05/01/24 第1回未承認薬使用問題検討会議 速記録             第1回 未承認薬使用問題検討会議                    速記録                       日時  平成17年1月24日(月)                           18:00〜20:00                       場所  厚生労働省 省議室(9階)  川原審査管理課長  それでは定刻になりましたので、ただ今より未承認薬使用問題検討会議を開催させて いただきます。  本日事務局を務めさせていただきます医薬食品局審査管理課長の川原でございます。 どうぞよろしくお願いいたします。  まず、開催に際しまして尾辻大臣よりごあいさつ申し上げる予定でございますが、現 在国会からこちらに向かっていただいているということでございますので、到着次第ご あいさつをいただくということにいたしまして、まず本会議の構成員の先生方をご紹介 させていただきたいと思います。  名簿は資料2にございますので、ごらんいただければと思います。  50音順にご紹介させていただきます。  有吉構成員でございます。  有吉構成員  よろしくお願いします。  川原課長  大澤構成員でございます。  大澤構成員  東京女子医大の大澤と申します。よろしくお願いいたします。  川原課長  川西構成員でございます。  川西構成員  国立医薬品食品衛生研究所の川西です。よろしくお願いいたします。  川原課長  栗山構成員でございます。  栗山構成員  千葉大学の栗山です。よろしくお願いします。  川原課長  黒川構成員でございます。  黒川構成員  黒川でございます。書いてあるのは学術会議会長、ここではちょっと違いまして、 今、東京大学と東海大学で非常勤ですが教授をしております。  川原課長  後藤構成員でございます。  後藤構成員  杏林大学医学部の後藤です。どうぞよろしくお願いいたします。  川原課長  篠山構成員でございます。  篠山構成員  浜松労災病院の篠山でございます。よろしくお願いします。  川原課長  こちら側に移りまして、寺岡構成員でございます。  寺岡構成員  日本医師会治験促進センターの寺岡でございます。どうぞよろしくお願いします。  川原課長  浜田構成員でございます。  浜田構成員  東京理科大学の浜田と申します。どうぞよろしくお願いします。  川原課長  林構成員でございます。  林構成員  虎ノ門病院薬剤部の林でございます。どうぞよろしくお願いします。  川原課長  堀田構成員でございます。  堀田構成員  東海大学医学部の堀田でございます。よろしくお願いいたします。  川原課長  堀内構成員でございます。  堀内構成員  群馬大学の堀内でございます。どうぞよろしくお願いします。  川原課長  吉田構成員でございます。  吉田構成員  国立がんセンター東病院の吉田でございます。よろしくお願いします。  川原課長  次に行政側の出席者を紹介いたします。正面右側になりますが、阿曽沼医薬食品局長 でございます。  阿曽沼局長  よろしくお願いします。  川原課長  その右隣り、大臣官房審議官医薬担当の黒川でございます。  黒川審議官  よろしくお願いいたします。  川原課長  大臣官房審議官保険担当の中島審議官でございます。  中島審議官  よろしくお願いいたします。  川原課長  先生方を越えまして、私の右側が医薬食品局総務課長の本田でございます。  本田課長  よろしくお願いいたします。  川原課長  私の左隣り1人越えまして医政局研究開発振興課長の安達でございます。  安達課長  どうぞよろしくお願いします。  川原課長  保険局医療課薬剤管理官の赤川でございます。  赤川管理官  よろしくお願いいたします。  川原課長  最後になりますが、医薬食品局安全対策課長の平山でございます。  平山課長  平山でございます。  川原課長  それから、名簿の下に書いてございますように、この会議におきましては、検討分野 によりましては、必要に応じて適切な方に適宜参考人としてご出席をいただくというこ とにしております。  以上でございますが、ここでしばらくお待ちいただければと思います。  それでは、座長の選出に進めさせていただきます。  お手元に資料1としまして、検討会議の開催要綱を配布してございます。  要綱の3.構成員の2つ目の○ 検討会議は、構成員のうち1人を座長として選出す る。こととしております。  事務局といたしましては、これまで日本国内で適応外で使用されてきた抗がん剤の問 題を取り扱ってきた「抗がん剤の併用療法に関する検討会」において座長をお願いして おります黒川先生に本検討会議の座長をお願いしたいと考えておりますが、いかがでご ざいましょうか。                   (拍手)  川原課長  ありがとうございます。それでは、座長は黒川先生にお願いいたしたいと思います。 黒川先生、座長席への移動をお願いいたします。  では、黒川先生、以降の議事進行をお願いいたします。  黒川座長  黒川でございます。よろしくお願いします。実は抗がん剤のoff-labelユースという 委員会がありまして、これは社会から要請が多いもので、日本の場合、抗がん剤は承認 されたときのデータに基づいて適応が書いてあります。ところが、支払基金というのは 1対1になっておりまして、そうすると承認はされているんだけれど、抗がん剤の治 療、新しい治験がどんどん出てくると、実は適応のあり方、標準治療がかなり変わって きて、現場の先生方、これが常識なんだけど使えないことがかなりあると思います。そ ういうことによっていろんなプロセスで広げて参りました。いま大臣お見えになりまし た。  そのようなことで、かなり実際に患者さんも、専門の先生たちも使いたいものを使え る方策ができるようなプロセスということを透明性高く、ワーキンググループでスタデ ィも相当やっていただきまして、20品目ぐらいはほとんど承認されるところまで来て いますので、エンドユーザーと実際に使っておられる専門家の先生方がベストの中でや れるようなプロセスをやって参りましたので、これも似たようなカテゴリーで、いろい ろ問題はあると思いますが、皆さんの意見を伺ってどのように期待にこたえるかという ことについて、議論いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。  川原課長  それでは、尾辻厚生労働大臣よりごあいさつさせていただきます。  尾辻大臣  国会が冒頭からやや荒れぎみでございまして、遅れて参りましてお詫びを申し上げま す。尾辻でございます。第1回の会議に当たりましてごあいさつを申し上げます。  まず、先生方には日頃から厚生労働行政に対しまして、大変ご支援を賜っておりま す。そのことに対しまして厚く御礼を申し上げます。  その上、この度は急に、そしてまたご無理なお願いをしたしました。それにもかかわ らず心よくお引き受けをいただきまして、と申し上げると、本音のところは渋々だとお っしゃる先生方もおありじゃないかと思いますけれども、お引き受けをいただきまし て、本当にありがとうございます。重ねて厚く御礼を申し上げます。  いわゆる混合診療問題が昨年の末に大きく取り上げられました。この経緯やその合意 に至った内容につきましては、先生方ご案内のとおりでございますので、申し上げるこ とはいたしません。ただ、一点申し上げますと、そうした中で、大きな議論になりまし たのが、国内未承認薬の使用の問題でございまして、欧米で承認されているのに、国内 で承認されるまでに時間がかかり、全額自己負担でないと使えない、といった患者さん 方のご要望にどうこたえていくのか。このことが大変大きな議論の焦点の一つになった ところでございます。  厚生労働省といたしましては、この未承認薬の問題について、現行制度では患者さん の切実なご要望に的確に対応しきれていなかった面がある。このことを踏まえまして、 患者さんの立場、医療の安全という2つの基本的な考え方に基づきまして、治験の枠組 みを活用して患者さんへの未承認薬の使用機会の提供と安全確保の両立を図りつつ、未 承認薬の使用を推進して参りたいと考えております。  ぜひ先生方のお力添えを頂戴いたしたいところでございます。そして、あるべき方向 性を明確にしていただければと存じております。  この未承認薬の問題につきましては、本日の会議から使用のご要望のあるものについ て治験の実施の必要性等についてご検討をいただきまして、できるだけ早く確実な治験 の実施につなげていただきますよう、お願いを申し上げます。  冒頭申し上げましたように、大変お忙しい先生方に急なお願いをいたしたところでご ざいますけれども、患者さん方のご要望はまた切実でございますので、迅速におこたえ いただきますようにお願いを申し上げまして、第1回の会議に当たってのあいさつにさ せていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  川原課長  ありがとうございました。尾辻大臣でございますが、ここで所用のため退席させてい ただきます。  尾辻大臣  遅れて参りました上に、すぐに失礼するという誠に失礼なことでございますが、お許 しをください。                 ( 大臣 退席 )  黒川座長  とは言いますものの、大臣わざわざ国会の合い間、首相の答弁しているところかと思 いますが、その最中に来ていただいたということで、いかに気合いが入っているかとい うことの証左です。皆さんの前向きな建設的な意見をいただきながら、実践するにはど うしたらいいかということで伺いたいと思っております。  そういうことで、まず、配布資料の確認を事務局、お願いいたします。  事務局  それでは事務局から配布資料の確認をさせていただきます。本日机の上にお配りした 資料でございますが、まず、本検討会議の議事次第、配布資料一覧、そして、座席表で す。その後からが資料になりますが、配布資料一覧をごらんください。  資料1が、検討会議開催要綱 資料2が、構成員リスト  資料3が、いわゆる「混合診療」問題についてのペーパーですが、3−1がA4横書   きのものです。3−2は同じタイトルですが、文章で書かれたものです。3−3が   「混合診療問題に係る基本的合意」のペーパーです。  資料4が、カラーの「国内未承認薬の使用」の実態  資料5が、検討会議において早急に検討しなければならない抗がん剤  資料6が、オキサリプラチンの安全性確認試験(案)  あと、参考資料1から3−4までございます。  参考資料1が、抗がん剤併用療法の適応拡大の新スキーム  参考資料2−1、2−2は、平成11年の適応外使用の通知と、適応外使用通知に基 づいて承認された医薬品のリスト参考資料3−1が、臨床試験とGCP 3−2が、医 師主導治験について 3−3が、企業主導治験における治験実施体制 3−4が、日医 治験促進センターの事業概要  以上でございます。  黒川座長  よろしいでしょうか、お手元に資料揃っていますでしょうか。  それでは、議題の3.未承認薬使用問題検討会議について、本日の会合の趣旨その他 を事務局からお願いします。  事務局  資料1.本検討会議の開催要綱をごらんください。  あとで議題4でもご説明いたしますが、昨年末の規制改革の議論の中でいわゆる混合 診療の問題が取り上げられまして、中でも国内未承認薬について、国内で承認されるま でに時間がかかって、欧米では既に承認されているのに、それを日本で使おうとする と、全額自己負担でないと使えない、という患者さんの声がありまして、そのご要望に 迅速、的確に対応していくにはどうすればいいか、ということが議論となりました。  その結果、私どもとしては、開催要綱の1.目的のところにありますように、○欧米 諸国、ここでいっている欧米諸国(基本的には、米・英・独・仏の4か国)で承認され ているが、国内では未承認の医薬品について、  ・欧米諸国での承認状況及び学会・患者団体からの要望を定期的に把握すること  ・臨床上の必要性と使用の妥当性を科学的に検証する。この検証するという言葉です   が、評価をする、というふうにお考えいただければと思います。  ・当該未承認薬について確実な治験の実施につなげる  というこの3点を実施することによって、患者さんの安全確保を図りながら、その一 方で使用機会を提供することはできないか、ということを考えております。  そこで、この目的に沿いまして、2.検討事項 に挙げたようなことをここでご議論 いただきたいと考えております。  3.構成員ですが、構成員は重篤な疾患領域における薬物療法に関する医学的・薬学 的な学識経験者ということで、先生方にお願いしたような次第です。  4.運営ですが、○検討会議は年4回定期的に開催することを予定しておりますけれ ども、必要に応じて随時アドホックに開催させていただきたいと考えております。  ○検討会議は、知的財産権等に係る事項を除き、原則公開するとともに、議事録を作 成します。  ○検討会議は、必要に応じて、個別検討事項に係る専門家からなる専門作業班、ワー キンググループのようなものを招集することもできるようにしたいと考えております。  5.庶務 ○検討会議の庶務は医薬食品局審査管理課が務め、医政局、保険局が協力 するという形をとらせていただくという形を考えております。  以上でございます。  黒川座長  というような趣旨で開催したいということですが、ご質問、コメントございますか。  吉田構成員  目的の3つめの・当該未承認薬について確実な治験実施につなげる。ということは、 わからないわけではないんですが、治験を実施すると、承認まではさらに時間がかかる ことになりませんか。ですから、迅速に未承認薬を導入する、という趣旨に合うかなと ちょっと疑問に思ったんですけども。  川原課長  そこは資料3でご説明させていただきますけれども、タイミング、タイミングにより ますので、必ずしもそれが承認申請を遅らせる方向での追加の治験とか、そういうこと を考えているのではなくて、先ほど大臣からお話がございましたように、患者さんの切 実な要望にこたえる形で承認申請自体も遅くしないような形、より遅くするということ にならない形での治験実施につなげていただければというような趣旨でございます。  黒川座長  例えば、最初のところ、国内では未承認の、となると、先ほど言った抗がん剤のoff- labelみたいに、国内で承認されているんだけど、ある適応の範囲で承認されている薬 がある。ところが、抗がん剤の使い方は2つ、3つの組み合わせで使う新しい治験が出 てきたときに、日本の場合は適応がそのままになっていて、支払側と1対1で対応して るからできないという場合があります。そうすると、妥当性を科学的に検討、評価する ことによって、確実な治験はなくても、それを変えることはできますね。そういう意味 も含んでいるのかということだと思いますけど、その未承認というのは。それだった ら、どうします?  川原課長  off-labelの部分につきましても、実際には未承認薬が今非常に大きな問題になって おりますので、まずは未承認薬ということで考えておりますけれども、黒川先生に座長 をお願いしておりますもう一つの抗がん剤の適応外の部分の話もございますし、他の領 域でも適応外の話はあり得ると思いますので、当然ここでの議論の中にoff-labelの部 分も将来的にはご議論いただければと考えております。  黒川座長  そうすると、ここで、未承認というのは、off-labelということについては入れてな いという話ですね。もしそういうのがあれば、それについては3番目のはなくてもいい という検討の道筋は開けているということだね。  阿曽沼局長  基本は、あくまでも全く未承認の薬にどう対応するかということで、それをベースと してやっていただくと。それ以外の、承認はされてるけど、効能を追加するかしないか という問題は別途と。  堀田構成員  今の件に関して、医師主導治験というのはここにも入ってきますが、医師主導治験は 既に国内である種の疾患に対して適応がとれているものをどういうふうに拡大できるか ということにあると理解しています。そうしますと、医師主導治験はこの検討会の議論 の対象にはならないと思うんですが、その点はどのように整理されますか。  阿曽沼局長  この未承認薬検討会議の最大の使命は、全く承認されていない薬について国内でどう 使えるようにするかということを考えるということですから、それを第一にやると。た だ、先ほど審査課長も言いましたように、議論の過程でいろんなことがあり得るので、 それは当然議論の対象にはしてもいいと思いますが、基本的には、全く未承認の薬をな んとか使いたいという患者さんがいる。それにどう対応するかということだと思いま す。後でご説明いたしますけど。  黒川座長  基本的にはそういう認識で進めていったらどうかと。そのときに先ほど言ったoff- labelの問題とか、いろいろなことがあるのはそれはまた一応対象とはしますけど、基 本的にはまだ全く承認されてないのはどうしたらいいでしょうかという話を中心に進め たい。そうでないことは除外するわけではないということでいいと思います。よろしい でしょうか。  もしよろしければ、ほかにもご質問あるかもしれませんが、それはまた戻って結構で すが、一応こういうふうになってきたその背景について、規制改革、民間への開放会議 というのがありますが、それの未承認薬をめぐる議論について、ということについて、 どういう背景があるか、どういうような声があるのかという話を伺ったらどうかと思い ますが、いかがでしょうか。よろしければ、事務局から議題の4.規制改革・民間開放 推進会議での議論の経緯について、ご説明願います。  事務局  事務局から説明をさせていただきます。資料3−1、A4横の資料をごらんくださ い。「いわゆる混合診療問題について」というタイトルがついているものですが、1枚 めくっていただきますと「いわゆる混合診療問題についての基本的考え方」です。な ぜ、いわゆる混合診療の解禁が主張されるのかということで、現行制度では患者の切実 な要望に的確に対応し切れていない。ということで、その下の点線の枠で囲まれた中の (1)に国内未承認薬という記載がございます。  国内未承認薬については、具体的には先ほども申し上げましたが、国内で承認される までに時間がかかり、欧米で承認されているのに、全額自己負担でないと使えないとい う問題点が指摘されておりました。  次のページが、国内未承認薬の使用に対する私どもの考え方を整理したものです。こ の問題を解消するために、非常に文字が多くてわかりにくい図で恐縮ですが、図の左下 (1)の確実な治験実施から(4)の保険診療との併用による切れ目のない対応、というとこ ろまでの措置を講じることによって、治験の枠組みを活用して制度的に切れ目のない保 険診療との併用を可能にすることができないか、ということを考えました。この図はあ とでもう一度ご説明します。  次の資料3−2は、いま図でご説明したことを文章で書いたものです。  それから、資料3−3は、尾辻厚生労働大臣と村上内閣府特命大臣との間の、昨年末 の「いわゆる混合診療問題に係る基本的合意」の文章です。その1ページの「1 国内 未承認薬の使用について」の1つ目の○で、患者要望の把握と科学的な評価を行うため に新たに設ける大臣設置に係る専門家からなる検討会については年4回定期的に開催す るとともに、必要に応じ随時開催することで、患者要望のある未承認薬の取扱いについ ては、最長でも3か月以内に結論を出すものとする。2つ目の○で、また、米、英、独 及び仏で新たに承認された薬については自動的に検証の対象とすることで、患者の要望 に的確に対応し、おおむねすべての事例について確実な治験の実施に繋げる。  といったことが書かれております。  それから、ここには出てきてないんですけど、検討会議については、第1回目を1月 中に開催する、ということとされていたことから、急なことではございましたが、本日 この会議を開催させていただいております。  いわゆる背景については、以上でございます。  黒川座長  質問するのには、説明が資料の割には短くてさびしい。  川原課長  資料3−1の2ページ目をもう少し詳しく説明させていただきます。  1 国内未承認薬の使用 というところですが、(1)から(4)までの対応を確認してお るところでございます。それで、この会議が関係しておりますのは、左下の(1)確実な 治験実施というところで、国内でもの自体が未承認のものについて、まず、今日第1回 目を開かせていただいておりますこの会議を設置する、ということです。  そこで、先ほど少しご検討いただきましたが、学会とか患者の要望を把握して臨床上 の必要性と使用の妥当性を科学的に検証、評価をしていただくということでございま す。  この会議については、年4回定期的に開催するとともに、必要に応じ随時開催。最長 でも3か月以内に結論を出す。といったところを先ほどご説明させていただいたところ でございます。  欧米、具体的には英、米、独、仏ということですが、そこで新たに承認された薬につ いては自動的に検証の対象とすることで、患者さんの要望に的確に対応していく。  そして、(2)以降の話になりますが、治験には、現在、薬事法上の治験ですが、企業 が依頼して行う治験と、医師主導の治験という、大きく分けて2つの種類がございま す。これのどちらで対応していただくかということも含めて、先ほど吉田構成員からも お話ございましたが、状況とかそういったものにも応じて、企業依頼治験を追加してい ただくとか、医師主導治験を追加していただくとか、そういった振り分けとかをこの会 議で行っていただいて、確実な治験実施につなげていただければ、ということでござい ます。  (2)以降はこの検討会議そのものの話ではございませんが、関連いたしますので、ご 説明いたしますと、(2)医師主導の治験の支援体制整備 ということがございます。  本日も一部、参考資料等で治験ネットワークの関係の資料が配布されておりますけれ ども、企業依頼の治験と医師主導の治験がありますが、現在、医師主導治験については 企業と同じいろいろな義務がかかっております。手続き、届け出の負担がかなりかかっ ておりますので、手続きについて、現場の医師等から負担の軽減を求める声もございま す。したがいまして、もちろん治験ですので、大事なポイントの簡略化というわけには いかないと思いますが、手続きの負担について検討ができないかといったことが一つご ざいます。  また、医師主導の治験の場合に、費用負担の問題についての議論がございます。医師 主導治験と企業依頼治験の場合で費用負担を見直しなり、明確化を図ってはどうかとい った議論がございます。  (3)では、企業依頼の治験、医師主導の治験をこの会議で振り分け、依頼をすること によりまして、追加的に治験が行われるようになりますと、治験に参加したい患者さん を組み入れることができるという形になりますので、患者さんの切実な要望にこたえる こともできるようになるという形でございます。  そして、(4)は、現在通常ですと、企業治験の場合、承認申請時までに治験を行い、 そのデータをまとめて承認申請をするという形になっておりますので、実際に品目が審 査中になっている場合には、新たな治験がなかなかできないという形になっております が、そういう場合であっても、先ほど、構成員からもご指摘ございましたが、安全性を 確認する、これは仮称ですが「安全性確認試験」というような形で審査中であっても、 それ以降の医薬品の安全性を確認することを主目的とする治験として実施ができれば、 患者さんの切実な要望にもこたえられるし、薬事法上の治験という形になりますので、 現在の制度、保険診療との併用という点でも断絶することなく、切れ目ない対応ができ るということで、そういった対応を考えているという形でございます。  資料3−1の1 国内未承認薬の使用 の絵でかいてある部分についての追加の説明 は以上でございます。  黒川座長  ということなのですが、これについて、この会議の要綱、資料1に書いてあるような ことは個別に議論しようと思いますが、その前に一般的なこととして、今までの説明そ の他について、ご質問を、どうぞ。  有吉構成員  今のご説明の中で意味がわからなかったのが、追加的治験の導入というところで、治 験開始後にさらに治験に参加したい者を受け入れる仕組みという、これはどういうこと を意味するんでしょうか。  川原課長  実際に私ども、患者さんの団体からのお話を聞いておりますと、企業依頼の治験が、 例えば、今日の時点で終了してしまっている。ただし、患者さんとしては、治験に参加 したいという意思は持っている、というような場合がございます。そういう場合に、も ちろん企業の理解とか、医師主導治験という場合には学会等々のご理解もいただく必要 もあると思いますが、そういうふうな形で、仮に追加で治験が行い得るということであ れば、既に終わっているというか、患者のエンロールメントが終わっている治験が走っ ておりましても、別途そういう追加的な治験をやり得る場合もあるのではないかという ことでの話でございます。  有吉構成員  そうすると、これは治験終了後、ではないんですか、開始後、と書いてありますが。  阿曽沼局長  今回の枠組みは、要するに国内で承認されてない薬を患者さんが使いたいと。それに 対してどう答えるかというふうな場が一面にあります。その時に、追加的試験というの は、いくつかタイプがあるわけです。  全く治験が行われていないものについては、この会議で議論していただきまして、こ れは治験をすべきかどうか、あるいは、治験をするとすれば、企業にお願いすべきなの か、医師主導でやるのか、その振り分けをやるというのが一つです。  二つ目は、既に企業なら企業で治験が実施されている。しかし、他に使いたい患者さ んがいる。それについてどう答えていくかという問題があるので、今行われている企業 の治験とは別に、新しい追加的な治験を組む必要があるのではないか。それについてご 議論いただきたいというのが二つ目です。  三つ目は、いわゆる治験は終了して、今、承認申請をしています。その期間にも患者 さんとしては使いたいという声がある。それにどうこたえていくかというので、この絵 の上では、安全性確認試験という名前の新たな治験をやったらどうかということです。  そういう意味では、従来の企業治験とか、医師主導治験で、要するに承認申請のため のデータを集めるという意味での治験と、それ以外に、新たに2つの種類の治験の枠組 みをつくって、それによって結果として患者さんの要望にこたえられないかというのが 今回のスキームだということです。  黒川座長  もう一つ、最初の枠組みに、いわゆる欧米先進国というのは一体何の国かというのは 別の問題として、そこで承認されているものについて検討してどうやっていくかという 前提があるということですから、そういう前提でこういうことをやったらどうかという ことですね。  堀田構成員  費用の点に踏み込むのはまだちょっと早いのかもしれませんが、ただでも日本の治験 は高いといわれているところへこういう追加的な治験とか、あるいは安全性確認のため に後から行う治験も企業が費用を負担するとなると、今の治験よりもっともっと高くな るので、企業が二の足を踏む、あるいは結果として薬価が高くなるのではないかという 心配もあるんですが、その点はいかがでしょうか。  阿曽沼局長  基本的にはこれから検討していただくんですが、そこは費用負担のことも含めて、企 業もできるだけ参加してもらいやすくしたいと思っておりますし、医師主導の治験もで きれば積極的に活用する仕組みを考えたいと思っています。まさにこれからのことで す。  川西構成員  この検討会はどこまでをやるかという部分で、ここに、臨床上の必要性と使用の妥当 性を科学的に検証、先ほど評価と置きかえられましたが、ということは、どのように臨 床試験をしたらいいか。それを促進するとともに、その結果の評価までがここに入るん ですか。  阿曽沼局長  基本的に考えてますのは、最初のところの、国内未承認薬、全く承認されてなくて、 治験が実施されていないというものについては、この会議で治験をやるべきなのか、や るべきでないのかを決めていただきたい。それは、例えばワーキンググループでも作業 いただいて、さらなる専門家のご議論をいただいた上でこの会議で判断するということ もあるでしょうし、どちらにしても、最終的にこれは治験をやるべきかどうかという判 断をしていただきたい。  その上で、治験をやるときに、企業にお願いするけども、企業は手を挙げて来ない場 合もあるわけですから、そういう場合には医師主導の治験というスキームでやるという ことになるわけで、そのへんの振り分けということもこの会議としてやっていただきた い。したがって、最低限それはこの会議でお願いしたいということです。  黒川座長  確認だけど、資料3−3の大臣の合意によると、一番の基本は、新しい薬なんだけど どうですかというよりは、むしろ、米・英・独・仏で新たに承認された薬についてとい う話が大枠のまず対象になりますね。そこの制度を整備しようというのが中心だと思う ので、そういう議論でよろしいですか。  阿曽沼局長  もう一回整理して申し上げますと、要するに、海外で承認されているというのは、米 ・英・独・仏の4か国で承認されている薬を対象にする、これが第一です。  二つ目は、患者団体、あるいは学会から要望がある。この二つの要件をクリアしたも ので日本で全く治験がやられてない。そういうものにどう対応するかというのが第一の ミッションです。  篠山構成員  一つ確認させていただきたいのは、この追加というのは、同じ試験をやめないでその まま継続というような意味なんですか。  阿曽沼局長  そこはいろいろあると思うんです。申請のためにやられている試験はそれ自体として ずっと続くわけですよね。それと全く同じものをやるのか、それとも違うタイプの治験 をやるのかというのは、これはこれからのご議論だと思います。  篠山構成員  私が今一番気になったのは、米・英・独・仏とおっしゃいました。これは全部同じ人 種なんですね、コーケジアンで。日本人は4つの国の人種と全く違うファルマコカイネ ティクス(薬物動態)を示す場合が多いと思うんですけど、人種差に関する検討を追加 するのかと最初は考えたんですが、そうではないんですね。  阿曽沼局長  そういうことではなくて、スタートしていて、治験に参加された方は今の仕組みでい いますと、特定療養費が適用になるわけです。だけど、新たに参加したい方というのが 特定療養費適用にならないものですから、そういう方にどう対応するかということで、 そこの対応するスキームの具体的な中身についてはこれからご議論いただきたいと思い ます。  吉田構成員  私は先ほどから申し上げているように、米・英・独・仏で承認された薬をいかに早く 日本で承認するかという仕組みを考えろ、ということだと思いますので、ここで挙げて いる治験というのは従来の治験のシステムではなくて、新しい仕組みを考えようという ことまで含めているんでしょうか。  阿曽沼局長  従来から考えられている治験がありますね。要するに、企業治験が行われて、それが 終わって承認申請に入るという、従来の流れは変わらないんですね、全く。  吉田構成員  そうすると、何年もかかりますよ。  阿曽沼局長  いや、そうじゃなくて、整理して申し上げますと、まず国内で全く未承認の薬があっ て、それは治験がスタートしていない。そういうものを早くスタートすることによっ て、国内に治験をやって、それは治験の中身によります、海外データをどれだけ活用す るかということはありますけども、承認申請をして承認につなげる。これは第1です。 3つのラインがあるんです、基本的には。吉田先生がおっしゃっている話でいけば、従 来からの治験の枠組みで申請していくのは変わらないんですが、そこは承認申請もでき るだけ早くできるように考えたいし、申請後の審査も早くしたいというのは変わらない と思います。  吉田構成員  もう一つは、米・英・独・仏で承認されていて、我が国が全く未承認で治験の手もつ いていないということはあまり考えられない。どこかの企業が既に治験の準備に入って いたりしてて、それがすごく遅いんですよ。それが問題なんです。オキサリプラチン、 後で問題になるかもしれませんけど、あれもいろんな事情があったにしろ、企業側の能 力の問題もあるかもしれませんけども、要するに、未承認で放っておかれたわけではな いんです。一生懸命やってたんだけど遅かった。だから、それをなんとかしないと、基 本的な仕組みを変えないと、たぶんこの問題は解決しないと思うんです。思い切った言 い方をすると、例えば、極端な話、米・英・独・仏で承認されたら、日本でも自動的に 仮承認して、それで治験に入るとかという形にしないと、たぶんスピードは追い付かな いんじゃないかなと思いますけど。  阿曽沼局長  最後のことに関していえば、そういうことは今は考えてないんです。そこまでドラス ティックなことは考えてないんですが、米・英・独・仏で承認されている薬で日本で は、全く治験が行われていない状態のもの、いま治験が進行中のもの、治験は終わって 承認申請中のもの、タイプが3つあるわけです。その3つのものについて、我々として は、それぞれできるだけ早くやるようにしたいんですよ。かつ、安全性は確認されてな いわけだけれども、安全性の確認ができることも並行してやって、なんとか使えるよう にしたいというのが我々の願いだということです。  黒川審議官  追加的な治験について2、3ご質問、ご指摘があったと思いますので、技術的な立場 から補足申し上げます。そもそも治験というのは様子のわからないものを患者さんの同 意を得て、様子を調べさせていただくというものですから、本来はそれほど大きくしな いで、少ない症例で精密にやるというのが最初のお約束だと思うんですね。その一方 で、医薬品の安全性を含めたプロファイルなどについては、できる限り早い段階で実践 的なプロファイルをどんどん取り込んだ形でデータとしてまとめていく。それを医療の 第一線にお示しすることは有用であろう。こういったような技術的な背景の中で、例え ば、エントリーの基準などについて、従来より少し広げた形で、より実践的な色合いを 含めて安全性確認試験、仮の名前ですけど、そういった形をつけることによって、追加 的治験という名前になっておりますけれども、例えば、通して行う、あるいは、相当間 口が広いような試験研究を行うことによって、局長が申されたような形と、それから一 般的な倫理的な部分についても、両方ご準備できるのではないか。このようなスキーム を考えております。  有吉構成員  いまのお話で一つだけ確認しておきたいのは、日本の薬事法では、治験をやって、あ る1つの疾患が決まったら、それ以外には適応できないというのがいまの薬事法のやり 方ですね。例えば、アメリカのFDAなんかは、典型的なのは、1つの疾患を承認した ら、後は保険制度の中での解決になっているわけです。ですから、例えば、抗がん剤で いえば、非常に重要な薬も、FDAの承認は僅か1ないし2疾患かもしれませんけど、 いろいろな疾患に使われる。例えば、日本でいえば、ある薬が非常に頻度の高い疾患で 治験を受けて承認される。しかし、本当に欲しいのは頻度の少ない疾患だと。そうした ときに、先に頻度の高い疾患よりも、むしろ頻度の少ない疾患で欲しい患者さんがいっ ぱいいると。それをこの会にかけられれば、薬事法とは無関係に承認されるんですか。  黒川座長  それはだけどoff-labelユースの話だから、それは。  有吉構成員  いや、全くまだ承認されてない薬が、現実に後から出てくる薬があると。  黒川座長  いま先生がおっしゃったのはoff-labelユースで、欧米では認可されれば、適応が違 ってもいいんですよ、というのはそうなんだけど、しかしアメリカの場合は、医療保険 がHMOとか、いろんなことがあって、そうはいっても、使えるかどうか、いちいち保 険会社に電話しなければそうはいかないというところもあります。  有吉構成員  だから、off-labelユースという考え方をかなり導入してくるんですか、ということ だけ確認したい。  阿曽沼局長  基本的には、いまの併用の問題は別途の話なので、まず、全然承認されていない薬が あって、どういう形で日本で対応しますかと。本来、承認されていないというのは、日 本で使えないということですから、薬事法違反になるわけですから、使えない薬をどう しますか、というのがここのミッションなんです。ですから、その後に、例えば抗がん 剤で、大腸がんという効能はあるんだけれども、これを肺がんにも使いたい、といった 場合にどう対応するかは別途の議論があるので、それはそれでこの検討会も視野に入れ てやるんですが、できれば、別の形で検討したらいいと思います。  黒川座長  こういう問題を提示されると、それぞれの立場で、これはどうか、これはどうかと、 だんだん例外的事項が多くなって、質問がいつまでも出てくるということになるので、 本筋をまずやった上で、例外は常にあると思うので、それをまずやって進めていった ら、もうちょっと理解が進むんじゃないかと思います。その後でまた質問はいくらでも あると思いますので、そのようにさせていただいたほうが。たぶん議論の焦点は、資料 1に書いてあるように、他にもあるんだけど、まずやることは、欧米諸国で承認されて いるが、国内では未承認の医薬品が全然使えないことについて、まず、欧米諸国での承 認状況及び学会、患者要望を定期的に把握する。それから、臨床上の必要性と使用の妥 当性を科学的に検証、評価したい。とともに、当該の未承認薬についての確実な治験実 施につなげるにはどうしたらよろしいか、という話をまず議論していったらどうか、と いうことでやらせていただいたらどうかと思います。その他にもこういうのもある、あ あいうのもあると、たぶんあると思いますが、まずここのところの議論を進めていった らどうかと思いますが、よろしいでしょうか。  ということで、議論が戻るかもしれませんが、その次、議題5に入るわけです。議題 5について、何といわれているかという話になると、いま言った、この検討会議の目的 が3つありますので、これが主な幹になってきますので、今後これを幹として議論して いきたいということにさせていただきまして、まず1番目の「欧米諸国での承認状況及 び学会、患者団体からの要望を定期的に把握する」ということについては、先生方がや ることは、事務局から説明していただいて、これについてご意見を伺いたいということ であります。よろしくお願いします。  事務局  欧米諸国における新薬の承認状況の定期的な把握でございますが、それは事務局で行 うことをまず考えております。それから、学会及び患者団体からのご要望につきまして も、基本的には審査管理課、あるいは医政局の研究開発振興課に寄せられておりますの で、それも私どもにおいて取りまとめてこの検討会議にご報告させていただきたいとい うふうに考えております。  黒川座長  これはそういうことになるかと思いますが、それによってどういう議題があるかとい う話のプライオリティをつけて検討してここに出してくるということでよろしいんじゃ ないかと思います。よろしいでしょうか。一応、事務局でそういうのは収集しますとい うことであります。何かありましたら、事務局にお寄せいただければ、文献をつけてと か、いろんなニュースがあると思うので、そのようにお願いしたらどうかなと思います が、いかがでしょうか。  では、その次に行きまして、2番目「国内未承認薬の臨床上の必要性と使用の妥当性 を科学的に評価する」ことについてはいかがか。評価するためには何かの基準が必要 か。  これらについてのご意見があると思いますが、まず、事務局はどういうふうに考えて いるかという話を伺ってみようと思います。よろしくお願いします。  事務局  いま申し上げましたように、欧米諸国での承認状況、それから学会、患者団体からの ご要望、そういったものを取りまとめて、ここに挙げさせていただくわけですけれど も、それに対して、なんらかの評価の基準が必要ではないかということで、これはあく まで一例でございますが、例えば、米・英・独・仏で承認されている医薬品であって、 そのうち適応疾病が重篤なものであって、その投与が患者さんの救命のためにはどうし ても緊急かつやむを得ないものであるとか、あるいは、既存の治療法等による対応が不 可能だと。要するに、代替となる治療法がない、といったようなものであると判断され るかどうかといったものがひとつ想定されるのではないかなというふうには考えており ますけど、この点についてご意見をいただければと思っております。  黒川座長  具体的な事例が2つ、3つ出て来ないとなかなか感覚がつかめないと思いますが、先 生方によっては、これかなというのがあるかもしれません。どうぞ、ご意見がありまし たら、目的の1、2を含めて、コメントをいただけたらと思います。もちろん後でも結 構ですけども。  もう一つは、医薬品、医療の治療はすべてそうで、教育も同じだけど、社会的な基盤 というのは、1つはアクセスの問題、2番目はクォリティの問題、3番目はコストの問 題、これらをどう折り合いをつけるかが大事なわけで、教育も初等、中等教育、みんな にアクセス率を上げなくちゃいけない。もちろんクォリティをどうやって上げるか。コ ストは誰が負担するのか。常にこれが問題になるわけです。医療も同じです。新薬を提 供するのも、アクセスをどうするか。日本の医療制度はアスセスはいいとなってるんだ けれども、クォリティがどのぐらい均一で高いかという話と、コストをどうするのかと いう話が常にあるわけで、そういう視点からいうと、欧米諸国では云々と、科学的に検 証したいということについても、こういう視点で最終的にはどういうふうにポリシーを つくっていくかという視点かなと思います。一方で最近、雑談ではないんですが、多く の会社が合併・吸収をやってどんどん大きくなっていて、メルクの問題と、ファイザー の問題、バイオクスの問題をご存じだと思いますが、そういう時にだんだん大きくなる と何が起こるかというと、それぞれの会社は研究開発にどういうプライオリティをつく っていくかといえば、グローバルマーケットの年間に1千億は売り上げる薬でないと対 象にしなくなってくると思いますよ、大きくなっているから。そうすると、グローバル なマーケットではせいぜい20億とか50億ぐらいが見込まれて、患者さんは少ないん だけど、しかし、医療の現場から、これはすごく大事だというのが結構あると思うんで すね。そういう薬をどうするかというのは、大きな会社はたぶんやらないだろう、とい う話になってきているので、そのへんも結構問題があって、いまのようなことになって くると、下手をすると、企業にモラルハザードが起こってくる、という可能性もあっ て、常にこれでやってくれればいいんだから、うちはやりません、と言って、みんなが 困った、困ったといったら、それじゃあ、お金を出してくれるならやってもいいかな、 なんていうのも、企業としていかがなものかという話も、一応考えておいてください。 つまり、コストをウエアするのかという話です。  川西構成員  私は薬の審査のアドバイザーとして、いままでもいくつも見ていますが、通常、私ど もが見るときに、こいつは急ごうというときは、臨床試験のデータなんかを見ながら急 ぐわけですけども、今回こういう検討をする場で、欧米で既に承認されているというこ とに関して、それに関連するようなデータは手に入るという前提で議論をするんでしょ うか。  川原課長  欧米ということですと、アメリカはFDA、ヨーロッパの場合はEMEA、ヨーロッ パ医薬品庁がございます。そちらで承認しますと、審査の関係の書類とか、そういった ものを私どもで入手できますし、彼らもしかるべく公表したりしておりますので、そう いったもので、かなり実質的にサブスタンシャルな議論をしていただくための資料も準 備できるかというように考えております。  黒川座長  もう一つは、最近は例のプロザックの問題なんかがあるから、製薬企業は治験をやっ て承認されるとすべてのデータをウエブサイトに公開することになっていますよね、国 際的な話だけど。それを見ようと思えば、どこまで出て行くか知らないけど、調子の悪 いデータを企業が自分で判断しないようにということで、全部出すようにということは あると思います。  川原課長  はい、それは欧米の一流雑誌の編集者のステートメントということで外に出ているよ うですが、今年の7月ぐらいから、実際に事前登録を義務付けて、事前登録した臨床試 験でないと、ニューイングランドジャーナルオブメディスンとか、ああいうものについ ては、データが出たといっても、事前登録していない臨床試験は掲載を拒否するという ことをやっている、ということです。  黒川座長  どこかのときでデータは全部公表するということになってる、ウエブサイトに。例の プロザックの問題からそういうふうになった。ニューイングランドもランセットもそう なんだけど、エコノミストに2年ぐらい前に出たと思うけど、大規模治験が出てくる と、それは医療政策に反映されるためにやってるわけだから、ある程度公的な資金も出 てます、製薬企業でやってます、ということで、それを政策に導入するためにやってる わけ。そうすると、実際にスポンサーがあるような治験だと、もしかしたら、インベス ティゲータでも知らないような生のデータにはなかなか行きませんから、調子の悪いこ ともあるんじゃないか、という話が出てきて、それで例のプロザックが子どもが飲んだ ら自殺した話があって、その生のデータは出て来なかったという話で、大規模試験のが ニューイングランドなんかに出たときに、そこのところまで十分研究者が見えきれてな いんじゃないかということで、社会的な責任がどうだという話が2年ぐらい前からかな り問題になっていて、データは全部出しましょう、ということになってきたと思いま す。それがなかったらちょっと調べてみて。たぶん調べられると思います。  吉田構成員  検討事項の(4)「企業依頼」と「医師主導」の振り分けってありますけど、振り分 ける基準は、企業がいやだといったら、医師主導にするのか。基本的に医師主導でやら せて、企業はよくよくのことがないとタッチしないとか、いろんなことが考えられると 思うんですけど、具体的にはいまどういうことを考えてられるんですか。  川原課長  これは実際に個別のケースが出て参りませんと、なかなか難しい面もあるんですが、 現行では、先ほどもちょっとご説明しましたように、医師主導治験につきまして、実際 に行われている医師からは、手続き面、お金の面での負担から、支援体制が確立しない と、医師主導治験に振り分けられても、すぐに対応できるかどうかという部分はちょっ とあるということで、当面は企業依頼治験の追加といったようなことを中心に考えざる を得ないのかというふうにに考えておりますけども、しかしながら、医師主導治験の支 援体制の整備ということも、この合意内容に入っておりますので、今後、こちらについ てもしかるべく検討していって、医師主導治験にも振り分けて対応していただければ、 というふうに考えております。  吉田構成員  この問題は、企業が原則で医師主導が補助的なものなのか、それとも、医師主導治験 の支援体制がよくできて、現在も日本に3つぐらい大きな試験センターがありますけ ど、そこが積極的に取り組むということになると、むしろ企業依頼治験は何をやるか、 ということも考えられますよね。それはさっきの話で、治験をしなくたったという企業 は、このシステムができることで、企業は積極的にさぼる。だめな企業ほどこういうも ので救われるという変なことにならないか。だから、その振り分けの基準がどうなって るのかなと思って。  阿曽沼局長  おっしゃるとおりの問題が生じ得るので、たとえば、フリーライダーの問題が出まし たけども、企業が承認申請をするためにやるのが治験ですから、企業が原則です。た だ、企業もいろんなことで手を出さない場合がある。そういう場合に補完するものとし て医師主導治験になるわけで、あくまで、企業主導の治験が第一で、セカンドチョイス として医師主導というふうに考えているということです。  黒川座長  これは、事務局がどう考えているかというより、ここで議論してほしいという話だと 思います。先ほど言ったように、そうなれば、モラルハザードが生じやしないかという 話が確かにあるので、それをどうするか。ずっと医師主導といっても医師だけではでき ないし、その時に製薬企業が、大きなメーカーがやるようなハイクォリティが維持でき るのか。それは大変だ、公的お金をくださいね、なんていうと、小さい会社はますま す、じゃあやらないよと。薬は大事だけど、私たちはやれません、という話になってい てもいいのかという話になるでしょうね。だけど、国民の要請が強いとなれば、国民は 税金を払ってもやっってくださいと要請してるわけね、という話になるんじゃないです か。そのへんのプロセスはどういうふうに決めるかということだと思います。  むしろ、それもここで議論してほしいということなんですね。議論しても結論は出な いかもしれないけど、どういう視点、論点があるかということじゃないかな。  堀田構成員  今回のこの未承認薬の問題は、一つは治験という、未承認のものをいかに治験に持っ ていって、適切な評価をして、いかに早く承認にこぎつけるかという問題と、その間に 患者さんをどうやって救済するかという二本立てになっていると思うんですね。これは 少し整理しないといけない部分じゃないかと思います。承認されるまでの間の患者さん に対する救済のための措置というのは、治験にある程度時間がかかるということを前提 に話をしていますよね。だけど、一方では治験をもっと早く、簡潔にできないのか。例 えば、途中のプロセスで飛ばせるものはないのかということも検討すべきだと思うんで すね。例えば、先ほどもコーケシアンでデータはいっぱいある。日本人は安全性は確か ではない。それなら、そこの部分だけきちんと評価すれば、有効性とかは出てるわけで すから、そこはあんまり時間をかけて長々とやる必要はないのかもしれない。これはも ちろん、かもしれないというレベルですが、そういうこともあり得るかなと考えます。 例えば、フェーズIレベルで安全性が確認されれば承認に進めるというような検討も必 要だと考えます。これは今回この検討会議で考えることではないかもしれないんです が、そういう、治験を早く確実に進めるということと、その間の救済をどうするかとい うことは切り離して考えないと話がややこしくなると思います。  黒川座長  そうですね。  堀内構成員  いまのことと関連して、早く臨床に使われるようにするということと、それが安全か どうかというか、副作用が起こらないだろうかということがパラレルの問題です。した がって、5番目の安全性確認試験というのがかなり重要になると考えられます。承認し たときにどういう形で安全性を確認するか、安全性の確認には有効性も含まれると思う んですけども、例えば、全症例調査をするとなると、これは場合によると治験とは異な るものと考えなければならないと思います。そのへんまで含めて議論すると考えてよろ しいですか。この安全性確認試験というのは、抗がん剤だったらフェーズIIIと考える か、もう少し幅広いものと考えるかということが重要なことだと思います。  川原課長  事務局の考え方としましては、これもご議論いただければと思っておりますが、安全 性確認試験、仮称にしておりますが、これにつきましては、市販後の使用実態を念頭に おいて、適正使用の方策を導き出すための治験ということで、こういう試験の実施を通 じて、市販後の臨床使用時と同等の疾病を持つ患者群を対象にして、使用に当たり注意 すべき副作用の確認や使用上の注意といったようなところを主として検討する、そうい うイメージで試みを考えております。  堀内構成員  そうすると、例えば、市販後の一定期間、全症例フォローするとかいうようなことは また別で、ここで議論することではないと。  川原課長  一応ここにおきましては、市販後のところまでは考えておきますが、市販後のところ は、承認審査の段階でまた市販後の条件とか……。  堀内構成員  ここで安全性確認試験というのは、例えば特定療養費扱いにするかといったことも含 めて、承認申請をして、発売されるまでの間のあり方について議論するんでしょうか。  黒川座長  資料3−1の2ページの(4)というところ、治験が終わって、審査している間は使え なくなるわけだから、そのコンパッショネートユースとかいろんなことはあるんだけ ど、これについてはここでやるのかという話ですね。  阿曽沼局長  堀内先生おっしゃった、まず、実際に使えるようになってから、市販後の全数調査と いうのは、まさに承認後の話で、それはそれで従来どおりきちっとやります。今回の問 題は、ちょうど治験は終了したんだけど、いま審査をしている最中だと。その間につい ては残念ながら特定療養費の対象にならないということがあります。治験の最中は特定 療養費適用になったんだけど、申請中はぽっかり穴があくという問題がありますので、 そこをなんらかの形で救済できないかということで、それを、できましたら、市販後の 全数調査を前倒しをするような形で治験とすることはできないかということです。  それから、先ほど、堀田先生がおっしゃった問題提起、まさにそのとおりでございま して、今回2つのことが混在していますのでわかりにくいんですが、できるだけ早く治 験をして、できるだけ早く承認をするという道筋をつくるというストーリーと、いま使 いたい患者さんが必ずしも十分使えないという状態にある。そういう人たちに対してど ういう手を差し延べるかという、問題が2つあるというのはご指摘のとおりです。  有吉構成員  そういう薬剤を選んでいくときに、この会議が非常に重要なことは、目的の2番目に ある、臨床上の必要性と使用の妥当性を科学的に検証、検証ではなくて評価らしいんで すが、評価するということで、それは個人にとっては絶対に必要だというものも出てく るでしょうし、あるマスが必要かどうかという問題も出てくるんですが、そのへんの必 要性の基準が非常に重要になってくると思うんですね。私はこの会の決定事項が唯一利 益になるのは患者さんであって、企業でもなければ、医療でもなければ、行政でもな い。患者さんが唯一利益を得るという観点でやらないと、さっきのモラルハザードの問 題なんかも出てくると思うんですね。ですから、ある程度の妥当性、あるいは必要性の 基準というものがこの会で検討されるべきか、あるいは、全部個別にやっていくべき か、そのへんはいかがお考えでしょうか。  阿曽沼局長  基本的には、最初の○にありますように、欧米諸国の承認状況をまずつかまえる。そ こで必要なデータを事務局でできるだけフォローしたい。と同時に、2つ目の学会の要 望とか、患者さんの団体の要望を客観的につかまえたい。その上で、ここから先はどう いう形になるか、ワーキンググループをつくって個別の頻度分布を出す等。どちらにし ても、まずの問題として、日本でこの薬を治験という形に入る必要があるかどうか、と いう話は個別に議論していかなければいけないだろうと思います。ただ、基本的に、ど こまで使用の妥当性を科学的に評価できるかということは、いろいろ議論があると思い ますが、欧米のデータと、患者団体、学会の要望について精査をして、これは大筋みて いけるんじゃないかとか、これは必要ないんじゃないかという判断をしていただきた い。  黒川座長  最終的には、それが承認されたというプロセスになると、それは保険診療の中に入れ られるということですね。  阿曽沼局長  もちろん、あくまで日本のいわゆる薬の承認制度とか、保険の適用制度の根幹を崩す 制度ではないんです、これは。本来ならば、薬が承認された後、保険適用された後に保 険診療が適用されるということなんですが、そういうことを考えていますと、承認され る前の薬を使いたいという患者さんのご要望に十分にこたえられないんじゃないか。た だ、安全性の確保もきちんとしなければいけないんじゃないか。そういう、大変困難な 課題をどうしたら一挙に解決できるだろうかという意味でのトライアルだと思っており ます。  黒川座長  この検討を通じて、治験の実施方法等について意見を集約して、速やかに確実な治験 につなげていくにはどうしたらいいかというお知恵をいただきたいというのがあるわけ で、そのときに、アサンプションは、企業はやらないといって、必要だからといって公 的なお金を使うんですね、といってどんどんやってしまっていいんですか、という話は 国民が決めることだということで、そうなると、いまの保険制度の枠組みがありますか ら、あるプロセスを経た上では、保険診療に入れていってよろしいかという話をしてい るわけで、その間は全部私費だから混合診療といわれると、それもちょっと困ったもん だという話があるわけです。そうすると、医師主導の治験というのがありますが、メー カーがやらないとなると、公的なお金を使ってやっていいんですね、という、途中でそ ういう話が出てくるんじゃないか。だけど、認められれば、メーカーが売るわけで、治 験をやった医師が売るわけではありませんから。そうなると、フォローアップについて は、企業として責任を持つという感じになるんじゃないかなと思いますけど。  ということでよろしいか。そういうことで、意見は整理させていただきまして、次 回、いまのような基本的な理解でやっていきたいということでありますので、今日の話 ももう一回整理させていただいて、次の具体的な提案についてまたお諮りしたいと思い ます。その次に、いま基本的な話は理解を共通にしようということでやってるわけです けども、これを実際に具体的な案件が出るともうちょっと話がわかりやすくなる部分も ありますので、いつまでもエンドレスにやってても構わないんだけど、皆さん疲れちゃ うとまずいということがありますので、いままでのところをまとめさせていただいて、 次回までに資料を用意するということにさせていただきます。  モラルハザードにどう公的な金で入れるか。それから、保険適用までもっていくとい うのも大変ですから、その間をどうするかという話を議論する。そんなことで、次の6 .抗がん剤です。抗がん剤はさっきから言ってるように、off-labelのがあるんですが、 そうじゃないのもありますので、抗がん剤でお話を伺いたいと思います。まず事務局か ら説明をしていただいて、論点をもうちょっとフォーカスしていこうと思っております ので、よろしくお願いします。  事務局  それでは、資料4と5についてご説明をさせていただきます。      、「国内 未承認薬の使用」ということで、国内で承認されるまでに時間がかかり、欧米で承認さ れているのに、全額自己負担でないと使えないということで、学会、患者団体から要望 のあるものとして、資料に具体的な薬剤名が書いてありますが、ペメトレクスドとサリ ドマイド、そして、オキサリプラチン、という3つのものがございます。これについ て、資料4の上のほうに書いてありますように、いわゆる混合診療の問題が起きたとい うことです。  そこで、実際問題として、この3つのものについて、そういう形で対応していくかと いうことですが、3つの薬品については資料5に挙げています。それほど詳しいデータ とかは出しているわけではありませんが、3つ書いてあります。  1つは、オキサリプラチンで、これは先ほどから議論が出ておりますように、現在審 査中ということで、企業が結腸・直腸がん、いわゆる大腸がんの適応効能で申請を出し ておりまして、私どもとしましても、優先審査という形で審査をしておりますけれど も、現在まだ審査中という状況でございます。具体的には先週金曜日の薬事・食品衛生 審議会 医薬品第二部会で審議をいただいているというものです。  これは、現在審査中ということで、通常は新たな治験は行われないというところに入 ってきたということで、資料4の真ん中の安全性確認試験といった形での治験が行われ ない限りは、制度的に特定療養費を活用した保険診療との併用が可能な体制ができない という形になっているものです。  2番目の、ペメトレクスド、サリドマイド、これも患者団体、学会から要望のあった ものです。  ペメトレクスドについては、日本ではここの企業が悪性胸膜中皮腫というがんについ て開発しようとしており、昨年の11月10日に優先的治験相談品目に指定されており まして、これから鋭意治験を開始しようという状況にあるようです。  サリドマイドですが、これは、厳密には欧米といいましてもアメリカで承認されてお りまして、アメリカではご承知のようにハンセン病の治療薬ということで、アメリカは まだ多発性骨髄腫の効能は認めておりませんで、厳密な意味で抗がん剤といえるかどう かというのは難しいところがありますが、サリドマイドにつきましては、現在個人輸入 が多いということの中で、昨年12月10日に適正使用に関する学会ガイドラインを策 定いただきまして、これも先週の金曜日ですが、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 で多発性骨髄腫に関して、希少疾病用医薬品指定について審議いただいたということ で、今後、企業が開発を進めていく治験の準備に入っているという状況でございます。  以上でございます。  黒川座長  いかがでしょうか。そうすると、先生方の中で実際にかかわっておられる先生もいる と思うんですけども、1はいま審査中、2は優先治験品目に指定され、3については希 少疾病用医薬品の指定について、審議されたということですね。承認されてるの。  川原課長  部会での審議は終わっておりますので、間もなく事務的には指定されるというところ です。  黒川座長  これらについて、何かコメントございますでしょうか。差し当たり事務局ではこれら がこの対象なのかなということで、早急の検討しなければならない抗がん剤として挙げ ているわけですが。  有吉構成員  ペメトレクスドに関しましては、さっき私が抽象的な言い方で言ったものでございま すが、これ単剤ではあまり意味がないので、シスプラチンとの併用なんですね。ところ が、さっき言いましたように、シスプラチンが中皮腫に認められておりませんので、治 験をやるとなると両方とも、治験、治験の組み合わせに、いまの薬事法ではそうなるわ けです。ですから、それを開始するために併用の会議でおそらくシスプラチンの中皮腫 に対する検討もされると思うんですが、そういう意味でいまの薬事法との整合性を図る という意味では、こういう会議、あるいは併用検討会の動きが非常に重要になってくる 薬ですし、現実には中皮腫の患者さんに早く提供すべき薬というふうに考えるべきだと 思います。単独では、肺がんの方でフェ−ズIIに入っておりまして、しかし、中皮腫に ついてはまだ検討の段階ですので、おそらくできるだけ早く、シスプラチンとの併用に おける治験ができる体制をつくるようにしないと、患者さんに早く提供できないんじゃ ないかと思います。  それから、サリドマイドはいろいろ経緯がございますが、私、一番重要なことは、使 用して余った薬剤をどうするか。絶対に起こしてはならないのは、あのサリドマイドの 悲劇、これを二度と起こしてはならない。現実にブラジルでは第二次災害が1990年 代の後半に起きているわけです。ですから、日本でそのことだけは絶対に避けなければ いけない。ということで、一番重要なことは、個人輸入したものを含めまして、患者さ んが飲み残した薬がどうなっているか。現在、新聞報道によりますと、年間52万錠だ そうです。52万錠の薬を飲むだけの多発性骨髄腫の患者さんがおるとは思えないんで すね。ですから、これは早急に、患者さんに使うという問題以上に、その後の問題を考 えていかないと、簡単にこれをこうしましょう、という話にはなり得ないと私は思いま す。  吉田構成員  サリドマイドの件とはちょっと外れるんですが、私やっぱり理解が悪いのか、例え ば、オキサリプラチンは審査終わりましたし、ペメトレクスドも治験に入ろうと相談に 来てますよね。サリドマイドは希少医薬品に指定されていますよね。このまんまで、こ の会は何もすることがないんじゃないですか。これをどうしようとしてるのか、わから ない。  黒川座長  はい、ポイントを説明してください。  川原課長  先ほどのご質問についての追加の説明もいたしますけれども、ペメトレクスドにつき ましては、併用されますシスプラチンについても同時に優先治験相談品目に選定をして おるということで、今後の治験につきましては、シスプラチンとペメトレクスドの併用 で実施されていくという状況にあるということでございます。したがいまして、事務局 としては、そういう対応というか、そういう状況にあるけれども、先生方としてはそれ をご了解いただけるかといいますか、それでよしとされるかどうかというような話にな っております。  黒川座長  いまの話は、この検討会議をつくったから、そういうことを一応挙げなくちゃいけな いことになった、ということだ。  川原課長  実際問題としまして、欧米での承認薬につきましては、全部自動的に検証するという 外向きのコミットメントもありますし、現在私どもに患者さんの団体、学会から要望が 来ているものとして、抗がん剤ではこの3つのものがあって、それが承認審査、早期の 認可、早期の保険適用といったところが望まれているということで、これらをモデルと いいますか、そういった形でご議論いただければという趣旨でございます。  黒川座長  そうすると、事務方の判断としては、2番目の場合は、いま有吉先生が言ったよう に、抗がん剤のoff-labelでこっちをまずやるのか、優先順位でこうなってますから、 それをどういうふうにやるかということは、事務的には一応対応できるのかもしれな い、いまの枠組みで。だけど、そういう問題を認めていただければ、そのようなことで いいかと。シスプラチンは適応に入れますと。そうじゃないと併用でやれないわけだか ら、off-labelにしないでそれで済むのであれば、優先的な治験にしましょう、という ことで了解してもらっていいか、ということですね。  吉田構成員  いや、そうすると、もう一つの、先ほど堀田先生がいわれて、私も主張したんですけ ど、どうやって早く治験を終わらせるかという視点は出て来ないんですか。  黒川座長  これもやらないとシスプラチンの話でつっかかっちゃって動かないんじゃないかとい うのが先生の話ですね。  吉田構成員  現実にそうだと思います。それともう一つは、シスプラチンの適応をすぐ認めなさい というようなことを勧告する。あるいは、サリドマイドの件だと、メーカーよりも、堀 田先生いらっしゃいますけど、JCOGでやったらすぐできるんじゃないかとかって、 そういう話をここでしてもいいのかどうかということを聞きたい。  川原課長  非常に難しいご質問なんですけども、ものが未承認ですので、品質、それから基礎的 な毒性データを含めて、未承認薬ですので、データがフルセット必要になるという部分 もございます。もちろん、臨床データの中で企業が治験として行わなかったデータで も、国内の申請企業が自ら行わなかったデータでも、例えば、外国データとか、吉田先 生、堀田先生おっしゃったような、国内の腫瘍の研究グループが作成したようなデー タ、そういったものも申請には前向きに使っていただくように、というふうには思って おりますけれども。ただ、非常に難しいのは、先ほどからお話出ておりますように、抗 がん剤の場合、特に注射剤での併用というものが多くて、それが1品目でも未承認薬が 入ったり、適応外のものが入りましたりしますと、注射という技術の中で一本でやって おりますので、そこがうまく整理しにくいということがございまして、そこは抗がん剤 の併用療法の研究とか、そういったようなものが世界的に速い速度で行われていってい るというところと関係があるかなと事務局としては思っておりますけれども。  吉田構成員  誤解されちゃったみたいなので。いまJCOGの話をしたのは、医師主導の治験か、 企業の治験か、振り分けるということなので、例えば、この会で、医師主導でお願いし ようかということを決めるんですか、ということを聞きたい。  川原課長  それはそのように決めていただいて差し支えないと思いますから、お願いしたいとこ ろかと考えております。  阿曽沼局長  ちょっと補足をいたしますと、いま欧米で承認されている薬で、日本で承認されてい ない、かつ、学会、患者団体から要望があるという薬について、抗がん剤の分野で洗っ てみますと3つありました、ということです。もちろん、これは日々刻々変化します が、3つあって、そのうち2つは全然承認されてないし、治験も入っていないものでし た。それがペメトレクスドとサリドマイドです。もう1つのオキサリプラチンについて は、既に審査中であります。ですから、いまどう救済するかという問題だということで 考えられる案件です。この3つの薬についてみますと、資料5にありますように、治験 に入ってないものについては、企業が治験をしたいといっている。1つはリリーさんが やりたい、もう1つは藤本さんがやりたいといってるわけですから、今回の場合は、医 師主導治験ではなくて、企業治験を速やかにやってもらうということであれば解決をす るということだと思います。  それから、オキサリプラチンについては、次の議題になりますが、いま穴が空いてお ります。審査中で特定療養費適用になっていないので、その問題にどう対応するか。新 たな治験のスキームというのをやったらどうかという提案をしておりまして、それにつ いてご議論いただきたい。そういうフレームです。  で、抗がん剤以外にも実はいっぱいございますので、それは次回またご審議をいただ きたい。  黒川座長  そうなると、いまのところでは、ペメトレクスドについてはいいんだけど、有吉先生 が言われたような枠組みがあるから、それは行政的に対応をしてできるようにしていま すということですね。もし、行政的に抗がん剤のoff-labelユースをやらなくちゃなら ないという判断があれば、それはそれなりのプロセスを経てやりましょう。できるだけ 速くするように対応します、という話でよろしいね、ということですね。  2番目はサリドマイドは、藤本さんがやるということになって、希少オファーもやっ たので、JCOGなんかもアプローチされると思うので、できるだけ早くすませましょ うね、という話に協力していただければよろしいんじゃないだろうか、ということでよ ろしいんじゃないでしょうかね。  2と3については、プロセスが、従来の中でも優先順位とか、希少指定とか、それな りのデュープロセスが取られてますので、あとはドクターの側と患者さんの側で早く協 力してこれを治験のプロセスにのせてくださいということだと思います。  そうすると、問題は1のオキサリプラチンで、承認申請を行って、優先審査というこ とにはなっていますけども、実際にその間はいままでのやり方からいうと、患者さんは 承認になるまでの間、薬価がなんとかで保険がなんとかというプロセスをやらないと使 えないことになっているので、そういうことについて、検討したらどうか、ということ ですか? ちょっと違う?  川原課長  そういうことでございます。  黒川座長  そこが問題ですね。もう一つ、有吉先生のサリドマイドの52万錠という話だけど、 並行輸入で入ったとき、錠剤の場合は、取り込んで、いいのね、と飲んじゃうわけです ね。注射薬で混ぜている場合には医療行為に直接かかわっちゃうんだけど、お医者さん に相談したら、それは並行輸入で買えますよと。患者さんがお金を払うのかどうかわか らないけど、それで輸入して、自分で家で飲んでる場合にはお医者さんも知らない、と いうかっこうで保険診療になってるんだけど、お医者さんで出せば保険診療ではなくて 自由診療になっちゃうじゃないのという問題がある、という話はあるかもしれない。  有吉構成員  現実に、これは厚生労働省が全く関知してないことでしょう、52万錠というのは。  平山安全対策課長  サリドマイドにつきましては、個人輸入とはいいましても、個人はお医者さんにすべ て限定しています。お医者さんからの申請があって、その錠剤の数が一応1か月ぐらい の分量であるということを確認してから許すという形をとっております。それともう一 つは、昨年末にガイドラインをつくりまして、その中で、病院の中で薬剤を管理する方 と、患者さんの家庭の中で管理する方をきっちり決めていただいて、例えば、飲み残し が出たというときには必ず医療機関にフィードバック、元に戻していただくというスキ ームをつくりまして、それを守っていただく先生に個人輸入を許すという形をとってお ります。かなりのところは多発性骨髄腫の方が使用されているんですけれども、そのガ イドライン自体は多発性骨髄腫の学会、臨床血液学会ですが、そちらでつくっていただ いて、学会に関しては、患者さんの登録とか、そういうことも含めて管理していただく ことになっております。  黒川座長  それでも、話を聞いて並行輸入して自分で飲んじゃう患者さんもいるし、お医者さん には飲んだよと言って、実はため込んでる人もいるかもしれないという話は、これはな かなか範囲を越えちゃって仕方がないでしょうね。そうすると、そういう言ってるにも かかわらず、何か意図があって調べる人もいるだろうし、去年の秋かなんかに問題にな ったRU486か、あれも並行輸入して、あれはアボーションの薬だけど、自分で飲ん じゃうという話が出てくるのは、行政はその後で手を打ってますけども、お医者さんと 相談しないと危ないよという話をして、そういうふうにしかできないようにはしてるん だけど、いまの時代、できないこともやっちゃう人はどんどん増えてくるということは たしかにあるわけで、それについてコメントはいいかな。そういう話の範疇の問題かな という気がするんだけど。  堀内構成員  これは薬の医療機関における管理の問題があるんですが、例えば、私たちのところで すと、使用に当たっては、薬事委員会で承認をして、その医薬品の管理については薬剤 部で管理し、処方箋で出す、という形にしております。ですから、患者が飲んだかどう かの確認は、医師と薬剤師がやるということでやってますけども、そういう管理をきち んとやって、残ったものについては回収する、というようなことがガイドラインにも管 理のことが書かれていますけど、それを徹底をしてどの医療機関でもやるということが 必要なことかなと思います。  黒川座長  いまの返事は、そういうふうにサリドマイドについては制度としてはなっているとい うことだね。  平山課長  そうでございます。  有吉構成員  本来ガイドラインというのは法律じゃないわけですから、縛れないわけですね。ガイ ドラインで果たして十分なのか。現実にちょうど2年前ですけど、横浜ないしは静岡 で、大量に輸入して患者さんに、しかも多発性骨髄腫以外の患者さんに大量に3か月分 ぐらい渡しているという医療機関があったわけです。それは厚生労働省の管轄外といえ ばそれまでなんですが、少なくとも、治験に関する限りにおいて、アメリカなんかでは かなり厳しい審査制度をとっているわけです。それでもなおかつまだ承認されていない ということですので、これはこの会でどこまで言うかわかりませんが、かなり厳しい、 むしろ法的な基準みたいなものをつくらないと、単にガイドラインだけでは、私はきっ と何かが起こる可能性を野に放つものだと思います。  黒川座長  それはちょっと違った問題も含んでいるので、テイクノートさせていただくというこ とにしたいと思います。なぜかというと、そういうことをやったときに法律じゃなけれ ば、お医者さんたちの中で自浄作用がないのかという問題になってきますよ。つまり、 なんでも法律にすれば、ギシギシになっちゃって、いったんつくると、それは大変だか ら、これをどうするのかというガイドラインをつくった人たちは、実際にそれをフォロ ーするのは誰なのかという話になって、それは社会に対してどういう責任を持つのかと いう話で、それを法律をつくらないといけないねえ、というと、ますます行政にお願い して、行政の力が増えるだけという話にもなりかねないなということはあると思いま す。社会がそれを望んで、なんでも行政でやってくださいというのなら、それはそれで 結構な話で、国のあり方だからという話になっちゃうかなと思います。それは皆さんの チョイスだという話になっているわけです。  そんなことでいろいろ問題もあるんですが、今日はオキサリプラチンについて、事務 局から説明いただいた後にご議論していただきたいと思います。  事務局  資料6をごらんください。「オキサリプラチンの安全性確認試験(案)」 −治癒切除不能の進行・再発結腸・直腸癌患者を対象としたFOLFOX4 レジメン の臨床第I/II相試験の骨子− です。先ほど出て参りましたが、先週の金曜日に、オ キサリプラチンの承認の可否が薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で議論されました が、この試験計画書はその議論を受けて、本来であれば、承認後に行う、オキサリプラ チンと、インヒュージョナルな5−FU/l−LVの第I/II相試験を、今回今日ご議 論いただきました安全性確認試験として、承認前から前倒しに実施をするということを 念頭に策定されたものです。  したがいまして、資料6の1ページに、選択基準、除外基準等、例えば、選択基準で すと、(1)結腸・直腸癌であることが病理組織学的に確認されている症例 (2)治 癒切除不能な進行・再発例 等いろいろ書いてありますが、これは基本的には、承認 後、オキサリプラチンが実際に使用されるべき対象を想定して設定をされたものです。  主な目的としては、実地医療を踏まえて、オキサリプラチンの日本人での最適用量と レジメンの確認を行う、というものです。  ただ、1ページ目に、治験実施期間18か月程度、症例集積期間12か月程度とあり ます。そして、2ページ目の一番下には、予定症例数とありますが、このへんはまだ検 討中の部分です。3ページ目の最後「その他」のところで、これは承認前から開始をす るということで、その時には治験という形で開始しますが、オキサリプラチンが実際に 承認されますと、その後は「市販後臨床試験」と、試験の内容は変わないんですが、呼 び名が変わって継続する予定ということです。  安全性確認試験は、何度も申し上げますけれども、治験の1タイプですので、基本的 にはGCPに従って実施をしていただく。ということはつまり、社内IRBでの承認だ とか、GCP適合施設、あるいは治験責任医師、分担医師を選定、治験届の提出、施設 のIRBでの承認を受ける手続きが必要になってくるということと、得られたデータ は、安全性の確認ということが目的になっておりますので、遅滞なく公表して、医療機 関への情報提供、あるいは学会発表という形で現場にフィードバックをしていく予定で ございます。  概略以上です。  黒川座長  これは、治験の承認が得る間にもこういう試験を並行して可能にしようと。そうする と、患者さんはそういうことはわかってるんだけど、治験が出て来ないといらいらして 待つ必要なくやれるようなフレームをつくる、ということはいかがかと聞いているわけ ですね。  堀田構成員  これと同じようなことで、再投与試験とか、継続投与試験というのがあって、長期毒 性を見ようという、現行で動いている治験がありますね。その場合は、要するに、この 主たる治験で有効性があった人、基本的にはそれにのった人しか継続できないわけです が、この枠組みだと、そこから新たにリクルートできるということですね。そういうこ とでよろしいですか。  それともう一点は、それは、ここまでは企業が行う治験だけど、ここからは医師主導 治験ということもあり得るのか。そういうハイブリダイズとしてやる治験はあるのか、 ということをお聞きしたい。  川原課長  先ほど説明しましたオキサリプラチンを使うレジメンは欧米で標準療法といわれてい るFOLFOX4というものを中心としたものですので、いま堀田先生おっしゃいまし たように、この企業が治験を依頼する前に、先行して医師主導の治験といいますか、臨 床研究といいますか、実際の現場としては治療といいますか、そういう形でやられてい た患者さんは、そういう先行治療でも場合によってはエントリーということは当然あり 得るというふうに思います。  阿曽沼局長  ちょっと補足いたしますと、このオキサリプラチンの件については、いま最終コーナ ーに来ていて、部会で了承は得ているものですから、近々承認されるわけですけど、た だ、その間もまだあるわけで、その間は特定療養費の対象になっていないという状態に なるわけで、その状態をなんとか救済しなければいけない。そのために、市販後に予定 されているような調査みたいなものを前倒しをして、こういう新たなスキームで治験を やる。それはできるだけ幅広くやりたいというふうに考えているということでございま して、今日は唐突なんですけども、抗がん剤ですので、かなり生死に関わる急ぐ話です ので、こういうスキームで粗々よろしければ、再度もう少しヤクルトと詰めたい。この ケースの場合は医師主導ではなくて企業主導でやるという形のものだということです。  堀内構成員  オキサリプラチンについては、市販後全症例調査が承認条件についているわけですけ ども、そうしますと、いまの安全性確認試験というのは、もし発売になる前に使いたい 場合にはすべてここでやりなさいよという考え方だと思います。基本的には全症例ここ でやるという考え方ですね。その中では、先ほど安全性といいましたけれども、安全性 と有効性についても当然チェックをする。ただ、問題点は、これはあくまで市販後調査 だということです。医療機関においては、費用の面で、治験の費用と市販後調査の費用 はだいぶ違います。ですから、それもどういう形でやるかというのはかなり大きな問題 ですけども、これは市販後調査を全症例でやるタイプと考えてよろしいんでしょうか。  川原課長  資料6は治験でスタートでございます。その後、市販後臨床試験ということですの で、これはGCPの形でやることになります。したがって、通常の臨床現場での使用例 を収集するという市販後調査とは異なります。ただ、お話がございましたので、私の方 からもコメントさせていただきますと、現場のドクターの手間といいますか、報告、ケ ースレポートを書くというワークロードを考えると、患者さん、症例とか、そういう関 係での議論がいろいろあることは承知をしておりますけれども。  黒川座長  そういう意味では、まだ申請する前の治験のフレームでやるということですから、コ ストもある程度かかるし、企業も承認を待っているので、企業がやると。患者さんもた ぶん要望があるだろう、現場にも要望があったときにそのフレームでやってもいいです よ、という形を入れましょう、ということですね。ここに来て、患者さんがいて、企業 が出しませんよ、なんていったら、モラルハザードになりますね。それはこちらの判断 なのかもしれないけど、ぜひやってくださいということだし、たぶん企業もやりましょ うといってると思いますね。  浜田構成員  この枠組みのこの部分の呼び方のことなんですけれど、資料4では安全性確認試験 て、資料6だと安全性検討試験なんですが、たぶん、これはある意味国民の方にも報道 されると思うので、一般の方には例えば、承認後臨床試験とかいう呼び名もわかりやす いのかなという気もするんですが、このへんについてはこの呼び名が一番いいんでしょ うか。委員の指摘でも、有効性と安全性の両方検討する場合があるんじゃないかという ご意見もあったと思うんですけど、いかがでしょうか。  川原課長  資料6で、安全性検討試験となっておりますが、これは私どもと企業側で確認が足り なかったところでございます。申し訳ございません。安全性確認試験という名前で、こ れも仮称でございます。安全性確認試験という名前がいいのかどうか、いずれにしまし ても、承認申請をした後、認可までの間に、治療が主目的で安全性を確認、検討すると いう治験ということになろうかと思いますが、事務局の中でもワーディングを検討はし ておるんですが。  黒川座長  わかりやすいワーディングにしてください。  堀田構成員  資料4の図ですが、これでは連綿とつながっているように見えるんですが、実際には 治験というのは登録期間があって、それが終わっちゃうともう入れないわけですね。そ れから承認申請までにたぶん数か月はかかるんですよ。その間はすべてつながります か。  川原課長  私の説明が悪かったのかもしれませんけど、そこが左上の(3)追加的治験ということ で。  堀田構成員  それを追加的治験とするということですね。  川原課長  そうでございます。例えば、比較試験の患者さんのエンロールがいったん終わってし まっていると。ですけど、その後に参加したいというような要望があった場合に、追加 的治験というようなものを検討していただけないかとスキームでございます。  黒川座長  それはこの図でいうと、追加的治験、企業の依頼による治験、この場合は、それが制 度的に断絶を解消するところに流れ込んできているということですか。それは継続とい うか、連続というか、区切りはしてるけど、まだ続けられるという話ですか。  川原課長  先ほど堀田先生おっしゃいましたように、治験に参加した患者さんで、その治験薬で コントロールが非常によくされているような場合には、実際に審査期間中まで治験の期 間が延びる。そういう意味では、これは模式的に書いてありますけど、いろいろな事例 がございます。治験も、例えば、抗菌剤のようなものになりますと非常に多くの診療科 にかかわっているということで、治験の実施計画書、いわゆるプロトコルにつきまして も、1つの薬の開発から承認申請まで30本、40本ぐらいということもございますの で、そこはいろいろなケースがあるわけですが。  黒川座長  ただ、今回の場合は抗がん剤ということで、かなり難しいというか、患者さんによっ ては治験が終わって、申請期間中待てないような患者さんが出てきそうなケースはそう いうことではどうかということだし、メーカーの方もやりましょう、ということをいっ ているケースをここで承認してもらえるかということですね。  川西構成員  オキサリプラチンは既に第二部会で審議して見通しが立っているし、安全性確認試験 案もできている。ただ、現実問題は、これからもうちょっと早いフェーズのとき、審議 の過程という場合がありますね。いまのアイディアだと、そういう場合に安全性確認試 験の案は誰がつくるんでしょうか。  阿曽沼局長  オキサリプラチンのケースは、今回の資料4の安全性確認試験とある、まさにそれ で、新規につくるということで、その点はよろしいと思いますが、今回のスキームは結 果として3つの種類の治験が出てくることになるわけです。要するに、審査に入ったと きには、こういう安全性確認試験みたいなものが出てくるという第3のタイプで、それ から第1のタイプはもともと企業が承認申請のためのデータの蓄積のためにやる試験。 その第1のタイプだけでは新しい患者さんに適応できないという問題がありますから、 追加的治験というスキームを考えたらどうかということを考えておりまして、ただ、こ こは具体的にどうするか、まだ未消化な部分がありますので、第1のケースと第3のケ ースをにらみながら、どういう形でつくっていくかというのはこれからだと思います。 私どもこれからよく精査したいと思いますけど、ご意見もいただきたい。そういうこと です。  後藤構成員  いままでの話ですと、オキサリプラチンの治験に入るところまでの審議は進んでい て、企業主導でお願いしますということで、そして、出口のところで少し時間がある。 それに対して安全性確認試験という形でこの会議で審議する。ただ、オキサリプラチン での一番の問題は、その間の治験の時間が非常に長いということです。このスキームが 変わらない限り患者さんが未承認薬が使えるという現実的なメリットはなかなか出にく いと思います。ですから、始めるときに、医師主導なり企業主導にするときに、ここの 部分に関して欧米でこれだけのデータが出ている。だから、安全性についてここだけは スキップしてよいかどうかとか、そのへんまで踏み込んでこの委員会で論議することが あるのかどうかですが。  阿曽沼局長  それはここでいいますと、抗がん剤の場合ですと、ペメトレクスドのケースとサリド マイドのケースはこれから治験が始まるわけで、この場合には企業がやりたいといって ますので、それに対してどうか、という問題がある。ただ、この会議の中でどこまで詳 細な点について要請ができるかどうかは議論があるところだと思います。  オキサリプラチンについては、何度もくどいようで恐縮ですが、いま承認申請もして おりまして、逆にいえば治験は終わっているわけです。承認申請をしておりまして、審 査中で近々承認になると。しかし、現実には患者さんが使えないという問題があるの で、そういうものについては、承認申請をした瞬間から新しく安全性確認試験のような スキームをつくって、患者さんが入って来れるような形にできないかということでござ いまして、そういう意味では、いまおっしゃった議論は、ペメトレクスドとかサリドマ イドとか、新たに治験を開始すろようなときに先生方からどういうご意見を頂戴するか ということがあるかと思います。  有吉構成員  企業が臨床治験を申請する前に、いまの日本でいえば、機構にインベスティゲーショ ナル・ニュー・ドラッグ、いわゆるINDとして相談をかけるはずなんですが、私ども がここで審査とかをする前に既にINDということで、機構がある程度の指導ないしは 明確な方針を打ち出すということはできるんでしょうか。  黒川審議官  ありがとうございます。先ほど、堀内委員、堀田委員からお話があったことと関連し てになりますが、薬事法の第14条で、有効性、安全性を確かめるために、そもそもど ういうような資料が必要なのかというところにも立ち入った話になってくるかと思いま す。それは外国での臨床試験データとか、あるいは篠山先生からお話のあったコケージ アンばかり該当ということではなくて、これはまた局長が先ほど申し上げましたよう に、そのあり方についてきちっと議論が必要ではないかということで、この場になりま すか、あるいは別の場になりますか、インテークだと思います。いまここでやっており ますのは、一連の薬が開発から実際に保険に採用されて広く使われるようになる流れの 中で、よいものが目の前の患者さんに使えないような場合がある。それをどうやって使 っていただけるようにするか、そういう視点でということでございます。またあらため て。  黒川座長  オキサリプラチンもこういうふうになれば、治験の最初からやるときに、企としては その間に終わったらどうなるかという話もある程度取り込めるわけです。そういう枠組 みをつくらない限り、行政はその場しのぎにはできませんから、これで一歩前進という ことでよろしいんじゃないかなと思います。こういう事例がこれからいろいろ、抗がん 剤じゃなくてもいろんな適応の違いがあるので、それについてはまたその事例を出して 検討していただくとなると、機構の方も相談を受けたときにどうしたらいいかという話 もわかりやすくなるということでよろしいんじゃないかと思います。  そういうことで時間になりましたので、よろしければ、次回は、年度末は大変なの で、2月にお願いしたいという話がありますので、そうすると、さっきの規制改革委員 会の両大臣のアグリーメントがあって、行政としてそれにできるだけの対応をしたいと いうことです。先生方のご都合を伺うために用紙を配布いたしますのでお知らせいただ きたいということですので、お願いいたします。  よろしいでしょうか。そういうことで今日はありがとうございました。これで一歩前 進した感じがありますが、実際の事例が出てくるということで、これからも先生方のお 知恵を拝借したいと思います。どうもありがとうございました。  川原課長  どうもありがとうございました。                                     (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL 03−5253−1111