05/01/31 労働政策審議会労働条件分科会第39回議事録            第39回 労働政策審議会労働条件分科会                    議事録                   日時 平成17年1月31日(月)                      13:00〜                   場所 経済産業省別館10階 1014会議室 ○西村分科会長  ただいまから第39回労働政策審議会労働条件分科会を開催いたします。本日は今田委 員、渡辺章委員、小山委員が欠席されております。  それでは議題に入ります。本日の議題は「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案 要綱(労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部改正関係)」についてです。本 件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あての諮問案件です。まず事務局から説明 をお願いします。 ○労働基準局長  それでは私から本日の議題について御説明申し上げます。本日の議題は諮問案件であ る「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働時間の短縮の促進に関する臨 時措置法の一部改正関係)」です。まず、この「労働安全衛生法等の一部を改正する法 律案要綱」として、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、労働保険の保険料の徴収 等に関する法律、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の4つの法律を一括して改 正する形で、労働政策審議会に諮問いたしました経緯について御説明を申し上げます。 昨年12月に、労働政策審議会において、「今後の労働安全衛生対策について」、「労働 者災害補償保険制度の改善について」及び「今後の労働時間対策について」の建議がな されました。  また、今月14日に「労災保険料率の設定に関する検討会」の報告書が取りまとめら れ、17日には労働政策審議会労災保険部会において、同報告書の内容が了承されまし た。これらの3つの建議及び報告書は、いずれも近年深刻化している労働者の生命、生 活にかかわる問題に対処するための方策についての御提言であるという点で、その趣旨 を同じくすることから、厚生労働省において、関係する4つの法律を一括して改正する こととし、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱」を作成したものです。  次に、本法律案要綱の調査審議について、御説明申し上げます。労働政策審議会にお ける本法律案要綱の調査審議は、各分科会と部会の所掌事務に応じて、労働安全衛生法 の一部改正関係は安全衛生分科会において、労災保険法と労働保険徴収法の一部改正関 係は労災保険部会において、時短促進法の一部改正関係については本分科会において、 それぞれ調査審議を行っていただくことになります。このため本日は労働安全衛生法等 の一部を改正する法律案要綱のうち、時短促進法の一部改正関係についての調査審議を 皆様にお願いする次第でございます。詳細については担当から説明させますので、よろ しく御審議のほどお願い申し上げます。 ○勤労者生活部企画課長  それでは資料1の「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働時間の短縮 の促進に関する臨時措置法の一部改正関係)」について御説明させていただきます。ま ず読み上げまして、その後で御説明させていただきます。    (「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働時間の短縮の促進         に関する臨時措置法の一部改正関係)」の読み上げ)  若干追加で御説明させていただきたいと思います。今回の法律案要綱は、昨年12月に 取りまとめいただいた本分科会の建議の趣旨に沿って策定したものです。内容について は、まず題名について、従来、「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」でした が、これを「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」に改めることとしておりま す。目的についても、従前の時短促進法では、労働時間短縮促進計画の策定と労働時間 短縮に向けた取組の促進を内容としておりましたが、今回これを改めて、労働時間等設 定改善指針を策定すること、労働時間等の設定改善に向けた自主的な取組を促進すると いう内容に改めるものです。  三の定義について、これは「労働時間等」及び「労働時間等の設定」について、それ ぞれ定義規定を置くものでございます。  四の事業主等の責務について、(一)は、現行法では労働時間の短縮を計画的に進め ることが責務になっていますが、これを労働時間等の設定改善を図るため必要な措置を 講ずるように努めることに改めるものです。また(二)は、多様な働き方の進展に対応 して、特に配慮を必要とする労働者について、その事情を考慮するように努めなければ ならないということを責務として書いたものです。  五の労働時間等設定改善指針については、ここにあるように、従来の労働時間短縮推 進計画に代わるものとして、厚生労働大臣が定めることとしているものです。  六の労働時間等の設定の改善の実施体制の整備についても、従来の労働時間短縮に関 する企業の中における実施体制の整備を引き継ぐものです。  七の労働時間等設定改善委員会についても、従来の労働時間短縮推進委員会を引き継 ぐもので、一定の場合に労使協定に代わる効果を付与するものです。また、4頁の(二 )ですが、衛生委員会について、一定の場合に労働時間等設定改善委員会とみなすこと としております。  八の労働時間等設定改善実施計画ですが、これも現行法の労働時間短縮実施計画を引 き継ぐもので同一の業種に属する事業主は任意に共同して計画を策定し、厚生労働大臣 及び事業所管大臣の承認を受けることができること等としております。  九は、労働時間短縮支援センターについて廃止するというものです。  十の法の廃止期限の削除については、建議において、改正後の法は、労使の継続的な 取組を通じた労働時間等の設定の改善を目的とするものであるため、期限までの目標の 達成に向けて集中的に取組を進める臨時的な法律ではなくなるものであるとされていま すので、廃止期限を削除することにしたものです。 ○西村分科会長  ただ今事務局から御説明いただいた資料1について、御意見等ございましたらお願い いたします。 ○石塚委員  冒頭、今4つの法律を一括して扱う趣旨について、局長から御説明をいただいたわけ ですが、私どもとしても、この時短促進法を労働安全衛生法等の一部として扱うという 趣旨に関しては了解しているつもりです。ただ、この4つの法律を一括して扱うという ことは、あまり過去に例がないという印象を持っております。そこで質問ですが、過去 に関連した法律を一括して扱うということが、どの程度あったのか。今後のこともある ので、御質問ということでお伺いしておきたいと思います。 ○勤労者生活部企画課長  今回、4つの法律を一括して改正しますが、いずれも労働条件とか労働基準に関する ものですので、これを一括したものです。このように、複数の法律を一括して改正する 法律というのは時々あり、労働関係でも、平成13年に雇用対策に関する課題につい て、雇用対策法をはじめ複数の法律を一括して改正したことがありました。 ○石塚委員  何本の法律でしたか。 ○勤労者生活部企画課長  今資料はありませんが、2本とか3本ではなくて、かなり多くの法律を一括して改正 したと記憶しております。 ○石塚委員  わかりました。 ○山口委員  4頁の(二)で、一定の要件に適合する衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とし て取扱うことができるというふうに書いてありますが、この一定の要件には、どのよう なことが含まれるのですか。 ○勤労者生活部企画課長  これは、今の時短推進委員会や、新しい労働時間等設定改善委員会でも同じですが、 その委員の半数が過半数代表者の推薦に基づいて指名されていることなどを考えていま す。いずれにしても、労働時間等設定改善委員会と並びの要件を設けるということで す。 ○田島委員  2頁の四の(一)について、労働時間等の設定の改善を図るために、年次有給休暇を 取得しやすい環境の整備などの措置を講ずるというのはよくわかるのですが、ここで、 始業及び終業の時刻の設定の前に「業務の繁閑に応じた」という文言を、なぜ入れるの か、ちょっと疑問なのです。いわゆる変形労働時間制は、さまざまな制度化がなされて います。したがって、こんなことは当たり前のことであって、始業なり終業の時刻をし っかり設定すればよいことであって、あえて業務の繁閑に応じたという文言を入れる意 味は何なのかなと思うのですが、ここにあえて入れたのは、どういうことなのでしょう か。 ○勤労者生活部企画課長  これは、今おっしゃったように、変形労働時間制のことを念頭に置いて、同じ労働時 間でも、1日のうちのどこに配置するかを変えることによって、健康や生活との調和を 図ることができるという趣旨で、本分科会でもそういった議論がありましたので、ここ に書いたということです。 ○田島委員  いわゆる変形労働時間制というのは、言葉のとおり変形であって、定時の労働を基本 としつつも、各職場の状況に応じて、さまざまな変形労働時間制度を活用しているとい うのが基本的な考え方のはずですから、ここであえて、「業務の繁閑に応じた」という 文言を入れる意味合いは何なのか、ちょっと納得がいかないのですが。 ○勤労者生活部企画課長  四の(一)は、労働時間等の設定の改善を図るために、さまざまな必要な措置を講ず ることを事業主の責務として書いておりまして、必要な措置の例示として、業務の繁閑 に応じた始業・終業の時刻と年次有給休暇を取得しやすい環境の整備という2つのもの を挙げています。労働時間等の設定の改善を図るための必要な措置については、これら に限られるものではありませんが、これまで議論されてきたように、変形労働時間制を 活用して生活との調和を図っていくということが、1つの大きな事例であるということ で、このように書いたということです。 ○新田委員  今のところですが、この文言はやはり必要なのでしょうか。というのは、わざわざ書 かなくても始業・終業の時刻は業務の繁閑に応じて設定されていますよね。私たちが言 ってきましたように、労働時間が二極化している中で求められているのは、依然として 2,000時間を上回っている一般労働者の労働時間の短縮を大きな課題として、今後これ を変えていこうという趣旨をしっかりと示さなければならないのではないでしょうか。 「業務の繁閑に応じて」という文言を入れると、その文言が労働時間をより良くしてい こうとする際に条件としてすごく重くなるような気がして、違和感を覚えるのです。感 覚的なものですが、そのような心配はないのでしょうか。 ○勤労者生活部企画課長  単に始業及び終業の時刻の設定ということですと、所定労働時間の長さ、始まりと終 わりをどうするかということだけを書くことになりますので、労働時間等の設定の改善 の事例として挙げるには適当ではないということになってしまいます。これはあくまで も事例的なものということで書いているものです。 ○平山委員  この法律の目的は、労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進することと いうことです。そして、この目的の達成のために事業主の責務が四のところに書かれて おり、始業・終業の時刻の設定、年次有給休暇、それから健康の保持云々から、自己啓 発までかなり限定的な例示が並んでいます。そして、法律案要綱の五では、事業主の責 務として定める事項に関して指針を定めるとなっています。指針の内容はこれからの議 論ということになるのでしょうが、法律案要綱の四の事業主の責務のところは、指針の 内容のある種の枠というか、大項目というのか、指針で定める内容の例示として、四の 事業主の責務のところは書かれているのでしょうか。指針の内容をどういうイメージで 捉えているのか質問します。 ○勤労者生活部企画課長  指針の内容については、この法律が成立した後に、改めて御議論いただくことになり ますが、いずれにしても、事業主等の責務との関係で、指針を検討していくということ になるので、四の事業主等の責務に挙げられているような事例について、指針の中でど うしていくかということも当然検討していくことになると思っております。昨年の建議 を資料でお付けしていますが、4頁に「例えば」ということで、指針に盛り込むべき具 体的内容について、例を4点ほど掲げております。この中身を御覧いただくとわかりま すが、おおむね、ここで挙げられているような事例と、四の事業主等の責務で挙げられ ている例は、同じようなものを挙げております。 ○山口委員  質問ですが、法律案要綱の5頁のいちばん最後の「経過措置」というところは何を指 したものでしょうか。 ○勤労者生活部企画課長  これは、いくつかのものを予定していますが、例えば、労働時間短縮支援センターを 廃止することとしていますので、その廃止された後の、例えば助成金の取扱いなどいく つか経過的に取扱いを定める必要があるものを、この経過措置の中で書く予定です。 ○石塚委員  七の(二)の衛生委員会のみなし規定のところですが、要綱では労働時間等設定改善 委員会が設置されていない事業場においてというふうに書いていますが、建議をまとめ たときには、確か趣旨からして、やむを得ざる場合というか、もともと時短推進委員会 が設置されている場合には、それを生かしていくことが原則で、時短推進委員会が設置 されていない場合に一定の要件を満たす衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみな すことができるというように落差をつけていたと記憶していますが、そうした趣旨は、 この法律案要綱に生かされていると思って構わないのでしょうか。これは質問です。 ○勤労者生活部企画課長  そこは御指摘のとおりと考えておりまして、まず本来的な労働時間等設定改善委員会 を設置していただくわけですが、それがない場合に、初めてこの衛生委員会のみなしが 可能になるということで、ここに書いてあるように、労働時間等設定改善委員会が設置 されていない事業場ということを明記したところです。 ○奥谷委員  先ほどの御質問にもありましたが、4頁の九の労働時間短縮支援センターの廃止に関 して、経過措置を定めるとおっしゃいましたが、この経過措置とはどういう内容です か。 ○勤労者生活部企画課長  来年度いっぱいは、この労働時間短縮支援センターがあるわけです。そこで、例えば 支給決定したものについて、具体的な支給が後年度になるようなことも想定されるわけ です。あるいは、そのときに、もうこの指定法人はなくなってしまうので、どこの機関 がそういった事務を行うのかといった問題もあります。そうした観点から、平成18年度 にそういった事務をしなければいけないということが生じた場合の措置を、ここで書こ うということです。 ○奥谷委員  デッドラインというか、いつまでにこの支援センターを廃止するということなのでし ょうか。 ○勤労者生活部企画課長  労働時間短縮支援センターは平成18年3月31日限りで廃止するということです。 ○奥谷委員  それですべて消えてしまうわけですか。 ○勤労者生活部企画課長  はい。 ○奥谷委員  経過措置というのは、平成18年3月31日までの措置で、それがデッドラインというこ とですか。 ○賃金時間課長  労働時間短縮支援センターそのものは、この平成18年3月31日限りで廃止します。経 過措置というのは、例えばその決算報告とか、事業報告とかを、平成17年度の分を行わ ないといけないので、そういったものについて経過措置を設けるということです。セン ターそのものの事業は、平成17年度限りで終わります。 ○奥谷委員  全く消えてなくなるということですね。 ○賃金時間課長  センター自体はなくなります。経過措置として、その事務について一定のものは国が 引き継ぐことになります。例えば平成17年度の決算報告を作るとか、事業報告を作る といったようなことは、どうしても翌年度行わざるをえませんので、その分は厚生労働 大臣がセンターに代わって報告書類等を整理するというような経過措置を設けることと しております。 ○奥谷委員  それはどこが引き受けるのですか。国が引き受けるということですか。 ○賃金時間課長  その事務を国が受け継ぐということです。 ○奥谷委員  その経費はどこが出すのですか。 ○賃金時間課長  基本的には、予算的なものはかからないと想定しております。その書類を整理すると いうことです。 ○奥谷委員  予算はかからない。でも、それを整理するのに、人が必要なわけでしょう。 ○賃金時間課長  そこは、国でやりますので、今いる職員が、その分をやるということです。 ○奥谷委員  現在している仕事に加えてやるということですか。 ○賃金時間課長  そいうことです。 ○須賀委員  労働側として是非この場で確認しておきたい議論の内容についてはおおむね確認でき たのではないかと思います。また、法律案要綱は12月末にまとめた建議をベースに置い たものということですので、年末までの審議段階で、私どもなりのいろいろな立場で発 言をさせていただいたものをまとめた建議に基づいていますから、内容については、お おむねこういうことにはなろうかなとは思っています。しかし、そうはいっても、もと もとこの建議の段階までに、強く主張させていただいたことを再度申し上げます。すべ ての労働者を対象に一律的な目標を掲げるということは、時宜に合わなくなっており、 そのこと自体を否定するつもりはないのですが、お手元に配ってあります参考資料の2 頁目から4頁目を御覧いただけば分かるように、総実労働時間は確かに1,853時間とい う状況ですが、2頁を御覧いただくと、一般労働者・パートタイム労働者ともに労働時 間が増加しているという実態は否めない事実です。全労働者一律の目標の設定というの は時宜に合わないとしても、こうした現状を踏まえる必要があります。年間総実労働時 間が1,850時間台になったのは、3頁にあるように、パートタイム労働者の比率が増え たことによる部分が大きく、一方で4頁にあるように30歳代の男性で週60時間以上働く 者が非常に増えてきている。全体の総実労働時間にはこのような状況が必ずしも反映さ れていないということについては、皆さん御理解をいただけていると思います。  このような状況の下では、全労働者一律的な目標はそぐわないとしても、今後、労働 者自らの判断で、あるいは責任をもった形で働き方を選択することを前提として多様な 働き方が進展していくだろうと考えると、労働時間短縮の目標を掲げる意義は今後も変 わらないと、労働側としては考えております。すでに政府経済計画から時短目標がなく なっていること自体について、それを復活しようということを言うつもりはありません が、そういった問題意識をもっていること。あるいは、そういう現状からして、時短目 標を掲げることの意義は今でも失われていないというふうに考えておりますので、是非 今後の検討に当たっては、そうしたことを改めて主張させていただきたいと考えており ます。  特に先ほど御質問のあった指針の策定に当たっては建議の中に書いてある4つの視点 を中心に指針で方向性を定めるということですが、是非その中で、せめて一般労働者に ついては時短目標があってもいいのではないかというこれまでの私どもの主張を、今後 指針の策定段階で、十分に反映していただきたいと考えております。  いずれにしても、この法律案要綱の内容はおおむね建議の内容に沿っていると考え得 るものだと思いますので、こうした方向で取りまとめていただくことについて、労働側 としては敬意を表しておきたいと思います。ただし、今後の指針等の審議に当たって は、十分な議論ができるよう、時間なり、いろいろな素材の提供なり、あるいは具体的 な事例の開示などにも是非努力いただきたいということをお願いしておきたいと思いま す。特に、この法改正の本来の目的が、個々の労働者の生活と働き方をどう調和させる のかということが非常に重要な視点に置かれていることを踏まえ、労働者の責任によ る、あるいは選択による働き方ができるように、そのために労働時間をどう設定改善す るのかという視点からの指針というものを是非御検討いただくようにお願いします。 ○岩出委員  4頁の九について、労働時間短縮支援センターを廃止しますね。これは、現在この法 律では民法法人を指定していると思いますが、支援センターの業務をしていらっしゃる 方々は、結局リストラになってしまうのですか。 ○勤労者生活部企画課長  現在は、民法法人を労働時間短縮支援センターとして指定しておりますが、その指定 がなくなるということであり、元ある民法法人までなくなるということを意味しませ ん。いずれにしても、国の業務を代わってやるという仕事はなくなるということです。 ○岩出委員  それでは、違う形の業務として、存続させるわけですか。 ○勤労者生活部企画課長  もともと、この法律とは全く別に、法人として独自にやっている業務があります。そ ういったものは、この法律とは全く関係のないところでやっておりますので、その部分 は今後とも法人が独自にやっていくということになろうかと思います。 ○田島委員  データで示されているように、パートタイム労働者比率が高まって、年間総実労働時 間は平成15年で1,853時間になったのであり、パートと一般労働者を合算した一括的 データには意味はないというのはよくわかるのですが、しかし、依然として一般労働者 の労働時間が長い中で、やはり一般労働者については1,800時間という目標を旗印とし て掲げ、時短を進めていくべきだろうと思うのですが、労働時間等の設定改善の「改善 」という中身には、雇用区分に区分けして、労働時間の短縮を促進するということも含 まれていると私たちは理解しているのですが、それでよろしいですね。 ○勤労者生活部長  今の目標を掲げるべきであるという点についての御理解は、労働側としての御理解だ ということで考えていて、これはまさに、建議の7頁にあるように、現段階で「今後に 向けての対応については、目標を掲げること自体に意義が存在し、例えば一般労働者に 限って引き続き目標を掲げることが必要である」ということを確認されているのだと思 います。  一方、「今後、労働時間が成果に直結しない働き方が一層広がるという展望に立てば 数値的な目標は不要である」という御意見もあるわけで、この2つの意見について、も う一度議論していただきたい。そのために十分な時間もとって、先ほどありましたよう に十分な情報も開示し、具体例も出すなどして、是非とも合意に向けて御議論をお願い したいと思います。 ○田島委員  4つの法案を一括することについて、冒頭で石塚委員が質問されましたが、国会の中 での審議は一括審議、一括採決という形になるのですか。それとも、個別の法案ごとに 審議、採決することになるのですか。あえて一括する意味が、そこで問われてくると思 うのですが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。 ○勤労者生活部長  複数の法律を一括して処理させていただくのは、時短法、安全衛生法及び労災法に関 する建議をいただき、我々事務方として吟味したところ、いずれも労働者の生命や生活 をめぐる問題が深刻化していることに対処するものであるという点で主旨・目的が共通 していることから、4つの法改正を一括化したということであり、また、法技術的には いずれの法律も労働基準法から派生した法律であり、俗に言えば基準法の子供とか孫に 当たる関係にあるということを政府内で議論し、法制局でも御確認いただいて、これな らば、1つの改正として十分議論に耐え得るだろうということで、一括処理させていた だいているということです。  その後の国会の処理ですが、政府提案として、1つの法案で御議論いただくというこ とで、当然、与野党を通じて国会に提示しますが、国会での審議のやり方は、与野党に おける議論で決まることですから、政府が意見を申し上げるべきことではありません。 ただ、過去の事例から申しますと、政府提案で、一括改正する形で提出した法案につい ては、政府提案の趣旨を汲んでまとめて審議いただいているのがほとんどだと思います し、それをわざわざ分けて別々に審議するという事例は、今のところ承知しておりませ ん。 ○須賀委員  お願いですが、確かに今部長がおっしゃったような趣旨で、労働基準法をベースにお いた関係の法体系であることは間違いないのですが、厳密にいえば、各法律ごとに本来 の目的は異なるものであり、今回はもう特段言うことはないのですが、今後の取扱いと して、何でもかんでも一括というのが本当によいのかどうか。確かに微妙な関連性で一 括になっているところもなくはないのではないか。そんなに一括でできるほど関係が深 いかなという、ちょっと疑問をもつところもありますので、今後の検討に際しては、あ まりすべてを一括で扱うということはいかがなものかと考えますので、できるだけそう いう観点から、御一考いただければありがたいという要望です。 ○勤労者生活部長  今回の一括改正について整理させていただきますと、先ほど申し上げたように、被改 正法律はいずれも基準法から派生した法律であり、基準法と親と子又は孫の関係にある ということと、被改正法律はいずれも労働者の生活なり生命に関係する事項を扱うもの であるということから一括処理するものです。また、現在の労働基準法体系が職場の中 でのいろいろな目標設定なり、目標の達成のための手段を中心に規定する法体系だった のですが、今回の考え方の中では、建議でも御議論いただいたように、職場の外での生 活についてもよくよく考えて、それとの関連で、職場の中ではどういった措置が必要だ ろうかということを検証していただいたと思っております。  今回は、仕事と生活を調和させる、あるいは調整していくという視点から、基準法の 法体系化にある既存の法律について、どのような改正あるいは修正や見直しが必要だろ うか、そういう視点で関連する法律を一括改正するものです。今後の処理の仕方につい ては、現時点でやるやらないということは申せませんが、いろいろな法体系について共 通の視点からの修正が必要ということであれば、複数の法律をまとめて処理するという ことについて、臆病であってはならないのではないか、むしろ場合によっては積極的に やる場面もあってよいのではないかと私自身は思っています。そういう意味では、改正 形式はケース・バイ・ケースだと考えております。 ○労働基準局長  これまで話が出ていない議論ですが、この4つの法律は基礎に流れているものが共通 していると考えております。現象的に見れば、例えば安全衛生法については、大規模か つ著名な製造業の現場において、死傷者が多数出るような事故が頻発したということが あります。そして、その原因として、例えば、同じ製造現場の中にもいろいろな働き方 をする労働者が存在し、いろいろな事業主の下で働いている人たちが混在して作業をし ている中で、指揮命令系統の異なる労働者間での連携がうまくできていないことが挙げ られることから、今般の改正の中にはそういったことへの対策を盛り込んでいます。  また、この場で御議論いただいてきた労働時間対策については、これまで画一的な目 標数値を掲げて、時短を進めてきたところであり、これはこれで非常に効果があったわ けですが、近年、働き方が多様化してきており、多様な労働者それぞれに応じて対策を 考えなければいけないのではないかと考えております。そういう働き方や職場の状況 が、随分複雑でかつ多様化してきている状況に、政策を合わせていかないと、実態に合 わなくなってきているということだろうと思っています。 また、労災保険法についても、複数就業者や単身赴任者といった方々が随分と増えてき て、従来、1つの住居と1つの事業所の間の移動中の労災事故を通勤災害として補償し てきたわけですが、単身赴任者については赴任先住居と帰省先住居というように住居も 2つ出てきたり、あるいは複数事業者については事業所から事業所へ移動することも出 てきたりしており、こうした状況に現行制度を合わせていく必要があるのです。  このように働き方が非常に多様化していることに各制度を合わせていくようにしなく てはいけないという考え方の下、生命とか生活にかかわる労働基準法体系の下にあった 法律を、実態に合うように、なおかつ、迅速な対応が求められる事項について対策を講 じるということで今般の関係法律の一括改正を考えたということです。  このように、法改正の背景や流れが共通しているので、国会でもむしろ一括して議論 していただいた方が良いのではないかということで、一括改正の形で御議論をお願いし たということです。 ○西村分科会長  他にございませんか。もし他に御発言がなければ、当分科会の意見として、「労働安 全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の 一部改正関係)」については、おおむね妥当と考える旨の報告を私から労働政策審議会 会長あて行うこととしたいと考えますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○西村分科会長  それではそのようにさせていただきます。報告文については、私に一任させていただ くということでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○西村分科会長  それではそのようにさせていただきます。ここで労働基準局長より、挨拶がありま す。 ○労働基準局長  本日の分科会において、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働時間 の短縮の促進に関する臨時措置法の一部改正関係)」について、おおむね妥当と考える 旨の御報告をいただきましたことに感謝申し上げます。今回の時短促進法の見直しに当 たりましては、本分科会で委員の皆様からいただいた御意見を十分踏まえ、今後の対応 に努めてまいりたいと考えております。委員の皆様方には、これまでの御協力に改めて 御礼申し上げますとともに、今後とも労働基準行政をはじめ厚生労働行政に対する一層 の御理解、御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。  なお、今後の予定ですが、関係分科会・部会における御審議の結果を踏まえ、労働政 策審議会として御答申をいただけることになりました場合には、労働安全衛生法等の一 部を改正する法律案を取りまとめて、現在開会中の国会に提出したいと考えておりま す。本日は誠にありがとうございました。 ○西村分科会長  それでは、本日の分科会はこれをもって終了いたします。議事録の署名は、新田委員 と紀陸委員にお願いいたします。本日はお忙しい中をありがとうございました。                (照会先)                  労働基準局勤労者生活部企画課(内線5349)