05/03/14 女性の活躍推進協議会第6回議事録               第6回女性の活躍推進協議会 日時   平成17年3月14日(月) 15時〜17時 場所   厚生労働省議室(9階) 出席者  浜田座長、大河原委員、大國委員、大星委員、北城委員、立石委員、      中村委員、広瀬委員、水越委員、矢野委員、山崎委員、玄田委員、      樋口委員、守島委員、森永委員、伍藤雇用均等・児童家庭局長、      北井審議官 事務局  石井雇用均等政策課長 議題  1 企業ヒアリング結果報告について(報告)     2 「ポジティブ・アクションのための提言」に基づき実施している事業の実       施状況について(報告)     3 ポジティブ・アクション推進のためのメッセージ     4 その他 【資料】  1 本気のポジティブ・アクション−「私は本気です」−                (企業ヒアリング報告書)  2 これまでの女性の活躍推進協議会の活躍状況 (参考資料)  1 女性の活躍推進に関する企業ランキングの例等  2 ポジティブ・アクションの取組の推移(女性雇用管理基本調査) ○座長  ただいまから、第6回女性の活躍推進協議会を始めます。  本日は皆様お忙しい中、ご出席をいただきまして本当にありがとうございます。 それでは議事に入ります。本日の議題は、(1)企業ヒアリング結果報告について、(2)ポ ジティブ・アクションのための提言」に基づき実施している事業の実施状況について、 (3)ポジティブ・アクション推進のためのメッセージ、(4)その他の4つを予定していま す。  最初の議題ですが、前回の協議会で今後の課題について議論しましたが、その後ワー キンググループで具体的な取組を検討した結果、企業ヒアリングを実施することとなり ました。その結果について、事務局からご報告をいただきます。 ○事務局  大変お忙しい中、本日はありがとうございます。資料No.1をご覧ください。これは 第5回の協議会で、今後の検討課題、活動としてどういうことを行っていくかというご 議論を踏まえて作成したものです。そのときの議論を思いおこしていただくと、トップ の推進力とともに中間管理職の果たす役割がポジティブ・アクションにとって大変重要 である。それから、トップと現場をどう繋いでいくかが重要ではないかということで、 トップ、現場管理者に対するアンケートやインタビューをやってはどうかというご意見 がありまして、それを踏まえて協議会の下のワーキンググループで具体的な進め方につ いてご議論いただいた結果、とりまとめたものです。ここでは例えばテレビ番組でいう と「プロジェクトX」のようなものをイメージし、単なる取組事例をイメージするので はなくて実際にポジティブ・アクションに取り組んだ企業がトップ、中間管理職、女性 労働者の意識や思いの中で、どのような課題を抱えながらどう乗り越えながら推進して いるのか、できる限り生の声を吸い上げようということで工夫をしています。ポジティ ブ・アクションを実行するための具体的なヒントがこの中には含まれているかと思いま す。昨年の7月から12月にかけて、とりわけ暑い最中、ワーキンググループの座長をお 務めいただいている玄田委員をはじめ、ワーキンググループのメンバーで手分けをして 遠方へも赴きながら、インタビューを行った結果のとりまとめです。  1枚めくっていただいて、冒頭「はじめに」ということで、座長のご挨拶をいただい ています。2枚目の「本書の利用に当たって」というところで、ワーキンググループ座 長のお言葉をいただいています。右側は、「ポジティブ・アクションを支える『3つの 本気』」でして、取り上げた7つの企業の事例のリストのような形になっています。こ の7つの企業は業種、置かれた歴史、地域も異にしていて、大変大きな企業も含まれて いますが、例えば下から2つ目の株式会社福島丸公は水産物の卸売業を行っている企業 ですが、60名の規模です。業種、規模ともにさまざまな企業を取り揃えて、ご活用いた だきやすいような、工夫をしています。  次の頁です。この報告書の中で、1つ中心となった共通のことが「3つの本気」で す。その壱が「経営者の本気」、その弐がこのチャート右側の頁ですが「上司の本気 」、その参が「女性の本気」。それぞれの本気が共通して、それぞれ動くことによって ポジティブ・アクションが動いていくという捉え方をしています。例えば、左側の経営 者の本気をご覧ください。いちばん最初のポツでは「女性を無視してものを作っても買 ってくれないではないですか」というのが有恒薬品のトップの声です。むしろ、いまの 社会でポジティブ・アクションのような取組をしないで、よくコスト的に見合うなと思 います、という言葉が寄せられています。また、「女性が育たない職場に将来はない」 とか、「やる気がある人が入ってきているのに周りが準備できていないのではまずい。 そのための状況を整えることは先に見て早め早めにやっていく」、といったような言葉 が寄せられています。  右側の頁のコアになる中間にある「上司の本気」ですが、経営者の思いを具現化して 女性に伝えていく。この上司の役割は非常に大きいわけですが、これまでこの協議会で も、この層の取り上げが少し弱かったのではないか、というご意見が前回ありました。 ここについても、上から2行目にある福島丸公から上がってきた言葉「今のうちに失敗 しておけ。あとはオレが責任をもつから」というような声、あるいは下から3つ目の 「やる前にできる、できないというのは論外。とりあえずトライしてください」と肩を 押すというような声。これが、うまく組み合わさっていくと違ってくる。 「女性の本気」では、女性の側も常に成長しつづけることを自分に求める厳しさも必要 である、ということを集約しています。  その次に囲みがありますが、航空集配サービスのところで上がってきた声は「チャン スをいただけるのでしたらそれに応えてみよう」。真ん中あたりに、伊藤忠商事の女性 労働者の声がありますが「こうしてくれない、ああしてくれないではなく、自分で築い ていかなくちゃならない」というような言葉。下から2つ目の東陶機器ですが、「自分 を生かせないと何も切り開いていくことはできない」という形で、印象的な言葉をこの ような形でまとめています。これはまだ、未完成で頁数が入っていませんが、実際にそ ういう言葉が後ろをめくっていくと出てきます。  4頁と5頁です。トップバッターは旭化成の例です。実際に、各社に「このような形 で資料を作ります」と確認をいただきながら作成しています。全部実名入りです。この 中の人事労務センター室長の田中さんはワーキンググループのメンバーでもありまし て、今回のとりまとめに当たっても大変ご協力をいただき、イニシアティブを取ってや っていただきました。このように、実名入で、生の声が出てくるのが、今回とりまとめ た資料の特徴にもなっています。写真なども入りますし完成品になると、さらに見やす くなることを予定しています。  予定としては、この7つのストーリーが入った資料の出来上がりは3月末目途に 6,000部ほど印刷をして、労働局を通し企業に配付していくことを考えています。資料 No.1については、以上です。 ○座長  ありがとうございました。ワーキングメンバーとしてご尽力をいただいた委員から、 補足等がありましたらお願いします。 ○委員  特段補足というわけでもありませんが、今回このような形でヒアリングをとりまとめ まして、感想めいたことを一言だけお話します。  今回、この報告書のタイトルは「本気のポジティブ・アクション」ということで、な ぜ「本気」というキーワードを取り上げたかというと、前回の協議会でも話がありまし たように、比較的に規模の小さい会社における取組というのを、もう少しご紹介しなけ ればならないのではないかということで、さまざまな会社に協力していただいてお話を 伺ってきました。そのときの感想として、率直にいってポジティブ・アクションという 言葉はこの協議会が開催されてから、どの程度社会全体に言葉として普及したかという と、正直をいってその言葉は知らないというケースは今でも少なくないと思いました。 ただ今回インタビューさせていただいた会社も、「私はポジティブ・アクションという 言葉を知らない」「男女共同参画について特に考えたことがない」とおっしゃる会社で もお話を伺ってみると、まさにポジティブ・アクションないし男女共同参画を実行して いらっしゃる会社が多いのではないか。言葉よりも実態が進んでいる。これは、これま での協議会でも出ていたように、これからの時代、男性や女性という性別の問題ではな くて、個々の能力を活かしていかなければ未来はない、希望はないという思いでやって いらっしゃる。そう考えると、いま実態はかなり進んでいるのではないか、という楽観 的な、希望的な印象を持つようになりました。  そこで、ポジティブ・アクションという言葉をご存じない会社の方でも、なぜそれを 進めているかというと、いちばん大きいのは特に経営者が本気である。ある会社で、こ れまで大企業でお話を伺ったときに「取り組むためには、具体的な目標づくりが必要な のではないですか」と伺ったときに、はっきりと「目標は関係ない。自分が本気である ことが、いちばん大事なのだ」とおっしゃって、ある意味では非常に驚きというか小さ な感動を覚えました。その方は、会社の中でいつもいろいろな部署にご自身が足を運ば れて、ご自身のメッセージなり、社員の1人ひとりの声を本当に直に聞いていらっしゃ る。こういう活動が実はポジティブ・アクションとして進んでいるのだなと。その経営 者の本気という言葉が、ほかの会社でもいろいろな所でお聞きする機会も多く、今回の メッセージとしては本気ということを出してもいいのではないか。  これまで協議会やワーキンググループに参加させていただいて、ポジティブ・アクシ ョンの最大の敵はそんなに難しいことではなくて、要は面倒臭いという思いではないか と感じるようになりました。やらなければいけないし、やるのが当たり前だけれども、 そういう仕組を作るのが何か面倒臭い。1人ひとりを説得するのが面倒臭い。自分も何 かするのは面倒臭い。そういう面倒臭さを乗り越えていくのは会社の経営者の本気であ ったり、人事部、中間管理職の本気であったり、1人ひとりの本気だろう。実際、そう いう本気のエネルギーというのは確実に広まっているのだろうと思います。できれば、 今年の「本気のポジティブ・アクション」の資料もそうですし、昨年大変ご協力をいた だいて作成された『先輩からのアドバイス』。こういう本気の具体的な取組というの が、実際これから何かをしたいと思われる会社に、規模や業種を越えて少しでも手に届 いて、参考にしていただければと考えています。  伝え聞いたところによると、『先輩からのアドバイス』も21世紀職業財団を通じて、 いろいろな方の手に届いているようで、比較的好評であることも聞いています。是非、 今回の「本気のポジティブ・アクション」という事例も、これから何をすればいいかわ からないとか、具体的にどうすればいいかというときに、これが本気の姿なのだという 形でご紹介いただければ、大変多くの方にご尽力いただいてこれだけの資料が作られた 価値になると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。以上です。 ○座長  どうもありがとうございました。ただいまのこの報告書について、委員の皆様から何 かご質問があればお願いします。感想でも結構です。 ○委員  この報告書は、非常によくできていて何も申し上げることもないし、いま委員からお 話を伺ったことは誠に結構ですが、トータルとして、現在日本における企業の女性の管 理者の割合は何パーセントか。最近5カ年間、それは増えてきているかどうかをお聞き したいのです。 ○事務局  いま、手元にある資料でお答えします。係長、課長、部長と役職別に経年変化を取っ ているのがありまして、いちばん直近の平成15年度のデータでいうと、企業規模が30人 以上の企業に限っていますが、係長に占める女性の割合は8.2%、課長に占める女性の 割合は3.0%、部長に占める女性の割合は1.8%です。これを5年前と比較すると、5年 前はそれぞれ7.8%、2.4%、1.2%。ですから係長についていうと0.4%ぐらい上昇して いて、課長が0.6%、部長が0.6%と非常に緩やかですが上昇する傾向にはある状況で す。 ○委員  この問題に限りませんが、少しオーバーな言い方をすると、日本経済の「失われた10 年」というのは政府もさることながら、経済界、産業界のあらゆる面において非常にス ピードが遅いのが一つの原因です。それで、モデレイトになんとなくやってきているこ とが、だんだん国際的に遅れを来している。アメリカはもちろん、ヨーロッパの先進国 に比べても、日本における女性の管理者の割合は、特にアメリカに比べれば非常に低い ですよね。こんなのは、国際的にだんだん日本はエコノミックアニマルで、アメリカに 次ぐ経済大国かもしれないけれども所詮はテクノロジーだとか、物質的なものにウエイ トがあって、本来の人間のあるべきヒューマニティーというか、文化的な面で遅れた 国、欧米先進国からは二流国だと見られるようになると思います。ですから、ちょっと スピードアップしなければいけないのではないか。  スピードアップするときに、大変感動していただいてよろしいのですが、それは未だ 一部であって、特に大企業のトップが重要だと思います。ここで非常にいいお話がいろ いろと出ていますが、これが産業界全体だと実証されるデータはないと思います。です から、業界を業種別に50ぐらいに分けて、それぞれの業界の中の売上トップの5社ぐら いのCEOに直接メールを出して「あなたのところでは、女性の管理者の割合が何パー セントかご存知ですか。それは高いと思うのか低いと思うのか。低ければ、これから5 年以内にどうしようとしているのか」というアンケートを出してはいかがでしょうか。 ノンアンサーが出てくる場合もあるでしょうけれども、場合によってはそれを世の中に オープンにする。「どこどこの会社は大変いい会社なんだけど、この人は全然答えを出 してこない」。この問題に全然意識がないことが世の中に出ることによって、社会的に 「これじゃ駄目じゃないか」という社会的チェックを受けるぐらいのことをやらない と、緩やかに緩やかにと言っているうちに国際的にどんどん遅れていくのではないかと 思います。  最近になってゴーンさんが、5年後に女性の管理者を20%にするとアナウンスしてい ます。例外的なのはアイ・ビー・エムの北城委員です。北城委員ぐらい大企業のトップ が正面を切って言っている人はいません。マスコミによると、最近になって松下の中村 社長も気が付いたという話です。気が付いて、考えてみれば自分のところで販売してい る家電等を使っている主なユーザーは女性ではないか。女性のセンスがなければ物が売 れないのではないかと思われたようです。それで開発担当に女性の責任者を置いたとの 話ですが、さすがそのスピードに敬服します。厚生労働省も立場上、あまり官庁が前面 に出てガタガタやるのはどうか、という遠慮をされているのかもしれませんが、NPO を使うなどして、そろそろかなりスピードを加速しなければいけないのではないか。 ○委員  確かに、トップの意識が変わらないと組織を動かすのは非常に難しい。意識が変わっ ているということもあるけれども、ランキングでも出したほうがトップは注意をするの ではないかということで、最近マスコミも少しやり始めましたが、委員がおっしゃるこ とはランキングを出して新聞や雑誌に出るとトップは気にすると思うので、ランキング の出し方のときに単なる管理職の登用率や、託児所があるというのもいいのですが、ト ップの取組というかリーダーシップの一項目を入れてランキングを出せば、経営者は非 常に注目して見ます。そういうことで、何か考えてみてもいいのではないですか。厚生 労働省で出しにくかったら関連するところで出すか、マスコミにそういうことでやって ほしいということを働きかけてもいいのではないかと思います。 ○委員  私が社長時代、国際会議で相手側は女性がよく出てくるのにハッと気が付いて、それ でかなり女性を登用することに力を入れました。例えば34歳の女性が、同期でトップで 支店の営業部長になったり、海外の子会社の社長に女性がなったりしました。そのとき に気が付いたのだけれども、女性が余り目立たないのは、日本の女子大に通っている人 たちは、理科系や社会科学系が少ないのではないか。英文科などが多いから、なんとな く会社の中ではメインのポストにいかないので、昇進が遅れる傾向があるようなので、 私は優秀な女性社員を集めて、社内で経営関係の勉強会などをしながらランクアップさ せていました。 ○委員  いま、女性の応援団のお話がありましたが、私のところは大変コンベンショナルな産 業で、年功がないと上に行けない、技能度が上がらない部分があり製造現場の大部分が そうなのです。そういうことからいうと、たしかに女性をどんどん採用しているのです が、研究職の希望ばかりです。研究所長は1人しかいなくて役員も1人しかいない部門 ですから、どうしても役員になるにはその中の切磋琢磨であるということで、いま言わ れたような先進的な産業をやっている方と、コンベンショナルな我々のような装置産業 とは全く違うのではないかと思います。  しかし、明らかに研究所員の女性比率は上がってきていまして、私も特に女性の採用 ということを心がけていますが、当社に入ってきたい女性の技術職ですが、みんな研究 部門です。それはそれでいいのです。それから、どうしても転勤をしたがらない。これ は確実なのです。無理に転勤をさせたのですが、するとやめてしまうのです。やはり女 性の我儘さが出てくる。会社を選んでいるのでしょう。異動のない会社だと思っている ところで転勤させたら、駄目だということがあると思います。ですから、私どもの会社 ではもっと長い時間をかけていく必要がある。事務職も、ごく最近採用を始めました が、いくらドクターでもいきなり部長や何かに就けることができるような産業ではあり ませんので、やはり地道に時間が必要であると思います。これが大変に遅れているとい えば明らかに遅れている。けれども、外国でも実はそうなのです。私どもの産業では、 そんなに簡単に女性が役員になって現場で指揮をとることは、ほとんどありません。現 場の課長でも女性が課長をやっているのを見たことがない。そういう種類の産業ですの で、特にお役所にお願いですが、全部の産業に言えばそうなるのだと簡単に思わないで いただきたいと思います。 ○委員  前回私が提案したのは、業種業態別に出すべきだと言っているのです。それから、会 社の中でもセクション別ですよね。 ○委員  おっしゃるとおりです。 ○委員  私も、数字をオープンにするべきだと思いますが、先ほどの委員は要するに経営者の トップがそこで気が付いて、少し恥をかかせるという意味だと思います。私は逆に、こ れから会社に入る女性たちが見て、いい会社と悪い会社がそこで選択ができるわけで す。ですから、なかなか女性の数の少ない所、あるいは管理職に就いていない所には最 初から入らないわけです。そこで選択して、どんどん区別していくような形がいちばん いいと思います。私も製造業ですが、もっと考えなければいけないのです。なかなか優 れている女性が入ってこないので、いまグラスシーリングという話をしていますが、ア メリカではグラスウォールという話もしています。つまり、女性は女性職、要するにR のつくHR、IR、PRというスタッフファンクションの仕事を与えられているわけで す。なかなかそこからラインファンクションの仕事に移ることができない。そうする と、P&Lの責任がないと育っていかないということで、これは経営者も考えなければ いけないと思います。入れて、結局管理職になってもラインファンクションでなければ さらに次のステップに行けないということです。役員にはなれないと思います。 ○座長  ありがとうございました。ほかによろしいですか。5年前から比べて、女性活躍の指 標の代表的な一つである役職者の数の比率というのが事務局から報告がありましたら、 もともと非常に少ないのが微増の程度だったということで、大変気合入れのご発言を頂 戴しまして、ありがとうございました。 ○委員  本当に女性の活躍推進は難しいなということは常日頃感じています。私どもは、社員 でいえば約4割が女性です。パートタイマーを入れれば圧倒的に女性が多い職場で、女 性があらゆるセクションにおります。  でも長い間、店長という役職者がでませんでした。人事部も営業本部も登用したいと 思いつつも、できないでいたのです。4、5年前に、社長がとにもかくにも作れという ことで、女性店長を任命しました。最初は1名でしたが、その半年後に2名、いまは5 名になりました。適任だった人もいれば、そうではなくて、スペシャリストの分野に転 換した社員もいます。店長という職責は、従業員も500名を越える多くの人たちのマネー ジメントが必要ですから、どうしてもキャリアを積み重ねないと店長は無理であるとず っと考えていたのです。でも男性の場合も若手の抜擢をすることになり、女性の抜擢も 思いきって出来たわけです。その流れが一旦できると、それだけの厳しい仕事も、男女 差より個性差であることが理解されはじめました。将来は店長、それ以上の役職も、自 分の人生の中で目標値になることも徐々に見えてきました。最初は、トップの命令とい う形でしたが、その後は人事部も営業部門も徐々に当然のことのように、優秀な人材を 登用する流れが出てきた気がしています。  ただ、そういう女性たちを育てていく母集団がどれだけあるかも、これからの1つの 大きなテーマではないかと思います。いまは結婚をして出産をすると、多くの人が育児 休業を取ります。育児休業を取りまして、そのあとに時間短縮の勤務になります。4時 間から7時間の選択ができますが、それぞれの生活の状況に合わせてそれを取ります。 小学校に入学するまで取れるわけですから、2人、3人の子供を産むとすると、10年以 上時間短縮で仕事をし続けるようになります。大体いまは結婚年齢は首都圏の平均が29 歳だとすると、お子さんを30歳でつくっても、約それから10年間、40何歳まで時間短縮 での勤務時間になります。ですからパートタイマーと同じ形の勤務形態になるわけです が、その時間短縮の勤務期間にも責任のある仕事をしてもらえるか職場環境ができない 限り、上位の役職者に就いていくことはできないと思います。しかし、現実には、時短 勤務者に人事が役職者に就けようと思っても、多くの女性がまだ子供が大変だからとい って、役職者になりたがらないという現実もあります。時間短縮の時期にも管理職に登 用できるようにしないと、将来上位役職者を増やしていくことはできません。 役職者の女性を見渡すと、圧倒的に独身が多いのも現実です。むしろ時間短縮制度がな い時期、本当に頑張って、子供を産んで育てつつ役職者になっている先輩社員も若干名 ですがおります。そうなると、働きやすい環境も絶対に必要ですが、女性の意識改革も ともに必要と最近感じています。 ○座長  どうもありがとうございました。 ○委員  今のに関連して、私のところで申し上げますと、子供が2人いる女性の課長や子供が 3人いる女性の課長がいます。この人たちはどうしていたかというと、ある程度現場の 経験をしてから、本社の開発や企画なデスクに行きますが、この辺の仕事は時間の仕事 ではなくて、質の仕事です。だから、ネットを使って家でやってもいいのです。テレワ ークというのですが、これがいちばん進んでいるのはアイ・ビー・エムです。アイ・ビ ー・エムは4割ぐらいやっていると聞いています。いまのネットワーク時代、家で仕事 をしてもいい。  3人の子供がいるというのは、彼女はコンサルト会社からうちに来て、昔、私の部下 だったときがありますが、彼女の旦那さんが銀行員で、旦那さんがよく協力する。2人 で稼いでいるでしょ。経済的余裕があるから、朝8時ぐらいから夜8時ぐらいまで、個 人経営の保育所は高いが夜8時まで利用していました。それから、親の援助を受けられ ない時はベビーシッターを雇うことをやっていて、一方では収入も多く一方ではそれを 使って、なんと3人の子供がいても、非常に良い仕事をしていた例もありますから、や り方によってはあります。 ○委員  アメリカの女性役員の7割以上は、住込みのヘルパーがいらっしゃいます。アメリカ はメキシコ系の移民の方が多いですが、日本の場合は保育園その他あるいはポピンズさ んのご支援もありますが、役員になった場合には7時や8時までに帰るのは難しいで す。住込みのヘルプがいないとなかなか難しい、週末も出張する場合もありますので。 ○委員  10年前に、ポジティブ・アクションを日本に導入するかどうするかといったときに、 ニュージーランドとオーストラリアに調査に行かせてもらったことがあります。そのと きにアファーマティブ・アクション、ポジティブ・アクションといったものの各国の比 較をそれぞれの先生がなさったわけですが、私どもはニュージーランド、オーストラリ アに行ってそれをどう普及させていくかについても調査してきました。そのときに印象 に残っているのは、インターネットを通じて企業が目標値なりを掲げていく。それによ って、例えば社員の人も見られますから、その目標値が達成されているかどうか。達成 されていないとすれば、そこにどう工夫すればいいかという提案をする。こういうこと が非常に効果的であったということが、オーストラリアの場合で示されたわけです。  私も、それを日本でやってはどうだろうかと思いましたが、日本で強制力を持たせて それをやることは難しいという話を聞いたことがあります。ただ、女子学生の就職情報 の雑誌を見ると、育児休業率が何パーセントとか、事務局がおっしゃったような管理職 に何パーセントの女性が就いているというのは、いくつかの企業で出しています。出し ていないとブランクという形になっていて、学生のほうはそれを見ながら就職活動をし ています。ということは、出ていない所はそれなりにやる気がないと学生側が判断し て、優秀な人材が行かないという、ある意味でのペナルティーが用意される。これは強 制力は持っていないわけですが、出さないと逆にいい人が取れないよという競争を促進 することにはなっています。それを新聞がやるよりは、厚労省関連のところで掲示板な りの形を作って、そこに各企業はデータを入れてくださいと。これは強制力があるわけ ではありませんが、みんなが見ますよという場をつくっていくことは、ある意味では法 律改正も要りませんし、そういうことが可能ではないかと思うので、そこら辺から一歩 ずつ進めていったらどうだろうかという提案です。 ○座長  ありがとうございました。活発なご議論が続いていますが、2番目、3番目の議題の あとでもご発言の機会がありますので、また引き続きお願いします。  次の議題に移ります。この協議会も、これまで4年間開催をしてきました。平成13年 度から始まりまして、平成14年度にポジティブ・アクションのための提言をまとめると ともに、提言により協議会及び行政の課題とされた取組事項を受けて、ワーキンググル ープを中心に詳細な検討を行い、その具体化に取り組んできたところです。早いもの で、協議会の皆様に2年の延長をお願いしましたが、今回で予定していた任期は満了と なるわけですので、これまでの活動状況について事務局からご報告をいただきます。 ○事務局  資料No.2をお願いいたします。先ほどのご議論にも関係するところがありますので、 そこもメンションしながらと思います。「女性の活躍推進協議会のこれまでの活動状況 」です。いま座長からもありましたように、平成13年7月30日が第1回の会合でした。 当初はポジティブ・アクションのための提言のとりまとめに力を注いでいただきまし た。この提言は1にあるように、平成14年4月にとりまとめられています。この提言を とりまとめるに当たりまして海外調査、イギリスに訪問するなども行っています。2つ 目は、この提言を普及するということで、開催したフォーラムで、これ以外にもメンバ ーの皆様方にはさまざまな所でセミナーあるいはシンポジウムで、内容についての普及 を賜りました。3つ目以降はポジティブ・アクションのための提言の中で、今後取り組 むべきとされたものを一つ一つ実際に事業として起こしていったものが続いています。  3つ目の、各都道府県労働局における女性の活躍推進協議会の開催は平成14年度から スタートしていて、現在47都道府県すべてで地方の女性の活躍推進協議会が開催されて います。活動例の一端をここでご紹介していますが、メッセージを作るとか地方版の資 料を作るとか、とりわけ地方のほうでは中小企業に目を向けた資料作り、情報発信に力 を入れているのが共通項です。また地方独自でアンケートを実施するとか、さらにはポ ジティブ・アクションの取組に賛同する企業を募って、賛同企業一覧を労働局のホーム ページなどで掲載するという取組を行っているところもあります。  4つ目は、平成15年度からスタートしたベンチマーク事業です。女性の活躍推進状況 の診断表を送りまして、それをフィードバックしていくということで、その中に有益な 情報などをその中に盛り込んで取組に当たって参考にしてもらおうというものです。平 成15年度からスタートして、平成16年度と2カ年連続実施していて、これまでの累積で 8,701社が回答を寄せています。平成17年度においては数も大分集まってきますので、 都道府県別の集計を行って都道府県別の中での自らの企業の位置関係もわかるような形 で、情報をフィードバックすることを予定しています。  次の頁の5つ目は、均等推進企業表彰の公募制の実施です。表彰制度自体は平成11年 度から実施していますが、広くこれを進めていくということで公募制に切り替えたの が、この協議会の提言を受けてのことでした。平成15年度、平成16年度の2カ年実施し ています。  6つ目は、女性の活躍推進協議会の中でさまざまな資料を作成しています。これまで にない視点で、まさにユーザー側に立った資料が次々と作成されたと認識しています。 『ポジティブ・アクションの取組事例集』『先輩からのアドバイス こんなとき、あん なとき』、そして『動き出すポジティブ・アクション』、これはパンフレットですが平 成15年度に作成しました。また、先ほどご説明した『本気のポジティブ・アクション 「私は本気です」』は作成中という状況です。後ろに若干、関係の資料をお付けしてい ます。  参考資料をご覧ください。参考資料1、参考資料2をお付けしています。前回、企業 ランキングをやってはどうか。ただ、役所のほうでなかなかやりにくいかもしれないと いうご指摘をいただいて、私どももいくつかの新聞社に働きかけなどをしています。前 向きに検討するというご回答をいただいた所もありますが、現時点においては直接その 会社から「こうなりました」というものは、発表されていない状況です。ただ、それを 機に、いくつかそういった動きについて目配りをしていたところ、ここに例1から4、 自発的に取り組まれたそれに類する取組を今回紹介しています。例1は、フォーブス日 本版で、女性管理職が選んだ、働きやすい企業一覧です。これはフォーブス社が全国の 上場企業に勤務する女性のうち、管理職の者に限定してwebでアンケートへの回答を 求めたものと聞いています。2004年8月下旬に実施をして、113名が回答した結果が例 1として収録されています。  例2は、Yomiuri Weeklyが2003年9月21日に掲載したもので、有名企業250社を選ん でアンケートを実施して回答が寄せられたのは55社、それをランキングしているという ことです。見てみると、女性登用率、いちばん右端にある課長以上の女性の役職比率と いいましょうか、高い順にランクづけをして掲載しています。例3は、ポジティブ・ア クションというよりも仕事と家庭の両立支援ですが、ファミリー・フレンドリーについ て三菱信託銀行が作ったSRIファンド、このSRIファンド創設に当たって調査を請 け負ったSRI投資顧問会社、グッドバンカー社が独自の評価基準の下でランクづけを したものです。基準自体はオープンになっていて、育児介護休業制度などの制度の整備 状況あるいは運用状況、キャリア・サポートなど80項目を評価して、100点満点でラン クづけを行ったものと聞いています。  例4は、先ほどの委員のご発言に通ずるものかと思います。アメリカのNPOの Corporate Women Directors International(CWDI)が2004年6月現在で、フォー チュン社がランクした世界のトップ200社における女性取締役比率を国際比較したもの の一部をここでグラフ化しています。どのように把握をしたかというと、後ろの英語の 9頁辺りに書いてありますが、会社の年次報告やwebサイトで数字をまず把握をし て、その上で直接会社に確認をして数字を採ったということです。このフォーチュン 200社の中に入っている日本の企業数自体は多いようで、アメリカに次ぐ2番目の数の 企業が入っているようですが、女性の取締役比率の国際比較になると相当後順位になっ ている状況です。実際の英文は、後ろにお付けしています。ちなみに、この中で日本に ついて記載されているのは18頁からです。“Japan-Second Largest Economy Trails All Others”という形で、3頁ほど書かれています。  いちばん最後の参考資料2です。「ポジティブ・アクションの取組の推移」で、厚生 労働省で行っている女性雇用管理基本調査、先ほど申し上げた役職者比率を把握したの と同じ調査ですが、そこでポジティブ・アクションに取り組む企業の割合を平成12年 度、平成15年度の二度にわたって把握しています。平成12年度において取り組んでいる 企業割合が26.3%でしたが、平成15年度では29.5%となっています。伸びで目立つのが 5,000人以上の規模で、67.7%が74.0%と、大規模の所では相当この取組が進みつつあ ると読み取れます。また中規模ですが、300〜999人規模も伸びとしては目立っているか と思います。本日、用意した資料は以上です。 ○座長  ありがとうございました。ただいまの報告について、何かご質問あるいはご感想をお 願いします。 ○委員  先ほどのお話の中で、任期が切れるというのは協議会そのものがなくなるという意味 ですか。 ○事務局  協議会立ち上げの際に、まず2年間の任期ということで皆様方にお入りいただいてい ます。ちょうど2年間の活動をしたところで、まだ協議会の提言でいろいろとやること が予定されているのに途中になってしまうということで、2年間の任期延長をお願いし ています。今回、ちょうど2年が切れるということで、そういう意味では一旦このメン バーによる協議会というのはここで終了という節目となっておりますが、ただこの協議 会の特色である企業のトップ、企業が入ってポジティブ・アクションを行政とタイアッ プして進める手法自体、大変重要だと認識していますので、協議会活動としては衣更え した形で続けてはどうかと思っているところです。 ○委員  男女共同参画の中に、こちらのポジティブ・アクションの協議会と内閣府のほうのた しかチャレンジ支援ということで、2つの柱で両輪になって進めているようなことを聞 いているのですが、そちらとの連携も今後取られていくということですか。内閣府のほ うにも、たしか2020年のうちに女性の管理者を3割ぐらい増やすという元々の大きな目 標がありましたよね。1つは内閣府のチャレンジ支援という協議会みたいなものがあっ たような気がして、もう1つが、こちらの協議会と聞いていたのですが、違いますか。 それで同時に、並行的に男女共同のというものを打ち出していくと聞いていたのです。 ○事務局  この協議会は、これまで役所が開催してきた研究会などとは違いまして、まさに実際 に企業に携わっている経営者の方に入っていただいてポジティブ・アクションを実際に 進めていこうということでスタートしたものです。生い立ちからして、内閣府でやって いらっしゃるチャレンジ支援とは大変密接連携していくべきものですが、2つでスター トして同時並行で一緒になってという面もないわけではないのですが、組織として一緒 にスタートしたものではありません。この協議会は、特に民間におけるポジティブ・ア クションを進めていくことに重点を置いて、まさに1つの当事者、要である企業の方に 入っていただいて活動を進めていくことで、この協議会活動の意味があり、またそうい う視点での活動は必要なのではないかと思います。私が承知している限りは、内閣府が やっているチャレンジ支援の研究会は学者の方やいろいろな方が入って、当事者重視と いう構成にはなっていないのではないかと理解しています。 ○委員  このあとの「ポジティブ・アクション推進のためのメッセージ」のご説明がある前な ので若干前後するかもしれませんが、この4月から企業が次世代育成支援対策推進法に 基づき、301人以上の企業にとっては、この次世代法に基づく具体的な行動計画を立て なければいけないことが決まっていますね。既に各企業とも、その準備はしていると思 いますが、次世代支援ということはイコール女性の活躍推進と密接に繋がっています が、同じ厚生労働省の中で旧労働省側と、次世代のほうは旧厚生省側が推進していると 聞いていますが、その連携というのは何か出てくるところはあるのでしょうか。 ○事務局  まず、次世代育成支援対策推進法により、この4月1日から施行されます。ご指摘の とおり301人以上の事業主については、一般事業主行動計画というものを作成していた だくことになり、300人以下の事業主については行動計画作成が努力義務として課され ることになっています。厚生サイド、労働サイドは一体となって、片や自治体の側も保 育所整備ということも含めて、次世代育成支援対策推進のための計画作りを課している 法律です。したがって、厚生行政と労働行政一体となって進めていくコンセプトの下で できている法律が、この4月1日から施行されることとなります。おっしゃるとおり、 次世代法は女性の継続就業がしやすいという効果に繋がるもので、これはこの協議会で 抱えている課題とも大変密接な関係があります。その辺は、1つの重要な要素として位 置づけられるべきものではないかと思います。  ポジティブ・アクションの中には女性の採用促進、登用促進、職場環境の整備という ものもありますが、女性の継続就業は大変重要な位置づけを持っていて、その中の1つ の大きな要素として次世代育成支援対策として取り組むものも含まれているものです。 そちらが充実していくことは、ポジティブ・アクションもより進みやすくなっていくと 認識しています。 ○委員  例えば、「本気のポジティブ・アクション」の中には次世代を意識した文章といった ものは見当たらないのですが、結果としてはこの協議会の今回最終の形で出ていく中 に、いわゆる次世代法の法律とリンクした形の項目はどこにもないですよね。というこ とは、いまおっしゃったようなことはどのような形で、この協議会としても次世代法を 意識していますということを表現されるのでしょうか。 ○事務局  次世代法を意識するということよりも、むしろ継続就業を意識していると理解いただ いたほうがよろしいかと思います。例えば本日お付けしているポジティブ・アクション の資料で、継続就業の重要性は入っていたと思うのと、これまでの活動状況の中にある 4つ目のベンチマーク事業。これはチェックリストを前回にお示ししたと思いますが、 その中で継続就業をすることについてどういう取組をしているのか、何をやっているの かといったようなことをチェックしていただくことが入っています。そういう意味で は、そういうことを十分に念頭に置いて、また重要な位置づけを持ってこのポジティブ ・アクションをこれまで進めてきたと思うし、そこの点を忘れているわけでは決してな いものです。 ○委員  ありがとうございました。 ○座長  2社以外は、ほとんど0.0ですね。座長があまり勝手に喋ってはいけないかもしれま せんが、ご説明のあった中の参考資料2は資料収集、厚生労働省女性雇用管理基本調査 となっていますから、かなり権威のある調査結果データとして全体を見ると、平成12年 度から平成15年度に協議会がいろいろと推進したにもかかわらず、この3年間の経過は 今後取り組もうとしている比率が減っています。大手ほどきちんと進んでいるのです が、30人〜99人が残念ながら減っている。おそらくサンプル数が下にいくほど富士山の ように多くなるのでしょうか。だからトータルはこのように減ってしまうのかと推定し ながら見ているのですが。誠に残念な資料で、これをたくさんバラまくのですか。世の 趨勢はこうですよということに。これは大企業はいくらか進めていますが、99人以下の 所がなかなか進んでいない、という実態を表わしているのでしょうかということになり ます。 ○事務局  補足しますと、おっしゃるとおりこの調査の結果が出たときに、「今後取り組むこと としている」という所がむしろ減ってしまっている。要は取り組む予定がある所は、現 実行動に移したと、シフトのような、全体的にはそういうことかなと思って見ていま す。ただ座長がおっしゃった小さい規模の所がサンプル数の関係で数字が小さく出ると いうことではなく、これは統計上の精度というものは一応設計した上でやっていますの で、これはこのままで受け止めるしかない。大きい企業になればなるほど数が少ないの で、抽出率が非常に高くなります。当たりが良くなる。小さくなると抽出率は低くなり ます。それでも精度は5%未満の誤差が範囲内に止まるようにという形で、設定をして やっています。 ○座長  抽出率はわかりますが、統計に出た絶対数、回答のあった絶対数が、いちばん下が明 らかに多ければ、トータルの統計としては下に振られますよね。ですから、このように してつぶさに見ていると、私が言った肯定的返事、左の2つ。黄色いのが否定的返事。 ブルーが「わからない」というものでしょう。その中で否定的返事が増えているわけで はないのだけれども「わからない」が増えて、明らかに肯定的返事のトータルが減って いるという代表的なグラフがいちばん下なのですよね。だから上の4ランクはそうでも ないのに、いちばん下のグラフだけでトータルが影響を受けているからそうなのかなと いうことだけです。 ○事務局  これだけを見ると、大企業がポジティブ・アクションが進んでいて、中小が遅れてい るというようにも見えるかもしれません。取組としてはそのような行動と取れると思い ますが、実はもう1つ実態から見ると、女性の管理職比率で見た場合に、大手と中小で 比べた場合、大手は分母が大きいということがあるでしょうが、比率はむしろ小さく、 中小のほうが高いという関係にあります。ポジティブ・アクションを行わない理由につ いてこの調査で同時に尋ねておりまして、平成12年度も15年度もそうなのですが、最も 多い理由がすでに十分女性が能力発揮し活躍しているため、というようなのが4割以上 を占めています。したがってここが先ほどのご紹介とも噛み合わせると、判断は難しい ところですが、ポジティブ・アクションという言葉を借りずに、結構いる人材を十分活 かしてやっているということで、数値自体は上がっている企業もこの中には含まれてい る面があると思っております。 ○座長  そこまで読めというのは少し難しいですね。いちばん下の中小企業はすでに女性の活 躍レベルがかなり高いから、これ以上上げなくてもというのが含まれているとなると、 少し読み方が難しくなります。 ○委員  このグラフを見て気になるのは「わからない」というのが多いということです。しか もそれが平成12年度から15年度に増えているということです。「わからない」というの は2つ意味があって、取り組むかどうかが分からないということなのか、ポジティブ・ アクションそのものが分からないということなのか。多分、取り組むかどうかというの は今後の話ですから、予定があるかないかというのはイエス、ノーで答えられるので、 ポジティブ・アクションが何を意味しているのかわからない、というのがかなり高いの ではないかと思うのです。特に中小企業の場合にです。これは先ほどから出てきてい て、先ほどの委員のところでの説明でもありました、インタビューをしてみるとポジテ ィブ・アクションというのがわからない、しかし実際にはやっていますというのがある わけです。ということはこのポジティブ・アクションについての啓蒙が十分なされてい ないのではないかを危惧するのですが、いかがでしょうか。 ○事務局  そういう面もあろうかと思います。調査票上には「ポジティブ・アクションとは」と いう説明書きは必ず入れているわけですが、それでもそれだけ読んで理解が進まないと いう場合には「わからない」というところでお答えになるというものは、これはあると 思います。 ○委員  わからないのではないのです。わかろうとしないのです。要するに男社会なのです。 だから冒頭に申したように、法律など作らなくてもいいけれども、社会的に「アイ・ビ ー・エムや日産、松下さんを見なさいよ」、というように自覚を促すように切り込まな いと駄目なのではないかと思います。  たまたま私は教育問題もやっておりまして、この間、国立大学の法人化についてのシ ンポジウムに参加して、いささか勉強しました。あれは法律を作ってしまったので強制 的なのだけれども、とにかく日本の国立大学がいかに社会との関わりが少なく、研究中 心で、教育に対する、世の中に役立つようなプラクティカルな教育をやっていなかった ということに対して、10年来批判されていた。とうとう教育関係の審議会や文部科学省 など関係省が大胆に国立大学の法人化をやったのです。1年間のやった結果のデータを 見たら、国立大学はガラッと変わっているのです。私は、アカデミック・フリーダムも やはり維持すべきだと申し上げたが、基本的に国立大学は改革へ大きく動き出すことが 出来ました。だからこれは法律で決めなくても、先ほどから出ているように厚生労働省 が、官庁がどうのこうのということであれば、別なNPO的な組織を作ってもいいで す。世の中に対し、日本は遅れているということをしっかりやらないと、カルチャーシ ョックを与えないと、あと5年10年経って、日本は二流国家になります。経済大国かも しれないが、カルチャーの面で非常に遅れた国になりかねない。 ○座長  次に進ませていただいてよろしいですか。このメンバーによる最後の協議会ですの で、委員の方々からポジティブ・アクション推進のためのメッセージをいただきたいと 思います。各社で取り組まれている中で感じられていることでも、協議会の活動を通し て企業の取組を推進するために、何が必要かということでも結構です。多くの企業がポ ジティブ・アクションに取り組むことに繋がるような意味を込めたメッセージであれ ば、どのようなものでも結構です。よろしくお願いしたいと思います。 ○委員  しばらくぶりに出席させていただきましたが、少し関係ない話から入らせていただく と、いまライブドアに食われそうになっているニッポン放送という所で私は毎日放送を しているのです。最近、いわゆる「ハゲタカファンド」の皆さんと話をしていると、彼 らというのは会社というのは株主のものだ。従業員は資本家の言われるままに単に働け ばいいのだというように、道具としてしか考えていない。それがとても日本で広がって いっているのです。この協議会の中でずっと話してきたポジティブ・アクションという のは、突き詰めていくと別に男だ、女だという話ではなくて、一人ひとりの働く人がい かに生き生きと会社の中で生き甲斐を持って働けるかと、そういう社会、会社をつくっ ていきましょうということだったのです。この協議会が発足したころと比べると、むし ろ世の中が逆のほうに行っているような気がして私は仕方がないのです。もちろん企業 経営の中で、女性の管理職の比率を高めるというのはとても大切なことなのですが、ど うもその下の普通に働く、普通に企業で現場で活躍しようとしている女性が、むしろ人 権を奪われるようなひどい働かせ方をされているという状況が、民間企業の中で、特に きちんと雇用管理ができていない中小企業の間でどんどん進んでいるのではないかとい うのが、私は気になって仕方がないのです。  先ほど座長が書かれたものを読んでいて、企業は「人」で構成されていて、「人」は 男性と女性で構成されています。この構成員が能力を十分発揮できないということがあ れば、それは不幸なことなのだと。この発想というのが、やはりいちばん大切なメッセ ージなのだと私は思うのです。どうも日本の会社というのは、人々が生き生きと働くこ とによって、生産性も上がり、業績も上がっていって、会社の価値も高まっていくのだ と。その発想というのがない中で、この協議会が出していくべきメッセージというの は、むしろ非常に重要になっているのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  だいぶ欠席をして、今日は最後になって出てきて申し訳ありません。私も先ほどの委 員がおっしゃったことと比較的似た感想を持っていて、いま女性に限らず30歳位、もう 少し前でもいいのですが、男女どちらでもそうですが、若者たち、サラリーマンたちに 比較的共有されているひとつのセンチメントで、管理職になりたくないという人たちが だんだん増えてきています。管理職になりたくない、管理職になると残業代も減って収 入も減ってしまうし、苦労するし、時間も長いし、だからなりたくないよね、というよ うなことを考える人が多いです。企業の人事の方とお話すると、そういう側面は比較的 多いとおっしゃいます。  そういうことも含めて「人材不況」という言葉を私は最近使っているのですが、人材 が引き起こす企業の不況、企業の業績の低下のようなところにいま日本がだんだん近づ いてきているのではないかと思っています。それに対して何をすればいいかが一つはあ るのです。非常に有名な外資系企業と話をしたときに、その企業では女性の活用比率も とても高いということですが、若い人たちもどんどんリーダーシップをとるようなポジ ションに乗っていく。それはなぜかと言うと、彼らは一言で言うのは、若いときに仕事 の面白さとチャレンジを覚えさせるからですとおっしゃいます。つまり非常に若い段階 から、ある意味ではチャレンジできる、ポストが高いということに必ずしもつながるも のではないのですが、チャレンジングな仕事を渡していって、その段階で仕事というの はこんなにリワーディングなのだということをある意味で確認をさせてしまう。  だから女性の活用というよりも、もしかしたらそういうところと繋がってきて、本当 に面白い仕事、仕事ってこんなに面白いのだということを共有してもらっていくこと が、人事施策の中では必要なのかなと。それは必ずしもファストトラックと言われるよ うなものだけではないと思います。先ほどからの皆さん方のお話を伺っていても、やは り日本の人事施策をこれから変えていく、それも若い人たちにどんどんチャレンジング な仕事を渡していく、そういうようにやっていらっしゃる企業はたくさんあると思いま すが、そういう方向での変革が起こってくれば、多分女性の活用という視点からして も、いろいろといいことが起こってきて、本当に真剣に結婚と出産、ある意味では人生 の中のそういうコンフリクトは誰にでも起こることなのですが、そういうときに多くの 人たちで結婚、出産が勝ってしまうということが多分なくなってくるのではないかなと 思っています。必ずしも女性の活用という意味だけではないかもしれませんが、ひとつ はやはり若いときからチャレンジのある面白い仕事を提供していくというのが、日本の 人事にとって必要なのかなと思います。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  お2人がおっしゃったことと共通することが大部分なのですが、最近の世の中の動き を見て、どうもポジティブ・アクションを含め、女性の活用あるいは高齢者の活用も含 め、後ろ向きになってきているなという感じを、非常に強く危機感として持っていま す。人材不況、まさにそうかなという感じもします。人を育てることの大切さが、何と なくいくつかの企業では忘れられつつあるのではないか、というようなことも感じてい るわけです。  このポジティブ・アクションに限定して申し上げると、「本気のポジティブ・アクシ ョン」とまとめていただき、まさに本気が必要なのだろうなと。この3社とも経営者も 上司も女性も本気ということだろうと思います。これが当人である以上、いちばんこれ を進めていく上では鍵になるプレーヤーであるということは間違いないですし、その人 たちが本気にならなければ、世の中は動かないということだろうと思います。どのよう にしてその人たちを本気にさせるか、その雰囲気を社会的基盤としてどうつくっていく かというようなことも、またこの協議会の1つの大きな役割かなと思うわけです。  それぞれプレーヤーは行動をとればいいわけですが、社会的にそれをサポートすると きに、気になっているのは特に政府予算の問題で、もし間違っていたらご指摘いただき たいのですが、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局の男女共同参画についての予算とい うのが年々削減されています。増やせるのではなく、むしろ2桁で減らされているとい う状況の中にあります。そういう流れが片方で現実としてあるわけです。予算がカット された上で社会的な啓蒙をどのように効率よく進めていくかという課題になっているわ けです。やはり予算の削減にしても、どこを削減するのか、アクセントを付けて、世の 中として男女共同参画を進めるということがどうしても必要だという意識を持つ以上 は、これはそういうところでも予算の削減はどうも好ましくないと思っています。  そういうことで申し上げたいのは、社会的基盤をこの面においてどうつくっていくか が重要なポイントです。もうすでに啓蒙的な段階はそろそろ終わりにしてもいいのでは ないか。次の段階として強制力を持つ話が必ず出てくるわけですが、どうも実態として はむしろ後退しているので、ここで強制力を持たせるようなことをアクションとして取 っていいのかどうかわかりませんが、スタートしてからの年数から言うと、そろそろそ ういう局面に入ってきているかもしれない、ということを実感として持っています。以 上です。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  だんだん言うことがなくなってきますが、敢えて言えば、もう別にトップに働き掛け る必要もないと思います。ランキングを含めた情報公開も求める必要はないだろうと私 は思っています。そういう意味では強制力は必要ないです。つまりこの3、4年間携わ ってきた感覚で申し上げると、やらない所は駄目になればいいと思っています。まとも な会社という言い方は失礼かもしれませんが、相当危機感を持っていらっしゃる会社は 増えているし、実際行動をとっていらっしゃる。  競争社会ですから、それでやらない所が評価されなくなり、それこそいい人材が集ま らなくて、国際競争に負けていくのは仕方がないと思います。厚生労働省が何かする問 題では一切ないと思います。ただ先ほど問題になった参考資料2もポジティブ・アクシ ョンで聞いているから誰も知らないわけです。性別や能力を越えた個別管理で必要性を 痛感しますか、そのために何かしていますか、何かしようとやっていますかと聞いた ら、みんな感じています。もうそれだけ変わってきているのです。ただやりたいけれど も、どうすればいいか分からないという声をずっと聞いてきました。啓蒙という言葉が いいかどうかわかりません。そういう意味では若干ニュアンスが違いますが、もっと具 体的な情報が欲しい、もっと個別な情報が欲しいという声はいまでも強いと思っていま す。  では具体的に何をすればいいか。先ほど人材、育成という言葉が出てきましたが、私 がこの3年間でいちばん感じたことは、ポジティブ・アクションのキーワードはもちろ ん育成である。ただ育成というのは実はたった一言によってなされたり、なされないと きがある。今回いろいろな女性の方、管理職の方にお話を伺ったり、経営者の方のお話 を伺うと、特にそのたった一言のアドバイスやたった一言の励ましによって、何かが変 わった。本当の育成というのはそういうOJTやOFF−JTの素晴らしいプログラム を組むということもあるでしょうが、皆さん本当に一言によって救われたり、ファイト していったり、逆に希望を失ったりする。敢えて逆のことを言えば、社会全体の環境整 備も必要ですが、私が講演などで言うのは、ポジティブ・アクションというのは個人の 問題である。個人が自分でどんな言葉で自分の仕事を語り、自分の後輩にどういう言葉 で励まし、またときには接するか。そこに尽きていると思っています。  私はこの3年間でずいぶんポジティブ・アクション、男女共同参画で講演をさせてい ただきましたが、男性、女性という言葉をできる限り使わない形で講演をいたしまし た。できるだけ個人の問題、その人の問題。勝手な思い込みかもしれませんが、それが いま求められているものだろうと思っています。こういう協議会にこういう形で私が参 加させていただくのは、多分今日が最後だと思いますが、この協議会の中でいろいろな 方からお話を伺って、私なりに大変貴重な財産をいただいたと思っています。これから できることは、私個人がこういう事例を細々と伝えていくことだろうと。そういう人た ちがどれだけこの社会にいるかどうかが、結局マクロ的な問題にも影響を与えてくるの だろうと思っています。 ○座長  どうもありがとうございました。 ○委員  先ほど委員の方々から中小企業においては、知らない間にポジティブ・アクションは やっているのだというお話がありましたが、私から見るとまだポジティブ・アクション の理解度、浸透度というのはかなり低いのではないかと思います。そういう意味からや はり経営者の意識を改革する、経営者のやるやらない、要するに決断と勇気だと思いま すので、自ずと経営者が常にそういうものを頭に入れて、ポジティブ・アクションとい う言葉がすぐ出てくるような、そういうところまで持っていく必要があろうかと思いま す。  その意味において、いままで表彰企業も、確か6月に雇用機会均等月間を毎年やられ ていて、そういう中の表彰だと思いますが、これを今度は逆にポジティブ・アクション の推進月間のようなものを表に出して独立させて、もう少し啓蒙・普及を図っていく必 要があろうかと思います。例えば何月にするかというのは女性だからというので、違い がというお話がありましたが、桃の節句の3月にするなど。何か取っ掛りを付けてもう 少しこういうポジティブ・アクションというものを継続的に、常に訴えていかないと、 1回盛り上がったものがまたしぼんでしまうような気がします。ですから何かそのよう な月間を作って、今後はやっていったほうがいいと思います。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  一言で申しますと、「継続は力なり」と申しますが、いろいろな方々がその立場に応 じて続けていくことが大事だろうと思います。おそらくそのことによって生じる反応 は、多分我々の想像を越えたスピードと形で展開していくのではないかと思っていま す。間違いなくそういう世の中になりつつあると思いますので、それには自信を持って 取り組んでいったらいいのではないかと思っています。私も全国各地で講演をさせてい ただきましたが、それぞれの地域によってやはり反応は違う、温度差があるのは感じま したが、やはり熱心にこれを進めていこう、これを考えようという人たちが年齢に関係 なく、男女ともに現れていて、きっとそういう人たちがその地域の核になっていい結果 をもたらしてくれるのではないか、という希望を持つことができたと思っています。  日本経団連でも、3年前にダイバーシティー・マネジメントという言葉を使って「多 様化社会の中での働き方」という研究会を開きました。そのときに企業の人事担当者、 平均28歳の男女半々がメンバーになって、委員にもアドバイザーで入っていただきまし たが、大変熱心に多様化社会の人のあり方を研究してくれまして、いいレポートができ たと思っています。ずいぶん多くの経営者の皆さんに委員がペアで意見を聞きに行きま したら、皆さんから大変ご理解をいただき、励ましを受けたということで、大いに自分 たちが作ったレポートに自信を持ちました。それが3年前です。  これからはどういう形で進めていくか、いろいろなやり方があると思いますが、各企 業にとっても魅力ある企業の条件の1つということになってくると思うのです。人手不 足時代が来るわけですから、そういう中で優れた人があの会社で働きたい、ずっといた いというような、そういう思いを持つような会社づくりの1つの大事な柱になるのでは ないかと思っています。以上です。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  いろいろお話を伺っていて感じることですが、先ほどのデータ的な取組の推移、実態 が企業の規模別の数字で出ていますが、中小企業の場合は大体このような状況なのかな という感じはします。この問題についていろいろな方と話し合っているわけではありま せんが、話題に出てきたときに感じるのは、大体こんな感じが実態なのかなと思ってい ます。それだけにより一層ここの部分、左側の「既に取り組んでいる」との回答比率を 高めなければいけない。これは当然のことだと思いますが、そういう中でどのようにす ればここの部分が増えてくるのかは、非常に難しい問題だと思います。まさに「継続は ・・・」ということで、地道にやっていくほかはないというのが1つあろうかと思いま す。  また中小企業の場合は、なかなか経営的に人的に余力がないということで、言ってみ れば利で動く部分というのが結構あるのです。大企業もそうですが、中小企業でも特に オーナー型企業の場合はそういう要素が多いです。そういう面からするといろいろな調 査データを拝見しましたが、いわゆるランキング、女性の管理職の登用率等々が非常に 上位にある企業とそうでない企業との差が、業績との比較の中でどうなっているか。一 概に言えないでしょうが、女性の管理職登用の率が高い企業は比較的業績がいいと。あ るいは一般の消費者にとっての好感度が高い。あるいは先ほども出ていた学生さん等の 就職年期の志望が高い。何かその辺がもう少しデータ分析上うまく出ると、中小企業も そういうものなのかなという面で、他動的な要因で動く、少しでもそういう方向に向か うという意識改革です。  もう1つは話は違いますが、ISO14001にしてもだいぶ中小企業でも取得する企業が 増えています。これもどちらかと言うと、自発的に、主体的に環境対応の必要性という ことで、資格を取得する企業も結構増えてはいますが、かなりの数はむしろ取引先、親 企業、製品の納入先からの要請、あるいは自治体からの要請、そういうものにより他動 的な要因で否応なくそれをやっていかないと、ビジネスに響くという面から対応してい る企業もあるということです。女性の活躍という部分がそれにそぐうものかどうかは、 疑問の部分もあるのですが、中小企業の経営者のビヘイビア、意識、考え方はかなりそ ういう部分に影響される部分があるということは、今後こういう推進のためのメッセー ジを考えるときに、何か有効な部分もあるのではなかろうかという感じがします。以上 です。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  いま働き方は、男性も女性もともに大変多様化しているのが事実だろうと思います。 正社員であったとしても、将来にわたりスペシャリストでいきたいと望む女性も男性も 多くなってきています。一方、パートタイマーで働いている人の中にも私は管理職にな って働いてみたいという人たちもおります。私どももそういう意欲のあるパートタイマ ーには管理職の道を開いているわけですが、いろいろな働き方があっていいのだろうと 思います。少なくとも優秀な人材をどれだけ活かしきれるかが、やはり企業にとっても 重要なことではないかなと思います。したがって企業のニーズと働いている人のニー ズ、これが一体化したときに初めて力が生まれてくるのではないかなと思います。  ただ女性の管理職という観点で見れば、やはり各国から見ても大変低いレベルにあり ます。では日本の女性は管理能力がないのかとなると、必ずしもそうではない。むし ろ、これまでは、持てる能力を発揮出来る環境がなかったことが問題なわけで、少なく とも管理職志望で、なおかつ優秀な人材は、どしどし登用できるような環境をつくって いかなければならないと思います。ただ私どもの会社では現在、係長以上の女性管理職 の比率が15%から18%の間を行き来しているのです。2割を越えないのです。これはみ んなが女性を登用したいと言いつつも、越えていかないという部分もあります。ただこ れは、やり甲斐のある仕事という中に管理職をしっかりと位置づけるという教育も含 め、やはりやり続けていかなければいけないのではないかなと思っています。  もう1つ先ほどもお話がありましたが、6月が雇用機会均等月間でしょうか。私もこ の協議会のメンバーになっていることもあり、講演をお引き受けしております。この3 年、4年で感じることは、女性の活躍推進協議会などを各県でお作りになられ、それぞ れその県の中でこのような議論を進めていらっしゃいます。21世紀職業財団がご尽力さ れているベンチマークにしても、99人以下の企業が4,084社も参加していて、自分自身 の企業のあり様をチェックしてみようという考え方をしています。あるいは299人〜100 人が3,040社も。要するに各県に参りますと、本当に小さな会社の方々が多くお見えに なるわけです。そうすると何万人もいる自分の会社の例が本当に伝わるのだろうか、と いう思いでいつもお話をしているのですが、このようにこれだけの多くの方たちが、何 らかの形で一歩も二歩もポジティブ・アクションという観点で前進したいと思っていら っしゃる企業は、確実に増えてきたのではないかなと、自己満足をしてはいけないので すが、そう思います。これからまだまだ遅れている日本の企業ではありますが、次の時 代に向けてもう一歩も二歩も強力に中央として進めていくこと、これが各県でも牽引役 になっていくのではないかなと思いますので、次の協議会などさまざまな会議をなさる と思いますが、是非とも強力な推進をしていただければと思います。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  今回非常に感銘を受けたのは、「私は本気です」という形できちっとまとめていただ いた中間報告です。それを先ほどのお話では、細々とこれを自分は今度は伝えていきた いとおっしゃっていましたが、是非これは大々的に伝えるべきではないかと思います。 そこで提案ですが、この中間報告が出来た段階で、できればシンポジウムもしくは別の 何かを開催してはいかがでしょうか。ポジティブ・アクションをやりたいのだけれども どうしていいか分からないという企業が実はたくさんあるのです、と先ほど委員がおっ しゃっていました。そこでそういう企業、会社に声を掛け、一度このメンバーのご出席 の下、この中で先ほどから積極的にいろいろ発言していただいている方々にご出席して いただきながら、シンポジウムができないか提案させていただきたいと思います。今日 は日本経団連の矢野委員、東京商工会議所の広瀬委員がいらしていますし、また同友会 の北城委員もいらしています。日本経団連を含めてそういう企業にメッセージを送って いただき、参加を促すことでできないだろうかと考えます。  2つ目は、お茶の水女子大学のような、あのようなコンサバティブな女性の大学が、 大学院を含めて、最近女性の起業家育成の講座を作り始めているのです。私も呼ばれて 起業家ということで話をしたりしています。こういう資料が、いろいろな女性のキャリ アアップなど女性の働き方を勉強している教育部門の所に流れていき、1つの資料とし て使っていただくことができないだろうか。これはやはり意欲、意識の高い学生たちへ の啓蒙ということに必要ではないかなと考えております。以上です。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  今回の協議会の冒頭に、大変厳しいお話があり、少々萎縮しております。もともとこ の協議会が始まるときに、私の経験として株主総会で、株主から「なぜお前の所は女性 の役員がいないんだ」という質問を受けて、大変答えに困ったわけです。私どもが役員 に女性をという時間はまだまだ先ではないだろうかと思います。もちろんスカウトで専 門職として入れていくということは別として、中から育っていくのには相当時間がかか るのではないかと思います。  女性を管理職にできるだけ多く登用したいということで、意識的に現在は18名の女性 を教育のコースに入れています。これはMBAコースということで、MBAレベルの教 育を18カ月かけて育てています。多分その中から近々管理職、私の期待としては半分ぐ らいがそういう場に就いてほしいなという希望を持っているわけで、一生懸命努力をし ております。これはやはり製造業という業態からはなかなか難しいことで、私どもの希 望としては、これからも続けてやっていかれるのであれば、業種別にやる処方箋的なも のを出していただきたいなと思います。  私が大変いいことではないかと思うのは、冒頭の「私は本気です」という後の、座長 の話の中に、この問題をCSRと絡めて取り上げられていることです。やはり背景にな る骨というのは、CSRとの結びで女性の採用、登用率がどのくらいあるかということ です。これはISOがCSRの規格を作り出しています。この3月にまさにブラジルで 集まって詳細を討論し始めたところです。その中の労働のところで、女性の活性化度、 何パーセント採用しているかということも含めて、労働の項目の中に入れようとしてい ます。そういうことからでも、やはりCSRの一環として取り上げるということに私は 大いに賛成です。  報告書では「私は本気です」という副題を付けていますが、もちろん「私は」という のはいろいろな立場の人を含めて言っているのだと思いますが、「我が社は本気です」 という、会社が動くということ、それを構成している構成要因がすべて動くという意味 からも、「会社」あるいは「我が社」という標題を付けたほうが、訴える力があるので はないかと思います。できたらポジティブ・アクションのまとめか最後のところに、こ こから判明したことというような、この中から教訓を自分たちは受けたというようなこ とをまとめて書いていただければ、大変いいのではないかと思います。「私は本気です 」を読ませていただき、皆さん方の努力がよく理解できますし、私どもにとっても大変 参考になると思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  少子化、高齢化ということでこれから人口減少社会になっていくときに、日本社会が 競争力を持って活力を持つためには、女性の登用に力を入れることも非常に重要なこと で、先ほどの委員はやらない所は駄目になればいいではないかということですが、日本 社会が駄目になるのを見ているよりは、まずは気付いてもらうための活動をすること自 体はやはり重要だろうと思います。そのためにはどのような組織でもリーダー、トップ がこのことを本当にやる気にならない限りいろいろな施策はうまくいかないということ です。一つは経営トップにもう1回この問題に気付いてもらうための活動をしたほうが いいのではないか。それは新聞社にランキングをお願いしたらということでしたが、 Yomiuri Weeklyには少し書いてありましたが、新聞社はやっていただけないということ です。そうであればいろいろなNPOでやってもらう所を探して、トップ200企業でも いいですが、経営者のリーダーシップも含めて、取組、登用の実績を調べて公表したら いいと思うのです。  そういうことで経営トップに対してこういう問題があるということを気付いてもら う。あるいはパネルディスカッションのようなものを設け、大きなパネルではなくても いいと思いますが、先ほどの18頁に出てきたような一流企業の経営者とゴーンさん、協 議会委員のような方を入れてパネルにお呼びする。呼ばれて出たら、もうもちろん非常 に大きな影響を受けると思うのですが、たとえ参加をお断わりしても、そういうことに 呼ばれること自体で、我が社はどうなっているのかを経営者は気にすると思うので、い ろいろ創意工夫してまずは大企業がやらない限り、なかなか日本では中小企業に展開は 難しいと思います。まずはトップの気付きについて、具体的な成果が出るようなことを やっていただいたらいいのではないかが、第1点目です。  2点目は情報発信で、本気のポジティブ・アクションは非常にいいレポートだと思い ます。こういうものをインターネットで公表するときに、厚生労働省のホームページか らこういうものが出ている所にリンクを張っていただいたほうがいいと思うのです。た だタイトルはこのタイトルでは最初は読まないのではないか、読んでみたら書いてある ことは分かりますが、やっている人はこのタイトルでわかりますが、リンクを張ったと きにはタイトルを見て中身がある程度わかるものではないといけないと思います。そう いう意味では具体的なタイトルをどのようにするか考えればいいと思いますが、例えば 「女性の登用促進企業事例で本気のポジティブ・アクション」など。これを読んだら何 が書いてあるかがわかるようなタイトルを付けてあげないとインターネットでははわか りにくいのではないでしょうか。インターネットでの情報発信の仕組、タイトルの付け 方を考えていただいたらどうかなと思います。  3点目は、女性の登用を考えていくときに、勤務時間の長さで成果を評価するような 仕組ではなかなか登用は難しいと思います。やはり働いた成果で評価するという成果主 義のほうに変わっていかないと、どうしても男性中心の登用の仕組が変わりにくいので はないか。そういう意味ではもっと成果主義を前面に出していただきたいのです。  一方では、厚生労働省はサービス残業などを非常に気にして、時間外勤務の長さを調 べていますが、あれは勤務時間の長さを云々するような格好に見えてしまう。女性の登 用のときにだけアメリカの事例を出してきて日本は登用が遅いというのだけれども、米 国ではプロフェッショナルで残業代をもらっているような人はいないと思います。向こ うは時間で給与をいただく人と、高度なプロフェッショナルとして、成果で評価される 人とに分けていると思います。日本では、裁量労働制の一部拡大ということを言ってい ますが、もう少し欧米との比較で日本の労働慣行のあり方について、厚生労働省の方は 考えていただいたほうがいいのではないでしょうか。成果で評価することは重要だと思 います。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  冒頭からかなりラジカルなことを申し上げお詫び致します。しかしながらそれだけ強 く言わないと、日本はどんどん遅れていくという危機感を持っているのです。IMDで かつて日本の国際競争力はトップクラスだったのですが、いまはどんどん落ちてきて30 番目ぐらいということです。その中でも日本の経営者のアントレプレナーシップ、新し いことに対するチャレンジが非常に遅い。トライしないということは49カ国中49番目と 言っているのです。ですから日本の経営者に対して、しかもアイ・ビー・エムさん、ト ヨタさん、キャノンさん、リコーさんなど国際競争をやっている所は、市場原理が働い ているので全く問題ないのですが、その他の8割は国内の市場で閉じているので、例の 護送船団方式で何となくやってきているうちにじわじわ遅れていく。女性を平等に登用 しない企業は、いずれ市場で淘汰されるというのは、競争原理が十分に機能していない 現実を知らないのであって、「男女機会均等」という理念が根本的に欠如している現実 を直視すべきです。座長もやられていると思いますが、経済調査協議会で私は医療問題 と教育問題をやりましたが、とても立派な報告書が作成され関係各方面に提言されてい きましたが、大変申し訳ないけれどもこういう報告書を出しても、世の中はほとんど変 わらないと言ったのです。どうすればいいのかと言ったら、この報告書をベースにし て、例えば教育問題では初等中等教育は学校の先生が問題なので、先生が本当に使命感 と情熱をもってやっているかどうかなのです。だから先生方と直接ディベートしようで はないかと言って、実際に先生方といろいろなことをやってきました。そのようにかな り強め、強めに直接的に切り込んでいかないと、日本はじわじわと二流国に落ちていく のではないかと思っております。改めて、先ほど来、大変皆様には失礼なことを申し上 げましたが、出生率低下、人口減にも関係するシリアスな問題として、危機感を持って います。言い残しておかないといけないということで、言うべきをハッキリ言わせて頂 きました。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  皆さん方のご意見が大変勉強になったとまず思っております。ポジティブ・アクショ ンの問題については、この会も多分効果があったと思いますが、相当厚生労働省も努力 し、浸透はしてきていると思います。そういうことで、満足されていない委員もいると 思いますが、いままでの評価は私としては、相当いいところに行っていると思います。 しかしまだまだ問題があると思います。いままでここまでは来たものの、いちばん大事 なことは日本の産業構造はいまも猛烈に変わりつつあるわけで、特にサービス産業とい うのはこれからどんどん伸びてくる。政府がもう少し規制を解除すればもっと伸びてく るわけですが、そこは多分女性が主戦力、主役になると思います。  そのためには大変いい方向を出してもらっていると思いますが、先ほどから言ってい るように、私のところのような産業というのはやはり男性社会的にできている。またそ ういう種類のものだと思います。ですから強制でバッと発表するといわれても、何とも いたし方ない部分なのです。会社の中のある部分では女性をどんどん活用しています が、企業としたら微々たるものしか数字としては出ない。そういうものになるので、簡 単に発表するといっても、発表の仕方、研究所なら研究所だけざっと並べてやっていた だくのなら、私どももそんなおかしな数字は出ないです。全体として見たら女性が絶対 入れない部分があります。製造現場というのは放射線の計器を使ったりして、女性は入 れない部分があります。そういう所というのは規制解除をしても、やはり女性の母体保 護の問題がありますから、そう簡単にはいかない部分があります。そういうことで一律 に何でも強制すればいいというものではないと思います。  しかし、いままでの努力で当然のことと皆さんが思い始めている。先ほどのこのグラ フでは中小企業、零細企業、この部分はあまりそこまでの感度がないというか、そんな 問題ではない、生きるがためにやっているのだ、というような企業が多いのではないか と思います。こういう数字であまり心配しなくてもいいと思うのは、まず大企業がやっ ていくということで、この方向が出ているということを一応評価できるのではないかと 思います。  これから女性の問題というのは、労働力不足だからということではなく、やはり当然 のこととして出てくる、当たり前のことだと思いますので、あまり居丈高にならなくて もやれると思います。厚生労働省のいろいろなお力により、地域的にもいろいろばらつ いているようですが、保育所が相当強化されてきたことも、非常に女性にとってはいい という声も聞いたことがあります。そういう努力はありますが、まだまだそういう面が 行き渡っていない部分があります。  そういうことで先ほどどなたかからお話がありましたが、若いうちに仕込んだら仕事 にのめり込む、ということも確かに全くそのとおりです。その問題と少子化がどんどん 進むということとが絶対に関係がないとは言えないのではないか。その辺りのことにつ いて、もっと理論的な解明の必要性が相当あると思います。是非そういうことを注意し ながら、この勢いを続けていただきたいと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。 ○委員  ポジティブ・アクションは女性のためではなくて、会社の競争力のためだということ を幅広くマスコミを通してPRしなければいけないと思います。特に中小企業の経営者 は理解されず、女性の問題だと思って無視する場合もあると思いますが、女性の問題で はなく、会社の競争力ということはいろいろな方からお話が出ましたが、これを冒頭に 強調すべきだと思います。そして3つの本気はとてもいいテーマで、とてもよくまとま っていると思います。私の会社には今年ポジティブ・アクションを導入しました。数値 目標も設定しました。確かに女性の本気には大きな問題があります。女性を育てて、管 理職にするためにはP&Lの責任がなければいけないと思います。いちばんいいところ はセールス、そこで男性でも女性でもはっきりと実績が出るので、セールスに女性を入 れるのですが、なかなか大変でターンオーバーが大きくて私が悩んでいるところです。  上司の本気ですが、よく聞くのは何とか女性をサポートしたい、支援したいのです が、いい女性がいないねと。こういうことは社内に育っていなければ、外からスカウト する、あるいは社外役員の場合は前にも提案して、なかなか厚労省としてリストを作る のは難しそうなので、いまほかで考えていますが、いろいろな能力がある女性、アント レプレナー、女性経営者だけではなく、弁護士、公認会計士、いろいろと女性が一生懸 命やっている方もいらっしゃるので、そういうリストを作って「女性がいないね」と言 われた場合には、リストを出してこんなにたくさんいらっしゃる、というようにしたい と思っております。上司の本気は、先ほど申し上げたように女性を育てる場合には、ス タッフファンクションではなく、職種間のガラスの壁を取り崩さなければならない。つ まりジョブローテーションにより女性を本格的に本気に育てていかないと、なかなかト ップへ行くことはできません。そして男性のメンターを付けたほうがいいと思います。 よく女性はメンターがいないので、女性のメンターを付けるのですが、これはとても難 しいことです。やはり男性を付けていろいろ教えてもらったほうが、いちばん早いので はないかと思います。  最後に経営者の本気です。やはりポジティブ・アクションは会社の戦略として考えな ければならない。戦略であれば、経営者はいろいろな所で社内のスピーチでは入れてお かなければならないのです。1つの項目としてポジティブ・アクションをどのように考 えているのか、現時点はどうなっているか、必ずポジティブ・アクションの話をしても らわなければ困ると思います。それで社内にはネットワークを作ったり、勉強会をやっ たりする必要もあるのですが、そのために予算化をしなければならないのです。だから お話だけではどうにもならないので、やはり十分バジェットを取ってやらせる必要もあ ります。最後に課長、部長の業績評価をすると、1つの項目としてポジティブ・アクシ ョンは自分の部、あるいは自分の課はどこまで進めているのか。数値目標は達成したの か、していないのか。やはりそこまで追いかけていかないと、ただ話で終わってしまう と思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。時間が参っておりますが、私も委員の1人として一言よろ しいでしょうか。  日本の将来を見たときに、先ほどの委員が冒頭に触れられましたが、人口ピラミッド の30年後、50年後を見ているともう慄然とするのです。釣鐘型どころではなく、あれは 松茸型というのでしょうかね。来年辺りから就業人口も絶対数が減りそうだという状況 です。そこですぐ外国人労働者、あるいは移民というテーマが浮ぶのですが、私もそち らのほうは決して反対ではないのですが、その前にこの大懸案は日本人の力でカバーし ていくべきではないかと思います。3つの方法をあちこちで言っているのです。本気半 分、冗談半分あるのですが、第1は本気半分ではなく全部です。この人口ピラミッドと 就業人口が減るのをカバーするためには、女性が質、量ともにもっと活躍するような方 向に向かっているし、それを促進するのがまず第1だ。  2つ目が、厚生労働省でもWHOでも65歳から「老人」という定義をなさっているよ うですが、世界中の国でとは言わないが、平均寿命がこんなに高くなった国は、それと 違う老人定義があってもいいのではないか。69歳までは老人と言わない。70歳から立派 な老人であると書いたらどうか。私が知っている60代は全部元気で働きたがっていま す。わかりやすく言えば、定年延長というのでしょうか。それが2番目です。  3番目は大学生の定員を半分にしたらどうかです。半分は仕事に出せです。ここまで 言うのもどうかと思いますが。どうせ大学生の7割、8割は遊んでいるわけですから、 半分は仕事に出すべきではないか。そのほうが本人のためにもいいのではないかという こともあります。第1番目に関して、冒頭でこれだけ推進してきても、わずかしか管理 職も伸びてきていないなというのがありましたが、ライフサイクル曲線と我々は商品で よく言いますが、開拓時期の最初は大変なのです。あるところから急に伸びるのです。 それは、普及率10%とよく言うのですが、管理職の女性が10%になってからゴーでは少 し遅いので、2、3%辺りからぐっと50%位まで増えていくところがあるのではない か。  何人かの委員の方のご発言を聞いていて、そう悲観的にならなくてもいいのではない かという感じがしました。そのときにどこかでこうなるときにきっかけが欲しい。女子 プロゴルフが去年からにわかに男子プロを凌いで、活性化しているのは宮里藍はじめ何 人かのスターが出てきたというのがあります。ですからイトーヨーカドーさん、日本ア イ・ビー・エムさん、NTTドコモさんも是非そうしてほしいのですが、社長が外国人 の女性ではなくて、日本人の女性が就任したというような、そういう時期に出ると、役 員、社長は全部男だと。役員の中に1人増えても、3人増えたのも大事ですが、社長に 女性がなったというのは、中から上がるというのは容易ではないと思います。階段は、 みんなこうやって昇っていますから。よそから来た人が女性経営者だというのが、わっ と話題になるのは1つのきっかけにならないかなと思ったりしております。  時間も参っておりますので、拙い進行役、司会で6回、4年間お世話になりました。 ご協力いただいたことを感謝申し上げつつ、反省しながら終わりたいと思います。今日 がこの協議会の最後ですが、今後ともそれぞれの活動の場でポジティブ・アクション推 進に皆様ご尽力、ご協力いただければと存じます。最後に「その他」の議題とあります が、事務局からのご挨拶ということでお願いします。 ○事務局  一言御礼だけ申し上げたいと思います。大臣が国会中ですので、私から失礼ですがご 挨拶申し上げます。4年間のご労苦に大変心から感謝を申し上げたいと思います。今日 もいろいろ貴重なご指摘、ご意見をいただきましたので、私ども、これからの参考にさ せていただきたいと思います。  先ほど委員からご指摘がありましたように、4月から次世代育成支援対策推進法に基 づく行動計画を各企業に作っていただくちょうど節目のときです。最近NHKでも報道 されており、一部マスコミ、新聞でも報道されていますが、名立たるいくつかの企業の 中からは、率先して新しい内容の計画を作っていただくという意欲的な所も出てきてお ります。こういう問題と女性の活躍推進というのは、アプローチは女性の登用からずっ と管理職に就くまでという幅広いスパンで、社会、企業に登用していこうということで す。女性が特に育児と両立しやすいように、限られた育児の期間をどのようにしてサポ ートするかという計画を是非とも企業には作っていただきたい、ということでやってい ただいています。  今日もその関係はどうなのだというご指摘がありましたが、私から言わせれば男性も 含めたと言ったほうがいいと思いますが、企業風土、日本の働き方を見直す、企業の体 質を変えるという意味では、根底では通じている同質の問題ではないかと思っていま す。そういう意味でこの資料を見ていて、少子化問題でいつも国会等で議論しています が、日本、イタリア、ドイツは非常に似かよった風土で出生率も低いです。女性の管理 職の登用ということでは、日本とイタリアは隣組でいましたが、ドイツが少し高いので 少し愕然として、ああこういうことかと思いました。こういうところでも我が国とイタ リアは非常に似かよっています。いろいろありますが、企業の体質、風土を変えていた だくということで、少子化が反転して出生率が上がるかどうかはわかりません。これだ けではうまくいかないと思いますが、いろいろ総合力を結集する中でも非常に重要な要 素を占めていると思います。そういう観点から私どもはこの2つの施策を両睨みしなが ら、うまく活用しつつ、どのようにトップに働きかければいいかというのは、今日もラ ンキングを発表したらどうか、シンポジウムなどいろいろなご提案がありましたので、 こういうご示唆も勉強させていただきながら、進めて参りたいと思います。本当に4年 間ありがとうございました。 ○座長  それでは皆さん4年間、お忙しいところをご協力いただきまして、本当にありがとう ございました。これをもちまして本日の協議会を終了いたします。どうもありがとうご ざいました。 照会先:雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課均等業務指導室啓発指導係(7843)