05/02/22 第1回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会議事録 第1回 脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会    平成17年2月22日 経済産業省別館1014会議室  南野課長 では、定刻になりましたので、第1回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会 を開催いたします。私、本日、事務局を務めます厚生労働省医薬食品局監視指導の対策課長 の南野でございます。座長選出までの間、進行役を務めさせていただきますので、よろしく お願いいたします。  開会にあたり、まず厚生労働省の阿曽沼医薬食品局長よりごあいさつ申し上げます。  阿曽沼局長 厚生労働省の医薬食品局長の阿曽沼でございます。本日は全国各地から、厚 生行政のためにお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。今回、御出席の先生 方には、日頃から厚生労働省の薬物行政に御協力いただいておりまして、まずそのことにつ きまして心から感謝を申し上げたいと思います。今日は、厚生労働省としても脱法ドラッグ についての検討を本格的にしたいということで、お集まりいただきました。お集まりの先生 方は、医薬、薬学のみならず、青少年問題に直接携わっておられる方々、あるいは消費者問 題に詳しい方、あるいは現場の事情にも十分詳しい方など、いろいろな方にお集まりいただ きました。忌憚のない意見交換をしていただければ、幸いだと思っております。  日本の麻薬の現状でございますが、覚せい剤が大変大きな問題でございまして、実際にも 覚せい剤事犯というものが8割くらいを占めておる現状でございます。最近はMDMAや大麻 など、特に若者が手に入れやすい錠剤型のようなものが増えておりまして、そういう意味で 麻薬事犯についても、麻薬の問題についても常に国としては十分な注意を払っていかなけれ ばならない状態でございます。特に脱法ドラッグにつきましては、青少年を中心に乱用が広 がりつつあり、麻薬につながるようなゲートウェイドラッグというふうにも呼ばれておりま す。また麻薬と同等のような効果をもつものもございまして、その習慣性とか乱用というも のが大変問題になっております。これに対しても対策を強化していく必要があるわけでござ いますけれども、具体的に対策を立てるということになりますと、どういう形で法律の規制 の網をかぶせるか、技術的にもなかなか難しい問題がございます。供給を遮断するというの が、一つの方法であろうかと思いますけれども、普及啓発を含めて、脱法ドラッグをなくし ていくためにはどうすればいいのか、いろいろな方法を考えなければならないというふうに 思っております。  法規制ということになりますと、なかなか困難な面もございますけれども、さはさりなが ら、何らかの形の規制はできないかということで、法律改正も視野に入れて、この検討会で ご検討いただければ幸いであると思います。なかなか難しい問題を抱えておりますけれども、 今後御議論いただきまして、できましたら今年の10月頃までに御提言をまとめていただけれ ば、次の対応がしやすいのではないかと思っております。そういう意味で私どももこの検討 会の御議論を踏まえまして、御提言を受けて、本格的な脱法ドラッグ対策を実施に移したい と思っておりますので、忌憚のない御意見をいただきたいと思っております。開会にあたり まして、一言ごあいさつを申し上げました。  南野課長 それではカメラ、退出の方をお願いいたします。  それでは、まず本日御出席の検討会のメンバーの方々を御紹介いたします。お手元の参考 資料1、検討会のメンバー表を御覧いただきたいと思います。資料の後ろの方、最後から2枚 めくらいにある参考資料の1です。私の方から名前を読み上げさせていただきます。板倉先生、 今井先生、倉若先生、合田先生、小沼先生、佐藤先生、鈴木先生、長岡先生、藤岡先生…… 町野先生ですが、本日は所用により御欠席となっております。南先生、三輪先生、和田先生。 次に事務局側の出席者を御紹介いたします。監視指導・麻薬対策課の植村監視指導室長、同 じく監視指導・麻薬対策課の麻薬担当の山本課長補佐、同じく監視指導担当の光岡課長補佐。  それでは続きまして、本検討会の座長の選出をお願いいたします。お手元の参考資料2を御 覧いただきたいと思います。一番最後にある資料で、開催要綱というのがありますけれども、 よろしゅうございますか。開催要綱3の(1)によりますと、座長は検討会の先生方の互選に より選出することとなっております。どなたか御推薦いただけないでしょうか。和田先生。  和田委員 はい、佐藤光源先生を推薦させていただきたいと思います。佐藤光源先生は、 今さら御紹介するまでもなく、日本精神神経学会の理事長と、数々の学会の理事等を務めら れまして、現在も日本精神神経学会の幹事を務められておられますので、適任ではなかろう かと思います。よろしくお願いいたします。  南野課長 ありがとうございます。ただいま、和田先生から佐藤先生を座長にという御提 案がございましたが、佐藤先生に座長をお願いすることでよろしいでしょうか。それでは佐 藤先生、御面倒ですが座長席まで、よろしくお願いいたします。それでは先生、一言、簡単 にごあいさつを。  佐藤座長 ただいま、和田先生から御推薦がありまして、御承認いただきました佐藤でご ざいます。現在、東北福祉大学の特別講座精神医学の教授をしております。先ほど、局長、 阿曽沼先生からお話がございましたが、本当に日本の薬物乱用という問題は新たな局面を迎 えていると思っております。 私自身は覚せい剤精神病、あるいは覚せい剤依存のことを長い間やってまいりましたけれど も、2000年から日本の薬物乱用の歴史が変わったといってもおおげさではないと思います。 それまでは若者はシンナー、ボンド、大人は覚せい剤、あるいは海外から大麻だったんです が、2000年くらい頃から急激に脱法ドラッグが入ってきて、右肩上がりにどんどん増えてお ります。今朝のテレビを見ますと、20数万錠が押収されたというようなことで、昨年の押収 量の半分以上が押収されています。そういうような現状で、悪い意味の国際化が起こってい るんじゃないか、本当に新たな乱用期を迎えているように思います。 健康被害もさることながら、公衆衛生上の問題、社会上の危害とか、多くの深刻な問題を含 んでおります。今日、各領域を代表される専門家の方々がお集まりですので、これから10月 の提言の取りまとめに向けて、どうか活発な御意見をいただきまして、いい提言ができるよ うに御協力いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  南野課長 どうもありがとうございました。続きまして、座長代理を決めたいと思います。 検討会の開催要綱4の(3)によりますと、座長代理は座長の指名によることとされておりま す。したがいまして、座長の佐藤先生に御指名をいただきたいと存じます。よろしくお願い いたします。  佐藤座長 それでは、小沼先生を座長代理に推薦したいと思います。御承知のとおり、長 い間、覚せい剤あるいは薬物乱用問題に取り組んでいらっしゃった先生ですので、御推薦し たいと思います。  南野課長 ただいま、佐藤座長より小沼先生との御指名がございましたが、よろしゅうご ざいますでしょうか。先生、一言。  小沼委員 役には不足ですけれども、せっかくの御指名ですのでお受けしたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。  南野課長 ありがとうございます。それでは、以後の議事進行を座長にお願いしたいと思 います。よろしくお願いいたします。  佐藤座長 それでは議事に入らせていただきます。まず、本日の資料の確認を事務局から お願いいたします。  事務局 それでは座ったままで失礼いたしますが、本日お配りしました資料の御確認をお 願いいたします。最初が第1回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会の議事次第でござい ます。それから資料の一覧でありますけれども、本日お配りしました資料は、資料の1番から 12番までと、参考資料が1番から3番まででございます。資料の1が“麻薬・覚せい剤事犯の推 移”というもので、全部で2ページございます。それから資料の2が“薬物乱用に関する実態 調査”という1枚紙のものでございます。資料の3が“全国自治体調査結果について”という もので、ページが下に振ってありますが、1ページから15ページまであるものでございます。 それから資料の4が“脱法ドラッグ等買上げ調査の結果について”というもので、1ページか ら6ページまであるものです。それから、次が資料の5“脱法ドラッグの種類と広告事例につ いて”という2枚紙のものです。資料の6が“MDMAおよび5-MeO-DIPT使用経験者に対する 聞き取り調査”というものですが、これもページが1ページから21ページまであります。次に 資料7が新聞記事でありますが、2枚組みになっています。資料の8は表になっておりますけれ ども、“薬事法と麻薬及び向精神薬取締法”との比較という1枚紙のものです。次に資料の9 が“脱法ドラッグ対策の現状と問題点”という3枚組みです。資料の10が“厚生労働省の薬物 乱用防止啓発活動の取り組み”という2枚組みのものです。資料の11が“脱法ドラッグの範囲 (案)”という1枚ものです。資料の12が、“麻薬と脱法ドラッグの化学構造の比較”という 3枚組みのものです。以上が資料であります。  あと参考資料として、1が“脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会メンバー”、2が“脱 法ドラッグ対策のあり方に関する検討会開催要綱”というものです。それから、さらにパン フレットを2種類お配りしているかと思います。青色の表紙の“薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」” と書いてあるものと、白い表紙の“「覚せい剤」人間社会をダメにする!”というもの、こ の2種類のパンフレットをお配りしているかと思います。以上が、本日の資料及び参考資料で ございますが、足りないものがございましたら、教えてください。  座長 ございますでしょうか。よろしいでしょうか。 では続きまして、議題の2“脱法ドラッグの現状”について、事務局の方から御説明ください。  事務局 それでは、資料がたくさんありますので、まず資料の1から資料の5までをまとめ て御説明いたします。まず、資料の1でありますが、これは最近の麻薬・覚せい剤事犯の推移 を示したものでございます。1番めの表が平成11年から平成15年までの、麻薬・覚せい剤関係 の各法令別に見た検挙人員を示したものでございます。合計が一番下の欄にございますが、 平成11年は約2万人の検挙者がございましたが、減少傾向にありまして、平成15年では1万7 千人強の人間が検挙されているというものであります。そのうち、覚せい剤取締法違反で捕 まった人間が全体の9割ないし8割であるということで、平成15年を見ていただくと、1万5千 人弱の人間が検挙されている状況であります。覚せい剤取締法違反で検挙される人間の数は、 低減傾向にあるということですが、一方、増加しているのは、その上にある麻薬取締法関係 事犯であります。これが平成11年は1,200人程度でございましたが、平成15年には2,000人く らいということになっております。それから、もう一つ増えているのは、麻薬及び向精神薬 取締法の関係事犯のうち、いくつか挙がっておりますけれども、うちMDMA等といったよう なものが平成11年は54名でありましたが、平成15年は272名というふうに顕著に増加をして いる傾向にあるというものであります。  次の2番めの表が、押収量でございます。これも平成11年ごろは覚せい剤押収量が1,900キ ロぐらいございましたが、平成15年は500キロ弱となっており、やはり最近は若干減少傾向に ございます。その一方、MDMA等の錠剤型の麻薬の押収量は、平成11年に23,000錠でありま したが、平成15年には39万錠ということで、著しく増加をしているという傾向が見られます。 それと乾燥大麻、マリファナですけれども、それと大麻樹脂というものについても増加の傾 向が見られます。  3番めが、覚せい剤事犯における未成年者の検挙者数であります。これは未成年者とそれか ら中学生、高校生の検挙者数を示しております。平成12年には中学生、高校生を合わせて15 0人程度おりましたけれども、平成15年を見ますと中学生が16名、高校生36名ということで、 減少傾向、落ち着いた傾向になってきておるということであります。  おめくりいただいて4番めですが、これはもう少し長いスパンで見たものをグラフで示して います。この覚せい剤事犯の年次推移は、昭和26年以降を示したものでありますけれども、 わが国では覚せい剤事犯の数の増加した時期、乱用期は3回あったというふうに言われており ます。戦後間もなくの第1次乱用期、それから昭和50年代後半の第2次乱用期、そして現在の 第3次覚せい剤乱用期という、3回の乱用期があったというものです。この第1次乱用期に ついては、最高で5万人を超える検挙者があったということであります。覚せい剤事犯のう ち、中学・高校生の検挙者数の推移とありますが、先ほど表でお見せしたものと同じであり ますけれども、平成9年ごろがピークで、その後は減少傾向にあるというものでございます。 以上が、資料の1“最近の麻薬・覚せい剤事犯の推移”であります。  次に資料の2で、“薬物乱用に関する実態調査”です。これは、本日出席されています和 田先生の研究所で実施されている、薬物乱用に関する全国実態調査の結果をまとめたもので ございます。一つは15歳以上の国民を対象にした全国住民調査、もう一つは中学生を対象に した全国中学生調査、これを年どしで交互に行っているものでございます。15歳以上の全国 住民調査については、95年から2年ごと、2003年までのデータ、そして全国中学生調査につ いては96年から2002年までのデータを示したものでございます。表のうち、上段の数字が人 数です。下段の数字、括弧書きで書いたものは生涯経験率で、そういう薬物を今までに一度 でも使ったことがあるかということに対して、使ったことがあるというふうに答えた人間の 割合を示したものです。この割合から数字を推定したものが、上の数字というものでありま す。  これを見ていただきますと、大麻については2001年には1.1%と多かったんですが、2003 年、直近のデータでは0.5%というような数字になっております。一番下の“いずれか”とい うのは、上に掲げた薬物、違法薬物のうちでいずれか1つでも使ったことがあると答えた人間 の割合で、これが1%前後ということです。国際的に見ても、他の国では大麻だけでも40%な いし20%くらいの経験率というような調査も出ておりますので、それに比較するとわが国の 場合は、格段に薬物の乱用という問題が少ないということが、ここの数字を見る限りは言え ることであります。  それから2番目が中学生の調査で、同じような調査を中学生を対象にして行ったものであり ます。この場合は大麻、覚せい剤、あるいはそれらのいずれかを今までに経験したことがあ るかどうかを調査したものであります。こちらの方は96年以降、それほど大きな変動はござ いません。大麻については0.5%前後、覚せい剤については0.4%前後、いずれかというものに ついては98年に0.8%と、数字が高くなっている年がありますが、直近のデータでは2002年に 0.65%という数字になっているようであります。この数字を人数で示しますと、2002年の場 合には、いずれかの麻薬を経験したことがある人数が23,000人くらいということで、決して 少ないとは言えないのではないかということであります。以上が、資料2です。  事務局 続いて資料3について御説明申し上げます。  いわゆる「脱法ドラッグ」に係る全国実態調査の実施結果の資料でございます。脱法ドラ ッグにつきましては、多幸感や快感等を高めるものとして販売されているものでございまし て、いわゆる麻薬とか向精神薬等によって所持や使用を禁止されていない、そのため合法と 称して販売されているものを想定しているわけでございます。昨年10月、いわゆる「脱法ド ラッグ」につきまして、各都道府県にアンケート調査と実地調査の実施を依頼いたしまして、 主に販売状況について把握を行ったものでございます。脱法ドラッグの対象といたしまして は、明らかに健康食品として販売されているものを除いて、経口摂取をうたっていないよう な、ビデオクリーナーや芳香剤、それから試薬などと称するものを含めて、広く調査をかけ ております。  アンケート調査の手法につきましては、昨年の10月時点で各都道府県が把握をしている販 売事実などにつきまして、各都道府県の担当者にアンケート調査を行いました。実地調査に つきましては、各都道府県の県庁所在地を調査の中心としまして、繁華街や郊外等、実地に 調査をしていただいて、立ち寄りとか、それからお店の外観などから脱法ドラッグを販売し ていると思われる販売店等について、おおよその数を調査いたしました。必要に応じて保健 所設置市でありますとか、警察等に協力を得て、依頼をして調査を行ったものでございます。 それでは、2番めの調査結果の概要でございます。1番めは販売店等となっておりまして、い わゆるインターネットや通信販売を除いた、いわゆる固定店について、脱法ドラッグが販売 されている実態があるかどうかということを各都道府県に聞いたものでございます。“確認 している”、“確認していないが、販売されている可能性がある”と、47都道府県中、45都 道府県がそのように答えているということでございます。それから都道府県ではどの程度、 販売店等の実態を知っているかということでございますけれども、“調査を行い大まかな実 態を把握している”ところが1つ、それから“一部について調査をし、大まかな実態を推測で きる”ところが3つ、それから“一部について調査をしたが、実態の推測は困難”というとこ ろが28、あと情報を入手したが調査したことがないでありますとか、情報は入手しておらず、 販売店は見あたらないというところが11ということであります。ですから、今のところ、10 月時点では正確な実態を把握できているという状態ではありませんでした。  ページをめくっていただきまして、(3)販売店等の状況でございます。横軸に、業態の横に 確認数、販売が疑われる数、それから計と書いてあります。確認数というのは、販売を現認 した販売店の数でございます。それから販売が疑われる数でございますけれども、現認する には至らなかったけれども、外観などからその販売が疑われる数ということで、計算してい ただいた価でございます。アダルトショップやビデオショップ、それから雑貨店、書店、路 上、自動販売機等の割合はこのような形になってございます。 それから(4)でございますけれども、脱法ドラッグの通信販売業者の事務所の把握状況でござ います。固定店以外に、通販業者もしくはインターネット販売事業者があるかどうかの確認 をさせていただいております。把握している通信販売事業者については4都道府県で約100事 業所。それからインターネット販売事業者につきましては13都道府県で約60事業所の確認が できてございます。  (5)販売店等は、そういう販売店はどのような場所にあるのかということでございます。こ れは複数回答でございまして、全体で33都道府県の方から回答をいただいておるものでござ います。1つの都道府県で幹線道路沿いにあるとか、繁華街にあるという、両方の答えを出し ている都道府県もあるということでございます。主に幹線道路沿いや繁華街等にあるという ことでございます。  次のページをめくっていただきまして、(6)の必ずしもこれは販売店における取り扱い商品 の内容でございます。全体で、報告数として235品目、回答数として25都道府県でお答えいた だいた内容を取りまとめたものでございます。この回答につきましては、必ずしも正確な実 態を反映している、全国での実態を反映しているとは考えられませんけれども、大まかな傾 向というのはわかるのではないかと思っております。横軸に、興奮、強壮、幻覚、それから 強壮または興奮、不明という形になっておりまして、興奮というのはいわゆる感覚が鋭くな るとか、アップ系というようなうたい方をしているようなものです。それから強壮というの は、何らかの性的な興奮とか、性欲増進効果等のようなものをうたっているようなものです。 それから幻覚というのは、サイケデリックとかフリップ感とか、そういうものをうたってい るようなもの。それから強壮効果も両方うたっているようなもの。また不明というのは、例 えば頭がボーっとするとか、宙に浮いたような、ふわふわするような感じ、いわゆる多幸感 のようなものをうたっているものでございます。  それから縦軸は用途でございまして、アロマ・お香・芳香剤、観賞用植物・植物標本、クリ ーナー、観賞用である……錠剤、丸剤でなぜ観賞用なのかはちょっとわかりかねるところは ありますけれども、こういったような用途を示しているものでございます。 それで、例えばの例でございますけれども、資料の5番を見ていただくと、非常にイメージが しやすいのではないかと思っております。資料の5は“脱法ドラッグの種類と広告事例”でご ざいます。例えばアロマ、お香、芳香剤と示されているもので、例えば幻覚と言われている ような作用を示しているもの、ここ数字で12ということを確認しておりますけれども、それ ですと1ページめの脱法ドラッグの種類と広告事例、資料の5番の一番下のアロマ、アロマオ イル、アロマリキッド、こういうSUGAR SNOW、LOVE FIREという形のものになって おります。例えば「誤飲をしますと皮膚感覚が敏感になり、エクスタシー効果やサイケ効果 があらわれますのでご注意ください。観賞用アロマリキッドとして販売しております。」「香 りのイメージ、浮遊、サイケ」といううたい方をしているようなもの。それから観賞用植物、 植物標本で幻覚として分類されるようなものとしましては、植物お香という1ページめの粉 末剤のようなものですね。「マジックマッシュルームをはるかに凌ぐ観賞力」でありますと か、「誤飲した場合には視覚や聴覚、意識に変化が起き、強いサイケデリック効果が現れま すので、注意してください」と。「ポストマジックマッシュルームとして注目を集める濃縮 ベニテングダケですが、単体では十分な効果が得られず、またナチュラルでは実現できない 領域に踏み込むために開発されたデナイザーズカクテルとしてのお香です。喫煙に用いない でください」と、こういうようなものとして売られているようなもの。  それからクリーナーの例としましては、資料5の2ページのクリーナー、ニトライトのと ころです。例えば、RUSHなどが挙げられてございますけれども、2行下の広告事例の下の方 に「臭いをかぐだけで宙に浮いたような感じに。手軽にトリップ感が味わえるのが好評です。」 とかですね。これは資料3の(6)に商品数13と示しているものでございます。 それから観賞用の錠剤・丸剤の、例えば効能をうたっているようなものといたしましては、 最初の芳香剤(固形物)と書いてあるところでございますけれども、「芳香剤のため食用厳 禁」とか、「究極のSEXY芳香剤、興奮、絶頂、快感な芳香剤」等々のうたい方をされている ものを分類したものでございます。  それから製品の形態といたしましては、液体のものが多いようでございまして、全体で半 分以上を示してございます。それから使用方法では、経口や吸引がほとんどでございます。 その他、直接、局所に塗布するようなものも販売されているらしいということです。 それから、これは脱法ドラッグの使用例や乱用実態の相談事例を集めたものでございます。 茨城県の例で申しますと、「情緒不安定で精神病院に入院していた患者が使用していたらし い」として、患者の御家族が病院に持ち込んだもの。中にはRUSHとかMAGICとかMUSH などと書かれてございました。また東京都の例では、昨年の4月に都内病院から脱法ドラッグ を使用して意識不明で救急搬送された患者が持っていた製品で、試験をしますと2C−Iとか2 CT−7の混合物であることが判明した例。それから神奈川県ですと、平成15年度に横浜市内 の病院のお医者さんから、ゴメオと呼ばれる合法ドラッグを使用した者が搬送されてきたと いう問合せがあったと。それから5、6年前に友人から無理やりゴメオと言われた白い粉の入 ったカプセルを飲まされたり、ラッシュをかいだりして、最近になって、影響がないかと心 配になって相談にきたという例です。それから、友人が合法ドラッグを服用して頭痛を訴え ていると。治療する専門病院を教えてほしいという電話相談。  それから石川県では、インターネットでペヨーテを購入して服用した事例で、幻覚を訴え て県内病院に緊急バイタルを実施した例です。それから静岡県の例では、脱法ドラッグを使 用した者が暴れた上、駆けつけた警察官に噛みつくなどいたしまして、公務執行妨害で逮捕 された例。それから鳥取県ですと、合法ドラッグを服用した女性が病院に運ばれた例。製品 名はラブファイヤー。ちょうど資料5の合法ドラッグの種類、広告事例のところを見ても、ラ ブファイヤーの情報がございます。それから鹿児島県では、救急病院から脱法ドラッグの使 用により錯乱状態になった患者の通報が警察にあったと。少年による友人間での売買という ような報告がされております。  それから8番めでございますけれども、これは独自で脱法ドラッグの買い上げ調査を行っ ているかどうかという例でございます。従来から、国の方では各都道府県にお願いをして、 買い上げ調査に協力をしていただいているわけでございますけど、それ以外に独自で脱法ド ラッグの買い上げ調査を実施しているかどうかということへの回答でございます。実施して いないというのが、42都道府県でございます。それから、薬事監視員等が指導した主な事 例で、また他県から通報があったり、指導を行った事例をここでは紹介させていただいてお ります。  埼玉県でございますけれども、平成14年度に買い上げた商品の中から、医薬品成分が検出 されて、エフェドリン等が検出されたと。販売店から報告書を徴収して、仕入先とか総輸入 発売元の調査を依頼したけれども、当該所在地には店舗が既になかったという例です。1ペ ージめくっていただきまして、愛媛県ではインターネットのホームページの開設者に対しま して、合法ドラッグのページの削除を面会により指導したと。それから麻薬(ガンマーヒド ロキシブチレート)でございますけれども、これを含有している疑いがあるものにつきまし ては、麻薬取締部に情報を提供して、併せて指導を行った例を紹介させていただいておりま す。  それから脱法ドラッグ対策でございますけれども、啓発活動につきましても質問を行って おります。脱法ドラッグの乱用を防止するために、青少年等への啓発活動を行っているか否 かということにつきましては、23の都道府県が啓発活動を行っていると答えております。こ の23のうち、啓発活動の内容を聞いてみましたところ、主に中学生や高校生を対象に啓発活 動を実施していると。または、麻薬などと一緒に啓発活動を実施していると。それから、薬 物乱用指導員と申しまして、いわゆる県が保護司会や民間連合会、防犯協会や少年補導の連 絡会、それから薬剤師会部会や薬剤師会などにお願いをいたしまして、それぞれ所属する団 体の活動の中で、地域住民と接する機会を利用して指導を行っている、そうした薬物乱用の 防止指導員の制度がございまして、そうした指導員を使った啓発実施を行っているところが 1つあったものでございます。その他、PTAが啓発を実施しているというのが、1つあった ということでございます  それから、脱法ドラッグの乱用を防止するために、警察や教育関係機関等の連携について、 21都道府県から御回答をいただいております。何らかの形で警察との連携が行われていると いうところが15、それから教育機関との連携が行われているというところが17ございました。 その他、「各都道府県で行っている脱法ドラッグ対策があるか」という質問に対しましては、 東京都が条例化に向けた具体的な検討を進めていて、神奈川県ではホームページにより、県 民へ注意喚起をしているという状況でございました。  また「今後、新たな県独自の規制を検討しているか」という質問に対しましては、43の都 道府県が条例等による規制については考えていないと。今後、条例等で新たな規制を行うこ とを検討する可能性があるというのが2、それから条例等で新たな規制を行うことを検討中と いうところが2、東京都を含めて2ということです。  1ページめくっていただきまして、実地調査の結果でございます。これは直接、繁華街や郊 外等を実地に調査をした結果でございまして、ほぼ先ほどのアンケート調査の結果での販売 店の状況と似ている状況でございます。2番めが販売状況に関するコメントでございまして、 いくつか御紹介いたします。  宮城県では、店頭表示で「商品に対する問い合せには答えられません」など、取り締まり を意識した内容の表示がありますとか。それからアダルトショップでは、「合法ドラッグの 〇〇があります」などと脱法ドラッグの販売をアピールした表示が多くありますとか。福島 県を見てみますと、一部の雑貨店で大麻吸引用と思われるパイプを販売するというのは販売 が疑われると。それから、ちょっと飛ばしていただきますけれども、埼玉県の例では、2番め のマルでございますけれども、インターネット販売については県内に事務所がある脱法ドラ ッグの販売を標榜する3件のホームページが判明し、直接に販売する店舗は今のところ、みつ かっていないというものであります。それから、千葉県の例でいいますと、インターネット 等の無店舗型が主流になっているとの報告です。それから神奈川県の例で見ますと、2つめの マルでございますけれども、確認した販売店においては商品名や金額の記載のみで、使用目 的や使用方法の標榜はないとあります。それから石川県の例でいきますと、脱法ドラッグを 取り扱うのは大型店舗である場合が多く、幹線道路沿いでありますと。おもしろいのは、小 型店舗で脱法ドラッグをレジ近くで販売しているケースが見らるとのことです。それから静 岡県の例でいきますと、店舗での取り扱いの確認はできないけれども、インターネットの取 り扱いは7件の確認ができたと。それから滋賀県では、いわゆるアダルトショップやビデオシ ョップ、書店は日中は営業していなくてシャッター等で閉ざされていて、看板すらない場合 が多く、いわゆる昼間に脱法ドラッグの実態を把握することは非常に難しいと。それから自 動販売機で、「おたのしみ」コーナーみたいな販売機がありまして、取り出し口に「もの」 が出てくるまでわからない、怪しげな販売機がありますとか。  大阪府の例でいきますと、例えば一番下のマルでございますけれども、使用目的に吸引目 的の表示はされておらず、観賞用・ビデオクリーナーなどの表示がされており、巧妙化して いるといった例。それから、和歌山県の例では1店舗が確認できたようでございますが、脱法 ドラッグはレジ近くのショーケースに並べて販売されていると。それから次ページめくって いただきまして、香川県の例におきましては、販売店は主に繁華街の一角、はずれ等に位置 して、アダルト商品の一部として取り扱われていると。それから、2つめのマルでございます けれども、店頭では経口摂取を暗示させるような表示や広告等を行っていないと。用法等に ついては個々に口伝えをしていると思われるというような、非常に取締りがしにくい例の紹 介をしていただいております。  また、福岡県の2つめのマルでございますけれども、脱法ドラッグはガラスケースの中に陳 列されていて、自由に手に取れない場合が多いという例を紹介していただいております。ま た長崎県では、営業時間は夜間のみの店が中心であるといった例が紹介されております。 それで資料の4番に移らせていただきまして、“脱法ドラッグ等の買上げ調査の結果”でござ います。各都道府県に委託業務として、平成13年度から毎年度実施しているもので、脱法ド ラッグについて、買上げ調査を実施した結果でございます。平成13年は別表1、平成14年は別 表2、それから平成15年が別表3でございます。平成13年度は、今、麻薬等原料になっており ますサイロシンやサイロシビンを含む植物について、主に調査をしていただいております。 その他、マジックマッシュルーム以外の83製品中22製品において、AMTでありますとか、ブ タンジオール(BD)でありますとか、ガンマーヒドロドキシブチレート(GHB)といった医 薬品成分を検出した例がございます。別表1に掲げたとおりでございます。  それから平成14年度は43都道府県において実施されており、50製品について、6製品の中か らAMTや5−MeO−DIPTやBZPを検出しております。平成15年度は別表3でございますけれ ども、49製品中4製品から5−MeO−DIPT、エフェドリンやプソイドエフェドリン、メチル エフェドリンを検出した例を紹介させていただいております。以上です。  佐藤座長 このあたりで、ただいまの事務局からの御説明に御意見、御質問がございまし たら、どうぞお願いいたします。かなり具体的な資料が提示されたと思います。資料2は主に 和田先生が出されたものでしょうか。それから資料4は合田先生が関与されたかと思いますが、 何か追加でご発言がありましたら、どうぞ。  合田 資料4のいろいろ書かれた資料ですが、これ我々のところでやっているものですけれ ども、脱法ドラッグで何の成分が入っているかわからない形で売っている物については、我々 はこれを分析するなりしています。成分が明記されて、それが入っていますというような状 態のものを分析しているわけではないということを御了解いただけると幸いです。  佐藤座長 他には何かございますでしょうか。資料3で、今、全国の実態調査がよくわかっ たんですが、販売店や購入ルートはわかるんですけれども、そもそもこういった脱法薬とい うのは安全性があって毒性がない、大丈夫だから合法だとして、アメリカなどで一般の若者 が巻き込まれていくところに大きな問題があると思うんです。ほかのルートで日本で乱用さ れている情報が何かございますか。  事務局 今のところ、こういう以外の、正確な情報はございません。この結果につきまし ても、直接都道府県の方で販売店を見て回っていると。それから、この脱法ドラッグの種類 と広告事例については、主にインターネットでのうたい方を示しているものでございまして、 直接お店の中に入りますと、ポップス等でそういった作用を示すものを直接書いてありまし たり、また書いていなくても、直接お店の方に聞けば教えていただけるというような話なの ではないかなと思っております。  佐藤座長 他にございませんですか。  倉若委員 よろしいでしょうか。  佐藤座長 はい、どうぞ。  倉若委員 今、事務局のお話があったこの資料3の方、実態調査等々ですけれども、要は 私ども地方の薬事監視員が店に入っていきますと、その姿を見られただけで物を隠されてし まうという、そういう実態があるということでございます。多分、この調査につきましても、 一般市民という形で立ち入りをしているのではないかと思います。この目的で立ち入りをす ると、相手方はさっと物を隠したりということで、実態として見えない部分も出てくるとい うのが現状でございます。また、購入される方は多分、事前にそれなりに情報を得て、ある いはインターネットで知識を得て、そのものを直接買うとか、説明を受けることなく買った りすることが多いのではないかという気がします。  合田委員 先ほどの発言に付け加えるようなことですが、資料のところで試薬としての販 売という例は非常に少ないんですが、実際には試薬として販売して、もうこれが入っていま すよと堂々とインターネットで販売しているものがあります。そういうものは本当にそれが 入っている場合もありますし、そうでない場合もありますけれども、それは今回の調査の中 には多分入っていないと思います。  佐藤座長 はい、わかりました。他にはございませんか。では続きまして、次の資料から、 引き続き御説明ください。  事務局 はい。それでは資料の6でございます。今まで脱法ドラッグの販売等の実態につい て御説明いたしましたが、それでは脱法ドラッグの乱用がどういうふうにされているかとい うことに関する資料は、何もございません。本日、資料の6は平成15年の厚生労働科学研究で 行ったものでありまして、和田先生がMDMA、それから5−MeO−DIPTの使用経験者に対し て聞き取り調査を行ったというものでございます。MDMAの方は既に麻薬になっているもの でありますが、この5−MeO−DIPTは今までの資料でも何回か出てきましたように、いわゆ る脱法ドラッグというものであります。この調査では、MDMAについて6例、5−MeO−DI PTについては15例について、実際に使った人間に対して聞き取り調査を行ったというもので ございます。そして、実際に聞き取り調査の結果が、おめくりいただいて6ページめから、5 −MeO−DIPTに関する聞き取りの結果というのが出ております。スピーチの御説明はいたし ませんが、全15例、各例ずつ、このような項目についての結果が出ております。それを読ん でいただくと、年齢、性別、それから情報提供の年月日、初めて存在を知った時期、これは 初めて5−MeO−DIPTを知った時期、それから情報を入手した経路、それから初めて使用し た時期、使用の経験等々の説明で、項目についてこういうような回答が出ているものであり ます。さらにその下を見ますと、実際に使ってどういうような感じがしたか、どういうよう な経験があったかというようなことが出ております。実際に使用の実態について調査をした ものはございませんが、これが脱法ドラッグの現在の使用実態の一端を示すものではないか と思います。これは資料のとおりでございます。  資料の7は、最近の脱法ドラッグに関する新聞報道をまとめ、それを御紹介したものでござ います。1ページめのものは、昨年、東京都杉並区で殺人容疑で逮捕された者が脱法ドラッグ を使用していたという記事でございます。それから2ページめが、今年の1月に茨城県で脱法 ドラッグの過剰摂取が原因と思われる死亡例がありまして、使用させた者が傷害致死容疑で 逮捕されたという新聞報道でございます。残りが、最近の脱法ドラッグの使用の実態を示す 資料としてまとめたものでございます。以上でございます。 佐藤座長 実際に使用経験者から聞き取り調査を行ことで、いろいろな意味で貴重な情報を 提供してくれます。この点につきまして、和田先生、何か追加がございましたらどうぞ。  和田委員 はい。いわゆる脱法ドラッグ問題は、使用実態と申しますか、乱用実態といい ましょうか、それがほとんど把握できない難しさがあると考えています。先ほど、説明いた だいたのは、店でどうだという、基本的には販売実態なんですね。売られている状況です。 しかし、その使われている状況はわからないわけで、それを何とか調べられないかというこ とで、使っている人を募って順番に聞いてみました。まず、ある人に聞いて、他にそれを使 った人を知っていますかというようなスノーボーリングサンプリングというもので、日本語 で言えば雪だるまですね。これをやってみました。  これは後ほどじっくり読んでいただきたいんですけれども、MDMAは既にこれは麻薬です。 これがやっぱり麻薬たるゆえん、なぜ麻薬に指定されるかということは、使用経験者の聞き 取り結果からも十分わかっていただけるんですね。あきらかな向精神作用がありますし、大 体1時間前後くらいから作用が出てきて、精神的に変わっていくというのが明らかにわかると 思います。それに対して5−MeO−DIPTの方は、それほどそれがはっきりしないんですね。 ただ人によっては、焦燥感とか痺れとかそういうもの、あるいは聴覚の変容とでも言うんで しょうか、そういうものを訴えて、体験したという方がそれなりにいるのも事実です。と同 時に、ちょっとこれは私なりに気になるのは、項目の中に“使用後の排泄時の変化”という ところがありますが、これに下痢というのが実に多いんです。全員ではありませんけれども、 割合的にそういう症状が出る。ですから、この5−MeO−DIPTについての感想は、精神的な 変容を起こすという問題以外に、臓器毒性を含めて、もっと具体的には腸の動きに影響を与 える可能性が随分あるのではなかろうかというのが、私なりの感想です。また調査終了後に 情報が入ってきまして、ある人間がゴメオを使って俗に言う腸ねん転になって、病院に入院 したと。入院したら、その病棟に何と他に2人の腸ねん転で入院した患者がいて、その2人 もゴメオを使っていたという話がありました。やっぱりそのあたりの問題があるのかなと、 印象を強めました。以上です。  佐藤座長 事務局、今の和田先生の話に何か、もっとこういうところを聞きたいというよ うな御質問がございますか。御質問がないようでしたら、次の議題に移ります。対策の現状 と問題点について、事務局からお願いいたします。 事務局 はい。それでは現在の脱法ドラッグ対策とそれから問題点について御説明をいたし ます。資料の8、9、10とございますが、まず資料の9から御説明をいたします。 現在、私どもが行っております脱法ドラッグ対策としては、大きく2つございます。これま での取り組みのところの(1)にございますように、今までこちらで御説明しましたような買 上げ調査であるとか、あるいはインターネットの監視を通じて、医薬品成分が検出された場 合には、薬事法に基づいて、薬事法上の無承認相当医薬品として販売停止等の指導を行って いるということが一つでございます。  もう一つが、脱法ドラッグのうち、科学的なデータで有害性、依存などが確認されたもの については麻薬に指定をしてきているというものであります。今までの資料に再三出てきま した、5−MeO−DIPTとAMT、この2つの脱法ドラッグについては、現在、これを麻薬にす るための手続きを行っているところであります。今年度中にも、この2成分については麻薬 に指定して、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬として規制をするということにしております。 現在は風俗法に基づく販売等の規制と、それから麻薬として規制をする、この2本立ての対 策がこれには行われているということであります。  ちょっとおめくりいただくと、現在の対策とそれから問題点などを図示したものがござい ますが、今、上の方から見ていただくと、御説明しましたように、一つはインターネットに おける監視。広告を監視して、違反があった場合については、都道府県を通じて警告を行っ て、販売中止をさせるというようなことが一つ。それから、やはり買上げ調査を行ってそれ に基づいて薬品成分が検出された場合には、販売店に対して販売中止等の指導を行うもので あります。これは、いずれも薬事法に基づいて、行っているものであります。  この薬事法に基づいて行われる販売等の対策において問題になりますのは、脱法ドラッグ というのは今まで御説明しましたように、研究用試薬であるとか、あるいはビデオクリーナ ーとして販売されているという実態があるために、この薬事法による規制が困難な場合があ るということが、薬事法に基づく規制をする上での問題点としてあります。 それで後半部分、下の方が、麻薬及び向精神薬取締法に基づく対策でありますけれども、こ の麻薬及び向精神薬取締法に基づく対策は、脱法ドラッグ成分について依存性や、精神毒性 に関する科学的なデータを収集をして、専門家によってこの依存性や精神毒性を評価した上 で、麻薬としての有害性があると認められたものについては麻薬に指定をして規制をすると いうものであります。ただ、これについては、この図表にありますように、脱法ドラッグと いうのは次から次に出てくる新しい化学物質でありますので、依存性や精神毒性に関する科 学的データが乏しいために、この科学的な評価を行って麻薬の指定をしていくには、時間が かかる場合が多いというのが、問題点であります。  そのために、ここに説明がありますが、来年度から私どもの方で、この脱法ドラッグ制度 について、従来は科学的なデータを文献でもって集めるという手法でもって、依存性、精神 毒性の評価をしていたわけでありますけれども、それをさらに我々の方で、独自に動物実験 等の科学的な試験を行って、その試験データに基づいて麻薬にするかどうかの評価をして、 麻薬にしていく上での迅速化のための対策を行っていくということを行っていく予定にして おります。これについては3枚め、次のページをおめくりいただいたところに、この新しい脱 法ドラッグの麻薬指定の迅速化のための対策という説明がございます。この新しい脱法ドラ ッグ制度について、それをおおよそ3系統ありますので、それらのうちからいくつかのものを 3つ、いくつかのものを選んで、それについて動物実験を行って、そのデータを収集して、そ のデータに基づいて、麻薬にできるかどうかを評価をしていくということを、来年度から行 っていく予定にしておるものでございます。これが現在の対策と問題点でございます。  次に、現在の対策というのは、薬事法及び麻薬及び向精神薬取締法という2つの法律に基づ いて行われているわけです。これらの法律がどのような体系のものであるかということを説 明したものが、資料の8でございます。薬事法と麻薬及び向精神薬取締法、2つの法律の比較 表になっております。まず、法律の目的でありますが、薬事法ではここにありますように、 医薬品等の品質、有効性、安全性を確保するために必要な措置を行っておるというのが、こ の法律の目的になっております。一方、麻薬及び向精神薬取締法というのは、麻薬や向精神 薬について必要な取り締まりを行うことによって、麻薬などの乱用を防ぐということが目的 になっておるものです。薬事法の場合には、医薬品の品質、有効性、安全性の確保というこ とが主目的でありますが、麻薬及び向精神薬取締法は麻薬などの乱用防止をするということ が目的であります。  次に法律の規制の対象になるものとありますけれども、薬事法はもちろん医薬品もそうで すけれども、それ以外にも医薬部外品、化粧品、医療用具、医療機器、これらのものが規制 の対象になります。今回問題になるのは、医薬品であります。一方、麻薬及び向精神薬取締 法、麻向法と言いますが、この法律はその名前のとおり麻薬と向精神薬が規制の対象でござ います。麻薬については、物質ごとに指定をするようになっていまして、現在141種類の物質 が麻薬に指定されています。それから、麻薬原料植物というのは、その麻薬成分を含む植物 であります。コカであるとか、先ほど話されましたマジックマッシュルームというのも、こ れもやはり麻薬成分であるサイロシン、サイロシビンという物質を含むきのこ、あるいはき のこ状のものでありまして、これも麻薬原料植物になっております。麻薬原料植物になると、 麻向法上は麻薬というふうに取り扱いますので、麻薬と麻薬原料植物を並べて書いておりま す。これは現在、5つあります。もう一つは向精神薬ですが、向精神薬は現在79種類あります。  それで麻薬と向精神薬の違いですけれども、大ざっぱに言えば麻薬の方がより有害性とい いますか、依存性、毒性が強いもの、これが麻薬になっていて、依存性、毒性が比較して弱 いものが向精神薬であります。向精神薬の方は現在、日本でも医薬品として使われているも のが多いわけですが、例えばモルヒネのように医薬品として使われているものであっても、 その依存性、毒性が強いものについては、麻薬に指定して厳重に管理をしているというもの であります。それから、下に麻薬向精神薬原料とありますが、これはこれらと全く違いまし て、麻薬など、科学的に合成するための原料になる物質を規制するというものであります。 中を見ていただくと、逐一書いてありませんけれども、汎用される化学薬品がリストされて まして、そういうものを麻薬をつくるために悪用されないように規制の対象にしているもの であります。乱用そのものが問題なのは、麻薬、麻薬原料植物、向精神薬というものであり ます。  それから、規制対象の判断基準とありますけれども、薬事法については、規制対象の定義 がここに書いてあります。薬事法という法律では、薬事法の第2条の第1項に医薬品がどうい うものかという定義がございます。その1、2、3と書いてありますが、その3番めに「人又 は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされているものであって、機械器 具等ではないもの」、これを医薬品であるというふうにしております。脱法ドラッグも多く は精神作用があるものでありますので、まさにこの身体の構造機能に影響を及ぼすことが目 的とされているものになりうるものです。  そして、実際に医薬品に該当するかどうかの判断基準というのが、その下にあります判断 基準の項にありますけれども、これが通知で示されているものというのは、一つは専ら医薬 品成分であるという成分を通知でもって、局長筋ですけれども、通知でもって例示をして、 物質を例示するというふうになっています。もう一つは、身体の構造又は機能に影響を及ぼ すことを目的とされているものでございますので、その目的物が医薬品的な効能、効果を標 榜しているかどうかということについて、用量、用法、形状等などから総合的に判断して、 そうした効能効果を標榜しているものかどうかというような判断をするというものでありま す。要するに、薬事法というのは、もともと医薬品の品質、有効性、安全性を確保すること が目的でありますので、一つは正規に使われる薬品について、後で出てきますけれども、承 認許可の制度でもって、国がその品質等の確保をするという仕組みがとられていると同時に、 そうした正規の医薬品とは対極にあるような、医薬品まがいのものについては、その製造、 流出を規制するための査問手段がとられているというのが、薬事法であります。  一方、麻薬及び向精神薬取締法で規制対象となる麻薬や向精神薬はどういうふうに規制さ れているかというと、これは法律の別表にいくつかのものが列挙されています。さらにこれ を政令でもって、麻薬や向精神薬を追加して指定することになっております。どのようなも のかというと、「麻薬又は向精神薬と同種の濫用のおそれがあり、かつ同種の有害性のある もの」、これを政令で麻薬、あるいは向精神薬に指定をするということになっております。 そのように規制されたものが、先ほども御紹介しましたように、麻薬については141、向精神 薬については79あるということでございます。  次にどのような規制が行われているか、どういう行為を規制しているかというような規制 の態様ですけれども、薬事法はそもそも医薬品の有効性、安全性などを確保するということ が目的でありますので、そうした不良な医薬品が世の中から出ないことを規制するというこ とを行うために、製造、流通の段階の規制となっています。正規の医薬品については、先ほ どお話ししたように、承認、許可の制度によって規制をしております。それから、それ以外 の医薬品まがいのものについては、医薬品まがいのものがあたかも医薬品であるかのように、 一般の人をして誤解をさせるような、そういういい方をさせないようにするための広告など の禁止だとか、そもそも使うこと、製造することを禁止する、販売等の禁止、広告の禁止な どの措置がとられています。ただし、流通、製造の段階での規制ですので、使うこと、所持 すること自体を規制するという規定はございません。  一方、麻薬及び向精神薬取締法ですが、こちらは薬物の濫用を防ぐということを目的とし た法律ですので、製造、流通から、所持、使用に至るまで、一切の行為を原則として禁止す るという規定になっています。麻薬や向精神薬については、医療用や研究用で使うこともあ りますので、そうした正当な目的で使う場合については使えるように禁止を一部解除して、 使うことができるように、そちらは免許制度がとられているというものであります。その免 許制度のことは省略いたします。正規以外の目的の行為は、表にあるように、製造、輸入、 譲渡、譲受、広告、使用、所持まで、すべての行為が麻薬の場合には禁止されています。一 方、向精神薬の場合については、製造、輸入、譲渡、広告の禁止、ここまでは麻薬とほぼ同 じですが、使用については麻薬と違って規制をされていません。それから所持については、 譲渡目的で所持することだけが禁止でございます。そういうようなことになっております。 次に、この規制の実行性を担保するために、どのような規制が行われているかということで あります。薬事法については、一つは行政機関による取り締まりといいますか、規制がござ います。業者に対する立ち入り検査であるとか、報告の命令等の命令要請、それから許可業 者については、許可の取消や停止があります。もちろん、その違反行為については罰則も設 けられておりますので、警察はこれを取り締まることができるというものであります。  そして一方、麻薬及び向精神薬取締法の方ですが、これは麻薬でも向精神薬でも同じです けれども、正規の業者については、行政的な調査であるとか、立ち入り検査が行われますが、 正規以外のものについては専ら、この警察機関による取り締まりが行われています。方法に ついては、一般警察官とは別に厚生労働省の麻薬取締官にも、同じ権限がございます。罰則 についても、若干の差があるというものです。これが関連する法律の条文比較したものでご ざいます。  以上、取締り等に関する規制でありますけれども、それとは別に様々な啓発活動も行われ ています。ただ学校がらみについての啓発というのは、薬物乱用全般の啓発活動になります。 どういうことが行われているのかというのを簡単に御紹介いたします。資料の10でございま す。  たくさん項目が並んでおりますけれども、啓発活動については、1にありますキャラバンカ ーを使った啓発活動、それから2番の薬物乱用防止指導員というのは都道府県が委嘱をした ボランティアの方ですが、全国で2万人ほどの方がいまして、その方たちが啓発活動を行っ ております。それから薬物乱用防止教室というのは、長岡先生はご存知かと思いますけれど も、中学校、高校等で防止教室を行って、それに麻薬取締官のOBとか、警察官のOBを派遣 をしたり、あるいはそこで使う啓発読本を配布したりしています。それから、家庭や職域で も啓発活動の推進については、保護者向けの啓発読本を配布したりしています。  本日、お手元に参考資料として2つのパンフレットを配布しております。そのうち青色のも のが“薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」”という表題で漫画が書いてあり、保護者用とあり ますが、それは児童、生徒の保護者向けに刷った啓発読本でございます。おめくりいただく と、いろいろなことが書いてありますが、これの2ページめに、“乱用される危険がある薬 物”ということで、覚せい剤であるとか、有機溶剤とか、いろいろなものが紹介されていま す。その右下の方に脱法ドラッグとありますが、これは今回初めて入れたもので、この写真 を掲載しております。こういうような啓発読本を作成しております。ちなみにもう一つの白 い表紙のもの、これもいろいろな啓発活動のイベントで使う小冊子なんです。これも見てい ただくと、見開きのところの右側に「薬物乱用とは」と書いてありまして、乱用される危険 のある薬物の写真が紹介されております。その一番下、右下のところに脱法ドラッグという のが出ております。従来、薬物乱用啓発活動というのは、麻薬、覚せい剤が中心でありまし たけれども、新たにこういう脱法ドラッグについても、こういう啓発読本の中にも入れると いうようなことをしているところでございます。  それ以外にもいろいろな啓発活動が行われておりますけれども、地域における啓発活動、 学校や職域での啓発活動、それから全国的に行われる啓発運動など、これらを重層的に展開 して、薬物乱用防止活動を行っているというのが現状でございます。以上、現在の脱法ドラ ッグ等の対策について、御紹介しました。  佐藤座長 どうもありがとうございました。いかがでございましょうか。現在の対策につ いてかなり十分な説明があったと思います。御質問ございましたらお願いします。現在は薬 事法と麻薬及び向精神薬取締法の2つで対応しているということですが、それぞれ目的も違え ば、規制対象も違うし、判断基準、あるいは規制の対応、取り締まりなど、今、御説明があ ったように違います。麻薬及び向精神薬取締法では、所持あるいは譲渡、使用、すべてが取 り締まりの対象になります。こちらは乱用防止が目的ですから、はっきりしているわけです。 問題の脱法薬を取り締まには、麻薬及び向精神薬取締法の方向で乱用防止を図ることことが できる、それから薬事法で引っかかるものは薬事法でさらに規制をかけることができる。そ ういう2つの法体制について説明があったと思います。  また、現状は薬事法で対応するとしても対応できないものについて、とくに麻薬及び向精 神薬取締法では対応できない、まだ十分エビデンスがない、そういうような場合には17年度 予算案関連事項として、積極的に依存性、精神毒性を明らかにするための試験をするという、 一歩踏み出したお考えのようでございました。こういう形で、薬事法から麻薬及び向精神薬 取締法で麻薬指定にするという流れについて今、説明されたと思うわけでございますが、い かがでございましょうか。啓発も含めて、現状について御質問、御発言ございましたら、ど うぞお願いいたします。  倉若委員 現状では、確かにこの対策と現状の問題点のところで御覧いただくとわかるか と思いますが、都道府県ではほとんどが今、薬事法で対応しています。要は市販されている 食品、あるいは合法の名前のものがあるかもしれませんが、それを検査して、その検査結果 から成分が出てまいります。現状ですと、その成分が医薬品成分であれば、この薬事法の違 反ということで措置をさせてもらっています。そこにいわゆる医薬品成分ではない物質、成 分が出てまいりましたときに、この麻向法に該当する成分があるかないか、その成分がない ということでありますと、実情では手をこまねいているというのが現状でございます。こう いう物質がありますよという、検査結果を公表し、身体にとってよくないものであるという、 啓発活動の方に今、利用しているというのが現状でございます。  南野課長 ちょっとよろしゅうございますか。  佐藤座長 はい、どうぞ。  南野課長 今、神奈川県のお話がございましたけれども、医薬品成分が含まれている場合、 そういった人体摂取を目的として流通・販売されているということが明らかな場合は、これ は薬事法での規制ができるというのは当然でございまして、それ以外にいわゆる医薬品的な 効能、効果をうたったような形で販売されているようなもの、例えばインターネットで広告 されているようなものがたくさんあります。先ほど、資料5にもいろいろ出てまいりましたけ れども、これらも実際上は人体に摂取するということを目的として、広告されている、ある いは広告した結果、販売されているということになりますと、やはり薬事法の規制の対象、 化粧品とか医薬品の規制の対象になるのではないかというふうに我々は考えているところで はございます。  ただ、必ずしもこれまでそういった方針を明確に打ち出したことが我々としてもないわけ です。これは比較的新しい問題でもありますので、そういうことで必ずしもそういう明確な 方針を示したという、通知等で示したということはないんですが、個別に問合せがあったと きには、「これは承認許可医薬品に相当します、薬事法の規制対象になります」といったよ うなことで、御回答はしているんです。そういう意味では、我々としてもやはりこういう薬 事法で取り締まれるものについては、どんどん都道府県で取り締まっていただきたいという 観点から、何らかの方針を早急に打ち出して、都道府県あてに通知したいと考えているとこ ろでございます。  佐藤座長 はい、三輪先生、どうぞ。  三輪委員 今の件に関係するんですけれども、要するに効能、効果をうたっているかどう かが、一つのポイントになりますね。ところが、クリーナーとかビデオ何とか、芳香アロマ とか、非常にまぎらわしいんですが、でもこれらも内実は今言った未承認医薬品的な使い方 は間違いないわけですから、そうしますと、のっけから医薬品の犯罪としてとらえるために は、故意が必要なんですね。そうすると、その故意のところで、クリーナーとかアロマとい うのは非常にぼやけているんです。これは一挙にはいかないと思うんですが、もし当局にお いて、きちんと取り締まるという方針が立てられれば、その故意を形成する手段としていく つか考えられるんです。一つには、今インターネット時代ですから、インターネットを使っ て当局が公表するということですね。御存知のようにこの4月1日から施行される個人情報保 護法でも、どうやって人に知らしめるかという公表、ときには同意をとらずに個人情報を取 得できるという、そういった項目があるんですが、それには公表がいる。その公表というの は、容易に人が知りうる状態をつくるということなんですが、それがインターネットなんで すね。ですから、当局がインターネットで、例えクリーナー用であっても、アロマ用であっ ても、これは幻覚その他のことをうたっているものですよということを、できたら繰り返し、 インターネットですから載りっぱなしでしょうけれども、それをやることによって故意の形 成、非常にらくになるというのが一つ言えます。  それともう一つ、もっとダイレクトな方法は、その業者なり、あるいはインターネットを やっている人間がわかるならば、それまでにあなたは今、アロマとしてやっているけれども、 実はこれは脱法ドラッグの乱用でしょうということを一度警告なり何なりしますと、以後は もう例えアロマと言っていても、それはもう本人は知っているわけですから、もうごまかし がきかないということです。このインターネットによる公表と、個別のこれは一種の通知、 警告という通知ですが、これをやることによって、薬事法の無許可医薬品の広告、あるいは 製造・販売の犯罪としての取り締まりが、かなりいけるんではないかと思います。  佐藤座長 はい、小沼先生。  小沼委員 そのことに関連して、思いつきなんですが、麻向法の場合、麻薬の場合にはお とり捜査というのがありますよね。店頭で販売している場合には、レジの近くに置くという か、要は聞かれたときに答えて、それで効能、効果とか、使用法とか言うわけなんで、何も 効能、効果も、それから使用法なんかも表明しないで、聞かれたときにそういう点等を言う 場合、そういう場合にやっぱり、麻薬取締の方のおとり捜査みたいなものがかなり有効に作 用するんじゃないかと、そういう感じがしたんですけどね。  佐藤座長 どうぞ、ご自由に御発言ください。はい、どうぞ、今井先生。  今井委員 少し確認がてら、お話しさせていただきたいんですが、先ほども当局の方から お話がありましたように、薬事法といえば医薬品まがい、これを規制できると思ってよろし いですね。はい。これは多分、先ほどの資料8の薬事法の第2条第1項の第3号というところの 解釈だと思うんです。平たく医薬品、または医薬品制度ではないのに、そうであるかを装っ ているものは、恐らく客観的には同条第3号の対象となるんだろうと思うんです。そういた しますと、先ほど三輪先生がおっしゃったのは、非常に慎重な、こういうものの認定なんで すけれども、売っている人がこれは医薬品ではないんだけれども医薬品ぽく売っているよと いうことであれば、故意は恐らくあって、ただこの条文でいきますと、目的の認定が難しい というところで、三輪先生がおっしゃったような対応が必要だろうと思っております。そう いう意味で、これは後でまた次の次の資料等で御説明があると思うんですけれども、今の現 行の法体系を前提にいたしますと、やはりネックと言いますか、大事なところは、この第2 条第1項第3号の解釈をここで肯定的に決めまして、その適用について一定のガイドライン を示して、こういう認定等はしやすくするというのが一つではないかと思っているところで あります。  佐藤座長 はい、どうぞ。  三輪委員 今の今井先生の話は全くそのとおりなんですが、結局、私が大学で長いこと薬 事法を含めた薬事関係法規の講義をやってきたんですが、医薬品というと、ここには医薬品 の1号、2号、3号とあるんですが、2号の医薬品のことしか考えないんですね。要するに、 治療薬。もっと広げれば、診断、治療に予防薬、これが2号の医薬品なんですが、3号の医薬 品なんていうのはあまり頭にないんですね。大学生ですらそうですから、もう一般の人とい うのは、診断、治療、予防薬しか頭にないということです。実際にはどうなっているかをい いますと、脱法ドラッグとはちょっと違うんですが、がんを抗がん剤として攻める場合はが ん治療薬ですから、どちらかというと2号の医薬品なんですね。ところが、それを免疫から攻 めていく場合には、3号の医薬品になるわけですね。というわけで、3号医薬品というのは、 どちらかというと医学的にも一種のトピックスというか、ホットになってきている分野です ね。それで一番大事なことは、この3号医薬品も医薬品であると。私たちプロは構造機能薬 と、特に機能薬という言葉を使っています。治療薬だけではないんだよということなんです。 その機能薬ということをやっぱり一般に向かって啓発する必要があると。大学に、しかも薬 科大学に行って初めて、3号医薬品という機能薬があるなんてことを知るようでは、これは 今の青少年対策としてとても手遅れということです。3号医薬品は機能薬、それには今言っ た免疫もあるけれども、幻覚その他もあるんだよという啓発がかなり民間の部分で大事なの ではないかなと思っています。  佐藤座長 はい、藤岡先生。  藤岡委員 今、既に法的な規制に話が移っているんですけれども、まだちょっとよくわか らないところがあるので教えていただきたいんですけれども、この脱法ドラッグというもの の害とか、効用というのは、本当に麻向法で取り締まられるような薬物と同じようなものな んでしょうか。その害と効用について、もう少し教えていただきたいんですけれども。 佐藤座長 どうぞ、事務局の方。脱法薬とは何かということにもかかわると思いますが。 事務局 後ほど御紹介する資料の12というのがございますが、ここに麻薬と脱法ドラッグと して現在疑われている、可能性があるものの化学構造を比較してございます。上の方が麻薬 でありまして、その下にあるのが脱法ドラッグです。後ほど、また説明しますけれども、一 見してわかるのは、その化学的な構造がよく似ているということであります。化学的な構造 が似ているから、有害性など、作用が直ちに同じであるというところまで言うのは難しい場 合もありますが、こうした化学構造が似ているところからすると、麻薬と同じような作用が 脱法ドラッグの中にはあるのではないかということが強く推定されるということが一つです。  それから、先ほどちょっと御紹介しました資料ですが、和田先生の研究だと思いますけれ ども、実際にその脱法ドラッグ使ってこういうような作用がありましたという、自己申告で あります。その中にも幻覚作用があったとか、使ってみて身体などにこういう感覚があった というようなことを述べております。こうしたことからすると、こうした薬物を摂取するこ とによって、何らかの精神的、あるいは肉体的な作用が、有害的な作用が生じているという ことが推定されるようです。ただ、先ほど対策の問題点のところで説明しましたように、こ うしたものについて科学的に有害性を十分に説明するだけの資料がない場合が多いですので、 こうした脱法ドラッグがすべて同じような有害性があるというふうなことを言うまでの科学 的な根拠は十分ないというのが現状であるということでございます。  佐藤座長 その点は、この次の脱法ドラッグの範囲というところで議論になると思います。 これ以外について何かございますでしょうか。御意見がないようでしたら、次の話に移りた いと思います。議題4、脱法ドラッグの範囲についてということで、まず事務局の方から御 説明ください。  事務局 それでは資料の11でございますが、“脱法ドラッグの範囲(案)”というふうに 示しております。これはこの検討会でこれから検討していただく対象となる脱法ドラッグの 範囲についてはこのようにしたらどうかというものであります。 3つございますが、1つは麻薬、向精神薬には指定されていないということであります。これ は今まで説明しましたように、麻薬・向精神薬取締法という、脱法ドラッグ取締法になると いうやつを、乱用薬物を取り締まる法律では麻薬・向精神薬という、この1個1個の物質を指 定して、規制の対象としていますので、脱法ドラッグというのは合法による麻薬、また向精 神薬には指定されていないものであるということから、まず麻薬・向精神薬には指定されて いないというのが一つであります。  それから2番目ですが、麻薬、向精神薬と類似の有害性を有することが疑われるものである ということです。脱法ドラッグ、あるいは広く未承認医薬品の中には、脱法ドラッグという ものの他に、例えば健康食まがいのものであるとか、あるいは強壮効果のあるようなもの、 そういうような他のジャンルのものもあるわけです。ここで取り上げる脱法ドラッグ類とい うのは、この麻薬、向精神薬と類似の有害作用、もう少し言えば、精神に対する有害作用の あるもの、これが疑われるもので、そういうものをこの対象にするというのが2番目の要件で あります。  それから3番目が、「専ら人に乱用させることを目的として製造、販売等がされるもの」 と出ておりまして、乱用薬物の中には正規に製造、または販売されているものが乱用されて いることもありますけれども、ここで取り上げますのは、今まで御説明しましたように、脱 法ドラッグとしてそもそも最初から乱用させるために製造、あるいは販売される、そういう ような実態のあるものを、ここでは脱法ドラッグとして規制の対象にするということにした いということでございます。  そこで、こういう範囲に脱法ドラッグというものをとらえた場合に、どんなものがあるの かというのが資料の12でございます。化学構造式がたくさん出ておりますが、要するに、現 在、麻薬として指定されている化学物質と非常に化学的な構造がよく似ているけれども、当 然、その化学構造が違えば化学的には別の物質でありますので、麻薬には指定をされていな いようなんです。下がいわゆる脱法ドラッグであります。先ほどもちょっとお話をしました ように、こういう化学的な構造が似ているということは、人体が摂取をした場合の有害作用、 摂取した作用なども類似をしている場合が多いということが言えるわけです。けれども、そ うした麻薬と同じように有害作用があるかどうかというのは、本来は個別に、それぞれの物 質について化学的なデータがなければはっきりしたことは言えないわけです。そういうこと で、麻薬にはなっていないけれども、麻薬と同じような作用があるかもしれないと推定され るものが、脱法ドラッグであると。これら脱法ドラッグは、現在医薬品として使われている ものはありませんし、近い将来、こういうものが医薬品として開発されて使われるというこ とも恐らくないだろうというものです。これが出てくるとすれば、専ら乱用されることを目 的として世の中に出てくると思われるもの、これが検討会で脱法ドラッグとしてどのような 対策を講じていく必要があるかということを検討する対象になる物質であります。これらを 脱法ドラッグとして、この検討会では検討していただくということを考えているというもの でございます。以上です。  佐藤座長 いかがでしょうか。脱法ドラッグの範囲を、今、御説明いただきました。どな たか御質問ございますか。  合田委員 今、取り上げる範囲であげられたものが、化学物質としてあげられているんで すが、脱法ドラッグの中で、また流通しているものの中で、植物としての形ですか、そうい うものが流通していたり、それから菌もありますけれども、そういうもので流通しているも のがかなりあります。その部分も今回の検討会の範囲になるのかどうかということと、もう 一つは実態として形態上は植物とか、キノコというような形をしていますけれども、そうい うものの中に植物の中に入っている物質を後からさらに加えたようなものというのが実はた くさんありますから、そういうものまでこの範囲の中に入れるのかどうかということを教え ていただきたいんですが。幻覚作用とか、そういうものは天然物の中に原形がありますので、 そこまでをどうするかというのは議論にとっては大事なんじゃないでしょうか。  南野課長 必ずしも合成物質に限らず、麻薬や向精神薬に近いような作用のあるものにつ いては、やはりここでは検討対象に加えていただくということが適当ではないかと思います。  合田委員 今、また作用という言葉があったんですが、脱法ドラッグがまさに脱法ドラッ グであるというのは、作用として明確ではないからです。売られている実態が先行していて、 どういう作用があるかというのは、多分使った人に聞かないとわからないというような状態 で売られている場合が多いんですよね。ですから、そういうことはこのルールの中に入って いるように、予想されるものと、何かそういうような考え方でいいわけですね。  佐藤座長 はい、今井先生。  今井委員 私もこの資料11の案で、基本的には賛成でございます。先ほど来、御説明があ りますように、麻向法と薬事法という体系を前提にいたしますと、薬物の人体に対する有害 度の強さという順でいきますと、一番強いのが麻薬で、向精神薬で、その次が医薬品まがい といいましょうか、先ほどお話があった構造機能薬というのがあって、医薬品という順番に なっているかと思います。そういたしますと、この11番の案の1番と2番というのが、麻向法 の端にあるものと、麻向法に近いんだけれども、そこに行かないもので、3号のところが恐ら く薬事法の第2条第1項3号を前提において、その規制をかけるというところで、ちょうどこの 麻薬、向精神薬、医薬品との境目に一番規制すべきものが存在しているのではないかという 御趣旨かと思いまして、それは全くそのとおりだと思っております。 ただ一点、これは今後議論されるときにお話しすべきことだと思うんですけれども、この3番 めの要件として、「専ら人に乱用させることを目的として製造、販売等がされるもの」と書 いてあるんですが、例えば製造段階では医薬品だと思ってつくっていたんですけれども、売 るときになって、これはやっぱり医薬品まがいだから売ってしまえというふうな場合も、や はり当然規制されるべきだろうと思います。これは個人的な意見ですけれども、製造時にこ のような目的を要求する必要は必ずしもなくても、その川下に流れていくところの規制をも 含めますと、一番大事なのは販売時の目的の存在なのかなという気もしております。この辺 はまた追って、ここで検討させていただこうと思っております。  佐藤座長 はい、三輪先生。  三輪委員 2番目なんですけれども、有害性を有することが疑われるものと、悪い意味では なしにここが非常に引っかかるところなんですね。範囲との関係で、非常に関係が深いんじ ゃないかと。何をもって疑うのかというのが第一点なんですね。それと別の表現をすると、 恐れということ、有害性の恐れというのと、疑うというのと、アイデンティカルなのか、違 うのかということが2つめなんです。その辺をクリアにする必要がある。もし、その恐れが、 将来の恐れということまで含めて考えていいとなると、私はそちらに大いに賛成なんです。 そうなると、ここの場合で、いわゆるゲートウェイドラッグと、それをやることによって、 将来は覚せい剤という究極の「人間ダメ」というやつにつながる。何度もいいますけれども、 「人間ダメ」というふうに究極でいきなり言うよりは、入り口のところ、今のように規制し ないのではなしに、入り口のところで、ゲートウェイできちんとやった方がいいんじゃない かということになるので、この恐れというのは、時間的な流れの恐れなのか、それとも今時 点における確信と蓋然性の程度の低いのが疑われるというのか、その辺ははっきりする。あ るいは両方なんだと言ったら一番ありがたいんですが、そんなふうに思います。  南野課長 疑われるものは何をもってというのは、先ほどちょっと合田先生からもお話が ありましたように、脱法ドラッグは次々に新しいものが出てきて、有害性そのものが確実に わかっているものだけとは限らないということがございます。できるだけ早め早めに規制を かけていくという意味では、ある程度疑われる段階、あるいは先生がおっしゃったように、 その恐れの段階で規制をかけていくということも検討すべきではないか、検討する必要があ るのではないかと、そういう観点からのこういう言葉の使い方であるというふうに、我々は 考えております。  三輪委員 承知しました。  佐藤座長 はい、鈴木先生。  鈴木委員 先ほどもちょっと御説明があったんですけれども、この有害性の定義をもう一 度お教えいただきたいと思うんです。どういうものを含めて言っているかということですね。 佐藤座長 事務局の方から答えますか。  事務局 はい。ここで言っていますのは、麻薬、向精神薬と類似の有害性ということであ りますけれども、一般的に従来、あるいは従来我々の方で麻薬に指定する場合に、麻薬及び 向精神薬取締法のところで御説明しましたように、現に麻薬に規制されているものと同種の 有害性のあるものを麻薬に指定しているというふうになっています。その場合の有害性とい うのは、麻薬については精神に対する毒性と、それから依存性、この2つの概念、この2つが あるもの、これを有害性があるものということにしております。恐らくここでいう有害性と いうものは、麻薬、向精神薬と同種の有害性ということでありますので、主としてこの精神 に対する毒性というのと、それから依存性、この2点を考えております。  鈴木委員 はい、わかりました。これがむしろ明確になっている方が、今後の議論が非常 にしやすいかなというふうに思いますので、確認させていただきました。ありがとうござい ます。  佐藤座長 はい、合田先生。  合田委員 今の精神毒性と依存性ということですが、これは両方が要件ですか。両方とも 含むということですか。それとも片側も考えている、片側だけで十分ということですか。 事務局 両方だと思います。ただ恐らく、ものによってそれぞれの有害性、精神毒性と依存 性強いもの、弱いものなっていますので、どの程度のものなのかは別にして、そういう依存 性、精神毒性、それを総合的に麻薬として同種の有害性があるかどうかというのを判断する ということになるかと思います。  佐藤座長 では、それは両者が揃ったときということですか。and、orのいずれですか。  事務局 両者が揃ったときということです。  鈴木委員 両者が揃うということは、むしろ麻向法で取り締まることができるということ だと思うんです。例えば精神毒性だけでも脱法ドラッグとして入れるというのは、むしろ新 しいことかなと思うんですけれども。  南野課長 むしろ、ここでちょっと御議論いただいた方がいいのかなと思います。私ども としては、麻薬とか向精神薬ほどの高いレベルでの有害性をここで考えているわけではあり ませんので、そういう意味では必ずしもその2つが揃わなくても、やはり規制の必要がある と考えられるものについては、検討の対象にしていくというのが相当ではないかと思います。  和田委員 基本的に薬物といういい方が妥当かどうかまだわかりませんけれども、既に精 神毒性と依存性とが常に伴うという、関係は壊れていると。ものによって、どちらかしかな いものもあるわけでして、そういう意味ではorで考えたほうが妥当かと思っています。  三輪委員 私もここはorの方がいいというふうに思っております。さらに付け加えますと、 ここでははっきり出てこないんですが、以前、厚労省の方から説明のありました、麻薬、覚 せい剤の乱用への入り口、要するにゲートウェイドラッグとしての位置付け、ないしは認識 ということがありますので、今日の要件の2番の有害性を有するということ、それがさらにそ の先には犯罪への誘引であるとか、社会秩序を乱すというふうなところが、当然そこにつな がっていくんだという認識がありませんと、どうしても狭くなって、後手後手になるような 気がするんですね。どうも大きな流れから見ると、確かに乱用という問題はあるんですが、 その究極には犯罪多発とか、あるいは社会秩序、あるいは家庭の崩壊というところに行き得 るんだと思うんですよね。それを意識しませんと、何だか、皮相的 な議論で終ってしまうような気がするんですね。  佐藤座長 どなたか御発言ありますか。はい、どうぞ。  鈴木委員 脱法ドラッグの場合に、非常に恐いなと思うのは、やはり医薬品とか、あるい は麻薬にしても覚せい剤にしても、有効性、安全性というか、そういうものは十分調べてい るわけですね。しかし、その脱法ドラッグの場合に、将来、子供たちにどんな障害が残るか とか、そういうことは全くわからないわけですね。そういう面では非常に危険性があります ので、今、三輪先生も言われたように、将来にわたっての危険性を広く予知していくという のは、非常に重要じゃないかなと思っております。  板倉委員 初歩的なことで恐縮なんですけれども、精神に対する毒性というのは、非常に あいまいでして、どういったことを精神に対する毒性というのかがよくわかりませんので、 そこをちょっとはっきりさせていただくとありがたいと思うんですが。  佐藤座長 座長が言うのは何ですが……(笑)。実は、精神毒性を基準に入れたときの委 員会の委員だったものですから、御説明いたします。そのときは覚せい剤がメインでした。 覚せい剤は依存性が強い。依存を起こすから、延々と乱用する。そのうちに、次第に幻覚や 妄想を起こして現実認識が非常に悪くなる。誤った現実認識のもとで行動をとるものですか ら、それが犯罪とか反社会的な行動に結びつく。したがって、依存という薬理作用と、もう 一つは長期の乱用で正常な精神機能が損なわれて現実検討ができなくなる。そうした精神毒 性を重視したのです。例えば、幻覚や妄想が起こって、それに振り回される形で事件を起こ すといった不幸なことがないようにということで、依存とともに精神毒性をとりあげたわけ です。  ですから、脱法薬をやっているといずれ覚せい剤とか、精神毒性が激しいの乱用に進むゲ ートになる、そこを強調すべきだとおっしゃるのはよくわかりますが、そうなるプロセスで 一番おさえないといけないのは、やはり依存と精神毒性なんですね。どの程度の確率で覚せ い剤乱用などへのゲートになるかという蓋然性は予測できませんので、それを科学的におさ えるには依存性と精神毒性が指標になるのではないか、そうした考えでこれまでは議論が進 んできたと思います。  三輪委員 ちょっとよろしいでしょうか。  佐藤座長 はい、どうぞ。  三輪委員 度々すみません。今の佐藤先生のおっしゃることはよくわかるんですが、それ 一本ではないんじゃないかというのが、科学者ではない私の立場の考え方なんですね。です から、もう一つの方、私の考え方と併用されてもいいんじゃないかと。一方をたてて、他方 をつぶすのではなくですね。そのもう一方は何かといったら、例えば依存性という科学的な 立証は非常に難しい、だから手を引いてきたという歴史があるわけです。現に繁華街、若者 がたくさんそれを反復継続して、たくさんの人間がそういった多幸感や何かを求めて使って いると、そういった乱用の事実があると、それで1回でやめてしまうんだったらともかく、繰 り返しそういったパーティなりをやっていると。そういった社会事象を見れば、これはいわ ゆる医学的な証明ではないにしても、社会的にはやっぱり依存性という一つの兆候ではない かと思うのです。ですから、医学的な依存性の証明というのは、これは確固たるものとして あるんだけれども、それと共に両立させて、そういった社会的事象、すなわち押収量も含む 乱用の実態、そういったことも兼ね備えて、乱用実態調査、先ほどのですね、踏まえて両方 やらなかったら、やっぱり後手になるということを私は痛感します。 佐藤座長 そういう意味でしたら、私から答えるよりも鈴木先生の方がいいんでしょうが、 依存性というのは動物実験だけで証明するのではなくて、乱用の実態があるかどうかも、大 切なエビデンスになると思います。 鈴木委員 そうですね。それで何か依存性というのは非常にあいまいのような感じに、お話 がなっていますので、ちょっと依存性をやっているものとして、少し言わせていただきたい なと思うんです。結局、今まで、いろいろな構造の化合物があるわけですけれども、それが 今度初めて厚労省の方で実験的にちゃんとやっていこということで、予算化もされて、今後 実験が実際にできるようになってきたわけです。今まで、結局、ものもなければ、何もない ということで、やれる状況ではなかったわけですよね。そういうようなことで、積極的にこ れからは取り組んでいかれれば、そういう情報もどんどん出てくると思いますので、それで はっきりさせればいいと思うんですね。どの程度の依存形成能があって、あるいは精神毒性 がどれくらいなんだということを明確にしていけばいいんじゃないかなというふうに思いま す。  佐藤座長 ちょっと時間も押してまいりましたが、どうぞ、先生。  合田委員 私も三輪先生と意見が近いと思うんですが、精神毒性と依存性についてある程 度のデータがあると、基本的には麻向法の方にも持っていける可能性が高いんですね。です から、これはその一歩手前のものなので、あくまでもこれは有する、疑われる恐れがあるも のと、そういうものをある程度のレベルで考えられるものという具合で考えていただくのが 適当だと思います。  佐藤座長 依存をどういうエビデンスで規定するかという議論になっていると思うんです が、有害性を依存性と精神毒性の2つで考えるという点では、お考えが一致しているかと思い ます。依存についての議論はこれからも深めていくということにいたしまして、とりあえず、 脱法ドラッグの範囲を、資料11の1、2、3でございますが、1.麻薬、向精神薬には指定されて おらず、2. 麻薬、向精神薬と類似の有害性を有することが疑われるものであって、そして3. 専ら人に乱用させることを目的にして製造、販売等がされるもの、この3項目をこの範囲にす るということで、これについてはよろしいでしょうか。あるいは御異存がおありでしたら、 御発言いただきたいと思います。合田委員……  合田委員 よろしいですか。先ほども今井先生が言われたんですが、これは販売だけでは なくて、製造にもかかるんですか。  今井委員 そこは今後、検討すればよろしいんじゃないでしょうか。今、恐らく合意がで きておりますのは、まさに合田先生がおっしゃいましたように、麻向法の一歩手前、薬事法 ちょっと超えているあたりで特に線をひかせてございます。3のところは製造時に目的をかけ て若干規制をゆるめることができますし、あるいは合法な目的でつくって販売のときだけ違 法というのでもいいよという、それはいろいろ4通りくらいパターンがあると思いますので、 今後ここでお考えいただければと思います。  佐藤座長 合田先生よろしいですか。  合田委員 ええ、ここで検討対象ということであれば、問題ないです。  佐藤座長 はい、他に御意見がございますでしょうか。では、この検討会では、この脱法 ドラッグの範囲ということで、そういうことで承認するという扱いでよろしゅうございます か。  和田委員 ひとつよろしいでしょうか。  佐藤座長 はい、どうぞ。  和田委員 基本的にはそれでよろしいかと思うんですけれども、実は私はゴメオのところ で臓器毒性という言葉を使わせていただいたんです。例えば脱法ドラッグの恐いところとい うのは、鈴木先生も言われたように、医薬品とかいわゆる一般ユーザーのためにつくられた わけではないんですね。安全性の保証は何もない。使っている方が自ら人体実験をしている としか言いようがないわけでして、その中で極端な話なんですけれども、それを使うことに よって心臓がおかしくなる、肝臓がおかしくなる、腎臓がおかしくなる。しかし、精神機能 はおかしくならない。そういうものがないわけではないですね。だから、そういうものも対 象とするのかどうか、ここでいう脱法ドラッグに含めるかどうかということについてはいか がでしょうか。  佐藤座長 依存か精神毒性かという、その2つだけでは十分ではないという御指摘です。健 康被害のことを言っているわけですから、これは2つのいずれかというんではなくて、A、B 等ということで有害性をとらえるということで、ここでは有害性と表現させてもらいます。 そうした御指摘も含めて、有害性とすることでよろしゅうございますか。  和田委員 ただ私もそんなことを言いながら、自分で言うのも何なんですけれども、そう するとますます範囲が広がって、もう絞りようがなくなってしまう難しさがあるんですね。 ここがまた本当に脱法ドラッグの難しさでして、これをどうするか。  南野課長 ゴメオについても、先生のこの調査を見れば、一定の精神作用等が出てくるこ とは間違いないわけです。それと臓器毒性もあるということですので、そういう意味では、 むしろ麻薬、向精神薬と類似の精神作用があって、それプラスアルファで、臓器毒性もある ようなものも含めていくと、そういうような観点での御検討がよろしいのではないかという 気がしますが、いかがでしょう。  佐藤座長 脱法ドラッグについては、そういうふうに考えて、健康被害というのを重視し てですね。よろしゅうございますか。精神毒性、依存等がメインですけれども、それに加え て身体的な臓器障害、そういったものもあれば、それも有害性ということです。 それでは、この範囲、1、2、3ということで、これからの検討を進めていくということでよろし ゅうございますか。はい。  小沼委員 文言の問題なんですけれども、3番目の「専ら」という意味なんですけれども、 事務局のお話ですと、要は医療医薬品として、診断ですとか、治療ですとか、予防、そうい うものとは別に、人に乱用されることを目的と、そういう意味にとらえてよろしいんですね。  佐藤座長 よろしいですか。はい、どうもありがとうございました。それでは議題5の、今 後の検討の進め方について、事務局の方から説明してください。  事務局 はい、本日、御審議、ご検討いただく内容はこれでおしまいなんですが、次回は 今日、御議論いただきましたこの脱法ドラッグの範囲について、まず事務局の方で外国の状 況、規制がどうなっているかということについて、いくつか調査をいたしましたので、その 結果を紹介するということと、それからその後に、脱法ドラッグについての規制のあり方に ついて御議論いただくということで予定をしております。今のところ、4月に次回を開催する ということで、私どもの方から各先生方には予定をお伺いしているかと思いますけれども、 なかなか調整がつきません。けれども、今、再調整をしておりますので、再び各先生方の方 には御連絡差し上げたいと。  佐藤座長 そのような方針で進めていくということで、よろしゅうございますか。それで は、その他に何か事務局からございますか。それでは事務局の方に、マイクをお返しいたし ましょう。  南野課長 もうこれで。  佐藤座長 それでは、これで第1回の検討会は閉会させていただきます。どうも御協力あり がとうございました。 ―了― (照会先) 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 TEL:03(5253)1111(内線2761)