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中小企業退職金共済制度の累積欠損金の計画的解消について(案)


 累積欠損金の現状
 平成15年度末において、一般の中小企業退職金共済制度(以下「一般中退制度」という。)には約2,700億円、林業退職金共済制度(以下「林退制度」という。)には約18億円の累積欠損金が存在する。これらの責任準備金額に対する割合は、それぞれ約8.5%、約10.5%である。

平成15年度末における財政状況
  一般中退制度 林退制度
累積欠損金額(A) 2,684億円 18億円
責任準備金額(B) 3兆1,706億円 169億円
AのBに対する比率 8.5% 10.5%


 累積欠損金の計画的解消
 中小企業退職金共済制度における累積欠損金の計画的解消においては、以下の点を勘案して、目標を設定することが適当と考えられる。

(1) 一般に、企業における退職給付会計において数理計算上の差異など欠損金が生じた場合には、在職者の平均残存勤務期間以内の費用処理が求められている。
 これを中小企業退職金共済制度に当てはめると10年間程度(注)での解消が求められることとなるが、

(1) 制度が法律に基づくものであり、公的制度としての継続性が確保されているものであること
(2) 本制度では、原則として事業主の過去分について追加拠出は認めていないので、累積欠損金は運用収益により解消しなければならない一方、制度の安全・確実な運営のためには過度なハイリスク・ハイリターンの資産運用は認められないこと
(3) 林退制度は資産規模が相対的に小さいことから、より安全・確実な運用が求められること
から、本制度においては、累積欠損金の解消期間をやや長めとする。
(注)平成15年度の退職金受給者の平均掛金納付月数は、一般中退制度:115月(約9.6年)、林退制度:147月(約12.3年)である。

(2) 独立行政法人勤労者退職金共済機構は、その運営に当たり中期目標が立てられていることに鑑み、累積欠損金の計画的解消の目標も当該期間を念頭に定める。
 なお、単年度の収支はその時点の運用環境の動向に左右されることから、各年度の目標額を定めて機構の運用の目標とすることは適当ではなく、中期目標の期間内での達成を目標とする。

(3) 将来の経済情勢等を予測することは困難であることから、目標の設定に当たっては、各期間均等に累積欠損金を解消していくことを基本とする。
 なお、解消計画は、中期計画期間に合わせ、必要に応じて見直しを行うものとする。

(4) 以上を前提とすると、累積欠損金の解消に向けての目標は、次のような案が考えられる。




○ 一般の中小企業退職金共済事業
  累積欠損金解消までの年数 中期計画1期間(5年間)
当たりの解消目標額
単年度
解消目安額
平成15年度末
資産に対する割合
案1 9年間
(第2期[平成24年度]まで)
1,491億円 298億円 1.00%
案2 14年間
(第3期[平成29年度]まで)
959億円 192億円 0.64%
案3 19年間
(第4期[平成34年度]まで)
706億円 141億円 0.47%
案4 24年間
(第5期[平成39年度]まで)
559億円 112億円 0.37%


○ 林業退職金共済事業
  累積欠損金解消までの年数 中期計画1期間(5年間)
当たりの解消目標額
単年度
解消目安額
平成15年度末
資産に対する割合
案1 9年間
(第2期[平成24年度]まで)
983百万円 197百万円 1.29%
案2 14年間
(第3期[平成29年度]まで)
632百万円 126百万円 0.83%
案3 19年間
(第4期[平成34年度]まで)
466百万円 93百万円 0.61%
案4 24年間
(第5期[平成39年度]まで)
369百万円 74百万円 0.49%


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