食品添加物の表示について
○ |
食品添加物は、食品衛生法施行規則に従い表示されている。
・ |
記載順序(食品添加物は原材料の後に記載)は、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(以下JAS法という。)により定められている。 |
・ |
文字の大きさ(原則8ポイント以上)は、食品衛生法及びJAS法により定められている。 |
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○ |
使用した食品添加物は、原則、物質名で記載することになっているが、別途下記のような規定が定められている。 |
一般に広く知られた名称をもつ添加物の場合には、
物質名の代わりに簡略名・類別名での記載が可能。
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例 |
「L−アスコルビン酸ナトリウム」→「ビタミンC」
「炭酸水素ナトリウム」→「重曹」 |
食品添加物の主な用途である下記の8用途に該当する場合には、
物質名に加えて用途名の記載が必要。
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甘味料、着色料、保存料、糊料(増粘剤、安定剤、ゲル化剤)、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤 |
例 |
甘味料(キシリトール)
着色料(クチナシ色素) |
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下記の14種類に該当する場合には、
物質名の代わりに種類を示す一括名での記載が可能。
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イーストフード、ガムベース、かんすい、苦味料、酵素、光沢剤、香料、酸味料、チューインガム軟化剤、調味料、豆腐用凝固剤、乳化剤、pH調整剤、膨張剤 |
例 |
「クエン酸」→「酸味料」
「カフェイン」→「苦味料」
「レシチン」→「乳化剤」 |
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加工助剤、キャリーオーバー又は栄養強化の目的で使用されるものについては、食品添加物の表示を省略することができる。
● |
加工助剤
(定義)食品の加工の際に使用されるが、(1)完成前に除去されるもの、(2)その食品に通常含まれる成分に変えられ、その量を明らかに増加されるものではないもの、(3)食品に含まれる量が少なく、その成分による影響を食品に及ぼさないもの。 |
例 |
プロセスチーズ製造時に炭酸水素ナトリウム(重曹)を用いたとしても、加熱融解の工程で大部分が分解してしまい最終食品への残存はごく微量になる場合には加工助剤に該当 |
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● |
キャリーオーバー
(定義)原材料の加工の際に使用されるが、次にその原材料を用いて製造される食品には使用されず、その食品中には原材料から持ち越された添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。 |
例 |
せんべいの味付け用に、安息香酸(保存料)を使用したしょうゆを用いたとしても、当該添加物が最終食品であるせんべいの保存料として効果を持たない場合にはキャリーオーバーに該当 |
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● |
栄養強化
例 |
ビタミンA、βカロテン等のビタミン類
塩化カルシウム、乳酸鉄等のミネラル類
L−アスパラギン酸ナトリウム、L―バリン等のアミノ酸類 |
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これらについて、米国、EU及びCODEXと比較した一覧を別添として示す。
(参考法令)
食品衛生法
(昭和二十二年十二月二十四日法律第二百三十三号)
第 |
十九条 厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第一項の規定により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。 |
2 |
前項の規定により表示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。 |
食品衛生法施行規則
(昭和二十三年七月十三日厚生省令第二十三号)
第 |
二十一条 別表第三に定める食品又は添加物であつて販売の用に供するものの表示の基準は、次のとおりとする。
一 |
次に掲げる事項を容器包装(容器包装が小売のために包装されている場合は、当該包装。第五項から第八項まで、第十六項及び第十九項において同じ。)を開かないでも容易に見ることができるように当該容器包装又は包装の見やすい場所に記載すること。
ホ |
添加物(栄養強化の目的で使用されるもの、加工助剤(食品の加工の際に添加される物であつて、当該食品の完成前に除去されるもの、当該食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの又は当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないものをいう。)及びキャリーオーバー(食品の原材料の製造又は加工の過程において使用され、かつ、当該食品の製造又は加工の過程において使用されない物であつて、当該食品中には当該物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないものをいう。)を除く。以下ホにおいて同じ。)であつて別表第五の中欄に掲げる物として使用されるものを含む食品にあつては、当該添加物を含む旨及び同表当該下欄に掲げる表示並びにその他の添加物を含む食品にあつては、当該添加物を含む旨 |
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二 |
前号に掲げる事項の記載は、邦文をもつて、当該食品又は添加物を一般に購入し、又は使用する者が読みやすく、理解しやすいような用語により正確に行うこと。 |
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11 |
第一項第一号の規定にかかわらず、添加物を含む旨の表示は、一般に広く使用されている名称を有する添加物にあつては、その名称をもつて、別表第八の上欄に掲げる物として使用される添加物を含む食品にあつては、同表当該下欄に掲げる表示をもつて、これに代えることができ、別表第三第十一号ハに掲げる食品(別表第五の第八項中欄に掲げる物として使用される添加物以外の添加物を含むものに限る。)及び同表第十二号に掲げる作物である加工食品にあつては、当該添加物を含む旨の表示を省略することができる。
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12 |
第一項第一号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合にあつては、それぞれ当該各号に掲げる表示を省略することができる。 |
一 |
添加物を含む旨の表示中「色」の文字を含む場合 着色料又は合成着色料 |
二 |
添加物を含む旨の表示中「増粘」の文字を含む場合 増粘剤又は糊料 |
三 |
別表第三第十一号ハに掲げる食品にあつては、別表第五の第八項中欄に掲げる物として使用される添加物以外の添加物を含む場合 当該添加物に係る別表第五の下欄に掲げる表示 |
別表第五 (第二十一条関係)
一 |
甘味料 |
甘味料、人工甘味料又は合成甘味料 |
二 |
着色料 |
着色料又は合成着色料 |
三 |
保存料 |
保存料又は合成保存料 |
四 |
増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料 |
主として増粘の目的で使用される場合にあつては、増粘剤又は糊料
主として安定の目的で使用される場合にあつては、安定剤又は糊料
主としてゲル化の目的で使用される場合にあつては、ゲル化剤又は糊料 |
五 |
酸化防止剤 |
酸化防止剤 |
六 |
発色剤 |
発色剤 |
七 |
漂白剤 |
漂白剤 |
八 |
防かび剤又は防ばい剤 |
防かび剤又は防ばい剤 |
別表第八 (第二十一条関係)
イーストフード |
イーストフード |
ガムベース |
ガムベース |
かんすい |
かんすい |
酵素 |
酵素 |
光沢剤 |
光沢剤 |
香料 |
香料又は合成香料 |
酸味料 |
酸味料 |
チューインガム軟化剤 |
軟化剤 |
調味料(甘味料及び酸味料に該当するものを除く。) |
アミノ酸のみから構成される場合にあつては、調味料(アミノ酸)
主としてアミノ酸から構成される場合(アミノ酸のみから構成される場合を除く。)にあつては、調味料(アミノ酸等)
核酸のみから構成される場合にあつては、調味料(核酸)
主として核酸から構成される場合(核酸のみから構成される場合を除く。)にあつては、調味料(核酸等)
有機酸のみから構成される場合にあつては、調味料(有機酸)
主として有機酸から構成される場合(有機酸のみから構成される場合を除く。)にあつては、調味料(有機酸等)
無機塩のみから構成される場合にあつては、調味料(無機塩)
主として無機塩から構成される場合(無機塩のみから構成される場合を除く。)にあつては、調味料(無機塩等) |
豆腐用凝固剤 |
豆腐用凝固剤又は凝固剤 |
苦味料 |
苦味料 |
乳化剤 |
乳化剤 |
pH調整剤 |
pH調整剤 |
膨脹剤 |
膨脹剤、膨張剤、ベーキングパウダー又はふくらし粉 |
(別添)
食品添加物表示制度の諸外国との比較 2005.3.23
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日本 |
米国 |
EU |
Codex |
表示の基本的ルール |
使用した添加物を物質名で表示する(食衛法)
食品添加物以外の区分と食品添加物の区分に分けて、それぞれの区分毎に重量の多い順に表示する(JAS法) |
食品素材、食品添加物、GRAS物質の別を問わず、一般名もしくは慣用名を含有量の多いものから順に表示する
但し、2%以下の含量物はその旨の表示後に順不同に表示する
(21CFR101.4(a)) |
食品添加物は原則としてすべて物質名もしくはE番号を表示する
食品素材と食品添加物を区別せず全ての原材料を製造時点における比率の高い順に表示する
(EUDir2000/13/EC) |
食品添加物は原則としてすべて物質名もしくはINS番号を表示する
食品素材と食品添加物を区別せず全ての原材料を製造時点における比率の高い順に表示する
(Codex Standard 1-1985、1991改訂) |
表示方法 |
(原則)物質名 |
(原則)一般名、慣用名 |
(原則)物質名 or E番号 |
(原則)物質名 or INS番号 |
(物質名の代わりに)
簡略名・類別名
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簡略名・類別名
○ |
一般名、慣用名が類を示している添加物がある(カラメル、レシチン等) |
○ |
簡略名をCFRで規定 |
(21CFR101.22(k)) |
簡略名・類別名
○ |
物質名が類を示している添加物がある(アントシアニン類、カロテン類、炭酸ナトリウム類、脂肪酸塩類等) |
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簡略名・類別名
○ |
物質名が類を示している添加物がある(アントシアニン類、カロテン類、炭酸ナトリウム類、脂肪酸塩類等) |
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(物質名等と用途名併記)
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用途名併記
○ |
保存料,膨脹剤、イーストフード,パン生地調整剤,食感保持剤の5用途を規定 |
(21CFR101.4(b)) |
用途名併記
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用途名併記
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(物質名の代わりに)
一括名
○ |
香料、酸味料等14用途の食品添加物を省令、通知で規定 |
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一括名
○ |
香辛料(抽出物を含む)、天然香料、合成香料、ガムベース、チューインガム軟化剤 |
○ |
検定が義務付けられていない着色料(21CFR101.22) |
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一括名
○ |
香料,ガムベース(ガムベースは食品添加物の範囲外) |
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一括名
○ |
香料,ガムベース(ガムベースは食品添加物の範囲外) |
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○ |
文字の大きさを規定、原則文字サイズは高さ1/16インチ(約5ポイント)以上 |
(21CFR101.2) |
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表示が省略できる場合 |
加工助剤
定義:「食品の加工の際に添加される物であって、当該食品の完成前に除去されるもの、当該食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させる者ではないもの又は当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないもの」 |
加工助剤
定義:「食品の加工の際に添加されたが、(1)最終食品として包装する前に食品から除去されるもの、又は(2)食品中に通常存在する成分に変えられ、食品中に天然に存在するその成分の量を有意に増加させないもの、又は(3)最終食品中に極くわずかなレベルでしか存在せず、その食品になんら影響を及ぼさないもの」
(21CFR101.100(a)(3)(A) |
加工助剤
定義:「それ自身が食品原料として摂食されず、食品、原材料の処理あるいは加工にある技術的目的を達成するために意図的に使用され、その物質またはその誘導体が最終製品中に非意図的にしかし技術的に必然的に残存しても、それが健康に危害を及ぼさず、最終製品に技術的影響を及ぼさないもの」
(EUDir89/107/EEC) |
加工助剤
定義:「食品または食品原材料の加工の過程において技術上の目的で使用され、その結果、最終食品中にその残留物が非意図的に不可避的に残る可能性があるもの」
食品添加物には含められていない。 |
キャリーオーバー
定義:「食品の原材料の製造又は加工の過程において使用され、かつ、当該食品の製造又は加工の過程において使用されないものであって、当該食品中には当該物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないものをいう」 |
キャリーオーバー
定義:「最終食品中に僅かな濃度でしか存在せず、かつその食品中ではまったく技術上または機能上の効果を持たない食品添加物であり、そのものが技術上または機能上の効果を示した他の食品に用いられ、その食品が最終食品に用いられたためその食品中に存在する食品添加物」
(21CFR101.100(a)(3)(i)) |
キャリーオーバー
定義:「原料に含まれることによってのみ最終製品に存在するが、技術的な効果を発揮しない食品添加物」 |
キャリーオーバー
定義:「(1)原材料(食品添加物を含む)に対して食品添加物の使用が認められていて、(2)その量が許可されている最大量を超えておらず、(3)食品が、原材料より持ち越される量より多量の当該食品添加物を含有せず、(4)持ち越された食品添加物の量が食品中で効果を発揮するのに必要な量より有意に少ない場合」 |
栄養強化目的 |
間接食品添加物
(21CFR101.100(a)(3)B)
特定の規格食品(バター,チーズ,アイスクリームに用いられた着色料)
(21CFR101.22(k)(3) |
栄養強化剤は食品添加物の範囲外 |
栄養強化剤は食品添加物の範囲外 |
CFRとは、FDA(米国食品・医薬品局)が制定するCode of Federal Regulations(連邦規則集)のこと。