04/12/24 第3回船員保険制度の在り方に関する検討会の議事録について           第3回船員保険制度の在り方に関する検討会            日時:12月24日(金) 13:00〜15:00            場所:厚生労働省専用第22会議室(18階) ○岩村座長  それでは、定刻になりましたので、第3回船員保険制度の在り方に関する検討会を開 催いたします。本日の議事に入る前に、委員の交代がございましたので、その旨を御報 告させていただきます。  まず、片岡委員に代わりまして藤澤委員でございます。どうぞ、一言。 ○藤澤委員  全日本海員組合副組合長の藤澤でございます。どうかよろしくお願いいたします。 ○岩村座長  続きまして、福岡委員に代わりまして三尾委員でございます。 ○三尾委員  海員組合の政策教宣局長を担当しております三尾と申します。よろしくお願いいたし ます。 ○岩村座長  どうぞよろしくお願いいたします。  次に今日の出欠状況についてでございますが、今日は全員御出席ということで承って おります。ただ、西村委員が若干遅れて到着されるということ。それから保険局長及び 審議官が、前の会議が長引いているということで遅れて到着されると承っております。  それでは、今日の議事に入りたいと存じます。まず前回の検討会におきまして、委員 の方から要請がございました船員保険の福祉施設につきまして、資料等を準備していた だいておりますので、まず事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○事務局  それでは資料の説明をいたします。まず資料1−1と右肩についてございます「船員 保険福祉施設について(宿泊施設、医療施設)」という資料を見ていただきたいと存じ ます。  まず1ページ目でございますが、「船員保険の福祉施設の設置目的」ということでご ざいまして、そこに書いてございますように、国(社会保険庁)は、法律の規定に基づ き、保険者として、船員保険の被保険者、被保険者であった者及び被扶養者等の健康の 保持増進及び福祉を増進するため、船員保険病院及び船員保険保養所等の福祉施設を設 置し運営しているということでございます。「法律の規定に基づき」というのは下の方 に条文がございますが、船員保険法第五十七条ノ二というのがございまして、一項とい たしまして、「政府ハ健康教育、健康相談、健康診査其ノ他ノ被保険者、被保険者タリ シ者及被扶養者ノ健康ノ保持増進ノ為必要ナル事業ヲ為スコトニ努ベシ」という条文。 それから三項の2行目からですが、「被保険者等及保険給付ヲ受クル者ノ福祉ヲ増進ス ル為必要ナル事業ヲ為スコトヲ得」ということがございまして、この条文に基づいて事 業を実施しておるということでございます。  財源につきましては、2つ目のパラグラフにございますように、船舶所有者が全額負 担する保険料を財源として設置をしておるということでございます。  なお、事業の実施に当たりましては、これまで船舶所有者の代表者、被保険者の代表 者及び保険者の三者で構成する「船員保険福祉施設問題懇談会」にて協議の上実施をし てきておるということでございます。  続きまして2ページ目でございます。「船員保険の福祉施設の経緯等」ということで ございまして、これまでどういう形で発展してきたかということでございます。  まず1つ目のポツにございますように、昭和17年に船員の福祉施設として、(財)船 員保険会が初めて保養所を設置したということでございまして、実はそのスタート時点 では必ずしも国有ということではなかったわけですが、その後、船員保険法の改正によ って、保養所を国有民営方式に移行したということでございます。  続いて2つ目のポツでございますが、医療施設については昭和22年に船員保険病院を 設置したということでございます。現在は、東京、横浜、大阪にそれぞれ病院があっ て、東京、室蘭に診療所があるという状況でございます。  3つ目のポツでございますが、昭和40年代に入りますと、健康管理事業に対する関心 が高まったという背景がございまして、昭和49年から健康管理センターという、主とし て健康診断を行う機関が設置されたということでございます。現在は、横浜、大阪、福 岡にそれぞれ1カ所あると、こういった経緯になってございます。  3ページ目でございますが、これは今現在どういったカテゴリーの施設をどの程度の 数、船員保険特別会計として保有しているかということでございますが、そこにござい ますように病院が3カ所、診療所が2カ所、健康管理センターが3カ所という、この3 つのカテゴリーが私どもが医療施設と呼んでおるものでございます。そのほかに保養 所、これは事業内容のところに書いてございますが、静養あるいは宿泊するための施設 ということでございます。こういうものが現時点では19カ所ございます。次に福祉セン ターですが、これは宿泊施設でございますけれども、研修あるいは運動施設等を併せた 総合的な施設でございまして、これが4カ所あるということでございます。ここまでが 特別会計として保有している施設ということでございますが、それ以外に海外保養所と いうことで、ハワイのホノルルに、これは事業内容のところの囲いに書いてございます が、民間ホテルから10部屋を借りて運営しているということでございまして、物を持っ ているわけではございませんが、こういう施設が利用できるようになっているというこ とでございます。  個々の施設の名称や所在地については、資料1−2の参考資料の25ページにございま すが、これは後で参考までに見ていただければと存じます。以上が施設の種類というこ とでございます。  続きまして資料1−1の4ページ目でございます。これは「船員保険の福祉施設の見 直しについて」ということで、これまで行ってきた施設の整理の経緯でございます。  まず順番に申し上げますと、1つ目に船員保険被保険者数の減少に伴い、昭和53年を ピークに、漸次、船員保険保養所の整理合理化を図ってきたところということでござい ます。これにつきましては資料1−2を横目に見ながらということで説明したいと思い ますが、7ページ目に「船員保険保養施設数の推移」という表がございます。これで見 ていただきますと、昭和53年におきましては保養所が68、福祉センターが2、海外保養 所が1あったということでございます。ピーク時には国内保養所が70施設存在していた ということでございますが、その後、施設問題懇談会等で協議を重ねて、被保険者数が 減少するのに合わせて数を減らしてきておりまして、現在は先ほど申し上げましたよう に、これは平成15年度の時点ということでございますが、保養所が19、福祉センターが 4、海外保養所が1という状況になっておるということでございます。  資料1−1の4ページ目の2.に戻っていただきますが、これ以降が最近の状況とい うことになります。まず、平成13年12月11日開催の船員保険福祉施設問題懇談会におい ては、平成12年5月26日の閣議決定「民間と競合する公的施設の改革について」などを 踏まえ、船員保険の福祉施設全般にわたる「船員保険福祉施設の見直しについて」が了 承されたということでございます。  これも平成13年12月の文書について、若干説明をいたしたいと思います。資料1−2 の9ページ目をごらんいただければと存じます。まずここで「基本的な考え方」という 部分の1つ目でございますが、3つ目のパラグラフを見ていただきますと、平成12年5 月26日の閣議決定により、保養施設等を中心とした公的施設について、既存施設の廃 止、民営化、その他の合理化措置を5年以内に行わなければならないなど、一連の行政 改革の動きに対しても早急な対応が求められているということとなっておりまして、こ のときの見直しについては、当面平成14年度から16年度までの期間における福祉施設事 業の合理化措置について検討を行うということで、こういう文書がつくられたわけでご ざいます。  ちょっといろいろ前後して恐縮でございますが、この平成12年5月の閣議決定は、参 考資料の20ページ目にその概要がついてございます。横書きの「船員保険の福祉施設を 巡る動向」と書いているところの(1)でございますが、民間と競合する公的施設の改 革ということで、先ほど申し上げました閣議決定におきまして、国又は特殊法人等の設 置する公的施設(会館、宿泊施設、会議室、結婚式場、健康増進施設、総合保養施設な ど)については、(1)不特定の者が利用し得る施設の新設及び増築の禁止、(2)個々の施 設ごとに企業会計原則に準ずる特殊法人等会計処理基準により経営成績等を明確にし、 早期(5年以内)に廃止、民営化その他の合理化を行うことが決定された、こういった 中身でございます。こういったものを受ける形で、平成13年12月の文書というものがつ くられたということでございます。  それで、平成13年時点での考え方について若干説明を加えますと、同じ資料1−2の 10ページ目に戻っていただきたいと思います。パラグラフにして2つ目、「今回の見直 しにおいては」と始まる部分でございます。当時28施設、これは保養所が24カ所、福祉 施設が4カ所ということで28施設あったわけでございますが、28施設の利用状況、収支 状況等を総合的に比較判断し、前回の見直しと同様、利用率が低く保養所の使命が終わ ったもの等について、次の方針により整理・統合を進めていくということになっており ます。その方針といたしまして、まずアと書いている部分ですが、平成13年度から16年 度において、保養所または福祉センターを半分程度廃止するということ。それからイで ございますが、各施設の過去の利用状況、収支状況等を基に施設毎の経営分析・評価を 行うとともに、将来性、地域毎の適正配置の観点等を総合的に勘案して、(ア)早急に 廃止すべき施設、(イ)経過観察施設、(ウ)存続施設、に分類する。ウといたしまし て、平成13年度から15年度においては、早急に廃止すべき施設について実行する。エと いたしまして、経過観察施設については、経営改善計画期間(平成14〜15年度)におい て、更なる改善努力を促し、この期間における経営改善状況等を判断して、平成16年度 早々に最終的な存続、廃止施設を決定し、実行する。こういった進め方が示されている わけでございます。  その下に「なお」とございまして、具体的な実施に当たっては、ちょっとここは飛び ますが、11ページ目の頭でございますけれども、別途計画を策定して実施するものとす るということになっていたわけでございます。  なお、この時点で海外保養所につきましてはその下でございますが、パラグラフの一 番下、早期に廃止する方向で検討ということになっておったということでございます。  この平成13年12月の文書を受けまして、今見ていただいている次のページでございま すが、次に平成14年12月にやはり船員保険福祉施設問題懇談会におきまして、「船員保 険国内保養所及び福祉センター合理化計画について」というものが定められたというこ とでございます。この中身につきましては、基本的に平成13年度のものをそのまま発想 としては引き継いでおりまして、見直しの進め方ですが、第1段階は平成14年度、各施 設を次のとおり分類するということで、(1)早急に廃止すべき施設、(2)経過観察施設、 (3)存続施設と分けます。次に第2段階で、平成17年度までかけまして、「早急に廃止 すべき施設」については計画的に廃止する。第3段階は平成16年度、平成17年度という ことでございますが、3分類で「経過観察施設」になったものについては、平成14年度 〜平成15年度の期間の経営改善状況等を判断しまして、最終的に平成13年度末現在の施 設数の半分程度となるように、存続施設を決定するということになっておりました。そ の上で廃止するとなった施設については、平成16年度末及び平成17年度末にかけて計画 的に廃止するということになっておりました。  このときの分類の考え方としましては、次の13ページ目でございますが、2の(1) の(1)にございますように、過去5年間の宿泊利用率や船保の関係者の利用割合、その 改善状況といったもの、それから(2)で収支状況といったこと、それから(3)施設建物の アの老朽化度、こういったことを勘案しながら、総合的な評価を行うことにされていた ということでございます。  この平成14年12月の段階で早急に廃止すべき施設となっていたものが、(2)の(1) の8施設、経過を観察することになったものが(2)の11施設、存続施設と分類されたも のが(3)の8施設ということになっております。全体のイメージというのが15ページ目 にございまして、平成14年12月の段階ではここに書いておるようなことでございます。 少なくとも平成14年度と平成15年度に2つずつ廃止をしまして、経過観察施設について は平成16年度に分類するということになっておったわけでございます。  資料1−1の4ページ目に戻っていただきますと、今、私は2.と3.をまとめて御 説明したわけでございますが、4.を見ていただきますと、先般、平成16年度の廃止施 設について、船員保険福祉施設問題懇談会(平成16年12月17日開催)において議論した 結果、5カ所を廃止することとした。併せて、海外保養所についても、原則、18年6月 をもって廃止することとしたということでございます。  具体的にその資料として提示させていただいたのが、資料1−2の16ページ目でござ います。これは、文章を読み上げるよりも図を見ていただいた方がわかりやすいと思い ますので、18ページ目を見ていただきたいと存じます。先週の金曜日になりますが、こ の施設懇で了承されたことをかいつまんで申し上げますと、点線の平成16年度と書いて いる部分でございますが、経過観察施設の分類がなされまして、11あった経過観察施設 の中で7を存続し、4を廃止すると。そのうちの1つについては平成16年度に廃止を し、3つについては平成17年度末までに廃止をするということでございます。それか ら、もともと存続施設となっていた8の施設の中で日南につきましては、平成14年度と 15年度について経営が急激に悪化したということもございまして、当初の予定と変わり ますがこれも廃止することといたしておりまして、結果存続施設が14残るということ で、平成13年度当時の28という数字からスタートしますと、平成17年度末までに半分の 数にすることが了承されたという状況でございます。  次に19ページ目の海外保養所でございます。これにつきましては基本的に廃止する方 向ですが、民間のホテルと5年間の契約を結んでおりまして、今すぐ廃止するよりは契 約の関係で、契約期間が切れるのを待って廃止する方が合理的であろうということで、 平成18年6月15日までは継続することとなったということでございます。  以上が資料1−1の説明でございますが、その他様々な情報が参考資料1−2にござ いますので、必要なものを適宜御説明をしたいと思います。  まず、資料1−2の1ページ目をごらんいただきたいと思います。これは「船員保険 福祉施設の利用状況」ということで、センターと保養所、いわゆる宿泊施設に関するも のでございます。これは前回の検討会で、施設毎にどの程度船員保険関係者の方が御利 用されているのかという御質問があったので、それに答えるものでございますが、まず 表の大きく分けて左側、これは船員保険の関係者だけではなくて、全体の利用率という ことでございまして、全営業日においてフル稼働していたとした場合に対する利用率と いうことでございます。利用率自体も施設によって様々でございます。このページの大 きく分けて右側の方が、全体の利用者の中で、船員保険の加入者の方がどの程度利用さ れておられるかという率でございます。これも施設毎に相当ばらつきがございます。例 えば、平成15年度について見ていきますと、船員保険の関係者の方が5割以上使ってい るところは、宮城県の鳴子保養所、静岡県の焼津保養所、山口県の俵山保養所といった ところでございますが、1.5%や1.6%など非常に低いところもあるという状況でご ざいます。  次のページ、これはあくまで参考までにということで、宿泊施設の日帰り利用の状況 ということでございますが、これにつきましては一般の方々が利用される場合と、船員 保険の関係者が利用される場合とで、特に料金の違いがないものですから、分けて把握 することができないということで、あくまで参考までに示させていただいておるという ことでございます。  次に3ページ目でございます。こちらは病院、診療所、健康管理センター、いわゆる 医療施設の利用状況でございますが、それぞれの施設について平成11年度〜15年度につ いて、右側の方に船保の関係者の利用割合というものがございます。医療施設につきま しては、船保の関係者であろうと、そうでなくても、特に利用料の差があるということ でもないものですから、船員の方々の数が非常に少ないということもありまして、非常 に低い利用割合になっているということでございます。  次に4ページ目でございます。今度は、カテゴリー毎の収支状況ということでござい まして、平成11年度〜15年度ということですが、ザッと見ていきますと、病院、診療 所、健康管理センターの医療施設につきましては、もちろんずっと黒字ということでは ないのですが、基本的には黒字基調で推移しておるということでございます。それに対 しまして、船員保険福祉センター、保養所につきましては、基本的に赤字の状況が続い ておるということでございます。ただし、福祉センターについて見ていきますと、赤字 が平成11年度は1.4億円といったものが、平成15年に0.2億円ということで、着実に 赤字の幅自体は縮減しているといった状況でございます。  次のページでございますが、今度は施設毎に見てどうかということでございます。病 院、診療所、健康管理センターについては、先ほどカテゴリー毎の傾向で申し上げたと おりでございます。福祉センターについてもそうですが、保養所については黒字であっ たり赤字であったり、これは施設毎にまちまちになっております。ただ、今回平成17年 度までの整理計画が了承いただけたということですが、(5)の保養所の15年度末の累 積剰余が赤字になっているところは、基本的にほとんど今回の整理計画で整理されるこ とになっております。例外的に静岡県の焼津、山口県の俵山は累積剰余がマイナスにな っているわけでございますが、これにつきましては先ほど御説明いたしましたように、 船保関係者の利用率が非常に高く、5割を超えているというようなことも勘案しまし て、存続されることになっておるということでございます。  続きまして6ページ目でございます。「施設整備関係及び保養所経営委託費予算」と いうことでございまして、過去10年間この船員保険の福祉施設の運営を行うために、ど の程度船員保険特別会計からお金が出ているかということを、予算ベースではあります が示させていただいております。これは船員保険の被保険者の数、そもそもその施設自 体の数の減少ということもございまして、年々減少しておりまして、平成16年度におき ましては施設整備関係、これは医療施設、保養所、福祉センター、すべて対象でござい ますが、約7億円。それから、保養所経営委託費の予算が2億円ということでございま す。保養所経営委託費というのは、船員の方々が宿泊施設を利用されるたびに、1人1 泊幾らということで計算されるというような仕組みとなってございます。このほか、23 ページ目と24ページ目には、政管健保の施設の見直しの状況や年金の福祉施設の見直し の状況といったことを、参考までにお示ししておるということでございます。資料1− 2については以上でございます。  続きまして資料1−3といたしまして、先ほど説明いたしました「船員保険福祉施設 問題懇談会(12/17)における主な意見等について」ということでございまして、これを 資料に沿って御説明をさせていただきます。まず福祉施設事業のあり方についてでござ いますが、船舶所有者の代表者から、2行目でございますが、現在、民間の施設が整備 されてきた状況にあり、被保険者数が減少するなか、自らが施設を維持していく必要が あるのか、こういった御意見が出ております。被保険者代表からは3つ目の○のところ で、1行目の右側から読みますが、営業努力により収支バランス改善の努力を求められ ても、一方では民業圧迫とならないことが制約としてあり、積極的な営業活動が展開で きず、改善努力に限度がある。本件を施設の収支状況だけとらえて判断すべきではな く、船員福祉というものをどうとらえ、どう考えるのかという問題である、ということ をおっしゃっておられます。それからその同じ○の中で、「他方、陸上の年金の福祉施 設等について」とあるところでございますが、施設の見直し、廃止という大きなうねり となり、陸上の年金の福祉施設等とは異なる内容にもかかわらず船員保険の福祉施設に ついてもその中に巻き込まれ、全体で押し流されている状況にある。こういった大きな うねりの中にあっても、船員保険福祉施設をどう取り組むべきかよく議論していただき たい、こういった御意見をいただいておるということでございます。  一番下に社会保険庁からの意見等とございますが、年金制度改正の議論の中で年金の 福祉施設が批判を受け、それが全体の議論を引っ張っていることは事実であるが、それ とは別に、国が施設の設置・運営を行うことについての是非が問われているのが昨今の 状況である。船員保険の福祉施設を議論する際には、事業主と船員の話し合いの中で形 づけられてきた経緯的な特殊事情と、国がやることが適切ではないという議論とは、本 来区別して考えるべきではないかと思う、こういった説明をしておるということでござ います。  次のページでございますが、今度は医療施設の見直しについて、船舶所有者代表から は、1つ目の○でございますが、平成13年の施設懇以来議論がされていない。政管健保 と比較すると被保険者数に対して、各種施設の数が多く、また利用状況の資料を見ると 病院等の医療施設における船員の利用率は極めて低い状況にあり、医療施設を維持して いく必要があるのかなど、医療施設のあり方についても議論をしていただきたい。それ から被保険者代表からは、厚労省において最近健康増進法が制定されており、今後予防 医療というものに重点が置かれていくことになる。そういう意味でも健康管理センター は今後も必要ではないか、という御意見をいただいております。  社会保険庁からのその説明といたしましては、政管健保の健康管理センターや診療所 については、生活習慣病の予防という観点から、その必要性があるということについて は異論がないところ。ただし、それを保険料、つまり国で行うことは適切ではないとの 議論になっている。したがって、健康管理センター等がその機能を維持した形での売却 を考えていくように求められており、健康管理センター等の重要性が後退することがな いように、今後の取扱いを考えていくことが必要となる、こういった趣旨の説明をして おるということでございます。  その下に、実は福祉施設との直接の関係ではないですが、「船員ほけん」誌という広 報誌について、次年度の予算がつかないという話になっておりまして、そのことについ て船舶所有者代表からは、広報や周知の手段がなくなることは問題。広報手段を残すた めの検討をお願いしたい、という御意見をいただいております。被保険者代表からも、 この「船員ほけん」誌は被保険者等に対する広報事業として、情報を提供する唯一の情 報誌であるということで、広報手段を引き続き継続するための適切な対応をお願いす る、という御意見をいただいております。  これに対する社会保険庁からの説明でございますが、広報経費については、最も効率 的・合理的な方法が求められており、これまでのように特定の雑誌を指定して一括購入 をするということが困難な状況になっている。また、「船員ほけん」は月刊誌であり、 年間20万冊以上を買い上げている。船員保険の被保険者が6万人台の状況で、このよう な広報の仕方が一番良いかどうかについて厳しく問われている状況にある。更に、船員 保険の財政的にも月刊誌の購入には多額の経費を要し、負担しきれない状況にある。こ のように予算の面、事務執行の面の両面から、現在の形で維持していくことは大変困難 な状況にある。広報については、船員保険にかかる一定の広報経費を確保する予定であ るが、その執行にあたっても厳しい制約がかかってくる現状にある、こういった説明を しておるということでございます。  施設の資料1−1〜1−3については以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、議論をまとめて行いたいということもご ざいますので、恐縮ではございますが、引き続いて資料2−1、2−2について御説明 をいただきたいと思います。これは「船員保険の福祉事業と一般制度における事業の比 較」ということでございます。  それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、今御紹介にありました資料の説明をしたいと思います。  まず資料2−1でございます。「船員保険の福祉事業と一般制度における事業の比較 」でございます。この表でございますが、左側に船員保険の福祉事業ということで、ど ういうメニューがあるか、それぞれにどの程度の経費がかかっていて、これを保険料に 換算するとどの程度かということ、それから事業の概要でございます。実はこの左側の 内容につきましては、前回の検討会でも資料を出しておりまして、基本的に同じ中身で ございます。この左側の船員保険の福祉事業のそれぞれのメニューに対して、一般制度 において対応すると考えられる、あるいは類似の事業と考えられるものとして、どうい うものが行われているのかということでございますが、実はこれも前回口頭ベースでは ございますが、大ざっぱに説明をしておりますので、ちょっと資料の説明の時間が余り 長くなってもと思いますので、細かな説明は省略いたしたいと思います。ただ一言、先 ほどの施設の資料との関係でいきますと、2ページ目の6番で病院等の設置・運営、 0.9‰換算、それから4ページ目の15番のところで保養施設の設置・運営、1.7‰換 算、合わせて2.6‰ぐらいを支出しております。金額にして8億円ちょっとというこ とかと思いますが、先ほどの資料と整合的な形になっていると思います。  資料2−2でございます。これは「福祉事業等と保険料率について」ということでご ざいます。前回、あるいは前々回の検討会におきましても、福祉事業についてどういう 費用負担の形になっているのか、船員保険と一般制度を見比べてどうなっているのかが わかりにくいというお話がございましたので、念のためにつくらせていただいた資料で ございます。まずこの表ですが、上の方が保険給付に係る費用を賄うための財源とし て、保険料率をどのように御負担いただいているかということ。それから下の方でござ いますが、福祉事業等に係る費用を賄うための保険料率ということございます。船員保 険につきましては、保険給付については職務上疾病、職務上年金、これは一般制度との 対応関係でいきますと労災保険相当ということになりますが、これについてはそれぞれ 20‰、44‰ということで、船主のみの御負担ということでございます。一方で失業部 門、これは雇用保険相当、それから職務外疾病、これは健康保険相当ですが、それぞれ 18‰、91‰ということで、これは労使折半で御負担をいただいておるということでござ います。  下の方に福祉事業等とございますが、福祉事業としては特別支給金、これは職務上の 年金でございますとか傷病手当金の上乗せ給付を行う事業でございますが、これに6 ‰、その他の施設の運営等について6‰、それから事務費分として2‰ということで、 それぞれの保険料率が区分して設定されておるということでございます。  これに対しまして労災保険でございますが、こちらは保険給付か、あるいは労働福祉 事業に係る経費かということを区分けしておりませんで、トータルで何‰という保険料 率になっております。負担は事業主のみ。ただし、料率は業種ごとに異なりまして、5 〜129‰まで業種ごとに保険料率が設定されておるということでございます。  雇用保険でございますが、給付に係る費用については、船員保険の失業部門と同じよ うに労使折半でございまして、現行は基本的に14‰、ただし平成17年4月からは2‰引 き上げられる予定ということでございます。これに対しまして雇用三事業という、船員 保険の福祉事業に対応する部分ですが、これについては事業主のみ負担ということで、 3.5‰ということでございます。ただし、建設業は4.5‰ということになっておりま す。  最後に健康保険(政府管掌健康保険)についてということでございますが、これにつ いては費用の区分けはなく、82‰で労使折半ということでございます。  トータルで見た場合に一つ言えることとしては、福祉事業の費用というのは、船保も 労災も雇用保険も事業主だけが御負担されているのに対して、政管健保は労使折半にな っています。このあたりはちょっと特殊な面として挙げられるかと思いますが、とりあ えず仕組みとしてはそのような形になっているということでございます。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、ただいま御説明をいただきました資料1 及び資料2関係につきまして、御質問などがありましたらお伺いしたいと思います。よ ろしくお願いをいたします。龍井委員、どうぞ。 ○龍井委員  資料1−2の12ページの先ほどの御説明の中で、施設数の半分程度となるように存続 施設を決定するというところですが、端的に半分程度というのがどういう目安なのか。 この後の計画の中でも、その政策効果的なものをどう判断するか、利用状況も非常に悩 ましいところではありますが、当面の目標として設定されているのか。あるいはその効 果をどう判断するというふうに、何か目安を持っているのか。それに応じて今後の取扱 いも決まってくると思いますので、その辺の設定と今後どういう評価をするかというこ とについて、今の時点でわかることを教えていただければと思います。 ○岩村座長  事務局の方でお願いできますでしょうか。 ○事務局  ただいま御質問がありましたのは、平成14年12月の懇談会のとき、最終的に平成13年 度末現在の施設の半分程度となるよう、存続する施設を決定するということが決められ てございますが、当時の考え方としましては、被保険者の数や適正規模という観点か ら、これだけの被保険者に対して施設の数を勘案したときに、やはり半分程度にすべき であろうというような議論の結果になった、それを踏まえた方針だと聞いております。 ○岩村座長  ありがとうございました。龍井委員、いかがでしょうか。よろしゅうございましょう か。 ○龍井委員  経過はそうだったかもしれませんが、今後を考えていく場合に、施設によって性格が 違うと思うんです。病院のように、船員独自の利用率は少ないかもしれないけれども、 そんなに一律的にやっているわけではないように伺ってはいます。その利用状況だけで 判断をした場合に、例えば地域で果たしている役割などがあるのかないのかといったよ うな、そういう総合的な評価が多分要るはずなので、今の話だと厳密な根拠があるよう には伺えないのですが。何かこういうものを考えていく場合の共通の目安といいます か、その場の思いつきだけの判断でやるのもどうかなと思いますので、これはちょっと 御意見として申し上げます。 ○岩村座長  事務局、何かございますでしょうか。 ○事務局  基本的には当時も各施設の収支の状況ですとか、被保険者の利用割合の話、これは表 面的には被保険者であるか否かというのは、被保険者証を提示して利用されるかどうか といったこともあるのでございますが、あとはその地域のバランスであるとか、そうい ったことを勘案しまして、被保険者に対する事業規模からすると、収支の状況も踏まえ て半数を目標にするという方向で決められたものでございます。今後についても基本的 には、いろいろな整備費が厳しい状況もございますし、利用状況を踏まえて、地域バラ ンスを踏まえて、そこら辺の考え方をより明確にして、同会議などを踏まえて検討をし ていきたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。ほかにはいかがでございましょうか。それでは、まず松井 委員から。 ○松井委員  先ほど龍井委員がおっしゃった、地域における役割云々というところを否定するつも りはありませんが、それは船員保険として続けていくべきかどうかというときには、ま た違う考え方が成り立ち得ると思います。地域において非常に重要な施設であるなら ば、船員保険でファイナンスされるものでなくて、ファイナンスの方法を変えていくと いう形の存続の仕方も私はあり得ると思います。そういう方向性が本来あり得るべしと 思っております。  それから、資料1−2の8ページのところで、船員保険と政管健保との大まかな比較 からしますと、船員保険の方が言ってみれば施設はそれなりに、施設数という意味合い では充実しているのではないかという感じはいたします。したがいまして、それぞれの 持っている収支の状況をやはりきちっと見定めて、今後の船員保険特会にとって、負担 とならない施設は残してもいいとは思いますが、負担となっていくものはやはり廃止の 対象としていくのが本筋ではないかと思います。  それから、これは船員保険の特会という中だけの考え方ですが、仮に他の一般施設と 統合していくというときにも、こういう施設というのは、最終的には全体の地域バラン スを見直していくときに、意外とやっかいだということもありますので、今、赤が出て いるものは、有用性があるかもしれませんが、原則はなくしていくということがあって しかるべきです。ただ、先ほどの説明にもあったように船員保険の関係者の方々が特に 使っておられるような焼津だとかそういうような施設は残すというところまで、すべて 否定するつもりはありませんが、原則がまず何かということは確認をしておくべきこと ではないかと思います。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ、三尾委員。 ○三尾委員  資料2の方もよろしいですか。 ○岩村座長  結構でございます。 ○三尾委員  資料2−1ですが、「船員保険の福祉事業と一般制度における事業の比較」というこ とで、幾つか書かれております。その中で私の方から質問をしたいのは、左側の船員保 険の福祉事業で一般制度にないものを見てみたのですが、5.の衛生担当者講習会とい うことで、これは現在の船舶で医師が乗り組むというのは客船ぐらいしかありません。 一般商船や漁船にはもう医師は乗り組んでおりませんので、衛生管理者ということで対 応しているのが実態かなと。漁船の場合は、衛生担当者ということで対応しているのが 実態かなと。そういう講習会をやっているということで、これは陸上と比較のしようが ないというか、陸上には必要ないということです。  それから、次のページの7.は無線医療センターということで、これは先ほど言った ように、医者が乗っていないという前提で病気なりけがなりしたときに、陸上のドクタ ーに医療行為、応急処置等について指導を仰ぐというようなことで、これも船員独特の ものかなと。それから、そういうことをやってもなおかつ状態が余りよろしくないとい ったときには、8.の洋上救急という事態にもなっていくのかなと思います。  こういうことをやっているというのは、ある意味では船の特殊性なのだろうと思いま すが、今申し上げた衛生担当者講習会や無線医療センターの運営や洋上救急医療、こう いう実態については、当然毎年なり、期間ごとのデータというのはあるのだろうと思い ます。今日の時点でお持ちかどうかは別ですが、実態を把握できるデータがあればいた だけないかなと思います。  それと、ついでのようで申し訳ないですが、最後の船員保険講習会ということで、こ れは書かれているのを読ませていただくと、船舶所有者を対象に船員保険制度及び諸手 続等の講習会をやっておられるということで、これも恐らく定期的にやっているのだろ うと思いますが、そういう実績があればお知らせ願えればありがたいと思います。 ○岩村座長  事務局の方、いかがでございましょうか。 ○武田医療保険課長  今御指摘いただきました各事業につきましては、私どもとしては実績はもちろん把握 しておりますが、今手元にございませんので、次回整理して資料として出させていただ きたいと思います。 ○岩村座長  それでは、そのようなことでお願いをしたいと思います。三尾委員、それでよろしゅ うございましょうか。 ○三尾委員  結構でございます。 ○岩村座長  そのほか、資料1及び資料2につきましてはいかがでございましょうか。松井委員、 どうぞ。 ○松井委員  廃止となった施設がもう既にあると思いますが、その廃止は閉じただけなのか、その 後売却等ができたのか、その状況がもしわかれば教えていただきたいのですが。 ○岩村座長  事務局の方でお願いします。 ○三枝施設管理室長  保養所の廃止後の状況でございますが、直近で平成9年度以降、実は10カ所保養所を 廃止してございます。そのうち5カ所につきましては売却済みでございます。2カ所に つきましては借地なものですから、建物を解体の上、地方公共団体等に土地を返還して います。残り3カ所につきまして、現在売却に向けて手続中という状況でございます。 ○岩村座長  松井委員、よろしゅうございましょうか。 ○松井委員  そういたしますと、平成14年度に2つ、平成15年度までに2つと書いてありますが、 最近のものはまだ余り整理がついていないということでしょうか。 ○三枝施設管理室長  場所によってすぐ売れたり、なかなか売れなかったりするものもございまして、最近 の状況でいいますと平成14年、平成15年で4カ所でございますが、このうちの2カ所に つきまして売却済みということで、残りの2カ所については、先ほど申し上げました土 地を地方公共団体等にお返ししているものが1カ所、売却に向けて手続中のものが1カ 所と、そういう状況で、結構苦戦しているのがそれ以前に廃止した施設でございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。どうぞ、小坂委員。 ○小坂委員  今売却ができているという話がございましたが、その辺では簿価との関係というの か、売ることによってどういう経費的な形になっているのかというところまで御説明い ただくと一番よろしいかと思います。 ○岩村座長  事務局の方で、今その点はおわかりでしょうか。 ○三枝施設管理室長  直近の状況で言いますと、平成15年度につきましては簿価との、台帳価格との関係で ございますが、台帳価格に比べて売却額につきましては約70%でございます。平成14年 度分につきましては、簿価に比べて14%という割合で売却してございます。台帳価格で ございますが、売り払いするときにはこれを時価評価いたしまして、不動産鑑定をかけ まして、時価評価に対してどうかということで私どもはあれしているわけですが、台帳 価格というのはかなり古い数字できているものですから高いと。したがいまして、その 点でいきますと、台帳価格と時価評価の割合でいきますと、土地についてはかなり台帳 価格より高い状況ではありますが、建物はなかなかそうはいかないというような状況で ございます。 ○岩村座長  小坂委員、よろしゅうございましょうか。ほかに御質問、御意見はございますでしょ うか。どうぞ、山口委員。 ○山口委員  今、平成16年度の予算ということで、もうこれは既に平成16年度が終わろうとして、 次年度の予算折衝の段階にあると思いますが、今日は施設の話がメーンだと思うのでち ょっとお聞きしたいのですが、先ほど御説明いただいた施設の整備費用は7億円だった ですね。この資料1−2のページナンバーで言えば6、ここで平成16年度施設整備関係 7億円と書いてありますが、これについてはすべて執行されたということではないと思 いますけれども、施設整備に関してどういう状況なのか、できれば御説明いただければ なと。 ○岩村座長  事務局の方でお願いできますでしょうか。 ○事務局  基本的には確保できた予算の中から、実行段階で改めて必要性とかそういった計画を 立てまして、老朽度などを調査いたしまして、必要なものから実行していくという考え 方で進めていってございます。平成16年度でちょっと大きな実行上の変更がございまし たのは、兵庫にございます箕谷の総合福祉センターの関係の改修でございますが、基本 的には今年の前半に年金の施設の関係で与党合意の考え方が示され、保険料財源の使途 についていろいろな御批判が出たことですとか、その他議員立法として、国が持つ施設 については、こういったものを国が持つべきではないのではないかというような動き等 もございまして、今年度保険料財源を使用しての施設整備については、船保としても見 合わせをせざるを得ないという状況がございました。  この計画は、もともと船保会さんと連携して話をした上で進めてきたものでございま すので、こういった採算性のある施設につきましては、例えば必要な改修をして、国の やるべき部分と船保会さんで独自に整備する部分と、連携をして整備を進めてきたので すが、国の執行については、今年度はみんな見合わせをさせていただいていると。ただ し、船保会さんで例えば天然の温泉を掘削するというような工事ももう既に進めてござ いましたので、船保会さんとすれば全体の収入計画にも、国が整備を延期するというこ とによって大きな影響が出るという判断で、船保会さんとしてはこの整備計画について は、平成16年度において船保会の負担で計画を進めていただいていると、そういった変 更がございます。 ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。 ○山口委員  今の説明としてはわかりました。ただ、その背景になっている理由ですが、年金の福 祉施設についていろいろ世の中の大きな動きがあったのは承知していますけれども、船 員保険の福祉施設としての整備計画で、先ほど説明があったようにせっかく温泉を掘っ て、新たに営業実績を上げられるように、そういった福祉施設を充実して、更に収益を 上げていこうということで、一たんその計画について合意がなされて実行に移されたに もかかわらず、予算の執行の段階で神風ではないだろうけれども、全く本来のところと は違う理由からどうも予算が執行されなかったということで、これについては説明は聞 きましたが、どうも納得がいくような説明ではなかったということを申し上げます。意 見です。 ○岩村座長  では、今のは御意見ということで承っておきたいと思います。そのほかにございます でしょうか。資料1と2の関係につきましては大体御意見、あるいは御質問等は出尽く したということでよろしゅうございましょうか。  それでは、そのほか特段御発言がないようでしたら、今日はもう一つの議題として、 これまでの議論の整理を行うこととしたいと思っておりますが、それにつきましていか がでございましょうか。  では、この点について特段御異議がないようでございますので、ただいまの福祉事業 に関する意見も含めまして、事務局の方で資料を御用意いただくこととしたいと思いま す。そのため5分ほど休憩時間をとることといたしたいと存じます。今2時3分でござ いますので、ちょっと中途半端でございますが、2時10分から再開ということにさせて いただきまして、暫時休憩ということにいたします。それでは休憩といたします。 (休憩) ○岩村座長  それでは、予定していた10分となりましたので、検討会を再開させていただきたいと 思います。今お手元に事務局から配付していただいておりますが、資料が配られており ますのでごらんいただきたいと思います。 ○事務局  すいません。事務局からですが、先ほどの御説明で余り適切な表現ではなかった部分 がございますので、ちょっと訂正をさせていただきたいと思います。  先ほど平成16年度の予算執行の関係はどうなっているかという御質問がございました が、正確に申し上げますと、平成16年度の予算執行の関係で補足させていただきます と、すべて執行をとめているということではなくて、兵庫の箕谷の整備計画について は、平成16年度は行政からの支出は執行を見合わせているということでございまして、 その他の必要な、健康管理センターの利用者ゾーンに関するレイアウト変更ですとか、 病院の非常用の発電装置の改修であるとか、廃止施設の解体工事費、そういったものに ついては執行はさせていただいておりますので、訂正をさせていただきます。 ○岩村座長  ありがとうございました。先ほど御質問をされたのは山口委員だと思いますが、よろ しゅうございますか。 ○山口委員  なぜ箕谷のところだけ執行されなかったのか。そのことについて若干不満といいます か、異議を持っていますということを御意見として言いましたので。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、お手元に資料として、「船員保険制度の在り方に関する議論の今後の進め 方について(議論の整理)」というものが配付されたと思います。これにつきまして、 まず事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料の説明と申しますか、基本的には読み上げまして、適宜必要に応じて 説明を加えたいと思います。「船員保険制度の在り方に関する議論の今後の進め方につ いて(議論の整理)」ということでございます。  まず1つ目の○でございますが、被保険者数の減少が続き保険料収入も減少を続ける など、厳しい状況に直面するとともに、特別会計改革の議論の中で独立した保険事業と しての必要性を検討すべきとの指摘を受けている状況を踏まえ、船員保険制度の今後の 在り方について、一般制度への統合をも念頭におきつつ、真剣に議論することが必要で あることは共通の理解であるということでございます。ここで特別会計改革と書いてあ りますのは、財政制度等審議会や経済財政諮問会議等における特別会計改革の議論とい うことでございます。  2つ目の○でございます。検討に当たっては、これ以上の財政負担は反対であるとの 船主側からの強い要望や、船員法、ILO条約との関係で単純な給付の切り下げは困難 である、船員労働の特殊性を考慮する必要があるとの被保険者側の意見も踏まえつつ、 職務上年金部門の財政問題は、解決策を先送りすれば、今後も被保険者数が減少し続け た場合に対処が困難となるとの認識の下に、更に検討を進め、来年秋頃までに方向性を 取りまとめることとするということでございます。  3つ目の○でございますが、船員保険制度の長期的維持可能性や今後の在り方を検討 するためには、可能な限り様々なデータを公表し、それに基づく議論を行っていくこと が重要である。このためには、試算の前提について各委員の協力も得ながら議論を進 め、船員保険制度の各部門の将来の収支について様々な試算を行うことが必要であると いうことでございます。ここで、「試算の前提」と書いてございますが、主として船員 保険の被保険者数が、今後どう推移していくかということが一番の重要なポイントかと 思いますが、そういったことを念頭において書いておるということでございます。  4つ目の○でございますが、福祉事業について見直しを進めるとともに、事務の効率 化、運営に関する情報公開、適用の促進、保険料徴収率の向上など財政健全化に向けた 取組みを進める必要がある。  以上のような点を踏まえて、今後、更に検討を進めることとするが、議論を進めて行 くに当たっては次のような点にも留意が必要であるということで、次のページに何点か 留意点を掲げさせていただいております。  まず留意点の1つ目でございますが、職務上年金部門については、本検討会におい て、労災保険に準じた積立方式とする等の一定の前提で行った機械的な試算では、多額 の積立金の不足があることが明らかにされたところであるが、仮に被保険者数がこのま ま減少し続けるとすれば、将来、積立不足の解消のための余力が少なくなると考えられ ることを踏まえ、今後、積立不足額について更に精査するとともに、積立不足を早期に 解消する方策について検討する必要があること。  2つ目でございますが、職務上疾病・年金部門については、船員法との関連が密接で あること、一般制度に統合する場合は統合の在り方が一般制度である労災保険制度の給 付体系等に影響を与え得ることから、仮に統合する場合には船員保険制度の議論だけで なく、船員法及び一般制度である労災保険制度との関係を整理する必要がある(この検 討会における議論だけでは整理しきれないということもあり得る)ことということでご ざいます。  3つ目でございますが、失業部門及び職務外疾病部門の一般制度への統合を検討する ためには船員保険制度の議論だけでなく、一般制度である雇用保険制度及び健康保険制 度との関係を整理する必要がある(この検討会における議論だけでは整理しきれないと いうこともあり得る)こと。この2つ目と3つ目のポツに共通する点としまして、仮に 統合することになったとした場合に、この検討会だけで全部が決まることでは必ずしも ないということを、入念的に入れ込んだということでございます。  4つ目でございますが、福祉事業については、今日における事業の意義を十分に精査 した上で、なお必要と判断される船員に対する独自の事業については、仮に一般制度に 統合する場合であっても、引き続き事業を実施できるよう、今後の事業の在り方につい て検討が必要であることということでございます。  このペーパーの説明としては以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの資料4のペーパーに関する説 明につきまして、御質問あるいは御意見などがございましたらお願いをいたしたいと存 じます。山口委員、どうぞ。 ○山口委員  本日の議題にもありますように、議論の整理ということは理解しているのですが、こ のペーパーはどういう位置づけになるのでしょうか。議論の整理ということで、この検 討会、今日の場で、2枚目も含めて確認をすると、そういう位置づけなのかどうか。 ○岩村座長  小坂委員は同趣旨の御質問でございますか。別の趣旨でございますか。 ○小坂委員  違います。 ○岩村座長  それでは、まず今の山口委員の御質問に対しまして、事務局から御返答をお願いした いと思います。 ○武田医療保険課長  医療保険課長でございます。この検討会が始まりますときに御説明申し上げた点でご ざいますが、特別会計改革の中で経済財政諮問会議から各省庁に、年内にこの改革案を 決定せよという話がございました。それもありまして私どもとしては、そもそもこの船 員保険制度の今後の在り方についての問題点ということが意識されておりましたので、 検討会を発足させていただきまして、御議論をお願いしてきたわけでございますが、こ れまで、今日も含めまして3回議論をさせていただきました。また、その前には非公式 の場でございましたが、勉強会という形で議論をさせていただいてまいりました。この 年内という区切りでは本日が最後になりますので、現時点でどこまで議論を進めさせて いただき、またどこまで各委員の先生方の共通認識の到達点ということかを確認させて いただいて、来年いつになるかわかりませんが、経済財政諮問会議などに対して、私ど もとしてこの検討状況を説明申し上げなければならないと考えております。そのために も、現時点での、中間点での議論の到達点ということではなかろうかと思いますが、ま とめていただければ大変ありがたいというような趣旨で、この議論の整理をお願いして いるということでございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。今の医療保険課長のお答えにつきまして、山口委員、何か ございますでしょうか。 ○山口委員  実際、この検討会を立ち上げるときに、検討会設立の趣旨ということで、第1回のと きに御説明があったことも十分承知していますし、社会保険庁として経済財政諮問会議 に何らかの報告をする必要があるということも認識しています。ただ、今日のペーパー をいろいろ見ますと、これは私だけが感じているのかもしれませんが、かなり決めうち したような書き方になっていると感じています。  いずれにしても先ほどの説明で、仮に統合するとした場合はこうだということが中心 に書かれていますが、勉強会の中で何が問題なのかということを、それからこの勉強会 の延長線で、この検討会でもこれまでの議論といいますか、どういう意見があったかと いうのは紹介されていますが、だからどういう方向にしようということをまとめるの は、まだ時期尚早ではないかなと感じて先ほどの説明を聞いています。 ○岩村座長  ありがとうございました。先ほど小坂委員も手が挙がっておりましたので、まずその 前に小坂委員に御発言をお願いしたいと思います。 ○小坂委員  私の方はそもそも論ということよりも、表現の問題でございます。○の2つ目のとこ ろに、「これ以上財政負担は反対であるとの船主側からの強い要望や」という形で表現 されておりますが、他の船主団体は別にして、私どもは反対とは言っておりません。で きないという強い表現であり、要望するつもりもない。ですから強い意見、もしくはで きない。漁業界もしくは水産界はこれ以上の財政負担はできない、という強い意見を出 しております。少なくとも、勉強会のときから私どもは要望をしているつもりはありま せん。   ○岩村座長  それでは、今の小坂委員の御意見に対して、医療保険課長、よろしゅうございます か。 ○武田医療保険課長  要望ではなくて意見、というような御意見でしたので、ここは「強い意見」というふ うに書かせていただければと思います。 ○岩村座長  多分、船主側でもいろいろな御意見があって、今の小坂委員のような強い御意向もあ ろうかと思いますが、個別的に御要望を酌んで書き分けるというわけにも、この種のペ ーパーではいかないと思いますので、今医療保険課長からもお話がありましたが、「要 望」のところを少し表現を変えて「意見」というふうに書きかえるということでいかが でございましょうか。 ○小坂委員  話としてはわかりました。これは議事録に載せていただく必要はございませんが、私 どもの傘下からは現行の負担も下げろという強い突き上げがきております。ひとつよろ しくお願いします。 ○岩村座長  他方で、山口委員の方は、何か具体的に表現ぶり等で、書き改めるというようなこと で御提案がおありですか。それとも、そもそもの原則論のところでの話ということでご ざいましょうか。 ○山口委員  2枚目の話ではありません。要するにそもそもの原則の話で、この検討会を立ち上げ るということは、こういう背景があって、検討会で船員保険が今抱えている問題につい て、広く審議をしようということで立ち上がったことは承知していますし、それから何 らかの報告をしなければならないのだろうなということも理解はしています。これまで の検討会での論議の整理ということでいえば、1回目は船員保険制度の在り方検討会設 置の趣旨と、その前段の勉強会の経過報告が主だったというふうに私は理解していま す。それから2回目は、1回目で各委員から出された意見なり質問についての説明が中 心ではなかったかなと。3回目の今日は、先ほど御説明いただいた福祉事業の部分につ いての説明が主ではなかったかなということで、報告をするというのは、検討をしてい ますよということについて事実関係を、こういう意見があったということでの報告とし ては成り立つのではないかなと。逆にこのペーパーのように、はっきり言ってある程度 方向性を示すような取りまとめというのは、要するに2枚目には方向性が相当含まれて いて、もしかすると今後のこの検討会での議論に制約がかかる、要するにこの範疇から 出られないと、そういうふうにちょっと私としては受けとめているのです。 ○岩村座長  松井委員、どうぞ。 ○松井委員  山口委員の御懸念は私としてもわからないわけではないですが、そもそもこの検討会 というのは、統合するかしないかを決めるために、どんな問題点があるのかということ をきちっと整理する場であると、私は認識をしております。方向性が出ていると言われ る部分は、要するに「一般制度と統合するとしたら」と書いてある点で、もうそうなっ ているということでありますが、一般制度と統合した場合にどういう問題点があるのか ということを整理して、その上でどうするのかというのはまた次のステップ、あるいは この検討会で最終的に決めるべきことだと思いますので、それをなくして検討するなら ば、もともと検討する必要も私はないと思います。ここに書いてあるのはそういう方向 性というよりも、何々するとしたらどうだということになっていますので、それですべ て方向性が出ているということまで言われてしまうと、そもそもここの検討会そのもの がなくてもよかったということにまでなるのではないかと、私は思います。山口委員の 意見に対しては、私は今そう考えています。  それからもう一点、もしこういうふうに書くのであるならば、今後の進め方としてぜ ひやっていただきたいことは、今までは機械的試算ということでの示し方しかなされて いなかったのですが、一番の変動要因というか、変動のもととして基礎的な数値となり 得る被保険者数の推移について、今後どういうふうになっていくのかということを、今 まで勉強会の段階でも御議論はあったのかもしれませんが、それをきちっとやっていた だいて、それを踏まえて何ができるのかというのを、この場で検討していくべきではな いかと思います。  もう一点、これは私は最初のときに申し上げたのですが、1ページ目の2つ目の○の 一番下の行ですが、「来年秋頃までに方向性を取りまとめることとする」、これはこの 検討会の場ではいいのかもしれませんが、仮にこちらで統合すると言ったときに、受け 手の方が準備できていますよと言うかどうかというのは、甚だ私は疑問だと感じており ますので、仮にこういうまとめ方をするのであるならば、各関係する別の検討の場にこ の船員保険制度の検討会の状況を、中間的にでもお伝えをしていく。そういう両にらみ のやり方でないと、統合の結論が出た場合であったとしても、現実には機能していかな いのではないかと思います。  以上です。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。私、座長としましては、山口委員の御意見もわから ないではないですが、他方で今回のこのペーパーで、山口委員のおっしゃるような方向 性というのが強く打ち出されているかというと、私としてはそこまでは至っていないと いうふうには思っております。確かに2ページ目のところで4つの黒ポツがあって、読 みようによっては一定の方向というのを示しているかのごとくではありますが、ここで はいずれにしろそこは非常に留保をつけて注意深く記述されておりまして、むしろ今後 この検討会でどういうことを議論していくのかという、そのポイントが示されていると いうふうに私としては理解しております。ですので、何かここである特定の方向という ものが既に決まっていてということではないのではないかなと、そういうかなり注意深 い書き方になっていると考えております。  それから今、松井委員がおっしゃった点で、最後の2つの点ですが、いずれも重要な ポイントだろうと思います。特に、被保険者数の今後の見通しというのが、多分今後我 々がこの検討会で検討していく上で、非常にクルーシャルな問題であろうと思いますの で、その点についてはぜひ被保険者側、それから船主側で、なるべく精度の高い推計が できるような御協力をぜひお願いしたいと思うところでございます。  最後にやはり松井委員が御指摘になった点はもっともでございますが、これも2ペー ジ目の2番目の黒ポツ、3番目の黒ポツの括弧書きで記されているところでございまし て、他の関係分野の議論との連携なり整合性をとっていく必要があることは言うまでも ないことだと思います。その意味もあって、関係する厚生労働省の所管の方々にも出て きていただいていると、私の方では理解しているところでございますので、座長として もその点には十分留意しながら、今後検討を進めていきたいと思っております。  そのほか、いかがでございましょうか。堀委員、お願いいたします。 ○堀委員  内航総連は当初この検討会に入るにつきまして、3点申し述べてきました。  まず1点目は、先ほど船主側の委員からも出ましたように、財政負担はこれ以上でき ないと。それと、強い意見を出したと。といいますのが、内航総連は大小を含め4,000 社、数万人の組織ですが、零細企業は夫婦でやっている企業もございますので、これ以 上の負担には到底耐えられないと、こういうことを最初から申し述べてきました。これ が1点目です。  2点目が福祉部門で、船主が負担する部分だけですが、先ほど施設関係を縷々説明さ れました。それは全体の率から見ると130数分の6の部分です。内航総連の方は合わせ て130数分の2の業取分というんですか。今までどういうことをして、今後どうするん だという、この部分をはっきりしてくれと、そういう意見を述べてきました。これが○ の4点目の運営に関する情報公開云々と、こういうところに表現されているという前提 であれば、我々の主張がこの中に反映されたと理解します。  もう1点、これ以上保険料の負担ができないと。それぞれの部門部門の原資移動でで きないものかというのも、当初から主張していた点です。この部分については、今後全 体的に見直す中で再度論議のある部分だと思います。併せて、仮に統合されてもソフト ランニングでお願いしたいというのも、この中に含めていました。今後の論議の中でそ れが反映されてくるのであれば、3点申し述べました2点は明記されていますし、1点 につきましては入っているという前提で、内航総連としてはこの示された方法でやって いきたいと、そういうふうに考えています。 ○岩村座長  ありがとうございました。そのほか。どうぞ、龍井委員。 ○龍井委員  共通認識、それから到達点ということを言われたのですが、少なくとも私に関しては まだ実態を知らないということで、意見は全く控えてまいりました。それで、先程、松 井委員が言われたように、この場の位置づけそのものが統合の際の問題点の整理という のは、ちょっと決めつけすぎではないかと思っています。当然これは2枚目に出てまい りますように、言ってみればシミュレーションの一つということであって、そのことも やってみようという位置づけだと私は理解していました。  したがって、検討会としての共通認識として、対外的、ないしは先ほど触れられた財 政審や経済財政諮問会議にこのペーパーが提出されるという前提となると、今までの3 回で出されている議事録ふうの意見の整理では問題があるのではないか。この書きぶり では報告に値しないのかという、これは質問です。そういう文体上といいますか、整理 の仕方が、現時点では共通認識というにはちょっとまだ熟していないのではないかとい うのが率直な感想です。  と申しますのは、これはそういうふうに文章修正をお願いしたいという意味で申し上 げたいのではなくて、1ページ目の3つ目のところの1行目、「船員保険制度の長期的 維持可能性や今後の在り方を検討する」、ここではそのための試算の問題だけ触れられ ていますが、私はそうではなくて、その次の○にあるような未納問題であるとか、ある いはまさにシミュレーションとしては対象範囲の検討とか、多分この制度そのものの持 続可能性というにはもっともっと論点があると思っています。今までの検討の場でも、 単純にここで示されているようなある種の方向、統合と言われている方向がすべての問 題解決にならない、あるいは技術的に難しい、あるいはコスト抑制にもならない部分も あるということで、それぞれ単なる問題点ということだけではなくて、まさにシミュレ ーションとして議論がされていたんだと考えています。今後の方向性をもしもこの中で ある程度、整理をするとするならば、そういう他の検討事項についてももっと付加をす べきだと思いますので、それを今日突然申し上げて今日の段階で入れ込むというのがま さに時期尚早かなと思っています。  ここで文章整理をされて間に合うという性格ではなくて、そういう今後のシミュレー ションの方向については、もっと議題として挙げていただいて議論をして、まさに共通 認識になるんだというふうに思っています。1月というのがどういうタイミングか知り ませんが、今ここで共通認識というのはちょっと時期尚早ではないかと思っていますの で、日程の調整も含めて検討をお願いできればなと思っています。 ○岩村座長  2つありましたですね。それで、1点目については事務局でお答えいただいた方がい いのかと思いますが。すいません、もう一度お願いできますか。 ○龍井委員   文体と整理の仕方でございます。 ○岩村座長  今までの議事録の取りまとめということでは無理なのかという、そういうお話でござ いましたね。その点、いかがでございましょうか。どうぞ、小坂委員。 ○小坂委員  私は堀委員と同じで、大筋これで結構だと思っております。ですから、そういう意味 からいきますと、龍井委員の御質問というか御意見とは、真っ向からとは言いませんが 相入れない部分があります。そういう中で、ペーパーの2枚目の黒ポツの中で、そうい う留保の部分を明確に書くというようなことであるならば、それはそれでよろしいかと 思います。といいますのは、第1回から、仮に一般制度に統合するとした場合の問題点 というようなことも議論をしていくという前提で、日程的なものまで打ち合わせて今日 まできたと思います。時間が足らなかったとか何とかということであるならば、それは それで回数を増やしていくべき問題であって、我々の方は傘下にもタイムスケジュール とともにこういうような話は逐次しております。そういう意味で、ペーパー上のいろい ろな留保条件といいますか、今後の議論の余地を盛り込むことに対しては異論はありま せんが、相対的に私はこれでよろしいのではないかと思っております。 ○岩村座長  ありがとうございます。それでは、ペーパーのありようについて、龍井委員の前段の 御質問について事務局でお答えいただければと思いますが。 ○武田医療保険課長  はっきりお答えができるかどうかあれですが、このペーパーのまとめ方について、方 向性がはっきり出過ぎているのではないか。また、現段階で共通の理解まで達していな いのではないか、という御指摘をいただいております。私どもがこの検討会を始めまし たときに、大まかなスケジュールをお出ししながら議論させていただきましたが、対外 的には年内に結論をと言われている中で、私どものこの検討会の熟度といいますか、現 段階においてはっきり結論を出すところまで議論が詰まっていないという点は、十分配 慮したつもりでございます。一方で、それでは現段階でどこまでが共通理解に最大限書 けるかという点を、悩みながらまとめてみたつもりでございます。  そういう意味で申し上げますと、一つは今船主側の意見からも出ましたように、これ は勉強会当時から、仮に一般制度に統合するとした場合という問題設定は、かなりはっ きり出して議論してまいりましたので、この一般制度への統合を念頭に置いた議論をす る点でございますとか、それからどういう点に問題があるかという点につきましては、 現段階でこのような整理をすることは、必ずしも従来の議論から外れているというとこ ろまでは至っていないのではないかと思って、原案をつくらせていただいたわけであり ます。  それで、むしろこのペーパーをつくるときに念頭に置きましたのは、この種の議論を いたしますときに、船員保険制度について過去何度も議論があったということも考えま すと、単に結論を全く出さないで先送りするということではなくて、こういう論点につ いて議論をしていくのであると。それから真剣に議論するというような点について、少 なくとも私の理解では皆様方に御理解をいただいているのではないか。それもあって、 3回の議論に積極的に御参加いただいたのではなかろうかという認識のもとに、決して 結論は書いておりませんが、これまでの議論を集約する形で書いてみたということであ ります。  その前の発言に若干コメントさせていただきたいと思いますが、一つは堀委員から1 ページ目の4つ目の○について内航総連として出した意見、業務の取扱部分の関係の保 険料の負担の使い方といいますか、我々の業務執行部分についての意見は反映されてい るのかということでございますが、まさにここについて福祉事業の点のみならず、適用 促進、保険料徴収率の向上といった、適用、徴収の課題も含めて書かせていただいたつ もりでございますので、これはおっしゃるとおり御意見を尊重して書かせていただいて おります。  それから、それぞれの部門の原資の移動ができないのかというような御指摘もござい ましたが、これは今後の議論を進めていく中での論点の一つとして取扱わせていただき たいと思います。といいますのは、法律上は実は船員保険制度につきまして、勘定区分 というのは設けられておりません。一つの勘定の中で業務上疾病、業務外疾病、失業部 門というふうな形で、我々は便宜上区分をして議論させてきていただいております。こ れはそれぞれの部門の積立金という形で整理をしておりますが、移動が可能かどうか、 法律論またはここにお集まりの関係者の御意見というようなことにかかわってくると思 いますので、現段階で確定的にできるともできないとも申し上げにくいのですが、今後 の論点の中に加えさせていただければと思います。  その上で、今、龍井委員から御指摘がありましたような、単なる機械的試算だけでは なくて、対象範囲も含めていろいろな試算があり得るのではないかという点につきまし ては、文章上今すぐ何をということではありませんが、これも今後の論点の中で議論の 一つとしてさせていただければと考えます。ただ、それがこの1ページ目の4点といい ますか、5点といいますか、ここの○を今日まとめないというところまでの御意見かど うかということにつきましては、もし今後の論点として当然そういうことを議論すべき だというようなことであれば、その御指摘を我々は受けとめて、来年の審議につなげる ということで御了解いただければ、私どもとしては大変ありがたいということを申し上 げたいと思います。  それからもう一つ、対象範囲をもし仮に変えるということになりますと、私ども船員 保険の対象範囲というのは、船員法の対象範囲と極めて密接な関係がございますので、 そちらの方の議論にも関係する可能性があるということを、一言つけ加えさせていただ きたいと思います。  以上でございます。 ○岩村座長  時間も押しておりますが。では、どうぞ、国土交通省から。 ○後藤船員労働環境課長  船員法の件で今事務局からコメントがございましたが、まさに対象範囲の件は船員法 と密接な関係があるということを、ちょっと確認させていただきたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。時間も押しておりますので、龍井委員の御指摘について は、例えばということでありますが、今医療保険課長からもお話がありましたように、 今後の議論へ多分多くの点はつなげられていくだろうと思いますし、ここで挙がってい る論点が今後議論するすべてだということでもないのだと思います。ですので、例えば 1ページ目の下から2行目のところで、「以上のような点を踏まえて」とありますが、 以上のような点を踏まえつつ、今後、他の論点なり他の視点とか、そういったものを何 か入れて、それも加えつつとか、文案が今パッと浮かびませんが、そういうような形 で、「更に検討を進めることとするが」という形でつなげていただくことによって、次 回以降、来年以降、議論していく過程で様々なことももう少しほかに広げて考え得ると いう、そういう趣旨を盛り込むこともできるのではないかと思います。  そして、ペーパーの体裁については、先ほど医療保険課長からも説明がありましたよ うに、多分外の、つまりこの検討会だけではなくて、外との関係を考えたときに、具体 的な中身までは至らなくても、ある程度対外的にここまでやっていますという説明がつ くスタイルでないと、恐らく我々の今後の議論にとって、マイナスに作用する可能性も 懸念されるようにも思います。ですので、もしできましたら今ちょっと申し上げました ように、1ページ目の一番下から2行目のところで若干加筆をさせていただいて、私も 別にこれでクローズドな議論をするという趣旨のペーパーではないと思っているところ でありますので、もう少しその趣旨が出るような形にした上で、この文案で今日取りま とめさせていただくということではいかがかと思いますが、いかがでございましょう か。 ○小坂委員  今、座長の御指摘のとおりで私どもは異議はありません。もし細かい文章上の表現等 がございますならば、私ども船主4団体は船主協会の事務局を中心に、座長と組合側と やっていただければよろしいかと思います。よろしくお願いします。 ○岩村座長  どうぞ、藤澤委員。 ○藤澤委員  私も今日初めて参加させていただきまして、これまでの経緯、またここの検討会の役 割といいますか、目的といいますか、そういったところの理解が随分深まってきたと考 えております。  私どもの委員が言っていますのは、このペーパーを見たときに、この報告書なり検討 会の取りまとめの扱い方が、ひとつ理解しがたいと感じた側面があったからです。それ で、今座長の方からブレークダウンして、この位置づけなり考え方なり扱い方なりいろ いろ整理をしていただきました。我々としては、そういうことを明確にしていただけれ ば、検討会は重ねていくわけでございますから、当初危惧したような、これがもうこの 検討会における意見の取りまとめだという位置づけでは決してないと。また、それが一 つの方向性だけを持って今後の検討会を進めるわけではないんだと、こういうことだと 思います。  それから、船主側が言われていますように、果たして一般制度と統合そのものが船主 側の負担を軽減することになるのかならないのか、まだまだいろいろな課題もあるわけ でございますから、ここは限定的に取りまとめをするのではないんだというような座長 のお話がございますので、そういった方向でございましたら、我々も必要な部分があり ましたら、事務局の方にも御相談しますし、また座長の方にも相談をして、こういう方 向で取りまとめていくということについては異存がございません。 ○岩村座長  どうもありがとうございます。いずれにしても、このペーパー自身にも、この1ペー ジの一番下にありますように、更に検討を進めるということでございまして、来年また 委員の皆様方には御苦労をいただかなければならないところではありますが、現段階で は、これは一定の議論の整理という位置づけだというふうに御理解いただいてよろしい のかと思います。もちろん、最終的には何らかの方向性を出さなければ、この検討会と しての役割は果たせないということでございますので、それについては来年新たにまた 真摯な議論をぜひお願いしたいと思いますが、今日の段階では先ほど私の方で申し上げ させていただいたような、若干の修文を加えることによって、議論の整理のこのペーパ ーについて御了解をいただければと思います。  そして、正確な文章につきましては、私と事務局でまず詰めさせていただいて、その 上で被保険者側、船主側に御相談させていただくということでよろしゅうございましょ うか。事務局、よろしゅうございましょうか。 ○武田医療保険課長  今の座長のお話のとおり取り計らわせていただきたいと思いますが、せっかく今座長 から文案をいただきましたので、私の方で今ちょっと整理をいたしまして、例えばこの ような形でどうかと思いますが。1枚目の最後でございますが、「以上のような点を踏 まえつつ、これ以外の視点についても議論を行いながら、今後、更に検討を進めること とするが」、座長の御趣旨はこのようなことではなかったかと思いますので、よろしけ ればこのような形で原案をつくりまして、座長と相談の上、各委員に改めて文案を送付 して御意見をいただきたいと思います。 ○岩村座長  今、原案という形で医療保険課長の方で文案をつくっていただきましたが、おおよそ 私の言いたかったことは今ので尽くされていると思いますので、文案をつくった上で、 今医療保険課長が言いましたように、改めて委員の皆様方のところにお届けさせていた だくと。それで年内、もう押し迫っておりますので、もしその文案について何か御意見 があれば、いつまでというのはいかがでございますか。 ○武田医療保険課長  何とか宿題なしに新年を迎えたいので、私どもの営業日が28日までとなっております ので、それまでの間にはぜひよろしくお願いしたいと思います。 ○岩村座長  そうしますと、文案自体は今日確定できると思いますから、早急にお配りして、ごら んいただいて、御意見が何かあれば27日の午前中までに、事務局まで御連絡をいただく というふうにさせていただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。 ○内波船員政策課長  文案の方はそういうことでよろしいと思いますが、文案の確定後、事務局としてある いは厚生労働省としての対外発表はどのようになされるのか。対外発表や経済財政諮問 会議等への報告の際には、事前に各委員の方に報告内容の確認というものがあるという 認識でいいのか確認させて頂きたい。 ○岩村座長  そこは事務局の方はいかがですか。何かお見込みがございますでしょうか。 ○武田医療保険課長  基本的に公表の場で議論しておりますので、検討会として意見がまとまれば、もちろ んその段階以降は公表扱いということに、このペーパーの扱いとしてはなると思いま す。一方で、今御指摘にありました経済財政諮問会議その他対外的にどういうような説 明をするかにつきましては、必ずしもこの検討会の先生方に事前に御相談をしなけれ ば、行政側が説明できないということではなかろうと思います。私どもとして、ここの 場での議論を踏まえた説明をしていきたいとは思っておりますが、ここでの議論を超え るような説明は、事実に反する説明は控えるのは行政として当然でございますが、具体 的にどのような資料でどのような内容でということになりますと、これは行政の業務と してやらせていただきたい。それで、その点につきましては、次のこの検討会に間に合 えば、またその次の次になるかもしれませんが、御報告を申し上げたいと思います。と いう扱いでもしよろしければ、御了解いただければと思いますが。 ○岩村座長  多分財政諮問会議等への扱いについては、今医療保険課長から御説明いただいたとお りだと思いますので、説明後に、この検討会の場で報告の内容について御説明いただく ということでお願いしたいと思います。  それでは、恐縮ですが……。どうぞ、三尾委員。 ○三尾委員  大体この文章は、今課長が言われたような文章でおさまるところにおさまるというの で、最初当方からいろいろそもそも論の中で言っていたので、そこのところはあえて言 わなかったのですが、2枚目の2番目のポツで、職務上疾病・年金部門については、 「仮に統合する場合には」という表現があります。3番目の失業部門及び職務外疾病部 門については、「仮に」という言葉はなくて、「一般制度への統合を検討するためには 」と書いてありますが、この辺の意味合いの違いは何かあるのですか。そこだけちょっ と確認しておきたい。最初にここの論議に入る前提では質問するのは控えておったので すが、それだけはちょっと確認しておきたい。 ○武田医療保険課長  私どもとして、少なくとも現段階におきましては、ここの部分の表現を変えなければ ならない具体的な理由はございませんので、御指摘を受けた点につきましては、文章表 現の統一をさせていただいた方がよろしいかと、修文をしたいと思います。申し訳ござ いませんでした。したがって、3つ目のポツにつきましても、「仮に統合する場合には 船員保険制度の議論だけでなく」というフレーズを書き込むということで御了解いただ ければ、そのように整理をいたしたいと思います。 ○岩村座長  よろしゅうございましょうか。 ○三尾委員  特別な意味はないということですね。 ○岩村座長  それでは、そのような修文も加えた上で、先ほどの1ページについての修文と併せて 各委員に早急に、事務局の方は御苦労さまでございますが、お示しいただくようにお願 いしたいと思います。その上で、先ほど申し上げたとおり、もし御意見があれば、27日 の午前中までに事務局の方にお伝えをいただければと存じます。  今日は長い時間どうもありがとうございました。今日の検討会はこれで閉会とさせて いただきます。なお、次回の日程につきましては、事務局から後日連絡をさせていただ きたいと思います。今日は本当に長い時間どうもありがとうございました。                                     <了> 照会先:厚生労働省保険局保険課企画法令第2係     (代)03−5253−1111(内線)3250