05/02/04 厚生科学審議会感染症分科会感染症部会感染症技術ワーキンググループ 第1回議事録           第1回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会            感染症技術ワーキンググループ 議事次第 ○日時  平成17年2月4日(金) 10:00〜12:00 ○場所  厚生労働省共用第6会議室(合同庁舎5号館2F) ○議事次第   1.開会   2.議題     (1)医師からの届出基準改正について     (2)医師からの届出様式の改正について     (3)ワーキンググループでの疾病分担について     (4)その他   3 閉会 ○滝本感染症情報管理室長  おはようございます。それでは、ただいまから平成16年度第1回厚生科学審議会感染 症部会感染症技術ワーキンググループを開会いたします。  まず、本ワーキンググループの開催に当たりまして、厚生労働省健康局結核感染症課 長の牛尾課長より、一言ごあいさつを申し上げます。 ○牛尾結核感染症課長  おはようございます。結核感染症課長の牛尾でございます。委員の皆様方には御多忙 にもかかわらず、厚生科学審議会感染症部会感染症技術ワーキンググループに御出席い ただきまして、厚く御礼申し上げます。  御議論いただきます感染症発生動向調査につきましては、平成11年に感染症法が制定 されまして、その後5年が経過したときに見直しの議論を行いました。取りまとめが平 成15年8月に感染症部会で「感染症対策の見直しについて」という提言がまとめられた ところでございまして、それが感染症法の見直しの元となっております。  そして、その提言において、この発生動向調査については現在の実施方法では、届出 後に診断が変更になった場合の取扱いが明確ではない。あるいは病原体サーベイランス の検査体制の提供や管理が不十分である等々の問題点が指摘されておったところでござ います。  病原体サーベイランスの評価につきましては、その後平成16年9月15日の施行規則の 改正によりまして、都道府県知事から感染症の発生状況・動向及び原因を明らかにする ために必要な物件の提出を求めることといたしましたが、医師からの感染症の発生届に ついては今回、本委員会について法律改正や疾病の追加を伴わない範囲での改正になる と思いますが、迅速かつ的確な感染症情報の収集のために、医師からの届出基準の改正 を御検討いただき、更なる発生動向調査の充実を図ってまいりたいと考えております。  はなはだ簡単ではございますが、開会に当たりましてのこの会議の趣旨というものを 御説明させていただきまして、ごあいさつに代えさせていただきます。どうぞよろしく お願いいたします。 ○滝本感染症情報管理室長  それでは、本ワーキンググループの委員の先生方を御紹介させていただきます。お手 元の委員名簿に沿いまして紹介をさせていただきます。  まず、東京大学医科学研究所附属病院長の岩本愛吉先生でございます。  高知市保健所長の植田和子先生です。  千葉県山武健康福祉センター長の大野由記子先生です。  国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部委員長でございます。  独立行政法人国立病院機構三重病院長の神谷齊先生です。  横浜市立市民病院感染症部長、相楽裕子先生です。  神戸市保健所主幹の白井先生は、本日御欠席ということでございます。  慶應義塾大学医学部教授、竹内勤先生です。  埼玉県衛生研究所長、丹野嵯喜子先生です。  社団法人日本医師会常任理事の雪下國雄先生です。  東京大学大学院農学生命科学研究科教授、吉川泰弘先生です。  広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授、吉澤浩司先生です。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  まず、先ほどごあいさつ申し上げました牛尾課長でございます。  その隣が課長補佐の前田でございます。  私、感染症情報管理室長の滝本でございます。よろしくお願いいたします。  続きまして、お手元にお配りいたしました資料の確認をさせていただきます。  式次第、委員名簿、それから、届出基準等改正スケジュール、いずれも1枚紙でござ います。  それから、疾病分担表の案が2枚ございます。  「届出基準改正にあたっての具体的な方針」ということで、3枚の資料がございま す。  それから、分厚い資料ですが、届出基準改正(案)としたものが1冊。  それから、届出様式改正(案)、クリップどめをしたものが1冊。  それから「感染症発生動向調査について」ということでとじたものが1つ。  それから、性感染症サーベイランスの関係の資料が2枚ございます。  以上、お手元にございますでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、この後の議事進行につきましては、岡部委員長、よろしくお願いいたしま す。 ○岡部委員長  おはようございます。感染研の岡部です。  最初から委員長という形でここに座って申し訳ありません。厚生科学審議会感染症部 会の中で幾つかのワーキンググループに分かれていて、特にサーベイランスの内容の検 討であったり、あるいは幾つかの事項について検討するワーキンググループがありま す。その中で、この感染症の技術ワーキンググループというのが設置されていて、既に 幾つか検討を行っております。そのときに取りまとめ役をやれというので、そのまま本 年度第1回という形になっていますが、どうぞよろしくお願いします。  あとは座って失礼します。  今日委員でおられる先生方は、皆様厚生科学審議会の方のメンバーでいらっしゃるの で御記憶だと思いますけれども、感染症法改正に関する委員会の一番最後のときに、当 時の委員長の吉倉先生が、もう少し細かい点については積み残しの部分というか、時間 的に中途半端な討議をするのではなくて、後回しでもいいからきっちり討議するように と指示されております。しかし、遅れてはいけないのですぐにやれと。そのときに感染 症技術ワーキンググループで、岡部やりなさいというような命令がありましたので、積 み残しの部分を今回やるということになりました。  とはいえ、実際にいろいろな検討事項を細かい点において、いきなりワーキンググル ープをやっても恐らくは作業の時間あるいは混乱もあると思いましたので、情報センタ ーの中で分担して、実際にサーベイランスを担当しているという意味で、何回か相当繰 り返し、時に激論になり、一応たたき台をつくり上げました。それについて事務局との 検討もすすめてきております。勿論たたき台ですので不十分なところもあろうかと思い ますけれども、今度はその基本的な構想と詳細にわたってWGの先生方に御検討いただ いてというのが、今年度の第1回のワーキンググループという趣旨でなります。  ですから今日は、分厚い資料がありますけれども、これをざっと、その意味や何かを まずは御理解いただいて、詳細はお持ち帰りをいただいた上で検討するということで、 今日何かしらの結論がここで全部出てくるというのではないというふうに理解をしてお ります。2時間でこの書類に全部目を通して何らかの結論を出すというのは恐らく無理 だと思いますので、これまでの状況を総論的なところでディスカッションして、その後 のスケジュールなども事務局から御説明があると思いますけれども、今日はそういった ような形でいきたいと思います。  今日の議題は、お手元の議事次第に書いてございますけれども、1番目が届出基準の 改正について、それから、もう一つは本当に具体的なところになるわけですが、届出様 式の改正。それで一番最後に、それぞれの年度末の宿題といったような感じになります けれども、先生方それぞれの疾病分担というような一覧表がついています。これも案で あると思いますので、それらについて今日は討議をしていただいて、フリーディスカッ ションを最後にするというスケジュールになると思います。  それでは、一番最初の議題から入りたいと思うんですけれども、医師の届出基準改正 について、これも総論的な部分があると思うんですが、前田補佐の方から御説明をお願 いします。 ○前田課長補佐  結核感染症課の前田でございます。この医師の届出基準の改正についてでございます が、まず、現在の感染症発生動向調査、皆さん御存じの点もあろうかと思いますが、お さらいから入りたいと思います。  後ろから2つ目の資料に「感染症発生動向調査について」という1枚のイラストがあ って、その後何枚か要綱がついているものがございます。この感染症法の第12条に基づ く全数把握疾患が一類感染症から四類感染症と五類の全数把握。そして、第14条に基づ きます指定届出機関の管理者が行う届出、これを定点報告というふうに申しております が、この全数把握と定点報告を合わせまして86疾患あるところでございます。この届出 を保健所に対して行うと。保健所から都道府県の本庁もしくは政令市、特別区などを経 由して厚生労働省に情報が来る。そして、また、感染症研究所において情報公開してい るというところもあるところでございます。  実際、この感染症発生動向調査の事業の実施要綱についてでございますが、1枚おめ くりいただきました第1の「趣旨及び目的」というところでございます。対象とする疾 患としては2ページ目にございますが、全数把握として一類感染症から五類の全数把握 で定点把握の対象というふうに出ているところでございます。  実施体制といたしまして3ページ目にございますが、中央感染症情報センターという ものを国立感染症研究所感染症情報センター内に設置する。地方感染症情報センター、 基幹地方感染症情報センターというものを都道府県に設置するということでございま す。  それから、指定届出機関、定点でございます。こちらにつきましても、ある程度この 通知によって数を絞っているところでございます。  その定点の設置の仕方でございますが、この資料の7ページ目でございます。患者定 点の選定として小児科定点ですとかインフルエンザ定点がございますが、小児定点の設 置については8ページの上にございますが、保健所管内人口が3万人以下の場合は1、 3〜7.5万人の場合は2、7.5万人以上は3プラス人口比例分ということになってござい ます。  インフルエンザ定点につきましては、この小児科定点に加え、内科を標榜する医療機 関でこの保健所管内人口が7.5万人以下の場合は1、7.5〜12.5万人の場合は2などとな っております。  それから、(4)といたしまして眼科定点ということで、これは保健所管内人口が12.5 万人以上の場合に1プラス人口比例ということでございます。  それから、性感染症についての定点につきましては、保健所館内人口が7.5万人以上 の場合に1プラス人口比例ということになってございまして、産婦人科系と泌尿器科・ 皮膚科系がおおむね同数になるように各都道府県で指定するという形で、運用されてい るところでございます。  そういった内容で現在の感染症発生動向調査は行われておりまして、現行の届出票に つきましては、この資料の後ろから5枚程度のところにございます。今一類から三類ま でが1枚の発生届出票になっているところでございます。「別記様式1」と記載されて いるところでございます。  報告事項につきましては、感染症法の症例などに基づいているものでございますが、 患者氏名、性別、診断時の年齢、患者職業、住所、所在地、保護者氏名、連絡先。そし て、病名として一類から三類までの疾患名が書いてございます。そして、診断方法。  そして、症状ありの場合は自由記載ということでございます。  発病年月日、初診年月日、診断年月日、感染推定年月日ということでございます。死 体を検案した場合については、検案年月日などを記載することとなってございます。  それから、推定される感染地域・感染原因・感染経路といたしまして、最近数年間の 主な居住地、推定される感染地域、感染原因、経路。そして、その他必要と認める事項 というものを一類から三類まではこの用紙で現在、各診断した医師から届出をしていた だくということになってございます。  それから、四類感染症についてでございますが、その裏でございます。「四類感染症 発生届」ということで、先ほどの一類から三類とほぼ同様の、横表が縦表になっている ところもございます。9番といたしまして、病名の欄が1番のE型肝炎から30番のレプ トスピラ症まで、この1〜30のどれかに「○」をしていただくと。中にはウエストナイ ル熱ですとかエキノコックスのように、また細分類に「○」をしていただく部分もある ところでございます。  そして、診断方法として病原検査、血清学的検査、臨床決定、その他。  診断時の症状は「あり」の場合は自由記載となってございます。  発病年月日、初診年月日等の記載と、あと推定される感染地域・感染原因・感染経路 を記載していただくということでございますが、病名の欄が1つ「○」をするだけでご ざいますので、この欄が非常にむだになるのではないかというのが、今回一つの問題意 識として持っていたところでございます。  それから、五類の全数把握の疾患につきましては、その裏でございますが、クロイツ フェルト・ヤコブ病とエイズと先天性風しん症候群を除いた全数把握についてですの で、アメーバ赤痢からバンコマイシン耐性腸球菌感染症までの11種類がこの発生届の対 象となりますが、こちらも3番の病名といたしまして病名記載欄がございます。  五類になりますと、患者の氏名とか職業というものを省いて、性別と診断時の年齢と いう形で、どこの都道府県に居住しているかもここではわからないような形になってい るところでございます。  診断方法と診断時の症状、発病の年月日等は四類とほぼ同様でございますが、この 11、12の推定される感染地域、原因、感染経路のところについて、感染源、感染経路が 8種類選択方式になっているというところが、四類感染症の発生届と違う点でございま す。  それから、五類のクロイツフェルト・ヤコブ病の発生届がその裏でございまして、後 天性免疫不全症候群も詳細な形になってございます。  それから、先天性風しん症候群発生届につきましても、母親の妊娠中の風しん罹患歴 の記載などを求める部分があって、固有の発生届になってございます。  それから、小児科定点からの発生動向調査の報告につきましては別記様式7というこ とで、RSウイルス感染症から流行性耳下腺炎まで1週間に受診された患者さんの男女 別、年齢として6か月、12か月、1歳などという形で、1週間ごとの小児科を訪れられ た方の人数を記載するという形で報告することになってございます。  それから、インフルエンザ定点につきましては別記様式8ということで、これも男女 別と年齢別ということでございます。  それから、眼科定点につきましては、急性出血性結膜炎と流行性結膜炎で男女別と年 齢別でございます。  STD定点につきましては、性器クラミジア感染症、ヘルペス、尖圭コンジローマ、 淋菌とこの4種類の疾患について男女別と年齢別ということになってございます。  それから、基幹定点、これは院内感染などの定点でございますが、これは患者さんの ID番号と性別、年・月齢、そして病名が1番の細菌性髄膜炎から5番の成人麻しんま でのどれか。それから、その下の欄については、1番のMRSAから3番の薬剤耐性緑膿菌 までを選んだ形で記載していただいて、検体の採取年月日、検査方法などを記載してい ただくという形になっているところでございます。  この現状の感染症発生動向調査につきまして、最近、国立感染症研究所と結核感染症 課で検討を重ねてきたところでございますが、その経緯につきましては「届出基準等改 正スケジュール」という1枚もののペーパーで御説明させていただきたいと思います。  先ほど岡部委員長からも御説明がございましたが、平成15年11月に感染症法の改正法 が施行されたところでございます。  そして、5月より届出基準改正に向けました結核感染症課と国立感染症研究所の感染 症情報センターとの打ち合わせを計7回開催してきたところでございます。  昨年9月には感染症法の省令改正によりまして、病原体の提出などについての条件を 整備したところでございます。  昨年12月に感染症部会において、この技術ワーキンググループでの検討について説明 をさせていただき、承認を受けたところでございます。  本日、第1回のこの技術ワーキンググループ開催によって、届出基準の案、届出様式 の案を提示させていただく。そして、各委員の疾病ごとのチェックしていただく分担に ついて、御決定をいただくということが今日の目標でございます。  今月中に各委員から届出基準案についての修正意見を回収する。そして、各委員の修 正意見を踏まえました届出基準、様式の修正を行うのが3月でございまして、3月30日 に第2回を予定いたしておりますが、感染症技術ワーキンググループの第2回を開催し まして、基準と様式の取りまとめを行いたいと思います。  これを年度内に急いでいる理由といたしましては、平成18年1月から新たな感染症発 生動向調査システムを稼動していくと。そのシステム開発に4月以降取り掛かるという ことが、この急いでいる理由でございまして、そのワーキンググループが3月30日に行 われた後は、感染症部会への報告、関係通知等の改正、そして、このシステムの稼動に 向けた準備を同時並行で行っていくということを予定としているところでございます。  それから、疾病分担表は議題3ということでございます。  それから、届出基準の改正に当たっての具体的な方針ということでございます。本日 資料としては届出基準と様式が非常に分厚いものがございますが、この届出基準改正に 当たっての具体的な方針をまず御議論いただいた上で、また、それによってこの様式、 基準が大分変わってくる部分がございますので、この3枚が主な論点でございます。  まず、届出基準、項目の見直しについてでございますが、基本的な方針といたしまし て、冒頭、課長のあいさつにもございましたとおり、感染症の改正を要しない範囲の見 直しと。そして、原則として疾患の追加をしない。あと、届出をされる医師の負担にも 配慮して、見直しの必要性を十分に吟味するという、この3点が基本的な方針でござい ます。  そして、全体的な事項といたしまして、従来の届出基準において、定義の部分に非常 に細かな解説が書いてあった部分もございますが、定義ですとか臨床的特徴、届出基 準、備考に、それぞれどういった事項を記載するかということを統一していく必要があ るのではないかという点がございます。  それから、あと法律上、一類から四類の感染症と五類感染症の一部について、無症状 でも病原体を持っていらっしゃる方、無症状病原体保有者の届出が義務化されてござい ます。ただ、その法理上の定義が「感染症の病原体を保有している者であって、当該感 染症の症状を呈していない者」というのが法律上の定義でございますが、これが病原体 の抗原を持っている場合はどうかとか、病原遺伝子を持っている場合はどうなのかと か、運用していく上で疑義が生じてきた部分がございます。ですので、その内容をもう 少し解説する一つの案といたしまして「当該感染症を疑う自覚的・他覚的症状を呈して いないが、病原体、抗原または病原体遺伝子が検出されたもの」という形で、より現場 の検査担当者、診断担当者の方々の誤解を生まないような形で明確にする必要があるの ではないかという点が2点目でございます。  それから、あと、病原体の検出と遺伝子の検出、抗原の検出において、血清が検体な のか、髄液が検体なのか、唾液が検体なのかという検体名が明らかにされていない届出 基準も多々ございますので、その検体の明示というものが必要ではないかというところ がございます。  それから、抗原の検出の内容としても、表現がいろいろと詳しいものもあれば簡潔な ものもありますので、それを統一する必要があるのではないかということでございま す。  あと、最近数年間の主な居住地ですとか推定される感染地域で、国内の場合は「国内 」に「○」がしてあって、それがどこなのかというのはまだわからなかったというとこ ろがございますので、都道府県名ぐらいの記載があった方がいいのではないかというの が一つの論点でございます。  あと、PCRの表記について、これもRT−PCRとPCRの表記の問題についての統一 が必要ではないか。  それから、あと「血清学的検査」という名称も、血清を使って何を検査するのかとい うことを明確にするために「抗体検査」などへの表記の変更が必要ではないか。  あと、熱についても届出基準で「発熱」と「高熱」というのが非常にばらばらに入っ てございます。この目安として37.5℃以上が発熱、38℃以上が高熱という形でいいかど うかという点も御議論いただければと思います。  それから、あと修正報告という点でございます。これも一度、臨床決定で報告された 後、よくよく検査した後に実際にその感染症ではなかったというケースがございまし て、それが暦年の統計をとっていく上で、本当は12月に確定しないといけないんです が、2月になっても3月になっても、また6月以降になっても修正が来るということ で、いつまで経ってもその年の感染症の患者数が確定しないということがよくございま すので、これを修正報告を行う期間の明確化というものも必要ではないかということ で、一つの目安として届出後3か月以内までの変更が可能ということにいたしますと、 翌年の3月が終わった段階で感染症患者数が一通り確定するという形にできればいいの ではないかと思っております。  それから、病原体や媒介動物等との接触または生息場所での活動について、「あり」 と「その他」というふうな分け方ですが、「不明」とか「なし」という形にも選択でき るものも必要ではないかというような方針でございます。  それから、一類感染症でございます。こちらについては確定例と疑似症患者、そし て、無症状病原体保有者、これが届出対象になってございますが、抗体だけが検出され た方については、無症状病原体保有者とも呼べないので、最寄りの保健所に報告を求め るべきではないか。例えば、SARSの抗体とか天然痘の抗体が発見された場合などが、こ こに含まれるわけでございますが、そういうものが一類感染症の論点としてあるのでは ないかということでございます。  それから、二類感染症でございますが、これがポリオの例でございます。WHOの西 太平洋事務局地域においては、ポリオは最近発生していないところでございますが、今 後起こり得る患者としては、ワクチンが由来する患者、そういうものを報告対象として はどうかという点がございます。  それから、三類感染症、O157でございますが、菌の血清型、ベロ毒素の型の報告、 それから、HUS、溶血性尿毒症症候群の有無といったものの記載も必要ではないかと いうことでございます。  それから、四類感染症といたしまして、抗体の検出として特異的IgM抗体の検出かペ ア血清での抗体の有意な上昇といったものを、四類感染症の抗体検出の項目をより詳細 にした方がいいのではないか。  それから、2回抗体検査をしなくても、特定の感染症については一時点での血清抗体 陽性というものも基準として採択していいのではないかというふうな考えでございま す。  それから、五類感染症の全数についてでございます。こちらにつきましても、複数の 医療機関を同一の患者さんが受診すると。それぞれの医療機関から届出が来るというケ ースがございまして、そういう二重報告をできるだけ防止して、届出数と患者数との差 をなくしていきたいということから、患者所在地として都道府県レベルでの患者所在地 の記載ということをするべきではないかということが一つございます。  あと、性感染症学会などからの御意見として、梅毒が現在、無症状病原体保有者の場 合も全数把握、医師の届出の対象となってございます。ただ、これも感染性の点から、 梅毒は無症状の場合は届出対象から削除してもいいのではないかというような意見もご ざいます。  それから、院内感染症を引き起こす疾患、VRSAですとかVREについてでございます が、病原体が分離された場合には、最寄りの保健所に任意の報告を求めるというのが必 要ではないかということでございます。  それから、五類感染症の定点についてでございます。こちらにつきましても、基幹定 点という院内感染などの定点でございますが、二次医療圏当たり1か所目途で300床以 上の医療機関というのが現在の基準でございますが、その箇所数を増やすということで 実際の院内感染等の流行状況を正確に把握すべきではないかという点がございます。  それから、定点の選定基準ですけれども、基幹定点については病床数というのが基準 でございますが、外来患者数も含めた受診患者数を加味した設定が必要ではないかとい うことがございます。  あと、小児科定点の算定基準を変更して定点を増やすということでございますが、こ ちらにつきましては、定点からの報告のインセンティブの検討もしないといけないとい うふうに考えてございますが、小児科疾患の流行状況を的確に把握するという点で、現 場の医師の負担なども考慮いたしながら増やしてく方がいいのではないかという点がご ざいます。  それから、インフルエンザについては男女別と年齢別という報告でございますが、疑 い例、臨床診断例、検査による確定診断例といった分類ができれば、非常にデータとし て有益ではないかということと、あと入院数、重症例が内数としてわかるようにすべき ではないかということが意見としてございます。  あと、成人麻しんの対象年齢が現在、下限が18歳でございます。成人の定義を広く見 て18歳ということでございますが、小児科に来ない麻しん患者ということでいくと、大 体小児科の対象疾患が15歳までということでいくと、16歳以上が成人麻しんとして適切 ではないかということでございます。  以上が、届出基準の見直しについて、感染症研究所と結核感染症課で議論した内容の 主な点でございます。  それを基に策定いたしました届出基準改正案というのが分厚い方の資料の1つでござ います。こちらにつきまして、A4のものを1枚当たりA5サイズの形に縮小して細か い形になっておりますが、1〜96ページまであるところでございます。  例えば、一類感染症のエボラ出血熱のところ、1ページでございますが、改正した点 についてアンダーラインで記載してございますが、届出基準、疑似症の診断、そして無 症状病原体保有者という3つでございますが、無症状病原体保有者として「当該疾患を 疑う症状や所見はないが、病原体や項原、病原体遺伝子が検出されたものについては届 出る」という項目を追加の案として考えてございます。  そして、備考として「ただし、当該疾患を疑う症状や所見がなく、抗体のみが検出さ れたものについては、保健所に相談する」というふうな形で記載の追加の案を考えてい るところでございます。  一類感染症については、主に無症状病原体保有者と抗体が検出された方についての取 扱いなどを修正しているところが主でございます。  それから、SARSについてですが、これは最近といっても大分時間が経ちますけれど も、実験室内感染の疑いのあった方を疑似症の判断基準等に入れているところでござい ます。  あと、痘そうが5〜6ページでございます。これも無症状病原体保有者と抗体の話で ございます。  ペストも同様でございます。  それから、マールブルグとラッサ熱についても同様でございます。  二類感染症についてでございますが、11ページでポリオの点でございますが、ここも 備考の一番下にございますけれども、ワクチン由来の有症状患者も報告対象となるとい うのが事務局としての案でございます。「ワクチン由来のポリオ症例に関しても、接触 者の発生を防ぐ点を考慮し、有症状者には入院が求められる」ということが一つの論点 でございます。  12ページ、コレラに疑似症の判断としてコレラ毒素というものを加えてございます。  それから、13ページが細菌性赤痢、これも赤痢菌の名前を加えていたりとか、あと疑 似症の診断で疫学的関連というものを入れております。  それから、14ページのジフテリアですが、これも「ジフテリア毒素を産生するコリネ バクテリウム属」という表現を入れているところでございます。  15ページ、腸チフス、パラチフスは変更なしでございます。  17ページ、O157でございますが、ここも届出基準でHUSで報告患者と疫学的関連 を認める下痢症ということなどを加えているところでございます。  19ページの四類感染症についてでございます。E型肝炎で、ここも備考として2002年 から国内感染例の報告が増加しているということを加えているという案でございます。  それから、20ページのウエストナイルでございますが、これも日本脳炎ウイルスとの 交差反応などについての記載を加えているところでございます。  21ページのA型肝炎でございます。こちらも定義のところに疫学的動向などが記載し てあったと思いますが、それを備考の方に移しているところでございまして、ほとんど 国内感染例。経口感染だが潜伏期間が長い、輸血リスクが近年取り上げられているとい う点を備考で加えております。  エキノコックスですが、こちらについても潜伏期間が長いということとか超音波検 査、CTなどの検査画像の特徴などを記載してございます。  それから、23ページが黄熱で南米、アフリカの熱帯地域。  24ページがオウム病についてで検査による結果とか、あと、鳥として九官鳥、セキセ イインコのような記載が必要ではないかという点がございます。  それから、25ページの回帰熱は、スメアの名前ところに検体名として「末梢血スメア 」というふうに加えている点ですとか、26ページのQ熱については、臨床的特徴を科学 的知見に基づいて改正案を策定しているところでございます。  27ページの狂犬病については、アメリカの状況などについて新しい情報を加えている ところでございます。  それから、29ページの鳥インフルエンザでございます。こちらについては、若干、疾 患名について意見が交わされたところでございますが、高病原性鳥インフルエンザとい うのを低病原性のものをどう取り扱うかということが一つ論点でございます。  あと、31ページのコクシジオイデスでございますが、こちらについてもアメリカのカ リフォルニア州の記載などについて、定義のところにあったものを備考に移したりして ございます。  サル痘についても西アフリカ、中央アフリカの熱帯雨林で多く見られる等の疫学的情 報を備考の方に移してございます。  それから、33ページの腎症候性出血熱については、こちらも疫学的情報を備考に移す ということと、検査検体の明示を行ってございます。  炭疽については34ページでございますが、PCRによる検出などについて備考の方で 記載してございまして、テロ対策として必要という点を強調してございます。  それから、35ページのつつが虫病でございます。こちらについても備考欄を記載して いるということと、臨床的特徴についても、より正確な記載というか詳細な記載として ございます。  それから、36ページのデング熱でございますが、こちらについても備考欄で媒介動物 の蚊のことについてかなり記載ございます。  37ページのニパウイルス感染症についてですが、これも1999年のマレーシアの話など を備考に持ってきているというところでございます。  38ページの日本紅斑熱についても、検査法などについて備考で記載してございます。  39ページの日本脳炎についても、備考欄の記載が充実しているということと、あとハ ンタウイルスについても媒介動物の記載などを備考欄で記載してございます。  41ページのBウイルス病についても、備考のところで野生動物か飼育動物かも併せて 報告。  42ページのブルセラ症について、備考欄の加筆を行っているところでございます。  43ページの発しんチフスも疫学情報を備考欄に加えていると。  ボツリヌスについても、実際の分類で報告するというのも届出様式の方で記載すれば いいのではないかということで、削除の案を考えてございます。  45ページのマラリアについてですが、これも予防内服とか薬剤耐性についても情報が ある場合は、備考欄記載というのが望ましいという点を考えております。  野兎病についてですが、これもベクターの件について記載がございます。  あと、47ページのライム病についても、疫学情報を備考欄で記載。  48ページのリッサウイルスについても、定義から備考欄に持ってきたものがございま す。  49ページのレジオネラですが、ここも国内の推定感染地域の報告が望まれるという点 などがございます。  50ページのレプトスピラについても、トライアスロン大会などの報告などがあります ので、特定の事業との関連などが記載があると非常にわかりやすいということでござい ます。  以上が四類感染症でして、51ページのアメーバ赤痢ですが、これも「赤痢アメーバ症 」という名称の方が、実際の原因アメーバの名前が赤痢アメーバということなので、こ この名称の変更についても、また、これは改正するとなると省令改正という手続になっ てしまうのですが、一つの論点として挙げられているところでございます。  52ページのウイルス性肝炎でございますが、これも母子の垂直感染の事例などについ て備考の記載をしてございます。  53ページが急性脳炎でございますが、臨床転帰や病原体情報が必要ということと、54 ページのクリプトスポリジウムですが、水道水や河川の汚染状況の把握と対策に重要と いう点を加えてございます。  55ページのクロイツフェルト・ヤコブ病については、「ヒトプリオン病」への名称の 変更などが必要ではないかという意見も出たところではございます。  57ページが劇症型溶血性レンサ球菌感染症についてでございますが、ここも基礎疾 患、外傷の情報が実態を知る上で重要という点を備考に加えてございます。  それから、59ページのエイズでございますが、こちらも国内のものは居住地域の報告 が望ましいなどの点を備考欄で考えているところでございます。  それから、61ページのジアルジアですが、これも感染地域と報告保健所が異なる場合 が多いということで、国内での地域確認が必要ではないかという点がございます。  髄膜炎菌性髄膜炎ですが、こちらも臨床転帰、病原体別情報などの記載が必要ではな いかという点がございます。  63ページのCRS、先天性風しん症候群ですが、これも臨床症状による基準につい て、細菌の分類方法によって若干修正をしているところでございます。  それから、64ページの梅毒ですが、これもSTD学会の意見ということで無症候性梅 毒というもの、先ほどの無症状病原体保有者でございますが、これを届出基準から削除 した方がいいのではないかという意見でございます。  65ページ破傷風ですが、これはワクチン接種歴の把握が必要。  66ページのVRSAでございますが、これも尿や便から分離された他覚的所見があったも のも報告としてはどうかということでございます。  67ページのVREでございますが、こちらも症状・所見がなくても分離されたら報告 が必要ではないかということを表現してございます。  五類定点ですが、69ページのRSウイルスについては、修正なしです。  70ページの咽頭結膜熱ですが、これも「プール熱」という名前が非常に使われていま すので、プールに行っていない咽頭結膜熱が漏れるおそれがあるということですので、 プール熱の表現を削除しているところでございます。  71ページのA群溶血性レンサ球菌咽頭炎についても、咽頭痛というものなどの届出基 準について若干の修正を考えているところでございます。  72ページの感染性胃腸炎ですが、これもウイルス性と細菌性というものを分ける方が いいのではないかという意見も出ているところでございます。  73ページの水疱瘡、水痘でございますが、こちらもワクチン接種歴の記載などを備考 として考えてございます。  74ページの手足口病について、基本的に定点把握疾患ということで臨床決定基づいて 行われるものですので、それで病原体診断、血清学的診断によるものも届出基準に今ま で入っていたんですが、臨床症状よる届出というもので進めていこうということでござ います。  75ページのリンゴ病の伝染性紅斑でございますが、これも臨床的特徴の若干の修正が ございます。  76ページの突発性発しんですが、これも発熱で38℃以上というのが先ほどの定義でい くと高熱になるんですが、その辺り熱の温度の記載をどういうふうにするかという点が ございます。  77ページの百日咳についても臨床的特徴を若干修正してございます。  78ページの風しんについても、届出基準などについて若干修正がございまして、ワク チン接種歴の情報記載などがございます。  79ページのヘルパンギーナは微修正ですが、80ページの麻しんについては、臨床的特 徴を若干修正しているところでございます。  81ページの流行性耳下腺炎についても、ワクチン接種歴の情報確認などを盛り込んで いるところでございます。  82ページのインフルエンザでございますが、ここで必ずしもインフルエンザウイルス 感染症と確定されたものでなくて、いわゆるインフルエンザ様疾患であるということを 備考に入れた方がいいのではないかという意見でございます。  83ページの急性出血性結膜炎は微修正でございます。  84ページの流行性結膜炎も同様でございます。  85ページの性器クラミジア感染症についてでございます。あと性感染症の届出につい ては、12月のこの感染症部会でも御議論があったんですが、このワーキンググループと あともう一つエイズ性感染症ワーキンググループというところの両方でも御検討いただ こうと思ってございますが、主にほかの感染症の届出基準との並びについて、まず御議 論いただくことをこちらでお願いできればと思います。  性器クラミジア感染症については、血清抗体の検出というものを加えてございます。  それから、性器ヘルペスウイルス感染症についても、明らかに再発であるものなどに ついては除外というものを備考に入れてございます。  尖圭コンジローマについては、ほぼ修正なしでございまして、淋菌感染症についても ほぼ修正なしでございます。  89ページのクラミジア肺炎でございますが、これについては、臨床的特徴について細 菌の規定に基づいて修正ということと、病原体の遺伝子の検出、血清抗体の検出などを 加えたところでございます。  90ページの細菌性髄膜炎ですが、ここも髄膜炎菌性髄膜炎を除いたものでないと、重 複の届出になってしまうということですので、そこを明確化してはどうかということが 一つございます。  91ページのペニシリン耐性肺炎球菌感染症は修正なしです。  92ページのマイコプラズマ肺炎は、病原体に対する抗体を血清抗体というふうに明確 にしているということでございます。  93ページの成人麻しんが、「16歳」というふうに先ほど申し上げましたが、こちらは 「15歳」となってございます。また、この辺りも御議論いただければと思います。  94ページの無菌性髄膜炎については、ほぼ修正なしでございます。  95ページのMRSAでございますが、無症状病原体保有者は報告対象ではないと。この点 はVRE、VRSAと若干違う運用ということでございます。  それから、薬剤耐性緑膿菌感染症も無症状病原体保有者は五類の定点でございますの で、報告対象としないということなどの追加を記載したところでございます。  若干、途中早口で駆け足で申し訳ございませんが、届出基準のスケジュールと基本的 な考え方として、現在の届出基準改正案の内容について説明させていただきました。  以上でございます。 ○岡部委員長  ありがとうございました。長い説明だったので大変だったろうと思いますけれども、 基本的には届出、現在がどういうふうにやっているかというようなサーベイランスのこ とを御説明した上で、これからのスケジュール、そして届出基準の大まかなところ、そ れから、一類から五類まで大ざっぱに御説明をいただきました。細かい点については今 日そこまで議論は恐らくできないだろうと思います。それぞれの先生方で、そのポイン トのところを見ていただくということになりますけれども、まず、議論をしておかなく てはいけないのは、全体的な事項のところは基本的なコンセンサスみたいなことになり ますので、統一する部分もこういったようなところを基準にして統一しているというの があるので、その辺の御意見をいただきたいと思います。  ただ、基本的な方針として3つほど考えてありますけれども、重複しますが、厚生科 学審議会のときにでも法律の改正にいくような事項は少なくとも5年間は取り掛かれな いので、この間の感染症法を改正したところを基準にしてやるということで、したがっ て、疾患の追加をしたり、大きい入れ替わりはないということ。それから、これも吉倉 委員長が強調されておりましたけれども、届出をする医師の負担にも配慮して、デー タ、データとばかり言うなというような大きいくぎを委員長が刺していましたので、そ の点も考慮しながら、ただし、必要なものは加えるようにというような指示がありま す。  それでは、そこまで及び全体的な事項について、一類、二類、三類それぞれ細かいと ころはもうちょっと時間をかけてやろうと思いますが、この全体的な事項について、ま ず御意見あるいは御質問等がありましたら、どうぞお願いします。  言葉の統一であったり、それから、検査法がかなり感染症法を制定したときと違って きて、特に遺伝子検査や何かが随分ポピュラーになってきたというのがこの部分のとこ ろの一つのポイントであるのと、それから、感染症制定のころは余り細かい個人のとこ ろまでは入らないようにといったようなところで議論されておったと思うんですが、や はり感染推定地域等々については、もうちょっと情報がないと、結局対策に結びつかな いだろうといったところの議論が5つ目の「・」になります。  それから、熱については、これも感染症法施行のときに熱といっても何度だというよ うな質問がいっぱいありましたので、一定の基準を設けるために、それぞれのところに 37.5℃とか38℃というふうに書いてあったわけですけれども、これも統一した方がいい のではないかということが出ております。この全体的な事項について御意見をいただけ ればと思います。 ○竹内委員  東京都の感染症の委員会でもちょっと前に問題になったところなんですけれども、抗 原の検出と血清学的検査という言葉は、やはり変えるべきだろうと思うんですが、抗原 の検出というのは、実はほとんどがサンドイッチELISAとか免疫学的な手法で行うわけ で、東京都の場合は、抗原の検出と抗体検査というものを広い意味での免疫学的な検査 というのでくくったんですね。だから、抗原の検査、手法としては両方とも免疫学的な 原理に基づいているので、今ぱっと前田さんが説明されたところを見れば、抗原の検出 はELISAによるとか、要は免疫学的な手法によっているわけで、そこを抗原の検出と抗 体検査を、確かに病態的な意味とまるっきり違う部分でこういうものもあり得るかなと は思うんですが、一方で、各都道府県の中には免疫学的検査といってくくっているとこ ろもあるので、こっちの方がいいのかなとは思いますけれども。そういうところもある と。 ○岡部委員長  地域の場合で、ほかにもうちょっと広くとったり、解釈上で違うようなところをとっ ているところもあるとは思うんですが、国へのサーベイランスとして届けてもらうとき は、やはりある一定の基準は統一してもらうという方法だったと思うんです。東京都も 疾患も多少違うものもありますね、サーベイランス対象疾患もありますし。  でも、竹内先生は、この「抗原抗体」という表現について「免疫学的」という表現に せよというような意味ではございませんか。 ○竹内委員  そうではありません。こういうふうにクリアにした方が、むしろ誤解を招かないとい うのを前提に置いて、方法そのものは免疫学的な方法なんですけれども、抗原の検出と 抗体検査というのは全然意味が違うので、やはりこれはそこまで踏み込んで同意したと いうことで。後で両方とも免疫学的検査じゃないかと言われたとき、いや、実はそうい う議論がありましてとかというふうにしておけばいいと思うんですが。 ○岡部委員長  中には抗原検出は難しいので「抗体」といったような表現を使っている疾患もたしか あったと思います。  岩本先生。 ○岩本委員  3つぐらいあるんですが、1つ目は無症状病原体保有者の件なんですが、出血熱に関 しては患者数が日本で非常に多数発生するかというと、そういう可能性は非常に少ない でしょうけれども、例えば、SARSの場合にはありえなくはないという場合に、今度、無 症状の抗体保有者を保健所に届けなさいというのは私は反対ではありませんが、では、 保健所に届けるということになると、今度は患者さんの人権問題について、それは例え ば、この人たちは要するに感染の原因になるものではないというようなことを書くの か、書かないのかというようなことがないと、やはりもともとの感染症法ができたとき というのは私は関与していませんけれども、非常に人権重視。今回は、少しこういうも のだけが突出すると報告重視というか、数を拾おうというところが割と前面に出てくる かもしれないなという気がして、書くかどうかの議論はあると思うんですけれども、抗 体が見つかった方に関して、保健所には届けるけれども、要するにどうなんだというと ころが、どういうふうなスタンスでいくのかというのをちょっと。 ○岡部委員長  つまり、公表の問題に絡んでくるということになりますか。それとも届出の段階で既 に名前が出てくるということが問題であると。 ○岩本委員  届けた場合に、その方にどういうふうになるかですよね。検査に行って抗体陽性だよ と。 ○岡部委員長  SARSについて言えば、あれはたしか2年で見直しでしたか、あると思うので、今後の 動向によって多少変化は出てくると思うんですけれども、ほかの出血熱や何かのことも あるので、その辺はいかがでしょう。 ○岩本委員  今はあれでいいんですけれども、私は多分担当ですが、一人ではよう結論を出さんか なと思っていますけれども。事務局さんに相談してみます。 ○竹内委員  この無症状病原体保有者というのが気になるんですが、病原体によっては全く症状が 出ないで、しょっぱなから持続性感染を起こして無症状でずっと推移していて、たまに 抗体だけで引っ掛かったというのと、完璧に何年か前のエピソードがあって、それで検 査した実態では無症状で、なおかつ、抗体しか見つからないと。とにかくいわゆる無症 状病原体保有者というのは実は2種類あって、それも当然我々の方としては対処すると きは最初から無症状でずっと推移して偶然たまたま見つかったという人と、かなりなエ ピソードがあって、その後ずっと病原体を保有している人というのは、ちょっと区分け して考えるのかなという獏とした感じはあったんですが、これはひとくくりにしてドク ターが診たときに無症状であれば、全部無症状、保有者にしてしまうと。 ○前田課長補佐  その定義の考え方で申し上げますと、その届出時点ということですね。 ○竹内委員  我々の考え方は、どこかで3年か4年までエピソードがあって、それからあと慢性化 していって無症状になった場合というのは、基本的にはやはり治療対象というふうには 一応の原生動物や何かの場合には、そういうふうにはしているんですが。 ○岩本委員  ちょっと個別疾患に踏み込みますけれども、無症状の場合、例えば梅毒ですと、今ま での考え方はカルジオリピンの方法で16倍以上であると無症状であっても感染源になる 可能性があるというような感じだったのではないかと思うんですけれども、それを全部 例えば外した場合に、要するに無症状であれば感染原因にならないというようなこと が、今度は報告基準にしないということでいいんだということのスタンスなのかどうか というのは、ちょっと見にくいですね。ただ、検査法もいろいろ変わってきているの で、このカルジオリピン法の16倍だの何だのだけで縛っているのもまた問題なんですけ れども。 ○岡部委員長  梅毒については、STD学会の方でもう一回この点は検討すると言ってはおられま す。無症状病原体保有の考え方というのをもうちょっと明確にするという返事も頂いて おります。 ○岩本委員  また、もう一点は、後で申し上げた方がいいかもしれないですけれども、再発のこと が全然入っていない。要するに、梅毒の再感染者というのは今非常に増えていると思い ますけれども、そのところを「初発」と記載するのか「再発」と記載するのかというの は、最近も書きましたけれども、再発は書くところがないですから。 ○岡部委員長  それは、梅毒についてですね。 ○岩本委員  もともとTPHA陽性で、凝集法は低いとわかっている人が症状を出す場合と出さない場 合とあります。 ○岡部委員長  基本的に届けられたときに症状があって、抗原が出ているのであれば、届出の対象に はなりますよね。 ○岩本委員  届出の対象になると思いますけれども、例えば、我々の場合などは別の疾患で診てい るので。そういうときに、梅毒は例えば凝集法はゼロだけれども、既往歴のTPHAは陽性 だと。途中で症状を出して、両方タイタがガンと上がる場合と、症状は出ないけれども タイタがガンと上がる場合があって、それは梅毒の治療をしますから、基本的には梅毒 だと考えているんですが、無症状を外すと、その新しい感染者を全然ピックアップしな い、治療の根拠もなくなるような気がしますけれども。 ○岡部委員長  今の再発の問題は、ほかの疾患と共通する部分がありますか。 ○岩本委員  いや、わからない。今、自分で梅毒……。 ○竹内委員  赤痢アメーバも同じで、一旦ガンと症状が起きて、3年ぐらい経って持続性感染の状 態になって、全く同じです。 ○岩本委員  だから、淋菌とかも一緒だと思うんですけれども、抗体が残らないじゃないですか。 アメーバとか梅毒は抗体価が残るので、そういうもの再発をどう扱うかというのはちょ っと、急性感染で割と一過性で抗体が残らないような感染症をどういうふうにするのか を考えておいた方がいいかなと思います。 ○岡部委員長  慢性の感染としてはCJDとかHIVがちょっと別扱いになるので、これもそちらの 専門の方から意見をいただくということになっているんですけれども、基本的には、一 部の例外を除くとサーベイランスの対象は大体急性感染症で、なおかつ感染の可能性が ある場合を届けてもらうというところがポイントだと思うんです。ですから、再発であ ったとしても、その時点で有症状で抗原も検出されるような場合は、これは再発だから 届けないということになるとおかしいですよね。どうして再発という項目があった方が いいということになりますか。 ○岩本委員  再発とこういう項目もどけるのか、それとも、無症状でやった場合に再発者が症状が 出にくい可能性というのは検証されていないと私は思うんです。要するに、一旦抗体が あるわけですから、そういう人たちが再感染したときというのは初感染と同じくらい症 状が出ますかということに関しては、要するに教科書に書いていないです。現在も本当 にアメリカでも大都市の梅毒というのはすごい勢いで増えているわけですから、そうい うものを考えると、要するに無症状だから感染の原因にならないということは要注意だ と思います、なり得ると思っています。 ○岡部委員長  なり得るから届出の対象にはなっているわけですよね。 ○岩本委員  いやいや、無症状者は外すとどうなるんだということが、私たちは抗体がもともと陽 性者で再発したときに症状を出さない人を結構診るんです。その人たちは私は感染させ 得ると思っているので治療しますし、そういうときに今度は報告しないわけですよね。 そうすると、要するに再発性の患者が増えてきたときに報告を見逃すという可能性が、 私は梅毒に関してはあると思います。赤痢アメーバも……。 ○竹内委員  病気によっては、まだ無症状病原体保有者というのが結構中にバリエーションがあっ て、岩本先生が言ったように、そのままぽこんとまたエピソードにつながる無症状病原 体保有者と、そうではなくて、結構ずっといってしまって自然に落ちるとかいろいろな ものがあるので、ひとくくりにされてしまうと非常に困るのは、具体例を挙げますと、 例えば、知的障害者の施設で感染が広がっていく場合、1人が持ち込むんですよ、無症 状の人が。1人が持ち込んで、その1人の人が同じ遺伝子背景を持ったアメーバを広げ ていくんですね。たったその1人の人をつかまえて何かすればいいんですけれども、そ の人が偶然たまたま入所時に無症状だったら全く引っ掛からない感染源であって、あっ という間に1人から数十人、数百人と感染が広がっていってしまうんですね。だから、 やはり無症状の病原体保有者というのは、病気によってもうちょっと細かく対応して、 再発の可能性とか何か、もうちょっと岩本先生のおっしゃるとおり、何かきめ細かな。 そうかといって、「医師の負担にも配慮し」というのもあるから。 ○岡部委員長  そうすると、その部分で、赤痢アメーバは先生のところで多分担当になってくると思 うんですが、それと、梅毒の方は白石先生だと思うので、白石先生にその旨をお伝えし ながら検討していただくということにしたいと思います。基本的には無症状者ですべて 対象とするのは、それこそ人権の問題等々に絡んでくるので、ちょっとデリケートな部 分もあると思うので、個別のところでやると致したいと思います。 ○吉澤委員  ちょっと伺っていいですか。本当に基本的なことですが、サーベイランスでは急性感 染例をとらえるのがまず基本ですね。急性感染例をとらえるということは、急性  感染例がどれくらい広がっているか、と同時に二次感染が起こるのを防ぐという観点 もこのサーベイランスにはあるわけですね。そうすると、症状があろうがなかろうか病 原体を排出している人は当然感染源になります。実はO157の大騒ぎのときに無症状で排 菌している人はどうするかと問題になったんですね。あの時は野放しだったわけです。 結果としては大丈夫だったわけですが、今の再発の問題もありますけれども、無症状の 人で他に対して感染源となり得る人というのは、急性感染の場合にはとらえなければい けないでしょうが持続感染の場合はどうなんでしょうか。 ○岡部委員長  持続感染は期間や何かで問題が出てくるんですけれども、少なくとも対象になってい るものでは、例えば、O157は症状がなくても病原体が出るということであり、ベロ毒素 も入ってくるわけですが、そのベロ毒素によっては、やはり報告はしていただくという 案になっていると思います。報告までは。 ○吉澤委員  身柄の拘束といいますか、行動制限は掛けないということですね。 ○岡部委員長  身柄の拘束は三類はなりません、職業上の問題にはなると思いますけれども。 ○吉澤委員  流行ですと病原体は一緒ですよね。 ○岡部委員長  前田さん、お願いします。 ○前田課長補佐  O157は今、腸管出血性大腸菌感染症ということで三類感染症でございますので、就業 制限までは掛けられるんですが、入院勧告はできないということになってございます。 ○吉澤委員  わかりました。 ○竹内委員  岡部先生が言われたような、今の持続性感染、これで我々のレベルの方で少し疾病ご とにそれらが問題になっているのが明らかになっている、例えばアメーバとか梅毒とい うのであれば、備考のところで書き込むということですね。 ○岡部委員長  そうですね。余り例外、例外だと非常に難しいときもありますけれども、疾患の特殊 性というのは出てくる可能性があります。 ○岩本委員  さっき申し上げたのが、1つは熱の目安はどうでもいいと思うんですが、高熱、発熱 を分けるのもいいんですが、0.5℃というのは間が狭過ぎるように思います。だから、 100人ぐらいの医師の意見を聞くとか、小児科と50人ずつ聞くとか、それで決めてしま うと。下を37.5℃にするなら39℃にするとか、0.5だと現場からかなりブーイングとい う気もしますけれども。 ○竹内委員  教科書などを見ると高熱、中等度発熱、発熱と3段階に分けているもあるし。 ○神谷委員  これも年齢によって大分違いますよね。だから、小児科的にいけば37.5℃以上で、高 熱と言ったら38.5℃以上にならないと、これはちょっと狭いということになりますよ ね。だけれども、大人だと37℃でも、そこから先は発熱と見た方がいいという御意見も あるでしょうね。 ○相楽委員  よろしいですか。私の感覚もやはり高熱というのは38.5℃。大人と子どもということ もありますけれども、38.5℃以上あれば、やはり高熱になると思います。 ○吉澤委員  肝炎についてのことになるんですけれども、感染と発病との関係が、肝炎の場合はは っきりしません。多くの場合、医師が発病と診断しなければ、たとえ急性感染例であっ ても届出の対象にならないことがおこります。ですから、ある種の流行が起こったとき に、発病と診断しなければそのまま何もわからない状態になってしまう。その辺どう考 えるかなんですね。新たに急性感染した人をきっちり検査して、症状の有無にかかわら ず診断すればほとんどの例ではALTが上昇しており発病ということになります。だけ れども、通常の場合、症状が出にくいから、そこまで診断をしない場合が多いんです ね。その辺はどうなんでしょうか。いつも問題になるんですが。 ○岡部委員長  結局、そのときにはきっかけになるケースが有症状で何らかの検査をして陽性になっ て届出があって、必要になるとアクティブサーベイランスが掛かってくることになると 思うんです。そのときには、例えば一斉の検査をしてやるとか、幾つかのことで拾い上 がってくる可能性はあると思うんですけれども、先生おっしゃるように、何もないとこ ろから何もない人だけでポッと出てくるというのは、なかなかこれは難しいかもしれな いです。 ○吉澤委員  アクティブサーベイランスを行った場合には、診断した例は症状があろうがなかろう が届け出るわけですね。 ○岡部委員長  それはアクティブサーベイランスとしての調査であって、法に基づいての届出に基づ いての調査ではないという意味ですね。 ○吉澤委員  はい。 ○岡部委員長  アクティブサーベイランスの場合にはですね。 ○吉澤委員  ええ、見つけた場合はですね。 ○岡部委員長  熱の方については38.5℃の方が妥当ではないかという御意見も多いので、ちょっとそ ういう目で後でケーズデフィニションを見ていただいて、それで妥当であるならば、こ れは38.5℃というところで問題はないのではないかと思います。  それでは、そのほか。 ○岩本委員  修正報告の期間を届出後3か月まで変更可能とするというのは、主にどういうポイン トなんでしょうか。 ○岡部委員長  一旦届出が出て……。これは前田さんの方がいいですね。 ○前田課長補佐  一旦届出が出てから、臨床決定届出した後に診断が確定したケースで、結局その疾患 ではなかったケースというのがございますので、その時点が半年後に出てくるとか、1 年近く経ってから出てくるということになると、いつまで経ってもその年の感染症数が 確定しないということになりますので、もう3か月で区切ろうという考えでございま す。 ○岩本委員  1点だけ申し上げてよろしいですか。これは個別疾患に入りますけれども、HIVと エイズというのは、今検査が迅速とか確認を入れても7日以内に出ますので、まずHI V感染症として必ず報告が出るんですね。ところが、症状もあって、要するにエイズ指 標疾患を発症しておった人は、エイズ指標疾患はものによっては培養に3週間掛かると か、結核とかの抗酸菌の場合。そうすると、今のところは症状が変わりましたというの が任意報告なんですね。病変報告というのは任意ですね。そうすると、例えばこういう メッセージがHIV感染者の場合には3か月可能にするから、例えば最初からエイズを 発症していた人は、1か月後にエイズと診断がついたときに報告をエイズに変えなさい というメッセージを出すのか、今、非常にそこのところが疾病対策課では問題になって いると思います。どうするんだというのが。これもHIVのところで議論していただけ ればいいんですが。 ○岡部委員長  HIVは疾病対策課の方からも意見が来ると聞いていますので、今の意見はエイズ動 向委員会の方などを通じてお伝えいただければ反映されてくると思います。3か月とい うことにしたもう一つの意味は、サーベイランスというのは1年でやっているので年区 切り、カレンダーイヤーでやっているんですね。12月末で一応しめて、確定をその年度 の3月までにやらないと、結局、年としての統計が出てこないというようなことも、こ の3か月には含まれています。 ○竹内委員  細かいところで、吉川先生が担当のエキノコックスというのがあるんですけれども、 これは今の総論のところを見ると、最近数年間の主な居住地になっていますよね。それ で、もう片方の届出基準を見ると10年以上潜伏期があるというので、最近2〜3年の居 住地なんて調べてもしようがないんじゃないかと思うんですけれども。これも疾患によ って、もうちょっときめ細かにやっていただいた方が。 ○岡部委員長  エキノコックスも例外的に慢性です。 ○竹内委員  だから、これがちょっときめ細かに。 ○岡部委員長  では、そこは、吉川先生に見ていただくということで。  あと、一類、二類、三類、四類の辺りではいかがですか。五類はちょっと数が多いの で四類までで。  二類のポリオなんですが、「ワクチン由来患者を報告対象」になっていますけれど も、これは「ワクチン由来患者も報告対象」ですね。 ○前田課長補佐  そうです。 ○神谷委員  要するに、ここはVAPPも含めてということですね。 ○岡部委員長  そういうことです。従来はワイルドだけしかとれない疾病でしたので。 ○神谷委員  親の感染も一緒に入れるんですね。 ○相楽委員  よろしいですか。三類感染症でHUSの有無の記載を求めるということですが、これ は当然、診断してすぐに出ることもありますが、ないこともありますね。その場合は修 正報告とかそういう形になるんでしょうか。 ○前田課長補佐  両方あろうかと思います。一応この次の議題でございますが、届出用紙の方では29ペ ージのところにO157の発生届出様式の案を考えてございまして、この29ページの10番の 診断時の症状の中にHUSを○付けできるようにしておいたと。これがHUSをある程 度報告できるようにしたというところでございます。こちらについて、診断時にない場 合で、その後、臨床転帰などについて保健所の方で記載できるようにしてございます が、それは今後の届出を受けた保健所がその後、臨床転帰をフォローアップしていく段 階でHUS発症とした場合に、ここでまた臨床転帰欄に書くということも考えられます し、あと、医師からの修正報告という形で3か月以内にHUSが発生した場合に修正報 告いただくと、それはどちらかの形で把握できるのが必要ではないかと思っております けれども。 ○岡部委員長  それでは、ちょっと時間的に急いでしまいますけれども、細かい点はまた先生方に見 ていただいて、必要があればもう一回討議をするか、あるいはそれぞれの意見を書類あ るいはメールでやりとりということになりますので、今、議論になったようなことをち ょっと念頭に置いて見ていただくというようなことになろうと思います。  五類の全数と定点については、何か今ここで御意見がありましたら、お願いいたしま す。 ○相楽委員  成人麻しんの対象年齢ですが、16歳と書いてあるんですけれども、私は15歳の方がよ ろしいと思います。と申しますのは、小児科は15歳になるとすぐ内科に寄こすんです ね。ですから、15歳が漏れると思います。 ○岡部委員長  神谷先生、これは何か御意見ございますか。 ○神谷委員  そこの分け方は、病院によってもちょっと違うんでしょうね。私たちは15歳まで診て しまいますけれども、そこは落ちないように報告するということが大事なので15にして おいて、それは別に内科がしなければいかんとか小児科がしなければいかんということ ではないので、いいのではないですかね。 ○岡部委員長  ですから、小児科定点で見た17歳は別に届けても構わないわけですから。 ○神谷委員  そうです。 ○岡部委員長  重複する可能性が出てきますけれども。 ○神谷委員  ただ、同じ症例が2つ出ないようにだけはしないといけないので、そこら辺は一つの 報告定点だったら関連はできますよね。 ○岡部委員長  麻しんはeliminationがだんだんそれに近づいていけば、さらに工夫が必要になって くるかもしれませんけれども。  岩本先生、どうぞ。 ○岩本委員  五類感染症全数の第1の「・」ですけれども、今、保健所から報告が厚生労働省へ上 がりますよね。そうすると、数の把握は保健所の所在地になるわけですよね。居住地を 書いたときに、要するに違いが起こってきますよね、当然。それはどういうふうに調整 していくんですか。 ○岡部委員長  そこは調整のしようのないところで、最寄りの保健所に届けるということになってい ますから、北海道の人が九州で発症すれば九州で届けられるんですね。 ○岩本委員  だから、それは書かせても、もうそこは要するに何かのときの情報にするだけで、要 するに国としての情報把握は保健所単位でいくわけですよね。だから、都道府県レベル の患者所在地を書くということが、どのぐらいの実効性なのかというところをちょっと 疑問に思っただけなんです。 ○岡部委員長  それなので、全数の場合には都道府県レベルの患者所在地が記載されることによっ て、できるだけチェックが入ると。 ○岩本委員  どこのレベルでのチェックが。 ○岡部委員長  これは、中央情報センターないし地方感染症情報センターレベルだと思います。つま り地方感染症レベルならば同じ県内かあるいは同じ管内でチェックできるし、情報セン ターの場合だと、その人の地域別ということがわかれば問い合わせができますので。 ○岩本委員  意味はないことはない。私は別に反対ではないんですけれども、例えばHIVの場合 だと南新宿ですごく増えた場合に、それが首都圏全体で増えているのかということがわ からないですから、これは意味はあると思うんですけれども、だけれども、報告の数と しては実効性がないわけですよね。保健所から出ていくわけですから。 ○岡部委員長  そうです。 ○吉澤委員  過去に透析施設で劇症肝炎の集団発生があったときに、発病が疑われた患者を診断す る前に、関西から関東へ送ってしまったケースがありました。そうしたら、患者を受け 取った病院から届出を出してもらうまでその患者がトレースできなくて、調整が止まっ てしまったことがあります。最終的には、その主治医に早く届けを出してもらうよう要 請を出すところまでいったんです。患者の居住地というのは書いてもらわないと、集団 発生の場合に県域を越えたときにわからなくなってしまうんですね。ですから、患者の 居住地はやはり書いてもらうべきだと思うんですが。 ○岡部委員長  いかがですか。 ○前田課長補佐  このペーパー上、今は「患者所在地」という記載になっていますが、これはどちらか というと「患者居住地」の方がいいかという御意見でございますか。 ○吉澤委員  そうですね。主たる居住地といいますか。 ○岩本委員  患者所在地というのは確かに余り。 ○岡部委員長  当初は、当初というのは感染症法によるサーベイランスをスタートしたころに、問い 合わせをしてもそういうことは届出の義務はないとか、一旦届けたんだから、それ以上 は言えないとか、トレースできないということが少なからずあったんですが、これは積 極的に調査ができるというところが今回あるので、対策上必要であればトレースを掛け ることができるというのが、今までとちょっと違っているところだと思いますので。 ○前田課長補佐  もし、医師の届出対象として入れるのが難しいとしたら、例えば、保健所届出様式に 保健所記載欄がございますので、そこで積極的疫学調査をした結果、患者居住地がこう でしたというのを保健所の調査による報告という形で盛り込むというのはできるかと思 います。 ○岡部委員長  それは対策上。では、その辺の工夫をお願いいたします。 ○雪下委員  小児科定点を増やすということですけれども、これは現在でも小児科定点はインフル エンザ定点と両方一緒に受けてもらっているというのが現状でありまして、これは結構 大変な仕事で、なかなか受け手がないというのが現実であります。その辺のところを委 員長が言われている「届出医師の負担にも配慮し」というのを十分配慮してほしいと思 っております。又、いろいろな点で現場の先生方も勉強しておられるわけですけれど も、何か質問があった時に相談窓口のようなものが保健所とか地方衛生研究所にあって お互いに連携体制のとれるようにしていただければよいと思うのですが。  それから、現場の先生方から、これは1年間報告していただくわけですけれども、1 年間のこれだけの努力に対する報酬は、わずかに診断書1枚分くらいの報酬しかないと いうことで、これはちょっとひどいのではないかという声もかなり強く言われておりま すので、その辺も御配慮いただきたいと思います。  それから、いろいろな検査法とかそういうものを明確化されて指示されるについて も、それに対する保険点数というのが算定されていないことも多く、その辺のところ、 これは医師会もこれから努力していかなければならないのだろうと思いますが、そんな こともあるということを言わせていただきます。  それから、もう一つ、やはりSTDサーベイランスから上がってくる結果と実体との 乖離がかなり大きいということで、これは十分配慮してほしいというのが言われてきて おります。 ○岡部委員長  今のは、STDサーベイランスの定点の設置等々にも絡んでくる話だと思いますの で、定点は今日結論を出さないでいいんですよね。こういうことを考慮して今後の議論 の方にも加えていくということになりますので。  それから、医師会からの御要望であったり、あるいは今のは例えば保険点数のないも のについての衛研でのサポートといいますか、衛研での検体の引受けというようなこと にも絡んできますので、病原体サーベイランスというようなところについても、更に検 討を加えるということでよろしいでしょうか。 ○前田課長補佐  先ほどの検査が保険点数化されていないという点ですが、各地方衛生研究所に対する お願いとして、二類から五類の感染症については、どの地衛研でも何と検査ができるよ うにお願いしますというのは、機会をとらえてお願いしているところでございますの で、その医療機関からとられた検体を地衛研で検査できる体制づくりというものを各県 でつくっていただくようには、お願いをしているところでございます。 ○神谷委員  それはそのとおりでいいんですけれども、例えば、三重県みたいに長い県ですと、検 体をトランスポートするのに保健所同士で譲り合ったり、非常に衛研とうまくいかない んですよね。そういうところが現場からは遠いところからは不満が出るんです。やはり 検体も来ないんですね。要するに、データを出してみるとかなり差が出るので、その辺 は恐らく本省からの指示がしっかり行けばやると思うので、しっかり出してほしいと思 います。 ○岡部委員長  病原体についても、法律の中できちんとやるようにというのは、たしか改正の中で出 ていると思うので、その辺も強調していただくというようなことで随分地方にとっての 動きが出てくると思います。 ○竹内委員  前田さんにお聞きしたいんですが、薬の場合はオーファンドラッグの法案がずっと前 に制定されて、厚生労働省が支援体制を整えましたね。まれにディップスティックとか 結構ニーズは高くて、検疫上のメインなところにも配備されているけれども、あれも年 間どれくらい実数が出るか知りませんが、検査キットの支援というのはオーファンドラ ッグに類したものというのはないのでしょうか。やはりディップスティックだったら素 人と言っては悪いけれども、簡単にできるので、やはり保健所とか地衛研の随分あれが はかどると思うんですが、マラリアなんかあった場合に。キット化は随分外国では進ん できていて、皆さん自費で買ってやっているんですね。それもやはりどこかでメーカー があれであれば支援体制を厚生労働省としてつくってくれると、では、日本でマラリア ・ディップスティックを市販するかというような動きも出るのではないかと思います が、今のところ薬だけなので、ちょっと検査キットの方まで一般化していかないんです ね。検査キットというのは結構問題があるものもあるんですが、問題があるままで診断 がついたといって症例報告が出てきたら、違うじゃないのというのが結構ある。 ○神谷委員  1つ確認していいですか。さっきの小児科の定点数を増やすということは、最初の説 明にありました感染症発生動向調査の8ページに、今、基準がありますよね。これを変 えるということですか。 ○前田課長補佐  感染研と当課との話し合いの中で出てくる話としましては、この感染症発生動向調査 の神谷先生御指摘の8ページの人口3万人以下のところは1、3〜7万5,000人のとこ ろは2ということですが、例えば、この7万5,000人というものをもう少し低くしては どうかとか、そういうふうなことを含めていろいろと考えてございます。 ○岡部委員長  いろいろ議論があると思うんですけれども、そのほかの議論についてはまた、連絡の やりとり等で進めていただければと思うんですが、幾つかまだやり残しもありますの で、ちょっと話を進めさせてください。  次は、届出の様式の見直しのところがありますが、これも資料に基づいて、これも担 当の先生方には後で御自分の部分を見ていただくというのがありますけれども、前田補 佐の方から説明をお願いします。 ○前田課長補佐  では、「届出基準改正にあたっての具体的な方針」の2ページ目の2でございます が、3枚ものの資料でございます。この2番の「届出票の様式の見直し」についての考 え方でございます。  まず、1点目が、十分な記載スペースを確保するため、すべての感染症に固有の届出 票を求める。これは五類の全数把握疾患までのものでございます。  あと、疑似症と確定例について、二類感染症のうち一部については疑似症も報告対象 になってございますので、その区別をする欄を設ける。  それから、報告項目に一類から三類は職業欄があるんですが、四類、五類についても 職業欄を追加してはどうかということでございます。  あと「推定される感染地域・感染原因・感染経路」の欄につきまして、選択肢形式に できないかということですとか、集団発生が疑われる場合には、疫学的関連がある場所 とか以前報告された事例について記載できるようにしてはどうかということでございま す。  「診断時の症状」を「症状」と「所見」に分けてはどうかということもございます。  予防接種法の対象疾患やトラベラーズワクチンの対象の感染症について、ワクチン接 種歴の欄を設けたり、あと、その接種回数、最終ワクチン接種日の記載ができるように したらどうかということがございます。  ペア血清抗体の検査のために抗体検査の記載欄を2つにしてはどうかということと、 その病原体や媒介動物等との接触または生息場所での活動欄において、具体的な記載が できるように変更してはどうかということでございます。  それから、媒介動物に関する記載でございますが、これも感染原因の動物と媒介動物 の接触という2つの欄にまたがるケースとございますので、記載が重複しないように変 更してはどうかという点がございます。  あと、ウエストナイル、A型肝炎、狂犬病などについて、輸血歴が記載できるように してはどうかという点がございます。  あと、海外の関連が強いものについて黄熱、回帰熱、つつがむし、デング、日本紅斑 熱、日本脳炎、発しんチフス、マラリア、ライム病について、海外渡航先が記載できる ようにしてはどうかという意見がございました。  届出票の様式の見直しの基本的な考え方は、そういった点でございまして、それに基 づくこの届出様式改正案というものが1〜134ページまであるものでございます。  エボラ出血熱に関して主に説明いたしますと、この1ページがエボラ出血熱発生届、 2ページ目がエボラ出血熱の届出基準、先ほどの届出基準の修正を反映したものでござ います。これはイメージのものでございますので、まだ正確に反映できていないところ もございますが、これがA4で裏表になるような形で現在、考えております。ですか ら、実際の発生届の面積としては、この倍の面積になるということです。  現在の発生届というのが、先ほども説明しました横表のものでございますので、それ に比べますと非常に書くスペースとしては広くなるということでございまして、報告年 月日、医師の氏名、所属する医療機関の名前、施設の住所、電話番号。  それから、先ほどの現行の届出様式と比較していただきますと、現行の届出様式が感 染症発生動向調査については中にございますが、それに比べますと、むだになるスペー スというのは非常に少なくなるところがございます。  それで、診断方法につきましても、検体と方法と型、それから、臨床決定、その他と いうことで該当するものの記載をしていただくことになってございます。  診断時の症状として、エボラ出血熱の臨床的特徴から抜書きしたようなものですが、 発熱、頭痛、全身倦怠感などの症状の名前を列挙してございまして、これに該当する症 状に「○」をしていただくと。その診断結果が確定例なのか、疑似症なのか、無症状病 原体保有者なのか、それも「○」をしていただくということです。  それで、発病年月日から死亡年月日までは従来と同様です。  その下に、保健所記載欄というものがございまして、これは届出を受けた保健所が感 染症法第15条に基づく積極的疫学調査によって把握したものを記載していただくという ことを考えてございますが、診断がその後確定したら、その確定した年月日ですとか、 臨床転帰として診断時は御存命だったのが後ほど亡くなられたケースについては、その 後亡くなったとか、重症化したとか、軽快したとか、それから、その他の事項などが記 載できるようになってございます。  この右の方ですが、推定される感染地域・感染原因・感染経路、これは現状とほぼ同 じ形になってございます。四類感染症のものを大分引用してございますが、最近数年間 の主な居住地、日本国内の横に括弧しておりますのは、県の名前が書けるようにしてご ざいます。  推定される感染地域も同様です。  病原体、媒介動物との接触または生息場所での活動。  推定される感染源・感染経路で経口感染か動物からの感染か、その他と。  同疾患または同様の症状の発症者が同居者にいるか、同じ職場にいるか、その他とい うことでございます。  あと、その他感染症の蔓延防止のため必要と認める事項というのが記載できるように なっているところでございます。  大体こういう形式で一類から五類全数までの発生届については、基本的には1枚で収 まるようにしてございますが、例えば、クロイツフェルト・ヤコブのように、この裏面 の記載が長いものについては工夫が必要かとは思いますけれども、基本的に1枚で両面 印刷できるような形で考えております。  それから、あと小児科定点などにつきましては、後ろの方の123ページでございます。 123ページの小児科定点の発生届については、表面の別記様式7というのは今と同じも のを当面イメージだと考えておりますが、その裏にRSウイルスから流行性耳下腺炎ま での届出のときに、考慮すべき一番概要的なものを簡単に抜書きしたものを裏に印刷で きるようにしたいと考えております。  それから、あとインフルエンザ定点についても、定点報告の様式と裏に届出基準の記 載という形で眼科定点、それから、STD定点、そして、基幹定点という形で考えてい るところでございます。  届出様式の改正案については以上でございます。 ○岡部委員長  ありがとうございます。  それから、たしか届出は、今はこういったような紙ベースですけれども、この案を基 にして、システムの改善の方がまた別のWGで動いていますので、入力そのものの作業 は随分電子化されてくる可能性がある。ただし、それは端末が各先生のところに行くと いうことでは恐らくないと思うんですけれども、少なくとも保健所レベルでは集まって きたものについて電子化で入れていくという作業も、これがないと進まないものですか ら、このWGの議論に基づいて、それなりの入力様式や何かをつくるということが前提 になっています。  以上のところで、届出様式についての御意見をいただきたいと思います。 ○岩本委員  推定される感染源・感染経路等なんですけれども、例えば、エボラを見ると経口感染 から始まっていますが、こういう書式はある程度、全体的統一性があるからこの方がい いのか、例えば、一類感染症で経口感染が主になるようなものはまずないですから、そ れぞれので、これは統計のとる側の問題になるかもしれませんので、その辺はある程度 残しながら必要なものを選択できるように加えていくのか、それともその他に入れてい くのか、その辺り基本的なお考えを伺っておければありがたいんですが。 ○前田課長補佐  もうこれは各疾患ごと個別の特徴をしたものでございますので、絶対にあり得ないも のについては削除していただいた方がいいかと思います。 ○岩本委員  主なものから挙げていいということですか。 ○前田課長補佐  はい。 ○岡部委員長  それは先生のところでチェックをしていただくという意味で。 ○岩本委員  もう一点なんですけれども、一類だけではないんですが、発生源の場合に例えばテロ が疑われる感染症がありますね。そういうものを書き込む欄をある疾患に関してつくる かという点についてはいかがでしょうか。例えば、炭疽ですとか。いや、テロかと疑う ということではなくて、異常な感染かどうかというようなことを、これは要するに、感 染症法のこの発生源のときに全くそういう記述は書かないというのも一つの考えだと思 います。 ○岡部委員長  これは結局、欄外のところでその分をもし気づけば書いていただくということではな いかと思うんですが、前田さん、どうですか。 ○前田課長補佐  炭疽発生届につきましては、この様式案の57ページにあるところでございまして、現 在の様式の案で申し上げますと、診断時の症状に「○」していただいて、発病年月日の 記載などでございますが、推定される感染源・感染経路なのか、あと、16番のその他の 必要な事項なのか、そこに該当するものかと思います。ですから、この推定される感染 経路のその他に記載していただくということもあり得るかと思います。 ○岡部委員長  今たまたま炭疽の話が出ましたけれども、炭疽は従来の届出は、牛から来る感染症で あるといったようなところを、備考としてバイオテロに使われる可能性が高い病原体な ので、症例を見た場合に注意が必要ですというようなところを加え、これをその他必要 と認める事項に書いていただきたいという、それぞれの説明になっていくと思うんです けれども。 ○岩本委員  今度は説明があるわけですね。 ○岡部委員長  はい。ほかに御意見がありましたらどうぞ。 ○雪下委員  これは今度、1疾患1枚ずつというふうになるわけですけれども、実際にこれは各医 療機関でこれだけのものをそろえておかなければいけないということになるわけです ね。その辺のところ配布方法みたいなことについてはどうなっているのか。 ○前田課長補佐  基本的には、よく医療機関で診て、診断機会の多いものをそろえていっていただい て、珍しいものが発生したときに最寄りの保健所には届出用紙が絶対ございますし、あ と、すぐにホームページに掲載してダウンロードもできるような形にはしたいと思いま すが、そういう形で分厚い様式を常に診察のときに携帯しておかなければいけないとい うことではないということでございます。 ○岡部委員長  植田先生、何かその辺の御意見について。 ○植田委員  そういうことが可能だから、こうなったのだろうと思いますので、疾患ごとに非常に 記載しやすくなるのではないかと思って意見を聞いております。  それから、保健所管内がまずは電話で連絡、レアなケースはそういうものがございま すので、私どもは用紙を持っていったりとかいたします。届出をきちんと、まずやりと りをしますので。こうなれば、情報化の中で解決できるのではないかと思って聞いてお りました。 ○岡部委員長  これは、張りつけるような形にして、いつでもやがては取り出せるようになるわけで すよね。今度のシステムの改善が行われれば。例えば、様式や何かは、保健所の方でい つでも印刷したものがあるというわけではないということもあると思うんですけれど も、そうすると、これは引っ張り出せるわけですね、すぐダウンロードできると。 ○滝本感染症情報管理室長  はい。 ○吉川委員  さっきの各疾患別だから、疾患別に順位も項目も勝手に変更可という説明がありまし たよね。例えば、エボラは経口感染なんかありっこないんだから削除してしまおう、そ の代わり、これを入れようという格好で入れていったとき、本当に最後にデータを収集 するところは大丈夫なんですか。要するに、情報センターに集まってくるときに、さま ざまな物すごい項目になりかねないような気がするんですが。 ○岡部委員長  物すごい項目になるには、やはりスペースにも限りがあるので、この中で収まらなく てはいけないと思うんですけれども、実際に使われないような項目がもし含まれている のだとすれば、あるだけむだなので、それは削除するというようなことで。 ○吉川委員  追加する方は。 ○岡部委員長  追加も数限りなくではないんですけれども、重要な項目で落ちているところは当然あ ると思いますので、それを入れていただければ、全体の整合性や何かは恐らく事務局の 方で調整してくださると思うので、遠慮なく入れておいていただいた方がいいと思いま す。案として。 ○吉川委員  わかりました。  一類の感染症は結構確かに抗体が上がるまで何ともなっていなくて、あるはいキャプ チャーとかできればいいけれども、結構電顕とかそういうのは多いですよね。材料をパ カッと見てしまって。免疫反応よりはフィロが出たとかすると、抗原検出というもので も案外、全然別の診断法をとるケースは確かに多いと思います。 ○岡部委員長  その辺の診断の部分も含めて意見を入れておいていただければいいですね。 ○前田課長補佐  様式についてですけれども、基本的にこのイメージでございますので、文字の大きさ もある程度大きくするために、行数とか文字数は大体これくらいのイメージでというこ とでお願いできればと思います。 ○神谷委員  これは縦にA4になるんでしょう。そういうことですね。 ○相楽委員  1つよろしいですか。診断時の症状というところに、いろいろたくさん書いてあるん ですけれども、こういうのは必要なのか、あるいは最小限と言っていいかわからないん ですが、もう少し整理をしていただいた方が、私たちは書く方なんですけれども、書く 方は楽じゃないかなと思うんですが。 ○前田課長補佐  この診断時の症状について、この案を策定させていただいた背景としては、この臨床 的特徴に書いてある症状ですとか、あと所見みたいなものをみんな抜書きして書いたも のでございます。ですので、臨床的特徴とこの様式とセットで各御担当の先生に見てい ただくので、それで臨床的特徴で確実に見られるものはこの幾つかであると。そして、 まれに見られるものはこういうものであるというふうに分けていただいて、確実に見ら れるものをこの様式の方に書いていただくというやり方もあろうかと思います。 ○相楽委員  全身検体とか何か……。 ○岡部委員長  従来は症状あり・なしで、「あり」で自由記載みたいな形になっていたんですね。こ れは、「○」だけをつけていただければいいので、なければそのまま無視というような 形でもいいので、その方が書きやすいのではないかなという議論があったんですけれど も。では、その症状は何を書こうかといったときに、補佐の説明にあった届出の基準の ところにある主な症状を記載しておいたということになります。ですから、ここで細か く何が何%というのをとるという意味ではないんですが、全体の把握という意味での方 なんですけれども。 ○相楽委員  そうですか。 ○岡部委員長  でも、余りにこれはあっても意味がないと思われるような症状がありましたら、それ も赤でチェックをしておいていただければ。  ただ、サーベイランスをやっている側の立場で言うと「症状あり」「○」、だけとい うものだと余りにも漠然としているときもあるものですから、でもいちいち全部の症状 を書くのも大変だろうということになります。  ほかには、いかがでしょうか。では、これでざっと見ていただいて、あと、割り振り の部分があるんですけれども、割り振りの部分についても補佐の方から説明をお願いし ます。 ○前田課長補佐  では、割り振りの疾病分担表、2枚ものでございます。各委員ごとに事務局で策定さ せていただいたものでございますが、岩本委員におかれましては、一類感染症などとい うことで、エボラ、クリミアコンゴ出血熱など8疾患でございます。  植田委員におかれましては、眼科系疾患などということで、あとO157などもござい ますが、4疾患でございます。  大野委員におかれましては、神経系疾患などということでコレラ、RSもございます が、5疾患でございます。  岡部委員におかれましては、呼吸器系疾患ということでSARSを初め10疾患程度でござ います。  神谷委員におかれましては、予防接種関係疾患ということで疾患名を挙げさせていた だいております。  相楽委員におかれましては、二類、三類感染症などということで、細菌性赤痢などの 疾患を挙げさせていただいております。  本日御欠席の白井委員におかれましては、性感染症関係疾患ということで、リッサも ございますが、エイズ、梅毒などの疾患でございます。  竹内委員におかれましては、寄生虫疾患、動物由来感染症疾患ということで、黄熱、 回帰熱等の疾患でございます。  丹野委員におかれましては、院内感染症関係疾患ということで、レジオネラ、レプト スピラなどでございます。  雪下委員におかれましては、小児科系疾患ということで、咽頭結膜熱などの疾患でご ざいます。  吉川委員におかれましては、動物由来感染症疾患ということで、ウエストナイル、エ キノコックスなどの疾患でございます。  吉澤委員におかれましては、肝臓関係疾患ということで、E型肝炎、A型肝炎などの 疾患でございまして、主な御専門の分野に近いような形で疾病分担案を考えさせていた だいたところでございます。 ○岡部委員長  これは、仮の割り振りでして、という言い方をするとちょっと失礼になってしまうか もしれませんけれども、一応数や何かのこともあるのでバランスを考えて振ったと思わ れるんですが、これは自分のところでは適当ではないし、むしろ他の先生方のところが いいと思えば、今そこのところを話していただいて、あるいはこれは自分のところの方 がいいのではないかというような御意見がありましたら、遠慮なくおっしゃっていただ いた方がいいかと思います。  それから、誰もやりようがないところは仕方がないので、言い出しっぺということで 私のところでやりますけれども、一応私たちのところで案をつくっているので、できれ ばほかの先生方に目を通していただいた方がいいと思っております。  代表で先に言ってしまうと、私のところにある39のマラリアは、やはり竹内先生に見 ていただかないといけないのではないかと。 ○竹内委員  私のところの31番のニパウイルスというのは岡部先生か……。 ○岡部委員長  取り替えっこしましょうか。 ○竹内委員  そうしてください。 ○岡部委員長  という目で今ざっと見ていただければ。 ○丹野委員  この疾患について基準と様式を見るということですね。 ○岡部委員長  だから、その様式の入力する側の立場に立って考えるといったようなところも必要で しょうし、届出基準については、実は一部については学会の先生にちょっとお尋ねをし たり、あるいは病原体の専門家の方に聞いたりというようなことは、一応案をつくる段 階ではやっているんですけれども、先生方で必要であればご相談していただいて勿論構 わないと思います。 ○丹野委員  それで、先ほどの基準については棒線を引いてあるところは削除して、下線のところ を変えたり、加えたりということで。 ○岡部委員長  そうですね。 ○前田課長補佐  前回この届出基準改正案の資料で、取り消し線とかアンダーラインがございますが、 現行の届出基準に対して削除が必要ではないか、つけ加えることが必要ではないかとい うのが事務局の現在の案でございます。これについて、また御意見をいただいて、削除 する部分またはつけ加えなければいけない部分について修正いただいて、連絡をいただ ければと思います。 ○岡部委員長  修正の場合は赤で入れていただいて郵送の方がいいわけですか。それとも電子化。 ○前田課長補佐  電子媒体もございますが、それは委員の方々で。 ○岡部委員長  では、もし電子媒体の方がやりやすいという先生がおられたら、事務局の方に言って いただければ、そこの部分で配付ということも可能だそうです。 ○丹野委員  自分の分だけをいただけると。 ○岡部委員長  ほかの人の部分も当然見ていただいて構わないので。 ○丹野委員  いえいえ。  その基準としては、法改正がないようなところというのは、疾病を原則変えないとい うことですね。 ○岡部委員長  これは絶対二類に入れろとかそういうのは今回の議論から外れると。 ○丹野委員  ちょっと私が心配だったのは、保健所に相談するというのが結構ありますよね。相談 するというのは、きちんと伝えていただけるんですよね。 ○岡部委員長  さっきの相談窓口と雪下先生からそんな御意見が出ましたが、でも結局、実際的には 保健所が一番フロントになるでしょうし、それから、地域での先生のところもそうでし ょうけれども、感染症情報センターが大分充実しているので、その辺も窓口であるとい ったようなことも大きくどこかで話してもいいのではないですか。 ○丹野委員  だから、正式に届出が出ればある程度いいんですけれども、先ほど言ったように何も ないけれども抗体が出たのを相談するというのは、何を相談するんですか。というの は、相談されたとき多分、保健所の方が困るのは、この方をどうしましょうかという、 そこら辺はちゃんと、もしこれが決まった後には、保健所にはちゃんと伝わるようにな るんですよね。 ○前田課長補佐  よくある事例として、病院の中でVREの保菌者が見つかったと。例えば、たまたま おむつを処分するときに、VREの検査キットがあるから調べてみようというふうにし たら、全然症状は出ていないんですけれども見つかってしまったと。そういう方の場合 に、院内でVREがどういうふうに感染していったかという疫学調査を保健所としてす る必要が生じてくると思います。そして、その院内感染の拡大を防止する必要がある と。そういうときに、例えばVREについては、五類の全数把握疾患ですけれども、無 症状病原体保有者は届出対象ではないわけですよね。そういうときに、届出は医師に罰 則の掛かる義務規定なので、それは届出対象ではないということは届けなくても罰則は 掛からないということですが、そういう疫学調査を行うためのきっかけとして、任意の 報告によって保健所が調査に入れるようにするというのが、相談された保健所の行う動 きとしては、疫学調査を実施するということが一つの役割として期待されるものでござ います。  ですので、ここで報告するというのは、今後その報告を受けて保健所が疫学調査を行 う必要性のあるものについて、今の事務局案では入れているということでございます。 そういう理解で考えております。 ○丹野委員  そうしますと、その代表みたいなものもあるわけですか。 ○前田課長補佐  保健所が積極的疫学調査を行うための様式ということです。 ○丹野委員  そうですね。では、電話でも例えばFAXでも、病院側が保健所にここに書いてある から何か相談しましょうという、その様式は特になくて、電話でも何でもよくて、受け た側の保健所の判断……。 ○前田課長補佐  よくあるのは、「発生届」というところを「情報提供」というふうに書き直してもら ってFAXで送ってもらうというケースはよくあるケースです。ただ、届出はないんだ けれども情報提供の様式としてこの様式を用いるとか。 ○丹野委員  そこら辺をちゃんとしておかないと、診た先生、そして、結構何人か家族とかそうい うものを検査したりする場合もありますよね。その場合に、抗体を持っていたという場 合にどうしようかなと多分、臨床の先生は相談されると思うんですよ。そうすると、保 健所側とすると、それに対して相談されて抗体は出たんですけれどもと言われても、そ の人の状況は先生しかわからないわけですよね。では、どういうふうにしたらいいのか なというのは多分まちまちになってしまうかなと思うので、ある程度決めておいた方が いいかなと。 ○岡部委員長  余り決めてしまうと、マニュアルに固められてしまうと思うんです。だから、困った ときはそこは保健所の現場の人の判断になりますけれども、もう一つ例えば、所長に相 談するとか、検査的なことなら衛研に聞いて見るとか、そういうルートがありますよと いうことを徹底しておいた方が大切で、紙ですっと行くだけでは相談にならないのでは ないかと思うんですけれども。 ○丹野委員  だから、そこの相談というものをきちんと言っておかないと、担当者は困ってしまう と。 ○大野委員  すみません、現場の者として丹野先生のおっしゃることはとてもよくわかります。か えって紙にするとマニュアルになってしまうという心配もあるんですけれども、一方 で、既にみんな職員そのものがマニュアル化して動いているというか、紙に書いたもの でないと動かない体制が下手すると起こり得る。勿論、細かい規定は要らないと思いま すけれども、そういうことを保健所はする必要があるんだよということを、むしろ国側 としてきちんと示していただいた方が、やはり所長としても指示しやすいという感じは 受けています。 ○岡部委員長  実は今日の夕方から、地域保健法の見直しに絡んで、地域保健を考える検討会が地域 保健室担当やられます。その中に、地域保健の計画に対するワーキンググループと健康 危機管理に対するワーキンググループというものがあって、健康危機管理ワーキンググ ループが、まさに今言ったような初動体制をどうするかとか、あるいは相談があったと きにどうするかということが恐らく検討材料になってくると思います。ですから、ここ で決まっているような、検討されたようなことが、地域の方でもうちょっと形あるもの として流れていくというようなことはディスカッションされると思います。私はそこの 委員長になっていますので、今のお話を伝えるようにしますので。 ○大野委員  お願いいたします。私どもも努力いたしますけれども。 ○岡部委員長  現場をなるべくそこで反映するような形にしなければいけないと思うので。現場のと ころでも感染症の法律でできる部分とできない部分がありますよね。 ○前田課長補佐  ですから、積極的疫学調査として届出以外のものでも保健所が動けるようにはなって いますから、その情報を受けたときに保健所がどう動くかというのは、やはり各保健所 ごとに考えておく必要があろうかと思います。 ○滝本感染症情報管理室長  我々今まで心配していたのは、届出対象ではないから一切の情報が保健所の方に来な い。そうすることによって、初動体制が遅れるあるいは積極的疫学調査ができないとい うような事例が幾つかあったものですから、そこはやはり幅広く義務が掛からないもの であっても相談できるような体制というのは必要ではないかということで、今回こうい うふうに提案させていただいております。 ○雪下委員  特に、岡部先生は地域医療対策に参加されるということでお願いがあるのですが、特 に24時間、医師が張りついていない特別養護老人ホーム等においては、嘱託医というの は何科の先生かわからないので、そのときに何か怪しい、みんな下痢しているというよ うな情報を受けても、相談するところがないと見逃してしまうということになってしま います。そのときにどうもちょっと怪しいのではないかとか、そういう段階で相談でき るのは、やはり保健所でやっていただかないとできないかなと思うんですけれども。 ○岡部委員長  ちょっと今のはここの検討とは違うんですけれども、例えば、広島の例の事例のとき に、今度は福山市と広島県と施設の方々とあるいはバックアップする病院ということ で、もうちょっとネットワークづくりをして、今、先生がおっしゃったような問題が出 たときに、相談ができるような形にするというのをもっと積極的に取り組むというふう になっています。それが一つのモデルになって広がってくるといいなと思うんですけれ ども。 ○雪下委員  一応、病院もそういう指定病院というのがあるんですけれども、そういうときに相談 しても、すぐに対応というのはなかなかしてもらえないというのが現実で、やはり保健 所に対応していただきたい。 ただ、余り構えて保健所ですとやって来られても困るわけですが。 ○岡部委員長  それでは、今の割り振りについては、もし変更の必要があったら数日以内に事務局に 届けていただいて、あるいはお互いで調整をしていただいてというようなところもあろ うかと思いますけれども、それで見ていっていただいて、この日程などは後でまた最後 の説明のところでしていただくようにして、時間もまいりましたので、残りはフリーデ ィスカッションというようなことも用意はしておいたんですが、大分討議の中でいろい ろな話が出てきたのではないかと思います。一応また限られた時間の中でしたけれど も、いろいろなお話が伺えたので、今のお話を基にして、それから、いただいた御意見 を基にして、事務局とまた私たちの情報センターの方でも最終的な案を出して、再度、 先生方に見ていただくということにいたしたいと思います。  では、今後の予定も含めて事務局の方から御説明ください。私の役はここでおしまい ということにいたしますので、ありがとうございました。 ○滝本感染症情報管理室長  先生方、お忙しいところ大変申し訳ないんですけれども、届出基準の案と様式の案に 対する御意見を今月中に事務局の方に御連絡をいただければと考えております。よろし くお願いいたします。  次回でございますけれども、それらを踏まえた届出基準あるいは様式の案を再度、御 紹介させていただきたいと思います。3月30日、午後2時からを予定しております。会 場等につきましては、改めてまた御連絡を申し上げたいと思います。よろしくお願いし ます。 ○岡部委員長  あと、事務局からはございませんか。  それでは、どうもありがとうございました。お忙しい中すみませんでした。ありがと うございました。 (照会先)   健康局結核感染症課情報管理係    電話:03−5253−1111(内線2932)