04/12/24 国際協力事業評価検討会(第4回労働分野)議事録 国際協力事業評価検討会(第4回労働分野) 1.日時 平成16年12月24日(金)10:00〜12:00 2.場所 厚生労働省共用第8会議室 3.出席者 【会員】  吾郷眞一会員(九州大学大学院)             今野浩一郎会員(学習院大学)             城内博会員(日本大学大学院)             末廣昭会員(東京大学)             野見山眞之会員((財)国際労働財団)             小野修司会員代理((独)国際協力機構)       【専門会員】片淵仁文専門会員(厚生労働省)             角井伸一専門会員( 〃 )             佐々木邦臣専門会員( 〃 )             縄田英樹専門会員( 〃 )             西田和史専門会員( 〃 )     【オブザーバー】田代治徳((独)雇用・能力開発機構)             中井修((財)海外職業訓練協会)             齋藤文昭(中央労働災害防止協会)             田口晶子(ILO駐日事務所)             山崎一雄(厚生労働省)        【事務局】村木国際課長、福田室長、釜石補佐、今井補佐、細川専門官                                   〔敬称略〕 4.議事 ○釜石補佐  定刻を過ぎましたので、ただ今より国際協力事業評価検討会、第4回労働分野の会合 を開催させていただきます。当方の村木課長は所用で遅れて参る予定です。  初めに、人事異動等によりまして本日初めてご出席いただきました会員、専門会員、 オブザーバーをご紹介させていただきます。会員の独立行政法人国際協力機構の松岡理 事の代理として、人間開発部小野第2グループ長です。新任専門会員として職業安定局 雇用政策課の角井中央雇用計画官です。オブザーバーとしてILO駐日事務所次長の田 口晶子さんです。なお、本日は中村正(財)日本ILO協会会長はご欠席とのことで す。  続きまして配付資料の確認をいたします。「議事次第」、2枚目が「検討会出席予定 者」、「座席図」、資料1として「第3回検討会議事録」、資料2として「第3回検 討会における指摘事項と対応資料及び回答(案)」です。資料3として「雇用・能開分 科会における評価試行状況」、資料4として「労使関係・労働基準分科会における評価 試行状況」、資料5として「ILOを通じた技術協力に係る指摘事項及び回答(案)」 です。資料6として「ILO/日本マルチ・バイ・プログラムに対する厚生労働省国際 課の方針について」です。資料7は「労働分野の国際協力事業の改善の方向性について (論点案)」です。  参考資料1として、「経済産業省の政策評価について」、参考資料2として「国際協 力に携わる労働分野の人材について(論点案)」、参考資料3が「労働分野の一国への国際協 力の例」ということでインドネシアの例を出しています。  不足がございましたらおっしゃっていただきたいと思います。ないようでしたら、吾 郷座長、以降の進行をよろしくお願いいたします。 ○吾郷座長  早速議事に入りたいと思います。「第3回検討会における指摘事項」について事務局 から説明をお願いします。 ○釜石補佐  第3回検討会の議事録を資料1に取りまとめています。厚生労働省のホームページに も掲載しています。  次に第3回検討会での指摘事項と対応資料、回答(案)を一覧にしたものが資料2で す。なおILO/日本マルチ・バイ・プログラム関係の指摘事項と、その回答(案)につい ては資料5に別途取りまとめています。まず、コンディショナリティについてのご指摘 が末廣会員からございまして、当方から回答し、吾郷座長からもご指摘をいただいてい ます。事務局コメントは、コンディショナリティの定義について理解が不足していまし たが、コンディショナリティの技術は参考とさせていただきたいというものです。  国際協力に携わる労働分野の人材育成については、中村会員からは意欲も大事ではな いかという意見がありました。また、対象国のニーズや状況に応じた能力も大事であ る。あるいは日本の協力を受けた現地の方々も協力の人材として考える必要があるので はないかというご指摘です。人材育成の関係で、労働分野の人材の枠組みを専門家な ど、個人だけではなくネットワークにまで広げて検討をしてはどうか。また、キャパシ ティの高いNGOをどうやって見つけて、どうやって連携するかといった問題、あるい はローカルスタッフの関係についてご指摘がありました。  松岡会員からは、これまでに日本の協力を受けた方々から、日本に何を求めてるかを 十分に聞いた上で、これからの人材育成や戦略を考えていく必要があるのではないか。 今野会員からは資質を考えるのか、ポートフォリオを考えるのかという問題の整理が必 要ではないか。あるいは労働分野のODAが今後、どのような状態になっているのかを 想定しないと、人材需要は予想できないのではないかというご指摘をいただいていま す。  前回の検討会でも、今後議論を深めていくということで話をしていましたが、事務局 としては、まずは日本人の人材について検討をして、その後現地の人材の活用とか、ロ ーカルスタッフとか、NGOといったことも検討を広げていけるようにできればと考え ています。  また、ポートフォリオの関係についても、当方の理解が正しいかわかりませんが、ど の分野にどういった資質の人材が必要かという整理などをして、検討ができればと思っ ています。人材需要の点については、中長期的なことを予測しつつ検討を進めてはどう かと考えていますが、これもちょっと時間がかかるのかなと考えています。以上です。 ○吾郷座長  第3回検討会における指摘事項及び事務局からの回答について、説明をいただきまし たが、ご意見がありましたらお願いいたします。よろしければ次の議題に行ってよろし いでしょうか。議事3に入ります。「雇用・能開分科会における評価試行状況」につい て事務局から説明をお願いします。 ○釜石補佐  第3回、前回の検討会で、分科会の座長に就任いただいた野見山会員から、9月22日 に開催されました第1回雇用・能開分科会の開催状況をご説明いただきましたが、その 後、事務局では指摘・質問事項と回答及び作業(案)を取りまとめ、また、PDMなど を修正いたしました。遅くなって恐縮でしたが、指摘・質問事項と回答及び作業(案) とPDMの修正版については、先週、分科会会員に送付させていただきました。  評価の試行の対象としたILO/日本 中国雇用促進プロジェクト(PEP)につい てまとめたものが別紙の5です。これは日本がお金を出してILOアジア太平洋総局が 実施しているもので、都市部のレイオフ労働者(国営企業の民営化による離職者)等の 起業を支援することによって、雇用を開発していくモデル事業です。中国の河北省張家 口市、吉林省吉林市、内蒙古自治区包頭市の3市において、2001年4月〜2005年3月ま での期間で実施しているものです。  起業家支援の流れについては別紙5の次頁のとおりです。レイオフ労働者などに起業 の訓練(SYB訓練)を実施し、その後、事業計画書を提出させて投資会社(CGC) が信用保証をする。その信用保証を基に市中の銀行に行き、銀行ローンを受けるという ものです。各段階で起業、事業運営について相談援助(フォローアップ)を行っていま す。  実際にどのような作業をしたかというと、まず計画・立案については、別紙2です。 ここには雇用・能開分野の問題系図という細かい表が載っています。次頁が雇用・能開 分野の目的系図、そして参加者分析となっています。まず参加者分析でターゲットグル ープを確定して、それから中心問題を決定して、その問題系図を作っています。  別紙2(1)の問題系図ですが、国営企業の民営化に伴い失業者が増大するということ を中心問題に据えています。ここには「国営企業の国営化」と書いてありますが、「国 営企業の民営化」と修正いただければと思います。この問題系図を基に、こういう問題 がなくなる状態とそれを導くための手段について記述したのが目的系図で、次頁にある 別紙2(2)になります。  別紙2の(4)がプロジェクト選択で、いくつかアプローチが考えられる中から2番の 総合起業・事業拡大支援アプローチを採用しています。別紙の(5)がそれを基に作成し たPDMです。これは分科会でのご指摘により、プロジェクト・ドキュメントを忠実に PDMに書き込むということで、当初の計画を基にしているのでPDM-0という整理に しています。以上が計画・立案の試行状況です。  次に別紙3(1)がPDM手法による評価で、PDMを基に評価のためのPDMである PDM-eを作っていたのですが、ご指摘を受けて直したのが赤字で示している所です。 先週お送りして、またご意見がありましたので、その結果を踏まえて再修正していると ころが青字の所です。PDM-eというのは、プロジェクトが何を目指していたのかを示 す評価の基軸となるものという位置付けだそうです。ここで問題になっているのは指標 についてで、制度づくりがプロジェクト事業の目的となった場合に、その指標はどうい うものがいいのかということで、事務局では法令の整備だとか、通達の発出だとか、予 算措置の状況などが考えられることを提案していますが、本当にそれでいいのかという 問題もまだあるかと思っています。  プロジェクト目標については、「パイロット都市でILO式起業支援システムが自立 的に実施される」ということで、その指標としては「終了時にすべてのパイロット都市 において、プロジェクト開始時に比べて、訓練修了者のうち起業成功者の確立がX%を 維持する」と、一定割合を維持するというのを新たに加えています。また、「起業後2 年以内の閉業率がX%以上減少する」ことを指標にしています。中国政府が雇用対策と しての起業支援の有効性を認めて、このような雇用対策をとることについては、上位目 標及びその指標ということで整理しているものです。  分科会では、評価の5項目に従った調査項目、現在どこまでどのような活動をしてき たかという実績表も出していたのですが、今回は出していません。調査項目について は、現在、ILO側で事業の終了に向けて最終評価を準備しているのですが、その質問 票を基にさらに修正などを行おうと考えているところです。実績表については、また修 正をしてお出しできればと思っています。  資料3の別紙4は今後のスケジュールですが、雇用・能開分野については、その評価 デザインを確認、修正などをしてから評価につなげていく。そして年度内に取りまとめ をして、4月以降に予定している第2回目の分科会で、再度議論ができればと考えてい ます。なお、労使関係・労働基準分野についても、同じようなスケジュールで3月中に 結果を取りまとめて、4月以降第2回目の分科会を考えています。以上です。 ○吾郷座長  雇用・能開分科会の評価試行状況について説明を伺いました。ご意見を頂戴できれば と思います。 ○野見山会員  最後にご説明のあったPDM-e、いろいろ修正されたのですが、要は起業家支援プロ ジェクトが成功したかどうかを評価するわけですが、外部条件として挙げられているの は、要するに目的がうまくいかなくなりそうな外部条件といいましょうか、それがいわ ば中核になっているように思うのです。例えば最近の中国の状況を見ますと、経済成長 率が相当高くて、そういう中ではかなり起業、私は実績を見たわけではありませんが、 新しい起業化傾向といいますか、起業、立ち上がりがかなり多いのではないかなと思う わけです。  そうすると起業の増大、経済環境条件がよくて増えてきている要素が、このPEPプロ ジェクトが果たした役割が一体どの程度の効果があったのか。あるいは経済状況の良い 中でさらに促進されたと考えるのか。あるいは一般的な経済環境が良い中で、このプロ ジェクトは埋没したのかどうか。プラス要素がどの程度あったかという数量評価がどこ までできるかはわかりませんが、そういう意味の外部条件は、このプロジェクトへの影 響効果というものを、ある程度勘案することは必要なのかどうか。あるいは入っている かはわかりませんが、そういう辺りが検討される必要があるのかなという感じがしてい ます。 ○吾郷座長  ご自由にご発言ください。 ○釜石補佐  ILOの担当者とはコミュニケーションをとっていく必要があろうかと思います。中 国の経済成長は沿海部で大きく伸びている、一方で内陸部とか周辺部では伸びていない ということもありますが、PEPプロジェクトがどの程度影響を及ぼしているかは、や はり考えていかなければならないかと思います。 ○ 吾郷座長  分科会委員の先生方、他に補足意見ないし、ご意見いかがでしょうか。 ○野見山会員  これはコメントというよりも、この回答なり今後の作業を拝見しまして、非常に網羅 的にカバーをしていただいて、今後の作業に我々の意見が反映されているのではないか と思いましたので、基本的にはこれで結構だと思います。 ○吾郷座長  よろしいでしょうか。それでは、次に「労使関係・労働基準分科会における評価試行 状況」に移りたいと思います。ご説明をいただきます。 ○釜石補佐  資料4です。第1回労使関係・労働基準分科会については、11月5日(金)に、国際 課の会議室において開催しました。その結果概要については別紙1に取りまとめていま す。日時について、11月6日となっているのは間違いで、11月5日です。  ASEAN労使関係プロジェクトについて、評価の試行を実施しています。分科会に ついては、具体的にどのような手法で評価を試行するかは、第2回検討会でも議論され ていなかったところで、まずFASID(財団法人国際開発高等教育機構)のPCM (プロジェクト・サイクル・マネジメント)手法に従って、事務局が主体となってAS EAN労使関係プロジェクトの評価を試行することとして、そのデザインなどについて 分科会に助言を求めるというやり方にすることで、合意していただきました。安全衛生 分野についてはその後ということで、当面は試行しないことになっています。  ASEAN労使プロジェクトがどういうプロジェクトかについては、資料4の別紙5 を参照いただければと思います。ASEAN労使関係プロジェクトの支援事業は、日本 ・中国・韓国の3カ国が初めて参加した2001年5月のASEAN+3労働大臣会合にお いてASEAN諸国側より日本へ協力要請があり、2002年度から2004年度までの3年計 画で支援を実施しています。プログラムの目的はASEAN各国の政労使指導者の対話 ・交流と経験・情報の共有を促進する。そして域内、特に後進国であるカンボジア・ラ オス・ミャンマー・ベトナム(CLMV国)の労使関係の安定、それから我が国の国際 的相互理解の促進としています。  事業概要は予算の関係上2つに分かれていまして、プロジェクトを実施するための日 ・ASEAN協力委員会開催、日・ASEANの専門家による実地調査、プログラムに 対する評価ミッションの派遣から成る政府支援事業と、実際に労使関係安定のためのセ ミナー、あるいはASEAN地域政策ワークショップの開催という部分があります。  その3年間の流れについては一番最後の別紙5(2)「ASEAN労使関係プログラム への3か年支援スキーム」をご覧いただければと思います。最初に日・ASEAN協力 委員会及びプロジェクトデザイン会合を開き、カントリーレポートを作成してもらっ て、地域セミナーにつなげる。2年目以降は地域ワークショップを開いて、その後、C LMVの4カ国については、フォローアップあるいは次の準備のための国別セミナーを 開くという形で実施してきています。現在のところ、一番下の「ASEAN地域政労使 総括セミナー」と「日・ASEAN協力委員会」を残すだけとなっています。CLMV 諸国に対する国別の総括セミナーは11月中に終了しています。  PCMの手法による計画・立案の試行の状況は別紙3です。これも雇用・能開分科会 の資料と同じように別紙3(1)の問題系図から作成しており、中心問題は「労使関係を 協力して改善する必要性を政労使指導者が認識していない」ということに設定していま す。目的系図は別紙3(2)で、中心目的を「労使関係を協力して改善する努力の必要性 をASEAN諸国の政労使指導者が認識する」ということにしています。  別紙3(3)は参加者分析ということで、受益者、潜在的反対者、実施者、決定者、財 政負担者として考えられるものを挙げています。  別紙3(4)がプロジェクト選択で、そのアプローチをいくつも考えた上で「政労使指 導者啓発アプローチ」を選んでいます。これらを基に作ったPDMが別紙3(5)です。 ご指摘を受けて修正した所が明るい赤字で、鈍い赤字はポイントと思われるため色を変 えて示しております。  資料4の別紙1のほうに戻りますが、分科会ではプロジェクトの開始後に計画・立案 の手法であるPCM手法によりPDMを作るという難しさや、参加型を特徴とするPC M手法で事務局だけで作成したことにより、コンセンサスがなく不明点が多いため、意 見がたくさん出たところです。ご指摘いただいた事項、それから回答事項については別 紙2に取りまとめています。その中の主なものを結果概要の3(1)以降でいくつかま とめているのですが、プロジェクト選択については、労使が何のモチベーションもなく コミュニケーションをするというのは難しいため、労使関係の重要性とそのためのコミ ュニケーションの重要性の認識が大事であって、政労使指導者の啓発のアプローチが有 効ではないかというご指摘がありました。それはまさにそうだと考えています。(2) 上位目標については「労働争議が減少する」というのではなくて、「労使関係が安定す る」がいいのではないかということで、これもご指摘のとおりだと考えて修正していま す。(3)プロジェクト目標については、別紙5で説明したように、プロジェクトの概 要資料の方では「労使関係の安定」を目的としているけれども、PDMの方では「労使 関係法制度等の改善の必要性の認識」ということで、コアな問題とプロジェクトの目標 が一致しないのではないかというご指摘もありました。これについては、3年間という 限定された期間でどこまでやれるかを考えると、認識までではないかと思われ、認識に 止めたものですが、更に「認識をする」というのと、指標の「ASEAN地域活動プ ログラムの策定」とか、「労使関係に係る提言の採択」というのは、指標と目標が合わ ないのではないかというご指摘がありまして、「認識するとともに、改善対策を協働し て進めることを決定する」というふうに具体的にしました。  次に(4)指標につきましては、数値的なものが客観的で望ましい、ただ制度も指標 となり得るというご指摘がありました。JICAからは、JICAの場合セミナーの開 催は「研修員の報告の中身が充実しているかどうか」、研修の場合は「帰国してからア クションプランを、それぞれの研修員が作る」ことを指標としているという発言がござ いました。あとは書いてある通りなのですが、(5)その他で、評価をするには、その 分野とプロジェクトそのものをよく知っている人でないときちんとできないのではない かというご指摘もありました。また、プロジェクトの評価にはなかなかカウンターパー ト自身の意見が入ってこないというご紹介もありました。  その他、政策評価についてだとか、第4回検討会の内容の先取りの話につきまして は、議論を行う時間がなく行っておりません。今後のスケジュールについては、PDM の改正案をメールで会員及び専門会員にお送りしたところです。  分科会のほうでは評価のほうも話が出ているのですが、一応別紙の4がPDM-eとい うものになっています。計画・立案のほうではPDM-nという形で整理していますが、 PDM-nというのは当初PDM-0(ゼロ)を作り、その後プロジェクトの活動が当初から いろいろ変わったりしたものを盛り込んで、n回目の改正ということでnとしているの ですが、それを基にPDM-eを作っています。どこが違っているかというと、指標をも う少し具体的に設定し、成果のところで「セミナー参加者の8割が知識・経験の共有が できたと評価する」とした点です。  別紙4(2)が実績表です。今のところ順調に協力委員会の開催だとか、国別の国内セ ミナー、地域セミナー等を実施していると書かれています。先ほど説明いたしましたよ うに、このプロジェクトについては政府支援事業の中で評価を行うこととしています が、これは当方ではなくて、ASEANコンサルタントであるフィリピンの大学の先生 にお願いしております。その段階では当然、当方も関与するのですが、その評価のため の調査票の作成に、分科会で配布しました調査項目を適用して、地域政策ワークショッ プなどへの出席者に調査票を送付しておりまして、現在回収中です。そのようなこと で、今後、1月以降ですが、ASEANコンサルタントと協力して、本プロジェクトの 評価を実施することになります。雑駁ですが以上です。 ○吾郷座長  ただ今の労使関係・労働基準分科会における評価の試行状況について、ご意見をいた だきたいと思います。 ○末廣会員  私は労使関係分科会の委員ではないので、差し出がましい意見になるかもしれません が、お許しください。まず、労使関係の安定の指標として、「ストライキ発生件数」と いう指標が妥当かどうか。これは国によって随分実態の把握が違います。例えばタイの 場合ですとストライキというのはほとんどありません。それとは別にlabour disputeで 係争が計上されています。これも通貨危機の後は解雇を恐れて、ほとんど生じない。そ の代わり労働裁判所に対する不当労働行為の申請は1万件から2万件以上に非常に急増 しました。そういう意味では「ストライキ件数」といった特定の指標に限定しないほう が、私はいいように思います。  問題は、ILOも労働政策研修・研究機構も、アジア諸国の労働統計をきちんと整備 していない点にあるかと思います。日本にはエリアスタディの立場から各国別の研究を 進めているアジア経済研究所がありますが、そこでさえも労働関係はおそらく資料収集 が最も遅れている分野であろうと考えます。ということで、今後こういうプロジェクト を進めるためには、最も基本的な作業として、アジア諸国の労働統計を体系的に整備を して、そのための予算的措置をきっちり取る機関の存在が必要ではないかなというの が、以前からの私の感想です。  労働統計の場合には、数字を正確に読み取っていくためには膨大な脚注が必要でし て、簡単に英語で書かれている同じ項目だから、各国ごとに横並び比較できるというこ とではない。1個1個の統計数字について、どういう条件の下での調査の結果であると か、どういう定義でやっているのか、注意深く吟味する必要がある。例えば失業率1つ をとっても、発表機関によって全く違う数字が過去に出ています。ですから、要望とし ましては是非どこかの公的機関が、ASEANだけではなくてアジア各国の労働統計を 整備してほしいということを、希望として述べておきたいと思います。 ○釜石補佐  その関係につきましてはご指摘のとおりでして、確かにストライキ発生件数だけが指 標ではないとは思います。各国の状況を見てもいろいろあると思いますので、書き加え る方向で直したいと思います。研究体制につきましては、また後のほうでご議論をいた だくことにもなるかと思いますが、そもそも現地国が労働統計を取りまとめていないと いう問題や、また、存在しても信用性に疑問があるというところも問題意識として持っ ているところです。 ○吾郷座長  私も労働統計、とりわけストライキについての定義が非常にまちまちで、たしかIL Oの労働統計年報が出ますが、そこでもストライキについては膨大な脚注があるか、あ るいは全然ないか、そのどちらかであって、非常にILOも困っているという話を聞い たことがあります。確かにここでのPDMの中にストライキを数で挙げることの問題性 というのはあるような気もします。そうしてみると、いろいろなところを数値化する場 合すべてにおいて、同じような問題が出てくるのでしょうけれども。  他にご意見はいかがですか。これも、先ほどの雇用・能開分科会と同じように、4月 から第2回目に入るというふうに伺っております。今の分科会についての議論はこのぐ らいでよろしいでしょうか。  次に「国際協力事業を評価する上での評価の在り方について」という議題に入ってい きたいと思います。ご説明をいただきたいと思います。 ○釜石補佐  国際協力事業の評価の在り方については、他省庁の政策評価を参考にしてはどうかと いうご指摘もありまして、経済産業省の政策評価をインターネットで調べたものを、参 考資料1として用意いたしましたのでご参照ください。  経済産業省では政策評価の基本計画を策定して、その評価の実施に当たっては「経済 産業省政策評価実施要領」を作成して、それに基づいて評価を行っています。評価の対 象については同一あるいは類似の目的を有する事業をまとめた「施策」を、基本的には 単位とするということで実施しています。  別紙1が経済産業省の政策評価実施要領の概要で、1.基本的な方針、2.基本的事 項、3.事前評価、4.中間評価、5.事後評価、6.政策体系評価という順番に取り まとめていますが、このような形でやるということです。  ODAについては「基本的な方針」の「評価の対象」として「独自の評価方法による 施策」とされているところですが、研究開発、ODA及び工業用水道の公共事業につい て、「別途分野別の評価実施要領を定め評価を行う」としておりますが、政府開発援助 (ODA)については、平成14年の貿易経済協力局の文書で「政府開発援助に係る政策 評価実施要領」が定められ、経済産業省所管の政府開発援助については、「経済産業省 政策評価実施要領」に基づいて実施するということで、別途定めるとしながらもまだこ れを使うということを改めて書いています。 ODAに関する評価は開発調査協力、人材 育成協力などの事前評価や資金協力案件形成施策・海外協力センター事業などについて の事後評価を実施しています。  別紙2が「資金協力案件形成施策に関する事後評価書」で、経済産業省が行うODA評 価の一例です。当省における政策評価については、ODAについては事業レベルでやっ ている形もありますので、少し異なっているという印象もあります。  厚生労働省における国際協力事業の評価は、現在政策評価法に基づいて各事業で実施 しているということですが、感想としては、評価の質の改善は常に求められているので はないかと思っています。今回の分科会を設置しての試行は、その質の改善のために現 在、援助機関が利用している指標を取り入れることは可能か、あるいは試しにやってみ ることで、それを考えてみようということでやっている位置付けだと言えます。  評価の在り方を検討するに当たりましては、もう少し時間がかかるかと思っていま す。今回の検討会には資料として用意するまでには至らなかったのですが、PCM手法 でこの試行を実施してみての事務局としての現時点での感想を述べさせていただきます と、まず、後付けでPCMをやるのは大変であり、計画作成時に評価を睨んだ事業設計 をしたほうが合理的ではないかと思われます。先ほども分科会での報告で申し上げたと ころですが、PCMというのは参加型なのですが、参加型のものを受益者側を入れずに 作成するのはコンセンサスがないということで、なかなかまとまりにくい。ただ、今回 の試行ではいろいろな議論がなされて、問題を整理することには役立ったのではないか と考えています。  PCMを実施するためには、かなりの業務量を要することがわかりました。現在まで の作業を行ったところでは、PCMの手法による評価はかなり有効ではないかと考えら れますが、実際に調査を実施してさらに検討を深めたいと考えています。  分科会ではご参考までにということで、第2回の検討会で説明のあったLEAD手法 についても試行していますが、この複数のプロジェクトを対象とするプログラムレベル のLEAD手法もなかなか有効であるようにも思えました。以上です。 ○吾郷座長  ただ今の事務局からの説明に関しまして、ご意見がおありでしたらお願いします。 ○小野会員代理  JICAから一言申し上げます。PCM手法と評価についてですが、PCMはこちら のほうの皆様でいろいろな大きな作業をされていること、非常に大変だなと思うのです が、現場としては当初PCMというのは評価のため、またはプロジェクトを運営するた めのツールとして導入をJICAでもしたのですが、だんだんやっているうち、PCM を作ることが1つの目的化したようなところがありまして、現場ではそれに対する1つ の反省があります。特に若い職員などは、非常に時間をかけてきっちりした良いPCM を作ることがプロジェクトにプラスだと考えて、そこに精力を注ぎ込んでPCMを作っ た段階で力つき果てるようなことが実はあったりもします。ただ現場から見ますと、こ のPCMをどのように活用していくのかということで、1回作ったものは金科玉条で変 えられないということではなくて、それは柔軟に相手方と一緒に意見交換をして、節目 節目で数値も指標も変えていくほうが非常に現実的だなと思っています。  そういうところで今の評価の話ですが、やはり定量的なものだけではODAの中での 評価は難しいところがあります。それはプロジェクトの年数が3年とか5年の中だけで は評価しきれないということと、それが10年経ったときにどのような効果を及ぼしてい るかということを、かなり長い時間を見て評価をしていかなければいけない。特に人材 の育成や何かの場合には、10年経った所でその内容がいろいろな所で効果を上げている という事例もありますし、また反対にそこで失敗したとわかっている例もあります。  来年も政府開発援助に関する中期政策が出ますが、特に貧困削減と人間の安全保障と いう定量化しにくいような分野が今後とも多くなってきていますので、そこの中で評価 ということを、必ずしも説明責任のところだけできれいに説明するためだけの評価、そ れに見合ったプロジェクトだけをやっていると、本当に途上国側の役に立つのかなとい う疑問があります。したがってそういうところの評価で定量的なもの、定性的なものの アプローチを今後ともプロジェクトの中に組み込んで、特に現場との対話は必要だと思 います。以上です。 ○吾郷座長  ありがとうございます。誠にそのとおりといいますか、そうだなと感じるご意見でし たが、釜石補佐もこれでだいぶ作業量が増えるというご指摘もされておりましたよう に、評価のための評価になっても困る側面もあると思いますが、やりながら考えるとい うのは、言うのは簡単だと思うのですが、なかなか難しいですね。 ○末廣会員  私も現在、JICAを含めた外務省による対タイ協力実行計画委員会に参加しており ますので、この問題は非常に身近に感じるのですが、こういうPCMとかPDMに必要 なお金と人材に対する予算措置というのは、最初からODAの中に組み込むのですか、 それともODAの枠外で、各省庁あるいは機関において独自に予算措置化するものなの でしょうか。その辺りが非常に気になっているのですが、どうでしょうか。 ○小野会員代理  JICAではプロジェクトの中に最初から組み込まれております。そのための投入を どうするかということと、いつどのような評価をするかは今決められています。それも 情報公開することになっています。 ○末廣会員  釜石補佐たちがやっておられる分は厚生労働省の一般予算の中に計上されているもの ですね。それともODA予算ですか。 ○釜石補佐  評価をすることについては事業の中に組み込んでおりますが、今やっている作業自体 は組み込まれていないわけです。 ○吾郷座長  サービス残業ですか。(笑) ○末廣会員  外注してコンサルティング会社などに委託する場合には、そういうお金は事業予算の 中に組み込まれるのでしょうけれども、例えば省庁の中の人たちがこういう作業に従事 したり、他の外部機関と連携をしながら作業を進めるときは、おそらく一般の人件費を 利用していくわけでしょうね。 ○釜石補佐  そのための増員とかいうことも考えられないと思います。だから結局負担が増えるこ とになる恐れはあります。 ○吾郷座長  その他ございませんでしょうか。なければ次の議題にいきたいと思います。議題4 「国際協力事業の改善の方向性について」の(1)ILO/日本マルチ・バイ・プログラム の在り方について、ご説明いただきます。 ○釜石補佐  ILO/日本マルチ・バイ・プログラムの在り方については、第3回検討会で野寺前 ILOアジア太平洋総局長からいただいた説明があり、その指摘事項と、それに対する 回答(案)を資料5に取りまとめました。  その資料5ですが、1は全体としての評価です。(1)他のドナーと比べると額は少 ないが地道ながら、かなり現実のインパクトを持ったプロジェクトが多かった、(2) 小規模であってもかなり効果があるものであり、是非とも続けていただければという話 がありました。  具体的な問題点は2以降で、(1)「ILO本部の関心が薄いこと」。ILOアジア 太平洋総局(ROAP)が主導権を持っているため、事業に対する本部の裁量権が少な く関心が低いということです。事務局の対応の方向として、マルチ・バイの事業につい て毎年1回年次協議を実施しており、先週タイで実施されたところですが、こういう場 にILO本部から出席を求めるなど、本部の関与を加えることでマルチ・バイ事業の本 部におけるプレゼンスを高める工夫をしたいというものです。  (2)「プロジェクト対象国の政府関係者の認識が低いこと」。プロジェクトの立案 が対象国の要請に基づくものではなく、ILO-ROAPのCTA(チーフ・テクニカル・アド バイザー)が有する情報に基づき、ILO-ROAPが主体的に立案し厚生労働省と折衝してい る。その結果、対象国の首相、大蔵省、外務省等といった政府トップクラスの認識が非 常に低い。これについてはデマンド・ドリブン、サプライ・ドリブン共に大事というこ とで、ILOと日本と対象国のコミュニケーションが重要である。対象国トップクラス の認識向上のためには、プロジェクトの開始時に対象国のトップクラスの参加を求める ことでより認識を高めたいと考えています。  (3)「専門家の活用等ILOの特質を活かしきれていないこと」。CTAをはじめ 日本政府が全部抱え込んでいることから、ILOの専門家が主体的に企画・運営を取り 仕切ることができにくいシステムであるというご指摘です。これについては、対応は難 しいかもしれませんが、CTAとILO専門家との間のコミュニケーションを活発にし てもらう。当省としても、ILO専門家のプロポーザルを受け、重要と判断した場合 は、予算要求をしプロジェクトを実施することも可能と考えているところです。  (4)「CTAの仕事が非常に多面的で過重であること」。これは現在検討中です。  (5)「効果の一律的な測定・評価は困難であること」というご指摘については、当 検討会で、評価の在り方も検討しているところです。  (6)「他のドナーのファンド・プログラムとの関係」です。プロジェクトの実行に 当たり、プロジェクトの外側の隣接する部分について、他のドナーのファンドやプロジ ェクトが活かされることは当然あるというご指摘です。これについては当然あり得ると 考えています。ただ、資金の管理やプロジェクトの実施について混乱がないように、き ちんと分けなければいけないと考えます。  (7)「予算が十分でないことに伴う問題」です。予算が少なく十分なスタッフを抱 えられない。また財源の減少のために、プロジェクトで雇用した者についてILO職員 の定期的待遇改善に合わせてタイムリーに待遇を改善できず、その結果、優秀な職員を 失うこともある。このことについては当方も全く知らなかったのですが、プロジェクト で雇用した者の待遇改善は当然必要であるし、これらはILO-ROAPから提出されるワーク プランの予算に適切に計上してもらえば良いと考えております。つまり計画に従って予 算を消化してもらえばということです。  (8)「他のODA事業との連携不足」です。JICAをはじめとする他のODA事 業との相互連携がうまくいっていない、これを実行することで相乗効果が期待できるこ と。これについては前回も議論がありましたが、我が国のODAは要請主義を取ってお り、対象国から要請がなされることが必要であり、また、その要請が我が国のODAの 方針に沿ったものでなければいけない。これがILOのプロジェクトとうまく合う形で 実現すれば、ILOとJICAの協力はうまくできるのではないかと考えます。ILO も対象国の政府、その国のJICA事務所とよくコミュニケーションを取ってもらう必 要があろうと考えております。  (9)「NGO等の当事者とのコミュニケーションの不足」です。目的意識あるいは 活動の異なる当事者間でのコミュニケーションの不足がある。下から上への意見具申、 その逆も含めコミュニケーションをもっとスムーズに図れないかというご指摘です。こ のご指摘はごもっともと考えております。プロジェクトの中間・最終評価、年次協議等 へのドナーの参加を積極的に行いコミュニケーションを円滑にしたい。コミュニケーシ ョンが大事だということを感じております。  資料6は、先週開催されたマルチ・バイ・プログラムに関する年次協議、及びその前 の年次協議でもILOアジア太平洋総局側に示した厚生労働省国際課の方針です。  (1)「社会経済的に日本と密接な関係を持つアジア・太平洋地域への協力を優先す る」。  (2)「ディーセント・ワークの下の4つの戦略に基づく協力を強く支援する」。I LOの主要目標であるディーセント・ワークの実現ということで、日本としてもディー セント・ワークの実現に最大の優先順位を置いている。そのディーセント・ワークを実 現するために、4つの戦略目標(労働における権利、雇用、社会保護、社会対話)に基 づく協力を重点的に支援することを表明しております。  これに関しては、具体的にどのような事業にプライオリティを置くかについて今回の 年次協議でも示してきましたが、それが資料6の別紙です。「分野別プライオリティ」 は、優先性の高い順番に、雇用(特に若年者)、労使関係、労働基準(安全衛生を含む )と考えています。社会保障は、この3つの分野に比べると優先順位は低いと考えてお ります。また、職業訓練を含む職業能力開発は、アジア太平洋技能開発計画(APSD EP)の枠組みで実施するということで、日本として実施しないというものではありま せん。このプライオリティはマルチ・バイ・プログラムという狭い範囲内の話です。 「事業形態別プライオリティ」は、プロジェクト・タイプを優先し、セミナーといった イベント・タイプは各事業、今4つの事業をやっておりますが、それぞれについて年1 回程度であろうと考えております。普及、啓発程度の効果は、新たな課題について初め て取組を開始する場合は有効ですが、そればかりをやっていくのは具体的な成果につな がりにくいのではないかと考えています。  (3)「受益国の自助努力への支援を通じて受益国の自立発展性を確保する」ことが 必要である。  (4)「十分な情報収集、対話による受益国の優先順位とニーズを尊重したプロジェ クト形成を行う」ことが重要である。  (5)「事業の実施に透明性を確保する」。事業は適正、迅速に実施されなければな らない。また、適切に評価されなければならない。これらについてドナー及び事業実施 者は説明責任を有している。その前提として透明性は重要であるということです。  (6)「受益国に対してドナーとしてのプレゼンスを高める」。ILOプロジェクト ということで、ドナー国の姿が受益国から見えにくくなりやすいが、拠出金は日本国民 の税金であるので、日本国民が受益国の改善状況、裨益者からの感謝などを知ることが できるようにしなければならない。それは今後の事業実施に対する日本国民の理解を得 る上で重要である。  こういったことを投げかけている状況です。 ○吾郷座長  ただ今のご説明に関して、ご意見いただけますでしょうか。 ○小野会員代理  JICAの名前も挙がっていますので2点ほど申し上げます。  1点はILOとの協力です。実はアフリカ等で、例えばエチオピアを拠点に日本人の 専門家を招いて、他のアフリカ国で障害者に対する職業訓練をやろうという提案が上が ってきたことがあります。ILO側では、エチオピアに送る専門家をILOの専門家と して出してくれないか、国際機関の専門家派遣ということで出してくれないかと。それ は日本政府としては難しいです、JICAの専門家としてきちんと位置づけされて協力 するのであればできるのではないでしょうか、というボールをやり取りしている経緯は 今までにあります。国際機関とやるというときに、現場で具体的にどのぐらいの人が交 流できるかということがありますが、国際機関はできるだけファンドを、人をという格 好でもってきて、それをILO傘下の専門家に置きたいという実例が今年1つありまし た。  もう1つは、ILOはアフリカに非常に力を入れています。ディーセント・ワークと いうことで、特に雇用創出を事務局長始め叫んでおります。それに対してこちらも側面 支援を、例えばガーナ等で、今までの職業訓練という形と少し違う仕掛けを来年考えて おります。タイ等で成功したプロジェクトなどもありますが、経済が右肩上がりに期待 できない国で職業訓練をどうするかという方向性が必要になってきていると思います。 特にアジア等でもタイなどは、今後、末廣会員からも提言いただいているように、拠点 として他のCLMVを支援していくことの役割が大きくなってくると思います。  その点、アフリカにまだそういった拠点はありません。先日、JICAは来年予算で 1,601億円ほど内示いただいております。理事長の緒方が、今までアフリカに対する援 助は総予算全体の15%ぐらいでしたが、それを何とか20%ぐらいまでもっていきたいと 申しております。アフリカ等にいろいろな協力をする場合、特にILOとの協力は必須 だと思っております。 ○城内会員  私のほうの分野は少し特殊かもしれませんが、ILOのことに関して少し発言した いと思います。ILOでもそうですが、セーフティーワークということで化学物質に関 する管理が世界的な潮流としてあって、ご存じのように、GHSという化学物質の分類 と表示に関するプロジェクトも2008年に世界的に大きく変わろうとしています。国際機 関も1992年の環境開発会議以降、各国際機関が協力して、なるべくダブらないように一 緒の方向にいこうということで、化学物質管理に関するプロジェクトが進んできていま す。  ところが、日本でそういう化学物質管理にどれだけ貢献しているかというと、少し疑 問なところがあります。もちろん個々にはいろいろなことがやられているのですが、世 界的な大きな波の中には乗っていないという印象があります。日本で、例えばアジア向 けで化学物質に関してどれだけのビジネスをやっているかというと相当膨大な量になっ ています。そういうことを考えると、これはディーセント・ワークの一部であるかもし れませんが、2国間の協力というよりはもっと広い地域を対象とした協力をやってほし いと思っています。個人的には10年ぐらい前から言い続けているのですが、例えばJI CAのプロジェクトですと2国間でしかできないとか、ILOも各国から一斉に要望が 出てこないとやりずらいという話になり、なかなかうまくいっていない現状がありま す。ただし、2008年のターゲットを境に大きく変わろうとしているときなので、東南ア ジア諸国でも化学物質管理に関する関心は、前年はIFCSの会がバンコクで開かれた こともあって、高まってきていると思います。そういう状況をふまえ、日本でもっと化 学物質管理に関するプロジェクトを推進してもいいのではないかと思っています。資料 6はもう決まっていることかもしれませんが、もう少しその辺をプッシュしていただけ ると有難いと思っています。 ○野見山会員  資料5は将来検討してもらいたいと思います。特に、(8)の「他のODA事業との 連携を高めていく」ということです。これはタイで経験したことですが、私は雇用政策 のことで行っていたのですが、そのときに失業保険の導入がかかってくるから失業保険 制度の導入に関するいろいろなノウハウを知りたいということですので、私の範囲内で できることはやるし、それで足りない部分はJICAから専門家を派遣してもらうなど いろいろ検討していたときに、マルチ・バイによって社会保障に関するある程度の資金 の準備があるということで、カナダの専門家は自分のノウハウ、その他を提供したいと タイ政府のほうに話があり、私どもが進めていることとの競合も出てくる。また、IL Oだけではなくワールドバンクも入ってきました。ワールドバンクは特にソフトウェア 社会保障に関するプロジェクトに非常に関心を高めておりましたので入ってきました。 そのワールドバンクの資金は日本の資金を使っているという状況でした。  要は、連携不足がプロジェクトの競合、エネルギーの重複になるわけです。そういう 意味で、現地での連携はもちろん大事ですが、本国といいますか、日本政府自体がそれ ぞれの地域でどういう問題が大事なのか、分野別にどういうことをやるべきか、マルチ ・バイでやったほうが効果的なのか、JICAでやったほうがいいのか、ワールドバン クのコンサルタントシステムを使ったほうがいいのか、それぞれの協力事業の内容によ って効果的な手法が出てきますので、そういったことを政府レベルで総合的に検討して いく必要があると思います。  もう1つは、プロジェクトが具体化しようという段階で調整を取ることは非常に後手 に回るわけです。先手といいましょうか、例えば来年というよりも2年、3年先で、こ の地域でどういう問題があるのかと。これは基本方針での検討課題だと思いますが先手 を打った連携、あるいは協力事業の調整をしていけばILOらしい協力というか、専門 性を持ったものをILOでやってもらうことも可能になるのではないかと思いますの で、計画的な連携体制の確立を今後とも考えていただければ有難いと思います。 ○吾郷座長  資料6にありますが、年次協議に行かれたと言われました。その際、野寺前総局長が 指摘されたいくつかの点についての回答が資料5に挙がっていますが、それは具体的に 活かされて協議をされてきたのですか。そこで新たに何か感じられた点がありましたら 教えていただきたいと思います。 ○釜石補佐  資料5の内容は、英訳し先方に渡し、このような指摘があって我々はこう考えている ということを伝え、今後考えてくれ、すぐに解決できないこともあるかもしれないが、 ということで依頼をしてまいりました。 ○吾郷座長  他にご意見はありますでしょうか。では、次の議題4の(2)「その他国際協力事業 の問題点等について」ご説明お願いします。 ○釜石補佐  本検討会のこれまでの議論を踏まえ、今ほど議論いただきましたマルチ・バイ・プロ グラムの関係を除く国際協力事業の改善の方向性ということで、論点案を資料7に事務 局でまとめました。人材育成の関係では、これまでの議論を踏まえ改訂した参考資料2 を用意しました。また、国際協力の状況を横断的に広く見たいというご意見がありまし た。一国に着目してやればできるのではないかということで、とりあえず土地勘のあり ますインドネシアについて、これまで実施してきた労働分野への国際協力例を確認でき る範囲で盛り込んだのが参考資料3です。  資料7の「労働分野の国際協力事業の改善の方向性について(論点案)」は、全般的 な事項、厚生労働省が行う国際協力事業、外務省・JICAベースの協力と大きく3つ に分けております。まず全般的事項としては、(1)「厚生労働省として労働分野の国 際協力の集中化、あるいは重点化をいかに図るか」です。これは本検討会の設置時の 「期待されるアウトプット」にも関係するものですが、労働分野の中でも、どの国に対 してどの協力分野に重点を置くか、優先順位を決定するなど、減少しつつある予算の中 で、どこに重点を置くのかを定める必要があるのではないかということで、改めて記載 しております。  (2)は、「開発途上国の政策課題等に係る情報収集・研究体制は十分か」です。新 たに労働分野の国際協力を行う場合は、対象となる開発途上国はどのような現状にあっ て、どのような対策が必要とされているかを予め研究・分析しておくことが必要ではな いかという問題意識があります。  (3)は、「開発途上国側が労働分野の協力について十分理解しているか」です。こ れには2点あり、まず開発途上国の政府自体が他の開発課題に比べて労働分野の改善・ 開発の必要性について認識が低いのではないか。あるいは、課題を解決する上で、日本 も含めて援助国からどのような協力を受けることが可能か、受けたいかということも知 らないということがあるということです。  厚生労働省の行う国際協力事業(ILO/日本マルチ・バイ・プログラムを除く)につい ては、(1)「評価を視野に入れた事業立案がなされているか」。事業を立案する段階 で予め評価を前提として目標設定、事業の方法、手法の選択などを行っている事業は、 どのぐらいあるのだろうかということです。  (2)「途上国のニーズを十分分析し、対話を行った上で事業を立案しているか」。 事業の立案は先方政府の要請をきっかけに行われることが多いと考えられますが、本来 その国が真に必要としている援助を実施するためには、当方もニーズを十分に分析しな ければならないのではないかということです。  (3)「事業の自立発展性を十分考慮して事業を立案しているか」。特にセミナー型 プロジェクトの場合は、援助が終わると活動が終了してしまうことが多いのではないか と思われます。そうならないように事業を設計する必要があるのではないかということ です。  (4)「事業の特質に応じた見直しを定期的に実施しているか」。やっていないとい うのではなく、事業の見直しは行われていると理解しておりますが、例えばセミナータ イプの事業だとテーマを変えつついろいろ実施しても、いずれはマンネリに陥る可能性 もあります。また研修員の受入れだと、研修員はどんどん入れ代わりますのでこのよう な問題は少なくなりますが、受益国が既得権と見るようになることも考えられるので、 それぞれの事業の特質に応じ評価を定期的に行って、それに基づいて見直しを行うこと も必要ではないかという問題意識です。  (5)「政策評価法に基づく評価に改善の余地はないか」。現在厚生労働省で実施し ている政策評価法に基づく評価というプロセスを、より系統的に実施するということで FASIDのPCM手法の評価も考えられるのではないか。  最後に、外務省・JICAベースの協力については、厚生労働省が重視する労働関係 協力の分野と、外務省・JICAの重点は必ずしも一致していないこともあると考えて います。労働案件の要望が途上国から上がってきた場合に、各省協議において、しばし ば見解の相違が明らかになることがあるということです。 ○吾郷座長  ただ今マルチ・バイ・プログラムを除く国際協力事業の改善の方向性についての事務 局案のご提示がありましたが、ご意見を伺いたいと思います。これまで開催された3回 の検討会と、1回ずつありました2つの分科会との議論の上に国際協力事業の改善の方 向性についてという、かなり一般的な形で自由に意見交換をしていただければというこ とです。今ご説明のあった事務局原案、論点案を1つのたたき台として、自由にご意見 をいただければと思います。 ○今野会員  全体的事項の(1)(厚生労働省として労働分野の国際協力の集中・重点化をいかに 図るか)はよく分からなかったのですが、集中化あるいは重点化をするわけですから、 どこに集中化・重点化するかをもって議論するのか。それとも、いかにするかが重要な のか。そのどちらでしょうか。どちらかにするというのですと、大体国が重要だという 優先順位があると決めればいい。そういう決めるプロセスの仕掛けも考える必要がある という問題意識でしょうか。 ○釜石補佐  前者の方です。 ○今野会員  どこか決めろと。そういうことですか。 ○釜石補佐  決めろというか、そちらのほうを重点に検討してはどうかということです。いかに するのか、具体的にどういうプロセスで決定するかというようなことは、本検討会の中 で来年度検討していただき、ご提言をいただいた上で、当省で検討するというスタンス かと思います。 ○今野会員  資料6のILOに示した方針では、例えば「ディーセント・ワークに関わる4分野が 重要だ」と定義されていますから、この集中化・重点化をするときの1つの考え方は、 ディーセント・ワークは重要だと考えているということでしょう。 ○釜石補佐  マルチ・バイ・プログラムについてはディーセント・ワークになろうかと考えていま す。 ○今野会員  マルチ・バイですが、その他の分野は違うのですね。マルチ・バイを重要視している からこちらも重要視しているのかなと思ったのですが。 ○釜石補佐  そこは当省内でも議論はしておりませんが、全般的に検討することは必要であろうと 思っています。 ○城内会員  具体的な話になりますが、技術移転に関わっているので分かりやすい例として、例え ば化学物質管理能力のためのセミナーを開くとか、プロジェクト方式で技術移転をする ことがあるわけです。今までは労働安全衛生に関わるプロジェクトでもそうでしたし、 他の省庁で化学物質に関わるプロジェクトでもそうでしたけれど、日本の縦割り行政の やり方が技術移転にも活かされております。例えば化学物質について知りたいと思って いる人は、労働現場で使われているものは、もちろんそうですし、農薬もそうですし、 環境についても知りたいと思っているわけです。  私は他の省庁で行うセミナーに参加したことがありますが、そこでは労働安全衛生は 一切触れられていない。労働安全衛生に関わるセミナーでは、PRTRはほとんど触れ ないとか、かなり偏りがあるように思います。技術的なことを教えることについては、 どういう言い方でも、どういう伝え方でもいいと思いますが、実際にやられていること は、ここは厚生労働省ですが、厚生労働省の法律に基づいたものだけが伝えられている ことが往々にして起きております。もう少し間口を広げてほしいと言いますか、特に化 学物質について言えば、今や地球規模での問題であり、広く捉えなければいけない。各 国際機関は協力してやっていきましょうということでやっていますので、今化学物質の 例でお話をしましたが、厚生労働省の枠を少し広げていただきたいと思っています。 ○小野会員代理  そういう点では、過去に厚生労働省から非常に尽力いただいたマレーシアの労災や安 全対策は成功例を収めております。ですから、一度やったものを周りに普及していくと いうメカニズムが今後の国際協力事業の柱になると感じております。職業能力開発で は、ベトナムで電子の短大に厚生労働省から出ていただいた専門の方が頑張って、近隣 の国からそういうプロジェクトをやってほしいという話がかなりくるようになっていま す。ASEANはシニアASEANとCLMVの分け方で、拠点にいいプロジェクトを 持ってそれを周りに広めていくのが今後の方向性だと思っています。  JICAはバイだけではなくマルチもやっております。これはASEANと日本の大 学の工学系の教育ネットワークですが、その対象が工学系だけで非常に狭いのです。狭 いながら各国に拠点を設けて、インドネシアだったらガジャマダ大学の地質工学、航空 力学はバンドン工科大学というふうに、1つの学問という土俵の上でネットワークを組 むことに尽力しています。参加するメンバーが多いと時間がかかりますが、マルチ化へ の努力はやっていくことが必要だと思います。特に労働分野は広いですが、どこをやる と決めれば効果的な国際協力ができるのではないかと感じております。 ○吾郷座長  今野会員の意見に関連してです。ILOマルチ・バイにおいてはディーセント・ワー クに力を注ぐということだったのですが、それが必ずしもマルチ・バイ以外の全般的な ものの場合には、そのまま持ち込むかどうかは別の議論が必要だということと思いま す。私の個人的な意見は、むしろマルチ・バイではないところでやる場合は、ILOの ディーセント・ワークに執着することなく、日本のODA大綱から出てくる、かつ、厚 生労働省が理念として持つ開発協力を前面に押し出し、そこで日本の優先順位をつけて もいいのではないか。それがたまたまILOのディーセント・ワークと一致するのは構 わないと思います。  城内会員の意見に移りますと、安全衛生というのはディーセント・ワークの順位は最 後のほうについています。私はむしろ、日本としてはそちらのほうを相当上のほうにし てもいいのではないかという気がします。私自身はILOに、しかも基準なんていう所 に10年もいて、基本的人権をプロモートすることばかりやってきました。そこで常に考 えていましたのは、別に強制労働、差別とか、結社の自由だけが基本的な労働者にとっ てのものではなくて、死んだり怪我したりすると元も子もないわけですから、そういう ところを「基本的な労働権」にして、もっと上げるべきではないか、と私はいろいろな 所で言って本部などで顰蹙をかっているところがあります。  日本としては、そういうことを言える立場にありますし、開発協力の場合にそちらに 重点を置くのは、1つのメッセージとして、むしろ世界に発していくために必要ではな いかという気がいたします。 ○末廣会員  今のご発言と密接に関連するのですが、2003年8月に出た新ODA大綱の、より細か い戦略的な「中期政策」(草案)が、既に11月初めにホームページに公開されておりま す。これはまだ閣議決定まで行っておらず今議論されている最中ですが、中期政策では 「人間の安全保障」が全面に出てきています。労働分野での国際協力と、より戦略的に 絞り込まれてきたODAの今後の中期政策との間の相互関係をどうするかという点は、 どこかで明確にされたほうがいいと思います。  タイに対するODA(協力)の今後の方針につきましては、我々は2つの軸を考えて おります。1つ目の軸は、これは新ODA大綱も述べていますが、対象国の発展段階に 応じた協力の在り方、つまりタイは途上国ではなく中進国になりつつあるし、5年先に は確実に中進国になっている、という発展段階に応じた協力の在り方を検討する。もう 1つ目の軸は、2国間でやったほうがいいのか、それとも広域協力のほうがより効果的 かという検討です。実はこのほかに、もう1つの枠組みがありまして、協力をするにあ たってどのスキームを使うのか。つまり円借款を使うのか、技術協力を使うのか、無 償、草の根援助を使うのか。今この3つの軸の組合せでタイ向け協力の方針を検討して いるところです。  先ほど城内会員が言われた、労働の安全をどうするのかというのは我々も非常に関心 を持っています。実は同じような問題として「食品の安全」があります。鳥インフルエ ンザがアジアで大きな問題になっていますが、その場合、労働の安全や食品の安全とい う課題は相手国の発展段階に応じてやることなのか、それを超えた最貧国と言われるL DCであれ、中進国化しつつある国であれ等しく問題が起こってしまうので、そういう 分野について「広域協力」の姿勢で臨むべき課題なのか。現在のところ、そういう分野 を「人間の安全保障」と呼ぶかどうかという点については政府側は明示していません。 今のところ、政府が提唱する「人間の安全保障」には何でも入っていて非常に不明確に なっているわけです。「人間の安全保障」をどう捉え、労働分野ではどういうポジショ ニングがあり得るのかを、ここで明確にされることも必要ではないかというのが私の意 見です。 ○吾郷座長  他にはいかがでしょうか。では、議題5、「第1回分野合同検討会における労働分野 中間報告について」事務局から説明をお願いします。 ○釜石補佐  現在日程を調整中ですが、来年の2月〜3月を目途に、国際協力事業評価検討会の医 療分野・労働分野・水道分野・社会福祉分野合同の検討会を準備しています。具体的な やり方はまだ決まっておりませんが、各分野から、おそらく座長から「中間取りまとめ 」を発表していただき、自由に意見交換することになると思います。事務局では、それ に向けて報告していただく文書を取りまとめたいと思っております。これについては事 前に会員の皆様方に見ていただくことを考えております。  文書の内容については、これまで開催された1回から4回までの検討会の概要、課 題、今後の改善の方向、今後の検討の方向性、各種資料を添付するという形になろうか と思います。 ○吾郷座長  私の記憶違いかもしれませんが、「医療分野・労働分野・水道分野・社会福祉分野の 合同」とありますが、医療と労働分野は2つ並行して動いていたのですか。他の分野も 動いていたのですか。 ○釜石補佐  水道分野が動き始めたということです。社会福祉はまだですが、合同検討会までに開 催を予定しています。 ○吾郷座長  ただ今の説明に対して、ご質問、ご意見はありますでしょうか。 ○村木課長  遅れて来まして申し訳ありません。私が入ってきたときに4番の議論が始まってい て、各会員方から示唆に富むご意見があり、全体をまとめるものを作る必要があるのか なと思っています。マルチ・バイでこう、JICAとの関係でこうということではな く、厚生労働省が行う、労働分野の国際協力はどうあるべきなのか。手法としてJIC Aの協力で、例えば専門家を送り出すということ、当方が独自でやっている事業、IL Oとの共同のマルチ・バイ事業がある。その全体を通してODA大綱に基づき、どうい うことを重点的にしていくのか。例えば人間の安全保障を労働分野でどう具体的に展開 するのか、人づくりをどうしていくのか、という辺りを中心とした基本的な理念みたい のがあって、それを実際に事業に落とす際に3つの協力の仕方の特質を活かしてどう進 めていくのか。あるいは、3つの事業の間の関連・連携をどう進めていくのかが必要 だ、ということが皆さんのご意見の1本の柱かなと思いました。その辺をヒントにし て、事務局として案を考えていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○吾郷座長  今の課長の話にもありましたが、確かに貴重なご意見がいろいろ出ました。その辺を 抽出していただき厚生労働省の理念、開発協力の理念をまとめていただき、次回からの 材料にできたらと思います。ただ、そう申しましても、今日も前半の部分でPCMに基 づく、かなり技術的な問題でいくつか重要な点も指摘されましたし、PCM自体が持つ 問題点など貴重なご指摘がありましたので、十分意味のある検討会として、今年最後の 検討会になったと思います。  本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。                                     (了) (照会先) 厚生労働省大臣官房国際課国際協力室 国際協力室長補佐 釜石    03-5253-1111(内線7303)