05/03/04 社会保障審議会医療保険部会第13回議事録               社会保障審議会医療保険部会                   (第13回)            日時 平成17年3月4日(金)               10:05〜12:05            場所 厚生労働省 7階 専用第15会議室 星野部会長  おはようございます。これより第13回医療保険部会を開催いたします。委員の皆様に は本日はご多忙の折り、お集まりいただき御礼申し上げます。  本日は、事務局から私の再任を含めましてご報告がございます。事務局よろしくお願 いいたします。 間杉課長  まず、部会長の再任の経過についてご報告申し上げたいと思います。社会保障審議 会、当部会の親審議会でございますが、この委員につきましては委員の任期が2年間と 定められております。私どもの部会に所属する5名の委員、浅野委員、久保田委員、清 家委員、星野委員、山本委員につきまして、これまでの委員の任期は本年の1月28日を もって満了となっておりました。この5名の委員の皆様には親審議会のほうで再任手続 きをいただいておりますが、任期満了に伴い当部会の部会長が空席となったため、部会 長の選任をいただく必要がございました。部会長の選任につきましては、社会保障審議 会令によりまして、部会長は部会に属する親審議会の委員の互選により選任すること、 とされてございます。  当部会の開催に先立ちまして親審議会の委員である5名の方々に互選をいただきまし たところ、引き続き星野委員に部会長をお願いするということになりましたので、ご報 告させていただきます。ありがとうございました。  これからの議事運営につきましては、再び星野部会長にお願い申し上げます。 星野部会長  まず本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は浅野委員、井伊委員、 磯部委員、岩村委員、大内委員、清家委員、西村委員より欠席の連絡をいただいており ます。  ただいま、引き続き部会長を務めるようにとのお話をいただきました。委員の皆様の ご協力を得て円滑な運営に努めて参りたいと存じますのでよろしくお願い申し上げま す。  本題に移りたいと存じます。本日は前回に引き続き、「政府管掌健康保険の改革に伴 う論点」について議題としたいと思います。それでは、事務局から説明願います。 今別府課長  保険課長でございます。早速資料1につきましてご説明させていただきます。前回、 政府管掌健康保険の議論を一度していただきまして、もっと論点を掘り下げてというお 話でございましたので改めてご説明いたします。  資料1の2ページでございます。これは今までの議論の前提及び今後の方向性という ことです。ご覧いただいております資料2ページの下に、平成15年3月の閣議決定で、 政管健保について何が書かれていたのかということ。また、それを踏まえた医療保険制 度全体の基本的考え方を上に示してございますので、適宜ご参照をいただきたいと思い ます。  3ページです。この下の部分は前回もお出しをしましたが、基本方針に決めておりま す年齢構成・所得水準の格差に着目した調整を各県ごとに行うということでございま す。上に「ねらい」として書きましたが、基本的に、保険者機能をいかに発揮していた だくかという点。受益と負担の公平性を確保するという点。被保険者等の意見を反映し た自主性・自律性のある保険運営。こういうことを「ねらい」としたものでございま す。  4ページです。これは各県ごとに、平成13年度の医療費の実績に基づいて都道府県ご とに保険料を計算するとどうなるかということで、前回、結論だけをお出ししていたも のに内訳を書きまして、年齢調整や所得調整がどの程度影響するのか、ということを示 したものでございます。  一番左側をご覧ください。これは調整をする前の若人の医療費でございます。これで ご覧いただきますように、保険料が一番高い北海道で56‰、13番目の東京が33‰という ことで、生の数字で見ますと差し引き23‰の差がございます。これを右の欄にあります ように年齢と所得で調整をした結果が右の保険料率です。これは前回お出ししました が、北海道が87‰、長野が75‰、差し引きで12‰の差になったということでございま す。  ご注目いただきたいのは、沖縄を除きますと年齢調整は絶対値が最大で2でございま して、さほど変わっておりません。むしろ影響があるのは所得調整のほうでございま す。これも沖縄は特別に19ですが、それ以外でも10に近いような7とか9という数字が 場合によっては出ているということをご覧いただこうと思います。  特に沖縄は、年齢で7、所得で19ということで、かなり大きな幅の調整になっており ます。いずれにしても生の数字で23‰の差があった保険料率が、こういう年齢と所得の 調整をすることによって12‰の幅に収まったということで、前回の資料の内訳の確認で ございます。  5ページはそれのバックデータでございますので省略をさせていただきます。  6ページをご覧ください。都道府県ごとに保険者機能を発揮していただくということ で、一つの例として、健診事業の実施ということでございます。現在でも、実は、県ご とにかなり差があるということをお示ししております。ご覧いただきますように、大阪 の17%から沖縄の45%まで、かなりの差があるということをご認識をいただきたいと思 います。全体として低いということも再認識をしていただこうと思います。  7ページでございます。今日のご議論の中心になる部分であると思いますので、丁寧 に説明させていただきます。これは保険料率決定の過程(イメージ)ということで書い ております。保険料率というのは医療費で決まるものでありますし、同時に、いまご覧 いただきましたような保健事業をどの程度やるのかというようなこと、まさに保険者機 能を発揮する事業決定の裏返しの保険料率であるということでございます。  左端の(現行)でございます。現行は健康保険法で上下限を決め、国(厚生労働大臣 )が料率を決定するという形です。社会保険庁長官が全国1本の保険料率を適用して制 度運営している。料率改定の申し出は社会保険庁長官からする。  現行のところの下にメリットとデメリットというところで幾つか書いております。こ ういう形で国で料率を決めますので、自主性・自律性のある保険運用になっていなかっ たということ。制度運営の主体である国と事業運営の国ということで、えてして保険料 率を機動的に上げ下げすることができにくかったのではないだろうか、という反省でご ざいます。医療保険制度全体の制度改革と一体として保険料率の議論がなされてきたの ではなかったのか、ということが書いてございます。  一つ右のAをご覧ください。都道府県単位の医療費の反映としての保険料ということ で書いたのがAでございます。これは各県支部ごとに被保険者等で構成させる組織を置 いて、そこの意見を聞いて保険料率の改定本部の組織に申し出る。保険者組織を国とは 別のところとして想定して、そういう形にしております。  ただ、これでありますと依然として料率の最終決定が国、ということにしております ので、下のメリットとデメリットに書いてありますように、国が実施する場合と自主性 ・自律性という意味でそう変わらないのではないか、というところがデメリットとして 考えられております。また、これも同じですが制度改正とセットの議論になり兼ねない のではないか。  もう一つ右の欄のBをご覧ください。今度は保険者組織に保険料率の決定権をゆだね るというところが違います。この場合には国が保険料率を決めませんので、まさに保険 者組織の自主性・自律性が発揮されて弾力的な料率の引き上げが可能となります。  各県ごとに支部を置いて、各県ごとの評議会のようなものを作って、ここで料率改定 を自主的に決めていただく。本部では保険料率の算定基準のようなものを決めて、それ に基づいて各県ごとに決めていく、最終的には本部組織で料率を決定する。  こうしますと自主的な運営が担保されるのではないか。ただ、保険者組織自体が保険 料率をなかなか引き上げてくれない、あるいは借入金に頼りっぱなしになる、というよ うなことがないように最低限の国の関与は残す必要は当然あると考えております。  右のCをご覧ください。これは各県ごとに保険者組織を独立させたらどうか、という 形でございます。基本的にBと同様に自主性・自律性のある運営はできますが、この場 合に考えないといけないのは、こうしますと県ごとの組織ですので国の監督ではなく、 むしろ都道府県の監督という構成になると思います。  次のページでもまたご説明いたしますが、こういう形にいたしますと、各県ごとに組 織が独立しますので、それぞれの財政調整ということを考えると、別途にそういうもの を特定の考え方に基づいて新たに作るという必要性が出てくると考えております。各県 ごとに同じような事務をやることになりますので、Bに比べますと事務の効率性という 点ではいかがか、ということも下に書いてございます。  8ページです。先ほどのBとCをイメージしてご覧いただければと思います。財政運 営ということで具体的に特に資金管理、あるいは事務の効率性ということで、左のよう な形で本部と支部という構成でございますと、資金の融通が可能ですので、資金繰りと いう点で右の一県一県ばらばらにする形よりは融通がきく、資金がショートするという リスクヘッジという点からは、左の本部と支部という構成のほうが楽ではないか。  各県ごとに同じような事務をまとめてやるのと個別でやるということで、事務の効率 性ということも大分違うのではないかと考えております。  9ページをご覧ください。これはどんな組織にするにしても都道府県単位で財政運営 をする、あるいは都道府県単位の保険者にするということであっても、いずれにしても ここに書いてあるような5種類の事務というのは、全国でまとめてやったほうが効率的 ではないかということを改めて整理いたしました。  まず(1)です。適用徴収でございます。政管健保は厚生年金と合わせて適用徴収して おりますので、これをバラバラでやるよりは、厚生年金の適用徴収と一体でやったほう が効率的ではないかと考えておりますので、その意味で政管健保の適用徴収事務という のは、厚生年金と合わせて、全国一本で全国的に処理をするというほうが適当ではない か、ということが1番目でございます。  10ページに絵を書いております。右をご覧いただきましてもわかるように、ほとんど 同じところが対象となっておりますので、適用・徴収、納入告知、保険料納付、こうい うところ。さらにはそれぞれのデータを管理するコンピューターシステムまで分けると 二重になってしまう、一体で処理したほうが適当ではないかということでございます。  9ページに戻ってください。(2)同じく全国的に実施したほうが適当な事務というこ とです。財政調整の事務。先ほどご覧いただきましたように、年齢調整・所得調整をす るということで内訳をご覧いただきましたが、特に沖縄などの数字をご覧いただくとお わかりのように、現行の国庫補助の金額だけでは財政調整仕切れない規模でございま す。したがって、財政調整というのが国庫補助だけでは行えませんので、各支部の支部 ごとの財政調整というのが当然ながら必要になってくる。それは当然ながら各県支部と は別の全国的な組織で対応しないといけないことだろうと考えております。  (3)に書いておりますのは、これは健保連などでも実施をしておりますが、財政調整 とはまた違った意味での再保険的な事務、こういうものが必要になってくるとすれば、 これは当然、全国的な組織で実施をしないといけないと考えております。  (4)はここに書いてある人事・定員、まさに組織管理の事務。医療費の集計等の事務。 ないしはレセプト点検等の事務。こういうものについては、47ほぼ同種の事業をやるこ とになりますので一カ所でまとめてやったほうが効率的ではないか。  (5)は現在社会保険庁においては、日雇い、あるいは船員保険というような制度も同 じく運用しております。いずれにしてもこういうものは各県単位というよりは全国単位 でやったほうが良いので、こういう事業を運営する組織というのは、当然ながら全国的 な規模で別途に必要になるということを書いてございます。  11ページをご覧ください。やや重複をしますが現在の政府管掌健康保険、これは中期 財政運営方式ということで、5年程度をみて保険料率を決定するということ。国として 全国一本でやっております。しかしながら全国一本でやっていることから、地域の実 情、特に医療費の反映が保険料にできないということ。実際に保険料率を告示で変更で きるようにはなっておりますが、制度改正と一体の議論ということが多く、保険者とし て柔軟に対応することが難しかったのではないかということでございます。  12ページをご覧ください。都道府県単位の財政運営を行うことによって、ここに書い てあるような医療費適正化への取組、被保険者への情報提供、あるいはほかの保険者と の共同事業、医療提供体制の話等々まさに保険者機能の発揮ということが目指せるよう になるのではないか。こういうことをした上で保険料率の変更、あるいは給付の見直し 等に繋げていくということを目指したいと考えております。  なお、いま述べましたような財政運営をした上で、それでもなお財政が悪化をすると いうケースは当然考えられるわけで、そういう場合の行政の関与の在り方、財政安定化 のための措置、そういうものはさらに検討をしていく必要があるだろうということでご ざいます。  13ページは少し観点を変えまして、今までむしろ保険者機能の発揮という観点で述べ てまいりましたが、今度は組織ということで整理をしております。先ほど述べましたよ うに、今までの国と社会保険庁の関係ではなく、国から保険者組織を外して、そこで県 単位の財政運営をするということで考えるということにしましても、どういう保険者組 織なのか。従来、公法人ということでご議論させていただきましたが、現行の社会保険 庁を左にとって、代表的な公法人の例として独立行政法人と健保組合の2つを表にさせ ていただきました。  まず独立行政法人でございます。これも国の事務を効率よく執行するということで制 度が作られたものでございます。したがって、国の主務大臣から任命された理事長であ る法人の長が理事をすべて任命する、という格好になっております。これは独立行政法 人というのは通則法という制度がありますので、この部分を変えるわけにはなかなかま いりませんので、ここが一つ隘路になるのではないか。と申しますのは、今申しました ような保険者機能を発揮するための組織として被保険者等を代表する組織で考えました ときに、そういう理事構成になる保障がこの独立行政法人であると、理事長がすべての 理事を任命するという権限を持っておりますので、合議体の理事会で決定する、その理 事構成ということを考えた時になかなか難しい問題があるのではないかと考えておりま す。  右の健保組合です。これはその意味での理事構成という意味では事業者側、被保険者 側から半数ずつ選出をするという構成になっておりますので、そこはヒットしているの ではないか。ただ、健保組合の欄の下から2番目をご覧いただきますと、健保組合の場 合には任意で設立をして、逆に解散をするということが可能です。健保組合で解散をし て最後の受け皿が政府管掌健康保険という構成になっております。逆に政府管掌健康保 険の保険者組織、こちらは保険の最後の砦であり受け皿であります。先ほどらいご説明 をしてまいりましたような保険者組織は、解散をされては困るという組織として考えな いといけないだろう。したがって、健保組合のように自由に解散できるということであ っては困る。  したがって、独立行政法人も健保組合も、このままの形で先ほどらい議論をしてきた ような保険者組織には当てはまらないのではないか。その意味で、いま申し上げたよう なところを踏まえた保険者組織論というものを考えていかないといけないと考えており ます。  以下、参考資料です。参考資料の最後です。この部会では基本方針の具体化というこ とで機能論、とりわけ政府管掌健康保険では保険者機能の充実ということでご議論をし ていただいておりますが、別途、社会保険庁の組織論ということで社会保険庁の在り方 に関する有識者会議が設けられております。先日の2月21日にそこの座長のたたき台が 示されたところでございます。ここに関連部分を抜粋してございます。  社会保険庁の在り方に関する有識者会議の議論では、社会保険庁が行っている政府管 掌健康保険業務については、保険者組織の形態も含めて、基本方針においてこのように 決まっているので、議論が進められているということです。結論は下の2行です。  組織の在り方について、こうした議論を踏まえるとともに、年金部門から分離される 可能性も視野に入れる必要がある。ということで議論が紹介されております。  説明は以上でございます。 星野部課長  ありがとうございました。ではご意見ご質問等をお願いします。どなたからでも結構 です。 対馬委員  1点御質問します。7ページに関連します。保険者という意味では政管健保も、言っ てみれば私どもとご同業という意味もあります。ちょっと敷居が高いところがありま す。といいますのは政管健保というのは保険者ではありますが、医療機関、我々に対し ての指導監査という権限も持っている。いうならば、保険者としてのプレイヤー的な機 能も持っていれば、また監督というレフリーの機能も持っている。そのあたりは、保険 者として純化しきれないというか、意識・行動のあたりでもどうなのかということがあ ります。いうなら二枚看板ということです。  そのあたりをこの資料をみますと、Cのところの問題点のところでは監督は都道府県 責任で良いのかと書いてありますがABCを含めて指導的な権限、レフリーの権限、そ こは外したほうが良いのではないかと思いますが、そのあたりはどうでしょうか。 今別府課長  指導監督の権限はまさに行政事務なので、ここで議論をしております保険者組織に持 たせるということは考えておりません。 齊藤委員  質問ではなく意見を申し上げたいと思います。経団連としましては、以前から政管健 保を検討するにあたりまして、第一に医療費の適正化など、保険者機能が発揮できる規 模かどうかを検証する必要があると申しております。また保険者の効率化の努力が保険 料率に反映される仕組み、被保険者によるガバナンスが働く組織体制・運営などの視点 が重要であるとずっと述べてまいりました。  今回、資料1の7ページでABC3つのパターンが提示されておりますが、その視点 で判断させていただくと、BもしくはCが候補になり得るのではないかと思っておりま す。しかし、Bにつきましては、財政責任と経営責任が必ずしも一致していないことか ら、保険者機能の発揮が制度上で十分に担保されていないのではないか、という懸念を 持っております。  次にCにつきましては、管理運営コスト面での懸念が残る上に、都道府県単位の地域 型健保との区別が明確でなくなる恐れがあるのではないかと思っております。また都道 府県別では、加入者数の少ない都道府県におきまして、財政の不安定問題を生じる恐れ もあるのではないかと考えております。医療保険部会に提示されました資料によります と、加入者数は最大で13.71倍の格差が生じることになっております。  したがいまして、都道府県別ではなく、全国を幾つかのブロックに分ける仕組みもあ り得るのではないか。その場合には、当然ながら現行の国庫補助が継続することを前提 にしているということは言うまでもありません。これが第1点です。  第2点は、仮に地域分割がどのような形になるにしても、保険料の徴収と納付に工夫 を加えることになりますが、事務運営コスト面から、また各企業の都道府県をまたがる 事業体があるということも考えますと、一括適用方式は残していただきたいと考えてお ります。  さらに、ブロック別の政管健保であっても、都道府県単位の地域型健保であっても、 効率化努力を積極的に行っていただき、解散する健保組合に対して加入への働きかけが できるような積極的な、健全な、効率を求める健保を目指していただきたいと思ってお ります。  第3点目です。国庫補助に関しては、制度間の所得水準の格差に基づいて配分する仕 組みと理解しておりますが、所得調整を別途、設けるということになりますと、各所得 に応じて税金負担もしているわけですから、二重調整になるのではないかということで あり、我々としては賛成できかねます。以上3点です。 星野部会長  ありがとうございました。 今別府課長  1点だけです。先ほど第1点目のときに、特にC案について地域型の健保組合と同じ になってしまうのではないかというご指摘がありました。今回、地域型の健保組合の資 料を出しておりませんので、そこだけ補足をさせていただきます。  地域型の健保組合というのは、健保組合の中で小規模ないしは財政窮迫の組合を統合 していくという目的で基本方針に書いてあるという理解をしております。したがって、 それらがいま健保組合はご存じのように同種同業というしばりがかかっておりますが、 そういう要件をゆるめて、同一県内であれば異業種の組合であっても、統合ができる、 そういうことを考えております。端的に申し上げると、例えばそういうものが複数県内 にできることも想定をしております。  したがって、いまご議論いただいております政府管掌健康保険の改正後の姿である都 道府県ごとに一つ、ないしは全国一本で都道府県ごとに財政運営をするというものと は、基本的に異なるものということでご理解をいただきたいと思っております。  その他の点は、ご指摘が色々とありましたがまた検討させていただきたいと思いま す。 星野部会長  齊藤委員いまのでよろしいでしょうか。では久保田委員。 久保田委員  質問と意見をいわせていただきます。一つは質問です。6ページに都道府県別の生活 習慣病に対応する予防健診のデータがあります。これについては、よく意図がわからな いというか、どうこれを解釈して分析すれば良いのか、ということについてご質問をし たいと思います。  この30.2%というのは高いのか低いのか。全体的に低いというコメントをされました が、これはどう分析したのか。40歳以上の被保険者の何%ぐらいの受診が目標としてあ り得るのか。同じ近畿圏の中でも大阪が極端に低いというデータになっておりますが、 なぜ大阪がこれほど低いのか、ということについてどう分析をされているのかについて 伺いたいと思います。  要は受診率の高低が必ずしも医療費が安い高いということに連動しているとも思えな い。そうすると健診の中身が問われるはずですが、そのあたりを含めてどう分析したら 良いのかということについては、この表の意図と、これからどうストーリーを描き、し かもこの政管健保の改革にどのようにリンクさせていくのか、ここは質問をしたいと思 います。 星野部会長  よければここで答えていただき、その後に久保田委員からお願いします。 今別府課長  6ページの資料の意図というご質問でございましたが別に大意はありません。これは 現在の事実がこうであるということでございます。おっしゃいましたようにこの受診 率、あくまでも受診率ですから、これと医療費の関係というのは、受診率が高いところ が必ずしも医療費が低いとはなっておりません。むしろ受診率よりも事後指導のほうが 重要なファクターかもしれません。その意味では、この数字自体と医療費の結びつきは 当然ながらございません。  これもさっき他に比べて一般的に低いと申しましたが、健保組合なり国保のかちっと した数字がなかなか取れなかったものですからここに載せませんでした。定性的にはそ ういう保険者に比べると政管健保の受診率は低い、ということはいえると思います。  大阪が個別にどうかという話は承知をしておりません。いずれにしても、現状がこれ だけの差がある、私どもが申し上げたかったのは、保険者ごとの保険者機能を発揮する というときに、まさにこの部分について保険料を何‰とるのかという議論になると思わ れますので、発射台でこれだけ違っています、ということをご認識いただきたかったと いうことでございます。 間杉課長  補足させていただきます。老健の一般のヘルスでも、今は4割を超える健診率という ことでございます。実は私どもは今回初めてこういう資料を部会で議論をしようという ことで作って、率直に申しまして、私どももびっくりしました。こんなに低かったのか というのが第一印象でございます。  したがって、全国一本で社会保険庁という組織でやってまいりましたが、そもそもこ ういうようなヘルスというようなきめ細かい地域活動というようなものに、本来そぐっ ていたのかという点について、率直に申し上げて多いに反省をし、ひとつそういう側面 からも資料として提供させていただき、私どもも今後分析を続けよう。一言でいうと、 びっくりしたということでございます。 星野部会長  久保田委員どうぞ。 久保田委員  意見として幾つかの視点で申し上げます。まず基本的に連合がこれまで少し時間をか けながら政管健保の在り方等について、連合内部で政策論議といいますか方針討議をし てまいりました。一番基本的な考え方は、中小零細企業で働く多くの労働者というか、 我々からすれば仲間ですが、その政管健保の在り方は非常に重要であるはずですが、そ のことについてきちんと労使ともに意見が言え、反映できる仕組みにはなっていない。 その意味でいうと、保険者機能をいかに強化するのかということは最大の問題です。政 管健保の改革とは何かというと、保険者機能が発揮される運営、それを担う組織は本当 にどうあるべきか、ということを基本に考えるべきかという文脈で議論をしてまいりま した。  保険者は全国一本で財政運営は都道府県単位、これはブロックであればどうかという 細かい議論まではしておりませんが、保険料の地域格差は財政調整を行って運営は中央 と都道府県ごとというか支部ごとに、労使が参画する評議会というか協議会のようなも のを作る。そして、保険料率の決定とか、健康づくりとか、情報提供とか、レセプト点 検とか、医療供給体制等々への意見具申、あるいは参画等々、保険者機能の発揮強化を 確保すべしという基本的な考え方を表明をしてまいりました。  ただ、今日朝日新聞で報道等なされておりますが、非常に大事な政管健保の今後の在 り方と保険者機能をどう強化するのか、ということを医療制度のトータルの改革の中 で、しかも機能論、それにふさわしい組織論は何かということを含めて、十分に慎重な 時間をかけた議論で答えを出すべきであると考えております。  一方で、最後の表にもありますが、社会保険庁改革、その有識者会議というものが横 にありまして、そういう方向性の中で政管健保の在り方というか組織論というのが、何 かつまみ食い的というのはおかしいのですが先行して議論されている感じがいたしま す。  その有識者会議の報告が今日ありましたが、逆にこの医療保険部会での議論や結論 が、今度は有識者会議のほうに跳ね返るという仕組みになっていくのではないかという ことについて、非常に懸念をいたしております。  基本的には、これは別の問題です。社会保険庁の組織の在り方等々について色々と問 題があるということについては、そういう認識を持ちますし、そのことについての一定 の答えを出さないといけないということもありますが、逆に一種の政治的バッシングと いう中で、ある程度組織論を目に見える形でやらないと世論が納得しない、あるいは溜 飲が下がるという格好の中で年金と政管健保の分離というものが、組織論先行型が出て くることについては、本末転倒ではないかという感じを持っております。  その意味でいうと、徴収事務が効率性の観点から年金徴収のように全国的に実施する ということもありますし、そうであるなら、あえて分離する必要性はないのではないか とか、組織の肥大化に連なったり、事務費の増加につながっていくのではないかとか、 あるいは社会保険庁が現在担っている医療主導とか監査の事業は、どこがどう担うのか とか、政管健保運営のための事務費というのは当然国が持つべきであると思いますが、 そういうことについてどう考えるのかとか、在り方論、機能論、有識者会議との関係の 中では、そういうさまざまな疑問点を持っております。  そこは慎重に議論をするべきではないか、という議論を有識者会議のほうでは申し上 げてきたのですが、この医療保険部会との議論の中で、何か流れができてしまうという か、そういうことについては拙速は避けるべきであると思っております。  3月31日に次の有識者会議があると聞いておりますが、この医療保険部会での議論の 方向性と、それが有識者会議にどういう関連性を持つのかということについては、慎重 に考えるべきと思っております。ここは質問ですが、今後の医療保険部会の政管健保の 在り方につきまして、どういう日程でどういう進め方をしていくのか、ということを含 めてあとで事務局としてのご意見を受けたいと思います。  国庫負担の13%というのは、当然守るべき前提の中で今後やっていく必要があるので はないかと思っておりますので、それについても1点申し上げておきたいと思います。  いずれにしても保険者機能を強化するという点で行きますと、12ページのところでし ょうか、医療費の適正化、レセプト点検や保健事業への取り組みをどうするのか、被保 険者等へのきめ細かな情報提供をどうするのか、他の保険者との共同事業や、あるいは 医療提供体制への見直しへの参画、あるいはしっかりした提言等々の機能をどう果たす ことができるのかということは、非常に大事なポイントではないかと思います。  今までの政管健保の運営は問題点があるわけですが、それを単に都道府県単位に財政 運営を分離をしてやれば、すなわちこういうことが強化されるのかということについて は、それは拙速すぎるというか、必ずしもそういうことだけでは済まないのではないか と思っております。  少なからず、主体者性とか自律性ということで一歩を踏み出すという枠組みを作ると いう意味では、一歩前進という言葉になるかもしれませんが、本当にこういう保険者機 能を強化するという点におきましては、そこで抱える人材の量とか質とか、マネージメ ントを働かせて、そういうことがきちんとできる体制にするには、財政的なバックアッ プの面とか人材的な仕組みの面を含めて、しっかりと強化することができるのかどうか という観点で、改革の具体案について、詰めていく必要があると思います。AかBかC かという結論付けの中で拙速に組織論というか、組織の在り方論ということで次のステ ージに行くということについては、慎重にすべきだと考えておりますので、ご意見を申 し上げたいと思います。 星野部会長  ありがとうございました。総務課長どうぞ。 間杉課長  進め方についてのご指摘がございました。もともと私どもは社会保険庁改革というこ とが起きる前、2年前に基本方針としてあるべき政管健保の運営の方向としてこういう 姿が良いのではないか、ということを閣議決定の中にもってきたわけでございます。  したがって、社会保険庁バッシング、まさにそういう言葉を頂戴しましたが、そうい うふうなこととは別に、当部会としてはあくまでも保険者運営あるいは保険者機能とい う観点から政管健保はいかにあるべきか、という点についてご議論をいただければとい うのが私どもの偽らざる気持ちでございます。  ご指摘がございましたように3月末に社会保険庁の在り方に関する有識者会議のほう で、グランドデザインということでございますが、それがどういう形になるのか、私ど もは全く承知しておりません。5月ぐらいに最終的なとりまとめをするのではないかと 言われておりますが、そういう要素があるとすれば、逆に私どもとしては政管健保の制 度論として、あるいは保険者論としてのご議論というものを少し速度を早めていただい て、次回もまた政管健保のご議論をお願いしたいと思っておりますので、そういうこと で進めさせていただいたらどうかと思っております。 河内山委員  久保田委員からの社会保険庁の改革とこれを合わせてうんぬんというご意見がありま した。前回も申し上げましたが医療保険の改革、医療保険制度をどう考えるかという時 期に、組織としての社会保険庁の改革が同時に行われるというのは、これはひとつのチ ャンスであると考えて議論をするべきだと思います。国も地方も同じだと思いますが、 改革とりわけ行財政の改革をしようと思いましたときに一番ネックになりますのは、既 存の組織、あるいは既存のいまあるもろもろの既得権益、こういうものが改革の本来あ るべき姿というものをゆがめてしまいましたり、あるいは議論をストップさせる原因に なることがたくさんあると思います。社会保険庁ももろもろのたくさんの問題もあった でしょうし、改革をしないといけないという時期に来ているのであれば、この際、政管 健保の在り方がどういうことが一番に被保険者にとって良いのかということについて、 合わせて考えるというのは、非常に意味のあることであると思っております。これは別 にバッシングということで言っているわけではございません。  また国保を運営する、地域保険を運営する立場から申し上げますと、現在の政管健保 の有様というか改革の方向性として、保険者機能を十分に発揮いただくような形になっ ていただくということは、これは将来的には地域保険にとっても非常にプラスであるこ とは間違いございません。様々な、先ほどは受診率だけの話はございましたが、若人時 代に健康づくり、生活習慣病対策をしっかり行われるという形にもっていかないことに は、結局は65歳そして75歳という大きな年齢の節目を終えたあとに、地域の中で今度は 暮らしていき、地域保険の中で医療保険の中でいうと地域保険の中で暮らしていくわけ ですから、しっかりした保険者機能の発揮ができるような運営になるように、しっかり 議論をするべきだと思っております。  今日の資料の中では、12ページに地域の都道府県単位の財政運営になって保険者機能 の発揮を促すということがイメージとして描かれておりますが、ぜひ、保健事業の共同 実施等、しっかり地域の中の一つの医療保険の制度として改革がされるように、強く期 待をしておきたいと思います。以上でございます。 星野部会長  ありがとうございました。山本委員どうぞ。 山本委員  私は前回は確か欠席したと思いますので、前回のことはちょっとわかりません。まず お願いです。私は行政と国保の保険者としてご意見を申し上げておきたいと思います。 第一に私どもは医療保険は一本化するべきだとかねがね申し上げてきました。したがっ て、健保組合とか政管健保とか国保ということがあること自体が問題である。それより もむしろ医療保険は国の一本化にする必要がある、と主張してお願いをしてまいりまし た。なかなか難しいと思います。  そこでたまたま今回社会保険庁がああいう状況になりました。政管健保と国民健康保 険を合体させることによって医療保険の、言い方を変えますと、運営上で非常にうまく いくのではないかと考えました。  したがって、前回、出てきてご意見を申し上げようと思ったのですが雪のためにとう とう来られなくなりましたのでいま申し上げます。国保と政管健保の見直しをすること が今一番大事ではないでしょうか。ただ、先ほどから皆様のご意見はごもっともなこと が多いのでなるほどと聞いておりましたが、どうやらやることは部分的短編的なものが 多いような気がします。国の全体の医療保険制度をどうしたら良いのかということを考 えることが必要ではないでしょうか。前回はそういうことを議論されたと思いますが、 ただ、政管健保だけを解決すれば、あとの保険制度が良くなっていくというものではな いと思います。できれば私どもがかねがね主張しておりましたように、こういう機会に 政管健保と国保が合体をする統一するというやり方をしたらどうかと思います。  もう一つは、ここに言われております県単位という言葉が書かれておりますが、この 7ページの中にもC県、B県、A県と書かれております。それの下に自治体と書いてあ るのです。これをまた県単位という言葉は県にやれというように誤解をされやすい。恐 らくこの県単位というのはそういう意味ではないと思いますが、県が介在する、県が責 任をもつということになると、県はなかなか合意をしないのではないでしょうか。です から結局はそこでまたとんざして、出直しをするということになり兼ねない、今の県の 状況から考えるとそういうことがいえるという気がしますので、このあたりの書き方・ 言い方・表現の仕方に慎重を期したほうが良いのではないでしょうか。  県単位というのは、県がその責任者になるという意味ではない、というふうにするこ とのほうが、むしろこれらを促進するには良いのではないかと思いますので、そのあた りをどうお考えになっているのか後で教えてください。このように書かれております と、県が抵抗することは間違いありません。ですから、そのあたりを考えた上で県単位 というものを考慮したほうが良いのではないかと思います。  このように改革をしていくと、すぐに出てくるのは国の負担分を削減するということ がすぐに言われます。先ほどもお話が出ておりました。国の負担分を医療にどうするの かという全体を考えた上で、そしてそれぞれの部門に示していくというやり方をするほ うが良いのではないかと思います。部分的にこうだというのは、どうしてもまとまりに くい感じがしないでもありません。そのあたりを考えていくことが大事ではないかと思 います。  もう一つ、社会保障の中で医療の国民の負担は一体どのくらいか、給付がこれくらい あるならこのくらいは国民が負担をするのだということと、国民の負担の限界点がどこ かということを見つけだしていけば、おのずから国の負担分というのは出てくると思い ます。ところが、国はできるだけ現状のようなところでは少し削減していこうという意 向が非常に強いようです。するとこういう議論はかみ合わなくてまとまりがないという ように思いますので、国の負担分を社会保障の中で一体どのくらいやるべきか。国民負 担が一体どのくらいの割合なのか、ということなどをきちんと先に議論をしてこれらの 議論をすることのほうがより進むのではないかと思います。  恐らく、そういう議論を前回されたと思いますが、もししてないとするなら、そうい う議論をしていただくようにお願いをしたいと思います。  こういうことを、社会保険庁とか政管健保とか、こういうものはずっと前からやって いるのだ、いわれているのだ、方針を計画を決めているのだといわれますが、今のよう な時代に2年も3年も前に決めたことが今日通用すると思っていること自体が間違って いると思います。どんどん毎日のごとく変わっていく時代に、2年前に決めております から、3年前に申し合わせをしましたから、だから今回はこのようにします、それをベ ースにして議論をしていくというのは間違いであると思います。  今の時代、現代にあわせた議論をすることが望ましいと思いますので、2年前とか3 年前はできれば出さないようにしてください。私は2年前3年前は委員ではありません でしたから、2年前や3年前のことをいわれてもわかりません。わかっている人は良い かもしれませんが、そういう人とはけん制をするとしかとれませんので、そういう言葉 は出さないように、言わないようにしてください。それよりも今日の時代の状況で私た ちが判断することが望ましい。ですから、そういうことでこれから出していただきます ようにお願いを申し上げておきたいと思います。  ばらばらと申し上げましたが、ようするに国と国民の負担はどうなのか。国はどれだ け負担をするのだ、という負担割合というものをきちんと最初に決めること。そして県 単位といって、それが県の行政が負担をする責任者になるということは、到底今の時代 は合意を得ることは難しいと思いますので、そういう表現を変えたらどうかという点。 こういう機会、国民健康保険と政管健保をどうしたら良いのか、ということを合わせて 検討していくという時期が来たと思いますので、それを含めて合体をさせたらどうかと いう議論をすること。こういうことが主に私が申し上げたいことでございますので、ば らばら申し上げて恐縮でございましたが、意のあるところをおくみ取りいただきまし て、ぜひ、この次の議論のときにはそれを採用してくださるようにお願い申し上げてお きたいと思います。  私が申し上げることは以上で終わります。 星野部会長  ありがとうございました。 間杉課長  私の説明が不十分だった点につきましては率直にお詫びを申し上げたいと思います。  今お話がございましたが、確かにご指摘のように県単位という言葉、自治体としての 県という言葉が混同されて使われているというのは、その通りでございます。C案のよ うに、例えば県ごとに保険者を独立させるということに関しては、本当に、県にかなり の程度の関与を求めるということで、かなり私どもも問題が多いのではないかと思って いるところです。それが率直なところでございます。  一元化・一本化についてのご指摘もございました。これは過日の社会保障審議会の親 審議会でも、部会長にはおいでいただきましたが、色々とご意見がございました。次 回、保険者の再編関係をまとめてご審議ご議論をいただければどうかと思っております ので、その際に合わせてご議論をいただければと思います。 星野部会長  岩本委員それから漆畑委員。 岩本委員  7ページと8ページにわたりまして財政調整についての考え方が触れられていると思 います。若干、否定的なニュアンスで読める気がします。それほど財政調整を否定的に とらえなくても良いのではないか、ということで少し意見を述べさせていただきたいと 思います。  7ページです。C案のところの一番下で、どのような考え方で行うのかということで す。これはその前のほうにありました方式でやるのであれば、単位ということで独立し ているか、していないか、ということの違いだけであって、財政調整の理念としては、 同じですから、そう区別して深刻にとらえる必要があるのかという気がいたします。  被用者保険の中でも地域間で所得の偏在があるわけですから、財政調整をするのは公 平な仕組みになるという考え方で良いのではないかという気がします。  8ページにいきますと、今度は県で分割して47保険者の財政運営で財政調整をやるこ とに関して、色々と困難が生じると書かれているようですが、資金ショートという問題 は、これはクレジットなりを設けておくということで処理できます。むしろこういうこ とがあれば、保険料もすぐに引き上げないといけないということに働くので、それほど の問題ではない。財政規模といっても一番小さいところでもかなり大きいほうに入るわ けですから大丈夫ではないかと思います。各県間で融通しあわなくても、その点は良い のではないかと思います。  最後の事務の効率性は、今はそういうことをしていないからそれに比べたら問題が発 生する、非効率が発生するのだということはわかりますが、それは財政調整そのものに 由来する問題ではなく、既存の現在の保険者の間で財政調整をするのであれば、こうい うことは問題ではないという気もしますので、これで保険者間の財政調整は出来ません よという形のニュアンスが伝わるのは、ミスリーディングかなという気がいたしまし た。それは意見です。  あと一つ質問です。7ページでは自主性・自律性ということで、これは保険料率の決 定を例で書かれておりますが、ほかの部分に関してもきちんとそういうことを自主・自 律というか、各県でやるべきことを担保するような仕組みというものを設けておかない といけないのではないかという気がします。  A案とかB案という形で一つの組織になりますと、組織の基本は、支部は本部のいう ことに従わないと組織が成り立たないということになるわけですね、ですからヘルス事 業を地域で実情にあわせて展開するという場合に、どこまで地域が自由にできるのか、 あるいは本部がどのように関与するのか、ということをはっきりと決めておかないと、 47の支部長が全部本部を見て仕事をする形になる恐れがあります。特に国の機関ですか らそういうことになると思います。  逆に現在、国の機関であって47都道府県で独自にやりなさいという機関というのは、 どういうものが考えられるのかという気がします。どうしても中央指向になっていくの ではないかという気がします。その点をどのように担保するのか、具体的にいいますと ヘルス事業に関して、制度設計の中でどのように入れていくのか、ということをお伺い したいと思います。 今別府課長  まず財政調整を決して否定的にご説明をしているつもりの資料ではございません。B とCで財政調整の性格が変わるということをご説明しようとしているということは、ご 理解をお願いしたいと思います。今の点ですが、まずこれは保険者組織、国の機関とお っしゃいましたが、国の機関とは考えておりませんので、まさに保険者で自律的に運営 をしていただく組織であると考えております。したがいまして、ヘルス事業も基本的に 県の保険者組織ないしは県の支部で決められるようなイメージでおります。  7ページのAとBの下の部分を比較していただきたいと思います。Aの場合には支部 が料率改定の申し入れをして、本部の長がそれを認めるというような構成にしておりま すが、Bのところはそこで実質的には料率改定の申し出はしますが、県単位の評議会で 意思決定を行う、料率改定、これは保険料率の決定ということで書きましたが、事実上 は先ほど申しましたが保健事業をどれだけやるのかということの裏返しでもありますの で、例えば保健事業をこれだけやる、そのために必要な保険料はこれだけであるという 決定を、このBの場合であっても、県の支部の評議会で事実上決定してしまうというよ うなイメージでお示しをしたものでございます。 漆畑委員  今の岩本委員のご発言と私も同じことをお聞きしたかったのです。保険課長からお答 えいただきました。7ページの資料で保険料率決定の過程ということで例示をしてある が、これは保険料率の決定だけではなくヘルスまで含めて都道府県単位で地域の事情に 合わせておやりいただきたい、ということで発言させていただくつもりでございまし た。  運営は都道府県で保険者としては国が監督・指導できるような立場にあるのが、私は ある意味では現実的かなと思うのは、国がヘルスというか健康増進事業とか具体的には 健康日本21とか色々な事業を法律改正までされて、いま一生懸命されておりますが、 そういうものが一番反映する近道というか、実現しやすいというのは、国が直接運用す る仕組みが一番それを反映しやすいわけであります。もちろん、都道府県や市町村も大 変に頑張っておりますが、それのお手本というか見本を示すような形でできるという意 味では、保険者として運営は国が責任をもって都道府県がやる、というようにしていた だけるとよろしいと思います。  細かい話ですが、その意味では、例えばいま医療部会などで議論をしております医療 制度改革とか、あるいは地域医療計画の見直しとか、そういうところまで含めて重層的 にヘルスの事業が複合的にきちんとそういうところにうたわれるというか、健康保険の 運用だけのところの保健事業ということではなく、そういうものも合わせて横のつなが りをもっておやりいただきたいと思います。  細かいことですが、先ほどの健診です。6ページです。感覚的には今までもいわれて おりましたが、政管健保の生活習慣病予防健診の受診率は大変に低いと思います。イメ ージとしては大阪のような特に中小企業や零細企業の多いところは、実際に社会保険事 務局から健診の通知が来ましても、そこに勤めている労働者というのは、大きな企業の ように嘱託医、医師が施設にきて健診をしたり、あるいは契約病院にいってまとめて皆 でいけるという状況ではなく、勤務の中で自分で時間を作っていくというのはなかなか 難しいので、その意味で大阪が低いのかなと先ほど見させていただきました。  ただ、この表だけでは参考にはなりますが、何を読むというのはしにくいということ もありますので、可能かどうかわかりませんが、正確に知りたいということであれば、 生活習慣病健診の受診率と同時に都道府県ごとの保険ごとの有病率、現に病気をもって 治療を受ける方は当然ながら予防健診は受けないわけですから、有病率のデータと一緒 になれば、もう少し精査できるかなと思います。  今まで色々な有病率は年齢階層別にデータがあったりするわけですが、こういうもの と合わせて横に並べる資料があれば、もう少し具体的にできるかなと思います。  前にもお話をしましたが、企業健診での問題点といえば、健診を行って、病気か病気 でないか、そういうことについて健診のデータまで含めて受診者には知らされるわけで ありますが、境界域で非常に日常気を付けなければいけないような受診者に対して、そ の後のフォローが行われておりませんので、1年後までそのままになってしまうという ことが実態であると思いますので、そういうことも含めたヘルスの事業を保険者が積極 的にやるということで、先ほどお話をしたように都道府県単位の運用というのは、私は 理にかなっているかなと思います。 星野部会長  ありがとうございました。ほかにどうぞ。 対馬委員  各委員、保険者機能が一番重要ではないかということで、私も全くその通りであると 思います。そういう面で、機能から攻めていって結果的に組織という流れになっていく のだろうと思います。健診などの場合でいいますと、全国一本ということでの弊害とい うのはあるのだろうと思います。例えば人間ドックというのは、皆さんがご承知の通り ですが、政管健保は平成13年度までは人間ドックをやっていましたが、平成14年度は大 変に財政的に苦しい時期であったので、全国一斉にやめましょうとなってしまうわけで す。平成15年度からまた復活しましょう。  こういうことをやられていたのでは、地域の保健師なども、国の方針で全国一斉に変 わっていくわけですから、どこまでやっていいのかということがあると思います。それ 以外にも例えば保険料率の決定等々もありますが、そういうことも含めて全国一本とい うのには無理があるのではないか。特に保険者機能の発揮という面からです。  都道府県単位、これは都道府県そのものというのは、これもまた保険者機能から見て いかがなものかという感じがするのですが、我々健保組合に近いような形の公法人が良 いのではないかと思います。ただ、都道府県単位が本当に最適かどうかということにつ いては、議論があり得るのだろうと思います。  いずれにしても、地域の事情とか地域の意見、こういうものをきちんと反映されるよ うな形でないと、逆にいうと、保険者機能も発揮できないのではないかという感じがし ます。 箱崎委員  保険者機能の活用という部分は十分に理解ができるわけでございますが、制度の健全 的な運営、この部分が最も大事であろうと思います。こういう色々な案が出されており ますが、財政調整にしろ、ここに再保険的措置というふうなことも書かれてございま す。要は健保組合が仮に解散すれば、政管健保に移れるのですが、政管健保の後にはな いわけですから、この部分に対して、常に国民から財政的な不安がないような、その部 分の担保がもう少し見える形のほうが必要ではないかという感じがいたします。  この再保険的な部分の実施ということも非常に大事な部分であろうと思います。もう 少し分かりやすいというか、財政的に安定しているという部分、偶発的かつ著しい医療 費が地域的に出る可能性はあり得るわけですから、そういう部分に対して、今回、都道 府県単位にした場合に、どういう対処ができるのかとか、その部分も十分に検討する必 要があるのではないかと思います。以上です。 星野部会長  ありがとうございました。ほかにご意見ございませんか。 山本委員  いいでしょうか。この表の読み方です。A、Bのところで県の支部とか書いてあるで しょう。この県というのはCのところに書いてあるのと同じ読みをするのでしょうか。 それがわかりづらいので教えてください。AとBに書いてあるでしょうA県支部とかB 県支部とか書いてありますよね。この県というのはCのところの県と同じ読みをするの か教えてください。 今別府課長  A、Bに書いてあるA県とかB県というのは、まさに地域の単位、地域の広さを言っ ているだけで自治体の県ではありません。Cで(自治体)と書いてありますが、これは 保険者組織を監督するという意味でA県B県C県と書いてあるのは自治体です。ほかの A県支部とかB県支部と書いてあるのは、その意味では自治体は全く想定をしておりま せん。 山本委員  県というのはこれとは違うのですね。Cとは違うのでしょう。 今別府課長  CでA県B県(自治体)と書いてある、監督をする主体の県というのが自治体の県 で、それ以外は自治体の県ではありません。 山本委員  わかりました。 北郷委員  議論として政管健保財政運営を都道府県単位に分けるということの、そもそもなぜこ ういう提案があったのかということを振り返ってみますと、保険者の単位として全国一 本は大きすぎる、国鉄を分割した、あれは東日本とか西日本となったのですが、医療保 険の場合にどうしたらいいのかという話でなってきたのだと思います。  だから、経営単位として考えて、国鉄のような具合にはいかない。そこで医療制度の 都道府県単位に行政が行われている医療費とのリンクということで都道府県単位になる のが良いのではないかとなった。  そこに合わせて給付と負担の公平という立場から見て、保険料、医療費に格差があ る、それはたまたま都道府県単位に統計が取られていて、それはもっと色々なとらえ方 があって、西高東低で近畿地区が高い、近畿地区単位に保険をやってみたらどうかとい う考え方もないではないと思います。そうはいっても都道府県単位に行政は行われてい るので、都道府県というようなことであったと思います。  そういうことで私は都道府県単位が良いのではないかというように思うのです。そう いう幾つかのなぜだろうか、なぜそういうことを言われているのか、ということを考え ながら議論を進めるべきではないかと思います。それは私の意見です。  資料についての若干の質問です。機械的試算というやつです。4ページです。この試 算の元ですが、次の5ページのところに平均標準報酬の都道府県別の月額が出ていて、 かなり差が大きいわけです。東京とかとね。この計算の基礎ですが、補助金の入れ方は 全部一律に入れていて、簡単にいいますと、都道府県別の医療費を政管健保の補助率を 入れて引っ張ってというような計算になっているのでしょうか。 武田課長  ご指摘の通り、国庫補助については一律に配分をした上での計算になってございま す。 北郷委員  これを見て思いますことは、都道府県別の所得の格差が非常に大きいのです。年齢と 比べて圧倒的に所得格差がある、補助金を先ほど齊藤委員のお質問の中にありました が、補助金が調整をするのかどうかというと、そこをいじると料率はずっと変わってく ると理解してよいのでしょうか。それは返事だけでいいです。 武田課長  はい。 北郷委員  すると、先ほどちょっと気になったのですが、齊藤委員のおっしゃっていた税金との 二重調整、こういう問題をどう考えるのか。山本委員のお話にも若干触れられておりま したが、もしそういう議論があるとすると非常に重要な問題です。保険と税金との関係 は、岩本委員あたりのご意見も伺ってみたいと思います。どういう調整、そこの補助金 の調整がおかしいということになれば、大変なことになるのではないか。こういう気が いたします。  私は税金というか国庫補助金での調整もあって良いのではないかという気はいたしま すが、いかがなものでしょうか。 星野部会長  よろしくお願いします 岩本委員  政管健保に入っている国庫補助金が、一つは財政調整で出ているような姿をした場合 にどういう形になるかということですが、原則は、収支は全体で合わないといけません ので、収支を合うように補助金を入れることによって保険料率を下げるというところに 一番補助金の効果が効いております。実は全体で財政調整でリンクされているので、ど こに補助金を入れるのかということが本質ではなくて、全体の水準が一律に下がってく るというところが国庫補助の機能の仕方である、と私は理解して説明している次第で す。  例えば、一番医療費がかかっているところにお金を入れる、あるいは所得が低いとこ ろにお金をいれる、という補助金の仕方をするのではなく、これは財政調整で全体がリ ンクしているので、全体の水準が下がることによってそれぞれの県の保険料率が、今度 は調整されない要因でばらつくという関係で決まっていると考えております。  ですから、幾ら入れるか、総額で幾ら入れるか、ということが結局は全体の保険料率 にかかわるという話であると思います。  もう一つは、ではこの補助をどうするのか増やすのか減らすのか、減らすのはあまり だと思いますので増やす議論があるかも知れませんが、それは税で払うか保険料で払う かということになるかと思います。私は、今はなかなか税のほうをこれ以上の負担を増 やせといっても通らないと思いますので、保険料で面倒をみられるところは面倒を見た ほうが良いのではないか。これは給付と負担、特に若人だけで閉じている世界でした ら、それで給付と負担は相当にリンクしておりますから、保険料で払うほうがむしろ納 得しやすい、むしろ税金をここに入れるのはなかなか難しいのではないか考えておりま す。  二重とかという話ではないと思います。 北郷委員  補助金を入れるのはあまり賛成ではないというご意見でしょうか。 岩本委員  医療費は払わないといけないわけですので、税で払うのか保険料で払うか、どちらか で払わないと財政は成り立たないわけです。それでどちらで払うほうが払いやすいか。 あるいは負担をする側が払いやすいか、という問題で考えると、保険料はいやだ、税金 なら払いたいと国民が考えるかどうか、それで決まるのだと思います。どちらにしても 払わないといけないわけです。税だからといって誰かほかの人が払ってくれるという話 ではなく、税になってしまったら税金で国民が皆が払うわけです。私はどちらでも同じ 国民負担であると思っております。するとリンクが取れている部分だけ保険料のほうが 負担しやすいのかなという考えでいます。 星野部会長  理論的には岩本先生のいっている通りで私も賛成です。私がいう立場ではないのです けどね。 岩本委員  これは給付にリンクしておりますよね。税だと給付にリンクされていないので何に使 われるかわからないというところで払うわけですから、払う側の納得の仕方の問題とし て少し違う、どちらも税です。保険料もある意味では目的税として見なされるわけで す。給付とのリンクの仕方で払う側の納得の度合いに若干の差があるのではないかとい うことです。 星野部会長  ありがとうございました。それ以外にございません。もう1件案件があります。今日 は非常に面白い議論をしていただきまして、非常に重要なポイントで事務局から出して いただいた3つの表、ABCの表は非常にすっきりしすぎているので、逆にいうと議論 があるということがあるのかもしれません。保険者の重要性とか、国の監督は一体どこ まで含まれるのかとか、都道府県はその時にB型でもどこで都道府県が絡んでくるの か、この表だとあまりにもすっきりしているので、その辺の複雑に絡んでいるところは 何も表現されておりませんので、それぞれに色々と思いが違うと思いますが、全体とし ては議論がだんだんとそういう観点で集約されてくるだろうと思います。事務方はもう 少しご努力をいただきたいと思います。  引き続きこれはご議論を続けていただきたいと思います。  次に去る2月16日に開催された社会保障の在り方に関する懇談会において医療制度改 革が議論の対象となっており、当部会における議論に密接にかかわることから報告を求 めたいと思います。また前回の部会において委員から求められた資料について、合わせ て報告を求めたいと思います。では事務局から説明をお願いします。 間杉課長  資料2社会保障の在り方に関する懇談会提出資料についてご説明を申し上げます。  まずこれは何かと申しますと、昨月の2月16日に官房長官のもとで社会保障の在り方 に関する懇談会が開かれております。あわせて例えば諮問会議の民間議員などから、医 療費の総枠管理、総枠抑制というようなことが大変に強く言われております。恐らく6 月の骨太方針のとりまとめに向けて一つの争点になるだろうと私も思っております。確 か前回の部会の中でも、一度、そのあたりの考え方を聞かせてほしいということがござ いましたので、本日ご紹介をさせていただくものでございます。  基本的に、私どもとして一口で申し上げれば、医療費に対して機械的な伸び率の管理 をかけるということは不適切ではないか、ということを大臣ともども申し上げた資料で ございます。  時間もございませんのでかい摘んで申し上げます。  3ページです。ベーシックなデータということで国民医療費の今後の見通しでござい ます。左から2004年度で32兆円、右にまいりまして2025年度で69兆円ということです。 これは制度改正がないときの、大体3〜4%ぐらいの伸びであるという前提で推計をし た機械的な試算でございます。69兆円というのは、患者負担込みの国民医療費ベースで ございます。  4ページをご覧ください。これもよく言われるデータです。OECD加盟国の医療費 がどうなっているのかということでございます。ご覧いただきますと、日本は総医療費 の対GDP比が7.8%ということです。総医療費の対GDP比そのものは先進諸国の中 でもそう高いほうではないということです。ただ一人あたり医療費になりますと第5位 ということです。  したがいまして、今後、高齢化に伴って医療費が増えていくという要因は内在的には らんでいるという構造でございます。したがいまして、私どもとしても医療費の適正化 そのものの医療を否定するものでは全くないということでございます。  10ページです。医療費適正化の構図ということです。ここはこちらの部会でご議論を いただいたことを、私なりにまとめさせていただいたものでございます。医療費の伸び の最大の要因は老人医療費でございます。その背景に生活習慣病の増大があるだろうと いうことです。受療動向で見ますと現役期には、特に退職期以降、壮年期以降に加齢に 伴って生活習慣病に分類されるような外来の受療率が上がる。それから老年期になると 外来から入院に転化をしまして、入院の受療率が70歳ぐらいで非常に大きく増えていく ということでございます。  したがいまして、本質的な議論として医療費の伸びを適正化させるというためには、 人間の一生を通じて生活習慣病対策の推進、医療機関の機能分化・連携を通じた平均在 院日数の短縮、さらには終のすみかといわれる在宅医療、在宅療養をどう考えていく か、そういうことを一体的かつ計画的に行うことが不可欠であろうと思っているわけで ございます。  あとはこれまで部会のほうでおなじみの資料が何枚か続きます。  13ページをご覧ください。医療費の増加要因ということでいま申し上げましたことを 少しツリーにしたものでございます。一番上から申しますと、医療費の増加ということ で、主要因は老人医療費の増加でございます。ご覧いただきますように一人当り老人医 療費は非常に大きな地域格差があるということ。それで左にまいりますと黄色いところ に入ります。一人当りの入院医療費、入院医療費の格差の寄与度が、大体全体医療費の 7割でございます。それがベッド数あるいは在院日数の格差からくる。裏返しますと在 宅療養率の低さから来るということでございます。  右にまいりまして、今度は外来でございます。外来も特に壮年期以降の生活習慣病を 中心とした外来受診者の受診行動に寄与するところが多いということでございます。私 ども総合対策として生活習慣病対策の推進、それから急性期、回復期から在宅療養にい たる、かつてクリティカルパスというご議論もいただきましたが、こういう道筋をつけ るということが大変に大事なことだろうということで、まさにいまここの部分を、先ほ ど医療部会というご議論がございましたが、医療提供体制の議論として現在行われてい るところでございます。  17ページをご覧ください。経済の伸びなどにあわせて自動的に医療費の伸びを調整す ることは可能かということでございます。かつて3割負担を導入しました平成14年改正 のときの試案で、老人医療費の伸びが経済の動向と大きく乖離しないようにということ で、伸び率抑制のための仕組みというものが検討されたことがございます。  (1)(2)(3)とございます。老人医療費の伸び率の目標値を設定する。(3)で目標を超過 した場合の措置、診療報酬の調整。有り体に申し上げますと、経済の伸びを超えた場合 には1点単価を減額するという案が当時検討されたわけでございます。  18ページです。ただその時にもご議論がございましたが、給付率の伸び率をGDPの 伸び率以下に抑制する。これは経済財政諮問会議側がいっていることでございます。し かし、一つに医療費の伸びで大きな要因として人口の高齢化という要因がございます。 それから技術進歩による伸びがございます。したがって、かつてこれまでのトレンドを 見てきてもそうですが、相当にGDPの大きな上昇があったときに、結果的にその枠に 収まったという時代が一時ございますが、それ以降ははるかに低成長下でのGDPを上 回る伸びになってきているということです。  そこで経済財政諮問会議が言われますような、仮に、給付費そのものを削る、GDP の伸びの範囲に削るということになりますと、2025年までに約4割の給付削減、これは 給付ベースで59兆円になりますところを38兆円にしなければならない、ということで す。その部分、病院に来るなというわけにはいきませんでしょうから、仮にその部分を 自己負担で賄うということになりますと、現在、実質15%ぐらいの自己負担率を、2倍 半から3倍程度に引き上げないとならないという試算になります。これはできないだろ うということでございます。  (2)にございますようにかつて議論されたような診療報酬の単価を下げるということ で対応するということになりますと、粗診疎療・乱診濫療。(2)にございますが、これ も当時ご議論ございましたが、良い医療機関も悪い医療機関も一律に下げるということ が、まさに悪貨が良貨を駆逐するのではないか、という言われ方を当時はされたわけで ございます。  参考に書いてございますが、イギリスではNHSということで日本と違いまして、日 本でいうなら国立病院が国家予算のもとで、総枠予算性のもとで医療提供を行っており ます。病院予算の削減に入りましたところ、イギリスでは非常に膨大な患者の長い待ち 行列が出来てしまったというようなことで、結果的には逆に医療費予算を増加せざるを 得なかったということが起こった。  フランスは、病院は公的病院が中心でございますので、病院については総枠予算性が とられているようでございますが、開業医についても目標超過時には医療費を返せとい うような総枠管理的なことをやったところ、違憲判決が出たというようなことで、各国 苦心をしておりますが、難しいのではないかというようなことでございます。  したがいまして、私どもとしては、19ページにございますが、ここは王道に戻ってと いうか長期的に効果の現れる取組、中期的に効果の現れる取組、合わせて短期的にと書 いてございますが、ここの部会でも改めて公的保険給付の範囲の在り方ということでご 議論をいただくことにいたしておりますが、そういう単に機械的に枠をはめるというや り方は不適切ではないかということを申し上げてきたところでございます。  以上でございますが、当日の社会保障の在り方に関する懇談会でのご議論としては、 経済成長という枠の中に抑え込むことに賛成であるという意見がある一方で、名目GD Pと結びつけて医療費をコントロールするのはどういう根拠なのか、疑問視をせざるを 得ないというようなご意見もあった。  いずれにしても私どもとしても、総合的な医療費適正化対策ということを申し上げて おりますが、一体これで医療費の伸びがどのように変化するのか、一度数字を作ってほ しいというようなご指摘もありまして、その点につきましては今私どものほうで作業中 でございます。改めてご報告を申し上げたいと思っております。  資料3は前回、社会的入院に関連しまして、介護保険導入後に社会的入院というのは 減っているのかどうか、というご指摘がございましたので、とりあえずこれは私ども今 手元で探しました資料がございましたので、お出しさせていただきます。これをご覧い ただきますと平成13年3月、介護保険が入ってから1年後、それから平成16年3月とい うことで、それぞれ医療保険適用の療養病床と、介護保険適用の療養病床の患者の状態 というようなことで比較調査を行ったものがございます。  この中で右のほうの水色の斜線が容体急変の可能性が低く、福祉施設や住宅によって 対応できる、このあたりだろうということで、こういう目で見てみますと、確かに減っ ては来ているというような傾向は見てとれると思います。ただこういう資料しかなかっ たというのは誠に私どもも申し訳ない次第でございまして、もともと介護保険ができま したときに、医療費としては2兆円ベースで減るのではないかというような試算もあっ たということもかつてご紹介申し上げましたし、それがどのように変化しているのかと いう点について、いま作業をやっておりますので、出来次第またこの部会のほうにご提 出させていただきたいと考えております。以上でございます。 星野部会長  ありがとうございました。ではご意見ご質問等をお願いいたします。 久保田委員  最後にありました資料3の社会的入院の指摘については、たびたび私のほうから指摘 をさせていただきまして、こういう資料を出していただいたということについては感謝 を申し上げたいと思います。この資料で見る限り、減ったとも言えますが、社会的入院 は相当に残っている、ということも逆に伺えるのではないかとも思います。果たして% だけで見て評価がどうできるのかということもあります。  またそれぞれで上と下の比較というものがありますが、左と右の比較についてはどう 解釈したら良いのか、というような疑問点もあります。例えば、介護保険適用の療養病 床において、常時医学的管理を要し、病状も不安定であるというところが介護保険で 15.5%というのは、本来の趣旨がうまく適用されているのか、という逆な疑問点もあっ たりいたします。  いずれにしても、とりあえずというお話もありましたが、導入をしたときに非常に大 きな視点の一つであったと思いますので、これだけではなく、ほかのデータやエビデン スということを含めてしっかり分析をして、どう対応するのかという政策的な対応も含 めて、一連のものとして、一度きちんと議論ができるような準備をしていただけないか と思います。以上です。 星野部会長  ありがとうございました、ほかにご意見ございませんか。 漆畑委員  いま事務局から医療費の適正化に関連して、相変わらず総枠管理というお考えがある ことと、それについて厚生労働省としてきちんと外国の例をあげながら反論していただ いたというか、指摘をしていただいたということについては、感謝を申し上げたいと思 います。実際に病気をされている患者に、さらにムチを打つような議論になり兼ねない 議論でございますので、ぜひその方針で今後も貫いていただければと思いますので、よ ろしくお願い申し上げたいと思います。 齊藤委員  この資料のご説明を伺いまして、社会的入院については、一定の改善が図られたとい うことになろうと思いますが、まだ現行でも、いずれの病床で30%弱の水色の部分があ り、割合としては高いのではないだろうかと思います。また医療保険適用の場合と介護 保険適用の場合を比べてみますと、医療と介護の機能分化については、まだ十分に図ら れていないのではないかというように、この資料だけからですが感じられます。  さらには、介護保険法の改正案と同じ趣旨ですが、こういう療養の病床においても食 費や居住費は保険給付の対象から外すべきと考えますので、この辺も検討するべき点で はなかろうかと考えております。 星野部会長  ありがとうございました。 対馬委員  今日のこの資料というか、今日の議論そのものではないのかもしれませんが、その意 味ではちょっと申し訳ないところがあります。ただ、いずれ高齢者医療制度の議論もや っていくわけですので一言この件では申し上げておきたいと思います。もう1件と2つ あります。  冒頭に申し上げましたのは、10ページから11・12ページのところですが、10ページの 真中あたりにおおむね75歳を境に顕著に増加というのがあります。次のページを御覧に なっていただきますと、入院のほうですから紫で書いてありますが、各委員の皆様どう 思いでしょうか。75歳から顕著に増加しているのでしょうか。私にはどうしてもきれい な双曲線を描いているように思います。加齢とともに上がっている、としか見えないの です。  次のページをご覧ください。これは生活習慣病の入院のところですが、これも下の表 をご覧いただきたいのですが、75歳で急に増加しているでしょうか。これもきれいな双 曲線を描いているとしか見えないということは指摘しておきたいと思います。  もう1点ですが、13ページです。真中に病床数(平均在院日数)の格差が大きいので はないかということと、次の15ページですがここに両方のグラフが出ております。これ を見ますと、高知県が両方ともに高いわけです。この原因ですが、恐らく在院日数が高 いから結果的に病床数が多いのだということではないのだと思います。病床数が多いか ら結果的に在院日数が長くなる。原因と結果とは恐らく多少の相互作用はあるかもしれ ませんが、基本的にはそういうことではないかと思います。  するとおのずと対策も在院日数を短くするということもあるかもしれませんが、病床 数の多いのを削減していくという対策というものが必要ではないかと思います。その対 策が19ページに書いてございます。真中あたりに中期的に効果の現れる取組みというと ころには、平均在院日数の短縮というものがありますが、病床数の削減というのはあり ません。このあたりはむしろ医療提供体制ということになるのかもしれませんが、この あたりに目を向けませんと、なかなか医療費の適正化は進まないのではないかと思いま すので、この2点を指摘しておきたいと思います。 山本委員  15ページあたりは、過疎地域ほど高齢者が多いわけですから、だから過疎地域のとこ ろがこういう高い数字を示しているのではないでしょうか。だからこういう数字を出す 場合には、もう少し過疎地域と過疎地域でないところに分けるというような配慮をする べきだと思います。これを見ますと、高知県がこんなに高いのはけしからんと言われざ るを得ないわけです。でも実際には高知県あたりは人口も少ないし過疎地域が多いので す。ですからそういうところはどうしてもこういうものが出てくる。  簡単に75歳といいますが、75歳を過ぎてもいいのですが、毎日痛いところが出るわけ ですから、だから何か責任を持つような社会的な行動をするような役割を与えるとそれ で一生懸命頑張っていきます。私などはクアハウスというものを作って、そこで高齢者 が温泉の中を歩くのです。歩くと皆が元気になったといって、お前も来いというのです が一人ではなかなか行きづらいのです。この老体を皆さんに見せるのもどうかと思いま すのでなかなかいけない。  ところが我々ぐらいの年齢になると、あそこやここが痛いとか悪いところが出てくる のです。自然とね。誰も望んだものは一人もいないと思います。だからこういう表を作 る場合には、過疎地域と過密の地域との中間というふうに3つぐらいに分類してこうい う表を出すべきだと思います。そうしないとこういう表を出されますと、高知県などは こんなに高いなぜだと言われがちです。ですから、もう少しデータを作る場合には内容 まで検討した上で作っていただくことが望ましいのではないかと思いますので、そのあ たりを配慮してあげたらどうでしょうか。  もう一つは平均寿命、平均寿命というのはこういう表を作るときに何歳なのか。今年 は分かります、書かれている資料は2025年のときにはこうなりますというのを出されて おりますが、2025年のときには平均寿命は大体何歳なのか、今から平均寿命は上がるの か下がるのかということも出すべきだと思います。そういうものを出していくと良くな っていくのではないかと思います。見方が見やすくなるのではないでしょうか。その点 をお願いしておきたいと思います。 岩本委員  山本委員の発言に関連します。よく資料で都道府県の相関を見て、簡単な説明が加え てというものが出てきますが、突っ込み不足である。もっと本当にちゃんと突っ込まな いといけないことがたくさんあるのではないか。特にここは専門的に医療のことを扱う ところであれば、そういうところを掘り下げる必要があるという気がします。  例えば在院日数と病床数の関係ですが、確かに相関があるのですが、その場合、病床 数が多いところが在院日数が長すぎるのか、それとも病床数が少なすぎて早めに追い出 さないといけないのかというのは、データを見ている限りでは何もわからないわけで す。だからもっと調べないとわからない。  そういうところを置いておいてこれだけでここで議論をしていくということでは、医 療費適正化に向けても正しい理解のもとで取り組めないのではないかという気がしま す。色々なリサーチとかも含めて、もう少し丁寧な分析をお願いしたいと思います。  もう一つ、財政のほうからは財政状況は苦しいわけですから、常にこういう経済規模 に抑えてというプレッシャーが今後ともかかってくると思いますが、今のところはそう いうところをやると質の低下になりますよということで、抑えられているわけですが、 財政状況がどんどん進むと、財政の数字を見ている人が、それでも良いと思い詰めない 可能性もあるかもしれませんので、ここは数字にのっとって、早めに医療費適正化をし たらどうかという数量的な効果、数字の議論に入れるようにしたほうが良いような気が するという意見です。 岡谷委員  2点だけです。介護保険導入後の療養病床の状況というところでございます。私もこ れだけを見れば、どのように考えていくかというのは非常に難しいと思いますが、現状 では在院日数が短くなったことによって、患者が退院していく先が受け入れの在宅とか が十分に整備されていないがために、病院のたらい回しが起こるという実態が現実には あると思います。そういうことは、こういう数値にはなかなか現れてこないということ がございますので、もう少し在院日数を短くした後の退院先というか、そういうところ がどうなっているのかとか、そういう精査が必要ではないかと思っております。  平均在院日数を短縮するという医療費の適正ということで施策として取り組まれてい ます。私は平均在院日数を短縮することと、それに伴って病床を削減していくというこ とは、セットになった政策でなければ、十分な効果は得られないのではないかと思って おります。先ほどの対馬委員の意見には賛成です。その中で何か起こっているのかとい うのは、病床が減らないものですから、短くした部分、稼働率を維持するためには患者 を回転させて入退院を多くしていかないといけない。回転させないといけないというよ うな状況になっております。その中で非常に医療従事者も患者もともに不都合という か、非常に困難な状況が生まれてきていると思います。  それは医療提供体制の議論なのかというふうに思うのですが、そういう医療費の適切 ということにも非常に関係してくることですので、そのあたりの今までとられてきた施 策がどのように効果を表しているのか、どこが不都合なのかということについては、十 分検討をしていく必要があるのではないかと思います。 星野部会長  ありがとうございました。ほかにございませんか。では予定の時間になりましたので 本日はこれまでとさせていただきたいと思います。次回の開催につきましては事務局よ り追って御連絡をすることとしたいと思います。  本日は雪の中、しかもご多忙の折りお集まりいただきましてありがとうございまし た。                                      以上 (照会先)  厚生労働省保険局総務課企画調査係 (代)03−5253−1111 (内線)3218