第22回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成17年3月23日(木))


1.委員の出欠
全委員出席。

2.概要
(1)わかりやすい表示方法について

事務局より資料1について説明。

 座長: 共同会議で昨年末にとりまとめた報告書について事務局にてパブリックコメントを実施し、その結果をとりまとめたものである。ご意見等お願いする。

 委員: 事前に送付された意見を読んで勉強になった。意見に対する考え方の記述で感じたことは、「Q&Aで明確化」のような文言が多いこと。以前共同会議で検討した原料原産地表示について、後日まとめられたQ&Aでは理解が難しい点や自分の思っていた概念と違った方向になっていたものもあった。Q&Aについても目を通す機会を設けて頂きたい。また、報告書では電話番号を記載することが提案されているが、問い合わせ担当者の時間的制約を考えると、メールの方が対応しやすいと考える。

 座長: Q&A検討のプロセスをどうするか。

 事務局: Q&Aについては、細かい話で共同会議の議題として取り上げづらいところがあり、事務局で作成している。ご指摘のとおり、Q&Aについても作成途中の段階でご相談したい。また、メールアドレス記載の件については、ご指摘を資料に反映させたい。

 座長: 資料が最終版になる前に共同会議委員に見せて頂きたい。その他のご意見はあるか。

 委員: 食品アレルギーの検査をする立場としては、幕の内弁当などは、ご飯も含めた全ての食材を対象として検査しなくてはならないことになっている。

 座長: 報告書のP13では例3を推奨するが、例1,2でも可と読めるが、それでよいのか。Q&Aで明確化するのか。

 事務局: 昨年末にアレルギーの報告書をとりまとめて頂いたが、その際には弁当の表示まで踏み込んでいない。アレルギー表示は例1,2で法律上の表示は満たしており、例3については業者の判断で表示していただければと考えている。検査に係るご意見は今後の参考としたい。

 座長: 以前も議論したが、幕の内弁当などの場合、おかず同士の接触によるコンタミの問題もある。そのため、個別表示でもそのおかずだけ検査して済むということにはならないかもしれない。個別の容器に入っているか、接触しているかを考えなくてはいけないだろう。アレルギー患者は一つ一つに表示することを望むが、見やすさと個別情報の必要性を勘案すると、例3は製造者側が企業イメージを高めるための表示方法として進めるべきと考える。その他にもご意見はあるか。

 委員: 資料1のP2に期限表示についての意見があるが、製造年月日と賞味期限の表示を両方表示することの難しさは抜きにして、賞味期限後であっても食べられるということをある程度判断するためにも、製造から賞味期限までの期間を表示することを提案の一つとして入れて欲しい。
 また、提案8に柏の葉は表示不要との提案があるが、ソーセージのケーシングについては今でも表示されていない。ケーシングはそのまま食べるものであるし、最近ではコラーゲンケーシングなどといったものもある。ゼラチンとコラーゲンの違いは不明瞭だがアレルギー表示の対象となるようなものもあるので、容器包装であるかは疑問である。飴をくるんでいるオブラートは容器包装か。一緒に食べるものが表示されていないのはおかしいと思うので、Q&Aで明確化して欲しい。
 また、特に天然系のものだが、添加物か原材料かわからないものがある。

 座長: ケーシングについて現行基準ではどうなっているのか。製造年月日については必ずしも一括表示欄に表示するのではないにしても、表示してもいいのでは。

 事務局: パブコメでも製造年月日と期限表示を併記して欲しいという意見はいただいている。今回の一括表示様式の弾力化により、製造年月日に限らず開封後の期限などについても、事業者の判断により一括表示への記載が可能となる。ご指摘の期間表示についても、一括表示内に表示することが可能である。
 また、ケーシングを容器包装と捉えるのはJASの考え方ではないが、報告書では表示を省略できるものとして、食さないという観点から柏の葉を例示した。ケーシングなど食するものを省略して良いかは疑問。整理することが必要と考える。

 事務局: ケーシングについては、今後、内容を確認させていただきたい。

 委員: 製造者の立場から発言する。提案3の特色ある原材料の範囲がわかりにくい。この報告書では「強調表示されている原材料」について割合表示を行うこととされているが、それでは何も強調表示できなくなるおそれがある。表現の自由は大切である。Q&Aにおいて、その都度これは割合表示が必要といった判断をされると困る。提案の文言を詳しく書くべき。

 座長: 同様の意見はパブコメでも寄せられている。委員の方から具体的な提案はあるか。

 委員: 報告書の表現では何が義務表示となるのか曖昧である、という意見を聞いている。報告書に示してある例に留めるとか、もっと絞るとか、限定的にすべき。Q&Aの世界にしてしまうと、製造者としては、はっきりここまでと判断できなくなる。特色ある原材料の対象範囲を広げること自体には賛成だが、どれくらい広げるべきかは更に検討が必要ではないか。できれば今回は結論は先送りして欲しい。

 委員: この報告書では「強調表示されている原材料」について割合表示を行うこととされており、かなりの商品が該当することになると思われる。「○○使用」や「○○入り」などの表示に割合を併記すると、逆に消費者に誤認を与える可能性もある。例えば、「黒酢入り」と表示された商品にどれくらい黒酢が含まれているかという問い合わせは多く、データを見て回答するが、「それだけ?」と言われてしまうこともある。実際には多いと酸味が強すぎてとても飲めなくなるのだが、消費者と製造者の考えにギャップがある。もう少し整理が必要ではないか。

 委員: 確かにここは引っかかる部分だ。どのような表示が強調に当たるのかの判断も難しい。ここまでと明確に示す必要がある。商品ごとの実情を把握しないと線引きも困難だろう。

 座長: 特色ある原材料の範囲を広げるという方向は良いが、具体的な範囲についてはこの場で結論を出すことは難しそうだ。Q&Aの作成過程で検討することとしたい。

 事務局: 困難であることはパブコメからも伝わってくる。例えば、書面提出意見の34では、『「しょうゆ味」、「チーズ入り」、「牛タン入り」などの表示も、特色ある原材料を強調していると判断されるのか。』とあるが、事業者としては商品の特性を示すために表示しているのであり、これが割合表示が困難なため表示されなくなると、消費者は不利益を被るかもしれない。一方で、「国産牛タン使用」という表示は原材料の特色を強調した表示であり、ここの整理はクリアである。曖昧な部分についてはもう少し事例を集めた上で、委員の皆様の意見を聞いて検討したい。

 座長: 提案3については、大枠については報告書のとおりだが、もう少し事例を集めていただき、具体的にどのように整理するのが良いのか、改めて検討することとしたい。その他にご意見はあるか。

 委員: 弁当の表示について、アレルギー表示を報告書の例3を基本とされると中小企業はとても苦しい。大手はできるから良い。例3は例1,2と共存すべきもので、例3の表示を基本とされると、間違いなく表示することは中小企業にとっては非常に難しい。アレルギー患者の意見はわかるが、ラベリングする側が間違わないような方法にしていただきたい。

 座長: 例3を基本とするというより、目標とするということ。わかりやすさ、見やすさをまず大事にしておかず表示を認め、その上でできるだけ個別の表示もしていただきたいということ。個別のおかずごとのアレルギー物質に関する情報がアレルギー患者から求められているのは事実であり、これに真摯に向き合うことが企業のイメージを高めることになるので、創意工夫をしながら、是非、例3のような表示をしていただきたいということである。


(2)遺伝子組換え表示対象品目の見直しについて

事務局より資料2について説明

 座長: 参考資料2−1のとおり、申請のあった遺伝子組換えアルファルファは食品としての安全性に問題はないとして、現在、食品安全委員会でパブリックコメントを募集中であるが、それに伴って、本会議で表示の側として手続きを進めてよいことになれば、パブリックコメント等、更に手続きを進めることになるので、ご議論いただきたい。

 委員: アルファルファの種子はほとんどアメリカから輸入されていると認識しているが、国内では生産されているのか。

 事務局: 国内で種子を生産しているとは聞いていない。通常は輸入した種子を使用しているのではないか。

 委員: 畜産草地種子協会によると、アルファルファ種子の増殖は難しく、高温多湿である日本はアルファルファ種子の生産には向いていない。飼料用種子は十勝のほ場で収穫して、海外のほ場で増殖し、日本に持ってくるのが手順であると聞いている。遺伝子組換え種子を日本で生産するのは可能性として薄いのではないか。

 座長: 食品としての安全性、飼料としての安全性、環境への安全性はそれぞれ別の委員会で議論されるが、食品安全委員会では、食品としての安全性に問題ないとしてパブリックコメントを求めているので、本日の会議では表示に関して手続きを進めて良いかどうかを議論して頂きたい。

 委員: 遺伝子組換えアルファルファは飼料用として開発され、食品として使用する可能性は極めて低いが、意図せざる混入がある場合があるということと、アルファルファを主な原材料とするものだけを対象とすることについての関係を再度説明して頂きたい。

 事務局: 加工食品の表示対象品目である「主な原材料とするもの」とは上位3位かつ5%以上の原材料であるとされているので、遺伝子組換えされたか否かにかかわらず、アルファルファを上位3位かつ5%以上の原材料としている加工食品は全て表示の対象になるという意味である。

 委員: スプラウトの場合は、ほ場での管理がどうかどのようにされるのかわからないが、遺伝子組み換えでないと明確なもの以外は、「不分別」と表示される商品が今後出てくると考えて良いか。
 また、健康食品の場合、カプセルや錠剤のものは、濃縮したものや固形の何種類の原材料が多量に使用されるので、上位4位なら5%以上であっても表示されず、消費者は知らずに食することになるのではないか。

 事務局: 1点目の不分別になるのではないかという点については、種の段階で飼料用とスプラウト用をきちんと管理せずに入ってくるのであれば「不分別」表示になる。しかし、資料2−1〈参考〉にあるように、通常は飼料用種子とスプラウト用種子は確実に分けて販売される。遺伝子組換えアルファルファは除草剤耐性のものなので、除草剤をまかないスプラウトの場合は、遺伝子組換え種子を使用するメリットがないため、わざわざ使う必要性はないと考えられる。きちんと飼料用種子とスプラウト用種子を分けて管理されていれば、そのスプラウト用種子から生産したアルファルファは「遺伝子組換えでない」と扱うことは可能となる。2点目のご指摘の、4位以下や5%未満の原材料に使用されていれば表示義務がなくなるということは、ご指摘のとおりである。しかし、健康食品に遺伝子組換えのアルファルファを使用することはあまり想定できないのではないか。

 座長: その点について何か追加することはあるか。

 事務局: 参考資料2−3の7ページの「3遺伝子産物(タンパク質)が一日タンパク摂取量の有意な量を占めるか否かの関する事項」に、財団法人日本健康・栄養食品協会が策定したアルファルファ加工食品の規格基準における一日摂取目安量と一日蛋白摂取量の有意な量について記載されているので参考に紹介させて頂く。

 座長: アルファアルファが今回新たに表示対象になれば、従来の大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実と同じような表示の扱いになる。

 委員: 遺伝子組換えであっても食べられるものであり、排除すべきとの論調は避けるべきである。

 座長: 研究者としての立場のご意見を頂いた。その他、意見がなければ、共同会議として、厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会と農林水産省農林物資規格調査会総会に「改正案のように「遺伝子組換えアルファルファ」及び「遺伝子組換えアルファルファを主な原材料とする加工食品」を表示対象品目とするよう進めていただくことが望ましい」と報告させていただく。

 事務局: JAS調査会の場合は、資料2−3の新旧対照表の内容をこの場で承認して頂いて、JAS調査会総会に諮る仕組みになるので、念のためご紹介させて頂く。資料2−3の4ページの別表1の6番としてアルファルファを追加させて頂きたい。また、別表2の31番にアルファルファを主な原材料とするものを追加させて頂きたい。更に、最後に附則のとおり、移行期間は設けず、公布の日から施行するとさせて頂きたい。

 事務局: 資料2−2の3ページにあるように、食品衛生法施行規則別表第7に作物としてアルファルファ、加工食品としてアルファルファを主な原材料とするものということで改正させて頂きたい。

 事務局: この会議が終了次第、速やかにパブリックコメントの募集をする。パブリックコメントの募集は1ヶ月程度、WTOへの通報は2ヶ月程度要するが、その後それぞれの審議会に報告し、省令及び告示の改正をさせて頂く。なお、最終的に改正を行うのは夏頃を目途としている。

 座長: 共同会議の本来の目的でもあるが、両省同じ文言で改正をしていだだくことになる。食品安全委員会で、現在、パブリックコメントの募集を行っている食品としての安全性審査についても、両省の表示に関する省令、告示改正を待って、同時に審査が終了した旨が官報掲載される予定である。


(3)食品添加物の表示について

事務局より資料3について説明

 座長: 共同会議で食品添加物の表示は元々議論する課題になっており、今回は表示制度を変えるためということではなく、現状の表示制度について紹介ということで資料の説明をして頂いた。

 委員: 日本の表示制度では、添加物の表示順は重量の多い順になっている。添加物は使用量が非常に少ないので、厳密に重量順にすると間違えることもある。アメリカでは2%以下は順序を問わないことになっている。添加物自体は安全性が確認されているのだから、ここまで厳密にすることはないと前から疑問に思っている。

 事務局: 重量順を定めているのはJAS法になる。

 事務局: 今のような御指摘はもっともである。これから厚生労働省と相談し、実際にどういう形で整理できるのか検討していきたい。

 委員: 資料の一番上の欄の「表示の基本的ルール」であるが、諸外国では、食品素材と食品添加物は区別しないことになっている。一方、JAS法では、食品素材と食品添加物を分けて表示することになっている。「わかりやすい表示方法について」報告書13ページの図4でいえば、「pH調整剤」から添加物になると思われるが、仮に「グリシン」が先であると、どこから添加物になるのか一見分からない。前から気になっていたのだが、これは運用上諸外国と同じような形態にしているのか、それともやはり分けた方がよいと考えているのか。

 委員: 製造側からコメントすると、原材料表示の後ろの方の使用量はコンマ以下である。「わかりやすい表示方法について」報告書13ページの図4でいえば、「付け合わせ」まではかなりの目方があるだろう。通常食材までで重量の大部分を占める。添加物の使用量はコンマ以下である。表示順として食材か、添加物かは企業の判断で行っており、コンマ以下の原材料は全て表示の後ろの方に表示させている。しかし、添加物は使用量が少ないけれども全て表示することになっている。

 座長: 食材と添加物を現在の表示では明確に区別していないのが現状のようだ。

 委員: 消費者にわからないところがある。1つは重量順の話である。例えば調味料の重量というのは、グルタミン酸ナトリウムのような物質の重さで判断しているのか、調味料の製剤の重さで判断しているのか。使うときのものとしての重量順なのか、含まれているものの濃度としての重量順なのか。もう1つはキャリーオーバーである。キャリーオーバーについては味とか香りとかについてはキャリーオーバーと見なさないとされているのか。

 事務局: 五感に訴えるものについては最終食品にも効果が残存しうると考えられるため、キャリーオーバーに該当しないと考えている。

 事務局: 重量順については、本日の資料1で添加物以外の原材料について議論を重ねていただいているが、議論されていない添加物についても似たような考え方は出来るのではないかと考えている。厚生労働省とも相談しながら、今後整理していきたい。

 座長: 本日、食品添加物の表示を説明していただいた。諸外国との比較の一覧表を見ると表示の基本的ルールの食品素材と添加物を区別するという点が異なる以外は、米国、EU、コーデックスと同じような制度になっており、直ちに改善しないと問題があるというものはなさそうだ。問題が出てくれば、また議論することとしたい。


(事務局から次回の第23回は5月25日(水)10:00〜の予定で開催したい旨、連絡。)

以上


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