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資料I

論点整理(案)


I  職業能力開発の現状と課題
 1  現状
(1) 職業能力開発の現状について
職業能力開発の現行システムが企業・産業のニーズや社会(個人、企業、教育訓練機関)の変化に即したものとなっているか。
OJTが十分取り組まれなくなってきた理由を検証する必要があるのではないか。
OJTの中でも教育的見地からの配置、仕事の割り当て、ということが人員不足などを理由に取り組まれなくなってきており、このような部分について劣化してきているといえるのではないか。
非正規労働者の能力開発に対する意欲は高いが、その機会が十分提供されていないのではないか。
教える側の能力が低下してきているのではないか。仕事の仕方も集団的なものから個別的なものへ変化しているが、教える側がその変化に対応できていないのではないか。
民間教育訓練機関で能力開発を実施した後にミスマッチと分かって途中で脱落してしまう人が多いのではないか。第3者が能力開発を行う前に適性を見極めることが必要ではないか。
ラーニング能力が不足している者が多いのではないか。ティーチングの方法を改良することも大事であるが、ラーニング能力を高めることも重要である。
従来は基礎的な能力の習得については学校や家庭で身につけるべきと考えられてきたが、そのような前提が崩れつつあるということも考慮しておくべきではないか。


(2) 踏まえるべき社会・経済情勢の変化について
(1)  労働力の供給面の変化
 少子高齢化の進行と労働力人口の減少
 団塊の世代の定年時期の到来(いわゆる「2007年問題」)
団塊の世代の定年時期の到来は個別の企業に対してだけではなく、我が国経済全体にも大きな影響を与える問題ではないか。
団塊の世代はものづくり分野に集中しており、これが企業にどのような影響を与えるか。
 ものづくり技能の衰退
 若年者問題の深刻化(フリーター、ニートの増加等)
学校から就業への仕組みが壊れてきているのではないか。就職難のためにとりあえず大学へ行き、そのままフリーターになってしまっているという者が増加しているのではないか。
 労働者の意識の多様化
 職業生活の長期化
今後、職業生涯が長期化していく中では、中高年齢者の職業能力開発が重要となるのではないか。

(2)  労働力の需要面の変化
 経済のグローバル化の進展
外資系企業が日本に進出してくることが国内雇用にどのような影響を与えるかということも考えていくべきではないか。
 IT化、技術革新の進展
 知識社会化の進展
 サービス経済化の進展
 企業行動の変化(即戦力志向、成果主義、人材育成への投資の減少等)
企業は即戦力志向となる一方、企業内の人材育成も重視しているのではないか。
企業の即戦力志向の傾向に合わせて教育訓練の在り方を見直していくべきなのか。反対に、中長期的にみるとそのような傾向は企業にとっても望ましくないので見直していくべきなのか。
新卒採用については企業は即戦力であることを世間が考えているほど求めていないのではないか。新卒に求めているのは立ち上がりの早さ、飲み込みの早さではないか。
中途採用については企業は事業の変化の激しさもあって即戦力志向を強めているのではないか。
 雇用形態の多様化
新規学卒者が正社員として就職している割合は減少傾向にあるが、能力開発の面からどう評価するのか。


 2  今後の課題
(1) 関係者に求められる役割・課題について
(1)  労働者(例:若年者・中高年齢者、正規労働者・非正規労働者)
企業主導の能力開発に加え、個人主導の能力開発をより進めることが必要ではないか。
(2)  企業
企業は職業能力開発の主要な担い手として今後も位置付けられるべきではないか。
事業主の能力開発の取組を検証した上で、ベストプラクティスを提示していくことが必要ではないか。
民間の訓練機関の活用に関する情報も企業にとっては有益ではないか。
(3)  教育訓練機関(民間・公共)
社会人大学等が提供する教育訓練の内容が企業や産業のニーズに合致したものとなっているか。
(4)  行政(国、地方)
従来とは違った国の支援の仕方として、助成金だけではなく、情報提供や時間面での配慮という手法もあり得るのではないか。
(5)  その他(労働組合等)
労働組合の役割として労働者の能力開発や人材育成の強化などの取組もあるのではないか。
社会人が能力開発を行えないのは時間的余裕がないことも理由の一つであるが、そういう点を解決するために重要な役割を担うのが労働組合ではないのか。


II  今後の施策の方向性
 1  職業能力開発の必要性、意義
能力開発の効果を提示できるようにすることが重要ではないか。
社会的に支援していくためには、人材投資の効果を測定していくことが必要ではないか。
教育は究極のセーフティネットといえるのではないか。


 2  必要となる各施策の方向性について
(1) 教育訓練機会の提供・確保の在り方
(1) 対象者について
対象者別にどのような能力開発が必要か検討すべきではないか。
能力開発の対象者を遍く広く考えるのか。それとも、能力開発機会が得られにくい人を対象と考えるのか。後者の場合は効率や効果の観点からは高い成果が得られにくいかも知れないが、再分配施策としての意義があるのではないか。

(在職者)
現在第一線で一番仕事をしている人達がその後も第一線で仕事を続けられるような中長期的な視野に立った職業能力開発も重要ではないか。

(中高年齢者)
今後、職業生涯が長期化していく中で、中高年齢者の職業能力開発が重要となるのではないか。
中高年の中にも就業意欲が乏しい者が増加しているのではないか。現状を放置したままでは社会保障にも影響を与えるおそれがあり、このような点も踏まえた対応策を検討する必要があるのではないか。

(若年者)

(非正規労働者)
雇用保険の枠外の者や非正規労働者に対する施策をどう考えるか。

(離職者等)

(その他)
NPO、NGOでの就業や自営業も働く場として重要であり、これらの者の職業能力開発も検討していくべきではないか。

(2)  教育訓練の内容について
職業に直接結びつく教育訓練に対して支援するだけでなく、一般教養的なものであっても能力開発につながっている面もあり、どのような能力開発に対して支援すべきか整理が必要ではないか。
職業能力として必要な能力について大学などの教育機関にフィードバックできるような仕組みが必要ではないか。
ラーニング能力が不足している者が多いのではないか。ティーチングの方法を改良することも大事であるが、ラーニング能力を高めることも重要である。
バーチャルを活用してディスカッション形式で行う能力開発は自分で考える力がつくので効果的があるのではないか。様々な最新の手法をあわせて提供していくことにより、能力開発の手法も改善されていくのではないか。

(訓練への動機付け)
能力開発については、訓練の手前の動機付けの部分に対する配慮が重要である。
知識・技能を付与するというだけではなく、能力開発自体のプロセスに働く意欲を高める効用があるのではないか。

(企業内における人材の高度化)
能力開発についてのノウハウは業界共通のものも多く、業界内で共有できるようになればより職業に密接に結びついた訓練内容となるのではないか。
OJTは閉鎖的な企業特殊的な訓練と位置づけられてきたが、OJTでも企業間でトランスファーできるものもあるのではないか。
産業の基盤となるような能力で不足しているようなところについては国家レベルで能力開発機会を提供していくことが必要ではないか。

(自己啓発、リカレント教育)
リカレント教育を受けたい人が受けられるような仕組みをどう整備していくかも重要ではないか。

(セーフティネット(求職者))


(3)  必要となる支援について
能力開発への支援について、直接訓練機会を提供するだけではなく、個人に対する補助や税制、企業に対する義務づけ、情報の提供と様々な方法があり、それぞれのメリット・デメリットを十分踏まえて検討していくべきではないか。
能力開発も重要な労働条件であり、企業が職業能力開発に積極的に取り組んでいるかをわかりやすく明示するような仕組みを整備することも有益ではないか。
どこで学ぶかということも重要。身近なところに学ぶ場があるかどうかで学習の継続は違ってくる。一つの公共の施設で全てを提供するということは現実的ではない。訓練を実施する場所を貸す、サテライトにするなど、公的な教育訓練の提供方法についてもフレックスにしていく必要があるのではないか。

(個人)
能力開発を行うにあたって、どのように勉強していくのかをわかりやすくマップのような形で示すことも有効ではないか。
学ぼうとするときには学習支援のためのコーディネーターのような者による支援も必要。例えば業界の中で一番、知識や技能を持っている人を指導者として用いるのも有効だが、その場合は、「教え方」についてトレーニングする必要があるのではないか。
訓練機会を提供する前段階のプロセスをどの程度重視するのか。本人に必要な訓練と実際の受講内容が乖離している場合もある。労働者も何をしていいか分からない場合もあり、訓練前のアドバイスなどの支援も重要ではないか。
資格を取った後に自律的に能力向上を継続する仕組みも重要ではないか。

(企業)
企業に支援する際には、企業が従業員にどれだけ金銭面での支援を行ったかだけではなく、時間面でどれだけ配慮したかということも評価の対象とすべきではないか。
ミスマッチを緩和するという観点からも、地域において業界団体などからニーズをくみ取って訓練機会を提供するということも効果があるのではないか。業界団体にとっても育成される人材が明確化され、採用の可能性が高まるものとなるのではないか。
必要があれば企業は教育訓練を行う。しかしながら、具体的に何をやったらいいか認識できてない場合もあり、どのような教育訓練が必要か気付かせるということが必要ではないか。専門家によりそのための相談や助言をしていくということも重要ではないか。
企業自体がニーズを把握して教育訓練をするという自主的な取組への支援をしてはどうか。企業自身が、企業の中の問題点を把握して、その解決に向け取り組むということに対する支援もありうるのではないか。
事業主に対する義務づけということはなかなか難しいが、規制緩和による対応という方法もあり得るのではないか。
個別企業が実際にどのような内容の訓練を行っているかについて情報提供を行うことは他の企業への波及効果もあるのではないか。
企業に対しても、企業がどのような能力を必要としているかについて情報開示を求めるべきではないか。

(その他)
技能はあるが、教えることに関するノウハウが不足している場合もある。教えることについてトレーニングした上で教育訓練の場に送り込んでいくという仕組みがあってもいいのではないか。
助成金による支援だけではなく、規制を緩和するということも含めた政策メニューを考えていくべきではないか。
個人、企業、教育訓練機関等にどのように働きかけていくかについては、マーケティングの発想も取り入れながら考えていくべきではないか。
職業に直接結びつく教育訓練に対して支援するだけでなく、一般教養的なものであっても能力開発につながっている面もあり、どのような能力開発に対して支援すべきか整理が必要ではないか。

(2) 職業能力評価制度の在り方
何が評価されているのか、求められているのかということが分かるような仕組みを作るべきではないか。
行動特性や思考特性のようなものを評価することは難しい。資格など明らかにできる部分は明確にしていくとして、後は事柄毎に専門性を図るなど、できる部分についての仕組みを作っていけばいいのではないか。
ビジネスキャリア制度について、ワークスタイルの変化やIT化などを踏まえた見直しが必要ではないか。
学習体系を作るに当たっては業界を支援していくという方法もあるのではないか。
評価の仕方について、資格のように固定化してしまうのが適切か。能力は変化するものであり、継続した学習を促すためにも資格や評価の仕方も変動させる必要があるのではないか。
継続して学習することを評価する仕組みが必要ではないか。

(3) 職業能力開発を行うに当たっての相談・情報提供の在り方
キャリア・コンサルタントの養成については、資格を取った者が社会的にどのように活躍するかという姿を早く作って行くことが大きなポイントではないか。
教育訓練のためのいろいろなプログラムが提供されていてもその存在自体を知らないことも多い。ユーザー側の視点に立った情報提供になるよう工夫が必要ではないか。

(4) その他
学校から職業への移行の過程をどうやって作っていくか、若者を社会としてどう受け入れて職業能力開発を行っていくかということも検討すべきではないか。
団塊の世代が退職した後、技能継承をどうやって行っていくかは大きな問題ではないか。
グローバルな視点で、日本においては衰退している技能でも、近隣諸国においては有意義なものもあり、これを国内的にどう温存するか、海外でどう活用していくかという2つの視点で考えることが必要ではないか。


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