05/02/22 中医協の在り方に関する有識者会議平成17年2月22日議事録        平成17年2月22日 中医協の在り方に関する有識者会議                  第1回議事録 (1)日時   平成17年2月22日(火)18:32〜19:34 (2)場所   霞が関東京會舘「エメラルドルーム」 (3)出席者  大森政輔氏 奥島孝康氏 奥野正寛氏 金平輝子氏 岸本忠三氏        尾辻厚生労働大臣        <事務局>        水田保険局長 中島審議官 間杉保険局総務課長 麦谷保険局医療課長        石原保険局調査課長 堀江保険医療企画調査室長 (4)議題   ○厚生労働大臣挨拶        ○参集者の紹介        ○「中医協の在り方に関する有識者会議」について        ○中央社会保険医療協議会について        ○その他 (5)議事内容 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、定刻にもなっておりますので、ただいまより、第1回の中医協の在り方に 関する有識者会議を開催いたします。厚生労働大臣の尾辻でございます。どうぞよろし くお願いを申し上げます。  まず、開催に当たりまして、私の方から一言御挨拶を申し上げます。もう座ったまま で御挨拶申し上げさせていただきますので、お許しいただきたいと存じます。  皆様方におかれましては、お忙しい中、こうして有識者会議への御参加を快くお引き 受けをいただきまして、まずは心より御礼を申し上げます。  中医協は、診療報酬、薬価など、公的医療保険から医療機関等に支払われる公定価格 を決定する権限を有する厚生労働大臣の諮問機関でございます。この中医協の在り方に つきましては、各方面からさまざまな御提言をいただいておるところでございますが、 昨年の末に内閣官房長官の下で、私と村上規制改革担当大臣との間で合意に至ったもの がございます。後ほど御説明申し上げたいと存じます。この合意におきましては、中医 協の在り方については、社会保障の在り方に関する懇談会が既にできておりますが、そ の審議を踏まえつつ、利害関係者以外の第三者から成る検討機関において検討を行うこ とといたしました。ここでいう検討会議が、この有識者会議でございます。この村上大 臣との合意に基づいて、今日、この有識者会議を立ち上げさせていただいたということ をまず申し上げたところでございます。  そこで、具体的には、中医協の機能や役割の在り方、それから、公益機能の強化、委 員構成の在り方などの論点について、これは整理されておりますので、これもまた後ほ ど御説明申し上げますが、そうしたものについて御論議をいただきまして、二人の間の 合意の中では、本年の夏から秋までの間に結論を得ていきたいと、こういうふうに考え ておるところでございます。皆様方には、そうしたことをまずざっと申し上げましたけ れども、そうした御理解をいただいて、どうぞ忌憚のない御意見をこの後お出しをいた だきたいと思います。中医協の在り方について皆様方の御協力をいただきながら、国民 の皆さんに納得していただける、そうしたことが一番肝心なことだと思っておりますけ れども、そうした見直しを行っていきたいと考えておる次第でございます。どうぞ、改 めましてよろしくお願いを申し上げます。  そこで、今御挨拶の中でも申し上げましたように、この有識者会議をなぜ立ち上げる に至ったかといったようなことを含めまして、保険局長から説明をさせますが、まず は、皆様方の御紹介からさせていただきたいと思います。 ○事務局(水田保険局長)  それでは、有識者会議の参集者の皆様方を五十音順で御紹介させていただきます。  国家公安委員会委員、弁護士の大森政輔さんでございます。  早稲田大学大学院法務研究科教授の奥島孝康さんでございます。  東京大学大学院経済学研究科教授の奥野正寛さんでございます。  財団法人東京都歴史文化財団顧問の金平輝子さんでございます。  総合科学技術会議議員、大阪大学客員教授の岸本忠三さんでございます。  申し遅れましたが、私は保険局長の水田でございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○尾辻厚生労働大臣  それではまず、5名の皆様方の御紹介をさせていただきましたけれども、この有識者 会議についてでございますけれども、まずは、私がよく皆様方の御意見をお伺いすると いうようなこともございまして、当面は、座長を選出せずに、議事の進行の方は私にさ せていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。  それでは、そのようにさせていただきます。  では、早速でございますが、本日は第1回目ということもございますし、まずは、一 番肝心なことは、5人の皆様に顔合わせをしていただくということと、それから、先ほ ど申し上げましたように、中医協の現状、それから再三申し上げておりますように、こ の会議がどういう経緯でもって立ち上げることになったかといったようなことを、まず は保険局長から御説明をさせていただきたい、こういうふうに思います。では、お願い します。 ○事務局(水田保険局長)  それでは、お手元に資料1と資料2と、2つ用意させていただいております。当面 は、まず、資料1の「「中医協の在り方に関する有識者会議」開催要綱」をごらんいた だきたいと思います。  大体は先ほど大臣から御紹介があったとおりでございますけれども、当有識者会議の 目的でございます。昨年の暮れ、12月17日に厚生労働大臣と規制改革担当大臣との 間の基本合意に基づいて設置されるというものでございます。  検討項目につきましては6項目ございまして、1番として中医協の機能・役割の在り 方、2番目に公益機能の強化、3番目に病院等多様な医療関係者の意見を反映できる委 員構成の在り方、それから任期の在り方等でございます。  この6つの論点を御議論頂きまして、平成17年、今年の夏から秋までに結論を得る というスケジュールになってございます。常時、厚生労働大臣の出席の下公開で行う、 こういうようなことになってございます。  引き続きまして、サブスタンスの方でありますけれども、「「中央社会保険医療協議 会」について」ということでお手元に資料を用意させていただいております。  1枚おめくりいただきますと、まず、この協議会はどういうものかというところでご ざいますが、先ほどありましたように、診療報酬、薬価など、医療保険から医療機関等 に支払われる公定価格を決定する権限を有する大臣の諮問機関であるということでござ います。委員につきましては、支払側委員と診療側委員とが保険契約の両当事者として 協議をし、公益委員がこの両者を調整して合意を得るという三者構成を採用している。 委員構成としては、支払側、診療側、8名、8名、それから公益代表4名、合計20名 ということになってございます。公益委員につきましては国会同意人事、また、それ以 外の方については各関係団体の推薦が必要と、こういう仕組みになってございます。そ れから10名以内の専門委員を置くことができるとなってございます。  2ページに、現在の委員名簿が出ておりますので、後ほどまた必要があれば御参照い ただきたいと思います。  それから3ページ、参考2でございますけれども、この協議会の組織構成でございま す。1つ目が、中医協の内部組織ということで、基本問題小委員会のほかに、合わせま して4つの小委員会、専門部会が置かれているということでございます。  それから4ページに、中医協の外部組織、つまり、中医協委員以外の各分野の専門家 から構成される組織ということで、4つございます。昨年末のいわゆる「混合診療」の ときも話が出ました高度先進医療専門家会議。それから薬価算定組織、保険医療材料算 定組織のほかに、診療報酬調査専門組織がございます。これは後ほど出てまいりますけ れども、診療報酬体系の見直しの作業を現在進めておりますけれども、その技術的事項 に関し調査、検討を行うということで、4つの分科会が置かれているわけでございま す。  それから、参考3でございますけれども、実は、中医協と関連のある審議会といたし まして、社会保障審議会に医療保険部会がございます。当面は、医療保険制度体系に関 する改革について、必要な事項を審議するということになっておりますけれども、医療 保険の制度に関しては、この医療保険部会が担当をしているわけでありまして、そこと の関連についても、後ほどいろいろ議論になるかと思います。  それから、次の6ページでございますが、今回の中医協の議論の発端の一つとなりま した中医協を巡る贈収賄容疑事件を受けた動きをまとめてございます。新聞等で報道さ れたとおりでありますけれども、かかりつけ歯科医初診料の算定要件の緩和に関する贈 収賄容疑事件がありまして、昨年の4月から5月にかけまして、支払側委員の2名、そ れから歯科医師を代表する委員2名、その他歯科医師会の幹部が逮捕されたいうことが ございます。これは既に司法の場に移っているわけであります。  それから、これらにつきまして、こういった贈収賄事件のもとで中医協における政策 決定がゆがめられたかどうか、影響を受けたかどうかという検証作業を実は昨年9月に させていただいておりまして、これは参考資料につけておりますけれども、結論として は、その政策決定がゆがめられることはなかったという結論を出してございまして、そ の後、新しい指摘はないのが現状でございます。  それから、この中間報告を受けまして、国会審議、新聞報道で中医協の在り方の見直 しに関する論点を整理したところでございます。それを受けて、3番でありますけれど も、中医協自身として何ができるか、襟を正せるべきところは正すという観点で、当面 速やかに取り組むべき改善策と長期的に議論を進めていくべき事項とに仕分けをした上 で、当面速やかに、すなわち中医協自体でできることはやろうということで、審議の透 明性の確保でありますとか、委員の在り方、あるいは国民の意見を聴く機会の開催、こ ういったことをまとめたわけでございます。  さらに、中医協の在り方そのものについてどうするかということにつきまして、これ はさまざま御議論をいただいているわけであります。7ページであります。  1つは、規制改革・民間開放推進会議に、11月の会議で宮内議長が提出したもので ございます。まず、中医協につきまして、厚生労働省外への解体的再設置を含めて、機 能・組織の両面から抜本的な見直しを始める。  また、当面、以下の措置を早急に講じるということで、規制改革・民間開放推進会議 の論点でございますけれども、中医協の機能を、診療報酬点数、薬価等の価格決定に限 定すると。保険適用に関する事項及び診療報酬体系の在り方等の政策に関わる事項につ いては、別組織で検討するという提案。それから2番目に、三者構成の人数比を見直し まして、公益委員の数を全体の過半数に増やすという御提案。それから3番目に、支払 側・診療側委員につきまして、関係団体への推薦依頼を取りやめる。特に診療側委員に ついては、一般診療所に比べ病院に属する委員の数が上回るよう大幅に見直す。その 他、委員の任期を2期4年以内とするとか、そういった御提案をいただいているわけで あります。  これを受けた形で、先ほども話がありました内閣官房長官の下に設けられている社会 保障の在り方に関する懇談会で、中医協の在り方、基本的な在り方について、第三者に よる検討評価を行うことが必要である、こういった議論がなされた結果として、当懇談 会が設けられているわけでございます。  8ページは、先ほど御紹介したものでありますので、省略をさせていただきます。  中医協においての診療報酬の問題の前に、中医協に係る歴史をちょっと簡単にかいつ まんで御報告させていただきたいと思います。  1つは、中医協発足前の診療報酬決定組織についてでございます。1つは、昭和2年 に健保法が施行されました当初のときには、診療報酬は支払側と診療側との契約により 定められていたと。特に政管健保につきましては、内務省と日本医師会との契約による 人頭割請負方式という形で、診療報酬が全体として渡されていたということでございま す。  それから18年に、医師会、健保連、国保など関係者の意見を聴いて大臣が決定する 仕組みがとられた。同時に、点数単価方式が採用されたということであります。  さらに翌19年には、さらにそれが組織化されまして、「社会保険診療報酬算定協議 会」が設けられたわけであります。ここに学識経験者の意見も聴くようにと改められた わけでございます。  さらに昭和22年には、この算定協議会の意見を聴くことが義務的条件になったとい うことでございます。  23年の改正を経まして、25年にこの中医協が発足をしたということでございま す。  その発足当時の姿、これが10ページに書いてございますけれども、当時は、四者構 成がとられておりまして、保険者の代表6人、被保険者、事業主6人、診療側6人、公 益6人という、24人の形に変わったわけでございます。  その後、実は昭和30年代前半には、診療報酬点数表に甲乙2つ、技術料に重点を置 いた甲表と、乙表、この2つがあったわけでありますけれども、それを是とするか非と するかという問題、あるいは診療側委員に日本病院協会に推薦をされた診療側委員が任 命されていたわけでございますけれども、その任命を巡りまして、長い長い混乱期に入 ったわけでございます。そうした混乱に終止符を打つということで、昭和36年に社会 保障制度審議会に対して正常化の方策を諮問し、答申をいただいたわけでありまして、 四者構成から三者構成に改めるべき等の御意見をいただいたわけでございます。当初 は、8人、8人、8人の三者構成という案が出ましたけれども、それが廃案になり、結 果として、最終的には現在の姿に至ったという、こういう経緯を踏んでいるわけでござ います。ある意味で、その歴史をもう一度振り返ってみるという作業になろうかと思い ます。  それから11ページに、この診療報酬とはどういうものかということで、御存じのと おり、これは本当に初歩的なことでありますけれども、総額規模で30兆円規模でござ いますけれども、保険医療サービスに対する対価として保険から保険医療機関等が受け 取る報酬である。  性格としては、その保険診療の範囲・内容を定める品目表としての性格と、それから それぞれの行為の価格を決める価格表としての性格があるということであります。  それから機能としては、医療機関の収入源である、あるいは医療費の配分を決めるも のである、あるいは必要な医療サービスの提供促進と、こういった機能・役割を持って いるわけでございます。  その診療報酬は2年に1度改定をされているわけでありますけれども、その改定の仕 組みでございますけれども、12ページに書いてございます。1つは、2段階のプロセ スがとられておりまして、1段回目は、平均的な医業経営の補填の観点から、点数表全 体の改定率を決定するという作業がございます。いわば点数設定の前提として、この改 定率について、予算案の編成、つまり年末でありますけれども、予算編成に際しまし て、中医協はその意見をまとめて所要の予算措置が講じられるよう求めております。予 算編成が年末になされて改定率も決まったところで、翌年年明けに、決定された改定幅 の範囲内で個々の診療行為の点数を見直す、こういう作業が行われるわけでございま す。冒頭から御説明させていただきましたとおり、個々の診療行為の点数を定めるとい うのが法律で決められたものでありますけれども、その前提としてこの改定率について 意見を言っていると、このプロセスについてどう考えるかというのも一つポイントかと いうふうに思います。  13ページは、通常の改定スケジュールを記したものでございまして、現在にひいて 考えますと、通常でいいますと18年、来年が改定年になって、今年がその前年度とい うところになっております。まさにこの1月から3月期に医療経済実態調査、調査設計 の議論をしております。4月ごろから検討項目の議論に入りまして、11月〜12月に 翌年の改定率についての議論が行われる。先ほど申し上げましたように、年明けに個別 改定項目について審議をし、2月から3月に諮問・答申、告示と、こういった流れにな ります。  一方で、実は、先ほど申し上げました医療保険改革の中で、診療報酬体系の見直しと いうことが、大きな3本柱の一つになってございます。保険者の再編等、あるいは高齢 者医療の創設に合わせまして、この報酬体系の見直しが一つ議論になっておりまして、 基本的な方向としては、(1)医療技術の適正な評価(ドクターフィー的要素)、(2)ホス ピタルフィー的要素、(3)患者の視点の重視、この3本につきまして、下の欄外にあり ますように、先ほどの分科会、診療報酬調査専門組織の分科会におきまして、今それぞ れ基礎的な調査・分析を行っているというのが現状でございます。  15ページは、国民医療費の構造を、それぞれ制度別あるいは財源別、分配、それか ら費用構造でまとめたものでございます。  ちょっと駆け足になりましたけれども、かいつまんで御説明させていただきました。 ○尾辻厚生労働大臣  今日は1回目でございますから、いきなり、そうそんな議論というわけでもないと思 いますから、問題点を整理させていただきましたら、場合によっては少々早めにという ことも考えますので、よろしくお願いしますということをまず申し上げるところでござ います。  そこで、今御説明申し上げたとおりなのでありますが、若干私の気持ちを改めて、含 めて申し上げますと、そもそもお集まりいただくこの会議がこういう形で立ち上がるこ とになったことは、御説明申し上げましたように、1つは、中医協を巡る贈収賄事件が 起きた、これはどうするのだというようなこともございます。  しかし、もう1つは、差し上げました資料2の7ページにお示ししておりますよう に、中医協の在り方見直しに係るいろいろなところからの御意見がございました。まず は、規制改革・民間開放推進会議がおっしゃるように、「中医協については、厚生労働 省外への解体的再設置を含め、機能・組織の両面から抜本的な見直しを開始する。」と いう、極めて強い御意見が出ておりました。それから、社会保障の在り方に関する懇談 会も御意見をお出しになった。そういうことがあるものですから、では、この辺はどう するのだということで、申し上げたように、規制改革担当大臣の村上大臣と私との間 で、「さあ、こういう御意見、いろいろあるけれども、どういうふうにして中医協を持 っていこう」ということでの話し合いを始めたわけでございます。率直にそのときのこ とを申し上げるのでありますけれども、最初は、この規制改革会議の御意見がありまし たので、そもそも中医協はもう厚生労働省外へ置けと、検討する会議も、そもそももう 信用できないのだから、厚生労働省外でこの会議もやれというのが強い御意見でありま した。  そこで言ったのですが、私はその後どうなるかは別として、今この中医協というのは 厚生労働大臣の諮問機関でありますから、「自分の諮問機関ぐらいは自分のところで議 論させてほしい。そこまで私が信用できないのでしょうか」と、いわば、いささか私の その平たい言い方で言うと、開き直って、それで、「それなら、お前やれ。そのかわり しっかりきっちり第三者的にやれるかどうか見張っておるぞ」という、こういういきさ つで始まりましたので、まさに、そういう私が言ったことに恥じないように私もやりた いと思っていますし、先生方に、そういうお立場での御議論をお願いしたいということ を、改めて申し上げるところでございます。  それでは、何を議論せよというのだというのは、先生方も、まだお座りになっている 今でも、それではおれたちに何を議論せよと、それで言っているのだというお思いがお ありだろうと思いますから、そこのところを申し上げるわけでありますが、やはり合意 事項の一番最初の表現で「中医協の在り方」というような表現になっていると思います が、要するに、そもそもの「中医協の機能・役割の在り方」というふうにお考えいただ ければいいと思うのです。では、「中医協の機能・役割の在り方」は、また具体的にど ういうふうに議論するのだとおっしゃると思いますから、そこのところを改めてこう申 し上げたいわけでありまして、そこが、先ほどの資料2の12ページであります。診療 報酬改定のプロセスの(1)と(2)というふうに御説明したところをごらんいただきたいと 思います。要するに、ここをどうするのだという御議論をいただくことがまず最初であ り、一番肝心な部分だというふうに思っております。  そして、先ほど、毎年どういうふうにやっているかということも、その次の13ペー ジで御説明いたしましたけれども、一番問題になりますのは、この診療報酬の点数表全 体の改定率、大体この2年に1回、プラスになったとかマイナスになったとかと大騒ぎ をするわけでありますが、あの数字、改定率をどう決めるか、どこで決めるかというの が一番大事なポイントだろうと思います。  そして、これはあえて申し上げるのですが、まさにあえて申し上げるのですが、今後 社会保障全体を一体的に見直すというときに、一番やはり財政的な面で問題になるのは 医療費であることは間違いありません。数字を申し上げますと、私どもが出しています 数字で、2025年の医療費59兆円と、こういうふうに見ております。これは、私ど もはその考え方に完全にくみしている、くみしているという表現がいいのかどうかわか りません、それでいいと言っているわけではないのですが、例えばと言って言います と、経済財政諮問会議が、GDPの伸びに合わすべきだという考え方も一つ示しておら れます。では、その今経済財政諮問会議が言っております、GDPに今の数字を合わせ ますと幾らになるかというと、38兆円ですから、もうおわかりいただけるだろうと思 います。この59兆円と38兆円という、これだけの差が2025年で生まれる。ここ らあたりをどうするかというのが今後の社会保障の一体的見直しの中での、財政的に言 うところの一番大きな問題点だろうというふうに思います。  その辺のところに一番かかわり合ってくるのは、2年に1回のこの改定率の話であり ますから、極めて重要な意味を持つこの数字を、では、今後どこがどういう形で決めて いくか。ただ、最終的には、これは政府の予算案ですから、政府が責任を持って決める のが、最後のそれはもう責任なのですけれども、そこに至るところをどういうプロセス を踏むのか、改めて中医協の在り方とともに考えざるを得ないというところがあるとい うことを、先生方に率直に申し上げておるわけであります。これは、私が思っている問 題意識を、申し上げていますように、率直に申し上げておるわけでありまして、この辺 のところが一番の問題かなと。それが決まれば、あと中医協がその数字に合わせて個々 の数字を詰めていくというのは、それぞれのまた作業になるわけでございます。それが プロセスの(2)だということであります。  まずは、私が思いますことをもう極めて率直に先生方にお話を申し上げて、その辺の ところから、改めて先生方が、自分たちが今日なぜ集められたのだというような率直な お思い当たりがおありだろうと思いますので、そんなところを御自由にお出しいただく ことから始めたいなと思います。よろしくお願いを申し上げます。 ○奥島氏  はっきり言って、いまのところ何もわからないわけでありますので、どこを手がかり に議論したらいいかということでありますが、私は法律家でありますから、法律家の場 合は普通は比較法といって、各国の状況がどうなっているかというようなことをいろい ろな条件の下で見ながら、考え方の一つの手がかりを得るわけであります。今回につき ましては、宮内さんたちからは、「厚生労働省外への解体的再設置を含め」などという ふうな、いわば抜本的に検討せよというような要望もあるということが、今この資料の 7ページでわかったわけですので、そういった議論をするのには、はっきり言って私た ちはあまりにも知識がプアでありまして、ちょっとそこまでいきなり踏み込んでいくと いうのは非常に難しい。いいかげんなでたらめな腰だめの議論だったら、それはいくら でもできるかもしれませんけれども、しかし、それではこれまでシビアに議論されてき た人たちをあまりにも愚弄することにもなりかねない、そういうことを私としてもした くないというふうに思います。そうすると、やはり相当考えて議論しなければいけない ということになりますと、はっきり言いまして、これまた秋までに、今まで議論され て、とても抜本的どころか多少の手直しでも難しい問題を私たちに答えを出せと言われ ましても、これも大変難しい問題であります。  そこで、私としましては、アメリカなどはちょっと医療の仕方が違うのではないかと 思うのですが、差し当たり、イギリスであるとか、フランスであるとか、ドイツである とか、ああいった規制の比較的強い国々においてこういった問題というのはどういうふ うに取り扱われているのかというようなことについての、少しブリーフィングという か、そういうものを資料とともにお聞かせいただけるような機会を設けていただけない かということを、まずお願いしたいと思います。 ○尾辻厚生労働大臣  どうですか、医療の公定価格みたいなことで参考になる国の例としては。まず言って みてください。 ○事務局(水田保険局長)  各国なかなかこれは医療制度、組み立て方が違いまして、イギリスでありますと、公 的サービスという格好でありますので、基本的にはもう予算ですべては決するというこ とでありますので、そういう形でのコントロールがなされている。いずれにしても、ま た資料は用意したいと思います。一方で、アメリカですと、それは、国民皆保険でない わけでありまして、高齢者のためのメディケア制度があって、その診療報酬はかなり実 勢価格に合わせるような格好で決定をしているということがございます。それから、似 ているのはフランスかなと思います。日本ほど精緻ではないと思いますけれども、やは りこんなような立て方をしておられるということでございますので、その辺を含めまし て、また全体を整理して資料として出したいと思います。 ○尾辻厚生労働大臣  資料は出してください。今先生が言われたような感じで、大きく言うと、日本のこの 中医協でやってきたような仕組みというのは独特なのかどうか、ちょっと参考になるよ うなケースがあるのかどうか。そこは基本的にどうなのだろう。 ○事務局(水田保険局長)  基本的にはフランスの例が一番近いかと思います。ドイツは、先ほどの戦前の日本み たいな、結局お金を渡して、そこで団体自身の中で配分してもらうとか、そういう決め 方をしておりますので、各国かなり違いますが、フランスはかなり似ているかなと思い ます。 ○尾辻厚生労働大臣  では、いずれにしても資料を出しますので、またごらんいただいた上での御議論をお 願いいたします。 ○奥野氏  よろしいですか。 ○尾辻厚生労働大臣  どうぞ、もう御自由に。 ○奥野氏  私も本当に素人で、本当に奥島先生と全く同じ印象を持っていまして、よくわからな いので少し勉強といいますか、事情をお聞かせ願えればと思うのですが、ただ、今局長 がおっしゃったように、日本は国民皆保険だとかいろいろな歴史的な経緯もあるような ので、今むしろお伺いしたことの中で、例えば中医協というものがどういう形で機能し ていて、いわば内部からといいますか、もう少し詳細にどういう具体的な問題があるの かということを1つはお教え願えないかなと。  それからもう1つは、先ほどの規制改革会議ですか、こういう側が、かなりそれなり に問題意識を持って御発言されているのだったらば、むしろ、そちらサイドからの御説 明というのも、いわば勉強のために伺えないかなというふうに思うのです。その上で、 多分国際比較ということについても踏み込んで検討させていただきたいなというふうに 思いますけれども、いかがでしょうか。 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、まずその件から申し上げたいと思いますけれども、そして、お二人の先生 方はまず大変御謙遜なさった御発言でありまして、それは御謙遜でありますけれども、 ただ、また同時に、あまり今までのしがらみのない御意見の中でこの問題をしっかりと 御議論いただいた上で、まさに期待されるような結論を出していただくというのがあり がたいので、先生方の今のお話、本当にそういう意味ではありがたいと思ってお聞きを しましたということを、まず申し上げたいと思います。  具体的には、今のお話でありますけれども、いろいろな皆さん方の御意見、中医協に どういうお考えでどういう御注文をつけておられるかというようなことは、まずはお聞 きすることは大事なことだと思いますから、次回でも、早速に来ていただいて、ぜひい ろいろなお話を伺いたいと思いますので、そのことはそのようにさせていただきます。 ○金平氏  今奥野委員がおっしゃったことと重なるかもしれませんが。私も、冒頭に大臣が、何 のために呼び集めたか、どうもわからないのではないかとおっしゃいました。実は、私 もそう思っているのです。その理由は、やはりもうこの事件が起こりましてからいろい ろな形で政府の方も関与していらっしゃるし、また、中医協自体も、先程、説明があっ たような整理や、見直しを、していらっしゃるわけでございますね。もっと透明性が必 要であるとか、委員構成の問題だとか、もう話が出ています。しかも、それがいろいろ な方面から出ているように思うのです。これはやはり、現状がどうだからこういう指摘 が出てきたのか、そこら辺のところを少し整理していただくとありがたいなというふう に思います。  私も、中医協の問題というのは、非常に大事な問題を決める機関だと思っています。 かつて、古い話でございますが、老人保健審議会とか、それから2000年ですか、医 療の抜本改革、こういうふうなところに少しかかわらせていただきました。理論的にい ろいろと審議をしても、最後のところ即ち中医協のところで、先へすすまないというこ とがございました。それ以上ちょっと踏み込んで中医協のことを特別に私自身、勉強し たというか、踏み込んだわけではないので、ここのところでは、医療制度とそれからこ の中医協の関係の勉強をぜひもう一回させていただきたいなというふうに思っていま す。  それと、さっき申しました、いろいろな指摘がすでに出ていますから、それを、専門 家がおそらくなさったのでしょうから、ちょっと整理していただきたいと思います。 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、もうよろしいでしょうか。もし御発言がもう少しおありであれば、お続け いただきますが、よろしゅうございましょうか。 ○金平氏  はい、結構です。 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、どうぞ。 ○大森氏  この会議に与えられた任務、マンデートは一体何であるかいうことを、私も私なりに いろいろ考えたわけです。ただ、この検討項目として具体的に検討すべき項目が摘示さ れていますので、結局、この項目を順次検討していくことによって、それを通じて在り 方を浮かび上がらせていくということだろうと思うのですけれども、(1)の中医協の 機能・役割の在り方と、それ以下の検討項目の間に、ずいぶん具体性に差がございまし て、この第1から入っていくと、一体何を検討したらいいのか、甚だ雲をつかむような 気持ちで実は参ったわけなのです。  そこで、本日、第1回目は、そういう具体的な検討に入る前に、こういう項目をどう いう観点から検討するのかという、視点の立て方というのが非常に検討の方向に影響を 持つのだろうと思うものですから、私なりにいろいろ考えましたところでは、やはりあ あいう中医協の構成、関係者間でああいう不祥事が生じたと、それによって損なわれた 国民の信頼をいかにして回復するのか、そういう視点が非常に重要だなと。したがっ て、そういう観点から、この具体的な項目もどうあるべきかを検討してもらいたいとい うことかなと。それは、今日いろいろ説明を聞き、提出された資料を精査しまして、そ して次回に、それを踏まえて意見を申し上げたいと思って、実は今日は具体的な項目に ついてはまだ次回以降述べるべきかなということで参ったわけですけれども、大臣か ら、改定率の決定をいかにすべきかと、ポンとこう大上段に出されますと、どうも私に はそういう知見が本当にあるのかということで困ってしまったのですけれども、やはり この機能・役割の在り方からアプリオリに考えていくべきだという御提案でございます か。 ○尾辻厚生労働大臣  いえ、それでは改めてまた、村上大臣と私とが話し合ったいろいろな議論を、これ、 こういう形で立ち上がるまでにいたしておるものですから、その間のいろいろな思いが 実は私にはありまして、その一端をもう率直に申し上げた方が先生方もおわかりいただ けるのではないかと思って少し申し上げたところであります。これは違うと言われれ ば、ひょっとしたら村上大臣は違うと言うかもしませんけれども、私が村上大臣と話を して、ああいう合意にしてこういう会を作っていただいて御議論いただく。その途中で もずっと、では何をというのは、私自身の頭の中でぐるぐる回っておったわけでありま す。一番大きく広げて言うというか、一番大きく言うと、先ほど申し上げたようなこと を議論しなければいけないのかなと思ったことをちょっと申し上げたのですが、今度は 一番小さく言うと、何を議論してくれという話かというと、要するに、中医協のメンバ ー構成をどうするのだという話でもあるわけです。この間のどの辺で焦点を合わせて議 論をするかなというのは、実はあるわけでありますけれども、せっかくお集まりいただ いたのなら、あまりそんな話よりも、やはりぜひ大きく御議論いただいた方がいいので はないかなと、つい思って私の思いを申し上げたということを、もう包み隠さず今日は 申し上げた方がいいと思って、そんな話までさせていただいているところであります。 ○岸本氏  この5人の委員の先生方を見ていますと、僕一人、医者のカテゴリーには入る者なの ですけれども、「中医協」という言葉は新聞の上で見るぐらいで、果たして何をしてい るところなのかと、一切そういうことにはかかわらなかったもので、わからないのです けれども、新聞では贈収賄とかなんとかありましたけれども、いろいろな組織の中に は、悪いことをする人も出てくると思います。しかし、全体として中医協がうまく機能 していたのかしていなかったのか、先ほど奥野先生が言われましたけれども、そういう ことを説明してもらえるのだろうと思います。それとともに、抜本的に、解体的に外へ 持ち出せと言っておられる側も、なぜそうしなければならないのかということを言って もらえるのだろうと思います。そういうことを聞いた上で、うまく機能していたのかし ていなかったのか、何が問題なのか、そういうことで、中立的な立場からいろいろ意見 を述べろということだろうと思います。大臣のさっき言われたことを聞いていますと、 三十何兆円が2025年には五十何兆円になる。それはどういう計算なのか知りません けれども、一方では、経済財政諮問会議は三十何兆円になるといっている。そういうこ とが、点数表全体の改定率の決定というか、大枠の、五十何兆円になるのか、あるいは 三十何兆円になることになるのか、そういうことを中医協の中で決めるのか、それを外 へ持ち出してGDP比とかそういうことで決めるのかとかいうふうな、中医協の役割が どこにあるのかというようなことを検討するということなのでしょうか。 ○尾辻厚生労働大臣  改めて申し上げますと、最初に申し上げた数字は、一つの、厚生労働省が出している 59兆円という試算がありますということで申し上げたわけでありまして、一方から は、経済財政諮問会議あたりが言っておられる数字がそういうものがありますと、それ だけの開きがあるのですということを申し上げたわけであります。したがって、今社会 保障の一体的な見直しということを盛んに言っておりますけれども、財政的に言うと、 この辺が一番の課題になるということをまず申し上げたわけであります。それはそれで ちょっとそこまででお聞きをいただきたいと思うのです。  ただ、そうしたことをいろいろ考えるときに、当然医療費の抑制という話になってく ると、診療報酬の話というのは避けて通れない話にまたなるわけであります。そうする と、診療報酬の改定を、どういうプロセスを経るかというのは非常に大きな課題になっ てクローズアップされてくる。資料2でお示ししたように、診療報酬改定の仕組みのプ ロセス(1)がまさにそこの部分ですから、かなりそうしたことまで議論の対象にして議 論するかとか、そういったようなこともまずは御議論いただかないと、その議論するか しないかみたいな御議論も必要なのですという意味で申し上げたつもりでありまして、 広く御議論いただくのかなと思います。 ○岸本氏  それで、中医協の役割というのは、今はそういうことが含まれているわけですね。そ ういうことを含めてなのか、それをどうすべきかというようなことを検討せよというこ となのでしょうか、在り方というのは。 ○尾辻厚生労働大臣  そうなのですね。その辺が、今はっきり言うとややあいまいなところもあるのです ね。そう言っていいのかな。事務的にはちょっと言いにくい。事務的には何か言えると ころがあったら言ってみてください。 ○事務局(水田保険局長)  若干補足をさせていただきますと、実は、診療報酬、個別の点数をつけているわけで ありまして、まず、そのプロセスがこの間の贈収賄事件のときには、大変閉鎖的な環境 で取引をするような格好で決められているのではないかという意識があったから、それ があったかどうかは別なのですけれども、そういう意識があったからこそああいう事件 が起こったのではないかといわれている。そうすると、30兆円のお金を決めるのにそ ういう仕組みでいいのかという、まず発端の議論はございます。  さらにそれを、では中医協の役割は何かということを見ていきますと、個別の値決め のプロセスだけでなくて、全体としてこの医療保険給付を成り立たせる、国民皆保険体 制を維持していくためのコストみたいな、全体としての改定率の話もやっている。それ は果たしてどういう、それが、正当化されるものかどうかという議論が、またもう1つ ある。  さらにそれを深読みと申しますか、いろいろな大きな財政の議論からすると、キャッ プをつけて結果だけ処理すればいいのではないかという議論もまた一方で出ている。実 は、そういうミクロの話からマクロの話から、さまざまな話がいろいろな次元で今問題 になっているという認識でございます。  ですから、ちょっとやはり先ほど奥野先生がおっしゃられましたように、それぞれの 意見をまた双方から聞かれて、心証形成をされて、判断をしていただくという、その繰 り返しになるのではないかなというふうに思っております。  あまり事務方でこう私どもが考えていることを言ってしまうと、それだけではないか という話になりかねませんので。 ○奥野氏  よろしいですか。 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、その前に申し上げますが、今実にうまく説明してくれたと思っているので すが、まさに中医協を取り巻く問題提起は、ミクロの話やマクロの話もいろいろあるの です。それで、私が申し上げたのは、その中のミクロの一つの例、マクロの一つの例と してお聞きいただくのが一番いいのかなと改めて思いまして、そんなものをごちゃまぜ で問題提起されている中で、整理しながら議論をせざるを得ませんというふうに御理解 いただくのが一番いいかと思います。  それでは、どうぞ。 ○奥野氏  すみません、素人なので、本当にちゃんとしたことを申し上げられるかどうかわから ないのですが、御指名いただいたので、ちょっとにわか勉強をして、この中医協という のは何だろうということをこの1週間ぐらい考えてきたのですが、実は、やっとたどり 着いた結論というのは、実は大臣が言われた、このプロセスの(1)、(2)というのはどう も奇妙だなというのが私の率直な印象でございまして、これも誤解があるかもしれませ んけれども、むしろ逆に問題意識を提供するということで、間違いをお許しいただい て、ちょっと私なりの認識といいますか、問題意識を説明させていただきたいのです。  診療報酬というのは、さっきお話があったように、多分ミクロとマクロの問題があっ て、マクロというのは、財政であったり社会保障全体の中での医療とか年金とか、そう いうものをいろいろ、たくさんお金の必要があるわけですから、その中で医療費にどれ だけお金を割くべきかというのは非常に大きな問題なのです。  他方、もう1つはミクロの問題、全くこれは個別の診療行為で、かなり専門的な話で ある。普通、価格というのは市場で決まるわけですが、中医協というのは、いわば支払 側と診療側が取り合いをするといいますか、相対交渉をするという場なわけですね。診 療側が入っているのは、特にミクロでは専門知識が必要だし、こういう必要があるのだ からということを主張するということで、当然よくわかるわけです。支払側が入ってい るのは、診療側はお金を取りたい、診療報酬を高く上げたいという側ですから、多分逆 に、報酬を低く下げたいというインセンティブを持っている人たちを入れるために支払 側を入れているのだと思うのです。  その上で、ではそういう仕組みの中でマクロの価格決定をやることとミクロの価格決 定をやることがそれぞれどういう意味を持っているのかというのをちょっと考えてみた のですが、マクロの価格決定というのは、さっき申しましたように、これは財政の問題 であったり、マクロ経済の問題であったり、すべての社会保障の中での医療費全体をど うするかという話ですから、そういう意味で、両者が入ってくるというのはわからなく はないのですけれども、ただ逆に言うと、社会保障費の中での医療費の全体配分をどう するか。つまり、もう少しマクロ的にいろいろなものを見ながら、少し広い視野から議 論をするということでいうと、ちょっとこの仕組みというのはあまりにも視野が狭い取 り合いの仕組みになってしまっていて、うまくないのではないかというのが私の印象な のです。  マクロの方はそれで別個何かの形で決めるにしても、他方、ではミクロの方を決める 仕組みとして今の仕組みがいいかというと、先ほどから申し上げているように、診療側 というのは、多分かなり専門知識も持っていますし、御自分の話ですから、かなりきち んと調べられてくると思うのですが、率直に言って、失礼かもしれませんが、支払側の 委員であるとか公益側の委員の方々が、その診療側の委員の方々に比べてそれほど深い 医療の実態に関する知識というのはお持ちかどうかというのはちょっと不安なところが あって、今回の不祥事についても、少しそういう面をつかれたという面があるような気 がします。  ですから、そうだとしたら、つまりミクロの方をやるのだったらば、何かもう少し仕 組みを変える必要がある、マクロの方を考えるのだったら、もう少し全体を考えた上で やる必要があるだろうという、非常に中途半端な審議会といいますか、委員会だなとい うのが率直な印象でございます。それが私の問題意識でございます。 ○尾辻厚生労働大臣  今先生がおっしゃったのは、この委員会の在り方ですか。 ○奥野氏  いや、そうではなくて、中医協のことです。 ○尾辻厚生労働大臣  中医協のことをおっしゃっているわけですね。 ○奥野氏  そうです。中医協自体を検討しようということですので。 ○尾辻厚生労働大臣  わかりました。  やはり、さすがは先生方だと思いますけれども、今、実に論点整理、短時間にしてい ただいたと思いまして、今論点整理していただいたようなことがポイントだなと思うわ けでございます。  あと、先生方どうでしょうか、今日のところでまずは御意見をいろいろお出しいただ くようなことで。 ○岸本氏  したがって、今までの中医協の組織で、どこが悪かったか、それも、中医協をやって こられた方から、中医協でマクロもミクロも全体を見通せるのだとか言うのか、やはり それはマクロ的には別にしてしなければいけないと思うと言われるのか、その意見も聞 かなければならないし、実際に、その支払いを受ける診療者側の意見もやはり聞かなけ ればならないしとか、いろいろなことを聞かせていただいた上でないと、我々は全く何 もわからない。僕は医者の端くれですけれども、全然わからないというのが実感なので すけれども。 ○尾辻厚生労働大臣  そうしますと、今日は大体今の先生のお話のようなことになりますでしょうか。も し、先生方、お聞きすることがございましたら、まだお願いしました時間までは十分あ りますので、お出しいただきたいと思うのですが。 ○大森氏  今ほかの4方の御意見を伺っておりまして、次回以降の議論あるいは意見の出し方に おいても、やはりそれぞれ得意の分野、得意の議論、知見のある分野、それぞれどうも 違うのかなと。したがって、やはりもうそれぞれ自分の得意あるいは知見のある観点か ら意見を出し合って、そしてそれを通じてあるべき結論を導いていくのかなという感じ はいたします。私に、そのマクロの財政的な議論をしろと言われましても、なかなかど うもその分野の知識も能力もございませんので、やはり自分は自分の得意な観点からこ の問題について意見を述べ、攻めていく。それを通じてほかの方々の御意見も参考にし ながら自分の考え方を修正したり、あるいは貫いたりということをしていくことになろ うかなという感じはいたします。 ○尾辻厚生労働大臣  十分おわかりいただいての御発言だと思いますけれども、この場でもう財政的な話ま で御議論をお願いしますと言うつもりは率直に申し上げてございません。ただ、さっき から申し上げていますように、プロセス(1)の話になった途端に、そうしたものがどう しても関連してくるということだけを申し上げた上で御議論いただければとつい思った ものですから、申し上げたところでございます。  それでは、先生方、今日はお集まりいただいたお思いについていろいろお話を伺いま したので、次回ぐらいまでは、まずどういう議論をしようかというようなことから議論 をさせていただきたいというふうに思いますので、お話に出ました中医協の星野会長、 それから規制改革、これは長い名前で、私つい途中ではしょって規制改革、規制改革と 言うのですが、正確に言いますと、規制改革・民間開放推進会議と、こう言わなければ ならないのですが、宮内議長、お二人に来ていただいて、それぞれのお立場でいろいろ なお話を伺って、また、先生方の御議論を進めていただきたいというふうにしたいと思 いますが、よろしゅうございましょうか。  では、そういうふうにさせていただくと。 ○金平氏  今のは次の会議ですか。 ○尾辻厚生労働大臣  そうです。次の会議でそうさせていただいて、そうした皆さんのそれぞれのお立場で のお話をお聞きいただいた上で、また先生方、どういうふうにこの会議を進めていくか という御議論も改めて出てくるだろうなと思うものですから、今申し上げたところでご ざいます。そういう形でよろしゅうございましょうか。  それでは、事務局から次回以降の日程等について少し話をさせておいていただきたい と思います。 ○事務局(水田保険局長)  次回以降の日程でございますけれども、当会議、おおむね月1回程度のペースで開催 させていただいて、今後の議論の状況を見ながら、必要に応じて追加的なものも開催さ せていただきたいと、このように考えております。  大変御多忙の方でございますので、先々まで大まかな日程を御予定いただく方が好都 合かと考えますので、また大臣は国会開会中は、確実に出席が可能になるのは夕刻と早 朝ということになりますので、次回以降でございますが、基本的には本日と同様に、火 曜日の夕刻の6時ないし6時半からということにさせていただきたいと考えておりま す。                  〔資料配付〕 ○事務局(水田保険局長)  今お配りしていると思いますけれども、御都合を伺う用紙を配付しておりますので、 お持ち帰りいただきまして、後ほど事務局までお届け、ファクスなりをしていただけれ ば幸いでございます。その上で日程を決めさせていただきたいと、このように考えてお ります。  先ほど大臣からありましたように、次回は中医協会長の星野進保さん、あるいは規制 改革・民間開放推進会議議長の宮内さんの御本人またはその御指名をいただいた方にお 越しをいただけないかというふうにお声がけをしたいと思います。また、先ほどありま したように、必要であればまたヒアリングの日程を組ませていただきたいと、このよう に考えております。  その上で、個別の6つの論点について、それぞれまた少しずつ整理をした形で問題提 起をさせていただきたいと、このように思います。 ○尾辻厚生労働大臣  申し上げておりますように、経緯の中で、私が必ず出席をするということになってお るものですから、先生方に大変御迷惑をおかけすることに相なりますが、どうぞお許し をいただきまして、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。お忙しい先生方の御都 合を合わせながらと思いますから、よろしくお願いを申し上げます。  今日は本当にありがとうございました。また次回、どうぞよろしくお願いを申し上げ ます。          【照会先】            厚生労働省保険局医療課企画法令第1係・企画法令第2係            代表 03−5253−1111(内線3288・3276)