05/03/03 胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(循環器ワーキング・グループ) 第4回議事録  胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(第4回循環器ワーキング・グループ) 1 日時  平成17年3月3日(木)16:00〜18:15 2 場所  厚生労働省専用第17会議室 3 出席者 医学専門家:奥平雅彦、笠貫宏、西村重敬、横山哲朗(50音順)       厚生労働省:明治俊平、渡辺輝生、神保裕臣、菊池泰文 他 4 議事内容 ○笠貫座長  それでは「胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会第4回循環器ワーキング・グル ープ」を開催いたします。 ○職認官  よろしくお願いします。 ○笠貫座長  本題に入る前に、事務局から提出資料のご確認をお願いします。 ○障害係長  資料1「第4回循環器ワーキング・グループの主な論点」、資料2「胸部臓器分野の 障害認定に関する専門検討会報告書(たたき台)(循環器)」以上です。 ○笠貫座長  それでは資料については問題はございませんか。本日は新しい検討項目が「狭心症」 「心臓外傷」の2つになります。心臓外傷については、高本先生がご欠席ですので、最 終的に議論を詰めるまではいかないと思いますが、今日ご出席の先生方のご意見を伺っ ておきたいと思います。  本日は表現の修正の確認等は最後にして、実質的な検討を先に行っていきたいと考え ています。最初に前回西村先生がご欠席のなかで検討してきた心停止について検討を始 めます。前回指摘がありました箇所の修正について、事務局からご説明をお願いしま す。 ○職認官  資料の12頁をご覧ください。前回のご議論の主なところは、心筋症等々の記載があり ますと、いらぬ誤解があるのではないかということで、その辺の記載を整理したほうが いいのではということだったかと思います。文章としては、12頁の(2)アのところを だいぶ整理をし直しました。「心筋症や原発性不整脈によって起こる」という記述を削 除するとともに、第2段落に「除細動器植え込み後の1年間の除細動器の作動率は30〜 40%とする報告もある」というようなエビデンスも一方では追加して書かせていただき ました。そういった文章の整理が主です。実質的には前回に提案させていただいた考え 方が、概ねご了解をいただけたかと思います。事務局からは以上です。 ○笠貫座長  どうもありがとうございます。いまのご説明を含めてご質問、ご意見はありますか。 ○横山先生  いまのアの文章の2行目ですが「いったん心停止となった者は」の「いったん」は漢 字のほうがいいのではないですか。これは1つのセンテンスになっているのですが、2 つに分けたほうがわかりやすいのではないですか。「不整脈等の出現によって起こる。 臨床経験上云々」としたほうが。 ○奥平先生  この前も申し上げたのですが、国際疾病分類の第10版に基づいて、「心停止」という 病態が入ってきたということですから、ICD10のI46にこれが相当するのだ、というこ とを明記したほうがいいのではないかという気がします。 ○職認官  3頁をご覧ください。3頁はどういうことを検討していくのか、ざっと書いている部 分です。そこで入口として、業務上の疾病となり得るといいますか、業務上の疾病の判 断基準が設けられている疾病が、すでに4つ決まっております。まずはそれについて検 討していくのがいいだろうということで、その4疾病を書いているのですが、そこに ICD-10分類との対応を書かせていただきました。例えばウの心停止は(心臓性突然死を 含む)というところまでは、業務上疾病の認定基準の検討会の報告書にある記載です。 それに続けて今回括弧書きでICD-10の分類番号と疾病名を付記させていただきました。 ここは括弧が2つ続くので、ちょっとどうしたものかなということはありますが、最初 のところで、ICD-10に基づく分類なり、疾患名を基本的には使わせていただいています ということを、お断りしようということにいたしましたがいかがでしょうか。 ○笠貫座長  よろしければこういう形にしたいと思います。 ○奥平先生  そうすると、3頁の心筋梗塞はI 21だけになってしまいます。I 21は、急性心筋梗 塞だけです。再発性心筋梗塞、急性心筋梗塞の続発合併症、あるいは広い意味での慢性 虚血性心疾患というものが、こういうふうに1つだけに限ると、入らなくなってしまう のではないか。私が申し上げたいのは、ウの「心停止」のところだけは、このことをき ちんと書いておいたほうがいいのではないかということです。 ○笠貫座長  これは最初に十分検討させていただいたところです。ICD-10がこうなっているという ことを十分含めた上で「一次性心停止」と「不整脈による突然死等」を1つにするとい う結論になったと思います。ウはこういう形でよろしいかと思います。いまの奥平先生 のご指摘は、心筋梗塞を急性心筋梗塞だけにしてしまうと、逆に誤解を招いてしまうと いうことで、ウは今回の改正、改訂のところで「一次性心停止」と「不整脈による突然 死」を1つにしたという意味では、読んでいただく方に理解を深めるという意味で書い ていただいたらと思います。 ○奥平先生  そう思います。 ○職認官  3頁の括弧書きはやめて、12頁の「心停止」についてだけICD-10との対応関係を明記 させていただきます。 ○笠貫座長  他にございますか。 ○横山先生  やはりアの最後のところですが「このように、医学的に云々」となっていて、「出現 し易くなるということができる」と。回りくどいですから、「ということができる」は 取ってもいいのではないですか。 ○笠貫座長  はい、そこを省いていただくということで、他にはありますか、西村先生。 ○西村先生  私も前回の議事録を読ませていただいて、ご議論の内容を理解しているつもりです。 先ほどの3頁の議論は、認定基準のときにもアやイについては、全くICD-10のコードは 振っていませんので、やはりいまの形のほうがいいと思います。 ○笠貫座長  それではないようでしたら、次の「狭心症」に移ります。事務局からご説明をお願い します。 ○職認官  それでは新しい検討項目ですので、骨格について1頁をご覧ください。本文の書き方 と必ずしも順番も含めて対応しているわけではないですが、実質的なご検討をいただく べきポイントは、大きく○を振った3つではないかと思います。1つ目ですが、治ゆの 前に「後遺障害」と書き出すのも違和感が少しあるかもしれませんが、そもそも一過性 の虚血発作であると定義されている狭心症について「後遺障害」を考え得るのかどう か、というところを整理しないと話が前に進まないだろうということで、こういう論点 を書かせていただきました。  虚血発作は一過性ですが、狭心症のあとに、虚血発作が再度起こることが当然ありま す。一定の場合には、これが障害といえるのではないか。一定の場合というのは、冠動 脈の器質的狭窄が残存している。残存していることが確認できて、かつ虚血が出ますと いう場合には障害と考えることができるのではないか、というところをご検討いただく ことが1つ目の○のアです。  イは細かい話になりますが、器質的な狭窄についてもいろいろ種類があるわけです が、臨床的には鑑別が困難ではないか。結論としては、器質的な狭窄がある、かつ虚血 があるならば、これはすべて後遺障害と見るという整理が妥当ではないか。冠攣縮によ るものははずれるのではないか。このような整理でいかがでしょうかということです。  2番目は、治ゆのタイミングといいますか、PTCAを行うとよく再狭窄が起こると理解 しています。起こす人、起こさない人、原因はともかくとして、ある程度分かれるとい いますか、再狭窄を起こす人は起こすが、起こさない人はその後も起こさない。6カ月 ぐらい見ておくと、その後初めて再狭窄を起こすという人は、なかなか稀なのではない かという理解だとすれば、6カ月程度の経過を見た上で再狭窄を起こさなければ、冠動 脈は広がったままだと判断してもよろしいのかどうかということです。  3番目は等級の問題で、残存虚血が軽度に止まるものは、治ゆとしてよいのではない か。その場合の等級は、11級が相当ではないかということです。どのぐらいまで治療を 行い得るかということとの関連が、実際には大きいのではないか。したがって治療が終 了した場合、残存する虚血の程度は軽度と通常考えられるかどうかも含めて、ご検討を いただければと思います。それでは案文を読ませていただきます。 ○障害係長  10頁から11頁、「2狭心症」を読み上げ。 ○笠貫座長  どうもありがとうございました。ただいまのご説明についてご質問、ご意見はござい ますか。 ○横山先生  1頁に戻るのですが、それぞれの文章に「検討する」と「検討した」と混在してい て、1頁のアとイは「検討する」で、次の2つは「検討した」になって過去になってい ます。また心臓外傷のところも同じことがあるのですが、それはいかがなものですか。 ○課長補佐  これは全く単純ミスです。 ○横山先生  どっちかに揃えたほうが。 ○課長補佐  ここでは「検討する」のほうが、これについて検討するということです。報告書のほ うは「検討した」になるのです。 ○横山先生  報告書は「検討した」ですよね。 ○課長補佐  これは今回こういうことについて検討が必要ではないかというぐらいの意味だと思い ます。 ○横山先生  10頁の(2)ア「狭心症発症前には心筋虚血、狭心症状が出現したことがなく」と。 そこはいいとして、「狭心症治ゆ後に、心筋虚血、狭心症状が出現する場合」というの は、論理的におかしくないですか。 ○笠貫座長  狭心症が初めて起こった場合には、その後も起こりやすいという意味なのです。以前 から狭心症があったという人ではないので、表現としてわかりにくいですね。 ○横山先生  読んだ人がわかりやすいようにしておいたほうがいいと思います。11頁のイの冒頭で 「冠動脈が閉塞,狭窄し」というのは、中付きの点、何か直していただいたほうがよろ しいと思います。 ○笠貫座長  閉塞ないし、ということですね。 ○西村先生  基本的な考え方は、前回の心筋梗塞後の心筋虚血の評価で論じていますので、それに 準じて、どの辺で線を切るかということではないかと思っています。1頁のアは「狭心 症は一過性」の「一過性」が、一過性の心筋虚血発作ですからもう少し近いほうがいい のではないかと思います。「狭心症は冠動脈の閉塞・狭窄によって一過性の心筋虚血発 作を起こす」としたほうが分かりやすいのではないかと思います。10頁の(2)アの4 行目ですが「冠動脈の一過性閉塞、有意狭窄により生じた心筋虚血発作を狭心症と呼ぶ 」というよりも、心筋虚血による症状が出たものを狭心症ということですから、「心筋 虚血による症状を狭心症と呼ぶ」というほうが適切ではないか。イの治ゆの2行目「閉 塞・有意に狭窄していた場合」にしたらどうですか。ご議論をいただきたいのは、(3 )「障害等級」のアの4行目「そして、治ゆ後」で「軽度」という言葉をここで使って しまうのか。治ゆ後、心筋虚血が残存している場合はある。しかし、その場合に例が出 てきて「寒暖の差は極めて激しい等の過重な負荷がかかった場合にも狭心症状を来し、 作業の継続困難となることはある」と「軽度」を削ったほうが、軽度であるのに症状が 出るのだというニュアンスになってしまうような感じがいたします。私からの意見は以 上です。 ○課長補佐  いまの「軽度」というのは、不要だということですか。 ○西村先生  そうです。「軽度」と言ったら、そこでも虚血があるんですよね。「軽度」という形 容詞がここにあったほうがいいのかなと。「軽度の心筋虚血が残存している場合」ある いは「軽度の心筋虚血発作が残存している場合」。 ○課長補佐  「軽度の心筋虚血発作」というのは、心筋梗塞のときも出てきますよね。 ○西村先生  出てきますよ。 ○課長補佐  ですから、全く同じ状態ということになるのですよね。 ○西村先生  そうです。あったほうがいいかと思います。 ○笠貫座長  「軽度の心筋虚血」はいいことにしたのではないですか。 ○西村先生  そうです。前には「軽度」という言葉は入れています。 ○課長補佐  心筋梗塞の場合の状態と、これと同じような状態ということなので、障害の評価も同 じようなものと。ですから、同じような等級でいいのではないかという考え方なので す。 ○西村先生  実際の例が「軽度」と言うかどうかなのです。もしも「軽度」を活かす場合、わざわ ざこの例がいるのかどうか。挙げている例が「軽度」に合うのかどうかという認識につ いて、ちょっと差が出るのではないか。この案は「軽度」ではなくて、それ以上の症状 ではないかと言われる懸念があるのかと思います。「軽度」だけにしても、あの例をカ ットする。 ○職認官  症状は何かしら書いております。8頁の下のほう、症状としてはほとんど同じような ものが出ると。ただ心筋梗塞は正確に言うと、心機能の低下があって、それに加えて若 干虚血もあるという組み立てですので、心筋梗塞の残存虚血の程度については、前に 「末梢の」とか、いろいろご提案をいただきましたが、そういうものであって、「軽備 な虚血」と整理したほうが狭心症との関係でスッキリするということで、心筋梗塞の表 現を手直しをさせていただいていますが、いずれにしても症状は何もないと我々として はわかりにくいのかなと。 ○西村先生  確かにそうなのですが、それを「軽度」とするかどうかです。例えばカナダ心臓協会 狭心症分類中で1から2度で、人によっては2度と判断すると、軽度にならないのでは ないかということになります。例えば「軽度の心筋虚血が残存している場合、一定以上 の負荷がかかった場合に狭心症を来し、作業の継続が困難となることがある」と。こう 具体的に書くことも可能かと思います。 ○職認官  カナダの分類でいくと、少し記憶が曖昧ですが、Iは日常生活では全然出ないと。日 常生活を超えるその負荷がかかると出ます、というようなことだったかなと思います。 意図としては、10頁の下の例は、日常生活を超える負荷の例のつもりで書いています。 その意味で例示が悪ければ直させていただきますが。 ○西村先生  例えば通勤のときに駅の階段を普通に歩くときには出ないが、一定以上に急ぐような 負荷では出るとか、その辺の線の引き方でどこまでを軽度とするかだと思います。 ○課長補佐  あるいは症状が出る例だけを書くと、多めに見るお医者さんがいるとすれば、 ここまでは出ないが、それを超えるこういう場合には出ますというふうに、出ない場合 も例を書いておいて、境目をもう少し具体的に理解しやすくするような記述をというこ ともあるかなと思います。 ○西村先生  その辺の表現ですね。 ○職認官  いずれにしても「軽度」だけですと。 ○西村先生  わかりにくいですか。 ○課長補佐  専門の先生からすれば、軽度ということであれば、もうぶれませんと。皆さんある一 定状態をイメージするということであれば、それは構わないですが。 ○西村先生  そのときに例えば「カナディアンスタイルの分類の1」と書いておいたほうがいいと 思います。この例を挙げるよりは。 ○課長補佐  「心筋梗塞治ゆ後」の場合には、もっと高いのですか。高いというのは、たぶんいち ばん軽度ですね。 ○西村先生  最も軽度ですね。 ○課長補佐  心筋梗塞治ゆ後ですとワンランク上とか、そういうことになるのですか。 ○西村先生  軽度という場合は、1ぐらいでいいのではないですか。 ○職認官  心筋梗塞と狭心症の分類の基準は似たようなものですが違うのです。結論は同じよう なレベルですが。 ○西村先生  例えば、起こりやすい状況になれば、狭心症は出てしまうことがあるのです。非常に 朝寒いときにお腹いっばいご飯を食べて、暖かい部屋からパッと外に出て階段を急いで 昇れば、症状がでることもあります。負荷のかけ方に左右されたり、症状の日内変動が 認められるので、個別に条件を述べることが難しくなります。カナダ心臓協会の分類の 1度ぐらいと医師には分かりやすい。あるいは誤解を招かないという気もします。 ○医療監察官  それとの兼ね合いで、カナダのものというのは基本的には所見といいますか、労作と の兼ね合いでどのぐらい出るかということだと思います。それと11頁に狭窄の度合を1 つの要件にしますと「末梢の冠動脈の閉塞又は狭窄」というのが要件ですというのは整 合性があるかどうか。ようするに、狭窄の程度と症状がパラレルに考えてよいのでしょ うか。 ○西村先生  いや、パラレルではないです。冠動脈造影はあくまでも形態を見ていますので、機能 的な症状による評価とは一致しない場合があります。狭心症は、症状です。虚血を検出 するならば、いくつかの方法があるわけです。冠動脈造影をよく1つのスタンダードと して使いますが、あくまでも狭窄病変の形態的な評価です。狭心症と診断するとき、あ るいは虚血を診断するときの一つの検査法ではないと考えます。 ○医療監察官  そうしますと、評価でカナダの1に当たるものは11級ぐらいでいいだろうと。それぐ らいであれば皆さんぶれないと。あとは証拠として軽い虚血があればいいという話で、 そういうことからすると「末梢冠動脈の閉塞又は狭窄が認められる」というのはあまり 適当ではなく、何らかの形で認められればいいという。 ○西村先生  冠動脈造影は直接の虚血の証明にはならないのですが、かなりの傍症にはなるでしょ うと。細い所があるというのは、たぶんここが原因病変だろうと医師が症状と関連させ て判断するわけです。 ○医療監察官  心筋梗塞のところでは、多少詰まっているとか、いろいろなものがあって結局なかな か決められないということで、「軽微」というふうなことに最終的になったのかなと。 今回の場合、症状だけでは困るものですから、裏付けは必要なのですが、その裏付けの 形として11頁に書いてあるような形がいいのか、あるいはそういうものとパラレルにい かないというのであれば、何か心筋虚血として確認されるという、あとは症状が非常に 軽いものが11級です、ということでよろしいですか。 ○西村先生  それでいいのではないでしょうか。11頁に書いてあるのはそれを裏付けるような、少 しレベルは違うのですが、こういう症状を持っている方に、臨床的には狭心症として間 違いないということで、「軽度」をどう定義するかということです。 ○職認官  要するに冠攣縮を排除したいと。 ○西村先生  冠攣縮の診断というのは、難しいのです。 ○職認官  そこは「閉塞、狭窄があります」と言えれば、まあ少なくとも冠攣縮のほうは積極的 には肯定されないでしょうと。その意味で、やはり詰まっているということの確認が取 れれば、それでいいかなと。 ○西村先生  冠攣縮の診断は難しいと思います。 ○笠貫座長  狭心症の場合、表現が心筋虚血と胸痛と冠動脈の病変と場所の問題が混乱しているの です。狭心症は痛みがあるという意味で、胸痛がないと狭心症とは言わないです。狭心 症とは、冠動脈の閉塞または有意な狭窄により一過性の心筋虚血を来し、胸痛発作が起 こった場合を言うわけです。そういう意味で「冠動脈病変」「心筋虚血」「症状」の3 つが揃ったときに「狭心症」と呼びます。そこで2番の(2)のイでは、残存する心筋 虚血が軽度でないものは治ゆとしないとあるわけです。PTCA、バイパス手術の治療を含 めて、中等度、高度の心筋虚血があれば治ゆとはしないと。 ○医療監察官  そこの理由は、心筋梗塞の場合には一定以上であれば、どんどん悪くなっていくの で、症状は安定しないのですという理屈で治ゆにしていません、本来から言うと、これ 以上施しようがなければ、そこで治ゆで、悪ければ悪いなりに障害等級をするというの が本来の考え方です。心筋梗塞の場合は、一定以上悪いとどんどん悪くなるので、症状 が安定していないという理屈なのです。狭心症の場合、ここで考えているのは、ある程 度悪いときには、悪いままでは放置しないのです。もう軽度のところまでは、いまの医 学水準にいけば、極めて稀な例以外は、もう軽度であれば全部直してしまうのです、と いうのが実はここに書いてあるものの前提なのですが、そういう理解でよろしいです か。 ○笠貫座長  狭心症で中等度の虚血ではすべてPTCA、あるいはバイパス手術をするのではなく、薬 物治療も冠動脈の病変が残っていれば、いつまた狭心症は起こるかもしれませんが選択 として薬でやっても、PTCAでもバイパス手術でもいいのです。そのときに薬物治療を選 んでいたときに、治ゆにならないですか。 ○西村先生  はい。 ○課長補佐  薬物治療とともに、こういうことも行われるということで、ですから薬物治療だけを 選択してということもあると思います。少なくとも、中等度の虚血が生じるような状態 で、もう治療をやめますということはないでしょうということなのです。 ○笠貫座長  ないことはないです。 ○職認官  ほとんどの場合は、軽度に止まる程度まで治療を続けるのではないか、という理解を 前提にこうさせていただいたのです。いや決して多くはないが、相当数というか、一定 数、一定割合、中等度の虚血を残したまま改善に向けての治療は終了しますと。あとは 悪くならない程度の薬を飲ませるにしても、ということなのだとすれば、虚血の程度に 応じてもっと高い等級も作るかどうかの議論も含めて、考える必要が出てくるというこ となのです。 ○西村先生  例えば50歳、60歳までの人を治療するときに、医師も治療をして、ある程度の狭心症 は残って、治療を継続する方針の方もいらっしゃる。若い方は社会復帰とかを考えて、 より積極的に治療するというのが一般的かなと思います。狭心症を残して治療を続けて いく人が、狭心症例の何パーセントぐらいなのかというのは不明です。 ○課長補佐  それはどうして治療をやめてしまうのですか。 ○西村先生  治療の限界というのがあります。全部の病変をバルーンで治療できない、あるいは手 術できるような場所には病変がない。全体的な病変があって、局所的な治療法ではもう 無理だという方は、冠動脈硬化症としては最重症で、それだけ症状も強いことが多いで すから。 ○笠貫座長  狭心症でPTCA、バイパス術、薬物療法について生命予後からみると、2本、3本の枝 に病変があるときには、積極的な治療をするわけですが、1本の枝のときには、生命予 後は変わらないと考えられます。多枝病変化や主幹部という、非常に太い所以外は、生 命予後から考えると薬物治療も選択範囲に入るのです。そうすると冠動脈の重症度にも 入ります。 ○西村先生  いま先生がおっしゃった例として、前下行枝病変が99%狭窄、完全閉塞で側副血行 が良好な例を挙げますと、最大の薬物治療をしたときに、狭心症は残るものの、普通の 日常生活はそう支障なくおくれるかと思います。 ○笠貫座長  そういう意味では狭心症の症状で、決めることも1つの方法ですね。 ○西村先生  狭心症の症状と、虚血が原因であることを示す裏付けがあればいいと思います。狭窄 があるとか、負荷心電図とか心電図とか、核医学の検査で虚血が証明されていること で、そのような構成になっているのです。 ○奥平先生  いまのことに関連して、10頁(3)アの「障害等級」のところですが、先ほど横山先 生からもご指摘がありましたが、最初の2行は単に「狭心症治ゆ後に、狭心症状が出現 する場合、障害が残存しているということはできる」というほうがスッキリしていいの ではないかと思います。ここで「虚血」という言葉は使わなくて済めば、実態がつかみ にくいものですから、なるべく避けたほうがいいのではないか。そしてそれを受けてそ の次の行で「治ゆ後、軽度の心筋虚血が残存している場合」を取ってしまい、例示だけ にして次の「等級とすることは適当である」に続けるといかがかと思いますが。それが 1つです。  病理の立場から見ますと、冠動脈の「閉塞」という言葉が先にきてその後に「有意な 狭窄」と来るのはどうもピンとこないのです。「有意の狭窄、閉塞」とするのが良いと 思うのです。狭心症の場合には「閉塞」の前に全部「一過性」という言葉を付けたほう が、心筋梗塞との兼ね合いではっきりしていいのではないかという感じがします。これ は例えば11頁のいちばん最後のイ「障害とならない場合」の下から4行目に「冠動脈の 有意狭窄、一過性の閉塞を起こすものとして」というように「狭窄」が前に出ている言 葉もあるのです。ですから、全部「一過性の有意狭窄、一過性の閉塞」ということにし ていただくほうが、理屈に合うのではないか。軽いもののあとに高度なものを出すのが より一般的ですから、ご検討をいただきたいと思います。 ○笠貫座長  そういうふうに直していただきたいと思います。先ほどの「治ゆ」の定義をもう少し ご検討していただいたほうがいいかもしれません。ここでは、先ほどの冠動脈、核医 学、末梢の冠動脈病変というのを軽度の心筋虚血としたわけです。その場合には治ゆに するとし、それ以外の場合は、何らかの治療がなされた後に治ゆと判断するということ になります。 ○職認官  先ほど神保から申し上げたように、軽度だから治ゆということではなく、そのぐらい まで治療がほとんどの場合は行われるのではないかと言えれば、結論として治ゆになる のは軽度のものに止まるという組み立てなのです。いや、そんなことはないよというこ とであれば、中等度で治ゆにならないという理屈があるわけではありません。  従前から虚血の程度については、うまく表現ができないというお話もありまして、治 ゆになるものには幅がだいぶありますと。そうすると程度の切り分けが必要ですとなる と、どうやってそれをしようかと悩ましいこともあって、若干願望も込めて、治療が行 われた結果、残る虚血というのは、軽度のものに止まるのではないかということでした が、そこは我々の理解の問題ですから、実状に合わないのであれば、実状に沿った形で 直させていただこうと思います。その場合には、もう少し高度の中等度の虚血が残ると いう場合、先ほどのカナダの狭心症分類の2度に当たれば、もうひとランク上の等級に するとか、結論として考えられるのかなと思います。それをうまく機能するのであれ ば、等級の切り分けも選択肢だと思います。 ○笠貫座長  「心筋梗塞」のところは十分検討された問題ですから、「軽度」のところは軽度の心 筋虚血と整合性を持って残す、ということにいたしましょうか。 ○西村先生  はい。 ○笠貫座長  「心筋梗塞」と「狭心症」は必ずしも同じ病態ではないのですが、その整合性は取る ことにします。先ほど西村先生からご指摘があった10頁の下の「軽度の虚血」の例を挙 げるところで、階段の上り下り、荷物を持って運般する、あるいは寒冷の問題や、温暖 の差とか、違ったいろいろな誘因が入ってきてしまうので、カナダの分類を出してくる ほうがシンプルだと思います。寒冷とかになると、もっと複雑な冠攣縮の問題とかが入 ってきてしまいますので、そこを、単純に運動量で決めて、程度のところを核医学と冠 動脈の検査で末梢というものにして、それ以外の場合には、今回は治ゆとしてあまり触 れないほうがよいかもしれません。 ○西村先生  ここまで具体的に踏み込んで例を挙げていない方がいいかもしれません。 ○笠貫座長  「無症候性心筋虚血」はここに入れたほうがいいですか、先生。むしろ狭心症の場合 には、触れないでおいてもいいのではないかと思うのですが。 ○西村先生  なしにすると思うのですが。またこの定義が難しくなるのです。 ○笠貫座長  心筋梗塞のときには心筋梗塞が発症して、無症候性心筋虚血が残るかどうかというの がありますが。 ○西村先生  症状が出ているときは定義そのものですから、ここは触れないほうがいいですね。 ○笠貫座長  狭心症があって、無症候性心筋虚血が範囲の広いものが出ていて、検査をして異常が あったら治療しますので、無症候性心筋虚血はここでは触れないでおくということです ね。 ○職認官  書かないと疑問が出るかなと思って書いたのですが、積極的に書きたいわけではあり ません。普通のお医者さんはこの脈絡で、この問題をわざわざ疑問に思わないよという ことであれば無理して書かなくても結構ですが。 ○笠貫座長  無症候性心筋虚血を書いてしまうと、異論が出てしまい複雑になってしまうので書な くてもいいのではないかということですね、西村先生。 ○西村先生  私もそう思います。いろいろ難しい議論が出てくると思います。狭心症というのはあ くまでも症状がある人で、無症候性心筋虚血は周辺の病気だと言えばそうですが、ちょ っと別なものだということで、ここでは触れないほうがスッキリすると思います。ある いはそういう疑問が出る可能性はあると思うのですが、それは治療をし続けるというグ ループになるのではないかと思います。 ○笠貫座長  治ゆは、軽度の心筋虚血、末梢の冠動脈の病変の場合として、軽度の心筋虚血でこう いった症状が出てくるものを11級の9にするということだけ触れておけばよろしいかな と思います。先ほどの冠攣縮の話はどうしますか。 ○西村先生  冠攣縮のことは、冠攣縮の定義から使う人によって違う場合もあります。もちろん冠 攣縮は慢性狭心症の原因になるのですが、例えば冠動脈造影したときに、冠攣縮がある あると言って、それが狭心症の原因かどうか。冠攣縮というのは機能的なもので、冠動 脈造影で診断が確定しません。冠動脈径の軽度の減少のみから冠攣縮と診断されてしま います。「冠攣縮は頻度が高い」、「そんなものは少ない」と意見も分かれます。狭心 症の症状だけで、狭心症の中の一過性の閉塞の中にも冠攣縮を含めてしまうような意味 にしてはどうでしょうか。 ○奥平先生  心筋虚血というのは、症状の発生を説明するメカニズムなのです。一般の人に「虚血 」と言っても、なかなか具体的に理解されにくい。動脈血の流入が阻害される。少なく なるということだと思います。ところがそれは症状として出なければ、認知できないわ けです。しかし、症状として本人が認知しなくても検査すると、その所見は出てくるか もしれません。それは病気のことですから、本人の症状がないものまで積極的に扱う必 要はないのではないかという気もするのです。メカニズムのところでは虚血という言葉 を使っても、後のところではあまり使わないほうがいいのではないかという気がしま す。 ○西村先生  症状だけですとなかなか紛らわしい。やはり何か傍証がないと、みんな胸が痛いとい うと狭心症になりかねない。 ○奥平先生  アンギーナというのはsuffocating painといい、窒息性の疼痛です。胸が詰まるよう な、息が詰まるような疼痛です。ただ胸が痛いというのとは違うと思います。 ○西村先生  典型的にはそうですが、やはり狭心症という病名は、一般の医師の中では、甘い基準 で診断されている場合があります。何らかの他の傍証ということになると、先ほど言っ た冠動脈造影、負荷心電図、心筋シンチ所見等の裏付けがないと、診断の根拠が弱いこ とになりかねないと思うのです。 ○笠貫座長  無症候性心筋虚血と狭心症と予後は同じだという話も出てきて複雑になってしまうも のですから。心筋梗塞のときに心筋虚血を一応使わせていただいたので、狭心症におい ても軽度の心筋虚血という表現の仕方で、重症度を表すという言葉として使うというこ とでご了解いただき、障害等級のところで軽度の心筋虚血を残す。その定義はどういう ものかというと、末梢の冠動脈の病変で、将来狭心症という症状を起こしてくる可能性 があるから、等級としてはこうします、ということに止めるということではいかがでし ょうか。 ○奥平先生  私は臨床のことはよくわかりませんが、実際に行政の方が虚血という用語を読まれる ときに、ピンとくるのかという感じもあるわけです。言葉としてはそうだけれど、狭心 症、症状と心筋虚血との関連が必ずしもピンとこないのではないかと思うものですか ら。概念としてはっきりしていても具体的に把握しがたい言葉は必要最小限に止めて、 使わなくてもいいところは落としたほうがいいかと思ったのです。 ○西村先生  先生が言われた認証のところのこの文章の下から3行目「狭心発症がより冠攣縮が生 じやすくなるという知見はない」というのは、論文とか教科書に記載はありましたか。 ○職認官  すばりはないです。あるという書きぶりは見当たらなかったものですから、おそらく 他にもないのではないかなと。そう言わないと冠攣縮も狭心症の後遺症状だと言わざる を得なくなってきてしまうので。 ○笠貫座長  冠攣縮の狭心症を初めて起こした場合、それにストレス、過重な労働が原因になって 冠動脈痙攣で狭心症が発症した場合は、過重負荷等、また発作を起こしてくる可能性は あるのです。それは今回含まないというのは(3)のアで「軽度の心筋虚血は末梢の冠 動脈の閉塞又は狭窄」と定義していますので、病変がなければ今回の障害等級には当た らないということですね。 ○西村先生  そういう理論ですよね。それとまた別の考えはあるのかな、この辺の文脈はちょっ と、理解が難しいと思います。 ○職認官  不要だということですか。 ○笠貫座長  そういうことです。 ○西村先生  心臓突然死のときには、しばしば、冠攣縮によるという意見書は提出されてきます。 本当にそうかはわからないのですが、そういう一つの考え方があることは事実です。過 重負荷による急死の場合の原因としては。病理学的にも証明は難しいです。 ○奥平先生  難しいと思います。しかし、本によっては、冠攣縮を起こした人は、後で突然死を起 こしやすいと書いてありますね。 ○西村先生  再発して亡くなる方もあることはありますね。 ○笠貫座長  障害とならない場合を書いてしまうと、いま言ったようなケースが出てきてしまうの で、むしろここでは、典型的な末梢の冠動脈の病変がある軽度の心筋虚血が残って、今 後狭心症を起こしてくるという人を障害等級の対象と書いておいて、それ以外のところ は書いておかないほうが、医学的には問題が起こりにくいと思いますが。  先ほどの、心筋虚血は確かに奥平先生のご指摘のようにわかりにくい言葉かと思いま すので、病態のところで冠動脈の有意狭窄ないしは一過性閉塞に基づく心筋虚血によ る、胸痛発作というところで1度心筋虚血の定義をしておいて、冠動脈に狭窄があって も胸痛があるから狭心症とは確定できないのです。冠動脈狭窄があって虚血があって痛 みがあったときに初めて狭心症と診断されます。その心筋虚血ということで、病態のと ころに書いておいて、あとは障害等級のところで使うとき、頻回に使わないように努力 する、ということにしたらいかがと思うのですが。 ○西村先生  賛成です。 ○横山先生  私は、野次馬的存在なのですが、おそらく、これが報告書として出た場合に、心臓の 専門家が読むだけではなく、一般のドクターあるいはその他関係の方が読むと思います ので、なるべくわかりやすい文章にしていただいたほうがいいと思います。例えば10頁 の(2)のアの「病態」のところで、これこれの臨床症候群であると定義しています。 それで(3)のアでは、心筋虚血、狭心症状が出現したことがなくと。狭心症状という 言葉を使うと、狭心症発症前に狭心症状が云々という臨床症状として出てきた。奥平先 生が言われた心筋虚血と同じように、狭心症状という言葉も誤解を受けないような表現 にしていただいたほうがいいと思います。例えば胸痛云々ということでもいいと思いま す。  (3)のアの最後のパラグラフですが「治ゆ後、軽度の心筋虚血が残存している場 合、階段を急いで頻繁に昇降する作業を行うことは困難である」と断定してあります。 それで次の続く文章で「寒暖の差が極めて激しい場合にも、狭心症状を来し、作業の継 続が困難となることがある」と、なることがあるということは、すべての場合になるわ けではないということになります。前半の困難であると、困難となることがあるという ことでは、何か論理が滅茶苦茶になるのではないかという気がするのです。 ○課長補佐  ここはふさわしくない説明ということですので、ここの例は全部カットします。 ○横山先生  カットもカットですが、我々の姿勢として、わかりやすい文章にしておく必要がある と思います。(2)のイの最後のほうで「したがって、経皮的冠動脈形成術を行った場 合は、6カ月間は経過を観察する必要があり、6カ月を経過しても云々」と、これもわ かりにくいので、「必要がある」として切ってしまって、別の続く文章として「6カ月 を経過した云々」と、2つのセンテンスにしたほうが読む人はわかりやすいと思いま す。 ○笠貫座長  文章はそういう形でご検討をいただきます。先ほど横山先生のご指摘になった(3) のアの後半部分は直していただくと話しましたが、前半部分の「狭心症発症前には心筋 虚血、狭心症状云々」のところも直し、ここは心筋虚血は要らないと思いますから「狭 心症発症前には胸痛発作が出現したことがなく」と書けばわかりやすいと思います。 ○横山先生  側胸部もありますから。前胸部痛ではまずいですか。 ○笠貫座長  狭心症でも顎とか腕とかいろいろの部位に出てきますので、広い意味で胸痛としてい ただく。狭心症の症状は非常に千差万別ですから。 ○横山先生  はい、わかりました。 ○職認官  胸部痛ですね。 ○笠貫座長  胸痛です。ほかにありませんでしたら心臓外傷に移ります。事務局からご説明願いま す。 ○職認官  事前に送りました資料と机上にお配りした資料は、心臓外傷のところは大きく変更し ておりますので、机上の資料をご覧いただきたいと思います。理由は、昨日の夕方に、 高本先生からご指導をいただく機会ができましたので、それを踏まえて直しました。こ こは事務局の勉強も十分でないものですから、骨格的な文章ということでご覧いただき たいと思います。  いちばん大きな議論になるかと思われるのは、弁を置換した場合の取扱いではないか と。結論としていま書いてあるのは、機械弁に置換した場合は血栓ができないようにす る薬を飲む必要があって、薬をやめると血栓ができ弁の機能不全が起こります。そのよ うな状態は決して症状の安定とは言えないのではないかということで、治ゆにしないと 書きましたが、高本先生のご意見は、完治ではないかと。治ゆして障害を残さないとい うご意見でした。  ただ、血栓ができないようにするための薬は当然必要だし、飲まなければ大変なこと になるというご認識はいま申し上げたようなことでしたので、事務局としてはそのよう にご提案いたしました。ここはご意見がいろいろあるかと思いますのでご議論をいただ ければと思います。  それ以外は、基準がむやみに複雑になるのをできるだけ避けたいということで、疾病 になぞらえて判断できるものはできるだけそうしたい。その整理でいくと、独自に検討 する必要があるのは心膜の損傷の場合ぐらいかなと。これも結論としては、障害認定基 準を策定する必要がある場面はほとんど考えにくいということで整理をしました。  繰り返しますが、骨格だとご理解をいただいた上で、読み上げますのでご覧いただき たいと思います。20頁になります。 ○障害係長  読み上げ。「6、心臓外傷(骨子)」20〜21頁。 ○笠貫座長  どうもありがとうございます。ただいまのご説明にご意見、ご質問はありますでしょ うか。 ○横山先生  21頁の(ウ)の「療養が継続することに」を「療養を継続することに」と。その次の 冠動脈損傷の「なお書き」のところですが「ばあいは」は漢字にしたほうがいいと思い ます。(6)の心膜破裂の1行目「破裂した心膜が閉塞されない場合でも、心膜そのも のあるいは心機能に影響する」とありますが。心膜そのものは形態的なものだし心機能 は機能ですから、並んで「あるいは」でつなぐのは具合悪いような気がします。 ○笠貫座長  この点、西村先生、何かご意見ありますか。 ○西村先生  弁置換を行うところが、いちばん議論になるところで、植え込んだものによる支障が どうかという議論を今までしてきたわけですが、そこをどう考えるかということだと思 いますが。 ○職認官  高本先生のご意見は、昔の古い弁であれば血流が少し阻害されるようなこともあった が、今の二葉弁だとほとんど症状として出るようなことは考えられない、唯一薬を飲み 続けなければならないことが支障と言えば支障だが、薬を飲むことを障害と評価できな いのであれば、治ゆした後で障害が残るとは言えないのではないか、ということでし た。 ○課長補佐  いまの案は、むしろそれよりも前に、治ゆしないとするのが適当なのではないですか と。薬を飲み続けなければ死んでしまうような状態の人を、治ゆとすること自体が、今 までの心臓の検討の中での考え方からすると、どうもおかしいのではないかと。  もう1つは、いま西村先生が言われたペースメーカーを植え込んだときの障害の考え 方は、それ自体が障害というよりも、それを入れたことによっていろいろ職種制限とい いますか、こういう仕事をやっては駄目ですよというのがあるので、そこのところを、 労災でいうところの労働能力の低下という評価をしましょうという考え方でした。弁に ついても、弁を植えたことによって労働能力、例えばこういう仕事をしてはいけません といった制限が出るということであれば評価しやすいのですが、そうでないとすると、 ほかには何も影響がないと。ただ、薬だけは絶対に欠かせませんよというお話で、今ま での我々の考え方でいうと、治ゆには当たらないとするのがいちばん素直に思って、原 案はそうやっています。ところが高本先生は、それは治ゆとして障害無しとするのがい いのではないのと、どうもそういうお考えだということです。 ○笠貫座長  治ゆとはしないというのは、弁置換をしたら、ずっと療養になるということですね。 ○課長補佐  はい。 ○笠貫座長  確かに抗凝血薬である、ワーファリンをずっと飲み続けなければいけません。飲まな いと血栓ができて弁機能不全も、脳塞栓も起きます。薬をずっと飲み続けなければいけ ないということは、心筋梗塞でもアスピリンなどは続けなければいけないわけです。あ るいは、軽度の心機能低下でもほかの薬を飲まないといけません。薬を飲み続けなけれ ばいけないということで治ゆとはならないということは、これまでの流れとしては無理 があるかなという感じもするのですが。 ○課長補佐  薬を飲み続けなければというよりも、保健的に飲む薬と、完全に治療薬というか。本 当にこの薬を飲まないとすぐ詰まってしまうことが明らかであって、という話の薬と、 飲んだほうがいいけど飲まないからといって必ずその症状が出るというものとは違いま す、というその違いなのかなと。これが非常に高価なものであるとすれば、当然治療と して行われるというか、安いから治ゆでいいとか、高いから治ゆにしないとか、そのよ うな話も変な話です。別の例で言いますと、透析療法です。 ○医療監察官  腎臓が非常に悪くなったときはどうするのだと。透析療法が必要な人というのは、し なければ安静にしていても尿毒症になって死にそうですと、ところが週3回ほど受けれ ば、合併症がないような人はデスクワークであれば十分に働けます。そういう人は治療 をやめると症状が極度に悪化します、その差が非常に大きいというものについては治療 効果があるし、症状が安定しているとは言えないのですということで療養対象となる。 いちばんわかりやすいのは、副じんを亡失したときのように、薬を飲まないと翌日死ん でしまう例ですが、透析療法の場合でも、1週間、2週間したら絶対安静のような形に なってしまうと。それと同じようなものなのか、この抗凝血薬療法というのが。「飲ん だほうがいいけれど、別に飲まなくても1年や2年普通大丈ですよ」と、予防的にとり あえず飲むだけですよというものなのか、「飲まないと途端に血栓ができて大変なこと になるのだよと、だから必ず飲め」と、飲まないと命にかかわるというものなのか。程 度に差はあると思いますが、症状の悪化を防ぐ上でどうしても不可欠ですというものな のか。  私どもの理解では、かなり短期間で血栓ができてしまうものなのではないかと、であ るならばこれはやめられないのではないかと。 ○笠貫座長  程度の問題には連続性があって、どこで線を切るかは非常に難しいと思います。心筋 梗塞のアスピリンは「飲んでも飲まなくてもどちらでもいいのですよ」というのではな く、「飲まなくてはいけない」。ただ、やめたらすぐ命取りになりますか、ということ ではないということにはなると思います。確かにワーファリンは、1カ月に1回は必ず チェックをしなければいけないし、用量の調整をしなければいけない。毎日飲まなけれ ばいけないということだけではなく、用量調整を定期的に1カ月に1回はやるというこ とになり、命に直接関わり合いのある薬だと思います。そういうものを治ゆとしないと して、他のものとの整合性があるのでしたらよろしいかと思いますが。 ○西村先生  人工弁が十分に機能を発揮するためには不可欠の薬ですね。 ○笠貫座長  そういうことです。 ○西村先生  業務ですと、例えば力仕事をしている人は怪我をするとか、打撲をするとか、何か外 傷を受ける危険性が高いという場合、ワーファリンを飲んでいる方は出血が重症となる ので、できたらデスクワークなどの仕事がいいということを、説明することはありま す。 ○笠貫座長  治ゆにすると、障害等級のところにいま条件が入ってくると思いますが、治ゆにしな ければ関係ないということですね。  もう1つ、心不全症状が出現しているのに外科手術が行われない場合は療養を継続す ることとなりますから、心不全症状がある限り治ゆにしないということですね。心不全 の治療をやめたらすぐ心不全症状が出るというときは、ずっと薬を飲み続けなければい けなくなるのですが、それは治ゆとしないという判断でよろしいですか。 ○医療監察官  そこもお聞きしたいのです。心不全といってもほとんど何もないところから、えらく 重いものまであるだろうと。2以上は慢性心不全のガイドラインができていて、それな りの薬をきちんとやりなさいということかと思いますが、1心不全といっても、症状と してそれほどのものでなければ、そもそも治療さえしないのではないかと思うのです。 ○笠貫座長  心不全症状が出現しないものと出現しているもの、2つにしか分けていないですか ら、その重症度は入っていないわけです。それと、治ゆという場合、ある一定の治療で 安定したということは、すべてに通じると思いますが、条件を付ければ、重症度とか安 定した場合は治ゆがあってもいいのではないかと思うのです。 ○医療監察官  心筋梗塞の軽度、要するにごく軽度のものがなって、それ以上のものは心筋梗塞のと ころでも詰まりとかというのではなく、症状として非常に軽いものだけこうするのです と。狭心症も症状として軽いものだけ治ゆにするのですと。これも軽いものだけやるの ですということがあり得るのかなと。 ○笠貫座長  弁の損傷があるわけですから、手術の適用がなくても、その心不全の程度によっては ずっと治療を続けなければいけません。手術ができないか適用にはならない場合、療養 を続けることになると思うのです。弁の軽い損傷で心不全がある程度コントロールされ て、NYHA心機能分類I度と安定すれば、薬を飲んでいたとしても治ゆになってもいいと 思うのですが、どうでしょうか。 ○西村先生  私も賛成です。例えば三尖弁でそういうことがあるのかもしれないという気がするの です。 ○職認官  そういう場合は診断がつかないのではないかという気がして、ものすごくわかりやす いというか、割り切った書き方をしてみたのです。 ○笠貫座長  心不全症状が出ているわけですから。 ○職認官  NYHAの1程度の心不全という場合です。 ○笠貫座長  「心不全等の症状が出現しているものは、療養を継続する」となっていますので、そ の場合ある程度治療をしたところで安定して、NYHA分類I度になったときは治ゆになる のではないでしょうか。弁損傷があって心不全が一度出て、それを治療して、安定し て、さらにNYHA心機能分類Iになっている場合は治ゆがあり、そのときに障害等級をど うするかということですが、どうでしょうか。11の9ぐらいですか。 ○西村先生  11の9ぐらいにするかどうかですね。 ○笠貫座長  心不全症状で治療が必要だというのは、弁損傷としては、ある程度のものでないと心 不全の症状は出てこないですから。そうすると11の9でもいいのかなという感じはす るのです。  他に、心臓外傷のところで問題になるのは、奥平先生、何かありますでしょうか。 ○奥平先生  外傷のところの用語の使い方では法医学がいちばん厳密なんですね。私は警察学校で 法医の講義を何年かやったことがあるものですから、そういう観点からいくと、心筋損 傷や心膜損傷のところの記載は、雑ではないかという感じがいたします。例えば、心筋 損傷の態様で、胸部に鈍的外力が加わったことにより生ずるものは、鈍円鈍稜の個体に よって生ずる損傷は挫創傷というのです。ですから挫傷でいいんですが、挫傷のとき に、その次の行に「心筋挫傷には心筋組織の出血を伴うものと、伴わないものがある 」。挫傷というのは、鈍円鈍稜の個体によって組織的連続性が断たれた状態ですから、 出血がないということは考えられないのです。損傷のいちばん軽いものの一つが出血で すから、出血を伴わないものがあるというのは、損傷論からいって妥当なのだろうかと いう感じがいたします。ここのところは書き直したほうがいいのではないかという感じ がします。  (6)の心膜のところでは、破裂した心膜は治療が行われて閉塞、治癒するためとあ りますが、これは閉塞ではなく破裂部が閉鎖クローズされるということだと思うので す。ここのところにいろいろ書いてありますが、例えば伝導系が損傷した場合を心膜の 損傷のところに入れるのは適当なのだろうかということもあります。心膜の破裂の後遺 障害については、心不全症状の有無によって判断する、そのぐらい簡単な記載でいいの ではないかと。実際に病理解剖でみますと、いちばん多い心膜の病気は結核、尿毒症の 線維素性心外膜炎がいちばん重篤で、あと化膿性心外膜炎があります。そのほかでは、 心外膜にはmilk spotといって心外膜炎のあとのようなものは、年をとればほとんどの 人の心臓に見られ、それはあっても機能障害になっていないです。ですから、心膜の破 裂ではなく損傷にして、損傷があって後遺障害があった場合には、それに伴う心不全症 状の有無によって判断する、というくらいのところでいいのではないかという感じがい たします。  損傷の用語については、もう少し検討した方が良いと思います。 ○横山先生  21頁の(イ)弁置換術が行われたものというところ、そのいちばん最後に「弁置換術 に生体弁を用いることがある、これは、概ね70歳以上の高齢者が適応となるものでがあ ることから、認定基準を検討する必要性に乏しい」と断定しています。専門検討会の結 論というのは、将来しばらくの間持ち続けると思いますので、70歳以上の必要性に乏し いを取って、適応となるものであるで切って、次に実際の実務に当たる方が考える余韻 を残しておいたほうが。いまこの時点で断定してしまうと、先行きこの委員会の存在価 値が乏しくなってくるのではないでしょうか。 ○笠貫座長  生体弁についてはワーファリンは要らないということでいくと、治ゆになるというの が高本先生のご意見でしたね。 ○職認官  この文章自体は高本先生のご意見がそのまま反映されているわけではありません。私 どもは機械弁については治ゆにならないのではないかということですが、高本先生のご 意見と違っております。  生体弁についても、原則はこういうことなのですが、妊娠を望む女性については、ワ ーファリンを飲ませないために、あえて寿命が短いリスクを負ってでも生体弁を使うと いう選択肢がありますと。そういう意味でも、こういうようには言えないよというご指 摘をいただき、かつ、ワーファリンを飲むことによって結論が変わってくるのであれば 機械弁と生体弁の結論は違ってくるのか、それもどうなのでしょうかね、ということも 言っておられました。生体弁については、労災の障害認定では検討する必要がないのだ ということになればそれはそれでいいのですが、そうでないとすれば、機械弁について は先ほどのような理屈で治ゆしないですと言った場合には、生体弁については治ゆにな って、かつ障害もないという結論になった場合には、両者の取扱いの違いは妥当なので しょうかというところをご検討いただく必要があるかと。 ○医療監察官  生体弁も機械弁も性能としては、ほとんど同じだという理解でよろしいのでしょう か。 ○職認官  両方とも性能としては相当いい。ただ生体弁は持たないです。寿命が短いというか何 年か経つと壊れてくる。 ○医療監察官  それだけの話であれば機能的に問題はなくて、あとは再発を認めればいいというだけ の話ですね。 ○笠貫座長  生体弁のときは治ゆがあって、そのときの心機能にどの程度の、先ほど西村先生がご 指摘になった仕事上の制限があるかということで障害等級を作って、生体弁を換えると きは、またそこで再開するのですね。 ○職認官  弁といっても違う性格の弁なので、扱いが必ずしも一緒でなくてもおかしくない、と いう整理の仕方も当然あり得ると思います。 ○笠貫座長  先ほどワーファリンということで治ゆなしとしたわけです。そうすると生体弁の場合 には、自ずと機械弁とは違った判断が出てもやむを得ないと思いますが、西村先生、そ ういうことでよろしいでしょうか。 ○西村先生  先ほどの考え方だと、そうなりますね。もう少し遡ると、弁があるかないかによって どうなんだということになると思います。生体弁は機械弁に比べて長持ちしないわけで すから、その危険度は、違ってくる。 ○課長補佐  寿命がきた場合には、それを別のものに換えていくことを何回か繰り返すわけです。 ○西村先生  5年持つのを4年目で換えてしまったわけですね。 ○課長補佐  そういうことです。 ○西村先生  こっちは20年持ちましたと。 ○課長補佐  その辺は、労務に対する制限はないが、寿命がくるということであれば。普通の考え でいけば、そのときの治療というか、手術は当然労災でできるのですが、それで特段何 も障害がなければ、障害としては払えない。だから5年ごとの手術代が、入院時の費用 と手術代は労災の対象ですが、それ以外は労災の対象ではないという整理がいちばん妥 当なのかなと。 ○西村先生  もちろん可能です。 ○笠貫座長  生体弁で過激な作業はできますかというと、機械弁と同じように完全な制限なしとは しないですから、そうすると11の9というのが出てくるかもしれないので、それを検討 していただき、機械弁と生体弁は違った方向で検討を進めることにさせていただきま す。  先ほど奥平先生から出血の問題、特に法医病理側から見た出血と、外科サイドから見 た出血の表現の仕方が多少違うのかもしれませんので、これは高本先生と、いまのご指 摘を受けて検討したいと思います。 ○奥平先生  出血を伴わない場合ということで、心臓の損傷があるとすれば脳震盪に対応する心臓 震盪、commotio cordisという病気があるのです。それは一過性のもので形態的変化は 何も出血も残さないというものです。そういうときは後遺症を残さないのが原則になり ます。勝手なことを述べましたが、高本先生に教えていただきながら協力させて頂きた いと思います。 ○笠貫座長  心膜損傷については、そういう方向でご検討いただくことにしたいと思います。心臓 外傷は次回高本先生のご出席の下で、改めて最終的な検討をしたいと思います。  その他ですが、文章の修正等について事務局からご説明をお願いします。 ○職認官  時間の関係もありますので、内容的には、外傷については高本先生に加わっていただ いた上で改めてということを除いて、一応ざっとご検討いただきました。次回は4月末 で、少し時間が空きますので、事務局で、何回もご指摘をいただいています文章のチェ ックといいますか、点検も行った上で、大きく冠動脈疾患と不整脈系統と外傷系統を3 先生によくご覧いただいた上で、奥平先生にもご相談させていただいて、次回はそうい うレベルのものを出すよう進めたいと思います。  細かい文章の修正は省略させていただき、ご報告をした上でご意見を確認させていた だきたい点が1つあります。心筋梗塞後にペースメーカーまたは除細動器を植え込んだ 場合の取扱いです。9頁、ペースメーカーを最終的にどこに書くかという記述の順番の 話はペンディングの状態ですが、心筋梗塞後に植え込んだ場合の取扱い、実質的な問題 として従前そういう場合には総合的に評価をして、これが胸腹部臓器の障害として1ラ ンク上の障害になるかどうか。具体的には7級になり、あるいは5級になるかという問 題として考えられますということで、そこまでは至らないのではないか、引き続きとい うか、7級と9級という評価で妥当なのではないかというご議論をいただきました。そ の後ほかの臓器の取扱いの検討が進んでまいり、事務局の中で少し整理をし直し、労災 保険制度でいうところの、こういった2つの障害がある場合の取扱いの中で、併合の方 法を用いて準用等級を定めるというルールを当てはめて等級を決定するのが素直ではな いかということで、結論としては、心筋梗塞後にペースメーカーを入れた場合には準用 第8級、除細動器を入れた場合は準用第6級にしていただければと。全体の整理との中 でこの場合についてもこのようにさせていただくと整理がいいという観点からのご提案 で、支障の実像として、それは高すぎる、低すぎるというのは先生方からご意見があれ ばと思い、お諮りをさせていただきたいと思います。前回は9級、7級のままでいいの ではないかということでしたので、変更についてのご提案です。 ○笠貫座長  ただいまのは併合するという考え方ですが、西村先生、いかがでしょうか。 ○西村先生  他とのバランスなんですね。他の臓器の障害との。 ○課長補佐  障害にもいろいろあるわけですが、同じ観点で評価するときには、それよりも1つ上 か下かという話ですが、障害として別なものが2つあった場合には、高いほうを1つ繰 り上げる考え方があります。生殖器も、例えば勃起障害と射精障害があった場合、1つ 繰り上げています。 ○医療監察官  全然違うメカニズムで違う障害が出ますというときに、射精障害だけの人と勃起障害 だけの人と、それぞれ9級程度はどちらも持っているのですという人が全く同じでいい のかというと、全然違うところからきて違う支障を持っているということであれば、原 則は上げますということなので、上げたほうがいいのではないかと。今回の場合も、治 療として下げるというのはあるのですがそれとは別に、今回着目しているのは、心臓の 病としてはほとんど良くなっていますが、入れたことによって特定の作業に就けないと か、特定の行動が制約されるのですということに着目しての評価と、一定のものをする と、それ以上やると心臓が悪くなるからやめておきなさいという、2つの制約があるの ですということであれば、原則どおりの評価をしてあげたほうがいいのではないかと。 逆によほど理屈がないと、原則とは違うような評価の仕方は少し難しいのではないかと いうのが事務局のご提案です。 ○笠貫座長  臨床の現場からいうと、この形のほうが患者にとってはいいだろうと思います。この 前は、難しいという判断で併合をやめたという感じもありましたので、ほかの所との整 合性がつけば、そういうことでよろしいと思うのですが、よろしいでしょうか。                   (了承) ○笠貫座長  それではそういう形でお願いします。 ○課長補佐  そろそろ全体がまとまりかけてきましたので、次回は他の臓器の部分も含め、いまど うなっているのかを1回出します。他の臓器の障害と比べて比較が必要になってくると 思うのです。その中で、これはちょっと高すぎるのではないかという話が出てくる可能 性はあるのですが。いま心臓だけで考えると、8と6の評価をすることによって著しく バランスを崩すことはないのではないかと思っていますので、とりあえず、そのような ことでいけるのではないかと思っています。 ○笠貫座長  ほかにご意見がなければ、現時点ではお認めいただいたという形で進めていただきた いと思います。それでは時間がまいりましたので本日の議論はここまでとしたいと思い ます。事務局には今日の議論も踏まえて次回修正したものをご提出していただきたいと 思います。  次回の日程をお願いします。 ○職認官  次回は4月25日(月)16時からです。次回は5人の先生方、皆さんにご出席いただけ る予定になっておりますので、是非、仕上げの会にしたいと思っております。 ○課長補佐  次回までには期間があきましたので、文章のやり取り、また、担当をうかがわせて直 接ご意見を伺うような形をとりながら、次回は、ここは座長一任というぐらいのものに 仕上げたいと思っておりますので、是非、ご協力をお願いしたいと思っております。 ○笠貫座長  横山先生や奥平先生からご指摘が度々ありましたが、日本語の難しさを循環器のワー キング・グループとしては十分認識した上で、また、事務局には4月25日までにまとめ ていただきたいと思います。それで4月25日を最終の、このグループとしての会にした いと思います。それまでにも両先生にお教えいただけたらと思いますので、よろしくお 願いいたします。  それでは、本日はどうもありがとうございました。            照会先 厚生労働省労働基準局労災補償部補償課障害認定係                TEL 03−5253−1111(内線5468)                FAX 03−3502−6488