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(資料2)
諸外国における妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに係る規定等(概要)
  アメリカ EU イギリス フランス ドイツ 日本
根拠法令 ○妊娠差別禁止法(PDA)(公民権法第7編701条(k))(1978年)
○家族医療休暇法(FMLA)(1993年)
※FMLAの適用対象となる使用者は、州際通商に従事又は影響を与える活動を行う50人以上の労働者を雇用する使用者であり、対象労働者は、12ヶ月以上雇用され、直近の12ヶ月に1250時間以上勤務した労働者。
○男女均等待遇指令(改正76指令)(2002年)
○妊娠中及び出産直後又は授乳期の女性の安全衛生改善促進措置の導入に関する指令(92/85/EEC指令)(1992年)
○雇用権利法(1996年)及び1999年出産及び育児休暇等規則(2002年規則により改正) ○労働法典 ○母性保護法(1997年) ○男女雇用機会均等法(1997年)
○労働基準法(1947年)
妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いと性差別の関係 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半)
 →公民権法第7編703条


















(a)以下の行為は使用者
の違法な雇用慣行とする。
(1)人種・・性別・・を理由
として、個人を雇用せず、
その雇用を拒否し、解雇
すること、あるいは雇用に
関する報酬、期間、条件
または特典について、差別
待遇を行うこと、あるいは
(2)人種・・性別・・を理由
として、個人の雇用機会
を奪い、奪う可能性のある
方法で被用者または就職
応募者を制限、分離、類別
すること、あるいは被用者
たる地位に不利益を及ぼす
こと。
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)







→改正76指令第2条
1 ・・待遇平等の
原則とは、直接的
または間接的な
いかなる性差別も
ないことを意味する。
※性差別禁止法には「妊娠・出産を理由とした」という文言が入っていないため、雇用権利法に基づいて不当性を判断。(英政府からのヒアリング)
※EOCは、妊娠・出産に関連した理由による不利益取扱いは直接性差別になるとしている。
※性差別ではなく、妊婦に対する差別(仏政府からのヒアリング) ※妊娠・出産を理由とする解雇からの保護と差別禁止は別体系であるが、妊娠を理由とする不利益取扱は性を理由とする直接性差別とされる。 ○女性であることを理由とした差別ではなく、妊娠・出産に対する不利益取扱い。(解釈通達)
妊娠・
出産、
産休
取得
を理由
とした
不利益
取扱い
募集・
採用
○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。
(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○妊娠・出産又は関連する医学的な状態を理由とする、応募者の雇入れの拒否は、原則としてPDA違反(EEOCガイドライン29CFR1604.10)
○使用者は、労働者がその職務の主要な機能を果たすことができる限り、妊娠している労働者の雇入れ拒否をしてはならない。(EEOC Facts about Pregnancy Discrimination
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)

(参考裁判例)
○妊娠女性に対する法律上の就業制限を理由として妊娠女性を期間の定めのないポストに雇用することを拒絶することは許されない。(マールブルク事件(独)欧州司法裁判所2000年)
○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条) ○使用者は、雇用の拒否、試用期間中の労働契約解除、一定の配置転換に当たり、妊娠していることを考慮に入れてはならない。(法122条-25)
○使用者の女性労働者の妊娠状態に関する情報収集の禁止。(法122条-25)
※女性労働者は、採用に際し、自らが妊娠していることを使用者に告げる義務はなく、使用者からの質問に答える義務はない。従事する予定の業務内容が、妊娠中の女性の就業が禁止されているものでも同様。  
配置 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。
(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○非自発的な配置転換は差別申立の基礎になりうる。(EEOCからのヒアリング゙)

(参考裁判例)
○妊娠5ヶ月以降のサービス係のウェイトレスを、他の収入が減る係に配置することは、PDA違反。(W&O社事件2000年)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7) ○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱い の禁止。(法47条C、規則19条) ○合意がある場合、賃金の減額を伴わない一時的な配置転換は可能。(法122条-25-1)    
原職等への復帰の権利 ○使用者は、他の休業の際と同じ期間だけ、妊娠・出産による休業の場合に原職を空けておかなければならない。(EEOC"Facts about Pregnancy Discrimination")
○家族医療休暇終了後は、原職又は原職と賃金その他労働条件が同等の職に復帰する権利を有する。(FMLA104条(a)(1))
○産休を取得した女性は、産休明けに、原職又は原職と労働条件が同等の職に復帰する権利を有する。(改正76指令2条7) ○通常産休を取得した労働者は、休暇前の職務に復帰する権利を有する。(法71条(4)(c)、規則18条(1))
○追加産休を取得した労働者は、休暇前の職務又は妥当な別の職務に復帰する権利を有する。(法73条(4)(c)、規則18条(2))
○通常産休からの復帰の権利は、(1)休暇を取得しなかった場合と同様の年功、年金及び類似の権利を伴い、かつ(2)休暇を取得しなかった場合に適用される条件よりも劣らない条件であることが必要。(法71条(4)、(7)、規則18条A(1)(a)(A)、(b))
○追加産休からの復帰の権利は、(1)休暇を取得する前の雇用と取得した後の雇用が継続していた場合と同様の年功、年金及び類似の権利、かつ(2)休暇を取得しなかった場合に適用される条件よりも劣らない条件であることが必要。(法73条(4)、(7)、規則18条(2)、18条A(1)(a)(@))
○産休中の剰員の場合は、(通常産休か追加産休かにかかわらず)代替の雇用を提供される権利を有する。(法74条(1)、規則10条)

(参考裁判例)
○金融サービス部門の秘書をしていた女性が、産休復帰後、異なる部門の秘書の地位を提供されたことは、復帰前の仕事に戻ったと判断された。(バンクス事件1994年)
○一時的な配置転換は、妊娠期間終了または女性が従前の職に復帰することが可能な健康状態となれば、終了する。産休終了後就労を再開する際には、従前の職に再配置される。(法122条-25-1、122条-26)
○産休後、労働者は産業医の診察を受ける利益を享受する。この診察は、従前の職への復帰する能力を回復したか、労働条件に適合するか、場合によっては何らかの措置が必要か判断するものであり、復帰後8日間の間に行われる。(規則241-51)
※産休の終了時には、自動的に自分の職に復する。当該職が無くなっている場合には、同等の報酬を伴う類似の職が提供される。(仏政府からのヒアリング)
○母性保護法に規定なし。
※労働法の一般原則から、労働契約上あるいは実際に就業していた職場と同等の職場への復帰が保障される。ただし、使用者の指揮命令権の範囲内で、今までと異なった職場・職務への復帰も認められる。
 
昇進 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)

(参考裁判例)
○産前産後休業を取得したことにより女性労働者が年に一度業績査定を受ける権利を否定することは、女性を差別することとなる。(チボー事件(仏)欧州司法裁判所1998年)
○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条)      
教育訓練 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7) ○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条)

(参考裁判例)
女性の見習い巡査に対し、かかりつけ医の危険はないとの所見があるにも関わらず、妊娠を理由として、訓練から外し、実質上女性のキャリアを停止してしまうことは、妊娠を理由とした差別。
(タップ事件:雇用審判所1998年)
     
福利厚生 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。
(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7) ○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条)      
解雇 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○妊娠・出産又は関連する医学的な状態を理由とする労働者の解雇は、原則としてPDA違反。(EEOCガイドライン29CFR1604.10)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)
○妊娠の開始から産前産後休暇の終了までの解雇の禁止(労働者の状況とは関係がない例外的な場合として国内法等において容認される場合を除く。)。(92/85/EEC指令10条)

(参考裁判例)
○産休の代替要員として期間の定めのない雇用契約を締結していながら、採用直後に妊娠したために勤務できない当該女性を解雇することは性差別となり、雇用契約の基本的な部分の遂行が不可能であることを根拠としても解雇は正当化されない。(ウェッブ事件(英)欧州司法裁判所1994年)
○雇用契約が有期であれ期間の定めないものであれ、妊娠を理由とする解雇の差別的な性質に影響を及ぼさない。(テレ・デンマーク事件(デンマーク)欧州司法裁判所 2001年)
○採用後、妊娠していることを告げた女性労働者が、募集の際に妊娠していることを報告しなかったことを理由として解雇されたことについて、妊娠を理由とする解雇は性による直接差別に該当し正当化されないとした。(ニールソン事件(デンマーク)欧州司法裁判所2001年)
○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条)
○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とする解雇は不当解雇とみなされる。(雇用権利法99条、規則20条)

(参考裁判例)
○女性労働者が、出産休暇復帰後、出産休暇中の代替要員と労働時間をシェアするために、度々労働時間を削減され、退職に至ったのは、巧妙な解雇であり、性差別とされた。(ギレスピー事件2002年)
○妊娠中、産休期間中、産休期間満了後4週間の間の労働契約の解除の禁止。(妊娠に関係しない労働者による重大な過失等による場合を除く。)(法122条-25-2) ○妊娠中および出産後4ヶ月までの女性労働者に対して、使用者が解雇告知の時点で妊娠・出産を認識していた場合、または解雇告知受理後2週間以内にその旨を通知された場合は、解雇告知は認められない。(法9条)ただし、行政官庁の許可を得て例外的に特別解雇をすることは可能。(法9条(3)) ○婚姻、妊娠、出産したことを退職理由として定めることを禁止。(均等法8条(2))
○婚姻し、妊娠し、出産し、産前産後休業をしたことを理由とする解雇の禁止。(均等法8条(3))
○産前産後休業期間及びその後30日間の解雇の禁止。(労基法19条(1))
雇止め ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)
(参考裁判例)
○ホームヘルパーとして有期の労働契約を4回更新(うち最初の2回は契約の終了期間が示されていたが、後の2回は契約の終了期間が示されず、後に手紙で終了日が示される方式)された女性が、妊娠を告げた後、使用者から、契約を終了される旨告げられ、契約が終了された事案について、労働者が妊娠したために有期契約を更新しないことは、均等待遇指令に
規定する性による直接差別を構成するとされた。(メルガー事件(スペイン)欧州司法裁判所2001年)
○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条)     ○形式的には雇用期間を定めた契約であっても、それが反復更新され、実質においては期間の定めのない雇用契約と認められる場合には、その期間の満了を理由として雇い止めをすることは「解雇」に当たるものであること。(解釈通達)
賃金 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○昇給について、他の一時的労働不能の労働者と同様に取り扱わなければならない。(EEOC"Facts about Pregnancy Discrimination")
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)
○産休を取得した女性は、産休明けに、休暇中に受けられるはずであった労働条件の改善の恩恵を受ける権利を有する。(改正76指令2条7)
○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条)      
産休中に取得した権利等 ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)
○健康保険の提供に当たっては、妊娠に関連する健康状態を他の健康状態と同様に取り扱わなければならない。(EEOC"Facts about Pregnancy Discrimination")
○先任権の蓄積及び付与、休暇の計算、昇給及び一時的障害給付において、他の一時的労働不能の労働者と同様に取り扱わなければならない。(EEOC"Facts about Pregnancy Discrimination")
○健康給付については、家族医療休暇中に勤務を継続していたならば与えられていたはずの内容と同内容で継続しなければならない。(FMLA104条(c))
○家族医療休暇から復職する労働者は休暇前に有していた全ての雇用上の権利を有する。(FMLA104条(a)(1))
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)
○産休を取得した女性は、産休明けに、休暇中に受けられるはずであった労働条件の改善の恩恵を受ける権利を有する。(改正76指令2条7)
○妊娠・出産、通常産休・追加産休を取得したこと又は取得しようとしたことを理由とするあらゆる不利益取扱いの禁止。(法47条C、規則19条)
○通常産休を取得した労働者は、休暇を取得しなかった場合に適用されたはずの雇用条件(賃金を除く)の利益を受ける権利を有し、義務を負う。(法71条(4)(a)及び(b)、規則9条)
○追加産休を取得した労働者は、事業主の黙示の義務から生じる利益、雇用契約終了通知等に関する雇用条件から生じる利益を受ける権利を有する(法73条(4)(a)及び(b)、規則17条)。また、事業主に対する黙示の義務及び自己による雇用契約終了通知等に関する雇用条件に拘束される。(法73条(4)、規則17条)。
○産休の期間は、勤続年数を基に被雇用者が有する諸権利の決定に当たっては実働期間とみなされる。(法122条-26-2)

○男女均等待遇指令(改正76指令)の「産休中の労働条件の改善の恩恵を受ける権利」が国内法で担保できているのか否かは検討中。(仏政府からのヒアリング)
   
妊娠・出産起因の症状を理由とした不利益取扱い ○妊娠・出産及び関連する医学的状態に基づく差別は、性に基づく差別とされる。(公民権法第7編701条(k)第1文前半、703条(a))
○妊娠・出産又は関連する医学的状態により影響を受けている女性は、福利厚生を含むすべての雇用に関連する条件において、同様の労働能力又は不能力の状態にある他の者と同じ取扱いを受けなければならない。(公民権法第7編701条(k)第1文後半)

(参考裁判例)
○試用期間中に、妊娠による健康状態の問題から欠勤、遅刻、早退を繰り返し、解雇されたことについて、妊娠以外の理由による労働者の欠勤を見過ごすのでなければ、PDA違反ではないとした。(アーミンド事件2000年)
○指令92/85/EECの範囲内の、妊娠又は出産に伴う女性に対する不利な待遇は、本指令の範囲内の差別に相当することとする。(改正76指令2条7)
○妊娠の開始から産前産後休暇の終了までの解雇の禁止(労働者の状況とは関係がない例外的な場合として国内法等において容認される場合を除く。)。(92/85/EEC指令10条)

(参考裁判例)
○女性労働者が妊娠に起因する病気が原因の就労不能により欠勤したため、26週以上病気のために欠勤する場合は解雇されると規定された雇用契約に従い、(産休取得前であっても)妊娠中に解雇されたことは、性差別となる。(ブラウン事件(英)欧州司法裁判所1998年)
○(産休前とは異なり)産休後については妊娠及び出産が原因で生じた病気を他の病気と区別する理由はなく、出産1年後に100日間の病休を取得した女性労働者を解雇した場合、女性と男性とで取扱いが異ならない場合、性差別とはならない。(ヘルツ事件(デンマーク)1990年)
      ○妊娠・出産に伴うものであることが通常である症状により休業を取得したことを理由とする解雇は、通常、労働者が同様の休業等を取得しても解雇に至らない場合には、実質的には妊娠・出産を理由とした解雇となる可能性がある。(解釈通達)
母性保護措置、妊娠・出産休暇等 【PDA、EEOC"Facts about Pregnancy Discrimination"】
○他の一時的労働不能の労働者と同様に取り扱わなければならない(仕事内容の軽減、代替的業務の割当、障害休暇の付与、無給の休暇の付与等)。
○健康保険(使用者が提供する健康保険においては、妊娠に関連する健康状態を、他の健康状態と同様にカバーしなければならない。)
○付加給付(使用者が、休業中の労働者に何らかの給付を行っている場合は、妊娠・出産に関連する状態により休業中の労働者に対して、同様に給付を行わなければならない。)
○先任権等(先任権の蓄積及び付与、休暇の計算、昇給及び一時的障害給付において、他の一時的労働不能の労働者と同様に取り扱われなければならない。)

【FMLA】
○資格のある労働者に、(1)子の誕生及び生まれた子の世話のため、(2)労働者自身が職務を遂行できないような深刻な健康状態(妊娠によって日常生活が不能になること及び産前のケアを含む)にあるため、(3)労働者の配偶者、子又は親が、深刻な健康 状態にある場合に、その世話をするため等の事由による休暇の権利(12ヶ月で12週間)の付与。(法101条(b)(1)、102条(a)(1)(2))
※州法によっては、出産休暇をFMLAとは異なる形で義務づけているものもある(カリフォルニア州等)。
○最低14週間の出産休暇(出産前後の最低2週間の強制出産休暇を含む)(92/85/EEC指令8条)
○出産休暇中の雇用契約に関する権利、賃金の確保及びもしくは十分な手当の受給の保障。(92/85/EEC指令11条)

○妊婦検診のための休暇を受ける権利の付与(賃金は全額保証)。(92/85/EEC指令9条)
○使用者は、安全・健康への危険性、妊娠中・授乳期の労働者への影響が明らかな場合、労働条件、労働時間を一時的に調整することにより、必要な措置を講じなければならない(労働条件、労働時間の調整ができない場合、別の仕事に異動。別の仕事への異動ができない場合、必要な全ての期間、休暇が与えられる。)。(92/85/EEC指令5条)
○妊娠中・授乳期の労働者の、安全・健康が冒されるような暴露の危険のある業務の禁止。(92/85/EEC指令6条)
○妊娠中の労働者は、診断書の提出を条件に、夜業を行わないことを保障される(昼間の仕事への転換。それができない場合は休暇もしくは出産休暇の延長)。(92/85/EEC指令7条)
○92/85/EEC指令5,6,7条の場合、労働者は、賃金の確保、もしくは十分な手当の受給等の保障。(92/85/EEC指令11条)
○通常産休の取得(出産するすべての女性労働者が取得できる26週間の休暇。強制産休は出産後2週間)。(法71、72条、規則7条(1))
○追加産休の取得(通常産休をとる権利を有し、勤続1年以上の女性労働者が取得できる、通常産休期間終了後26週間の休暇)。(法73条、規則7条(4))
○産休中は、法定出産給付ないし出産手当が支給。(社会保障拠出・給付法1992年)

○妊娠した女性労働者は出産前診察休暇のため有給のタイムオフを取ることができる。(法55条)
○妊娠、出産、授乳中の女性が、健康・安全に有害な仕事についている場合には、就業を中断する権利がある(法66条)(労働者は代替の仕事を提供される権利を有し、代替労働が与えられず休職せざるをえない場合には、報酬の支払いを保障)。(法64条、68条)※性差別禁止法の趣旨から、妊娠中・出産後の女性に対する包括的な就業禁止規定は存在しない(妊娠、出産、哺育に対し危険性の高い業務や要素について政府の広報資料に示されているが、事業主はケースバイケースで対応。必要に応じて就業中断措置。)。
○産休の取得(第1子、第2子は産前6週間、産後10週間、第3子以降は産前8週間、産後18週間。なお、双子の場合、産前12週間、産後22週間、3つ子以上の場合、産前24週間、産後22週間。)。(法122条-26)
○産休に対する賃金保障
○医学的な証明書により、妊娠・分娩に起因する病理状態については、出産予定日前の2週間及び出産後の4週間を限度として、産休の延長。(法122条-26)

○医学的に証明された妊娠の状態または出産直後である労働者について、(1)危険業務に就いている場合、雇用主は産業医の所見を勘案し、他の職務を提案しなければならず、また、(2)夜間労働に就いている場合、本人の要求または産業医の証明により、昼間の職務に配置転換される。・配置転換は、産業医の申請書により最長1ヶ月の延長が可能である。この配転により、賃金の減額は認められない。他の事業所への配転については労働者の同意を必要とする。(規則2002-792)
・夜間業務・危険業務に就いている場合、雇用主が別の職務を提案できない場合、当該労働者の雇用契約は産休開始日まで停止される。労働契約の停止期間中、労働者は(1)雇用主により給付される補足手当、(2)第1次的疾病保険金庫により給付される日給手当を受ける。(法122条-25-1-1、122条-25-1-2)
○妊娠中の女性は給与を喪失することなく、義務的定期検診を受診するために欠勤する権利を持つ。(法122条25-3)
○授乳時間の取得(子の誕生後1年間、授乳を行っている母親は、労働時間中の1時間授乳時間に使うことができる。)(法224条-2)
○国籍、既婚、未婚、フルタイム・パートタイムに関係なく、ドイツ国内において雇用関係にあるすべての女性労働者に対し適用される。(法1条)

○産前6週間は妊娠中の女性が意思表示をした場合のみ就業させることができる。(法3条(2))
○産後8週間の絶対的な就業禁止。(法6条1項)
○産前産後保護期間中の所得保障(要件を満たす法定疾病保険加入者は、法定疾病金庫による母性手当及び使用者から付加給付が支給される等。)。(法13条)

○使用者に対し、妊娠・授乳期間の女性労働者に対する職場や作業内容の構成に関する配慮義務。(法2条)
○妊娠・授乳期間中の女性労働者を著しい肉体的負担を伴う業務、有害な影響にさらされる業務に就かせてはならない。(法4条(1)、6条(3))
○使用者は、妊娠中の女性労働者に対し、就業の継続が母体・胎児に危険を及ぼす可能性があると医師が診断した場合、就業させてはならない。(法3条(1))
○産後数ヶ月は、医師の診断書により、女性労働者の体調が労働のために完全ではないとされた場合、使用者は労働能力を超える就業をさせてはならない。(法6条)
○妊娠・授乳期間中の女性労働者の夜間・休日労働の禁止。(法8条)

○時間外労働の制限。(法8条(2))
○授乳時間の保障。(法7条)
○就業禁止時の所得保障(産前産後の保護期間外で一般的及び個別就業禁止により、就業できず、職務が変わった場合においても、それまでの平均賃金を得ることができる。)。(法11条)
○6週間(多胎妊娠の場合は14週間)の産前休暇、8週間の産後休暇(産後は強制。但し、産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは差し支えない。)。(労基法65条(1)(2))
○出産一時金の支給及び一定の労務に服さなかった期間、1日につき標準報酬日額の6割に相当する出産手当金の支給。(健康保険法101,102条)

○使用者は、妊娠中の女性が請求した場合、軽易な業務に転換しなければならない。(労基法65条(3))
○使用者は、妊産婦を危険有害業務に就かせてはならない。(労基法64条の3)
○妊産婦が請求した場合は変形労働時間制の適用が制限され、時間外労働、休日労働、深夜業が禁止される。(労基法66条)
○育児時間の確保。(労基法67条)
○使用者は、女性労働者が妊娠中及び出産後の保健指導又は健康診査を受けるための時間を確保し、指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等の必要な措置を講じなければならない。(均等法22、23条)


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