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別紙2

厚生労働科学研究費補助金制度の具体的見直し案(未定稿)


1.研究の枠組み

 現行の厚生労働科学運用においては、学術的評価によらず行政として取り組むことが求められている研究や、より重点化・効率化することが求められている研究をどの様に取り扱っていくかが課題となっている。更に、効率的・効果的な研究の実施を推進するため、確実に成果に結びつく研究計画の採択や若手研究者の育成を一層推進する研究枠の導入が求められている。
 こうした多様な研究の形態・運営のニーズに対応するため、現行制度における単一の研究形態を改め、5つの研究類型((1)一般公募型、(2)指定型、(3)戦略型、(4)プロジェクト型、(5)若手育成型)を創設する。

5つの研究類型の具体案
カテゴリー 概要
(1)一般公募型 従前の一般公募による競争的枠組み。
国民の健康、福祉、労働面の課題を解決する研究について公募。
原則として研究期間は3年。
(2)指定型 政策的必要性が高いものの競争的環境では取り組みの進まない研究課題の解決を図るための枠組み。
健康被害や安全性に関する調査等、学術的評価の如何によらず必要とされる研究。
緊急性のある課題に対しては即時対応するための枠組みとして「緊急指定型」を設定(従来の特別研究事業に相当)。
(3)戦略型 分野横断的な重要課題、長期継続的研究課題、研究基盤が弱く成果が見えない課題等に対して、重点的・効率的な対応を行うことにより研究を推進するための枠組み。
成果目標を設定した5年間程度の大規模研究を企画実施。
戦略的な資金配分を行い、確実な課題解決を誘導。
将来的には研究資源全体の1/3程度を戦略型に移行。
(4)プロジェクト型 公募した課題の研究計画を仮採択し、その後、研究者との対話を重ねつつ1年間かけて詳細な研究計画を審査・改善し、最終的な研究計画に対する評価結果に基づき、研究の本格実施を決定する枠組み。
一般公募型に比べ大規模な研究を採択。
計画を十分に吟味することで質の高い成果が期待できる。
評価結果に応じて、本研究の中止も含めた事業規模を決定。
(5)若手育成型 将来の厚生労働科学研究を担う研究者の育成を推進するための枠組み。
応募資格に制限(例えば、満36歳未満ないし学位取得後5年以内)を設け、若手研究者に限定。
研究評価結果のフィードバック等、教育的配慮を重点的に実施し、研究者のレベルアップに寄与。
優れた研究者の育成が特に必要とされている研究分野において重点的に設定。


2.研究実施体制

(1)研究費執行体制の改革(可能な限りの早期執行の体制確保)
(1)“ファーストトラック”の設定(一定要件を満たす課題への早期交付)
 質の高い研究計画書を早期に提出した研究者に対して、迅速な事務処理を確保し、早期交付を実現する。(“ファーストトラック”)
 このための標準的な事務処理期間(タイムクロック)を設定するとともに、研究計画書等の申請書に関して記載漏れがない等、早期交付対象の用件を明示。
 研究者に対する早期交付のインセンティブ導入により、申請事務に関する研究者の協力を奨励するとともに、申請書類について記載不備等がある場合には受理せず返戻する等、研究者の責任により申請書類記載事項の改善を求める(研究者に対しては、書類審査や返戻等の取り扱いにつき、ホームページ等により周知を図り、適切な対応を促す)。

(2)対策本部の設置
 各部局で特定時期(毎年4〜6月)に集中して発生する申請事務を効率的に処理するため、特定時期に限定した「(仮称)厚生労働科学研究費申請事務対策本部」を設置し事務処理対応を集約化。

(3)取扱規定・取扱細則の改正作業前倒し
 取扱規定、取扱細則の改正作業等、事務手続きの早期化に必要な作業を可能な限り前倒しで実施。

(2)研究体制の強化
(1)多様な研究への参画スタイルの確保
 エフォート管理を徹底するとともに、特定の研究者が無理なく研究に参画できるような制度的枠組み(例:顧問、研究アドバイザーなど管理的参画が認知できる仕組みの創設)を整備。

(2)若手研究者育成の充実/U>
 年齢制限等により若手研究者のみに応募資格を限定した研究の枠組みを設定。
 人材育成の観点から各段階での評価結果を逐次フィードバックする等、教育的配慮を付加的に実施。
 研究者の育成や拡充が特に必要とされている研究分野において重点的に若手育成型カテゴリーを設定し、その分野の研究を活性化。

(3)研究基盤を支援する専門家育成の支援
 質の高い研究成果を得られるよう、疫学/統計学の専門家が研究協力者として参画することを奨励するとともに、研究費の運営上、そのような場合の研究費の上乗せを行うことを検討する。
 推進事業を活用することにより、疫学/統計学の専門家等の研究基盤を支える専門家を育成支援する仕組みが導入できないか検討する。


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