うと、市町村にそういう相談業務というか相談体制をどのようにつくって いくかというのが1つの課題だと思うんです。その辺では、今、確かに心理職というの は重要な役割を持っているわけですけれども、その役割をどういうふうに市町村に育て ていくかというのが1つの課題だと思うんです。個々の指針の中にも、市町村に求めら れている姿勢というのは包み込むような、肯定的、共感的対応なんですね。それをどう いうふうに育てていくのかという、そこのところに心理職としてどういうふうにかかわ っていただけるんだろうかなというのが私たちが求めたいところなんですね。  それはどうなのかなと、今一瞬考えたりしたんですけれども。そこのところはいかが なんでしょうか。 ○川崎委員  ちょっと今流れが市町村がやるという中で、どう援助するかということ、今の流れと しては、そんなに児童相談所の体制そのものがやはりまだまだ十分でないというところ の議論だったと思うんですね。だから、ちょっと御質問に答えきれないかもしれないん ですけれども、後方支援とか困難な事例に関してはやりますよとか、そのことを本当の 意味で、一方では今市町村が本当にこの業務を担ってやっていくのかという体制の問題 とか、いろいろな問題を抱えていると思うんですけれども、市町村がやっていく上で児 童相談所が困難事例に対応する後方支援をしていくという、その体制をいかに安心して 市町村に対して私たちはこんなのをききますかと言えるかということが、我々の課題だ なというふうに思っているんですね。  そう考えたときに幾つか、弁護士の話とか医師の話とか心理職の話とか、そういうの がいろいろ出ているんですけれども、今すぐというわけにはいかないと思うんですけれ ども、私自身、今、小林さんがおっしゃったけれども、やはり児童相談所の中に、医 師、弁護士は不可欠だなと、正直言って思っているんです。  実際の、例えば、虐待されているんだということで、子どもの安全確認をしなさい と、今回法律もより子どもの安全確認ということが明記されたと思うんですけれども、 我々が行って、子どものけがの様子をうちのサポートチームは何度も見ていますけれど も、確かに、看護士資格とか、そういう職員を派遣したりとか、あるいは緊急でなけれ ば、嘱託のお医者さんに相談したりとかしていますけれども、やはり緊急的に保護すべ きか否かということを考えるときに、これはひどいではないかと、これは素人判断なん ですね。わりと今の流れで言えば、それなりに判断しているなというんですけれども、 やはりあくまでも素人判断なんですね。それは非常に不安があります。そうしますと、 やはり立入調査したときに、医師とか弁護士が立ち会って、適切な手続を行う、あるい は子どもについての判断をしていく、そういうような、いつ起こるかわからないわけで すね、この虐待への緊急対応というのは。そのときに、医師や弁護士というのがいてほ しいというのはかなり切実な願いなんですね。  確かに、東京のセンターですとか、大きいところでは、そういう形の体制が取れると 思うんですけれども、残念ながら私のところは、嘱託の形になっていますので、そうい う緊急な対応に医師等がついていただくことができない。ですから、その判断というの は非常に危い判断を児童相談所はしている。ところが一方では、児童相談所が判断しま す判断しますという広報をしているわけです。そのことに対しては非常に不安を感じて います。  ですから、基本的には児童相談所の中に、心理職も当然だし、医師や弁護士、そうい う方が配置されているということでなければ、本当の意味で適切な対応はできないと思 います。  ただ、これは基本的な考え方だと思うんですけれども、実際、今欲しいわけなんです ね。そうすると、それがなかなかないと、本当に、こうなってくると、各都道府県で実 はあるかと思うんですけれども、例えば、京都でしたら府立医大とか、いろいろなとこ ろがあると思うんです。そういうところから、十何人人を配置できるとか、いろいろな 工夫が必要だと思います。  それで、小林さんが言っていたように県に1か所は常駐と、京都府は南北に非常に長 いわけですので、残念ながら100 キロ以上はありますので、すぐに出動することはでき ない、もしもそうしたら、私も夜中に行くぐらいの業務になると思うんですね。しか し、これは本当に必要だと思います。  それから、弁護士の関係でも、うちも厚生労働省の法的対応強化事業を活用させてい ただいて、非常に助かっています。やはり今までボランティアでやっていただいたんで すけれども、聞きたくても申し訳ないと、本当にぎりぎりやむなくボランティアで働い ていただいていたんですけれども、わずかながらでも少しペイができるということは、 こちらとしても非常に相談しやすくなりましたし、実際実務もお願いできると、しか し、これも、本来ならば、児童相談所の立場に立ちきって行う内部に弁護士がいて、更 に第三者的にも弁護士がいるというような形がなければ本当の意味で対応できない。こ れだけマスコミでいろいろ言われていると児童相談所は、多少危いなと思えば、本当だ ったら判断です。逆に、例えば分離保護しなくてもいいものをやってしまうとか、そう いう問題も含めて、逆に、一応すべきものができなかった、これはやはり適切な判断を するための医師が児童相談所の中で、立場で対応する。  ついでに言いますと、地域の病院なども我々もいろいろ連携していますけれども、地 域の医師というのは、やはり地域によって立たれていないというので、例えば、住民と の対立関係というのを恐れてしまうとか、判断をあいまいにしているのではないかと、 私のうがったりなのかもしれませんけれども、そういう感じがすることも結構あるんで すね。いろいろな意味で、児童相談所の中に職員として医師が緊急的な場合に対応でき るという状態をつくる、そういう形で立っておれば、間接的な形になるかもしれません けれども、先ほどの御質問で言えば、児童相談所もこんな対応しますから、何かあれば 言ってくださいということが、安心して言えると思うんです。ちょっと回答になってお りませんけれども。済みません、恐れ入ります。 ○菅野委員  お医者さんの問題は、やはりすごく大事だなというふうに思います。例えば、ケガや 傷、あざに関しては、私たちは素人なんですね。例えば、親の説明では、こけたと言っ ているけれども、そうしたらどうなるか、もっとひっかき傷みたいに擦過症になるでは ないかというふうにお医者さんには言われます。親に伝えるときにも、「どこどこのお 医者さんはこの傷を見て、こういうふうなことで虐待の可能性があると言っている」と いうふうに児童相談所が言えると、随分とそこは違うと思うんです。うちの医者が診た ところという話ができるということは、やはり親御さんと相対するときに、「私が虐待 と言っているのではなくて、ドクターがこう言っているんですが、あなたどうですか」 という形のコミュニケーションになるわけです。説明を求めるときにも、やはりそうい う権威のあるところの説明というのは、やはりすごく大事だなというふうに思います。  それと、市町村との関係などで言えば、自分が直接かかわったケースでカンファレン スなどではいっぱいお話をします。一緒に動いたりしながらケースの理解をしていっ て、私らの見立てみたいなものを伝える。方向性を共有できるというのに意味がある。 それから、市町村の方々は家族に一番近いところですから、すごく大変なんですね。そ ういうところの思いを聞きとめるというのも児童相談所の仕事なのかなというふうに思 っています。  そして、できないことを押しつけるようなことはしたくないので、一緒になって考え て一緒になって汗を流していく関係みたいなのができたらいいなと、市町村との関係で は思います。 ○山縣座長  高橋さん。 ○高橋委員  市の保健師という立場にあります。今、小林委員のおっしゃったように、本当にドク ターの存在は、弁護士さんも勿論そうなんですが、非常に大きくて、私たち市の立場で も、ドクターのアドバイスをいただけるかいただけないかで、その後の負担感がすごく 違うことがあります。今、私たちは精神科の先生に臨時職員という形で入っていただい ていろいろ相談をさせていただいたりしています。それはともかくとして、児相の中に ドクターがいるという、そうあってほしいと思うんですね。ここで余り現実的な話に落 としてしまうと、その先に進めないという気もするのでどうしようとは思ったんです が、今、私たち横須賀で県の児相指導という形の中で、児相の方で医療的な判断が必要 なときに、ワーカーだけではというときにはよく保健師の方に声をかけてくださって、 同行訪問をさせていただいたりしています。職種だけですべてが解決するわけではなく て、やはり子どもをきちんと見られるという条件が付くわけですが、そういう意味で は、結構使ってもらえているかなと。  それから、医療機関との、ドクターやナースとの橋渡しをするときに、医療職という 形でうまく入れたりすることがあって、そういう意味では、ドクターが児相にいるのは 勿論一番大事で、理想ではありますが、いろいろな児相の県の人の話を聞いていく中 で、保健師が児相の中に配置されているところとされていないところとがあったり、そ れから、されていても、一時保護所の中だけであるというようなお話を聞いています と、まずはドクターですが、ドクターが常勤で無理なときには、保健師というのを使っ ていただくのも1つかなと思ったりもしています。 ○小林委員  3点について申し上げます。始めに、医者の議論の追加ですが、児童相談所に常勤医 が必要である理由として、虐待かどうかの判断や重症判断に医学的判断が不可欠である ことを先ほど申し上げました。誤診の問題も見逃せません。多分これからもっと表面化 してくると予想しています。虐待ではないのに虐待を疑って保健や児童相談所が動いて いるケースがあります。実際に、自験例では、体が小さいのは虐待のせいだと思われて いて、病院で診ると、先天性疾患のために小柄であったことがあります。養育問題を疑 われているために、親がしんどくなっていました。他にも、問題行動が大きな子ども が、虐待による情緒行動問題と見られていたのですが、受診されると、ADHDで、投 薬だけで問題行動が改善するので、親子関係がよくなったことも少なくありません。虐 待親子関係は、子どもの発達障害の結果でした。もっと危険なのは、誤診のため取り返 しのつかないことが起きてしまう病気です。実際に、子どもが歩けなくなったのが、虐 待のための精神的なものではないかと児童相談所に疑われていました。受診すると、め ずらしい身体的疾患でした。かろうじて治療時期に間に合いましたけれども、もし、間 に合わなかったら訴訟になるところでした。そういうこともありますので、やはり医学 的判断をちゃんとしていかないと危ないと思っていますので、医者が必要である理由を 追加します。  2番目は、保健婦さんのかかわりについてです。今、児童相談所の中に保健婦さんが おられるところが増えていますが、児童福祉司として働いていることもあるようです が、私は、児童相談所の中で、親子を健康面から見る専門家として、あるいは医療機関 との連携窓口になる、あるいは保健機関とのつながり役として、位置づけられると、本 来の専門性を生かせる形で働いてもらえるのではないかと思います。  3番目は、心理職についてです。私は子どもの心の診療を始めて20年ぐらいですが、 外部から見える児童相談所心理の役割は、少し前までは、発達検査でした。今も、虐待 の子どものアセスメントとして教えていただけるのは、発達検査です。虐待の子どもの 心理評価としては情緒面が重要で、どんな虐待を何時から受けてきたかの判断にも、こ こからのケアプラン作成にも不可欠です。  また、心の問題が原因で発達に遅れが残って知的障害には見える子どもを、知的障害 と誤診しないためには、情緒的な評価が不可欠になります。それからもう一つは、虐待 の子どもさんの直接な心理治療についてです。もしも直接にするなら、虐待対策の中で どのような役割を担うために、どのように他と連携して行うのかなどの枠組から位置づ けることをしてほしいと思います。  個人的意見としましては、子どもの情緒的アセスメントを、テストだけで見えきらな い面を、特に幼児期は観察でしか見えないことがありますので、してほしいですね。そ れから、先ほども話がありました分離のケアですね。強制的に家から連れてくる、学校 から連れてくる、その時と後の子どもはパニックのケアです。あのパニックをケアする のは児童相談所の中のワーカーと一緒に働く心理にしかできません。  それから、もう一つは、今、施設の中では子どもの問題行動で大変です。私の所に も、施設から通って治療している子どもが何人もいるのですが、あの問題行動がなぜ起 きるのかは、その子の成育歴の中から、今この時期になぜ起きているかが分かることが あります。心理の方が子ども像を分析して見ることによって、もっと分かる部分がある ように思います。すると、問題行動の意味がわかり、施設に適切なアドバイスができる と、生活ケアの場での治療的かかわりが増えるのではないかと思います。これも、措置 機関だからこそできることというか、措置機関がしなければいけないことではないかと 思っています。施設での子どもの育ちなおしは重要で、再統合に向けても、もっと長期 に見て虐待の再生産を止めるためにも、全ての虐待児への児童相談所心理職の関与が必 要であると思っています。  今申し上げたことが、直接心理治療をするよりも、児童相談所の心理の大事な仕事な のではないでしょうか。  もう一つは、今は児童相談所に通告された子どもの80%以上が在宅です。子どもを在 宅にする理由は、多分命の問題はないだろうとか、それほど重症ではないと判断してい るだけで、もしかしたら分離の受け皿の限界を表しているのではないかと穿った見方を してもいますが、在宅で改善できるからではないのではないでしょうか。ですけれど も、在宅になった子どもたちの情緒、行動問題、発達の長期予後はすこく深刻です。今 後市町村が在宅児のケアをしていくとしたら、やはり子どもの心の面をアセスメントし ながら、ケアプラを立てていくことも、不可欠です。人数は膨大になりますが、世代間 連鎖を断つことを長期予防の目標にするなら、すごく大事になると思います。この体制 及び手法を、児童相談所心理の方が中心につくり上げていただきたいと思っています。 ○後藤委員  時間がなくて私がお話しするのは少し躊躇したんですけれども、今の虐待の子どもの ことについて、小林委員さんのお話に全く同感なところがあります。今から少しだけ話 をしようと思っても、少しうろたえて声がふるえる思いです。  と申しますのは、昨年の7月に虐待の子をうちで一時保護所から預かりました。一目 見たときに、かわいい男の子、8歳です。8歳にしては小さいんですけれども、にこっ と笑った顔色の片方の目が少し闇があるなと気にかかりました。児童相談所の方は、と にかく親にひどい虐待を受けて、警察に保護されて一時保護所にいるけれども、難しい 子どもだから専門里親さんに預けたいと、そういうことでうちに来ました。実際は施設 が満杯だったそうですが。  それで、日々暮らしていて、来たときからは問題行動は山ほどありましたけれども、 とにかくかわいがってかわいがって食べさせる。それから、保育園が不登園、小学校1 年生が少しだけ、2年生はほとんど不登校、3年生も不登校ということを聞いていまし たので、まず、学校に楽しく行けるようにという目的だけ達成すればということにしま した。学校は行きました。ところが、細かいことは今から言いますと明日の朝までかか りますので、省略しますけれど、とにかく3歳前から問題行動があって、児相にたびた び相談があったらしいです。その後、子どもの話から聞くと、御飯を食べさせてもらわ なかった、それから、ボコボコにされた、最終的に保護されたのは、スパナで頭をたた かれて、泣き叫ぶ声で通報があって、保護したということです。その前の年もそういう ことがあって、それから、とにかく夜尿がひどいんです。そんなのは、おしっこは出な いより出た方がいいからということで、出たらかえるからと、うちはそういう方向を取 っていましたけれど、本人はよほどおしっこに恨みがあると見えて、うちのそこらじゅ うにホースをやるんです。夏の暑い7月にホースやられたら本当に困りました。何とか 途中でクリアしたり、それからまた、ふとんの中でホースをやるわけです。だんだん私 と近づいてきたら、自分を出せるようになったら問題が更に起きて、おばけが出るよう になったんです。これはおかしいということで、児相にこうこうこうだからと言った ら、いや、心理判定士が付いてちゃんと調べて、IQは低いけれど、余り取り合っても らえませんでした。でも、私の方もかなり混乱しましたし、それから先のことを考える と、これはきっと病気を持っているからということで、診療内科の大きな病院が愛知県 にあるんです。できたての病院にということでワーカーさんに言ったら、いや、それ は、と余り乗り気でなかったんですが、では、一存でも行きますと、そうしたら乗って くださってそれで行きました。そうしたら、解離現象、イコール多重人格が出て、それ で、入院治療しなければ家庭ではとてもじゃないだめと、それで様子を見ながら、これ がどんどん増えてきたものですから、12月の3日、緊急で入院させました。今、自分で していることがわからないことが多いし、それから学校には通いましたが、毎日問題行 動で、人をたたく、ける、先ほど先生のお話にあったように、たたく、ける、それから 人のものを持ってくる。それは盗癖とかそういうのではないんです。ほかの人格がそれ をするということに気がつきましたので、児相の方に、ここまでに至るまでどうしてそ れを判断できませんでしたかということを申し上げましたら、全然気がつかなかった、 わからなかったと、見つけてくれてありがとうございますと言われましたけれど、私は 普通のおばさんですので、そこまではできません。  それで、先ほどからのお話を聞いていましても、識者の方ばかりで実際私たちはこの 身で24時間子どもと対応しているものですから、知識上のことではなく、実際身に迫っ ている事柄ばかりです。更に、ちょっと私事になりますけれども、あと2人うちにおり ます。この子たちは両方兄弟で置きざりです。15年も経ちましたけれども、専門の学校 に行きたいということで家におりますが、下の子は生後1週間の置き去りということ で、今、かなり問題行動が多いです。これはドクターのお話を後で伺いたいんですが、 胎児性の虐待によるものではないかと私は判断しています。まあ、何とか仲よくはやっ ています。  そういうことで、今の虐待、簡単に虐待問題をこうしよう、ああしようということも 大切ですけれども、これから虐待を受けた子は、まず心理的な判定というか、児相によ る心理判定ではなくて、専門医による心理状態をきちっと調べて、そして施設、それか ら里親にゆだねるように、または親に返すように、是非ともお願いしたいと思います。  以上です。 ○山縣座長  議論の方に集中し過ぎて時間が私の設定が悪くてうまく行っていません。ちょっとス ケジュールの修正をさせてください。  今、実はやらないといけない大きなことが1つ残っております。児童福祉司の本体の 話を余りやっていないという課題があるんです。ただ、これは短時間でやるのは非常に 危険だと思いますので、次回に回させてください。以下、(5)、(6)、(7)の辺 りのことが残っておるんですが、(5)につきましても、県の施設とは言え、関連機関 という位置づけもできますので、次回の関連機関の中のところに組み込んで説明をいた だく、あるいは議論をいただくということにさせてください。  それで残った時間15分ほどありますが、一時保護とIT化、ここについての御意見を いただきたいと思います。  よろしいでしょうか。かなり質が違う2つの内容ですが、一時保護、これは分けても また時間を取りますので、御意見のある方、一時保護委託の話が出ていましたので、施 設の方できっといろいろ苦しんでいるところがあるのではないかと思いますが。 ○濱田委員  私どもは子どもの生活施設ですので、すべてのケースできちんとした一時保護が行わ れた上で措置委託する流れが必要であると考えます。自治体によって異なるようです が、ほとんど一時保護のないままの措置委託が続けられてきたという現実があります。 たとえば、深刻な被虐待の5人兄弟を、家庭から引き離したその足で、ケースワーカー が「普通のケースです。」と連れて来たということがありました。一時保護の必要を提 案したのですが「必要ない」と退けられました。入園後の子どもたちの言動、−ガリガ リに痩せ、目つき鋭く周囲を睨み付け、ガツガツ食事を採る−などから、深刻な養育の 課題を抱えてきていることが伺われ、家庭崩壊に至るまでの家族歴を学校、地域、病院 などの応援で知ることができ、食事さえ満足に与えられてこなかったというような身体 的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待など、あらゆる深刻な虐待を受け続けてき た子どもたちであることが分かっていきました。学校や地域でも窃盗や暴力などの問題 行動で手を焼いていたことも分かりました。やがて問題行動が多発するようになり、園 のネットワークの専門家、弁護士・医師・主任児童委員などの応援を得ながら自立支援 を進めていったものの、5人の内4人の予後が極めて悪く、連鎖を切るまでに力が及び ませんでした。措置解除後の関わりの方が長くなり、関係が切れていないケースです が、人生の大切な時期に良い養育環境を与えられなかったことで、良く生きていく力を 育んでもらえなかった家庭歴のエピソードを、親の代の当事者たちも語ってくれる事例 です。  専門家によるアセスメントが行われた上で総合的な判定をしていくというプロセスが ないので、委託された子どもの自立支援に問題が生じていきます。思春期に激しく行動 化していくというときに、児相と施設の双方で自立支援していくことができないといっ た事態が生じます。入所後に一時保護が必要となる場合にも、一時保護所の体制が出来 ていないことも関係して子どもの相互支援が出来ていかないことになります。  全養協では「近未来像」を発表し、大舎制からユニットケア、小規模施設への転換が 徐々に進められていっています。が、その際にもきちんとアセスメントして進めていく ことが必要となります。小規模化すれば抱えている課題が表面化していくわけですか ら、養育する側の力量が問われることになります。現状の配置基準ではPTSDの症状 が重い子どもの日常生活を自立支援していく受け皿には到底なり得ないので、家庭に帰 る可能性の無い子どもに良かれと与える小規模の環境が、逆に関係性を壊してしまうこ とにもなるからです。  一時保護所の一時保護と一時保護委託の統計の資料をみると、とても寒くなる現状が 示されていると感じます。専門家のアセスメントがあった上で多様な一時保護所が機能 していくのであれば、それは本当に望ましいことであり、児童養護施設もその方向に力 を付けていかなければならないと思います。  児童養護施設は子どもの養育の安全基地であり、安心して子どもたちが暮らすための 場所ですから、短期の一時保護をするためには環境整備が必要であると考えます。  そのためには、児童養護施設に付置された児童家庭支援センターの体制づくりをした 上で、一時保護の一つの拠点としていくことが可能であると考えます。相談者の多く は、公的な相談機関に行きたくない、あるいは行けない人たちです。身近な地域で相談 しやすい場所が必要であると感じます。  A級、B級というのがありましたけれども、これはどれぐらいの人口でAと言い、B と言っているのか、どれぐらいのことを望まれているのかというのがわかりませんけれ ども、少なくとも、私ども県であれば、123 万人ぐらいの人口ですので、そこには1か 所のA的なものがある、そうすると、一時保護の外部につくっていくことも含め、もう 少したくさんの種類を準備し、個別化、個室化、すべて何でもかんでも同じところに一 時保護していくという形ではなく、やはり課題を抱えたお子さんたちの課題に沿ってア セスメントもそれから一時保護をし、アセスメントもできていくような流れをつくって いただきたいというのがあります。また、まずは、一時保護の予算があまりにも些少で すので、もう少し予算措置をする必要があります。児童養護施設への一時保護は、人件 費が含まれていません。生活費だけです。緊急の一時保護の場合、着の身着のままやっ てくることがあります。その場合はまったくの赤字です。  児童養護施設に、センターなどがある場合には、一時保護委託というのはかなり多い わけです。外の風を直に施設にというよりは、センターで一時保護ということをしてい ます。そういう中でやはり同じように一時保護中の教育の問題、学習権の問題がありま す。とてもネグレクトされているような状況ですので、そういうことが本当に早期に解 決されていかなければ、セカンドアミューズということではないかというふうなことを 思います。  IT化ですが、IT化については、私は、これはもう当然の流れだと思います。けれ ども、記録に余りにもエネルギーがかかり過ぎている、本当に深夜に至るまで、私の友 人が児相に勤務していますが、新しく受理したケースについては、持ち帰って処理でき ないというような、システム上の問題もあるらしく、本当に深夜に至るまで入力をして いく、そうしますと、その入力の仕方だとか、システムの在り方をもう少し何といいま すか検討すれば、時間が短縮できるのではないかとも思いますので、是非、そこのシス テムをやっていく必要があるのではないかと考えます。 ○小野委員  一時保護所の施設そのものというより、一時保護と市町村との関係のことで、1つ最 近事例があったものですから、そのことでちょっと気がついたことを報告したいと思い ます。  一時保護する場合には必ず2か月ぐらいの間には家族に1回返していくということが 出てくるわけですね。どういうふうに家族に返していくかというのが大きな次の課題に なってきているわけですけれども、なかなか一時保護を児童相談所がするんですけれど も、その保護した家族なり保護の事例というのが市町村には来ないことが多いんです ね。児童相談所の中だけで処理が進んでしまうというのがあるんです。  たまたま水巻に一時保護された親の方から相談がございまして、その親の主訴は、ど うして一時保護されたのかわからない、児童相談所に対して激しい怒りを持った母親だ ったんですね。子どもは中学3年生と高校1年生なんですけれども、金属のほうきの柄 が90度に曲がるぐらいたたかれて保護された子どもですけれども、それ自身が虐待と児 童相談所は判断して一時保護したんですが、親は、そのことは子どもが言うことをきか なかったからやったんだということで、しつけなんだということですね。  そういうふうな相談が私どものセンターの方に参りまして、そのお母さんの気持ちで すね、あるいはそうせざるをおられなかった母親の気持ちですね。たたいたかたたかな いかということは別にして、そういうふうなかかわり方を一方ではしていて、その事例 を児童相談所に連絡したら、実は、その子は保護している子ですという、後で聞いたん ですね。  結果的にはセンターの方で母親のケアを、家族も含めてやりまして、というかケアの 内容というのはまさにカウンセリング的なアプローチなんですけれども、そういうふう なかかわり方を持ちながら、結果的には母親が受け入れたということなんですね。やは り自分のしたことについての問題点とか、自分自身がそうしてしまう問題、そういうふ うなことについて一定の気づきというのがあったことを通して、子どもを受け入れてい ったという経過があるんですけれども、そういうふうな一時保護と市町村との関係と か、市町村が一時保護の間にどんなふうな役割をかかわっていくのかというふうなとこ ろでは、やはり市町村の役割というのは重要だなと、今度の事例を通して感じたんです けれども。  その際に、今、心理職の問題がいろいろ出ていますけれども、あえて専門職というふ うにすると、幅が、広がりが感じないので、できたら、市町村の職員なり保健師辺り が、そういうふうなときに、家族を支援できるカウンセリング技術とか、カウンセラー としての態度とか、そういうふうなものがちゃんと育成できていくようなプログラム辺 りがあると、そういう一時保護との関係でも、スムーズに行くのかなという気がいたし ました。 ○山縣座長  ありがとうございました。ここもきっと次回の議論の1つのポイントになろうかと思 います。市町村レベルでの一時保護の問題をどう考えるかという辺りの出口、入口を含 めてということ。  ほかに。 ○岩佐委員  立場上、きっと言わないといけないと思って話しているんですが、この一時保護所の 充実の問題については、勿論、従来からより充実しないといけないという議論はなされ てはいるんですけれども、ほかの制度、仕組みとの関係でも、非常に急務だというふう に私の方は思っております。それは、先般行われた法制審議会の少年法部会というとこ ろで、これは主に14歳未満の低年齢の非行少年の警察の関与の在り方などを含めて議論 がなされたんですが、そこで、要するに、児童相談所での一時保護機能が十分でない、 特に重大事件を犯した子どもについて保護ができていない、その勢いでいったらどうす るんだというような非常に厳しい意見が相次ぎました。併せて、ほとんどアセスメント もできていないのではないかと、そして、右から左に家庭裁判所に送っておるだけでは ないかという非常に厳しい意見が出ていまして、法制審議会の少年法部会では、そうい ういろいろな議論はあるものの、なお、一時保護所については、厚生労働省の方で充実 強化するというようなお話も出て、別の制度を設けるということは現段階ではやめまし ょうということで見送りというか、執行猶予のようになっているんですけれども、も し、そういう形で充実がなされなければ、年齢の低い重大なことを犯した子どもについ ては、児童施設とは別の保護機関を考えて、そこに入れると、それが警察署になるのか 少年鑑別所になるのかわかりませんが、そういうことも議論がそう遠くない時期になさ れるという、そういう状勢なんです。  勿論、いや、それは今の一時保護所に殺人事件の13歳の子どもが入るのは困ると、そ れは別のところでやってもらった方がいいのではないかという議論もあり得るとは思う んですけれども、私が心配していますのは、今、全体的に一時保護所が余り充実してい ない状況で、難しい子どもは、こういう保護の場所がありますよというところが、穴が あいてしまうと、では、一般の、と言うと怒られるんですけれども、何度も窃盗を繰り 返して、一時保護所からすぐ逃げちゃう子どもとか、それから自殺を繰り返すような子 どもさんとか、行動化する難しい子どもはもうそっちに任せちゃったらいいじゃないの というふうにどんどんそっちに流れないかということが大変気になっていまして、保護 の場所がなくなるということはアセスもできなくなるし、それからノウハウもたまらな くなるということなので、そういう意味では、やはり一時保護がしっかりできるんだと いうところを、機能充実させないと、むしろ司法の方でそちらの受皿がどんどんできて いって、それが勿論よい受皿ならいいのかもしれませんけれども、結果的には児童相談 所の非行に対する機能を弱体化させるというような、もしくは虐待の困難ケースとかで も、行動化が著しくなると児童相談所は手を引くみたいな、そういうことにもなりかね ないなと思って、そういう観点からも是非一時保護所の充実を図る方向を急いでやって いただきたいというふうに思っております。 ○前橋委員  会議に出ている以上は何か発言しなければいかぬなとは思っているんですけれども、 最後になっていますITの件については、これは記録の内容とか書式と非常に密接に関 連しているとは思うんでけれども、実は、ほかの県もそうなんですが、児童相談所の業 務の進め方というのはばらばらになっているんですね。これは勿論、体制とか職員の問 題もそうなんですが、実はばらばらになっています。  それで、ITのところでいきますと、まず、援助自身、児童相談所運営要領ですか、 あれの中で書式が示されているんですけれども、基本的にどのケースもああいう書式を 使って記録をされているのではないんですね。ほとんどは継続用紙にフリーハンドで書 かれていって、ああいう記録は、一体どういうときに使うか、これは児童福祉審議会に 出したりとか、27条に基づく措置をしなければいかぬとか、家庭裁判所に申し立てをし なければいかぬとか、そういうふうなときにはきちんと記録はするけれども、それ以外 のときについては、いわゆるこういう継続用紙にざあっと書いていって、それが積み重 なっていく、だから、担当者がかわると中身がわからない。よその機関の人が聞くと非 常にわかりにくい、中身見ていてもわかりにくい。だから、そういうふうなことを少な くとも一定の水準、それから説明責任を果たしていく、そういうふうないろいろな機能 を果たすためにはITにやっていかなければいかぬ、とは思うんですが、先ほどのよう に非常に時間がかかり過ぎる、面倒くさい、なれ親しんでいない、だからもっと簡単な ようにやっていかなければいかぬ。  ところが、そう簡単にやっていこうと思うと、情報の管理とかセキュリティーの問題 が出てくるというようなところで、今、暗礁に乗り上げているというようなところです けれども、こういうのは各都道府県がばらばらにやっていくと、後で、互換性を持って いくとか、統一性を持っていくというのは非常に難しいので、早急に取り組んでいただ きたいなと、取り組まなければいけない問題かなと思います。  それと、ちょっと戻るんですけれども、1つは、体制の問題とか職員の問題を考える 場合に、今、182 か所プラス支所云々とかいう問題があったんですけれども、50万人で 考えても260 か所、頭割りにしたとしても必要で、30万人ぐらいで考えると四百数十か 所ぐらいの数が必要、それを182 を出発点に議論をするのかどうか、182 か所を出発点 にするとしても、もう既にばらつきが非常に大きいわけです。所管人口が20万人そこそ こぐらいで1か所児童相談所を持っていますよというところから、260 万人の巨大な地 方自治体で1か所の児童相談所を持っていますよというようなところがあるわけで、そ れを全部同じように議論をしていくとちょっと難しいのではないかと、そうなると、今 後、児童相談所が、一体何をしなければいかぬのか、川崎さんなどが先ほどから言われ ているように、困難ケースと市町村へのスーパーバイズと行政上の決定という、こうい う大きな機能をするために、どれだけの規模が必要で、どれだけの職員が必要で、その 中身をどういうふうにつくっていくのかというふうなことを考えていかなければいかぬ のではないかというように思いまして、この中身とか、規模とか、そういうふうなばら つきの是正をどうしていくのか、これも1つ議論としては取り上げておいていく必要が あるのではないかというふうに思いました。 ○山縣座長  まだまだ御意見あろうかと思いますが、予定の5分ほど前になっておりまして、冒頭 ありましたように、事務局から少し資料説明をしたい部分があるというふうに伺ってお りますので、そちらの方、よろしくお願いします。 ○長田総務課課長補佐  済みません。資料7と8です。  今回、御議論いただいている改正の問題とかにも深く関連をしてくる情報ということ で、事前に用意させていただきました。  まず1つは、資料7の「児童福祉法施行令の一部を改正」でございます。児童福祉司 の担当については、従前かなり長い間政令上の基準としては人口おおむね10万から13万 までを標準として児童福祉司の担当区域を定めるということで、大変評判の悪い基準だ ったわけでございますが、先の児童福祉法改正の審議等を通じまして、かなりこの問題 が取り上げられたということもございまして、関係省庁とも随分と議論をさせていただ きまして、今般、何とかこの引き上げをすることができるということでございます。  具体的には、まだまだ御議論はあろうかと思いますけれども、人口おおむね5万から 8万までを標準として定めるということで、この基準の引き上げをいたします。  実は明日、正式には政令閣議決定をいたしまして、4月1日からスタートするという ことでございます。  それから2点目でございますが、資料8でございます。「子どもの心の診療に携わる 専門の医師の養成に関する検討会」ということで、かなり長ったらしい名前になってお りますけれども、先ほど来児童相談所における医師の確保という問題がありまして、そ もそもこういった子どもの心の病気を扱える専門家の医師そのものがまだ少ないという ようなこともいろいろ言われております。虐待の問題もそうでありますし、あと昨年、 12月には議員立法で発達障害者支援法という法律もできたわけでございますが、そうい った発達障害の問題なども含めて、こういった分野での小児科の医師、あるいは児童精 神科医への需要が増大をしているという一方で、それに答えられる専門家が少ないとい う現状があるということでございます。こういった問題をどう専門の方の養成を確保す るかということにつきまして、検討会を立ち上げようということでございます。  具体的には、あさっての水曜日に第1回の検討会を立ち上げるということで、来年度 末に検討会の報告書をとりまとめたいということで考えております。  なお、別紙では委員名簿を付けざせていただいておりますが、主に関係学会の方を中 心にお願いをしております。  駆け足ですが以上でございます。 ○山縣座長  ありがとうございました。何か特に7、8につきまして、御質問ございますでしょう か。  それでは、これで一応本日の案件は終了いたしますけれども、最後に次回の日程につ きまして、事務局の方から提案をお願いします。 ○長田総務課課長補佐  済みません。次回以降の日程でございますが、本日お配りした資料の一番最後に1枚 紙で日程調整表というものを配らせていただいております。座長、大変御多忙な方でご ざいますので、ちょっと日程が限られておるんですけれども、御都合につきまして、御 記入をいただきまして、もし、今わかるようであればお受け取りをさせていただきます し、また、後日FAXまたはメールでお知らせをいただければと存じます。その上で、 その日程調整の結果をまたお知らせをさせていただきたいと思っております。  それから、なお、今回の研究会のメンバー、行政の関係の方が多いということで、4 月のタイミングで、ひょっとすると御異動というようなこともあるかもしれませんが、 私どもとしましては、それぞれのこれまでの知見をいろいろまた御提示をいただければ と思っておりまして、勿論、それぞれの親元の行政の都合でどうしてもかわるべきとい うことがあろうかとも思いますが、必ずしもこの職ということだけでお願いしているわ けではございませんので、俗人という形でも引き続きもしお願いできるということであ ればそのような形でお願いをしたいと思っております。  いずれにしましても、所属長さんとの関係があろうかと思いますので、そういった状 況があった場合には、御相談をさせていただきたいと思います。 ○山縣座長  長田さんの方からありましたように、あくまでも属人でお願いをしておるという趣旨 だそうでございます。公務員の方々逃れられないということで、よろしくお願いをいた します。  最後になりますけれども、今日の話、次回に向けて1つ事務局にお願いをしておきた いと思います。児童福祉司の福祉職採用についてはいろいろなところに出ております が、心理職の専門採用のデータというのはちょっと記憶にないので、もしその辺がある のであれば、福祉職のも含めて御提示いただけたらというふうに思います。  それからもう一点は、次回の議論にしようということにしました一時保護の件です。 市町村との関係が出てくるのと、関係機関との問題で、一時保護の委託件数と機関とい うのは一般で出ていますが、委託一時保護だけでのデータというのが出るんですか。そ の辺のことももしわかれば。また、その費用負担、恐らく今事実上、事業費相当しか出 してなくて、事務費部分は一時保護所の職員のところに出ているからというイメージだ と思うんですね。それから二重措置できないから、それをショートステイ的な要素に組 み替えるとか、あるいは事務費部門を算出できて、それセットで委託できるとか、そう いうことも参考になるのではないかと思います。もし可能であればデータをいただけた らと思います。  ほかの委員の方々も、次回準備できるかどうかは別にしまして、こういうデータが欲 しいというのであれば、可能な限り対応していただけるという話を前回しておりますの で、提案をメール等でいただけたらというふうに思います。  3分ほどオーバーしてしまいましたけれども、本日は、わざわざ年度末のお忙しいと ころをお集まりをいただきまして、ありがとうございました。また次回、よろしくお願 いします。                (照会先)                   雇用均等・児童家庭局総務課 (担当)森川                    03−5253−1111(内線7829)