05/03/09 中央社会保険医療協議会総会平成１７年３月９日議事録


０５／３／０９　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第６０回総会議事録

(1)日時　　平成１７年３月９日（水）１０：４３～１２：１０
(2)場所　　霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」
(3)出席者　星野進保会長　村田幸子委員　土田武史委員
　　　　　 青柳親房委員　対馬忠明委員　小島茂委員　宗岡広太郎委員　大内教正委員
　　　　　 飯塚孜委員　松浦稔明委員　（代　矢野）　櫻井秀也委員　松原謙二委員
　　　　　 青木重孝委員　野中博委員　佐々英達委員　黒﨑紀正委員　漆畑稔委員
　　　　　 針ヶ谷照夫専門委員　大島伸一専門委員　岡谷恵子専門委員
　　　　　 ＜参考人＞
　　　　　 早川薬価算定組織委員長
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 水田保険局長　麦谷医療課長　石原調査課長　他
(4)議題　　○医薬品及び医療用具に係る特定療養費制度について
　　　　　 ○医薬品の薬価収載について
　　　　　 ○医療用具の保険適用について
　　　　　 ○高度先進医療専門家会議の検討結果について
　　　　　 ○その他
(5)議事内容

○星野会長
　前の調査小委員会が非常に効率的にやっていただきましたので、ただいまより、
第６０回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。
　まず、委員の出欠状況について報告します。
　本日は、松浦委員の代理として矢野さんがお見えです。
　青柳委員、追っつけおいでになられると思いますが、多分前の小委員会が１１時ぐら
いに終わることを見込んでおられて、時間が１５分ぐらい縮まったのが原因ではないか
と思うので、これは開催する私の責任でございますので、開催させていただきたいと思
います。
　なお、中島審議官は公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けております。
　それでは、議事に入らさせていただきます。
　まず、医薬品及び医療用具に係る特定療養費制度について、議題としたいと思いま
す。

　本件につきましては、診療報酬基本問題小委員会において議論を進めてきたところで
すが、前回の小委員会において、見直し案について合意が得られたことから、本日、厚
生労働大臣より諮問がなされております。
　事務局の方から、諮問書朗読の後、関連資料の説明を願います。よろしく。

○事務局（岸本企画法令第１係長）
　朗読いたします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厚生労働省発保第 0309001号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成１７年３月９日
中央社会保険医療協議会
　　　会長　　星野　進保　殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厚生労働大臣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　尾辻　　秀久
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 諮問書
　健康保険法（大正１１年法律第７０号）第８２条第１項及び同法第８６条第１１項並
びに老人保健法（昭和５７年法律第８０号）第３１条の３第７項の規定に基づき、健康
保険法第６３条第２項の規定に基づき厚生労働大臣の定める療養（平成６年厚生省告示
第２３６号）及び健康保険法第８６条第１項に規定する療養についての費用の額の算定
方法（平成１４年厚生労働省告示第８１号）並びに老人保健法第１７条第２項の規定に
基づき厚生労働大臣が定める療養（平成６年厚生省告示第２５１号）及び老人保健法の
第３１条の３第１項に規定する療養についての費用の額の算定に関する基準（平成１４
年厚生労働省告示第８２号）を別紙１から４のとおり改定することについて、貴会の意
見を求めます。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　続きまして、諮問書の別紙について御説明いたします。
　１枚おめくりいただきまして別紙１でございますけれども、健康保険法第六十三条第
二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める療養、すなわち選定療養の種類を定める告示
におきまして、医療用具、本年４月から薬事法が改正され、医療機器という用語に変更
されますが、薬事法に基づく承認を受けた医療機器の保険適用されるまでの間の使用に
ついて追加する改正案でございます。
　それから、さらにおめくりいただきまして、別紙２でございますけれども、健康保険
法第八十六条第一項に規定する療養についての費用、すなわち特定療養費でございます
けれども、の額の算定方法の告示において、別表第一の前段につきましては医薬品につ
いて、おめくりいただきまして、後段にあっては医療機器について、それぞれ医師主導
の治験の給付範囲に検査及び画像診断を含めるため、これら除外規定から検査及び画像
診断を除くこととする改正案でございます。
　なお、改正案の別表第一の前段におきまして、選定療養について、治験につき、
「（人体に直接使用される薬物に係るものに限る。）」とされていますけれども、これ
は選定療養の種類を定める告示では、従来よりこのように規定されているものを、本告
示においてもこのように入念的に書くこととするものでございまして、内容的に変更す
るものではございません。
　それからさらに、薬事法の治験につきまして、別表第一のところで引用してございま
すけれども、この改正案におきまして、薬事法第八十条の二及び第八十条の三がいずれ
も第二条第十五項に改正されておりますけれども、これは内容的に変更したものではご
ざいません。薬事法の改正が１７年度から施行されますけれども、その医薬品の治験の
引用しておりました八十条の二と、医療用具の治験を引用しておりました八十条の三が
統合されたために、治験の定義をそもそも示している第二条第十五項に改正するという
ことで、いずれにしても、内容の変更ではございません。
　それから、別紙３でございますけれども、老人保健法第十七条第二項の規定に基づき
厚生労働大臣が定める療養、すなわち選定療養の種類を定める告示におきまして、同じ
く薬事法に基づく承認を受けた医療機器の使用について追加する改正案でございます。
　なお、追加する号番号が第十三号ということで、別紙１の健康保険法の告示と比べて
１号少なくなってございますけれども、これは、老人保健法の選定療養におきましては
歯科のう蝕に罹患している小児の患者の指導管理がないためでございます。
　それから、さらにおめくりいただきまして、別紙４でございますけれども、老人保健
法第三十一条の三第一項に規定する療養についての費用、すなわち特定療養費の額の算
定に関する基準の告示におきまして、同じく別表第一の前段にあっては医薬品につい
て、それから後段にあっては医療機器について、それぞれ医師主導の治験の給付範囲に
検査及び画像診断を含めるため、これら除外規定から検査及び画像診断を除くこととす
る改正案でございます。
　それで、具体的に内容につきましては、中医協総－１－１の資料に基づきまして、改
正案について御説明いたします。
　まず、「医薬品に係る特定療養費制度について」でございますけれども、医師主導の
治験の枠組みの中で患者に未承認薬の使用機会が提供されるに際し、治験医師・医療機
関の経済的負担を軽減し、治験が円滑に実施されるようにするため、医師主導の治験に
ついて、保険給付の範囲を拡大する。すなわち、検査及び画像診断を保険給付の範囲に
含めるものとするということでございます。これは諮問事項でございますので、諮問書
の、先ほど御説明しました別紙２及び別紙４の改正案にある、それぞれ別表第一の前段
にある改正を行おうとするものでございます。
　それから、その他の、諮問事項ではございませんけれども、１ページの下の丸にござ
いますけれども、医師主導の治験において、治験医師が患者に薬剤料等の費用負担を求
めることは特に禁止されていないことを明確化いたしまして、あわせて、患者に薬剤料
等の費用負担を求めるに当たっては、料金が不当に高くならないよう、徴収額の文書に
よる提示ですとか、特別の料金に関する社会保険事務局長への報告等につきまして、運
用通知により指導したいと考えてございます。

○事務局（中村企画官）
　続きまして、医療用具に係る特定療養費の見直しについて御説明をさせていただきま
す。同じく資料の総－１－１の２ページ目をごらんいただきたいと思います。「２　医
療用具に係る特定療養費制度について」ということで、１つ目の丸でございますけれど
も、医師主導の治験の枠組みの中で患者に未承認医療用具の使用機会が提供されるに際
し、治験医師・医療機関の経済的負担を軽減し、治験が円滑に実施されるようにするた
め、医師主導の治験ついて、保険給付の範囲を拡大するという諮問事項でございます。
　ここは、先ほどの諮問書の別紙２、別紙４に具体的な記載があると思いますけれど
も、別紙２をごらんいただきたいと思います。別紙２は、先ほど管理官からも御説明が
ございましたが、健康保険法第八十六条第一項に規定する療養についての費用の額の算
定方法でございます。医療用具につきましては、そこの２枚目の、前段、後段でいいま
すと、後段のところでございます。薬事法第二条というところの改正案がございます
が、そこに下線を引いてございますけれども、下から３行目から、「自ら治験を実施し
ようとする者によるものを除く。」という記述を追加することで、現行では、その保険
給付外となっております前後１週間の検査、画像に係る診療を、医師主導の治験につい
ては保険給付の対象とするものでございます。
　なお、先ほども御説明させていただきましたが、薬事法改正による用語の整理から、
医療用具を「機械器具等」という言葉に置きかえております。
　別紙４をごらんいただきたいと思います。これは、老人保健法の関係でございますけ
れども、ここも前段、後段の、後段の方が医療用具になりますけれども、ここに薬事法
第二条のところに同様の記載をしてあるということでございます。
　また、諮問書から総－１－１の資料にお戻りいただきまして、３ページ目をごらんい
ただきたいと思います。３ページ目の丸でございますけれども、ここも諮問事項ではご
ざいませんけれども、医薬品と同様に、医療材料に係る費用負担を求めることは特に禁
止されていないことを明確化するとともに、その費用負担が不当に高くならないような
措置を明示することとして、医療課長通知の一部を改正を行うものでございます。
　次に、その資料の下の丸でございますが、もう一点の諮問事項でございます。薬事法
承認後、保険適用前の医療用具の使用について、現行で、特定療養費制度の対象でない
ところを対象とするものでございます。これは諮問書の別紙１をごらんいただきたいと
思います。健康保険法第六十三条の療養の給付の規定がございますが、その第二項に、
保険の給付外とする厚生労働大臣の定める療養として、特定療養費の規定がございます
が、この厚生労働大臣の定める療養の項目１３に、新たに１４項目めとして、改正案に
記した記述を追加するものでございます。これによりまして、薬事法承認後、保険適用
前の医療用具の使用について特定療養費の対象となるというものでございます。
　それと、老人保健法の関係は別紙３でございますけれども、ここも先ほど薬剤管理官
からも御説明させていただきましたが、同様の記載でございますけれども、項目につい
て１２項目と、先ほどの健康保険法に比べまして１つ少ないところは、小児の歯科のう
蝕に関する指導管理が老人保健法にはないということで、１３項目めに新たに追加をす
るということでございます。
　以上でございます。

○星野会長
　どうもありがとうございました。
　それでは、ただいまの説明につきまして何か御質問等がございましたら、どうぞ。

○小島委員
　２点ほど意見を述べさせていただきます。
　最終的に、今日この諮問に対する答申を出すということになるかと思いますが、その
答申に際しては、ぜひこれまでの議論で出てきた意見をいれていただきたい。例えば医
師主導の治験を行う場合の保険への影響、あるいは実施状況についての把握と、それを
中医協に報告をすることなど、そういう趣旨を入れていただきたい。
　それから、今回、先ほど御説明ありましたように、医師主導の治験の場合に、患者に
費用負担を求めることをはっきりさせるということなので、ぜひその場合には、患者の
費用負担が不当に高くならないようにする配慮を十分すべきだといったような趣旨を盛
り込んでいただければと思います。
　それともう１つは、今日の諮問書の形式についてです。我々が見て何を諮問している
のかよくわからないので、これは何に関する諮問書と、わかりやすく表題をつける。例
えば、今日の資料でいいますと、総－１－１にありますような表題、「医薬品及び医療
器具に係る特定療養費制度の見直しに関する諮問書」とか、あるいはもう少しわかりや
すく言えば、「医薬品の治験に係る診療の保険給付の範囲の見直しにかかわる諮問書」
とかいったような表題があった方がわかりやすいのではないかというような意見です。
　それと、この諮問書はワンセンテンスですべて言っているので、これも何かもう少し
工夫できないのかなと思います。
　今後も、諮問・答申が出てくると思いますので、その際には十分配慮していただけれ
ばと事務局の方に要望をしたいと思います。

○星野会長
　どうもありがとうございました。
　諮問書に表題をつけるというのは今まで慣例になかったのですか。今御指摘のよう
に、「諮問書」というのは、何の諮問書かわからないね。

○事務局（麦谷医療課長）
　あまり諮問書にそういう表題をつけたことはございませんが、そのために今日実は総
－１－１という、御説明の紙をおつけしたつもりでした。その説明ぶりはもう少し工夫
をしたいと思いますが、諮問書そのものにつけるというのは、今まであまり前例はござ
いません。

○星野会長
　多分、今小島委員が言われたこの諮問書の中身はだれが見てもわかりはしないです
ね、確かに。だけど、これは官報掲載だとかなんとかで、非常に厳密、きちんと法律シ
ステムで言えば、こういう書き方しかないだろうとそんたくするわけです。だから、こ
れはもしかすると変えられないのかもしらぬと、今までの官報掲載上の慣行、あるいは
一番正確さを求めるとすれば。それで、一気に言ってしまうのが法律文書で、ぽつをつ
けたり丸をつけるとまた意味が変わるという、読み方の違いとか、そういうのを全部踏
まえるとこういう格好になるのだろうと思うのだけれども、ただ、何とかの諮問書とい
う表題はつけてもいいのではないですか。それは何ら誤解ないので、官報はナンバーで
決めればわかるわけですけれども、官報の方は、別に表題を取っても構わないけれど
も、少なくともここは法律の専門家ばかりではないわけですから、そういうのをそんた
くできにくいという状況を考えると、諮問書の作り方もどうなんですかね。官報掲載は
官報掲載の方のルールがあるから、それで仕方ないと思うけれども。

○事務局（麦谷医療課長）
　今お手元の諮問書、これがそのものが官報にそのまま出るわけではございませんが、
一応諮問書という形式としては法令審査を受けておりますので、これはこのままでやら
ざる得ないと思います。ただ、説明ぶりは工夫はできますので、諮問書はこのままでも
諮問書の説明ぶりの紙をつけるということは工夫したいと思います。

○星野会長
　説明文については、冒頭、課長が言われたように、案のやつね、前回いろいろ小委員
会やなんかでも検討させてもらったものが説明書がついているから、小委員会に出た方
は大体おわかりになると思うけれども、今日ぽっとここへ、総会に出られた方は、一体
何の諮問書かねと、こうなりかねないね。だから、そういうのはどうなんですか、そう
いう法令担当と相談してもらって表題をつけても、別に何のこともないだろうと僕は思
うのですけれども、そういうふうにした方が話としてはわかりやすいのではないかなと
思います。小島委員も別に今回は許すと言っているから、今回はいいのかもしれません
けれども、次回以降また諮問は何遍も出てくるから、ちょっとそこを検討してもらって
いただけませんか。法令担当との関係だろうと思うので、あなたたちが勝手に決められ
ないのでしょうから、相談してもらえませんか。

○事務局（麦谷医療課長）
　はい。検討、工夫いたします。

○星野会長
　よろしく。
　ほかに御質問がないようでしたら、引き続き答申を行いたいと思いますが、よろしい
でしょうか。今、小島委員から御注文がありましたが、ほかに特に御注文ございません
でしょうか。
　それでは、公益委員において答申書案を作成しますので、しばらく御休憩をとらさせ
ていただきたいと思います。私どもここでやりますので、どうぞ、もしあれでしたらお
座りでも構いませんし、タバコをお吸いに行っていただいても構いません。そんなに時
間はかかりませんから。
　　　　　　　　　　　　　　　　　〔暫時休憩〕

○星野会長
　それでは、お待たせ申し上げました。ただいまから総会を再開いたします。

　答申書案を配布していただきます。
　　　　　　　　　　　　　　　　〔答申書案配布〕

○星野会長
　それでは、事務局の方から答申書案を朗読してください。

○事務局（岸本企画法令第１係長）
　朗読いたします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　（案）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成１７年３月９日
厚生労働大臣
　尾辻　秀久　殿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　会長　星野　進保
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 答申書
　平成１７年３月９日付け厚生労働省発保第 0309001号をもって諮問のあった件につい
ては、諮問のとおり改正することを了承する。
　なお、答申に当たっての本協議会の意見は、以下のとおりである。
１　医師主導の治験に係る保険財政への影響等を検証できるよう、必要な措置を講ずる
　とともに、本協議会へ報告すること。
２　医師主導の治験において患者に薬剤料等の費用負担を求めるに当たっては、料金が
　不当に高くならないよう、必要な措置を講ずること。

○星野会長
　お手元の案により答申を行うこととしたいと思いますが、御異議ございませんか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星野会長
　ありがとうございます。
　それでは、保険局長に答申書を手渡したいと思います。
　　　　　　　　　　　　〔会長から保険局長へ答申書手交〕

○水田保険局長
　どうもありがとうございます。大臣にお伝えします。

○星野会長
　次に、医薬品の薬価収載について議題としたいと思います。
　薬価算定組織の早川委員長より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○早川委員長
　それでは、まず、資料の中医協総－２をごらんいただきたいと思います。今回は、ご
らんのように、４種類の薬品でございます。
　上から順番に御説明させていただきます。まず、クレストール錠、これは２．５mg、
５mg、１０mgと、３種類あるのですけれども、資料の２ページをごらんいただきたいと
思います。本剤は、ロスバスタチンカルシウム、要するに、スタチン系で、我が国でこ
れで６番目になるかと思いますが、を有効成分とするコレステロール低下剤でありま
す。
　資料３ページをちょっとごらんいただきたいと思います。薬価算定組織で検討しまし
た結果、本剤は、効能・効果、薬理作用などが類似するアトルバスタチンカルシウムを
最類似薬とした類似薬効比較方式（I）による算定が妥当と判断いたしました。また、
補正加算につきましては、二重盲検比較試験におきまして、本剤は、対照薬であるアト
ルバスタチンカルシウムに比べて有意に優れたＬＤＬコレステロール低下作用を示しま
したということから、類似薬に比して高い有効性を有することが客観的に示されている
と我々は判断し、有用性加算（II）を適用することが適当と判断いたしました。
　したがいまして、２ページに戻りますけれども、本剤の汎用規格５mg錠の算定額は、
最類似薬でありますアトルバスタチンカルシウムとの１日薬価合わせに有用性加算（II
）を適用し、１６９円８０銭となりますが、これは外国平均価格調整の対象０．６２倍
となりまして、調整を行った後の最終的な算定薬価は、結局、２．５mg１錠が９１円、
５mgが１７４円６０銭、１０mgが３３５円ということになりました。
　それでは次のアレジオンドライシロップ、子供用の抗アレルギー薬ということで新た
に開発されたものでございます。資料４ページをごらんいただきたいと思います。本剤
は、抗ヒスタミン作用を有する抗アレルギー薬であります塩酸エピナスチンを有効成分
とするものであります。商品名が、アレジオンドライシロップと申します。
　５ページをちょっとごらんいただきたいと思いますが、組織で検討いたしました結
果、本剤は、本剤と同じ有効成分で、効能・効果の類似する成人用の錠剤、アレジオン
を最類似薬とした類似薬効比較方式（I）による算定が妥当と判断し、また、補正加算
の要件には該当しないと判断いたしました。
　したがいまして、４ページに戻っていただきますが、本剤の算定額は、最類似薬であ
るアレジオン錠との１日薬価合わせにザジテンカプセルと同ドライシロップとの剤形間
比を用いた算定によりまして、結局、１％１ｇが１４１円８０銭ということになりまし
た。
　それでは、次に移らせていただきます。資料の６ページをごらんいただきたいと思い
ます。本剤は、硫酸アルミニウムカリウム及びタンニン酸を有効成分とし、脱出を伴う
内痔核を効能・効果とする注射薬でありまして、ジオン注と呼ばれております。
　資料７ページに行っていただきますと、検討いたしました結果、本剤については、従
来の薬品の中に類似するものがないと判断いたしまして、原価計算方式による算定が妥
当と判断いたしました。
　したがいまして、細かいことは省きますけれども、６ページに戻りまして、本剤の算
定薬価は、無痛化剤がついたものとつかないものとがあるのですが、そのついたもの１
０mLｌ瓶が４，６１５円、生食つきの方が１０mL１瓶が４，５５３円ということになり
ました。
　それでは、最後の薬ですが、８ページをごらんいただきたいと思います。エンブレル
皮下注用２５mgでございます。本剤は、エンブレル皮下注用というのですけれども、Ｔ
ＮＦ、すなわち腫瘍壊死因子と受容体との結合を阻害することによって抗リウマチ作用
を示すエタネルセプトを有効成分とする注射薬であるということであります。
　９ページをごらんいただきたいと思いますが、薬価算定組織で検討いたしました結
果、本剤は、効能・効果、薬理作用が類似するインフリキシマブを最類似薬とした類似
薬効比較方式（I）による算定が妥当と判断し、また、補正加算の要件には該当しない
と判断いたしました。
　したがいまして、８ページ戻りますが、本剤の算定額は、最類似薬でありますインフ
リキシマブとの１日薬価合わせにより、１万３，９４１円ということになりますが、こ
れは外国平均価格調整の対象０．６５倍ということで、調整を行った後の最終的な薬価
は、２５mg１瓶で１万５，３９６円となりました。
　これに対しまして、９ページの下の方に書いてございますけれども、収載希望者から
は、ここにいろいろ書いてありますが、要約しますと、比較薬のインフリキシマブの１
日薬価について、維持療法時の投与量による１日薬価ではなくて、導入療法と維持療法
を合わせた初回から５４週までの投与量による１日薬価を用いるべきという不服意見が
出されました。そこで、２回目の算定組織委員会を開きまして再度検討いたしました
が、一番下に書いてあるのが我々の意見ですけれども、要約しますと、本剤及びインフ
リキシマブは、ともにリウマチ治療に通常長期にわたって定期的に使用するものであり
ますので、明確な標準的投与期間が決まっていない以上、維持療法における１日薬価を
用いることが適当と判断し、当初案どおりの算定額とすることといたしました。その結
果を希望者に伝えましたところ、了承されました。
　以上が、薬価算定の報告でございます。

○星野会長
　どうもありがとうございました。
　それでは、本件につきまして何か御質問がございましたら、どうぞ。

○櫻井委員
　前々から言っていることで、これがルールだと、また言われそうなのですが、一番最
初のロスバスタチンカルシウムの外国価格との調整ですけれども、外国価格のところを
見ると、５mgが、これは米国が１つしかなくて平均が２７２円で、１０mgは２つあって
平均が２００円と、５mgの平均が２７２円で、１０mgの平均は２００円だというのが外
国の価格ですということ自体が、どう見ても常識的にはおかしい気がするのです。それ
と比べるときに、これは結局、５mgで比べているから、まず５mgの価格が決まって、だ
から１０mgは日本では３３５円ですということなのだけれども、それでは、１０mg錠の
外国の平均が２００円というのとの差はどう説明するのですかというのが、規則は規則
なのかもしれないけれども、常識的にどう見てもずれていると思うのです。その辺につ
いての御説明というか、お考えを聞きたいのですけれども。

○早川委員長
　これはいつも問題になるのですが、本当にそうなので、特に米国では、５mg、１０mg
とあった場合に同じ値段であるということが圧倒的に多いわけです。それにどうしても
引きずられてしまう。櫻井先生がおっしゃった、ルールなのですね、やはり。だから、
ルールのどこをどういうふうに改めたらいいか。だから、前にも何回も御質問を受けた
のですけれども、その外国価格４カ国の平均をとるということが意味があるのかとか、
うんと高い国のはどうするかとか、違うミリ数で同じ値段のものをどうするかとか、そ
ういうことを細かく今後考えていった方がいいのではないかというふうに思うのです。
だから、ルールの改正ですけれども、先生方にもぜひ考えていただきたいというのが我
々算定組織の委員一同の意見です。

○櫻井委員
　ルールを完全に覚えていないので事務局に聞きたいのですけれども、この外国平均価
格といったときに、１カ国しかない場合は、１カ国の値をもって平均価格とするという
ルールがあるのでしょうか。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　ルールでは、御指摘のように、１カ国であれば１カ国が平均価格ということでござい
ます。

○星野会長
　今の件ですけれども、ルールはルールかもしれませんが、櫻井委員のおっしゃってい
ることのもう１つの意味は、５mgと１０mgは違うのですね、これ、平均価格が。そうす
ると、なぜ５mgで調整するのか、１０mgで調整したらいいのではないですかということ
も言えそうな気もするのですけれども、なぜ５mgで対応、これは比較したのかという問
題もあるような気もしますが、どう答えたらいいですか。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　現行の算定ルールがどうなっているかというのをちょっと改めて御説明させていただ
きますと、複数の規格につきまして収載を行おうという場合に、それぞれの規格の外国
価格調整の前後の算定額の変化率を相加平均するということをやっております。これ
は、１６年度のルール改定の際にそういう形にしておりまして、いわば本剤につきまし
ては５mgというのが汎用規格ですので、汎用規格が最も使われるので、これを外国の５
mgとの価格でどういうふうに考えるかというのは、確かに一番重要なことでございまし
て、たしか１１月の総会のときもそういうような御意見もいただいたかとは思うのでご
ざいますけれども、そのときに、各対応する規格ごとに変化率を出して相加平均をし
て、いわば全規格のトレンドを反映した形で平均変化率を出すことによりましてこの５
mgの外国平均価格の調整を行うと、こういう考え方になっているわけでございます。仮
に汎用規格が一番使われるであろうことから、これだけに、汎用規格のみに着目して例
えば外国平均価格をやるということになりますと、今回は５mgが外国平均は高いわけで
ございますので、これのみに着目して仮に行いますと、かなりの引き上げになってしま
う。実は、１０mg、こちらは引き下げの方向に変化率では働くわけでございます。そう
いう意味で、汎用規格でないものも勘案いたしまして、全体のトレンドを見て、これは
引き上げにはなっておりますけれども、かなり引き上げ率としては、最終的に相加平均
しておりますので、平均変化率としては低いものになっていると、こういう状況なわけ
でございます。
　あと問題は、１カ国である場合に、それをどういうふうに反映させるのかということ
は、算定ルールの見直しの際にまた御議論いただければと思います。

○松原委員
　５mgが汎用規格ということでやっておられるわけですけれども、その前提となるの
が、治験において５mgが非常に有効で、リピトールの１０mgとほぼ等しいという仮説の
下にこの検討をされているのですが、逆に、もしリピトールの１０mgとこの薬の１０mg
とがほぼ同じだという仮定に基づけば、この計算式がごろっと変わりまして、１０mgの
ところとの比較になりますから、リピトールの１０mgと一緒であれば、１６９円が結局
１０mgのところの２００円と比べて調節して１７０円前後になる。それから５mgを計算
すればかなり安くなりますが、どう考えても、汎用とおっしゃっていますけれども、米
国や英国はほとんど、英国は１０mgしかないわけですから、これを汎用というのを勝手
に製薬会社がお決めになるのか、科学的なデータに基づいてかということは非常に大事
な要素だとは思いますが、どう考えても、１０mgになって３３５円で、アメリカと英国
は平均で２００円を使っているというのは、納得しがたい数字だと私は思うのですが。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　御説明いたします。
　ちょっと実はこのロスバスタチンカルシウムにつきましては、アジア人におきまし
て、白人と比べまして、同じ用量を投与した場合に血中濃度は約２倍になるという、そ
ういうこともございまして、アメリカの方では、基本的に１０mgの血中濃度を使うとし
た場合に、日本では、そういう意味では５mgで十分であると。これは、薬物動態試験
等、あと臨床試験の結果を勘案しまして、その薬力学的にも効力的にも、そういう２倍
の効果があるといういわば民族差があるわけでございまして、そういった考え方の下、
そういうことになっているわけでございます。
　ただ、外国平均価格調整を行う場合、あくまでも同じミリグラム数を比較するという
ことをこれまでやってきておりますので、仮に違う規格同士、同じミリグラム数のもの
を外国価格と比べるということになりますと、これまた大幅なルールの変更になります
し、その場合、どことどこを比べるというのが、またルール化も、これはサイエンティ
フィックに考えますと非常に難しい問題も生じますので、これはまさに算定ルールの見
直しの際に御議論いただければということでございます。

○松原委員
　欧米人と日本人の場合、コレステロール値がもともと大分違いますし、そういったこ
とと、今おっしゃっていた動態的に考えて医学的な根拠があるのであれば、ある意味で
はいたし方ないとも思いますが、一般常識から考えて、比較のこの数字の出し方という
のは私は納得がいかないのです。ぜひ算定ルールをもう少し世の中の常識に合うような
方法にしていただきたく存じます。

○櫻井委員
　これ、今回はしようがないから認めるけれども、私の記憶では１年以上前に１回言っ
て、その後もう一回言って、その時は何月までに改定すると約束してくれということを
言ってきたはずなのです。我々が出さなければいけないのだったら、出しますけれど
も、次までにはちゃんとルールの見直しをやる。今までの矛盾を幾つか挙げて、それを
改定する案をきちっと議論できるようにしてほしいと思うのです。つまり、常に問題に
なるのは、外国調整の問題と規格間差の問題なのです。今の問題だって、５mg錠につい
ていろいろ調整して１７４円になるけれども、規格間のルールで１０mgが３３５円にな
るのだったら、その３３５円をもう一遍外国の平均価格と比べて、そこで外国調整をし
て、日本の規格間調整がおかしいというのでまた下げるとか、何かそういうことを考え
るとかしないと、おかしいのではないかという気がするのです。
　それから、仮の話で意味がないのかもしれないけれども、もし英国に５mg錠があった
としたら、英国の５mg錠がここに書いてある１２７円より高くなっていることはあり得
ないから、５mgの平均価格が下がってしまうわけです。そうすれば、外国調整でむしろ
下がってしまうことになっている筈です。そうすると、たまたまイギリスには５mgがな
いからこうなりましたという話で、やはりどうしても納得いかないので、改正案という
か見直し案を事務局あたりがまとめて出す、あるいは我々に作れと言うのなら、資料を
もらって出したいと思います。どちらかをはっきりしてほしいと思います。

○対馬委員
　我々保険料を使っている立場からしても極めて問題ですね。これまでも何度か御指摘
があったとおりでして、これはまさにおかしいなという典型的な形態です。したがいま
して、私どもとしても、これは事務局がお出しいただけるかどうかはあれですけれど
も、ルールが結果的に国民というか我々の一般常識と合うような形になっていないと、
やはりこれはルールがおかしいと、こういうことになるわけですから、ルールの見直し
をぜひやるということにしていただきたいなと、こういうふうに思います。

○星野会長
　この際、早川委員長、どういう御感想をお持ちでございますか。

○早川委員長
　薬価組織においても、今御討論いただいたようなことがほとんど毎回出てまいりま
す。それをどうしようかと、具体的になかなかうまい方法がないのです。したがって、
それを今事務局でまとめている最中ですが、中医協にある時期に出して、この委員会が
たしかあるはずですが、そこでもんでもらうと。しかし、それは数年前からやっている
ことで、外国価格調整はいつもペンディングになって、もう少しお待ちくださいという
ことになっているのですが、どうしてなのかというのはなかなか難しいです。ちょっと
言いたいところがあるのですが、この組織をはみ出した何か問題があるようで、その程
度しか言えません。

○漆畑委員
　それでお願いなのですけれども、お願いというか、ここでやるわけですけれども、そ
の見直しのときには、そもそもの外国価格調整をするかしないかという、必要かどうか
ということの議論も含めて見直しの検討をしたい、していただきたいと思います。これ
の導入の経緯とかいろいろありますので、全くこれをはなから不必要と言うつもりもな
いのですが、いずれにしても、これだけ毎回毎回問題を提起しているわけですから、ぜ
ひ調整の方法だけでなくて、外国価格調整が必要かどうかということも議論をしたいと
思います。

○松原委員
　私は何度もこだわっていますように、何でアメリカで２７２円で日本で３３５円にな
るのかが理解できないのです。やはり今対馬委員がおっしゃったように、世の中の常識
に合ったような判断でなければならないと思います。この場合には、恐らく規格間調
整、外国間調整をして、規格が変わったときにもう一回調整をするという手順が抜けて
いるのではないかと思います。すなわち、５mgで考えて１０mgの金額を出して、１０mg
で出した後、これが世の中の常識に合っているかどうかということを外国との比較でも
う一度調整する必要があるのではないかと思います。そういったルールをきちっと考え
ていただきたく存じます。やはり日本国民のお金ですので、それは大事に考えていくべ
きではないでしょうか。

○星野会長
　この問題は、多分、薬剤管理官はルールを与えられて、それを忠実に計算式でやって
いるわけで、今議論されていることに答える立場にないかもしれないので、課長、どう
ですか、こういう制度改正というかルール改正についてこれだけ御意見が出ているわけ
ですから、早急にそういう場をまず作ることが必要だと思うのですが、早川先生の方と
の関係もございましょうし、何か工夫はできますか。してもらいたいという意味で聞い
ているわけです。

○事務局（麦谷医療課長）
　中医協には薬価を議論する専門部会がございますので、この場でというよりも、むし
ろ薬価専門部会を開いていただいて、そこで御議論いただきたいと思っております。

○星野会長
　大変御無礼な言い方だけれども、今までこれだけ重なっていつも毎回同じ議論が起こ
るということは、薬価専門部会自身に能力があるのかどうかということさえ疑われかね
ないわけですから、そこも踏まえて、早急に場を形成させていただけませんでしょう
か。

○事務局（麦谷医療課長）
　承知いたしました。

○星野会長
　よろしく。

○青木委員
　今までの議論で何回も同じ問題が出ておるわけですし、今回このロスバスタチンにつ
いては薬価収載を見送る、次にもう一度出していただくというぐらいの処置がとれない
ものでしょうか。

○星野会長
　何かございますか。事務方は特にないのだろうな。何かありますか。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　ここでお決めいただくことでございますので。ただ、私ども薬事法を承認されまし
て、原則として６０日以内、遅くとも９０日以内に承認されたものは薬価収載するとい
うことがございますので、そういうことで手続を算定ルールにのっとりまして進めさせ
ていただいているということだけでございますので、よろしくお願いいたします。

○星野会長
　ということは、何かくどいようだけれども、逆に言うと、全体のルールを見直すのを
３０日だか６０日以内に間に合うようにするということを言っていることになります
が、よろしゅうございますか。管理官はいいです。管理官は忠実にやっているわけだか
ら、あなたは。むしろ課長の問題だと思うのです。

○事務局（麦谷医療課長）
　薬価専門部会を早急に開催させていただいて……

○星野会長
　やって、もし管理官の言うとおりなら、それまでに処理ができるようにむしろもう一
回ここで算定ルールについてやれるくらいのタイミングでやらないと間に合わないと思
います。

○事務局（麦谷医療課長）
　薬価専門部会でそれを御議論いただくことは、早急に進めたいと思います。
　一方、今日議題に供した４品目については、これを人質にするのではなくて、これは
粛々とここで決めていただいて、ルールはルールで別途ということにしないと、たまた
まぶつかった４つが不利益をこうむるというのは、ちょっと私どもとしては都合悪いか
なと考えております。

○野中委員
　でも、５mgはまだわかっても１０mgは問題があるということは、やはり１０mgは認め
られない。５mgだけ認めるということで、いわゆる所期の目的を達せればいいわけであ
って、１０mgはやはり根拠的におかしいので、そういう応急的な避難というか、そうい
うことも考えていただけたらと思います。

○松原委員
　やはり私も、５mgについてはもう使いたい医療機関もあると思いますけれども、５mg
が汎用であるなら５mgだけ認可して、１０mgについては継続協議という形にはできない
でしょうか。

○星野会長
　技術的に何かあれば中医協が決めますから、技術的に何かあれば何か言ってくださ
い。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　技術的にちょっと御説明させていただきますと、今仮に５mgだけ収載ということにな
りますと、当然１０mgで使われる方もいるわけでございますけれども、１０mgがないこ
とによって、５mg錠２錠をお使いいただかなければならないということで、これは医療
保険財政上もちょっとマイナスというか、あまりいいことではないと存じますので、そ
ういうことを御勘案いただきたいということでございます。
　あとちょっともう１点、申し訳ないのですけれども、つけ加えさせていただきます
と、この種の同じスタチン類、この高脂血症用剤につきまして、やはり規格間の比率が
それなりのフラットでない比率になっておりますので、本剤だけ例えばフラットに近い
ようにせよとかいうことになりますと、日本においては非常に混乱を招くということ
は、ぜひちょっと片隅に置いて御検討いただければということでございます。

○松原委員
　まず、５mgが２錠使われて２倍になるといいましても、私ども、全くこれを決定しな
いというわけではないのです。継続して何回かよくよく御議論いただいた上で納得がで
きれば、その金額に同意いたしますので、それまでの間ですから、しかも、汎用が５mg
であれば、それほど保険財政に負担がかかることはあり得ないと思います。
　２番目は、これまでの分がそうなっているから、だから変えられないというように聞
こえるのですが、やはり新しいものを認可するわけですから、これからやるものについ
ては適切な金額になるように努力していくのが中医協の仕事ではないでしょうか。
　以上です。

○事務局（麦谷医療課長）
　このような議論になることを全く想定していなかったのですが、ルールを変えるのは
もちろんやぶさかではございませんし、早急に薬価専門部会を開かせていただきたいと
思いますが、今のルールで申請してきた製薬会社に対して、それを、今のルールでここ
で結論が出ているのに、ルールが不備だからと言ってここではねるというのは、それこ
そ常識ではないと思いますので、ルールはもちろん変えますが、今のルール下で申請し
てきた製薬会社がここで不利益をこうむるというのは、役人としてはすぐに納得できる
ような形ではないと思います。

○松原委員
　不利益をこうむるのではなくて利益がないだけで、どう考えてもイギリスで１２７円
のものが３３５円というのは、一般の国民は納得できないのではないでしょうか。

○青木委員
　今課長さんがおっしゃられたような意味合いというのは、僕はこの場においては適用
されないと思うのです。ここが最終的な決定の場である。９０日とかいう期間が守られ
ない懸念があるということはあっても、私どもとしての決定がどうであるかということ
は、ここで決めることであって、と思います。

○松原委員
　この問題は櫻井委員が何回か指摘したことだと思います。それについて何も変更して
いないわけですから、この１年近くたった段階でも同じような形で規格でこういった数
字を出すと、納得できないような矛盾点が出るままになっているわけです。ここでしっ
かりと改正していただきたく存じます。

○星野会長
　今案が幾つか２号側から出ていまして、例えば５mgだけは認めようと、１０mgはちょ
っとペンディングにしてなお継続審議ということについての案が出ているのですけれど
も、一つの案かなという気もするけれども、１号側として、どうですか、感じは。

○対馬委員
　今会長の方からお話ありましたけれども、やはり全体ルール、これまでも何度かあっ
て櫻井委員から御指摘があったと私ども承知していますけれども、特に今回の場合、極
めてこれが鮮明な形であらわれたと、こういうことだというふうに思うのです。確かに
医療課長がおっしゃられることもわからないことはないのですけれども、早急に新しい
ルールというか、それを決めるという前提に立てば、例えば１０mgの場合は５mgを２回
使うことになると、保険財政の負担が高くなると言いますけれども、２倍してもこれは
ほとんど１０mg１錠と変わりないわけです。ですから、そういう中では暫定的に５mgの
方はお決めいただいて、１０mgの方は早急に、この問題だけではなくて、全体のルール
改正を早急に行う。そして、そういう中においてこの１０mgの問題を解決するというこ
とでよろしいのではないかと、こういうふうに思います。

○星野会長
　ありがとうございます。
　それでは、公益側もよろしいですか。

○漆畑委員
　事務局にちょっとお聞きしたいのですが、これが今日仮に通ったとすれば、この薬価
収載はいつの予定になるのでしょうか。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　資料にございますように、３月１８日を予定しております。

○漆畑委員
　私も外国価格については前からずっと疑問を申し上げているわけで、その意味では、
櫻井先生と全く同意見なのです。気持ちの上では、今、青木先生、野中先生あるいは松
原先生がおっしゃるのと同じ気持ちなのです。不満はいっぱいあるのですけれども、た
だ、冷静に考えれば、そういうルールを決めたのも中医協で、我々ですので、確かに当
事者としては、一たん決めたものが、それでいろいろ意見を言ってもそのまま動いてい
るということの不満も持っているのですが、もっと距離を置いて見れば、中医協で決め
たルールで自分たちが決めていることなので、それを見直すことはぜひしていただきた
いのですが、たまたまその問題点がある薬剤が今日議論されているからということで、
そのものを、先ほど課長が言うとおり、人質ということではない、議論はそういうつも
りは全くないのですけれども、それが決まるまでそれがペンディングというのは、正直
言って若干抵抗がございます。もちろん皆さんで決めることで、全体の中で総意で決ま
ることなのですけれども、意見として言わせていただければ、まさしく私どもが決める
のが当事者であるわけですから、それは自分たちが決めればいいわけで、今までもいろ
いろ申し上げてきたものが、一歩踏み込んで、その議論を、では次回にしましょうとい
うことをしていなかったことも私どもの責任だと思いますので、そういう意味で、ちょ
っと上手に言えませんけれども、果たして本当にそのペンディングでいいかどうかとい
うことについては、すっきりペンディングにしましょうと言い切れないということで、
御意見だけ言わせていただきたいと思います

○星野会長
　我々がルールを認めたのだから、それの運用で具体的問題が出たら、逆に言うと、そ
こで御申請された方に大変御迷惑をかけているのではないかという御趣旨だと思うので
すが、そうすると、ルールを決めてしまうと、もうあとはルールが変わるまでは中医協
はそれに対していろいろとストップを含めて何にも意見が言えなくなってしまうという
ことになるので、それは大変大問題なのでありまして、中医協が、ここで決めるという
ことは決めるわけですから、そうすると、先ほど青木委員が言われたように、そういう
考え方は、中医協運営のルールに対して少し行き過ぎているだろうと私は思うのです。
　したがいまして、ここで何らかの問題点を抱えているのだけれども、お互いに問題点
を何となく一番妥当な方向で解決するというのは、一つは、この問題が発生したことを
奇貨としてこなしていく算定ルールの検討を早急にやるということが大前提だと思いま
すが、と同時に、この問題は今日初めて出たわけではなくて毎回出てきている議論でご
ざいますので、突然ではなくて、中医協としてはむしろ今まで何となくペンディングの
まま、そういうルールでも仕方がないかというふうに来たわけですから、そういう意味
では、私は先ほど松原委員が言われたような、５mgが汎用型で皆さんがよくお使いにな
るのでしたら、５mgは今回のやり方でまあまあストライクゾーンに入っているのかな
と。ただ、１０mgになると全然外れてしまうので、これは一般常識からいってどうも受
けられないのではないかというのは、これまた大変ごもっともな話ではないかと思いま
すので、実施上、本当にどうしようもなくて５mgだけを認めて１０mgを認めないことに
よって、何か大変な齟齬が起こる、あるいは混乱が起こるということがございました
ら、むしろ実施をよく知っておられる方々から御意見を言っていただくことにやぶさか
ではないのですけれども、今回のここの締めとしましては、そういう５mg、さっきの松
原案ですが、というので、１号側も一応それでも差し支えないのではないかという御意
見ですので、私としてはそういうおさめをしたいと思いますが、最後にもう一回、実施
に責任を持つ事務方として特にありますか。

○事務局（赤川薬剤管理官）
　ちょっと保険財政のことだけ申し上げたのですけれども、薬事法に基づく承認をされ
ておりますので、必要な規格がそろっていないということ、特にミリグラム数の少ない
ものについて用意されていないということは、これは非常に安全対策上も支障を来すと
いうふうに考えておりますので、そこはやはり、特にこれは２．５mgから開始すべきと
いうことで添付文書にも書いてございますし、そういう用法・用量を御勘案いただきま
せんと、やはりそこのところは保険財政上の話ではなくて、安全対策上非常に問題があ
るというふうに考えます。

○松原委員
　ちょっと誤解があるかもしませんけれども、私ども、２．５mgはこの金額で適切では
ないかということを前提にお話をしているわけでございます。

○星野会長
　そこは大丈夫ですか、管理官、技術的に。よろしいですね。そうすると、大変な問題
が起こることはないですね。
　それでは、この件につきましては５mg論でいきたいと思いますが、よろしゅうござい
ますか、１号、２号とも。

○櫻井委員
　今５mgだとおっしゃった。

○星野会長
　私が言うから、そうか、特定されてしまうからね。

○櫻井委員
　２．５mgもあるわけですね。だから、逆の言い方で、１０mgの薬価だけ保留するとい
うことですね。

○星野会長
　それでよろしいですか、それが正確ですね。１０mgはそうしましょう、ペンディン
グ、継続審議ということですかね、ということにしていただきまして、よろしいでしょ
うか、言っていること、共通の理解が得られていますか。

○事務局（麦谷医療課長）
　議事録に残すためにもちょっと確認をいたします。

○星野会長
　どうぞ。

○事務局（麦谷医療課長）
　第１、最初の高脂血症用剤のロスバスタチンカルシウムにつきましては、２．５mgは
９１円、５mgは１錠１７４円６０銭、１０mgは再検討ということで今日は保留するとい
う理解でよろしいでしょうか。

○星野会長
　いいでしょうね、それで。

○事務局（麦谷医療課長）
　残りの３剤については、この今日提出された価格でお認めいただくと。

○星野会長
　それはよろしいですね、ほかの３点は了解で。
　それでは、そういうことで、本日の中医協としては御了解申し上げたということにい
たしたいと思います。
　それでは、早川委員長には、長時間どうもありがとうございました。

○早川委員長
　ありがとうございました。
　　　　　　　　　　　　　　　 〔早川委員長退席〕

○星野会長
　それでは次に、医療用具の保険適用について議題としたいと思います。
　区分Ａ２及びＢについて、事務局から御報告願います。

○事務局（中村企画官）
　資料の総－３－１をごらんいただきたいと思います。２月１日に新たに保険適用とな
った区分Ａ２の表でございます。全部で９件でございます。おめくりいただきまして、
区分Ｂでございます。３ページまでございますけれども、３５件でございます。歯科に
つきましては、Ａ２は２月はございませんで、区分Ｂが１件。計４５件でございます。
　続きまして、資料総－３－２をごらんいただきたいと思います。３月１日に新たに保
険適用となったものでございます。ごらんいただいております区分Ａ２が１５件、おめ
くりいただきまして、区分Ｂでございますが、２ページ、３ページとございますけれど
も、４６件でございます。４ページ目が歯科でございますけれども、Ａ２はゼロ件で、
Ｂは１４件。計７５件でございます。
　以上でございます。

○星野会長
　どうもありがとうございました。
　それでは、ただいまの説明について何か御質問等がございましょうか。
　それでは次に、保険医療材料専門部会の委員構成についてお諮りいたします。
　現在、保険医療材料専門部会の委員構成は、支払側３名、診療側４名となっておりま
すが、部会の委員は支払側と診療側とがそれぞれ同数であることが望ましいと考えてお
り、資料総－５のとおり、松浦委員に同部会に所属していただき、審議を開始すること
としたいと思います。なお、本日、松浦委員は御欠席ですが、このことについては、あ
らかじめ御了解をいただいております。
　以上について何か御質問がございましょうか。
　よろしゅうございますか。それでは、お認めいただいたということでまいりたいと思
います。
　それでは次に、高度先進医療専門家会議の検討結果について、事務局より説明願いま
す。

○事務局（麦谷医療課長）
　予定の時間を過ぎておりますので、手短に御説明申し上げます。
　資料、中医協総－４－１という資料をごらんください。高度先進医療専門家会議の座
長から提出された資料でございます。本日は、資料の２ページ、３ページをごらんいた
だいておわかりかと思いますが、合計１２件、１０種類の高度先進医療技術が申請され
ております。うち新規は５件でございますので、恒例に従って、新規だけ簡単に説明さ
せていただきます。
　新規につきましては、中医協総－４－２、「高度先進医療の新規技術の概要について
」という資料をごらんください。
　鑑をめくっていただきますと、２ページ目、「胎児胸腔－羊水腔シャントチューブ留
置術」ということで、胎児水腫症に対する治療法でございます。これは、母親の胎内で
胎児が育ちますが、１枚めくっていただきますと、３ページにその模式図が描いてござ
います。左がお母さんの頭でございます。中の網掛けといいますか、少しグレーがかっ
たのが子供でございますが、この子供の胸に水がたまります。そうすると、圧迫されて
肺がなかなか育ちにくくなって、死亡率も高うございます。したがって、この胸腔内に
たまった水を母親の外から針を入れて取るのですが、毎回毎回取ればいいのですが、そ
うすると母親の負担、それから針を入れますので感染の危険性がございます。そこで、
シャントを作って、そこから恒常的に抜いてやろうという技術でございます。これがそ
のシャント術でございます。
　それから、次の技術は４ページ、「活性化血小板の検出」ということでございます
が、脳梗塞、心筋梗塞などの血管内の血栓ができる病気で、活性化血小板というのが増
加することがわかっております。この活性化血小板を早く見つけて、増加している兆候
を早く見つけて、抗血小板療法等を行って血栓ができるのを防ぐという、血小板検出の
検査でございます。これは高度先進医療部分は、検査だけですから１万円です。
　次の資料で５ページ目、「早期胃癌に対する腹腔鏡下センチネルリンパ節検索」。癌
はいずれもリンパの流れに乗って転移をいたしますが、そのリンパに転移する一番最初
のところをセンチネルリンパ節といいますが、そこを、放射性同位元素と色素で見つけ
て、その一番最初の入り口のところに、もし癌細胞がなければ、これは転移していない
ということでございますので、手術を小範囲にできるということで、あるいはリンパ節
郭清の範囲も、それで極めて限定的で済むということで申請をされております。
　それから次の技術でございますが、６ページ、「ケラチン病の遺伝子診断」でござい
ますが、これは、皮膚のケラチン線維の遺伝子の変化によって生ずるいわゆるケラチン
病、そこに書いておるような、水疱型魚鱗癬様紅皮症、Vorner型掌蹠角化症、こういっ
た病気で、血中のケラチン遺伝子の塩基配列を調べて、できるだけ早く確定診断を行い
ます。検査料は３万円です。早くわかれば早く治療できるということで、検査の診断の
技術でございます。
　それから最後７ページ目、「隆起性皮膚線維肉腫の遺伝子診断」。これも同じでござ
いますが、腫瘍細胞の遺伝子診断を行って、早く診断して早く治療につなげるというこ
とです。中年の男性で起こる癌の一種でございますが、しばしば不完全に切除して、局
所にもう一度再発が起こるという可能性がございます、これを早く診断して完全に取る
ということを心がけるための遺伝子診断でございます。
　以上、新しい技術を含めまして、１２件、１０種類が本日申請されております。
　それから、中医協総－４－３に、これは簡素化２０技術の２つ、インプラント義歯と
腹腔鏡下肝切除術が申請されておりますので、これは簡素化にのっとってこのまま承認
するということで、以上、出ております。
　ちなみに、これで医療課にある申請のボックスに残っている高度先進医療技術はなく
なりました。これですべて審査してあります。ただ、書類の不備あるいは内容の不備に
よって申請医療機関に返しているものがございます。それはまだ相手側にありますの
で、医療課にはございませんが、それはまだこれから出てくると思います。
　以上です。

○星野会長
　どうもありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして何か御質問等がありましたら、どうぞ。
　特にございませんか。
　それでは、本件につきましては中医協として承認するということでよろしゅうござい
ましょうか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星野会長
　ありがとうございます。
　それでは、説明のあった件については、中医協として承認したいと思います。
　それでは最後にもう１件、「中医協の在り方に関する有識者会議」の状況について、
事務局から報告願います。

○事務局（麦谷医療課長）
　資料は中医協総－６－１と中医協総－６－２という２つの資料を御参照いただきたい
と思います。さらに２月２２日に「中医協の在り方に関する有識者会議」が開催されて
おります。これは総会で御報告するというお約束をしておりましたので、今日、資料と
ともに御報告いたします。
　資料、中医協総－６－１が開催要綱でございまして、総－６－２が、当日、この有識
者会議にお配りした資料でございます。
　開催要綱をごらんください。目的等については割愛をさせていただきまして、この有
識者会議で何を検討するかという検討項目が６項目ございます。「（１）診療報酬改定
に関する企画・立案の在り方との関係を含めた中医協の機能・役割の在り方」、「（２
）公益機能の強化」、「（３）病院等多様な医療関係者の意見を反映できる委員構成の
在り方」、「（４）委員の任期の在り方」、「（５）診療報酬の決定手続の透明化及び
事後評価の在り方」、「（６）その他、医療の現場や患者等国民の声を反映する仕組み
の在り方」につきまして、この有識者会議で御議論をいただくこととしております。
　それで、一番最後の「４　運営」をごらんいただきますと、有識者会議は公開とされ
ておりますので、私どもから委員の皆様には、この開催期日と開催場所をお送りしてご
ざいますので、御出席された方もいらっしゃるかと思います。
　それから、常時、厚生労働大臣が出席することになっております。
　それから、結論でございますが、本年の夏から秋ごろまでに結論を出すということに
なっております。
　メンバーはもう既に御承知だと思いますが、１枚めくっていただきまして、２ページ
に掲げてございます５人の方プラス厚生労働大臣で審議が行われています。
　それで、前回２月２２日、第１回目でございましたので、要綱の御説明と、それか
ら、添付資料にございますような中医協の歴史、それから中医協の役割、あるいは社会
保障審議会・医療保険部会との関係等々について、私どもから御説明し、大臣が座長に
かわって進行を行われまして、例えば現在の中医協の御説明等々をされました。
　それで、第１回目でございますので、委員の方々から御注文がございまして、ぜひ、
これまで中医協を切り盛りされてきた星野会長に来ていただいてお話を伺いたいという
要請、あるいは、規制改革会議側から中医協の在り方についていろいろ御意見ございま
すので、規制改革会議側からも宮内議長に来ていただいて、ぜひ話を伺いたいという要
請がございましたので、星野会長、宮内議長に、今お願いをしております。
　次回は、恐らく、そのお二人のお話を有識者会議として伺うという運びになろうかと
思います。
　以上です。

○星野会長
　どうもありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして何か御質問等がありましたら、どうぞ。
　特に御質問等もございませんでしたら、本日の総会はこのあたりで終了したいと思い
ます。
　次回の日程について事務局から何かありますか。

○事務局（麦谷医療課長）
　次回は、３月１６日の水曜日、１週間後でございますが、保険医療材料専門部会、診
療報酬基本問題小委員会及び調査実施小委員会の開催を予定をしております。それから
次々回は３月３０日を予定しておりまして、２３日は中医協の開催は予定しておりませ
ん。いずれも午前中です。
　以上です。

○星野会長
　どうもありがとうございました。
　それでは、本日はこれにて閉会といたします。御協力ありがとうございました。

　【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）