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資料1
標準的電子カルテ推進委員会資料


電子カルテシステムが医療及び医療機関に
与える効果及び影響に関する研究(報告)


課題番号H15−医療―052

主任研究員  阿曽沼 元博
 梅里 良正
 小出 大介
 中村 清吾
 開原 成允


電子カルテシステム普及のための施策について(報告)

標準的電子カルテ推進委員会
委員  松原 謙二
 阿曽沼 元博


電子カルテシステム化のレベル(JAHIS段階的定義)


システム化レベル 具体的システム化 コメント 割合()内病院数
【研究班アンケート調査結果】
レベル1 部門内において電子化された患者情報を扱うレベル 例えば、医事システムや検体検査システムなどの部門システムは稼動しているがその連携は紙の伝票で行われているケース。 3.3% (2)
レベル2 部門間をまたがる電子化された患者情報を扱うレベル 医事システム・薬剤システム・検体検査システム・給食システムなどの部門システムが少なくともシステム化され、医師入力のオーダリングが実施されているケース。
このレベルも他のオーダ種別や他部門のシステム化の有無などにより、レベル間に差がある。
43.3%(26)
レベル3 一医療機関内の(ほとんど)全ての患者情報を扱うレベル 一般的に電子カルテシステム導入といわれるレベルで、フルオーダ及びほぼ全部門のシステム化が行われ、紙のカルテや看護記録、画像情報が電子化されている。
また厚生労働省が求めている3原則に対する対応も出来ていることが必要である。
36.7%(22)
レベル4 複数医療機関をまたがる患者情報を扱うレベル 電子カルテシステム化された医療機関と、例えば地域の診療所とが紹介状やカルテ情報のやり取りやインターネットなどを介した予約システムが行える。 8.3% (5)
レベル5 医療情報のみならず、保健福祉情報もあつかうレベル 一般病院と長期療養系の病院、更には介護老健施設などの福祉施設などとも情報連携が出来ている。また健診情報との連携や患者宅との連携までも視野にいれたネットワクシステム。 0.0% (0)


電子カルテシステム構成概念(JAHISレベル3の対象範囲)


図


電子カルテシステム情報連携図(JAHISレベル3の対象範囲)


図


電子カルテシステムの導入コスト(調査13病院よりモデル化)(1)


図


モデル化された病院像(調査13病院よりモデル化)


項目 病院プロフィールの概要
・病床規模及び外来患者規模 500床、1200人/日平均・外来
・診療科及ぶ部門状況 23診療科を有する総合病院で、救急、ICU/CCUを含む中央診療部門を有する。
外来及び病棟、PACSを含め各部門は全てIT化対象となっている。
・経費として含まれる機器 LAN,再来受付機、POSレジ、自動入金機、患者案内表示板
・対象外の各種機器 放射線診断及び治療機器(モダリィティー)、自動分析器、内視鏡等ME機器、自動調剤機やピッキングマシン等の機器は見積もり対象外である。
・システム機能の概要 診療支援(狭義の電子カルテ)
 ・SOAP入力、テンプレート、シェーマ、クリニカルパス、退院時サマリ、カルテWEB参照、患者プロファイル、患者基本(アレルギ等)属性等
 ・看護プロファイル、病棟日誌/看護管理日誌、看護ワークシート、看護勤務表、温度盤、看護計画等・バーコート患者確認(セーフレィーマネジメント) 、インシデント&アクシンデントレポート
オーダリング
 ・病名、予約、処方、注射、処置、放射線、手術、輸血、検体検査、生理検査、病理、内視鏡、放射線、病棟移動、給食等
文書管理
 ・診断書、説明書、同意書、紹介状、保険関係書類、 院内文書一式等
部門システム
 ・医事、放射線、給食、薬剤、検体検査、物流、輸血、病理、内視鏡の部門システム及び、手術、ICU/CCU、救急、生理部門とはシステム連携のみ(部門システム含まず)
その他
 ・レセプト電算処理、原価管理システムを含む
 ・機器の設置導入費用、LAN及び無線LAN工事費を含む
・システム構成上の配慮 CPUはクラスタ構成、ファイル2重化等の安全性対策を講じる。またシステム構成技術とし てはサーバ・クライアント方式。病棟は無線LANによりベッドサイドでの業務運用が可能。 更に、整形・呼吸器・術前カンフェレンス室・病棟・医局には高精細2モニタを設置。


電子カルテシステムの導入コスト(調査13病院よりモデル化)(2)


初期導入経費は通常、買取契約かリース契約となる
リース契約の場合は5年リースが一般的で
料率としては、1.75%程度である
月額に換算すると、31,500千円となる
従って5年間の総支払額は
31,500千円×60ヶ月=18億9000万円となる
運用経費に関しては・・・
24時間運用サポートの人件費以外は
通常一年間は無償期間と設定されるため
初年度経費は48,000千円となり
5年間トータルでは4億4800万円となる
従って、5年間の総必要経費は
18億9000万+4億4800万=23億3800万円となる


電子カルテシステムの導入コスト(患者一日の負担額)(3)


患者数で考える場合は
500床の平均稼動率を83%とすると
平均入院患者数は415人となる
外来の患者数は1200÷3=400人となる
従って一日平均の患者数は、415+400=815人となる
患者一人当たりの経費を出す場合は・・・・
5年間の電子カルテシステムへの総支出経費を
5年間の延べ患者数で割ると算出できる
5年間の延べ患者数は
815人×25日/月×12ヶ月×5年間=122万人となる
従って患者一人当たりの負担(入院1日分相当)は
23億3800万÷122万人=約1,916円となる

今後はこの患者数当たりでの比較評価がされるべきである


電子カルテシステムの導入コスト(医業収入の何%?)(4)


このクラスの入院・外来の日当点を設定してみる
外来一患者当り診療費は:8,000円(院外処方)
入院一患者当り:40,000円(各種加算所得済)とする

従って年間の医業収入は88億5600万円となる
{(1,200人×8,000円×25日)+(415人×40,000円×30日)}×12ヶ月
(都市部の医療機関では1.2倍程度となるため、
約106億円の医業収入がみこまれる)

先に5年間の必要総経費は23億3800万円
5年間の総収入は

88億5600万円×5年間=442億8000万円となる
従って、医業収入の約5.2%となり高負担
(23億3800万円÷442億8000万円)
都市部の高収益病院であっても
23億3800万円÷(106億円×5年間=530億円)=約4.4%と高負担である。


ベンダー別の基幹系システム初期導入経費調査


導入ベンダ 病院数 割合 経営主体別導入状況
メーカー系A社 11病院 18.3% 国公立=3 公的=3 民間=5
ソフト系ベンダーB社 10病院 16.7% 国公立=0 公的=0 民間=10
メーカー系C社 5病院 8.3% 国公立=1 公的=2 民間=2
ソフト系ベンダーD社 4病院 6.7% 国公立=1 公的=1 民間=2
ソフト系ベンダーE社 4病院 6.7% 国公立=0 公的=0 民間=4
その他メーカー系 3病院 1.7% 国公立=1 公的=1 民間=1
その他ソフト系ベンダー 11病院 18.3% 国公立=2  公的=2  民間=6  他=1
その他未回答 12病院 20.0% 国公立=6 公的=0 民間=5 他=1


開発担当ベンダー選定理由調査結果
60病院での複数回答


ベンダ選定理由 病院数 割合
ベンダーの実績  34病院  61.8%
価格  35病院  63.6%
SEの質 7病院 12.7%
ベンダー対応 19病院 34.5%
その他 18病院 32.7%


ベンダー別の基幹系システム初期導入経費比較(1)
基幹系のみ(部門系は除く) 【機能レベルの評価は行っていない】


図


ベンダー別の基幹系システム初期導入経費比較(2)


病院名 患者規模 対医業収入比 患者一人当の
負担
開発担当ベンダー
民間C病院 887人 5.26% 2,036円 メーカー系A社
民間D病院 136人 2.49% 1,087円 ソフトベンダ系B社
公的E病院 688人 2.99% 1,131円 メーカー系C社
公的F病院 731人 2.20% 962円 その他ソフトベンダー系
公的G病院 838人 2.31% 1,270円 メーカー系C社
民間H病院 766人 1.91% 590円 メーカー系A社
公的I病院 770人 2.96% 732円 その他メーカ系
民間J病院 626人 0.99% 556円 ソフトベンダ系B社
民間K病院 665人 1.15% 376円 ソフトベンダ系B社
民間L病院 155人 0.62% 436円 ソフトベンダ系D社
民間M病院 162人 4.37% 1,826円 ソフトベンダ系E社
*本表の各病院における各業務の機能レベルでの比較は行っていない。


電子カルテシステムの導入コスト(経年変化)


図


プロジェクトメーキング失敗の法則


  阿曽沼版プロジェクトメーキングの失敗・7つの法則
(1) WGをたくさん作り、各部門取りあえず公平に参加し、部門関係者優位となる。
(2) WGが意思決定機関と思い、要望すれば全て実施してもらえると勘違いする。
(3) WG参加のメンバーはただ単に各部の利益代表で、組織全体を考えられない。
(4) IT化のリーダ-に、病院組織の分かる人ではなく、ITが得意な人を選んでしまう。
(5) 組織全体のBPRに関わる問題はなるべく避け、現状温存の計画を立ててしまう。
(6) 肩書きがあり、声の大きな人に惑わされ、本質的な課題を見過ごしてしまう。
(7) 例外的な運用・処理・事象に囚われ、基本的な運用検討が後回しになる。


システム導入は上流工程が命


図


ベンダ−選定のポイント&視点


ポイント チェックポイントと選定の視点
(1)コストパフォーマンス 費用対要求仕様充足度をジックリ評価。要求に対する回答書を求め、実施可能・不可能の前提条件を確認し納得する。
(2)担当SEリーダの資質 システム開発は人で決まると言っても過言ではない。説明に来るSEではなく、担当するSE/プロジェクトリーダの資質を吟味。
(3)ベンダーの導入実績 導入先の実態調査が重要。課題を整理する必要あり。そしてその課題の原因が病院側なのか、ベンダー側なのかをよく認識。
(4)標準化意欲と対応度、 標準化がシステムの価値を上げる。 レセ電算マスタ、ICD−10標準病名マスタ、XML,DICOM,J-MIX,MML等々の採用。
(5)提供パッケージの機能 操作性&提供機能、提供ツール(テンプレート、シェーマ、文書、マスタ、オーダ、SOAP、クリニカルパス、等)
レスポンス(構成技術の確認)
(6)開発支援&アフタ対応 操作教育・本番シュミレーション・本番時対応等の開発支援内容。
安定稼動までの対応・運用支援・障害時即応体制の可否等。


BSC構築Step1:目標設定の観点


先ず最初に、組織のビジョン・組織戦略・組織目標設定


BSC構築Step2:各視点の目標〜


患者
の視点
患者満足度・QOLの向上
保健・福祉と医療の連携強化
医療情報の透明性確保・・・等々
戦略マップ
の作成


↓

KPIの設定
KPIのウェイト付け

各KPI&視点間の
関連づけ


↓

各部門・分野別
KPI設定
→
導入前

今年度

実績値確認
導入後

次年度

目標設定値
具体的アクションプランの設定
財務
の視点
疾病別、個人別原価管理の徹底
病院会計準則に基づく財務対応
急性期等各種加算取得・・・・等々
業務プロセス
病院機能
の視点
クリニカルパス導入、標準化推進
効率&機動力向上(病床・手術室)
事務管理徹底(未集金・レセ返戻)
情報共有(カルテ、経営目標)等々
意識改革
人材開発
の視点
人材確保・育成策策定・実施
職員満足度向上策策定・実施
組織風土改革・各委員会実施


BSC構築Step3:戦略マップの組立


図


BSC構築Step4:KPI&目標値設定


4つの視点 KPI選定の視点(インディケータ群) KPIの例 備考
患者の視点
(満足度)
患者のActivityを示す群
患者のConditionを示す群
患者にならない住民(不満足)を示す群
検査、画像診断待ち日数
患者情報把握率(CRM)
在院日数と患者状態
新患伸長率&リピート率
救急医療の紹介・受入れ率&伸長率
クリティカルパス適合率
地域での来院、入院率
地域外来院患者数  等
患者満足度調査の定期実施
地域住民病院イメージ調査の実施
電子カルテシステムのイメージ&満足度調査
財務の視点
(健全性)
Stockの状態を示す群
Flowの状態を示す群
その他の群(健全性・安定性等)
有利子負債金額推移
固定長期適合率
自己資本率
収益率&人件費率等
付加価値率
各医用機器稼働率
医療原価(疾病別・医師別・患者別等)
入外診療単価増減率 等
付加価値率
【=医業収益−(材料費+経費+減価償却)/医業収益】
電子カルテシステム導入との関連率(ウエイト付け)がポイント

公立では内部留保推移&減価償却前収支
病院機能
の視点
治療プロセスを示す群
事務管理業務プロセスを示す群
経営管理プロセスを示す群
クリティカルパス適合数・率推移
インシデント発生件数(重要度別件数推移)
平均在院日数の推移と患者アウトカム変化
加算基準取得状況
レセプト返戻率、査定率
事務管理マンパワー 等
その他下記項目
医師、看護師一人当診療人数
病床管理状況
入院後手術待ち日数
紹介率推移

カルテ(払出し)アクセス回数&利用時間や職種別利用状況も重要
人材開発
の視点
パフォーマンス向上に寄与する群
事故&過誤防止に寄与する群
標準化&質的向上に寄与する群
一日当り診療数&手術件数推移
治療における標準化度合
学会認定、論文数
看護)患者対応時間
能力開発研修開催状況
クリティカルパス新規開発 等
その他
Peer Reviewの効果を計る指標の検討(診療意識の改善)


BSC構築Step5:アクションプラン策定(1)


患者
の視点

財務
の視点

業務プロセス
病院機能
の視点

意識改革
人材開発
の視点
各視点のKPI

目標(値)設定
→
アクションプランの策定&評価(EBS)
PR(業務改善)
運用フロー適正化
診療科体系改変
収益構造の改変
CP&診療情報管理

PR(外部対応)
プライバシーマーク
外部・第三者評価
情報管理&開示
収益シュミレーション
PR(電子カルテ)
  運用設計
  標準化対応
  マスタ整備 ・・・

システム化レベル
  オーダリング+部門
  電子カルテシステム
  地域ネットワーク

DWH&ユビキタス環境
  情報共有環境整備
(ITインパクトのスコア化の研究)


BSC構築Step5:アクションプラン策定(2)


アクションプランマップ組立(EBS):電子カルテスコアカードの肝

PR(業務改善)
患者待ち解消診察待・検査待・治療待
結果待・会計待・入院待
運用の標準化マニュアル作成・簡素化
無駄ムラ解消問合せ・確認・チェック
物品・運用(混注残etc)
各種モレ解消指示、記載、取りモレ
患者対応強化地域連携、コールセンタ
情報提供、アメニティ-向上等


PR(電子カルテ)
業務分析徹底運用フロー確認・修正
課題の整理、システム対象範囲の確定
標準化作業用語、各種マスタ、病名
物品、データ構造(XML)、データ交換
設計ポイント確認安全・モレ解消・性能
(テンプレート、3点チェック/バーコード、レセプトチェック、ワーニング機能、情報可視化、CP採用、二重化、操作性、DB規模)
セキュリティーポリシー対応
自動化機器連携自動調剤、ピッキング会計支払機、患者表示盤、再受機等
ME機器接続各種モダリィティー
検体検査・生理機能検査・治療機器
ネットワーク設計業務+画像系ネットワーク
無線LAN、PHS、モバイル機器 等
IT&AVとの融合(ベッドサイド端末等)
↑   ↓
PR(外部対応)
個人情報保護法プライバシマーク取得
診療所連携強化予約枠開放
電子カルテデータ返信
診療報酬等改定早期情報収集、DPC
コスト分先、各種シュミュレーション実施
広報・IR推進情報開示・組織新設
セキュリテーポリシ-策定



電子カルテシステム導入の影響(BSCカテゴリーでの整理)


図


電子カルテトピックス:事例研究(1)
(島根県立中央病院の5年間の軌跡を踏まえて:厚生科研での事例研究)


患者の視点
満足度調査(満足度↑)
救急外来患者数↑
新入院患者数↑
出産数&NICU患者数↑
紹介率↑(医師会への予約枠開放)
情報開示&共有
無駄な待ち時間激減
 
病院機能の視点
平均在院日数↓(15.6日)
病床利用率↑(89.8%)
レセプト減点率↓(0.29%)
クリティカルパス(CP)適用↑
急性期疾患加算取得(紹介率↑)
行方不明カルテ撲滅
コメディカルスタッフの積極参加
 
財務の視点
診療単価↑ 外来: 11,167円
 入院: 40,880円
内部留保金確保
減価償却前収益的収支黒字化
時間外勤務手当て↓

*他の財務指標も改善
 (今年度・経営診断を予定)
人材開発の視点
手術件数↑
学会発表等↑
研修医応募数↑
直接看護時間&率↑(61%)
クリティカルパス(CP)適用↑
Peer Review(前向き監査・意識変革)
カンファレンス充実&カルテ共有


電子カルテトピックス:事例研究(2)
(島根県立中央病院の5年間の軌跡を踏まえて:厚生科研での事例研究)


図



図


外来・入院共に診療行為別の収入構成が、他の医療機関(次ページ参照)に比して非常にバランスが良いことが分かる電子カルテシステム導入と共に、経営指標データを職員一同と日々共有する事による効果であると考える。
  図


モデル化された病院における経済効果目標設定例(1)


モデル化された病院の収益
「外来一患者当たり診療費は8,000円(院外処方を基本とする)で、入院一患者当たりは40,000円(急性期入院加算所得済)とする。従って年間の医業収入は{(1,200人×8,000円×25日)+(415人×40,000円×30日)}×12ヶ月=88億5600万円


経済効果の項目 計算式(%は、低めの設定) 予想金額(年間)
請求漏れ解消
返戻率の改善を含む
年間入院収益×3%
59.76億円  ×  3%
年間外来収益×3%
28.80億円  ×  3%

1.79億円
0.86億円
加算項目取得
患者数=平均入院患者数
×(平均外来来患者数/3)
他加算取得点数(努力目標)
×患者数×50%

150点×815人×50%×25回/月×12
*PACS導入等でのディジタル加算は加えない

0.18億円
診療機能改善
改善への間接的影響度
年間医業収益×1%(収益構造変革力)
88.56億円  ×  1%
0.89億円
  小計(1) 3.72億円


モデル化された病院における経済効果目標設定例(2)


経済効果の項目 計算式(%は、他病院事例よりも低く設定) 予想金額(年間)
薬品費比率↓
*医業収入×16%
年間費用×3%
88.56億円 × 16% × 3%
0.43億円
診療材料比率↓
*医業収入×11%
年間費用×6%
88.56億円 × 11% × 6%
0.58億円
  小計(2) 1.01億円


経済効果の項目 計算式(他病院事例を参考に設定) 予想金額(年間)
事務外注削減 医事課職員、各診療科事務員、保管管理要員
25万円/月×20人×12ヶ月

0.60億円
事務経費削減 カルテ用紙・カバー代、フイルム及び収納袋代、
カルテ外部保存経費(他病院事例を参考)

8,101千円×12ヶ月
1.80億円
その他の削減 カルテ保管庫・カルテ等搬送ライン保守費等
1,500千円×12ヶ月
フィルム差益の解消
電子カルテシステム24保守等
0.18億円
▲0.30億円
▲0.90億円
  小計(3) 1.38億円



以上の経済的効果の試算から・・・・
電子カルテシステム導入で期待できる増収効果として
年間3.72億円(小計(1))
となる!
なおこの増収には診療機能変更(例えば、透析の増強、外来化学療法の増強、お産の増加、リプロの実施、放射線治療の拡大等々の直接的増収は見込んでいない)

また経費面での削減効果に関しては・・・
薬品費等の経費面で年間1.01億円(小計(2))
人件費や事務経費で年間1.38億円(小計(3))
合計で2.39億円
となると予想される

 従って、年間における経済効果は3.72億円と2.39億円の総和となり、年間:約6億円が期待できる。


電子カルテシステム普及のための方策


(1)必然性向上
■医療の生業に、必須の道具であるという認識の定着


(2)経済性向上
■収益増強・経費削減・導入&運用コスト削減の追及


(3)操作性向上
■非日常的からの脱却・違和感の解消・視認性の向上


(4)誘引性向上
インセンティブ・政策誘導・導入効果の実感&体感


(1)必然性向上
■医療の生業に、必須の道具であるという認識の定着
↑
患者ニーズの本質

(1)一刻も早い苦痛や不安からの開放
早く結果を知りたい!白黒ハッキリしたい!

(2)より良い医療サービスの選択
出来るだけ良い病院(医師)に掛かりたい!

(3)そして・私を大切にしてもらいたい
自分の事をもっと良く知っててほしい
→
病院は何をすべきか

(1)情報収集能力の向上(価値あるDB構築)
質の高い情報発生源でのデータ収集

(2)情報処理能力の向上(機動力&判断力)
検査の迅速化&高質化、治療計画の客観化

(3)情報提供能力の向上(品質・表現・責任)
インフォームド・コンセントへの注力&努力
(納得の医療への貢献)

医療の果たすべき役割の再認識・再構築
医療のパターナリズム重視から患者ニーズ重視
病院・医師の視点の医療から患者視点の医療への価値観転換


(2)経済性向上
■収益増強・経費削減・導入&運用コスト削減の追及
↑
患者一人当/日:1,916円(モデルケース)
1,000円(調査病院平均)

対医業収入比率:5.20%(モデルケース)
2.48%(調査病院平均)
↓
この経費を誰が負担するのか?
今後真剣な議論が必要!

負担のあり方は2つしかない!
(1)病院の自己負担:信頼性向上による増収?
(2)診療報酬等公的担保:診療録管理の質向上!
→
コストダウンの施策!


医療機関側の努力
仕様書作成(要望・希望・仕様?)
組織的対応(組織的決定の重要性認識)
他病院事例の積極的活用
ワークフロー分析の徹底
標準化への積極的対応

ベンダー側の努力
人材育成(OJTの徹底)
経験・ノウハウの表出化・共有化
PKG,部品の品質向上
標準化への積極的対応
コストダウン意識の醸成!

行政・学会の努力
IT化時代に即した診療報酬体系整備
標準化ガイドライ等の提示
標準化対応の強制力強化
診療報酬上の点数化
(一定水準の設定と評価基準)


(3)操作性向上
■非日常的からの脱却・違和感の解消・視認性の向上
  (4)誘引性向上
■インセンティブ・政策誘導 導入効果の実感&体感
↑ ↑
アンケートから見る・操作上の不満

(1)レスポンスが遅くイライラする(慣れると余計に)

(2)オーダ種別毎に操作が一定でない
操作アイコンの位置が相違したり、用語不統一

(3)多くの入力を強制される(今までは考慮せず)
オーダ条件・保険選択・・・等々

(4)自分が必要のない機能まで画面に満載

(5)画像を扱うと一画面では不十分・足りない
高精細のモニタが欲しい(呼吸器・整形等)

(6)端末が足りない(PC、PR、等々)

(7)診療科特有のMEが接続できないのでかえって不便
診療報酬での担保の検討
診療録電子管理加算という考え方
担保分は、初期導入経費分?
日々の運用経費分?
患者数当たり負担分?

初期導入費補助策の再検討等
導入促進事業継続(導入率50%)
明らかに効果あり!

導入効果の可視化(本研究班)
目標管理手法のモデル開発
効果の数値化、可視化


厚生労働省の電子カルテシステム導入推進策
厚生労働省資料及びJAHIS発表資料より作成


年度 主な事業名 事業規模 対象施設
H13年度補正事業
(H14年度実施分)
電子カルテシステム等の導入促進事業
特定機能病院等の情報化推進施設整備事業
260億円
26億円
107施設
11施設
H14年度補正事業
(H15年度実施分)
電子カルテシステム導入施設整備事業
特定機能病院等の情報化推進事業
119億円
40億円
134施設
26施設
H14年度事業
(H15年度実施分)
地域医療機関連携のための電子カルテによる診療情報共有モデル事業
5.3億円 3地域
H15年度事業
地域連携のための電子カルテ導入補助事業
5.3億円 7地域
H16年度事業
地域診療情報連携推進事業
2.0億円 2地域


電子カルテシステムの導入契機&時期(公的支援の効果大)


導入の直接の契機 病院数 割合
病院の新築・移転 9病院 15.0%
外来・病棟等の増改築 5病院 8.3%
経営サイドの意向 34病院 56.7%
現場からの要望 9病院 15.0%
公的予算の存在 28病院 46.7%
その他 10病院 16.7%
 
稼動時期 病院数 割合
H11年度 2病院 4%
H12年度 7病院 13%
H13年度 8病院 15%
H14年度 17病院 31%
H15年度 17病院 31%
H16年度 3病院 6%


電子カルテシステム(公的支援)は目標を達成したか?


導入の目的 病院数 割合
(1)経営状態の把握 18病院 30.0%
(2)安全性の確保 30病院 50.0%
(3)医療の効率性向上 48病院 80.0% ☆
(4)患者待ち時間減少 34病院 56.7%
(5)他の患者サービス向上 37病院 61.7%
(6)情報非対称性解消 11病院 18.3%
(7)医療の透明性確保 30病院 50.3%
 


☆効率性とは・・・
 高質の医療を提供し
 患者満足度を高め
 経営の効率化を向上させる事

研究班
アンケート調査より
60病院複数回答


電子カルテ導入時の目的は達成したか?
  カウント [%]
完全に達成した 0 0
ほぼ達成した 6 16.2
やや達成した 28 75.7
ほとんど達成していない 3 8.1
全く達成していない 0 0
37 100.0
  図


電子カルテシステム導入の影響(カルテの記載量&チーム医療)


カルテの記載量(S&0)は? カルテの記載量(A&P)は? 医師以外の職種の記載は? 医師以外のアクセスは?


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