平成17年3月  日

中小企業退職金共済制度の運営改善に関する意見書(案)

労働政策審議会
勤労者生活分科会
中小企業退職金共済部会

 当部会は、中小企業退職金共済制度の意義、重要性を踏まえ、現状において早急に取り組むべき課題についての議論を重ね、今般この意見書を取りまとめたので、提出する。

1. 一般の中小企業退職金共済制度(以下「中退制度」という。)における現行の予定運用利回りは、やむを得ず設定しているものであって、その引き上げを図るために不断の努力を行う必要があること。

2. 付加退職金の支給率の決定に当たっては、累積欠損金を計画的に早期解消することが重要な課題と位置付けた上で、独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下「機構」という。)による中小企業労働者の加入促進、退職金原資となる資産の効率的な運用、経費節減に更なる努力を行う必要があること。

3. 厚生労働大臣及び機構は、上記1.及び2.の必要性を踏まえつつ、現行の中小企業退職金共済法の体系を前提に、次のような制度運用を行う必要があること。

(1) 退職金原資となる資産の運用については、各年度ごとに累積欠損金の解消と付加退職金の支給が可能となるような利回りを設定し、その利回りを達成できるよう更に効率的に行うこと。

(2) (1)を前提に、各年度で生ずる利益は、次のとおり処理すること。
(1) 利益の見込額が年度ごとに解消すべき累積欠損金の額の2倍に相当する額以上のときは、当該利益の見込額の2分の1に相当する額を累積欠損金の解消に、残りの2分の1に相当する額を付加退職金に充てる。
(2) 利益の見込額が年度ごとに解消すべき累積欠損金の額の2倍に相当する額を下回るときは、まず当該利益の見込額のうち年度ごとに解消すべき累積欠損金の額に相当する額を累積欠損金の解消に充て、残額を付加退職金に充てる。

4. なお、累積欠損金解消までの年数、年度ごとに解消すべき累積欠損金の額及び目安となる利回りの設定に当たっては、
(1) 中退制度の健全性を重視し、累積欠損金の解消は時間をかけずに行うべきであるという意見があったこと、
(2) 累積欠損金の解消は重要であるとしても、平成14年の建議を踏まえつつ時間をかけて行うべきであるという意見があったこと、
(3) 効率的な運用を目指す必要があるが、同時に過度に高いリスクは取るべきでないという意見があったこと、
 に留意する必要があること。

5. 平成17年度に係る付加退職金の支給率の決定においては、年度ごとに解消すべき累積欠損金の額は、180億円とする。

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