05/01/24 第1回「へき地保健医療対策検討会」の議事録について             第1回 へき地保健医療対策検討会                      日時 平成17年1月24日(月)                         15:00〜                      場所 虎ノ門パストラル「けやきの間」 <開会> ○谷口指導課長  ただいまから、第1回「へき地保健医療対策検討会」を開催いたします。委員の皆様 方には、本日大変お忙しい中、遠方よりご出席を賜りまして誠にありがとうございま す。 <挨拶> ○谷口指導課長  開催に当たり、厚生労働省岩尾医政局長からご挨拶申し上げます。 ○岩尾医政局長  我が国のへき地保健医療対策では、昭和31年度からへき地保健医療計画を継続的に策 定し、現在第9次へき地保健医療計画を推進しております。  これまで、へき地医療支援機構の創設、へき地医療拠点病院を中心とした巡回診療の 実施、無医地区・無歯科医地区などの医療の確保に努めてきたところです。また、都道 府県が策定する医療計画においても、へき地医療の確保に関する事項を必ず記載するこ ととなっており、山村・離島などのへき地における保健医療対策が、医療計画において 包括的に企画・実施されていると承知しております。  現在進行中であります第9次へき地保健医療計画は、平成17年度末までの計画であ り、当期計画の最終年度を迎えることとなります。このため、いままでのへき地保健医 療対策の成果、あるいは地域における医療関係者の確保に代表される問題点などを総括 し、第10次へき地保健医療計画の策定を行うことを検討することとしております。  つきましては、是非とも先生方のお知恵をお借りし、へき地における住民の方々に対 し、より適切な医療の確保が図られるような方策に取り組んでいただきたいと考えてお ります。忌憚のないご意見、ご指摘をいただきますようお願いいたしまして私の挨拶と いたします。よろしくお願いいたします。 <委員・事務局紹介> ○谷口指導課長  委員の皆様を、五十音順にご紹介をさせていただきます。三重県鳥羽市立神島診療所 長の奥野正孝委員です。青森県健康福祉部長の北窓隆子委員は本日欠席です。長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科教授の新庄文明委員です。自治医科大学救急医学教室教授の 鈴川正之委員です。社団法人日本歯科医師会副会長の清藤勇也委員です。自治医科大学 学長の高久史麿委員です。長野県下水内郡栄村村長の高橋彦芳委員です。社団法人日本 医師会常任理事の土屋隆委員です。全国自治体病院協議会常務理事の樋口紘委員です。 読売新聞医療情報部長の前野一雄委員です。全国離島振興協議会会長の松村良幸委員で す。鹿児島県離島緊急医療対策組合議長の元山三郎委員は本日欠席です。社団法人地域 医療振興協会理事長の吉新通康委員です。岡山県阿哲郡哲西町健康福祉課主任保健師の 吉岡キヨコ委員です。風待ち海道倶楽部会長の吉岡陽子委員です。旭川医科大学眼科教 授の吉田晃敏委員は本日欠席です。以上16名の皆様に委員をお願いしております。どう ぞよろしくお願い申し上げます。  また、本日は行政関係機関からのオブザーバーとして、総務省自治財政局地域企業経 営企画室、また文部科学省高等教育局医学教育課から、それぞれ担当官がご出席です。  事務局職員を紹介いたします。医政局審議官の岡島です。医政局総務課長の原です。 医政局歯科保健課長の日高です。私は、医政局指導課長の谷口です。 <座長選出> ○谷口指導課長  当検討会の座長についてお諮りさせていただきます。座長には、前回の検討会の座長 でもいらっしゃいました、自治医科大学学長の高久委員にお願いしたいと考えておりま すがいかがでしょうか。                  (異議なし) ○谷口指導課長  ありがとうございます。それでは、高久委員に座長をお願いいたします。座長席へお 移りください。以降の進行は高久座長にお願いいたします。 ○高久座長  ただいま、本検討会の座長を仰せつかった高久です。第9次の検討会のときにも座長 を務めさせていただきましたので、この関係もあり引き続いて本検討会の座長を仰せつ かったのだと思います。円滑な運営に努めたいと思いますので、よろしくお願い申し上 げます。 <議事> ○高久座長  予めお断りいたしますが、この検討会は公開で行っています。委員の皆様方のご発言 の内容につきましては後で事務局から議事録がまいりますので、それをご覧になってい ただき、適宜ご訂正いただければと思います。そのご訂正いただきました議事録につい ては、厚生労働省のホームページで公表することになっています。その点につきまして もご了解をお願いいたします。  また、オブザーバーの方につきましては、予め申し出があった場合を除いて、私から 指名があった場合に限り発言をしていただくことになりますので、よろしくご了承いた だきたいと思います。  この問題につきましては、昨年もここにおられる総務省、文部科学省、さらに厚生労 働省の3省の間でいろいろご議論もありましたし、また自治体病院協議会でもご議論を されていまして、そのレポートなども読ませていただいています。極めて重要な問題だ と思います。今後ともよろしくご意見をお聞きしたいと思います。  最初に、資料の確認をお願いいたします。 ○宮本指導課長補佐  議事次第、委員名簿、座席表、へき地保健医療対策検討会についてということで趣旨 説明があります。資料1「検討会の今後の進め方」、資料2「第9次へき地保健医療計 画の取り組み等」、資料3「無医地区調査表(案)」、資料4「無歯科医地区調査表 (案)」、資料5「鈴川班へき地診療所等アンケート調査(案)」、資料6「今回の検 討会で審議すべき論点《事務局(案)》」です。  参考資料-1「前回(第9次)検討会の報告書」。参考資料-2「前回アンケート集計 結果」、参考資料-2は3部に分かれていて、「第9次アンケート調査表」「アンケー ト調査結果」「無医地区・無歯科医地区調査結果」。参考資料-3は、本日ご出席委員 の地元といいますか、所属されております都道府県の都道府県医療計画の中にあります へき地医療に関する記載を抜粋して綴じております。そのほかに、哲西町の資料があり ます。 ○高久座長  最初に、議題1「検討会の今後の進め方」について、事務局から説明をお願いしま す。 ○宮本指導課長補佐  「へき地保健医療対策検討会について」と、資料1「検討会の今後の進め方(案)」 に基づいてご説明いたします。  へき地保健医療対策検討会設置の目的は、局長からもご説明いたしましたように、昭 和31年からへき地保健医療計画に基づき、へき地保健医療対策を実施してきております が、平成17年度で当該計画が終了いたします。そのため、これまでも行ってきておりま した、無医地区等の実態調査を行い、その結果に基づいて検討を行い、今後の第10次へ き地保健医療計画の策定を行います。それに資することを目的とするということです。  検討課題としては、今後進めるべきへき地保健医療対策について、ということの考え 方をまとめていただくということです。検討スケジュールとしては、本日を第1回とし て、本年6月ごろまでに5、6回程度を開催し、報告書をまとめることを目指してはど うかということです。その他として、審議については公開することを原則とするという 内容です。  資料1で、今後の進め方のスケジュールです。本日が第1回ということで、無医地区 調査及び無歯科医地区調査、並びにアンケート調査の内容をご検討いただきます。それ から、事務局案として提示しておりますけれども、本検討会で検討すべき検討課題につ いて、内容のさらなる検討をいただきたいことと、その他ということです。  2回目、3回目以降では、検討課題の審議を続け、4回目では調査の結果を報告させ ていただくとともに、検討をさらに続けていただきます。5回目、6回目で、それらの 検討のとりまとめを行っていただきます。このような考え方で進めてはどうかというこ とです。 ○高久座長  今後の進め方について説明がありましたが、半年というかなり短い期間ではあります が、資料1のようなスケジュールに従って進めたいと思います。何かご質問はございま すでしょうか。                 (特に発言なし) ○高久座長  本日は第1回ということで、へき地保健医療政策について、皆様方の認識を共通にす るということで、第9次へき地保健医療計画の成果等について事務局から説明をお願い します。 ○宮本指導課長補佐  資料2「第9次へき地保健医療計画の取り組み等」に基づいてご説明させていただき ます。1頁は、先ほどからご説明しておりますように、へき地保健医療対策としては、 昭和31年度からへき地保健医療計画に基づき、5年ごとに年次計画を立てて、それぞれ の地区の実情に応じて対策を行ってきたところです。計画を9次まで重ねてきておりま すが、その主な内容が記されております。  第1次計画は、へき地診療所の整備から始めております。人口が多く、かつ交通の不 便な無医地区に配置するところから始めたのが昭和31年度からの第1次計画でした。そ れ以降、計画を重ねるごとにさまざまな項目が新しく付け加わりましたので、いくつか 特徴的な部分をご紹介いたします。  第4次計画のへき地中核病院の整備・運営ということで、無医地区を有する広域市町 村圏単位で中核的な病院を整備してはどうか、ということを進めてまいりました。  第5次計画としては、医療情報システムの導入、この時点ではファクシミリの整備と いうことでしたが情報のやり取り、遠隔医療ということを意識した取り組みをこの時点 に始めております。  第6次計画は研修機能の強化ということで、へき地診療所の医師等の医療技術の向 上、へき地中核病院とへき地診療所の医師の連携強化、代診医の派遣を始めておりま す。  第8次計画として、先ほどのへき地中核病院に加え、へき地医療支援病院の運営を行 い、地域全体の大小の病院でへき地医療を支えていく考え方が提示されております。  第9次計画では、へき地医療支援機構の設置ということで、各都道府県にへき地医療 を支援する機構を設置するということを行っております。11番にありますように、へき 地医療拠点病院群の整備・運営ということで、先ほどご紹介しました中核病院と、支援 病院を再編統合し、支援するための病院の機能をそのような形で整備したものです。以 上が沿革です。  4頁は、第9次計画策定のための検討会の報告の概要です。ご紹介いたしましたよう に、現状の認識としては、二次医療圏単位でのへき地医療体制の限界を前提とし、より 広域的な都道府県単位でのへき地医療対策を進めるべきだということを基本認識とし て、へき地医療支援を行う医療機関の再編として、へき地中核病院と、へき地医療支援 病院を再編するということ。それから、医療情報ネットワークということで、インター ネット型の情報ネットワークを全国レベルで構築し、医療情報交換を進める必要があ る、という考え方がまとめられております。  具体的な対策としては、へき地医療支援機構の創設ということで、都道府県ごとに医 師を担当責任者として配置する「へき地医療支援機構」を設置し、へき地医療対策の各 種事業を円滑・効率的に実施するというのが1つ目です。  2つ目は、へき地医療拠点病院群の構築ということで、都道府県単位で支援する病院 を、へき地医療拠点病院群として再編し、へき地医療支援機構の指導・調整の下に各種 事業を行う、という取り組みが出されております。  3つ目は、へき地医療情報システムの充実強化ということで、医療関係者間のメーリ ングリストや電子会議機能を「へき地医療情報システム」に付与し、全国規模で運営す ることが提案されております。  5頁は、それらを含めた実施状況で、都道府県ごとにまとめてあります。縦軸が都道 府県で、横軸が行われている事業等です。平成16年7月現在で、へき地医療支援機構が 37箇所設置されております。そのほかの取り組みとして、へき地医療拠点病院数、診療 所、遠隔医療の補助実績、無医地区の現状の数がまとめてあります。  6頁は、第9次へき地保健医療対策概念図です。最初にご紹介いたしました取り組み を順次行ってきた結果、現状としてはこのような形で事業が整理されております。左の 欄では、医療計画の策定を都道府県ごとに行い、その中にへき地医療も含まれておりま す。へき地医療支援機構の整備、へき地医療拠点病院の整備を行い、地域ごとに設置さ れますへき地診療所、巡回診療、患者を輸送する取り組みといった各種取り組みを調整 の下に行っていくという考え方で整理されております。  7頁は、第9次の調査を行った際の無医地区の調査数です。地域の中に医療機関がな い無医地区は、全国で914箇所、その中に含まれる人口は約21万人です。  8頁は、「無医地区」の定義です。概ね半径4km以上の区域内に、人口50人以上が居 住している地域であり、かつ容易に医療機関を利用することができない地域です。年次 推移が下のほうにあります。5年ごとの調査の際の無医地区と、無医地区人口は減少し ております。地区については914箇所、人口については20万4,536人が現状です。  9頁では、「無医地区に準ずる地区」の定義です。いくつかの要件がありますが、例 えば50人未満の人口であっても、容易に医療機関を利用することができない地区をはじ めとして、何らかの対策を立てていかなければいけないような場所については、無医地 区に準ずる地区ということで集計、対策を立てているところです。  10頁は、いまご紹介しました取り組みと、現状の問題認識等をまとめたものです。上 の段の四角には、先ほどからご紹介しておりますとおり国が束ねております。真ん中に は、へき地・離島の医療の確保・解決を目指すところが出ています。省庁間の取り組み として、厚生労働省、文部科学省、総務省の3省庁による連絡会議などの省庁間の取り 組み。それから、自治体などの要望等を含め、今後の対策として第10次へき地保健医療 対策を策定し、実施していくといった現状の全体像を示しているところです。  11頁の左側の欄で紹介しておりますのは、坂口前大臣が、昨年いくつかの提案をされ た私案です。平成17年度予算の中にも、そういう考え方の下ですぐに盛り込めるものを 入れております。へき地・離島診療支援設備整備事業、へき地保健医療システム事業、 退職医師の再就職支援講習会事業というものを、へき地第10次計画の中に、ある意味先 行して取り組んでいきたいということで含めております。  12頁以降は、予算事業として行っておりますことの紹介です。事業としては、先ほど からご紹介しており、繰り返しになりますので割愛させていただきます。診療所巡回診 療、拠点病院の整備・運営など各種の事業について現状として取り組んでおりますこと をまとめております。簡略ですけれども、これが現状の取り組みということでご紹介さ せていただきました。 ○高久座長  第9次計画では、へき地医療拠点病院群と、へき地医療支援機構とができたこと。特 に、へき地医療支援機構は、既に37の都道府県でできているということで、第9次へき 地保健医療計画取り組みの大きな成果だと思います。何かご質問がございますでしょう か。                 (特に発言なし) ○高久座長  議題3は、無医地区の調査表に関してですが、毎回へき地保健医療計画の検討会で は、へき地医療についての実態調査を実施しています。今回も検討のために実態調査を する必要があると考えています。従来の調査結果と比較する意味から、その内容につい ては原則として従来の調査の調査項目を変更しないで、引き続き実施する。一部追加す ることはあるかもしれませんが、基本的には同じ調査を実施し、結果の推移を見る必要 があるのではないかと考えています。必要に応じて、従来のアンケートに調査項目を追 加するということで今回はやりたいと考えています。  今回のアンケートの素案については、本日ご出席の鈴川委員にご尽力いただきました ので、鈴川委員からご説明をお願いします。 ○鈴川委員  資料5のアンケート調査(案)を簡単に説明させていただきます。前回行ったアンケ ートに比べてどのようなものを追加しているか、私たちが考えた意義という辺りを説明 させていただきます。鈴川班というのは、厚生労働省の科学研究費をいただいて、へき 地等における持続可能な保健医療を実施する方策に関する研究というもので、全国のへ き地・離島を抱えてよく診ている先生方7名を委員とし、アンケート内容としてどのよ うなものを行うかという検討を加え、厚生労働省と話をしながら素案の段階ですけれど もまとめたものです。  4つのパートに分かれていて、都道府県と市町村の行政の部分が1つ。へき地診療所 の診療所長あてが1つ。へき地診療所に勤めている全ての医師あてが1つ。へき地医療 拠点病院へのアンケートが1つ。この4つのパートに分かれています。最初から簡単に 説明させていただきます。  都道府県に対して、へき地保健医療に関する意見・要望等をお願いしてありますけれ ども、問1から問4までは新しく加えたものです。へき地の住民の受療行動の把握をす るために、都道府県または市町村としてどのようなことを行っているかを確認し、都道 府県または市町村が、へき地の住民がいままでどのように診療所を使っているのか、ま たは都市の病院へ行っているのか、へき地の診療所が使われているかどうかを含めた、 へき地の住民の受療行動をどのように把握し、それをどう考えて、どのような対策を考 えているのかということを、問1から問3に加えました。  問4に防災ヘリの活用を入れました。ヘリコプター搬送の問題はいろいろありますけ れども、都道府県として防災ヘリの活用を考えているのかどうか、同乗の医師というの がへき地にとっては重要ですので、そのような医師を確保することを考えているかどう かを質問に入れてあります。問5から問7までは前回と同じです。問8から問11まで は、へき地支援機構が設置されたことに伴い、新たなアンケートを行います。あとは全 く同じになります。  3頁からは市町村向けになります。市町村についても、問1から問3までは受療行動 について聞いたらどうだろうかという意見がありましたので、都道府県と同じようなタ イプになっています。問4から問6は、市町村管内の救急医療体制、特にへき地の救急 医療体制について、市町村としてはどのように考えているかを聞くアンケートになって います。  問8と問9は、住民の医療に対するニーズを、市町村としてどのように考えるか。市 町村は、へき地対策に対してどう考えているかというアンケートは、いままで市町村に 対しては行っていなかったものですから、今回そういうものを入れたらどうかという話 が出て、問8と問9を入れております。  問13は、最近市町村合併が多くありますので、へき地保健医療対策に影響があるかど うかを確認したらどうか、という意見が委員の1人からありましたので追加しました。 問14から問16については、新しく機構ができたことに基づいてです。  6頁からは、診療所長あてのアンケートです。ここではまず1という大きな括りにな っています。診療所の診療圏の対象人口という設問が前回もあるのですが、これから診 療圏とは何かを明確にして答えましょうということで、診療圏の範囲について、そこに あるように加え、指定しております。  診療所が、有床か無床かを聞いたらどうかということで、4)を加えております。  休日の診療体制がどうなっているか、ということについては前回よりも少し設問が多 いです。「赴任時契約による」「医師1人では診療が可能な体制ではない」という2つ を加える形で、前回とほぼ同じアンケートになっております。  11)に、同じ診療圏内には、貴診療所のほかにいくつ医療機関がありますか、という 設問を今回加えましたけれども、これは同じ医療圏の中で、医療がうまく共同して行わ れているのであれば、それはそれで構わないだろうということで、そのような施設があ るかどうかを確認するという内容であります。そのような医療機関で連携がされている か、というのが14)の設問です。  8頁では、貴診療所を支援しているへき地拠点病院が、前回はへき地拠点病院群とい うのがありませんでしたので、そこに支援または中核というのを加え、問2の問題とし ていますが、実際にはほとんど前回と同じです。  問3は、前回と少し変えてありますけれども、ほぼ内容的には同じです。前回は、次 のうちどれがいちばん大事ですか、ということで丸印を付けさせて、かつそれが十分か どうかということを別に問うという形でした。今回は、それをまとめてそれぞれ全てに 関して、十分行っているか、不十分か、効果がないのかということを聞いております。  問4は、前とほとんど変えておりません。細かな文言で多少動いているだけです。  9頁の問6から問10まで、支援機構が設置されたことに伴う質問になります。先ほど 機構は37都道府県にあるという話がありましたけれども、県によって実際の動きがバラ バラですので、どこまで有効に使われているか、行われているかを問うための質問で す。  問11も、前回とほぼ同じ内容です。これは、大ざっぱにどのぐらいかかるでしょうか を聞いて、前回と比較したいと思います。  10頁で、ヘリコプター搬送については、いままでのようにただ時間を聞くだけではな く、実際にヘリが来るまでどのぐらいかかるのかという問題について聞いています。ヘ リだけではなくて、航空機搬送を行っている所も結構ありますので、そこについての設 問を加えること。医師の帰路の交通手段が大きな問題になっておりますので、それを加 えるということです。  問13は大きく変わっています。へき地・離島の医療状況について、現在どこまで行わ れるか、そして理想的にはどう対応するべきだということについて設問を、いくつかの 疾患の例を挙げて聞こうということです。a)の胃がんであれば胃透視から、カメラな どのがんの検診はそこで行われている、行われていない、または行うべきだ、行うべき ではない。あるいは胃がんの手術を、へき地・離島で行うべきだ、行っているかどう か、行うべきなのかどうか、ということについて診療所長の意見を聞いて、現場でどの ように考えられているかを明らかにしようと考えました。  少し大変なのですけれども、それを心臓病、脳血管障害、生活習慣病の長期管理、外 傷などの救急、産科、小児科、ということでちょっと多いのではないかという意見もあ りますが、頑張ってお聞きしようという話になっております。  問14も同じようなことではあるのですけれども、現在そこでどのようなことが行われ ているか。この辺は重複するのではないかという意見もあるかとは思うのですけれど も、貴診療所において、以下の診療内容の実施状況、実際に行っているかどうかという ことで、前は例を挙げましたけれども、今度はほぼ全ての疾患について大体聞いてしま おうということです。  問15もみんなで考えた結果、ここまで聞いたほうがいいのではないかということで入 ってきています。ちょっと大変だという意見は後でお伺いしたいと思います。現在、貴 診療所の医療圏を考えて、その必要性、妥当性、主にこれは設備が必要になるものだけ なのですけれども、必要あるかないか、対応できるかどうか、理想的には対応すべきな のか、対応する必要はないと考えられるのかを聞こうということです。  15頁の問16と問17については、医師の臨床研修の必修化の受け入れについてお聞きし ています。問18から問23までは前回と全く同じです。  17頁は、全ての医師あてということになります。いまのは診療所長あてでしたので、 1人診療所の場合には両方に答えていただくことになります。変わった内容としては、 問27、問28辺りで、全国のへき地医療向上のために、医療レベルの標準化が必要と思わ れますが、「へき地医療全国共通ガイドライン」のようなものを作成するべきであると 考えられますかと。趣旨は、いまのアンケートにも出てきましたけれども、へき地医療 と呼ばれている所ではどこまでの医療レベルでやるべきなのか、どこまでできないとい けないのか、どこから先は大都市で診るべきではないか。ガイドラインという名称はよ くないという意見が出ていますけれども、このようなことを含めて、へき地の医療レベ ル向上のために医療レベルを標準化するものを作ったらどうか、それに対してご意見を いただきたい。言葉が不十分かもしれませんけれども、そのような問を27、28で作って います。  問29は、平成16年からの臨床研修の必修化がどのような効果があると思われるかとい うことで、特に来年度からは新しい医師が来ますので、それを含めて確認していきたい と思います。  問32からあとはほとんど、前回のアンケートでもお聞きしたところであります。問33 のインターネットについては、少し選択肢を増やしました。そのほかにも多少選択肢を 増やしたところはありますけれども、ほぼ前回と同じように、診療所の活動と行政の支 援、意見が反映されているかどうか、遠隔医療で利用されているか、どのような遠隔医 療の内容を行っているか、これも前回とほとんど同じことを聞いています。  家族構成、住居については、前回はかなり詳しく聞いているので、今回は単身なの か、別居なのか、独身なのかというふうにかなりコンパクトな聞き方にさせていただき ました。  問44、へき地診療所での勤務を続けるために最も必要なことは何ですか、というのと 問45は、前回とほとんど同じ内容で、今回も実際にへき地にいる方の意見を伺いたいと 思います。  問49と問50については今回新しく作ったものですけれども、現在いるへき地にもっと いたいのか、早く帰りたいのか、あとどのぐらいいる予定がありますか、ということを 聞いてみようというものです。問51までのかなり長いアンケートですが、このような内 容でお願いすることを考えました。  24頁からは拠点病院、実際には拠点病院群の病院という意味でお聞きしています。大 きく動いたところはないのですけれども、へき地支援機構がその病院にあるかどうかと いうこと、へき地支援に対してその拠点病院としてはどのように考えているのか。実際 に支援を行う立場として、そう言われても支援を行う余裕はないというのか、もっと積 極的に自分たちで人を工面してでも出そうとしているのか、その辺の立場をお聞きした いと考えております。あとは、ほとんど前回と同じものを使っております。  巡回診療、代診医などへき地支援はどの程度行っているか、貴院が担うべきへき地支 援の内容は何か、この辺りは全く同じようなものを利用させていただいております。  変わったところというと、問33以降で、支援機構ができたことに基づいて書いてあり ますが、支援機構の効果をお聞きしようということです。今回大きく変わったところ は、支援機構ができたことに伴ってどう変えるかということと、現在それぞれ行われて いる医療について、どこまで行うべきかということについての意見を伺う部分が少し増 えているということです。 ○高久座長  資料5に基づいて、新しいアンケート調査の説明がありましたが、ご質問がありまし たらお願いいたします。 ○樋口委員  議事の(3)で、第9次へき地保健医療計画についての達成度といいますか、その検 証は資料のどこかに載っていますか。それから、いまのアンケートをやってみて検証す るような形にするのでしょうか。 ○宮本指導課長補佐  これまでの計画を重ねる中で無医地区の減少が達成されている、ということは成果の 1つの断面かと思っております。ただ、これまでの調査の中でもさまざまな方面から改 善すべき点が出されておりますので、そういう内容をもう一度確認をして、次の取り組 みを考えていくことは重要かと思います。  ご指摘の現状、これまでの取り組みを確認すべきだという点につきましては、既存の 調査の中でどこまでもう少しできるかという点についてはもう一度確認したいと思いま す。 ○高久座長  資料2にも少し書いてあります。例えば、各県でどの位へき地医療支援機構ができた かというと37県だとか。へき地病院群がどれだけ形成されたか。へき地における医療提 供体制の整備状況には、第9次の報告書での答申を受けてスタートしたものがあるので はないか、そのように考えています。無医地区に関しては、平成6年と平成11年との比 較という形で、保健医療計画に対する実施はある程度の成果が現れていると思います。  第9次のアンケート結果と、第10次のアンケート結果とを比較して見るわけです。支 援機構は別にして、同じものについては前回と今回とどれだけ変わったかということ で、ある程度成果の評価ができるのではないかと思っています。 ○土屋委員  ただいま、鈴川委員からご説明いただいたこの形でアンケート調査をするということ ですか。 ○高久座長  案ですから、ご意見をいただいて、訂正をして、ご了承をいただいて調査をすること になると思います。 ○土屋委員  大変細かくできていて結構だと思うのですが、15頁の問21、介護保険制度下のサービ スが列挙してあります。用語は統一した制度上の用語を使ったほうがいいかと思いま す。  また、16頁に介護保険3施設がありますが、療養型病床群といいますと、介護療養型 医療施設なのか、単なる療養病床なのかはっきりしませんので、「介護保険制度に基づ くサービス」に統一しておかないと、回答するほうが迷うかもしれません。 ○高久座長  これは、直していただきます。16頁のコ)に「痴呆性老人」とありますが、「痴呆」 というのは名前が変わりましたから変えたほうが良いでしょう。 ○清藤委員  大変いいアンケートだと思って感心しています。医療従事者を従属させて、確保し て、そして無医村を、へき地をというのはよくわかるのですが、基本的には病人をつく らないことがいちばん大事だと思うのです。そういう意味からいうと、食生活習慣や予 防・管理・指導に当たるような医科ケアの問題、歯科の口腔ケアの問題も、アンケート で聞くことも必要だと思います。介護保険も見直しをしましたけれども、予防の中でケ アというのはすごく大事になってきております。その点がこのアンケートには少ないよ うな気がします。 ○宮本指導課長補佐  確かに、医療の供給というのがこの課題になっておりましたので、そういう点が中心 になっているかと思います。おっしゃっているような点は相談いたしまして、少し検討 してみたいと思います。 ○高久座長  「健康日本21」を担当しているのは何処ですか。 ○宮本指導課長補佐  健康局です。 ○奥野委員  診療所の医師に対するアンケートの、救急の部分について付け加えていただきたいこ とがあります。9頁からのところに入ると思うのですが、救急搬送の問題です。特に離 島のところですが、私はいま小さな島の診療所に1人でいます。全国に300の離島があ り、約100箇所ぐらいが、1離島、1診療所、1医師という形であります。その方々に 2回ほどアンケートをした結果で、搬送ができないという状況があります。  特に、荒天時において搬送したいのだけれども、搬送できなかった事例があるという 結果があります。しかも、搬送ができなくて、結果として患者が亡くなった事例もあり ます。救急搬送ということに関して、その現状や厳しさを認識していただくという意味 では、そういう項目も加えていただきたいと思います。それは、離島に限らず豪雪地帯 でもあり得ることだと思います。  離島では、荒天で運べない所が多いのであれば、小さい所であっても医療施設なり、 人員を充実するといった方向に結び付けられるような可能性のある調査項目が必要では ないかと思いますので、過去1年間に搬送できなかった事例があったかどうか、それに よって亡くなった方がいたかどうか、という項目を加えていただければと思います。 ○樋口委員  このアンケートは全般に、「医師がいない」「医師が確保できない」という、そのこ とを前提にしたようなことだと思うのですけれども、実は医師がいない、医師が確保で きないということが、もう数十年続いているわけです。ですから、そういう医師を確保 する、もっと大きなプロジェクトを、現場でへき地医療をやっておられる先生方から提 案してもらうような設問も、必要ではないかと思います。 ○高久座長  もし尋ねるとすれば、診療所長に対する質問になりますか。へき地医療拠点病院の院 長に対してですか。あるいは都道府県ですか。いまのお話ですと、医師に尋ねたほうが 良いというお話ですから、診療所長か全ての医師ということになると思うのですが、ど うですか。 ○吉新委員  それについては第9次のときに、そういう質問を行っています。当時の支援病院、拠 点病院とへき地中核病院に出しました。そのときの提案が支援機構だったということを 覚えています。 ○高久座長  問い合わせたのですか。 ○吉新委員  前回のときに行っています。しかし今回は載っていないですね。削除されているのか な。 ○鈴川委員  「全ての医師あて」の所のいちばん最後には、一応全ての対策については、全体的な ご意見を聞くというのはあるのですが、前回は機構のようなものをつくることについて のアンケートでしたので、いまのご意見でどのような形で入れるか、検討させていただ きたいと思います。 ○高久座長  今後のへき地医療対策にご意見がありましたら云々というのは、一応23頁の質問51に あることはあります。 ○吉新委員  前回の場合は選択肢になっていて、機構のようなものが1つ入っていたのです。 ○鈴川委員  では、それは少し検討します。 ○吉新委員  へき地医療支援機構の下で、専任担当官が働いておられると思うのですが、聞くとこ ろによりますと、年間150日を超えるような代診に、専任官が当たっているような県も あって、1人で孤軍奮闘しているという話も聞いています。都道府県によって相当人使 いの荒い所と、ほとんど声がかからない所があると聞いております。できれば専任担当 官が都道府県にどのようなアクティビティと言いますか、アクティブプロファイルと言 いますか、どのような活動をしているのか、37の都道府県を調べていただければと思い ます。 ○高久座長  へき地支援機構のアンケートに、それを付け加えれば良いですね。それは都道府県に 対してですね。 ○吉新委員  はい。 ○高久座長  さまざまな待遇を受けていると私も聞いていますので、これについてはよろしくお願 いします。ほかにどなたか質問がありますか。よろしいでしょうか。またご意見があり ましたら、事務局の宮本課長補佐、あるいは谷口課長にご意見を寄せていただければと 思います。  事務局が用意した資料の説明は、これで一応終わったわけですが、後はへき地保健医 療に関して、特に今回の検討会で審議すべき論点ということで、いろいろご意見をいた だきたいということですね。 ○宮本指導課長補佐  メモのようなものを作っておりますので、資料6をご覧ください。これまでさまざま な場において、へき地医療が検討されておりました。そういった場において議論されて いる論点とか、第9次に行った調査結果などを踏まえ、私どもなりに現在のところでま とめているものです。これは全く抜書きのようなものですので、委員の皆様方のご検討 のきっかけにという趣旨で作ったものです。こちらの内容をちょっと紹介してまいりま す。  1頁目から順に見てまいります。1番目がへき地医療の考え方です。へき地医療・離 島医療というのは、そもそもどういうもので、どういうことが求められているか、そう いったものが論点ではないかというのが1つ目です。  2番目は、住民、市町村、都道府県、医療を提供する側のそれぞれの立場でのへき地 医療に対する視点には、どういうものがあるかということです。(1)は住民の視点 で、無医地区に居住する住民の求める医療、離島に居住する住民の求める医療とは、ど のようなものかということです。  (2)は市町村の視点で、無医地区を有する市町村が求めるへき地医療とは、どのよ うなものかということです。この中では「どの程度」と書いておりますが、医療だけで はなく保健・福祉など、市町村としてさまざまな課題をお持ちだと思いますので、そう いったさまざまな対策の中で、医療に対する期待はどのようなものかというのが、その 趣旨です。離島医療についても、同じようにあるだろうということです。  (3)は都道府県の視点で、地域の医療提供対策を確保する責務を有する都道府県が 求めるものは、どのようなものかということです。そのほかに財政的な視点も含まれま す。同様に離島医療についても、都道府県が求める離島医療とはどのようなものかとい うことです。  (4)は医療を提供する側の視点です。医療を提供する側が継続的に実施できるへき 地医療・離島医療とはどのようなものか、勤務条件、従事している医師への支援、診療 内容、医師等に対する生涯教育支援体制などです。  3番目は、これまでに行われているへき地保健医療対策はどのような効果を上げてい るのか、また関係者はどのように認識しているのかということです。  4番目は、持続可能で住民が満足できるへき地医療・離島医療の内容です。(1)は 具体的な内容について、医療に係るアクセス、質、コストという3つの視点をどのよう に両立させて満足させるのかを考えてはどうかということです。  (2)は各診療科における医療内容で、それぞれどのように考えるべきかということ です。  5番目はその推進方策です。(1)はへき地医療・離島医療を担う医師の確保対策 で、具体的には医学生、臨床研修医等に対する研修を通じた医師の確保について、どの ように考えるべきか、定年等で退職した医師に対する再教育を通じた医師の確保につい て、どのように考えるべきかといった論点です。  (2)は医師に対する診療支援の充実で、臨床研修医に対して指導するための指導医 マニュアルを作成すべきではないか、専門性に関するビジョンを作成すべきではない か、ITの有効な活用によって支援すべきではないか、再教育の内容を確立すべきでは ないかといった点があります。  (3)はへき地診療所の確保の方策で、ここは新しい内容を盛り込んでおります。民 間によるへき地医療・離島医療支援の向上を目指して、へき地に診療所等を開設した医 療機関に対し、何らかの支援策を考えてはどうかという点です。例えばそういった医療 法人に対しては、基準病床数の制限に対して特例を認める、また都道府県からの何らか の支援策を考えてはどうかという内容です。次はへき地診療所に対する財政支援の考え 方を、仕組みとして見直すと。例えば医師の複数配置を評価するといった、医療の充実 程度を評価するような視点を導入してはどうかということです。  6はそれらの推進方策をさらに確保するための進行管理の方策として、どのようなも のがあるか、またそういうものに付随する論点です。(1)は市町村合併に関する医療 提供体制の変化に関する対応で、市町村合併による病院や診療所の再編成などによる影 響、または効果についてどのようなものがあるか、そういった状況の中で支援すべき、 改善すべき課題はあるかどうかということです。  (2)は、これまでも各都道府県の医療計画の中に、取り組みの方策を盛り込むこと とされてきたところですが、目指すべき点の実現に向けた管理方法として、医療計画を 活用し、その達成管理と住民などによる評価を行うべきではないかということでまとめ ております。 ○高久座長  資料6で、いくつかの論点を挙げていただきました。その内容に関してでも結構です し、これ以外の問題についても結構ですから、随時この検討会で検討すべき、審議すべ き問題点について、ご意見をいただきたいと思います。どなたでも結構ですから、どう ぞ。 ○奥野委員  この中に入れていただけるかどうか、お話を伺いたいのです。要するに大規模災害の 問題です。特に離島という立場からしますと、例えば東南海地震が起こった場合、北海 道南西沖地震における奥尻島のように離島だけが被災したのであれば、本土側からの救 援が頼めますが、本土側も離島も一緒にやられた場合は、多分離島は孤立無援になっ て、自分たちで何とかやっていくしかないという、非常にシビアな状態に置かれる可能 性があります。そのためには自分たちで守る、自分たちで何らかを用意するという支援 策が必要ではないかと。この中に盛り込むかどうかは、もちろんいろいろな内容があり ますので、微妙かと思いますが、その辺を考えていただきたいと思います。  例えば私がここにおりまして、いま地震が起こった場合、いちばん大きなポイント は、私が島に行けるかどうかなのです。小さな島では外からの支援がなかなか求められ ないのです。医師がいればまだいいのですが、もしいない場合、本土も大変なのに本土 側から医師がなかなか来てくれない。しかも、そのときに離島の医師がこういう所に来 ていたら、担当の医師がそこまで行く方法が、どう考えてもないのです。そういったこ とが検討すべき中に入るかどうか、またお話をお聞きしたいのです。そういう検討も是 非お願いしたいと思います。 ○樋口委員  都会も病院には医師が足りないと言っているわけですが、大都会ですと救急車に5 分、10分乗れば、必ず大病院に着きます。病院の数が多すぎるかどうかは分かりません が、都会でも医師は不足しているかもしれないけれど、医療は不足していないのです。 へき地医療と都会の医療のいちばん大きな違いは、へき地は医師がいない=医療も不足 しているということで、医師不足と医療不足を分けて考えなければららないのです。  いま日本の医師の数は人口10万人単位で、もう飽和状態だと言われてきましたが、実 際には医師の偏在、診療科の偏在ということで、面倒な科の医師にはなかなかなり手が なくなったということがあります。へき地医療を今後考えていく上では、医師の偏在、 診療科の偏在ということを抜きにしては通れないと思うのです。ですから、そういう視 点をひとつ論ずる必要があるのではなかろうかと思います。 ○高久座長  へき地にはなかなか医師がいないという事は、まさに医師の偏在ということになりま す。診療科の話になりますとへき地、特に離島の場合は総合医というか、プライマリケ アのドクターと、各専門のドクターとをどういう割合にアレンジするかとか、いろいろ な問題が起きてくると思います。特にへき地医療の場合は、医師の偏在そのものが、最 大の課題だと思います。ほかにどなたかご意見をどうぞ。 ○松村委員  いまお話を聞いておりまして、離島は全国的にというのはおっしゃるとおりですが、 特に視点を当ててお話してみたいことは、今度、ほとんどの各医大が臨床医学をやめま すね。 ○高久座長  やめるというのは、臨床研修をですね。 ○松村委員  そうです。私は離島というのは、臨床医学的なものが完結できる条件を整えていると 思うのです。そういった点ではいろいろな医療の部門について、本当に臨床研究で島の 医療ということをもう少し。いままで縷々論議もされてきたし、先ほどのお話にもあり ますように、もう長い時間が経っているわけですが、一向にヒット的になりませんね。 長崎県の場合は離島医療保健で、県が医療保健病院でやっております。同じようなこと を各都道府県もしていると思いますが、医師の確保ということでは、いろいろなハンデ ィがありますから、おそらくドクターの報酬に対しても、本土部分より3割から4割高 いと思います。それでもなおかつそうではないと。新庄委員がおられますが、私はやは りこの点を。  それから離島の周辺地域におけるドクター供給と言ったら、商品みたいでおかしいで すが、それが地域によって違ってくると思うのです。これはまた次元が少し違うのかも しれませんが、私どもが離島医療で今いちばん困っているのは、整形外科の部門です。 あるいは精神科のドクターが全く難しいのです。また緊急の場合は、自衛隊のヘリを活 用しているのですが、このように物理的にどうにもならないものがありますから、こう いったものをどうやっていくのか。  そうかといって、島には極端な人もいるのです。我々行政は考えなければいけないわ けです。「生命は金に代えられるか。予算がない、予算がない、そんなことがあるか。 生命は重いよ」と言って、そういう一般論で野次られると困るのです。しかし緊急ヘリ を抱えるだけの財源的なものがあれば、もっとそれ以前に、離島医療にはしなければい けないことがいっぱいあるのです。とにかく離島医療に関しては、地元の地域でもこん なふうになっている。基本的に情報というのは、私どもがいる都会も、地方も、田舎も 同じレベルで共有していくわけで、地域のハンディというのも同じレベルの中で考えて いきますから、極端な議論も出てくるわけです。要はいつまで経っても一向に代り映え しない、議論はいつも同じようにされるけれど、先ほどお話があったとおりだと思うの です。  これは繰り言か愚痴だと思って聞いてください。先生の所の自治医大も、養成医の人 がどうも専門医指向をしているのです。プライマリケアの人が専門医を目指してほしい と思うのです。そういった点で私どもは医師の確保においても、そこに張り付けてもら っている医師においても、やはりまだまだ物足りないものがあるのです。研修医にもう 一遍新しい道を探ったりとか、もっとというようなところに専門医指向が現れるので す。やはり大学のほうでは、そういった傾向があるのでしょうか。 ○高久座長  当然義務年限の間は、プライマリケア医としての仕事がありますので、自治医大では 学生に、総合医と言いますか、プライマリケアのドクターになるように教育をしていま す。しかし、特に多くの医師特に若い医師には、ある時期に専門医という看板を出した いという希望が、どうしてもあると思います。それを「ノー」と言う事は、なかなか難 しいと思っています。  他の大学の医学生もただ少しずつ変わってきているというように、希望はしていま す。新しい臨床研修制度では地域保健というコースができて、そこを回ってきた若い人 がどう考えるか。このコースをまわる事によってプライマリケアを指向する若い医師が 増えてくるのではないか希望しています。自治医大の学生にはプライマリケアをちゃん と勉強し、実践してから自らの考える専門に行きなさいと教育しています。しかし、自 分で1つの得意な分野を将来持ちたいという若い医師の指向を抑えることは、かなり難 しいのではないかというのが私の感想です。 ○松村委員  実は、私は長崎県の離島医療・へき地医療ということで、この前の自民党の離島委員 会とか、厚生労働省の皆さんにもご迷惑をかけたのですが、医師不足というのは、いつ まで経っても永遠の課題なのです。もちろん物理的にもいろいろなハンディがあるの で、難しいことは分かります。もしそれだったらということで、極論で論点にもならな いとは思いますが、自治医大だけでなく、国立大学の医学部で新しく医師の資格を取る 人は、ある程度臨床ができるようになった3年後でも5年後でもいいから、離島・へき 地の医療に2年間なら2年間という義務年限を課すことはできないのか。いや、住居の 事情などと言うけれど、そんなことではないよと。今すでに入っている人はそうなるで しょうけれど、これからやろうという人に、そういうことはされないのか。そうすると 今度は医師の養成上、問題があるのですか。医師になろうという希望を持った人がやめ ていくのですか。無理な話なのでしょうか。 ○高久座長  私は開学の時期とその後ということで、自治医大と長く関係していますが、国立大学 の医学部では学生に総額として何千万円も国費を使っているのだから、その卒業生には ある程度の義務を課しても良いのではないかというご議論は昔からありました。具体的 には知りませんが、そのときの話では、軍医になるか、へき地の医師になるかという選 択を迫られる国もあったようです。しかし現実にはなかなか難しいと思います。特に国 立大学がなくなって、全部独立行政法人になり、国からのお金もだんだん減るようです から。 ○吉新委員  いまのお話にも関連するのですが、医科大学とか臨床研修病院も含めて、卒後教育を 担う医育機関とへき地とのかかわり合いという意味で、その部分の視点が「審議すべき 論点」の中には盛られていないのではないかと思いますので、やはりそれを検討すべき ではないでしょうか。 ○高久座長  卒後の研修ですね。 ○吉新委員  そうです。卒後の研修とか、前回も問題になった専門性です。 ○高久座長  例えば資料6の2頁に、臨床研修医の指導を担う場合の、臨床研修指導医マニュアル を作成すべきではないか、へき地医療・離島医療の専門性に関するビジョンを作成する という項目がありますが、こういうことですか。 ○吉新委員  これから医科大学で研修される医師が減っていきますが、医師の教育も去ることなが ら、医師確保というのが人事の中枢である医科大学の医局とのかかわりみたいなこと で、この場で議論できないものかということなのです。 ○高久座長  そうですね。総務省と、文部科学省と、厚生労働省の3省から、医師の確保というこ とでの提案がありましたね。あれは具体的にはどういう提案でしたか。その中に大学病 院に対する働きかけとかありましたね。 ○宮本指導課長補佐  いまご紹介いただいたのは、へき地を含む地域における医師の確保等の推進について ということで、厚生労働省、文部科学省、総務省の3省で行っている、地域医療に関す る関係省庁連絡会議のことであると存じます。平成16年2月26日に取りまとめが行われ ており、3省で関連する中で、それぞれ行えるものは取り組んでいきたいという内容を 盛り込んでおります。  簡単に紹介いたしますと、当面の取り組みとしては、都道府県医師会、大学、地域の 中核的な病院などによる医師確保や、医療連携等の推進に向けた、地域における医療対 策協議会の開催を推進していく。へき地等の病院における医師確保等の支援のための特 別措置の導入ということで、医師配置標準の取扱いを含めた特別措置の検討をしてい く。こちらはすでに実施されているものです。そのほかに、自治体病院の再編・ネット ワーク化などの改革の推進を行う。ここがおそらく該当するかと思いますが、医療機関 相互の連携による地域の医療機関の支援という中に、大学病院による地域医療支援の推 進なども含まれるということです。臨床研修も含めて、大学の医師養成課程における地 域医療に関する教育の充実、大学における医師紹介システムの明確化及び決定プロセス の透明性の確保、そういったところが当面の取り組みとされております。  今後の検討課題としては、現在ご検討いただいているへき地保健医療計画の策定、医 師需給の見通しの見直し、臨床研修病院のあり方の見直し、大病院等で定年退職をした 医師の再教育プログラムの構築、医師の配置を含めた医療提供体制のあり方の検討とい ったところが、今後の検討課題として挙がっております。 ○高橋委員  医療を取り巻く自然的・社会的条件が本当に悪いから、へき地医療とか離島医療とい う問題が出てくるわけですから、社会的条件や自然的条件をどう克服していくかという 論点も、ある程度入れてほしいのです。あまり入れてしまうと、国土交通省だか何だか わからなくなってしまうので、限界はあると思うのですが、いま考えても総務省の消防 も、へき地医療を取り巻く消防には、どの程度までどんなことをやらせてもいいという のが、ないことはないと思うのです。それから電波を使った診療などのITですね。こ れは私たちの知識では限界がありますが、医療専門家がこういう診療でいいということ になれば、もっと高度な知識を利用したり、へき地・離島医療にITをどの程度まで認 めるかということを、論点としても是非入れてほしいのです。そうでないと、いつまで 経っても先ほどからあるようなことになってしまう。環境条件が全然整わないわけです から、単に医療側からだけやっても、なかなか難しいと思いますので、是非お願いした い。  自分の村のことを言って恐縮ですが、私は職員から国民健康保険係というのになっ て、村長を通じてちょうど30年ぐらい、村の医療に関係しています。医師がようやく安 定したのは、外国籍の医師が来てからです。いま韓国の先生が10年、台湾の先生が15年 おります。医師は外国籍でも国内でもどちらでもいいのですが、医療関係者も含めて、 それだけ日本人はへき地医療や離島医療というものに対して、この点がまだ違うのでは ないか。台湾の先生はもう15年います。子供は栄村で育ち、全部医療関係に進みまし た。  日本の医師は、栄村くんだりに行ったのでは子供の教育に困る、後継ぎの教育ができ なくなるからということで、大体単身で来ますから、いてもせいぜい2年ぐらいです。 その2年間にレントゲン替え、ファイバースコープ替えということをやってきました が、次に来た先生は、「私はそれは使いません」と言われて、もう踏んだり蹴ったりみ たいなことになってしまう。しかし条件が悪いのですから、私は来られた先生に何も罪 や責任を感じているわけではない。いまの時代はITを使うとか、消防や救急といった もので、医療のサイドから支援体制をつくるとか、そういったことも是非検討に加えて いただきたいと思っています。 ○高久座長  鈴川委員にもお伺いしたいのですが、論点の中の2頁目の5の(2)に、臨床研修医 指導マニュアルを作ってはどうかというのと、定年で退職した医師に対する再教育とい う項目がありますね。アンケートの中では、例えば臨床研修医が何人来たかという事な ども聞いているのですか。 ○鈴川委員  実際の必修化になってからのは、平成16年、17年になると思うのですが、もうすでに どのくらい来ているかということを含めて、一部その設問は入っております。 ○高久座長  鹿児島大学などでは研修医を離島に出しているようですが、8,000人の研修医の中で地 域保健のプログラムで離島・へき地に実際に行っているのは、大体どれぐらいでしょう か。あまり少ないと、折角マニュアルを作っても、あまり意味がない。具体的な数はわ からないですか。 ○宮本指導課長補佐  原則として2年目のプログラムの中に含まれておりますので。一部今年実施している 人たちもいらっしゃるとは思うのですが、中心は来年度から始まるかと存じます。 ○高久座長  このアンケートで少しわかるかもしれないですね。わかりました。ほかにどなたかど うぞ。 ○新庄委員  ただいまの医師の臨床研修に関連して。臨床研修では歯科医師も来年度から、特に 「へき地・離島等」という課題が入って、実施すべき形にはなっていますが、受け入れ の問題がありますので、我々長崎大学でもまだ準備中です。実は5年間の時限ですが、 長崎大学では県や関連のご努力で、寄付講座で離島医療学講座が発足しております。そ の中で全ての医学部の学生は、学生時代に離島で研修するというシステムが出来上がっ ています。歯学部は遅れていて、我々がどういう形でするかというのは検討中ですが、 やはり卒業してからだけではなくて、学生の間に、若い時代にそういう機会があるとい うのは、ある意味で卒後の進路も含めた医師の確保にもつながるのではないかというこ とを、ごく最近の離島医療学講座の活動をみて理解したところです。  それから先ほど松村委員がおっしゃったこととも関連するのですが、私は兵庫県から 長崎へ行って4年ほどなので、長崎の実情を十分存じてはいないけれど、特に最近感じ たのは、いわゆるへき地や無医地区、無歯科医地区には該当しないけれども、医療や保 健サービスが十分受けられない所があるということです。例えば少人数の離れた村落が あったり、人口が数十人だけれど、最若年者が65歳の地区であるとか、従来のへき地の 概念に当てはまらない所がかなりあるような気がしています。ですから、これからへき 地の課題を検討していただくときは、従来の概念に当てはまらない所をどのように含め るか。  私が長崎へ参りまして、保健所単位で歯科医の充足状況を見ますと、離島だからとい うことで必ずしも歯科医師数が少ないわけではないのです。ただ、それぞれの地区の中 心地に偏在しているので、利用・アクセスはかなりしにくい状況があるわけです。特に 医療ということで整備を図りますと、確かに何かあったときには受診できるかもしれま せんが、通常の健康管理と言いますか、病人をつくらない保健事業という意味でのサー ビスからは、そういうへき地内のへき地というか、無医地区に該当しない局所のへき地 というのは、かなり取り残されるような気がします。  私は国診協の関連の委員もしているのですが、国民健康保険診療所が、歯科保健セン ターというのを併設すれば500万円ぐらいの設置補助金があり、歯科医が常勤でいなく とも歯科衛生士を雇用して設置できるもので、これまでに全国で70箇所ほどある。その 国保の歯科保健センターは医療だけではなくて、保健サービスも充実させるという意味 で、かなり成功してきているように思うのです。今後は、国保の診療所のない地区で も、市町村などが受け入れになって設置できれば、特に歯科医が非常勤であっても受け 入れできるような所があれば、臨床研修の受け皿にもなりますし、大学等から非定期に 派遣するということで広がるのではないでしょうか。また検討課題としていただけれ ば、ありがたいと思います。 ○高久座長  長崎大学の寄付講座は、どの組織が寄付しているのでしょうか。 ○新庄委員  五島列島のいちばん南にある福江市と、隣接5町が、いまは五島市になりまして、県 と市が寄付団体になって昨年つくったところです。 ○高久座長  ほかにどなたかご意見ありますか。 ○樋口委員  先ほどから出ている専門医指向と、新臨床研修制度のプログラムの関係です。学生た ちの大学での卒前教育は、専門医の教授が行います。ですから全員専門医になりたいと いうことで、新臨床研修制度のプログラムを、学生たちに迎合した形に変えてきている ところがある。いわゆる地域保健医療を必修にしてはいるのですが、お茶を濁す程度の 所が出てきているということは、検証しなければならないと思います。  岩手県の話をちょっとだけさせていただきますと、四国4県の広さに27の県立病院が あって、人口10万人対70人しかいない地域が、2箇所ぐらいあります。そういう所で17 年前から、現在の厚生労働省がつくったものと同じ地域保健医療を、必修にしてやって きたのです。ですから今回の新研修制度のプログラムは、私たちのやってきたことにぴ ったりだということで、大変喜んでいます。しかし私どもの所では2年目に研修医を2 カ月、地域保健に出していて、後期研修でも地域保健医療というのを選ぶコースをつく ったのですが、1学年15名から20名の研修医のうち、地域医療に触れさせて経験させて いるうちに、興味を持ってその方向に進んでくれるのは、大体1人です。新しい研修制 度が折角よいプログラムになったので、それがきちんとなされているかどうかという指 導も、継続してしていかなければならないのではないでしょうか。  地域医療をやりたいという数は、やはり残念ながら少ないのです。ただ触れさせるこ とによって、そういう人が必ず生まれるので、そういう所に支援をしていただければと いうのも、議論の中に入ればと思います。 ○鈴川委員  私たちの研究班でこの前議論になったときに、長崎の米倉先生から、今までずっと臨 床で、「へき地や離島に行きなさい」と言って、必ず全員回るようなプログラムでやっ ているけれど、ほとんど残っていないではないかというお話がありました。今のお話を 聞いても、研究班の皆さんの中からも、ただへき地に行かせるだけで、もうそこに行き たくなるという単純なものではないという話も出ておりました。やはり本来ならば、行 きたくなるようなものをつくるべきだろうと思うのですが、臨床プログラムの中でへき 地に触れさせた以上のものを考えないといけないのだろうと、いまのお話を聞いていて 思いました。 ○土屋委員  「へき地」について、ここに定義がしてありますが、これが昭和31年から始まった事 業だとしますと、そのときに「へき地」という言葉で、あるいは無医地区ということで 定義されたものが、ちょっと現状に合っていないのではないかというのが1つです。  それから「へき地」という言葉から受けるイメージが、一つ間違うと差別用語になり かねない時代になったのではないか。また、若いドクターたちにしても、地方の都会か ら遠い所に行かされてしまうというようなことで、やはりイメージ的によくないと思い ます。ちょうどいい時期ですので、一気にこれを変えてみたらどうでしょうか。結局、 この言葉でイメージされている範囲内で考えている限り、第10次もいろいろやったけれ ど、あまり状況は変わらないのではないか、ということになりかねないと思います。名 は体を表すと言いますので、まずイメージから、それが1点です。  もう1つは、遠く離れた地域にはやはり高齢者が多いと思います。私ども医師会に も、医療は何とかするけれど、福祉と言いますか、介護保険についてはどうなるのです かというのが、ときどき上がってきます。いまや老人保健事業が、介護給付、予防給付 というようになりまして、その境目のところが非常に大事になってきました。そういう 意味から、何も医師でなくてもお年寄りの皆さんの面倒がみられるという状況になって きました。制度的にもそうですし、現実的にも医師以外のコメディカルの皆さんも、一 生懸命それぞれの立場で頑張っておられます。  これは別の所で検討することかもしれないと思いますが、第9次のときも保健・医療 ・福祉の連携というのを謳っていて、今回も「保健福祉の支援」という言い方をしてお りますが、その辺がもう少し、本当に実質的にできるようなことが考えられたらよいか と思います。 ○高久座長  無医村・無医地区には定義がありますが、へき地には定義がなかったと思います。で すから無医地区の定義を変えるのは難しいでしょう。ずっと統計を取ってきていますか ら、変えてしまうと推移がわからなくなりますね。 ○吉新委員  へき地の定義ではなくて、英語だと「メディカリー・アンダーサーブド」と言いま す。このへき地医療というのは、先進国だけの問題なのです。先進国へ行けば行くほ ど、地域と田舎の差が出てくるわけです。ですからアンダーサーブドかどうかというの は、私は国の状況で相当決まってくると思うのです。オーストラリアなどですと、フラ イイングドクターということで、ドクターはどんどんセスナに乗って、パイロットと一 緒に山や奥のほうに入って行きますし、イギリスであれば、エリアとしては狭いもので すから、診療報酬でちょっと多めに取れるようにしていくとか、各国で全然違うので す。日本の場合は非常に島が多いので、ちょっと事情が特殊ではないかという感じがす るのです。ですからへき地医療という概念は、国々で違うと思います。 ○吉新委員  これが差別用語だという議論は、実は自治医大でも10年ぐらい前にありました。「地 域」という単語に変えるとか、差別用語だからこれをやめようではないかという話があ ったのですが、やはり「へき地」という単語がいちばんわかりやすいということで、ま た戻ってきたのです。ただ差別用語かどうかというのは、使い方や受け手のほうの取り 方だと思います。 ○高久座長  それを変えると、この検討会の名前も変えなくてはいけませんね。実際に問題になる のは、山間と離島です。離島だけはどんなにしても難しい。また土屋委員がおっしゃっ たように、従来へき地だった所に立派な道路ができると、もうへき地ではなくなりま す。ただ雪の多い山は、どう考えてもへき地になってしまう。 ○奥野委員  へき地ということで私がいちばんシンプルに考えるのは、医療を受けたい人と受ける 場所との間の時間と、その集落の人口だと思うのです。例えば無医地区であれば、然る べき医療機関までかかる時間が長いほど、へき地の度合が高くなります。診療へき地の 診療所から次の大きな病院までに行く時間が長くて、抱える人口が多ければ、それによ ってへき地の度合は高くなると。離島というのは、その間に海があって断絶される場合 があると考えるのが、いちばん分かりやすいのではないかと、最近思ってきました。  例えば1,000人を抱えていて30分で行ける所と、5,000人を抱えていて1時間で行ける 所であれば、中身の比重とそこにどういう医療機関があればいいかというのがわかって くるということで、時間(距離)と、そこに抱えている人口と、その間に断絶するもの があるかないかというのが、簡単なバロメーターではないかと思いました。  それから「僻地」の「僻」という漢字を辞書で調べますと、差別を思わせる意味を含 む漢字であることがわかります。ですから一時、「辺地」という使い方をしたこともあ ります。 ○松村委員  私は医師確保ということを、もう20何年言っていますが、1つもならないのです。特 に長崎県の場合は最近、医師確保委員会なるものができて、厚生労働省の皆さんにもご 迷惑をかけているのですが、どうしてもやはり具体的に難しいのです。これはどこでも そうです。そこでいつだったか、どこかの学会で話させてもらったときに、「医師会と いう所は外圧のない所ですね」と言ったら怒られました。「いや、内圧すらないよ」と 言う人もありましたが。  私は何を言いたいかというと、実は全日空の社長にお会いしたときにも言ったので す。「あなた方、国際化で競争力を付けてどうだこうだと言うけども、霞が関から羽田 に本社を持って行って、それが何になるねん。本社をバンコクぐらいに持って行って、 パイロットでもスチュワーデスでも、そっちからどんどん門戸を開いてごらんよ。そう せんと、なんで国際競争力に勝つことができんねん」と話したことがあったのですが、 「横暴なことを言うな」と言われました。  それはともかく、私どもは本当にどうにもならないのです。先ほど高橋委員がおっし ゃったように、韓国とか台湾などの医師で、来てやりたいという人が結構おられるので す。生涯を島の医療に捧げたいという赤ひげ先生が、海外にはおられるのです。いろい ろなお付き合いの中で、いろいろな人が。そういうときに、医師の国際免許についてお 聞きしたい。日本の場合は海外で持っていても、どうしても日本の医師の取得免許が要 るではないですか。聞くところによると、1年に1回しか登用できる試験がないという ことですが、これは本当かどうか、厚生労働省の方にお聞きしたいのです。  看護師については、いろいろ問題があろうかと思いますが、もう正看の人がいないの です。保健師もそうです。ですから例えば看護師なども海外から。対馬の場合は韓国か ら50kmですから、ちょっと地域特性がありすぎますが、高橋委員がおっしゃるように、 前は韓国の先生や台湾の先生に来ていただいておりましたよ。今はそこまではないので すが。そういった看護師不足の中でも、やはり同じように門戸を開けるような形という のは難しいですね。  そういった点などを考えますと、永遠にいろいろな思いをしますが、結局壁、壁、 壁、壁なのです。どこでも国際化の時代なのに、医療の事業界には国際化という波が押 し寄せていないからいいようなものですが、もし、そういったことが起こったときにど うなっていくのでしょうか。起こり得ないでしょうけれど、医師の絶対量を確保できな いのなら、外国からでも呼ばなければいけないと思います。物理的にできないのです。 3,000人ぐらいの町で、宇久町では3,000万円かかるのです。これもやはり問題ですよ ね。そういったいろいろな点で、私どもは医師の充足、医師の確保ということについ て、何々委員会というのが議会にもできて、特にここ2年ぐらいは長崎県を挙げてやっ ているのですが、これでもやはりうまくいかないのです。何とか確保できるような、い い抜本的な方法はないものでしょうか。何だかんだと、あらぬことまで考えていかなけ ればいけないようになりますから。 ○高久座長  長崎県には離島医療組合がありますが、医師の定着率が悪いのですか。 ○松村委員  それは再度、ワンワン、ワンワンやっていますよ。 ○吉岡(キ)委員  「へき地」と言われる、岡山県の田舎の人口3,000人ぐらいの所で、保健師をしてい ます。こういう所に出席させてもらうのは初めてなので、よくわからないのですが、へ き地での現状についてです。  まず一時、医師がいないときがありましたので、「無医町」と言われていたときもあ りました。ただ無医町の段階でも、隣町に行くまでに15分ほど走ったら、医師がいるの です。ですので交通機関からいったら医師はいるのですが、不在のときは無医町という ことになります。そのときに、車で移動できる方については支障ありませんでした。困 るのは体の弱い方、寝たきりの方、お年寄り夫婦です。特に高齢者が多い地区なので、 その方たちが困っていらっしゃいました。現在は自治医科大学卒業の内科の先生が来て くださって、積極的に動いてくれています。保健や福祉の連携のほうにも力を入れても らって、研修医も毎月のように来られて、地域の勉強をしてくださっています。  いま現在、診療所には主に内科専門の医師が1人ということで、老人ホームの嘱託医 とか地域の産業の嘱託医、学校医などを全て兼務しているという状況です。また夜間の 相談などにも応じていますので、1人体制では限界があるということで、2人目を探し ているのですが、いろいろ相談しても、2人目の医師がなかなか確保できない。これが 医師の確保の問題だと思います。  あと、小児科や耳鼻科などの専門科が遠方になりますし、毎日診療していませんの で、そういう専門の先生の不足というのを、お母さん方はすごく心配しています。  高齢の方や寝たきりの方が、途中で入院されるときの後方支援の病院も不足していま す。公立の大きな病院というのはありません。私立の中規模の病院があちこちにあるの で、そこにお願いして対応してもらっているのです。  これは救急体制の問題もあるのかもしれませんが、精神疾患の患者さんが内科のほう の病気で入院するときに、受け入れ先を探すのにだいぶ時間がかかって、隣の郡のほう まで行くようなことがありました。  救急というのは、救急車の感覚なのですが、救急車が1台出てしまうと、町の分駐所 には救急車が空になりますので、今度次の人は30分以上離れた所から、救急車を呼ぶと いう体制になってしまいます。ですので救急車の利用も大変ではないかと思います。  診療所に通院できる人については、中央のバスが走っていない集落には、福祉バスと いう形で診療所までのバスを有料で走らせています。車に乗れる体力のある人は、それ に乗って来てもらっていますが、寝たきりの方や車椅子の方には、医師の往診という形 にしています。  あと、研修医のことが先ほどからたくさん言われていましたね。研修医は最初に来ら れるときは、不安に思っていることが大きそうなのですが、実際にいろいろ経験され て、町との連携の事業などに参加されたら、いろいろな新しいことが分かったというこ とで、好意的なことを言って帰ってくださっています。そういう研修医の方たちが、即 私たちの診療所のようなへき地に、医師として勤めてくれないかということで、町の行 政のいろいろな説明などをするときに聞いてみるのですが、やはりある程度実務体験を 何年か過ごしていないと、大人から子供まで全部を診なければいけないので、あまりに 若い年代から行くのは不安があるとおっしゃっていました。  今のところ、現状として気が付いているところはこれぐらいですが、いちばんの問題 は、医師を複数体制にしないと、どうしても1人の医師に無理がかかってしまうという ことです。その1人の医師が精神的に疲れてしまったら、適切な医療も難しくなってき ますので、そういうフォローのサポート体制を、支援機構あたりできちんとしてくださ ったらと思っています。 ○高久座長  そろそろ時間になりました。ご議論は尽きないと思いますが、終わらせていただきた いと思います。地域保健のコースを臨床研修医がとるのは良いのですが相当工夫をして 教育しないと、1〜3カ月ぐらい行くのは良いけれど、ずっと行くのは勘弁してくれと 考えるのが大部分だと思います。しかし先ほどもお話がありましたように、一部には興 味を持つ研修医がいるだろう。へき地を回らないと話にならない。その中から出てくる のを期待しています。マニュアルという話が出ていますが、研修医を引き受ける所で は、それに合うような工夫をしていく、そのサポートを考えるべきではないかと思いま す。  次回以降の連絡について、事務局からよろしくお願いします。 ○宮本指導課長補佐  次回と第3回の予定を申し上げます。次回は2月28日の月曜日、午後1時から3時、 第3回は3月31日の木曜日、午後2時から4時に開催させていただきたいと思いますの で、よろしくお願いします。 <閉会> ○高久座長  毎月ということで非常にご負担をおかけいたしますが、6月までに何とかまとめると いうことですので、ご予定のほど、よろしくお願いいたします。本日はいろいろとご意 見をお伺いしまして、ありがとうございました。 【紹介先】  厚生労働省医政局指導課  宮本、川畑  03−5253−1111  (内線)2554又は2550