05/01/14 第22回雇用保険部会議事録        第22回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 1 日時  平成17年1月14日(金)11:00〜12:00 2 場所  合同庁舎第5号館(厚生労働省) 職業安定局第1会議室(13階) 3 出席者    委員  公益代表  :大沢委員、諏訪委員、中馬委員、中窪委員、林委員        雇用主代表 :中島委員、原川委員、輪島委員        労働者代表 :栗田委員、豊島委員、長谷川委員、三木委員    事務局 大石職業安定局次長、生田雇用保険課長、田中雇用保険課長補佐、        戸ヶ崎雇用保険課長補佐、中村雇用保険課長補佐 4 議題  雇用保険法施行規則の一部改正等について 5 議事 ○部会長(諏訪)  定刻となりましたので、ただいまから第22回の雇用保険部会を開催させていただきま す。まず本日の出欠状況です。新谷並びに渡辺委員がご欠席です。また、相川委員は少 し遅れてお見えになる予定です。  それでは議事に入ります。本日の議題は「雇用保険法施行規則の一部改正等について 」です。一昨日行われた第21回雇用保険部会において、「育児休業期間中等の所得保障 のあり方については、雇用保険制度以外の制度で対応することが必要」であるなど、皆 様からさまざまなご意見をいただきました。また事務局としては、「本来、育児休業給 付の支給を受けることができる育児休業取得者について、その支給が阻害されることに ならないよう、様式等の関係手続について工夫をする」ということでした。したがいま して本日はこれらの議論を踏まえて、議題についてさらに検討を進めていただき、結論 を得た上で、本日午後に予定されている職業安定分科会にその検討結果を報告すること ができればと願っております。  では、事務局から補足説明をお願いいたします。 ○保険課長補佐  前回お示しした省令等の中で、期間雇用者の具体的な要件について、若干、補足的な 説明をさせていただこうと思います。資料No.1の2頁、別紙と書いてある所です。期 間雇用者の具体的な要件について、次のいずれかを満たす場合ということで説明させて いただきました。どちらの要件にも、期間雇用者の雇用継続の見込みを判断するという 要件がかかっており、この判断方法について、様式等で工夫をするというようにご説明 したのですが、若干それを詳しくご説明したいと思います。  この雇用継続の見込みというのは、事業主のいわば主観を確認して判断するというこ とになりますが、確認方法については簡潔明瞭なものにしたいと考えております。具体 的な方法としては、育児休業給付については基本的に事業主を通じて申請をしていただ くことになっていますが、その初回申請時の際に添付書類として、事業主からの報告と いう形で提出していただこうと考えております。その書類については、3点ほど工夫を したいと思っています。1点目の工夫は、簡単な様式にするという観点から、ここに挙 げてある2つの要件を様式の中に書いて、そのどちらの要件に該当するか○を付けてい ただく。2点目の工夫は雇用継続の見込み、これについてはどこまでその見込みを見れ ばいいかということになりますが、休業前の状態、労働者本人の能力とか勤務態度や事 業所そのものの経営状況、こういったものがおおむね継続するということを前提とし て、見込みの判断をしていただくということにしたいと思っております。3点目の工夫 は、2つ目とも関連しますが、雇用継続見込みということが雇用継続の保障ということ になると、申請をする事業主としては手続きしにくいということもあります。対象労働 者の雇用継続を保障するものではないということを、その様式の中にあらかじめ記載を して、雇用継続を保障するものではないということを明確にしておきたいと考えており ます。  これら3つの工夫によって、本来給付を受けることができる育児休業取得者につい て、その支給が阻害されないように務めていきたいと考えております。また当然です が、この様式についてはしっかり周知徹底をしていきたいと考えているところです。以 上です。 ○部会長  ありがとうございました。ただいまの説明を含めて、前回から検討していただいてい る省令案等について、ご質問、ご意見等がありましたらさらにお願いしたいと思いま す。 ○豊島委員  先ほど、あるいは前回の部会長のまとめから戻ろうとは思いませんが、1つ伺いたい のは、やはり前回議論になったいまの1と2の関係です。雇用形態が多様化して流動化 している。そのことの是非は別として、それが現実的に進んでいる以上、ここに書いて ある「休業開始時において同一事業主の下で」というところ。前回話された「保険とい う考え方から一定の期間は必要」というのは理解できますが、同一事業所でない場合が たくさんあるということは、前回、労働側委員から指摘されたとおりですから、そのこ とがどのように検討されたのか。もちろん、ここだけで結論が出る問題ではありません から、現実に対応するように、関係方面とも調整し、あるいは働きかけていただいて、 今後改善する課題にしてもらいたい。これはもちろん「この部会、雇用保険でだけ対応 するということではない」という、前回部会長が言われた他の制度との関係も含めて、 検討していただけないものかということが1点。  もう1点は、前回経営側委員のほうから、休業を取ったあとで、ちゃんと仕事をして もらわないと困るというような話がありましたが、その裏側で言うと、雇用継続を保障 するものではないということだけが出てくると、労働側としては若干バランスを欠くよ うな印象を持つものですから、この3番目が、必要以上に雇用を遮断する、ストップす る方向で作用しないように、関係方面に周知あるいは理解を求めるということをお願い したいと思います。 ○保険課長  いま豊島委員からご指摘いただいた点は資料1の2頁の例えば1「休業開始時におい て同一事業主の下で1年以上雇用継続の実績があること」と書いてありますが、この 「同一事業主の下」というのは、そもそも期間雇用者に育児休業を与える要件として、 休業開始の申し出前1年間、同一事業主の下で勤務した実績があるということが大前提 になっておりまして、その要件をそのまま使っているということです。ですから、そも そも雇用保険制度だけで対応できる問題ではなくて、育児休業制度自体をどうもってい くかという問題と関わってくるということです。関係の所にはそういうご意見があった ということをお伝えしたいと思いますが、雇用保険制度だけではなかなか難しいという ことだけはご理解いただきたいというのが1つです。  休業給付の支給を確実に受けられるようにしていく工夫として、雇用保障をするもの ではないということを様式に書くと申し上げました。育児休業給付の支給という切り口 からは、雇用見込みが要件になっているだけということですので、給付を受け取るとい う観点からは、そういう事実をきっちり事業主の方に認識していただいた上で。要する に、雇用を保障していないようなケースでも、育児休業給付の支給申請ができる余地が ある、ということをはっきり知っていただいた上で手続を取っていただくほうが、期間 雇用者の方にとってもメリットがあるのではないかということで工夫させていただいて いるものです。ですから、これを誤解するようなことがないようにということは当然あ りますので、周知の仕方の中で工夫できるところは工夫したいと考えています。 ○部会長  ほかにいかがですか。 ○中窪委員  省令としてはその前の頁の文章になって、具体的な要件は、様式の中に書き込むとい うことですが、その扱いとしては、これを明記した通達みたいなものが出ることになる のでしょうか。 ○保険課長  この別紙の2頁の内容については、省令にこういうふうに具体的に書くということに はなっていませんで、それは、雇用保険の実施における基本的な通達である業務取扱要 領の中に明記する形になります。  いま、様式上の工夫をすると申し上げましたが、その様式の工夫で出来上がる様式 は、業務取扱要領上の様式として要領の中にきっちりと載せて、それが第一線機関で使 われるようにしていきたいと考えております。 ○部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○三木委員  ぶり返すつもりはないのですが、どうしても納得いかない部分があります。納得とい うか、実際に適用される有期の方たちにとって、どうしても説明ができにくいという観 点から申し上げたいと思います。資料の「期間雇用者に対する育児休業、育児給付の適 用についてという所で、育児休業はたとえ有期であろうと、引き続き雇用された期間が 1年以上あって、2歳まで雇用継続が見込まれる者は、育児休業は申請できる、権利が 発生するわけですね。しかし、実際に給付金適用を受ける場合は、どうしても3年、3 年が必要だという根拠は一体何なのか。これがどうしても納得いかないのです。やはり 非正規の方、有期の方というのは、現実に格段の賃金格差があるわけです、現実に300 万円以下の場合もあるわけです。そうするとやはり休もうとすれば、育児休業を取ろう とすれば、やはりいくらかでも生活のたしというか、1年間休業するにあたっては、そ の給付金をあてにするのは当然の話です。ところが、権利は発生するが、実際の給付は 一般の労働者と違って、3年があるか、あるいは後に3年あるか、それが前提にならな ければ給付金は受けられませんよと言ったら、結局、発生して取るつもりでいたが、実 際は取れないということになってしまうのではないか。そういう意味でいくと国があげ たその政策と、このバランスは非常に欠ける。そういう意味で、有期の方と一般の方と の差が出てくるのではないかという気がしてならないのです。その意味でもう一度伺い ます。なぜ3年なのか。その根拠をもう一度明らかにしていただければと思っていま す。 ○保険課長  前回も申し上げたので繰り返しになる部分があるのは恐縮ですが、資料1の3頁目の 図を使ってご説明します。その上のほうの図が育児休業についての範囲を示した図で す。いま三木委員がご指摘いただきましたように、休業開始前ではなくて休業の申し出 前ということではありますが、申し出前1年間、同じ事業主の下で働いていて、休業終 了後、2歳まで雇用の見込みがあるような方について休業の対象にするという制度で す。この休業期間中にどういう形で経済的な支援をするか、それにはたぶんいろいろな 方法があると思います。現在は、常用雇用労働者の方が育児休業を取ることを前提に、 雇用保険制度の中で育児休業給付という仕祖みがあって、その中で対応している部分が 非常に大きいということかと思います。  現在の常用雇用労働者の方について、育児休業給付がどうしてその雇用保険制度の中 で認められるかということですが、雇用保険制度自体はそもそも、失業という保険事項 にあった方に給付することを前提に、労使から保険料をいただいて運営しているもので す。ですからあくまで、失業者に対する給付が中心だということです。その中で、育児 休業に対してどうして給付ができるかと言いますと、育児休業を取ることによって、失 業給付の支給をしなくて済むということがぎりぎりの理屈づけです。雇用保険制度の中 で育児休業給付を出せるということについては、それなくしては絶対制度設計はできな いという大前提です。その育児休業を取ったあと、失業せずにそれなりに働いていただ けるということが前提です。  下の図の上のほうが代表選手ですので、まず上のほうをご覧ください。そこに「休業 前1年以上雇用実績がある」という部分があります。これは常用雇用労働者でも同じで して、正確に申し上げますと、「休業前2年間に11日以上働いた月が12カ月以上ある」 ということで、いちばん短い期間を取れば、過去1年間働いたということになりますの で、過去1年間働いているということを前提に、職場復帰後、常用雇用労働者ですか ら、3年の見込みではなくて、もっとずっと雇われる見込みがあるということを前提に 職場復帰をするという形になります。ですから、失業給付を受け取らずに、保険料もこ れからずっと払っていただける、ということを想定した設計になっているということで す。ですから1年間の保険料の支払い実績と、職場復帰後、ずっと保険料を払っていた だけるという期待があるので、その休業給付が払えるという仕組みになっているという ことです。  今回、期間雇用者の方にどこまでその休業給付を払うか、その仕切りをつけるという ことでして、その場合、どの程度の雇用継続が見込まれれば支給対象にしていいのかと いう判断をする必要がありました。その際に参考にしたのが雇用保険法施行規則第35条 第7号でした。雇用保険法施行規則第35条自体は、雇用保険の基本手当支給の際の仕切 りをつけるための条文です。特定受給資格者という、倒産解雇等で離職した方について は給付日数が手厚くなっていますが、そういう方の給付日数と、それ以外の自己都合な り、あるいは期間満了で辞めた方の給付日数は違うので、その仕切りをつけるための条 文です。期間雇用の方であっても一定の場合については、常用労働者が途中で解雇され たのと同じように解釈するというのが第35条第7号です。そのまま読みますと「期間の 定めのある労働契約の更新により3年以上引続き雇用されるに至った場合において、当 該労働契約が更新されないこととなったこと」という場合には、倒産解雇等と同じに扱 うということでして、3年というのが、ある程度の期間引き続いて雇用されたこととし て、なにがしかのメリットを与える基準として援用できると考えて、この3年というの を使わせていただいて、3年、雇用が見込まれるケースについては、ずっと雇用が見込 まれるわけではないけれど、給付をしようという仕組みで設計しているところです。  雇用保険制度の中で設計する場合と、それ以外の仕組みを活用する場合とでは、全然 事情が違ってくると思っています。雇用保険の場合は、失業者に対する給付をメインと した給付の中で、どこまで設計できるかという問題ですから、どうしても限界が出てく るということかと思っております。話が飛んで恐縮ですが、いま現在でも差はありま す。常用雇用労働者のみを対象にしている現在でも差はあります。それは何かと言う と、育児休業の場合は、休業を与えることについて、過去の勤務実績を必ずしも問う必 要がないので、過去1年間働いていない方であっても、労使で特に協定さえ結ばなけれ ば、育児休業が与えられることになっていますが、育児休業給付は保険料の貢献が必要 なので、過去1年間働いて保険料を納めた方でないと対象にならないということで、い ま現在でも差があります。また、働き方によって、雇用保険の適用対象にならない方も たくさんいらっしゃいますので、そういう方についてはもちろんいまでも差があるわけ ですが、もともと、厳密に一致させるということ自体が難しい、別々の制度で走ってい るので難しい。しかし、できるだけ近づけるように努力はしている、今回も、できるだ け近づけるように努力した結果として、こういう取扱いにしているということです。 ○三木委員  いま施行規則の第35条第7号も1つの根拠となっていると言われました。これは特定 受給給付金申請、の場合ですね。通常の場合、1年の雇用保険料を払っていて普通で退 職、自己都合で退職した場合は、普通給付は貰えるわけですね。ここのところがよくわ からないのです。なぜ特定受給になるのか。 ○保険課長  この基準を援用しましたのは、特定受給資格者になるのは例えば期間の定めのない 人、常用労働者が解雇されたときに特定受給資格者になるわけです。期間雇用者が期間 満了のときは特定受給資格者にならないのですが、3年間雇われた人が期間満了になる ときは、常用労働者が解雇されたのと同じように特定受給資格者にしましょうというこ とです。ですから3年間の、期間雇用の継続と言うのですか、それが常用雇用労働者に 近づくような解釈が、ぎりぎり雇用保険制度の運用上可能だということで、これを援用 させていただいております。もしこういうものがなければ、期間雇用者に育児休業給付 を設けること自体もなかなか難しい。これを準用してやっているということです。 ○部会長  ほかに何かご意見、ご質問等ございますか。 ○長谷川委員  前回から労側委員は同じことを言っているわけです。だから、なぜ育児休業を取得し た者が、育児休業給付についてはこのような条件がつけられるのかということについ て、納得しているわけではないわけです。いま三木委員が言ったのもそういうことだと 思うのです。現在1月で、平成17年の4月から施行されるという、時間もないわけです が、このまま議論していてもおそらく堂々めぐりの議論だと思うのです。例えば今回の この制度で発足させておいて、ある一定の時期に、期間の定めのある労働者の状況がど うなのかということを見ながら、制度をもう一度検討するということが、私は必要なの ではないかと思います。おそらく国会の中でもいろいろな議論がされてきたと思いま す。  私、前回のときにも言ったのですが、保険制度であるということで言われてくると、 いま課長が言ったようなところになっていくわけです。しかしそれでは世の中の状況と マッチングしていないでしょうと。育児休業を取るような制度をつくっても、なかなか 積極的に取れないというのは所得保障のところが、この間ずっとこのことが言われてき たわけですが、期間の定めのない労働者と、期間の定めのある労働者との差が出てく る。かつ、期間の定めのある労働者というのは、特株な非常にすぐれた能力のある人は 別として、パートタイマーや派遣で働いている人と常用労働者の賃金所得格差も非常に 拡大している中で、結果的に育児休業を取得したことでもまた格差がされていくとい う、それが何回も繰り返されていくわけですが、雇用の就労形態の多様化が起きてい て、いろいろな働き方がある。それは労働者も選択しているし、使用者も選択してい る。有期を延ばしたときにも、良好な雇用機会なんだといった、そういうことから見れ ば、この期間労働者にこういう制限をかけることについて、どうなのかと思っていま す。  前回の審議会で、保険制度を使うことが非常に困難になってきているというようなこ とも一致したわけですが、今回のこの有期の育児休業給付の支給要件について、やはり 施行後に、調査して見直すとかそういうことが必要なのではないかと思うのですが。 ○保険課長  今回のこの期間雇用者についての育児・介護休業給付の問題ですが、そもそも期間雇 用者の育児・介護休業自体が、施行後どうなっていくかということすら不透明な状況で す。どんな制度でもそうなのですが、制度が施行されたあと状況を見て見直しをすると いうこと自体は、行政として当然のことだと思っております。この期間雇用者に係る育 児・介護休業給付についても、いずれかのタイミングで見直しの検討をすることは必要 になってくると思います。この育児・介護休業給付については、期間雇用者について施 行後、現段階では予想できないようないろいろな事態が起きる可能性も十分あると考え ております。ですから、まず実施状況を把握することが必要だろうと考えています。施 行状況を的確に把握して、ひとあたりの状況把握ができたタイミングで速やかに見直し の検討を行うということについては、やぶさかではないと考えております。 ○中島委員  これは同様の趣旨で若干認識が違うかもしれませんが、期間雇用者の方が対象になっ て、1年とか3年とか継続して働くことについて、事業主側がそういう証明というか、 出すわけですが、結果として、その育児が終わって復職後、自己都合ですぐ辞めてしま うようなケースが出てしまうと、まさに雇用保険という観点からいくと、これはそもそ も雇用保険でみること自体が無理だ、馴染まないということがはっきりとわかるわけで すから。そうすれば、雇用保険で期間雇用者の育児休業給付は、考え方としてできない ということも立証できるわけですから、それは経過を見て、もう一度見直しをしていた だくということはよろしいのではないかと思います。 ○長谷川委員  ちょっと違うと思うのですけどね。 ○中島委員  育児休業給付をやること自体、国策として少子化対策でやる。これはもう日本の国民 として当然のこと。何で面倒をみるかという意味で私たちはかねてから、いまこの雇用 保険でやっているのに限界があるのではないかということを言っているだけです。 ○長谷川委員  雇用保険でやることの理論的な困難さが、今回ではっきりしたわけです。大変難し い。しかし問題なのは、女も男もそうですが、子どもが生まれたときに、育児にちゃん と携わっていく、みんなが子どもを育てながら働ける、そういう状態をどうつくってい くのかという中の1つに、所得保障の問題があるわけです。だからあまり、育児休業を 取って直ちに辞める人が多いとか、有期の人が育児休業を取ってそのまま働かなくなっ てしまうとか、そういうところだけを言っていたら、みんないやになってしまうので す。むしろ、みんな頑張って働いて一緒に子育てしましょうよと。私たちはそういうメ ッセージを社会に与えることが必要だと思うのです。  だから私は今回の周知のところで、保険の給付は保険の給付ですというようなリーフ レットとかパンフレットではなくて、おそらく、育児休業改正されましたというリーフ レットを厚生労働省がお作りになると思うのですが、そのときに、育児休業給の問題に ついても、必ず雇児局と一緒になってつくってほしいと思うのです。片方は育児休業が こんなふうになりました、片方の別のリーフレットでは、育児休業権はこうなりました とバラバラにしないでほしいのです。  もう1つは、使用者の人が心配しているのは、安定局の皆さんは、雇用の見込みがあ るということを、それを書けばいいのだからと言うけれど、基準局から見たときには、 雇い止めのところとの関連で必ず引っかかってくると思うのです。大臣告示で有期の更 新をするかしないかという、あそこは非常にキチキチになっているわけですね。キチキ チになっているから、もし、見込みがありますよと○をつけたら、そこのところで引っ かかるのではないかと使用者の人はそこは躊躇する。だから、そうではないということ も併せてリーフレットとか、事業主団体への説明のときには、そこはしっかりしてほし いのです。それで躊躇することなくみんな育児休業も取る、育児休業給付の申請もする ということを全体がしてやらないと、つくったけれど活用されないということになるの で、そこは十分、取組みを強化してほしいと思っています。  納得はしていないのですが、時間がないこともあるので、いま課長から調査の話も出 ましたが、私は、速やかに調査をして、この有期の人たちの給付について是非検討をし ていただきたいと思います。 ○大沢委員  前回の議論を聞いていませんので、適切な質問かどうかわかりませんが、この雇用保 険の問題だけではなくて、現在の経済状況を見ていますと、非正規従業者の急増という ことが、非常に大きな問題になってきていると言わざるを得ないのではないかと思いま す。1997年ぐらいを境として、正規常用雇用が減っているという現状に対してどう考え るか、ということの延長線上にこの問題があると考えてみると、その1つの理由とし て、いろいろな制度に差があるということに原因があって、雇用保障の問題でも、期間 労働者には雇用保障がないということを徹底するという理由もよくわかりますが、3年 以上の雇用の継続をする見込みがない場合には給付が受けられない、ということが逆 に、期間労働者の雇用を増やす可能性が非常に強いと考えております。つまり、現状を 見ると国際化の中で、正規従業員を雇うことのコストが非常に高まっている中、柔軟に 活用する労働者が必要とされているということで、結果としてここでできてきた雇用保 険制度の要件についても、やはり差を認めるという形で適用拡大をしていくわけですか ら、そういう面で、現在はこの状況で適用拡大していくにしても、最終的にはそういっ た非典型労働の増大、国際化が進む中での非典型労働の増大ということを、日本社会全 体の中でどう考えていくのかという議論をして、抜本的な雇用保険の改正をしていかざ るを得ない時期にきているのではないかということです。  それで、今回の問題ではありませんが、雇用保険の見直しをするときに、そういった 要件の差を認めたままで適用拡大していくのか、それとも最終的には要件を、いろいろ な就業形態を同程度に認めるという意味で、改めて日本の雇用形態について考えるの か、そこら辺も含めた大きな議論をしていく必要があるのではないかと思っていまし て、意見になってしまいますが、やはりこういった状況を認めていく中では、期間労働 者の増大を増やす結果にならざるを得ないのではないかと思っています。 ○保険課長  長谷川委員がおっしゃったことに若干お答えをしておきたいと思います。様式は工夫 するわけですが、その内容がどうなるかということも含めて、そのリーフレットを作っ たりするような機会などありますので、そういう場では、その様式の工夫がきちんと事 業主の方に伝わって、本来給付を受けられるべき人が受けられるように工夫していきた いと思います。リーフレットの作り方自体は、雇用均等児童家庭局と相談しないとどう なるかわからないところがあるのですが、情報を共有しあうということはいいことです ので、そういう形になるように検討してみます。 ○栗田委員  いまの様式の問題ですが、本体の失業給付のほうは、本人が申し出て雇用主に判を押 してもらって、もう一度本人に照合して、そこで不服があればというか、食い違いがあ れば、もう一度検討するというシステムになっているわけです。今回の場合は、申し出 て雇用主の裁量で、これは3年の見込みがないという状況になったときに、また本人に フィードバックしてそれを検証するというか、そういうシステムをつくれるのかどう か。その辺をお聞きしたいのですが。 ○保険課長  現在、育児休業給付自体は本人の申請でも事業主の方の代理申請でも構わないことに なっているのですが、100%事業主の方の代理申請になっております。事業主の方はそ の労働者の方に休業を与えたということですから、代理申請を自分でするというように 想定されます。そうしますと先ほど申し上げた添付書類についても、事業主の方が書い て、労働者の方に確認を取られるでしょうが、その上で出されるということだと思って います。その給付の対象になって給付の申請をされないようなケースのうち、その事業 主の方と労働者の方の関係で労働者の方が、自分は3年の雇用見込みがあるので支給申 請してほしいというようなことに、仮になるとすれば、それはハローワークのほうに相 談に来ていただいて、要件にあてはまっていれば支給申請してもらうという形になると 思います。 ○豊島委員  特にいまここで言うようなことでもないかもしれませんが、いまのハローワーク。ハ ローワークというのは工夫した言葉だなあというのと同時に、考えすぎだよ、仕事の中 身がわからないではないかという話もありますが、様式は別としてリーフレットを作る 際に、インパクトもほしいと思うのです。いままでいろいろ工夫してたくさん作っても らっていて、制度も様式もわかりますし、変わったなというのもわかるのですが、これ はいい制度ができた、じゃあ私も社長に相談して取ってみようかという気持になるよう な、電通と博報堂を呼んでコンペやってもいいですが、そういう工夫もあっていいので はないかと常日ごろ思ったものですからこの際。よろしくお願いします。これは要望で す。 ○三木委員  いま栗田委員の質問に対してお答えになった関係でいくと、例えば、本人と事業主の 判断が違う場合は、たとえ代理申請であっても本人が行けば、ハローワークとして適切 に対応するということですね。 ○保険課長  本人申請も可能ですので、ご本人がハローワークに来て相談していただければ結構だ ということです。 ○中島委員  だから課長が言われたその意を汲んであげるところが、雇用契約の継続を義務づける ものではないなんていうのはやさしさなわけですよ。そういう工夫を一生懸命して、少 しでも対象、阻害しないようにと。こんなこと私が説明する話ではないですけどね。 ○三木委員  しかし、ハローワークで対応しますと言う限りにおいては、一定の事業主に対するハ ローワークとしての判断があった場合には、きちんと伝えて、善処するような話にして いくのでないと、単に話を聞きましたというだけのことだと思います。 ○保険課長  正確に申し上げますと、先ほど、様式の工夫をすると申し上げましたし、リーフレッ ト等で周知を図ると申し上げましたが、雇用の見込みというのは、その労働契約と直接 はリンクをしないということとか、あるいは、その雇用見込みを判断するときの前提と して、いまの経営状態が継続すること、あるいは、その労働者の能力等が継続すること を前提とした申し出で構わない、といったようなことについてきめ細かにご説明して、 その上で雇用見込みがあると言えるケースでしたら、言えるというように事業主の方は 判断されるでしょうし、そういう条件がついても駄目だというようにこだわる方がいら っしゃればどうしようもないです。ですからそういう事業主の方の誤解を解いて、申請 しやすくなるようにハローワークのほうでお話をさせていただくことは可能で、それで だいぶ状況が変わると思います。 ○部会長  まだ細部はご議論があろうかと思いますが、もうすでに、先回も出ましたとおりここ らあたりは完全に、保険制度を我々が使うということとの関係とか、あるいは、契約自 由という基本法制の問題とか、さまざま問題がかかってきまして、この部会で最終的な 結論を得ることはとても困難な問題なのだろうと考えられます。これはもう皆様すでに お感じになられているとおりです。したがいまして我々としては、今回の育児・介護休 業法の改正に伴って、雇用保険制度の、これまで行ってきた給付措置について、これを 然るべく制度改定の趣旨にあわせていくという。この範囲で当面対応せざるを得ないと いうように、改めて確認せざるを得ないと思います。  本日及び前回の審議の結果として当部会としては、省令案要綱については厚生労働省 案がおおむね妥当であるという結論に至ったこと、2点目としては、育児休業期間中等 の所得保障のあり方については、雇用保険制度以外の制度で対応することも含め、関係 部局において検討することが適当であること。これを確認させていただき、また、質疑 においては事務局の回答で、本来育児休業給付の支給を受けることができる育児休業取 得者について、その支給が阻害されることにならないよう、支給申請に係る様式等の関 係手続について工夫するとともに、その周知徹底を図ること、並びに期間雇用者に係る 育児・介護休業給付の施行状況を的確に把握するとともに、これに基づき速やかに必要 な見直しの検討を行うこと。こうしたことが確認されたと思います。以上の確認事項に ついて私のほうで文章化をして、本日午後にあります職業安定分科会に報告をさせてい ただきたいと思います。  そのような方向でよろしいでしょうか。 ○長谷川委員  この扱いはこれでよろしいのですが、この部会の中で、育児休業給付を雇用保険制度 で行うにはなかなか困難な状況があるということが、今回の意見交換で一致したわけで す。その報告を是非労働政策審議会、本審の中にきちんと意見反映していただきたいと 思います。そうでないと、全体的に関わる話ですのでなかなか。ここも縦組織でありま して、是非本審の中で、どうあるべきかという本格的な議論を、是非是非やっていただ きたいと思います。 ○部会長  まさしくそのとおりだろうと思いますので、具体的な書きぶりについては、時間の関 係もありますので私のほうにお任せいただくことにして、育児休業期間中の所得保障に 関する意見については他の分科会も関わっているという、いまご指摘にあったとおりで すので、労働政策審議会長にもあわせて報告をしておきたいと思います。  そのような段取りで取り計らわせていただいてよろしいでしょうか。                   (承認) ○部会長  ありがとうございました。それでは、先回と今回、非常に白熱したご議論をいただき ましたが、それを受けて、ただいまご承認いただいたような措置で取り計らわせていた だきます。  事務局から何かありますか。 ○保険課長補佐  今後の職業安定分科会に対する諮問等の進め方ですが、本日、おおむね妥当というこ とでお認めいただきました省令案要綱について、本日の午後に開かれる職業安定分科会 に正式に諮問をさせていただこうと考えております。 ○部会長  ほかに何か関係してご意見ありますか。よろしいですか。では以上をもって第22回の 雇用保険部会を終了させていただきます。本日の署名委員は、雇用主代表は原川委員 に、労働者代表は長谷川委員にお願いします。委員の皆様には大変お忙しい中を、一週 間に2度という強行スケジュールでご無理申し上げ大変申し訳ありませんでした。おか げさまでなんとか4月に間に合わせることができる段取りに進んできており、大変うれ しく思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 照会先:職業安定局雇用保険課     企画係 内線5763