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第21回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成17年2月3日(木))


1.委員の出欠
小笠原委員、神田委員が欠席。

2.概要
(1)期限表示ガイドラインについて

事務局より資料2について説明。
その後、説明者(米谷委員)よりガイドライン(案)について説明。

座長:期限表示は共同会議の出発点であり、責任のあるテーマである。今回のガイドラインに基づいて、それぞれの食品について根拠に基づいた期限を設定することになるだろう。また、食品は広範にわたるので、原則を示した形になっているようだ。
委員:食品業界の実態は、理化学、微生物学試験の結果よりも、官能検査の結果に基づいて期限設定がされている場合が多い。実際には、長期に安全であるものでも、商品性の観点から短く期限設定されている。
委員:期限表示は食品の破棄の原因になっている。例えば、サラダ油になぜ期限表示がされているのかわからない。期限表示の意味を消費者に伝える手法を考えなくてはいけないのではないか。賞味期限、消費期限の用語、定義の統一も十分に周知されていない印象がある。ウサギとカメのパンフレット(期限表示についてのパンフレット)を再度広く配布するなど、消費者への普及啓発をしなくてはいけないと思う。
委員:消費者からの問い合わせで多い質問は期限を過ぎた食品を食べても大丈夫であるか、という内容である。その質問に対して流通業者として独自に科学的な検討をして、回答してきた食品もあるが、製造者からの情報を提供することにとどまっている食品もある。小規模の食品事業者では、科学的根拠の設定に苦慮してきたところもあり、今回のガイドラインによって、個々のメーカーで科学的データを取っていくということが進むことを期待している。
委員:ガイドラインとしてまとまったことは良いことである。消費者にとって期限表示は興味のある内容である。しかし、期限表示は定められた保存方法、開封前という条件において設定されていることが十分理解されていないし、保存方法はしっかり見られていない。ガイドラインにおいても期限の設定の前提となる保存方法についての記載がないことが気になる。いずれにしても、期限表示は定められた保存方法、開封前という条件において設定されていることを普及啓発して頂きたい。
座長:期限表示は定められた保存方法、開封前という条件において設定されているということをガイドラインに盛り込めないか。 説明者:今回のガイドラインは、期限表示を行う食品事業者が参考にするものという前提で作成しているので、期限表示は定められた保存方法、開封前という条件において設定されているということについては、ガイドラインの範疇ではなく、消費者に対して普及啓発すべき内容であると思う。また、補足として、1年を越えるような長期保存可能な食品は、試験が可能な範囲内で期限を設定することはやむを得ないとしている。医薬品において加速試験や過酷試験を実施して、それらの試験結果から期限を設定している場合もあるが、結果の解釈が困難であることから今回のガイドラインからはこれらの試験を除外した。
座長:消費者に対して普及啓発すべきとの発言があったが、具体的には事務局はどのように考えているのか。
事務局:今回のガイドラインの趣旨は説明者の説明の通りである。しかし、一方で消費者への周知という点で、期限表示は定められた保存方法、開封前という条件において設定されているということはガイドラインと共に必要な情報であると思う。従って、両省でガイドラインを通知する際に、別添としてガイドラインを付けると共に、通知の文章の中に御指摘の点を反映させたい。
座長:了解した。
委員:保存方法については、一括表示事項である。特別な保存方法が必要なものは別途表示されており、今回の期限表示ガイドラインそのものには馴染まないと思う。
事務局:前回まで一括表示の見直しを議論して頂いたが、この見直しの中で賞味期限が開封前である旨や、開封後の取り扱いについても一括表示の中に書けるようにすることも考えている。開封前の期限と共に、「開封後はできるだけ早くお召し上がり下さい」等の取り扱いについて、事業者の工夫により書かれるようになれば、消費者の理解も進むのではないかと考えている。
委員:ガイドラインは良くできていると思う。今回のガイドラインが、これまで企業がそれぞれで行ってきた期限表示のやり方との整合性を十分取って頂きたい。また事業者だけではなく、広く消費者にも浸透させて頂ければと思う。
座長:今後の進め方はどのようになっているのか。
事務局:委員から頂いた意見を踏まえて都道府県等に通知させて頂きたい。
座長:なお、6ページにある製造時「間」は、製造時「刻」の方が適切であると思うので、御検討頂きたい。

(2)市町村合併に伴う表示について

事務局より資料3について説明。

座長:市町村合併に伴う表示については、旧住所であっても実質的には影響がないだろうということのようだ。
委員:この問題は企業も非常に関心がある。「当分の間」という期間の設定は賛成である。季節商品や小規模の食品事業者では包材の切り替えに時間がかかる。また、包材が旧市町村の表示のままであれば、消費者から商品が古いのではないかと疑問を持たれるので、実際の包材の切り替えは速やかに行われると思われることからも、「当分の間」という期間の設定で良いと思う。
委員:市町村名については、地域名というブランドの観点もある。合併に伴い市町村名が変わり、表示について指導を受けることもあり、商品の特性に応じて運用されるように監視部門への徹底をお願いしたい。やはり包材のコストは小規模の食品事業者には影響が大きい。例えば、転居したときの郵便の転送のように、柔軟な運用をお願いしたい。
事務局:郵便の転送についてお話があったが、事前に郵政公社に確認しており、市町村合併前の旧市町村名で書かれた郵便物については、分かる範囲内で永久的に配達すると聞いている。
座長:市町村合併は食品事業者など当事者の都合で行われるものではない。実際に問題があっても迅速に遡り調査が可能であれば、期限を設定することもないだろうし、なにより、いつまでも包材が旧市町村の表示のままであるのは、消費者の信頼を損なうという指摘もあった。特に御意見がなければ、対応案については、期限を設けず「当分の間」認めるということにする。

(3)生鮮食品の表示について

事務局より資料1について説明。

座長:生鮮食品の表示ということで、農、畜、水の広範に渡って課題があげられている。それぞれ性格が異なるが、中でも水産物の課題が最も難題に感じる。農、畜と同列に扱うことは難しいかもしれない。
事務局:今回はJAS法における生鮮食品表示について現状と問題点を整理した。資料中にある生鮮と加工の整理や製造・加工の定義については、別の機会にご議論頂く必要があると思っている。JAS法における生鮮食品の表示、特に原産地表示のあり方について、今後しばらくご検討頂きたいと考えている。水産物については、専門の方をお招きし、実態を聞くことが必要と考えている。
委員:初めて共同会議に参加するが、会議の進め方を確認したい。今回の資料では、課題が6つあがっているが、その対応案は提示されていない。課題だけでなく事務局の対応案もあわせて提示するのが筋だと思うのだが。
座長:通常の審議会などはそのようなことが多いが、共同会議は厚生労働省と農林水産省の新しい形の会議であり、進め方も少し異なっている。初めから事務局の対応案について議論するのではなく、まず課題を受け、会議の場で方向を提示し、必要な資料は用意してもらう。時間はかかるが、広い視点で偏見なく議論することとしている。
事務局:本日は漠然とした課題をお示ししたが、こういう観点からのデータが必要であるなどと、判断材料をリクエストしていただければ、次回以降、課題が少しずつ見えてくるものと考える。
委員:議論の中から対応案ができてくるということか。了解した。
座長:我々は本会議を2年以上続けている。今回新しく加わった委員には新しい風を入れていただきたい。
委員:水産物については整理すべき課題が多い。養殖とは何か。また、牛の場合は、子牛段階から肉として使われ、成長は時間に比例するのに対し、魚の場合は、肉と異なり食べるに適する大きさになる直前に急激に成長する等、必ずしも長い期間育てることが原産地として重要とは言えない面もある。味について何を基本に考えるか等の観点も必要ではないか。また、全てに共通するが、零細な事業者に対して表示を義務づけていることについて整理したい。
委員:貝類は餌をやらずに大きくなるのか。また、例えばブリなど産地によって価格が異なる。日本の消費者にとって、水産物の表示は非常に関心がある。どのように考えればよいのか提示して頂きたい。
事務局:最近、輸入され、国内で畜養されるアサリの原産地が話題になっているが、この場合、原産地は外国であることは、現状のJAS法上のルールで明確になっている。その意味では、監視をきちんと行うことが重要だと考えている。また、貝類については、例えばカキなど、海中に吊しておくと、プランクトンを食べて大きくなり、給餌は行わないため、現状ではJAS法上の養殖には該当しないこととなる。
委員:原産地表示は商品の出所を明確にさせる意味がある。最近は産地名をブランドとする商品が多く、ブランド化のために産地を強調するような側面もあるのではないかと考えており、議論していきたい。また、P9の実施状況について、特に専門店で不適正が多いが、その原因を分析した上で、本当に全ての店に義務付けが必要かを議論すべきだろう。生協でも店舗を持っているが、100%適正に表示することはなかなか困難であり、その原因を分析してみたい。
委員:我々は日頃、食品の安全・安心のPRをしているが、表示については、ややもするとブランド化を優先するあまり、表示事項が多く、何のための表示かわからなくなることもある。今回、アサリの報道がされたとたんにアサリの消費が減ったことからもわかるとおり、表示は流通にも影響を与える。必要なことを正確に表示することが重要である。
座長:新委員からは、表示の出発点として考えなくてはならない大切な点を指摘していただいた。
委員:本日議論したJAS法の表示は、安全というより、食を楽しむためのものである。例えば、外食はJAS法の表示対象外だが、食べ続けて味を覚えて愛着を持つ。消費者は内容がわかって食べ続けて特徴を覚えられるのであり、対面販売の表示に、食育の観点が盛り込めればいいと思う。
座長:原産地がブランド化している点、専門店のような規模の小さいところにまで表示義務が必要かという点、また、文字による表示だけでなく、対面販売は消費者の食育に繋がるのではないという点など、様々なご意見をいただいた。生鮮食品については、加工食品とは違う視点で検討が必要であろう。特に水産物の表示の検討が難しそうである。先程事務局から話があったように、一度、水産に詳しい専門家をお招きし、我々の理解を深めてから、この難題を整理していきたいと思う。

(事務局から次回の第22回は3月23日(水)10:00の予定で開催したい旨、連絡。)

以上


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