座長: | 生鮮食品の表示ということで、農、畜、水の広範に渡って課題があげられている。それぞれ性格が異なるが、中でも水産物の課題が最も難題に感じる。農、畜と同列に扱うことは難しいかもしれない。 |
事務局: | 今回はJAS法における生鮮食品表示について現状と問題点を整理した。資料中にある生鮮と加工の整理や製造・加工の定義については、別の機会にご議論頂く必要があると思っている。JAS法における生鮮食品の表示、特に原産地表示のあり方について、今後しばらくご検討頂きたいと考えている。水産物については、専門の方をお招きし、実態を聞くことが必要と考えている。 |
委員: | 初めて共同会議に参加するが、会議の進め方を確認したい。今回の資料では、課題が6つあがっているが、その対応案は提示されていない。課題だけでなく事務局の対応案もあわせて提示するのが筋だと思うのだが。 |
座長: | 通常の審議会などはそのようなことが多いが、共同会議は厚生労働省と農林水産省の新しい形の会議であり、進め方も少し異なっている。初めから事務局の対応案について議論するのではなく、まず課題を受け、会議の場で方向を提示し、必要な資料は用意してもらう。時間はかかるが、広い視点で偏見なく議論することとしている。 |
事務局: | 本日は漠然とした課題をお示ししたが、こういう観点からのデータが必要であるなどと、判断材料をリクエストしていただければ、次回以降、課題が少しずつ見えてくるものと考える。 |
委員: | 議論の中から対応案ができてくるということか。了解した。 |
座長: | 我々は本会議を2年以上続けている。今回新しく加わった委員には新しい風を入れていただきたい。 |
委員: | 水産物については整理すべき課題が多い。養殖とは何か。また、牛の場合は、子牛段階から肉として使われ、成長は時間に比例するのに対し、魚の場合は、肉と異なり食べるに適する大きさになる直前に急激に成長する等、必ずしも長い期間育てることが原産地として重要とは言えない面もある。味について何を基本に考えるか等の観点も必要ではないか。また、全てに共通するが、零細な事業者に対して表示を義務づけていることについて整理したい。 |
委員: | 貝類は餌をやらずに大きくなるのか。また、例えばブリなど産地によって価格が異なる。日本の消費者にとって、水産物の表示は非常に関心がある。どのように考えればよいのか提示して頂きたい。 |
事務局: | 最近、輸入され、国内で畜養されるアサリの原産地が話題になっているが、この場合、原産地は外国であることは、現状のJAS法上のルールで明確になっている。その意味では、監視をきちんと行うことが重要だと考えている。また、貝類については、例えばカキなど、海中に吊しておくと、プランクトンを食べて大きくなり、給餌は行わないため、現状ではJAS法上の養殖には該当しないこととなる。 |
委員: | 原産地表示は商品の出所を明確にさせる意味がある。最近は産地名をブランドとする商品が多く、ブランド化のために産地を強調するような側面もあるのではないかと考えており、議論していきたい。また、P9の実施状況について、特に専門店で不適正が多いが、その原因を分析した上で、本当に全ての店に義務付けが必要かを議論すべきだろう。生協でも店舗を持っているが、100%適正に表示することはなかなか困難であり、その原因を分析してみたい。 |
委員: | 我々は日頃、食品の安全・安心のPRをしているが、表示については、ややもするとブランド化を優先するあまり、表示事項が多く、何のための表示かわからなくなることもある。今回、アサリの報道がされたとたんにアサリの消費が減ったことからもわかるとおり、表示は流通にも影響を与える。必要なことを正確に表示することが重要である。 |
座長: | 新委員からは、表示の出発点として考えなくてはならない大切な点を指摘していただいた。 |
委員: | 本日議論したJAS法の表示は、安全というより、食を楽しむためのものである。例えば、外食はJAS法の表示対象外だが、食べ続けて味を覚えて愛着を持つ。消費者は内容がわかって食べ続けて特徴を覚えられるのであり、対面販売の表示に、食育の観点が盛り込めればいいと思う。 |
座長: | 原産地がブランド化している点、専門店のような規模の小さいところにまで表示義務が必要かという点、また、文字による表示だけでなく、対面販売は消費者の食育に繋がるのではないという点など、様々なご意見をいただいた。生鮮食品については、加工食品とは違う視点で検討が必要であろう。特に水産物の表示の検討が難しそうである。先程事務局から話があったように、一度、水産に詳しい専門家をお招きし、我々の理解を深めてから、この難題を整理していきたいと思う。 |