05/03/04 平成17年3月4日「食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方 に関する研究会」議事録           食の安全に関するリスクコミュニケーションの            在り方に関する研究会 第5回会合議事録              厚生労働省医薬食品局食品安全部      食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会                 第5回会合議事次第           日時:平成17年3月4日(金) 10:00 〜12:36           場所:経済産業省別館8階825号室 1.開会 2.前回研究会で指摘のあった課題について 3.食の安全に関するリスクコミュニケーションの今後の進め方について(素案)につ   いての検討 4.閉会 ○林座長  おはようございます。大雪の中、御参集いただきましてありがとうございました。た だいまから、「食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会」 を開催いたします。  まず、本日の出欠の状況をお願いいたします。 ○広瀬課長補佐  金川構成員から事前に欠席との御連絡をいただいております。  加藤構成員からは、20分ほど遅れるとの御連絡をいただいております。  神田構成員は、間もなくみえると思います。  本日、6名の出席の予定となっております。 ○林座長  ありがとうございました。それでは、次に、配布資料の確認をお願いいたします。 ○広瀬課長補佐  お手元に議事次第、1枚紙でございます。  資料1として「アンケート結果の詳細解析について」。  資料2として「厚生労働省における食品のリスクコミュニケーションの実施体制」。  資料3として「食品の安全におけるPrecautionary principle について」。  資料4として「食の安全に関するリスクコミュニケーションの今後の進め方について (主な意見の整理)(素案)」というものを配布させていただいております。  もし、不足等ございましたら、お申し出いただければと思います。 ○林座長  よろしゅうございますでしょうか。それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、最初に、前回指摘された課題について事務局から御説明をいただいて、あ と、本日の主要課題であります研究会の報告素案について、事務局からまた御説明いた だきたいと思います。それを踏まえて、議論させていただきたいと思いますけれども、 それでは、事務局から御説明をお願いします。 ○広瀬課長補佐  それでは、前回研究会において幾つか指摘いただいた課題がございますので、説明さ せていただきたいと思います。  まず、資料1でございますが、前回研究会でアンケート結果などを御紹介させていた だきましたが、例えば、個々の意見交換会で理解できた人、おおむねできた人、余りで きなかった人、できなかった人、それぞれがどういう構成になっているのかなど、もう 少し細かい解析をしてはどうでしょうかという御指摘をいただいておりましたので、今 回、すべてのものではありませんが、4回分について解析をさせていただきました。  1ページおめくりいただきますと、「アンケート結果(リスク分析・健康食品(宇都 宮))」というものがあるかと思いますが、「説明に対する理解度」。これは、まず2 通りつくっておりまして、例えば背景となります、一番上が「消費者」「食品等事業者 」「地方公共団体職員」「その他」という、それぞれの所属といいますか、属性に応じ て理解できた方、おおむね理解できた方、余りできなかった方、できなかった方という ような形でつくったものが1点。  もう一枚おめくりいただきますと、逆に理解できた方とか、おおむねできた方とか、 そういう方がどういう構成になっているのか。消費者の方とか、事業者の方とか、マス コミの方とか、地方公共団体の方とか、そういうような形で2通りつくらせていただき ました。  実は円の大きさをそれぞれの人数に応じた大きさにできればもう少し見やすいものに なったかと思うんですが、技術的にそういうことができませんでしたので、右下の方に それぞれの円に当てはまる方の人数も併せて記載させていただいております。  例えば2ページ目のところの宇都宮のリスク分析・健康食品をテーマとしたものの一 番右下のもの、理解できなかった方というのが同じ属性の方が全体を占めておりますけ れども、これはその回答をされた方がお一人だったということで、円の大きさとしては 同じなんですけれども、その上の方におおむねできた方という円のところは74人がこう いう構成になっていますので、そういう意味では少し見づらいところもあるかとは思い ます。  結果としては、最初の2枚が宇都宮のリスク分析とか健康食品をテーマとしたもの。  3ページ、4ページが、農薬とか残留動物用医薬品といったものをテーマとしたも の。  5ページ、6ページが、水銀を含有する魚介類の摂食の注意事項の見直しについてを テーマとしたもの。  最後が、輸入食品の安全確保についてをテーマとしたものという形になっておりま す。  それから、1点追加で説明させていただきたいのですが、9ページと10ページに前回 お示ししたアンケートの集計結果について、また表を付けさせていただきました。  今回、詳細な解析をしていく中で、実はベースになった解析の数字の幾つかに誤りが あることがわかりましたので、これはコンピュータソフト上で計算をしていたのです が、今回、解析を詳細に進めていく中で幾つかカウントされていない数字のあることが わかりましたので、一応全部を見直しさせていただいて、改めて表を作成いたしまし た。  たしか、9ページのもので言いますと、前回、農薬・動物用医薬品を対象にしたポジ ティブリスト制の取り組みのところのグラフというのが、全体が6割から8割ぐらいの 高さになっていたかと思うんですけれども、一部計算されていなかった方全部を含めて 再計算すると、もう少し上の方まで伸びているということがわかっております。それに 基づきまして、10ページの表も再計算をさせていただきましたので、付けております。 ○林座長  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見ござ いませんでしょうか。  意見交換会のテーマによって、理解度、満足度についてのアンケートの回答率がグル ープによって変わってくるということが、この資料でかなりわかると思いますけれど も、何か追加とか。 ○岩渕構成員  この上で見ると、マスコミがさっぱり回答していなくて非常に不まじめな印象を与え るんですが、手法として、会場で配って帰りに回収するという方法を取ったんだった ら、マスコミとしてみれば、それは中の取材が第一義的に重要なことでありますので、 アンケートなんか答えてられないということに当然ながらなると思いますので、その点 は本来、もともとマスコミははじいてよかったのかなというような。  でも、若干の回答はあったようですが、そこのところを、それでは、後でもう一回、 郵送でも何でも送り返してくれと言っても、まじめに送り返してくるとはとても思えま せんけれども、そういう意味で言うと、やや難しいところがあるというような感じがい たしました。 ○林座長  そうですね。アンケートの技術的な面で、確かに難しい面があります。  講演会でも、後半の演題についてのアンケートが書かれていないことが多い。前半の 演題についてはきちんとアンケートが書かれているのですから、技術的にお考えいただ ければ、改善できるかもしれませんね。 ○広瀬課長補佐  一般的に意見交換会が延びて終わったときの回収率は落ちる傾向にあります。やは り、時間内にきちっと終わったときの方が、皆さん、帰りに書いて出していっていただ けるようです。 ○林座長  ほかに、何かございませんでしょうか。今の問題で、解決するいい方法、何かござい ませんか。 ○岩渕構成員  やはり早目にやっているとき、休憩時間なりそういったような時間があれば、一般の 人もそういう意味で言うと回答しやすいのではないかというふうに思います。そのため の時間をわざわざ、3分でも5分でもいいから設けるという、それが一番妥当な方向だ と思います。 ○林座長  やはり、資料配布はなるべく早い方がいいような気もします。その辺、何か御意見ご ざいませんでしょうか。  しかし、今回の詳細解析はかなり参考にはなるかなと思いましたけれども、この内容 について、何か御意見ございますか。 ○丸井構成員  結果を詳細に調べていただいてありがとうございました。  先ほどのアンケートの方法ですけれども、やはり個別の方法というよりは、時間を少 し余裕を持ってというか、むしろ運営上です。勿論、どうしても長引きがちになること は確かなんですけれども、長引くと最後までいられないで帰られる方が出てくるとか、 そして、こういう記入の時間がなくなると。あるいは、余り早いうちに調査票を配って しまうと前半のものだけで判断をしてしまって最終的な満足度がわからないので、その 辺のところで、調査の技法というよりは、この意見交換会の運営そのもののところで少 し、先ほどのお話にあったように、2分でも3分でもそのための時間があればもう少し 回答率が上がる、あるいはマスコミの方もひょっとしたら答えてくださるかもしれない というふうに思います。 ○林座長  やはり、演者に時間を厳守していただくことが第一の対策です。  アンケートに回答すること自身が満足度の一つの要因になりますので、十分にお考え いただいた方がいいかもしれませんね。  加藤先生、何かございますか。 ○加藤構成員  同様の意見でございます。やはりゆとりがないと。  あとは、もし事務局の方で、煩雑でなければ、数日置いてファクスで御感想をお寄せ いただくというようなことも御検討いただけたらと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○大山構成員  大山でございます。  よく私も出席してアンケートを書くことがあるんです。そのとき、初めに、このアン ケートの重要性みたいなものを、こういうふうに使うから是非アンケートに記入してい ただきたい、ということを最初にお話ししていただくと、大事なんだと思って書かなけ ればいけないかな、という思いになるかと思います。  最後に、アンケートがありますからよろしくお願いします程度で、大体そうなってい ると思うんですけれども、最初に重要性、こういうふうに使いたい、皆さんの意見を反 映したいんだというようなことで、アンケートの重要性をもう少しPRしてはいかがか なというふうに思いました。 ○林座長  どうもありがとうございました。貴重な御意見だと思いますけれども、ほかにござい ませんでしょうか。  なければ、次の資料2にお願いいたします。 ○広瀬課長補佐  次は資料2ということで、「厚生労働省における食品のリスクコミュニケーションの 実施体制」、横長のものでございますけれども、これは前回、金川構成員のから御指摘 がありまして、リスクコミュニケーションの体制、常設の組織というのがどういうふう に置かれているのかとのことでしたので、資料をつくらせていただきました。  まず、食品分野に限ってのものが1枚目に付いておりますけれども、食品のリスクコ ミュニケーションの実施体制ということで、左側の丸の部分にありますように、大臣官 房参事官がリスクコミュニケーションを総括する形で、チームとして構成されておりま す。  企画情報課にリスクコミュニケーションの専門スタッフというものが、技術系の者2 名、事務系の者1名がいて、あと、具体的なコンテンツが当然、各担当課の者との連絡 とか調整が必要になってきますので、右側にありますような各担当課との連絡・調整と いうのを行っているということでございます。  それから、関係機関とも、左側にありますような食品安全委員会とか農林水産省の関 係府省と連絡・調整を取って進めていると。このような体制で意見交換会等に臨んでい るという形になっております。  2枚目の方は厚生労働省の健康危機管理、クライシスマネージメントにあたります が、その体系ということで資料をつくらせていただきました。  トップは、大臣・副大臣のところになりますけれども、中心的なところとして厚生科 学課というところが情報の収集とか、情報の評価分析とか、初動体制等対策の検討・研 修の企画立案並びに実施というようなことをやっております。  定期的に、右の中央にありますような、健康危機管理調整会議というものを開いてお ります。これは定例で、大体2週間に一回ずつ開いておりますけれども、当然、緊急の 事態があれば、それは適宜開催されるということになります。こういったところで、連 絡・調整などを密にしているということがあります。  あと、実際の危機管理の担当部局、これはいろんな、それぞれ個々の現下の部局にな りますけれども、そういうところとの連携を取っているというようなことでございま す。  国内外の健康危機の情報については、左側にありますような保健所とか、国立の試験 研究機関、国立病院等からも得ているというようなことでございます。  厚生労働省の中で収まらないようなもの、当然出てきますので、その場合には右側の 上の方にありますけれども、内閣とかその他関係府省と情報交換・連携を取るというよ うな体制になっているところでございます。  以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。今のリスクコミュニケーションの実施体制につい て、御質問、御意見ございますでしょうか。  これは、前回の委員会でどなたかからの御質問に対するが事務局のお答えと思いま す。 ○広瀬課長補佐  金川先生から、そもそも実施チームがどうなっているのかというような御指摘があり ましたので、一応、つくらせていただきました。 ○林座長  どうぞ。 ○岩渕構成員  前の方の健康危機管理調整会議というのは、定例はどれぐらいの頻度で開かれている んでしょうか。 ○広瀬課長補佐  それは2週間に一遍の、朝1時間ぐらい開いております。幹事会というのが月1回 で、そのほかにもう一回開かれているということです。 ○岩渕構成員  どれぐらいの部局、部課ですか。 ○高原企画情報課長  補足しますと、この調整会議の正規メンバーによる定例会は月1回で、これは課長ク ラスでやっているわけですけれども、実務的な補佐クラスのメンバーはもう少し頻繁に 顔を合わせており、それが先ほど申し上げた2週間に1回ということです。  構成メンバーは厚生科学課長が議長となり、本省の関係部局としては、私どもそうで すが、例えば感染症や疾病対策がございますので、健康局とか医政局などのヘルスの分 野の危機管理に関係する部局。それから、例えば国立感染症研究所や国立医薬品食品衛 生研究所といった研究機関の専門家のメンバー、こういう方々によって構成されている という状況です。 ○林座長  どうぞ。 ○岩渕構成員  これでできた1つのきっかけは、薬害エイズの反省であったわけですけれども、あの ときに新たな取り組みとして注目していたのは、要するに海外の、例えばアメリカのC DCとかFDA(食品医薬品局)とか、あの辺のところも含めた、各種雑誌まで含めた 感じでの専門誌、そういったような海外情報をきちんと把握するというのが、実は薬害 エイズのときにほとんどできていなかったということが反省材料だったと思うんです が、それについて、ちゃんとスタッフを置いてとりあえずフォローをするというふうな 話のように記憶しているんですが、その辺りのところはどんな感じになっているんでし ょうか。 ○広瀬課長補佐  1つは、国立感染症研究所に感染症情報センターがありまして、そういったところで 海外の情報を集めています。また、食品関係では、国立医薬品食品衛生研究所の中に安 全情報部があり、食品関係の海外情報を集めていろいろ解析し、それを本省にも情報提 供いただいているというようなことがあります。 ○岩渕構成員  わかりました。 ○林座長  ほかに何かございますか。  どうぞ。 ○丸井構成員  大きく2つあります。  1つは1枚目ですが、これは当然と言えば当然なんですが、企画情報課が中心という ことで、これは、例えば基準審査課でもリスクコミュニケーションには関心を持ってい ると思いますけれども、これは基準審査課がつくっても同じような図になるものなんで しょうか。 ○広瀬課長補佐  当然リスクコミュニケーションにあたっては、企画情報課のリスコミチームが関与し て組み立てていくことになりますので、企画情報課主体といいますか、かなりリスコミ についての観点からの意見を言わせていただくことになります。 ○丸井構成員  それでは、これはほかの課がつくってもこういう図になるはずだという。わかりまし た。  もう一つは、前回も少し議論になったと思いますが、危機管理、先ほどのクライシス マネージメントとリスクマネージメント、この2つの間の関係です。  余り別々のものだとやはり考えない方がよくて、日常的なものと突発的なもの。ただ し、突発的なものに対応するためには、常に日常的にできていないと対応できないとい うことで、ある意味では氷山の見えない部分と見える部分というふうなことで、この2 つは連続で、あるいは突発的なところから入っていくアプローチか、日常的なところか ら入っていくアプローチかということで、ただ矢印の方向が違うというぐらいに考えて おいていた方が、日常的な活動といざというときの活動を結び付けるために役立つので はないかというようなことを、前回以降思いました。 ○林座長  どうぞ。 ○加藤構成員  質問なんですが、2ページ目の厚生労働大臣・副大臣等のところなんですけれども、 ここのコミュニケーションの取り方というのは日ごろどういうふうにおやりになってい らっしゃるんでしょうか。  というのは、つい先日農水大臣のBSEに絡む御発言等もありましたし、それから、 私も2回目のところでも意見表明させていただいたかと思うんですけれども、役所の中 ではやはりこの大臣・副大臣のところとのコミュニケーションの取り方というのがとて も大事なことの一つかなというふうに理解しているものです。 ○広瀬課長補佐  基本的には、厚生科学課の方でいろいろ調整を図っているわけですが、重要なもの、 大臣に上げるべきものについて上がっていくということになります。若干そこでフィル ターはかかっている状況です。逐一全部上げるというのは、それほど重要でない案件と いうのも多々あることもありますので、そこは重要なものについては、少なくとも大臣 ・副大臣もきちんと伝わって、省全体として対応できるようにという体制にはなってい るところでございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。ほかに何かございませんでしょうか。  それでは、次に資料3ですね。御説明いただけますか。 ○広瀬課長補佐  この資料3の「食品の安全におけるPrecautionary principle について」。これは、 前回も林座長の方から、この「Precautionary principle 」、日本語では「予防原則」 というふうに翻訳されているんですけれども、これが一般にはかなり誤解をされている 可能性があるので、事務局として何かまとめた方がよいとの御指摘がありましたので、 今回作成させていただきました。  この「Precautionary principle 」というのは、欧州連合(EU)が提唱して使用し ている考え方になっております。  明示的に説明文として出ているものとして、予防原則に関するEUコミュニケーショ ンというもの。それから、食品の分野については「欧州連合の食品法における一般原則 と要件というものがありまして、これらのものに「Precautionary principle 」とはこ ういうものだというようなことが書かれているわけでございます。  我が国では、一応、通常「予防原則」というふうに翻訳されておりますが、 「Precaution」というのは予防策とか用心、警戒などの意味があって、もう一つ、厳密 に言う予防というと、右側にありますような「Prevention」、防止とか予防という言葉 が別途ある中で、「Prevention」と「Precaution」というのは、英語としてはきちんと 区別されて使われているということがございます。  それから「Precautionary principle 」、いろんな分野でこの言葉が使われておりま す。後ほど、また説明をしますけれども、環境とかそういった分野も含めたものになっ ておりますが、「食品分野において国際的に合意された用語ではない」というふうに書 かせていただきましたけれども、コーデックスという国際食品規格委員会の中でも何度 か話題には上っているんですけれども、ヨーロッパ、EU連合とその他、例えば米国と かそれ以外の国々との合意がきちっと取れていないということで、「Precautionary principle 」というのを国際的な食品の言葉として定義づけようということにはなって いない状況です。  1ページおめくりいただきますと、「(背景)国際法における予防的措置」。EU連 合としては、これらのものは予防原則について書かれた文章だと御説明していますけれ ども、一方、他国からの主張によると、例えば、1番目は「国連環境開発会議(UNC ED)リオ宣言」になりますけれども、「予防的アプローチ」という言葉が使われてお りますが、予防原則とは書いていないというようなこと。  2つ目の「生物多様性条約前文」とか「WTOのSPS協定(第5条第7項)」の中 に予防的考え方は書かれておりますが、その中に予防原則というような言葉が書かれて いるわけではないというようなことがあります。  まず、1番目の国連環境開発会議のものは、「環境を保護するために、予防的アプロ ーチが、国家により、その能力に応じて広く適用されるべきである。深刻な又は回復不 可能な損害のおそれがある場合には」、ここに1つ限定がかかっております。  「科学的な確実性が十分にないことをもって、環境の悪化を未然に防止するための費 用対効果の高い措置を延期する理由としてはならない」ということで、何か対策を取ら ないことの理由にはならないというような説明が1つございます。  次の生物多様性条約については、「生物の多様性の著しい減少又は喪失のおそれがあ る場合には」、これもやはり限定がかかっているわけですけれども、「科学的な確実性 が十分にないことをもって、そのようなおそれを回避し又は最小にするための措置をと ることを延期する理由とすべきではない」ということでございます。  それから、「WTOのSPS協定(第5条第7項)」というものでございますけれど も、「加盟国は、関連する科学的証拠が不十分な場合には、関連国際機関から得られる 情報及び他の加盟国が適用している衛生植物検疫措置から得られる情報を含む入手可能 な適切な情報に基づき、暫定的に衛生植物検疫措置を採用することができる。そのよう な状況において、加盟国は、一層客観的な危険性評価のために必要な追加の情報を得る よう努めるものとし、また、適当な期間内に当該衛生植物検疫措置を再検討する」とい うようなことでございます。  もう1ページおめくりいただきまして、先ほど紹介させていただきましたEUのコミ ュニケーションの方の紹介をさせていただきます。  一番下に「出典」とありますように、これはかつて、環境省において「環境政策にお ける予防的方策・予防原則のあり方に関する研究会」というものを開催しておりまし て、その報告書がウェブサイトに掲載されております。  本文は、原文のものと日本語訳が付いております。それを基に、幾つか抜粋させてい ただきました。  「予防原則は、リスク分析のアプローチの枠組みの中で考えられるべき」というこ と。  それから、「予防原則は、リスク管理において政策決定者により用いられるもの」。 つまり、リスク管理のオプションだというようなことでございます。  「予防原則に基づく措置は以下のようなものであるべき」ということで、  ・選択される保護の水準に応じていること  ・その適用において無差別であること  ・既にとられた同様の措置と一貫していること  ・潜在的な便益と費用の検討に基づくこと  ・新たな科学的データに基づく再検討を条件とすること ということがございます。  これは、EUが予防原則を適用するための具体的な手引きとして、このように2000年 にまとめられたものでございまして、その目的の1つの中には、「保護主義の偽装され た一形態としての予防原則のむやみな援用を回避すること」というようなことが明示的 に書かれています。  もう1ページおめくりいただきますと、2002年にEC規則として出たものでございま すけれども、「欧州連合の食品法における一般原則と要件(EC規則178/2002)」とい うものの中の「Article 7」、第7条のところに「Precautionary principle 」という のが記載されております。2つのパラグラフから成っております。  こちらも、一番下にありますようにホームページ上に掲載されておりまして、こちら からダウンロードしてきております。  原文、英文でございますけれども、次のページに「第7条 予防原則(仮訳)」とい うことで、仮訳を付けさせていただきました。  まず、第7条の1項目に書いてあることでございますけれども、「利用可能な情報の 評価により、健康への有害な効果の可能性が特定されるも、科学的不確実性があるよう な状況下においては、高い水準の健康保護を保証するため、暫定的なリスク管理措置を 採択することもありうる。ただし、さらなる科学的情報が得られれば、より包括的なリ スク評価を行う」というものでございます。  第2項の方ですが、「第1項に基づき採択される措置については、高い水準の健康保 護を達成するための必要性に応じたものであるべきであり、貿易を障害するほど厳しく してはならない。その際、技術的、経済的実行可能性、その他の正当と見なされる要素 を考慮に入れる」。  それから「措置については、特定された健康や生命に対するリスクの本質と、科学的 不確実性の解消や、より包括的なリスク評価を行うために必要な科学的情報の種類に応 じて、妥当な期間内に見直す」ということが記述されております。  次のページに、一応、言い回しとしては非常に長いので、この予防原則が述べている ことをごく簡単に解説させていただきますと、科学的に不確実なことが残っていても、 不確実な状態というものがあっても、利用可能な情報に基づいてリスク評価を行って、 健康への有害性が特定される場合に、暫定的なリスク管理措置を取り得るというふうに 述べているということでございます。  ここでは、有害かどうかわからないから予防的に規制しようというふうには述べてい なくて、やはり利用可能な情報の中で評価をして有害性を特定しているということがご ざいます。  2つ目として、必要以上に貿易を規制しないこととか、技術的、経済的実行の可能 性、その他の要因というものを考慮して、予想されるリスクの程度に応じて対応すると いうこととか、妥当な期間内に見直すということについて述べているわけでございま す。  次のページをまたおめくりいただきますと、欧州連合が予防原則について適用してい る実例について2つほど挙げさせていただきました。  1つは、牛海綿状脳症(BSE)が該当するわけでございますが、1996年に英国政府 が海綿状脳症諮問委員会(SEAC)というものを打ち立てておりますけれども、ここ でヒトに変異型CJDが発生していて、その原因はBSE感染牛を食べたことにあるこ とを否定できないというような見解を示しております。  この直後でございますけれども、EU加盟国の多くが英国からの牛肉の輸入禁止措置 を取って、EU委員会は、英国から牛肉の輸出というのを禁止したということでござい ます。  2番目は、ホルモン剤を投与して肥育された牛についてでございます。これは、途中 から予防的な考え方が争点になった事例というふうに把握しております。  1989年ということで、少し予防原則が話題になるよりもちょっと前だったわけですけ れども、ECはホルモン剤を投与して肥育された牛肉が発がん性のおそれがあるという ようなことで、一番最初は「消費者不安」というものを理由に輸入禁止にしたというこ とと、EC域内における同様の肥育牛の販売も禁止したということでございます。  この当時は、GATTという組織があったわけなんですけれども、その後、WTOと いう形で組織が強化されておりますが、米国、カナダは、そのGATTの時代からこう いうようなことについて訴えをしていたわけですけれども、WTOができたことによっ て、WTOに提訴したということになっております。  WTOでは、予防原則かどうかというのは国際的に合意された考え方ではないという こともあって、そこについての判断というのは避けておりますが、先ほど御説明させて いただいたSPS協定の第5条第7項は予防的な考え方についてどうかということか ら、WTOとして考えるというようなことでございました。この第5条第7項の条件を 満たすものであれば、当然、WTOルール、整合だというような判断をしているわけで すが、EUの貿易措置というのはこれを満たしていないということで、WTOルール違 反というような結論を出しております。  この第5条第7項との関係で、どういう条件を満たすべきかというのを参考までに次 のページに示させていただきました。  1つは、関連の必要な科学的証拠(データ)が十分に入手できないというようなこ と。  それから、SPS協定に基づく予防措置を取る場合に、関連する国際機関等から入手 可能な情報に基づいているということ。  それから、当該国(輸入国)が、客観的なリスク評価のために追加情報を集める、得 るという努力を行っているということ。  それから、暫定的に実施されている措置について、適当な期間内に再検討する。  この4つの要件が満たされていれば、基本的に、この第5条第7項との関係からは整 合というふうに判断されるのではないかということでございます。  この関係で、日本もかつてリンゴの輸入禁止の関係でWTOで御判断いただいたもの についても、こちらの第5条第7項との関係で整合的ではないと判断されたところでご ざいます。  以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの「Precautionary principle 」について、御質問、御意見ございませんでしょうか。 ○岩渕構成員  この資料というのは、間違っていたら申し訳ないんですが、要するに、アメリカのB SE牛肉の輸入という問題との関連で少し話し合った方がいいのではないかという概念 に基づいて出てきた資料ではないかというふうに勘ぐったりしたんですが、そういう意 味ではないんですか。もしなければ、少しその問題についてもやってもいいのかなと思 うんですが、ちょっと進行とテーマの選び方で、あえてそれ以上は申し上げませんけれ ども、皆さんの意見も是非聞きたいなというふうな感じはしております。  以上です。 ○広瀬課長補佐  もともと出てきた背景は、例えば農薬のリスク管理などの中で「Precautionary principle 」の話がいろいろあるけれども、必ずしも正しく理解されていないのではな いかということで林座長からお話があったものですので、特にBSEと直接の関連はあ りません。 ○林座長  どうもありがとうございました。  私が事務局にお願いした理由は、この「Precautionary principle 」についての理解 が国民の間で、あるいは消費者の間でかなり違っていると感じたためなのです。  1つは、「Precautionary principle 」は、EUでは食品の安全確保のために重視さ れている原則だから、日本でも当然これは重要であろうというふうにお考えになる方も おられるわけです。  もう一つは、EUで非常に重視されているけれども、アメリカ、FDAではこれは余 り重視していないとすると、日本でもあまり問題にならないかというようなお考えがあ るわけです。  それから、この資料の2番目のところで、この「Precautionary principle 」ではな いですけれども、「Precautionary approach」などの関連のある言葉がいろんなところ で使われているんです。  そこで、私が事務局の方にお願いしたのは、この「Precautionary principle 」を厚 労省としての食品安全確保でどのように位置づけておられるのかお聞きしたいと思って いたためです。これはどうなんですか。日本では、この「Precautionary principle 」 を食品安全行政に対してどのように位置づけておられるのですか。 ○広瀬課長補佐  1つは、国際的にきちんとこれでやりましょうというふうに決まっていないというこ とがありますので、まだ日本としてこういう考え方で行政を進めていくというようなこ とは決まっておりません。 ○林座長  わかりました。  「Precautionary principle 」について食品産業の方は、大変詳しいと思いますが、 大山さん、何か御意見ございませんか。 ○大山構成員  この言葉を、食品産業として出会ったのが、遺伝子組換え反対の方々が、ヨーロッパ では予防的原則というような形でとらえていて、日本もそうすべきなのではないかと。 遺伝子組換え作物そのものの、食品としての安全性は検証されているかもしれないけれ ども、それを圃場で栽培したときに飛散して云々とかそういったところができないので はないか。将来食べ続けたときに何が起きるかわからないのではないかというような形 で、この遺伝子組換えを予防的原則ということでとらえられていたのかなということが あったと思っているんです。もし、違っていたらごめんなさい。  ただ、そうすると、食品産業として、国がきちんと安全性を担保してくれている遺伝 子組換えに対しては、基本的には使いたいと思っても、消費者が嫌だというものについ ては、使えないです。つまり、製品であったとしても商品にならないんです。安全性は 担保されていても、お客様に買っていただけないものは商品ではないわけです。  ですから、食品メーカーは商品しか提供できない。製品はつくっても、商品にならな ければ販売できなくなりますから、そういった点で、この予防的原則というものがどん なふうに判断されていくのかというのが正直関心があった点でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。  もう一つ、お聞きしたいんですけれども、先ほど、ホルモン剤を投与して肥育された 牛、牛肉のEC内での販売が禁止されたということが、これはWTOルール違反である ということになりましたね。その結果どのようになったのでしょうか。EUではルール 違反だから自由に販売されているというのが現状なんですか。 ○広瀬課長補佐  WTOルールとしてだめということで、制裁金か何かをたしかEUが払っているそう ですけれども、EUとしてはまだ措置を緩めたということはないと聞いております。 ○林座長  わかりました。どうもありがとうございました。  ほかに何か。 ○神田構成員  この説明についてはこれでいいんですけれども、日本においてこの言葉の使われ方が どう間違っているのか、どこが問題なのかということがはっきりしないと、なかなかど うしたらいいのかという、そうですか、これはそういう理解なんですかで終わってしま うんです。  でも、ここでこう出てくるということは、やはりこれの使われ方が、消費者団体にし ても何にしてもいいんですけれども、この理解が間違っているのか、理解はちゃんとし ているのだけれども、日本でもこういうふうにしてほしいと言っているのかというとこ ろがやはり見極めなければ私たちが話題にする意味はないと思うんです。  そういうふうに思ったことが1つなので、その辺はどうなんでしょうかというふう に、私たちはどうとらえて、何となく私自身は、予防原則という言葉はいろいろ国際的 に認知されているわけではないのでということを教えてもらっておりますのでほとんど 使っていませんし、使うのは慎重でなければというふうには思っておりますけれども、 現状、日本の問題というのは何なんでしょうかというところなんですけれども。 ○広瀬課長補佐  今回、実はこの「Precautionary principle 」をいろいろ調べている中で、やはり定 義が、EUコミュニケーションとか、今回、食品に限ってのものということでこの一般 原則なんかも示しておりますけれども、これ以外にも幾つもの考え方が実はあって、欧 米でも余りきちんとした概念として定まっていません。  中には、もっと極端な例として、安全性がよくわからないものはすべて禁止すべきだ というような「Precautionary principle 」を主張している方々もいらっしゃって、ま だ国際的に本当に「Precautionary principle 」というのはどういうものなのか決まっ ていないので、恐らく、国内が混乱しているというのもそれはしようがないのかなとい うのを逆に感じております。  そういった中で、いろんな「Precautionary principle 」を皆さん、幅があるものが 世の中に出回っている中で、少なくともEUが言っている食品についての 「Precautionary principle 」というのはこういうことなんですということの理解は 少し広めていきたいというふうには思います。 ○林座長  何かありますか。 ○神田構成員  わかりました。  ですが、予防原則という言葉自身が誤解を招いているところもあるだろうなというこ とがあるんです。それと、やはり予防するというのはみんなの願いだと思うんです。そ の気持ちを、この言葉の正しい理解とか、あるいは誤解が生じているから余り予防原則 というのは言わない方がいいみたいな形になってしまうと、またそもそもの問題で、 私、違うと思うんです。  だから、予防するということが、今、私たちが食品安全行政の組織改革をしてきて進 めているこの内容が、予防もできる精神というか、そういうのがあるんだという、例え ば、緊急の対策も、こういう緊急の場合にはすぐ取れる体制が取れているし、実践もし てきているということとか、まさにリスクコミュニケーションというものが充実させて 構想されていくことが、予防も含めてというのでしょうか、拡大しないで済むとか、予 防も含んでいるんだということをやはり実践していく中でわかってもらって、正しく理 解していくしかないかなというふうに思っているんです。  だから、何が言いたいかというと、1つは予防原則という訳をこのままにしておくの かどうかということがあるのかなと思いました。 ○林座長  どうぞ。 ○丸井構成員  私も、それをこの前から思っていまして、御存じだと思いますけれども、かつて農水 との共同会議のメンバーだった、今、コーデックスに行かれている宮城島さんが、その ときは耳慣れなくてどうかなと思ったんですが、ここで1ページ目にありますが、警戒 の、あらかじめ警告を出すという意味で、予警主義とか予警原則とかいうふうに訳した 方がよいのではないかと。  つまり、「Prevention」が予防というので日本語と1対1でほとんど対応していて、 それと同じ言葉を、ここで予防原則というのを使うことで混乱してしまっています。こ れは厚生労働省としてはちょっと留保して、例えばWHOの健康の定義でスピリチュア ルが日本語にならないからということで棄権したように、これは日本語として予防原則 という言葉が既に一部で使われていますけれども、これは同じ言葉を使うことによって 混乱を生じているというふうに思います。  先ほど座長のお話もありましたが、アメリカとヨーロッパで態度が非常に違います。 「欧米」の使われ方といっても、欧と米が全く使い方が違うので、それは特に遺伝子組 換えに関連して、アメリカとヨーロッパの間での政治経済的な枠組みの中で言葉が使わ れているという、非常に政治経済的な背景が強い言葉でもあると思います。厚生労働省 としては予防原則という日本語をあまり使わない方がいいのではないかというのが1つ あります。  その上で、もし予防ではなくて予警とか何かそういう言葉を使うとすれば、 「Precaution」というのはあらかじめ何らかの形で措置を取りたいということであっ て、「Prevention」の場合には確実にこういうことが起こるだろうから、それをあら かじめ防ぐということです。「Precaution」の場合には起こる可能性がということで、 実は先ほどので言いますと、この資料の6ページの下線部分ですが、これは「リスク評 価により健康への有害性が特定される場合」ではなくて、有害の可能性が特定されてい るということであって、ずっと「Prevention」よりは弱い根拠で何かをするということ だと思います。  そう考えると、例えば、そこから先はこの資料と少し離れますけれども、リスクコミ ュニケーションの中で「Precaution」というのを考えるとすると、行政が何かをとめる とか、そういうアクションだけを言うのか、あるいは、例えば、先ほどので言えば、遺 伝子組換えの表示とか食物アレルギーの表示というのは、ある意味では「Precaution」 なんです。予防として、危険だからすべてとめるというアクションではないけれども、 あれはあらかじめ警告をして、そして、ある意味では警告をして、最終的な判断は消費 者が取る。  だけれども、それは政策的に何もしていないのかというと、表示をするという形で予 警をしているというふうに考えることもできます。差し止めるという「Prevention」と いうのと、そうでなく、こういう危険が個人によっても違うので、起こる可能性がある から、それを表示するという政策をつくるということは、ある意味では、もし、予警と いうような言葉を使うとすれば、「Precaution」に非常に近いものになるでしょう。欧 と米のどちらにつくかという話でなく、我が国で、それでは「Precaution」というのは どういうものを実際にやっていて、どういうアクション、アクションというのは具体的 なという、先ほどのような法律をつくるとかということでなく、例えば表示みたいなも のも含めて考え直すと、この会で話をしているリスクコミュニケーションの枠の中で 「Precaution」というのが生きてくるのではないかというふうなことを思っておりま す。 ○林座長  どうもありがとうございました。  Precautionary principleが扱われ始めた頃、この訳語として「慎重対応原則」がど うかとの意見があったように思います。そこで、慎重対応とは何かを考えますと、予防 を念頭に置いた対応ということになり、逆に予防が表に出て現在の訳語になったように 感じられます。  ところが、予防が先に立ちますと、例えばリスクコミュニケーションのときに非常に 誤解を招くことになりますので、やはり事務局の方で、一応、決まってしまった訳語を 変えろということは難しいでしょうけれども、何か厚労省で使っている「Precautionary principle 」はこういうような意味だということをはっきり打ち出した方がいいかな と思っているんですけれども、今後ともよろしくお願いいたします。  どうぞ。 ○岩渕構成員  だから、いろいろ混乱して、かなり拡大解釈されているというようなことであれば、 私の考えですけれども、そういう意味で言えば、きちんと使い分けるような形でこれか ら広めていくというふうな対応でいいのではないですか。そういうふうに思います。  以上です。 ○林座長  それでは、次の議題に入らせていただきますと、事務局から食の安全に関するリスク コミュニケーションの今後の進め方の素案が示されておりますので、まず、この内容に ついての御説明をいただけますか。資料4ですね。 ○広瀬課長補佐  資料4になります。  中身の詳細な説明は省かせていただきますけれども、最初に「はじめに」ということ で1ページございますが、この部分については座長といろいろ中身を詰めさせていただ いて、新しく書き起こさせていただいた部分になります。  それ以降の、2ページの「1.リスクコミュニケーションの目指すもの」から、9ペ ージぐらいまでになりますけれども、この部分は、これまでこのリスクコミュニケーシ ョンの研究会の中で、先生方からいろいろ出していただいた意見をそれぞれの項目に当 てはめるような形で議事録から抜き出してきています。言葉もそのまま抜き出してきて おりますので、若干このリスコミの研究会ということもあって、片仮名が少し多くなっ ているところはあるか感じております。  それから、最後の11ページ以降は別添ということで、クライシスコミュニケーション の事例として、0157 集団食中毒事件への対応につきまして、先生方から御意見いただ いたものをまとめております。一応、概要を理解する上で、参考1、参考2ということ で2枚、検討の題材になりました資料のうちの2つでございますけれども、付けさせて いただきました。  構成としては、前回、神田構成員の方から御指摘がありましたように、いきなり検証 に入るのではなくて、「1.リスクコミュニケーションの目指すもの」というものをま ず一旦起こした上で、4ページ以降が「2.リスクコミュニケーションの取組みについ ての検証」。7ページからが「3.今後の取組みについての提案」というような形で大 きく項目に分けております。 ○林座長  ありがとうございました。この素案に書かれております内容は、委員の先生からの御 意見を非常に短くまとめて、この中に反映させたということですけれども、まず最初 「1.リスクコミュニケーションの目指すもの」というセクションについて、何か御意 見、御質問ございませんでしょうか。先生方の意見が正しく反映されていないというこ ともあるかもしれませんので、その点、よろしくお願いいたします。  まず、「1.リスクコミュニケーションの目指すもの」の中の「(1)リスクコミュ ニケーションの意義」ということです。これは、たしか神田先生か加藤先生の御意見だ ったと思うんですけれども、これは、あらかじめ何か配布されていたと思いますので、 お読みになって、何か問題点があるのではないかと思うのですけれども、よろしくお願 いします。 ○広瀬課長補佐  1つは、表現がちょっと違っていたとか、こういう趣旨ではなかったということがあ れば御指摘いただきたいのと、あと、追加でこういうことも入れた方がいいとか御意見 あればいただければと思います。 ○林座長  何かございませんでしょうか。  私は、あらかじめいただきまして、「(1)リスクコミュニケーションの意義」のと ころは比較的よく書かれていると感じたんですけれども、何かございませんでしょう か。 ○大山構成員  ○の2つ目なんですが、先ほど、丸井先生の方からお話あったんですけれども、クラ イシスコミュニケーション、リスクコミュニケーションというようなことで、先ほど氷 山の例でたとえられまして、クライシスとリスクというのはそういう1つのものなんだ と。表に出たのがクライシスなんだというとらえ方は私も大賛成なんです。  両方は全く別なものというような感じで表現を受け取ってしまいますので、むしろ完 全に分かれる部分もあるかもしれないけれども、大多数がオーバーラップしているので はないかという感じをしていまして、先ほどの氷山の事例が大変わかりやすい例だなと いうふうに感じた次第でございます。 ○林座長  いかがでしょうか。 ○広瀬課長補佐  金川構成員からは、やはりきちっと明確にとの指摘を受けています。方向性としては 同じかもしれないし、実施体制として同じである必要はあるのかもしれないんですけれ ども、これから起こる可能性があるものと起きてしまったものに対しての対応というの は若干違ってきますので、そこは記載上は分けておいた方がいいのかなと考えておりま す。 ○林座長  ただ、それぞれ関連しているということがあり得るということですね。  どうぞ。 ○岩渕構成員  私も、この分け方自体には賛成です。ですから、氷山のたとえを踏まえた格好での追 加的な表現があってもいいなというふうには思います。  それと、前に要望したマスコミというわけではありませんけれども、いろんな形で の、これは別に表現は要りませんけれども、リスコミの中でのデータベースを蓄積する ような格好で、過去の経験を蓄積していくことによって、逆にクライシスの場合に瞬時 に適切な判断、対応ができる、言わば、マスコミ的に言えば、それによって的確な情報 がたくさんあるということも、国民にとってみると必要なことではないかというふうに 思います。  そのためにわざわざ膨大なデータベースを取りそろえるというわけではなくて、過去 の経験の蓄積も含めた格好での在り方というのが望ましいのではないか。そういう意味 で言いますと、普段のリスコミとクライシスの組み合わせというのもかなり調和したも ので、その辺りをベースにしてやっていけるのではないかというふうに私自身は思って おります。 ○林座長  ほかに何か、「(1)リスクコミュニケーションの意義」の御意見ございませんでし ょうか。  どうぞ。 ○神田構成員  下から2つ目の○で、「安全」と「安心」に触れているところなんですけれども、ま た、この同義語にするということと、ちょっと意味がよくわからないんですが、ここで 言わぬとしていることは、安全と安心は別々だというふうになってきたけれども、私な んかは、安心を得るためにはやはり安全性ということがなければ安心につながらないと いう意味ではつながっていることなので、全く別々のことではないということについて はそのとおりだというふうに思うんですけれども、また「再び両者を同義語にするため には」というところの辺りがちょっとニュアンスがわかりにくいかなと思ったので、何 を言おうとするかということははっきりしておいた方がいいかなと思ったんです。 ○高原企画情報課長  多少、事務局から御説明をさせていただきたいんですけれども、この素案はこれまで の研究会で各先生方から出た御意見なり資料で御提出いただいたものからピックアップ をしてとりまとめております。  項目によっては、全く意見が一致ということではなくて別の見方からの御意見もある ということで、比較的忠実にピックアップをしてみましたが、1つの見解に無理してま とめていく必要はないんだろうと思っています。  それから、先ほどの御意見にも関連するんですけれども、確かに上から2つ目のとこ ろについて、これは金川先生の御意見ですが、これは理念上はごっちゃにしない方がい いということで、今日の丸井先生の御指摘あるいは大山先生の御指摘は、切り分けてし まうのではなくて、むしろ一体的にとらえてやった方が実際上は適切ではないかという 御趣旨というふうに理解させていただき、もう一つ項目を追加して整理をさせていただ ければいいのかなと思います。 ○林座長  1ページの「はじめに」のところの3つ目のパラグラフに、今後の厚労省の事業運営 の進め方について具体的、実践的なアドバイスをしてほしいと。これが目的ですから、 やはり、今の場合でもクライシスコミュニケーション、リスクコミュニケーション、説 得的コミュニケーション、これは3つに分けた方が扱いやすい場合があるというよう な、そういう一つのアドバイスなんです。  だけれども、安全、安心というのも、消費者は安心を求めて、企業は安全の確認を求 めるから違うんだというような考え方ではなくて、やはり安全がなかったら安心は生ま れてこないんだというようなことがありますので、こういうような考え方をお考えいた だきたいというようなことのアドバイスということなので、決まった1つの定義づけを するとかそういうことではないわけです。  だから、これはこれでよろしいかなと思うんですけれども、ですから、御意見はなる べくたくさんあった方がいいと思いますので、何かほかに。  どうぞ。 ○丸井構成員  ただいまの2つの件、下の方の「安全」と「安心」ですけれども、やはりこれは前提 としての安全ということで、安心のためには安全が前提だという言葉が少し入るとわか りやすいかなと思うのが1つ。  もう一つは、リスクコミュニケーションとクライシスコミュニケーション。実際に起 きたときの技法としては別かもしれません。例えば行政がどう対応するかは別かもしれ ませんが、概念上あるいは理念上は、リスクコミュニケーションがうまくいっていれば クライシスに至らないで済むと。リスクコミュニケーションはクライシスの予防である という視点がどうしても必要だと思います。  ですから、この研究会のように、リスクコミュニケーションをきちんとやっていれ ば、クライシスに至る前に予防できるんだと。クライシスそのものを予防できるという 可能性があるということだろうと思うんです。それは食べ物だけではなくて、感染症で もやはり、日常からのコントロールがきちんとできれば流行に至らずに済むわけですか ら、どの時点で早くきちんと予防できるかという、そこに関わるので、リスクコミュニ ケーションの意義ということになると思うんです。 ○林座長  どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○岩渕構成員  ちょっと私、頭が悪くてよくわからないんですが、きちんと日常的な予防というかリ スク管理をきちんとやっていけばクライシスに至らないという考え方というのは、どう も我々素人には理解できない。そういう、本来きちんとやっていても、それでもなお防 げなかったことが多分クライシスだろうというふうに見るのが、私はごく普通ではない かというふうに思うんですが、そうすればクライシスを防げるはずだというのは一体ど こから出てくるのかというのが、どうもよく意味がわからないというふうに思います が、本当に防げるんですか。 ○丸井構成員  それは確率論的な話でして、決定論的な話ではないです。確実に防げるというもので はないんですが、実際にクライシスというのは、ある意味では前提となる日常的な予防 活動の破綻です。ですから、破綻するのかと言われれば、それは破綻することもあると 言うだけです。  それで、破綻を防ぐのが日常的な仕事だということで、それをきちんとやっていてク ライシスが起こらないということは、ほうっておけばそういう事例はたくさん起きたか もしれないけれども、何らかの処置によって起こらなかったというものがあるわけで す。 ○岩渕構成員  だから、それができるはずだというおっしゃり方というのは随分傲慢な言い方だなと いうふうに思います。 ○丸井構成員  ですから、技法として、起きたときに何をすべきかということは勿論あるけれども、 だからといって起きることだけを前提にして日常のリスクコミュニケーションを軽視す るのではないと。ここで言いたいことは、リスクコミュニケーションの意義ですから。 ○岩渕構成員  単に言葉の問題なんですが、それだったら、リスクを低減できるとかそういう表現だ ったらごくごく当たり前にできるんですが、断定されてしまうとそれは違うのではない かというふうなのがやはり日本語としてはそういう常識が働くのですが、どうですか。 単なる言葉の問題です。 ○林座長  どうもありがとうございます。  今回のこの委員会はコミュニケーションの問題です。金川構成員が言われたのは、リ スクコミュニケーションとクライシスコミュニケーションは扱い方を別にすべきである とのことです。もちろん、クライシスとリスクの間には関連はあるけれども、コミュニ ケーションを実施する際には両者を分けた方が誤解を招かないだろうというように理解 されました。ですから、先生が先ほど言われたとおりです。 ○岩渕構成員  今、さっきから「安全」「安心」で「両者を同義語」と言いますが、同義語という言 葉をもうちょっと別の言い方で考えた方がいいのではないですか。その程度で、表現の 問題ではないかというふうに思います。 ○林座長  同義語という言葉がよく理解されないということで、これは問題になるかもしれませ んので、先生も何かいい言葉ないですか。 ○岩渕構成員  後でということで。 ○林座長  それでは、後で考えましょう。  そういうことで、もしほかになければ、次の「(2)リスクコミュニケーションに取 り組む姿勢」です。この部分はいかがでしょうか。  どうぞ。 ○丸井構成員  ざっとお読みいただいている間に、一番最初のパラグラフ、私が言ったことだと思う のですが、私は「異文化」という言葉を使いましたけれども、こういうところでは異文 化でない方がいいと思います。これは別の表現に、「さまざまな文化を」とか、異文化 というのは、私はわざと、ある意味で別のアピールを考えて使っているので、そういう おとなしい表現にしていただければと思います。 ○林座長  この場合は、食の安全性が主体になっていることですから、例えば「食文化あるいは 生活様式が異なっている人々の間」と言った方がいいかもしれませんね。  ほかに、何かございませんか。  どうぞ。 ○大山構成員  この異文化というのは、主義主張が違う人がいるという意味ですね。 ○林座長  そういうことです。  ほかに、何かございませんでしょうか。 ○加藤構成員  最後の○なんですけれども、リスコミの対象に関連して消費者団体がどうとかとい う、この3行なんですけれども、私が発言していたら申し訳ないんですけれども、ちょ っと意味が通じないので、もしよろしければ、ここは削っていただいた方がいいかなと 思います。 ○林座長  この「『消費者団体は消費者でない』という雰囲気を感じることがある」という、ち ょっと誤解されるような表現なので、これはどういうふうにしたらいいんでしょうか。 ○広瀬課長補佐  特にBSEなどいろいろ意見交換会をしていく中で、そういう意見を発信される方も 中にはいらっしゃいます。それは多分間違っているんだと思うんですけれども、この報 告の中では、それをどう盛り込んでいったらよいかと。 ○林座長  「消費者団体は消費者ではない」というようなことを言われる方がおられるというこ とですか。この「雰囲気を感じる」というのは、ここの委員会がそういう雰囲気を感じ るというふうに取られてしまうので、別の表現を考えた方がよいと思います。 ○神田構成員  消費者団体は消費者の意見を代表しているのかというような意見が出るという意味だ と思います。 ○広瀬課長補佐  その方がよいですね。 ○神田構成員  そういうことがしばしばある。特にBSEの問題で頻繁にやっているからでしょうけ れども、そういう意見が出てきまして、私どもの事務所にもそういうようなことがよく メールで入ったり、それは現実にあるんです。そういうことが1つ。  あと、そういう声を受けて、リスクコミュニケーションを設定する側も、ここに盛り 込むかどうかは別なのであれですが、例えば消費者団体を席に着かせるのではなくて、 一般の消費者から参加してもらいましょうというような傾向が少し出てきているのかな というふうに思います。ここに盛り込むのは難しいんですが、そういう感じがしている のは確かなんです。  そのときに間違えてはいけないというふうに思っているのは、希望者から席に着いて もらうという、窓を開けておくということは当然ですが、それでは、その消費者団体が 消費者の意見を代表していないのかというと、そうではないと。消費者団体の役割とい うことは、かたいことを表現すれば、消費者基本法の中でもちゃんとございますし、意 見を表明しろということもあるわけですから、そういった意味では、消費者を代表して いるというのは間違いではありませんし、消費者団体の位置づけをやはりきちっとして おくべきだと。リスクコミュニケーションをするときにも、それはきちっとして、それ をうやむやにしてしまわないようにしてほしいというような思いが込められていると。 そういう意見を私は持っています。  だから、たとえが悪いですけれども、例えば議員さんは国民の代表なのかというよう なことにも通じる問題ですね。ですから、ここにもありますように、消費者団体は日ご ろから勉強とか調査とか、情報を受けたりとか発信したりとかということをまじめにや っていて、消費者の立場で物を考えて意見を発していると。そういうところであるとい うことの認識というのはきちっとしておいて、位置づけもちゃんとしておいてほしいと いう意味です。  それをどう表現するかは別ですし、表現できるかどうかは難しいかもしれませんけれ ども、そのことで。 ○林座長  事務局の方、御理解いただけましたか。 ○広瀬課長補佐  表現ぶりを考えさせていただきたいと思います。また、場合によっては神田構成員に も御相談させていただきます。 ○林座長  神田構成員と何か御意見、メールでやりとりなさった方がいいと思います。  ほかにございませんでしょうか。 ○岩渕構成員  ごくごく瑣末な問題ですが、そこの4ページの頭のところのリスコミの「セミプロ」 という表現、これはやはり、ほかの表現の方がいいかなというふうな感じがいたしまし た。  それから、前のところで、例えば「ステークホルダー」なんていうところはもうちょ っと丁寧に、一般国民にわかりやすい訳語も付けておくとか、そういうような配慮もし ていただきたいというふうに思います。  ほかにも、例えば専門的な横文字があるのかもしれませんので、よろしくお願いしま す。 ○林座長  この「セミプロ」というのは、そうですね。 ○広瀬課長補佐  あと、確かに「オピニオンリーダー」とか「コンテンツ」とかが多用されているの で、そういったものももう少しわかりやすい表現にはしておいた方がいいかなとは思い ます。 ○林座長  この場合もセミプロは、なかなか難しいですね。これはプロとしての内容がなんなの か、情報交換の方法なのか、情報の内容が問題なのか、情報の技術の問題なのか、かな り難しいですけれども、後ほど、もし何か御意見がありましたら、広瀬さんの方にメー ルでもお出しいただければと思います。 ○丸井構成員  やはりマスコミはセミプロでは困るんです。プロでなければ困るんです。 ○林座長  どうぞ。 ○大山構成員  3ページの2つ目なんですけれども、私、非常に理解できないんですけれども、「リ スクコミュニケーションを支える価値観は、『中心的価値が国民』ということであり」 ということで、何となくわかるんですが、多分、これを読んだ人はわからないのではな いか。むしろ、そんなものを全部切ってしまって、「リスクコミュニケーションは、一 部のステークホルダーのためだけにあるものではない」と言ってしまった方がすっきり してよくわかる。そんな感じがしました。 ○林座長  これはいかがですか。中心的価値がというのはよくわかりますけれども、いきなり 「一部のステークホルダーのために行うものではない」というふうに持っていってもい いかとも思いますけれども、これも少しじっくりお考えいただいた方がいいかもしれま せん。  例えば、「一部のステークホルダーのために行うものではない」とすれば、それでは 何のために行うのかということになります。 ○広瀬課長補佐  「関係者全体を対象とするものであり」とか、そんな感じの表現はいかがでしょう か。ステークホルダーをどう訳すか。利害関係者と言うと、またちょっと。 ○林座長  ステークホルダーとは関係者と言う人もあるし、関与者と言う人もおられます。  そういう報道関係では、ステークホルダーはどういうふうに訳したらよろしいんです か。 ○岩渕構成員  よく知りませんけれども、例えば利害関係者なんて言うところもあります。いろんな ことがあるので、ここにふさわしいのはどれかという話になるのではないかと。 ○林座 長  利害関係者もいいですね。これは何か適切なものをお選びいただいて。  ほかに何かございませんでしょうか。  どうぞ。 ○加藤構成員  ステークホルダーだけではなくて、3つ目の○のところもそうだと思います。「リス クコミュニケーションは、プレゼンテーションを行うコミュニケーター」、これまでの 会話のところではこうやってみんな会話してきたわけですけれども、やはり文字になっ てくると非常にカタクなるのが多いものですから、やはり広く多くの消費者といろいろ 協議をしていくときには、やはりみんながわかるような表現の仕方というのを工夫しな くてはいけないかなと思いますので、できる限り日本語に置き換えられるところは置き 換えていく努力を私たちはしなくてはいけないと思うので。 ○林座長  そうしますと、この片仮名を少し日本語に置き換えるようなことを事務局も考えてい ただきますけれども、構成員の方でも考えて、意見を広瀬さんの方に送るようお願いで きますか。  それでは、そういうことで、ほかに何かありますでしょうか。なければ、次の「2. リスクコミュニケーションの取組みについての検証」というところに入らせていただき ます。  「(1)リスクコミュニケーションの取組み全般に共通すること」ということですけ れども、いかがでしょうか。  リスクコミュニケーションの取組の際に、全般の共通することで一番大事なことは、 ここでやるリスクコミュニケーションの主題は何であるかということだと思うんですけ れども、それが余り書かれていない。これは当たり前のことなので抜けているような気 もしますが、やはり、主題が何かを確認することの重要性についてふれるべきと思いま す。次に、主題についての意見は関係者によって違いますが、違うという背景がどこに あるのかも問題になると思うんですけれども、これは取組全般の項に入れた方がよいで すか。  何かございませんでしょうか。  どうぞ。 ○大山構成員  ○の2つ目なんですが、これは私がしゃべっている内容なんですけれども、「厚生労 働省におけるリスクコミュニケーションの目標値」と書いてあるんですけれども、多 分、私はそういうふうにしゃべっていると思います。ただ、文章にしたときに、多分、 これは理解できないかなという感じがしますので、だから「値」はいらないのではない かと思います。 ○林座長  「値」を抜けばいいんですね。「どこに置いているのかが不明確」であると。  ただ、これで見ますと、厚生労働省が行っているリスクコミュニケーションのすべて について、目標が不明確なような気がするというふうに判断されてしまいますね。 ○大山構成員  評価なんです。 ○林座長  ですから、目標をどこに置いているとかがよろしいですね。だから、「それぞれのリ スクコミュニケーションの場で目標を設定して、自己評価してみることも必要」。それ でいいのではないですか。  ほかに何かございませんでしょうか。これも、非常にいろいろな先生方の御意見をコ ンパクトにまとめてあるんですけれども、文章を少しずつ補足していけばいいのかもし れません。だから、そういう点で文章表現とか何かも含めて、あるいは言葉の使い方も 含めて、事務局がこれを改定する際に何か参考になるようなことはございませんか。  どうぞ。 ○加藤構成員  済みません、やはり会話のときにはこういう表現をしているんだろうとは思うんです けれども、○の4つ目のところも、「あらぬうわさで右往左往する消費者というニュア ンスで『風評被害』という言葉が」というんですが、風評被害を説明するときの前にこ ういう言葉を置くことが果たして適切なのかという気もいたしておりますので、ここは 風評被害を説明する別な表現を使った方がいいのかなという気がいたします。 ○林座長  この風評被害の説明のところが余り適切でないということで、これは直せますね。  ほかに何かございますか。  どうぞ。 ○岩渕構成員  次のページなんですが、やはりこれは発言者の知的レベルによって大分表現にばらつ きが出てくるという傾向が勿論あるんですけれども、そこは私の発言なんですが、一番 上のところ。これだけ長く必要かどうかというのは皆さんの御批判を受けたいと思うん ですが、一番上のところに「読者」。これを「国民」に直していただきたいという。そ れは、一般のほかのテレビもありますので。  それから、下から2行目、「特に、とっさの」という、これもまた私の通俗的な表現 でありますので、「とっさの」というのを、例えば「緊急の場合による」とか、あるい は「発生時」とか、そのような表現に直した方がいいかなというふうに思っています。 ○林座長  もしも、御自分の御発言と思われるところで何かこれをこう改定すべきだというとこ ろがありましたら、それを広瀬さんの方に送っていただけますか。  ほかに何かございませんでしょうか。  やはり、口語表現と文章表現は違いますから、加藤構成員の言われているとおりで、 資料にするためには少し直した方がよろしいですね。  ほかに何かございませんでしたらば、次の「(2)意見交換会について」はいかがで しょうか。  先ほど、この意見交換会の、次の6ページの終わりから2番目のアンケートというこ とでも、先にアンケートでいろんな御意見がありましたけれども、その中のことを少し 入れてもよろしいのではないですか。アンケートに回答すること自身が満足度を高める ことなんだということとか、アンケートのやり方を少し考えなければいけないというこ とですね。これは先ほど御意見がたくさんありましたので、この中に入れていけばよろ しいのではないかと思います。  一番最後の「意見交換会で出た意見などがどのように扱われるのかということがわか りにくく、伝わってこないため」という文章は非常に重要な内容だと思うんですけれど も、これは確かに、ほかの厚労省のいろいろな部局、あるいは自治体などへのアドバイ スとしては非常に重要なことです。この内容を文章としてもう少し明確に表現する方法 は何かないですか。自分の意見がどういうふうに扱われたかということがわからない と、最悪の場合、意見交換会に出席しなくなってしまうこともありえます。  どうぞ。 ○岩渕構成員  確かに、過去形でわかりにくいというのはそれはそうなんですが、さっき大山委員が おっしゃったように、最初にきちっと、これはこのように使いますという説明は、これ に対する答えとしてはかなり有効な答えではないかというふうに思います。 ○林座長  わかりました。 ○大山構成員  その部分なんですけれども、このリスクコミュニケーションとちょっと離れますけれ ども、私ども食品メーカーがパブリックコメント、意見を出していきます。ただ、出し てもどういうふうにそれが生かされたのか、使われたのか。勿論、パブリックコメント を出せば、それに対する回答は返ってくるんですけれども、そこまでなんです。それが 実際にどういうふうに法律に、通知に変わったのか。どういうふうに生かしたのかとい うものがやはりよく見えないんです。  そうすると、何か意見出しても出しっぱなしで終わっているのではないかという思い が少なからずあります。 ○林座長  ほかに何かございませんか。  この6ページの2つ目の○でも、意見交換会が時間不足のためとかありますけれど も、要は交換会を実施して、その経験をその後の意見交換会の改善にどう反映させるの かを具体的に考えることが必要だということです。その中に、例として時間を確保する とかというのはありますけれども、これは先ほどのアンケートの問題も全部含めて、こ のところを少し、全体をまとめるとよろしいですね。  ほかに何かございませんでしょうか。  「意見交換会の規模も重要。今後は、より現場に近いところで小規模な意見交換会を 開催するといった、国と地方公共団体の役割分担が必要」これも大事ですね。 ○神田構成員  多分、この辺りは私が挙げたことがちりばめられていると思いますので、私が言いた いのは、いろんなタイプの設定があっていいだろうと。  その場合に、いろんな説明があって、そういうふうにやりとりで何回かで終わってし まうけれども、たくさんの人が参加できるという場面があってもいいでしょうし、それ から、テーマが別か同じかでもいいんですが、より深く関われる設定も同時にある方が いいだろうしということで、初めに言ったものを求めて、それから、「国と地方公共団 体」というふうにありますけれども、そういった地方公共団体のところでも結構進めら れてきているところがありますし、地方公共団体が独自でやる場合もあるし、国と一緒 にやる場合もありますが、いろんなパターンがあるというようなことがわかるように一 つはした方がいいのではないかと。  そういった組み合わせがあって、そして、なおかつ、それについての前のところ、要 するに参加ができない人もいるということ。この前のテーマだったと思いますが、参加 するのは意識の高い人で、そうではない人がいるから配慮しなければというところが、 どこかにそういったくだりがありましたけれども、そことの関係ですが、やはりやって いることをちゃんと情報提供するということです。  それから、先ほどパブリックコメントに対しての答えというようなお話もありました けれども、一々答えられないということはありますから、最終的に出してきた結果とい うか結論というものを、やはり私たちのことがほかで生かされているんだというような ことがわかるようなやり方にしてほしいと思うんです。もしそうでなければ、それに対 してのコメントが欲しい。  具体的に言いますと、BSEの問題で各地でやったと。そういう中で、厚労省と農水 省の方のリスク管理側の諮問、今、食品安全委員会に出している諮問の内容が、全国で やってきたリスクコミュニケーションの意見が反映されていると消費者が受け止められ るような結論だったかというと、そうではないという受け止めもかなりあるわけです。  ですから、そういうときにちゃんと、これこれこういう理由で、それはたくさんの意 見があったけれども出せなかった、そういうふうになっていないんだというふうに判断 をしたんだというのを自信を持って出してほしいんです。そこが欠けているというふう に思うんです。  だから、そういうことをきちっと出していく。それで、納得感というか、そういうも のに結び付くような手だてが必要だと。それが不足しているのではないかというふうに 思うわけで、そういうことがどこかに入れられるといいと思います。 ○林座長  今のお話は、意見交換会には主題、目的によって規模も含めて多様な方法がありうる ということですね。  もう一つは、意見の扱い方です。それをもう少し考えるべきだということを少しどこ かに入れたらいいのではないかと。  6ページの3番目の○も1つかもしれませんけれども、この点がもし、6ページの上 から3番目の○のところで追加するべきところがありましたら、神田構成員の方から少 し事務局の方にお願いを。 ○広瀬課長補佐  意見の扱われ方のところとしては、5番目の丸の方が、これに更に少し記述を足した 方が、多分、据わりはよいと思います。 ○林座長  それでは、そのようにお願いします。 ○丸井構成員  この取組みについての検証というか、現状についてですけれども、これは多分、その 後の「3.今後の取組みについての提案」と対応するものなので、例えば、今のような 表現になりますと、それはむしろ提案です。現状ではその辺のところが十分できていな いという、それで提案と対応させていくような形で、ですから、それは表現の問題にも なると思います。 ○林座長  非常にいい御意見、ありがとうございました。  そうすると、同じことで、それでは「(3)ホームページについて」、御意見いかが でしょうか。 ○広瀬課長補佐  ホームページのところは、外部専門家ということで、当時の食品総合研究所の山田研 究官から主にいただいた意見ですので、構成員として更に追加した方がいいというよう なことがあれば御意見いただければと思います。 ○林座長  これは、これの内容を山田先生に御確認いただくということでよろしいですね。  そうしますと、その次の「(2)リスクコミュニケーションに関するトレーニングに ついて」ですけれども、これも金川構成員のお話ですね。  これはいかがでしょうか。これについて、今までのことの検証とは少し違うようなこ とですけれども。 ○広瀬課長補佐  済みません、7ページの「リスクコミュニケーションに関するトレーニングについて 」の頭に(2)となっていますけれども、これは(4)です。 ○林座長  (4)ということは、意見交換会ではなくてホームページ、1つの独立したものです か。 ○広瀬課長補佐  2.の中の、今まで(1)(2)(3)と来ましたけれども。 ○林座長  これは「2.リスクコミュニケーションの取組みについての検証」の中に入るんです か。 ○広瀬課長補佐  そうです。 ○林座長  わかりました。 ○広瀬課長補佐  金川先生からはいろいろプレゼンテーションをいただいているんですけれども、指摘 としては、やはりこういう訓練をやることが重要だということに集約されているのかな と思います。 ○林座長  これも、「3.今後の取組みについての提案」のところに入るのではないかという感 じを受けたんですけれども、とらえ方はいろいろあると思いますが。 ○広瀬課長補佐  現状としてはトレーニングはされていないという分析になって、恐らく、トレーニン グをしましょうというのが今後の取り組みなんだと思います。 ○林座長  それで、その後の方で、今後の取組の中にありますね。ここで取り上げていますね。 ○神田構成員  どうでもいいようなことですけれども、この(4)で気になってしまったのですけれ ども、ホームページというのでぽんと来て、その後のトレーニングの話が来るので、ト レーニングの方向で入れるのであれば順番が逆かなというふうに思ったんです。 ○林座 長  これは、検証しているのは、今までリスクコミュニケーション、意見交換会、につい ての問題を検証しているわけで、トレーニングというのは別の話ではないかとも考えま す。ですから、これも「3.今後の取組みについての提案」の中に入れてしまった方が いいのではないかというような気はするんですけれども。 ○神田構成員  だから、意見交換会のところに、やはりトレーニングされていない問題があったとい うのは○でくっ付けておいて、後の対応のところに入れたらいいのではないですか。た だ、前に入れておかないと、一応、その弱点を。 ○広瀬課長補佐  トレーニングだけ別立てで項を立てていますけれども、確かに意見交換会としてこう いうトレーニング不足だというような形で書きつつ、後ろにも書くという。 ○神田構成 員  対策では、ここに1つ起こしてもいいかなと。 ○林座長  トレーニング不足というよりも、意見交換会の記録を見て、このコミュニケーション に余り慣れておられないということを我々は感じたわけです。だから、コミュニケーシ ョンに慣れておられないということを感じたということで、将来の取組みについてトレ ーニングが必要だというふうに。 ○岩渕構成員  座長の言葉に逆らうようですけれども、前のところで、検証の中でトレーニングも不 足しているというところまで書いて、それで後ろのところでもう一個ちゃんと項目を立 てていますので、そこで今後のトレーニングの仕方に対する提言をしていくというつな がり方が一番いいのではないですか。 ○林座長  慣れていないと感じられたのは、トレーニングの不足によると判断されるということ ですね。 ○岩渕構成員  そうです。 ○林座長  そうすると、その次では今後の取組みについてと。最初の「(1)リスクコミュニケ ーションの取組み全般に共通すること」というところから、いかがでしょうか。  これは、最初のところはいいですね。何かございませんでしょうか。  「取組み全般に共通すること」というのは、3つの○を読んでみますと、目標をはっ きりさせる、明確にするということに尽きるのではないかと思うんですけれども、これ も社会的合意形成を目指すということですね。これもありますし、その次の2番目の○ は、有害性微生物とか食中毒ということですが、何か具体的なテーマを明確にするとい うことになりますし、3番目もそうですね。  ほかに何かございませんでしょうか。  それでは、次の「(2)意見交換会について」。 ○大山構成員  7ページの一番下なんですが、「教育者が使えるような情報を厚生労働省が作成して みてはどうか」という、これは厚生労働省だけに限定するのではなくて、むしろ行政と いう形で、文部科学省もあてはまるのではないか。つまり、厚生労働省だけに限定して しまうよりも、むしろ行政という全般の方がよろしいのではないかと私は思うんです。 ○岩渕構成員  文科省が鼻を曲げないようにすると。 ○林座長  ただ、ここの前の方の文章に食品添加物とか具体的なことが書いてありますので、こ のままでもよいように思いますが。単に行政と言ってしまいますとたくさんあって、そ れではどこがやるかということになるように思います。事務局としての御意見はどうで すか。 ○神田構成員  食品添加物についてのこういう情報というのは出していないんですか。 ○林座長  出していると思います。 ○広瀬課長補佐  多分、利用しやすい形で、先生が学校の教材として使いやすい形での情報というの は、多分厚労省のホームページを見てもなかなか見づらいのかなということだと思いま す。行政という表現にしても、一応、厚生労働省も入るのでそこは大丈夫だとは思いま す。 ○林座長  どうぞ。 ○岩渕構成員  私はちょっと、余り厚生労働省、思い入れがあるのだったら別ですけれども、そうで なければ、例えばこれに関わる組織としては食品安全委員会だって当然入るわけです。 農林水産省はどうなのかよくわからないし、それでは、現場の学校に直接それを渡して やらせるとなると、これは文部科学省が当然絡んでくるわけですから、そういう意味で 言いますと、最低限、厚生労働省等とか何とか付けるとかという、役人得意の表現で、 それぐらいは必要ではないかというふうに思います。 ○林座長  そうすると、最後のところは食の安全確保について教育者が使いやすいような情報を 厚生労働省など、あるいは行政が作成してみてはどうかというように訂正するわけです ね。  ほかに何かございませんでしょうか。  どうぞ。 ○丸井構成員  先ほどの意見の繰り返しに近いんですけれども、検証の部分ではかなり概論的なこと も出しているんですが、この提案のところは非常に個別具体的なことだけになってい て、やはり検証の部分と対応をさせていく必要があると思います。検証のところで出て きたことでも、ここには全く挙がってきていないことも非常に多いので、もう一度構造 として検証と対応させるという必要があるだろうと思います。 ○林座長  わかりました。  どうぞ。 ○加藤構成員  7ページのところは、○3つのうちの2つは子どもに関わることで、非常に個別具体 的な印象を受けます。  現場のところに、○3つに関わる話ですけれども、例えばパッケージで情報を提供さ れれば、現場の先生は食品添加物のことについても確かに教えやすいかもしれないんで すけれども、やはり自分の子どものことを考えても、学校現場はとても大変なわけで す。食の問題だけではなくて、学校にはいろんなものが来るわけです。環境でよし、何 でよしで.実効性という観点からしても、果たして○3つのうちの2つを子ども絡みな 話だけに収斂させて、こういう流れで「3.今後の取組みについての提案」(1)とい うので、この○3つをここに据えておいていいのかという疑問なんです。 ○林座長  何かありますか。  どうぞ。 ○岩渕構成員  おっしゃるとおりだと思います。それについては、さっき丸井委員がおっしゃったよ うに、前の検証と対応させる格好で、もっと概念的なものをここに書いていけばいいの ではないかというふうに思います。 ○林座長  一般論として、検証の部分と対応させて、それで具体的な形でそういうことも、その 他を入れていくということですね。  それで、リスクコミュニケーションとは何かということでしたら、これはそれほど難 しいことではないんでしょうけれども、食の安全のリスクコミュニケーションといいま すと、内容は非常に多岐にわたりますので、やはり事務局だけで考えろというとかなり 難しい面があると思いますので、先ほどもお願いしたんですけれども、検証との対応と いうことも含めて事務局の方に意見をお寄せいただくということが重要ではないかと思 いますので、よろしゅうございますか。  その次の「(2)意見交換会について」の方はいかがでしょうか。 ○神田構成員  先ほどの全般の共通することとも絡むんですが、8ページの一番下の、これは私が言 った意見ですけれども、意見交換会についてだけ触れているのではなくて、全般に共通 することに入れるべきだというふうに思うんですが、どういうテーマを取り上げるの か。リスクコミュニケーションをするのに全部やるわけではないですね。だから、どう いうものを取り上げるのかということを、関心が高いものとかというふうな表現になる のかもしれませんけれども、そういったのが取組み全般に共通するというところにも含 まれていかなくてはいけないのではないかというふうに思っています。単なる意見交換 会のところだけではないというふうに思います。そういう意味で言ったのではなくてと いうことです。 ○林座長  どうぞ。 ○岩渕構成員  上の(3)のところ、最後の「隠蔽感のなさ」というのは、前は名詞できちんと止めてい るんですけれども、ここは表現として、例えば「透明性」とかそういうような格好の方 が、「隠蔽感のなさ」というのはわかりやすいんですが、ちょっとどぎつい印象が強い のではないかと。報告書ではなかなかどうかなと。 ○林座長  ここもやはり、言葉の使い方が問題になりますね。  ほかに。どうぞ。 ○丸井構成員  そういう意味では、言葉の問題よりは「(2)意見交換会について」の上の3つ、そ れから、次のページの一番上は金川先生のプレゼンテーションの中に出てきたものだと 思いますが、これは個別に意見交換会の内容改善のためにというものではないので、も う少し一般的な話だったと思いますので、必ずしもここに載せてくるのがいいとは思え ないんです。確かに、作業としていろいろな意見を全部切って、それをあちこちに置い てくださったのですけれども、これはここの必要はないし、どうしたらいいかというと ころに載せる必要のないような、例えば3項目「情報のリスク管理」というような種類 のもので、なくてもよいものも随分まじっているように思います。 ○林座長  この中では、プレゼンテーションの内容については、「真実性」「正確性」「開示 」、それから「隠蔽感のなさ」というか透明性といいますか、そういうのはそれだけで もいいんですね。逆に言うと、それを先に持ってきて、その後に、具体例を含めて、解 説を書くのも方法と思いますが。「配慮性」もそうですか。 ○広瀬課長補佐  全般的に、今後の取組のところについては具体的な指摘事項を中心に書きたいという 意向があって、このような構成になっていて、かつ、今、お話のあった「情報のリスク 管理」の部分も、意見交換会を実際にやるときに、やはり二者択一的な質問が出されて きたときの対応とか、やはり気をつけるべき項目として関連があるのかなというような 形で、今回、一応ここには挙げているんですけれども、確かに、それ以外のことにも関 係しているのは間違いないので、どこに、どういうふうに落としていくかということの 問題だと思います。 ○林座長  やはり、「正確性」というよりも「論理的・時間的に一貫していて、科学的に間違い がないということ」の方がわかりやすいですね。ですから、「正確性」というのを前に 置いて、その解説としてその内容を述べればよいのではないでしょうか。  それから、どの部分も確かに「開示」というのも、前に書いた文章があるから「開示 」という意味がよくわかるので、確かにアドバイスとしては具体性があった方がいいと いうことで、ちょっと文章の配列を変えればよろしいのではないかという気がします。  どうぞ。 ○岩渕構成員  既に出た意見ですけれども、「『情報のリスク管理』という意味では」というくだ り、当然ながら表に公表される話でありますので、もし、これを一般国民から見ると、 例えば「(4)誘導尋問にうっかり乗らない」とか、こういうようないわゆる裏マニュア ルみたいな、本来余り表に出して言うような話ではないというふうな感じは受けます。 ○林 座長  これは、少し整理する必要はありますね。ほかに何かございませんでしょうか。  次の「(3)ホームページについて」と。この9ページの「(3)ホームページにつ いて」の前の「『場の運営』という意味では、次の点に気をつけると良い」という文章 がありますが「場の運営」というのは、どういう意味でお使いになっているんですか。 ○広瀬課長補佐  進行自体をルール立てて進めていくという趣旨です。 ○丸井構成員  クライシスのところの、危機管理のときの話ではなかったですか。記者会見とか、そ うでもないですか。 ○広瀬課長補佐  やはり、この「場の運営」というのは意見交換を念頭に置いた感じになっています。 どちらかというと、丸井先生からお話があった記者会見というものもひょっとすると該 当するのかもしれませんが、省としては意見交換を念頭に置いています。 ○岩渕構成員  それでは、意見交換でいいのではないですか。 ○林座長  そうですね。「意見交換会の運営については、次の点を気をつける必要がある」とい う方がわかりやすいと思います。  そうすると、(2)も「意見交換会の主導権は主催者で確保しなければいけない」と。 ○丸井構成員  (3)(4)はちょっと違うように思いますけれども。 ○林座長  (3)(4)、何かございますか。 ○岩渕構成員  「(4)壇上に上がらない」というのは、要するにフロアのオーディエンスが壇上に上が らないという意味ですか。 ○林座長  そういうことですね。これは何か非常に細かいことを。 ○岩渕構成員  そうですね、さっきのところと同じように、これは少し出し過ぎだと思います。  ですから、さっきのマル1〜マル5と、ここの方はどうですか。必要なものがあれば ともかく、ここの(1)〜(5)というのも意見書として表にきちんと出すのは、ちょっと一 般の国民から見ると何だこりゃというふうな印象を受けかねない部分がある。内々とし ては大変に貴重な意見ではありますがというふうに思います。 ○林座長  これは、やはり整理してみる必要がありますね。  ホームページはいかがですか。 ○丸井構成員  この前もちょっと話しましたが、ホームページについては現在改定されて、多分、こ の話が実際に外へ出るときには、検討した内容と提案とのかなりの部分が解決されてい るという部分があるのではないかと思うんですけれども、だとすると、言わばこれは手 遅れということになるので、厚生労働省のホームページの改定と、これが外へ出る時期 とを少し考えて、先ほどの検証の部分とこれについては少しそこを合わせる必要がある と思います。 ○林座長  ここは、特に検証との対応を図る必要がございますね。  ほかには何かございませんか。  それでは、その次の「(2)リスクコミュニケーションに関するトレーニングについ て」ということですけれども。 ○広瀬課長補佐  ここはまた(4)になります。 ○林座長  どうぞ。 ○加藤構成員  (4)の1つ目に、「実践の場数を踏むだけでなく」という記述は、やはり文字にな るときついですね。ここもちょっと訂正していただいた方がいいかなと思います。  それと、8ページの方に戻って申し訳ないんですけれども、意見交換の○2つ目の 「『配慮性』という意味では」のところの(1)〜(3)で「(1)素人に通じるようにわかり やすい」というこれは、「だれにでも通じるように」とかそのような形の方がいいのか なと思います。  それと「(2)情報の受け手の関心や価値観に沿った内容」で、実際にこれをやろうと 思ったら大変なことだろうと思うんですが、1人2人相手にして意見交換するわけでは ありませんので、ここも改めた方がよいと思います。 ○岩渕構成員  だけど、2番目は、表現としてはこのまま目標として残しておいてもいいのではあり ませんか。 ○林座長  例えば、受け手の関心や価値観に配慮した内容であることは言えても、価値観に沿う 事はできないですね。やはり修文を考えなければいけないところが随分ございますね。  これはやはり、先ほど何回もお願いしているんですけれども、お読みいただいて、御 発言いただいた部分を話し言葉から文章の言葉に少し直す必要があれば直していただく ということをここで再度お願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  なければ、「おわりに」というところに移ります。「はじめに」は内容がわからなく ても書けますけれども、「おわりに」は内容がわからないと書けないので、のちほど事 務局と私とで考えさせていただくということで、いかがでしょうか。 ○広瀬課長補佐  あと、別添の方についてもお願いします。 ○岩渕構成員  そっちの方もあるのでなんですが、それでは、今度のことに関してだけです。  2ページ目の、さっきから議題になっている両者の同義語のところは、前の方は同義 語でも構わないと思うんですが、後ろの方は、両者を調和させるぐらいの表現ではどう かという私の考えです。  それから、さっきのセミプロの話でありますけれども、それはプロでなくてはいけな い、当たり前の話ですので、ここはこういう形容詞は多分、一切要らないんだろうと。 当然ながら、消費者団体とマスコミ、一緒にくくるのもやや難しいところがありますの で、形容詞を取っていただければそのままでいいのではないかというふうに思います。  それから、一番最後のリスクコミュニケーションのトレーニングのところで、「実践 の場数を踏む」という、これも単に言葉の問題ですが、「実践経験を重ねる」ぐらいの 表現でいいのではないかと。  以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。 ○丸井構成員  恐らく、単に言葉の使い方ではなくて、全体的な流れというか構造を事務局の方でも う一度考えていただく必要があると思うのが1つ。  もう一つは、先ほど来、幾つも出ていますが、片仮名等で出ている言葉を日本語に単 に翻訳するというのでなくて、具体的には、ステークホルダーというのは利害関係者と 訳すという話ではなくて、国内で食の安全に関わるステークホルダーというのは、具体 的にどういう立場の人がいるのかという形に、もしできれば書いていただいて、それ で、申し訳ありませんが、もう少し流れをつくっていただいて、そうすると、どういう 主張があるかということがわかると思います。  今は、まだ部品がだっとランダムに並んでいるというようなところがありますので、 是非、流れと、それから、先ほどの検証部分と取り組みとの対応という、その辺りのと ころを少し言葉の、具体的に何を表示しているのかというところを考えていただけると いいと思います。 ○林座長  あるいは、この資料の中のおしまいの方に、リスクコミュニケーションで誤解を招き やすい用語とか表現のリストにまとめる方法も考えられますね。  例えば、先ほどの「Precautionary principle 」なんていうのも、これはこう定義す るというのではなくて、こういうふうに使われていて非常に誤解を招くことが多いと か、今のステークホルダーというのをいろいろなそれぞれの場合でかなり違った意味に 使われるというようなことで、こういう意味というようなことを書かれると、そういう のも幾つか入れるとわかりやすいかもしれません。アドバイスとしてはよろしいのでは ないでしょうか。  ほかに何かございませんでしょうか。  もしなければ、これは別添の方も。 ○広瀬課長補佐  別添の方もお願いします。 ○林座長  それでは、別添の方はいかがでしょうか。「病原性大腸菌O157 集団食中毒事件への 厚生省(当時)の対応について」ということですけれども、「1.全般的な考察」。前 の枠の中はよろしいですね。  参考1の「事件の概要」。これは、「厚生省の『最終報告(8.9.26)』より」という ことがありますね。この文章は、資料から抜いたものですね。 ○広瀬課長補佐  はい。1月13日にお配りした資料から2つほど抜いたものです。 ○林座長  ですから、ここで議論しなければいけないとすれば、11ページの下の部分と、12ペー ジですね。 ○広瀬課長補佐  そうです。 ○林座長  この「1.全般的な考察」のところの2つ目と3つ目の○の内容は、多分、消費者が 一番重要視している問題ではないかと思います。この中で、「消極的にならないでほし い」「基本的姿勢が後退するようなことがあってはならない」という意見があり、本当 にそのとおりだと思うんですけれども、私は、この研究会の座長としてこの点について 厚労省の御意見を少しお聞きしたいと思います。 ○高原企画情報課長  以前の研究会でも申し上げましたように、最高裁の決定が下された時点で、迅速な情 報公開という基本的な姿勢には何ら変わりないという厚生労働省としてのコメントは明 確に出させていただいております。  ただ、具体的な情報開示の在り方については、今回の決定を踏まえてより適切なもの に工夫していく努力が必要と考えていますので、基本姿勢自体は明確ですが、この場で いただいた御意見なども含めて、言わば方法論を改善していくということだろうと思い ます。 ○林座長  国民が一番心配していることだと思いますので、よろしくお願いします。  ほかに、12ページでは何かございませんでしょうか。クライシスコミュニケーション の観点からの具体的な考察ということですけれども。  この別添以外の、先ほど議論した部分では構成員からの意見がそのままの文章になっ ていて、少し整理しなければいけないのではないかというような御意見をいただきまし たけれども、この別添の方は、かなり苦労して随分きれいにまとめておられるような気 がしましたけれども、これはかなり時間をおかけになったんですか。 ○広瀬課長補佐  基本的には、御発言いただいた内容を少し読みやすくといいますか、そういうふうに 変えたというところです。 ○林座長  ですから、そういう意味では、また片仮名の文字を日本語にするというところはある かもしれませんけれども、私自身は、内容としては余り問題ないと思いますけれども、 いかがでしょうか。 ○岩渕構成員  特にありません。 ○林座長  どうぞ。 ○丸井構成員  12ページの2の方の4つ目の○ですが、「もっとも大きな問題は」云々という、ここ のところは、前段はいいんですが、「疫学的推定の結果を『真実』として大臣が発言し てしまった」という、この「真実」というのが非常に言葉としても問題になってくると ころだと思います。  例えば、この4つ目のこれは、その次の5つ目でそれが言えているとすれば、これは 言わなくてもよい気がしますし、あるいは前段だけでよいように思うんですが、その 「真実」とは何かというのは余りにも議論がややこしいことになりますし、それは疫学 的推論という「真実」でもありますので、ちょっとここのところは、かぎ括弧を付けて 慎重にということはわかりますけれども、前半だけ、あるいはここがなくても次のとこ ろでそのことを言っているというふうに考えますが、いかがでしょうか。                (「賛成」と声あり) ○林座長  「もっとも大きな問題は、疫学的推論の限界についての説明が不十分であった点にあ る」ということですね。  ほかに何かありますか。  そうしますと、ほかになければ、事務局側としては、本日の意見の取扱い、御説明い ただけますか。 ○高原企画情報課長  それでは、私の方から2点。  まず、この報告書案の取扱いですけれども、これは素案ということで、ある種、各発 言者の著作権を尊重して、意見を割とそのままパーツとしてお出しした形になっていま す。、今日いろいろ貴重な御意見をいただきましたが、これを整理して、あと、これを 公表する場合には、ある意味でこの研究会の共有財産ということになるかと思いますの で、書き言葉としてのより適切さとか、あるいは今日いただいた御意見も踏まえて、手 直しすべきところは手直しをさせていただくということについて、共通の御理解をいた だいたのではないかと思いますので、そういう個々のパーツについての整理と、併せ て、全体の、特に検証と提案についての組み立て方について、再度整理をしてみたいと 思います。  スケジュールとしては、今月中にはとりまとめをして公表という取り運びにしたいと 思っておりますので、まずは事務局としても、再度整理をしたものを各先生方に送らせ ていただくことにし、その過程で、先ほど座長からもアドバイスがございましたけれど も、事務局からの再度の案が行く前にもお気づきの点があれば御連絡いただければと思 います。 ○林座長  先ほど、私、構成員の先生方に何か御意見を事務局側にお聞かせいただきたいと申し ましたけれども、これだと抽象的なんです。  また、逆に事務局側から、この点についてもう少し詳細に説明してほしいとか、ある いは適切な文章にしてほしいというようなことをお願いするのもいいと思うんです。で すから、その点もお考えいただきたいと。何しろ、時間は3月いっぱいと限られていま すから。 ○高原企画情報課長  ただ、いただいた御意見を整理すること自体は大した作業ではないので、今月中に取 りまとめの上、公表し、いろいろ情報発信に有効に使わせていただきたいと思っていま す。  それから、もう一つ、この研究会の今後の取扱いです。年度内はこれで終わるわけで すけれども、この研究会をこれで解散ということにしてしまうのかどうかという点につ いては、解散というのもやや寂しいかなという気がしますし、やはり、今後、こういう 事業運営に当たってはプラン・ドゥー・シーといいますか、計画し、実行し、それを検 証評価するというプロセスが非常に大事だと思います。  特に、検証評価の部分については自己点検というのも必要なわけですけれども、外部 の有識者の方に、よく見ていただき御意見をいただくということも必要だと思いますの で、お許しいただければ、フォローアップという意味も含めて、この研究会を来年度も 存続させていただきたいと。  ただ、あまり頻繁に開催する必要はないと思いますので、御理解いただければ、少し 継続してフォローアップなどをしていただくということにさせていただきたいと思いま す。 ○林座長  ありがとうございました。ただいまの、この資料の今後の取扱いというような御説明 がありましたけれども、何かその点について御意見ございますか。あるいは、これを改 定する、修正するときの何か適切な方法とか何かございましたら、御意見をいただきた いと思います。  それでは、なければ、今後の取り扱いですけれども、事務局おっしゃったように、よ ろしく、今回の議論を踏まえて適切に対応していただきたいと思います。よろしくお願 いします。 ○広瀬課長補佐  それでは会の終了に当たりまして、部長の方からごあいさつをさせていただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○外口食品安全部長  今まで5回にわたりまして構成員の先生方、本当にありがとうございました。  私どもは、平成15年7月から、このリスクコミュニケーションの取り組みを始めたわ けでございますけれども、私が最初の1年間、実は担当の参事官をしておりまして、い ろいろ手探りというか、試行錯誤でやってきたわけでございます。  そういった中で、自分の感じたことを申し上げると、例えばアンケート調査。自由記 載の欄が、最初は非常に役に立ちました。特に生の筆跡で見ると、すごくこちらも感じ るものがあるわけでありまして、そういうのを見ながらいろいろ手探りでやってきまし たし、それから、例えばホームページも、Q&Aの形式というのがわかりやすいんだと いうことに気がついたり、あるいは言葉の問題でも、英語のリスクと日本語のリスクと いうのは違ったコンセプトでとらえられているというのも、これもやっていく中でだん だんわかってきました。  そういったことの中でいろいろ工夫を重ねてきたわけでございますけれども、今回、 このような形で体系的に検証していただきまして、実践的なアドバイスをたくさんいた だきました。  現在、私どもだけではなくて、各自治体でもいろいろな取り組みをしておりますの で、是非、この結果を各自治体にもよく普及して、次のステップに進めていきたいと思 いますので、先ほど課長から、その後のフォローアップについてもまたお願いしたとこ ろでございますけれども、是非、この後の私どもの目指す改善の状況について、またい ろいろ御指導を賜ればと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。  本当にどうもありがとうございました。 ○林座長  どうもありがとうございました。  それでは、本日の研究会、これで終了とさせていただいてよろしいですか。 ○広瀬課長補佐  どうもありがとうございました。