05/03/11 第2回医師の需給に関する検討会議事録            第2回 医師の需給に関する検討会議事録                      日時 平成17年3月11日(金)                         10:00〜                      場所 経済産業省別館1111号会議室 ○矢崎座長  定刻になりましたので、「第2回医師の需給に関する検討会」を開催いたします。ま だお二方いらっしゃいませんが、出席いただくことになっておりますので、会を進めさ せていただきます。議事に入る前に、前回お休みの長谷川委員が今日ご出席ですので、 長谷川委員よろしくお願いします。 ○長谷川委員  どうぞよろしくお願いします。 ○矢崎座長  それでは議事に入らせていただきます。前回委員の方々からいろいろ資料の宿題をい ただきまして、井上補佐なら、ちゃんと揃えてくれるだろうと思いましたので、そのデ ータがありますので、まずご説明をお願いします。 ○井上補佐  事務局より資料のご説明をいたします。お手元の資料は大きく3種類ありまして、資 料1、資料2、資料3です。資料1は前回各委員の方よりご指摘をいただいた事項につ いて、資料を事務局がまとめたものです。資料2は、長谷川敏彦委員から提出を受けた 資料です。資料3は、前回各委員からいただいた主な意見を取りまとめたものです。以 上3種類です。  まず資料1について、概略をご説明いたします。資料1は、前回各委員から頂戴した 意見の中で、資料として整理が必要なものをいくつかの項目にまとめたものです。第1 番目に、地方における医師養成の現状について整理する必要があるのではないかという ご意見を頂戴しました。これに関して、3枚の資料にまとめています。資料1の1頁目 は、地方における医師養成の現状について、各都道府県の医学部の定員数が、人口当た りどれぐらいあるか、都道府県別にまとめたものです。並べ方は、いちばん左側が人口 当たりの医師数がいちばん多い県。順番に、いちばん右側が人口当たりの医師数がいち ばん少ない県です。左側の徳島県が、人口当たりの医師数がいちばん多い所。右側の埼 玉県が人口当たりの医師数がいちばん少ない所です。県ごとの人口10万人当たりの医学 部の定員数は、このような形だということです。最大4倍ないし5倍ぐらいの格差はご ざいます。ただ必ずしも医師密度が少ない都道府県が、養成数が極端に少ないかという と、それほどの相関もないように見えるということです。  2頁目のグラフは、昨年の医師国家試験の合格者は約8,000名弱おられますが、この 8,000名弱を本籍地別に分類したものです。各都道府県の人口10万人当たり、その都道 府県の出身者が何名合格しているかデータをまとめたものです。これもやはり都道府県 ごとに4、5倍の格差があります。こうして見ますと、前回の資料で示したように、医 師が人口当たりで不足している東北地方は、東北地方の出身の方で医師になられる方 が、人口当たりにして比較的少ないという結果ではございます。  3頁目のグラフは、具体的に地方の医学部において養成されている医師の出身地を1 例としてまとめたものです。平成15年度に青森県の弘前大学の医学部を卒業なさった89 名の方々について、それぞれ出身地がどこかを示したものです。そういたしますと地元 の出身という方も相当数ございますが、都会から地方の大学の医学部に進学されるとい う方が、一定の数おられるということです。以上、3枚の資料において「地方における 医師養成の現状」についてお示しいたしました。  次の項目は、「医師の診療科別の年齢構成」です。前回の委員のご指摘の中で、いく つかの診療科は単に絶対数というだけではなく、年齢構成が別になってきている。年輩 の医師はいるが、若手の医師の新規参入がない、ということが問題なのではないかとい うご指摘がありました。特に、医師不足が指摘されている小児科、産婦人科、麻酔科に ついて、年齢構成を比較してみたのが4頁目のグラフです。  全医師の年齢構成を太字で示しています。このグラフは、45歳〜54歳の年齢層を、各 診療科ごと、それぞれ医師数を1とした場合の他の年齢層の相対的な比率を示したもの です。これで見ますと、麻酔科においては、若い年代の医師は、中年以降の年代の医師 に比べて増加する傾向にある。それに反して、小児科や産婦人科は、全医師の平均より も、若手の参入がやや少なめであるという結果でした。  5頁目のグラフは、異なる国において、地域別の医師数の格差がどうなっているかと いうことをまとめたグラフです。前回の委員のご指摘の中に、諸外国において医師不足 地域へ、医師を誘導する政策がどのようなものがあるのかというご指摘がありました。 これに関して最終的に私どもまだ調査が済んでおらず、作業継続中です。その前段階と して、例えばアメリカにおいて地域別の医師の格差がどれぐらいあるのかということを 調べてみました。アメリカの50の州、日本の47の都道府県の州、県の人口当たりの医師 数を全部並べてみたものです。下の県名、州名の字がやや小さいのですが、黒いグラフ がアメリカの州、白い棒グラフが日本の県です。こうして日本の県、アメリカの州を並 べてみますと、特にアメリカにおいて人口10万人当たり300名以上の医師数を持つ、極 端に医師数が多い州というのがいくつかございます。それ以外の州においては、概ね日 本の人口当たりの医師数と変わらないところにある。むしろ、人口当たりの医師数の格 差は、日本の県の間よりも、アメリカの州の間のほうが大きい。そのようなことが示さ れるグラフです。引き続き、地方に対してどのように医師を提供する方策があるのかと いうことは、こちらのほうで調査いたします。  6頁目のグラフは、前回の委員のご指摘の中で、諸外国においてはそれぞれの職能団 体が、診療科別の医師数をコントロールする仕組みがあると聞いている、というご発言 がありました。現実にアメリカは、そうしたシステムがございますので、アメリカと日 本において、診療科別の医師数を単純に比較したものです。  アメリカと日本とそれぞれ診療科が全く一緒で1対1対応というわけではないので、 比較においてはそうしたことは考慮する必要があります。アメリカにおいては、まず基 本診療科が約24あり、その24がさらにサブスペシャリティに別れている形です。その24 の基本診療科を人数の多いものから順に並べたのが、いちばん左側のグラフです。日本 の診療科で、それにほぼ対応するものがある場合は、それを並べて人数を単純に比較し た形です。単純に比較できる診療科がない場合には、棒線を引いてございます。  逆に右側の上に示すように、日本には診療科として標榜できるものがあっても、アメ リカには基本診療科としてはないと。サブスペシャリティーとしてはあっても、基本診 療科としては対応すべきものがないというものもあります。1対1対応ではないです が、概ねの目安としては、このような形です。日本と米国の人口比は概ね1対2.3で、 そうしたことも当然考慮して比較する必要があるデータかと思います。  これを棒グラフにして見たのが、7頁目の表です。7頁目の棒グラフは、アメリカの 人口当たりの医師数を1とした場合の日本の医師数がいくつかの診療科においてどうな っているか、ということを表したものです。真ん中の黒塗りにした棒グラフが全臨床医 でまとめたものです。全臨床医で言えば、アメリカの人口当たりの医師数を1とすれ ば、日本はそれよりもやや少ないという形です。日本で医師不足が指摘されている、例 えば産婦人科、小児科、麻酔科といった診療科は、米国に比べて相対的に医師数が少な いという形です。逆に、米国よりも、人口当たりにして医師数が相当多いという診療科 が左側です。例えば脳神経外科は相当多いデータです。あくまでも単純比較するのはな かなか難しいのですが、一定の目安の資料です。  8頁は、前回の委員からのご意見の中で、医師不足というのは絶対的に需要に応じら れていないということもあるかもしれないが、むしろ医療法に基づく医師の配置標準に 足りていないということをもって、形式的あるいは制度上の医師不足もあるのではない か。この2つは区分して考える必要があるというご指摘がございました。  それに基づきまして、医師の配置標準が現在どういう制度になっているかということ を8頁、9頁、10頁の3枚の図で説明したものです。8頁は、医療法に基づく医師の配 置標準のルールを示したものです。計算方法はやや複雑ですが、骨子はグレーに塗った 部分です。それぞれの病床の種別ごとに入院の人数当たりの必要な医師数を定めており ます。例えば一般病床においては入院16名当たり、1名以上の医師を配置するという形 で定められており、外来においては、外来40名当たり、1名以上の医師を配置するとい う形で定められている、というのが医師の配置標準です。  9頁目は、歴史的な変遷を簡単にまとめたものです。制度が発足したのは、戦後間も なく昭和20年代の初めです。そのときには病床区分は、精神、伝染病、結核病、その他 の病床の4区分でした。それからいくつかの変遷を経まして、現時点では一般病床、療 養病床、精神病床、感染症病床、結核病床という形に分類をし、それぞれにおいて、入 院人数ごとに必要な医師数を定めている、というのが医師の配置標準です。  10頁目は参考ですが、医師の配置標準に関しては、特例措置があり特例措置に基づき まして、一定の条件を満たすへき地等における医療施設においては、この配置標準を緩 和するという制度はございます。  11頁目は、前回の委員からのご質問の中で、私どもが提示しているデータの基礎とな っている、医師・歯科医師、薬剤師調査というのは、どれだけ正確に現状を把握してい るのか。このことはデータを見る上で、理解しておく必要がある。そうしたご指摘がご ざいました。私どものデータの基礎となっている医師・歯科医師・薬剤師調査につい て、簡単にまとめたものです。この中で実際に医師の値をどれだけ正確に把握している かということに関しては調査があります。この頁の2行目に下線を引いたように、生存 率を補正した場合に、実際に各医師がこの調査に応じて届けている割合は、約9割とい う形です。したがいまして、日本の医師で、約1割については、私どものデータに反映 されていないということはあります。ただこれはもうご引退している医師の方、あるい は子育て期、その他で実際にアクティブに活動なさっていない医師の方が、全医師の中 で一定数おられます。そうした方々を除けば、アクティブに活動なさっている医師のほ とんどは、この調査で含まれているものと考えています。以上、事務局から今回提示す るデータです。  前回、各委員の先生方からいただいたご意見の中で、まだまとめ切れていないものが ありますが、それに関しては次回以降の検討会で資料として提出させていただきます。 お手元にあるグレーのファイルは、前回の資料をそのまま取りまとめたものです。ご参 考としてお使いください。そのまま残しておいていただければ、次回以降も新たに資料 をファイルしていくという形にします。以上です。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。前回、こういうデータがあればということで、事務 局で揃えていただきました。いまの説明で何か質問、コメントはございますか。 ○泉委員  定員についての資料を出していただきましてありがとうございました。県別の医師数 と定員とあまり相関が見られない、というコメントもあったのですが、大学は古いもの は明治時代にできておりますし、新しいものは最近ですので、これまで輩出した卒業生 の数を考えると、かなり医師密度との関係は高いと思います。  最近、50年間の都道府県別の医師の数の動きは、1970年代以前の人口の動きと、定員 の動きでかなり説明がつくのではないかと私は考えております。  もう1つは、弘前大学のデータを出していただいていますが、最近東北地方の関係者 の間で問題視されていることは、定員に関係して、関東地方は確かに医学部の定員は多 いのですが、私立大学の割合は相対的に高い。国立を受験する人と、私立を受験する人 はどうしても違いますので、首都圏の国立に行きたい学生が、首都圏に定員が少ないた めに東北地方に流れているのではないか。その人たちが結果的に卒業すると、また首都 圏に戻っている。最近特にそういう傾向で、東北地方の地元の学生が入れない状態にあ るのではないか。こういう指摘もございます。ですから、定員の問題は是非どこかで1 度話題にしていただくようお願いします。 ○矢崎座長  そうですね。やはり東北地方の方の医学部の入学者が少ないというのは、泉委員のお 話の裏返しのことかもしれません。その他、ございますか。 ○小山田委員  都道府県別の人口対医師数はよくわかったのですが、その都道府県の中で地域格差が 非常に大きいですがその実体と知るのに私どももいろいろ苦慮しています。  例えば東北地方でも、大体県庁所在地にかなり集まっていて、都市を離れると極端に 医師が少ないです。そういうデータは出てくるものでしょうか。 ○矢崎座長  全国を調べるのは大変でしょうから。非常に医師数の少ないエリアと、さらに2次医 療圏の中で少ない部分があるかどうか。偏在がその中でもあるのではないかというの が、小山田委員のご意見だと思います。どこか東北の県でちょっと調べていただければ よろしいと思います。その他はよろしいですか。 ○池田委員  診療科別の医師数の比較で日米の比較がございました。実は昨日、内科学会の理事会 でも、やはりその話題が出まして、内科学会としても診療科別にどれぐらいの医師数が 必要なのか、という議論も委員会でやろうということに、なったのです。7頁のデータ を見せていただくと、向こうの場合は、専門医認定委員会というので、ある程度患者 数、例えば外科系でしたら、手術件数などを頭に置いて、専門医の数を決めているとい うことで、この診療科別の医師数の比較を日米ですると、脳神経外科や整形外科、外科 系が圧倒的に日本では多い。この算定の基準や手術件数は、日本とアメリカでどのぐら い違うかという比較もデータとして少し出していただく。実は専門医認定制機構でも、 適正な専門医の数はどれぐらいなのか、各学会を通じて算定しなければいけないのでは ないかという議論が確かに出ているのです。それも踏まえて、アメリカでのBoardがコ ントロールしている人数について、日本とアメリカでどのぐらいの違いがあるか。もち ろん人口は違いますので、絶対数ではなく、なにかの指標として出していただけると非 常にありがたいという気がします。  外科系はそういう面ではやさしいのですが、内科系になると、どういう数の算定をす るかという議論は、1回しておかなければいけないという気がいたします。 ○矢崎座長  池田委員が言われたのは、おそらくあるデグリーを取るための到達目標の経験係数だ と思います。ですから、脳神経外科であれば、どういう手術を何で到達目標で要求して いるかということですね。その他、いかがですか。よろしいですか。それでは、ひとま ず事務局で揃えていただいた資料については、またあとで議論をいただくとして、今日 は諸外国との比較について、いろいろご議論があって、医師過剰のときに、本当にどう いうことが起こるか。実際に諸外国で医師過剰の国が、あるいは地域格差、診療格差を どういうふうにうまく誘導しているか、というようなお話を中心に、長谷川委員からご 説明をいただきたいと思います。お手元のパワーポイントの資料もあります。時間も限 られていますので、いま申し上げたようなポイントに焦点を絞って、ご説明をいただけ れば大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○長谷川委員  今年度の特別研究で、「医師需給と医学教育に関する研究」がございまして、その結 果についてご説明したいと思います。国立保健医療科学院は国立医療・病院管理研究所 と国立公衆衛生院が一緒になって、3年前にできた施設です。そこで私は科学部長を拝 任しております。  今日はお話が2つございます。1つは国際的な状況の中で、日本の主に計量的な位置 がどうなっているか。もう1つは、先ほどご依頼があったようなテーマも含めて、国際 的に現在医師軸に関してどんなふうな議論になっているか。この2つについてお話をし たいと思います。  まず、医師数は、日本の医師を国際的に見て、29のデータの中では26で、尻から4番 目です。メキシコ、韓国、トルコが続いています。その上は、アングロサクソンの国々 です。アングロサクソンの国々は相対的には数は少ない。そして北欧系の国々があり、 そして中央ヨーロッパの国々、最後に地中海系の国々となっています。  日本の医師は決して昔は少なくなかったのですが、最近減る傾向にある。相対的に減 っています。OECDの分析になると、スイス、オーストラリア等の規制をしていない 国々では、割と数が多く、規制をしているカナダ、イギリス、ニュージーランド、日本 は極めて少ない。  女性の医師に関しては、日本はいちばん少ない。24カ国のうち、24になっています。 女性の医師数は少ないほうとなっています。一般、専門に関して言いますと、一般は真 ん中ぐらいなのですが、専門が少し低い。実は、日本の開業医の場合は、都心人口の数 は戦後に関して一定であった。他の国々は少なかったのですが、追い越こして最近では 増えているという構造になっています。  その両方を見ますと、日本は開業医さんは一定だったのですが、その他、つまり病院 医が増えてきた。これは点で医師数を1960年〜2000年までを取っています。最近ちょっ と開業医も増えている傾向です。  イギリス、オランダ、アメリカも割と病院医が増えるという傾向であったのですが、 カナダ、フランスに関しては、かなり意図的に開業医を増やしている。そういうふう に、両方ともが増えることになっています。  他職種に関して申し上げますと看護師に関しては真ん中、平均より少し下です。歯科 医師はかなり上になっています。薬剤師になると上から3位ということです。これが大 体国際的な日本の各職種の状況です。  それでは医師需給について、国際的にどういう議論になっているかについてお話を申 し上げます。一言で申し上げて、大変驚きました。私はこの研究を拝命いたしたとき に、1990年代にちょっと分析したことがありまして、それをそのまま使えばいいと思っ たのですが、ガラッと論調が変わっています。特に最近、世界各国でさまざまな報告書 が相次いでいます。偶然ではなく、どうも必然みたいです。具体的には、世界銀行の報 告書で、友人がいるものですべてドラフトの状態で手に入れました。世界銀行に関して は、つい最近ハーバード出版局から出版されると聞きました。そしてOECD各国、つ いこの間ドラフトが出まして、もうじき固まると聞いています。WHOの欧州からも、 今年度1月にドラフトが出まして、これももうじき固まる。それから語学のことがあり まして、英米加しかないのですが、3カ国の報告があり、資料2をご覧くだされば、そ こにまとめてあります。  結論から申し上げますと、議論の基調は、過剰から不足に変わってきている。世界銀 行は、医師以外の人材も含めているのですが、これを見ますと、5つの問題というの は、実は残りの報告書にも共通しています。特に医師で顕著になっています。まず第1 番目に、足りない。それから不均衡。例えばプライマリケアの医師と、専門家の不均 衡、公衆衛生の経費。地域的な不均衡、格差、人が移動する、世界的には発展ゾーンか ら自動流出の問題が大きい。食糧関係が劣悪。そこで、世界銀行としては、4つの方策 があります。これから10年間は、人材の10年と位置づけてやっていこうと。人材を結集 したい。つまり折角、いろいろな医療技術が開発されたのに、ほとんどそれが貢献して いない。そこで、持続的保健システムを開発するために医療人材を確保し、いろいろな グループが共同して対策に取り組むという柱を立てています。これは具体的に国の場合 には5つのステップでやっていくことが進められています。  各国の論調はほとんど変わりません。特にアングロサクソン系の国々では不足という ことで、実際にイギリスでは、医学部の入学定員を2倍にしています。カナダの病院、 アメリカははっきりしておりませんが、もうすでに5%増やした。米国では規制があり ませんので、大学が自主的に増やしたと聞いています。  2番目は、なぜこういうことが起こっているかの背景です。結局、1990年代までは医 療制度改革が進んで、医療のお金の適性化を中心にするような議論が多かった。医療制 度改革というのは、英語でHealth Sector Reform,健康改革と訳していますが、効率と 医療の質の改善に向けて、システムのいろいろな部分を改善していくという考えです。 どうもこの効率のほうに力点が多かった。  というのは、2回の大きなオイルショックがあったものですから、それが原因である と。ところが、21世紀前後になり、いろいろな事件が起こりました。1995年ごろから 2000年の間に、一般に医療の安全、質に大変に関心が高まってきた。そしてさまざまな 対策が立てられていますが、どうも2000年以降の論調が、大きく変わって、そしてマン パワー対策に関しても医療の質を中心に考えていこう。医療の質や安全、医療の標準化 ということで、この5年間の論調が随分変わってきているということです。  それは内容的にどういうふうに変わってきたかというと、なぜ過剰基調から不足基調 になったかというと、まず需要側の変化として、高齢化と疾病転化によるサービスの変 化。つまり、老人病、あるいはケアの必要性ということで、さらに手間がかかるような ものが起こっているのではないか。これらについてはいまさら何でと思われるかもしれ ませんが、次のデータをお見せすると納得していただけると思います。つまり、アジア の国々は、こういうふうに急速に高齢化して、今後日本を含め、韓国はものすごいスピ ードで高齢化が進んでいくわけです。  実はヨーロッパはこうなっています。ここでちょうど1980年代、高齢化のスピードが 下がっているのです。これが現在です。つまり、ヨーロッパの国々は高齢化を再発見し たと私は思います。さて供給側の変化ですが、女医さん、若年医師が増えてきている。 高齢医師が早く退職しつつあるということ、労働基準法の適用、外国人医師が流入して くることは倫理的な問題がある。特に労働時間に関して申し上げますと、このようにフ ランス、ドイツを見ますと、若い人はあまり働かない。この頃の若い人の話ですが。そ れから女性の方はどうしても労働時間が少ない。  実は労働基準法で、EUでは厳密に48時間という話になっています。そうするとこう いう感じで、高齢の医師は働き過ぎということになるわけです。しかし詳しく見ます と、いろいろな国によって需要は違いまして、やはり女性のほうが少ないということは あるのですが、こういうように若人が割と働いているようなオーストラリア、イギリス もございます。イタリア、スペインになってくると、男女あまり変わらない。ラテン系 の男性はあまり働かないのですかね。  労働基準法の適用がものすごく大きなインパクトです。資料をご覧ください。3に書 いてありますが、EUで週48時間ということで、このインパクトは大変大きいもので す。医師も今後は病棟の看護師さんと同様に申し送りをしていく。つまり、主治医制度 は崩壊する。複数の人間が1人の患者さんをを診ていくという構造になっていく可能性 が絡んでいます。医療制度の根本的な変革が導入される可能性があることはすごく大き な課題です。  アメリカはいまのところ一般医師には適用がありませんが、レジデントに関しては、 80時間という規定があります。それもアメリカの教育制度に大きなインパクトを与えて います。最後に、日本には適用されませんが、特に医師の数が少ないということから、 外国人医師がトレーニングされて先進国に移ってくるということで、これはいかん、自 前で養成せよということが議論になっています。  これを見ますと、日本にも適用される部分と、されない部分があります。特に外国人 医師については、現在のところ流入していません。したがって、日本の場合には微妙だ なと思いながらこれを見ていました。ただ労働基準が適用されますと、これは大変大き なインパクトを与えることになるのではないでしょうか。  医師過剰の弊害、先ほどの宿題と聞いていますが、3つあります。一般に医師を医療 界は情報が非対称で、供給側に偏っているので、一言で言うと押し売りができるという ことで、どうしても不必要な需要を生むのではないかという議論もあります。医師が失 業してしまう。粗製乱造で質が悪化する。上の2つについてお話を申し上げます。  資料6をご覧ください。医師供給と需要。医師数と医療費の関係、国民医療費に占め る割合。これはきれいな相関を示しています。これは各国間でも、国内でも同様の傾向 を示しています。また、医師数と外来受診の関係も正の相関を示します。統計的には、 医師数と医療費は相関しています。  ところが意外と賛成論と不支持論と両方ありまして、特に不支持論から言うと、少な いところは必要な需要が喚起された。多いところは過剰かもしれないという議論もあっ たり、あるいは方法論的な問題があったということです。実は11研究論文のときレビュ ーを出しましたが、ゆっくり内容を見ていただくとして、さまざまな意見がございま す。まとめますと、この理論が本当に医療界にも適用できるのかどうか。いままでは医 療界は典型と言われていて、1970年代はこういう考えが強かったのですが、潜在的な需 要の喚起なのか、それとも供給者が需要を作っているのかはわからないではないか。方 法論的に、最近は新患は必要に応じて行くが、再来患者は影響するのだとか、そういう 議論がございまして、結構学問的には面白い論議なのですが、はっきり言うと結論はな いということです。  2番目の医師の失業の問題は、1995年前後にロンドン大学に留学していた技官の葛西 さんという人は、同級生の国々の人に調べてもらった結果で、こういう散布図をしてい たのです。つい最近入手した論文でも、スペインでは約20%近い失業がいまだに続いて いるということです。スペインではタクシーに乗ると安心だと。医者が運転しているか らと。別に上手というわけではなくて、怪我したらすぐ診てもらえるというジョークが あるようです。  今回いろいろな国々のレポートを見て痛感したのは、医師数だけの議論はしていな い。もはやもう数だけではないよと。質の問題や地域偏在性の問題、特に他の職種との 関係をどう考えたらいいのかということを総合的に考える必要がある。もう需要が変わ ってくるのだから、継続性や連携、チーム医療といったものを考えていく必要があるの ではないか。中でも特にいままでは効率1本だったのが、公平、安全ということで、診 療科や地域の偏在をどう是正していくか、という課題がこの報告書の中に盛り込まれて います。  資料5に「スキルミックスの議論」。つまり、各職種間、あるいは専門家とGPとの 関係で、役割分担をもう一遍考え直す必要があるのではないか、という提言がたくさん ございました。その効率性や有効性、経済的な研究というのは、だんだんコントロール トライアルをやられております。看護師さんが一般的にはケアをしてもあまり変わらな いよとか、変わったとか、金がかからないようにという議論があったり、そういうこと のパイロットスタディが各国で行われていたり、そういう政策が契約されていたり、こ の辺の部分が大変にぎやかでした。  前回の宿題の地域偏在の問題について申し上げます。資料4に確か14カ国の地域改善 政策が並んでおりますので、前回ご疑問を提示された方は、これをお読みいただくとさ まざまな手法がとられていることがわかってきます。  それをまとめますとこうなります。教育ポリシー、地方出身者を中心にやろうとか、 奨学金を出そうとか、過剰地域を規制する。ファイナンシャル・インセンティブ、給与 を上乗せするとか、その他、子供の教育や家族、住居との環境整備をするとか、そうい ったようなものがなされているようです。ついでに、専門家の選択に関しては、どうも 一般医が減っている傾向がありますので、影響を与える臨床師として、アーリーエクス ポージャーとか経済的インセンティブが考えられているわけです。  総括として、今回こういう研究のチャンスを与えてくださり大変感謝します。大変興 味深い、単に効率とか、人数合わせというような時代は終わったようです。どのような 地域に、どのような専門で、どういうようなケアのミックスを提供するのかという、産 出側の議論を踏まえて、そして投入の資源をいろいろ考えていく。当然その医療費は、 OECDでは医療の質を高めるために支払い方式はどういうものがいいのか、という議 論までマンパワーの中にございました。そしてその医師需給、特に医師に関してはその 他の職種とのスキルミックス、役割分担をもう一遍考え直す。協会の考え直しというこ とが提案されていて、医師需給の課題というのは数だけではなく、そういう全体的な医 療システムの設計の一部としてなされる必要があることを痛感しました。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。大変豊富な資料を揃えていただきまして、それをコ ンパクトにご説明いただきましてありがとうございました。 ○長谷川委員  これが報告書の本物ですので、もしよろしければ順番にお回しいたしまして、ご覧い ただければと思います。 ○矢崎座長  それでは長谷川委員に、いまの外国の事情をメインとしたご質問を受けたいと思いま す。 ○吉村委員  大変素晴らしいご発表をありがとうございます。2点お伺いします。1つは開業医と 専門医の比率がアメリカで出ておりましたが、アメリカの専門医はほとんど自分のオフ ィスを持ってやっている。それは開業医に入っているのかどうか。2点目は、諸外国に おける医師の育成と、その供給をコントロールする組織といいますか、これは医師会が やるのか、あるいは大学がやるのか。あるいは厚労省のような所がやるのか。その辺は いかがですか。 ○長谷川委員  前者につきましては、なかなか定義は難しいです。次に数の把握もなかなか難しい。 実は、日本で何人実際に働いている医者がいるかということはわかっていないのです。 3師調査で報告しない人がいるのです。そういうことがあって、アメリカの場合の開業 医さんは、私の理解ではGPと言われる方と、ファミリーフィジャンという方がおられ ます。専門医さんも開業医さんもみんなオフィスを持ち、普通は病院には属せないこと になっています。ですから、その辺は、GP医師さん、ファミリーフィジャン以外の方 に分けて分析しています。  後者については、かなり政府のほうから強い規制がある国。端的には学校等が国立で あったり、公立であったりして、国のほうで医師入学定員、養成定員をコントロールし ている国と、各大学に任せている国があるようです。当然前者の場合には、委員会等を 作って、医師需給の必要人数を計算して、そして各医学校に規制、命令する。後者につ いては、つぶさに調べていませんが、その典型例がアメリカだと思います。アメリカの 場合は規制はありません。ただ、政府と医学校と医師会のグループが集まって、「CO GME」という委員会を作っています。そこは生徒はお金を出して、その委員会をはし らせて、そこが計算して、これぐらい必要という提言をして、強制ではないですが、各 医学校にそれを勧めるという構造になっているようです。いずれにしても、確かに職能 団体の単位が重要な役割を果たしているというように聞いています。以上です。 ○矢崎座長  その他はございますか。 ○古橋委員  いまの報告は大変興味深く伺いました。現場におりますと、まさしく日本も同じ歩調 で、同じ状況の中で事は動いているという気がするわけです。  やはりチーム医療や、新たなスキルミックスの必要性辺りを、私も本当に痛感してい ます。最後の医療システム設計という図の中で、リソースミックスやスキルミックス等 が、比較的先駆的に動いている国、というような実例があるのかどうかをお伺いしたい のです。  また、医師の教育の中で、パートナーシップというものが日本の中ではどう教育され ているのか、文科省の医学教育課長もおられますので、このことの現状を伺ってみたい という気がします。 ○長谷川委員  先ほど、ちらっと申し上げましたが、割とOECDからもスキルミックスはどうある べきかというドラフトが提出されて、それを見ました。大変いろいろな研究が進んでい るようで、まだ実行段階にいっているのかどうか。ただいくつかの国でパイロットでや っているとか。アメリカでは伝統的にプラクティカルナースというのがあって、看護師 さんが一定の処方等をすることは、昔からやられていることです。それを超えてやって いるというのは、その文献ではいくつかの国々でパイロットでやっているとお聞きしま したので、うまくいっているかどうか文献からはそれはできませんでした。  第2番目の質問で少しだけ申し上げます。いろいろな国で医師のコンピテンシー、医 師のあり方という大議論がありました。少なくともアメリカの場合には、IONという 研究所が、医者として必要なコンピテンシー、能力をいくつか挙げています。その中で 「チームとして働くことは必須である」と書かれています。実践されているかどうかは 知りませんが。 ○矢崎座長  チーム医療とか、パートナーシップというのは、医学教育で極めて重要です。これは おそらく吉村委員、全国医学部長病院長会議、その他の教育方針として、基本に据えて いるような気もしますし、国家試験にもそういう部分が大きく反映されていると思いま すが、吉村委員のお立場でいかがですか。 ○吉村委員  もちろん医学教育のコアカリキュラムには入っております。1つ逆にお伺いしたいの ですが、アメリカでは麻酔の医者は足りなくても、ナース・アネステティストや、ある いは薬剤師も場合によっては医師の処方箋なしに処方を出せるとか、総合的な協力もな されていると聞いていますが、その辺のことはいかがですか。 ○長谷川委員  先ほども申し上げたように、いくつかのレポートがありまして、その中でいちばんよ くまとまっているのはOECDのものです。今回、つぶさにそこまで調べていません が、一般医と専門医とのミックスのことも書かれています。たぶん、薬剤師の実験や ら、パイロットはあるのではないですか。すみません、見ておりません。 ○吉村委員  慶応大学では、スキルラボの中で医師とか、あるいはコメディカルの人が一緒にやっ たりとか、それから今度、文科省のでも地域医療に関する総合的な取組みに補助金が出 るということをお聞きしています。これは医師だけの問題ではなく、是非進めなければ いけない課題だと思います。 ○長谷川委員  医療安全の研究を進めています。そこでは、チーム全体で、看護師、医師も一緒に勉 強するということは大変重要ということで、アメリカはたくさんの実例があります。 ○水田委員  その中の1つとして、日本でも救急救命士の人たちが挿管とかできるようなことを、 病院のほうで教育するようなシステムになってきていますので、少しは進んでいるのだ と思います。  いまの長谷川委員のお話を聞きますと、学問としてはこれからの医療とか、医師の不 足をどういうようにしていくかとか、どんどん進んでいっているのに、実際のフィード バックが少ないと思います。それを検討するのがこの委員会だと思うのですが、本当に 興味あるお話でありがとうございました。 ○矢崎座長  その他、いかがですか。 ○池田委員  チーム医療の件ですが、実は慶応大学では、今回卒後の医師臨床研修の必修化という ことで、言ってみれば大学病院に人が足りなくなった、そういう状況に追い込まれたと いうことで、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師が病院の中でどういう役割の分担を するかもう一回見直そうということで、徹底的に議論を致し、業務の調整をしました。 おそらくどの病院もそういうことをやり始めているのだと思いますが、それがどういう 形になっているか、1度それぞれ検証してみること、そして、その結果として何が改善 されたのか。  いまのところ1年間見ていて、看護師、薬剤師、検査技師の積極的な医療への参加、 いままで以上の深い参加ということで、随分医療の形態が変わってきたということで す。それは先ほど長谷川委員が言われたことでもあり、医療は確実にそういう方向にい くのではないかという実感です。  長谷川委員に1つお聞きしたいのですが、労働基準法で、労働時間を厳格に守ってい く格好になりますと、おそらくいままでの主治医という制度が崩れることが予想され、 患者さんの意識も変わらざるを得なくなる。患者さんが重症になった時、今迄だったら 主治医がその人にずっと夜中付き添ってもらわなければ我慢できないような、そういう 感覚にどうしても患者さんの側としてはなります。やはり継続と連携をうまく医療側で 提供できるようにやっていかなければ、なかなか病院では重症の患者は診られなくなる と思うのです。  長谷川委員が示された各国の医師の平均労働時間がありましたが、これはどういう医 師を対象にしているのですか。全体の医師ですか。病院だけではないですよね。 ○長谷川委員  全体だと思います。OECDのレポートから取りました。 ○池田委員  そうですね。場合によってはオフィスを持って開業している先生と、病院で働いてい る人との差は相当大きいだろうと思います。先ほど長谷川委員がアメリカのレジデント は80時間と言われましたが、80時間というのはかなり頑張って働いている訳で、レジデ ントは働くものだという感覚があるわけですよね。 ○長谷川委員  そうですね。しかし一応は消えますので、アメリカの病院経営は随分苦労しているみ たいです。つまりレジデントに頼った部分がものすごく多いものですから、いまは病院 が医者を雇って、病院の中に医者がいると。アメリカは医師が病院に属していません。 開業しています。ところが病院で働く医者が増えてきているようです。  病院で働く医者が増えているということは、医療安全上非常にいいと。いままで看護 師が中心になっていた医療安全が、医師も加わっているので非常にいいというご意見も ありますが、一方で継続性、レジデントとの間の関係が難しくて、ご本人の労働課題か ら言うと、安全性の課題から、診療時間を制限したほうがいいという話になっていま す。何か事故がきっかけだったそうですが。逆にいまは反省期に入っている。つまり、 申し送りがきちんとされないようになって、果たしてそういうように制限するのがいい のだろうか、という議論が起こっていることも聞きました。 ○水田委員  アメリカの友達が言うには、もし80時間過ぎていたら、電話がかかってきてその人が 答えたら、その人の上司が叱られるのだそうです。「Dr.○○は、何でいるんだ。な んで帰せないのか」ということです。それからイギリスも厳しくて、42時間ということ ですが。友達が心配しているのは、自分たちのときは48時間でも、24時間でも泊まりっ ぱなしで、一生懸命トレーニングを受けたと。今の人たちをどうやってトレーニングす るのか。それで救急なんか見られないではないかと。日本だと40時間ですよね。5時過 ぎたら帰ってしまって、夜の急患はどうやって勉強するのかと思うのですが。そうなり ますと、やはり研修医のトレーニングや、そういうことまで問題になってくるのではな いかと思います。ただ、時間だけでというのは、労働基準局が言うのはそうですが、そ このところがどうかなと思うので、ちょっと心配になってきます。 ○長谷川委員  去年の5月にアメリカに視察に行ったのですが、医学教育にものすごく大きな変化が 起こっているようです。安全性の課題と時間の問題の両方を含めて、実際の患者さんに 医学生が接する、あるいは研修医が接することは難しくなってきています。それをスタ ンダード・ペーシェントというもので代替えしていく。端的にはシュミレーター、シュ ミレーションする。例えば模擬患者とか、コンピューター、マネキンを使ってトレーニ ングするということで、そういう技術やら、手法が随分開発されてきているようです。 あくまでもそれは1つの手法であって、医学教育の中で平等に患者さんを診る。午前は 診て、午後はそれをするというような、総合的組み合わせをしないと、それだけでは絶 対に教育にはならないと言っていました。 ○矢崎座長  その他にどうでしょうか。確かにいままで臨床研修というのは、アメリカのシステム がいいから見習おうというところもあったと思いますが、アメリカもそういう大きな変 革を起こしているわけですね。 ○長谷川委員  私はアメリカでトレーニングを受けたものですから、そのときに調べたら、アメリカ では過去に3回、大きな医学教育革命があったようです。この5年間ぐらいは4回目だ と言っています。 ○吉村委員  いまの主治医が崩れるということは、治療の一貫性が非常に損なわれる可能性がある のではないかと思います。もちろん十分にチームでもって、その中で見ているようなそ ういうシステムならよろしいですが、おそらく各地方の病院で1人とか2人とか、非常 に少人数でやっているときに、そういうことが起こったら、「前の先生はこういう方針 だったけれども、じゃあ私はこうだ」と言われたら、これは全く崩れてしまうので、医 療の根幹にもかかわるような大きな問題になるのではないか、大変危惧されるところだ と思います。 ○池田委員  先生がおっしゃったように、やはり日本の医療のきめの細かさというか、患者に対す る思いやりや、やさしさというのは、欧米とはひと味もふた味も違った良さが、明らか にあると思っています。それを踏まえながら、いまの国際的な方向性も議論していかな ければならないと私自身は思っています。とても難しい課題であると痛切に感じていま す。 ○本田委員  興味深い研究報告をありがとうございました。患者としては、主治医の仕組みが、労 働基準の関係で変わっていくというのはすごく大きなインパクトがあります。私自身 も、初めから乳がん治療をして下さっている先生を、病院が変わっても追い駆けて診て もらっていますし、同じような患者さんもたくさん知っています。そういう患者の意識 も変わっていかなければいけないのかなと思いますが、一方で初めの段階から、1人の 医師ではない、チームで患者にかかわりをもってくれれば意識も変わっていくのかなと も感じました。感想まで。 ○矢崎座長  ありがとうございました。 ○長谷川委員  我々というか、医療界のほうが新しいシステムに慣れていないというか、作っていな いので継続性等がうまくいかないとか、それとも根本的に主治医というものの概念が必 要なのか、よくわからないところがあるのですが。我々のほうからの選択ではなくて、 法律のほうから、例えばEUならEUの取り決めで決めてしまったわけです。日本の場 合も厚生労働省です。いろいろな労働基準があると、そこから出発していますので、結 局、それにどう対応するかということが1つ根っこにあって、それで医療界はどうある べきかというようになるのではないかと感じています。 ○矢崎座長  その他、いかがですか。方向性としてわが国の医療界は、そういう方向に向かわざる を得ないのですかね。 ○長谷川委員  どうなのでしょうか。 ○矢崎座長  もしそういう方向にいくとしたら、やはり患者さんの視点から言えば、医師のレベル をきっちり揃えてほしい。もうデコボコがあったら、その方の運に定められてしまう。 ですから、プロフェッショナルとして医師の研修教育をして、あるレベルまで医師の能 力を揃えないとそういうシステムにはなかなか皆さん納得しないのではないかと思いま す。 ○長谷川委員  それと同時に、診療の標準化と情報の標準化をして、それをそのまま次の医師に渡せ るようにするなどということが絶対にないと、事故が起こりますね。むしろ現在、それ によって逆に事故が起こっている。 ○本田委員  いま座長がおっしゃったように、診療のレベルもそうですし、医師のレベルもデコボ コでというのでは、患者は不安でたまりません。まさにいまの専門医制度もそういう状 況で、本当に信頼できる専門医制度でもないので、併せてそこのところもきちんと標準 化してほしいとすごく強く思います。 ○矢崎座長  私は、もしデコボコがあったら問題ですねということで、決め付けたわけではないの で。申し訳ありません。 ○吉新委員  スペシャリストの部分というのは、どんどん進むし、どんどん細分化するでしょう し、カリキュラムにも載りやすいし、標準化も非常にしやすいと思うのです。例えば、 へき地の部分や離島など、グループ・プラクティスもできないですし、グループ・ダイ ナミックスも効かない。自分1人でやるしかないとか、小さな島などでは基本的には 365日、24時間いなければいけないという部分があるのです。ですから、スペシャリテ ィーの部分の対極のゼネラリストのスペシャリストを、国としてきちんと整備しなくて はいけないのではないかと思うのです。例えばアメリカのファミリー・メディスンの部 分やイギリスのGPなどに当たる医師は日本はなくて、病院の専門医を辞めると開業し て、自分で一般医と称してやっているのだと思うのですが、プライマリーケア・フィジ シャンは国としてスタンダードを作るべきなのではないかと思うのです。  スペシャリティーの話はどんどん進みますが、例えば私が伊豆などで医療をやってい ると、東京から小児を連れたお母さんが来て、「この辺には小児科医はいないのか」と 専門医を求めるのですが、全くいないのです。遠い沼津まで行かないときちんとした入 院施設がないと説明すると、仕方がないから診てくれという状況のときもありました。 国民レベルで、ゼネラル・プラクティスなどの必要性、そういう人たちが果たす役割を きちんと定義するなり、しっかりした体制の中に組み入れなくてはいけないのではない かと思うのですが、どうでしょうか。 ○矢崎座長  いまの吉新委員のお話で、アメリカではゼネラル・フィジシャンという、日本ではな いクライテリアの医師がたくさんおられますよね。 ○長谷川委員  アメリカの社会は専門家志向の社会ですから、結局GPがだんだん減ってきたときに 一般医を確保するのには、新しい専門を作らなければならない。家庭医という専門医を 作らなければならないということで、家庭医の専門医を作った。ところが、また内部で もめて、内科のゼネラル・メディスンと家庭医がいまだにもめているという噂を聞きま した。そのように専門性を作ることによって、若い医師を養成するということを考えた ようです。 ○土屋委員  医師の需給に関する検討会は、過去に3回ありました。この3回の検討会の結論は、 いずれも医師は過剰になると。したがって、医学部定員数を1割ぐらい削減するという ことが提言されてきましたが、医師は将来的にも過剰にはならないのではないかという 視点からの検討も併せてする必要があるのではないかと考えています。我々はいくつか の根拠を基に、そういう角度からこれを進めていこうとしておりますが、先生のお話に ありましたように、平成10年の前回の報告書でも従来と同じような結論だったのです が、2000年代になってから大きく変わったと。新たな潮流で先生ご自身がびっくりなさ ったというお話だったのですが、こういう話はよくある話で、異業種でいちばん我々が 経験したのは経済です。  バブルの時代を迎えて、みんながこれに浮かれた。そうしたら、途端にこれが弾けて しまったときに、経済の専門家なるものがこれを予測して、どう対応すべきかというこ とをおっしゃった方は一人もいらっしゃらなかった。経済学者で、私が知っている2、 3人の方に、「先生、これが予想できなかったんですか」と申し上げたら、「いや、実 は私自身もえらい被害を被りました」と言っていました。その先生は大新聞やいろいろ なものに論文もお書きになっている偉い先生ですが、この医療の分野もその辺りが同じ ような雰囲気で、大きく遅れてしまっているのではないかと危惧しています。  総論的なことで、いままでの3回の検討会の結論はそうだったのですが、将来的に日 本がいま先生がおっしゃったような方向に向かうかどうかは今後の問題で、慎重に検討 しなければならないと思いますが、医師は過剰になるから医学部の定員は削減すべきで あるという従来のような考え方は、全く引きずってはいけないのだということですか。 ○長谷川委員  国際的にはそういう議論になっていますが、たくさん医師を抱えすぎて悩んでいる国 もありまして、ベルギーやスペインなどは相変わらずそういうことになっていると思い ます。私は、大変慎重に考えなければならないと思っております。というのは、長期的 な展望と短期の現象減少を仕分けして対策を立てていくことが非常に重要かと。現在、 毎年8,000人近い卒業生が医学部から出てきます。したがって、それがずっと出続ける わけですので、マンパワーの大変重要な問題は長期的な予測をしなければならないと。 計算すると、18歳人口はどんどん減ってまいりますので、いま200人に1人ですか。 2030年には140人に1人医師がいるという状態になっていくわけです。そういうのが適 切かどうかというのが1つあると思うのです。目の前で現在、医者が不足していること は明らか。かなり多くの地域やいくつかの専門分野では、間違いなく不足しておりま す。ですから、長期的展望をどうするかということと、短期的にいま現在の不足をどう するかということは、分けて考える必要があると思います。  短期的な課題として言えば、足りないのは間違いないので、すぐに手を打たなければ ならないのですが、長期的には慎重に考えたほうがいいと思います。欧米が足りないと 言っている意味は、先ほど申し上げた供給側と需要側のものがありますね。日本の場合 に微妙に、例えば女医の数が少ないとか、労働基準法が今後どうなるかわからないなど ということがありますので、研究としてきちんとタイムサージするとか、女医の労働時 間を計算するなどといった、きめの細かい分析をする必要があるのではないかと感じて おります。 ○土屋委員  ありがとうございました。こういう議論をしているときに、必ず出てくるのが医療費 の問題です。従来その根底には病床を削減すべきである、医師数が増えるとやはり医療 費が膨張するという考えがどこかにあって、議論をしてくると、そういう邪念が入る と、純粋にどうあるべきかという、あるべき論がひん曲げられてしまうと思うのです。 例の医療計画の中の病床規制にしても、確実にこれが病床を削減するという方向に向か っております。医師数も、先ほどの先生の供給は需要は喚起するのだというお話はそう なのでしょうけれども、それが果たして本当に悪なのか、いけないことなのか。医療費 が増大するから、それは国民の幸せにつながらないのかという話は、ここできちんと押 さえておかなければいけないと思うのです。財源ということを抜きには考えられない。 これをまず頭に置いてやるべきだと言う意見もありますが、こういう議論が純粋にでき ないようになってしまうと思いますので、まずは、その辺りは別に置いて、議論を進め ていくべきだと思います。 ○矢崎座長  議論は尽きないところですが、一応、資料3に前回の委員のご意見の主なものを列挙 されていますので、事務局から少し説明していただいて、議論を続けたいと思います。 ○井上補佐  資料3について説明いたします。資料3は、前回の第1回検討会において、各委員か ら発言があった事項を項目別に大きく整理し直したものです。1つ目の「現状について 」に関しては、「患者の視点では医師は不足している」、「現場の繁忙感は強い」。 「過剰というこれまでの認識は正しいのか疑問である」、「診療科別の格差は大きい 」、「県別の格差が大きい」、「地方では大学病院でも医師が不足して、派遣余力がな い」といった意見がありました。  2つ目の「医師の需給に大きな影響を与える要因」に関しては、大学、医局、あるい は学会が全体を見据えずに医師を手元に集めることが需給バランスを乱しているという こと。労働基準法の強化の影響は、複数の委員からご指摘がありました。特定の診療科 は新規の医師の参入が少ない。都道府県別の医学部定員の問題。女性医師に関する言 及。患者と医師の関係が変容したことによって、1人当たりの診療時間が多くなってき ている。多くの地域医療を担っている医師が、いま大量に引退年齢にあるというご指 摘。医師の気質が特に若い世代で変わってきているというご指摘がありました。こうし たことが医師の需給に影響を与えているのだろうというのが、前回委員の中からあった ご意見です。  さらに「検討すべき課題」については、大きく3つにまとめて各委員の意見を整理し てあります。地域偏在に関して、外国で不足地域へ医師をどう誘導しているのか参考に するべきだというご意見。医療施設の集約、医療提供体制の効率化は対策としてあるの ではないかというご意見。医師の分布に関して、国が関与して規制をするべきだという ご意見がありました。  2頁ですが、診療科別の医師の偏在に関して、学会や職能団体が分野別の医師数をコ ントロールすべきではないかというご意見。本日もご意見がありましたが、それぞれの 診療科とともに、家庭医(ジェネラル・プラクティショナー、ファミリー・メディスン )などの分野に関して、養成あるいは制度化があるべきではないか。そうしたことにつ いては、専門医認定制機構で現在検討中ですというご意見。専門医の問題、診療科の問 題を論ずるときには、それぞれ地域別の均衡ということも併せて考えるべきだというご 意見がありました。  単に地域偏在、診療科偏在ということではなくて、良質な医師の養成・育成・確保と いうことのご意見がありました。その中の問題点の指摘としては、我が国では問題があ る医師を排除する市場の原理が欠如していて、医師を適切に評価する仕組みが必要だと いうご意見。日本では一旦免許があれば無制約ですが、諸外国では専門的医療には一定 の条件が必要となっている。そうしたことも質のコントロールでは検討すべきではない かというご意見がありました。  いまのような形で分類はしませんでしたが、その他にあった意見として、4の「その 他」でまとめてあります。医師が過剰になることは何か問題があるのか。なければ、過 剰になってもいいのではないか。実際に医師が過剰になっている国の事例を検討すべき だというご意見。医師の不足というのは、地域や診療科ということではなくて時間帯と いうこともあるので、時間帯による不足の実態も把握をするべきだというご意見。数字 の比較というのは国外との比較、それぞれ制度の違い、勤務実態の違いもあるので、そ うしたことを斟酌した上で解釈が必要だというご意見。本日の資料でも示しましたが、 医療法の人員配置基準が医療の実態に合っていないということが、医師の需給について の考え方を混乱させているのではないかというご意見。一律には議論できない、いくつ かのタイプの医療機関別に、あるいは医療現場それぞれの客観的なデータを基に検討す る必要があるというご意見。過去数回、医師の需給検討会が行われてきていますが、そ のときとは社会的な背景、医療を取り巻く背景が変わってきている。それを踏まえた議 論をすべきだというご意見。医師の働き方は個人差が大きいので、勤務医の勤務実態、 あるいは女医の勤務実態等、個々の医師の働き方を踏まえた医師の需給推計が必要だと いうご意見。今年から卒後2年間の臨床研修が必修化されましたが、3年目以降の医師 のトレーニングのあり方が医師の需給を考える上で重要だというご意見がありました。 前回の各委員の意見をいくつかに分類してまとめたものが以上のような整理です。 ○矢崎座長  本日は、奇しくも資料3の前回いただいたご意見に沿って、具体的なデータが提示さ れ、議論をしていただいたことになると思います。前回のご意見、そして今日のご意 見、さらには長谷川委員のデータ、その他をもう一度振り返って、残った時間を有意義 なものにしていきたいと思っておりますので、ご意見をよろしくお願いいたします。 ○小山田委員  私ども自治体病院では、100床以下、ドクターが5人以下の病院が300ぐらいあるので す。今後を考える場合、労働時間と医療の質を確保するのに、一つの病院で最低限必要 な医師数が決まってくるのではないかと思うのです。例えば当直、時間外ということか ら考えると、最低限6人とか8人ないとやっていけないのではないかという観点。それ から、1診療科に1人ということは、医療の質と労働ということから考えると、無理な のではないか。将来は5人、6人以下の病院というのは、単独ではあり得ないのではな いか。ネットワークを作る、あるいはサテライト化するなどということでないと、両方 を満足できないのではないかという考えを持っているのですが、どうですか。日本の地 域の小さな病院で、産婦人科医が1人おり、内科医と外科医の3人でやっているという ようなところは、諸外国ではあるのですか。 ○長谷川委員  もちろん、発展途上国では圧倒的に医師が足りませんので、そういう事例はたくさん あると思います。かつアメリカでも、ローカル・ホスピタル、田舎の病院に関してはも のすごく頭が痛いので、私はいくつか報告書を読んだ記憶があります。各病院の医師数 まではわからなかったのですが、私はアメリカの小さな病院にアルバイトに行っていま した。医者が5、6名でやっていました。だから、アメリカでもあるのではないでしょ うか。おっしゃるように、クリティカル・マス、最低限の陣容というのは必要ですね。 そういうことはきちんと研究をして、このぐらいは必要だということを、例えば労働基 準法も含めた形で検討する必要があるのではないか。その次にどう確保するかというの がなかなか頭が痛い課題だと思うのですが、同感です。最低限必要な人数というのはあ るのではないでしょうか。 ○古橋委員  資料3にもありますが、私は時間帯による医師の不足ということを現場から本当に痛 感しております。すなわち夜の体制です。夜間は数の不足もそうですが、医師が行う医 療の質と量の不足も大きいのです。結果的に医師たちは、驚異的な長時間労働も強いら れておられます。そしてそばで仕事をする看護の立場から言うと、非常勤契約の当直医 体制の病院もあると思いますが、「何でそんなことで俺を起こす」とおっしゃる場合も あれば、「何でこんなこと早く言わなかったか」もあればで、非常にナースもストレス フルです。  それから、そういう契約の医師は主治医への連絡を渋られて、本当は医師同士の連携 が必要なのに、ナースに主治医に連絡をしてくれという場面もあります。でも、前日フ ルに働かれ、夜当直し、そして翌日もまたフルタイムで働かれる。当然疲労がたまりま す。また、「年休を取るように」と最近言われはじめ、「えっ、僕たち取れるの」とい うことを本当におっしゃるドクターもあります。労働基準法適用などが入ってくると、 医師の需要・供給の切り口で本当に脅威と思います。でも、医師の夜間交代制勤務とい うことがプログラムされ、高密度の医療の機関においては目論まれていかないと結果的 には患者の安全の問題にかかってまいります。夜間、医療業務に就いておられる医師の 年齢層は、どのぐらいの方たちなのかと同時に、交代勤務ということの検討が始まらな いと、医師たちの労働時間負担は大変大きい現実があります。私は先ほど長谷川委員の 報告を伺って、日本も諸外国と同調していることがわかりました。行政側もそういうこ とに敏感に反応し、対策を練るというスピーディーな処理が要るのではないかと思って おります。是非ご検討いただきたいと思います。 ○泉委員  医師不足は茨城も一緒だと思いますが、特に小児科、産科など、医師不足が顕著な領 域において、各公的病院、拠点的な病院で医師確保をするために、各病院の院長先生方 がいまおっしゃるのは「看板をください」ということなのです。これは国の何とか指定 でもいいし、県の指定でもいいし、何か診療報酬を取れるようなことでもいいのです が、看板があれば医師が集まる。最初はそうですかということで、県独自の看板でもい いならいろいろ考えようかと思っていたのですが、実は地域の中のゼロサムで、看板が あるとそこに医師を集めるためにほかの所から引き抜かれるという状態になっていま す。  いま小児科にせよ、産科にせよ、拠点病院を作ろうということを学会でご検討されて います。これも拠点となればそこにはそれなりの医師の数がいて、院内の体制も継続可 能な負担での勤務体制がとれることになるのですが、そうでない病院はますます減って いくということです。この拠点化は、医療の質を確保するためには良いことなのです が、一方、地域によってはそうした所に医師が吸い取られてしまって、それ以外は地域 に医師がいない、あるいは都会の拠点病院に地方から吸い取られてしまうということ で、拠点ということも少し全国的な配置を考えないと、ますます地域の医師偏在を助長 することになりかねないかと、最近懸念をしております。 ○吉村委員  大学の立場から言いますと、大きな都市には非常に多くのいろいろな病院があるわけ です。例えば社会保険病院、市立病院、県立病院、生協、日赤など、それぞれがすべて 総合病院で急性期ということで、医者をくれ、婦人科が足りないから出せと言われて も、ご承知のように大学はいま大学自身が足りない状況ですので、とても応じられませ ん。統合すると言っても、いま泉委員がおっしゃったように、拠点病院というのは非常 に良い制度だと思うのです。特に欧米では非常に集中して、例えば手術の数でも、アイ オア大学は年間手術例が2万件ぐらいある、ある国立病院は同じような規模で1,200で、 逆に人間は6倍いると。そういったことで非常に集中しているのですが、日本では「お らが村の」という感じで、各村長さんなり町長さんが選挙公約で総合病院をつくる、そ こに医者を出してくれと言われても、それに全部応じるというのはなかなか難しいわけ です。拠点病院ということになると、そこだけが日が当たるということはあるかもしれ ませんが、将来的には集中していかないと、すべてに夜中も全科対応できるということ は、これからよほど医者が無尽蔵にいれば別ですが、難しくなると思います。いま泉委 員がおっしゃったことは大変大きな問題だと思います。 ○土屋委員  いまの拠点病院に関することですが、これはいま医療計画の中でも検討されており、 社会保障審議会の部会のほうでも出てきて、「主要疾患ごとに拠点病院を指定する」と なっています。私どもの意見としては、それも大事なことだと思うのですが、それぞれ の地域における医療資源を最大限に活かしたネットワークを構築した上で、中心となる べき拠点病院を指定するべきであると申し上げています。というのは、拠点病院を指定 して、でかでかと看板を掲げますと、いまおっしゃったように例えば小児救急では、初 期救急からワッと押し寄せるわけです。高次の救急医療機関として果たすべき本来機能 が発揮できないという状況が起こっているわけです。国立がんセンターは、いま千何百 人の待ちがあるとききます。国民あるいは住民の患者の立場からするならば、当然専門 家のいる設備、機器の整った所でと考えるのは無理もない話なのです。そういう形で、 ミスリードをしないということを十分考えないといけない。そのためには、まずネット ワークを作った上で必要な患者をそこに紹介するという格好にしないと、それぞれの高 次の機能を持った拠点病院としての役割が本当に果たせないのではないか、というのが 私どもの意見です。今後それぞれの地域における医療提供体制をどういう具合に作って いくかということは、現状を把握した上で、それぞれの地域で一旦全部壊して、新たな 体制を作るのだというなら話は別ですが、既存の医療資源を最大限活かしていくという 考え方が現実的でもあり、いちばん必要な考えなければいけない点だと思います。 ○江上委員  長谷川委員が提出なさった資料編の資料2−3の「WHO−EURO報告」で、特に ヒューマンリソースの面から考察したレポートを拝見すると、自分の問題意識と大変近 い。患者サイドから現在の医療と医師への期待を見ると、高度化した医療機関では手術 の待ち患者数も多く、逼迫した状況の中で優れら技術の医師に対する需要は高くなって いるのですが、いわゆる個人病院のケースは需給においてどうなのか。医療機関の地域 別、性格別、あるいは医師の専門別、また類型別により、事情はかなり異なることが散 見される。その類型化を整理した上で、患者との市場原理で、どういう立場になってい るかその構造図が見えない。全体を集約して数の議論だけしても、確かに不毛で、市場 におけるいまの構造が見えてこないと、どういう医療体制にすべきかということも、ど こに重点を置いたらいいのかということも見えてこない。かなり高度化した医療機関に ついては、科学技術が加速度的に進行する仕組みと、そこに大手の医療機器メーカーが ビジネス競争原理で集中しますから、いろいろな形で組織的な仕組みも、チーム医療 も、コンピテンシーの進化も進んでいくと思います。全体像として、どういう類型化の 医師にはどういう能力が必要で、どういう仕組みがあるのか。その構造が見えていない ということが課題としてあります。  もう1つは、このペーパーにも「IT化や医療技術の発達」という文言があるのです が、例えば家で家族に何か危険な症状が出たとき、それをデジカメで撮って、体温や血 圧などを測定し、それら画像と数値と定性的情報のデータをメールで送り、主治医がそ れを見て、「これについては問題ないから1週間様子を見ていますよ」とか、「どこど こに行ったほうがいいでしょう」という形で、患者側との間のIT手段の活用、あるい は医師以外の医療ビジネス関係でそういう拠点を作るということでも、医療援助の仕組 みと構造が変わっていくのではないかという気もします。ITという観点での医療サポ ート、あるいは医療の仕組みの変化が与える定常的なスタイルというのはどうなるの か。この辺も少し議論を深めたいという感想です。 ○矢崎座長  一言では答えにくい課題だと思います。IT化に関しては、いま国としても厚労省と しても医療におけるIT化を推進し、特にへき地医療や遠隔医療ということで、この問 題を解決しようという動きをされているところです。長谷川委員、いまの2つの課題に ついて、外国と対比しながら何かお答えできますか。 ○長谷川委員  患者の立場から言えば、良いドクターというのですか、簡単にアクセスできるという のは、お互いの負担も減らすし、若干、医師数の軽減も図れると思うのです。でも、つ くづく思うのは、かかりつけ医がおられて、普段の状態を把握した上で、そういう電気 的な情報で正確な信頼ができる。全く何もなしにそれだけではかなり危ないと思ったり するのです。ITに関しては、先ほど申し上げた継続性の観点からは絶対に重要で、同 じフォーマットの情報が1人の人間に1つくっついているという状況で、病院に行く、 診療所に行く。高齢化してまいりますと慢性疾患を抱えますので、それがまた悪性化し たりする。その経緯を辿って、情報が一貫したものになる必要があるということで、い わゆる情報インフラのようなものをを整備しようということが各国で流れています。私 はアメリカのほうは詳しく、ほかの国については詳しく知りませんが、そういうのは1 つあります。  それから、病院と病院の間でいろいろな情報、例えば病理の情報をやり取りするとい うのも進んでいるようですし、特定の疾患、糖尿病をベースにして診療する病院と、在 宅でITを使ってつないでいこうというのがあるとお聞きしました。最近では、喘息の スパロメーターというので、それをモデムでやって抽出して指導を受けるとか、高血圧 の指導などにICチップで自己血圧をインターネットでするというのがありますから、 江上委員のおっしゃっていることはかなり近いところまで来ているのではないでしょう か。それが成功する条件はやはり情報の標準化です。それが伴って技術の標準化もされ て、効率も高まってくるのではないかと思われるので、諸外国ともにそういう方向を目 指していると理解しています。 ○矢崎座長  前段の医療提供体制の課題については、もう少しこの検討会で議論が進められればと 思っています。そのほかいかがでしょうか。 ○土屋委員  先ほど小山田委員からも出ていましたように、これは待ったなしの喫緊の問題になっ てしまっているのですが、先ほど長谷川委員からは直近の問題と中長期の話として医師 の需給については考えなければならないのだろうというお話がありました。いま現在ど ういうことが地域で起こっているかというと、直接的にはいろいろな理由が挙げられて いますが、医師が足りないために臨床研修医制度が新たに始まったために、その人たち がいなくなってしまった、これは大きな戦力だったということがわかるわけです。その ために、その地域では相当高機能な役割を果たしていた中小病院が、次々有床診療所に 変わってしまっているということなのです。  地域の医療を担っているのはかかりつけ医機能と、中小病院の機能がうまく連携して 成り立っているというのが現状です。それ以上の機能の必要性については、そこの中小 病院の者たちが判断をして、そこに紹介するという格好で、それなりの医療提供体制を 構築してきているのです。そのいちばん大きな役割を果たしていた所が有床診療所にな った。私の周辺でもいくつかありますが、有床診療所になったということは、早晩必ず 無床診療所になってしまいます。地域の医療を確保するという意味では大変な問題が起 こっていますので、これについてここの委員会としてどうすべきか、これは喫緊の課題 として提言をして、そういう所が出てくるかもしれないという切迫した状況なのだとい うこともご理解いただきたいと思います。 ○矢崎座長  医師臨床研修制度が発足したことによって、医師の引上げでそういう状態になったと 申されると、私としては座長をしていて大変つらいのですが、その医師はどこに消えた のですか。というのは、吉村委員にお聞きしたいのですが、専ら大学が人を引き上げて 集めているという噂があるのですが、実態はどうなのでしょうか。 ○吉村委員  このたびの医師の研修制度はやはり大きなトリガーになったと思います。私は以前か らのを拝見させていただきましたが、地域格差、専門別に足りないということはずっと 言われていたわけです。先ほども少し申し上げましたが、各町ごとにいろいろな病院が たくさんできている。いままで大学は、おそらくへき地にもかなり一生懸命派遣してい たと思います。先ほども少しお伺いしたのですが、医師の育成と、育成するからには当 然、その育成した医師をどこかに派遣するという役割を大学が担っていたわけです。た だ、確かに透明性・公平性に欠けていたということで、大きな反省はあると思うので す。このコントロールタワーが破壊してしまったというか、大学から半分以上の若い先 生方が出て行かれて、民間でもできるというシステム。大変理想はよろしかったのです が、そのために良い医師をいかに育成していくか。しかも、その中で民間の大きな病院 と連携しながら、医師を派遣したり、引き取ったりという大きなシステムがあったので すが、そのコントロールができなくなったということです。ですから、引き上げたとい うよりも、次に行く人がなくなった。  もう1つ、現在いろいろ問題になっているインフォームド・コンセント、研修医が来 たための指導の負担など、いろいろなことで大学も負担が来ております。それから、救 急その他で医師が夜中働いても駄目だとか、いろいろなことが言われています。いろい ろなことが総合的に来て、いまそれに研修医の必修化がトリガーになったということで はないかと思いますが、川ア委員はいかがでしょうか。 ○川ア委員  確かに臨床研修が始まったことのインパクトは大きいと思います。その前に、大学院 大学で定員を満たすということがあります。国立大学を中心に、大学院に卒業生を入れ たということです。我々私立医科大学は、いちばん最初の医師需給に関する検討委員会 で定員を1割減らしなさいと指導されました。それが達成できていなかったので、さら なる減らし方をしなさいということを文科省を通して、言われておりました。定員を守 ろうということを過去20年間ぐら申し合わせております。以前私学は定員の1.2倍ぐら いを入れていたわけですが、それを守ることにしましたので、実質的には20年前に私学 を卒業した数と比べて、この数年間の卒業生はかなり減っております。国立大学は定員 120名を全部なくして100名にしたり、1年生を5人減らして、2年・3年の編入制にし ております。これは出口は一緒です。そういうことで、供給面で大体の人数は8,000人 ぐらいですが、現実には数を増やしても解決しない問題がかなりあるのです。  今日、長谷川委員から非常に良いデータを出していただきました。私どもも私立医科 大学として30年前、20年前、あるいは10年前に、アメリカ、ヨーロッパに医学教育を視 察にまいりました。3年前にイギリスに行ったとき、本当にびっくりしました。サッチ ャー時代が経済優先で、医療と福祉は非常に冷たく扱われたために、30年前に日本でど んどん医学部を作って、医師の入学定員が倍ぐらいになった時期にでも、たった3校し か医学部を造らなかったそうです。近年ナショナル・ヘルスサービスが非常に荒廃し て、病院へ行っても手術は何カ月先だとか、外来で朝から晩まで待って風邪なのに明日 来いと言われたというので、国民からブーイングが起こったのです。あそこはすべて国 立ですから、ブレアの選挙公約だったので、医師を増やすため、医学部は定員を全部5 割増やすようにと強制して、看護婦も5万人ぐらい増やすということで、お金は付ける そうです。ちょうどそのころイギリスは景気が良かったものですから。  その話を聞いて、30年前にナショナル・ヘルスサービスが『20年後の医師の需給』と いう本を出しています。その本をもらって帰って、紀伊国先生が訳したのがあるのです が、それは当たっていないのです。2000年が予測してあるのですが、当たっていないの です。ですから、20年後、30年後を予測することは非常に難しい話で、特に女医の数な どは今日の資料ではそこまで行っていませんが、私が聞いた話では6割になっている。 生産性という面で打撃が大きいということですが、それの問題でなくても5割増やし て、実戦力になるのに10年かかるから、養成をもっと短くできないかということまでも 検討している。学士入学で3年で医師が養成できないか。そこまで切迫しているようで す。今年の10月に日米医学教育会議が東京でありまして、向こうの医学部長が20人ほど 来られますので、そのときにはもっと詳しいことを聞いてみたいと思っております。 ○長谷川委員  前者のイギリスの話ですが、イギリスの1つものすごく大きな課題は外国人医師なの です。つまり、何と25%、4分の1が外国人みたいなのです。大体、発展途上国の医者 は英語でトレーニングに行きますので、イギリスに行くか、カナダに行くか、アメリカ に行くかなのです。そうすると、全部人を吸い上げるというので、世界的に見て非常に 非倫理的だというのが1つ、定員を増やした理由だとお聞きしています。  2つ目のコメントはアメリカなのですが、アメリカは厚生省の中に人材局というのが ありまして、人材だけに関して1つの局があるぐらいの力を入れてきたのです。かつて ジムナック、コーメというように、いろいろな委員会が予測をしてことごとく外れたの で、現在のブッシュ政権の市場路線、つまり非政府介入路線の影響もあると思うのです が、廃止するのだそうです。それで、もう市場に任せると、その代わりに、ワシントン D.C.にある全国医学部協議会の中に、マンパワーの部門を作りましてお会いしました が、デモグラファー、人口学者を呼んできて、医学部協会として将来予測をする。その 将来予測をしたデータを各大学に提供して、それぞれ定員を決めたらどうですかと。だ から、もともと自主規制路線、法律的に何かあって、そういう委員会を作って、それを 各大学にレコメンドしたのを今回完全に大学のグループが自分たちで分析をするという ことで、入学定員は既に5%増やしたみたいです。というような状況だそうです。 ○吉村委員  いま私は医師の派遣ということを申しましたが、実は大学は医師の育成をしていると いうことです。その育成も大学だけでやっているわけではなくて、いろいろな中核病院 と連携しながら、特に若い医師はあちこちローテーションしながら研修していく。そし てある程度経ちますと、例えば小山田委員の所の医長にと、そういう方はパーマネント に派遣される。ですから、そういう方と医師を育成していく段階の若いところでは、も ちろん大学の中だけでやっているわけではなくてローテーションしているわけですか ら、そこにたまたまこの研修医制度が入ったということで、9時・5時とか言われた り、2年間所属が決まらないでグルグル廻っているということで、なかなか責任を持た せてやるわけにもいきませんし、そういうことで非常に打撃が来ているという現状では ないかと思います。 ○小山田委員  いまどこの病院に行っても、医師不足ということは事実です。これは先ほど皆さんが おっしゃった研修医制度というものもあるのですが、大学でも減っている。実際は毎年 医師は5,000人ぐらい増えているはずですが、平成14年の半ばごろから平成15年の半ご ろまでの1年間に、30代から40代のドクターが個人開業している数が4,600です。どこ までこういう開業ブームが続くのか。これは病院の今後のあり方について、緊急に考え なければならないということです。それから、病院のあり方について今深刻な問題は、 麻酔科が足りないことですが、麻酔科医の個人開業、あるいはグループ開業がどんどん 増えてきている。そうすると、これは普通の診療科で開業するのと違って、開業した麻 酔医が1日に何十万もらって、病院に出ていくわけです。そうすると、病院における雇 用条件というのは、麻酔医だけということになりませんので、かなり変わってくる。い ずれはアメリカやヨーロッパのように、病院にはおらないで当直もしないで、個人開業 で病院に出て行って手術をするなどということになるのではないかという不安を抱えて いるのです。 ○池田委員  なりますね。可能性は十分にあると思います。若い医師の考え方、患者の考え方は、 明らかにここ数年で変わってきていますね。例えば患者は当然のことですが安全な医 療、そして高度な医療を求める。これは当たり前のことですから、医療情報が開示され ればされるだけ、そちらのほうへどんどん流れていく。医師は自分の専門とするところ で自分の技量を発揮でき、更に良い条件でやりたいと思えば、いまおっしゃられたよう な方向に医師の意識が向かっていくことは、絶対頭に置いておかなければいけない。若 い医者と付き合っていると私は痛切に感じます。その点では、これからどういうタイプ の医師が担っていくのか考える時期に来ている。例えばかかりつけ医、あるいはプール された医師が病院に行くなどのカテゴリーです。それから、非常に高度で専門化され た、大学病院やナショナルセンターというものは、何人医者がいても足りないぐらいに 患者が集中することは目に見えています。更に地域の自治体の病院。先ほど江上委員も おっしゃいましたが、それぞれのカテゴリーのところで、適正な人数は何人位なのかと いう試算をはじけるようなデータが少しずつ必要になってくる。それから、やはり患者 が担うべき応分の負担というのもあって、安全で良質な医療を受けることを望むのは患 者の権利でありますが、その権利を行使するためにどれだけの負担をするかということ も、医師の需給の問題とは少し離れて考えることかも知れませんが、一緒に考えていか なければなかなか解決がつかない問題ではないかと思いますが、どうでしょうか。 ○長谷川委員  先ほど泉委員のお話でコメントしたかったことがあったのですが、パイが少ないとそ こでゼロサムゲームになって、片方に危機的な状況が起こるというのはわかるのです。 したがって、茨城としては全体のパイをどう広げていくかというのはあるのでしょう。 でも、小さい所から上に盛り上げてセンター化して、医療集積所を高めていい医療を提 供し、一方でプライマリケアは役割分担にして、お家まで医療を宅配してしまう。その ような機能分担が今後起こってくると思うのです。それが国民の願いでもあると思うの です。  そのときに、当面、特にパイが限られている場合に、公平さと医療の質の安全性とが トレードオフになる。そこのところをよく国民にも理解していただかないといけないの ではないかと思います。 ○矢崎座長  なかなか打ち切りたくはないのですが、ちょうど時間が来ましたので、また次回すぐ 開催しますので、続きのお話をしていただければ大変ありがたいと思います。 ○水田委員  国立病院長会議の常置委員会の中で、小委員会が中心となって地域医療のことで提言 を出したのですが、いま長谷川委員がおっしゃったようなことをきちんと提言しており ます。地域医療をきちんとするためには、各地域の人も認識し、国民も認識してほしい ということも提言しておりますし、セントラリゼーションしたときに、いまこれだけ交 通網があるのですから、ネットワークとともに救急車も全部手配して患者を運んでいく ことも自治体はすべきではないかということも提言しておりますので、読んでいただけ ればと思います。 ○矢崎座長  申し訳ないのですが、次回に報告書を参考資料としていただければ大変ありがたいと 思います。事務局に送っていただいて、委員の方に会議の前に手に入れていただくとよ いと思います。それでは、事務局からよろしくお願いします。 ○医事課長  本日はどうもありがとうございました。次回は、4月6日(水)15時から、場所は厚 生労働省9階省議室において開催する予定です。議事につきましては、今回は長谷川委 員からご発表いただきましたが、関係団体からのヒアリングということで、学会等から のヒアリングを予定しております。 ○矢崎座長  引き続き、次回もこのように活発なご意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願 いいたします。本日の検討会はこれで終了します。どうもありがとうございました。                                     −了−                         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