第11回多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議議事要旨


日時 平成17年2月17日(木)16:00〜18:00
場所 厚生労働省専用第21会議室(17階)
出席者 今野座長、荻野、小澤、北浦、武石、成瀬、茂出木、山極の各参集者
議事
 多様就業型ワークシェアリング制度導入・利用の検討課題について
 その他

議事要旨:

1  事務局より資料説明後、意見交換(主な発言内容は以下のとおり)

所定労働時間を恒常的に短く設定する短時間正社員(以下「タイプII」という)というのは、実態として考えられるだろうか。ずっとパートタイムで働くというのが、タイプIIということになるのだろうか。

短時間正社員がフルタイム正社員との間で自由に転換ができるものとすれば、正社員の労働時間を一時的に短くする短時間正社員(以下「タイプI」という)とタイプIIを分ける必要はない。

パートタイムで働く場合以外は、フルタイムで入職するのが通常であると思うが、いったん入職した後に途中から短時間正社員に変わり、退職までずっとそのままというのは考えにくい。

パートタイム労働者であっても正社員との均衡処遇が実現されれば短時間正社員と同じではないか。

パートタイム労働者と正社員とでは、有期か無期かの違いがあるため、パートタイム労働者には短時間正社員と比べた場合に契約期間の問題がついてくる。

高齢者については、定年延長で短時間勤務をする場合と、いったん退職して有期契約で雇われる場合の両方あり得る。

パートタイム労働者の均衡処遇を一方で考えるとすると、正社員については、入職時から短時間であろうと途中から短時間に変わろうと、フルタイム正社員と異なる人事管理区分をつくるということは難しいであろう。

パートタイム労働者であっても長期間働いて、結果的にキャリアを積んでいる場合は、それに見合った分賃金が上がっても良いはずではないか。

企業は、基幹的な役割を担っているパートタイム労働者に辞められては困るはず。もし基幹的なパートタイム労働者が正社員になりたいと言った場合、企業は賃金を上げるか正社員にするか考えるだろう。

パートタイムの場合、実態としては継続雇用されていても、有期契約の状態が続く限り、正社員と比べて企業側の期待が違うのではないか。

結果的に継続雇用されているパートタイム労働者については、現場の実態としてその人が「パート」だということを忘れているということがあるかも知れない。しかし、現場の周囲の人がそうであっても、パート本人の自覚としては、賃金も上がらず不満が蓄積するといった場合があるのではないか。

パートについては個々の評価をしていないことが問題ではないか。パートであるがために一律の処遇しかされていなくても、現場では優秀なパートであれば処遇以上の仕事をさせてしまっているのではないか。

個人を評価することは重要だが、日本の場合、1人のパートだけを正社員にしたいと思っても、他の人との並びを考えたり、正社員として受け入れる職務や格付けがなかったりして転換させることが難しい。

短時間正社員の処遇について、例えば5、6年という長い期間の場合、能力の伸長や成果の発揮が遅くなり、その分昇進・昇給も少なくなるということで、賃金については時間割にすることは考え得る。だたし、再びフルタイムに戻るといった場合に、短時間正社員だった期間のキャリアを取り戻すためにどうすればよいかが課題。

人事処遇制度について、キャリアが異なるのは仕方がないが、うまくマネージメントをすればキャリアを取り戻せる工夫があると思う。現場の努力次第で業務の改善なども可能。そのノウハウを、検討会議として提供できればよいのではないか。

短時間正社員制度利用の理由が自己啓発であっても良いと思うが、制度を導入しやすくするためには、まず育児・介護を理由とする短時間の期間を長くし、利用者が増えてきたら、段階的にその他の理由にも拡大した方が希望者も出てくるのではないか。

短時間正社員制度を利用する理由を育児・介護に限定すると、なぜその人たちだけが早く帰れるのかと逆に現場は思うのではないか。また、育児・介護は男女のものと言いながら、どうしても女性のもののように思われがちである。女性だけのワークシェアリングではなく、男性にも関わりのあるような働き方があると良い。

職場に納得性があれば、短時間正社員の理由を「勉強」と打ち出してもよいが、例えば社会人大学院では会社に黙って行く人もいるようである。とは言え、社会人大学院に行く場合は部分的に短時間にするなど、育児・介護と違って時間管理、勤務管理にバリエーションを持たせることはできる。

2. 事務局より、次回の日程については調整後、連絡する旨説明。


照会先:
 雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課 企画法規係
 電話03−5253−1111(内線7876)



多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議開催要綱


 趣旨
 多様な働き方を推進する多様就業型ワークシェアリングに取り組んでいくためには、企業の活力や経営効率・生産性を高め、雇用機会を拡大し、労働者がその能力を十分発揮できるようにし、多様な働き方が労使双方にとって適切な選択肢として位置付けられる必要がある。しかしながら、例えば短時間正社員制度を導入しようとすると、社会保険料をはじめとする人件費コストの増大への対応、業務の円滑な引継や分担の方法、その他解決すべき問題点が多く、企業においても導入になかなか踏み出せない現状にある。
 そこで、本検討会議では、多様就業型ワークシェアリングの業界、企業での普及促進を図るため、制度導入に当たって生じうる問題点及びそれに対する解決策をできるだけ具体的に提示し、当該企業における制度導入検討の際の参考に資することとする。

 構成等
(1) 本検討会議は、雇用均等・児童家庭局長が企業の労務管理に詳しい学識経験者、実務者等の参集を求めて開催する。
(2) 本検討会議には、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。
(3) 座長は、構成員が互選し、座長代理は座長が指名する。

 検討事項
 本検討会議では、以下の事項について検討を行う。
(1) 多様就業型ワークシェアリングを企業に導入する場合の選択肢の検討
(2) (1)で得られた各選択肢について、制度導入に当たって生じうる問題点のピックアップ
(3) (2)の問題点に対する解決策の検討(利用しうる既存の助成金の精査を含む)
(4) その他、多様就業型ワークシェアリングの導入を後押しすると考えられる事項の検討

 運営
 本検討会議の庶務は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課にて行う。



多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議参集者名簿

平成17年1月1日現在
  氏名 役職
今野 浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
  荻野 勝彦 トヨタ自動車(株)人事部企画室担当部長
  小澤 明子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員
  北浦 正行 社会経済生産性本部社会労働部長
  武石 恵美子 (株)ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
  田村 雅宣 日本労働組合総連合会総合労働局中小労働対策局長兼労働条件局長
  土田 道夫 同志社大学法学部教授
  成瀬 豊 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長
  茂出木 幸二 日本経済団体連合会組織協力本部長
  山極 清子 (株)資生堂CSR部次長
(敬称略・50音順、○は座長)

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