05/01/14 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成17年1月14日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年1月14日(金) 15:00〜   経済産業省別館第1020会議室 2.出席委員(13名)五十音順   井 上 和 秀、 岩  崎   学、 金  井   淳、 堺   秀 人、   首 藤 紘 一、 谷川原 祐 介、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、  ○長  尾   拓、 長谷川 紘 司、 早 川   浩、 樋 口 輝 彦、   村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他 参考人1名   欠席委員(3名) 小 嶋 茂 雄、 田 島 知 行、 南 部 鶴 彦 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川  原   章(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、    豊  島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂  本   純(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   國  枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それではおそろいになりましたので、薬事・食品衛生審議会の医薬品 第一部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にあ りがとうございます。当部会委員数16名のうち13名に御出席いただいておりますので、 定足数に達しております。御欠席の委員でございますけれども、小嶋委員、田島委員、 南部委員の3名でございます。それでは永井先生、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 では早速本日の審議に入らせていただきます。まず、事務局から配付資 料の確認及び資料作成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 事務局でございます。資料の確認をさせていただきます。資料1及び資料2-1 〜2-4までがあらかじめお送りさせていただいたものでございます。それから本日席上 に配付させていただいた資料としまして議事次第、座席表、本第一部会委員の名簿。ま た資料3といたしまして、「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会における取扱い、毒 薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」。それ から資料4といたしまして「ピュレゴン注75、同150 専門委員一覧」を配付させていた だいております。それから平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に 関係された委員の確認でございますけれども、本日の議題については関与委員はいらっ しゃいません。また、本日は議題1における参考人といたしまして、総合母子保健セン ター愛育病院産婦人科部長の安達先生にお越しいただくことになっております。以上で ございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは本日は審議事項が1議題、報告事項 が1議題となっております。まず、議題1について機構から概要の説明をお願いいたし ます。 ○機構 資料1、医薬品ピュレゴン注75、同150、一般名フォリトロピンベータ(遺伝子 組換え)について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤は、オランダ・オルガノン社で開発された遺伝子組換え技術の応用により製造さ れる卵胞刺激ホルモンを含有する注射液剤です。これまで本邦で承認されている同種の 医薬品はいずれもヒト尿由来の製剤であり、本剤の申請効能は取得しておらず、間脳性 無月経あるいは下垂体性無月経の排卵誘発の効能・効果を有したものです。しかし、尿 由来の製剤は原材料である尿の品質及び安定供給の問題、生体由来の不純物及び共存す る黄体形成ホルモンによる影響が指摘され、これらの問題点を解決するため遺伝子組換 え製剤への切替えが欧米を中心に行われ、現時点で本剤は海外65か国で承認されており ます。  本剤の開発において国内では第I相及び第III相臨床試験が実施され、国内第III相臨床 試験をブリッジング試験と位置づけ、ブリッジング対象試験の成績との比較に基づいて 海外で実施された他剤との比較臨床試験等を外挿する臨床データパッケージで複数卵胞 発育のための調節卵巣刺激を適応とした承認申請がなされました。なお、申請者は本申 請効能の承認を得た後に、尿由来製剤の効能・効果である排卵誘発の適応についても速 やかに承認申請を行い、早期に尿由来の既承認製剤を本剤に切り替えたいとの方針を示 しております。  本剤の審査に関しまして、専門委員として本日配付いたしました資料4に記載されて おります安達委員、池ノ上委員、大野委員、川崎委員、川西委員、菅野委員、北本委員、 佐多委員、品川委員、武谷委員、武山委員、永田委員、中村委員、早川委員、山口委員、 吉村委員、渡辺委員の17名が指名されました。  次に機構における審査の概略を説明いたします。本剤の品質について、製造工程で使 用されたトランスフェリンは米国産のウシの血液由来であり、本剤の品質及び安全性の 確保について関連通知に基づいた対応が行われ、生物由来原料基準に適合した原材料に 切り替えた製剤を輸入販売すること、切り替えた製剤の供給時期は平成17年後半を予定 しているとの方針が申請者より示されました。その他の品質、毒性、薬理及び薬物動態 については審査の過程において申請者から適切な対応がなされたことから、特に問題は ないと判断いたしました。  続きまして臨床試験成績に関して御説明いたします。本申請におけるブリッジングに よる海外臨床試験成績の外挿について、機構は、ブリッジング試験として位置づけた国 内第III相臨床試験は本剤群のみによる非盲検非対照の試験であり、本試験及びブリッジ ング対象試験の成績との比較可能性が明らかにならないことから、両試験の類似性に基 づいてブリッジングが成立したとして海外臨床試験を外挿するとの説明は了承できない と判断いたしました。しかしながら、本剤は複数卵胞発育のための調節卵巣刺激を目的 とした医薬品としては本邦で初めての開発品であり、国内第III相臨床試験は国内の医療 習慣にも適合しているとして計画・実施されたことから、本試験を中心にさらに海外で 実施された臨床試験を参考とした評価を行うことは可能であると判断いたしました。本 剤の有効性に関し、国内第III相臨床試験において体外受精・胚移植施行予定の女性を対 象に、150又は225IUの初期用量及び被験者に応じた個別の用量調整による用法・用量 で主要評価項目とした採卵数は、本剤が投与された153例で平均12.4個±9.67個であ りました。安全性に関しては、症例数は限られるものの臨床使用上大きな問題となる有 害事象の発現は見られませんでした。しかし、国内における安全性の評価には限界があ ることから、市販後において卵巣過剰刺激症候群及びその他の主要な副作用の発現率等 について、海外データとも比較可能となる調査を行うこと、さらに本剤は生殖補助医療 の領域において使用される薬剤である点を踏まえ、妊娠及び出産に関する市販後の情報 収集が必要であると判断いたしました。  また申請者より、さきに御説明した原材料を切り替えた製剤の供給に加え、本剤の販 売名をフォリスチム注75、同150に変更すること、尿由来の既承認製剤については本剤 の承認を得た後に遺伝子組換え製剤への早期切替えを行う意向であるとの方針が示され ました。  機構は、原材料を切り替えた製剤の供給にはしばらく時間を要する状況ではあります が、本剤の有効性及び安全性は提出された資料に基づいて評価されていること、切替え 時期及び手続等の事項についても申請者の方針を確認したことから、現在までの資料に 基づいて本剤を承認しても特に問題は生じないと判断いたしました。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本医 薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は毒 薬及び劇薬のいずれにも該当せず、製剤は生物由来製品に該当し、再審査期間は6年、 薬事分科会へは報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。参考人の方は…。 ○新薬審査第二部長 先ほど確認しましたら、今こちらに向かっていただいているとこ ろということでございました。 ○永井部会長 ではまた後ほどということで。それでは幾つか論点があろうかと思いま すが、ただいまの御説明に何か御質問ございますでしょうか。ブリッジングを目指した 臨床試験であるということ、それからトランスフェリンが米国産のウシ由来であるとい うことでございましたが、一応変更後に発売といいますか、米国産のウシは使わないと いうことなのですね。早めに手続をしておきたいということでしたが。いかがでしょう か。どうぞ。 ○岩崎委員 本剤の初期投与量が国内で余り検討されておらず、海外と同じということ だったと思うのですけれども、機構の審査報告書の18ページはADMEに関するところ だったのですが、その真ん中辺に初期投与量は150又は225IUということで、日本人 女性は外国人女性に比べて血清中のFSH値が高いけれども、体重で補正すると同じと 記載されております。体重で補正するというのは具体的にどういう補正をしてどのよう に一致したと確認されたのか、ちょっと御意見を伺いたいということが一つ。もう一つ は今回は見たら体重差が10kgぐらいしかないので、そう大きな差はないかなと思ったの ですけれども、その辺の情報提供に関してはどのようにお考えかということをお伺いし たいと思います。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ── 安達参考人着席 ── ○岩崎委員 基本的には海外の用量が日本人でも効果及び安全性の面において同等であ ろうと判断された根拠なのですが。 ○機構 機構より御説明させていただきます。まず体重補正等のデータについては資料 概要のヘ-44〜45ページの方で、薬物動態に関しては体重等で補正したデータを示して おります。それから個別のデータについてはヘ-31ページに「日本人女性と外国人女性 の被験者背景」のデータがございます。ここに体重のデータが出ておりまして、この表 ヘ-13で示されている個々の体重データを用いまして、資料概要の記載のとおりそれぞ れパラメータ等を補正するという形で先ほどお示ししたような評価を行っております。  二点目の体重の違いでございますが、添付文書等での情報提供の必要性についてとい う理解でよろしいでしょうか。同一投与量の日本人で血清中の値が高く、これを体重の 違いで申請者は説明しております。体重が軽い日本人での血清中濃度の情報については、 添付文書の薬物動態の欄で日本人の情報を図示して説明させていただいております。し かしながら、有害事象発現例で血清中濃度が高いという積極的な論拠は申請資料の中で 検討した限りでは必ずしも得られていないことと、血清中濃度と有害事象との関連性等 について必ずしも明確にはなっていないことから、体重に留意して例えば用法・用量を 考慮するということは現時点では特に明示しておりません。日本人の情報ということで 薬物動態の欄に示させていただきました。それから外国人の情報を参考的な位置づけで 示していることから、これらを見比べることはできると考えております。 ○岩崎委員 要するに初期投与量を日本できちんと見てはいないけれども、海外の用量 を使って日本人でもって一応安全性の観点からもよろしいであろうという御判断という ことですね。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それではこの医薬品の専門委員をお願いしました 安達知子先生においでいただいておりますけれども、どういう点が論点になったか、あ るいはこの製品についてのコメント等、何か頂けたら有り難いのですが。 ○安達参考人 遅れて参りまして申し訳ございませんでした。まず、現在この生殖補助 医療というものは不妊症治療においては大変重要な治療法でありまして、その治療にお いて排卵刺激というのが必須項目で、そういう手技を用いなければならないわけです。 従来の排卵誘発剤の適応はあくまで卵巣機能が悪い方に対して用いるということです。 ほうっておきますと実際には排卵が起きにくいという方に対して使うのが主な目的なの ですが、この生殖補助医療に関しては卵巣機能がいい方においても排卵誘発といいまし ょうか、排卵調節を行いましてたくさんの卵胞を発育させることが必要なわけです。  先ほども言いましたように、現在使われている従来の薬は卵巣機能不全の方に使うと いう目的での許可が下りているものですけれども、これらはすべてヒトの体内から、は っきり言えば女性の尿から生成したものということで、もしそれがヒトの体内から抽出 しているものでなくて作れるのであれば、それがベストであるわけです。今回申請があ りますピュレゴンに関して、まず初期投与量についてと、OHSSというのはやはり一 番大きな合併症ですので、このことについてディスカッションがなされたと思います。 初期投与量の150、225単位というのは決して多い量とは言えないと。むしろこの辺は本 人の感受性の問題もありますが、大体150から場合によっては初めから225を使う方も いらっしゃるわけで、この150、225が体重によってそれほど大きな効果の違いが出ると いうものではないというのが臨床現場の意見でございます。  OHSSに関しましても、どうしても個体の感受性というものが多くを占めておりま すが、投与に際しては当然起こる可能性があるもので、これをゼロにすることはできま せん。ですから、そういうことを踏まえながら、慎重なモニターを行いつつ薬物投与を すれば、ほとんど問題ない、現在用いている薬剤等と比べて特別発生頻度が高くなると いうものではありません。主なるものはそういったところが論点だったかと思います。 ○永井部会長 ありがとうございました。何か御質問はございますでしょうか。どうぞ。 ○谷川原委員 最初のディスカッションの続きなのですけれども、確かに今臨床的には 余り問題がないとおっしゃってはいるのですが、審査報告書の18ページに体重との絡み で「添付文書において情報提供すべきと考える」とあります。先ほどもそういう御指摘 がありまして添付文書に書いてあると回答されたのですが、添付文書は単に日本人の血 中FSHのグラフを書いているだけでして、体重との関係や欧米人との違いなどはここ では一切触れられていませんので、体重との関係を情報提供すべきと考えるという割に は情報提供はされていないような気がいたしますけれども、いかがでしょうか。 ○機構 この点について先ほど安達先生にも御説明いただきましたけれども、専門協議 で議論がございまして、やはり用法・用量は卵巣刺激のプロトコルによるというのが非 常に大きいということ、それから本邦で一般的に用いられているプロトコルでは必ずし もこの用量で多いということはないだろうとのことでした。先ほど御説明したような血 中濃度と有害事象の評価のデータも併せて、それからやはり個人ごとの卵胞の発育をチ ェックして用量を調節しながら用法・用量を決めていくという点が本剤の投与において 一番重要であるという専門委員の御指摘も頂きました。ですから、本剤の用法・用量に おいては体重を注意喚起するというよりはむしろ卵巣の反応性を十分チェックすること が最も重要であって、そのことをより重視して情報提供するという形での添付文書の記 載となっております。  有害事象の発現頻度についてはやはり国内で海外よりも多いというデータになってお りましたが、これについても専門委員の方から恐らく外国と比較して本邦では経膣超音 波検査法がかなり定着していまして、モニター頻度が高いということも影響しているの ではないかというコメントも頂きました。以上のような議論を踏まえて、やはり用法・ 用量を考慮する際に一番重要となる点を書いていき、それから体重の影響については薬 物動態のところで国内外のデータが比較可能なように情報提供をしていくということ で、現在のような添付文書の情報提供とさせていただいております。 ○谷川原委員 理由はよく分かりました。できたらこのグラフは国内外の値をプロット した方がよろしいのではないか。そういうことでしたら例えばヘ-34ページの上の図ヘ -19のEという図などの方が、わざわざそこから海外のデータだけ消してあるのですけ れども、オリジナルの図の方が加工してあるものよりはよろしいような気はいたします が。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○審査管理課長 谷川原先生が御指摘のように、審査報告書には添付文書において情報 提供すべきと書いてしまっていて、その後なぜそうなったかという今の議論の部分はご ざいませんので、そこはこの審議を反映する形で書き留めておくという形で整理させて いただきたいと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。首藤先生、どうぞ。 ○首藤委員 一つ今のことと少し関係するのですけれども、先ほど安達先生が感受性に 大きな違いがあるとおっしゃったのですが、感受性に大きな違いがあるのか、それとも 血中濃度は人によってとてもばらついているように見えるのですが、それを言っている のでしょうか。 ○安達参考人 これは非常に難しい問題なのですけれども、実際に個人、同じ人におい て同じ用量で排卵誘発を行っても、周期によって、いわゆる排卵直前の状態に達するま での投与量、あるいは投与日数等が異なることがしばしばあるのです。ですから、その ときのその方の状況やいろいろなものに左右されるのであろうということで「感受性」 という言葉を使ったのです。個人、同一人においてもそのようなことなのですけれども、 異なった人に対してはますます同じ体重と身長であっても全く違うことがあります。ホ ルモン作用はFSH、LHの血中濃度で評価するのではなくて、排卵誘発をすると当然 卵巣が刺激を受けて卵胞が発育するとともに血液中のエストロゲン濃度が上がっていく わけです。私が臨床の場でエストロゲン濃度を測っていっても、その上がり方も一致し ていないので、ホルモン作用というのはそういうものではないかと思っております。  それから先ほどの補足になりますが、150単位、225単位ということですが、日本の女 性でも300単位使うという症例も中にはあるわけです。ですから、150も225もそれほ ど高い値ではないという話は前の専門協議の段階でも出ております。 ○首藤委員 もう一つ別の質問です。効能・効果の「複数卵胞発育のための調節卵巣刺 激」という言葉を単純にそれだけ見ると、私は国語的にうまく理解できないのですが、 適当な言葉かどうかと。 ○永井部会長 これは機構の方はいかがでしょうか。 ○機構 機構より説明させていただきます。まず、先生から御指摘いただいた用語につ いてなのですけれども、専門的な教科書等の記載から定義を御説明させていただきます と、卵巣刺激というのは排卵誘発剤の投与により卵胞の発育を刺激することで、適応に より一般的な不妊治療としての無排卵女性における排卵誘発と、生殖補助医療における 調節卵巣刺激に大きくは分類されます。調節卵巣刺激というのは複数の良質な成熟卵を 採取するための方法であるということになっております。本申請効能については臨床試 験での評価に基づいて、生殖補助医療として複数卵胞発育のために用いる薬剤としての 有効性を評価いたしましたので、薬理作用を直接的には表すもの、調節卵巣刺激という 効能の設定としております。 ○永井部会長 いかがでしょうか。あるいは安達先生、何かコメントございますか。 ○安達参考人 全くそのとおりだと思います。 ○首藤委員 これで間違いなくみんな分かるということですね。 ○村勢委員 用語のことでもう一つ教えていただきたいと思っていることがあります。 この排卵誘発剤に関して臨床的に問題になるのは一つはOHSSの問題と、もう一つは 誘発されて得られた卵に関することだと思います。生理的に成熟したものでないわけで すので、それにまつわっていろいろと問題が起こらないかと。それに関しては流産や胎 児、奇形児の問題、いろいろと検討なさっているようですけれども、これを読んでおり まして問題になるのは「良質な成熟卵」という言葉が何回か使われてきているのですが、 この「良質」という言葉がどうもよく分からないのです。何をもって良質と言うのかと いうことが分かりませんので、それを教えていただきたいということです。といいます のは、確かに添付文書の中には良質な卵をたくさんとは書いていないとは思いますけれ ども、説明するときに良質と言われると、これほど良質なものがたくさん採れるならい いではないかとなりますが、成熟の面でどうなのかということ。それからこの「良質」 という言葉が意味するもの、何をもって良質と定義されているのか、それによっては過 大広告ではないですけれども、その辺の問題になるかと思います。どうもこの「良質」 だけが耳障りではないけれども、非常に際立って聞こえますので、その辺の御説明をお 願いいたします。 ○永井部会長 いかがでしょうか。では機構からお願いします。 ○機構 機構より臨床試験での評価方法等を御説明させていただきます。プロトコルで は良好排卵数というものを副次的評価項目として規定しておりまして、グレード1、2、 3、そのほかに分類をしております。グレード1と2を良好な胚とするという規定の下 に臨床試験では評価をしております。このグレードの細かい点については安達先生の方 から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○安達参考人 良好な卵といいますと普通は卵子、いわゆる卵巣から排卵してくる卵を 意味すると考えられるかと思いますが、今お話があったのは胚のことなのです。卵の質 をどう評価するかというのは実はいまだにきちんと定まっているわけではないのです。 そこで一番分かりやすい方法としては精子と受精させたときに正常に受精でき、正常に 分割していける卵と御理解いただけたらよろしいかと思います。採れた卵をそのときの 状況で見るとしますと、卵のクオリティーというのは分かりません。卵の外側に付いて いる卵丘細胞や顆粒膜細胞の広がり具合、層の大きさなどというもので見るしかないの で、実際にはその評価は今言いましたように精子と受精させたときに正常受精ができる、 そしてそれが二分割、四分割して、きれいな卵割ができる状態と考えていただければよ ろしいかと思います。当然精子が二つ入ってしまったりとか、正常受精ができない卵と いうのはあります。それからちょっと専門的になるのですが、排卵の過程でもよく見ま すと卵が分裂して第一極体と卵子と二つ見えているような形になっているのですけれど も、採卵したときにその状況にない卵は初めからそこで悪い卵となります。しかし、本 当の卵のクオリティーというのは非常に評価が難しいと思います。先ほど言いましたグ レード1、2というのは、受精卵が分割していくときに全く均等な丸い形できれいに分 割していけばそれは非常に良好なのですが、一部卵の不ぞろいがあったり、例えば4細 胞に分かれても一つの細胞が粉砕しているような状態に見えたりします。そういう胚(受 精卵)であっても着床して、少し低い確率にはなりますが、きちんと正児を得られるとい うことも分かっております。ですから、少し形が崩れているものが絶対駄目な卵とも言 い切れないというところがあるのです。したがって、取りあえずグレードというのは受 精卵が分割してきたときの形等で判断しているとお考えいただいて、5段階評価で1と 2は極めてきれいな形をしております。そのように御理解ください。 ○永井部会長 ということでよろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。よろし いでしょうか。 ○岩崎委員 初期投与量の選択に関しては現場ではこの記載で特に問題、混乱もないと いうことですか。 ○安達参考人 私のほかにも産婦人科の専門委員が2〜3名おりましたけれども、この 初期投与量で全く問題はないというのが皆の意見の一致したところでございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 この販売名は「フォリスチム」に変更予定と書いているのですが、これは 変更されると考えてよろしいでしょうか。 ○新薬審査第二部長 そのとおりでございます。書類の差し換えはこの部会後になりま すので、まだ正式な処理がされていないということで、正式に承認するときには販売名 は変更されております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは承認を可ということで薬事分科会報告と させていただきます。安達先生、どうもありがとうございました。  では次に報告事項に移らせていただきます。総合機構から御説明いただけますでしょ うか。 ○機構 続きまして報告事項の議題1、医療用医薬品の再審査結果について報告いたし ます。資料は、資料2-1の「セディール原末」、「セディール錠5」、「セディール錠 10」から資料2-4の「オノンカプセル」、「オノンドライシロップ」などまでの四つの 医薬品再審査確認等結果通知書になります。これらの品目につきましては、市販後の使 用成績調査・特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、その審査の結果、いず れの品目についても薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しない こと、これはそれぞれの書類の1枚目のところの「確認等結果」に書いてございますが、 すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項については変更の必要はないカテゴリー 1と判定したものでございます。  なお資料2-4を見ていただきますと、その関係で小児用製剤であるオノンドライシロ ップについては報告書の6ページの「2)使用成績調査について」の少し上のところに 「〈承認条件〉」と書いてございますが、承認時において投与後の血漿中濃度を見てい なかったことから、「市販後に血漿中濃度により用法・用量の妥当性を確認する臨床試 験を実施し、その結果を速やかに報告すること」という条件が付けられております。こ の再審査申請においてその結果が付けられておりまして、それについてはめくっていた だきますと7ページの一番下の「4)市販後臨床試験について」のところから詳細が書い てございまして、8ページの下の方を見ていただきますと、「血漿中未変化体濃度の立 ち上がりは小児の方が成人(Cap)より速かったが、血漿中未変化体の最高濃度は小児 と成人(Cap)で同程度であった」という結果が得られました。評価の結果といたしま しては9ページを見ていただきますと、「3.副作用について」の上のところで、総合機 構といたしましてはこれらの成績を基にした現行の承認用法・用量の妥当性が示された と判断したと。すなわち承認条件を満たしたと判断しましたので、併せて御報告申し上 げます。以上でございます。 ── 説明中、安達参考人、審議官退席 ── ○永井部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。御質問等ございましたら お願いいたします。よろしいでしょうか。もし問題ございませんでしたら御確認いただ いたということにいたします。本日の議題は以上でございますが、事務局から何か報告 等ございますでしょうか。 ○事務局 ありがとうございました。次回の日程でございますけれども、2月25日金曜 日の朝10時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。2月25日の朝10時でございます。それでは本日 はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。  ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -