05/03/03 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会合同開催 平成17年3月3日議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年3月3日(木) 午前9時30分〜   明治記念館 曙1の間 2.出席委員 部会ごと五十音順(両部会とも所属の委員あり) (医療機器・体外診断薬部会:10名)    上 野 照 剛、 小 野 哲 章、 小 俣 政 男、 許   俊 鋭、    澤     充、◎土 屋 利 江、 富 田 基 郎、○中 原 一 彦、    仁 田 新 一、 山 口 照 英   (医療材料部会:15名)    飯 田 寛 和、 小 田   豊、 笠 貫   宏、 菅 野   純、    北 村 惣一郎、 許   俊 鋭、 倉 根 一 郎、 高久田 和 夫、    田 野 保 雄、◎土 屋 利 江、 橋 本 久 邦、○長谷川 紘 司、    牧 野 恒 久、 松 村 英 雄、 山 口 照 英 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他参考人2名 欠席委員 部会ごと五十音順 (医療機器・体外診断薬部会:5名)    井 街   宏、 岡 部 信 彦、 鎌 倉 史 郎、 田 島 知 行、    橋 本 信 夫 (医療材料部会:3名)    勝 呂   徹、 田 島 知 行、 橋 本 信 夫 3.行政機関出席者   川 原   章(審査管理課長)、 山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)   揚 松 龍 治(医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考   本部会は、両部会合同案件は公開で、各部会個別案件は、企業の知的財産保護の観   点等から非公開で開催された。 ○医薬機器審査管理室長 定刻となりましたので、ただいまから医療機器・体外診断薬 部会及び医療材料部会の合同部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては御 多忙中にもかかわらず、日程をお繰り合わせて御出席賜りましてありがとうございます。  会議に先立ちまして1月31日に薬事・食品衛生審議会が開催されまして、総会において 各部会の委員の改選が行われましたので、両部会に所属の委員の先生について御紹介さ せていただきます。お手元の議事次第の一番後ろに2枚の名簿がございますので、これ に従いまして委員のお名前のみを御紹介させていただきます。医療機器・体外診断薬部 会の委員でいらっしゃいますけれども、まず井街委員は本日御欠席でいらっしゃいます。 それから上野委員。岡部委員は今日御欠席でいらっしゃいます。小野委員、小俣委員。 鎌倉委員は今日は御欠席でいらっしゃいます。許委員、澤委員。田島委員は今日御欠席 でいらっしゃいます。土屋委員、富田委員、中原委員、仁田委員。橋本信夫委員は今日 御欠席でいらっしゃいます。それから山口委員。以上の15名の先生が医療機器・体外診 断薬部会委員でいらっしゃいます。  それから医療材料部会でございますけれども、まず飯田委員、小田委員、笠貫委員、 菅野委員、北村委員、許委員、倉根委員。勝呂委員が今日御欠席でいらっしゃいます。 高久田委員。田島委員は今日御欠席でいらっしゃいます。田野委員は今日は遅れていら っしゃるという御予定を伺っております。土屋委員。橋本信夫委員は今日御欠席でいら っしゃいます。橋本久邦委員は遅れていらっしゃるという予定を伺っております。長谷 川委員、牧野委員、松村委員、山口委員。以上の18名の委員にお願いをしているところ でございます。  本日は医療機器・体外診断薬部会15名のうち、これまで10名の先生に御出席いただ いております。また、医療材料部会においては18名の先生のうち13名の先生に御出席 いただいております。したがいまして、両部会とも薬事・食品衛生審議会令に基づき、 定足数に達しておりますことを報告申し上げます。  それから次に、1月31日に開催されました薬事・食品衛生審議会総会において、医療 機器・体外診断薬部会の桜井靖久委員が御退任されまして、その後任として医療機器・ 体外診断薬部会の部会長に土屋委員が就任されました。それから医療材料部会につきま しては引き続き部会長を土屋委員にお願いしております。したがいまして、土屋委員が 両部会の部会長に就任されたことを御報告いたします。  本日の会議のうち、合同開催案件については平成13年1月23日の薬事・食品衛生審 議会決議に基づき会議を公開とさせていただきます。合同会議案件終了後、引き続き医 療機器・体外診断薬部会、それから医療材料部会にそれぞれ移らせていただきますけれ ども、こちらは個別品目の審議でございますので非公開とさせていただきます。  それではまず、合同開催案件については両部会の部会長でいらっしゃいます土屋先生 に座長をお願いいたします。なお審議に入る前に各部会の部会長代理を選出いただくこ とになっておりまして、部会長代理については薬事・食品衛生審議会令第七条第5項の 規定により部会長の指名ということとなっております。土屋先生、以後の議事進行をよ ろしくお願い申し上げます。 ○土屋座長 それでは両部会の部会長代理については、引き続き医療機器・体外診断薬 部会は中原委員、医療材料部会は長谷川委員にお願いしたいと思いますが、よろしいで しょうか。それでは中原先生、長谷川先生、引き続き部会長代理をよろしくお願いいた します。 ── 中原委員、長谷川委員、部会長代理席へ移動 ── ○土屋座長 それでは審議に入ります。最初に事務局より資料の確認をお願いいたしま す。 ── 田野委員着席 ── ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきたいと思います。今回の合同部会に関 係する資料はすべてあらかじめお送りしております。お手元に資料がない先生におかれ ましては事務局まで御連絡いただければ補充させていただきます。一応資料には枝番が 付いておりまして、1-1〜1-8までの8種類、2-1、それから参考資料の1-1〜1-7までに ついて事前に送付させていただいております。以上です。 ○土屋座長 それでは審議に入ります。審議事項の1ですが、八つの医療機器の承認基 準案を御審議いただきます。まず事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 事務局の方から医療機器の承認基準案について、本日御審議いただきたいと いうことで提出いたしました八つの基準について説明させていただきたいと思います。 ちょっと基準の数が多くなっておりますので、その概要を取りまとめております参考資 料1-1を中心に説明させていただきたいと思います。  まずお手元に参考資料1-1を御用意いただきたいと思います。まず最初に1枚目をめ くっていただきまして1ページです。「医療機器に係る『カテゴリー』と『安全対策』 の見直し」という、今まで合同部会等でも何回か資料を出させていただいているもので すが、合同部会の新たな委員の先生もいらっしゃいますので、簡単に概要を説明させて いただきたいと思います。平成17年4月1日施行の改正薬事法における医療機器の規制 の大きな概念を簡単に取りまとめたスライドになっております。医療機器の規制に関し ては、改正薬事法の施行後については国際分類に基づいて医療機器のリスクに応じて四 つに分類しまして、リスクの高低に応じて規制の差を設けるという概念になっておりま す。それで特にリスクが極めて低いもの、クラスIを法律上の定義といたしまして一般 医療機器。この図の一番右のカラムの改正後というところにある一番上の一般医療機器 が極めてリスクが低いものと。そしてリスクが低いものとして管理医療機器と。リスク がある程度ある中くらいのもの、そしてリスクが高いものについて高度管理医療機器と いう形で法律上三つのリスク分類を設けております。その中で今日基準という形で御審 議いただくものについては、高度管理医療機器の製造販売を行うに当たって厚生労働大 臣の承認を要するとなりますが、承認審査に当たっての基準になることを御理解いただ ければと思っております。高度管理医療機器については、改正後において厚生労働大臣 の承認が必要な品目となりまして、その審査に当たる基準を示すものが今日御審議いた だく基準と御理解いただければと思います。  次の2ページになりますが、改正薬事法における「承認申請・審査の手続について(医 療機器)」というスライドになっております。改正薬事法施行後には医療機器の承認申請 は製造販売業者が行うという形になります。現行制度は製造する者が申請を行うとなっ ておりますが、改正薬事法においては製造販売業者、いわゆる卸売というか元売行為を 行う者が申請を行う形に変わっております。申請者から申請書と添付資料、そして基準 の定めのないものについては、さらに添付資料の概要を取りまとめたものを書面として 提出していただきまして、その書面に基づいて基本的には製品の有効性、安全性等を審 査させていただくという流れになります。そして書面審査とともに、添付資料に付けら れました資料の信頼性について、非臨床試験に関する基準であるGLPとか臨床試験の 基準であるGCP等に対する適合性を信頼性調査として行わせていただくと。それとあ わせまして、申請に係る製品が製造所において適切な品質システムに基づいて作られて いるかどうかということ、いわゆるGMP調査を承認審査の一環として行わせていただ く形になります。それぞれの書面審査、信頼性調査、GMP調査を行った上でそれぞれ 適切であることが判定されたときに承認が与えられるというスキームになります。そし て繰り返しになりますけれども、今日出てまいります承認基準についてはこの絵の中の 基本的な書面審査における基準という取扱いになります。  次の3ページのスライドを御覧いただきたいと思います。医療機器の製造販売承認申 請については、大きく分けてここに記しました(1)〜(5)までの区分を設けまして、そ れに応じて承認審査の申請する資料の要否とか詳細さについて差を設けるということを 考えております。上から説明してまいりますと、一番上は新医療機器に対するもの、い わゆる臨床試験の成績とか細かい内容の説明を頂くことになるかと思っております。二 番目が新医療機器までには相当しませんが、臨床評価をもって医療機器の性能とか有効 性を判定せざるを得ない製品に対する区分になります。三番目が臨床試験の成績までは 求めませんが、ある程度新規性があって基準を作ることができない品目についての区分 ということで御理解いただければと思っております。いわゆる承認基準がないけれども、 ただそれにあわせまして臨床試験を求めるまでもない品目に対しての区分という形で御 理解いただければと思います。四番目があらかじめ医療機器の有効性、安全性を評価す るための規格等があって基準が定められた場合の区分という取扱いになります。五番目 はちょっと例外的なものなのですが、1枚目のスライドで説明しましたリスクが低いも の、管理医療機器については、厚生労働大臣が基準を定めて認証機関における第三者認 証制度に移行することになっております。その認証の対象となる基準に適合しないもの とか、認証基準が定められていなかったものについての申請の区分という取扱いになり ます。このような五つの区分に応じて申請を出していただきまして、それぞれの区分に 応じた審査をさせていただくというふうになります。  次の4ページが申請書の記載事項や添付資料の実際の施行規則上で定めがある項目等 を記したスライドになっております。このような申請書の記載事項と添付資料という要 求事項になります。  続いて5、6ページの方です。実際に添付資料をどのような説明項目にしていただく かということを記したものになっております。こちらの方は参考までに見ていただけれ ばと思います。ちょっと割愛させていただいて、7ページの方を御覧いただければと思 います。  先ほど承認審査の区分というものが五つの区分に応じてと説明を申し上げましたが、 その五つの区分の中で資料の添付の要否をどのように定めるかを取りまとめたのがこち らの星取表になっております。そして今日御審議いただくものについては、「(4)承認 基準あり臨床なし」というところの申請に係る承認基準になりますが、承認基準が定め られた品目については一部の資料の添付自体が不要になったり、ほかの新医療機器等と 比較すると要否の部分が個々によって省略は可能になるという判断になります。こうい った承認基準がある場合については、一部の資料が省略可能になるというところを御理 解いただければと思っております。  次の8ページの方ですが、承認基準がある場合とない場合の申請のときの添付資料と 添付資料概要の要否について説明したスライドになっております。承認基準がないもの については、まず添付資料の概要を説明していただくための添付資料概要というものを 作っていただくとともに、添付概要だけではなくて生データ等を含めた添付資料を付け ていただくことを考えております。ただ承認基準をあらかじめ定めて、基準審査をもっ て承認審査を行う場合については、生データ等を必要に応じて要求する場合はあるかと 思いますが、その詳細なものを要求しなくても審査ができると考えておりますので、そ の資料の内容は軽減されることになるかと思っております。こういった意味で添付資料 と添付資料概要を要求するのではなくて、添付資料概要は要らないという形になるとと もに、添付資料の内容が承認基準なしの品目における添付資料概要に相当する内容で差 し障りないという取扱いをしたいと思います。ちょっと分かりにくい説明になるかと思 いますが、承認基準を定めるか定められないかということで、申請時における添付資料 等の説明を要する量が大きく変わってくるというところを御理解いただければと思って おります。  そして9ページの方ですが、今回のスライドは余り関係ありませんので飛ばさせてい ただきます。  10ページの方から今日審議していただく基準の本体の話になってまいりますが、医療 機器の承認基準については医薬食品局長通知という形で発出させていただくことを予定 しております。その基準の構成の基本的な考え方を示させていただいたのがこちらのス ライドになっております。承認基準については技術的な内容を定めるものといたしまし て、技術基準という形で書かせていただいておりますが、該当するJISとかISO/ IEC等の国際規格、ほかにFDAガイダンス等がある場合については、その基準を引 用することによって技術的な内容の評価の方法を定めたいと考えております。特にIS O/ IECがあれば一番いいのですが、FDAガイダンスとか例えばANSIやAMIの規 格等を使う場合については、その医療機器自体の有効性、安全性を担保するのに不十分 である場合もあるかと思いますので、そういった複数の規格を引用することによって技 術基準を構成する場合もあるということになるかと思います。 そして承認基準の中にその技術的な内容をカバーする基準とともに、承認基準に適合す る品目が標榜できる使用目的、効能・効果の範囲を定めさせていただきたいと考えてお ります。新たな臨床的な意義とか効能・効果等を発揮するものについては基準適合とい う形ではなくて、より詳細な説明を求めることによって製品の有効性・安全性等を評価 する必要があると考えておりますので、基準適合という形のみで審査をするに当たって 認められる使用目的、効能・効果の範囲はあらかじめ定めさせていただきたいと考えて おります。あわせまして、基本要件適合性に関する基本的な考え方を承認基準の一部と して示させていただきたいと考えております。承認基準の適合する品目としての申請に 関しては、あらかじめ示された基本要件への適合性への証明方法に基づいた形で基本要 件への適合性を証明していただきたいと考えております。  あと実際の承認基準とは異質のものになりますが、できる限り承認基準の定める品目 については臨床試験に関する試験成績のデータの添付の要否についての判断基準をあわ せて整備してまいりたいというふうに考えております。こちらは10ページの(2)にもと もとの承認基準とは少し異質なものになりますが、承認基準の定めである品目、承認基 準を定めるに当たってあわせてできる限り要臨床に関する判断基準を明確化することに よって、今後の医療機器の申請に関して申請者においてどの区分で申請をすればいいか の判断がより付きやすいように、こういった要臨床の判断基準を順次整備してまいりた いと考えております。アウトラインは以上という形になりますが、実際の承認基準の内 容について今日審議していただくということで提出させていただいたものについて順次 説明してまいりたいと思います。  まず初めの11ページに「PTCAカテーテル承認基準(案)」と書かせていただいてお りますが、いわゆる経皮的冠動脈形成術用カテーテルの承認基準というものについて、 基本的な考え方をまず説明させていただきたいと思います。こちらのPTCAカテーテ ルの現行制度における取扱いですが、平成10年10月26日付の「カテーテル類の承認申 請書の作成上の留意事項について」という審査実務連絡を発出させていただいておりま す。その中に承認申請書に記載すべき項目だけ特定をさせていただいております。項目 だけ特定していて、その項目がどの要件を満たせばいいかという基準までは特定してい ない状態になっております。申請書に記載すべき項目だけを特定していると。その満た すべき条件までは特定していないという状態になっております。  それをベースに基準を作成するに当たってどのように考えてきたかということは(2) で説明させていただいております。カテーテル類については国際規格が一番下のところ にあるISO 10555ー1というものをベースにいたしまして、あとは枝番で幾つかあるので すが、PTCAカテーテルに関係するものは枝番のパート4が国際規格としてあります。 それとPTCAカテーテルそのものに対するFDAドラフトガイダンスというものが存 在いたします。これらの要求事項を追加しつつ、平成10年の審査実務連絡に対する申請 書に記載すべき項目として特定されているものの中で、それぞれのISOやFDAドラ フトガイダンスにおける要求する規格、基準について網羅するような形で作成させてい ただいております。申請書に記載すべき項目だけを特定していたものについて、基準と か規格値というものをISO 10555若しくはFDAドラフトガイダンスから引用してきた という形で基準を作成させていただいております。  12ページを御覧いただきたいのですが、実際は規格値の明確でないものの取扱い等、 主要論点といたしまして三つが主な論点となっておりました。PTCAカテーテルの承 認基準の作成について、規格値が明確でないものは既存品と同等であることの説明を設 けることによって、その有効性、安全性等が既存品と同等であるというところで担保し たいと考えております。  続いてコーティングの取扱いですが、PTCAカテーテル等品目によっては、抗菌性 を持たせるためにコーティングするとかそういったものもありますし、あと操作性の向 上等を図るためにコーティングを行う場合もありますので、コーティングをどのように 取り扱うかが一つの論点になっております。ここで先ほど申し上げた抗菌性とか抗血栓 性といった薬理作用を目的としたものについては、当然その薬理作用に関して特出しの 評価が必要になるかと思っておりますので、こういったものを細かい承認申請のデータ を求めない承認基準の申請という形で取り扱うのは不適当であろうということで、まず こういったものは対象外という形で明記させていただいております。なお、操作性の向 上のみ、滑りやすさ等物理的効果のみを目的としたコーティングについては、既存品と 同等な範囲であるということが証明できる場合は、そのようなコーティングについて承 認基準の適合しているものと考えるという判断をさせていただいております。  なお、(3)のところに書かせていただきましたFDAガイダンスの取扱いについてで すが、先ほど申し上げたようにFDAドラフトガイダンスは「ドラフト」という形にな っておりますので、それが正式なガイダンスとして2005年度中に発行されることが予定 されているという情報を入手しております。もしこのFDAドラフトガイダンスが改訂 されたものが出た場合は、このPTCAカテーテル承認基準についても正式なガイダン スに変わったことを今後反映させていきたいと考えております。ただ最初の承認基準と いたしましては、FDAドラフトガイダンスというものがFDAにおいても採用されて いるということになっておりますので、そのドラフトガイダンスをベースにさせていた だくことになっております。  続きまして、血液透析器の承認基準案について説明させていただきたいと思います。 こちらの方は透析に使うものですが、現行制度については昭和58年の審査課長通知にな っておりますけれども、「透析型人工腎臓装置の製造(輸入)承認申請に際しての留意事 項について」という通知で、こちらも申請書に記載すべき項目のみが特定されておりま す。こちらも項目だけが特定されていて基準、規格等が特定されていないという形にな っております。これについて基準作成方針として、透析器に対する国際規格であるISO 8637を基に作成しておりますJIS T 3250というJIS規格を平成17年3月末に成立さ せる予定でおりますので、このJISを基に先ほど申し上げました通知の特定されてい る項目の要求事項を定める、規格を定めるという方向で基準を作成させていただいてお ります。  続いて14ページの方に移らせていただきます。血液透析器の主要論点ですが、直接的 な基準そのものというよりも、むしろ臨床試験が要るか要らないかという判断根拠のと ころの方が実は議論になりました。ここで臨床試験成績に関する資料の添付の必要のな い範囲を同等性において、既存品と同等であるというものについて臨床試験成績に関す る資料も要らない、最終的に承認基準に適合する品目としての申請もできるという基準 案になっておりますので、そこの同等性をどのように判断するのかというところが一番 の論点になっております。透析器の性能、安全性については、半透膜素材によるところ が非常に大きいというのは容易に想像が付くかと思いますが、半透膜素材そのものの規 格というものが非常に明確ではないとなっております。  また半透膜製造時の原材料のポリマー仕込み組成の取扱いが、ポリマー自体は同じ化 学物質であるのですが、構成する配合比が異なった場合についてどこまで同等性として 判断すればいいのかというところが一つの議論になっております。これについてはここ に記載させていただいているとおり、ポリマー仕込み組成が5%以上の成分については 仕込み分量の5%以下、そして1%以上5%未満の成分については仕込み分量の15%以 下の違いの範囲内であるというのが、一つの同等性の判断というふうに取り扱わせてい ただいております。これが本当に適切かどうかというのは多少議論はあるのですが、こ の範囲内であれば今までの既存の申請の中で臨床試験等を求めてきたもので、このくら いの範囲内であるならばそれほど性能に大きな影響があるということが認められていな いという実績もありますので、この範囲内というところが同等性であるという一つの判 断をさせていただきたいと考えております。ただ仕込み分量の数量等は非常に議論があ りますので、この取扱いについては承認基準を発出するのと合わせまして別途Q&A等 を記すことによって、より詳細な取扱いを示したいと思っております。例えば材質等と かそのものによってこの考え方で不適切な場合もあるかと思っておりますので、そうい ったことについての取扱いは別途示したいと考えております。  続きましてCVカテーテル、いわゆる中心静脈用カテーテルの承認基準について説明 させていただきたいと思います。こちらのCVカテーテルについて、現行制度は先ほど PTCAカテーテルのところでも出てまいりました、「カテーテル類の承認申請書の作 成上の留意事項について」という平成10年の審査実務連絡に基づきまして、申請書に記 載すべき項目が特定されております。こちらも当然申請書に記載すべき項目のみが特定 されていて、その中の満たすべき基準、規格等がないという形になっております。これ について、PTCAカテーテルのところでも出てまいりましたカテーテル類の国際規格 であるISO 10555のシリーズの中で、CVカテーテルを対象とするものであるISO 10555-3を基に、中心静脈用カテーテルというJIS T 3218というものを作成して今年度 末に成立させる予定になっております。このJISを承認基準における技術基準として そのまま引用する形を採らせていただいております。このJISで要求事項として特定 されている項目については、平成10年の審査実務連絡における要求事項と整合を取る形 でJISを作成させていただいております。こういった点で一部ISO 10555-3と変更が あるMOD規格になっているのは、審査実務連絡に整合をとらせるために対応させてい ただいているという内容になっております。  このように、JIS T 3218が審査実務連絡とある程度整合がとれているというところで、 プラスアルファとして現状よりもそれぞれの満たすべき基準が定められるという形態に なっております。こういった点で原則としてこのような基準作成方針を書かせていただ いておりますが、現状承認申請書で特定すべき、記載すべき項目についてJISで事実 上基準を定めさせていただいたという形態になっております。   次の16ページの方にCVカテーテルの承認基準についての主な論点を書かせていた だいております。CVカテーテルでは特に(1)の末梢挿入用の極めて細いカテーテルに ついて、ISO 10555-3においてはここの規定がない形になっております。ISOをJI S化するに当たって、末梢挿入用に関しても引っ張り強度に対する規格値を既存の製品 を基に設定して、JIS規格の対象ともしております。こういったISOに規定がない 末梢挿入用の極めて細いカテーテルについても、一応承認基準の内部に含まれるという 形で、JISにも承認基準にも含まれるという取扱いをさせていただきたいと考えてお ります。  なお、引っ張り強度の規格値を先ほど既存の製品を基に設定したと説明させていただ きましたが、現状市場に供給されているものにおいて規格値を調査して設定したわけな のですけれども、特に強度不足による破断の不具合等については今まで報告は一切あり ませんので、現状製品が満たされているものについては、基本的に十分な強度があるも のと考えております。そういった点で現状製品が満たされている引っ張り強度があれば 十分であるという判断をさせていただいております。  構成部品等の取扱いについては、本質的なものではないので飛ばさせていただきます。 ただその他のところに書かせていただいているとおり、このようなPICCの末梢挿入 用の極めて細い特に長いカテーテルについては、単純な引っ張り強度だけで評価が本当 に可能なのかどうかについて多少議論があるかと思っております。これについては申請 書の中で特出しで安全性評価について別途説明を求めることを考えております。こうい った点でここについては規格審査というよりもむしろ個別の説明を要求することによっ て、特に長い製品については安全性等を担保してまいりたいと考えております。  続きまして、17ページの方の創傷被覆・保護材の基準案について説明させていただき たいと思います。まず現行制度の取扱いについて、創傷被覆材等は平成13年の審査管理 課長通知の「創傷被覆・保護材の承認申請に係る取扱いについて」という形で承認申請 書に記載すべき項目等が特定されております。この平成13年の通知においては申請書に 記載すべき項目とともに既存品との同等性に関する考え方を示させていただいておりま す。これらの考え方を踏襲しつつ、なおかつ生物学的安全性評価に対する規格であるJIS T 0993-1を新たに明確な要求事項とするとともに、平成13年の通知において、既存品 との比較に対する基本的な考え方をそのまま踏襲する形で承認基準を作成させていただ いております。  その主要論点について18ページの方に取りまとめさせていただいております。特に創 傷被覆材の使用目的、効能・効果の取扱いでIII度熱傷等、皮下脂肪組織までの創傷に対 するものと抗菌作用等を持たせたものについて、現状この取扱いが非常に明確になって いないところがあります。抗菌作用を持たせたものについては原則臨床試験が当然必要 になるかと思っておりますが、III度熱傷の取扱いについて一部明確でないところがある となっております。それについて承認基準における使用目的、効能・効果というところ の範囲の中で、「皮下脂肪組織まで(III度熱傷を除く。)の創傷に対する『創の保護』、 『湿潤環境の維持』、『治癒の促進』、『疼痛の軽減』を目的とするものである」とさ せていただきました。   ここでは例えばもっと深い熱傷、創傷の保護に対しては、承認基準の適合品目ではな いというところで、III度熱傷を除くと訂正させていただきまして、承認基準における使 用目的、効能・効果の範囲を「皮下脂肪組織まで(III度熱傷を除く。)の創傷」と書かせ ていただいた中で、深いものについては対象外と明示するというふうに考えております。 こういう点でIII度熱傷の取扱い対象とするものについては承認基準の適用外という整理 をさせていただきたいと考えております。こういったものについては当然臨床的な評価 等も必要とされる場合がありますので、これは承認基準の適用外という取扱いをさせて いただくということを考えております。  あと物理学的同等性評価の取扱いはここで記させていただいた項目を原則行うという 形で示させていただくとともに、必要に応じて追加で試験を行う必要があるものとして おります。試験方法の特定については例示という形にはなりますが、標準的方法を示さ せていただくというふうに考えております。  そして安定性評価の取扱いについて、物理学的同等性評価に関して行うべき試験項目 を考慮しつつ、既存の製品との安定性確認を品質管理の一環として行う旨を別途Q&A で示すという形で考えております。創傷被覆材の安定性評価について現状明確に要求さ れていないところもありますので、こういったものについては品質管理の一環として確 実に行っていただきたいというのを別途示すことによって、承認基準の中でではなくて 品質管理の方法として一つ明示させていただきたいと考えております。  長くなっておりますが、続いて放射線治療シミュレータ承認基準について説明させて いただきたいと思います。こちらは現行制度について特に承認審査の基準や資料に対す る取扱いは示されておりません。ただ承認基準を作成するに当たって、もともと放射線 治療シミュレータに対する安全規格であるJIS Z 4751-2-29、そして性能を担保する規 格のJIS Z 4761という部分で二つの規格がありますので、この規格の適合性を判断すれ ば十分であると考えております。こういった点でこの二つのJISに適合するかどうか を審査すれば十分であるだろうと考えております。  主な論点といたしまして、放射線治療シミュレータの性能特性においてすべての放射 線治療シミュレータの中で要求されていない事項まで、通常付いていない機能について も規格が設定されていることがありますので、これに対しまして一部付いていないもの はその要求事項は満たさなくてもいいということを明示させていただいております。  そして20ページの方になりますが、次に加速器システムの承認基準についても先ほど のシミュレータと同じく、特に現行においては細かい取扱いは示されておりません。こ れについても、同じくJISにおいて4705という加速装置の安全と、4714という性能 を規定する規格がありますので、この二つの規格への適合性を見ればその機械の有効性、 安全性は十分に担保できるだろうと考えております。そういった点でこれらの規格を承 認基準として採用させていただくとなっております。  こちらの主な論点としましては、そもそも論としては加速器システムは放射線治療の ために使用する機械でありますが、副次的な使用目的として輸血用の血液等のリンパ球 の不活性化のために使用することがありますので、これに対する目的性を使用目的とし て追加するという形で取扱いをさせていただきたいと考えております。こちらの方です が、現状加速器システムの承認として使用目的、効能・効果の中で放射線治療のほか、 リンパ球不活性化に対する使用を目的とする承認が複数存在いたしますので、その取扱 いを踏襲させていただいた形になっております。  あと二つになりますが、X線骨密度測定装置に対する基準案の取扱いについて21ペー ジの方を御覧いただきたいと思います。現行制度の取扱いについて、こちらの品目は基 本的には臨床試験成績に関する資料の添付を求めております。これについて基準の作成 方針は、基準自体としては医療機器の電気安全を規定するJIS T 0601-1を引用する形で 示させていただいております。ただ基本要件の適合性判断として、既存製品に関する測 定結果と申請に係る品目の測定結果の相関性に関する基準を設けまして、そもそも論と してX線骨密度として測定される測定値が既存品とも同等な性能を有するということを 担保する形で、その製品の性能等を担保するという考え方で基準を作成させていただい ております。  22ページの方を御覧ください。X線骨密度測定装置について、そもそも論としてこち らはクラスIIの品目になります。管理医療機器に相当するものになっておりますが、基 準を作っておいて認証機関における認証という形ではなくて、独立行政法人の方で個別 に審査する形を採っていきたいと考えております。  その理由といたしまして、もともと骨密度測定値の取扱いについては測定方法に対す る標準化は行われていないというところと、X線骨密度の測定装置において求められた 値というものは滋賀医大等によって行われた特定の機械の各年齢層・性別における骨密 度測定値のたくさんの被験者のデータをベースに、その測定機器の性能差異を係数化し たその装置特定の変換係数を基に、実際の測定結果という数値が出てくるという機械に なっております。いわゆる絶対値を反映したものではないとともに機械独特の変換係数 が存在するという形になります。  これが既存製品をずっと開発してきた実績があるメーカーについては、既存製品との 比較の中で変換係数を容易に算出できるかと思っておりますが、全く新規に開発した会 社においては過去のそういったデータの蓄積が不十分であるために、機器固有の変換係 数が適切なものとして設定されているかどうかが一つの論点になるかと思っておりま す。こういったものについて、事実上規格適合性でその機器の性能を担保することが困 難であろうと考えております。申請に係る部分について場合によっては個別にデータ等 を要求せざるを得ない場合があるというケースが想定されますので、認証機関における 認証という取扱いが少し困難であろうと判断させていただいております。そういった点 で認証機関における認証ではなくて、承認申請が必要な品目という取り扱いをさせてい ただきたいと考えております。  実際の基準自体については、22ページの最初の方に書かせていただきましたX線骨密 度測定用の評価ファントムを特定することによって、既存の製品との比較に関してはで きるということで性能自体は担保できると考えておりますが、既存製品に対する治験が 十分でない申請について、本当に大丈夫であるかということを個別に判断せざるを得な い場合もあるかということで、承認申請の必要な品目という取扱いをさせていただきた いと考えております。  医療機器の基準の最後になりますが、MRIの基準の方になります。このMRIにつ いてはクラスIIの管理医療機器に該当いたします。こちらについても承認基準を作成さ せていただきたいと考えております。ただ先ほどの骨密度とは異なりまして、MRIに ついてはIEC 60601-2-33という規格が存在しておりまして、それをJIS化しておりま す。4751というJISを作成しております。  24ページの方を見ていただきたいと思いますが、JIS Z 4951において、MRIについ て三つの操作モードが規定されております。通常操作モードと第一次水準管理操作モー ド、第二次水準管理操作モードという三つの基準があります。通常モードについては患 者に対する生理学的ストレスが限界値を超えない、ほとんどないと。第一次水準モード については、一部生理学的ストレスを引き起こす可能性があると。第二次水準モードに なると重大なリスクを与える可能性があるということで、そういった操作モードの規定 が幾つかあります。この中で通常操作モードしか行えない品目については、生理学的ス トレスを起こす可能性が極めて低いものになりますので、当然認証でいいだろうという 判断をさせていただいております。ただ、第一次水準管理モードは一部リスクが高くな っておりますので、こちらの品目については認証という扱いではなくて、承認審査を必 要とする品目という形で取扱いをしたいと考えております。当然第二水準についても同 じとなります。  その中でさらに第一次水準については、幾つかの出力が患者に甚だしい生理的ストレ スを引き起こす可能性があるとなっておりますが、ここの部分については、海外での取 扱いにおいて第一次水準管理モードの発売実績が非常にありまして、余り不具合等が発 生していないということもありますので、これは承認基準における基準審査で構わない だろうと考えております。さらに第二次水準管理モードに関してできるものについては、 基準ではなくてより詳細なデータを求めるという取扱いをしたいと考えております。  この規格におけるそれぞれの操作モード、MRIそのもののリスクに応じた形で通常 操作モードについては認証、第一次水準管理モードについては承認基準審査、第二次水 準管理モードについては臨床試験成績の要求等を含めた形で、個別のより詳細な審査を させていただきたいという取扱いを考えております。このように認証品目と承認基準品 目と要臨床品目ということで、規格の中で定められているものについて、それに応じて 線引きを設けさせていただきたいと考えております。  なお、ちょっと説明が前後になりますが、現在日本におけるMRIについては、ほと んどすべての品目が通常操作モードに該当する形になっております。数品目だけについ て、第一次水準管理モードに相当するMRIが市販されております。こういった点も含 めまして、認証と承認というものの切り分けを考えさせていただいております。ちなみ に第二次水準管理モードのものについては、現在日本において原則的にはございません。 ただ臨床研究において使用される形で日本に導入されている場合もありますが、承認さ れているものについてはございません。  あわせて海外の状況についてですが、特にFDAの取扱いにおいて、アメリカでは第 一次水準管理モードの品目が全体のMRI販売量の約三分の一になっています。すなわ ち、海外におけるMRIについては、第一次水準まで使えるものが一般的になっている 状態ですが、日本においてはまだ通常操作モードしかないということもあります。こち らの方は承認基準という取扱いで基準を明示することによって、海外における品目と日 本における状況に差がある状態になっておりますので、ここの部分も承認基準を明確化 して審査することによって海外と国内における状況の差が少なくなっていくものと考え ております。説明は以上になります。 ○土屋座長 ありがとうございました。それではまず、クラス分類等検討小委員会の委 員長を私がしておりましたが、前回の小委員会より小野委員に委員長をしていただくこ とになりました。2月18日に開催されました小委員会での議論について小野委員長より 御紹介をお願いいたします。 ○小野委員 小委員会においてはお手元にございます資料1-1〜1-8までの承認基準を 検討しております。幾つかの議論がありましたが、事務局案が承認されました。以上で す。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。それでは事務局の説明に御質問等ござい ませんでしょうか。 ○澤委員 一つ質問してよろしいでしょうか。この創傷被覆・保護材承認基準の対象と なっているのは、いわゆる吹きつけて傷をカバーするタイプのものが含まれるのでしょ うか。 ○土屋座長 事務局の方はいかがでしょうか。 ○事務局 今先生が御質問のものはハイドロブラスト等を吹きつけるものでしょうか。 ○澤委員 はい、そうです。 ○事務局 そちらの方はこの対象にならないということになります。 ○澤委員 そうですか、分かりました。 ○土屋座長 北村先生、お願いします。 ○北村委員 新規の医療機器の基準に関する基本としては結構だと思いますけれども、 医療機器はどんどん改良が入るのですよね。我が国で起こっている改良に対する考え方、 基準の考え方というものをやはりもう少し柔軟にしていただかないと、我が国で外国製 の機器を承認してどうぞとおっしゃる時期には、既に外国はもうそんな機械は製造中止 になっていると。新しいものが外国で使われている。我が国においてもいろいろな人工 血管の部分を取り替えたりとか、人工心臓などでもそういった本体そのものは既存で、 バージョンアップというか改良をしたときの承認審査基準において、私どもはスピード アップを重視して新規とは少し違った考え方を持ってはどうかと思うのですけれども、 その辺はどうですか。 ○事務局 先生の御質問の点はちょっと承認基準の内容と違う観点で説明させていただ きますと、承認基準はもともと今まである既存の製品の評価が固まったものについて、 審査に対する手法を特定しようという概念で作らせていただいております。そういった 先生の新たな改良を付け加えた品目については、基本的に承認基準のない該当外という 取扱いになるかと思います。ただ、改良されていない部分についてはある意味この基準 が使えると考えておりますので、そういった点で改良されていない部分、今までの技術 と同じものについては、承認基準で定めがあるところを活用させていただいて迅速な審 査をするとともに、改良部分に対して注力して審査をすることができるようになるだろ うと考えております。  また、あわせてそういった今まである品目について基準を作り審査を早く済ますこと によって、審査官を改良されているものの方に集中させて審査を進めることができるか 思っておりますので、その両方の点で新しい品目がより早くできるスタイルが採れるの ではないかと考えております。 ○北村委員 大変結構なお答えで期待しております。 ○土屋座長 それでは山本室長お願いします。 ○医療機器審査管理室長 今北村先生の御指摘について、私の方からもちょっと補足的 な御説明を申し上げます。今回の薬事法改正において、かなりの部分が製造販売者の責 任ということで、製造業者の責任においてある程度のことはできると。例えばGMPの 強化とかをやっておりますので、そういう関係で今の先生の御指摘の中でイノベーティ ブなものについて、一部変更で改良がされた場合はできるだけ審査を簡素化するべきで はないかという部分については、これを4月の法改正で直ちに実行するということでは ない部分もございます。しかし、引き続きどうやって審査を加速していくかという中で は、非常に重要な検討課題の一部でございまして、審議会でお諮りしたりあるいは総合 機構で審査したりしますと、やはりなるべく本質的な部分についての審査をしていくと いうことが重要でございますので、そういう点については引き続き厚生労働省としても 検討努力をするべきだと考えております。 ○北村委員 ありがとうございます。 ○土屋座長 それでは許先生お願いします。 ○許委員 資料の10ページの「医療機器の承認基準通知の構成」のところの「(2)要臨 床となる判断基準」は、先ほど事務局の説明では今後順次整備していくということでご ざいますけれども、この要臨床となる判断基準が非常に大事だと思うのです。今でもこ れがなぜ日本の臨床治験なしにすぐ入ってきたのだろうと思うものもあれば、これは当 然入れなければいけないというので臨床治験が終わってもさらに5年くらい審査にかか っているものもございます。  例えば一つ申し上げますと、日本で市販されている人工弁と人工血管をただくっつけ て大動脈基部を置換というベントール手術を行っていますが、我々が夜中の緊急手術で 人手もいないところをわざわざ自分の手縫いでそれに必要な人工弁付き導管を縫ってい ます。それがもう既に臨床治験が終わって数年たつある一社の人工弁付き導管があるの に認可されていません。データが全部出て終わっているのにまだ承認されないものもあ れば、最近の審査ではこの前の腹部大動脈ステントグラフトなどでももう臨床治験なし にどんどん入ってくるものもあるように伺っております。そういうことで、やはり要臨 床となる判断基準は簡素化していただきたいと思います。同時に、公平性ということと 既存のものの組合せによる製品に関しては全く新しいものという取扱いをするのが本当 に妥当かどうかということも検討していただきたい。今後順次整備していかれると先ほ ど御説明なさいましたけれども、これはこの委員会で整備していかれるのでしょうか。 また、整備する専門家委員会のようなものを作って整備していかれるのでしょうか。そ の辺の将来の整備の仕方についてもお聞かせ願えれば有り難いと思います。 ○土屋座長 それでは事務局の方お願いします。 ○事務局 まずこちらの御審議いただく承認基準の品目の中で、要臨床となる判断基準 としてあわせて付け加えさせていただいているものがあるかと思いますけれども、こう いった承認基準と一体となるものについては、承認基準そもそもの審議のときに要臨床 のところの判断も併せて見るべきだと私どもは思っておりますので、極力一緒にこのテ ーブルに上げたいと考えております。あともともとの重要性について当然この部会に上 げる前の各基準作成に当たっては、工業会等御協力いただいた中で基準作成委員会を作 らせていただいておりまして、工業会と生産者以外にも当然中立者、また使用者、大学 の先生等を必ず入れた形で一度御議論いただいた上で私どもに提案いただきまして、私 どもの内部で更にもませていただいてここに提出するというスキームを採らせていただ いておりますので、そういった点で先生の御心配の例えば不適切なものができるのでは ないかとかそういったものについては、ある意味二重のチェックが入るという形で考え ております。ですので、その中でより適切なものを作っていきたいと思っておりますし、 また先生にも御協力をお願いしたいと思っております。 ○許委員 どうかよろしくお願いします。臨床の部分がやはりいつも最終的に、特に我 が国で開発された医療機器は臨床に入ってくる場合に非常に困難な状況にぶつかるとい うことが多く見られ、製造開発業者が意欲をなくしてしまうようなところもございます。 その辺基準をしっかり作ってこれを満たせばできるのだという形に、いろいろな人がす ぐ簡単に分かるようにしていただければ有り難いと思います。 ○土屋座長 それでは上野先生お願いします。  ○上野委員 23ページのMRIについてお願いいたします。私はMRIの安全性に関し ていろいろ研究している関係でそこを質問しますけれども、昔に比べて割とスピーディ ーに前向きに承認が下りていることはいいことなのですが、ちょっと文章がはっきりし なくて、1.5T以上、例えば3Tとかについては前向きに検討なさるわけでしょうか。と いうのは、現在やはり1.5T以上は極めて少ないということを書いてありますけれども、 今3Tをいろいろ臨床に使いたいというところもありまして、研究用ですが現に4Tも あります。やはりこれから3TのMRIというのは非常に大事になって、この法が承認 されますと急速に普及するものと思っております。そこで現行で「1.5Tを超えるものの 承認状況を考慮することとする(必ずしも、平成17年4月1日施行とはしない。)」とな っていますけれども、ここの考えと今後の心構えを聞かせていただきたいと思います。 ○土屋座長 それでは事務局の方お願いします。 ○事務局 まず基本的な考え方ですけれども、通常操作モード、いわゆる2T以下のも のについては、第三者認証制度という形で移行いたしますので、今の制度より迅速に商 品供給がされるものと考えております。第一次水準管理モード、いわゆる4T以下のも のは基準審査となりますので、現状通常1.5Tを超えるものについては要臨床の取扱い になっておりますが、基準審査のものについては要臨床ではないと。臨床試験を要求し ないという形になりますので、より迅速に供給されるものと考えております。  ただ、先生が今おっしゃられたあいまいに書いてあるところの意味なのですが、現在 1.5Tを超える品目の承認状況が余りにも少ないということがありますので、その承認状 況を少し考慮した方がいいのではないかと実は少し考えております。そこのところの施 行時期の問題だと思っておりまして、ただなぜこういうことを回りくどく言うかといい ますと、例えば頭部目的とか限定したものしか現状まだ承認が下りていない状況になっ ていますので、これが例えば全身用の3Tといったものの承認数がもう少し増えた段階 で施行するのが妥当なのかなと思っております。ここのところは多少議論があるかと思 いますので、施行時期についてはもう少し議論が必要かなとは思っておりますが、これ が遠い将来ではるか先に施行するというのではなくて、承認実績等が増えた段階で速や かにこれを移行することによって、今後製品を増やすことを進めていきたいと考えてお ります。 ○上野委員 ありがとうございました。 ○笠貫委員 北村委員と許委員から御指摘があったのですが、私も医療機器に関しては 薬品とどう違うのかという根本的な考え方を整理することが必要なのではないかと思っ ております。先ほどお話にも出ましたが、医療機器と新しい薬との両方の開発が同時に 必要になってくるときに、薬剤の承認と医療機器の承認というものの本質的な違いが既 にもう出てきておりますので、是非そういう観点から御検討いただきたいと思います。  特にハーモナイゼーション、グローバリゼーションの中で薬剤のような人種差という ものが出てくるものと、医療機器のように人種差が余りないものについてどういうふう な枠組みを作っていくのかという違いが一つ大きいと思います。薬は一度開発されます とそれが改良されてくることは余りありませんけれども、医療機器で特にクラスIII、IV の患者さんにとって開発に伴うニーズに対するスピードの求められるものについては、 例えば開発のスピードが非常に速く、1年、2年、3年という単位で進歩してくるもの にどう対応できるかということを是非御検討いただけたらと思っています。 ○土屋座長 貴重な御意見ありがとうございました。よろしいでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 今笠貫先生には非常に正確に医療機器の特徴を御指摘いただ いたと思います。今回の法改正はなるべく医療機器の特性に対応するようにということ でやってはいるのでございますけれども、ここで御審議いただきますような新医療機器 の審査に関しましても、どういう場合に臨床試験を必要とするか、どういう場合に海外 臨床試験が活用できるかということについては、その医療機器の特徴を当然に踏まえた 行政側の運営が今後必要でございますので、是非その点で引き続き審議会におかれまし ても御意見を頂ければと思います。 ○土屋座長 それでは本日はまだたくさんございますので、御意見がもしないようでご ざいましたら、これで資料1-1〜1-8について本合同部会で御了承いただいたものとさせ ていただいてよろしいでしょうか。今までなかったものの承認基準を表に出したという ことは前進でございまして、これは審査と開発において非常に重要なことであると思い ます。今まで頂きました貴重な御意見について、さらに事務局とか本省等も審議してい くということでございますのでいかがでしょうか。それではありがとうございます。こ れらの医療機器の8基準については、本合同部会として御了承いただきましたので、今 月の17日に開催されます薬事分科会に報告することといたします。  それでは、次の報告事項の体外診断用医薬品の承認基準案について引き続き事務局よ り報告をお願いします。 ○事務局 体外診断用医薬品の承認基準案の御説明をさせていただきます。時間が押し ておりますので少し飛ばさせていただきます。直接体外診断用医薬品の基準案について の説明の部分から入らせていただきたいと思います。参考資料1-1を引き続き使用させ ていただきまして、31ページの方を御覧いただきたいと思います。  体外診断用医薬品の承認制度については、現状体外診断用医薬品はすべて大臣承認に なっておりますが、改正薬事法においてその中で特に診断リスクが高いもの、体外診断 用医薬品で間違った結果が出た場合、健康被害が生じる恐れが高いような疾病を対象と して使用される体外診断用医薬品について大臣承認と。それ以外の製品については、基 本的に第三者認証若しくは自己認証という形で体外診断用医薬品の承認制度は整理され ることになっております。その大臣承認のままに残る比較的診断リスクが高い体外診断 用医薬品に対する基準というものを作成するとなっております。現行制度の取扱いにつ いてですが、新測定項目に相当する品目とHIVやHCV等の診断リスクが極めて高い ものには、遺伝子測定項目等の品目に対する申請を除きまして、既承認品目との相関性 をもって性能評価を行っているというのが現状になっております。  基準の作成方針としましては、現状の制度をそのまま基本的に踏襲するという形で作 成させていただきたいと考えております。新測定項目や診断リスクが高いものの中でも 本当に極めて高いもの、それ以外のものについては、既存品との相関性をもって性能評 価を行いたいと考えております。  実際の承認基準についての主要論点という形で、32ページの方に簡単に取りまとめさ せていただいております。こちらは今回初めて御参加いただいた先生には大変恐縮なの ですが、先ほど体外診断用医薬品で診断リスクが低いものについては第三者認証制度に 一部移行すると申し上げましたけれども、その第三者認証の基準についても既存品との 相関性に関する基準という形で作成させていただいております。それと基本的な概念が 全く同じになります。診断用リスクが高かろうが低かろうがというところになりますの で、その差をどのように設けるかが一つの論点になっております。認証基準のレベルよ りもやはり診断リスクが高いので、より詳細な相関性に関するデータを求めるべきでは ないかと。より厳密な相関性を求めるべきではないかと考えております。  その点でどこに差を設けたかということについてですが、相関性の試験に関する検体 数を増やすことによって、その相関性の信頼性をより高めたいというところが承認基準 と認証基準の差になります。ここの32ページの(2)で書かせていただいているとおり、 認証基準における検体数の倍の100検体を基本的に対象としてくださいというところが ポイントになります。こういった点でリスクが低い品目よりも、より厳密な相関性を求 めるというところで基準を作成させていただきたいとなっております。あわせまして検 出用試薬や半測定試薬、いわゆる+1、+2、+3という形で測定するものについて、 例えば+という判定が10を意味する品目と8以上で+と出る品目がある場合について、 そういったものを比較対照とすること自体がリスクが高いものについては不適当だと考 えておりますので、こういった対照をとることは認めないということを承認基準と認証 基準の差の一つととらえさせていただいております。こういった点でより厳密に検出用 試薬等についても、検出結果がきっちり既存品と同じであるということを証明させてい ただきたいと考えております。  なお検出用と半測定試薬ですが、こういった取扱いをすることによって検出結果の判 定値自体の標準化がより促進されるかと思いますので、こういった点でも標準化促進を 意味して厳密に取扱いをさせていただきたいと考えております。このような点で認証基 準と承認基準の差を設けつつ、基本的な概念としては既存品との同等性を評価すること によって承認を与えるということを考えております。以上になります。 ○土屋座長 ありがとうございました。小委員会での審議について、小野委員長より御 紹介をお願いいたします。 ○小野委員 先ほどと同じように小委員会において、資料の2-1の「体外診断用医薬品 の承認基準(案)」について検討いたしまして、幾つかの議論がありましたが、事務局案 どおり承認されております。 ○土屋座長 それでは事務局の説明に対して御意見等ございませんでしょうか。 ○倉根委員 項目によってはかなり多種の既承認品目の検査があると思うのですが、そ のときに何と比べるかというか、既承認品目の中にもやはりかなり感度、精度が高いも のと、比較的そうでないものとがある場合にどの辺が基準になるのか。つまり感度、精 度が少し低いものと比べれば比べやすいということは出てくる可能性もあるのですが、 その辺の判断基準というのは何と比べるかということをちょっと教えていただきたいで す。 ○事務局 現状は最も使用されているものを基本的にその比較対照とするという取扱い をさせていただいておりますが、それプラスこちらの資料2-1の別紙2のところに記載 させていただいているとおり、現状最も使用されているものを一つ対照とすればいいと いう取扱いを2種類以上という形で選定してくださいと。複数採ることによって現状よ りも多少ましな状態になるかなと思っております。なお、最も使用されているものとい うところで比較対照すると、もう複数以上という形になることによって、臨床上で使わ れている有用性が同等なものとして確保できるというところが一つのポイントになるか と思っているのと、もう一つそれ以上のほかの品目というものを対照としてくださいと いうところである程度の信頼性は確保できるものかなと考えております。 ○土屋座長 よろしいでしょうか。 ○倉根委員 もう一つの質問なのですが、認証基準の2倍の100検体ということで出て きているのですが、この数字は統計的に100であれば大丈夫だという何かベースにそう いう理論といいますか、基準があるのでしょうか。 ○事務局 ここの検体数については、統計学的なバックグラウンドがどれくらいあるの かが一つの議論になるかと思っております。ただ正直なところ申し上げますと、ここの 部分に関して統計的なバックグラウンドは必ずしも十分ではありません。特に抜取りに 関するAQLの考え方からしますと、100検体というものが本当に正しいのかどうかと いうところは非常に議論があるのは承知しております。ただ現状の承認申請において、 原則検体数50という取扱いをさせていただいている中で、それよりは数を増やすことに よって信頼性を高めようという概念になっていると御理解いただくということしか現時 点では申し上げることができません。  ここの部分の統計的なバックグラウンドをどのように確保するかについては、今後の 検討課題だと思っております。特にAQL等の考え方やそのほか一致率のKappa検定等 の考え方も含めて少し議論する必要があるだろうと。また品目によってその考え方をよ り厳密にしなければならないものもあれば、そうでないものもあるのかなというところ も考えておりますので、ちょっとここは今後の検討課題と考えております。またこの辺 りについては、現状の制度と改正法における制度で余り差異が生じても非常に混乱があ るというところで、現時点ではこのような考え方で整理させていただいておりますが、 これについては今後また統計的なものも含めて検討してまいりたいと考えております。 ○土屋座長 よろしいでしょうか。それでは牧野先生お願いします。 ○牧野委員 ただいまの御質問にも関係するわけでありますが、この体外診断薬がいっ たん市場に出ますと様々な条件の下で測定がされるわけですけれども、今の質問にもあ りますように、認証に際してNの数を100検体にするという以外に、いわゆるバリデー ションと申しますか精度管理の点で、例えば50でも結構ですが、クロスチェックをする とか何かその認証のときにより正確な方法はないのでしょうか。 ○土屋座長 今の御質問はいかがですか。 ○事務局 まずこの検体数と相関性のみで既存品との同等性というところで十分である かというのは、確かに先生のおっしゃるようなバリデーションの方法等も取り入れた形 で考えるのも一つの点であるかと思っております。ただ一点申し上げるとしたら、体外 診断用医薬品は現状GMP、製造管理に対する基準等が適用されないという形になって おりました。これが改正薬事法においてはISO 13485をベースとするGMPの適用の対 象になっておりますので、市販後の製造管理等において製品の品質の安定性などが現状 よりも確保されるものと考えております。こういった点で相関性基準のみならず、GM P、QMSも含めた形でよりよい製品が供給されていくものだと考えております。 ○土屋座長 以上でよろしいでしょうか。 ○澤委員 一つ質問がございます。この承認基準とちょっとずれますが、こうしたデー タを出すときの患者からの検体をする場合に臨床試験を組む必要があるのかというこ と。それから今後の個人情報の保護に関して第三者提供ということが関係してくると思 いますが、そうした検体の取扱いについては全体としてはどのようなお考えをお持ちな のでしょうか。 ○土屋座長 事務局からお願いします。 ○事務局 先生の二番目の御質問は非常に重要な事項だと考えております。個人情報の 保護等、特に体外診断用医薬品は希少疾病等過去に採取した検体を使用してこういった 性能評価等を行うということがありますので、そういった点でこれは大きな検討課題と 考えております。これは今後改正薬事法における取扱いと関係なく、一つの臨床性の評 価に使用する検体の取扱い等を議論すべきと当方も認識しておりますので、今後この点 については明確化していきたいと考えております。 ○仁田委員 ただいま個人情報の話が出ましたので、国全体としてこれからどういう取 り組み方をするのかお聞きしたいのですが、個人情報を守るために今いろいろなところ でやられているのは暗号化とか大変お金の掛かる部分がございます。それがある意味で 言うと企業の意欲をそいだりすることがございますので、国全体として保護するとか助 成するとか何らかのことを考えていかないといけないと思うのですが、いかがでしょう か。 ○土屋座長 それについてはいかがですか。 ○審査管理課長 医薬品の関係もでございますけれども、現実問題として企業で開発が 進んでいる段階のときには、例えば医薬品の臨床試験のケースカードのようなものも個 人が特定される状態での情報が企業の方に行くということはなくて、それはあくまでも 医療機関の中でなければその情報と個人とはつながらないという形にはなっていると思 います。そこでこういう検体のようにものの一部が実際には行くのでございますけれど も、その段階では個人名とかそういうものは当然記載されていないわけでございますし、 先生が御指摘の暗号化ということについてはまだ余り勉強しておりませんので…。 ○仁田委員 もう既にシステムの開発などの段階では各企業が数千万というものすごい 高いお金を払いながら、全く従来までなかった概念が入ってきたわけですから、コスト として入ってまいりますので、その辺も国全体としてお考えいただかないと諸外国に負 けてしまうということになり得るかと思いますので発言させていただきました。 ○審査管理課長 御指摘どうもありがとうございました。 ○富田委員 最近通達が出た血糖値のことは御存じですね。ああいう場合被害者が出て いたときなどは今度の審査基準になると変わってくるのでしょうか。ちょっとそれが通 達を見ていて気になったのですが。やはりPL法をかなり強く使うようになって、被害 者が出たときの訴訟問題は国は関係ないような事態にできるのか、それともやはりその 辺のことは非常に微妙かもしれませんけれども、今度その審査基準を変えると何か変わ ってくるのか、ちょっと知りたいのです。 ○土屋座長 では室長の方からお願いします。 ○医療機器審査管理室長 大変難しい御質問なので的確なお答えになるかどうか分から ないのですが、審査基準というのは基本的に厚生労働省で作るわけでございますので、 その審査基準に従った審査です。したがいまして厚生労働大臣の承認ということで、当 然承認に係るものについては国の一定の責務があるわけでございますけれども、他方医 療の関係では、審査の段階では予知できなかったことなどについて市販後に対応すると いうことが非常に多くございます。そういう点ですべてが審査の責任という形ではなく て、国の責任、それからメーカーの責任、さらに場合によっては医療関係者の方々の責 任、あるいはそれで負えない部分、今血糖に関する御指摘がありましたけれども、それ だけではなくていろいろな局面においてそれぞれの責任のかかわり方がございますの で、審査の段階ではもちろんその時点の最高水準の科学に照らしていく必要があるわけ ですが、その後の市販後対策なども含めての総合的な対策と、その中での責任の在り方 ということになるのではないかと思います。 ○土屋座長 貴重な御意見、御質問等どうもありがとうございました。それではこれで 報告は終了させていただきます。審議事項及び報告事項は以上ですが、事務局から連絡 はございますでしょうか。 ○事務局 二点ございます。まず一点目は日本工業規格の制定・改正・確認についてで ございますが、前回の合同部会以降新たな制定・改正・確認を行ったものはないことを 御報告いたします。二点目は事務的な連絡になりますが、今後3か月ごとに開催させて いただきたいと存じますので、次回以降の開催日については本日机上にお配りしており ますファクシミリ送信表に必要事項を御記入の上、後日事務局にお送りいただきますよ うよろしくお願いいたします。以上です。 ○医療機器審査管理室長 以上で合同部会を終了いたします。以後のそれぞれの部会に ついては非公開となっておりますので、傍聴の皆様方は退席をお願いいたします。まず 11時15分から医療機器・体外診断薬部会をここで再開いたしたいと思います。       ――― これより医療機器・体外診断薬部会 ――― ○医療機器審査管理室長 次に医療機器・体外診断薬部会に入らせていただきたいと思 います。医療材料部会の先生方におかれましてはロビーでお待ちの先生もいらっしゃい ますが、そのまま着席してお聞きいただいても結構ですし、ロビーでお待ちいただいて も結構でございます。  本日は医療機器・体外診断薬部会の委員15名のうち11名の先生に御出席いただいて おりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。また本日の審議品 目に関しましては、その資料作成に関与された委員がいらっしゃらないことについても 併せて御報告いたします。  大変恐縮なのですけれども、私どもの運営が悪くて時間が押しているものですから、 次に医療材料部会も控えておりますので、可能であれば11時50分ぐらいを一つの目安 として審議をお願いできればと思います。誠に恐縮でございますけれども、よろしくお 願い申し上げます。それでは土屋部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 それでは審議品目議題1のシンクロメッドELポンプの概要について、 時間が迫っておりますのでできるだけ簡潔な説明を事務局からお願いいたします。 ○機構 それでは医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料3を御覧くだ さい。本品の審査においてはこちらにお示しします小野委員、長岡委員、中島委員、溝 口委員の計4名の専門協議委員の先生方に御参加いただき、御意見を頂きました。  本品の申請品目の外観写真をお示しします。本品の見本をお回ししますので、適宜御 覧ください。図の左が今回御審議いただくシンクロメッドELポンプ、右上がシンクロ メッドプログラマ、右下がその専用のカテーテルを装着した状態でございます。  審査品目の概略をお示しいたします。本品はポンプ内のリザーバに貯蔵した薬剤を、 あらかじめ設定した流量に従って髄腔内に持続微量投与するギャバロン髄注専用の植え 込み型プログラマブルポンプでございます。植え込み型のポンプとしましては本邦初の 薬剤量可変持続微量投与型ポンプとして位置付けられております。本品の使用に際して はさきのスライドでお示ししたような専用のカテーテルとプログラマと共に使用される こととなります。  開発の経緯です。シンクロメッドELポンプは医薬品の持続投与を目的としたポンプ でございまして、さらにこれは感染対策から体内植え込み型のポンプであり、しかも固 定レート、いわゆる可変できない形ではなくて可変ができるタイプのプログラマブルポ ンプでございます。  こちらの投与する薬剤はバクロフェンになっております。このバクロフェンは中枢神 経系の抑制性伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体であり、GABAB受容 体に親和性を持っておりまして、同様の作用を発現することが知られております。しか し、痙性麻痺に対しては経口投与において重症例に効果が期待されないこと、それから 大量の経口投与によって生じる中枢性の副作用が問題となっておりました。近年少量の バクロフェン髄腔内投与が多シナプス反射を抑制するとの報告がされましたことから、 本品によるバクロフェン持続髄腔内投与の開発が開始されることとなりました。  次に海外における承認・販売状況をお示しいたします。本品は欧米を中心に25か国で 販売されております。米国では投与する薬剤を限定して承認されておりますが、米国以 外では一般的な医薬品注入器として承認を受け、薬剤は限定されておりません。また、 本品は海外でバクロフェン投与を目的として約□,□台が販売されております。そしてこ れの前世代に当たる初期型のシンクロメッドポンプと合わせますと、累積使用数は約 49,000台でございます。  海外における不具合をこちらにお示ししております。不具合に関する処置については 後のスライドでまとめますので、今回は割愛させていただきます。  本ポンプにかかわる物理的化学的性質はこちらにお示しした試験が提出され、いずれ も規格を満たすとする成績が出ておりますので了承いたしました。  規格及び試験方法はこちらにお示しする試験が設定されており、すべての試験に適合 することを確認し了承しております。  次に安定性ですが、本品は安定性が確認された原材料を使用しておりますので、滅菌 後の安定性試験については省略されております。今回安定性としましては、ポンプ材質 に対する薬液安定性の試験が付いておりまして、こちらはバクロフェンの力価を測定す ることによって薬液の安定性を評価しております。こちらの成績から再補充まで90日の 間は薬液が安定しているということを確認できましたので、90日を推奨しております。  電気的安全性試験としましてはこちらにお示しする項目について試験されました。総 合機構は提出された成績を審査し、妥当なものとして了承いたしました。  機械的安全性試験については、バクロフェン注暴露による各ポンプ材質に対する物理 的特性変化及びアクセスポートの機能試験が行われました。こちらの試験成績について も妥当なものとして了承しております。  性能試験としましては注入精度試験を始め、こちらにお示しします各試験が行われま した。いずれにおいても臨床使用上の性能が担保できるとして設定された規格に適合し ていることから、本品の機械的性能が臨床使用に耐え得ると判断した申請者の見解を妥 当なものとして了承いたしました。  本品の性能としまして注入精度の担保は最も重要な性能だと考えられます。しかし、 その規定値は設定値±15%と広い注入誤差であったことから、臨床使用において許容で きる範囲にあるか説明を求めました。その結果極めて微量の注入量を測定するため、実 際には測定感度としてこれ以上の注入精度が担保できないこと、また本治療が患者の臨 床症状を見ながら至適投与量を検索していく治療であることから、本品の性能で十分対 応可能であるとする申請者の回答を妥当なものとして了承いたしました。  本ポンプを用いたバクロフェン髄注との共同の臨床試験が、対象患者を既存の抗痙縮 剤治療で十分な効果が認められない脊髄及び脳由来の重度痙性麻痺患者として、7施設 19症例のオープン試験で実施されました。  評価項目を一覧でお示しします。主要評価項目はポンプ植え込み6か月後の平均 Ashworth評点変化量。副次的評価項目、安全性評価項目はこちらにお示ししたとおりで ございます。こちらは主要評価項目でありますポンプ植え込み後6か月目のAshworth 評点をグラフで示したものでございます。こちらに見られますようにポンプ植え込み直 後から著明な改善が認められ、その効果が6か月後まで維持されており、本ポンプシス テムによるバクロフェン髄腔内投与は有効であることが示されました。  本臨床試験において生じた不具合について紹介させていただきます。治験用具に関連 する不具合は19例中6例8件、手技に関連した併発事象が19例中4例5件に認められ ました。そのうち本品との因果関係が疑われるものにカテーテル移動とカテーテル閉塞 がございました。これらの症例はいずれもこちらに記載したようなことが原因として想 定されたことから、添付文書において注意喚起を行うことにより再発防止に努めており ます。  手短ではありますが、これまでに御説明させていただいたように本品は適応患者が非 常に少ないことから、希少疾病用医療用具に指定されております。したがいまして、使 用症例の全例において使用成績調査を行うことが必要であると考えられることから、承 認後4年間に関しては全例調査とすることといたしました。また、さきのスライドにお 示ししたように本ポンプの留置手技や使用方法、薬液の再補充操作が本品の安全使用に 強く関連すると考えられることから、本品を使用する医師については本ポンプシステム に関する十分な知識、経験を有する医師に限定することが重要と考え、これら二点を承 認条件として申請者に課すことといたしました。  まとめますと、本品はこちらにお示しします使用目的で承認することが妥当であると 総合機構は判断いたしました。また、本品は希少疾病用医療用具であることから再審査 期間は7年が適当であると考えております。なお、生物由来製品又は特定生物由来製品 の該当性については非該当と考えております。以上です。御審議のほどよろしくお願い いたします。 ○土屋部会長 どうもありがとうございます。時間の関係上事務局の説明を抜かしてし まってよろしいですか。以上の説明のように本品は希少疾病用医療用具に指定されてお ります。いかがでございますでしょうか。 ○仁田委員 ポンプの拍出するメカニズムと、万が一制御不能に陥った場合の退避がど のようになっているのか、それをお聞かせ願いたいと思います。 ○土屋部会長 それでは説明をお願いします。 ○機構 こちらのポンプは三つの回るローターがありまして、それを順繰りに動かすペ リスタポンプのような形のものでございます。それで制御不能に陥った場合にはそれが 外から観察できないということがこれの問題点でもありまして、圧力が変わったりとい ったことでモニタリングができればいいのですが、まだそういったことはできないよう なものであります。ただ、これはかなりセンシティブに臨床の症状に反映されてくるも のでございますので、臨床症状を観察しながら症状が変わったときにポンプの故障を疑 うということを先生方及び患者さん、それから介護者に周知徹底していただくといった ことによって観察するということを最初のモニタリングとして考えております。 ○土屋部会長 よろしいでしょうか。 ○仁田委員 そうすると、もしも暴走してしまったらそのままになってしまうのですか。 例えば作動を全面的にストップするとか、そういう何らかの対策があってしかるべきだ と思うのですが。 ○機構 もし暴走しているとか過剰投与若しくは過少投与が起こっているという判断が できた場合にはテレメトリ、ポンプのプログラマーがございますのでそちらの方で投与 量を変更する、若しくは投与を中止はしてはいけませんけれども、そこでコントロール ができます。ただ、完全に暴走してしまった場合にはもう取り外してしまって入れ替え るという方法しか多分ないかと思います。 ○土屋部会長 それでは富田委員、お願いします。 ○富田委員 これは非常に福音なので承認して一向に構いませんし、その条件も大変う まく書かれているので全くいいのですけれども、多分これが1回バクロフェンで承認さ れるとほかの薬が次から次に来ると思うのですが、その場合の承認条件というのは一つ 一つこの承認条件と同じようにやっていかれる予定なのでしょうか。 ○機構 こちらについてはまた薬との併せた評価になりますので、それはそのときのケ ース・バイ・ケースで薬の審査と相談しながら適切な承認条件を課すという方向になる かと考えております。 ○土屋部会長 そのほかございませんでしょうか。それでは許先生、お願いします。 ○許委員 不具合のことについて19例中6例8件という不具合で、その中でカテーテル の移動が2例、カテーテルの閉塞が1例ということで3例です。これは不具合としては かなりの役立たずになったというものですね。この不具合の率などは海外で何千例と経 験なさっている率と比べて、我が国の臨床治験19例というのはラーニングカーブに基づ く不具合率の高さなのか、あるいは海外のデータでも同じようにこういう不具合が起こ っているのか、それからこの3例以外にあと3例どのような不具合が起こったのか、そ れをお教えいただけますでしょうか。 ○土屋部会長 では総合機構の方からお願いします。 ○機構 海外の市販後のシンクロメッドポンプとELポンプと2世代を併せて4万 9,000例のデータなのですが、その中で出てきているカテーテルに起因した不具合が全 部しっかりと集められたかどうか確認できないところもあるのですけれども、そこの発 生頻度からすると我が国の方が高くなっております。これはその臨床試験にかかわった 先生方のコメントなどを頂いたことを総合しますと、やはり注意が足りなかった部分が 多少あったと聞いております。例えば薬液の補充については、それを少しこぼすとその 後再補充をするときにすべての薬液を抜いてどれだけ使ったかを計算するわけなのです が、もし最初の部分でしっかりとした薬液の量が量れていない場合には当然再補充のと きの量も変わってきますので、使った薬液量がしっかりと量れないと。そうすることに よって薬が幾ら使われたかよく分からないという結果が実際に出てきております。また、 カテーテルの閉塞についても術後すぐに動いたことによってカテーテルの移動が起こっ てしまったり、これは海外の方ではそういった部分の注意が明確に添付文書等には書か れていないにしても、経験上知っている部分があってできていたといったものを、日本 の治験の中でもその後に導入していったことによって、最初に起こっていたそういった 不具合は現在は大分減ってきてはいます。ですので、やはりラーニングカーブというの は重要でもありますし、そこはやはりこれからしっかりと教育をしていただくことが必 要ではないかと考えております。 ○許委員 19例中3例の植え込みに関する不具合というのは頻度からいうと15〜20% になってしまうのですが、ということは植え込み手技の訓練が非常に大事になるわけで す。この前のプリマ弁の審査のときに、やはり単なる人工弁ではなくてこういう大動脈 基部を取り替えるような人工弁に関してはそれなりの資格を認定して術者を決めるべき であると私申し上げました。日本は今までもういったん承認したらだれが手術をやって もいいということでやってまいりました。場合によっては施設認定基準ぐらいがあるだ けで、術者としてはそれなりの経験を持つことは全然必要ではなかった社会なのです。 ところがこの不具合を見ると、とにかくきちんと植え込んできちんと管理すれば全くト ラブルがないのに、19例中3例もそういうテクニカルフェイリアが起こってしまうと大 きなトラブルにつながったように思います。これはやはり我が国の医者であれば何をや ってもいいという、これまでのそういう医師免許がオールマイティーの資格であるとい う考え方が非常にまずいわけです。特に医療器具においては今後やはり植え込み技術の 取得を義務付けるべきだと思うのです。ですから、これは最後のところの総合評価に再 審査とか書いてございますけれども、私はここにそういう植え込むお医者さん、特に非 常にまれなものであればあるほど例えば動物実験等である経験を積むとか、あるいは経 験を積んだ人に指導してもらうとか、そういう要件を付けるべきではないかと考えるの ですが、いかがでしょうか。 ○機構 こちら承認条件の方に、確かに先生に御審議いただいたプリマ弁の話も参考に させていただきながら、やはりこういったものは適切に術者を縛って行うことが安全使 用に欠かせないと考えておりましたことから、まず本ポンプシステムの講習を受講した 医師に限ると。そこには講習だけではなくて術者に対しては術者用の教育プログラムを 課す、それからリフィルといった内科学側のフォローをする先生方には内科用のプログ ラムを課す、また介護者、リハビリに関する先生方にはリハビリのときの注意事項とい う、それぞれの方々の立場に応じた教育プログラムを課して、その方々によってのみ用 いられるように承認条件では限定させていただいております。 ○許委員 分かりました。 ○仁田委員 先ほどの安全性に関してなのですが、ペースメーカの場合などでは何か暴 走したときには必ず固定レートに戻るとか、いわゆる退避プログラムが出ているわけで す。ですから、過少注入は一切問題ないとは思うのですけれども、過大注入でいわゆる 暴走したと判定したらすっと固定のレートに戻るとか、今回は別として将来も含めてそ ういうところを是非考えていただきたい。それからこれは重いですね。とても重くてこ のカテーテルがこんなに細いですから、恐らく体に加速がついたりとか何かということ で、先生がおっしゃるようにこの固定はかなり吟味あるいは熟練しないと大変なような 気がしていますが、どうでしょうか。今後も含めて是非…。 ○機構 今先生から御指摘いただいたことは専門協議の中でも実際に御指摘がありまし て、例えばポンプの出口のところで圧力をしっかり測れるようなセンサーが付いていれ ば、過大に注入された場合はそこで管理できるですとか、そういったことが今後の製品 開発には重要であるということで申請者の方にも伝えましたところ、申請者もその意見 を真摯に受け止めておりまして、適切な商品開発の方の意見として反映していきたいと 述べております。 ○土屋部会長 それでは上野委員、お願いします。 ○上野委員 これはMRIの検査もやっているのですけれども、私はちょっと信用でき ません。MRIで1.5テスラでこれを使用したとありますけれども、1.5テスラの磁場 だけで本当はdB/dtというのは磁場変化でエディカレントが流れます。これほど大き な装置でしたらかなりの電流がケースに流れるはずでございまして、実際はこれを埋め 込んだ患者さんはMRIは測れないはずなのです。それはちょっと疑問を持ちました。 これを埋め込んだ患者さんは本当にMRIの検査ができるのかどうか、私は少し不安で す。 ○土屋部会長 それでは総合機構の方いかがですか。 ○機構 おっしゃる点については…。 ○上野委員 00116ページです。 ○機構 確かに申請者からMRIに対する資料は付いてきまして、こちらもその資料か らOKにはしたのですけれども、添付文書の中では一応今のところの話としては1.5テ スラまでは申請者としてはデータで保証できると言っているのですが、2.0テスラ以上 については推奨できないということで、そこで止めているのが現状でございます。 ○上野委員 磁場矯正ではなくてこれはgradient磁場の時間変化によってエディカレ ントが…、それからRFコイルによるエディカレントが熱を発生します。 ○医療機器審査管理室長 これについては更に確認して分かったことを先生にフィード バックするようにしたいと思います。これは恐らく今の時点では分からないですね。 ○機構 今の時点では明確なお答えはできないと思いますので、申請者に確認した上で 添付文書の改訂など適切な対応を採るように努めたいと思います。 ○上野委員 使ってもいいですけれども、例えばMRI検査では慎重を要するとか、そ ういう文章が必要ではないでしょうか。 ○機構 分かりました。 ○医療機器審査部長 総合機構からよろしいでしょうか。添付文書については今御指摘 のMRIの関係で00029ページのところに記載されております。そちらの方を御覧いた だきますと、かなりMRIについての注意事項が書いてございます。右下の方、「3. 相互作用」の「2)併用注意(併用に注意すること)」と書いてありまして、「(1)磁気共 鳴画像撮影(1.5テスラMRI)」と記載がございますが、情報提供させていただいてお ります。その下の四角で書いた次のページにわたるところですが、この辺りで今先生か ら御指摘いただいたdB/dt関係のSARの上昇などについての注意事項の記載はさ せていただいております。 ○上野委員 分かりました。しかし、00116ページのこの影響で報告書としては非常に 不十分ですね。 ○土屋部会長 それではその報告書のことについて再確認いたしまして、それ以外につ いてはよろしいでしょうか。それでは特に御意見等ございませんでしたら、今のを確認 するということについては以後先生の方にまたコンタクトいたしますけれども、本事項 についてはそこの修正以外は原案どおりで御了承いただいたということで、差し支えな いとしてよろしいでしょうか。それでは今月17日に開催される薬事分科会において報告 いたします。ありがとうございました。  引き続き二つめの審議に入らせていただきます。本品目の審議に当たりましては、参 考人として国立国際医療センター病院手術部の目黒勉先生に御出席いただいておりま す。 ── 目黒参考人着席 ── ○土屋部会長 目黒先生、後ほどよろしくお願いいたします。それでは審議品目の概要 について事務局から簡潔な説明をお願いいたします。 ○機構 それでは審議品目及び審査の概要について総合機構より御説明いたします。資 料4でございます。本品目の審査において御意見を伺った先生は秋葉委員、小野委員、 佐中委員、重松委員、目黒委員の計5名でございます。  審査品目の概要について御説明します。本品目は透析用監視装置でございます。透析 療法の安全性の強化を目的としまして、こちらにお示ししている四点の自動化がされて おります。すなわち血液回路及び透析器のプライミング、透析開始時の脱血、透析中の 急速補液、透析終了時の返血の自動化がされているものでございます。本品は株式会社 ジェイ・エム・エスより製造承認申請がされたものでございます。  外観図をお示ししました。  本品の起源又は発見の経緯について簡単に御説明します。透析医療は透析開始時及び 終了時の短時間に集中的に人手が必要な医療であり、人為的ミスの発生する可能性が高 いと言われております。その人為的ミスの発生リスクを低減するために、本品目におい てはこちらにお示しした機能について自動化がされたものでございます。透析補助機能 の原理としましては、逆ろ過により透析液を血液回路に流入させることによる動作をプ ライミング及び急速補液、そして返血の補助動作に使用しております。また、通常の透 析器の除水の動作を脱血補助動作として応用しております。  類似医療用具との比較についてお示ししたものですが、本品は自動化された透析補助 機能を有する以外においては通常の透析装置と相違はございません。  規格及び試験方法についてはこちらにお示しした各項目について試験が行われており まして、すべて規格に適合するというデータが出ております。これについて総合機構は 了承しております。  安定性については使用している原材料すべてが使用前例のあるものであることから、 試験の実施を省略しております。それについては総合機構は了承しております。  電気的安全性についてですが、こちらにお示ししたJIS T0601-1及び透析型人工腎臓 装置承認基準に基づいて多試験が行われておりまして、すべての規格において適合する という結果が出ております。審査においては本品が補助電源ソケット、すなわちサービ スコンセントを有していることからその安全性について、それから停電時に本品が機能 するかどうかについて説明を求めております。サービスコンセントについては申請者よ り本品の主要機能ではないということから、医療現場で接続される機器を特定すること は困難であるということで除くとしております。また、停電時の操作においてもオプシ ョンとされていたバッテリーは標準装備にするということで、バッテリー切替え時にも 不具合がないということを確認しております。  生物学的安全性については使用前例のあるものであり、了承しております。  性能についてはプライミング洗浄度の確認試験、それから透析操作補助機能の確認試 験を行っております。論点としましては、人を対象として検討できない事故時の安全性 を確保するために非臨床試験を求めました。それに対してイヌを用いた試験を行ってお りまして、すべてにおいて安全機能が作動することが確認されております。  本品目は当初臨床試験を省略して申請されてまいりましたが、本品は多施設で従来の 透析器と並行して使用されることが想定されることから、臨床試験の実施を求めました。 臨床試験においては本品の受容性、臨床における有効性及び安全性の確認を行うことを 目的として、5施設46名で3期間に分けて従来の透析器との比較の臨床試験を行ってお ります。  臨床試験の結果では有効性としてプライミング洗浄度と透析操作補助機能、それから 水質データの評価を行い、すべてにおいて既存品と同等以上の結果が出ているというこ とと、安全性においてはすべての症例で不具合は認められていないという結果が出てお ります。  臨床試験において本品は逆ろ過透析液を利用していることから、使う水の品質につい ては別品目に依存していることについて申請者の見解を求めました。それに対して申請 者は、既に逆ろ過透析液を利用するような血液浄化療法がガンブロ社の既存品でござい ますことから、日本透析医学会より提示された、ここに示しました水の基準を守ってい る限り本品は安全に使用できるだろうという回答が得られております。  また臨床試験においては不具合やトラブルの発生が認められなかったことから、市販 後に多くの施設で症例を集めることを計画するように指示しました。その結果申請者よ り、市販後の使用成績調査は500症例を対象として、1施設当たりの症例数を連続10 例として50施設で調査を行うという回答が得られております。これについては総合機構 は了承しております。したがって、本品については水の安全性の確保と教育訓練が重要 だと考えておりまして、ここにお示しした承認条件を付した上で承認して差し支えない と判断しております。  総合評価としては使用目的をこのようにするということで、承認して差し支えないと 考えております。本品は新性能医療用具であることから再審査期間は3年とし、生物由 来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。以上でございます。 ○土屋部会長 ありがとうございました。それでは参考人の目黒先生、本品目について の御意見をお願いいたします。 ○目黒参考人 若干の補足意見を述べさせてもらいたいと思いますけれども、要するに プライミング時の労働集約的な忙しい部分について現場の立場からということで話させ てもらいます。透析の場合には基本的に1人の患者さんを行うというわけではなくて、 やはり多人数の場合が一般的です。そのような場合にやはり導入時に患者さんの血行動 態等が不安定になったようなときには、どうしてもそこの患者さんに対して人が集中し てしまうということもあります。となると、ほかのことへの注意が散漫になってしまう こともあります。  それから一般的に透析の流れでありますけれども、機械を準備し回路をセットし、そ れから並行して患者さんが来られて体重を量ったりバイタルサインをとったりと、多人 数で同時進行して行われるようなことが非常に忙しくなる点であります。忙しくなると その時点でいろいろな、例えば回路接続上の問題、それから回路セット上の間違いが起 こってしまったりということが非常にリスクが高いというゆえんであります。また、場 合によっては回路が壊れていたり、あるいはダイアライザーと言われる透析装置が壊れ ることもあります。そういう場合にはまた別途いろいろな対応をしなくてはいけないと。 そういうときに非常に大変であるということであります。そのような場合に本製品のよ うな自動的にプライミングしてくれるような装置があると、比較的その回路充てんに関 する時間を仕事業務として振り分けることができる、有効に使うことができるというふ うになります。  もう一点重要なところでは、透析液そのものを患者さんの方に実際に投入することに なります。これについては従来透析液、通常例えば血圧が下がったり具合が悪くなった ような場合に補液として使うようなものとしては、生理食塩水を持ってきて点滴回路に つなげて入れるなどという操作がありますが、この装置の場合には膜を隔ててすぐそば に透析液があるわけですけれども、それを利用してすぐに補液として使うことができる というメリットがあります。  それともう一点は、プライミング時に透析液を使用するわけなのですけれども、プラ イミングのときにもやはり洗浄液としては一般的に生理食塩水等を使いますが、それを この透析液を使うことによって行うというメリットもまたあると思います。実際に人工 心肺等を用いて手術をやったりするような場合に、腎臓の悪い患者さんようなときには やはり生理食塩水だけだと浮腫が起きてきたり、あるいは水が引きにくい、透析しにく いような状況が起こりますけれども、透析液の場合には一般的に必要な電解質、ナトリ ウムやカリウム、それからブドウ糖、糖なども含まれておりますので、人工心肺操作の ときの透析などの場合には比較的多用されていて、通常の生理食塩水を使うよりは結果 がいいようなことが報告されています。ですので、基本的には水がきれいにされている 状況がきちんと守られている、要するにここに書かれているような水質基準をきちんと 守って点検がしっかりと行われているようであれば、この機械はある意味で非常に有用 であるのかなという感じがいたしております。臨床試験でもそのように従来の透析と問 題ないということでありますので、これが私の参考人としての意見になります。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。引き続きまして事務局の方から説明を お願いします。 ○事務局 本日休憩時間中に資料4-3といたしましてA4一枚紙で追加承認条件の案を お配りしておりますが、これは事務局より以下に申し上げるような理由において追加さ せていただこうと考えているものでございます。追加を考えておりますのは市販後6か 月間に新規に導入する医療機関において、導入後1か月間の全症例を対象として安全性 に関する情報を重点的に収集することというものでございます。  その理由でございますが、本品は一部自動化されているということと、透析医療とい う性質上一般病院等への普及が広く考えられることから、販売開始直後に重点的にこう いった安全性情報を検出感度よくリアルタイムで収集するということが、何かもし不具 合等が生じた場合の保健衛生上の被害の拡大をいち早く防止するという安全性上の意味 でも重要ということで、これを付けさせていただこうと考えている次第です。1か月間 という期間でございますが、通常初期故障等がこの1か月間に多発いたしますので、そ ういった情報も含めて1か月間という期間を考えております。  それから、この追加条件については審査報告書に記載している市販後の使用成績調査 500例とは別にあるものでございますが、使用成績調査ほど厳密に詳細な情報を集める というものではなくて、先ほど申し上げた検出感度よく初期の段階の操作ミスや初期故 障の情報をいち早く検出するということが一番重要な目的で、そういった意味では非常 に詳細な調査ということを念頭に置いているものではございませんので、調査の負担に ついても軽いものであると考えております。以上です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは今までの説明に対しまして御 質問、御意見等ございませんでしょうか。許先生、どうぞ。 ○許委員 この装置は透析の開始時と終了時の人為的ミスの発生を低下させるというこ とが主な目的でございますね。その人為的ミスというのは実際に我が国でどれぐらいの 頻度で起こっているのかということと、これを導入することによってその人為的ミスを どの程度減少させることが期待されるのか、こういうことをお聞きしたいと思います。 私はどちらかというとこれは人手の省力化に役立つのではないかと、そのように単純に 考えた方がとても易しく理解できるように思うのですけれども、そういうリスクに対す る低減ということをうたっておられるので、そのデータが実際にあるのかどうか、これ が第一点でございます。  それから第二点は、先ほど目黒参考人から回路とかいろいろな部分が壊れている場合 もあると。そういう場合は、人がプライミングすればそのディスポ回路のそういうひび 割れだとか壊れ、ちょっとした漏れなどが分かると思うのですけれども、これを自動的 にプライミングする機械にやらせると逆にそういうことの発見が遅れるのではないか と。そういう意味では逆に人が関与する度合いが少なくなって自動化すればするほど、 ディスポ回路などに問題があったときに発見が遅れ、そういうトラブルを増やす可能性 すらあるのではないかと、そのように危惧するのですけれども、その点はいかがでしょ うか。 ── 仁田委員退席 ── ○土屋部会長 それでは総合機構の方からお願いします。 ○機構 まず第一点目のリスクの低減化についてのデータということですが、実際には これを導入することによってリスクがどれほど低減化できるかというところの詳細なデ ータは得られていないです。 ○許委員 自治体の方でこれまで調査をやっていますね。開始時と終了時にどれぐらい ヒヤリ・ハット並びに明確な事故が起こっているのですか。 ○土屋部会長 目黒先生、お願いします。 ○目黒参考人 すみません、今手元に資料がなくて具体的な数値は答えられないのが現 状です。あと先生がおっしゃった、要するに自動的にプライミングしたりすると回路の 故障などが分かりにくいという点がありましたけれども、基本的には機械の方に例えば 漏れとかそういうチェックが装備されているものというのは現在も余りないのかもしれ ないですが、それはやはり先生の言われるとおりかもしれません。ただ、発生頻度とし てはそれほど数が多いものではないので、今後はその辺も含めた機械開発の方を期待す るとしか言いようがないのかもしれません。よろしいでしょうか。 ○機構 ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。二番目の回路が壊れてい るとかそういうところについて、この全自動によってより発見が遅れるのではないかと いう御意見だと思いますが、本品についてはそのような事故もすべて想定された上で、 何か異常があったときにはアラームや表示等も含めて検出するような機能を備えており ます。性能試験においてもイヌを用いて種々の想定されるような事故を人為的に作って、 それで作動することを確認しております。ですので、発見が遅れるということは考えて はいないです。 ○許委員 ありがとうございました。 ○医療機器審査管理室長 今許先生が御指摘のようなことに対しては、実は後から資料 4-3で付け加えた承認条件は恐らくそういう想定しないような事態が使用直後にいろい ろと出てくるだろうと。そのフィードバックによって、いわば審査の段階では正直言い ましてゴールデンデータと言いましょうか、かなりきれいなデータが出ているものです から、そういう事故のようなデータについては市販直後に重点的に安全性情報を収集す るという中で、できるだけ早期に検出してまた対応するということを実は想定させてい ただいて、この条件を総合機構の審査条件に加えて考えた次第でございます。 ○目黒参考人 今の許先生のお話で、機構の方でお答えしたのは機械が持っている性能 上でとらえ得るトラブルということだと思うのですが、それ以外のことが現場ではいろ いろ起こり得るかとは思うのですけれども、それに関しては当然慣れた人の目が見てい た方がいい部分もあるとは思います。以上です。 ○土屋部会長 厚生労働省の方から承認条件を付加させて従来よりも慎重にスタートさ せるということでございますので、いかがでしょうか。御了承いただいたものとしてよ ろしいでしょうか。頻度のことについては後ほど担当者から先生の方に御説明いたした いと思いますので、御了承お願いいたします。それでは審議事項のJMS透析用コンソ ールについては、本部会として本品目を原案どおり承認して差し支えないものとし、今 月17日に開催される薬事分科会で報告させていただきます。どうもありがとうございま した。それでは目黒先生、本日はお忙しい中御出席いただきありがとうございました。 これで本審議は終了させていただきます。それでは報告事項について引き続きお願いし ます。 ── 目黒参考人退席 ── ○事務局 平成16年11月1日から今年の1月31日に承認された1品目について、医薬 品医療機器総合機構の方から御説明いたします。 ○機構 資料5-1を御覧ください。1品目でございますが、ジーイー横河メディカルシ ステム株式会社から「シグナ EXCITE 3.0T」というMRIが承認されております。本品 は静磁場強度が3テスラの全身用MRI装置でございまして、既に3テスラのものは既 承認で頭部専用のものがございましたが、それを全身に適用できるように改造したもの でございます。以上でございます。 ○土屋部会長 御質問等ございませんでしょうか。それでは本日の審議、報告事項は以 上でございます。連絡事項はございますでしょうか。 ○事務局 ございません。 ○土屋部会長 それでは医療機器・体外診断薬部会を終了させていただきます。本日は 長時間ありがとうございました。 ──― これより医療材料部会 ―── ○医療機器審査管理室長 それでは誠に恐縮でございますけれども、引き続きまして医 療材料部会の方に入らせていただきたいと思いますので、医療材料部会の先生方におか れましては御着席のほどお願い申し上げます。 ── 越後参考人着席 ── ○医療機器審査管理室長 本日はASD閉鎖セットに関する参考人として、国立循環器 病センターの越後茂之先生に御出席いただいております。よろしくお願い申し上げます。  本日は医療材料部会委員18名の先生のうち11名に御出席いただいておりますので、 定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。また、本日の審議品目に関しては 資料作成に関与された委員がいらっしゃらないことも併せて報告申し上げます。それで は土屋先生、よろしくお願い申し上げます。 ○土屋部会長 それでは議題に入る前にまず資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 医療材料部会の方ですが、事前に送付した資料6-1のほかに当日配付資料と して今お配りしておりますが、パワーポイントの資料と部会報告品目の合計3種類にな ります。以上です。 ○土屋部会長 それでは引き続きまして、医療用具ASD閉鎖セットの生物由来製品又 は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否及び再審査期間の指定について、そ の審議品目の概要の説明をお願いいたします。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料6を御覧ください。本 品の審査においては医薬品医療機器審査センター及び医薬品医療機器総合機構での審査 に当たり、御覧のように越後委員、小田委員、川田委員、土屋委員の4名の専門委員の 御意見を頂きました。  本品の概略についてお示しいたします。本品は先天性心疾患であります心房中隔欠損 症の欠損孔を経皮的にカテーテルで閉鎖する医療用具でございます。本品は欠損孔の閉 鎖に用いるセプタルオクルーダーと欠損部位まで移送するデリバリーシステム、及び欠 損孔の大きさを測定するサイジングバルーンから構成されております。  本申請品目の外観写真をお示しいたします。本品は見本を御用意いたしまして現在回 させていただいているので御覧ください。図上が心房中隔欠損の欠損孔に留置されるセ プタルオクルーダー、下左がセプタルオクルーダーを留置位置まで運搬するカテーテル、 右が欠損孔の大きさを測定するサイジングバルーンでございます。  開発の経緯をお示します。心房中隔欠損は両心房を隔てる心房中隔が欠損し、左房と 右房の間に短絡が生じる疾患でございます。従来心房中隔欠損については外科的に治療 されておりましたが、右心房切開を伴う手術でございますので、技術の向上に伴い死亡 例も1%程度まで減少してはいるものの、侵襲性の高い手術でありますことから低侵襲 性の治療機器の開発が待ち望まれており、本品の開発につながっております。  本品の海外での承認状況及び不具合についてまとめております。本品は米国で平成13 年12月に承認されたのを始め、世界47か国で使用されておりまして、米国における年 間使用量は3,600個でございます。海外における不具合で最も多いのがセプタルオクル ーダーのゆがみでございまして、これはデリバリーカテーテル内に装着されている段階 で、外からの強い力がかかることにより生じると考えられているものでございます。こ れについては留置中にゆがみが発見された場合には、留置を継続せずすぐにデリバリー システム内に再格納し、再留置を試みることを添付文書に記載するとともに、ゆがみを 生じたままでは本品を絶対離脱してはいけないと注意喚起することとしております。  本品の物理的化学的試験としてはこちらにお示ししますような試験が行われました。  本品の臨床使用における腐食性についてでございますが、本品は体内に数十年にわた り留置されるものでございますので、ニッケルチタン合金の生体内での腐食は大きな問 題と想定されることから、臨床使用における腐食性について説明を求めました。ニチノ ール検体を用いた生体条件下における本合金の腐食耐性がステンレスよりも優れていた こと、拍動負荷をかけた耐久試験においても孔食の兆候は見られないこと、異種金属接 触による腐食試験においても腐食が観察されていないこと、さらにニッケル溶出試験に おいて既存のニッケルチタン合金と比べ遜色のない結果が出ているなどから、本品に使 用されたニッケルチタン合金は腐食性に問題のあるものではなく、生体へのリスクは許 容範囲にあるとする申請者の回答を妥当なものと了承いたしました。  本品の構造・原理に関する試験はこちらにお示しする試験が行われ、いずれも適合す るとする成績が提出され了承いたしました。  また、規格試験についてはこちらにお示しする試験が設定されております。  安定性についてはセプタルオクルーダーを用いた実時間保存の試験成績及び加速試 験、またサイジングバルーン及びデリバリーシステムについては加速試験の成績が出て おります。これらの成績から滅菌後の有効期間は3年としております。  本品に関する生物学的安全性試験はそれぞれの構成品ごとに実施されて成績が提出さ れております。エンドパッチ部の埋植試験を除きましていずれも問題はないとする成績 が提出されております。エンドパッチ部の埋植試験では中等度の陽性が認められました。 しかし、本試験がエンドパッチ部の原材料のポリエステル片で行われ、その試験片自身 の摩擦により炎症が遷延化した可能性が否定できないことなどから、試験条件によるも のであるとの考察がされております。また、ガイドラインどおりではありませんが、よ り臨床使用に近いブタの心房中隔に本品を留置した試験においては、3か月の時点で炎 症を疑わせる病理所見は得られていないことから、添付文書で注意喚起を行った上で以 上の回答を了承いたしました。  本品の機械的性能については添付資料ロ項の構造・原理に関する試験として提出され たセプタルオクルーダー部の製品完全性試験、耐久性試験等によって十分に担保されて いると考えられることから、性能に関する試験成績は添付が省略されております。  海外の臨床試験についてです。外科修復群155例、治験用具群459例、計614例の患 者さんを対象に30施設において多施設共同非無作為化試験が行われました。主要評価項 目については有効性において12か月の閉鎖成功率、安全性については本品による心房中 隔欠損に関連した主要合併症の発症率及び死亡率となっております。こちらに副次的評 価項目を含めすべての評価項目について列挙しております。  こちらにその臨床試験成績を一覧でお示しいたします。主要評価項目である主要有効 性評価項目の12か月目の閉鎖成功率については両群において有意な差が認められなか ったことから、本治験用具の有効性は外科治療に匹敵することが推察されました。また、 開発のコンセプトでもある安全性の向上については主要合併症の発症率が外科群に比べ 有意に低かったことから、安全性については向上しているものと考えられました。  次に海外の臨床試験成績を補完する目的で国内の臨床試験が行われました。米国治験 とほぼ同じ対象患者を用い、2施設34症例のオープン試験が行われました。こちらにそ の成績をお示しいたします。有効性評価項目である完全閉鎖については、こちらにお示 しするように海外治験同様十分な閉鎖が得られております。また、安全性評価について はいずれも問題がないとする成績が確認されております。この国内治験に加え海外臨床 試験の成績から本品の臨床使用上の有効性、安全性が担保されたとする申請者の説明を 総合機構は了承いたしました。  本品は既に普及している米国においても年間□,□例程度しか使用されていないこと を見ても御理解されますように症例数が限られていることから、使用成績調査について は全数調査を行うこと、また長期フォローアップが必要と考えられることから、留置後 5年間のフォローアップを課すことといたしました。また、本品は技術の習熟が不可欠 であること、緊急時の対応、本品の適正使用を考えると、厳格な施設基準が必要と考え られたことから、二つ目の承認基準を課すことといたしました。また、本品を使用する 医師が患者の選択から本品留置の手技まで十分に習熟していることが求められることか ら、三番目の承認条件として教育プログラムの受講を承認条件として課すことといたし ました。  まとめますと、本品はこちらにお示しする使用目的で承認することが妥当であると総 合機構は判断いたしました。また、本品は新性能医療用具でございますので、再審査期 間は3年が適当であると考えております。なお、生物由来製品又は特定生物由来製品の 該当性については非該当と考えております。  ここで本品目に関して事前に頂いたコメントについて紹介させていただきます。まず 笠貫委員から頂いたコメントでございます。「本経皮的心房中隔欠損の閉鎖器具は米国 における多施設共同非無作為化試験の結果、さらに我が国のオープン試験の成績から見 て承認は妥当と考えられる。しかし、承認に当たっては下記の点について検討が必要と 考えられる」と題しまして、三点の御指摘を頂きました。  一点目としまして、軽微な短絡がある場合に奇異性塞栓又は心房調律異常といった臨 床症状を持つことという項目があるのですが、その項について検討が必要であると。心 房調律の定義と本邦の適応たる根拠その成績をお示しくださいということでございま す。こちらについては先生の御指摘は非常にもっともでございまして、軽微な短絡があ る患者さんに対する本品の治療についてはまだ十分な症例がなく、コンセンサスが得ら れていないのが現状と伺っております。したがいまして、本品の適応患者の選択につい ては慎重に行うことが重要であると考えられることから、適応基準に合致する場合であ っても、原疾患によるリスクが本品の留置に伴うリスクを上回る場合にのみ使用するこ とといった内容の注意喚起を添付文書に記載することとしたいと考えております。それ に加えて、軽微な短絡を有する患者に本品を留置する場合には、当該患者に本品を使用 することによって生じるリスクとベネフィット及び使用しない場合に生じるリスクを十 分に説明した上で、同意が得られた患者にのみ留置がされるように指導していきたいと 考えております。ただし、本品を使用する医師については講習、教育プログラムを受講 し、十分な経験、技術を有している医師に限られております。したがいまして、本品の 適応患者の判断については医師によって十分できると考えておりますので、そのように 対応させていただければと考えております。  続きまして、二点目に頂いたコメントが承認条件に課せられている施設基準でござい ます。時間の関係で少し割愛しながら御説明させていただきたいと思いますが、その施 設基準については厳格にすべきであるという御指摘を受けました。それについては開心 術は何症例であるとか、そういったそれぞれの症例数等をしっかりと決めた上で施設基 準を決めた方がよろしいのではないでしょうかという御指摘を受けました。これについ ては日本Pediatric Interventional Cardiology研究会(JPIC)の方で施設基準を明 確に、例えば開心術ですと先天性心疾患の開心術が50例以上というような施設に限る、 さらには先天性心疾患でのカテーテルインターベンションが年間50例以上といった具 体的な数値の基準を設けることによって、厳しい施設基準を課すことを予定しておりま す。  三点目としまして再審査に関する御指摘を受けました。これについては特に評価シス テム、企業主導の再審査である使用成績調査と比べて、また医師主導のそういった再審 査といいますか、使用成績調査、いわゆる医師主導のレジストリー試験のようなものが 重要ではないかという御指摘を受けました。こちらについては我々もその御指摘はもっ ともだと考えておりますので、今後も継続的に学会等と連携しながら進めていけるよう に検討したいと考えております。  続きまして橋本久邦委員から四点のコメントを頂きました。一点目は先ほどの笠貫委 員からも御指摘のありました承認条件の医療機関の施設基準についてですが、こちらに ついては先ほどの説明のとおり適切に限定するといいますか、施設の数字を決めて基準 を設けております。  二点目に、本品がニチノールで構成されていることでニッケルのアレルギー性若しく は発がん性について懸念され、それについて本品は長期間生体内に留置されますので、 その安全性が懸念されるがいかがかといった御指摘を受けました。こちらについてはや はりニッケルについては金属アレルギーが知られておりますが、本品と同様の使用部位 における多数の使用前例があること、また本合金については耐腐食性がステンレスより も優れておりますし溶出量も限られていることから、本品においては特段に危険である とは考えておりません。ただし、ニッケルアレルギーについては避けられない問題でご ざいますので、ほかのニッケル含有製品と同じように添付文書において注意喚起するこ とと考えております。なお、こちらと同じ合金を使った別の用具なのですが、そちらを 血中に留置した成績が報告されておりまして、そちらの中では溶出量は極めて少なく、 血中にそもそも存在しているニッケル量よりも少ないぐらいの溶出量しかなかったとい うことから、特に本品において血中に溶出する可能性が高い合金ではないという成績が 示されております。  続きまして三点目の御指摘なのですけれども、臨床試験の観察期間が術後12か月とな っていますが、その設定根拠が何か。それから本品は恒久的に生体内に留置されるデバ イスであることを考慮すれば、本品を承認するに当たりより長期間の安全性の担保が求 められると考えるが、いかがかという御指摘を受けました。確かにこの長期的な担保と いうのは本品においては特に重要な問題であることは間違いございませんが、やはり承 認審査の性格上臨床試験で長期フォローアップを行うのは非常に難しい問題でございま す。したがいまして、この長期の安全性についてはまず非臨床試験、臨床試験の成績か ら類推せざるを得ないと考えております。本品について物理的化学的な耐久性に加えて 速やかに内皮化される、これは3か月で内皮化されるというのが動物実験で確かめられ ているわけですが、そういった成績などからその倍を見ても個人差を考慮しても6か月 ぐらいでは必ず内皮形成を行っていて、それほど危ない状態にはなっていないだろうと 企業は考察しております。これに加えて我々としては使用成績調査の3年間に収集した 全症例について、5年間の追加フォローアップを課すということで対応していきたいと 考えております。  四点目としまして、心内膜炎予防のための投与について具体的な方針といったものが あるのかということを御指摘いただきました。心内膜炎についてはAmerican Heart Associationの方からリコメンデーションがございます。そちらの方を基本的に遵守し ていただくことを考えておりますが、やはりもう既に各医療機関においてそれぞれのレ ジメンで行われていると思いますので、基本的には心内膜炎に関しては各医療機関にゆ だねることといたしますけれども、講習会等ではこのAHAに基づいたリコメンデーシ ョンを推奨することとしたいと考えております。  最後に牧野委員からのコメントを御紹介させていただきます。経皮的心房中隔欠損閉 鎖器具であるASD閉鎖セットは総合評価において外科的閉鎖術と同等であり、低侵襲 であるメリットからも導入を可としたいが、留置後の不整脈の発症は十分注意を要する。 承認の際は不整脈発症の予防、不整脈発症時の迅速処置の徹底、挿入技術の習熟の際に 不整脈発症の対応についても研修することを必須とするなど、何らかの条件を課すべき と思われますという御指摘を頂きました。こちらについてももっともな御指摘と思いま すので、講習会において対応したいと考えております。以上です。御審議のほどよろし くお願いいたします。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは参考人の越後先生、本品目の 御意見等をお願いいたします。 ○越後参考人 今お話しされたとおりで私が付け加えたいことは、このデバイスはほと んどの先進国で既に承認されているということ。アジアにおいても韓国、中国、台湾、 マレーシア、シンガポール、タイ、インド、パキスタンで既に使用されて、中進国以上 の国では日本を除いてほとんど施行されているものであるということ。また患者側から も、開心術を行わないで心房中隔欠損が閉鎖できればどれほどよいかといった要望が非 常に強いということであります。  また、先ほど出ました日本Pediatric Interventional Cardiology研究会の中で施設 基準あるいは教育プログラムをきちんとやっていくことができるのではないかというお 話でしたが、この研究会はJPICといいますけれども、1990年に発足した日本小児循 環器学会の分科会でして、小児に対するカテーテルインターベンションを行っている施 設のドクターはほぼ100%この会に参加していると考えております。また、既にこの10 年間日本における小児に対するカテーテルインターベンションの施行実績調査を継続し て行っていまして、この調査も恐らく90数%以上の回収率できちんとしたデータを毎年 公表しております。  したがいまして、笠貫先生の方から御指摘のあったきちんとした医師の主導によるレ ジストリーもやはりやるべきではないかというお話について、過去の実績からしました ら十分可能であると思いますし、また安全に重点を置いた小児カテーテルインターベン ションの普及がこの研究会の一番大きな目的ですので、御指摘のあったことを是非実施 してより安全なカテーテルインターベンションの普及に努めていきたいと思います。御 指摘のあったことは、企業サイドで行う市販後調査というのはどうしても大きなアクシ デントといったことに重点が置かれる傾向がありますので、我々はそれに至るまでの軽 度のイベントも含めた実態を把握しまして、このオクルーダーが使用されましたら施行 施設にきちんとした情報を流して、より安全に実施できるように努めていきたいと思い ます。以上です。 ○土屋部会長 ありがとうございました。それではこれまでの御説明に対して御意見等 ございませんでしょうか。 ○北村委員 最小可能年齢は何歳ぐらいを考えていますか。 ○越後参考人 やはり1歳以上でないとちょっとやるべきではないと考えております。 今まで世界でされた最小体重は7kgなのですが、やはりこれはちょっと無理した体重で はないかと。特に心不全が非常に初期の段階から出てこないような症例でありましたら、 できたら13kgぐらい欲しいと思いますので3歳以上、最低といいましたらやはり1歳以 上と考えております。 ○北村委員 器具から見た総合評価のところですが、先ほどの施設や適応についてガイ ドラインのようなものを作るのはいつの時点になりますか。承認したら同時に出るので しょうか。 ○越後参考人 このことについて、もし承認された場合どういった施設基準が必要かと いうことをJPICの幹事会でディスカッションしまして、今考えておりますのは先天 性心疾患に対するカテーテルインターベンションの年間施行症例が50症例以上という こと、それから経食道心エコーモニタリングに必要な体制が整備されていて、先天性心 疾患に対する経食道心エコーへの年間施行実績が50症例以上であるということ、これは 我々のところで決めた数字です。それからもう一つ、デバイスが脱落したときにほとん どはカテーテルで回収することが可能なのですが、もしそれを外科的に回収しなければ ならない場合のことを考えまして、心臓血管外科の医師が常勤していて先天性心疾患の 開心術の年間施行実績が50症例以上であるということも必要な基準だと考えます。最後 に心臓カテーテル室で麻酔科による全身麻酔の管理が可能であるということ。この四点 が施設基準であると考えていますが、先ほど言いましたようにカテーテルインターベン ションと経食道心エコーモニタリングについてはJPICの幹事会で考えている数字な のですが、心臓血管外科の医師が常勤していて先天性心疾患に対する開心術が50症例以 上ということについては、循環器病研究委託費の八木原班が2年前からありまして、小 児の侵襲的な治療に対する安全に関する研究班なのです。ここにこの意見を聴きますと、 そういったデバイスがもし脱落した場合回収するには、年間50症例以上の実績がある施 設に限定すべきだという意見がありましたので、これは我々の意見ではありませんが、 八木原班の中の委員の合意がそういった値でしたので、50症例ということにしておりま す。つまり、おおよそ週1例以上の先天性心疾患に対するカテーテルインターベンショ ンを行っている、週1例以上の経食道心エコー検査を行っている、また先天性心疾患に 対する開心術が週1例以上あるというふうに考えていただいたらよろしいのではないか と思います。 ○北村委員 先天性に限ると50という症例は主に子供病院に入ってしまう可能性があ るけれども、これは一番適応のいいのは大人のASDでしょう。そうなると先天性50 例と限ると施設は非常に厳しくなる…、開心術50例ですか。 ○越後参考人 これは先天性心疾患の開心術と限定しないと、いざというときオリエン テーションが非常に難しいのではないかというのが八木原班の意見だったのです。した がって、外科のエキスパートが集まっているところですから、我々はやはり先天性心疾 患の開心術に限るべきだというその意見を取り入れてこういたしました。大体今年間50 症例以上ある施設は…。 ○北村委員 ということは、これは学会で決められるのですか。ではここで余り議論し ても仕方ないことなのか、薬事承認とその基準ということはどの時点でかみ合わせて、 それは学会にお任せされるのか。 ○医療機器審査管理室長 今考えておりますところは添付文書(案)の51ページ冒頭の ところで「警告」という赤枠の中の、学会にお作りいただくガイドラインを引用する形 で企業がやるべき注意喚起の内容です。したがいまして、この考え方ですと内容につい ては例数は学会で妥当と決めていただいたものについて、それを企業に守っていただく ためにはある程度薬事法の拘束がある形でやるという仕組みを考えております。 ○北村委員 ASDについては大人のASDが結構ありまして、これはどこで受診して いるかというと大人の手術を中心にしているところでも結構ある病気なのです。ですか ら、そこを子供の病院に移動させないとこれを使えないという形に持っていくのが得策 かどうかということは、ちょっといろいろな議論が学会の方でもあるという気はするの です。そこらのところをどの時点でどう整合するのかを、心臓外科の方からも相談して いただければ有り難いとは思いますが。先天性だけの部分に限るのに大人のASDとい うのは結構全国のいろいろな施設に散らばってありますし、子供病院でないとほとんど できないという形のカテーテル操作にするのか、どちらがいいのかちょっと私も今判断 できかねる点もありますけれども、そこを学会で議論した方がいいのかもしれません。 ○土屋部会長 それでは総合機構からお願いします。 ○機構 審査の立場からこの点について実際に先天性心疾患に限った形でお願いをした 理由としましては、先ほど越後先生から御説明がありましたように、やはり大人と子供 を比べて大人のASDに使う方が開心術等において恐らくリスクが違うだろうとか、イ ンターベンションにしても体の小さい方に使うというのはやはりリスクが高いだろう と。それで大人と子供と完全に分けた形でということでは議論しませんけれども、やは り最初この導入時においては慎重に導入すべきという意見が専門委員を中心として強か ったものですから、難しいところですのでそういった先天性心疾患に限るという形でお 願いさせていただいたところでもございます。とはいいましても、限られてくる施設の 中には子供病院に限らず、大人の方も一緒に入っているような大学病院的なところも十 分に入ってくると試算段階でお伺いしていますので、必ずしも小児専門病院に限られる ということではないと私たちは理解して、このようにお願いしたところでございます。 ○北村委員 ただ先天性50例と限ると大学はかなり難しいです。もちろん幾つかはあり ます。しかし、各府県の大学ではたくさんできないところがあると。その辺をどう考え るか、スタートラインはこれで行くと、それはそうなのかもしれませんが、その辺りが 人によって意見が違うかもしれません。 ○許委員 今小児のASDのアナトミーを熟知すると、越後先生がおっしゃられました。 これはカテーテルインターベンションが50例という基準で担保されています。今心臓外 科に課されるこの手技に関する役割は何かというと、緊急の場合に体外循環を回してデ バイスを取り出す、これだけです。それは子供の複雑心奇形の手術をやっていようがや っていまいが関係ないです。通常の心臓手術が子供を含めてできれば、何かあったとき にデバイスを取り出してあげる、これは心臓手術の基本手技のようなものですから、心 臓外科手術を先天性で50やらなければ緊急に対応できないということはあり得ないの です。むしろ逆に週1回の手術などをやっているところで本当に24時間いつでも緊急に 手術できるのかといったら対応できないのではないでしょうか。50例の子供の開心術だ けやっている施設で例えば大人にこの治療をおやりになって、こども病院の心臓外科医 に大人のASDをすぐに閉じてくれと送られてきて手術する場合が生じたとします。そ ういうときに、やはり大人の心臓外科手術の体外循環回路だとかいろいろなシステムが 整っていない。そういうときに逆にリスクが上がります。私はエマージェンシーの状況 でカテーテルインターベンションのバックアップする外科手術症例は50例では全く足 りない、これは本当に大人も子供も含めて100例以上必要と思っているのです。今度北 村先生が専門医認定機構のところでやはり専門医の認定施設で100例と認定されました ね。私はやはり手術でも特に起こるか起こらないか分からないけれども、いつか起こっ たときにすぐ消防車が出動して適切な対処をできる態勢を整える、子供の症例が50例と いう規定は全くナンセンスだと思います。子供も大人も含めて少なくとも100例以上の 基準を作るべきであって、それは今日心臓血管外科専門医の認定施設の基準も今度100 例になりますので、その100例に合わせるべきであります。子供に限定するのは逆にリ スクを上げると思います。それは私のコメントです。  二つ目は全然関係ないのですけれども、適応基準と適応除外基準の中で例えばASD に加えて他に合併の疾患があるものは多分除外した方がいいと思うのです。適応除外の 基準にそういうことが書いていないといけないと思います。例えば僧帽弁逆流が2度以 上ある、三尖弁逆流が2度以上ある、手術ならばそれらが同時に修復できるのですけれ ども、カテーテルインターベンションの人はMR、TRを2度ぐらいだったら残してお いて、まずASDだけやりたいところだけやろうかという人が出ないとも限らないです。 大人のカテーテルインターベンションの領域ではではそういう人が非常に多いです。冠 動脈疾患があって僧帽弁膜症がある場合、冠動脈疾患のPTCAだけやっておいて、そ れが終わってから弁膜症を手術してくださいという人もいます。私はこれはやはり適応 基準の中に単純な二次孔欠損のASDに限り他の合併症は含まない、合併心病変は含ま ないと明瞭に記載した方がよろしいかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○土屋部会長 それではまず室長からお願いします。 ○医療機器審査管理室長 まず最初の学会のガイドラインに関してですけれども、薬事 法の承認といたしましては学会のガイドラインを引用するような形で行きたいと思いま すが、その内容についてはまた学会の方でもし可能であれば妥当なところでお詰めいた だいたものを引用するような形でお願いしたいと考えております。 ── 北村委員退席 ── ○審査管理課長 いずれにしましても薬事法上の承認は企業に対して課されるというも ので、医療機関の中に直接課されるというものではございません。 ○土屋部会長 ということで、対象患者については学会の基準を引用するということで、 その辺りの調整が…。 ○医療機器審査管理室長 今のは施設基準のことでございます。 ○土屋部会長 施設基準ができるのではないかと思います。 ○許委員 ですから、今JPICでとおっしゃいますけれども、これは外科手術なども バックアップとしてこの治療に関与するならば、JPICだけでお決めになるのはいか がなものかという意見でございます。 ○土屋部会長 いかがでしょうか。 ○笠貫委員 内科の立場で言いますと、JPICだけで決められるものかどうかという のは少し疑問があると思うのです。先天性心疾患といっても小児と大人、また高齢者も 含めて幅が広いということがあります。それから、この施設基準を決めるに当たっては 日本でどのように地域性があるかということも非常に大事な問題で、多分今の施設基準 でいきますと日本で五つか六つぐらいしかないという地域の問題が出てきます。そうし ますと、低侵襲で非常にニーズが高い新しい治療を全国の患者さんにどのように地域性 をもって健全な普及を図るべきかを考えたときに、今の先天性心疾患50症例というのは 厳しいかもしれないと思います。そういう意味でJPICだけではなく心臓血管外科学 会も含めて広く御検討いただけたらと思います。  先ほど私の意見も出されましたけれども、低侵襲治療法なので広めるということと早 急に広げ過ぎてはいけないという問題と両面を持っているとは思うのです。例えば外科 はもともと危険であって低侵襲法だから安全だということにはならないわけです。低侵 襲であるけれども、まだ安全性については分からないというところがあるのが新医療技 術の特徴ですから、安全性という意味ではまだ外科の方が確立されており確実性があり ますから、むしろ外科の手術の適応になっていない軽微なASDに対してこの新しい技 術を入れるということ自体がやはり矛盾があると思います。そういう意味では先ほどの 適応で四番目の軽微なASDについては非常に厳しい縛りを付けるべきですし、ほとん どやるべきではないと私は思いますけれども、そういうことと施設基準について学会レ ベルの意見というのは、一つの学会ではなくて幾つかの学会で今御指摘のあったことを 御検討いただくことが必要かなという気がします。 ○土屋部会長 越後先生、ございますでしょうか。 ○越後参考人 今のことについて、この日本Pediatric Interventional Cardiology研 究会は親学会である日本小児循環器学会の理事会では承認いただきまして、その理事の 一人である中澤理事の方から日本循環器学会には報告はしていただいているはずです。 その後どういう結果になったかは聞いておりませんが。それから外科の施設基準のとき ディスカッションになりましたのは、やはり開心術は入れなければならないのではない かと。要するにコロナリーを中心にやっているところはやはりいざというときのデバイ スのリトリーブは非常に難しいのではないかという意見があったことをちょっと報告し ておきます。 ○許委員 ですから小児の先天性心疾患の開心術と限る必要はないわけですね。大人の 開心術、通常の弁膜症がありASDがあり普通の開心術であっていいわけで、先天性心 疾患開心術50例というのは全く意味がないと思います。それよりも大事なことは50例 でいいのかというのが私の疑問です。50例で週1回手術をやる施設で本当にそういう緊 急対応ができるのですかとお聞きしたい。緊急対応を実際にできるためにはほとんど毎 日手術をやっているような施設、少なくとも年間200例とか300例という施設がむしろ 緊急に対応できるわけで、それは非常に多過ぎるとしてもせめて100例の大人も子供も 含めた開心術をやっている施設であることが必要だと思います。それで週2例ですね。 それを子供に限って50例というのは全く意味のないことだと私は思います。まして大人 のASDもこのデバイスで閉じられる可能性が非常に強い、そういうときに小さな子供 だけをやっている施設に、例えば日本で10以下の施設しか認定されなかったと。たまた まそれが小児病院であったと。そこにその地域の例えば50歳の人が紹介されてそこしか やれるところはなかったとした場合、それでトラブルが起こったときに、そういう小児 専門の施設が大人の心房中隔欠損のデバイストラブルに対して対処できるかといえば対 処しにくいかもしれません。ですから、開心術でASDのところに引っ掛かったデバイ スを取り出すなら、別にそれは子供の手術というふうに限る必要は全くないのではない かと思います。それよりもむしろ緊急手術体制でやれる、年間に少なくとも100例以上 の手術をやっている施設とすべきだと思います。 ○審査管理課長 いろいろ御意見を頂きまして、これが実際にこれからいろいろな手続 を経て承認されるまでにはまだ幾らか時間がありますし、それから発売されるまでも少 し時間があるかと思いますので、その間にこの学会基準での縛りの関係についてもし可 能であれば機構の方でまた専門委員の先生方とも御相談させていただいて、各学会との 間で調整を図っていただくということは可能でしょうか。 ○機構 そのように対応させていただければと思います。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。貴重な御意見をたくさん頂きまして、 今課長の方からも説明がありましたように施設基準の対象についてはまだ承認まで時間 がございますけれども、いいものは一方では待ち望んでいるところもありますので、一 刻も早く最終的に各専門の先生方の実情に合ったような形で承認させていただきたいと 思います。しかし、ここではこのものについて今まで出されましたコメントも付けて承 認ということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。 ── 越後参考人退席 ── ○許委員 その施設基準の点は考慮していただくということで…。 ○土屋部会長 先生にフィードバックいたします。それではこの品目については今月17 日に開催される薬事分科会に報告いたしますが、それまでに早急に今までのことについ て総合機構、本省の方で対応いたしたいと思います。どうもありがとうございます。  それでは引き続きまして報告事項についてお願いします。 ○事務局 昨年11月1日から今年1月31日までに承認された4品目について、医薬品 医療機器総合機構の方から御説明いたします。お手元の資料7-1になります。 ○機構 資料7-1を御覧ください。簡単に御説明いたします。4品目ございます。まず 一番目がエム・ティー・アイインプラントでございます。本品は顎骨内に埋入し本来の 人工歯根が治癒するまで暫間的に用いる人工歯根でございます。次はエドワーズプリマ プラスステントレス生体弁でございます。本品はステントや縫着輪を使用しないステン トレスタイプのブタ大動脈弁でございます。次はノバ T 380でございます。本品は銅 を付加した子宮内避妊具となっております。次は裏になりますが、四番目はオンエック スバルブでございます。本品はパイロライトカーボン製の機械的人工心臓弁となってお ります。以上でございます。 ○土屋部会長 御質問等ございますでしょうか。 ○長谷川部会長代理 最初の歯科用インプラント材の品目概要の「本来の人工歯根が治 癒するまで暫間的に用いる人工歯根」という文章なのですけれども、ちょっと分かりに くいように思うのです。つまり、恐らく本来の人工歯根が埋入可能になるまでの間暫間 的にという意味でございますか。 ○機構 御説明させていただきます。本来のインプラントを埋入しまして上部構造を植 えるまでの間、口腔圧などがかからないような状態の本来の人工歯根がまず植わってお ります。それに対して本品のエム・ティー・アイインプラントは補助的、暫間的に埋入 されまして、そこに暫間義歯などの圧力がかかるような形で使われますので、本来の人 工歯根の下部の構造がまず植わっている状態ではございます。 ○長谷川部会長代理 「本来の人工歯根が治癒するまで」という表現が何か異様に感じ ますので、ちょっと御検討いただければと思います。 ○機構 表現は先生がおっしゃったように少し不適切なところがございますので、訂正 させていただきます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。そのほかございませんでしょうか。そ れでは時間も押し迫っておりますので、大変恐縮ですが審議事項、報告事項は以上でご ざいます。事務局から連絡事項はありますでしょうか。 ○事務局 ございません。 ○医療機器審査管理室長 以上で医療材料部会を終了させていただきます。本日の部会 はこれですべて終了いたしました。本日は長時間にわたり熱心に御審議いただき、どう もありがとうございました。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 束野(内線2912) - 1 -