05/02/28 女性の坑内労働に係る専門家会合第2回議事録            第2回女性の坑内労働に係る専門家会合 1 日時: 平成17年2月28日(月)14:00〜16:00 2 場所: 経済産業省別館 1111号会議室 3 出席者:櫻井座長、小畑委員、鈴木委員、長井委員、中窪委員、名古屋委員 ○座長  ただいまから「第2回女性の坑内労働に係る専門家会合」を開催します。早速、議題 に入ります。今日の議事はお手元の議事次第にありますように、「諸外国の状況につい て」「現地調査の状況について」です。事務局から資料について説明をお願いします。 ○事務局  資料のご説明をいたします。資料は2種類あり、資料No.1が諸外国関係、No.2が現 地調査関係となっています。それぞれ概要紙とA3版の一覧表という構成になっていま す。また、参考資料1は、「女性の坑内労働禁止に関するアンケート調査結果」(抜粋 )です。これは日本土木工業協会からご提供いただいたものです。昨年の夏に実施され た会員各社に対するアンケートの結果です。坑内労働のうちトンネル工事に関係する各 社のご意見が集約されているということになります。参考資料2の「検討事項」につい ては、昨年12月に開催した第1回会合で「案」として提出し、その場でご了承いただい たものです。参考資料3については、これも第1回会合で提出した坑内労働規制の状況 等に関する資料です。参考資料4は後ほど触れますが、坑内労働規制に関する追加の参 考資料です。最後に参考資料5として、前回の会合における主なご発言の概要を付けて います。  参考資料2の「検討事項」をお開きください。検討事項として大きく4つの柱が書い てあります。前回、第1回の会合ではこの検討事項の1と、2(1)について議論して いただいた格好になっています。今回は2(2)に当たる部分、それに加えて、何箇所 か現地調査を行いましたので、その状況について取り上げたいと考えています。  資料1の説明に入ります。資料1として「諸外国における女性の坑内労働に係る規制 等」です。前回の会合の中で、ILO第45号条約を廃棄した国の経緯や、その際の科学 的知見が参考になるのではないかというご発言もありました。事務局で可能な限りのこ とを調査した結果を資料にまとめています。具体的には諸外国における女性の坑内労働 に係る規制等に関し、文献およびヒアリングによる調査を行いました。調査対象とした のは、ILO、EU、イギリス、オランダ、フィンランド、フランス、ドイツ、アメリ カです。その結果得られた情報をまとめています。概要2枚と一覧表という形でまとめ ており、概要に沿いながら、また適宜、一覧表もご覧いただきながら進めてまいりたい と存じます。  概要の1、ILO第45号条約についてです。(1)は前置き的な話です。ILO第45 号条約は前回もご紹介しましたが、鉱山における女性の坑内労働を原則禁止するもので す。鉱山以外の坑内労働、例えばトンネル工事ですが、これについては対象外となって います。日本の労働基準法とは対象範囲が異なるということになります。  具体的な第45号条約の内容を簡単に見ますと、一覧表の左から2列目の上から2段目 をご覧いただきますと、第45号条約の内容をまとめています。第45号条約では管理的地 位、保健・福祉、訓練、筋肉労働の性格を有しない職業のため随時入坑する業務、これ らを除き鉱山における女性の坑内労働を禁止しています。  概要に戻り(2)です。調査対象国中、現在、ILO第45号条約を批准している国は フランス、ドイツでした。批准していない国はイギリス、オランダ、フィンランド、ア メリカです。  また、これも一覧表のいちばん上の段をご覧いただきますと、上のほうに第45号条約 について批准状況を書いてあります。イギリス、オランダ、フィンランドについては批 准していたのですが、廃棄したということが書かれています。フランス、ドイツについ ては批准したままとなっています。アメリカについては第45号条約は批准していないと いうことです。  2にまいりまして「諸外国における規制の概況」です。鉱山以外の坑内労働について 女性の就業を一般的に規制している国はありませんでした。また鉱山については、フラ ンス、ドイツは女性の就業を規制しています。イギリス、オランダ、フィンランド、ア メリカについては特別の規制はないとのことです。これは第45号条約の批准状況と呼応 するものです。  また一覧表をご覧いただきますが、上から2段目に国内規制の有無を書いています。 イギリス、オランダ、フィンランドについては、一般的な女性の就業に関する規制はな し。ただし、妊産婦に関しては規制があるということです。フランスについては、労働 法典において地下鉱山における女性の就労を禁止する規定があります。またドイツにつ いては、連邦鉱山法の中で管理的地位、保健・福祉、職業訓練、日常的ではない身体的 重労働のない坑内作業、これらを除き地下鉱山における女性の就労を禁止しています。 ほぼILO第45号条約に沿った規制となっています。アメリカについては、少なくとも 連邦レベルでは規制はない。また、母性保護を含め女性のための特別の保護はないとい うことでした。  概要の3にまいりまして、「各国における規制の考え方等について」です。(1) は、各国に対して坑内労働が女性に与える影響等について、科学的知見に関する報告書 があるかどうか照会をしました。しかしながら、いずれの国からもそのような報告書の 存在は確認できなかったところです。  なお、フィンランドについてはまだ回答待ちという状態になっています。アメリカで は女性が実際に坑内労働を行っているということですが、労働省鉱業安全衛生局の担当 者によりますと、女性が坑内労働を行うことに関して事故・労災の観点から、また妊娠 ・出産への影響の観点からも問題はないとの回答がありました。  (2)にまいります。ILO第45号条約を廃棄して国内規制を改正している国に対し て、廃棄、改正の理由を尋ねました。そうしたところ、1つ目に雇用における男女の均 等な機会の確保の観点から適当ではない、2つ目に安全技術が向上し労働環境が改善し ている、3つ目に鉱山の坑内労働において女性が曝されるリスクと男性が曝されるリス クは同様である、こういったものが回答の中で挙げられています。  例えば、一覧表をご覧いただきますと、上から3段目です。イギリスの所を見ます と、ILO第45号条約は女性の雇用に対する不要な障害となっており、現在の状況にそ ぐわないとして廃棄しています。オランダについても、第45号条約の規定は女性を一定 の業務から無条件に排除するものであり、均等待遇指令と調和しない。また、女性が鉱 山の坑内労働により曝される危険は、妊娠中および授乳期の場合を除き、男性が曝され る危険と同様であるとして、条約を廃棄しています。フィンランドについても、男女の 職業生活の均等な機会、最近の安全技術の向上、こういったことを挙げていますし、下 のほうをご覧いただきますと、第45号条約の条項が両性の平等に関する国内政策に対応 しないと。さらに、1997年にILO第176号条約、これは後ほど出てまいりますが、こ れを批准したためとして、第45号条約を廃棄しています。  概要紙の2枚目に進みます。このように条約を廃棄して国内規制を廃止している国が あるわけですが、これらの国についても妊娠中、授乳期の女性労働者を保護するための 規制は設けているところです。  (3)です。第45号条約を批准して国内規制も維持しているドイツに対して、見直し の予定はあるかと尋ねたところ、特にその予定はないということでした。  (4)です。女性の坑内労働の実態についてです。統計を有している国はあまりな く、正確な数値の把握はできませんでした。ただし、イギリス、オランダについては、 坑内労働に従事する女性はほとんどいないという回答でした。フィンランドについては 統計があり、これは坑内とは限らないのですが、鉱山、採石場、トンネル工事、水道工 事等を含む建設業で働く労働者のうち、約1割程度が女性ということでした。アメリカ については、これは担当者のコメントですが、鉱山における坑内労働者の5〜10%は女 性であるという回答でした。  4は「国際機関の動向」です。(1)がILO、(2)がEUとなっています。(1 )のILOですが、第45号条約は1935年に採択されて1937年に発効したものですが、い まなお84カ国が批准をしています。ILOとしては第45号条約の批准国に対して、より 新しい条約である第176号条約、これは「鉱山における安全および健康に関する条約」 と言い、1995年採択、1998年発効の条約ですが、これを批准することを勧めているとし ています。  ここで参考資料4をご覧ください。参考資料4に第176号条約を付けています。鉱山 における安全および健康に関する条約です。ざっとご覧いただきますと、第2条にある ようにこの条約は鉱山に適用されるものです。ただし、第45号条約とは異なり、女性の みに関するものではなく、男女共通の安全衛生に関する条約となっています。  この条約第3〜第5条までは加盟国による政策策定、国内法令の制定等について書い ています。2段目の左端からの第3部という所に具体的な内容が記してあります。第6 〜第12条までにおいて、使用者の責任として危険性の評価、坑内設備、緊急事態対応、 安全教育などについて書かれています。そのあとの第13、第14条において、労働者およ びその代表者の権利および義務として、情報の入手、労働者の代表者が検査、調査に参 加する権利などが定められています。  なお、参考資料4の3頁目に批准国を列記していますが、現在20カ国が批准していま す。  資料1の大きな一覧表に戻っていただき、いちばん上の欄を再度ご覧ください。ここ では第176号条約の批准状況も記しています。ここを見ますと、第45号条約を廃棄して いる国の中でも、イギリス、オランダのように第176号条約を批准していない所と、ま たフィンランドのように第176号条約を批准している所があります。また第45号条約の 批准を維持している国の中でもフランスのように第176号は批准していない所もあれば、 ドイツのように第176号、第45号の両方を批准している所もあります。国により対応が まちまちだということです。  概要の4(2)はEUについてです。EUにおいては欧州委員会がオーストリア政府 を提訴したという事案があります。2003年5月に提訴し、2005年2月に判決が出ていま す。これはどういう事案かと申しますと、オーストリアは今回の調査の対象とはしなか ったのですが、判決文などによりますと、ドイツと同じような女性の坑内労働禁止の規 制を持っています。条約の批准状況に関してもドイツと同様で、第45号、第176号の両 方を批准しているという状態です。  一方、EUの均等待遇指令というのがあり、これは雇用の分野において性を理由とす るいかなる差別もあってはならない。また、加盟国はそのために必要な措置をとらなけ ればならない、こういったことを言っています。欧州委員会としては、オーストリア政 府がこの指令に違反している、加盟国としての義務を果たしていない、ということで欧 州司法裁判所に提訴したものです。  オーストリア政府としては大きく2つの反論をしています。1つ目は、坑内労働は運 動器官系への恒常的負担を伴う。粉じん、窒素酸化物、一酸化炭素が多く、温度・湿度 ともに高い環境である。女性は平均的に男性より筋力・肺活量・酸素吸入量・血液量・ 赤血球数が少ない。脊椎が小さく、重い荷物を運ぶ際のリスクが大きいといったことが 1つ目です。また2点目として、ILOの第45号条約を批准しており、これに拘束され る。これらを理由として反論しています。しかしながら欧州司法裁判所としては、「均 等待遇指令というのは女性をより保護すべきとの理由のみにより、特定の種類の雇用か ら女性を除外することを許容しない」という判断を下しています。以上がEUの動きで す。ただいまが諸外国についての状況です。  続いて資料2をご覧いただきたいと存じます。坑内労働現地調査の結果についてで す。我が国の坑内労働の実態について、昨年12月から今年2月にかけて5カ所について 現地調査を行いました。各方面の関係者にご協力をいただき、また1カ所を除いては委 員の方にもご参加をお願いして実施しています。その概要をまとめたのが概要と別添の A3の一覧表です。こちらはA3の表を中心にご覧いただきたいと存じます。この表に ついてはいくつか確認もお願いしていますが、基本的に事務局の責任でまとめたもの で、もしかすると完全に横の比較対照が可能ではない形になってしまっているかもしれ ませんが、そのあたりはご容赦いただきたいと存じます。  この現地調査概要は、全部で5カ所行っています。トンネル工事として、シールド工 法が2カ所、A共同溝、B水道管があります。山岳工法がC高速道路。鉱山については 2カ所で、D金属鉱山、E石炭鉱山、これらの場所で調査を行っています。  シールド工法の2カ所について併せて概観したいと思います。工事の概要は、規模に ついては、共同溝がシールド機外径が約7.5m、水道管は約2.9m。掘削方法については いずれも冷水式シールド工法となっています。従事する業務内容は、現場作業員の方に ついては、いずれも資材吊り下ろし、資機材運搬、セグメントの組立、各種の配管延 長、軌道延長といったものがあります。  なお、坑内での作業は機械化が進んでおり、現場作業員についても基本的に筋肉労働 というものはほとんどない。水道管については、坑内が狭いので腰をかがめて通行する 所があるとか、重機を搬入できずに一部人力により行う作業があるということでした が、作業全体に占める割合は低いということでした。  次に管理監督者の業務内容です。施工・工程・安全・品質・環境管理・測量・材料の 検証、こういったものがあります。平均的な入坑時間としては、大体8時間となってい ます。  2枚目にまいりまして、当該現場のリスクファクターをお尋ねしたところ、共同溝に ついては、酸素欠乏・メタンガス・温度、こういったものを挙げていただいています。 水道管は、メタンガス・異常出水・電気トラブル・バッテリーロコの運行・騒音、こう いったものを挙げていただいています。水道管の工事については、メタンガスのリスク に対応するため帯電防止作業衣の着用により対応していました。  坑内における筋肉労働の内容は、共同溝については特段なく、水道管でセグメントの 組立・セグメントの増締め・配管延長のときの運搬取付、こういったものが重労働に当 たるということでした。  最後に2段残っていますが、これについては最後にまとめて触れたいと思います。  続いて山岳工法の高速道路についての概要です。規模は断面が190m2ということで 大きな断面です。掘削方法は機械による掘削です。業務内容、現場作業員はトンネル掘 削、インバート工(トンネルの底面の部分)、支保工の据え付け、二次覆工、電気配線 です。こちらについても坑内での作業については機械化が進んでおり、掘削そのものは すべて機械化されている。一部筋肉労働を伴う作業もあるが、作業全体に占める割合は 少ないということでした。  次に管理監督者の業務内容については、施工・工程管理、測量・材料の検証、こうい ったものです。  続いてリスクファクターです。切羽の崩壊・鋼製支保工の転倒・粉じん・騒音・振 動、こういったものを挙げていただいています。ちなみに坑内の環境については、シー ルド工法と比較すれば、坑口付近は多少の粉じんは感じられましたが、切羽付近の空気 は正常だったという状態でした。また、リスクファクターとしての粉じんについては、 電動ファン付防じんマスクの装着、散水、風管の設置等の対応が図られていたところで す。  山岳工法の高速道路の坑内における筋肉労働の内容は、一部、支保工の据え付け、ロ ックボルトの差込みは人の手が必要であるということでした。  続いて金属鉱山にまいります。規模は、延長は坑道の入口から末端までが約数キロで した。掘削方法は、軌道を用いないトラックレス方式で、掘削は発破によるものという ことでした。  業務内容としては、現場作業員は坑道の掘進・採鉱・路盤の整備・保坑・通気冷却用 設備の設置といったものがあります。  金属鉱山についても、坑内での作業は機械が進んでおり、掘削そのものもすべて機械 化されている。ほかに浮石を落とす作業など、一部筋肉労働を伴う作業もありますが、 作業全体に占める割合は少ないということでした。  次に管理監督者の業務内容としては、保安管理、施工・工程管理といったものがあり ました。  金属鉱山におけるリスクファクターですが、挙げていただいたのは粉じん・騒音・振 動・温度・重機の排ガス・二酸化炭素などの坑内ガスです。粉じんについては、発破後 15分以内の入坑禁止、散水、マスク装着等の対応が図られていました。  金属鉱山における坑内における筋肉労働の内容ということで申しますと、浮き石とい われる、はがれやすくなっている岩盤の石を姑息棒という棒を用いて叩き落とすこと、 穿孔機に装着して使用するロッドの持ち運びといったものがあるということでした。  最後に石炭鉱山です。石炭鉱山については、前回もお話がありましたが、平成18年度 までは操業が決まっているということです。それ以降は不明であるということのようで す。 石炭鉱山の規模です。坑道の入口から末端まで約数キロということでした。掘削 の方法は軌道を用いた方式です。採掘はドラムカッター、機械による掘削です。  業務内容は、現場作業員については坑道の掘進・採炭・保坑・通気制御、こういった ものがありました。この石炭鉱山においても掘削を含め坑内での作業は機械化はされて おり、一部支保材の積み下ろしなど筋肉労働を伴う作業もありますが、全体に占める割 合は少ないということでした。  次に管理監督者の業務内容です。保安管理、施工・工程管理、こういったものがあり ました。  石炭鉱山におけるリスクファクターは、挙げていただいたのは粉じん・騒音・振動・ メタンガス、こういったものです。  なお、石炭鉱山においても粉じんについて、散水、マスク装着等の対応が図られてい たところです。  石炭鉱山の坑内における筋肉労働の内容は、支保材の積み下ろしといったものは人力 が必要であるということでした。  いちばん最後に2段が残っています。女性を坑内労働に従事させる場合に配慮してい くべきと考える事項について、現場の方の見解を伺っています。これについてはいろい ろなご意見を頂戴しており、例えば妊産婦の坑内労働は規制すべきであるとか、作業の 内容によっては、筋肉労働が必要となる場面もあるので、適性を見て作業員を配置する ことが必要であろうといったこととか、トイレ等の設備の配慮が必要であろうと。また 右から2つ目にまいりまして、重量物を扱う必要がある場面はあるが、通常の工場作業 と同様ではないか。妊産婦については一般的な危険有害業務と同様の母性保護がなされ るべきではないか。いちばん右の石炭鉱山については、安全灯とか工具などを装着し て、重いものを装着して歩かなければならない。重量物を扱う場面があるので、体力的 な負担は大きい、というご意見もありました。  最後に「その他」として、見学などで女性が入ったことがあるかどうかなどについて 伺いました。これについては、いずれの現場においても女性の見学者があるということ でした。外国の視察、取材、学生・一般市民、こういった見学の機会において女性が入 坑したことはあるということです。  以上、現地調査の結果について、坑内環境、作業内容の性質に着目してまとめたもの です。大変駆足で恐縮ですが、資料の説明とします。 ○座長  それでは、ただいま事務局から説明いただきました内容について、それ以外でも結構 ですが、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。なお、議論に際して、先ほど参考 2で「検討事項」という1枚紙がありましたが、その1、2、3、4の3番目、「女性 の肉体的、生理的特殊性と坑内労働との関係」、この辺りが今回、あるいは次回の主要 な検討課題でもありますので、それも念頭に置いて、ご議論いただきたいということで す。まず、何によらず結構でございます。ご質問、ご意見をどうぞ。 ○委員  ILOの条約で、男女を問わない新しい条約を批准するように勧めているとのことで すが、これを批准するに当たって、 45号を批准している場合には、これをどうしろと いうことは特にILOとしては出していないということなのでしょうか。あるいは廃棄 したほうがいいとか、そういう勧告はないということですね。 ○事務局  基本的には男女双方に適用する進化した条約と位置づけていますから、ILOとして 176号はお勧めである。ただ、その結果先ほど説明にもありましたように、176号を批准 するけれども、45号も批准したままであるという国も、これはドイツとオーストリア、 かなりメージャーな国が、そういう状況です。それ自体をILOがとやかく言っている わけではなくて、やはり流れからすれば45号を廃棄ということもあるのでしょうが、そ れは各国で選択。均等を徹底的にやってもらったら、176号だけ批准して45号はなしと いうことだろうと思います。その辺はややヴェイグなのではないかと思います。 ○委員  ILO自体、昔自分で作った条約ですから、それをやめろというのは難しいと思いま すが、その点、やはりEUは平等という観点から徹底する。この2月ですか、オースト リアについて、その判決文は入手されているのですか。 ○事務局  判決文は入手して、おります。 ○委員  是非、それは後で資料として見せていただければと思います。 ○座長  それに関連してドイツもEUですね。だけど提訴してないのですね。 ○事務局  そこがよくわからないのですね。実は元うちの課にいた課長補佐がいまEU代表部に 行っています。非常にその辺をよくわかっていて、問題意識を事務局にぶつけたような のですが、どうも仔細はわかっていないようです。これはたまたま坑内労働でしたが、 私が知っている話では、EUは、夜業についても、夜業の規制を持っている国を問題だ というふうに指摘をしてみたり、委員がおっしゃったように、アクティブな行動を取っ ているようです。 ○委員  フランスがたしか90年代に違反とされましたね。 ○事務局  スペインも入っていたかと思いますけど。深夜業ですね。 ○委員  45条を批准している所というのは大体石炭が多いですね。フランス、ドイツにして も、大きな坑内作業というのは石炭ですね。イギリスもありますけど、オランダなどは ありませんから。やはり、その坑内作業の形態も違うからではないか、という気がしま すね。 ○事務局  おっしゃるとおりだと思います。オランダはもう2、30年間鉱山というものは稼働し ていないということも言っておりましたから、要は規制があってもなくても関係ないと いう状況に置かれているのではないかと思います。 ○委員  ドイツも、フランスもいま盛んに掘っていますから。イギリスも少しは掘っています けど、北海油田が出来てから、少し収束しているということから考えると、国の事情が そのまま反映されているのかなという気はします。 ○事務局  今回、豊羽にはちょっと先方がちょうど忙しい時期ということで、行けていないので すが、4月以降になると、受入れも可能と聞いていますので、大変厳しい環境だという ふうにもこの間委員からもお話があったので、そこも見ておく必要があるのではない か。可能ならば、見ておいたほうがいいのかと思っているところです。 ○座長  どこですか。豊羽。 ○委員  豊羽、札幌の郊外で、定山渓の所の温泉ですので、熱中症が対策のほとんどだと思い ます。逆に熱中症があるために坑内の粉じん対策ができないのです。ということは、水 を撒いても蒸発してしまうのでどうにもできないので、キャビンの中の所で空気をきち っと制御していって、そこで作業車で働いていただくという形で。この後たぶん経産省 の法令改正で、粉じん測定の坑内の測定の義務化が入りますから、評価が入りますけ ど、特例許可として外す方向にいくのではないか。かなり鉱山としては厳しい。ヒシカ リは比較的クーラーを入れたりして、岩盤が硬いですが、豊羽はもう熱そのもの自体が かなり高いです。亜鉛、鉛だと思いましたね。 ○座長  亜鉛、銅鉛とか。そういう金属鉱山で対象とする岩の性質とかが含まれている粉じん のハザードですね。違ってくるということがありますか。 ○委員  いや、鉱脈がたぶん温水の所の鉱脈、菱刈もそうなのですが、ただ岩盤の硬さだと か、熱の新しさという形で豊羽の場合は、かなりバージンの岩そのものがいちばん深い 所が160度ぐらいありますから、掘っておいて、そのまま置いて放熱させておいて、少 し冷えてから掘るという形になる。ただ、実際に作業をされている所の岩盤というのは 私たちが測定に行っていたときも坑内は80度ぐらいですから、菱刈からいうと、かなり 坑道断面というのはものすごく広いのです。でも豊羽は狭いのです。放熱面を大きくす ると、熱管理が大変ですから、パジェロがやっとこいって、20センチ両サイドが空くぐ らいの狭さです。その場で管理しないと、放熱が強過ぎて、できないという、本当に熱 との戦いの鉱山だと思います。  炭坑の場合、この業種のうちでは、いちばんきついのは採炭切り羽ではないかという 気がします。ドラムカッターが動いていますので、支保を動かさなければいけませんの で、そこはきついのかなと。やはり、ここに書かれていますように、酸素計と電池のバ ッテリーを必ず2つ着けなければいけませんから、それはかなり腰に負担になるかもし れません。 ○座長  私はつい化学物質に関心があるものですから、トンネルと鉱山とで化学物質という意 味では、それほど。結局じん肺ということだけ考えておけばいいという感じですか。そ の中に含まれている、その他の金属の毒性が利いてくるほどの濃度ではない。 ○委員  はい。たぶん、金属の毒性よりもシリカの毒性のほうが強く利いてくると思います。 ということは岩盤を掘っていても、岩盤の品質が100パーセントではありませんので、 それこそ金でしたら、何トンで何十グラムという世界ですから、それに伴って出る金属 のことを考える。金属の生体影響を考えれば、やはりシリカのほうがはるかに。シリカ そのものが含有率として、20%とか、30%以上含まれていますので、シリカの影響のほ うが強いのではないかと思います。結果的にはじん肺対策という形になるのかなという 気がします。 ○事務局  素人目には、やはりたとえば鉛を掘っている鉱山で、そこの粉じんというと、何かそ れ以外のトンネルの粉じんよりも毒性が強いような印象をつい持ってしまうのですが。 そのあたりについては、いくら鉛を取り出すための現場とはいえ、相当希釈されたもの でしかあり得ないから、大して差はないということなのでしょうか。 ○委員  ええ、そう思います。ただ、岩盤の掘っている場所、鉱区の含有率が違いますので、 当然金ですと、菱刈でわかりますように、あれだけの鉱脈がある中でも、掘っている所 は10メーターもないような細い所をピンポイントで掘っているわけですから、そうする と鉛鉱山にしろ、そういうかなり大きな所ですと、それを粉砕していって、その中から 濃縮していって、数パーセント、あるいは多くて何十パーセント程度という形のものを 取りますから、やはり特異的に鉛、亜鉛カドミウムという形のものがほかにあったとし ても、それが粉じんとして入ってくる可能性よりは、どちらかというと、水俣とか、あ あいう形のイタイイタイ病のような形で排水処理のときに、うまくそれが制御できなく て、流れて、河川汚染を起こすという形のほうが強いのではないかという気がします。 それは砒素も全く一緒だと思います。 ○事務局  とすれば坑内労働というよりは地上に上げた後にいろいろな工場の作業があって、そ こに女性が配置されるようなことがあれば、そちらのほうが問題ということになる、と いうことですか。 ○座長  精錬とか。 ○事務局  そうですね、精錬のほうが問題になるのでしょうか。 ○座長  精錬は当然問題ですね。 ○委員  粉砕して、濃縮していって、そのものが逆に環境中に飛散する可能性がいくらでもあ りますから、坑内よりもはるかにそちらが多いと思います。 ○座長  いまは水銀鉱山なんかはないけれども、昔は水銀鉱山がありました。イトムカとか。 あれだけはちょっと別のような気もするのですが。水銀蒸気が出てきます。 ○委員  出てきますね、水の中に入ってますからね。 ○座長  そういうのが、また日本で始まるようなことはまあないでしょう。 ○委員  乾電池の回収処理という形ですね。あるとしたら、野沢の昔の石綿の鉱山もありませ んから、そういう意味から考えると、坑内のときはほとんど粉じん対策ではないかと思 います。 ○座長  それから坑内労働はラドンの問題というのは特段、問題になっていないのですか。 ○委員  ラドンはないですね。東濃で掘っているときはラドンは掘っていますが、ラドンその もの自体の測定が難しいので、風が吹いたとか、雨が降ったとか、ということがある と、いつもバックグラウンド値がわかりませんから、そうすると、ラドンそのものの測 定が不安定ですから、問題にはなっていないと思います。ただ、前にありましたように 動燃さんが掘ったズリ山から放射線が出ているという問題は出てくるかもしれません が、掘っているときには、本来的にはあるのかもしれませんが、取っている所がものす ごく少ないので、動燃だけですので、そこで管理されていますので、情報としてはあま り出てきていません。ちょっと難しいかなと思います。 ○座長  やはり、温度とか、肉体労働とか、それは大きいということですね。 ○委員  オーストリア政府の主張というのはなかなか面白い気がしたのですが、単に重いだけ でなくて、もともと粉じん、窒素酸化物、一酸化ガスが多くて、湿度、温度とも高い所 で筋肉労働をした場合には、女性と男性を比べると、差があるんだという主張をされて います。これは医学的に見て、どういう感じになるのでしょうか。 ○委員  性差という意味で生理学的に性差が存在することと、曝露されて、それがどう影響す るかというのとは別だと思います。例えば、高温というと、女性のほうが適するという 意見もあれば、高温でも湿度によっても全く環境が変わってしまうということなので、 いちがいにこれらが重なっているから駄目だというよりは、むしろ全体を考えたときに 坑内だからというよりは、やはり個々の有害作業、それぞれの単独の化学物質、あるい は粉じん、それから筋肉労働、それぞれに対してきちんと規制がされれば、地上であっ ても、坑内であっても、一緒なのではないかという印象を受けたのです。  ですから、これが坑内だからということでなく、それぞれこういったことが並べられ たときに、女性がより保護される必要であるのならば、すべきというふうに読み取れま した。ついでなので、統計データがアメリカでも出ていないということですが、私も鉱 山と女性労働ということでいくつか当たってみたときに、やはり出てこないのです。た ぶん、坑内労働、鉱山ということだと出ないでしょうが、粉じんだけとか、そういった ことに対しての女性労働というのは、いくつか出そうな気はするのですが、まだちょっ と調べ尽せていません。次回にまた課題とさせていただいたらと思います。そういう意 味ではオーストリア政府の言っていること、例えば脊椎が小さく重い荷物を運ぶリスク が大きいというのは、女性と男性とで明らかに差があるというよりは、ある程度適性の ある女性と適性のない男性ということを考えた場合に、性差でというよりは、やはり個 体差というのも今後考えていく時代になったきたときには、こういう条文だけでは労働 を非常に制限してしまうのではないかと感じました。  生理機能だけでいうと、高齢の方と若い労働者、男性であっても、それだけの差が、 今度は年齢差のほうで、こういったことを言えば出てくるので、性差というよりは、や はり年齢差、個体差そういったことも全般的に含めたことを考えないと、いけないので はないかと思います。 ○委員  判決ではこれが退けられたのでしょうか。それは是非読んでみたいと思います。ただ 昔は女性のほうが弱いということで、深夜業にしたって、そういう観念に基づいて、一 律に規制していたわけですから、それと同じような感じだったという気がします。アメ リカでも、いま特別の規制はないということなのですが、昔はアメリカも結構女性の坑 内労働を禁止していたのです。60年代にタイトルセブンという、雇用差別立法が出来ま して、それとの関係で女性だけ規制するのはおかしいということで、州の立法が廃棄さ れたということのようであります。そういう意味ではアメリカの60年代、70年代初頭に やったことが今、30年遅れぐらいで世界的にきているのかなという感じがしました。私 ばかりで申しわけないのですが、新しいILO条約について、日本は批准するかどうか というのは、何か別の所で検討はいまされているのでしょうか。 ○事務局  日本につきましては176号条約を批准するのは難しいという考え方でして、176号条約 の13条において、労働者及びその代表者の権利について、幅広く規定しているのです。 我が国の国内法令におきましては、使用者に対し必要な措置を義務づけ、使用者がこれ を実行し、権限ある機関が使用者に対し、検査監督することで、安全衛生を確保すると いう法体系となっていて、労働者が使用者に直接に権利を行使するものとはされていな い、といったようなことがあるため、なお問題点もあり、慎重に検討を要するというの が176号についての我が国の考え方となっています。 ○事務局  ILO条約は大体厚生労働省が取りまとめるというのが多いのですが、この条約につ いては経産省マターの法律が中心になっておりまして、そちらのほうに聞きましたとこ ろ、いま補佐から説明があったような状況でして、なおかつ、一言でいえば、法体系が 違うということだと思います。使用者の責務というよりも、労働者の権利というところ も併せて規定したところに新しさがあるようでして、こうした規定があまり日本のこの 手の規制にないということで、現状ではちょっと難しいのではないかと、いまのところ 批准に向けて何か検討しているというわけでもないように聞いています。  ただ私が見ていて、大変興味深かかったのは、アメリカというのはあまりマルチの条 約を批准しない国なのですが、アメリカが批准をしているというのは、これは大変珍し い事象だなと思いました。 ○委員  何となく説得的とは思えないのですが、経済産業省だと、そういう発想になるのでし ょうか。 ○座長  コメントを。いいですか。ほかに何かございますか。 ○委員  私、何人かのトンネルの現場の所長さんの知り合いがいるので、聞いてみたのです が、後でちょっと事務局からご説明があるのかなと思ったのですが、土工協さんのアン ケートがありますね。その中で、最後のほうにいろいろな意見もまとめられているので すが、実際現場サイドですと、適材適所をどうやっていくかといことがいちばん問題 で、特にトンネルの坑内ですと、力作業、筋肉労働がいちばん大きな問題ではないかと 思います。先ほど粉じんの話が出ましたが、要は力仕事をどう、女の人を守るのだった ら考えていかなければいけないかというのが、いちばんの問題ではないでしょうかとい う意見を何人かの方からいただいていました。ちょっと紹介がてらですが。 ○委員  ちょっと離れてしまうかもしれないのですが、いわゆる雇用における均等ということ が議論が高まってきて、雇用における機会均等についての法制が整えられてまいりまし たが、にもかかわらず、我が国において、鉱山労働、坑内労働に関しては別扱いだとい うことに落ち着いた際の議論の中では、坑内労働に関しては、やはり45号条約の存在な どが大きな理由となって、そのような状況に落ち着いたというふうに理解してよろしい のでしょうか。 ○事務局  流れとしては委員がおっしゃったような流れだと思いますが、ただ、1つ均等という 問題が出てきたときに絶対的な規制であると、やはりそこに参入を妨げられていて、こ れは権利が阻害されているということで、強い声が上がってきたところについては、個 別に内容を検討して、いま穴が空いてきている状況というのも同時にあるわけです。例 えば坑内労働でもプレスの関係とか、医者とか、看護婦さんが入れるだとか、それから 技術者ですね、そういう方が入れるような規制緩和がなされてきたという流れがありま す。そういう意味ではやはり状況を見ながら、ということではないかと思います。た だ、最初の均等法の制定のときに保護規制を全般的に見直した中で、坑内について取り 出して、特別そこを集中的にやったという経過はなくて、いろいろなものを検討する中 の1つとして上がっていたということです。機会均等の阻害の大きいところについて、 まず手当てをしたという面もあったのではないかと思います。すなわち、1から本当に リスクアセスメントをやったかというと、全部しつくされていたとはいえない面もあっ たのではないかと、これは私の感想です。 ○座長  重量物取扱いの際に腹圧がかかるということが男性と女性とで、その影響がかなり異 質というか、やはりリスクが女性において、かなり高いというのがかなり根拠になって いるように思いますが、その点はどうでしょうか。 ○委員  特に妊娠した女性というか、出産を終えた女性はより骨盤底筋が弱くなってきていま すから、その意味で将来子宮など、女性特有の疾病を誘発する危険性は重量物を長年や った方には可能性があるというふうには、認識していますが。だから、坑内労働の条項 ではなくて、いわゆる女性労働基準規則の重量物の扱いがありますが、あちらが適用さ れていれば、保護されるというふうに捉えられるのではないかと思います。あの中に、 あと有害ガスの。 ○座長  化学物質ですね。 ○委員  そうですね、化学物質の条項も一般女性にまだ規制がかかっていますので、その条項 と坑内ということの違いをどういうふうに整理するかだけなのかと思います。 ○委員  有害物を考えると、例えばトンネルの場合もガイドラインが出来て、粉じんの管理は きちっとされますから、たぶんこれからガイドラインが出来たから、じん肺は出ないで あろうと、濃度は下がっていますから。今度は坑内はたぶん4月1日付で、いままで坑 内の測定はあったのですが、評価はなかったですね。評価の義務化がかかりますので、 当然改善していかなくてはならない。今度は評価方法がたぶん今のA測定、B測定と同 じような評価値になりますから、かなり厳しい評価になります。  たぶん、そういった意味で粉じんの対策は障害という形のものは従来に比べると、リ スク的には低くなってきている。結果的には作業強度の問題として、女性と男性でどう してくるかというのは、やはり選択肢の中に入ってくるのではないかという気がしま す。  そこへいくと、石炭のような場合には、坑内に照明がありませんから、必ず自分の歩 行のための電池や、バッテリーは要るわけです。ガスがあるときにはCOマスクかある いは酸素マスクを必ず携帯しなくてはならない。それは常備しなくてはいけない。そう すると、かなり腰に1キロぐらいの負担はいつもかかっているという状況で、作業しな くてはいけないということになるかなと思います。  ましてや、管理者になってくると、入る前にはCO2の検定をしなくてはいけない。 入る前にCO2の濃度を測らないといけません。無線は携帯しなくてはいけないし、や はりそういう意味では炭坑は特殊な環境ではあるかなという気はします。 ○座長  単に重量物の取扱いというよりも、作業強度ですね。 ○委員  そうです。トンネルですと、車に乗って、切り羽に行くのは、さほど問題ではありま せんが、たぶん炭坑というのは坑口から行くまでに昔でしたら、1時間、2時間当たり 前の世界で、いまは浅くなってきていますから、たぶん1時間かからないで行けるのだ と思いますが、それでも斜坑を通って、人車に乗って行って、という形になると、かな り強度的には強いものになる気がします。 ○座長  特段ほかにご質問、ご意見等、ないようでしたら、今日はこれぐらいで参考資料は特 段よろしいですか。 ○委員  今日お配りいただいた資料2の「現地調査の概要」ということでまとめられています が、例えばトンネル工事ですと、工事の概要ということで、断面は(1)の規模のところ で書かれているのですが、大体断面の大きさと掘進長とシールドの場合ですと、縦坑の 深さ、それを明記していただければ、大体どういう工事だったかというのがわかります ので、その辺のまとめ方をしていただければいいのではないかと思います。ちょっと本 質から離れた話で申しわけないのですが。あとは山岳のトンネルの場合ですと、アプロ ーチの仕方でいろいろな方法がありまして、例えば斜坑で入っているとか、その辺を書 き加えていただければ、大体工事の概要は皆さんイメージできると思います。鉱山のほ うですと坑道延長ぐらい明記していただければいいのかなという感じがしまきたので、 一応コメントということで。 ○事務局  それでは参考1として、お配りしています日本土木工業協会さんが実施されましたア ンケート調査結果の抜粋をご紹介します。  調査が行われましたのは昨年の7月から8月にかけてです。調査対象は協会の会員 165社です。回答があったのが75社でした。  ざっと結果について見ていただきます。まず、男女合わせた技術管理者の数、土木建 築の合計ですが、これについては499人以下の所は39社、1,000人未満の所が17社、 5,000人未満の所が15社、それ以上が4社となっています。そのうち女性技術管理者の 数ということで言いますと、0人という所が24社、10人未満が41社、30人未満が7社、 50人未満が2社、50人以上いる所が1社となっています。  女性技術管理者のうち現場勤務をしていらっしゃる方の数につきましては、0人とい う所が52社、10人未満という所が21社で、10人以上いらっしゃる所が2社ということで す。  現場勤務の女性技術者のうち、トンネル工事の坑外業務に携っている方の数というこ とでいきすますと、0人がほとんどでして、1人という所が1社、2人以上という所も 1社です。将来、女性の技術管理者が増加すると考えている会社は、75社中、「はい」 と答えたのが52社、「いいえ」と答えたのが23社です。女性の坑内労働について開放の 必要ありとするかどうかにつきましては、必要があると答えたのが45社、必要がないと 答えたのが30社です。必要はあると答えた会社につきまして、その理由を問うたとこ ろ、男女雇用均等法にそぐわないというのが35社、現場への進出阻害になるというのが 12社、その他が5社でした。  開放の必要なしとした会社につきましては、その理由を問うたところ、母性健康保護 のために開放すべきじゃないというのが14社、現場の慣習というのが2社、リスクがま だ多いというのが21社、その他が2社になっています。  開放の必要があるというところについて、開放すべき対象工事の範囲を問うたところ シールド、山岳とも対象にすべきであるというのが40社、シールドのみにすべきである というのが5社あったということでした。シールド・トンネルの場合に、女性技術者と 作業員の両方について認めるべきだとするのが22社、技術者のみにすべきだというのが 23社あったということです。また、山岳トンネル工事について、女性技術者と作業員の 両方について、開放すべきだとする会社が21社、技術者のみとするべきだというのが24 社あったということです。  それから、自由意見というものがありまして、これにつきまして、事務局で抜粋を作 成する際に、積極的意見と消極的意見と中立的意見というふうに区分けをいたしまし た。様々な意見の広がりがあるということが窺える自由意見です。積極的意見として は、例えば当社において、シールド・トンネルの設計、施工計画や技術開発、解析等の 業務が拡大の方向にあると。シールド山岳トンネルの坑内環境は、基準法だと思います が、法制定当時に比べて改善は進んでいると。早晩開放の必要性が高まることと思うと いうご意見ですとか、1986年に例外規定を設けたけれども、トンネル工事に従事しよう とする技術者は、女性の場合、トンネル内に入れない状況にあるので、就業の障害にな っているということが言われています。それから、坑内作業は苛酷な作業でも、重労働 でもなくなってきているというご意見や、坑内の作業はほかよりも労働災害に対するリ スクは高いけれども均等法の精神を尊重し、性別による労働場所の制限を行い、選択の 範囲を制限すべきでないと考えるというご意見の会社もあります。それから、今後トン ネル工事、シールド工事においても、女性技術者、作業員として従事させることに賛同 しますという会社、今日の作業環境からして、坑内労働禁止を法で拘束する必要はない のではないかというご意見や、女性技術者がトンネルやシールドを希望しても現状では 配置できないというのは、本人はもちろん会社や土木界にとってもマイナスではないか というご意見、均等法の施行以降優秀な女性土木技術者の入社が増加しているが、志あ る人間の可能性の芽を摘むことは問題であるというご意見などがあります。  消極的意見としまして、安全性は向上してきているものの、労災保険料率は一般土木 工事に比べて、6倍以上となっている。それだけ危険度が高い工事であるということを おっしゃっています。現時点での状況を考慮すると、環境が整うまで待つべきではない かというご意見があります。それから、現場の慣習として、入坑を嫌う者もあると。異 常事態が発生した場合、人力施工が強いられる場合があるとか、作業環境が母性健康保 護の観点から不適当な場合もあるとか、作業環境、労働時間帯などについて考えると、 現状では難しいのではないかといったご意見、積極的意見と、消極的意見で両面あると いうことです。その他中立的な意見もあったということです。以上土工協さんのほうで 調査をされたアンケートの結果です。 ○座長  ありがとうございました。この日本土木工業協会は、鉱山労働には関係ないのです ね。トンネルだけですね。 ○事務局  作業員についてまで広げることについては、異論がある所がちょっと多いとか、ある いは作業員と技術者と分けたときに作業員を含めて広げるという意見と、管理監督者だ け、技術者だけというので分けてみたときに、やや両方広げるというほうが少ないとか ですね。ただ、全体的には広げるべきではないかという意見が強くなっているというの が窺い知れるのではないかと思います。 ○委員  男女と関係ないのでしょうが、労災保険料率がこんなに高いというのはそれだけ事故 が多いということなのですか。鉱山のほうもやはりそういう感じなのでしょうか。 ○委員  鉱山自体が少ないですから、災害事例が少くて。トンネルは従来どおり多いですか ら、やはり全体量として多いから、トンネル災害のほうが多いと思いますね。 ○座長  そういう資料が出ていましたね。6倍というふうに片づけているけど、見方によっ て、いろいろに見られるデータだったような気がしますが、多いことは間違いないです ね。 ○事務局  労災保険料率でいきますと、一般土木工事の6倍がトンネル工事で、129/1,000、そ れで鉱業については金属鉱業とか、非金属鉱業、石炭鉱業で87/1,000です。ですから、 これだけ見ると、トンネル工事のほうが高くなっています。ただ、いま委員がおっしゃ ったように数が減ってきていますから、おそらくばらつきが大きくて、労災料率を弾く ときの期間において、どうであったかというところが結構影響しやすいという違いもあ るのかなと思います。ただ、いずれも、高いほうに位置するということにおいては、違 いがない。 ○座長  過去からの推移を見ると、サンプルサイズが少なくても、一定の感じはわかります ね。前回そういう見方をしたような気もするのですが。いずれにしても、高いことは高 い。でも、リスクが全体的に高いから、女性禁止というふうには結びつかないですね。 それは、また別なんです。では、今日はこんなところでよろしいですか。次回にもう一 歩進め、次回でまとめるぐらいの話になるのですか。そこまでは考えてないですか。 ○事務局  これまで、基本的な資料はお出しできるものはお出ししています。次回は、仮に追加 があれば、それを用意した上で、考え方を整理していくところに入りたいと思っていま す。その際に、論点項目としてご覧いただきました、参考2、これに沿ったような形 で、1つ1つ確認をするというのが、いま持っているイメージです。いわばスケルトン 的なものの考え方整理に入るということではないかと思います。次回の開催は3月29 日、午後2時から4時ということでお願いいたします。場所は決まり次第ご連絡いたし ます。 ○座長  それでは、今日はこれで終わりといたします。どうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 雇用均等政策課 法規係 (内線:7836)