05/02/22 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 平成17年2月22日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年2月22日(水) 10:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(16名)五十音順    井 上 章 治、 岩 崎   学、 上 田 志 朗、 甲 斐 知恵子、    菊 地 博 達、 倉 田   毅、 倉 田 雅 子、 柴 川 雅 彦、    首 藤 紘 一、 田 島 知 行、 田 代 眞 人、 埜 中 征 哉、    長谷川 隆 一、◎松 本 和 則、 山 口 照 英、 渡 辺   亨   (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(7名)五十音順   ○池 田 康 夫、 大 澤 真木子、 岸 田   浩、 北 村 啓次郎、    相 楽 裕 子、 土 屋 文 人、 堀 内 龍 也 3.行政機関出席者   平 山 佳 伸(安全対策課長)、   森 口   裕(安全使用推進室長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは定刻になりましたので、ただいまから平成16年度第3回医薬品等安 全対策部会を開催させていただきます。本日の部会は従前の取扱いと同様公開で行うこ ととしておりますけれども、カメラ撮りをされるマスコミの方がいらっしゃいましたら 冒頭のみとさせていただきますので、御理解等よろしくお願いいたします。  本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にあり がとうございます。本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われております けれども、本日出席していただいている先生方につきましては引き続き委員をお願いす ることになっておりますので、よろしくお願いいたします。ただ医薬品等安全対策部会 に所属しておられました青葉委員におかれましては、御都合によりましてこれを機会に 退任されておりますので、お知らせいたします。 医薬品等安全対策部会の部会長は薬 事・食品衛生審議会令の規程に基づきまして部会に所属する正委員の互選により選任す ることとされております。1月31日に開催されました薬事・食品衛生審議会の総会にお きまして、正委員であります池田委員、松本委員の互選により引き続き松本委員に部会 長をお願いすることになりましたので、報告させていただきます。松本先生、よろしく お願いいたします。また同じく薬事・食品衛生審議会令の規程により部会長代理は部会 長が指名することになっておりますけれども、引き続き池田委員にお願いすることにな りましたので、併せて御報告させていただきます。 本日は池田委員は御欠席ということでございます。そのほか大澤委員、岸田委員、北村 委員、相楽委員、土屋委員、堀内委員が御欠席でございますけれども、本日16名の委員 の方々に出席していただいております。本部会の定員は23名でございますので、本日の 部会は定足数に達しております。それではこれから議事に入らせていただきますので、 今後はカメラ撮りは控えていただきたいと思います。以後の進行は松本部会長にお願い したいと思います。よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 おはようございます。先ほどの事務局からの報告にありましたとおり、 引き続きこの部会の部会長を務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお 願いいたします。それではまず事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。先生方のお手元にそれぞれ1枚ずつ配付 されている座席表と委員の名簿の下に本日の議事次第の一枚紙と配付資料一覧がござい ます。それに引き続きまして資料番号の付いた資料が配付されております。資料1-1が 「医薬品等の使用上の注意の改訂について」でございます。資料1-2が「ジクロルボス(D DVP)蒸散剤の安全対策について」と題したものでございます。資料1-3が「抗生物質 『テリスロマイシン』による意識消失等に関する安全対策について」。資料1-4が「ゲ フィチニブ検討会における検討の結果について」。資料1-4は「参考」と書いた参考資 料になっております。その次の資料1-5ですけれども、「簡易血糖自己測定器・自己血 糖検査用グルコースキット(補酵素としてPQQを利用しているGDH法)に関する安全 対策について」でございます。次に資料2のシリーズに移りますけれども、資料2-1が 「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報 告について」と題した資料でございます。委員の先生方には本日の資料を事前に送付さ せていただいておりますけれども、この資料2-1と2-4は本日配付している資料とは一 部差し替わっておりますので、もし事前に送付したものをお持ちでしたらこの資料2-1 と2-4だけは本日席上に配付しているものを御使用いただければと思います。その次の 資料2-2でございますけれども、「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」。資料2-2 参考として薬効分類表を付けております。その次の資料2-3は「国内副作用報告の状況 (一般用医薬品)」。資料2-4はA4の横になりまして、「国内感染症報告の状況」。資 料2-5は「外国での新たな措置の報告状況」。資料2-6は「研究報告の報告状況」。そ の次に資料3のシリーズですけれども、資料3-1が「感染症定期報告の報告状況」。資 料3-2が「報告文献別一覧表」。資料3-2参考として、厚生労働省医薬食品局長名で発 出されている通知を付けております。その次に資料4-1が「医薬品等の製造販売後安全 管理の基準に関する省令 製造販売後安全管理業務の委託に関する省令について」。最後 の資料4-2は「改正薬事法の施行に伴う医薬品・医療機器の市販後安全対策の充実につ いて(副作用・不具合等の報告基準に係る薬事法施行規則の一部改正案)」と題した資料 でございます。以上が本日配付させていただいている資料でございます。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。資料がそろっているようでしたら議題に入りたい と思います。まず議題1の医薬品等の市販後安全対策についてです。事務局から資料に 沿って説明をお願いいたします。 ○事務局 資料1-1、医薬品等の使用上の注意の改訂について御説明いたします。平成 16年11月2日〜平成17年2月14日に指示した改訂について御報告いたします。11月 2日につきまして、一般用医薬品であるジクロルボス蒸散剤の殺虫機を使用するものと 使用しないものについて改訂を行っております。主な改訂は、殺虫機を使用するものに 関しましては「専用の機械使用後に十分な換気をする」旨を追記いたしました。殺虫機 を使用しないものにつきましては「居室では使用しない」、「飲食する場所等では使用 しない」旨を改訂いたしました。11月4日でございますけれども、テリスロマイシンに つきまして[重要な基本的注意]の項に「自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際 には注意させること。」を追記し、「重大な副作用」の項に「意識消失」、「肝機能障 害、黄疸」を追記いたしました。インターフェロンアルファにつきましては「重大な副 作用」の項に感染症に関する記載を整備し、「無菌性髄膜炎[亜急性硬化性全脳炎患者 に対して髄腔内(脳室内を含む)投与した場合]」に関する項目を追記いたしました。ほ か10件の改訂をいたしました。  3ページを御覧ください。12月8日でございますが、フタラールにつきまして、[効 能・効果に関する使用上の注意]の項に「経尿道的検査又は処置のために使用する医療 器具類には本剤を使用しない」旨を追記いたしました。ほか9件につきまして改訂の指 示を行っております。  次のページを御覧ください。1月12日でございますが、プレドニゾロン(経口剤)の「重 大な副作用」の項に「腱断裂」を追記いたしました。ミゾリビンにつきまして、「重大 な副作用」の項に「消化管潰瘍、消化管出血、消化管穿孔」、「膵炎」、「高血糖、糖 尿病」を追記いたしました。塩酸エピルビシンにつきまして、「重大な副作用」の項に 「骨髄抑制」に関する記載を整備し、「肝・胆道障害」、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍」を 追記しました。人免疫グロブリンにつきまして、「重大な副作用」の項に「血栓塞栓症」、 「心不全」を追記いたしました。ほか12件について使用上の注意の改訂を指示しており ます。  6ページを御覧ください。1月14でございます。テリスロマイシンにつきまして11 月4日の改訂もございますけれども、さらに注意喚起ということで[重要な基本的注意] の項に「自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意する」旨の記 載整備をいたしました。2月7日におきましては、自己血糖検査用グルコースキットの [警告]の欄に「輸液等を投与中の患者に使用しないこと」という記載整備をし、「原 則として患者自身が自宅等で血糖を測定する場合に使用する」旨を追記いたしました。 2月14日につきましては塩酸ニムスチンについて使用上の注意の改訂を行っていると ころです。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。これまでに行われました医薬品等の使用上の 注意の改訂について説明していただきました。これに関しまして御意見、御質問ござい ませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは先に進ませていただきます。次はジ クロルボス(DDVP)蒸散剤についてです。事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料1-2、ジクロルボス(DDVP)蒸散剤の安全対策について御説明いたし ます。平成16年11月2日の報道資料でございますけれども、ジクロルボスの安全対策 につきまして、ジクロルボスを含有しその蒸散による効果を目的とする殺虫剤の安全性 の評価及び市販後安全対策を検討するため、11月1日に薬事・食品衛生審議会に所属す る殺虫剤の承認審査の専門家と医薬品の安全対策の専門家による検討会を行いました。 裏面を御覧ください。検討会の結果を踏まえて用法・用量の項の一部を変更するととも に、使用上の注意の改訂を行いました。  まずつり下げタイプにつきましては、「居室(客室、事務室、教室、病室を含む)では 使用しないこと」、「飲食する場所(食堂など)及び飲食物が露出している場所(調理場、 食品倉庫、食品加工場など)では使用しないこと」と改訂いたしました。殺虫機を使用す るタイプにつきましては、「専用の機械を8時間使用後、1時間放置し、その後に十分 に換気をしてから入室すること」の改訂を指示しております。また適正使用情報に関す る提供として、薬剤師等の専門家が劇薬の譲渡に係る書類を受け取りジクロルボス蒸散 剤を販売する際に、購入者に対して適正使用情報を十分に説明できるようにするため、 関係企業に対しましては消費者向け説明文書の作成と薬局・販売業者への配布を行うよ うに指示し、日本薬剤師会等の関連団体に対しまして薬剤師等が本剤の適正使用情報の 提供を行えるよう協力を依頼したところでございます。以上でございます。 ○松本部会長 ただいまのジクロルボスの安全対策について御質問、御意見はございま せんでしょうか。 ○上田委員 ここには具体的な毒性に関してのことは全くなくて、いろいろな情報を提 供するにしてもちょっと不足なのではないかという感じがするのですけれども、具体的 な毒性というのはどういうものがあるか教えていただけますか。 ○事務局 これにつきましては1ページにございますように、ジクロルボス蒸散剤にお ける「MOE」という毒性量の指標がございまして、ラットの90日間反復吸入毒性試験 をした無毒性量と、実際に部屋の中でジクロルボスをたいたときに人間がどれくらい吸 入するかという比較をしたデータがございます。それにおいて人間が吸った場合どのく らいの期間影響を受けないかという数字がございまして、それを基に評価したというこ とでございます。 ○松本部会長 1ページの表はないのですよね。ここには1枚しかありませんが。 ○事務局 これには具体的な数字は付いておりません。 ○松本部会長 ですからこのような問題が起こった理由をちょっと説明してください。 ○事務局 反農薬東京グループが東京都に対しまして、ジクロルボス蒸散剤は人間に影 響があるのではないかということで要望を出されております。それに基づいて東京都が ジクロルボスの毒性についてADIを用いた試験をされておりまして、蒸散して90日間 すると当初はADIをかなり超す約100倍近い値が出るのではないかというような御指 摘がありました。それを踏まえてこの検討会を立ち上げて御議論いただき、特に問題な いという御意見を頂きましたのでこの報告になったところでございます。 ○上田委員 分かりました。要するに、具体的には毒性の症例などはまだないというこ とですね。 ○事務局 個別の症例に関してはこちらは報告を受けておりません。 ○松本部会長 これまでは通常「MOE」という判定基準が使われていたのが、東京都 は「ADI」で判断されたのでこういう問題が起こってきたわけなのですけれども、そ れを検討したところ、これは毎日使うものではなく季節的に夏に主に使うということで、 ADIでいくのは適当ではないのではないかという意見の方が多かったのではないかと 思います。それでも一応このような注意喚起をしたというのが現実ではないかと思いま す。よろしいでしょうか。ほかにございますか。ないようでしたら次に進ませていただ きます。つぎはテリスロマイシンについてです。お願いいたします。 ○事務局 資料1-3を御覧ください。抗生物質「テリスロマイシン」による意識消失等 に関する安全対策についてでございます。経緯でございますが、平成16年11月4日に 意識消失に関する副作用報告が集積されたことから当該症例を評価いたしまして、使用 上の注意の[重要な基本的注意]の項に「自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際 には注意させること」、[重大な副作用]の項に「意識消失」を追記したところでござ います。平成16年12月21日に当該改訂を含む医薬品医療用具等安全性情報を発刊して 情報提供がされた中、その後平成16年12月末までに新たに8症例の意識消失に関する 副作用が報告されました。それを受けまして、安全対策課としては平成16年12月29 日に当面の措置として「危険を伴う機械の操作を控えるよう指導する」という指示を医 薬関係者に提供するよう企業の方に指導し、1月14日付けをもって正式に使用上の注意 の改訂をしたところでございます。  裏面を御覧ください。具体的な改訂の指示でございますけれども、[重要な基本的注 意]の項に「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。 投与に当たっては、これらの副作用が発現する場合があることを患者等に十分に説明し、 これらが現れた場合には、直ちに投与を中止し、医師の診察を受けるよう指導すること」 という改訂を指示しているところでございます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。この議題につきまして御質問、御意見ござい ませんでしょうか。ないようでしたら次に進ませていただきます。次はゲフィチニブに ついてです。説明をお願いいたします。 ○事務局 ゲフィチニブ検討会における検討の結果について説明させていただきます。 昨年の12月17日に、英国のアストラゼネカ本社が標準化学療法が効かなくなった非小 細胞肺癌患者へのイレッサとプラセボの投与について生存期間を比較検討するISEL 試験の初回解析結果を発表いたしました。日本のアストラゼネカ社は翌日の18日からそ の結果について医療機関に情報提供しております。  お手元の資料1-4参考というものを御覧ください。1枚目の1段落目の一番最後の3 行部分の真ん中辺りから結果が書いてございます。「その効果は、生存期間の延長に統 計学的に寄与しませんでした」、また「なお、サブグループ解析においては、東洋人及 び非喫煙者においては生存期間の延長に寄与することが示唆されました」ということで ございます。その生存曲線を示しているグラフが資料にございます。めくっていただき ますと2ページに「Figure1」というものがございますが、これが全症例を対象とした 生存曲線でございまして、こちらの表につきましては統計学的に有意に生存期間を延長 しなかったという結果でございます。その裏の3ページの「Figure3」が東洋人患者に おける生存曲線、それと4ページの「Figure5」に示しておりますのが非喫煙患者にお ける生存曲線でございます。こちらの二つのサブグループにおきましては延命効果が示 唆されるという結果になっております。  この結果が発表されたことにより、厚生労働省におきましては1月20日に医学薬学の 専門家等から成るゲフィチニブ検討会を開催し、この初回解析結果について検討いたし ました。その検討会の結果が資料1-4でございます。検討会の結果は表紙の裏側から始 まる「ゲフィチニブISEL試験の初回解析結果に関する意見」ということで御意見を 頂いております。大きく五点ございます。まず一点目として1の概要を申し上げますと、 これは初回解析結果ですので、日本における本剤の臨床的有用性に対する影響を判断す るためには現在実施中の各評価項目の詳細な解析結果が必要であるということ。二点目 は、この提出されたデータから考えると、2の一番最後に書いてあるとおり引き続き本 剤の適正使用を進めることが適当であるということ。三点目でございますけれども、こ のISEL試験の初回解析結果については医療機関への情報提供と患者に対する十分な 説明、同意が必要であるということ。続きまして四点目でございますけれども、企業が 日本で実施しているイレッサの日本人患者を対象とした第III相比較試験という延命効果 を見る試験の早急な完了に向けて努力するべきということ。五点目は、これはEGFR の遺伝子の変異とイレッサの治療成績の関連が検討会でも御意見ございましたので、企 業はEGFR遺伝子の変異と本剤の治療成績との関連についての研究も早急に進める必 要があるということ。検討会から大きくこの五点について御意見を頂いているところで ございます。1月20日の検討会で検討したものは初回解析結果でございましたが、今後 アストラゼネカ社は詳細解析結果を3月にも提出する予定と聞いておりますので、厚生 労働省といたしましてはこの詳細解析結果が提出され次第、再度検討を行うことを予定 しております。3月に詳細結果が出ましたら、この1月20日の議論を踏まえて今後の対 応等を検討していただきたいと考えております。  また1月20日の検討会の中でイレッサの使用方法について各委員の方から御意見を 頂いておりました。これに関して平成15年10月に日本肺癌学会がイレッサの使用に関 するガイドラインというものを既に作成しております。ただ平成15年10月からイレッ サについての新たな知見も出てきているようですので、最近の知見も踏まえてガイドラ インの改訂を御検討いただきたいということをこの検討会以後厚生労働省から日本肺癌 学会あてに依頼しておりますので、厚生労働省側でそういった活動をしているというこ とも併せて報告させていただきます。この資料についての説明は以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ISEL試験に関する初回解析結果に基づい た厚生労働省の対応と今後の方針について説明していただきました。この問題に関して 御質問、御意見ございませんでしょうか。岩ア委員、どうぞ。 ○岩ア委員 これは新聞報道等もなされまして皆さん結構御関心があるかと思うのです けれども、この「東洋人」というのは具体的にはどういう人達だったのでしょうか。 ○事務局 東洋人と言いますのは、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タ イ等の国が含まれております。 ○岩ア委員 日本人に関するエビデンスはまだ不足しているということになるのでしょ うか。 ○事務局 日本人はこのISEL試験には含まれていなかったということですので、実 際にISEL試験の結果から日本人に対する影響を判断するのはかなり難しいというこ とで、委員の先生方にはその辺を御検討いただければと考えております。 ○岩ア委員 これは関係ないかもしれませんけれども、新聞報道がなされていますが、 それについての影響などは特にないのですか。私はあれを見てアストラゼネカのホーム ページで詳細を見たのですけれども、そもそもあの新聞報道自体も適当なものだったの でしょうか。 ○松本部会長 いかがですか。 ○事務局 私ども厚生労働省といたしましては1月20日の検討会の結果を踏まえて引 き続き適正使用を進めることが必要ということなので、それを行っていきたいと考えて おりますし、また岩ア先生御専門の統計などについて、検討会でもサブグループの統計 の頑健性がどうかというような御意見もございましたので、詳細解析結果が出ましたら そういった点についても3月での検討の対象になるのではないかと考えております。 ○岩ア委員 ありがとうございました。統計的にも非常に興味のある問題だったのでお 伺いしました。 ○松本部会長 岩ア先生としては何かいい対策、御意見はございますか。ありませんか。 ほかに御意見ありませんでしょうか。どうぞ。 ○倉田(雅)委員 治験で行われる詳細なチェックの方法と市販後調査とでは、患者が薬 を使用するとき体制に随分ギャップがあるのではないかと思っているのです。と言いま すのは、私どもの会で最近治験の被験者になった者がおりまして、治験を受けるときに はまず治験がどのようなものかということと、その治験薬についての説明をそれぞれ30 分ほどされたというのです。その後検査に行ったときに毎回問診をされますが、その問 診が30分ほどされるということです。15項目ぐらい書かれているマニュアルがあるそ うですが、それを一つ一つ丁寧に聞かれるというのです。ふだん一般の診療のときには そのようなことが全くないので、それを聞いたときに私どもはとても驚きまして、では 市販後調査のときにはどういうふうに問診がされているのだろうかと思いました。治験 のときにあれほど詳細にされているのを見ると、私たち患者が通常の診療で「今日はど うですか」と漠然と聞かれるよりは、「せきはどういうふうに変わっていますか」とか、 「めまいはしませんか」などと一つ一つの症状が前の診療のときとどういうふうに変わ ったかということを詳細に聞かれた方が病状の変化に気が付きやすいと思うのです。市 販後調査のときというのは治験のそれと随分ギャップがあるように思うのですけれど も、実際に診療を行っている医師の方がお見えでしたら伺わせていただきたいと思いま す。 ○松本部会長 倉田委員のおっしゃる治験というのは非盲検無作為群間試験のことです か。 ○倉田(雅)委員 新聞に出ている一般の患者を相手にしたものだと第III相…。 ○松本部会長 今の治験でしたらこれですね。これ以外にもありますか。 ○安全対策課長 承認前の治験の話だと思います。 ○松本部会長 承認前のですか。 ○倉田(雅)委員 そうです。 ○安全対策課長 市販後の一般的な調査といいますか…。 ○倉田(雅)委員 承認前の治験の問診などと実際の患者さんが使われているときに市販 後調査でされる問診とで随分ギャップがあるのではないかということです。 ○渡辺委員 非常に重要な御指摘だと思います。私は腫瘍内科医として実際に治験に携 わっていることが多いのですが、制癌剤の市販前の治験の場合には安全性を見る第I相 試験と第II相試験という段階があります。初めて人に投与される場合、我々としてもど のような副作用がどういう状況で出るかというのは皆目検討が付かない状況で患者さん に使用するということがありますから、そのようなときには360度注意を払って問診に も当然時間を掛けます。安全性、有効性が評価されて市販された薬剤ということになり ますと重立った有害事象は大体分かっていますから、当然それほど時間を割くことはあ りません。開発の段階で当然傾斜はあるので倉田委員御指摘のように全く同じではあり ませんが、ただそれなりの段階を踏んで安全性、有効性が確認された後のことですから、 あえて言わせていただければ手を抜いて軽くしているというわけではありません。 ○倉田(雅)委員 分かりました。しかし治験の被験者になる人というのは、例えば生活 習慣病のあるような人は外されて、その薬を使うためにどんどん精査されて選ばれた人 たちですね。承認された後の一般の患者さんというのは、例えば生活習慣病があったり 市販の薬を勝手に飲んでしまっているような方もいらっしゃるわけで、それからすると 思いも掛けないような副作用や有害事象は出てきて当然ではないかと素人としては思う のですが。 ○渡辺委員 一般論での御質問ですが、具体的にお答えいたしますと、第I相、第II相 試験の場合というのはやはり安全性についての注意を最大限払うわけですから、腎機能 や肝機能が十分に安全でなければ試験の対象になりません。例えば肝臓の排泄能を見る ビリルビン値が完全に正常範囲内でなければ第I相、第II相試験では対象とならないの です。市販後の臨床試験というのは、高齢者や多少の臓器障害を有する方や小児など治 験の段階では集積できなかったような患者さんに広げるわけです。その理由は、結局患 者さんにとってその薬剤の効果、ベネフィットをどれくらいまで得られるかということ と、その対極にある害悪についてのバランスを常に考えていくわけです。治験の段階で は対象症例数が限られていますから、市販後に場合によっては3,000名ぐらいの患者さ んを対象として、その中には高齢者やほかの疾患を合併している患者さんも当然含まれ てきます。しかしその場合にも事前にどの程度の臓器障害があるかを把握して対応いた しますし、全く併用薬剤を把握していない状況で治験をやるということは市販後試験で もないと思います。飲んでいる薬剤は必ずリストアップして対応しています。特にがん の領域では1990年代のソリブジンの問題がありましたので、それの教訓として併用薬に 関してはどのような状況でも必ず確認するということはルーチンになっていると思いま す。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに御質問、御意見はございませんでしょうか。こ れは大変重要な問題なのですが、もし御意見があれば是非発言していただきたいと思い ます。 ○井上委員 今の御意見なのですけれども、私は現場で薬剤師をやっておりますが、や はり原点は患者さんにあると思っております。特に抗がん剤や安全性に関してある程度 注目されている薬剤については、ドクターたちも現場で患者さんの訴えをよく聞いて、 様々な患者さんがいらっしゃいますので患者さんによっていろいろな表現方法がありま すが、その中から専門家としてそういったものを抽出し、還元していく努力を私ども日 々やっているつもりでございます。特に今回薬事法が改正されまして副作用報告が義務 化されておりますので、何か兆候があるということがあれば厚生労働省に報告し、御専 門の先生方に見ていただくというシステムが今安全対策課の御努力でできつつあるよう な気がしております。 ○松本部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。どう ぞ。 ○田代委員 ちょっと記憶が定かではないのですけれども、前のこの部会で間質性肺炎 の問題がディスカッションされたと思います。そのときにいろいろな注意事項が紹介さ れて、こういうことに十分注意しながら引き続き使用するというような結論だったと思 うのですけれども、その後間質性肺炎の発生についてはコントロールされているのでし ょうか。 ○松本部会長 これはデータはありますか。 ○事務局 イレッサにつきましては平成14年10月に間質性肺炎あるいは急性肺障害に ついてドクターレターを出しました。その発出時には報告状況としまして一月当たり 200件程度報告されておりましたけれども、現在はおおむね一月当たり大体30〜40例程 度の報告で推移しております。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。 ○田代委員 それは投与された患者さんの数が減ってそうなったというわけではないの ですか。 ○事務局 投与患者数をとらえるのはなかなか難しいのですけれども、アストラゼネカ 社が製薬企業として患者数を推定しておりまして、1月20日の検討会にはその推定の累 積患者数と副作用の報告状況の資料を提出させていただきました。その推定使用患者数 のグラフを見ますと、企業の推計では新規の投与患者数は一定程度増えているという状 況の中で、間質性肺炎の副作用の報告数はここ1年程でコンスタントに推移していると いう状況にございます。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに御意見ありませんでしょうか。ないようでした ら先に進ませていただきます。次は自己血糖検査用グルコースキットについてでござい ます。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料1-5を御覧ください。簡易血糖自己測定器・自己血糖検査用グルコース キット(補酵素としてPQQを利用しているGDH法)に関する安全対策についてでござ います。経緯でございますが、平成16年9月29日にマルトースを含有する輸液を投与 中の患者に対して当該機器・キットを使用し、その測定結果を基にインスリンが投与さ れ低血糖を起こした副作用症例が2例報告されていることから、マルトースを含有する 輸液等を投与中の患者には使用しない旨の使用上の注意の改訂を指示いたしました。平 成16年10月、当該改訂に関する記事を医薬品医療用具等安全性情報206号に掲載し、 注意喚起を図ったところでございます。その後新たに3例の低血糖に関する副作用が報 告されたことから今回の改訂に至っております。  問題点としまして、医療現場における医療関係者には当該適正使用情報の周知徹底が 図られていなかったということです。そこで、医療現場における様々な医療関係者に対 する適正使用の周知徹底と、使用する機器へのシール添付による患者個人への注意喚起 などの使用上の注意の十分な提供を目的として、別添の都道府県あての通知を発出した ということでございます。また企業に出した使用上の注意の改訂等につきましては一番 後ろのページの通知を御覧ください。今まで[警告]欄につきましてはマルトースを含 有する輸液を含む患者ということでしたが、輸液に何が含まれているかが分からない方 もいらっしゃるということで、[警告]欄を「輸液等を投与中の患者」と改めました。 一番最後のページを御覧ください。[警告]欄に「原則として患者自身が自宅等で血糖 を測定する場合に使用すること」と追記いたしました。また適正使用情報の提供としま して、医療関係者に対して早急に適正使用情報を周知すること、また医療関係者が当該 キットを使用する患者様に適正使用情報を理解させるために必要な資材を作成し、提供 することと指示を出しているところでございます。以上でございます。 ○松本部会長 何か御質問、御意見ございませんでしょうか。これは医療機関で血糖の モニター用に使われていたということですか。 ○事務局 実際の救急とか病棟等でちょっと測って使っているという事例も見受けられ たということでございます。 ○松本部会長 この問題に関してはよろしいでしょうか。それでは次の議題に進ませて いただきます。議題2は医薬品等の副作用等報告の状況についてです。まず事務局から 説明をお願いいたします。 ○事務局 資料2-1を御覧ください。薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品 衛生審議会への副作用・感染症等報告についてでございます。本報告は平成15年7月 30日より施行されました改定薬事法に基づくもので、今回で4回目の報告となります。 平成16年8月1日〜11月30日までに受けました副作用等報告について今回は報告いた します。報告事項は大きく二つに分かれておりまして、一つ目が製造業者、輸入販売業 者からの医薬品等の副作用・感染症報告、二つ目が医師、薬剤師、歯科医師等の医薬関 係者からの副作用・感染症報告でございます。製造業者からの副作用報告につきまして は、平成16年4月1日から施行された薬事法により医薬品医療機器総合機構で受け付け るところであります。また今般の報告につきましては薬事法第77条の5の4に基づいて 医薬品医療機器総合機構で整理した結果を踏まえたものでございます。また後ほど説明 いたします議題3の感染症定期報告に関する資料も同様に医薬品医療機器総合機構の方 で整理したものでございます。製造業者等の報告のうち、国内感染症の報告につきまし てはデータベース上医療用医薬品と一般用医薬品を区別して報告してはいないのですけ れども、分かりやすくということで今回は分けて資料を作成しているところでございま す。  まず副作用報告件数につきましては、医療用医薬品が8,320件、一般用医薬品が91 件、合計で8,411件でございます。感染症報告につきましては、医療用医薬品が92件で ございます。一般用医薬品のところが「-」になっているのは、感染症伝播のリスクがあ る医薬品はすべて生物由来医薬品と指定されておりまして、これらはすべて医療用医薬 品に該当し、一般用医薬品はないからでございます。  続きまして外国症例の報告についてでございます。薬事法施行規則におきまして国内 承認の医薬品と成分が同一の海外で売られているものに関する同様の副作用報告規程が ございます。その報告件数ですが、副作用報告は17,937件、感染症報告は36件という ことでございます。  外国での新たな措置の報告の状況でございます。これは国内承認医薬品と成分が同一 の外国の商品について海外において回収や添付文書の改訂等の重要な安全性上の措置が 採られたときに報告する規定でありまして、本規定に基づく報告が167件ございました。  研究報告の報告状況でございます。国内の医薬品あるいは海外で売られている成分が 同一のものの副作用等により、がんやその他の重大な疾病が発生するおそれがあるなど の報告に関しまして、研究報告として報告された件数が今回は416件でありました。  大きな2でございますけれども、医薬関係者からの報告でございます。本期間中に 1,642件の報告がございました。本報告につきまして副作用等の重要な情報については 製造業者等にすべてフィードバックしており、各製薬企業では安全性情報として活躍す るとともに、必要に応じまして詳細な調査を行った上で企業報告として提出を求めてい るところでございます。その意味では医薬関係者からの報告の大部分は製造業者から報 告されている状況でございます。以上が医薬品等の副作用・感染症等報告の状況でござ います。  続けて資料2-2の説明をいたします。国内副作用報告の報告状況について、先ほどの 資料2-1を補てんする意味で資料2-2〜2-4を配付しております。まず資料2-2はひもと じになっている分厚いものでございまして、平成16年8月1日〜11月30日までに報告 された医薬品ごとの副作用件数を示したものでございます。1症例で複数の副作用を発 現した場合には報告件数の横に数字で記載されていますので、報告件数より実際は多く なっている点に留意していただきたいと思います。また本資料の見方として、医薬品の 一般名ごとの副作用と件数を薬効分類別に並べております。資料2-2参考として薬効分 類表がありますので、御参照いただきたいと思います。  続きまして資料2-3の御説明をいたします。国内副作用報告の状況(一般用医薬品)で ございます。医療用医薬品と同様に成分ごとに副作用報告件数を示しております。一般 用医薬品の場合は配合剤が多く成分名では分かりづらいこともございますので、左端に 薬効群を示しております。 ○事務局 続きまして資料2-4の説明をさせていただきます。お手元の資料は既に血液 対策部会運営委員会に報告されたものと同じでございますが、安全対策部会では報告期 間が平成16年8月1日〜11月30日までの4か月分を集計しており、また取下げの事例 もございますので報告数が異なっております。今回報告するものについては総数が90 件、C型肝炎の同一症例がありますので症例数としては88例となっております。内訳と しては輸血用血液製剤が80件、血漿分画製剤などが10件ですが、販売中止された旧製 品、フィブリノゲン製剤の掘り起こしの肝炎の報告が7件含まれております。7列目に 感染症名の項目がございますが、感染症別ではB型肝炎が39件、C型肝炎が28件、B 型肝炎とC型肝炎の重複が1件、それからE型肝炎が1件、不明の肝炎が3件、細菌感 染症などが19件となっております。いずれにおきましても日赤、製造企業等によって保 管検体の検査、患者調査などが実施されております。  輸血用血液製剤で献血者の個別NAT陽性が5、20、38、45、56と5件あるのですが、 こうしたものは製剤によって感染した可能性が高いと考えられます。一方献血者の個別 NAT検査陰性のものは製剤による感染があったのか院内感染等のほかの原因であるの か不明でございまして、この中には投与前から陽性である17や59、再検査で陰性であ る88など、製剤によらないと思われるものも含まれてございます。また28にパルボウ イルス感染が1件、77にヘルペス肺炎といったものも含まれております。これらにつき ましてはウイルスNAT検査が陰性かつIgMが陰性であることなどから、製剤が原因 であることを示唆する検査結果は今のところ特定できていないようでございます。その 他細菌感染症が14件、敗血症などが3件ございますが、いずれも無菌検査は適合してお りまして、製剤による感染なのかルート感染なのかの特定については不明となっており ます。一般に検査の結果投与前からキャリアであることが判明した場合、検査値のみ擬 陽性、ポジティブであった場合など、感染そのものがなかったと確認された場合につい ては医療機関の意見を聞いて取下げとなる場合も多くございまして、この期間中既に11 件が取り下げられておりますが、今後進むとこの表の中のものから取下げが増える可能 性がございます。これらの症例につきましては情報収集、対応については企業あるいは 医療機関で既に実施されているところでございますけれども、今後は輸血医療の安全確 保のための総合対策などというものに従って、血液対策課など関係部局と連携をとりな がら対応を進めてまいりたいと思っております。事務局からは以上でございます。 ○事務局 続きまして資料2-5、外国での新たな措置の報告状況についてでございます。 本資料は報告順に医薬品の成分名と報告内容を示しております。なお1ページにカプト プリルの腸管浮腫につきまして同様な報告が幾つか掲載されておりますが、これは後発 企業も含め製造業者各社が自社の医薬品として報告しているものでございます。報告の 多くは日本における影響が少なく対応不要のものや、日本における副作用報告がなく現 時点では対応を採る必要性に乏しいと判断されるもの、あるいは既に日本の添付文書に 必要な注意喚起が行われているもの等がございます。これらの報告を受けて今回使用上 の注意を改訂したものの例示としまして、このカプトプリルについては企業の自主改正 ということで添付文書に追記する措置を採っております。いずれにしてもこういう措置 報告につきましては、必要に応じて医薬品医療機器総合機構の専門委員又は薬事・食品 衛生審議会の専門の委員の意見を踏まえながら対応を採っているところでございます。  続きまして資料2-6を御覧ください。研究報告の報告状況でございます。本資料は報 告順に医薬品の成分名と報告内容を示しております。研究報告につきましても、日本に おける添付文書には既に必要な注意喚起がなされている場合や、文献における一例報告 の副作用報告であったり、詳細情報が不明で因果関係の評価が困難である事例等があり、 現時点では対応を採る必要性に乏しい場合が多うございます。例えば1ページの13、フ マル酸テノホビルジソプロキシルとジダノシンの相互作用につきましては既に添付文書 において注意喚起しているところでございます。今回これらの報告を踏まえまして使用 上の注意の改訂を指示したという事例はございません。研究報告につきましても、必要 に応じて医薬品医療機器総合機構の専門委員又は薬事・食品衛生審議会の専門の委員の 意見を踏まえながら対応を行っているところでございます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。内容は大変多いのですが、この議題に関しま して御質問、御意見ございませんでしょうか。どうぞ。 ○倉田(毅)委員 資料2-1の国内の分ですが、時間的な経過もあるでしょうから、もし 上の平成16年8月1日〜11月30日ということで外国と日本を比較したということです と、副作用報告が外国のは日本の倍あって感染症が3分の1ということは約6倍ぐらい 違うというような格好になるのですけれども、この感染症報告で日本の国内で出ている ものと外国の症例の報告状況というのは、診断名は同一のものですか。例えば日本のシ ーンが6倍悪いという話になるのかどうか単純にちょっと気になるのですが。というの は、あとの症例を見ていると劇症肝炎などいろいろなものは全部感染症ですという格好 でとらえているのかどうか。ちょっと考えられないようなものからそういうものが診断 名として出ていますね。ですからこういうものは資料2-4で出されたものだけを集計し た数字ですか。 ○事務局 担当として外国症例を読んでいると、外国の分画製剤でこういう会社があり ましたとかこういうものがございましたという事例を主に海外企業から御報告いただい たりしております。御指摘のように国内のものにつきましては90件中80件が日赤の輸 血のものでございまして、やはりそういった内容の差異はございます。外国から報告を 受けたものにつきましては、我々としては同一ロットが日本に入っていないのかといっ たチェックをさせていただいているところでございます。 ○松本部会長 倉田先生、よろしいですか。どうぞ。 ○長谷川委員 私はスタチンと横紋筋融解ということに注目して解析してきているとこ ろで、今回の副作用報告の資料2-2で見ますと31〜32ページ付近に出ております。スタ チンとしては新しく1月に承認されたものも一つございますけれども、現在プラバスタ チン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチンだけです。 この報告は今回で4回目なのですが、この横紋筋融解とスタチンの報告件数を見てみま すとアトルバスタチンだけがほかのスタチン類に比べて件数が多いのです。実際にはア トルバスタチン以外のものについては1回の期間の報告で10件未満なのですが、アトル バスタチンについては4回の報告とも平均的に20件程度報告されていて、今回は17件 です。以前市場撤退したセルバスタチンなどの例を見ますと用量依存的な横紋筋融解、 あるいは相互作用というような可能性もあるということで、この辺が少し気になるとこ ろなのですけれども、事務局として何かお考えがございますでしょうか。 ○事務局 先生からの御指摘のように、アトルバスタチンにおける横紋筋融解症の発生 件数につきましては他の高脂血症のお薬に比べてかなり高く、2倍以上の件数で推移し ているようでございます。ただ推定使用患者数の詳細がまだ把握できていないという状 況であることと、個々の症例についてもまだ評価がなされておりませんので、その評価 をするとともにその内容の因果関係を含めて用量の相関性など、本件について検討させ ていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。 ○山口委員 国内感染症報告についてちょっと質問させてください。先ほど取下げの話 を少しされていたと思うのですけれども、今回は割と日赤のものが多くて、ただ前回に 日赤以外といいますか、血液製剤以外のものでも製剤由来でないことが非常に濃厚であ るようなものがあったかと思います。このようなケースでは、取下げについて本当にそ うなのかどうかというのはどのように調査していくのですか。血液製剤ですと血液対策 課と協議すればいいのでしょうけれども、それ以外のものだと例えば感染症の対策をや っている課などとの調査といったことが必要になってくるかと思うのですが。 ○事務局 これまでの国内感染症報告で取下げにならない事例を申し上げますと、企業 側も主治医の先生とよく相談していろいろ調査しまして、感染前から陽性であったり分 からなかったりという事例が多いです。主治医の先生の許可を頂いた上で医療機関側と 企業が合意して取下げに至るのですが、医療機関がどうしてもこれは薬のせいだと言う 場合がたまにあって、そういう場合は取下げになりません。一般に患者さんが院内で感 染症を起こす場合については、入院前に社会的に感染している場合、院内感染の場合、 またこのような製剤を使っている場合は製剤による感染と、大きくこの三つに分かれま す。製剤によらないと患者さんの社会的感染か院内感染かという話になる場合がござい まして、そういうときになかなか違うと言えない場面が出てくるという状況を調査にし たがって聞くようなこともございます。  それから先ほどの倉田先生の国内と海外は同質のものかという御指摘に追加させてい ただきますと、国内の場合も血漿分画製剤などについては10件あったうち7件が掘り起 こしでございますが、海外の事例についても古い非加熱のときの掘り起こしの頻度が非 常に高くて、そういうものが多く占められているという状況でございます。以上でござ います。 ○松本部会長 よろしいですか。 ○山口委員 報告のデータだけが残ってしまうといいますか、そのためにその製剤につ いて感染の危険があるような形で報告が残ってしまうということだけが一番心配で、そ れがどこかでコメントが付けられるようなことであれば一番いいのかなというふうに考 えました。 ○事務局 実は昨日血液事業部会がございまして、出席された方もいらっしゃると思う のですが、分画製剤も含めた血液製剤の遡及調査ガイドラインが今作られております。 その中でそういう分画製剤の副作用が出た場合についてもどうするのかというようなも のが今後ガイドラインに書かれてくると思います。このガイドラインに従って医療機関 なり関係のところが対応している場合については、まずこういう生物製剤を投与する前 に患者さんが感染していない状況であるということをきちんと確認しておくことが特に 大事になるのですが、この報告を見てもお分かりのように事前にきちんとやっているも のがなかなかありません。例えばB型肝炎だけ見るにしても、輸血する前にS抗原、S 抗体、C抗体だけはきちんと採っておかないとその後でどれかが陽転化した場合それが 本当にその製剤であるかということはきちんと判断できないのですが、ざっと数えた限 りそれをしっかり採っているのは今回の報告の中でもおおむね10数%で、残りの80% 以上が採っていないという状況の中で、やはり判断が付かないのかなと認識しておりま す。したがって、今度血液対策課の方でガイドラインができてそれがだんだん周知され ていくと、このような判断が付かないから報告として上がってくるものが少なくなって くるかと思います。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。ほかにございませんでしょうか。ないようでした ら次に進ませていただきます。議題3は医薬品感染症定期報告の状況についてです。事 務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それではお手持ちの資料3-1と3-2を御覧ください。薬事法第68条の8に基 づきます医薬品の感染症定期報告の状況について報告させていただきます。まず資料 3-1、感染症定期報告の状況でございます。平成16年8月1日〜11月30日までに生物 由来製品の製造業者等から報告された感染症定期報告のうち、文献調査についての報告 を登録順に並べたものでございます。全体で396の報告がありまして、感染症に関する 文献を添付してきた報告は298、してこなかったものが98でございました。この報告を 同一文献ごと、感染症ごとに整理してまとめたものが資料3-2、報告文献別一覧表でご ざいます。今回も資料3-2に基づきまして概要を説明させていただきます。  報告者からの報告で、およそ50の感染症に関して298の論文等が提出されております。 提出された論文等の主な感染症は7ページ以降にございますクロイツフェルト・ヤコブ が84件で最も多く、2ページにありますインフルエンザが40件、5ページ以降にあり ますウエストナイルが18件、1ページ以降のウイルス性肝炎が21件などとなっており ます。論文につきましては事前評価委員の先生方に御確認いただいて、国立感染症研究 所の倉田先生に御相談しながら感染症研究所の先生方にも学術的なコメントをお願い し、措置を講ずる必要性があるかないかなどを含めて御意見を頂いているところでござ います。  感染症定期報告の制度はスタートして2年目に入りまして、本部会においても人の感 染症につきましては御検討いただいているところですけれども、今回の文献等について 主なものを御紹介したいと思います。1ページの5番目以降にB型肝炎に関する論文が ございますが、5番目に慢性B型肝炎の唾液にHBVの伝播力があるという報告。前回 に続きましてキャリアの保育士から園児に感染して、その原因としてアトピー性皮膚炎 の浸出液等が考えられることといったような論文。それから11番にイタリアの急性B型 肝炎の15%、急性C型肝炎の11%がその原因にひげ剃り、ピアス等があるといったもの が報告されております。それから12番にはNATのウインドウピリオドにあるごく微量 のウイルスキャリアが感染源になり得ることなどが報告されております。1ページの16 番から2ページの21番にかけてE型肝炎の報告がございますが、前回に続き北海道など で十分加熱されていないブタを食べることによりブタのE型肝炎ウイルスがヒトに感染 し得ること、日本の抗体陽性率が3%ぐらいあること、感染したヒトが献血することに より輸血による感染があり得ることなどが報告されております。献血血液のALTのス クリーニングはE型肝炎の感染リスク低減に有効なことなども報告されております。  22〜33番にかけてHIVに関する報告がありますが、米国のMSMの黒人の方、それ からアフリカにおいてHIVが広がっているといったこと、それから血清学的検査が陰 性であってもミニプールNATが有効である一方で、ミニプールNATを行ってもウィ ンドウピリオド中の感染があり得ることなどが報告されております。  2ページの37番から5ページの76番にインフルエンザの論文等が多数報告されてお ります。アジアを中心に各国でH5N1型、その他トリインフルエンザの発生が続いて おり、前々回から同じ傾向の論文が提出されております。前回の医薬品等安全対策部会 においては、各国のトリインフルエンザの発生が医薬品に影響を与えるかについて事前 評価委員の先生から否定的な御意見を頂いたところでございます。目新しい報告としま しては4ページの60、61、70番などでオランダ、ベトナム、タイでトリインフルエンザ がヒトからヒトへ感染することを示唆する報告がございまして、新型インフルエンザの 発生等を踏まえて引き続き注視してまいりたいと考えております。  77〜87番まで原因不明のウイルス感染を中心に各国における発生や各国の対応が並 んでおりますが、82番にはHDVやTTVなどとともに近年肝炎の原因ウイルスとして 考えられてきたSENウイルスについての検討や、83番のウシポリオーマウイルスなど の報告がございます。このウシポリオーマウイルスについては組織培養用のウシ血清の 半数以上にこのウイルスの遺伝子が検出されているとの報告でございます。前回の医薬 品等安全対策部会で報告したとおり、日本でも今日御出席の感染研の田代委員の研究部 で各ワクチンについて既に調査し、水痘ワクチンからウシポリオーマウイルスの遺伝子 が検出されましたが、メーカー、感染研で解析を進めたところ、検出されたのは感染性 のない不完全な遺伝子でありました。また前回メーカーが英国の専門機関であるバイオ リライアンス社にバイオ検査を委託したことを報告しましたが、その結果がその後報告 されまして、検出された血清に感染性がないことが確認されております。ウシポリオー マウイルスにつきましては海外においては基準を設けて予防的に規制している国はござ いませんが、我が国の水痘ワクチンの原料につきましては前回この部会で報告したとお り暫定基準を設け感染性のないことを確認することにより対応することとなっておりま す。 次に84〜85番に小児からhuman metapneumovirusの遺伝子が検出されたという報 告がございます。  88〜105番までウエストナイルウイルスに関する論文が続いております。米国におけ るウエストナイルウイルスの発生状況、献血血液においてNAT検査陽性が1,000例あ ったこと、6例の輸血感染があったこと、低濃度の場合はプールNATをすり抜ける可 能性があること、2例のすり抜け事例があったことなどが報告されております。  6ページの106〜110番までは前回報告しました米国におけるヒトに関する二次感染、 三次感染の報告が今回も引き続き報告されております。  7ページの111〜113番まではアメリカで臓器移植により狂犬病に感染した事例、ロシ アで狂犬病の発生が増加している旨の報告でございます。  116〜199番まではクロイツフェルト・ヤコブ病に関する文献が84件報告されており ます。前回の医薬品等安全対策部会におきまして、英国において輸血によりvCJDに 感染し死亡した事例があると報告いたしましたが、今回もこれに関した文献が144、163、 183、189番ほか続いております。ナノフィルトレーションやイオン交換プロセス、それ から特殊なフィルターがプリオンの除去に有効なこと、羽毛を分解するケラチナーゼが プリオンを分解すること、白血球除去がBSEの感染性を低下させることなどのプリオ ンの検査や基礎的研究などの論文も提出されております。注目すべきものとしては161 番でヒツジのスクレイピーについてヒツジの筋細胞に少量のプリオンが検出されたこ と、162番で筋のプリオンの感染性は脳の5,000分の1であったこと、その他ウシに比 べて筋肉に蓄積しやすいことなどが報告されております。  それからクロイツフェルト・ヤコブ病に関して2月4日英国に1か月渡航歴のある男 性が国内初のvCJDであることが確認されておりますが、これを受けまして厚生労働 省では資料3-2参考の後ろに通知を二つ付けさせていただいております。この参考資料 の最初の通知、「採血時の欧州渡航歴に関する問診の強化について」におきましては、 今回の事例を受けましてこれまでの安全対策に加えて1か月以上の英国渡航歴を有する 者からの採血を見合わせることになっております。また次の通知、「人由来原材料を使 用した医薬品、医療用具等の品質及び安全性の強化について」は、これまでの安全対策 に加えて1か月以上の英国滞在歴を有する者からのすべての人由来原材料の使用が禁止 されたこと。またアイルランドの方で英国滞在歴が今のところ分からないvCJDが1 例追加されたことから、これまでの英、仏、伊に加えてアイルランドの計4か国からの すべての人由来原材料の使用を禁止する措置が採られることになっております。参考ま でにお知らせいたします。国内初のvCJD症例につきましては、2月4日に開催され ました血液対策部会の運営委員会におきまして正確な渡航歴や平成7年以前の献血歴な どについて詳細に調査を行うことが決まっておりまして、今後調査を受けて必要な対応 を行っていくことになっております。  13ページに戻りまして、220番の新型のコロナウイルスが日本においても検出された 報告、その他227番以降にはSARSの報告が続いておりまして、SARS患者の汗、 涙、糞尿等が感染源になり得ること、空気の流れが感染に影響すること、昨年の中国で のSARSの発生状況等が報告されております。  14ページには炭疽、デング熱、ニパウイルス、リューシュマニア症といったような外 国で発生した感染症が報告されております。これらの概要につきましては倉田委員、甲 斐委員、山口委員にも御覧いただいたところ、血漿分画製剤についてはすべてウイルス プロセスバリデーションの工程があることなどを踏まえると、緊急の措置を講ずる必要 はないけれども、今後とも情報は収集するようにとの御指示を頂いております。追加の 御発言などがあればまたよろしくお願いしたいと思います。事務局からは以上でござい ます。 ○松本部会長 ありがとうございました。事前に御覧になったということですが、倉田 委員、何か御意見ございませんでしょうか。 ○倉田(毅)委員 それでは少しだけ。この薬事法の改正に伴って感染症定期報告制度が スタートして論文そのほかいろいろ集まってくるわけですが、これは非常にいい資料で ございまして、次第に質が高くなってきて5年続けたら恐らくどこにもないようなすば らしいものになると思います。この論文につきましてどのように調べているかというこ とをちょっと簡単にお話しいたします。出た論文に対して総合機構なり安全対策課の方 でどのような対応がなされているかも含めた上で、全部の論文のリストが来ます。感染 研では病原体の担当のほかにいろいろな疾患を見ているところに全部回しまして、これ に対応して今何かすべきことがあるかというコメントがあれば、よく知っている人も知 らない人もいますからいろいろな意見が出てきますが、その中で行政上齟齬(そご)があ ったり、そういうことに関しては申し上げます。そうでない場合は今厚生労働省の採っ ている対応でよければそれでということにしております。この論文リストは玉石混交で はありますが、非常に質が高くなってきている点ではいいかと思います。この情報につ いてはここにも各メーカーの方が来ていると思いますが、この情報の社内評価をされる とともに、そのリスクの認識をしていただいて各会社の製剤についての評価をどうする かということをしていただくことが一番大事です。もう一つは見逃してはならない情報 というものが必ずあるわけで、この中のものを全部知っていなければいけないという話 ではありません。そういうことをきちんと把握できるような体制を作っていただくこと がさらに大事かと思います。  それから海外での感染症の発生、流行というものが結構ありますが、これについては はっきり分かるものと分からないもの、ブラックボックスが随分あるものがありますの で、それについては我々専門家としてはそういう病原体についての報告から調査をする なり情報集めなりをして、少しでも貢献できるようにしたいと考えています。それから この中にありますように、ヒトからヒトにしか行かない状況で感染が及んでいるものと 外から入ってくるものがございます。外から入ってくるものに関しては製剤と関係なく 防ぎ方があるわけです。例えばブタのE型肝炎というのは、ある国では人口の多いとこ ろでもほとんどありません。なぜかと言いますと、ブタを生では絶対食べないというこ とが家庭教育の中で徹底されているからです。日本では最近生で食べることがカタカナ で言うと「グルメ」というおかしな言葉ではやっているようですが、これは非常に大き な間違いであるということを厚生労働省は言わずもがな、学校教育の中も含めて徹底し なければいけません。E型肝炎で感染者がどんどん出ることになったら、それもまたす べて事前検査をするかという話になると、これはもう検査量を何倍にしてもたまったも のではないと。100個ぐらいの検査を全部やるかという話になって、そういうことはち ょっと不可能だろうと思うのです。ですから、出てきてしまった後の段階でやる以前の ところをきちんと徹底していく必要があると。これは厚生労働省だけではとてもできな いことだと思うのですが、そういうことも少し対応する必要があろうかと思います。  それからウエストナイルウイルスにつきましてはどういう形で持ってくるか分かりま せんが、多分渡り鳥が持ってくる時期がだんだん近づいてくるのではないかと思います。 これは環境省も厚生労働省もいろいろなチャンネルで調べておりますが、今のところは 中には入っていないということでございます。  それから繰り返しで申し訳ないのですが、80%以上は事前のチェックはされていない ということで、先ほどの数字を見ますと日本の製剤だけなぜ感染が多いのか、これは日 本の製剤が悪いからという話ではないわけです。事前に全部調べろというのは普通のル ールとして外国にあるようですが、日本はどうしてそれをやらないか。個人のプライバ シーは大事ですが、それによって製剤の問題になってしまったときに医療機関で使った NATを保存してあったものがマイナスであると。それではそのようにウィンドウピリ オドで見逃しているものが市場に出ているかということになっていけば、献血した人の 後をフォローすればすぐに分かるわけです。そうすると、おかしいけれどもどうも院内 にいたときに既に…、院内感染か個人の感染が既にあったかは別として、そこのところ を輸血する、あるいは製剤を使う前には必ずチェックする。病院のいろいろな友人に聞 いてみますと、外科で拒否される例が随分あるらしいのです。そのとき外科の場合には 感染しているものとして徹底的に対応すると。それでいいのですが、そこで感染してい た人に製剤を使った場合、今度は製剤のせいになるということが起きてきます。これは 非常にまずいことで、せっかくまとめられた報告が意味を成さなくなります。日本だけ がけた違いに汚染されているものを使っているという話になって、これはちょっと違う のではないかと思うのです。ここは安全対策課から健康局も含めて問題のあることだと 思うのですが、日本は外国から見ればいつもおかしなものを使っているという話になり かねないので、厚生労働省の行政側としても日本医師会なり医療関係の方々に浸透させ て事前のところでやっておかないと、日本の血液行政はいつまでたってもおかしいと言 われる可能性がありますので、これは何か対応が必要ではないかと思います。  それからvCJDにつきましては、BSE含めてTSEすべて検出感度の問題でいず れもっと科学的証拠が簡単に捕まる時期が来るかもしれませんが、あと山口先生の方か らいろいろお話があると思いますけれども、そういうことが今の問題であろうと私は理 解しております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。山口先生、いかがでしょうか。 ○山口委員 それでは数点だけおさらいさせていただきます。先ほど事務局から御説明 ありましたようにvCJDの報告が一番多かったわけですけれども、その中で一番気に なるのは輸血によるvCJDの可能性が非常に高いということです。昨年の仙台で行い ましたプリオンの国際シンポジウムで、やはり輸血された中に扁桃にないのにプリオン に感染してしまったということで、要するに食事を介してでない輸血の可能性が結構高 いということが報告されております。今後輸血でのプリオンの伝播というのは非常に注 視していかないといけないと思います。  先ほどもう一つ報告がありましたように、我が国でも英国滞在の人がvCJDにかか ったということで、これについては今平成7年までの輸血歴は調べられているけれども、 それ以前のものについては今後調べられてくると。また滞在期間についても正確なとこ ろをもう少し調査されるということで、その辺の対応を待って今後どうするかというこ とを考えていかないといけないのだろうと思います。基本的には英国で18万頭のBSE 牛が発症して、150数名の方がvCJDになったという比率からいって、計算されてい るのは日本全国で0.9人、要するに人口1億2,000万人でそのぐらいしか発症しないと いう確率です。食からという意味では問題ないかと思うのですけれども、先ほど言った 輸血の感染というのは今後注意していかなければならない点だと思います。  この報告の中の123番で血液からプリオンを検出するという報告があって見てみまし たけれども、開発が始まった程度の話だと思いますのでまだこれは使えないだろうと思 いました。126番にフランスでの人でvCJDが出てきたときに輸血の問題も含めてど うするかということで、現在採られていることは各国が割と共通しているわけですけれ ども、それについては今の対応で十分だろうという結論が得られておりますので、現時 点ではvCJDの発症が起きたからといって対応を変える必要はないのだろうと思いま す。ただ先ほど言いましたような注意を行っていく必要があるのだろうと思います。  vCJD以外の話としましては、28番の文献にHIVのグループOがNATで検出で きないということが報告されております。これは私はやはり気になりまして、要するに NATという高感度の検査をしていてもその配列によっては検出できないということが あるわけです。日本には入ってきていないはずだと思うのですけれども、輸入感染症と いう可能性もありますので、そういう対応というのはきちんと調査していただければと いうふうには思っております。  それから先ほど幾つかコロナの新種ウイルスやmetapneumovirusのことについて報告 がありましたけれども、この辺については新しいウイルスということですが、いわゆる SARSほど怖いウイルスではないということだけは申し上げておきたいと思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。甲斐先生、いかがですか。 ○甲斐委員 この感染症定期報告は今問題になっております感染症を本当によく調べ上 げておられまして、メーカーが自社の製品について安全対策を実施していく上で重要な 情報となるものだと思います。大変よくできておりますものですから、ほかのメーカー さんが報告した情報につきましても是非共有していただくとよろしいかと思います。  それから倉田先生と山口先生からクロイツフェルト・ヤコブ病についてお話が出まし たけれども、今の時点でのリスク・マネジメントとしては事務局で説明された通知の内 容でよろしいかと思います。今回の報告でスクレイピーのヒツジの筋肉で5,000分の1 程度という微量の異常プリオンが検出されたということですけれども、感染症の有無の 議論とは別にヒツジの筋肉を原材料にしている生物由来製剤はないということでありま すので、医薬品については心配しなくてよいかと思います。それからプリオンの不活化 方法について今回新しい文献が幾つか報告されていて、大変優れた方法だと思いますが、 安全性などを確認しなければなりませんので、これらをすぐに導入するかということに 関してはまだしばらく時間が掛かると思います。  それから山口先生の方から新種のウイルスについてお話がありましたが、血漿分画製 剤や成分抽出製剤について言えばいずれもプロセスバリデーションを経ておりますの で、今後また新種のウイルスが出てきても除去不活化の工程はきちんとしておりますか ら、リスクとしては決して大きなものにはならないと思います。一方輸血用の血液製剤 につきましては血漿分画製剤のようなプロセスバリデーションが行われませんので、世 の中にあるすべての感染症について検査することはできませんし、まずは献血時の問診 と診察をきちんと行って、実用化できる新しい技術があれば一つ一つ検討していくこと が大切ではないかと思います。  BSEに関して皆さんの関心が集中していると思うのですけれども、日本国内のウシ について申し上げれば、日本はトレーサビリティとか全頭検査とか市場規制に関しても 世界の中で最も厳しい管理体制を敷いている国でございます。私が考えますのは、世界 の規定で最後のBSE検体が出てから7年間サーベイをきちんと行った上で、かつ最後 の検体が出てから7年間たたないと再清浄化国というふうには認定されないのですけれ ども、今の日本の体制は本当に世界で一番厳しいものですので、これを続けていけば私 は世界で初めての再清浄化国になれるのではないかと思います。そうなれば日本のウシ は食品としても製剤材料としてもブランドになるのではないかと思いますし、日本にい る限り、日本の製剤を使う限り安心という時代が来るのではないかと思います。山口先 生がおっしゃったように、今のところ輸血の問題は注意しなければいけませんし、外国 滞在者というのを考えなければいけませんけれども、食品の方からは極めて低いリスク だと思います。その他については事務局からの説明でいいかと思います。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。そのほかに御意見等ございませんでし ょうか。ないようでしたら次に進ませていただきます。議題4はその他ですが、事務局 から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは平成14年の改正薬事法に基づきます平成17年4月1日施行分のう ち、医薬品等の製造販売後安全管理の基準(GVP省令)に関して御説明申し上げます。 お手元の資料4-1を御覧ください。まず省令制定・改正の背景でございます。現在の薬 事法におきましては医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器といったような薬事法の対 象物の製造行為に着目し、その業を行う方に個別品目の製造承認あるいは製造業の許可 といったようなことを通じまして医薬品等の品質、安全性などの確保を行うといった法 体系になっております。今般の薬事法改正におきましては市販後の安全対策強化という ことも一つの目的といたしております。製品を市場に出荷する行為を元売りと考えます けれども、法律上は「製造販売」といった言葉がございまして、この製造販売を業とし て行う方に対して品質管理及び市販後安全管理の両方を要件に許可を与えるといったよ うな、新たな許可体系に移行することになっております。医薬品などの製造販売後安全 管理の基準に関するGVP省令というものは、改正薬事法第12条の2第2号の規定に基 づく製造販売業の許可要件として医薬品等の製造販売後安全管理基準として新たに定め られたものでございます。  具体的な省令の内容につきましては、1枚めくっていただいてポンチ絵を御覧くださ い。市販後の安全対策に深く関わる製造販売後安全管理でございますが、やはり製造販 売業の中におきまして情報の処理をきちんと行っていただくということが非常に重要な ポイントだと考えております。したがいまして製造販売業の方々におきましては、情報 の収集というインプット、安全対策というアウトプットを確実に行っていただくために 副作用情報の収集や整理・解析、検討・立案、安全対策の決定、安全対策の実行といっ た行為をきちんと行っていただく必要があります。これらの行為を確実に行っていただ くためには安全管理責任者や安全管理統括部門といったようなものの設置、手順書の整 備、業務の記録と保存、品質保証部門といった他の関連部門との連携、自己点検、教育 訓練、製造販売後安全管理を外部に委託する場合に必要な手順といったものをきちんと 定めていただく必要があるということで、これらの省令の中にこういった基準を定めさ せていただいているということでございます。これにつきましては今年の4月1日から 施行されるということで、現在各社におきましても必要な準備が進められていると考え ております。簡単ではございますが、以上資料4-1について御説明申し上げました。 ○松本部会長 ありがとうございました。製造販売後の安全管理の基準について説明し ていただきましたが、このことに関しまして御質問、御意見ございませんでしょうか。 ないようでしたら次に進みます。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料4-2を御覧ください。改正薬事法の施行に伴う医薬品・医療機器の市販 後安全対策の充実についてでございます。昨年12月28日〜1月28日にパブリックコメ ントを頂きまして、4月1日施行を目指して現在作業を進めているところでございます。 改正の要点でございますけれども、平成17年4月の改正薬事法の施行により企業による 市販後安全対策が強化されることを契機に、副作用、不具合の報告基準を「(1)より緊 急性の高い症例を重点的に監視することによる安全対策の強化」、「(2)国際調和によ る安全対策の強化」、「(3)医薬品と医療機器の報告基準の整合性の確保」等の観点か ら改正することによりまして、医薬品・医療機器の市販後安全対策の一層の充実を図る ものでございます。  具体的には次のページを御覧ください。改正の内容でございます。医薬品について(1) でございますが、日本では現行では「重篤」、「中等度」、「軽微」の三つの分類を用 いて報告を頂いているところですけれども、国際的に用いられています「重篤」と「非 重篤」の二つの分類にするということでございます。(2)でございますけれども、国内 の副作用症例のうち「死亡」症例につきましては、すべて15日報告とするということで ございます。(3)でございますけれども、新薬等で市販後調査を行われているものにつ きまして、それより得られました未知・既知を問わずすべての国内の「重篤」症例を15 日報告とするというものでございます。(4)といたしまして、「既知・重篤」の副作用 につきましては発生傾向が変化した場合には15日報告の規定を新たに設けて報告を求 めるようにするということでございます。(5)といたしまして、国内の「未知・非重篤」 の副作用報告につきましては、一定の期間の集積報告として国が製造販売業者からの安 全対策の実情を確認するということでございます。また感染症報告につきましては未知 の感染症例を重篤例にとらわれずすべて15日報告にするというものでございます。以上 でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま副作用報告基準の見直しについて説 明いただきましたが、この点に関しまして御質問、御意見ございませんでしょうか。よ ろしいでしょうか。ほかに御意見がないようでしたら次に進ませていただきます。その 他、事務局から何か連絡事項はありますか。 ○事務局 特にございません。 ○松本部会長 それではこれで本日の部会を閉会させていただきます。長い間どうもあ りがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748) - 29 -