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◆女性労働者に係る措置に関する特例の規定等◆


雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年7月1日法律第113号)(抄)

(女性労働者に係る措置に関する特例)
9条 第5条から前条までの規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない。


参考
 (募集及び採用)
 第5条 事業主は、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない。

 (配置、昇進及び教育訓練)
 第6条 事業主は、労働者の配置、昇進及び教育訓練について、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 (福利厚生)
 第7条 事業主は、住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるものについて、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 (定年、退職及び解雇)
 第8条 事業主は、労働者の定年及び解雇について、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをしてはならない。
 2 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
 3 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、出産し、又は労働基準法 (昭和22年法律第49号)第65条第1項若しくは第2項の規定による休業をしたことを理由として、解雇してはならない。




募集及び採用並びに配置、昇進及び教育訓練について事業主が適切に対処するための指針(平成10年3月13日 労働省告示第19号)(抄)

〜3 略
 女性労働者に係る措置に関する特例
 法第9条は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置は違法でないことを定めている。この場合、支障となっている事情とは、固定的な男女の役割分担意識に根ざす企業の制度や慣行に基づき、雇用の場において男女労働者の間に事実上格差が生じていることをいうものであり、支障となっている事情の存否は、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない状況にあるか否かにより判断するものとすることが適当である。このことから、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない雇用管理区分等において事業主が次に掲げる措置を講ずることは、2及び3にかかわらず、違法でない。
(1) 募集及び採用
 女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない雇用管理区分における募集又は採用に当たって、当該募集又は採用に係る情報の提供について女性に有利な取扱いをすること、当該採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用することその他男性と比較して女性に有利な取扱いをすること。
(2) 配置
 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない職務に新たに労働者を配置する場合に、当該配置の資格についての試験の受験を女性労働者のみに奨励すること、当該配置の基準を満たす労働者の中から男性労働者より女性労働者を優先して配置することその他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。
(3) 昇進
 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない役職への昇進に当たって、当該昇進のための試験の受験を女性労働者のみに奨励すること、当該昇進の基準を満たす労働者の中から男性労働者より女性労働者を優先して昇進させることその他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。
(4) 教育訓練
 一の雇用管理区分における女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない職務又は役職に従事するに当たって必要とされる能力を付与する教育訓練に当たって、その対象を女性労働者のみとすること、女性労働者に有利な条件を付すことその他男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること。
 略




雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について(平成10年6月11日 女発第168号)(抄)

2 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保(法第2章)
 総論
(1)〜(6) 略
(7) 「女性労働者に対する差別」には、女性を排除したり、女性を不利に取り扱うことのみならず、女性のみを対象とした措置や女性を有利に取り扱う措置についても、女性の職域の固定化や男女の仕事を分離することにつながり、女性に対する差別的効果を有するという見地から、原則として含まれるものであること。法第9条は、その例外として、男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保することを目的として女性労働者に関して行う特別措置、すなわち、過去の女性労働者に対する取扱いなどが原因で雇用の場において男性労働者との間に事実上の格差が生じている状況を改善することを目的として行う女性のみを対象とした措置や女性を有利に取り扱う措置については、法に違反しない旨を明らかにしたものであること。
(8)(9) 略
〜5 略
 女性労働者に係る措置に関する特例(法第9条)
(1) 女性には特有の感性・特性があるなどの先入観や固定的な男女の役割分担意識に基づき、女性のみを募集・採用や配置の対象とすることなどは、かえって、女性の職域を限定したり、女性と男性の仕事を分離してしまうという弊害をもたらすものである。
 法第9条は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置は法違反とならないことを定めたものであり、逆に、上記のような見地から、それ以外の女性労働者に係る措置は違法となることを明らかにしたものであること。
(2) 法第9条における「支障となっている事情」とは、固定的な男女の役割分担意識に根ざすこれまでの企業における制度や慣行が原因となって、雇用の場において男女労働者の間に事実上の格差が生じていることをいうものであること。この格差は最終的には男女労働者数の差となって表れるものであることから、事情の存否については、女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない状況にあるか否かにより判断することが適当であり、指針4の柱書きはその旨を明らかにしたものであること。
(3) 「女性労働者に関して行う措置」とは、女性のみを対象とした措置又は男性と比較して女性を有利に取り扱う措置をいうものであること。
(4) 「妨げるものではない」とは、法に違反することとはならない旨を明らかにしたものであり、事業主に対して支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関する措置を講ずることを義務づけるものではないこと。
(5) 法第9条により特例とされる女性労働者に係る措置は、過去の女性労働者に対する取扱い等により女性労働者に現実に男性労働者との格差が生じている状況を改善するために暫定的、一時的に講ずることが許容されるものであり、指針4の「相当程度少ない」状態にある限りにおいて、認められるものであること。
 指針(法第10条)
(1)〜(17) 略
(18) 指針4は募集及び採用並びに配置、昇進及び教育訓練に関して法第9条により違法でないとされる措置を具体的に明らかにしたものであること。
 指針4の柱書きの趣旨については、6(2)のとおりであること。
 また、「相当程度少ない」とは、我が国における全労働者に占める女性労働者の割合を考慮して、4割を下回っていることをいうものであること。4割を下回っているか否かについては、募集・採用は雇用管理区分ごとに、配置は一の雇用管理区分における職務ごとに、昇進は一の雇用管理区分における役職ごとに、教育訓練は一の雇用管理区分における職務又は役職ごとに、判断するものであること。
(19) 指針4(1)の「その他男性と比較して女性に有利な取扱いをすること」とは、具体的には、例示されている「募集又は採用に係る情報の提供について女性に有利な取扱いをすること」、「採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用すること」のほか、募集又は採用の対象を女性のみとすること、募集又は採用に当たって男性と比較して女性に有利な条件を付すこと等男性と比較して女性に有利な取扱いをすること一般が含まれるものであること。指針4(2)及び(3)においても同様であること。
(20) 指針4(4)「職務又は役職に従事するに当たって必要とされる能力を付与する教育訓練」とは、現在従事している業務の遂行のために必要な能力を付与する教育訓練ではなく、将来就く可能性のある職務又は役職に必要な能力を付与する教育訓練であり、例えば女性管理職が少ない場合において、管理職に就くために必要とされる能力を付与する教育訓練をいうものであること。 また、指針4(4)の「その他の男性労働者と比較して女性労働者に有利な取扱いをすること」には、例えば女性労働者に対する教育訓練の期間を男性労働者よりも長くすること等が含まれること。
(21) 略
〜12 略


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