05/02/22 胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(泌尿器・生殖器部会)第6回議事録   胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(第6回泌尿器・生殖器部会)議事録 1 日時  平成17年2月22日(火)15:30〜16:30 2 場所  厚生労働省専用第21会議室 3 出席者 医学専門家:秋葉 隆、石田 仁男、木元 康介、関 博之、松島 正浩              (50音順)       厚生労働省:明治俊平、渡辺輝生、神保裕臣、菊池泰文 他 4 議事内容 ○医療監察官  ただいまから、胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会第6回泌尿器・生殖器部会 を開催いたします。  討議をお願いする前に、事務局に異動がありましたのでご紹介します。補償課長の明 治です。 ○補償課長  1月10日付の人事により補償課長を拝命いたしました明治と申します。よろしくお願 いいたします。各先生方には、大変お忙しい中、泌尿器・生殖器に関して専門的な立場 から見直し、ご検討をいただいているところです。この場をお借りして厚く御礼を申し 上げます。何せ私どもは素人ですので、ご指導を是非よろしくお願いしたいと思いま す。 ○医療監察官  それでは、松島先生よろしくお願いいたします。 ○松島座長  討議に入る前に、事務局から本日の提出資料の確認をお願いいたします。 ○障害係  資料1、泌尿器・生殖器部会(第6回)の論点、資料2、生殖器の障害の取扱いのた たき台(案1)。以上です。 ○松島座長  本日は、ここに前回ご論議いただいた勃起障害等についてのご論議を踏まえた修正点 が出ていますが、それを確認していただいた後、射精障害について議論をしたいと思い ます。また、新たな課題としては女性の性機能障害、不妊症、一側の睾丸の亡失、一側 の卵巣の亡失及び産道狭窄について、時間の許すかぎり論議をしたいと存じます。  勃起障害等のうち、修正した箇所について、事務局よりご説明をお願いします。 ○医療監察官  資料2の5頁、生殖機能の完全喪失の無精子症です。外傷により精巣に障害を残した ことを業務上によるものとして書かせていただきましたが、前回、それはなかなか考え にくい、放射線被曝ではないかとのご指摘をいただき、それを踏まえてそのように直さ せていただきました。  8頁、勃起障害です。この要件について前回、内分泌検査はむしろ業務外のものであ り、これについて書くのは適当でないのではないか。神経系検査について、球海綿反射 筋反射潜時について国際動向を踏まえた記述からすると若干不正確ではないかとのご指 摘がありました。それを踏まえて消す所は消し、追加した所については、木元先生のご 指導を仰いでこのとおりの文言に修正いたしました。 ○松島座長  ただいまのご説明についてご質問、ご意見はありますか。 ○木元先生  7頁の下のエレクトメーターとリジスキャンは商標なので、Rを入れていただきたい のです。  8頁の最初の段、「なお」の次の行の「しかしながら、勃起障害」ではなく、ここは 「勃起が起こらなかったからといっても」です。ですからここは、「しかしながら、視 聴覚的刺激負荷によって勃起が起こらなかったといっても」と補ったほうがいいと思い ます。  2つ目の段落のプロスタグランジンE1の所は、単なる注射にするとわかりにくいの で、「E1」と「注射」の間に「海綿体」を入れていただきたいのです。下のほうの血 管系検査の所も、「プロスタグランジンE1海綿体注射」としていただきたいのです。  血管系検査の最後の所は、「海綿体内圧測定又は血管造影検査」で終わっています が、最近、CTアンギオなどがあり、今後技術革新がいろいろあると思うので、ここは 「等」を付加していただきたいのです。  9頁のリジスキャンにも商標のRを入れていただくのと、(C)の2番目のプロスタ グランジンE1注射の所に「海綿体」を入れていただきたいと思います。 ○松島座長  ほかに何かご意見はありますか。よろしいですか。では、射精障害について討論した いと思います。事務局よりご説明をお願いします。 ○医療監察官  資料1の1頁です。前回、射精障害についてご議論をいただいた際にいちばん問題に なったのは、射精障害について客観的にその存在を評価することが難しいのではない か、いままで勃起障害について客観的に評価することが難しいことから14級としていた ことからすると、射精障害を評価するにしても14級止まりではないかということです。 その結果を踏まえてもう一度検討することになりました。  それを踏まえて、1の(1)ですが、射精障害について2つの考え方があるのではな いか。1つは、医学的に射精障害が生じる可能性があるという器質的な状態及び射精障 害が認められる、この2つを要件として障害として評価する。もう1つは、射精障害が 認められることを客観的に評価するのは困難なので、医学的に射精障害が必ず生じる場 合に限って障害として評価する。  1番目の方向をとった場合、前回も問題になったように真面目にやらなければ障害の 有無の判定ができない、機械的にやると本来障害のある人も障害ではないと評価してし まってその公平性・客観性を欠くのではないか。2番目の方向をとれば、「必ず生じる 」、下腹神経が両側ともやられてるときは当然生じるだろう、そうすると障害として評 価できる範囲が狭くなるのではないか。いずれにしても、それぞれ一長一短がありま す。しかし、(1)であれば従来の勃起障害のように14級で広く認めていくことになり、 (2)であれば、これはたたき台に書かせていただいた方向性ですが、ぐっと縮めた上で 生殖器の著しい障害に当たるのでその該当級にしますとなります。それのどちらがよろ しいかについてご議論をいただければと思います。  それを踏まえた上で、(2)ですが、たたき台では1の(1)では(2)の立場をとら せていただきましたが、「必ず生じる」という要件はどのようなものかということで、 (2)に書かせていただいた要件が適当かどうか、この「必ず生じる」という要件をと った場合には高い等級が適当ではないかということで、9級の12でいかがですかという ことで書かせていただきました。そのようなことでよろしいのかどうか。こちらについ ては改めて読上げをさせていただき、ご討議をいただければと思います。 ○障害係  資料読上げ(10頁から12頁) ○松島座長  ただいまのご説明について何かご質問、ご意見はありますか。従来は陰茎がなくなっ た場合の認定があっただけですが、今後、射精障害、勃起障害の新たな認定をしていく という過程です。 ○木元先生  こういうことが起こるのはおそらく骨盤骨折と脊損だと思うのです。ですからそうい う場合には、もっとひどいのがあるから大体それでカバーできるので、これぐらいにし ておいて大丈夫ではないかと思います。 ○松島座長  たぶんもう少し上の等級になります。これだけでくるのは全く稀だと思いますが、や はり作っておかなければいけないのではないかと思っております。ほかの先生方はいか がですか。医学的に考えれば、いくら労災といえども少し非現実的です。もっと重症な ことも併発していますから、等級認定でいけばたぶんそちらに入ると思うのです。た だ、やはり法律ですからこういうものもいろいろ踏まえて作っていただくということ で、医学的に考えて少しアンバランスなところがありますが。よろしいですか。 ○秋葉先生  あまり現実的な話ではありませんが、もし糖尿病の患者会の人がこれを読んだら、糖 尿病の人は労災でどんなに勃起障害あるいは射精障害が起きても入れてもらえない、初 めから排除されていると理解しますよね。ある世代では、人口の約3割が糖尿病なので す。勃起障害までいく人はそれほど多くないので、そういう人たちが自動的に排除され てしまうのは、ほとんど法律的なものなのでまずいのかなという気はします。 ○医療監察官  逆に言うと、いままで。 ○秋葉先生  そう書いていただければいいのです。ですから、糖尿病で射精障害があった人は除く と書けば問題ないのですが、糖尿病の人は最初からほかの原因で全部駄目だと言われて いるような気がするのです。 ○医療監察官  わかりました。それによってなっているような人は除くと、そういう点で。 ○松島座長  ですからこの場合、糖尿病の人でもそれがその障害のためだということがわかればい いわけで、そこの文言を少しお考えいただければよろしいかと思います。 ○医療監察官  わかりました。 ○松島座長  この項目はよろしいですか、この文章で訂正していただければよろしいかと思います が。では、女性の性機能障害及び不妊症について討論したいと思います。事務局よりご 説明をお願いします。 ○医療監察官  論点の1頁から2頁にかけてです。女性の性機能障害については現行認定基準は何も 規定されていません。男性については勃起障害、射精障害と、少し限定的ではあります が認めるとされています。それとの絡みで女性の性機能障害についても、認めるなら認 める、認めないならなぜ認めないのかについてきちんと議論をしておきたいということ で、ご検討をいただければということです。たたき台にある案は、こちらの木元先生と 関先生にご相談の上作らせていただいたものです。  結論としては、今後の検討課題という形にさせていただいたらどうかということで す。原因の1つとして、女性の性機能障害は業務上の事由により生じることが考えにく い。2つ目として、客観的な診断方法が確立されていない。この2つの大きな理由があ ります。実際には、外性器などを損傷してそこから痛みを生じているといった場合が考 えられます。そのときには、疼痛の一般的な基準があるので、14級または12級で障害認 定をしていただければよろしいのではないか。  不妊症については、関先生にご指導をいただきながら書かせていただきました。配偶 者が必ずいるわけではないので、性交渉の有無を問わず、不妊症と評価できるような損 傷を残した場合に限って障害として評価することにならざるを得ないのではないか。そ うすると、卵管が閉塞する、あるいは頸管が閉塞するといったものに限定して認めると いうことにならざるを得ないのではないか。(2)の要件については、先ほどのご指摘と 同様の形で修文させていただければと思っております。 ○障害係  資料読上げ(13頁) ○松島座長  ただいまのご説明について何かご質問、ご意見はありますか。 ○木元先生  13頁の真ん中辺りの「女性が望んでいるにもかかわらず」に「しばしば不随意的な骨 盤筋の縮小」とあるのは、「収縮」ではないでしょうか。  女性の性機能障害は、ここ数年、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルなどで議 論になっています。あるジャーナリストがこれは製薬会社が作った病気だというような 議論をして、それに対する反対意見などが出ています。去年、アメリカでプロクター& ギャンブルが女性の性欲障害に対してテストステロンの治験を行い、統計学的に有意差 は出たのです。しかし、副作用が多く、意味がないではないかという議論があってFD Aは評価しなかったのです。それでまた議論がいろいろ起こり、まだまだ議論の多いと ころなので、こういう形にしておくのがいちばんではないかと思います。 ○関先生  不妊症のこともそうですが、例えば「ほかに不妊の原因がないものを要す」とありま すが、何をもってそれが証明できるかと、その障害を受けたあと証明することはなかな か難しいと思うのです。 ○医療監察官  先ほどの秋葉先生のご指摘と同じような形で修文させていただければ、適当な形にな るのかなと思います。 ○関先生  確かに、明らかにこの障害があればぐらいのほうが無難かなと思います。 ○医療監察官  あれば別だということですね。 ○松島座長  石田先生、よろしいですか。この辺が非常に難しいところなのですね。 ○石田先生  ちょっと難しいですね。 ○松島座長  しかし、文書に残しておけば記録になるわけです。ほかに何か特段付け加えることは ありますか。読んでいてよくわかるのですが、こういう障害がどのぐらい発生するかが よく理解できないのです。過去に女性がこういう労働災害で骨盤の辺りが無茶苦茶にな ってしまったという、そういうすごいことがありましたか。 ○医療監察官  いちばん最後にご議論いただく産道狭窄については、実際にそのようなことがありま した。地方から、障害なしなのかそれとも何級にすべきなのかという照会がありまし た。ちょうど若い方だったこともあってどうにかならないのかといった照会がありまし た。筋道は違いますが、11級ぐらいでどうでしょうかということで返しているというこ とがあります。 ○松島座長  やはり事例があるわけですね。 ○医療監察官  はい。 ○関先生  例えば外傷で卵管が癒着することになったら腸管損傷も当然起こります。特殊な例と して、私は交通外傷で骨盤骨折を起こし尿道と腟がともに切断された例を経験していま す。私達産婦人科医が膣壁を縫合し、泌尿器科の先生に尿道を修復して頂きました。そ の子は9歳だったので、たぶん問題は残さないと思うのですが、もし成年期の女性であ ると外傷の場所によっては少し瘢痕となって性交障害を起こす可能性があるのではない かと思います。  ですから女性の性機能障害として考えられるものは、労災で骨盤を骨折した結果起こ った裂傷等による腟壁の瘢痕と骨折による骨盤の変形が問題となってくると思います。 骨折が完全に治ゆしても、もともとの女性型の骨盤が変形してくると、分娩の障害にな ることが結構あります。ただ、骨盤型の変形を客観的に数字で規定することが困難であ るという問題があります。 ○松島座長  そうすると、出産の場合は帝王切開になりますね、骨産道がいびつになっていれば当 然難しいですから。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。  では、先ほどご示唆いただいた所で文言を少し訂正していただきたいと思います。先 ほどの糖尿病と同じですね。そういう所の差別がないようにしていただいて、ここはも う1回修正していただきたいと思います。  では、一側の睾丸の亡失と一側の卵巣の亡失についての項目に移ります。 ○医療監察官  睾丸と卵巣との絡みで併せて論点の1の所に、冒頭、無精子症の修正について申し上 げましたが、関先生にご相談させていただいたときに、男性も無精子症になるが女性も 放射線などを浴びると卵子が無形成になることがあるというご指摘をいただきました。 今回、評価ができるものであれば男性も女性も同様に評価をするということで、業務上 の傷病によって卵子が無形成になれば生殖機能の完全喪失として捉えればいいのではな いか、ということでたたき台を作らせていただきました。  2頁、一側の睾丸の亡失と一側の卵巣の亡失です。現行では、一側の睾丸の亡失は11 級です。前回のご議論にもあったように、一側の卵巣についても一側の睾丸について も、片方が健常であれば障害はほとんどないということです。そうすると、11級は少し 高すぎるのではないか。これについては腎臓のときの整合性を考えると、あれは一方が 健常であれば13級だったのでその並びでも13級とせざるを得ないのではないか、同様に 13級でどうかということです。当時の本などを見ると、それほど大した障害はないとは 書いてあるのですが、一定の障害があることを前提に11級にしていたのだろう、今はそ こははっきりしているという理屈で13級とさせていただいたらどうかという提案をして おります。  では生殖機能の完全喪失、6頁、卵母細胞の細胞死による卵子の無形成、14頁、生殖 器の障害、一側の睾丸と一側の卵巣について読み上げます。 ○障害係  資料読上げ(6、14頁) ○松島座長  ただいまのご説明に何かご意見、追加、ご討論はありますか。 ○石田先生  睾丸は一側の睾丸をなくしたというだけで、例えば睾丸腫瘍で片方の睾丸を取ってい たとか、生まれつき睾丸がないという人がその事故でなくした場合、どうなるのです か。この文章だとちょっと。 ○松島座長  男性の腫瘍で子どものときからあるのは精巣腫瘍なのです。その場合は取ってしまい ます。そうすると一側しかないので、そういう場合に、もしこういう障害を受けると結 果的に両方がなくなってしまうのです。そういうケースがあるので頻度は比較的高いの です、男性の精巣腫瘍は小児期から思春期にかけて発生します。それを踏まえて下さ い。 ○医療監察官  そうすると、元の障害としては13級があって、2つなくなるという障害になるのかな というので、その部分を引くという形になるのかなと思うのですが。そういう方がいら っしゃるということですね。 ○石田先生  はい。 ○秋葉先生  腎臓も、一側腎の間だと同じような内容に作るように調節していただければありがた いと思います。 ○松島座長  腎臓のほうも、同じようにそういう文言でもって、整合性があったほうがいいです ね。よろしくお願いいたします。ほかによろしいですか。  最後に、産道の狭窄について検討したいと思います。事務局からご説明をお願いしま す。 ○医療監察官  2頁です。産道狭窄について関先生のご指導を受けながら書かせていただきました が、前回、基本的には合意していただいたと考えておりますが、骨産道の狭窄を生殖器 の障害として評価することが適当かどうかという問題があります。  事務局で用意させていただいたたたき台です。骨産道が狭窄しても妊娠自体は問題な くできる。ただ、骨産道が一定程度以上狭窄なり変形をすると経腟分娩が困難になり、 帝王切開をしなければいけなくなる。その場合には一定の障害を残したものとして取り 扱うのが適当ではないか。したがって、生殖器の障害として評価するのが適当ではない か。  それを前提に障害として評価する要件をどのように考えればいいのか。産婦人科学会 でこれより狭くなると帝王切開が避けられないと一般的に、これより広いからならない という意味ではなく、これになると非常に狭いという要件が定められているのでそこを 満たしたものについて障害として評価してはいかがか。ただ、関先生からはこれ以外に もなることがあるとのお話があり、本日もしそれについての具体的なご提言をいただけ れば、それを踏まえた修正をさせていただきたいと考えております。14頁の最後の行か ら最後、15頁まで読み上げさせていただきます。 ○障害係  読上げ(14頁から15頁) ○松島座長  関先生、何か追加などはありますか。 ○関先生  適切に骨盤の変形を評価することは難しいのです。産婦人科は訴訟が多いので、狭骨 盤の定義より広い骨盤でも帝切することが多くなってきています。もちろん、帝切する か否かを決めるのは他のファクターも関与していますが。労災による骨盤変形を客観的 に評価するための文言を明記することがすごく難しいのです。狭骨盤の定義をそのまま 使うのは少し厳しすぎます。例えば、女性型骨盤、男性型骨盤という診断名はあります がその境界型もありますので、骨盤骨折などの外傷によりどれだけ変形し、どの程度の ものから障害として認定するかということを明文化することは大変難しいように思われ ます。  狭骨盤の定義を用いてしまうと、労災のために帝切せざるをえなかったに、認定され ないという例が出てくる可能性が大です。そのような人をレスキューできるようにすべ きと思いますが、どのような文言にするのか大変難しいと思います。 ○松島座長  女性特有の円形が非常にいびつになって、どこで9.5と取るかによりますね。そうで なければ、骨産道としてスムースに出産ができませんから。そこの表現をどのように表 すかということでしょうね。 ○関先生  つまり、真結合線が11センチでも骨盤骨折をなさっているので帝切にしましょうとい う方は出てくると思うのです。大抵は、骨盤骨折が起これば11センチぐらいの人より変 形がもっとひどいのでもっと狭くなってしまうと思うのですが。 ○松島座長  ただ、そのときに、軟部組織が事故で瘢痕形成のようになっていて産道が開かないこ とも起こり得ますね。 ○関先生  それも起こります。腟壁や子宮頸部の問題などが起こり得ると思うので、「医師の診 断で経腟分娩が不可能と診断されたもの」のような文言が許されるのであればよいので すが、その条件があまり緩いものにしてしまうと何でもオーケーになってしまいますか ら。 ○医療監察官  最初、骨産道だけでなく腟のほうなどももう少し作れないかと考えたのですが、そう すると、実際に出産をする直前にならないとなかなかわからないのではないか。そうす ると、事故があったときに最低限救わなければいけないと考えると、その骨産道が一定 以下になったときには必ず救ってあげましょう。 ○関先生  ただ、狭骨盤は、形が良くてもこの大きさでは駄目ですよという基準なので、これに 形が悪いということを加味する場合はもう少し緩やかにしてあげないと思います。しか し、その場合にどのくらいの広さにしたらいいのかエビデンスがないのです。  アメリカなどでは骨盤計測をしていません、骨盤計測をすると白血病の発生率が増え ると言う人もいるので。例えば、いい陣痛が続いても軟産道が開かなかったり骨産道の ために分娩が進行しなければ、それをCPDすなわち児頭骨盤不均衡という診断の下に 帝王切開にしてしまうのです。要するに、これに代わるデータが別の所から出てくるか と言うと、たぶん出てこないと思います。  私が危惧するのは狭骨盤の定義では、正常な形でも経膣分娩は困難ですので、当然骨 盤骨折をして形が歪んでいる骨盤では狭骨盤の定義は厳しすぎるのではないかと思いま す。 ○医療監察官  比較的狭骨盤の値でやると、逆に小さい方の場合はほとんど何もない可能性もありま すが、それを取っておけば安全なのかなと思います。  狭骨盤は本当に狭いのです。もう1つ緩やかなものとして、先ほど関先生がおっしゃ いましたが、もう少し広くても大事をとって帝王切開にするといった基準があるので す。これは、全く正常な人でもこのぐらいになると危ないという基準なので、変形して いることが含まれると、狭骨盤の基準を取ってそれでやりましょうというのはそれほど おかしくないと思います。 ○関先生  単純に言うとこの数字。 ○医療監察官  そうです、増えるのです。 ○松島座長  その辺でよろしいですか。 ○関先生  代わりの、つまり明らかに一般に認められている数値が比較的狭骨盤の数値しか。 ○松島座長  ない。 ○関先生  これから待っていてもたぶん出てこないと思います。ですから、狭骨盤にするのは少 し厳しいかなという気がするのです。だとしたら。 ○松島座長  よろしいですか。 ○課長補佐 例えば本当に若い人、我々は中学生ぐらいが働くとは思っていませんが高 校1年生、15歳ぐらいで働いている場合、その後身体が大きくなりますが、そういう影 響はありますか。 ○関先生  いや、それで改善するかに関してはあまり期待できないと思います。 ○課長補佐 いや、逆にまだ成長過程だから狭いということですね。たぶん、これは実 際に子どもを産むときの話ではなく、けがをした直後の話なのです。ですから15、16歳 でけがをしてまだ伸び盛りでこれから体が大きくなる人だと、当然ここも変わってきま すね。そうでもないのですか。 ○関先生  女性は15、16歳になればほぼ成長が止まるので、その状態で規定されると思います。 ですから、労働災害を受けるような年齢になった方はその時点で結論を出してもあまり 問題にならないのではないかと思います。 ○松島座長  いかがですか。ほかによろしいですか。 ○木元先生  つまらないことですが、15頁の2段目の「日本産婦人科学会」は「日本産科婦人科学 会」ではないですか。 ○医療監察官  はい、正確にはそうです。 ○松島座長  よろしいですか。それでは、いまのご意見を踏襲してそこのところを訂正していただ ければ幸いです。今日のワーキングの内容は以上でよろしいですか。先生方、何か全般 的なご意見はありますか。 ○医療監察官  一部、ストーマの扱いだけが未消化になっています。今週の木曜日に腹部のほうで同 じような議論をさせていただきますので、そちらの議論の推移を見守りながら、基本的 にはストーマについてきちんとできるものと管理できないもの、管理できなければ1つ 挙げるという方向でいま考えております。その方向でよろしければ、それを書いたもの を先生方に事前に送らせていただき、できれば3月29日はやるのか、あるいはこれでよ ろしければ送っていただいたものを点検するだけで流すということも、松島座長とご相 談させていただきながらやらせていただきたいと思います。予定どおりやるとすれば3 月29日の3時30分からですが、5分程度で終わるのにお集まりいただくのは恐縮ですの で、そこは座長とご相談させていただきながら次回、決めさせていただきます。 ○松島座長  今日は、委員のご理解の下、非常に早く進行し、時間内に終わりました。今日は、こ れで終了いたします。いま事務局からご説明があったように、そのすり合わせで単なる 書類上のもので済むのであれば事前に回していただき、問題がなければそれでいたしま す。そうすると今後の日程は、平成16年度の中に大体終了しますか。 ○医療監察官  今後の予定としては、主な検討事項としてはそれで大体終わります。ただ、こちらに ついてご審議していただいた内容でも省令改正を要する事項が含まれていることもあ り、その審議会の委員の方々とのお約束事項ということで患者団体などの方々のご意見 を伺った上で、それを先生方にご紹介させていただき、直さないなら直さない、直すな ら直すというご議論をしていただく場を設けることになっています。その日程が決まり 次第、松島座長とご相談させていただきながら各先生方のご日程と調整の上、次回開催 日をご連絡します。 ○松島座長  それは4月か5月ですか。 ○医療監察官  そうです、4月ないし5月です。5月ごろでしょうか。 ○松島座長  4月は、各先生方が学会で相当お忙しいと思いますので、少しずらしたほうが賢明だ と思います。 ○医療監察官  わかりました。 ○松島座長  今日は、どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省労働基準局労災補償部補償課障害認定係     TEL 03−5253−1111(内線5468)     FAX 03−3502−6488