第8回抗がん剤併用療法に関する検討会 議事要旨
厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬食品局審査管理課
○ 日時 | 平成17年2月7日(月)14:00〜16:00
|
○ 場所 | 厚生労働省18階 専用第22会議室
|
○ | 出席者
(有識者)
有吉 寛 | 県立愛知病院 名誉院長 |
北島 政樹 | 慶應義塾大学医学部 部長・外科学教授 |
黒川 清 | 東京大学先端科学技術研究センター 客員教授 |
西條 長宏 | 国立がんセンター東病院 副院長 |
佐々木 康綱 | 埼玉医科大学医学部 教授 |
藤村 重文 | 東北厚生年金病院 院長 |
堀田 知光 | 東海大学医学部 教授 |
堀内 龍也 | 群馬大学医学部 教授・薬剤部長 |
渡辺 亨 | 国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授 |
(オブザーバー)
米国研究製薬工業協会
欧州製薬団体連合会
日本製薬工業協会
(事務局)
岩尾 總一郎 | 医政局長 |
阿曽沼 慎司 | 医薬食品局長 |
安達 一彦 | 医政局研究開発振興課長 |
川原 章 | 医薬食品局審査管理課長 |
|
○ | 議事
1. | 開会
|
2. | 抗がん剤併用療法に関する検討会 ワーキンググループからの報告について
|
3. | フリーディスカッション
|
4. | その他
|
5. | 閉会 |
|
○ | 配付資料
座席表
資料1 | 抗がん剤併用療法に関する検討会 名簿 |
資料2 | 抗がん剤併用療法に関する検討会 運営要綱 |
資料3 | 抗がん剤併用療法に関する検討会 ワーキンググループ作業の進行状況(第2バッチ) |
資料4 | 抗がん剤併用療法に関する検討会 ワーキンググループ作業の進行状況(全体版) |
資料5 | ワーキンググループにおけるフリーディスカッションのまとめ |
資料6 | 抗がん剤併用療法に関する検討会の検討結果について(案) |
|
○ | 議事要旨
1 | .開会
|
2 | .抗がん剤併用療法に関する検討会 ワーキンググループからの報告について
【WGでの検討内容について】(資料3,4)
○ | 国立がんセンター中央病院藤原康弘参考人より以下のような説明があった。 |
・ | 前回の検討会以降1回のワーキンググループを開催し、第2バッチの残りの品目について検討を行った。 |
・ | ワーキンググループにおいて、当初設定していた以下5つのクライテリアをもとにエビデンスレベルの検討を行った結果、公知の基準を満たすものはなく、第2バッチの残りの品目については、本日の検討会に上程しないこととした。
> | 無作為化比較試験あり |
> | 国際的標準教科書に記載あり |
> | peer-reviewed journalの総説・メタアナリシスあり |
> | 国際的な診療ガイドラインあり |
> | 国内での使用実績に関するエビデンスあり |
|
・ | 第2バッチ以降の検討品目については、現時点でエビデンスレベルが医学薬学上公知のレベルに達していないと判断し、ワーキンググループにおいて、これ以上の検討を行わないこととした。 |
・ | 本検討会による抗がん剤の適応拡大については、ここまでで終了すべきであるとワーキンググループとして判断した。 |
・ | 本検討会によって、医療現場の治療については、相当程度の改善はあったと考え、当面必要な薬剤については、手当てできたと考える。 |
|
3 | .フリーディスカッション
【ワーキンググループにおけるフリーディスカッションのまとめ】(資料5)
○ | 国立がんセンター中央病院藤原康弘参考人よりワーキンググループにおけるフリーディスカッションのまとめについて以下のように報告があった。 |
・ | 国際共同治験に我が国から積極的に参加することが可能となるよう、治験実施計画書の効能・効果、用法・用量部分が国内既承認内容からはずれる場合(とくにランダム化比較試験の場合の対照薬)であっても治験届けに際しては柔軟に対応すべきである。 |
・ | 類似薬(同種同効薬)のhead-to-head のランダム化比較試験を治験で行おうとすると、メーカーの紳士協定で治験薬(とくに対照薬)の提供を拒否され、臨床現場でもっとも興味のある治験や市販後臨床試験が実施できないことが多い。 |
・ | そのような試験を市販薬を対照薬として用いて通常の治験あるいは医師主導治験で行うなどの措置が必要である。 |
・ | 世界で標準的に用いられている用法・用量であるが、国内でのエビデンス不足のため事前評価まで進まなかった療法について、今後の対応策の検討が必要である。 |
・ | 特に、サルベージ療法に用いられる薬剤については、今後もランダム化比較試験が行われる可能性は低い。第II相試験の結果をもって承認に至るような方策を確立するべきである。 |
・ | 新薬の導入が海外よりも遅れると国内で治験を行って承認されるまでに海外において臨床研究がなされてしまい、国内でのがん研究の振興に大きな問題を生じさせる。国際同時臨床開発の促進策を練るべきである。 |
・ | 海外に比べて国内のがん承認については非常に遅れているので、一気に追いつくことができるような方策も考えるべきではないか。
一気に追いつくような方策はなく、地道に積み重ねていくことで徐々に差を埋めるしかない。 |
・ | 適応外使用の承認の取得のために医師主導治験の活用が考えられるが、GCPで要求される内容が厳しすぎるため実行が非常に困難である。 |
・ | 医師主導治験の治験届出に求められる要件もFDA(sponsor-investigator IND)等と比べても非常に厳しいものである。初回治験届出時には相当程度の厳密なものが必要と考えるが、2回目以降の治験届出に関してはもっと効率的に行えるような要件とすべきである。 |
・ | GCPの内容ではなく治験届出の負担の軽減だけでもかなり医師主導治験が推進される。 |
・ | がん領域においては、一部の例外を除き、効能や副作用には人種差はほとんど認とめられない。さらに人種差は市販後における多数の症例の積み重ねによらなければなかなか明らかになるものではないので、それを念頭においた承認審査が行われるべきである。 |
・ | 人種差よりも国内と欧米との抗癌剤を処方する医師の技量の差の方がよほど大きいと思う。 |
・ | メーカー公取協の規定にもとづく企業から医師への薬剤提供の道を残しつつ、医師主導治験の制度を進めるのはダブルスタンダードである。統一化して欲しい。 |
【抗がん剤併用療法に関する検討会委員によるフリーディスカッション】
・ | 悪性胸膜中皮腫に対するシスプラチン(表中番号21)については、ペメトレキセドとの併用での治験になると思うが、2薬剤とも未承認での治験は制度上問題ないのか。→併用することでポジティブデータが出ているので、このようなものについては、単剤で治験を行うより、併用で行う方が妥当である。このようなものについては、治験届出があれば受理する。 |
・ | 医学薬学上公知のレベルから判断すると、今回検討された61療法は適当であると考えるが、実際の医療現場で本当に問題となっているのは、それら以外の療法である。それらについては、別途スキームを考え検討していく必要がある。 |
・ | 医療現場としては、類似薬(同種同効薬)の優劣についてはっきりさせておきたい。このような、企業主導の治験が実施されないものについては、医師主導治験等で対応できる枠組みを検討して欲しい。 |
・ | 医師主導治験のハードルをもう少し低くすることは出来ないのか。(例:JCOG) |
・ | 現在、薬事法上の承認と保険適応は1対1の対応となっているが、この件について、今後検討を行う予定はあるのか。→昭和55年に保険局より発出された「保険診療における医薬品の取扱いについて」等すでにある通知を再度周知し、活用していくのがよいのではないか。 |
・ | 「保険診療における医薬品の取扱いについて」は、社会保険診療報酬支払基金あてに通知されたもので、各都道府県においては未だバラツキがある。したがって、本通知の周知を行ったとしても問題解決とはならない。 |
・ | 適応外使用の解決策として、「薬事法上の承認によるアプローチ」と「保険の解釈によるアプローチ」の2つが考えられるが、やはり適応外使用の問題については、「薬事法上の承認」により解決していくべきである。 |
・ | 人種差については、イレッサ等の問題もあるので慎重に検討する必要がある。 |
・ | サルベージ療法への対応及び治験の空洞化について、解決するためのスキームを作るべきである。 |
・ | サルベージ療法、その他第III相試験が実施できないような療法については、第II相試験の結果をもって、医学薬学上公知の基準を満たすとすることはできないのか。 |
・ | グローバル治験に参加し、成功例を作ることが重要である。その際、JCOG等を利用し症例数の確保に努める。 |
・ | 現在国内で使用されている療法のエビデンスを確立するための臨床研究の実勢体制を整備する必要がある。 |
・ | 渡辺委員より、「閉経後乳癌における卵巣機能抑制剤とアロマターゼ阻害剤の併用に関する併用療法の検討提案」(当日配付資料)について説明があった。 |
【まとめ】
・ | ワーキンググループのフリーディスカッション結果及び本日のフリーディスカッションの結果について整理し、今後の対応策について検討する。 |
|
4 | .その他
【抗がん剤併用療法に関する検討会の検討結果について】(資料6)
○ | これまでの検討会での検討結果について、事務局より以下のような説明があった。 |
・ | 抗がん剤の併用療法等におけるいわゆる適応外使用の解消のため、がん化学療法の専門家、行政、製薬業界が協力して、有効性、安全性に関するエビデンスを収集していくための「抗がん剤併用療法に関する検討会」を平成16年1月から開催した。 |
・ | 平成16年3月の検討会においては、59の療法(このうち23の優先的な療法を第1バッチとして選定)を検討対象として選定し、ワーキンググループによるエデンスの収集を開始した。 |
・ | 第1バッチの23療法については、平成16年7月までに検討を終了し、15療法について報告書を作成した。 |
・ | 第1バッチ以外の36療法については、新たに2つの療法を加えた上でワーキンググループにおいて再度検討し、平成16年8月の検討会において、第1バッチよりの継続1療法を含む16療法を次の検討対象(第2バッチ)として選定し、ワーキンググループによるエビデンスの収集を開始した。 |
・ | 第2バッチの16療法についても本日までに検討を終了し、6療法について報告書(報告書としては5つ)を作成した。また、第2バッチの残りの10療法については、医学薬学上公知とするにはエビデンスが不足していると判断した。 |
・ | これまでに検討会で報告書を作成した21療法については、全て薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会での事前評価を終了し、1療法は既に承認されている。残る20療法のうち、12療法については既に承認申請が行われており、8療法は承認申請の準備中である。パミドロン酸二ナトリウムの乳癌の骨転移に対する効能拡大については承認の手続き中である。 |
【まとめ】
・ | 抗がん剤の適応外使用の解消のため、本検討会では専門家からの要望を収集した上で61療法を検討対象として選定し、今回これらの療法についての検討をすべて終了した。この間、21療法についての報告書を作成し、また、7療法については、別途承認がなされたこと等により適応外使用が解消している。 |
・ | 専門家より要望のあったこれら以外の療法については、現時点において医学薬学上公知のレベルを満たすエビデンスを収集することは困難と考えられる。 |
・ | 製薬業界など関係者のご協力を得た本検討会における取組みにより、多くの領域における適応外使用についての問題が解決する見込みであり、本検討会の目的はほぼ達成された。 |
【今後の予定について】
|
|