1 | 国内未承認薬の使用について
確実な治験の実施に繋げ、制度的に切れ目なく保険診療との併用が可能な体制を確立する。 具体的には、(1)確実な治験の実施、(2)医師主導の治験の支援体制の整備、(3)追加的治験の導入及び(4)制度的な保険診療との併用の断絶の解消の措置を講じる。 その際、特に、患者の切実な要望に迅速かつ的確に対応する観点から、以下のような措置を講ずる。
○ | 患者要望の把握と科学的な評価を行うために新たに設ける大臣設置に係る専門家からなる検討会については、年4回定期的に開催するとともに、必要に応じ随時開催することで、患者要望のある未承認薬の取扱いについては、最長でも3か月以内に結論を出すものとする。 |
○ | また、米、英、独及び仏で新たに承認された薬については、自動的に検証の対象とすることで、患者の要望に的確に対応し、おおむねすべての事例について、確実な治験の実施に繋げる。 |
○ | 治験において患者に薬剤料等の費用負担を求めるに当たっては、料金が不当に高くならないよう、必要な措置を講じる。 |
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2 | 先進技術への対応について
必ずしも高度でない先進技術を含め、以下のとおり、医療技術の保険導入のための手続を制度化するとともに、その迅速化及び透明化を図る。
○ | 医療技術ごとに医療機関に求められる一定水準の要件を設定し、該当する医療機関は、届出により実施可能な仕組みを新たに設ける。 |
○ | 具体的には、
・ | 新規の医療技術については、厚生労働省は、医療機関から要件の設定に係る届出がなされてから、原則最長でも3か月以内に、大臣設置に係る専門家会議による科学的評価を踏まえ、(1)支障なし、(2)中止又は変更、(3)保留(期間の延長)、のいずれかを書面により、理由を付して通知することとする。これにより、医療機関から要件の設定に係る届出がなされてから、原則最長でも3か月以内に当該医療技術が実施可能となる仕組みとする。 |
・ | なお、審査に慎重な判断を要する場合(例えば、遺伝子治療のように倫理上の問題がある場合など)、担当部局の事務処理能力を超える多数の届出により3か月以内での回答が著しく困難な場合など合理的な理由がある場合には、3か月を超える期限を定めることができることとする。 |
・ | 既に要件が設定されている医療技術については、医療機関は、要件に該当する旨の届出を行うことにより実施することができる。 |
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○ | また、将来的な保険導入のための評価を行う観点からも、実施医療機関から定期的に報告を求め、保険導入の適否について検討するとともに、有効性及び安全性に問題がある場合等にあっては、当該医療技術の中止等の必要な指示を行うことができることとする。 |
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3 | 制限回数を超える医療行為等
○ | 制限回数を超える医療行為については、適切なルールの下に、保険診療との併用を認める。ただし、医学的な根拠が明確なものについては、保険導入を検討する。 |
○ | 療養の給付と直接関係のないサービス等について、保険診療との併用の問題が生じないことを明確化する。 |
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4 | 保険診療と保険外診療との併用の在り方について
○ | 「将来的な保険導入のための評価を行うものであるかどうか」の観点から現行制度を抜本的に見直し、「特定療養費制度」を廃止し、「保険導入検討医療(仮称)」(保険導入のための評価を行うもの)と「患者選択同意医療(仮称)」(保険導入を前提としないもの)とに新たな枠組みとして再構成する。 |
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5 | 改革の手順
○ | まず現行制度の枠組みの中で対応することとし、できるものから順次実施して平成17年夏までを目途に実現する。ただし、国内未承認薬の使用に係る施策については、平成16年度中に必要な措置を講じる。 |
○ | さらに、現行制度について、「将来的な保険導入を前提としているものであるかどうか」の観点から、名称も含め、法制度上の整備を行うこととし、平成18年の通常国会に提出を予定している医療保険制度全般にわたる改革法案の中で対応する。 |
以上のような改革は、一定のルールの下に、保険診療と保険外診療との併用を認めるとともに、これに係る保険導入手続を制度化するものであり、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」という国民皆保険制度の理念を基本に据えたものである。 また、このような改革により、より分かりやすい制度となるとともに、保険診療と保険外診療との併用に関する具体的要望については、今後新たに生じるものについても、おおむねすべてに対応することができるものである。 |