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標準的電子カルテ推進委員会
中間論点整理における検討結果報告

共通の機能に対応する
ソフトウェア部品の標準化

2005年1月27日
国立大学法人 熊本大学
医学部附属病院
高田 彰



 中間論点整理メモ

電子カルテシステムの医療における役割や守備領域が明確化できていない。このため、個々の医療機関においてシステムへの要請が多様化しがちであり、これに対応していくとシステムの大規模化や固有機能の開発など経費の高額化を招きやすい。
標準的電子カルテが備えるべき共通の機能(公共的な目的に資する報告データの生成等を含む)を整理した上で、これらの機能を満たすためのシステム要件を記述、列挙していく。
電子カルテシステムの果たすべき機能を整理し、システムの単位ごとに部品化を図ることにより共通利用化が進むことが望まれるが、こうした取り組みが十分になされていない。
医療現場における業務のワークフローに沿って、システム上の共通の機能に対応する部品の標準化を検討していく。検討に当たっては、IHE(Integrating the Healthcare Enterprise)で採用されている手法も参考にできる。



標準的電子カルテが備えるべき公共的機能とは何か


〜NHIIとEHR〜



 米国NHII

2004年4月に、ブッシュ大統領が「10年以内に大多数の米国人がインターオペラブルな電子カルテを持てるようにする」と発表した。
HHSに医療産業のデジタル化を命じ、医療情報技術のための国家調整官が指名され、開発や維持に責任を持ち、相互運用性のある医療情報技術の推進を図る。
そして医療ミスの削減、品質向上、医療支出に対するより高い価値の創出を行う。



 NHIIの行動計画

戦略フレームワークと4つのゴール
臨床プラクティス情報の提供:
(1)インセンテブ付きEHRの適用、(2)EHR投資リスクの削減、(3)地方や普及遅れの地域へのEHR普及促進
臨床医間の相互連絡:
(1)地域協調の促進、(2)国の医療情報ネットワークの開発、(3)連邦情報システムの調整
個別ケア:
(1)PHRの利用奨励、(2)同意の下の消費者選択の拡大、(3)遠隔医療の利用促進
公衆医療の改善:
(1)公衆衛生調査方式の統一、(2)一貫した品質及び健康状態の監視、(3)研究の加速と根拠主義の普及
3段階実装
3段階実の図
主要行動
医療情報技術指導パネルの創設
医療情報技術製品の民間認定の促進
地域医療情報交換のデモ資金援助
国の医療情報技術ネットワークの開発計画
2006年のCMS電子処方箋のための標準化要求・PHRs用ポータルの創設
データ臨床研究用共用(FDA,NIH,CDISC) セキュアネットワークの開発
連邦医療アーキテクチャとCHIIの強化

www.hhs.gov/healthit/executivesummary.html



 NHIIでの相互運用性と標準化評価


公共、民間での標準化
と相互運用性の追及

「標準」の現状認識
色々な団体から異なる医療の標準が出されている。
ベンダーによって適合が異なり、実用にならないことの多い。
標準の実装の不整合や考慮欠如のためSIの市場が広がらない。
切り替えの価格に驚く。短期の目的は、長期で広範な相互運用性の敵となる。
→
相互運用性
標準の必要性は認識されているが、相互運用性は不十分
関心は高いが、実用的な相互運用性モデルの例は少ない(これといった設計法もない)
いくつかの自家製の話もあったが統一の戦略も進まない(中央リポジトリ、万能ID等)
ローカルに相互運用性を定義し、必要において国レベルにつなぎ上げることが現実的
  適合へのインセンティブ↓
実用的な標準

国の医療情報ネットワークに技術およびデータを組み込む。
地域の医療情報組織にビジネス、法的、プライバシー標準モデルを組み込む
製品と実装認定に実装標準を組み込む
  編成された相互運用性

国の医療情報ネットワーク上の情報フロー定義
相互運用性を含んだ製品の認定
地域医療情報組織による実装ガイドと調整済みテスト
キーポイント
EHR機能モデルの
標準化を活かし、
国の医療情報ネットワーク(基盤)
医療情報地域組織
製品認定



 HL7とOMGの戦略的コラボレーション

相互運用性のある医療情報システムの実現

相互運用性のある医療情報システムの実現の図
VA共通サービス
ネーミングサービス
用語/語彙サービス
インフラストラクチャセキュリテイサービス
機能検出サービス
配給サービス
情報検出サービス
人関連サービス
コンテントアクセスサービス
文脈管理(AP間リンク)
WF管理サービス
臨床オーダエントリー/管理サービス
資源管理サービス
患者スケジューリングサービス

米国のNHIIは、(1)HL7のメッセージ基盤に、(2)VA開発のサ−ビス部分をOMGで標準化し、(3)SNOMED−CTなどの用語を組み合わせた形となる。



 標準的電子カルテの公共的機能

EHR先進国の成果を活かして、公共の医療情報ネットワークを整備するとともに、医療情報ネットワークと連携する機能を医療情報システムに取り込める仕組みの整備が重要。
既存の病院情報システムのラッピング
標準規格適合性認定
利用者の納得が得られ易い公共的機能から優先的に整備していくべき。
医療安全性確保



 公共的機能のイメージ

公共的機能のイメージの図



 適合性認定  〜米国NISTで試行中〜

機能仕様だけでは相互運用性を保証できない!!

適合性認定の図



EHRシステムの基盤整備


〜HL7とIHE-ITI〜



 HL7のEHRシステム機能モデル

Draft Standard for Trial Use (July 2004)として公開中。
EHRシステム機能モデル中の情報基盤に関する項目
Security
Health record information and management
Unique identity, registry, and directory services
Health Informatics and Terminology Standards
Standards-based Interoperability
Business Rules Management
Workflow Management



 ⇒共通基盤



HL7のEHRシステム機能モデルの図



 情報基盤を具体化する標準策定

IHE IT Infrastructure Technical Framework
Cross-Enterprise Clinical Documents Sharing (XDS)
情報基盤を具体化する標準策定の図



標準的電子カルテの共通機能の部品化


〜優先順位に基づくサービス提供〜



医療安全の確保に電子カルテが寄与できる領域等の検証及び安全性の確保視点からのシステムの有り方

バリデートされた医療安全に係わるビジネスロジックの配布とそれを組み込む安全ユニットの研究・開発
バリデートされた医療安全に係わるビジネスロジックの配布とそれを組み込む安全ユニットの研究・開発の図



 知識処理による医療安全の実現

知識処理による医療安全の実現の図



 現行医療情報システムのモデル化も必要

現行医療情報システムのモデル化も必要の図
医療情報システムへのIHE手法の適用



 ソフトウェア部品化に関する提言

中長期的な視点に立った施策が必要。
EA的なアプローチ
EHR先進開発国の成果を取り込んだ公共の医療情報ネットワークの整備と、公共的機能の標準化
利用者視点の優先度に基づくサービス提供作り
ソフトウェア部品を安心して使える制度整備
適合性認定
既存の病院情報システムとのコネクティビティとラッピング

EA(Enterprise Architecture)
EA(Enterprise Architecture)の図

適合性認定(Conformance)
適合性認定(Conformance)の図



 ソフトウェア部品化の課題

一般企業がソフトウェア部品を製造して提供するような「魅力的な市場」が創造できるか。

製造されたソフトウェア部品を安心して使える「仕組み」を創造できるか。
売り手

買い手

規制

認定



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