05/02/02 第1回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会        今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会(第1回)              厚生労働省雇用均等・児童家庭局     今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会(第1回)議事次第 日時:平成17年2月2日(水) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省共用第6会議室 ○議事 1.開会 2.事務局説明 3.青森県の児童相談体制の現状について(佐藤委員) 4.三重県の児童相談体制の現状について(上廣委員) 5.討議 6.閉会 〔配布資料〕 資料1 「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会」の開催について 資料2 「児童虐待への対応など要保護児童および要支援家庭に対する支援のあり方に     関する当面の見直しの方向性について」(15年11月児童部会報告書) の概要 資料3 社会保障審議会児童部会報告書「児童虐待への対応など要保護児童および要支     援家庭に対する支援のあり方に関する当面の見直しの方向性について」に対す     る対応状況について 資料4 児童相談所実情調査の実施について 資料5 青森県の児童相談所強化の取り組みについて(佐藤委員提出資料) 資料6 三重県における児童相談所組織改革の変遷について(上廣委員提出資料) 資料7 関連参考資料 〔参考資料〕 ○ 全国児童福祉主管課長及び児童相談所長会議提出資料(児童相談関係部分) ○ 児童福祉法の一部を改正する法律 新旧対照条文 ○ 少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て   応援プラン) ○長田総務課長補佐  大変お待たせをいたしました。定刻を若干過ぎましたが、ただいまから「第1回今後 の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会」を開催させていただきます。本日は大変 御多忙のところ、研究会に御参集いただきまして大変ありがとうございます。  なお、各委員の皆様方、全員御出席という御連絡をちょうだいしているんですが、関 西の方が天候の影響で新幹線が遅れているというふうに聞いておりまして、何人かの先 生につきましては遅れて見えられるというふうにお聞きをしております。  まず、事務局を代表いたしまして、雇用均等・児童家庭局長の伍藤よりごあいさつを 申し上げます。 ○伍藤雇用均等・児童家庭局長  大変お忙しい中、また、今日は遠くから天気の悪い中をお集まりいただきまして大変 ありがとうございます。  この研究会について、最初に趣旨を一、二申し上げて御理解を賜ればというふうに思 っております。  昨年児童福祉法の改正、それから前後して児童虐待防止法と、これは議員立法であり ましたが、こういった関係の法律がいろいろ新しく成立をし、施行されることになって おりますが、その過程でも児童福祉審議会を中心に議論をいただいたわけであります が、非常に幅広の議論をいただいて、その中で当面できることを法律に盛り込んで改正 をしたというようなことでございまして、この児童相談の体制をどうするかというの は、法律改正の前に十分議論をしておくべきテーマであったじゃないかと、こういう見 方もあるかもしれませんが、そこでもいろんな観点から議論をいただいておりますが、 特に児童相談の体制に絞って集中的に議論をしておるということでは必ずしもありませ んし、なかなかそれだけの時間やエネルギーも、その分野に集中してやるということも 困難でございました。  そういった中で、児童福祉法の審議の過程でも、今後の体制をどうするんだというよ うなところに非常に議論がございましたし、特に今回の児童福祉法の改正は、市町村に 児童相談行政の一旦を担っていただくと、こういう提案をしたわけでありますから、今 後全体としてどういう相談体制が構築されるのかということについては皆さん何となく 不安に思っている向きもあります。明確なビジョンがないのではないかというような気 持ちを抱いている方もたくさんいらっしゃいます。そのあたりは、我々行政の責務とし て、これから将来に向けての体制をどうしていくかということをもう一回よく検討しな きゃいかんというふうに思っているわけでございます。  そういった観点から、もう一度ここで現時点での状況を踏まえて、いろんな形で議論 をしていただきたいということでありますが、市町村の関係という観点からの問題が1 つあるわけでありまして、今後、市町村にどういう任務を担っていただき、都道府県が どういうバックアップするなり、連携をしながら、この虐待問題を中心に非常に集中し ております業務にどう対応していくか、こういった問題が1つあるのだろうと思いま す。  それから、前回の法案の中で中核市にも児童相談所を設置できるという規定を一応盛 り込んでおりますが、集中、激増する都道府県の児童相談業務をそういった形で少し分 散ができるのか、そういった中核市の関係といったものをどういうふうに考えていくの か、やりたいところに自主的に申し出を待つような形で果たしていいのだろうかどうか と、こういうような問題意識を私自身は持っているわけでございます。  それから、もうちょっと幅広い視点で言いますと、今、障害福祉のいろんな見直しの 作業が行われておりますが、障害者行政も基本的には老人関係の事務と同じように、こ れから市町村に基本的に移譲して、市町村にいろんな事務を担っていただこうというこ とで、そういった観点からいたしますと、都道府県の社会福祉事務所とか、児童相談 所、あるいは保健所もそうでありますが、都道府県の今までずっと歴史的に担ってきた 業務というのは、基本的に市町村へ事務が移譲されておると、こういう流れの中で新た に県の機関といいますか、県の任務というのをどういうふうに位置づけていったらいい のかというような問題も広い視野からはあろうかと思います。そういう県と市町村のあ り方というのがいろんな観点から状況が変化しておるということを踏まえて、少し都道 府県と市町村との関係を、特に児童相談ということで、これは市町村に全部任せるとい うことは不可能だというふうに思いますので、児童相談所を中核としながら、どういう 連携体制を築いていったらいいのかというような問題意識が1つでございます。  それから、都道府県の中の問題でありますが、今言ったような状況の変化を踏まえ て、児童相談所とほかの機関との関係、連携というのをどういうふうに考えていくか。 都道府県の中といいますと、今言いました保健所とか、あるいは社会福祉事務所という のがあるわけで、社会福祉事務所の中には、児童相談所のブランチのような形で家庭児 童相談室というのが置かれておりますが、こういったところがどういう機能を今実際に 果たしているのか、あるいは果たし得るような体制になっているのかどうかということ も1つの大きなポイントではないかなというふうに考えておりまして、私ども余り現状 といいますか、現場がどういうふうに動いているかというのをつまびらかには承知して いないようなところもございますので、そういったことをいろいろ御指摘もいただきな がら、議論していただければというふうに思います。  それから県の機関ではありませんが、そういった観点から児相の業務を一部担ってい ただくという観点で前々回の改正のときに養護施設に児童家庭支援センターを付置でき るというようになっておりますが、こういったところとの関係が児童相談所としてうま くいっているのか、活用されているのかどうかということもいま一度そういう幅広い視 点から見直す必要があるのかなと。児童相談所を中心にした都道府県内の、あるいは民 間との連携体制というものがどういうふうに考えられるのか。そんな観点があろうかと 思います。  それからもう一つは、都道府県の児童相談体制の中でも、昨年の三位一体の議論のと きにいろいろ指摘されましたし、新聞等でも取り上げられましたが、都道府県によって かなり体制の整備に地域間格差があるというようなことを、これをどうやって解消して いくのか、あるいは全体を底上げしていくのかということもあろうかと思います。端的 に人口とか、児童の数に対して児童福祉司の数でありますとか、児童相談所の数が、積 極的に取り組んでいる県と、そうでない県とでかなり格差が大きい。そういうところの 体制整備というのをどういうふうな指針をもって我々臨んだらいいのかと、そんなこと をいろいろ考えておりますが、後ほどまた事務局から説明があろうかと思います。そう いったことを踏まえて、今後の児童相談の体制というのをどんな形で、あるいはどのく らいの規模に、例えば何か所ぐらいとか、そういう青写真みたいなものが少しでも描け ないのかというのが私どもの問題意識であります。  これから地方も財政改革や行政改革、定員削減という大変厳しい中で、児童相談所の 数を増やすとか、児童福祉司の数を増やせという世論にどう応えていくかというのが大 きな課題であります。総論的には、そういう議論は盛り上がるんですが、現実に個別の 自治体でそういうものを課題としてこなしていくのはなかなか大変なことではないかな と思っております。そのために、首長部局といいますか、知事、あるいは知事の直轄の 財政部とか総務部を福祉部局や現場が説得し、そういう体制を整えていくためには、何 らかの、こういうふうにしていかなきゃいかんという全体としての青写真みたいなもの がないと、それぞれの都道府県がんばってくださいというだけでは、なかなか進まない のではないかという気がしているわけです。  非常に積極的な都道府県や市町村も既にございますので、そういう仕事の仕方とか体 制、どういうふうな発想で取り組んできたのかということも、少し現場を踏まえた意見 交換をしていただきながら、そういう何らかの全国的な青写真といいますか、指針とい ったようなものが何か描けないかなと、そういう問題意識でございます。  ちょっと少し長くなりましたが、具体的な御議論をいただければ大変幸いだなという ふうに思っております。冒頭、私個人の問題意識も含めて御紹介をさせていただきまし た。挨拶にかえさせていただきます。 ○長田総務課長補佐  続きまして、私の方から研究会の先生方を御紹介させていただきたいと思います。お 手元の資料1というのがあると思いますが、資料1の3枚目のところでございます。お 見えいただいている先生方につきまして御紹介をさせていただきます。  名簿の順で、まず相模原市の江成様でいらっしゃいます。  水巻町の小野様でございます。  大阪府立母子保健総合医療センターの小林様でございます。  それからこちらに参りまして、青森県の佐藤様でございます。  滋賀県彦根子ども家庭相談センターの菅野様でございます。  埼玉県中央児童相談所の関根様でございます。  横須賀市子育て支援課の高橋様でございます。  それから、光の園白菊寮の濱田様。 ○濱田委員  高橋です。よろしくお願いいたします。申し訳ありません。「白菊寮」というのはと れましたので、「光の園」でございます。よろしくお願いします。 ○長田総務課長補佐  わかりました。  それから、真ん中、本日座長をお願いいたしております山縣先生でございます。  それでは、これより議事の進行を山縣座長の方にお願いをしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○山縣座長  それでは議事の進行をしていきたいと思いますが、雪や嵐を乗り越えて、今後の児童 相談体制のあり方を考えようと思って乗り込んできたんですが、雪に負けてしまして、 初っぱなからふらふらしておりますが、皆さん方、すばらしい委員の方々をお迎えして おりますので、私をサポートしていただけるものと信じております。かと言って、それ ぞれ余り萎縮することなく、忌憚のない御意見をというふうに考えております。  早速ですが、議題の方に入っていきたいと思います。  最初に、本研究会の開催の趣旨、あるいは今日準備いただいております資料等につき まして、事務局の方から説明をお願いいたします。 ○長田総務課長補佐  恐縮ですが、座って失礼させていただきます。  まず資料の1でございます。先ほど局長からもごあいさつ申し上げましたが、研究会 の趣旨につきまして改めて御説明させていただきたいと思います。  今回、この研究会、「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会」というふう に名前をつけさせていただきました。従来、今、法律も児童福祉法という名前でござい ますし、相談所も児童相談所ということでありますけれども、やはり、子どもの問題と いうのは、家庭も含めてトータルに見ていく必要性というのがるる指摘をされておりま すので、そういった意味も込めまして、今後の児童相談体制ということではなく、「児 童家庭相談体制のあり方に関する研究会」というふうに名称をつけさせていただいてお ります。  趣旨につきましては、繰り返しになりますけれども、この4月から市町村と都道府県 の役割を見直す児童福祉法の改正が施行されています。説明は省略させていただきます けれども、参考資料というところで今回の児童福祉法の改正を解説したような資料、あ るいは法改正の新旧対照表なども配布させていただいておりますので、また御覧いただ ければというふうに思いますけれども、この制度改正そのものというか、制度改正をい かに今後魂を入れていくかということが何よりも肝要でございます。現在、私どもその 施行に向けて、従来の児童相談所の運営指針の改定作業でございますとか、新たに市町 村の児童改定相談運営指針といったものの策定作業に対応しているところでありますけ れども、さらに現場のまさに第一線で取り組んでいただいている皆様方の知見というも のを結集していただきまして、よりよいさらなる充実した相談体制の構築というものに 向けまして、実戦上のヒントみたいなものを御提示いただければというふうに、かよう に思っているわけでございます。  それで、主な検討課題でございますけれども、一応これは今後の議論にも委ねさせて いただきたいということで、とりあえず、「案」というふうにさせていただいておりま すけれども、ここでピックアップをいたしましたのは、資料2、資料3という形で本日 お配りをさせていただいておりますけれども、一昨年の11月、平成15年の11月、私ども 社会審議会の児童部会という厚生労働省の審議会がございますが、この児童部会の方で 児童虐待の対応など、要保護児童及び要支援家庭に対する支援のあり方に関する当面の 見直しの方向性についてというレポートをまとめていただいております。  基本的にはこのレポートをもとに、今回の児童福祉法に対応したということでござい ますが、必ずしも法改正でこれを対応したもの、あるいは運用の中で対応すべきもの、 あるいは予算上の措置によって対応すべきもの、いろいろあるわけでございますが、そ れにいいて資料3で具体的にどういった指摘があり、そしてそれについてどのような対 応状況になっているのかというようなことを簡単に整理をさせていただいております。  その内容につきましては省略させていただきますけれども、我々なりにある程度の法 改正では片がついていることとか、方向性がそれなりに見えているということ以外の、 さらに掘り下げてこの児童部会の報告書で指摘をされている事項の中で、さらに取り組 みが必要である、あるいは掘り下げが必要であるといったようなものが大体ここの主な 検討課題案というようなことに挙がってくる部分ではないかと思っております。  ぜひまた資料3なども後日御覧いただきながら、やはり、この部分はまだ論点に挙が っているけれども、この部分は足りないなとか、そのようなことがありましたら、ぜひ とも御指摘をお願いしたいというふうに思っております。具体的には、まずもって児童 相談所を中心といたしました都道府県における児童家庭相談機能の強化というもののあ り方をどう考えていくかということで、市町村に対する後方支援であるとか、専門性の 確保であるとか、専門機関、職種との連携強化、あるいは施設、里親との連携・協働、 それから一時保護所のあり方などということが挙げられるかと思います。  それから今回の改正の中で非常に大きな意味を持ってまいります市町村における児童 家庭相談体制の整備ということで、具体的な体制の確保でありますとか、今回の児童福 祉法改正では、要保護児童対策地域協議会という、法律上は非常に固い名称でございま すけれども、いわゆる虐待防止のためのネットワークを整備するための規定を整備して おりますけれども、それによる取り組みを形だけではなく、有効に機能させていくため には、どのようなことが必要かといったようなこと。それから、市町村の場合、県と違 って非常に大きな力になり得るのは、例えば様々な保育サービスでありますとか、子育 て支援サービスといった、そのサービスの実施主体でもあるようなことで、そういった サービスを総合的に活用しながら、主に予防的なかかわりの中で家庭を支援していくと いうような視点が重要ではないかというようなことでございます。  それから大きな3点目でございますけれども、家庭児童相談所、いわゆる、福祉事務 所に設置されております家庭児童相談室があるわけですが、このあり方というものが市 町村が児童家庭相談の窓口機能を担っていく中で、そのあり方をどう考えていくか、こ れについても、少し次元を分けて考える必要があるかなと。すなわち、市の家庭児童相 談室と、県のいわゆる郡部の家庭児童相談室で当然位置づけも変わってまいりますの で、そこらあたりをどういうふうに整備をしていけばいいのかというような課題。  それから、上の2つにも重なって、繰り返しになりますけれども、都道府県と市町村 とその連携の構築を実施したい。さらに関係機関との連携の強化ということで、市町村 でできましたネットワークということの関連してまいりますけれども、様々な相談援助 機関との関係でありますとか、学校保育所施設等々との関係、あるいは民間NPO団体 等との連携といったようなことが課題として挙げられるかなということで、とりあえ ず、事務局としての論点のたたき台ということで整理をさせていただいております。  それから、今後のスケジュールでございますけれども、私どもといたしましては、当 然、今後の議論の状況、推移等々にもよりますけれども、今年の夏ぐらいをめどに、中 間的な整理をしていただきまして、年内になにがしかのアウトプットといいますか、報 告書をおまとめいただけるとありがたいなというふうに思っております。いずれにしま しても、一方で地方分権の時代ということでもありますので、いろいろなシステムの提 示について、必ずしもすべてが右向け右ということではなくて、いろんな多様なパター ンというのがあり得るのかなというふうに思っておりますので、そういったものもいろ んな選択肢を提示をしていただけるというようなものにしていただければというのが私 ども事務局としての思いでございます。  それからなお、資料4を御覧いただきたいと思いますが、以上が大体の趣旨でござい ますが、現在資料4にございますように、児童相談所の実情調査というものを昨年の12 月ぐらいから始めております。これはやはり私どもも現場の実態というものをしっかり と見て実情把握をする必要があるということで、都道府県指定都市は全部で60になるわ けですけれども、全都道府県指定都市に直接赴くような形で実情についてヒアリングを させていただいているということでございます。  この作業につきましては、現在進行中でございますけれども、そこでできれば年度 内、場合によっては年度を少し越えるかもしれませんけれども、それが一通りヒアリン グを終えましたら、その成果というものにつきましても、この研究会が御提示をさせて いただきまして、議論の素材というふうにしていただければというふうに思っておりま す。  それから、ちょっと前後しましたが、資料1の2枚目を御覧いただきたいと思います が、研究会の開催要綱ということでございますが、研究会の2の「構成」のところでま た重複ということで、勝手ながら、事務局であらかじめ山縣先生にお願いをさせていた だいております。  それから「運営」の(2)のところでございますけれども、この研究会につきまして は、原則として公開というような取扱いをさせていただければというふうに思っており ます。ただ、今後の議論の中で、個別ケースへの対応みたいなことについて、例えばプ レゼンテーションしていただくと、そういうような機会がもし研究会の進行、流れの中 で出てきて、個人のプライバシーに差し障りが出るという可能性がある場合には、座区 長と相談をさせていただいた上で、非公開というようなことも想定したいというふうに 思っております。  以上でございます。 ○山縣座長  ありがとうございました。今、事務局の方から本研究会の趣旨ととりわけ、検討課題 について関連資料も含めながら説明いただきましたけれども、各委員の方で今のことに つきまして、質問等ございましたら、御自由に発言をお願いいたします。いかがでしょ うか。  私の方から1つ。研究会の方で必要があれば、外部の人を呼ぶということも当然可能 と考えていいわけですね。 ○長田総務課長補佐  はい。 ○山縣座長  非常に英知ある方にお集まりいただいておりますけれども、個別の現場等の問題で、 とりわけ市町村の格差というのは非常に大きいと思いますので、その辺ももし必要があ れば、来ていただいてお話を聞くということも設けたいと思います。  ほかはいかがでしょうか。  最後に説明された児相調査は、すべての児相を対象にしている。一定の目的をもって 抽出している? ○長田総務課長補佐  厳密に言いますと、全児童相談所ということになりますと、全国182 か所ということ になるわけですが、182 か所ということではなくて、例えば都道府県に複数か所ある場 合には、当該、都道府県のうち、どこか1か所の児童相談所に調査をさせていただくと いうような形で……。 ○山縣座長  中央に限定したわけではない? ○長田総務課長補佐  必ずしも中央とは限らず、そこは各都道府県さんと御相談させていただいて、どこの 児童相談所の方でヒアリングをさせていただくかということを随時調整をさせていただ きながら、当然、全体の話も、本庁ヒアリングもお願いをしておりますので、全体とし ては本庁の方でお聞きをして、現場の数か所あるうちのどこかの児童相談所にお邪魔を させていただいているということでございます。 ○山縣座長  かなり細かい調査になっておりますので、ぜひこの研究会にも反映したいというふう に思います。  特になければ、また最後に長めの質疑応答の時間を設けておりますので、そこで趣旨 に立ち返って質問を言っていただいても結構だということで、議事の方を先に進めてい きたいと思います。  今日は1回目ということで、議事次第の方にありますように、3番目と4番目に実際 に児童相談等に当たっていただいております佐藤委員と上廣委員の方から、それぞれの 県の実情についてお話を聞くという予定をしております。説明の方は一括をして、それ ぞれ15分程度でお話を聞くと、その後御意見等を伺うというふうな形にしたいと思いま す。  それでは、申し訳ありませんけれども、佐藤委員の方からよろしくお願いいたしま す。 ○佐藤委員  それでは、私の方から資料5に基づきまして御説明を申し上げたいと思います。  私の方は「青森県の児童相談所強化の取り組みについて」ということで御報告を申し 上げたいと思います。  初めに、「相談所の増設と職員の増員」というふうに書いておりましたけれども、増 設と増員はともに密接な関係がございますけれども、一応、増設と職員の増員を分けて 整理をしております。  初めに相談所の増設でございますが、1つは、平成9年にむつの支所ができておりま す。これは背景としましては2つ挙げられまして、1つは地理的な条件がございまし た。ここにも掲げてありますとおり、青森県の場合は人口が約146 万、現在は145 万を 切っているような状況でございますけれども、県内3か所ございました。しかし、むつ ・下北地域は青森市から見ますと非常に遠隔地にあるということで、これまで思うよう な相談活動が展開できないということで、地域の要望に十分応えられない状況が続いて おりました。陸奥湾を挟んで向かいがむつ・下北地域になるわけでございますけれど も、陸路で申し上げますと、むつまでが100 キロ、それから大間とか佐井ということに なりますと、さらに40キロから50キロということで、車でも3時間から4時間ぐらいか かるというふうな地域でございました。したがいまして、相談に見られる方、あるいは 調査に出かけるという場面でもなかなか困難が伴っておりました。こういう状況が続い ておりまして、長い間課題になっていたところでございます。  それから2つ目が検討委員会の報告でございますが、平成5年の6月に設置しました 「児童相談所等のあり方に関する検討委員会」、これは福祉事務所等の場合はこれまで 何回かあり方について検討してきておりますけれども、児童相談所につきましては、こ れまで全くと言っていいほど検討されてきておりませんでした。そういうことで3年か けて検討しようということで、この組織を立ち上げまして、平成8年の3月に報告がな されたところでございます。この中で、やはり、むつ・下北地域は支所が必要ではない か、真剣に検討してみたらどうかというふうな報告が行われました。こういう経過を踏 まえまして、9年の4月に支所ができております。  それから2つ目でございますが、12年の4月に支所が増設をされております。これは 契機になりましたのが、1つは虐待による死亡事件が2件発生しております。11年の6 月と12年の1月にそれぞれ発生しておりまして、いずれも亡くなっております。  それからもう一つは、知事と職員との懇談会がございました。この中で児童相談所の 現状、あるいは虐待相談に対する取り組みが話し合われたわけでございますけれども、 この中でむつ支所が開設をされて非常に成果を上げている報告がなされました。これを 受けまして、この懇談会が終わった後、直ちに知事の方から実は発表がありまして、残 りの2つの児童相談所についても相談しやすい体制をつくる必要があるということで、 支所をつくるというふうな方針が示されました。これを受けまして、12年の4月から支 所がさらに2つ増えております。そういうことで3児童相談所3支所体制というものが できました。  それから3点目ですが、支所の格上げでございます。平成14年の4月でございまし た。この年に実は県の保健所、福祉事務所、それから児童相談所、これを県内6圏域、 これは保健・医療・福祉の圏域ということでございます。この圏域ごとに集約をいたし まして、「健康福祉こどもセンター」をつくるということになりまして、これを機会 に、これまでの相談所が3か所から6か所になったという経緯がございます。こういう ことで現在は6児童相談所体制という形になっております。  それから2枚目でございますが、今度は職員の増員のところでございます。  まず、むつの支所ができたときにでございましたけれども、このときは基本的には人 事サイドからは職員の増員は認めないというふうな方針が示されまして、結果的には部 内の職員の再配置という形をとっております。ただし、心理判定員につきましては、福 祉事務所にも当時判定員を配置しておりましたので、そちらの方から配置替えをしたと いう経緯がございます。  それから支所が増設をされた平成12年4月でございますけれども、このときには、支 所ができたということで福祉司が増員になっておりますけれども、そのほかに新たに児 童環境づくり担当としまして、3つの相談所に計9名の職員が配置をされております。 この児童環境づくりというものは、下の方に※印で書いておきましたけれども、基本的 には地区を担当しないけど福祉司ということで配置をしております。その活動は、管内 の小学校、保育所、幼稚園とか児童館、そういった各施設を訪問いたしまして、保護者 の方が集まる場面に参加をしまして、特に児童相談所のPRとか、あるいは虐待を話題 にしました講話とか、ビデオの上映とか、そういうふうな活動をしたり、さらには関係 者に対する研修会の開催、地域活動支援、こういったことを専任に担うスタッフという ことで配置をしております。  それからもう一つ、心理判定員につきましては、この年に新たに8名増員いたしまし て、下の表を御覧いただきますと、平成9年と比較しますと、福祉司、心理判定員と も、ともに倍増という形になっております。  それから3番目の平成13年の4月でございますが、このときには、やはり虐待防止法 の施行、あるいは虐待相談の増加ということがありまして、地区担当の福祉司を増員し ようということになりました。このときも、当時地区担当は23名おりましたけれども、 事務方からは倍増という話はなかったんですが、具体的に知事とのやりとりの中で倍増 しようということになりまして、一気に23名から46名に増員をしております。  それから4番目の支所の格上げの時点でございますが、このときには、当時の環境づ くり担当、各相談所3か所に配置しておりましたけれども、これを6か所にいたしまし た。これにつきましても、基本的に再配置ということで増員にはなっておりません。た だこのときに増員いたしましたのは、中央児童相談所に相談所が今度6か所になりまし たので、職員の研修とか、あるいは相談所間の調整とか、そういう機能を担うスタッフ 1名、それから当時長期研修ということで県外に研修に出しておりましたので、このス タッフも含めて2名の増員を図っております。それから心理、治療の強化ということ で、心理判定員につきましても、さらに6名の増員を図っております。そして昨年の4 月でございましたけれども、児童環境づくりの体制を見直すということになりまして、 福祉司を各相談所から1名減員ということになりまして、6名減員になっております。  この環境づくりを当初設置したときに、基本的には3か年やってみようというふうな 経緯がございまして、実質それが4年間になりまして、16年の4月に一部見直しをした ということでございます。ただ、この環境づくりのスタッフは、各児童相談所に現在ま だ1名残っておりまして、いろんな研修会とか、地区のいろんな子育てメイト、これは また後で出てきますけれども、そういった方々の支援をしているというのが実態でござ います。  その次3ページでございますが、効果ということでまとめてみたものでございます が、1つは、初期調査が非常にやりやすくなったといいますか、充実されたということ があります。特に複数体制、私個人はこれが最も大きいというふうに思っておりますけ れども、必ず調査、訪問は二人で訪問するという体制がとれるようになりました。特に 男女のペアで訪問するという形が現在行われております。  それから2つ目が48時間以内の安否確認が可能となったということでございます。こ れにつきましても、平成13年の10月の所長会議で取り決めた事項でございまして、現在 こういう形で行われているところであります。  それから2番目は職員の精神面のことを上げております。時間的なゆとりが持てるに ようになった。複数で相談で当たることによるリスクの分散、こういったことがありま す。特に一人の対応の場合はどうしても私ども現場におったときには、後であなたがこ う言ったとか、言わないとか、いろんなやりとりが後で出てきます。訴訟の場合も、あ なたがこう言ったじゃないかというふうな議論になりまして、そういう意味でも、複数 で対応することが非常に効果があるというふうに考えております。  それから3点目が予防的取組の充実ということで、先ほど申し上げました児童環境づ くりの体制ができたということがあります。それから「子育てメイト」というものがそ こに書かれておりますけれども、これは平成9年に虐待による死亡事件がございまし て、何とか地域の中でそういう子育てを支援できるような方を確保できないものかとい うふうな話がありまして、主として地域で子育ての経験のある方に担っていただいて、 若いお母さん方の身近な相談相手になっていただくということで制度ができたものでご ざいます。現在、2,600 名ほどの方が県から委嘱を受けて活動をしております。こうい った方々、あるいは地区の児童委員、それから子育てサークル等の関係機関との活動支 援、こういったことが実際できるようになったということが挙げられます。  それから社会資源との連携強化ということでは、地域の関係機関はいろいろございま すけれども、こういう連携が非常にしやすくなった。特に機関からは、相談所の職員は 二、三年するとしょっちゅう異動があってかわるというふうなことで、できればもう少 し長く担当してほしいなというふうな要望も受けております。そういうことで、関係機 関との連携が非常にとりやすくなったということが挙げられます。  それから指導面でございますけれども、1つは、施設訪問指導等が非常にやりやすく なったということがあります。もちろん個別のケース訪問活動も以前に比べてできるよ うになったということがあります。それから養護施設につきましては、各児童相談所と も毎月施設に出向きまして、基本的には子どもの集団指導をしながら、個々のケースの 検討も兼ねるというふうなことで、これは毎月実施をしているところであります。  それから2番目のネットワーク会議でございますが、これも逐次必要があれば、いつ でも集まれる体制ができております。今日は病院で集まろうとか、役場を使ってやろう とか、あるいは学校で集まってくださいというふうなことを呼びかけますと、皆さん気 軽に集まっていただけるというふうな形になっております。特に在宅指導の場合の地域 での見守り体制についてそれぞれの機関がどういうふうな役割を担えばいいのかという ふうなことをメインにした話し合いが行われております。  それからスーパーバイズ機能の強化でございますけれども、かつては業務課長が1名 ということの体制でありましたけれども、現在は課長が2名で体制をとっております。 それからスーパーバイザーとして職員の中から経験のある方を配置できるというふうな 体制もとれるようになっておりまして、こういう意味では、機能の強化が図られたと言 っていいと思います。  あとは、職員の研修という面でも、気軽に研修に参加しやすい体制がとれるようにな ったということが挙げられます。県内の研修に限らず、県外への研修にも積極的に参加 をしているところであります。  あと4枚目でございますけれども、成果ということで1つは、虐待の件数が減少はし ている、これはまだはっきりした確認といいますか、確証はまだとっておりませんけれ ども、基本的には下の表3に書かれてありますとおり、本県の場合は平成13年度がピー クでありまして、14年度、15年度、いずれも減少してきております。ただ平成16年度、 これは12月末現在の状況ですけれども、205 件ということで、今年度は少し増加するの かなというふうな状況で推移しております。これにつきましても適切な初期対応という ことによって、再発防止につながってきたのかなということが挙げられます。問題が深 刻化する前に対応できるようになったということと、地域での見守り体制がとられるよ うになったということが再発防止につながっているのではないかなというふうに考えら れます。  それから、ここは職員の転勤の話ですけれども、私が最初来ましたときに、13年でご ざいましたけれども、皆さん、大体当時福祉事務所からの異動が多かったわけですけれ ども、多くといいますか、ほとんどの方がまた福祉事務所に返りたいと、戻してくれと いうふうな希望が非常に多かったんですが、最近はもう少し児童福祉をやってみたいと いう方が出てきまして、そういう意味では、だんだん定着してきたのかというふうに思 っております。  こういう状況でございまして、まだ課題も幾つかございます。1つは、急に職員を増 やしたものですから、現在、経験がまだ3年未満の職員が、6割以上という状況が続い ておりまして、こういう職員の資質の向上ということが大きな課題になっております。  それから、指導的な面でも大分進んできましたけれども、家族再統合ということにつ きましては、まだまだ取り組みが進んでおりません。こういうことで、来年度以降、こ ういった家族再統合への取り組みを何とか進めていきたいということで現在検討を進め ております。  そういうふうな状況でございます。 ○山縣座長  ありがとうございます。今、上廣委員がお見えになりましたけれども、少し待たれま す。ちょっと余裕を持ってから説明されます? ○上廣委員  いや、やった方がいいですね。 ○山縣座長  それでは、申し訳ありませんが、引き続き、三重県の方のお話を15分程度でよろしく お願いいたします。 ○上廣委員  遅れまして申し訳ございません。今日ほど日本が南北に長い国だということを思い知 らされまして、新幹線が1時間20分ほど遅れましたものですから遅れまして申し訳ござ いません。  資料6に基づきまして、三重県の児童相談所に絡む組織改正とその考え方について15 分ほど説明させていただきます。  保健所と福祉事務所と児童相談所の統合というのは、どこの県でもやられておると思 いますが、それは平成10年の4月から三重県の場合は行っています。ただし、その場 合、保健所が11、福祉事務所が7つ、児童相談所が5つという、数の整合がとれない統 合でございましたものですから、非常にある意味では難儀をしたというのが実情です。 それで、北川知事が三重県の知事になりまして、三重県を9つのブロックに分けて「生 活創造圏」ごとに県民局を強化するという感じで県民局の保健福祉部に3つの機関が統 合されたというのが平成10年の4月です。  組織のフラット化ということで、ここに書いています意思決定を迅速化するとか、組 織をできるだけ大括りにするとかという感じで、「係」制から「グループ」制に変わり ました。今まで係制というのは、御存じのように係で仕事をするというのが係制です が、グループ制というのは、それぞれ個人に仕事を割り振って、よく似た仕事をしてい る人たちを一つの大括りなグループにまとめるというのがグループ制のやり方でして、 これも北川知事の強い意向によりましてグループ制が導入されたわけです。ですから、 従来の5つの児童相談所につきましては、県民局の保健福祉部の児童グループというよ うな格好になりまして、児童相談所の所長が児童監といういわゆる課長級の職なんです が、児童監を兼務すると。ですから、保健福祉部には、部長がおって、保健監がおっ て、福祉監がおって、児童監がおるという妙な形のピラミッド形じゃない組織になって おりまして、非常に権限の所在等がどうなんだという議論があったと覚えております。  当然、9つですから、5つはそのまま児童相談所機能を移行したわけですが、あとの 4つの生活創造圏につきましては、県民局の保健福祉部に保健福祉グループというのが 設置されまして、そこで児童相談所の一部の機能を担当するというふうになったわけで す。  2つ目に、これも三重県が割と早かったものですが、課を廃止してチーム制にすると いうことになりまして、平成14年の4月から全庁的に課が廃止になりまして、例えば子 ども家庭課が子ども家庭チームというふうになりました。課長はチームリーダーになっ たわけです。児童グループも同じように児童相談チームとなりまして、所長はチームリ ーダーとして、平成14年からは保健福祉部長を頭にチーム制が敷かれましたものですか ら、ある程度の決済の流れが整理されたのかなと思っております。  その際、児童相談チームの業務内容も検討されまして、三重県には北勢と中央児童相 談所がありまして、ここが大部分の人口を占める大きな児童相談所でございます。そこ につきましては、危機介入を中心といたしまして、より専門性や要保護制が高いという ことで、そういうものに専門を特化するというような形で児童相談チームが設置されま して、例えば、ほかの育成相談とか、そういうのはどこに行ったのか、障害相談はどこ に行ったのかと言いますと、保健福祉部に子育て支援グループというのができまして、 そこちの方に機能が移ったということで、ある意味では三重県の場合は大きい児童相談 所につきましては、平成14年の4月から虐待とか、非行とか不登校とかというようなこ とを専門にする児童相談所と、そのほかの子育て支援とか、発達障害の話とか諸々の児 童相談につきましては、別の組織でやるというふうな形で組織づけられました。  その下に書いてありますように、県民局の保健福祉部の保健福祉グループというの は、子育て支援グループになりまして、先ほど申しましたように、児童相談所からこう いう機能を受け持って児童に関する保健福祉の総合的なサービスの提供窓口という形で 9つの生活創造圏の県民局につくられたということでございます。3つの児童相談所と いうのは小さい児童相談所でございまして、大体職員が7名ぐらいでございますから、 そこは児童相談チームと子育て支援グループを併せ持ったような児童家庭チームとして 設置されております。  平成16年に北川知事から今の野呂知事にかわりまして、名称を見直す中で、チームが 今「室」という名前になっておりまして、「チームリーダー」が「室長」という名前に なっております。  3が児童相談センターの設置ということですが、(1) からずっと書いてありますけれ ども、要は各児童相談所の組織が9つの県民局に割り振られましたものですから、なか なか一体的に運営とか、行動ができない、組織の壁があってなかなかできない、そこで 県民局から離れて独自のセンターとしてほしいという要望をずっとしてきたわけですけ れども、その理由として次のような問題点が指摘されたと。要するに児童虐待対応する 専門的な人材が不足しているとか、そういう人材的に現行の所轄区域の別では、いわゆ る9つの生活創造圏別では、なかなかうまく機能しないと。  それから次のページに行きますが、今度の児童福祉改正なんかでも強調されておりま すが、県の役割として専門的な対応が必要なわけですが、それらをちゃんと企画したり する機能が今の組織では不足しているんじゃないか。それから、これもよく言われるわ けですが、要するに児童相談所の職員が心理的に追い詰められる中で、それをバックア ップするシステムをどうつくっていくのかとか、それから人材をどう確保していくの か、どう研修していくか、また、そのスキルをどう蓄積していくのかというようなこと を考えまして、そういう問題点が指摘されまして、この問題に対応するということで、 「○」の1、2、3、4、5のような形で検討を行ったわけです。  最後、結論的な検討の結果という形で、児童相談の実施に係る全ての権限を有する県 民局から独立した単独地域機関として三重県児童相談センターを、まだ仮称なんです が、この2月から始まります第1回定例議会に条例等が上程されまして、そこで決まる わけですけれども、三重県児童相談センターを設置するという形で三重県を1つの組織 でカバーしようと。次のページに参考図がかいておりまして、これを見てもらった方が よくわかると思うんですが、センター長というのがおりまして、その中に総務・企画調 整室長とか、家庭自立支援室長、虐待対策支援室長等々5つの室を設ける。児童相談所 の職員はそれぞれの室に配属されるということになります。実際の仕事は、中勢児童相 談所から紀州まで5つある児童相談所に駐在して児童相談所長の命を受けて諸々の相談 とか、虐待ケースに対応するというような形にしております。ですから、ある意味で は、縦のラインでは極端に言えば中勢児童相談所管内で重篤な虐待があって人手が足ら ぬという場合は、室長の命で、例えば北勢児相から人を融通できるという、そういう組 織にしております。そういう組織にしようじゃないかと。要はどこでも予算も削られ、 人も削られという中で、有効に人材を使うにはこういう組織がいいのじゃないかという 形でやっております。  室長は何をするかというと、所はいわゆるケースをやるわけですが、室は例えば諸々 の研修とか、今まで各児童相談所がやっておりました例えば虐待の研修とか、いろいろ な諸々の研修があるわけですが、ここでは一手にまとめに三重県一本で室が一括して実 施をするという形で、ケースワーカー、児童福祉司がそういう事務的なことをやってお ったことを抜いて、児童福祉司としてのケースワーク一本に専念できるような形にしよ うじゃないかということでこういう組織にしました。  先ほど申しましたように、子育て支援グループというのが県民局の保健福祉部にあっ たわけですが、これは組織を廃止するけれども、機能は残すよというような妙な言い方 をしたわけですが、この職員は、児童相談所の職員と保健福祉部の職員を兼務して、主 に児童相談所に特化した以外の、例えば子育て支援とか、障害の問題とか諸々の仕事を する。その仕事というのは、4月1日から市町村に下りていく仕事ですので、主体を変 えながら支援をしていく。具体的には、市町村に赴いて一緒に相談を受けたり、研修会 議を行ったり、巡回相談を行ったり、そういう形で児童相談所は法に定められた専門的 な支援をしていって、県民局にある兼務職員については、本来市町村が4月1日から行 うべき仕事を支援をしていくというような形に組織がえをすることで、三重県の場合は 4月1日から出発するということで、今、条例等々を第1回の定例議会にかけるという ふうな運びになっております。  以上でございます。 ○山縣座長  ありがとうございました。一応お二方から非常に先駆的な取り組みをしておられる事 例ということでお話を聞きましたが、なかなかうらやましい部分も非常に多いんですけ れども、それぞれ関係の方から御質問等ございましたら、どちらの方に関する質問かと いうことと趣旨をお願いいたします。 ○関根委員  三重県の最後の三重県児童相談センターの構想の件ですが、職員がセンターに配置さ れて、各児相に駐在するという御説明だったと思うんですが、このところのセンターと いうのは、あくまでも組織上のセンターであって、実際に事務所を構えたセンターとか というのではないということなんでしょうか。 ○上廣委員  センターは今の中央児童相談所に室長とセンター長が実際おるということで、要する にセンターというのは内部の組織ですので、外部的には児童相談所というのが表に出て いくかと思います。中の人の張り付けとか、組織内の内部のことですので、外向きには なかなかセンターとして機能は、いわゆる日々の相談業務は出ていかないという形にな ると思います。 ○関根委員  中央児相に置かれるということですか。 ○上廣委員  ええ、そうです。 ○関根委員  わかりました。 ○山縣座長  いかがでしょうか。マトリックス的な組織をつくっておられるということだと思いま す。今の話だと、例えば児童福祉司の身分は、個々の児童相談所にはないと考えていい んですか。 ○上廣委員  そういうことです。駐在という形で。 ○山縣座長  ということですね。あくまでもセンターに一括して職員が制度上は配置されている。 ○上廣委員  そうです。よく言うんですけれども、織田信長が戦争するときに、それぞれの武将に 兵をあずけて、頑張ってこいよと言って、敵と戦うわけですが、それと同様に各所長に 室に配置された職員を駐在という形で預けて、所長のマネジメントで相談業務を展開す る。従って、所長も総務・企画室に配属されて、それぞれの所に駐在というふうになり ます。 ○山縣座長  例えば、今、厚生労働省が児相調査をしておられますね。児童相談所単位で調査をし ますね。そのときの答えというのはどうなるんですか。例えば、ここで言うと、北勢児 相に調査が入りましたというときには、どのような回答になりますか。 ○上廣委員  表向きは、やはり、北勢児童相談所に駐在しているわけですから、現実にそこで仕事 をしているわけですから……。 ○山縣座長  それは分かれるわけですか。 ○上廣委員  ええ。 ○山縣座長  なるほど。 ○上廣委員  ですらか、外向きには全然変わらないんです。中の仕組みをそういうふうに変えます よということですので、それに付随して所属長は誰なのかとか、人事権はどうするんだ とか、今細かい話があります。今それを詰めているところなんです。 ○山縣座長  わかりました。いかがでしょうか。関根委員、それでよろしいでしょうか。 ○関根委員  はい。 ○岩佐委員  遅れてきての質問ですみません。全体的なイメージで確認したいんですけれども、今 のお話で言うと、児童虐待の非常にきついやつというか、高度なやつというか、そうい うのは県で何か所もいっぱい対応するよりも、今のケースですと大体2か所ぐらいです か、そういうところに集中的に人材を置いた方がうまくいくという、一つはそういうこ とのお話だったということでいいんでしょうか。要するに、5か所も6か所も相談窓口 があって、そこで虐待の非常にきついやつを全部でやるというよりは、2か所ぐらいで 統括するというかですね。 ○上廣委員  5つの児童相談所はそのまま残りますので、当然そこは児童相談所という機能はあり ます。小さな事務所、例えば7人ぐらいのところできつい虐待相談を受けたと。その場 合は、今まででしたら、組織の絡みがあってなかなかほかの児相から応援に行けないと いうのがあったわけですが、こういう組織になると、室長の判断なりセンター長の判断 でマネジメントで行くことができるという仕組みにしようじゃないかということで、セ ンター化したわけです。 ○岩佐委員  そうすると、むしろ幾つかもともとあるんだけれども、もうちょっと統括的かつ調整 的、専門的組織を上に置いた方がうまくという、そういう感覚になるんですね。 ○上廣委員  ですから、5つの児童相談所全体をマネジメントする機能をつけたということです。 ○岩佐委員  それから統括するところというのは、福祉・保健とかいろんなところと統合してどう のこうのというよりは、従前のというか、いわゆる児童相談所の純粋なやつの、かなり 専門的な部分の人を置いて統括させるというやり方がよいであろうと。 ○上廣委員  ええ。それから県の役割としては、市町村にそういう諸々の機能が下りていくなら ば、市町村が何を期待するのかということになってくると、やはりより専門的な市町村 で持てない機能が期待されるであろうということが一つの考えにあったわけです。 ○岩佐委員  ありがとうございました。 ○山縣座長  よろしいですか。今のあたりに関連して何かございますでしょうか。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  新しい試みだと思うんですけれども、最後にある5つの児童相談所以外の保健福祉部 に駐在している方々は、これは児童相談所の職員がおられるわけですか。 ○上廣委員  ええ。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  9か所のうちの4か所ですか。 ○上廣委員  実際はもっと細分化されていますので、6か所ですね。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  その人たちは、児童相談所の職員というのはどこかの児童相談所の職員になっている のか。 ○上廣委員  兼務職員です。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  兼務職員? ○上廣委員  兼務です。児童相談所の兼務職員として配置します。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  どこの児童相談所なんですか。 ○上廣委員  それぞれ地域ですね。例えば中央ですと、津と松坂がありますので、県民局の管轄す るところの保健福祉部に配置します。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  要するに私が聞かんとしているのは、5つ児童相談所があって、それ以外に、児童相 談所以外のところに児童相談所の職員が駐在しているといういうんですが、その駐在し ている人はどこかの相談所と何か相談があって、難しいときはこの相談所に連携をしな がらやることになっているのか、どこの児童相談所と連結というか、人事的あるいは業 務的に連携を保ちながらやっているのか、そのあたりは一体どうなっているんだと。 ○上廣委員  例えば、従来の中央なんですが、ここには2つのそういうところがありまして、そこ に仕事をする職員は中勢児童相談所の職員を兼務しますので、何か困ったことがあれ ば、そこに相談に来るという。三重県の地図を見ないとなかなかわかりづらいかと。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  中央児相に関係しているところもあるし、そうじゃない、ほかの相談所の管轄にある 人もいるんですか。 ○上廣委員  そうです。例えば、中央児童相談所が管轄する地域の県民局は、津県民局と松阪県民 局があるわけですが、各々の県民局保健福祉部に中央児童相談所との兼務職員を配置 し、子育て支援を中心とした児童相談を担当することになります。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  要するに、いずれかの児童相談所と連携をしなればならないということなんでしょう ね、現実的に多分。 ○上廣委員  ええ。どこかの児童相談所の兼務になっているということです。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  多分そうだろうと思うんですが、これは非常に組織をフラット化するとか、動く側が こうやった方が指揮命令がやりやすいといって、いろいろ試行錯誤されているんじゃな いかと思うんですが、今、聞いたように、私が聞いてもなかなかわかりにくい、じゃ、 率直に言いますと、県民はどこに相談したらいいか。これが児童相談所なのか何なのか わかりにくいとか、そういう逆の反応とか、そういうのは今まではないんですか。 ○上廣委員  14年度に組織をつくったときに、非常にわかりにくい組織だという批判を受けまし て、またもう一つわかりにくくなるのかという懸念はありますけれども、それはうまく PRしながらしていかなければいかんなと。それと、14年度に組織改革をしたときとの 状況の変化は、改正児童福祉法により、4月1日から市町村が児童相談の全面に出てく るのが若干違ってくるのかなという感じで、御指摘のとおり、非常にわかりにくい組織 だということで、随分批判を受けたのは事実です。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  ちょっと説明を聞いていて、市町村とか住民から見てのわかりやすさというのも、非 常に行政として重要なことですから、どんなものかなという印象を少し持ちました。 ○上廣委員  三重県の場合、7年の間に組織がずいぶん変わりましたので、保健福祉分野に限ら ず、県組織全体についても議会でも随分、議員さんに指摘されたところです。 ○伍藤雇用均等児童家庭局局長  青森県の方にお伺いしたいんですが、虐待件数が13年を境に減っているというのは非 常に画期的なことだなと思うんですが、これは主として、いろいろ要因というのはあろ うかと思うんですが、環境整備の児童福祉司を配置したとか、こういうユニークな取り 組みをしているんですが、そういうことが功を奏しているというふうに評価されている のか。何かほかに特別に、これは全国的な傾向からすると減っているということ自体が 大変注目すべきことだと思うんですが、どういうふうに要因を、先ほど説明があったの かもしれませんが、何かあればお伺いしたいのと、それからついでに、23名を46名に児 童福祉司を増員したというのは、行政としてはこれもまた相当なリーダーシップがない とできない御判断だったと。このときは具体的に県庁内のどこの部局の人員を削減した のを持ってきたとか、そんなところがわかる範囲で御説明いただければと。 ○佐藤委員  初めの相談件数の減少ということですけれども、やはり、私自身も環境づくりのスタ ッフの活動というのが、やはり大きな影響を及ぼしているのではないかなというふうに 考えております。特に対象になっているのが、子育て中の若いお母さん方を対象にした 活動ですので、そういう意味では効果があったなと思っていますし、もう一つは子育て メイトという制度が平成9年からできておりますけれども、この人たちの活動が次第に 定着してきておりまして、その効果もあるのではないかなということを考えておりま す。  それから倍増にした、46名にしたということなんですけれども、これはもちろん、事 務方ではなかなかできないことではあったんですけれども、非常に当時の知事が児童問 題に非常に力を入れておりまして、まずは青森県から虐待をなくそうというふうな大き な目標を掲げておりまして、そのためには、児相の強化がどうしても必要だというふう なことを前々から議会等でも言っておりまして、そういうことで1人、2人、1か所増 やすということではなかなか納得しなかった。これは人事サイドの力もあったんですけ れども、部内だけではとても人員確保はできないと。私ども当初考えましたのは、保健 師、保育士、こういった方々は私どもの中におりましたので、その方々を配置がえをし たということはできたんですけれども、これだけではとても倍にはできなかったという ことで、人事サイドの協力をいただいて倍増したと。  ただ、環境づくりにつきましては、当時人事サイドも3年間だけこれをやってみて、 その結果を見てまた見直しをしましょうとふうな当時の経緯がありまして、昨年ちょっ と見直しをしましたけれども、かなりトップの考えが大きかったなというふうに思って います。 ○山縣座長  今の局長の前半の方の質問を、青森県の方、補足でよろしいでしょうか。教えていた だきたいんですが、虐待件数が減った、相談件数が減ったというのが分析が不可能に近 いと思うんですけれども、虐待そのものの事実が減ったのか、いろんな体制整備、特に 市民型のところの体制整備によってスクリーニングされて、残ったものは逆に深刻なも のばかり残っていると。疑いとか、そういうものは市民のところである程度対応でき た。軽度のものは対応できて、残ったものはものすごい深刻で大変なんですよと、そう いうことなのか、あるいは減り方でも、例えば、これも私は全く想像の世界で言ってい ますけれども、性的虐待は減らないけれども、身体的虐待が減ったとか、種別による市 民型の対応に差があるという、そういうものがある程度予想なりできますか。全く単に 減ったという事実以上のことはわからない? ○佐藤委員  減ってきたというのは事実なんですけれども、その中身を見ますと、深刻なケースが 逆に減ってきているという状況がございます。ですから、施設入所とか、継続指導と か、そういうケースは年々減少してきております。逆に助言指導で終わるケースが増え てきているというふうな状況がございます。そういう意味では深刻化する前に相談に見 えるとか、あるいは虐待をする前に地域の方々が声かけをするとか、いろんな形で援助 をするようになってきたということがこの減少につながってきているのかなというふう に思っていますけれども。 ○山縣座長  ありがとうございました。これは確かに効果があるということですね。 ○小野委員  青森県なんですけれども、4の「指導の充実」の中で「ネットワーク会議の充実」と いうところなんですけれども、県のレベルで、それだけ県知事さんが一生懸命になって 職員を増やしていくということが、結果的にこういう結果が出たということであれば、 なぜか市町村の方に移管していくというよりは、そういうふうな県知事さんがたくさん 増えてくればいいなという印象を持ったんですけれども、市町村の育成とか、そことの かかわりというのはどんなふうに、直接専門職にかかわりを持っていらっしゃるような 印象を受けるんですけれども、行政との関係はどのようなネットワークをお持ちなんで しょうか。 ○佐藤委員  相談があった場合に、どうしても家庭の状況がよくわからないということがありまし て、その場合には市町村に照会をして、どういう家族構成なのかというふうな情報はい ただきやすくなったということがあります。あと、いろんなネットワーク会議にしまし ても、市町村が場所の提供とか呼びかけとかをしていただいておりますので、そういう 会議もしやすくなったということがあります。 ○山縣座長  ほかに、小林委員。 ○小林委員  私も青森県の取り組みとその結果について、とても関心を持たせていただいたんです が、私は医者なものですから、児童福祉のいろいろなことがわからないので、外から見 ている立場の者であることはお許しいただきたいんですが、10年近く前に青森県に呼ば れたことがありまして、それは小児保健学会だったと思うんですが、そのときの会場の 係の方と話していますと、それは民生委員さんとか保健士さんたちだったんですけれど も、知事さんが関心を持っておられて、児童擁護施設を全部訪問されていると。そのこ とをお聞きして、現場の者たちがものすごく励まされて、私たちはもっとやりたいとい うふうに思っているというふうなことを言われたんですね。ですから、多分、その知事 さんのトップダウンということも噂ではお聞きはしていますけれども、そのことが現場 の母子保健環境が変わったという形でおっしゃいましたけれども、児童相談所のこの体 制だけじゃなくて、子育て支援についてのいろんなところがすごく変わっているのじゃ ないかと推測をするのですが、その辺は虐待が発生予防につながっているかもしれな い。県全体のそういう動きとか、それぞれの機関がどんなふうに動いてきているのかと いう全体像ももう少し教えていただけたらと思うんですが。 ○佐藤委員  県民挙げてこの虐待防止に取り組もうということで今まで取り組んでおりまして、も ちろん児童相談所だけでなくて、関係機関にも呼びかけをしてきております。例えば、 子育てメイトにつきましても、市町村に行きますと母子保健の協力員、推進員ですか ね、そういう方々が担っていただいているという実態もありますし、保健所に中にもそ ういう相談窓口を設けたりということで、それぞれの機関において体制強化を図ってき たということはあります。 ○山縣座長  よろしいでしょうか。 ○小林委員  全体像を何か教えていただければ……。 ○佐藤委員  まだ整理できかねておりますので。 ○山縣座長  私も両委員にお伺いしたんですが、この研究会の課題の一つは、県の家児相、県が郡 部を対象にして設置をしておられる、ないところもあるかもしれませんが、家庭児童相 談室との関係が、三重の場合は、もう恐らくないのではないかという感じがしています が、両者はどうなっておりますでしょうか。 ○上廣委員  三重の場合はないです。要するに子育て支援グループという組織をつくって全員が入 っていますから。 ○山縣座長  県民局単位のもので、もともとなかったと考えていいんですか。 ○上廣委員  もともとはありました。 ○山縣座長  もともとはあったけれども、再編成のときに家児相という組織をなくしたと。 ○上廣委員  ええ。 ○山縣座長  わかりました。青森の方は。 ○佐藤委員  うちの方は14年にセンターをつくった際に、センターの中で子どもの相談、家庭相談 は全部児童相談所に置きましょうということに整理をしましたので、その時点で相談室 はなくなっています。 ○山縣座長  わかりました。あと残りが30分ぐらいになりましたけれども、ここまでの時間は特に 発題をいただいたお二方のことを中心に質問をさせていただきましたけれども、残った 時間、いろんな方々、立場の方、あるいは児童相談所中心に、それに関連する立場の方 がいらっしゃいますので、それぞれの情報交換等を含め、今の仕組みなんかも絡めなが ら、あるいは研究会のこれからのあり方も含めて御意見、御質問をいただいたらという ふうに思うんですが。  切りかえましたので、とっかかりは私がつくらせていただきたいんですけれども、 今、お二方のところではっきり分かれてきたところ、あるいは全国を見ましても、後ろ に本体資料、議事次第が載っている資料の後ろの辺の児童相談所の概要の中の4ページ から7ページにぐらいにかけてですが、子どもの虐待問題に非常に関心が高まる中で、 虐待に関する特化した組織を配置して対応するという、そういう変化をされた地域と、 例えば青森なんかは典型的だと思うんですが、児童福祉司を全般的に増やすことによっ て対応するという非常に明確なところに分かれています。それから、虐待に特化したよ うなチームをつくるやり方と、そうでないやり方、このあたりもきっと今後考えていか なければならないところではないかということで、いろんな児相がお見えですので、そ ういうところに関する考え方、プラスマイナスも含めたところの御意見をいただけたら と思うんですが、今、菅野委員が偶然うなずいておられたので、何かもしあれば、滋賀 県の実情も含めて。 ○菅野委員  滋賀県の実情についてお話します。こちらの資料の5ページでは、本庁の方に虐待D V担当のセクションを設置しているだけになっているのですが、児童相談所が2ヶ所あ りまして、児童相談所と婦人相談所が組織上一体になっていて、子ども家庭相談センタ ーという名称になっています。中央には虐待専従のセクションがありまして、私の所属 する彦根は、児童虐待とDVの両方を担当するセクションがあります。そこで、児童福 祉司をしていまして、具体的な通告ケースに対して初動で動いたり、親指導をしたり、 女性相談員のサポートをしたりしています。  ただ、そこで全部面倒を見切るかというと、そういうわけではなくて、地域の担当の ケースワーカーとあとは連携をする。それから滋賀県の特殊事情として、県の福祉事務 所と保健所が合体した組織があるんですが、そこに家庭児童相談室があります。それが 子ども家庭相談室という名称になりまして、県内7ヶ所のうち3か所だけなんですが、 虐待・DV担当の児童福祉司を配置していただいて、児相を兼務となっています。残り の相談室には嘱託で虐待・DVの担当職員がおかれています。児相と協働して動く事が 多く、分担というよりも一緒にという感じです。  県内の児相が全く同じ組織でやっているわけではないのですが、彦根の場合は、児童 福祉司が2名います。どちらかというと私のボスの方が介入の方を担当して、私はその 後の指導、親を指導するという担当分けをしていたりとかというのがあります。市町村 合併とかいろいろなことがありまして、これからどういうふうな形になっていくのかわ からないんですけれども、市町村との連携というのも難しいんですが、県の中同士の連 携というのも難しかったりということもあります。  青森さんの方は難しいケースが減っているというふうにおっしゃっていて、すごくう らやましいかったんです。もともと滋賀県というのは20年以上前から地域で障害児の 支援に取り組まれていて、この虐待の問題に関しても、早くから市町村も窓口になって 支援という形でかかわっていただいているせいか、どちらかというと児童相談所に残っ てくる虐待ケースというのは、刑事事件に絡んだりとか、それから、法的な問題があっ たりとか、親御さんが精神的な病を抱えていたりとか、極端な経済的な問題を抱えてお られたりとか、すごく難しくて、対処のしにくいケースが増えてきているなというのが 私の実感です。対立ばっかりしていたのでは、変化を導き出せないので、その家族に変 わってもらうためのノウハウが必要だと思うのですが、なかなか見つけられないです し、その辺で非常に苦悩しているというのが現実です。  青森さんのお話をお伺いしていてうらやましいのは、人がたくさんいるということで す。しゃべれるんですね。こういうケースで「こうなんだけど、どうなんだろう」とい う、話の通じる人といっぱいしゃべっている中からアイディアというのは出てくるもの だと思います。そういう人、組織というのはやっぱり要るなと。それを数でカバーされ たのが青森さんだし、三重は専門組織の中の横のつながりで、そういう場面を確保して いこうとしているんだなと感じました。これからの課題として、児童相談所の専門性で すね。支援のスキルとか。  それからもう一つ思うのは、最近よく言われているんですが、なかなかできていない んですけれども、市町村の方々が相談にかかわっていくときに、研修をしてほしい、教 えてほしいということをよく言われます。なかなか実務を持っているとそこにかかれな いということもありますし、全体として市町村を含めて、児童相談全体の支援の専門性 を上げていくような、そういう両方の企画みたいなところを県の方ではやっておられる という話を聞いて、それもすごく大事な仕事にこれからなってくるのかなというふうに 聞かせていただきました。  滋賀県の実情としては、またこれからいろいろ変わっていくとは思うんですけれど も、そんな状態です。 ○山縣座長  ありがとうございます。ほかに児相からたくさん来ていただいていますけれども、虐 待チーム等をつくられてプラスマイナスを含めて大きな変化があったと、川崎委員何 か。 ○川崎委員  遅れてきて申し訳ございませんでした。京都府は、この資料を見ていただければわか りますように、「未来っ子サポートチーム」ということで、虐待の対策チームをつくっ て今年3年目になるかと思うんですけれども、いろいろ悩みがあるんですが、メリッ ト、よかったという点で言いますと、やはり虐待への即応性、これは確実に高まったか と思います。京都では、48時間とか明確にはしていないんですけれども、基本的には通 告等があった場合には、恐らくその日のうちに何らかの形で対応していくという形で動 いていると思うんです。困難なケースですね。28条の申立てをしなければいけないと か、保護者との対立が非常に厳しいようなケースでも、このチームの中でいろんな議論 をしながら協議をして対応していくということで、そういう点で言うと、虐待チームを つくっていくということは意味があったかなというふうに感じています。  ただ、課題としては、よく児童相談所は異動が激しいとか言われるんですけれども、 このチームで対応している職員というのは非常にストレスが高いですね。正直言って、 余り裏話をしてはいけないんですけれども、それなりに経験もあり、保護者との関係で も、例えば揚げ足をとられたりしないような、そういうようなことも含めてきちんとや らなきゃいけないということで、それなりにキャリアのあるスタッフを配置していくと いうことにしているんですけれども、長くはやれないということで、実際に2年ぐらい やると、この業務をずっとやっていくことは、その職員のことを考えると、もちろん、 やれる人もいるかもしれませんけれども、そうすると、やれる人しかやれないようなこ とになってきますし、やはり一定の交代をしていかなきゃいけないんですが、この業務 の大変さから、正直言って、児童福祉司の中でも二の足を踏んでしまうということで、 このチームづくりが非常に難しくなってきている。今年度スタートのときもいろいろと 議論をしながら決めていったというような経過があるんですけれども、専門的な力量 と、それから担える人たちをコンスタントに配置していくということを考えると、一 応、今のところ2年で交代しているんですけれども、このサイクルがうまくいかなくな るんじゃないかということで体制づくり、ストレスも大変だというのはすごくあるかな ということで、いい面もあるんですけれども、課題も今後この形を続けていこうとする と、いろいろと考えなきゃいけないことがあるかなと、そんなふうに感じております。 ○山縣座長  2年の異動というのは、虐待担当から外れるけれども、児童相談所の仕組みから外れ るというわけではないというふうに考えて……。 ○川崎委員  そうじゃなくて、児童相談所の中で地域の担当している児童福祉司と虐待を担当する チームと、このチームからですね。 ○山縣座長  ということですね。 ○川崎委員  でも、児童相談所そのものの異動もありますので、児童相談所の中での児相からの転 勤という問題と、役割分担の問題と両方をうまく回すためにはかなり苦労があります。 逆に言うと、前年度は地域担当を一部持ちながらサポートチームという形でやっていた んですけれども、やっぱり大変なケースが出てくると地域担当の相談がうまくなくなる ということで、今年はそれを外してサポートチームの専任ということでやったんですけ れども、いろいろ出ていましたけれども、先週の末もお母さんが精神科を受診するので 子どもが見られない、ギャーッと言っているのですぐ預かってほしいと。そんなのがぼ んぼん入ってきますので、夜中走り回って子どもを保護したりしているんですけれど も、こういうのはまだ緊急制度で、対立関係にあるようなケースもいっぱいあったり、 こういう緊急にすぐ動かなきゃいけない、そういうようなケースが重なってきています ので、それをずっとやっているということはほんとに職員にとっては負担が大きい。そ の中でやっているような現状かなと思うんです。 ○山縣座長  ありがとうございます。今日は児相を中心にやっておりますけれども、もう一方、児 相から埼玉県、関根さん。 ○関根委員  埼玉県も平成15年から各児相に虐待対応担当グループを設けたんですが、これは内情 を申し上げますと、人員確保のための口実と言ってはなんですけれども、虐待対応専門 チームが必要なんだということで人員要求しまして、実際は児童福祉司は地区担当をや っております。グループのリーダーがかなりフレキシブルに動くようにしていて、虐待 の非常に困難事例ですとか、法的対応がかなり必要だという、そういったケースに自由 に動くという形で、児童福祉司は普通の地区担当と同じように地区担当しています。グ ループリーダーと、あともう一人係長クラスの職員がいるんですが、その職員がネット ワークに力を入れてやると。児童相談所主催のネットワーク会議をやったり、市町村の ネットワークの推進のためにいろいろ助言に行ったり、その職員も地区担を若干持って います。埼玉は平成11年ぐらいからかなりの人数を増員してきているんですが、何だか んだいろいろ理由を付けてやってきたんですね。ここで限界にきていまして、もういい 加減にしろという感じのところがありまして、ちょっとここに来てからでは国の児童福 祉司12万から3万人に1人というのが逆に足かせになっているというか、もう十分これ だけ配置しているじゃないかという人事当局なんかからは見られているんですね。これ から増やしていくのをどうしたらいいのかという、非常に頭を痛めているというのが現 状です。  先ほどの青森の話で、倍増の話があったんですが、現場の感覚としては倍増してもら えれば、かなりの効果が出るという実感を持っています。今の人数が仮に私ども埼玉県 で倍増してもらえれば相当のことができるなというふうに思うんですね。これはこうい う根拠でということではないんですが、これから市町村の相談体制をいかにして確立す るかという、やはり一番の問題は人ですから、人をどれだけ確保できるのかという、そ れが一番のポイントなんだろうというふうに思います。 ○山縣座長  ありがとうございました。少しテーマを絞りましたけれども、皆さん方の方で自由に 何か、この部分について意見を言いたいとか、質問してみたいというのがございました ら。  なければどんどん仕切っていきますけれども、強引な座長なので。  今日児童相談所以外にも、この研究会の大きなテーマである市町村、それから日々子 どもの世話をいただいている施設とか里親さんの方からも来ていただいていますが、そ ちらの方から、とりあえず市町村の方からもし何か、この改正等をめぐって自分たちの 構えとかというのがございましたら、一方、二方、今、江成委員と目が合ってしまいま して……。 ○江成委員  相模原市の江成と申します。相模原市の方では、これまでもある程度市町村で対応が できる部分については市町村で対応すると。ただ、それなりに困難性が出てきたとか、 専門性が必要だというところで児童相談所にケースの方をつないで対応していただくと いうような形を平成13年にネットワークの方を立ち上げたんですが、そこからはそうい う形でやってきておりますので、今回の法改正に当たっては、それと大体同じような内 容なのかというふうにとらえているところです。  ただ、組織的な問題で、これまで専門の組織というのを置いておりませんで、通告機 関である福祉事務所、中核市ですので保健所の方がございますので、保健所の母子保 健、それから私が所属しています子育て支援課の方がネットワークの事務局ということ で、実際に私は現場を持たない、ケースに対応はしないんですけれども、事務局のとり まとめということで会議の開催を招集しているというようなことでやってきています。 ちょっとまた組織の改正をここで考えておりまして、そういった多機関にわたる調整だ けでは済まない部分が出てきておりますので、虐待の部分で専門的な子ども家庭支援セ ンター、まだ仮称なんですけれども、そういうものを設置して、今の時点で各所属に配 置されている虐待対応の人員を、定数を集めまして、そういった専門化していくという 形で考えています。そういった中で児童相談所さんの方と連携をしながら対応していく ことを考えているところでございます。  やはり一番大きな課題といいますか、こちらの方でも一番問題になるのかなというふ うに思っているのが児童相談所さんとの役割分担、そういったところがどこまで市町村 がやるのか、どういった段階になれば児童相談所さんの方に引き継いでいくのかという ところは、これまでも度々話題になっている。それは市の立場としての限界、それは児 相さんの立場としての限界がずれがあるというようなところが問題なのかというふうに 思いますけれども、その部分が今後新しい組織をつくっていく中では児童相談所さんと さらに調整をしていかなきゃいけないところなのかというふうに思っております。  それからあと現場の方、先ほど青森県さんの方で、現場の方にかなり皆さん出て行か れて支援をしていただいているという話がありましたけれども、今現在相模原市の方で は私立の保育園、私立・公立に限らないんですが、保育園さんからのそういった虐待の 通告というのは非常に多いんですが、基本的には市町村の受け止めるところが大変多い んですけれども、そういったところで現場の負担感がかなり強いんですね。現場でどう すればいいのかとか、そういった部分を市町村でもこれからフォローしていかなきゃい けない。よりフォローしていかなきゃいけないところだとは思うんですけれども、今現 在ではそれほど専門性がない中で求めに応じることができていないのではないかという ところでは、少し問題があるのかなというふうに思います。 ○山縣座長  市の場合は福祉事務所がもともとあって一部の、児童相談機能はないけれども、ある 程度福祉の仕組みというのはわかっておられると思うんですが、町村ですよね、我々も 少しチームでいろんなものを調べさせていただいているんですが、町村がどう動くか、 どう対応できるかというのは一番不安である。人配置の問題、専門性の問題等を考えて ということで、ちょうど隣に小野委員が座っておられますので、一言、町村は今どうい うふうな……。 ○小野委員  町村は今?と言われるとちょっと困るんですけれども、水巻町は北九州市の隣にあり ます大体人口3万2,000 ぐらいの小さな町です。その中で児童少年相談センターという のを13年の4月に開設いたしまして、そこで相談業務を担当しています。ここは12年ま では児童虐待防止については保健福祉サイドが担当しておりまして、ここの相談センタ ーというのは児童虐待防止と不登校、引きこもり、非行、それから不登校だった子ども の卒業後の勤労支援というようなことまで含めて、0歳から19歳までの相談業務をやっ ているところです。   12 年に教育委員会の方で不登校対策を充実しようという動きがたまたま13年に重な りまして、13年の4月から児童少年相談センターというものが設置をされたところで す。ここでは、私、所長をしておりますが、職員が4名おります。私が自治体の職員な んですけれども、あと2人は嘱託職員が2名です。もう一人は臨時職員が1名というこ とで4名の体制でやっています。この相談センターは相談業務だけをやるという特殊な 機関でして、それ以外のサービスは一切持たないという組織なんです。ですから、この 相談センターの相談というのをどういうふうな相談にするか、どういう相談をしたらい いのだろうかというのが当初の大きな課題だったんですけれども、その中で、幸い私と もう一人の嘱託の職員がカウンセラーの資格を持っていたということとかがありまし て、そういうふうなカウンセリングをちゃんとやれる相談をやろうということを一つの テーマにしています。  そういうふうな相談機能というものと、それからあとネットワーク機能という、この 相談センターが一括して町内のすべての機関をとりまとめて機関会議を開いたりとか、 あるいは事例検討会議をしたりとかということをすべて一括して対応するという組織に しているものですから、町内のほとんどすべての子どもにかかわる関係機関を網羅し て、そういうネットワーク会議を開いていまして、その中でもう一つ下には職域の保育 所、幼稚園だけの会議だとか中学校、小学校だけの会議だとか、そういうふうな職域の 会議を開いたり、その下には個別具体的な事例の検討で処遇をどうするかとか、対応を どうするかという3段階のシステムをとったネットワーク機能を持っています。  それから相談センターは60坪ぐらいの木造の建物がありまして、そこで居場所機能と いうことで不登校の子どもの居場所だとか、あるいは子育て不安に悩んでいるお母さん がちょっとほっとする場所とか、その間に相談員がきちんと相談を受け付けて対応して いくというふうな3つの機能を持ったセンターを今経営しています。そこで常時児童相 談所と連携をとりながら、あるいは場合によっては指導を受けながら、それほど重くな い事例についてはセンターが中心になりまして、各機関の見守りを常時開いたりしなが ら、情報の共有化を図ったりというようなことをしています。  3万ぐらいの町の規模のことですから、問題は、私どもを含めた職員の異動のとき に、常時相談業務がきちんとできる職員が配置できるかという問題とか、あるいは相談 業務を常時維持向上させていくためのバックアップの体制があるかどうかというのが問 題になっていまして、そういうカウンセリングというのを上部団体の県とか児童相談所 の方にお願いしてスーパーバイズなりを求められるのかとなると、なかなか現実には難 しいのではないかなというふうに思っています。  私はたまたま産業カウンセラーの資格を持っているものですから、産業カウンセリン グ協会との関係を持っていまして、個別の横のルートの中で私どものカウンセリング業 務というか、そういうふうなものの向上というのを一方で図っていますし、個別の事例 検討とか、法律研修などについては、隣の市がかなり熱心にやられているものですか ら、そちらの職員を派遣したりして、個別の能力の向上というのを図りながら、相談機 能の体制というのをつくっているというのが現状です。 ○山縣座長  ありがとうございました。水巻町も非常にユニークな取り組みをしておられますが、 もう一方ぐらい指名してもいいでしょうか。  もう一つこの研究会の課題、今、目的の中では、関係機関との連携強化という位置に しかなっていませんが、恐らくもっと重要な位置にくるのではないかというのが児童家 庭支援センターのあり方だと思うんです。一応、光の園の方でそれも含め活動しておら れる、いろんな多角的なことをやっておられますので、ちょっと濱田委員の方から、特 に児童家庭センターのことを中心にお願いできますか。 ○濱田委員  私も三十数年間施設の中で子どもと一緒に暮らしてきまして、今も一緒に暮らしてい るわけですが、そういう中で、なぜこんなに混乱しているんだろうという問題がずっと ありました。やはり、マルトリートメントやアビューズの問題は突然法改正のところで 出てきたようにありますけれども、ずっと連鎖の問題を隠し、隠しじゃないんですけれ ども、事後サービスの方にたくさんウェートがかかってきていて、相談支援の体制が軽 く片づけられてきた、そのツケが今来ていて、児相も児童養護施設もイマージェンシー ルームのような感じがして、とにかく、殺さないための何かをやらなきゃならないとい いますか、それからすぐ責任問題とか、すぐ責め合ったりとかというふうな事象に触れ ることが多かったわけなんですが、この連鎖を食い止めないと、そしてそのためには、 早期に対応しないといけない。そしてやがて予防なんだろうと思いますが、今日、先駆 的な事例のお話を伺って、やはり今の中では介入的な役割の部分とファミリーソーシャ ルワークですね、それから、ケースワーク、この機能は一緒であっていいんだろうかと いうようなことが、とても現場の者として感じております。  前回の平成9年の児童福祉法の改正のときに新しく付けていただいたのが児童家庭支 援センターで、余りまだきちんとした体制をつくっていただいているわけではないんで すけれども、身近な地域の中で、私どものいわゆるマイノリティの場所といいますか、 とてもイメージの悪い場所から、そういうふうな相談支援というふうなときに、余り期 待されて法的にも多分そうなっていなかったんだと思いますし、また私どものイメージ も地域の中で、多分地域の中にあって外にいるかのようなあり方をずっとしてきたんだ ろう。  でも、そういう中で社会的養護の視点というのは、やはり二、三年で連鎖の問題やい ろいろな養育の深刻な課題を抱えていることというのは、なかなか見つけていけないん ですね。ということにだんだん、私どもの方も学習をしてきまして、この支援センター は相談体制をつくっていくという中で大変な需要がある。一時保護もそうですし、ショ ートスティですね。別府市の特殊な事情というのはあるのかもしれないと思っておりま すが、このことを応援する中で、とても頼りにされてきた、そして私どもが児童養護施 設や支援センターばっかりの応援だけだと応援ができないというのがわかってきて、そ れで社会的なサポートですね。子どもと家族の応援がしやすいイメージの保育所や児童 クラブ、放課後健全育成のクラブ、それから児童館、そしてこういうものが一緒になっ ていくことで、毎日一般の方たち親子が出入りするというのがくっつくと、すごくイメ ージががらって変わってきたんですね。そういうふうな施設整備をしていただいたこと で、まだ数年しか経っておりませんけれども、いろいろな機能を持たせたことで、子ど もと家族が応援をされやすい、あんなところに相談するくらいなら一家心中した方がま しというふうなイメージのままでは、社会的養護の視点を持って早期に対応するという ふうな、普通に応援し合えるような環境をつくっていきたいということで、表現が足り ないことばかりでおわかりいただけないかもしれないのですが、私どもの方も保育所 で、例えばお子さんが遊んでいたり、何かしゃべったりしている、その様子を見れば、 どういう応援がいるとか、そういうのがわかるんです。ところが、ただ、保育所だけの 応援であれば、そこのところまで気づいていけないというか、それと引いてしまうよう ないろんなこともあったりとか、こんなことを指摘されると嫌だろうとか、それは当 然、応援の仕方というのがあるので、児童家庭支援センターの中では、親支援、深刻な 親の支援をするところもずっとやってきておりますし、また軽い相談といいますか、日 常の相談が受けられる。ショートスティの機能がすごく役立ったというふうに思ってお ります。 ○山懸座長  ありがとうございました。これからいろいろな委員、それぞれの実践等を次回以降、 もうちょっと丁寧にフォローしていきたいというふうに思いますが、予定の時間がほぼ まいりましたので、今日はこれで終わらせていただきたいと思いますけれども、次回以 降の日程等、遅れて来られた委員がおりますので、遅れて来られた委員の紹介を含めて お願いでませんでしょうか。 ○長田総務課長補佐  再度資料1の3枚目をお開きをいただければと思います。まず、山懸座長の隣、井上 様でございます。  その隣、岩佐様です。  先ほど三重県の現状を御説明を頂戴をいたしました上廣様でございます。  それから、お二方飛びまして京都府の川崎様です。  そのお隣愛知県中央里親会の後藤様です。 ○後藤委員  遅れまして、ここに来たらびっくりいたしました。晴れ晴れですけれども、愛知県は 雪だるまになってしまって、1時間20分遅れてきました。申し訳ありません。 ○長田総務課長補佐  それから最後になりますが、山懸先生の隣、前橋様です。  次回以降の日程でございますが、事前に御都合をお伺いいたしまして、一番多数お集 まりいただける日程ということで、大変勝手ながら次回3月14日1時半から2時間程度 ということで予定をさせていただきたいと思います。また、会場等の詳細につきまして は、追って御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○山懸座長  ありがとうございました。次回は3月14日の午後2時間ぐらいということで、テーマ 等も含め、事務局の方と調整をさせていただきます。  それから事務局にお願いなんですが、各委員から必要な資料等を求められた場合に は、準備いただけるということでよろしいでしょうか。ということで、それぞれの委員 の方でこういうものがないかとか、あるいは既に対応表が幾つか出ておりましたけれど も、その結果は出たのかどうかとか、そういうことがありましたら、長田さんの方に、 あるいは事務局の方に連絡をいただく。  それからもう一点、逆に各委員の方にも積極的に、それぞれのお持ちの資料等で委員 会でみんなで見た方がいい。説明の時間がとれるかどうかわかりませんけれども、各委 員に配りたいというものがありましたら、これも事務局の方に1部届けていただける と、いろんな形で委員の持っている情報をできるだけたくさん集めながらやりたいとい うふうに思いますので、御協力をよろしくお願いします。  それでは本日はどうもありがとうございました。また、気をつけてお帰りください。                    (照会先)                    雇用均等・児童家庭局総務課 (担当)水口                    03−5253−1111(内線7823)