05/01/19 平成17年1月19日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 農薬・動物用 医薬品部会 議事録      薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時 :平成17年1月19日(水) 9:57 〜11:33 ○場所 :経済産業省別館第944号会議室(9階) ○出席者:   委員   豊田委員(部会長)、井上(達)委員、井上(松)委員、大野委員、        岡田委員、小沢委員、加藤委員、中澤委員、米谷委員、吉池委員   関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 小峯専門官   事務局  中垣基準審査課長、宮川課長補佐、近藤専門官、渥美技官、坪井技官 ○議事   (1)食品中の残留農薬等に係る基準の設定について     ・フェンアミドン(農薬)     ・プロヒドロジャスモン(農薬)   (2)食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制の導入について   (3)その他 ○事務局  ただいまから「薬事・食品審議会 食品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開 催させていただきます。  本日はお忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。本日もどうぞ よろしくお願いいたします。  開会に当たりまして、食品安全部長の外口から一言御挨拶を申し上げます。 ○外口食品安全部長  部会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。  先生方におかれましては、日ごろから食品安全業務に御協力を賜っておりまして、改 めて御礼申し上げます。  本日は食品中の残留農薬等の基準設定について、農薬のフェンアミドン及びプロヒド ロジャスモンの2剤について御審議いただくこととしております。  フェンアミドンにつきましては、国内では新規薬剤として登録申請があり、プロヒド ロジャスモンについては、国内で既に登録されているものでありますが、今回新たに適 用作物の拡大の申請があったものであります。いずれの農薬も既に食品安全委員会で審 議が行われたものです。  次に、食品中に残留する農薬等に対するポジティブリスト制については、暫定基準の 第2次案等に寄せられた御意見について、事務局で整理し、本日その結果について、御 報告させていただきます。  お手元の冊子にありますように大変多くの方から御意見をいただいております。  本件については、遅くてもこの春には最終案を公表して、ポジティブリスト制施行に 向けて準備を鋭意進めてまいりたいと考えてりおりますので、引き続き御検討をお願い いたします。  簡単ではございますが、どうぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。 ○事務局  本日は青木委員、下田委員、山添委員の3名の方から欠席との御連絡をいただいてお ります。  当部会の委員は13名でございますので、そのうち10名本日御出席をいただいておりま す。したがいまして、過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますこ とを御報告いたします。  それでは、早速ですが、豊田部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○豊田部会長  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  朝からお集まりいただきまして、ありがとうございます。  それでは、初めに事務局から配布資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  お手元にございます配布資料でございますが、最初に議事次第と書かれているものの 後に、座席表がございまして、右肩に資料1−1、資料2−1、資料3−2、それから 参考資料1というものになります。  委員のお手元には第2次案に対する意見というもので寄せられたものの印刷した分厚 い冊子が配布をされていると思います。  それの追補版がございます。事務局の手違いがございまして、一部いただいた意見を 収載できなかった部分がございますので、追補版というのを各委員のお手元にお配りし ております。  以上が本日の配布資料でございます。 ○豊田部会長  配布資料で落ち等ございましたから、事務局までお願いいたします。  それでは、審議に入りたいと思います。  議題1「食品中の残留農薬等に係る基準の設定について」。本日は農薬2品目、フェ ンアミドン及びプロヒドロジャスモンについて審議を行うこととしております。  まず、農薬フェンアミドンについて、資料1に基づいて事務局から御説明をお願いい たします。  この農薬の基準案の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等について御検討い ただいているところでございます。事務局、よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、ただいまから資料1について説明させていただきます。  1ページから資料1−1になっておりますが、食品安全委員会の農薬専門調査会でと りまとめられまして、平成16年12月15日付けで厚生労働大臣あてに通知されました評価 書となっております。  同じ冊子の33ページからは、資料1−2となってございまして、こちらは本部会の報 告書案となっております。  それでは、資料の説明に入らせていただきます。  6ページ目にこれまでの審議経過が記されております。フェンアミドンは2002年11月 13日に農薬申請がなされました新規の登録申請農薬でございます。  昨年1月16日付で農林水産省より基準値の作成依頼がございましたことから、それを 受けまして、食品安全委員会に対し残留基準設定に係る食品健康影響評価について要請 をいたしました。  食品安全委員会での審議を受けまして、先月15日に食品安全委員会にて報告書がとり まとめられ、厚生労働大臣に対して通知がなされております。  続きまして、食品安全委員会による報告書につきまして、7ページ以降簡単に御説明 申し上げます。  ファンアミドンはイミダゾリノン系の殺菌剤でございまして、病原菌のミトコンドリ ア電子伝達系の阻害作用を持つと考えられております。  このフェンアミドンを評価いたしますため、各種試験が行われておりますが、25ペー ジからの「総合評価」に基づきまして、順を追って簡単に説明させていただこうと思い ます。 まず一番上にありますけれども、動物体内運命試験では、ラットにおける体内 運命試験で、放射能でラベルいたしましたフェンアミドンは、特に甲状腺で高い組織内 濃度が認められております。しかし、反復投与による甲状腺の組織内濃度が、単回経口 投与によるものと同程度であることから、著しい蓄積性はないものと評価されておりま す。  次に、植物体内運命試験に移らせていただきます。  プドウ、トマト、レタス、バレイショを用いました植物体内運命試験が実施されてお ります。最終収穫時のブドウ、トマト、レタスの加食部におきまして、最も多く認めら れた単一成分は親化合物でありますフェンアミドンであり、次いでS−メチル基が酸化 的に脱離いたしました代謝物G、ここでは代謝物Gと呼ばれておりますけれども、代謝 物Gが認められました。  一方、バレイショでは最も多く認められましたのは、茎部ではフェンアミドンであり まして、塊茎部では各種極性物質となっております。  中でもブドウにおける植物体内運命試験では、未成熟期のブドウの花房でフェンアミ ドン本体の総残留放射能、TRRと呼ばれておりますけれども、こちらが57.7%、代謝 物Gが16.9%認められたという報告がなされております。  土壌中運命試験に移らせていただきますが、土壌中運命試験、水中運命試験では、フ ェンアミドンが土壌中、水中で速やかに分解されるということが示されております。  続きまして、25ページの下から3行目からでありますが、各種毒性試験の結果に移ら せていただきます。  フェンアミドンの急性経口LD50はマウスの雌雄で2000mg/Kg 体重超、ラットの雄で 5000mg/Kg 体重超、雌で2028mg/Kg 体重、経皮のLD50はラットの雌雄で2000mg/Kg 体重超、吸入LC50はラットの雌雄で2.1mg /L超でございました。  一方、動物体内では生成しない代謝物Gにおきましても、SDラットを用いました急 性経口毒性試験が行われておりまして、代謝物Gの急性経口LD50は、ラットの雌雄で 2000mg/Kg 体重強となっております。  26ページ、亜急性毒性試験では、発がん性は認められませんでした。ただ、ラットの 慢性毒性、発がん性併合試験では、動物体内運命試験で高蓄積性でありました甲状腺に おきまして、ろ胞細胞肥大/過形成や局限性ろ胞細胞過形成が認められておりました が、発がん性は認められませんでした。  この甲状腺のろ胞細胞における変化の原因といたしまして、動物体内運命試験で高蓄 積性が示されたことから、「甲状腺への残留性による直接的な影響も否定できないが、 フェンアミドンの肝薬物代謝酵素誘導に伴うUDP−GT活性亢進、甲状腺ホルモンの 代謝促進、視床下部−下垂体−甲状腺におけるフィードバック機構によるTSHの増加 が主に関与していると考えられる」と結論づけられております。  また、26ページの上から3番目の段落にありますけれども、各試験で軽度な貧血所見 が確認されております。これにつきまして、「フェンアミドンの動物体内運命試験で想 定されるアニリン様の代謝物が関与している可能性は否定できないが、アニリンを含む 一般的な芳香族血液毒性物質と比較するとその程度は弱いと考えられる」と評価されて おります。  2世代繁殖試験でございますが、2世代繁殖試験では、繁殖能に対する影響は認めら れておりません。また、発生毒性試験では催奇形性は認められませんでした。  遺伝毒性試験では、遺伝毒性試験はin vitro及びin vivo で各種試験が実施されてお りまして、マウスリンフォーマTK試験(S9mix 存在下)及びヒトリンパ球培養細胞 を用いました染色体異常試験(S9mix 存在下及び非存在下)以外はすべて陰性であり ました。 フェンアミドンは培養細胞に対しまして、染色体異常の誘発が認められまし たが、高用量まで試験されたマウスを用いた小核試験の結果で陰性であったこと、ま た、ラット肝細胞を用いたin vivo /in vitro不定期DNA合成試験におきましても 陰性であったことから、生体においては特に問題となるような遺伝毒性は発現しないも のと考えられると評価されております。  また、遺伝毒性試験につきましては、代謝物Gについても、復帰突然変異試験、マウ スを用いました小核試験が実施されておりますが、結果はいずれも陰性であったことか ら、代謝物Gは、遺伝毒性を発現しないと考えられております。  それでは、7ページの「要約」というところに戻っていただきたいんですが、これら の試験によりまして、各試験の無毒性量の最小値は、ラットを用いた慢性毒性/発がん 性併合試験の2.83mg/Kg 体重/日であったことから、これを根拠といたしまして、安全 係数100 で割りました0.028mg/Kg体重/日が許容1日摂取量(ADI)として設定され ております。  以上が食品安全委員会がまとめました、食品健康影響評価でございます。  それに基づきまして、私どもの方で作物残留試験等から残留基準値の値をまとめさせ ていただいたものが、資料1−2、33ページからのものになります。  フェンアミドンは、今回新規に登録が申請されている、ここに載せられているような 構造式の化合物でございます。  33ページの「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」でございますが、フェンアミドン の適用範囲とその使用方法が列挙されてございます。  フェンアミドンには、40.0%水和剤と、混合剤としてフェンアミドン3.9 %・ホセチ ル64.0%水和剤。また、フェンアミドン4.0 %・マンゼブ60.0%水和剤としての使い方 がございます。  なお、ホセチルとマンゼブにつきましては、共に殺菌剤でありまして、今回申請の農 作物には既に登録がなされております。  使用方法につきましては、たくさんありますので、すべては申し上げませんが、例え ば40%水和剤のハクサイですと、収穫前日までに3回以内で散布する。  34ページにいきまして、フェンアミドン4.0 %・マンゼブ60.0%水和剤のメロンです と、収穫七日前までに3回以内で散布することとなっております。  それらにつきまして、各種作物による試験が行われておりまして、提出された試験成 績をまとめました表が36ページにございます。  なお、36ページの表は、親化合物のフェンアミドン本体についてまとめたものです が、植物体内運命試験におきまして、比較的多く残留が認められた代謝物Gにつきまし ても、試験成績が提出されておりますことから、参考として37ページ、代謝物Gについ ての試験成績を掲載してございます。  基本的には示されている使用条件下で使った際、最もたくさん残留すると考えられる 時期のデータ、つまり最大使用条件下の作物残留試験については、回数と経過日数のと ころに下線を引いてある条件がそれに当たりますけれども、その最大使用条件下で得ら れました試験の結果を最大残留量として一番右の欄に記載してございます。  その36ページの表につきまして、幾つか補足で説明させていただこうと思いますが、 最大残留量の項に#が付いている試験成績につきましては、33ページに示しました適用 と一致した試験成績にはなっておりません。  表の一番上にあります施設栽培のブドウでは、適用範囲が5000倍散布で200 L/10a となっておりますが、試験は250 L/10a 、300 L/10a で行われております。  今回はその当該成績であります1.40ppm 、1.02ppm の残留を参考といたしまして、 基準値案を設定しております。  また、メロンにつきましては、適用範囲内での最大条件によるPHIは7日に設定さ れておりますが、試験がなされております4.0 %水和剤ではなく、3.9 %水和剤の適用 範囲では、このPHIが1日となっており、またメロンにつきましては、いずれの作物 残留試験成績でも検出限界以下となっておりますことから、PHIが1日のデータの参 考としております。  37ページの「8.ADIの評価」にまいります。  フェンアミドンのADIは、先ほど御説明申し上げたとおり、食品安全委員会の評価 のとおりでございます。  38ページ「9.諸外国における使用状況」といたしましては、コーデックス、アメリ カ、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査いたしました結 果、米国において残留基準が設定されております。  それでは、最後に基準値案の説明に移らせていただきます。  まず規制の対象となりますのは、米国の基準も参考にいたしまして、農産物ではフェ ンアミドンの本体、畜産物ではフェンアミドン及び代謝物D、代謝物Dはこちらに構造 式を載せておりますが、5−メチル−5−フェニルイミダゾリジン−2,4−ジオンと いう名前です。  この代謝物Dにつきましては、申請者からの説明によりますと、米国で行われました 羊やヤギを用いた試験で、乳汁及び肝臓・腎臓における放射成分として、代謝物Dが主 たる放射性成分として認められたということに起因しているということであります。  基準値案の表は41ページの方に記載してございます。  この表に記載がございますフェンアミドン本体の作物残留試験成績を用いまして、ま た、米国の基準も参考といたしまして、今回基準値案を設定してございます。  38ページに戻っていただきまして、「暴露評価」の説明をさせていただこうと思いま す。少々わかりにくくて恐縮でございますが、本薬につきましては、2通りの暴露評価 を行っております。  まず(i)で示しました1つ目でございますが、基準値案に示しました値を用いまし て、TMDIの試算を行いました。その結果、本薬の1日当たりに摂取する量、推定平 均一日接種量、TMDIのADIに対する比率は、国民平均が14.9%、幼小児が24.6 %、妊婦が13.1%、高齢者が11.7%という結果になっております。  一方、39ページの(ii)で示しました2つ目でございますが、食品安全委員会が暴露 評価対象物質をフェンアミドン及び代謝物Gと設定していることから、両者の作物残留 試験に基づきまして、こちらはEDIの試算を行いました。  この試算の例といたしまして、40ページに表を載せております。この2通り目の試算 の結果は、39ページの表に示してございますが、本薬の1日当たりの摂取する量、ED Iに対する比率は、国民平均が13.3%、幼小児が21.6%、妊婦が12.3%、高齢者が10.3 %という結果になっております。  この代謝物Gを含めて計算いたしました(A)の結果と、この評価結果のADI比を (i)のTMDI試算と比べていただきますと、(i)の方は値が大きくなっておりま すが、参考までに、代謝物Gを含まず、親化合物のみの作物残留試験成績を用いてED I試算を行ったところ、ADIに対する比率は幼小児で21.5%となっていることを補足 させていただきます。  また、今回基準値案の方で加工食品の基準として、トマトピューレーとトマトペース トというものが提案されておりますが、こちらの食品の審議につきましては、農林水産 省のJAS規格に記載のとおりとする予定でございます。  最後に補足的な説明でございますけれども、本剤は平成16年8月に公表しました、い わゆる暫定基準第2次案に含まれておりますが、今般、農薬取締法に基づく新規の申請 によりまして、残留基準を設定いたしますため、暫定基準案から削除することとしてお ります。 以上がフェンアミドンに関する資料1の説明でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。それでは、この報告(案)につきまして、御質問・御意見 などがございますでしょうか。 ○井上(達)委員 特にないようですので、小さな字句上のことですけれども、コメン トを申し上げます。  これは食品安全委員会の方からの文書ですから、訂正云々ということにはならないん だろうと思いますが、20ページの「(3)80週間発がん性試験(マウス)」の結論の2 行の1つ前の「投与による影響ではないと考えられる」というところですけれども、肝 腫瘍の発生が認められなかったことから、1用量上の用量で認められなかったことか ら、投与による影響ではないと考えられるという結論にしているんですけれども、これ は小さなことですけれども、認められなかったことから、投与による影響とは考えられ とか、影響ではないということが考えられるのではなくて、影響であると言えないとい うことです。  あとは19ページの「11.」(1)の下から2行目の「充填赤血球数」というのが、テ クニカルタームとして我々使わない言葉なので、何を意味してお使いになったのか、確 かめて字句上の訂正をしておいていただきたい。  あと、血球に対する影響が少しあるんですけれども、動物を越えて変化が見られるん ですけれども、原因はわからないようで、ADIに関係する問題でもないので、構わな いと思いましたけれども、ちょっと気になりました。  以上です。 ○事務局  今いただきました点は食品安全委員会事務局で確認したいと思います。 ○豊田部会長  ということにさせていただきたいと思います。そのほかございませんか。 ○大野委員  食品安全委員会の報告なんですけれども、文章上ちょっと気になることがありまし て、ケアレスミスだと思うんですけれども、「総合評価」25ページの第1パラグラフの 「ラットを用いた体内運命試験が」というところの7行目のところに、「これは標識位 置により生成する代謝物が異なることによると考えられる」というところ、標識位置に より検出できる代謝物が異なるというふうに、どうせ食品安全委員会にコメントするん だったら、それもちょっと言っておいていただければと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございます。そのほかございませんでしょうか。  この中で多少気になるところと言えば、41ページの先ほどの御説明の中にもあったか と思いますけれども、ブドウのところです。「作物残留試験成績」と書いてございます けれども、先ほどのサンプルの形になっていくということで、外国の基準値とございま すけれども、そこら辺のところは1ppm と書いてございますけれども、現在登録申請中 ということで、先ほどの我々の方の方法のとおりに従うと、1ということになるという ことで提案されていると考えられるということですが、外国基準値よりは高く設定して あるということでございます。  先ほどの御説明に多少ございましたけれども、データが、36ページの下のところに御 説明してありましたように、試験条件が異なっているということでございますので、も し、ここら辺のところ、サンプルのブドウのところ、施設のところに、これは250 、300 でやってございますけれども、200 でやれば違う可能性はあると考えられる。 ここら 辺のところで特に御意見ございますでしょうか。 ○米谷委員 本文とは全く関係ないんで申し訳ないんですけれども、資料1の33ページ の右下に使用方法のところがございまして、フェンアミドンを含む農薬の総使用回数は 3回以内ということが書いてあります。この総使用回数につきましては、昨日農林水産 省の農業資材審議会の農薬分科会がございまして、出席されている委員の先生、あるい は関係者もおられると思いますけれども、種子を殺菌した場合は、それを使用回数に入 れるということで、今後種子の殺菌等に使う農薬については、総使用回数何回、種子何 回、成長期何回、そういうふうな書きぶりに変えるということでしたので、今後総使用 回数という言葉では特定の農薬については、今後は成長期何回かを入れておかないとい けないものが出てくるかもしれないということでございます。  当然、作残試験のときに、その使った種子が、それで殺菌してあるかしてないかを明 らかにして、作残試験のデータを書いておかないといけないんじゃないかと思います。 そういうことが昨日の委員会で出ておりましたという御報告でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。その辺のところも、厚生労働省としても考慮していくとい うことになるかと思います。よろしくお願いしたいと思います。 ○加藤委員 先ほど豊田先生の方からお話があったことに関連して、私の方からも、せ っかく農林水産省の方がおいでになっているので、できればお伺いしたいと思っており ます点がございますので、お願いしたいと思います。  この残留量のデータを見るときに、基準値を決めるときに、あるいはベースになるの は使用基準と実際にどういう作残が、それに合致したものがやられているか。その中か ら最大残留量を算定して、そこから基準値を決めていくということになると思うんで す。ですから、一番重要なのは作残の試験設定と、使用方法、使用基準がどう一致して いるかという点だと思うんですが、その辺りについて農林水産省で勿論使用基準を決め ておられるわけで、その際に当然残留データも持っておられると思うんですが、その間 でのギャップ、本来の意味での食い違いですね。その辺りの農林水産省として審査され ている段階での考え方というのはどういうものになっているのか。それについてお教え いただきたい。 ○農林水産省消費・安全局  農林水産省でございます。こういう液体の農薬と言いますのは、植物の大きさでどう しても散布量が変わってしまうというところがありますので、ある程度の一般的な目安 として、10a当たり300 Lということにはなるんですけれども、繰り返しになりますけ れども、植物体の大きさによって若干の変更は出るということもありますので、これが 逆に低い方、量の少ない方で残留試験をされていて、GAPの量の多い方を見てくれと いうのは、問題があるのかと思いますけれども、若干多目に決まったという範囲内であ れば、問題ないということになりますので、大丈夫かなと思っております。  あとは農薬の登録の開発に当たって、作残データ以外にも薬効・薬害試験とか、そう いうものも必要になってくるわけですけれども、その将来的な開発を見込んで、べと病 以外の何か違う病気の適用拡大を考えていくという場合に、どうしても散布量が多くな いと効果が安定しないといったこともありますので、その辺も考えながらメーカーの方 では作残試験を実施しているものと思っております。 ○豊田部会長  よろしゅうございますか。 ○加藤委員 全体論としてはわかりますが、現実にがちがちに適用して、要適か、前回 も申し上げたように、天候の問題とか、今もお話で開発の途上でいろいろ開発いただか なければならないということはわかるんですが、低くなってはいけない。高くなっても いけないというのは、データが低い方がいいという人もあるが、まずいというお話だっ たんですけれども、反対に余りに高くなり過ぎるような場合、ひょっとしたら2倍くら いの数字になっているんじゃないかと想定されるようなものも現になっているんじゃな いかと思うんですが、日にちの関係ですね。  そういうふうに、実際の適用基準から見て高くなってしまうような設定になっている 場合、これも部会として反対に高い数値をベースにして、高い残留基準をつくらなけれ ばだめだと、そちらの方の問題もあると思うんで、その両方を勘案した格好で開発され る側は大変だろうと思うんですけれども、できるだけ合致した内容でできるように指導 していただければと思うんです。 ○農林水産省消費・安全局  加藤委員の御意見、心に止めて、総合的に判断して、余り懸け離れた作残データで基 準の設定をお願いするということはできる限りないように努めていきたいと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。今のところは、ブドウの場合、これを見たとしても、先ほ どの推定摂取量のところを見ていただきたいと思いますけれども、20%以下となってお りますので、特にそれについては余りないと思います。  ほかに何かございますでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○豊田部会長  それでは、特に御意見がないようでしたらば、本報告案をもちまして、当部会報告と いうことにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。特に異議ないとい うことですので、ありがとうございます。  それでは本報告案をもちまして、当部会の報告書としたいと思います。事務局から今 後の手続につきまして、御説明をお願いいたします。 ○事務局  本件につきましては、今後WTO通報、並びにパブリック・コメントを求めますとと もに、併せて食品衛生分科会に諮らせていただく予定となっております。 ○豊田部会長  それでは、続きまして、2番目の農薬プロヒドロジャスモンにつきまして、資料2に 基づいて、事務局から御説明をお願いします。  この農薬の基準値案の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等について御検討 いただいているところでございます。  それでは、事務局からお願いします。 ○事務局  それでは、資料2−1、2−2に基づきまして、プロヒドロジャスモンについて御審 議いただきたいと思います。  まず、資料2−1の1ページからが、食品安全委員会の農薬専門調査会でとりまとめ られまして、昨年の12月9日に公表された評価書の(案)でございます。  25ページの方に移りまして、資料2−2となってございますけれども、これが本部会 の報告案でございます。  それでは、資料2−1の評価書の方の説明から申し上げます。  まず4ページをごらんいただきたいと思いますけれども、こちらに検討の経緯がござ います。  このプロヒドロジャスモンは今回適用拡大ということで、昨年の8月に農林水産省の 方から農薬の登録申請として、具体的にはブドウへの適用拡大ですけれども、その連絡 が当方の方にございまして、それを受けまして、食品安全委員会に対して残留基準の設 定に係る食品健康影響評価について要請をいたしました。  その後食品安全委員会では、先ほど申しましたとおり、12月9日に報告書の案がとり まとめられまして、今月の5日までパブリック・コメントが実施されました。  5ページの方ですけれども、こちらにこの評価の「要約」がございます。  本剤である植物ホルモンであるジャスモン酸の誘導体でありまして、植物成長調整剤 として使用されております。  食品安全委員会における評価の結論を先に申し上げますと、このページの下の方にご ざいますけれども、ラットを用いました慢性毒性/発がん性併合試験におけます無毒性 量14.4mg/Kg 体重/日を根拠といたしまして、0.14mg/Kg 体重/日と設定されました。  なお、評価に供しました試験成績の結果からは、3つ目のパラグラフにありますよう に、神経毒性、発がん性、催奇形性及び遺伝毒性への影響は認められなかったというこ とでございます。  これらの詳細については、7ページ以降にございますけれども、まずラットにおきま す動物体内運命試験から、そのページの下の方にまいりますと、植物体内運命試験とい たしまして、ブドウと水稲を対象として行われております。  9ページの方にまいりますと、土壌中、それから水中の各種運命試験が実施されてお りまして、10ページの方の「5.作物残留試験」においては、その表3にプロヒドロジ ャスモンを評価対象化合物として、国内で栽培される農産物から摂取される推定摂取量 が示されております。  続きまして、11ページ以降になりますが、そちらの方には急性毒性試験や慢性毒性試 験、発がん性試験といった各種の毒性試験の結果についての概要がまとめられておりま すけれども、それらの結果について、17ページの方に「総合評価」という形でまとめら れておりますので、そちらの方でざっと説明させていただきたいと思います。  まず、3行目のところ、ラットを用いました動物体内の運命試験におきまして、主な 排泄経路が尿中ということになっております。主要代謝物は尿・糞においては代謝物 4、5、胆汁では代謝物2が認められております。  また、水稲、ブドウを用いました植物体内運命試験の結果については、主要代謝物と して代謝物8、9、10、11ということになっております。  真ん中辺のところに記載がございますけれども、リンゴ及びブドウを用いたプロヒド ロジャスモンと代謝物11を分析対象化合物として作物残留試験が実施されましたけれど も、その試験の結果、すべて検出限界以下であったという記載がされております。  それから、食品安全委員会におきまして、各種代謝及び作物残留試験の結果から、果 実中の暴露対象化合物をプロヒドロジャスモンというふうに設定しております。  その次の、1行あけまして下の方に、各種毒性試験に間する試験の概要が記載されて おりますけれども、こちらの方については、19ページの表の方を見ていただきますとわ かりやすいかと思いますけれども、10種類の試験が行われております。いずれも発がん 性や神経毒性、催奇形性といったものは認められないという結果が得られております。  18ページ、遺伝毒性試験として、幾つかの試験が実施されましたけれども、いずれの 結果も陰性であったことから、プロヒドロジャスモンには遺伝毒性はないものと考えら れるというふうに結論づけております。  その他、代謝物につきましては、原体混合物の1つでありますPCH、それから代謝 物2の細菌を用いました復帰突然変異試験が行われておりますが、結果は陰性というこ とです。  これらの結果を踏まえまして、最終的に19ページの下に記載がございますが、先ほど 申しましたとおり、ラットの雄を用いました24か月の慢性毒性/発がん性併合試験から 得られました無毒性量を根拠として、それに安全係数100 をかけまして、本剤のADI が0.14mg/Kg 体重/日というふうに設定されました。  以上が食品安全委員会の方がまとめました食品健康影響評価でございます。  それに基づきまして、私どもの方で残留基準値の案をまとめさせていただいたものが 資料25ページからになっております。  まず、プロヒドロジャスモンの今回の申請の内容としましては、26ページの方の5に 記載がございますけれども、二重下線が引いてある部分ですけれども、ブドウに着色促 進を目的とした使用の申請がなされております。リンゴにつきましては、既に使用が認 められております。  それでは、リンゴとブドウにおける作物残留試験について見ていきたいと思いますけ れども、26ページの6をごらんいただきたいんですけれども、実際に農薬を散布した場 合、どの程度残留が認められるのかというとにつきまして、「(1)分析の概要」とい うところに記載しております分析方法によって行われた結果を、その次のページの(2 )のところの結果に記載しております。  分析の概要ですけれども、分析対象化合物はプロヒドロジャスモンとその代謝物であ ります5’−ヒドロキシジャスモン酸プロピル、5´-OH−PDJと呼ばれるもので す。  分析法の概要ですけれども、プロヒドロジャスモンはアセトン抽出、ヘキサン転溶を し、シリカゲルクロマトグラフィー等で精製した後、ガスクロマトグラフィーで定量を 行っております。  5´-OH−PDJにつきまして、プロヒドロジャスモンの方法のヘキサン転溶の後 にアセチル化の工程が加わります。  また、25ページにあります構造式を見ていただきたいのですけれども、プロヒドロジ ャスモンには4つの光学異性体が存在しておりまして、cis 体とtrans 体の混合物とな っております。このうちtrans 体同士、cis 体同士がそれぞれラセミ体となっておりま して、これらについては、分析上分離することができないことから、この分析法により まして検出されるピークが2本となりますので、それらのピーク面積の合計値を用いま して、プロヒドロジャスモンの値としております。  代謝物の定量についても同様に行われております。  この方法を用いまして、作物残留について分析した結果を(2)の方に示しておりま すけれども、そちらの方で最大残留量についてまとめたものが表2にございます。  基本的に先ほどの資料1の説明にもあったと思いますけれども、下線が引いてある回 数及び経過日数が最大の残留量ということになりますけれども、今回ここに記載がされ ておりますとおりブドウにつきましては、使用方法として申請されております内容であ ります使用回数1回に対しまして、3回本剤を使用した場合の結果、つまり使用範囲外 において得られた値が記載されておりますけれども、結果としては検出限界以下でござ いました。 28ページの方にまいりますけれども、ADIの評価については、先ほどの 安全委員会の評価書のところで説明を申し上げたとおりでございます。  「8.諸外国における使用状況」ですけれども、こちらはコーデックス、米国、カナ ダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、いずれの国に おきましても、残留基準は設定されておりませんで、本剤の使用も認められておりませ ん。  「9.基準値案」ですけれども、今回の規制の対象といたしましては、食品安全委員 会における暴露評価を踏まえまして、プロヒドロジャスモンといたします。  「(2)基準値案」についてですけれども、こちらは30ページの方に記載してありま す。いずれもリンゴ、ブドウに0.05ppm という基準値案を設定しております。  28ページに戻りまして、「(3)暴露評価」ですが、この暴露評価はこれまでと同じ ようにADI比算出について、摂取量は参考資料1としてお配りしております国民栄養 調査の結果から得られた資料を基にしておりますけれども、試算の詳細については、29 ページの方をごらんいただきたいと思います。  ここに国民平均の摂取量を用いた試算について例として挙げておりますが、推定摂取 量としましてA×B、すなわち基準値案にリンゴ、またはブドウ摂取量をそれぞれかけ 合わせて得られるプロヒドロジャスモンの摂取量を合計いたしますと、2.055 μgとな りまして、これをADI比で表わしますと、0.03という結果になります。  同様の方法で計算いたしまして、ADI比を算出いたしますと、28ページの下にあり ますが、小数点1けたしか記載がないですけれども、国民平均、幼小児、高齢者につい ては0.0 、妊婦が0.1 ということになっております。  結論といたしましては、ADIの範囲に収まっていることになります。  今の説明のところで訂正になるんですけれども、妊婦のところで0.1 と申し上げまし たが、こちらの記載ミスで幼小児が0.1で妊婦は0.0 ということです。申し訳ございま せん。 29ページの(4)にまいりますけれども、今年の8月に公表いたしました暫定 基準第2次案の中には、このプロヒドロジャスモンについて記載しておりますけれど も、今般農薬取締法に基づく登録の適用拡大申請によりまして、残留基準を設定するた め、暫定基準の案からは削除することとしております。  以上がプロヒドロジャスモンに間する資料の説明でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。それでは、この報告案につきまして、御質問、御意見ござ いますでしょうか。 ○小沢委員 安全性については、暴露量も極めて低いということでは気にすることはな いと私は思うんですが、用途のところで植物成長調整剤と書かれていて、用途の拡大と いうことで早生リンゴやブドウ(巨峰)と書いてありますが、着色促進ということを目 的としている。一般的に消費者が農薬というものを理解するときに、例えば殺菌だとか 殺虫というのは、用途としてはそれは仕方ないでしょうというのがあるんですが、早生 リンゴの着色促進とか、ブドウの着色促進というのは一体どういう場合にそういうこと が必然なのかということが非常に理解しにくくて、要するに、日本でつくる農作物の付 加価値を上げるために、例えば見ている限りでは、巨峰なども美しい紫色をしていると 思いますし、早生リンゴだって早生リンゴらしい色をして売られていると思うんです が、そういう意味で安全性というのは、確かに安全委員会が判断なさることだと思いま すし、ADIもお決めになると思うんですが、ここがマネージメントの場だとすると、 要するに、農薬を開発されるお立場からすれば、いいものができたと。今後、いろんな 用途に拡大できるかもしれないという可能性を追求されるお立場があるかと思うんです が、ここでどういう付加価値、つまり生産物に付加価値を加えるために使うというよう に見える農薬に対してどういう判断をしていくのかというのが、ここで非常に議論しに くいかとは思うんですか、そういったものに対するここでの考え方の方向性をどうする のかということが非常に気にかかります。 コーデックスでもアメリカでも、とにかく 諸外国は全然そういうことについて今のところは使用も認められていない。その辺の価 値判断の在り方というのは、特に日本の農業の在り方みたいなことと恐らく結び付いて いるんだと思うんですが、そういうことをお話ししておきたいと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ただいまのは細かい部分というよりは、むしろ農薬として の使用の話でございますけれども、これは先ほどの28ページの8.に諸外国のが書いて ございますけれども、ここのところとも関連していると思いますけれども、もしよろし ければ農林水産省の方から、諸外国では、今、お話にありますような面でのということ はどういうふうにされているのか。全くそういう考えではやっていないのかどうかとい うお話がもし聞ければお願いします。  要するに、こういった薬剤で、ほかの薬剤等で諸外国においてそういった使用をして いるのかどうか。もし何か情報があればお願いしたいと思います。 ○農林水産省消費・安全局  申し訳ございません。余り詳しく知らないところであれなんですが、いわゆる植物成 長調整剤というのは何も日本だけではなくて、諸外国でも使われていると思います。そ の中で着色促進というのがあるだろうかと言うと、今、私たちは情報を持ち得ていませ んので、わからないんですけれども、農薬取締法上、こういう植物成長調整剤も農薬で あるということで定義してありますので、申請があれば、安全であればそれを登録をす るという立場にありますので、あとは消費者の方がきれいに色が付いたものじゃなくて も、後ろの方は少し白いとか、やわらかさが偏っているとか、そういうものでも我慢し ていただけるということであれば多分農家の方も場合によっては使用しないかもしれな いんですけれども、そういうものを消費者の方が望んでいるということになると、生産 者としてできるだけ付加価値の高い製品をつくらなければいけないということになろう かと思います。お答えになっているかわからないんですけれども。 ○豊田部会長  わかりました。ありがとうございました。要するに、こういった薬剤というものは、 農薬として、植物成長調整剤の中に入っている1つのものとして考えざるを得ないとい うことでございます。  最近の新しい有用性などの話などから言うと、私の個人的な見解では、色の付いた方 がいいのかなということもございます。今のは個人的な考えです。  ほかにございますでしょうか。 ○米谷委員 30ページの基準値のところの注)のところに、「基準値案は、作物残留試 験結果のほか、想定される暴露量が著しく小さいことから、分析の効率性を鑑み設定し た」とありますけれども、これについて御説明させていただきます。 今回の薬剤につ きましては、0.1 ppmという国内登録保留基準がございますけれども、作残データから 適当な値があればそちらの方に変更可ということで、今回、メーカー提出の検出限界、 26ページの一番下に書いてございますけれども、検出限界がメーカー提出資料で0.001 ppmですので、今回の基準値として0.001ppmはいかがかという御質問をいただきまして、 それについて検討させていただきました。  まず、最初に御説明させていただきたいのは、検出限界0.001ppmというものでござい ます。これは環境省の登録保留基準をつくる際の分析法検討会で私が座長をしている平 成15年にあがってきましたけれども、そのときにも同じ分析法と検出限界が0.001 とい うふうに提出されております。  そこに提出されましたデータを見ますと、0.001 だと少し厳しいということで、0.005 というふうに検出限界を決めさせていただきまして、この数値はその検討会の議事要旨 にもきちんと載っております。  今回のように、ADIがある程度高いもので残留がない場合、どういうふうに基準値 を設定するかということでございますけれども、今回は残留がないということで、作残 データそのものからというよりも、分析法を考えて、それも個別試験法を採用する必要 はないだろうということで、一斉分析法、ポジティブリスト制の方で、我々の方から提 案させていただきました一斉分析法に載せる場合の観点から検討させていただきまし た。  このメーカー提出資料の分析方法と、それから今回提案しておりますポジティブリス ト制の一斉分析法の濃縮係数を比較しますと、個別試験法の方が5倍高いということで ございます。  最初20gから出発して、この個別試験法ですと2mlにもっていくんですが、我々が提 案しております方法も最初は20gですが、100ml にして、そのうちの20mlを取って、最 後2mlにするということで、5倍濃縮倍数が低くなっております。そこで5倍しないと いけないということで、今回の方法の検出限界が0.005 ですけれども、それを5倍しま して、最終的に0.025 という数字になりますけれども、前処理のことを考えますと、 0.05が妥当じゃないかということで、今回こういうような基準値を提案させていただい たのでございます。  これに限らず、今後ADIがある程度の大きな値であって、作残データがNDであっ た場合に、一般的にどういうふうに基準値を設定したらいいのかということも、今後の 検討課題ではあると思っております。  以上でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ただいま基準値の案が0.05になっているという、その説明 を詳細に米谷委員の方からございました。  要するに、個別では0.001 というのは可能であろうけれども、今後ポジティブリスト 制の方に移行いたしますと、一斉分析法を取らなければいけないということで、今回の 剤につきましては、0.05としているところでございます。 ○中垣基準審査課長  先ほど小沢委員から御指摘のあった点は、この種の農薬の根本的な問題なんだろうと 思います。また、農林水産省からの回答の一部に、消費者が望む、望まないという話が ございましたが、そういう議論をしていくと、これは非常に果てしなく議論が続いてい くんだろうと思います。  したがいまして、小沢委員の問題提起を引き続き考えていく上でも、外国においてど のような取り扱いを受けているのか。ここに書いてありますのは、このプロヒドロジャ スモンという個別のものについて承認がされていない。これは国内のメーカーが開発し たものでございますから、そういう事情も当然背景にあるんだろうと思います。小沢委 員の御指摘というのは、分類と申しますか、こういうものを目的とした農薬の使用につ いての御発議だと考えておりますので、とりあえずそれを考える上でも外国でどのよう な取り扱いになっているのかというのを次回にでも提出させていただいて、引き続きこ の問題については御議論いただくということではどうだろうかと考えております。  勿論、外国と言いまして、我々が調べられますのは、アメリカ、EUだと思いますか ら、アメリカ、EUと日本と比較したような整理表を出させていただいて、引き続きま た議論をいただく、これはこれでよろしければ通させていただきたいというふうに考え ております。 ○豊田部会長  ただいま課長の方から先ほどの件につきまして、御提案がございましたけれども、私 も先ほど言い忘れてしまったんですけれども、御検討いただくということでよろしいと 思いますので、よろしくお願いいたします。  そのほかございますでしょうか。 ○大野委員 つまらないことなんですけれども、26ページの一番上で「適用病害虫の範 囲及び使用方法」と書いてありますけれども、これはここに書かなくちゃいけないんで すか。着色促進だったら、適用の範囲でいいんじゃないかと思います。  次の行も適用病害虫というのも、「病害虫」を取ってもいいんじゃないかと思いま す。  27ページの「希釈液を計1回」というのは、1回なんだから「計」は要らないです ね。つまらないことですけれども。 ○豊田部会長  貴重な御指摘ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。  それでは、特に御意見がないようでしたら、一部修正の上、本報告案をもちまして、 当部会の報告ということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございましょう か。 特にございませんようですので、それでは、事務局から今後の手続について御説 明をお願いいたします。 ○事務局  本件につきましては、食品安全委員会から正式な通知を受けた上で、食品衛生上の修 正が必要でなければ、本報告案を一部修正した上で部会報告書といたしまして、WTO 通報及びパブリック・コメントを求めるとともに、食品衛生分科会に諮る予定としてお ります。 ○豊田部会長  それでは、よろしくお願いいたしたいと思います。  それでは、議題2「食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制の導入について 」。昨年8月20日から暫定基準、第2次案等に対する御意見を求めてきましたところで ございますけれども、事務局で整理が終わったとのことですので、御報告の方をお願い いたします。 ○事務局  委員の先生方にはお手元にございます大きな冊子、3−1と書かれておる資料と、そ れの追補版、一部印刷から漏れておりますもの、これが3−1になりますが、それが寄 せられた資料を複写をいたしましたものになります。  それの中から主な意見を事務局の方でまとめました。まだ未定稿ですけれども、まと めたものが資料3−2になります。資料の方、簡単に説明を進めていきたいと思いま す。  今回は意見の提出がございましたのは、合計で141 の個人と団体でございます。意見 の数というのは、前回1,200 と申し上げていたんですが、今回のものは幾つかまだ数え ておりません。前回は意見を提出なさった個人・団体は226 でございました。  資料3−1の方につきましては、住所、連絡先などをマスクした上で、複写をしてご ざいます。この部分なんですが、事務局の受付、資料3−1、追補版というものになっ ておりますが、資料3−1の目次を開けていただきますと、一部に欠番がございました り、重複があって欠番にするというような旨が書いてございます。これは単に事務局へ ファクシミリで送られてきたり、郵送で二重に送られてきたりするような場合がござい ましたので、そういう重複があったりしたものを作業的にやっておりました中で、一 部、ごちゃごちゃになったもの。  それから、追補版の方はそのような作業の中で欠落した部分が若干ございまして、追 補版として本日改めて追加をさせていただいております。  この資料3−1につきましては、委員限りの配布でございますけれども、厚生労働省 の行政相談室、厚生労働省のビルの2階にございますけれども、そちらで公表いたしま して、閲覧が可能ということにしております。本日から閲覧をしていただける状況にな っております。  それから、資料3−2の方でございますが、これは主な論点などを紹介しているもの になります。これとは別に、今後、個別の暫定基準に対する意見など、かなりテクニカ ルな部分がございますので、これについても同様にとりまとめまして、次回の部会では それぞれについて、主な意見に対する回答、それから個別の基準に対する回答の案のよ うなものを事前に先生方にもお送りをいたしまして、議論を進めていければと考えてお ります。  3−2の方の説明にいきたいと思います。資料3−2の1ページ目をごらんいただけ ればと思います。第2次案、それから一律基準の考え方、対象外物質の考え方につい て、意見の募集を8月20日から11月の末まで行っております。寄せられた意見を、一応 そこの3.にございます分類番号、総括的な意見、一般規則に対する意見、不検出の取 り扱いに対する意見、これは一次案と同じようにこういうような分類でしております。  3ページを見ていただきますと、左側、カラムが1番、番号何番というのがあって、 その次の分類というのは、今申し上げましたどの事項に対するものであるのか。おおま かに私どもが読んで分類をしてございます。意見をサマライズしたものが途中にござい まして、意見の提出者、一番右側のカラムに文書番号がございますが、これは資料3− 1の目次に付いておる番号ということになります。  かいつまんで資料3−2を御紹介いたしますが、まず3ページを開けていただければ と思いますが、最初の辺りでは総括的な意見として、いわゆるリスクコミュニケーショ ンと言いますか、このポジティブリスト制の理解の促進と言いますか、そういう観点で の御意見というのが前半の方にございます。1番から6番くらいまでそのような意見が ございます。  それから、基準の適用についてが4番〜6番辺りに意見として出ております。  それから、4ページ目の方にまいりますと、これも意見の多いものでございますが、 総括意見の中で12番辺りから18番の辺りまでに入ろうかと思いますが、作物の分類、こ こでは香辛料のようなお話、それから陳皮と呼ばれるようなミカンの皮のようなお話、 それから塩だとかその他の野菜のような部門について、どういう規制になるのかを明確 にしてほしいというのがございます。  その後、それぞれ天然物のような話が出ておりまして、5ページの下の方からは、動 物用医薬品の取り扱いについて幾つかまとまった意見が来ておりますが、1つは、いわ ゆるマイナー臓器と申しますか、主要な筋肉とか肝臓以外の臓器に関する取り扱いの意 見。  それから、6ページの上の方、30番ですが、これはマイナー動物、牛とか豚以外の主 要な動物ではない食用の動物についての取り扱いのような意見が来ております。  それと、同じく6ページの下の方、34番では、これはアメリカのEPAが行っている 緊急条項、セクション18と呼ばれている、このものの採用を要請しているもの。これは 特に海外が中心ですが、こういう要請が出ております。  7ページ、この辺りから暫定基準の設定の方法でございますが、どの辺りまでの基準 を設定してほしいというような点でございますが、コーデックスの検討状況の問題。そ れから平均値の取り扱いの問題などについて出ております。  例えば39番、40番のようなところでは、国内での適正使用に基づいたものについての 採用ということが意見として出ておるものがございます。  それから、その下42番、43番、44番、45番というものについては、国内で登録されて いない農薬、適用のない作物について、単に海外の使用状況とかの情報がないものにつ いて基準を設定するべきではないのではないかというようなコメントもいただいており ます。 そのほか、暫定基準に関しましては、8ページの下の辺りから、これも54番辺 りから、9ページの55番〜57番辺りもそうだと思いますが、加工食品への基準の適用の 仕方について、より詳細を定めるというか、明確にするべきという意見が出ておりま す。  それに関連したものがそれ以下にも同様なものが出てございます。  10ページにまいりまして、この辺りもそうですけれども、加工食品への対応が前段の 方にございます。その下からが、分類の7というふうになっていますが、これが一律基 準の考え方に対して寄せられた意見であります。  ADIの設定されている農薬については、取り扱いを別にするべきであるとか、動物 用医薬品・農薬などを別にするべきであるとか、そのような意見が出されております。 新規開発農薬とか、国内で未登録の農薬について、その一律基準を適用するべきだとい うのがございます。  11ページの方へまいりますと、更に同様のコメントもありますが、分析法でカバーで き得るようなものの設定するべきだとか、そういうような観点での一律基準に対する意 見というものが出ております。  それから一律基準につきましては、次の12ページにまいりますと、実際の利用、使用 状況などに関して、いわゆるドリフトの汚染のようなものでの考慮というか、そういう ものの検討、それから海に流れ出たとか、環境由来のものの取り扱いなどについての意 見が出されておるというところもございます。  12ページの一番下、92番からは対象外物質についてですが、その考え方を明確にして ほしい。もしくはその対象外物質の詳細なリストをつくってほしいというような意見が 出てまいっております。  今回、未定稿として資料3−1の方から、私ども事務局の方として資料を選んでおり ますが、今後、これらのベースについて、この部会で検討していただくということにな ると思います。  進め方については、このようなものについて回答案を私どもの方が作成をして、次回 の部会に諮るというのが御提案の1つでございまして、もう一つが、個別の基準の検討 に当たりましては、一部共通代謝物の取り扱いなどの意見も出ておりまして、前回、個 別の基準に対しての意見につきましては、ワーキンググループをつくりまして、前回は 加藤先生と大野先生、米谷先生のお三方でワーキンググループというのがございました が、ワーキンググループを開催するかどうかというのはともかくといたしまして、これ らの先生方に個別に相談をしながら、回答案の作成のような作業を進めさせていただけ ればと思います。これが2つ目の提案でございます。  3−2の方は、これ自身事務局の方でとりまとめたものでございますから、審議の範 囲と言いますか、審議の内容というのは当然これに限る必要はございませんので、3番 目の提案といたしましては、どういう事項についても審議をするべきだという点があれ ば、その部分についても是非、今日の部会に限らずお知らせをいただけたらという点で ございます。  以上、簡単ではございますが、第2次案に寄せられた意見の結果のとりまとめと、そ れからその概要について御説明を申し上げました。 ○豊田部会長  ありがとうございました。  ただいま事務局の方から御報告がありました、寄せられた御意見に基づいて暫定基準 案等につきまして、審議を進めたいと思いますけれども、まず最初に事務局の方から御 説明がございました今後の審議の進め方についてでございますけれども、最初に御提案 があったのは次回、回答案作成の上、部会で御提案したいということだと思います。  それから、前回も御足労をお願いしたんですけれども、ワーキンググループの先生方 には、再度よろしくお願いしたいということだったと思いますので、このようなことに つきまして、何か御意見ありますでしょうか。  特に前回も経験してございますので、余りないと思いますけれども、特段御意見がな ければ事務局でまとめました資料について、先ほどの3つ目の御提案にございましたけ れども、そのほかのことについて何か追加すべき事項、それから個別の事項につきまし て、何か御意見があればお願いしたいということがございましたらどうぞ。 ○小沢委員 いただいたパブリック・コメントの分厚いのも、かなり一生懸命読ませて いただいて、分類すると、ここのまとめられたものの分類にはなろうかと思います。実 際、現実にはこういうことがあるんだよということがいろんな事業者の方からたくさん 出ていて、技術的にというか、テクニカルに分けられて整理していくというものはそれ はそれでお返しの仕方はあると思うんですが、やはり全体を見させていただいて、一番 難しいなと思いましたのは、この分類で言えば7番に当たり一律基準のところの考え方 で、パブリック・コメントの中でもこの間、ずっとこの部会の議論の中でも分析法の観 点であったり、人の健康を損なう恐れのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審 議会の意見を聞いて定める量ということで、議論する上でもかなりここでも苦労をして いるという経過があるわけですが、そういうことだけでいいのかという御指摘も、この パブリック・コメントの中には出されていて、この期間の経過の中では考え方を食品安 全委員会に諮問するということも出されていましたが、次回、事務局が回答案としてお まめになる上で一律基準というものについて、どういうふうなスタンスでお答えになる 御予定と聞いてしまうといけないんですが、前回、一番最後にヨーロッパでの進められ 方、ドイツなどの調査の報告もいただくと、方向性としてはかなりきっちりそういう方 向、0.01ということも出ていましたし、そういう方向でやっていこうということは、ヨ ーロッパではそうだということもあるので、ここでどういう方向性を持っていくのかと いうこともありますし、そもそもポジティブリストを策定するということに関わる目的 との関わりも随分出てくるという問題ですが、スタンスについて、もし、こんなという ことがあればお教え願いたいと思います。 ○中垣基準審査課長  なかなか難しい御質問、御意見だろうと考えています。一律基準につきましては、安 全委員会の意見を聞く、また審議会の御意見を聞くという2つが法律の中で規定されて おります。暫定基準などと一緒にポシティブリスト全体を議論していただくということ で、この部会においてこれまで御議論いただいて、8月に公表した考え方というのをま とめさせていただいたというのが現状だろうと思います。  あの考え方というのは、法的に一般に安全と考えられるという安全面からの議論がさ れて規定されておりますので、そういう方向から書かれ、あるいはまとめていただいた ものだと考えております。  勿論、リスク管理の観点から、管理としての立場というのも最終的には反映した上で 議論が進んでいくんだろうとは考えておりますが、今後の手続から申し上げますと、一 律基準については、法律の本旨にのっとり、また、これまでのいろんな基準を整備する 上での手続にものっとり、安全委員会での御議論をまず、この部会でまとめていただい た8月に公表した基本的な考え方をお示しし、それに伴う資料もお付けした上で、安全 委員会での御議論を願うのが1つの筋道かなと考えておるところでございます。 ○豊田部会長  ただいまの安全委員会の方へという話もございますけれども、予定としてはいつごろ と考えておられますか。教えていただければと思います。 ○中垣基準審査課長  安全委員会側の御予定もございますので、そこは事務的に調整が必要だと考えており ますが、本年の11月には告示をしたい。すなわち6か月くらいの周知期間を置きたいと まず基本を置いております。  11月に告示するためには、その前にWTO通報などの手続が必要となりますので、ま た、暫定基準だけでもこれだけのボリューム、2冊になるわけでございますから、これ を告示するだけでも大変な事務手数がかかるわけでございます。  そういう点から申し上げますと、春、3月から5月までが普通春だと言われているん だろうと思いますが、春にはWTO通報等の事務手続に入ることが必要なんだろうと考 えております。  そういう点から申し上げますと、安全委員会に御審議をお願いするにしても、余り時 間はなく、早々に安全委員会事務局とのお話を進めさせていただこうと考えておる次第 でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。そのほかに委員の方から何かございますか。また、安全委 員会の回答案が出てきた段階で、いろいろな議論をしなければいけなくなると思いま す。  特に意見ございませんでしょうか。  それでは、本日の部会での審議はここまでとしたいと思います。各委員の意見を踏ま え、事務局で作業を進め、次回部会では資料2の回答部分と、個別の基準に対する意見 について審議を行っていきたいと思います。  議題3に「その他」とございます。事務局から連絡事項等あればお願いいたします。 ○中垣基準審査課長  1点、御報告と御礼を申し上げたいと思います。  この部会が属します薬事・食品衛生審議会につきましては、委員の改選が今月末に予 定されております。この改選によって、この部会におきましても、委員の変更などがあ るものと考えております。  特にこれまでこの部会に積極的に御参加いただきました、また長く御活躍いただきま した岡田委員におかれましては、今期をもって委員から退かれるということとなってお ります。ここで改めて先生のこれまでの御指導に感謝を申し上げたいと思います。  また、諸先生方におかれましては、引き続き御指導賜るものだと考えておりますけれ ども、改選を待って部会長の選出から、またやり直すと申しますか、手続は手続とし て、引き続き御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。 ○事務局  次回の部会でございますが、2月に開催する方向で、日程につきましては、個別の委 員の先生方にこちらから御照会をして設定をさせていただきたいと思います。報告事項 は以上でございます。 ○豊田部会長  どうも岡田委員、ありがとうございました。  それでは、以上をもちまして、本日の部会は終了いたします。ありがとうございまし た。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課 (03−5253−1111 内線2487,2489)