04/12/20 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第10回議事録          第10回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会                   日時:平成16年12月20日(月)16:00〜18:10                   場所:厚生労働省(17階)専用第21会議室 ○出席委員   石井みどり委員、加藤尚武委員、加藤陸美委員、河野順吉委員、菊田信子委員、   木村隆次委員、坂本雅子委員、笹月健彦委員、澤 節子委員、新道幸惠委員、   高橋清久委員、多田羅浩三委員、田中平三委員、玉利 齊委員、土屋 隆委員、   富永祐民委員、中村丁次委員、久道 茂委員、松本和夫委員、村田昌子委員(20名) ○厚生労働省出席者 (健康局)田中健康局長、岡島審議官、瀬上参事官、石井総務課長、      中島生活習慣病対策室長、野村保健指導室長、横尾地域保健室長 (医政局)日高歯科保健課長 (保険局)総務課井上企画官 (労働基準局安全衛生部)労働衛生課土屋主任中央じん肺審査医 (社会・援護局障害保健福祉部)精神保健福祉課渡辺課長補佐        他 ○次第  I  開会  II  議題   1 一次予防施策−「健康日本21」の中間評価−について     ○施策の概要について     ○「健康日本21」暫定直近実績値の分析について       (1)栄養・食生活分野について       (2)身体活動・運動分野について       (3)休養・こころの健康づくり分野について       (4)歯の健康分野について   2 三位一体改革について  III その他  IV  閉会 ○議事  瀬上参事官  ただいまより第10回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会を開催させていただき ます。田中局長はただいま予算関係の臨時庁議が開かれておりまして、若干遅参させて いただきます。本日は遅い時間にも関わりませず皆様お集まりいただきましてありがと うございます。  本日の出欠状況について御報告させていただきますが、委員定数24名のところ2名の 方が遅参という御連絡を受けております。現在22名の委員の御出席を得ておりますこと を御報告申し上げます。なお、本日は「健康日本21」の中間評価作業に携わっていた だいております各分野の先生方に御出席をいただいております。部屋が何分狭い関係で 私の後方におられますが、まず栄養食生活分野の御担当をいただいております国立健康 ・栄養研究所研究企画評価主管の吉池信男先生、身体活動運動分野を御担当いただいて おります東京医科大学衛生学公衆衛生学教室の下光輝一様、同じく身体活動運動部門で ございますが、国立健康・栄養研究所健康増進研究部長の田畑泉様、休養・こころの健 康づくり分野を御担当いただいております国立精神・神経センター研究所精神生理部長 の内山真様、歯の健康分野を御担当いただいております鶴見大学歯学部の宮武光吉様で ございます。  次に配布資料の御確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座席表に続きま して、資料1−1が施策の概要について、資料1−2が施策の概要、参考資料、続きま して資料2が「健康日本21」中間評価作業チーム設置要項、資料3が「健康日本21 」暫定直近実績値にかかるデータ分析の概要、資料4は枝番が4本ありまして、4−1 が健康日本21暫定直近実績値にかかるデータ分析の栄養・食生活、資料4−2が同じ く身体活動・運動、資料4−3が同じく休養・こころの健康、資料4−4が同じく歯の 健康でございます。最後に資料5が三位一体改革について、以上を配布させていただい ております。不足乱丁はございますでしょうか。それでは以後の部会運営につきまして は部会長にお願い申し上げたいと存じます。よろしくお願いいたします。  久道部会長  それでは議事を始めたいと思います。今日もいろいろ盛り沢山ですので、円滑な議事 に御協力をお願いしたいと思います。まず、議題1の一次予防施策「健康日本21」の 中間評価につきまして、最初に栄養・食生活分野、及び身体活動・運動分野について一 括して説明をお願いいたします。  最初に両分野の施設の概要について中島室長から説明をしていただき、引き続いて 「健康日本21」暫定直近実績値にかかるデータ分析概要につきまして作業チームで分 析を行っていただいておりますので、それぞれの担当の先生から御説明をお願いしたい と思います。以下、分野ごとに説明をお願いしたいと思っておりますが、それでは中島 室長からよろしくお願いします。  中島生活習慣病対策室長  それでは私の方から御説明を申し上げます。資料2をお開きいただければと思ってお ります。資料2の2枚をおめくりいただいたところに中間評価作業チーム構成員名簿と いうのがございます。本部会では前回健診・保健指導に関わります二次予防について御 議論をいただきましたが、本日及び年を明けまして次回につきましては「健康日本21 」の中間評価にかかわりまして、直近実績値に基づく評価を御議論をいただく予定でご ざいます。  前々回の本部会でお話を申し上げました通り、中間評価につきましては作業チームを 設けまして、各界専門の先生方の御意見を聞いて分析評価をし、その結果を本部会に御 提示を申し上げるという段取りで進めさせていただくということを申し上げましたが、 この作業チームのリストとしてここに掲げている先生方に御無理をお願いしているとこ ろでございます。本部会の委員でいらっしゃいます富永先生の方に座長役もお願いして おるところでございます。本日は「健康日本21」9分野のうちの栄養、運動、休養、 そして歯の健康という4分野について御議論をいただくということで、次回は残りのた ばこ、アルコール、がん、循環器、糖尿病という形で御議論をいただくという段取りで ございます。  議事の進め方は、先程座長の方からお話がございましたが、私の方から各分野、これ まで行政として講じてきた施策を簡単に基礎知識としてレビューさせていただいた後、 専門家の先生方からそれぞれの分野につきまして直近実績値に基づく分析結果を御披露 いただきまして御審議をいただくという段取りで進めさせていただければと思っており ます。私の方からは資料1−1と1−2に則して説明を申し上げるつもりでございま す。  まず資料1−1を1枚おめくりいただきますと、「健康日本21」の推進、それから 次の頁の健康増進法の制定というところが最初の2頁でございます。実は「健康日本2 1」の推進体制につきましては、次々回におきまして推進体制のあり方ということで改 めて詳細に御議論をいただく予定でございますが、本日「健康日本21」の中間評価に 入る前提といたしまして、ざっと復習的な意味もこめまして御説明を申し上げたいと思 っております。  「健康日本21」の推進につきましては、昭和53年から始まりました「国民健康づく り対策」の延長線上で第1次、第2次と続いてきたものを受けまして、平成12年から10 カ年計画で進めさせていただいてるものでございます。「国民健康づくり対策」第1次 ・第2次の内容といたしましては、具体的には昭和57年に老人保健法ができましたが、 そこでの老人健康診査体制の確立、さらには市町村保健センター、市町村保健師、健康 運動指導士といった形での各種の基盤整備といったものができ、その上に「健康日本2 1」というものを推進させていただいているところでございます。「健康日本21」に つきましては、国民が一体となった健康づくり運動を展開していくということでござい まして、その基本方針といたしましては、一次予防、環境整備、目標設定と評価、関係 者間の連携と効果的な運動の推進という形の方針で進めさせていただいているところで ございます。  「健康日本21」につきましては、国としては1〜5に掲げますような取組みをこれ まで進めてきておるということでございます。まず1が全国的な推進体制の整備という ことでございます。参考資料という資料の1−2を横にお開きいただければ幸いでござ いますが、その1頁でございます。「健康日本21」の推進体制につきましては、「健 康日本21」推進国民会議という広く各界関係者の参加によりまして健康づくり運動を 推進していく母体として設置をしており、また、こうした「健康日本21」に賛同する 関係団体、これは現時点で123団体でございますが、そうした民間団体によって構成さ れている全国連絡協議会というものを設けて推進しておるところでございます。厚生労 働省の内部でも「健康日本21」推進本部ということで、省内横断的組織を事務次官を 本部長として設置をさせていただいているというところでございます。参考資料の2頁 に国民会議の委員の名簿、それから3頁に連絡協議会の123団体の具体名を掲げさせて いただいております。  二つ目の取組みといたしまして、多様な経路による普及啓発の実施ということでござ いまして、一つは本省及び加藤理事長のところの健康・体力づくり事業財団のホームペ ージ等による情報提供、さらには「健康日本21」全国大会ということで、各都道府県 持ち回りで開催させていただいておりまして、本年度はすでに山梨県で、来年度は鹿児 島県で開催を予定しております。  また、健康増進普及月間というものを毎年9月に定めておりまして、国、地方、さら には民間団体等で様々な行事を展開していただいておるというところでございまして、 ちょうど久道座長の後ろにポスターも掲げさせていただいておりますが、そうしたポス ター等を掲示し、それぞれのレベルで事業を展開していっていただいているということ でございます。  さらに国の取組みといたしましては、前回さらには前々回の御議論でも出ましたが、 自治体における取組みを支援するという意味で、地方計画の策定に対する技術的支援を しておるということでございます。実践の手引を作成し、地方計画事例集を作成すると いうことでございます。前回も簡単に御説明をいたしましたが、参考資料の4頁をお開 きいただければと思います。「健康日本21」は国による基本方針の提示と地方計画と いうものを中心に推進していくことでございますが、計画策定が義務づけられておりま す都道府県においてはすでに全県において策定済み、ただ市町村につきましては現在の ところ1,222の市町村が策定をしておられて、いわゆる策定済みの割合は37.7%という ことになってございます。今回新たに、5頁に掲げさせていただいておりますが、実は 市町村健康増進計画の策定、都道府県ごとに大きなバラツキがございます。ほぼ100% に近い市町村で策定していただいているのがトップの青森県でございます。2位が岩手 県、3位が静岡県ということで、いずれも70%を超える市町村がすでに策定をしていた だいている。  一方で、高知県はわずか3.8%の策定状況、次に東京都が7.7%、そして広島県が9.7 %ということで、まだ一桁の策定率に止まっておるということで、都道府県間の策定状 況の格差が大変大きいということでございます。こういうことをどう考えていくのかと いうことも重要な論点かと思っておるところでございます。  それでは資料の1−1に戻りまして、「健康日本21」の評価につきましては、手法 検討会の報告といったものも本年3月にまとめさせていただいたところでございます。 さらには4の調査研究の推進、さらには各種保健事業の推進ということで、前々回に野 村室長の方から御説明を申し上げた地域・職域連携共同モデル事業の推進、さらには前 回保険局国民健康保険課長の方から御説明を申し上げました保険者協議会の設置等に取 り組んでおるというところでございます。  次の頁をお開きいただければと思います。健康増進法の制定ということでございまし て、「健康日本21」に代表されます健康づくりの基本的な法的枠組みを整備するとい うことで、平成14年7月に健康増進法が制定されたわけでございます。多くの条文は15 年5月に施行でございますが、健診指針については本年8月から施行というということ になっております。  大きな柱として4本ございます。1.国による基本方針の提示及び地方における健康 増進計画の策定、2.健康診査等指針、3.国民健康・栄養調査等、4.受動喫煙の防 止義務等々の基本的な健康づくりに関しまして法的枠組を整理させていただいたという のが健康増進法でございます。なお、この一番最後の頁に健康フロンティア戦略の推進 というものを資料1−1の最後に掲げさせていただいております。これにつきましては 前々回の本部会で御説明をいたしたところでございまして、与党の方からの御要請・御 指示を受けまして、平成17年度、来年度からの10カ年計画で健康寿命の2年程度の延伸 を目標に生活習慣病予防と介護予防の二つの柱で施策を推進していくということになっ ております。  真ん中の17年度行政施策の考え方というところでございますが、来年度につきまして は介護保険法の見直しに伴います介護予防を中心に施策を講じ、生活習慣病対策は平成 18年度以降に医療保険制度改革が予定されておりますので、それを視野に入れて本格実 施をしていく、したがいまして17年度におきましては一次予防における「健康日本21 」の中間評価、さらには老人保健事業の見直し等に伴います二次予防施策、さらには今 回の三位一体改革の施策の推進という形での国、地方の役割分担といったものを総合的 に勘案し、本部会で御議論をいただいて、生活習慣病対策の充実について必要に応じ18 年度以降、見直し、本格実施をしていくという段取りで進めていくということでござい ます。  それでは今度は栄養・食生活のこれまで講じてきた施策についてでございます。施策 の概要のところに2頁にわたりまして1〜5まで掲げさせていただいております。科学 的根拠に基づく栄養施策の推進、知識の普及啓発、一次予防におけるポピュレーション ・アプローチの実施、二次予防におけるハイリスクアプローチ、栄養施策を支える管理 栄養士、栄養士の資質向上・人材確保といった、大きな5本ぐらいに整理をさせていた だいたところでございます。  まず1の科学的根拠に基づく栄養施策の推進ということでございまして、一つ目が国 民健康・栄養調査の実施ということでございます。これは平成10年までは国民栄養調査 と言っておりましたが、健康増進法の制定に伴い名前を変え、現在実施させていただい ているところでございます。6,000世帯19,000人ほどの方を対象に実施させていただい ておるわけでございまして、毎年の共通事項、さらには年ごとの重点項目に分けて国民 の方々の生活習慣、食事摂取状況等を把握させていただく、さらには採血等もさせてい ただいて、トータルとしての健康栄養状態を把握させていただいて統計化していくとい う大がかりな調査でございます。  二つ目は健康栄養に関する調査研究といったものを関係研究機関等にお願いをし、充 実をさせておるということ。  それから三つ目は前回の最後の方に御説明をし、田中理事長の方から補足説明をいた だきましたが、食事摂取基準の策定ということでございまして、いわゆる栄養所要量と して昭和45年から策定してきていたものでございます。5年ごとに見直しをいたしまし て、平成16年、本年の改定では生活習慣病予防の観点から目標量といったものも新たに 提示をしていただくということで見直してきたということでございます。  二つ目、こうしたエビデンスに基づきまして具体的に知識を普及啓発させていくとい うことでございます。その代表的なものが食生活指針の普及啓発ということで、本日お 手許にカラーパンフをお配りしておりますが、食生活指針といったものをお示しをし、 国民1人1人の方に対する食事にあたっての基本的な留意点等を示させていただいてい るものでございます。これにつきましては我が省と農林水産省、文部科学省の三省が連 携して作成をし、決定形態としては閣議決定という形も採らせていただいているもので ございます。  なお、この食生活指針はあくまで国民に対するスローガンといったものを示したもの でございますので、それをふまえてさらには個々人が具体的に行動変容につながる、そ うした啓発媒体が必要ではないかということでございまして、参考資料の6頁でござい ます。6頁でお示ししているように今般フードガイドといったものを策定しようという ことで、農林水産省と連携をして「フードガイド検討会」というものを設けることとい たしております。  6頁の趣旨のところにございますが、肥満の増大、外食における野菜摂取不足、食塩 ・脂肪の取り過ぎ、外食機会の増加等が見られ、食生活の改善を行う上で何をどれだけ 食べればよいのかといった食事選択場面でのわかりやすい情報提供が必要となっている ということでございます。とりわけ30歳から60歳代の3割が肥満である状況を改善に導 く、さらには単身者やこれから子育てを担っていく世代に正しい栄養・食生活に関する 知識の普及が緊急の課題だということを基本認識として進めさせていただくということ を考えておるところでございます。  そして個々人が食生活の問題点を把握でき、具体的な行動変容に結びつけるための媒 体ということが一つと、もう一つは外食におけるメニュー、コンビニやスーパー等にお ける小売店での売り場、食品のパッケージ等においても利用するということも念頭にお いたフードガイドにいたしたいと思っているところでございまして、現在、本日御参加 いただいております中村会長、そして吉池先生にもメンバーに入っていただいて「フー ドガイド検討会」を立ち上げようと考えているところでございます。具体的に食事提供 側のメンバーということで、ファミリーレストランやコンビニエンスストア、さらには スーパー等の代表者にもお入りいただいて進めていきたいと思っておるところでござい ます。具体的にはこの24日に第1回を開催いたしたいと思っておるところでございま す。  次が食生活改善推進員による普及啓発ということで、ボランティアによる食生活改善 の普及啓発活動ということで、いわゆる食生活改善推進員という方を全国に約22万人養 成させていただきまして、その方々が草の根の普及啓発活動をしていただいているとい うことでございます。  さらには毎年10月を食生活改善普及運動の月間として定めておりまして、後ろにポス ターも貼らせていただいておりますが、食生活指針の表紙をモチーフにした形での施策 の展開、さらには食環境の整備という形で環境面からのアプローチといったものの重要 性に鑑みまして、参考資料の8頁に掲げさせていただきましたが、こうした検討会を設 け、食事に対する情報へのアクセス、食物へのアクセスという食環境整備についての取 組みの課題も整理していただいた、そういう延長線上に先程御説明したフードガイドと いったものの策定の取組みもやっていきたいと思っているところでございます。こうし た知識の普及啓発とともに、具体的に栄養指導といった形で集団指導、さらには個別指 導といったことを全国の保健所、市町村保健センター等で管理栄養士さん等が実施をし ていただいているということでございます。  次は管理栄養士、栄養士の資質向上、人材育成ということでございまして、参考資料 の11頁でございます。平成12年4月には高度化・多様化する社会ニーズに対応できる管 理栄養士等に関しまして、その養成のあり方を見直すとともに、その業務につきまし て、傷病者に対する療養のために必要な栄養の指導等を担うんだということを明確にす るといった形で所要の法律改正を行い、管理栄養士制度といったものを一つの確固とし た制度とする法改正をしたところでございます。  11頁の6のところにございますが、平成15年の段階で約111,000人の管理栄養士さん が誕生しておられます。具体的に毎年試験合格者が4,735名ということでございまして、 大体近年は約2割程度の合格率というかなり難しい試験ということになっておるわけで ございます。  次に地域における行政栄養士の業務について、さらには基本指針についてということ でございます。やはり「健康日本21」を進めていく際に都道府県保健所、市町村にお いて管理栄養士さんをはじめとする栄養職員の確保といったものが大変重要になってく るわけでございます。参考資料の9頁でございますが、地域における行政栄養士の業務 ということで、平成15年には自治体宛てに通知も出させていただいたわけでございます が、自治体における栄養士さんの役割といたしましては大きく三つございます。一つは 個々の栄養指導の実施ということ、それから給食施設への指導ということ、そして三つ 目が今後ますます重要になると思われますが、地域における健康づくりの事業の企画立 案といったものを担っていただくということでございます。  ただ、10頁でございますが、行政栄養士数というところでございます。都道府県、政 令市、特別区とございますが、その市町村で2,415名、全ての自治体を合わせると4,051 名の栄養士が自治体に配属されているわけでございますが、実はこの市町村2,415と申 しますが、1,168の市町村ではまだ未配置というのが現状でございます。すなわち全市 町村のうち38.4%の市町村では栄養士さんというものが職員として雇われていないとい う状況でございます。それでこの栄養士の配置につきましては、保健師同様地方交付税 の算定対象ともさせていただいているところでございますので、自治体においては一層 配置の促進をお願いできればと思っておるところでございます。以上が栄養施策につい ての施策の概要でございます。  続きまして身体活動・運動につきましての御説明を申し上げます。まず運動につきま しては大きく四本柱で施策を展開させていただいております。一つが科学的根拠に基づ く運動施策の推進ということで、まさに栄養同様エビデンスの確立、二つ目にそれに基 づきます必要な知識を国民の間に普及していくということ、そして三つ目は健康づくり のための運動実践の場を提供するという、いわゆる健康増進施設の普及といったものが ございます。そして四つ目が健康づくりを支援する専門的な人材の育成、この四つの柱 で施策を展開させていただいているところでございます。  まず1のエビデンスに基づく運動施策につきましては、平成元年に運動所要量といっ たものを策定させていただいたところでございます。具体的には生活習慣病予防には全 身持久力といったものが大変重要であって、そういう全身持久力の評価は最大酸素摂取 量によるんだということで、最大酸素摂取量の50%程度の強さを持つ運動を健康づくり のために推奨する運動の強度とし、それを年齢別に何分ぐらい1週間やってもらいたい ということで運動所要量を策定していただいたところでございます。  例えば40代では120程度の目標心拍数のもと1週間160分程度の運動が一つの目安にな る。50代の方については115程度の心拍数を目標に150分程度の運動というような形の運 動所要量を策定していただいたところでございます。また、そうした運動所要量に基づ き、平成5年には運動指針といったものを策定いたしまして、1日30分程度の運動、歩 くんだと概ね約1万歩を毎日歩きましょうといったような形での運動指針を策定させて いただいたところでございます。  次に運動実践の場と運動を支援する人材ということで、参考資料の12、13頁でござい ます。まず施設の方につきましては、健康増進施設認定規定といったものに基づきまし て、厚生労働大臣が認定健康増進施設といったものを行っておるところでございます。 大きく分けまして類型としては三つ、運動型、これがいわゆる典型的なスポーツクラブ を念頭においていただければと思います。それに温泉を併設しておる温泉利用型という もの、そして温泉だけで、その温泉を利用したプログラムを組んで実践していくとい う、温泉利用プログラム型、これは実は平成15年に新たに設けた類型でございます。こ うした三種類の類型に応じ、そこに掲げておりますような認定要件に合致した施設につ いて厚生労働大臣が認定するという形になっております。  認定要件としては施設面、それから設備面、さらには医療機関との連携等でございま して、とりわけ(3)のところでございますが、健康運動指導士その他の運動指導者を配 置しておるということも重要な認定要件とさせていただいているというところでござい ます。温泉利用型につきましては、それ以外のいわゆる温泉の設備の配置や、温泉利用 指導者といったものの配置、さらには15年から創設した温泉だけの温泉利用プログラム 型につきましては、温泉プログラムを実践するに足る設備の配置や温泉入浴指導員の配 置、さらには医療機関との連携といったもの、こうしたものを要件とさせていただいて いるところでございます。認定施設数はここに書いてございますように327、29という ことで、温泉利用プログラム型については現在はまだ認定はございませんが、年明けに は第1号が認定される予定になっております。  さらには実は運動型、温泉利用型につきましては、医療費控除の対象となる指定運動 療法施設というものもございます。下の方に書いてございますが、厚生労働大臣の認定 を受けた健康増進施設で健康運動指導士と健康運動実践指導者といったものが配置され ていて、提携医療機関の担当医が日本医師会の方が資格付与をされている健康スポーツ 医等であること等々の要件を満たすものについては、そこで利用されるコストが所得税 の医療費控除の対象となるという制度となっておるわけでございまして、具体的に136、 3施設が認定をされておるというところでございます。  13頁でございます。13頁は運動にかかる指導者の育成でございます。これは加藤理事 長のところの健康・体力づくり事業財団を中心として実施していただいておる制度でご ざいます。健康運動指導士、さらには健康運動実践指導者という二つでございます。健 康運動指導士といったものは運動プログラムを組む専門職でございまして、実践指導者 はそれを実践する際に指導をする資格ということでございます。  運動指導士の方は医師、保健師、管理栄養士の資格を有するもの、あるいは4年制の 体育系等の大学を出られた方を対象に144時間の講習を受けていただいて、試験という 段取りでございます。実践指導者は方は体育系の短大や専門学校を出られた方や、3年 以上の運動指導の従事経験の方等を対象に49.5時間の講習を受けていただいて試験とい うことでございます。ただ、多くの方は体育系の短大、専門学校の指定養成校において 所定の講座を履修された場合には受験資格というものがあるということになっておりま すし、都道府県や市町村等で御勤務の受験者には都道府県が実施主体となって講習試験 を行っていただくという仕組みになっております。  平成15年度の欄でございますが、合格者ということで、平成15年度は運動指導士は 902名の方が合格、そして運動実践指導者の方は合計いたしますと3,647人ということ で、毎年この程度の数の方が新たに輩出されておるということでございます。平成16年 3月末の資格登録者は運動指導士で9,733名、実践指導者で16,000名ということで、大 体1対2ぐらいの割合で女性の方が多いということでございます。具体的な御勤務の場 所はフィットネスクラブ等で大体4分の1ぐらい、そして診療所や病院等の医療機関、 さらには保健所等が勤め場所になっておるということでございます。  14頁でございます。ただ、こうした運動指導に関わる専門職の扱いにつきましては、 平成14年3月の閣議決定で公益法人に対する行政関与のあり方の改革という中で、公益 法人が独自に行う技能審査に対する大臣認定その他の推薦については一律に廃止すると いう形の方向性が示され、その中の一つとして健康・体力づくり事業財団に実施してい ただいているこの健康運動指導士、健康運動実践指導者の養成のあり方について見直す ようにということが閣議決定されてございます。したがいまして平成17年度という時期 を目途とされてございますものですから、運動指導者の資格のあり方、養成形態につい ては今後検討を進めていく必要があると認識しておるところでございます。私の方から の施策概要の説明は以上でございます。  久道部会長  それではデータ分析の作業チームで仕事を担当された先生から、まず栄養・食生活分 野については吉池先生から、それから身体活動・運動分野については下光先生からよろ しくお願いしたいと思います。  吉池参考人  国立健康・栄養研究所の吉池でございます。資料4−1を使いまして御説明を申し上 げます。1頁をお開きいただきまして、まず目標項目1の適性体重を維持している人の 増加でございますが、四つのターゲットグループについて、肥満だけでなく、低体重、 やせも含めての目標値が設定されております。その下のコメントというところを主に御 説明申し上げたいと思いますが、基本的に同じ指標ですのでデータの比較は可能であ る。児童、生徒の肥満児の割合はベースライン値から横ばいである、それに対して20〜 60歳代男性の肥満者の割合は増加傾向にある、また40〜60歳女性の肥満者の割合は横ば いである。単純に数字だけ見ると、ややこの解釈とは違うようにもなるのですが、その 下にあるようなデータの経年的変化等をふまえて現時点で得た整理でございます。  そしてここの中で20歳女性のやせの割合については先程述べませんでしたが、これは 各年の値を見るとかなり大きな変動がある。例えば平成14年では26.9%になってござい ますが、その前の年のデータを見ると19.9%という変動が大きな指標ですので、現時点 での判断は保留としたいという形で書いてございます。  この中で一番問題視されるべきところは20〜60歳代男性でございますが、これも25年 間ほどのデータを見てみますと、1975年から90年までは増加をしていて、それ以降1990 年代に入って増加のスピードが一旦緩やかになっていたわけですが、97年以降は増加ス ピードが顕著になっているというような現象が観察されております。  2枚おめくりいただきますと3頁の図1がございます。これは76年からのものでござ いますが、先程御説明したように91年ぐらいから97年まではほぼ横ばいの状況が続いて おりましたが、それ以降は上がっています。ここで注意しておかなければいけないこと ですが、「健康日本21」の基準値策定時には1997年のデータを用いております。実際 に「健康日本21」の計画が始められたのが2000年以降であり、今回2002年が暫定直近 値ということでございます。実は数字だけ見ますと97〜2000年までの増加の幅の方が大 きいということがございます。国民栄養調査のように毎年のデータが得られるものにつ きましては、その策定時から計画の開始までの数年のラグタイムということも多少考慮 する必要があるという、一つの例になるかと思っています。  次の頁をお開きください。1.2の脂肪・エネルギー比率の減少でございますが、これ も数値だけ見ますと27.1から25%へと低下をしておりますが、多少技術的に考慮をしな ければいけないところがございます。そういう意味でコメントに直接的な比較はできな いとなってございます。次の頁をお開きください。  図2と3に二つ数字があげておりますが、20年ぶりに食品成分表が切り替えられまし て、そこでの変化がどのぐらいかといったことを表しております。脂質については変化 率1.3%と書いてあるように、これ自体はほとんど変化なし、それに対してあとで御説 明する食塩は約0.6グラム4.9%の低下ということが観察されております。  また、図3のところでは同時に加熱調理による成分のロスが計算上考慮されるように なっておりますので、その辺でどのぐらい幅があるのかについてですが、脂質について 言えば上から三番目、2.9グラムでは5%程度下がっている、食塩相当量では0.5グラ ム、4.2%程度です。従来の調査法と比べて同じものを食べていると記録されていても、 数値等の計算結果として変わってくるという数字の幅でございます。こういうものを多 少考慮をしなければいけないということでございます。  4頁にお戻りいただきますと、このように脂質についてはグラムで表すと5%程度の 減少が推定されるということですので、脂肪エネルギー比率は横ばいないしは若干の減 少であろうと考えられます。ですからこの幅も見ながらデータを考えていく必要がある と考えております。  次は6頁目の食塩摂取量でございます。これも13.5から12グラムへの変化ということ でございますが、単純に引き算すると1.5グラムの減少ですが、先程御説明した成分表 の切り替わり等を勘案すると、そこで1グラム程度の低下がそれによってもたらされて いるということから、若干の低下程度、単純に引き算すると0.5グラム程度の摂取量の 減少であろうと考えておるところでございます。  次の頁をおめくりいただきたいと思います。国民栄養調査、過去の歴史を見ましても いろいろな調査法の細かい切り替わりの度に食塩の摂取量等の数値が変動しているとい う例を示したものが図4でございます。その縦に線を引いてあるところが個々調査方法 が変わったところでございますが、明らかにその前後で数値が変わっています。今回の 2000年から2001年の間においても変化が同様に見られているということでございます。  ただし、20年間成分表を同じものを使ってきて、新しいものになったということは現 時点での評価としてはより精度の高い正確な評価になったと考えられますので、特段何 か補正をするとか、遡って計算をするということではなくて、今回新たに得られている 数字がより実態に近いものと考えるべきだと思っております。  次の頁をお開きいただきたいと思います。食塩の摂取量を性・年齢階級別に見たもの でございます。基準値策定時から直近値までの毎年の変化でございます。縦に点線で打 ってあるところが調査法、成分表が切り替わったところでございます。それ以前から多 少低下が見られていますが、特に注目していただきたいのは、男性で一番上の線です。 50歳代の男性で、以前よりこの年齢階層で食塩摂取量が高いということが観察されてい たわけですが、この年齢階層での低下の幅が比較的大きいのではないか、これは喜ばし い例ではないかと考えているところでございます。  次の頁をお開きください。野菜の摂取量の増加についてでございます。数字では292 gから285gへの変化ということですが、ここについての解釈でございます。次の頁で す。これも年齢階層別に各年の変化を表しているものですが、栄養素等と比べて毎年毎 年の変化がやや大きいと見受けられます。野菜は、当然その季節での価格その他の影響 をかなり受けると考えられますので、単年でのデータの解釈というのは慎重にしなけれ ばいけないと考えられます。平成14年だけ見ると下がっているように見えますが、全体 の傾向としてはほぼ横這いぐらいだろうという解釈が成り立つかと思います。  ただし図の7については、目標値を設定した時もこのように年齢階層別に野菜の摂取 量の現状の分析をしていったわけでございます。御覧いただいておわかりの通り、60歳 代が最も高く、20歳代になるとかなり低いという現状があります。これらの年齢間の差 は1997年の基準値策定時から全く変わっていません。したがって平均値の議論もさるこ とながら、このような年齢間のギャップをいかに埋めていくかが引き続いての課題であ ろうと思われます。  次の頁です。カルシウムに富む食品の摂取量の増加ですが、これについても成分表の 切り替え時に食品分類の変更等がございました。そこで多少数値の解釈に工夫を要する わけですが、牛乳乳製品につきましては、この時水の希釈コードというものを新たに設 けまして、これについての詳しい解析を行うためには平成15年調査からのコード体系を 待つ必要がございますので、現時点での判断は保留とするのが望ましいと思います。ま た豆類については、みそ類の分類が変わりましたことから数値が減っているように見え ますが、みその摂取量をとり出すと約13グラムですから横ばい、野菜については横ばい か、緑黄色野菜だけを見ると若干の低下程度といったとりあえずのデータ解釈になろう かと思います。  次の頁でございます。朝食を欠食する人の減少です。この数値をそのまま見ますと、 中高生、男性の20歳代では数値は減少していて、いい方向に動いています。30歳代では 24.7%と増加しているということでございます。これも調査法の切り替わりで、今まで 朝食の欠食等を大括りにしていたものが細分化されて質問表が構成されるようになった ことを考慮する必要があります。  次の頁ですが、従来欠食とまとめていたものについて、何も食べてない、錠剤・ドリ ンク剤等のみ、菓子や果物のみ、これが細分化されております。特に30歳代男性で見か け上増加が観察されていることにつきましては、このような分類の変更がどの程度影響 をしているかをもう少し検討する必要があろうと考えています。以上です。  久道部会長  どうもありがとうございました。それでは引き続いて下光先生に身体活動・運動の分 野でお願いいたします。  下光参考人  それでは資料4−2を御覧いただきたいと思います。まず1頁目を御覧ください。身 体活動・運動につきましては、日常生活における歩数の増加と、あとは次にお話を申し 上げます運動習慣者の増加と二つ目標がございます。歩数の増加につきましては、男性 の成人、女性成人、男性70歳以上、女性70歳以上と四つの目標値を決めております。コ メントの方ですが、データの比較可能性につきましては歩数計の機種、測定方法などは 同じあるということで、基本的に比較可能であろうということでございます。  申し遅れましたが、歩数については国民栄養調査でフォローされておりますので、そ のデータをとっております。また成人の歩数の目標値につきましては15歳以上のデータ をもとに算出されているということについて留意していただきたいと思います。  データの経年変化をふまえた分析ですが、平均値の数値上の変化では、平成9年の基 準値に対しまして男性では449歩、女性は142歩と減少、また男性70歳以上では649歩、 女性70歳以上では276歩と、それぞれ減少しております。  しかし次の3頁をお開きください。これは男性の歩数の年次推移でございまして、平 成4年から調査が行われております。平成6年は高齢者の調査は行われておりません。 それから次の頁は女性ですが、平均値は点線の○印で表現しておりますが、平成4年か らずっとトレンドを見てみますと、男性では平成9年にピークとなり、その後やや減少 傾向にある。それから次の4頁も点線を見ていただきますと、女性でもやはり平成4年 からだんだん増えてきておりまして、平成10年をピークにしてまた減少している傾向に あるということでございます。  年齢階級別に検討してみたところ、3頁のグラフをそのまま見ていただきたいのです が、20歳代から40歳代までは変化なし、これは有意差検定、t検定をしておりまして、 平成9年と直近の平成14年を比較しておりますが、変化なし。ただ50歳代ですが、 約1,100歩減少しております。60歳代は変化なくて、70歳以上がまた650歩の減少という ふうになっております。女性でも20歳と60歳代で400歩増えている。平均値で400歩は増 えておりまして、30代から50代、それから70歳以上は変化がないという結果になってお りまして、年齢層でやや動向が違うという結果が出ております。  また戻りまして2頁を見ていただきたいのですが、今後の課題ということですが、先 程栄養の方でも御発表がありましたように、「健康日本21」の計画が策定されたばか りでありまして、その対策の効果がこれから見ていく必要があるのだろうということ と、それから一部の年代、50歳代男性において大幅な減少が認められるということで、 あとでまたお話があるかと思いますが自殺者の増加、それから過重労働や仕事のストレ スなどがその要因として考えられるかもしれないということで、この年齢階層に対する 地域・職域における対策の推進が必要だろうということと、それから70歳以上男性にお いて歩数が減少しており、女性においても横ばいであるということで、生活機能低下の 防止の観点からも地域における高年齢層に対する対策が今後必要であろうというふうに 考えられます。  次に5頁をおめくりいただきたいと思います。今度は運動習慣者の増加ということで ございます。運動習慣者につきましては成人と高齢者に分けず全体で男性女性で目標値 をたてております。この運動習慣の調査に関しましては、運動習慣ありというのを1回 に30分以上の運動、これを週2回以上、そしてそれを1年間以上継続して行っているも のを運動習慣ありとしております。この定義は調査ごとに変わってないので、基本的に 比較は可能であろう。  数値上の変化ですが、平成9年の基準値に対して男性3%、女性は3.7%とそれぞれ 増加しておりまして、また平成9年からのトレンドも増加傾向にあるということで、次 のグラフを見ていただきたいのですが、男性の年次推移ですが、これは昭和61年からず っとデータをとっておりますが、全体のトレンドは増加傾向にあります。それから次の 頁の女性ですが、これもやはり昭和61年から平成14年までに全体に増加のトレンドにあ ります。  次に7頁を見ていただきたいのですが、年齢階層別に見てみますと、男性では20歳代 から50歳代までは変化がないということでございます。しかし60歳代では平成9年と14 年の差が6.5%ということでかなり増加しております。それから70歳以上は増加傾向に ないということで、ある年齢階層でかなり増えているというような傾向が認められま す。  それから8頁の女性ですが、やはり20代から50代までは平成9年から14年にかけまし て有意な変化がありません。60歳代で7.5%の増加で、かなり運動習慣者が増えており ます。それから70歳以上も7.7%増加ということです。特に問題となる点は20代女性で ありまして、他の年代に比べてかなり低い、そしてまた増加傾向にないというところが 問題と思います。運動習慣測定上の問題としましては、運動の定義というものはなされ ていないということで、年代によって運動のとらえ方が異なっている可能性などが考え られるだろうということがあります。  それから60歳以上における運動習慣者の割合が増加しているということ、その他の年 齢層で増加傾向がないということから、やはり地域・職域における対策が必要であろう ということが考えられますし、また、20歳代女性の運動習慣者の割合が他の年齢階層と 比較して低いということはこの年齢階層に対する対策が特に必要なのかなというふうに 考えられます。以上でございます。  久道部会長  どうもありがとうございました。ただいま二つの分野についていろいろ説明をいただ きました。何か御質問あるいは御意見はございませんでしょうか。  加藤(尚)委員  運動習慣者ってどういう定義なんですか。  下光参考人  先程の5頁をお開きください。(1)の現状値と暫定直近実績値の比較のところで、運 動習慣ありというのは、1回に30分以上の運動を週2回以上1年間継続して行っている ものを運動習慣ありというふうにしております。  久道部会長  運動はどういうことかということだと思うのですが。  下光参考人  運動というものについては、ただ運動と聞いているだけでありまして、そこに少し問 題があるということで、コメントに書かせていただきました。  高橋委員  栄養と運動両方に関してですが、このデータは統計的に有意差があるものなのかどう か、その点をお伺いしたいと思うんですが、一部有意差があるというお話がありました が。  下光参考人  運動に関しましては、運動習慣の方はカイ2乗検定を行っております。それから歩数 についてはt検定を行っておりまして、一応その検討のもとに有意差があるかどうかと いうことを申し上げております。  高橋委員  このデータをお示しいただく時に有意差のあるところを示していただくと非常にわか りやすいと思ったんですが。  下光参考人  準備が不十分で申し訳ありません。増加あるいは減少というのは有意差があるという こと、それから横ばいというのは有意差がないということでございます。  久道部会長  他にございませんか。  坂本委員  「健康日本21」における子供の健康の問題というのは「すこやか親子21」との関 係も含めて意見が出ていたところだろうと思います。今回の目標値の評価は国民栄養調 査に基づいて子供の健康も評価されているわけですが、特に欠食の状況とかは少し私ど もが日常触れている子供の実情と違うような感じがするのです。日本の場合は学校保健 法の分野もあるわけです。評価に際してこの国民栄養調査とともに学校保健統計との関 係はどういうふうに評価されたんでしょうか。お尋ねしたいのですが。  久道部会長  今の質問は両分野ですか。  吉池参考人  栄養・食生活分野についてお答えしますと、国民栄養調査では、世帯に対しての標本 抽出をして、そこに属するお子さんについてのデータを見ているということでございま して、同じ形でのサンプリング調査をしても変動があるということから見てとれるよう に、学校保健統計など違うサンプリング方法でとったデータとはなかなか直接的な比較 は難しいんだろうと思っております。基本的に「健康日本21」の基準値を検討時に は、例えば小児についていえば肥満の指標ですとか、朝食の欠食については、国民栄養 調査からのデータで見ておりますし、今回の中間評価の数値の整理もそれにならって行 っているというところでございます。  久道部会長  下光先生、何かございますか。  下光参考人  私どもの方は身体活動・運動に関しては、子供についての基準値というんでしょう か、目標値は策定しておりません。一応国民栄養調査に基づいてデータをとらせていた だいているということで、15歳以上というふうになっておりまして、それより小さな子 供たちのデータはないということがございました。以上でございます。  澤委員  質問ではなくて要望ですが、フードガイドの御説明があったのですが、地域におきま しては高齢者などが外食というか、お弁当を食している人が非常に多いということが問 題になっております。これらのことにつきまして地域では栄養士ではなくて、直接いろ いろなことができるのはやはり食品衛生監視員なんですね。各種業者への講習会の中で お話がしていけるという立場にありますので、ぜひ食品保健課の方の食品監視の分野の 方達とも連携をとりながら、考えていただきたいなというふうに思っております。  区におきましても栄養士よりははるかに食品監視員の方が人数的にも多いし、地元の 企業との密着度はかなり強いので、そういう意味では業者に対する講習会の中での指導 は十分やっていけるのではないかと思いまして、具体的に墨田区でもいま動き出してお りますので、ぜひそういう視点も入れていただきたいなというふうに思っておりますの で、よろしくお願いいたします。  久道部会長  これはどこに要望ですか。  中島生活習慣病対策室長  今、澤先生の方から、食品衛生監視員も大いにフードガイドについてはということで ございますが、しかしそうは申しましても、食品衛生監視員というのは基本的には食品 衛生の分野でございまして、やはり健康づくりという観点からは栄養士・管理栄養士の 役割というものは今後ますます重要になると思われますので、当然栄養士・管理栄養士 さんの御意見をしっかりと聞くとともに、先生が御指摘されたような点も含めて、フー ドガイドを、農林水産省と相談しながらやっていきたいと思います。  久道部会長  それでは先に進みます。次は休養・こころの健康づくり分野について中島室長からお 願いします。  中島生活習慣病対策室長  その前に先程高橋先生の方から説明のことで有意差の話がございましたが、お手許に 資料3というのを用意させていただいていまして、データ分析の概要というのがござい ます。本日各作業チームの先生方から詳細の資料で御説明をいただいていますが、その エッセンスといいますか、そのサマライズした部分についてはこの概要版の方でまとめ ておりますので、適宜それを御参照いただければありがたいかなと思っております。そ れでは休養・こころの健康づくりというところで、資料1−1のところに則しまして御 説明を申し上げます。  休養・こころの健康づくりに関しましては、やはり運動・栄養と並んで休養というも のは大変重要だということで、さらに休養の範囲といったものをメンタルヘルスという 観点から広くとらえるということが必要かと思っております。目標としては、一つはス トレスの低減というもの、それから二つ目が十分な睡眠の確保、そして三つ目が自殺者 の問題といったことでこれまで施策を講じてきておるところでございます。  まず施策の概要の1ですが、ストレスへの対応ということでございます。最初のマル 二つが地域において講じられている施策、残りの四つが職域において講じられている施 策という形で整理をさせていただいております。地域におきましてはこころの健康づく り推進事業ということで、精神保健センターを中心に地域精神保健指導者を中心に相談 窓口、知識の普及等をさせていただいているというところでございます。また、職域に おきましては各事業場において労働者のこころの健康づくりということで啓発用パンフ レット、さらには健康づくり計画の策定、さらには休業した労働者が復職される際への 職場適応の促進、環境調整等のプログラム作成、そしてストレス対処マニュアル等の作 成というものをやっておるというところでございます。  それから二つ目の十分な睡眠の確保ということにつきましては、平成15年の3月に睡 眠指針といったものを策定させていただいておりまして、睡眠の問題を予防改善するた めの情報を大きく七つぐらいのカテゴリーで整理をさせていただいて、個人個人が自己 選択に基づいていろいろな工夫をこらして十分な睡眠をとっていただく際の指針とする ように作成したところでございます。  そして三つ目が自殺対策でございます。これにつきましては相談体制等の整備といっ たものを中心にやっておるところでございまして、日本いのちの電話連盟といったもの が中心になって、ほぼ全県にセンターを設置していただいて、研修を受けたボランティ アが相談にのっていただくという事業をしておりますが、そうしたものを中心としたネ ットワーク体制を構築していくということでございますし、普及啓発という点ではそう した相談窓口の普及啓発といったものを進めていく、さらには当然先程御説明したよう な職域における各種の対策といったものが自殺の防止といったものにつながっていくん でありましょうということでございます。そして一番最後に自殺の実態と対策に関する 調査研究等にも努めておるということでございます。参考資料の方を御覧ください。い わゆる自殺対策に関しましては、職域、地域といったことでここに整理させていただい たような形で各種施策を講じておるというところでございます。以上です。  久道部会長  それでは内山先生にお願いいたします。  内山参考人  国立精神・神経センターの内山でございます。資料の4−3を御覧ください。休養・ こころの健康づくりに関しましては四つの目標値が策定されておりますが、暫定直近値 が出ておりますのが自殺のみでありますので、この自殺者の減少について述べていきた いと思います。  まず、現状値と暫定直近値の比較については比較が可能であります。これらどちらも 厚生労働省人口動態調査からの数値として、平成14年のものが得られておりまして、こ れを暫定直近値として比較しています。この数字そのものを見ますと、ベースラインの 平成10年と比べまして1,806に下回っておりますが、ただ目標値である22,000人以下に は到達しておりません。  これを経年変化をふまえた分析をしてみますと、平成10年から平成13年までに自殺者 は約2,000人減少しておりますが、平成14年に前年比574人増加しました。これは次の次 の頁にあります図1を見ていただくとよくわかるかと思います。平成10年から13年にか けての漸減傾向と13年から14年にかけての増加というものが明らかだと思います。これ をさらにこの13年のところをこれまでの3年間続いた減少トレンドの転換点であるの か、あるいは一時的な停滞であるのかについては、少し今後の変化を慎重に見極めた上 で判断する必要があると思います。  三番目に詳細なデータ解析について、平成14年の暫定直近値の29,949人の内訳につい て見てみますと、男性が多い、男性が約女性の2倍以上ある。もう一つは年齢階層別で 見ますと、図2を見ていただくとよくわかりますが、ちょうど中年から初老のところに ピークのあるような形の分布を示しているのがわかるかと思います。  この平成14年のデータについて、13年前年との差し引きをそれぞれの年代別で見てい ただきますとわかりますように、若年者では自殺者は減っている、あるいは70代80代の 高齢者では自殺者は減っておりますが、中年から初老期にかけて自殺者は増えていると いった結果が出ているところであります。こういったことをふまえまして、一言で申し 上げますと、男性の中年が非常に多いパーセンテージを占めているということが我が国 の自殺者の増加に関する特徴であると思われます。  次の頁に移りまして、自殺者の特徴についてはさらなる解析が必要であり、我が国の 特徴を各国のデータなどと比較して、これまで行われた施策との比較を行って、あるい は我が国の特徴をふまえた実効性の高い対策を求めるために、より詳細な背景因子につ いての解析を、Nの数は少し少なくなってもよろしいかと思いますが、行う必要がある というところであります。以上でございます。  久道部会長  どうもありがとうございました。休養・こころの健康のところで御質問、御意見はご ざいますか。  加藤(尚)委員  資料4−3の目標値22,000人という、この目標値はどうやって設定したんですか。  内山参考人  目標値につきましては1997年に自殺者が増加したわけでございますが、これまでの90 年を越してから22,000人から24,000人で自殺者が推移していたということで、急速に増 えた時点から、その前のレベルに減らすということを目標としたというふうに考えてお ります。  加藤(尚)委員  もう一つあるのですが、平成10年から自殺者が低下しているというふうに書いてあり ますが、それ以前の長期的な自殺者の推移、この平成10年以前はどういうふうになって いたんでしょうか。  内山参考人  平成10年以前は、90年代に入るまで比較的横ばいの状態を示しておりまして、1,990 年以降には22,000人から24,000人のレベルを維持しておりましたが、1997年に24,000人 から6,000人ほど増えまして30,000人を超えたというところで、ここから少しずつ減っ てきたということであります。  加藤(尚)委員  こういう統計の時に10万人に対して例えば11人とか、10万人に対して26人とか、そう いうふうな目標の設定はしないんですか。  内山参考人  今回の場合には10万人に対する人数比では目標設定はしておりません。10万人に対す る目標値としましては、ちょうどこの日本が1997年にそれまで20位ぐらいであったの で、一気に世界で10位以内に入ったということで、それが報道されましたが、この目標 値設定に関しましては数値を使っております。  加藤(尚)委員  その当時ですと10万に対して11人とか12人とかという、そういう数値だったんじゃな いかと思うのですが、だとするとそのレベルの目標をどうしてたてないんですか。  内山参考人  これにつきましてはちょうど三つの効果というのがあると思うんですね。時代効果と 言って、不況とか、こういった年代によって特異的に起こってくるような一つの効果が あって、これが自殺者の増加に影響するということと、あともう一つはコホート効果と 申しまして、ある年代の人たちがある年代に入ってくる、例えばこれは団塊の世代と申 しますような比較的人数割合の高い人たちが自殺率の高いところの年代の入っていった のが90年代の後半であります。  こういった影響と、あともう一つは何歳ぐらいが自殺が多いかという、この年齢の特 徴、この三つをとらえていきますと、最終的な目標値というのはパーセントでは必ずし も表せないものではないかと思います。こうした統計的な基本の三つのファクターをふ まえて解析をしていく上では、人数を減らしていくということの方が実効性があるので はないかということで、99年の時点で人数を目標値として決めたようには私は覚えてお ります。  久道部会長  今度は私から質問ですが、自殺者の減少が平成10年を基準にすると減ってますね。と ころが男性の年齢別の比較は前年度と比較していますよね。その前年度と比較すると50 歳が非常に多いということなんですが、それと関連したのかどうか、先程、下光先生の 説明で男性の歩数が1,100歩ぐらい減ってますね、その要因として自殺者の増加とか過 重労働というふうな記載をしているのですが、何かちょっとチグハグのような感じがす るのですが、なぜ平成10年度の年齢別の基準値と比較しなかったのかどうか。それが一 つ目の質問です。  内山参考人  これにつきましては平成10年で比較しても中年層が増えておりますが、グラフが複雑 になると思いまして、14年度の特徴を示すために前年度の数字だけを出しました。この 傾向は平成10年以降も中心については減っていないということについては、同様の傾向 を示しております。  久道部会長  例えば10年度の50歳代の自殺者の数よりも増えているんですか。14年度の方が。  もしどっちも高いのであれば、その歩数が減ったというのと話が違うのではないかと いう感じがするんですよね。下光先生、どうですか。  下光参考人  私の方は、これはスペキュレーションですので、自殺者というのは一つはおそらく50 歳代の男性がいろんな意味でストレスがかかる生活があるんだろう、それから過重労働 ですね、それが対策として出されておりますが、そういうようなことでやはり労働時間 が長いとか、そういうことでそれ以外の歩いたり日常生活における身体活動、あるいは 運動習慣というふうなものが増やせないのかなという、その表裏一体にあるのかという ことで申し上げました。  久道部会長  労働時間が長くて残業が長いために、あるいは休日がないために運動時間、あるいは 歩数が減るのはわかるのですが、自殺とストレスの上昇と歩数の減少は、ちょっと何か スペキュレーションだとしても根拠が薄いような気がします。  下光参考人  あまり根拠はありません。ですからそういう可能性が否定できないのではないかとい うことでございます。  内山参考人  平成10年と比べまして50代の男性の自殺者数は増えております。女性は減っておりま す。県別の自殺の10万人に対する比率ということがよく問題にされますが、ここのとこ ろは具体的な統計検定をさらに加える必要のあるところでございます。一言でいうと、 老人の人口比率が高い県では自殺は率は高く出ます。若年者の多い県では自殺率が低く 出まして、実際には自殺の人数というのは、自殺率が高いといわれる県で非常に多いの かというと、実数では必ずしもそうでないというのが現状であります。この辺のところ はエビデンスに基づいた統計検定、あるいは多変量解析等の基礎的な検討がまだまだ必 要なところではないかと考えております。  久道部会長  他にございませんか。  高橋委員  先程話題になりました自殺の増加と歩数の低下ですが、ちょっと私はそれは無理があ るんじゃないかと思うんですね。というのは運動習慣者の割合を見ますと50代は増えて いますね。ですからその運動習慣が増えたということは、それは自殺の傾向とは逆の方 向ですので、ちょっと歩数の減少と自殺とを結びつけるのは無理があるような感じがし ます。  下光参考人  ただいまの御質問ですが、運動習慣者については、トレンドでは平成9年から10年ま では増えているように見えるんですが、検定では有意差がないので、これを増えている といえるかはちょっと問題だと思います。そして自殺者の問題と運動習慣者というのは かなりかけ離れた問題ですので、おそらくそういう社会状況が関係しているのかなとい うことで、可能性について若干触れさせていただいたということで、それが要因になっ ているということはここでは言えませんし、やはりきちっとしたエビデンスが必要であ ると思います。以上です。  久道部会長  それでは次の歯の健康分野についてお願いします。  日高歯科保健課長  医政局の歯科保健課長でございます。歯の健康でございますが、資料1−1の後ろか ら2枚目の頁でございます。それと参考資料を御覧いただきたいと思います。  歯科の分野につきましては自分の歯を20歯以上保つことにより健全な咀嚼能力を維持 するということで、8020運動が推進されておりますが、この実現に向けた歯及び口 腔の健康増進の推進という観点から現在いくつか施策を行っております。平成12年度か ら地域の実情に応じた歯科保健事業の推進を目的に8020推進特別事業、それとかか かりつけ歯科医機能支援事業などを実施しておりますが、いずれも歯科保健医療対策関 係の予算に伴う事業でございます。  施策をいくつかの分野に分けております。普及啓発ということで、これは主に国レベ ルで行っていることでございますが、フォーラム8020では、シンポジウム等により 歯科保健に関する最新の知見、正しい知識等の普及啓発活動を実施しており、主催は8 020推進財団、厚生労働省等が行っていまして、今回で4回目です。次に歯の衛生週 間でございますが、毎年6月4日から10日まで実施しておりまして、正しい知識等の普 及を図っております。それから全国歯科保健大会では、国民に対する歯科衛生思想の普 及啓発、歯科保健事業功労者の表彰等を行っております。それから各種パンフレット等 を作成配布しています。  次の人材育成、環境整備等につきましては、8020運動推進特別事業を活用してお りますので、この予算で各県の計画により、それぞれ実施するものでございます。その 例としましては8020運動推進員の育成でございますとか、歯科保健医療に関する研 修会の開催などを実施していただいております。  環境整備につきましては、これも各県のそれぞれの計画により実施をしていただいて おりますが、地域歯科保健計画の策定を行っている県もございますし、それから地域歯 科保健データバンクの構築ということで、例えば各県ごとの歯科疾患の実態調査であり ますとか、歯の健康調査などを行っていただいております。  科学的知見の整理でございますが、これは国レベルで行っておりまして、歯科疾患実 態調査を6年ごとに実施しております。次回は平成17年度ということで、全国的な調査 を国として実施するものでございます。  それからフッ化物洗口ガイドライン、これは参考資料の17頁以降についております が、う蝕予防の有効な手段としてのフッ化物洗口法の普及を図るためにガイドラインを 作成し、周知を図っているところでございます。  次の研究の推進ということで、厚生労働科学研究におきまして口腔保健と全身の健康 状態との関係など、各種の研究事業を推進しております。資料の下部に幼児期、学齢期 のう蝕予防、成人期の歯周病予防、歯の喪失防止ということを記載してございますが、 これは一応年代別に対策の内容を整理したものでございます。参考資料の16頁に今申し 上げました内容を図で整理をいたしておりますので御参照をいただきたいと思います。 17頁以降は先程も申し上げましたガイドラインです。以上です。  久道部会長  それでは宮武先生お願いします。  宮武参考人  鶴見大学歯学部の宮武でございます。資料の4−4を見ていただきたいと思います。 幼児期のう蝕予防と学童期のう蝕予防ですが、まずは幼児期のう蝕予防につきまして は、う歯のない幼児の増加ということで、3歳児歯科健康診査を毎年行っているわけで すが、これに基づいて現状値を出しておりますし、暫定直近実績値もそれに基づいた数 値ですので、比較することは可能です。  4年間に8ポイント増加をしております。このトレンドを示したのが図の1でござい まして、これは平成元年からのトレンドが出ておりますが、44.2%であったものが、ベ ースラインを設定したところで59.5、そして14年は67.5ということで、増加をしており ます。  このことから経年変化をふまえた分析ですが、この傾向を伸ばしますと2005年には74 %、そして2010年には84%になると推定をされております。また詳細なデータ解析です が、地域別に見ますと最高が東京都の76.1、最低が沖縄県の46.7ということで、これは 有意差がございます。平均が67.5ということですので、大変地域差が大きいということ でございます。  そういったことから今後の課題、対策ということですが、地域の特性に応じた対策を 推進していくことが必要であることが一点でございます。それから今までに増加した理 由ですが、フッ化物配合の歯磨剤の使用、あるいは個別的な歯口清掃の指導を受けたも のが増加しているということで、そういったものの成果であると考えられます。  ただ、合計特殊出生率の高い地域では、第二児以降の割合も高く、そのような地域を 見ますと3才児のう蝕有病率が高い。つまり子供の数が多くなれば虫歯の所有病者率も 高くなるということです。そういったことから育児環境面からの対策というのが必要に なってくるのではないかということです。それから先程日高課長の方からも説明があり ましたが、地域の特性によって例えばフッ化物の洗口を推進していくということも必要 であろうということであります。  次は学童期のう蝕予防ですが、これも学校保健統計調査を用いまして、現状値ならび に直近実績値を出していますので比較することは可能です。現状値2.9に対して4年後 の暫定直近実績値では2.1ということで0.8歯減少しております。最近出た報道によりま すと平成15年では1.9歯になっています。経年変化をふまえた分析ですが、図2を見て いただきますと、平成2年が4.3であったわけですが、10年間に1.4歯の減少を見ている というところから、この傾向が続きますと2005年には1.7、そして2010年には0.8という ことで、1歯以下という目標は多分クリアできるだろうということであります。  ただ、詳細なデータ解析をしますと、地域別には最低が新潟県の1.8歯、そして最高 が沖縄県の4.7歯ということで、平均が2.1でございますから、相当な地域差が見られて おります。そういったところから今後の課題、対策につきましては地域の特性に応じた 対策を推進していくということが必要で、特にフッ化物の洗口につきましては4歳児以 上について適用するのが好ましいというガイドラインに出ておりますので、そういった 点から歯磨剤の使用、あるいはフッ化物の洗口ということが有効な手段ですので、これ らは地域の実情に応じて推進していくということが必要であろうということです。以上 です。  久道部会長  どうもありがとうございます。どなたか御質問、御意見はございませんか。  澤委員  私は東京都の保健所なんですが、保健所で1歳6カ月健診をやって、そのあと就学前 までずっと歯科相談室というものを開いておりまして、ちょっと気にかかるみたいな方 はずっとフォローしています。3歳でまた健診がありまして、そのあともしっかりフォ ローしておりますので、かなりいい状況にもっていってるというのは保健所の歯科衛生 事業がかなり徹底的に子供の場合はアプローチしているということではないかというふ うに思っています。  久道部会長  他にございませんか。先生、小児の数値が今日出されたんですが、80歳の人の残存歯 数がありますよね、あれは「健康日本21」で項目にありましたっけ? それは調べら れてはいないんですか。  宮武委員  実はここに出されているもの以外につきましては、直近の数値がまだ出ておりませ ん。国民健康・栄養調査の平成16年の中で歯の健康について取り上げていただいており ますので、それが出されればある程度の分析は可能かと思います。  久道部会長  はい、わかりました。他にございませんか。それでは歯だけではなくて全体を見て御 質問なり、御意見はいかがでしょうか。  中村委員  先程東京都の方で栄養指導を食品衛生監視員がなさっているというお話がございまし たが、そこの食品衛生監視員の教育養成の中で栄養学というのはどのぐらい学んでいら っしゃるんでしょうか。  澤委員  栄養指導をしているということではなくて、業者対象の講習会で区で今問題になって いますのは高血圧対策ということですので、提供する物の減塩の勧めを行っています。 それとまた栄養士の資格を持ったのが何人かおります。それからもう一つはヘルシーメ ニューとか、栄養成分表示のきっかけづくり、栄養士が接触する前に食品衛生監視員が そのきっかけ作りをするというような役割をとっているということでございます。  中村委員  先程、栄養指導は栄養士よりむしろ食品管理士が方がよくやっているんだという御発 言がありましたから、ちょっとそういう質問をしました。  久道部会長  では次は新道委員どうぞ。  新道委員  概要の件での質問なんですが、管理栄養士、栄養士の人材育成という説明がございま したが、その人材育成の方向として、合格率をあげることに重点化をするんでしょう か、それとも栄養士になっての継続教育の重点化でしょうか。一番私が関心があります のは、管理栄養士等の育成する大学等の増加もその視野に入っているのか、そして定員 数の増加等も視野に入っているのかをお尋ねしたいと思います。  中島生活習慣病対策室長  それは栄養指導官の方からお答えいたします。  古畑栄養指導官  お答えいたします。今御質問の管理栄養士につきましては、平成12年の栄養士法改正 以来管理栄養士を養成する大学が非常に増えておりまして、当時30数校だったのが今は 100校ぐらい伸びております。そういった意味ではさらにそういった養成教育も含めて 対応してまいりたいなと思っております。以上でございます。  久道部会長  他にございますか。  菊田委員  大変「健康日本21」の数値目標を決めて、このように来年が折り返しの見直しの時 点でございますが、この8020運動の推進員というのも、私は食生活改善推進員でも あり、8020の推進員にもなっていまして、食育推進員にもなっているというよう な、いわゆる机上では誰が運動して数値をあげて啓発運動をしていくのかという部分を やはりあと折り返しの地点が考えていただければと思います。  地方というのは人口が少なくて1人が何役もしています。この縦割り行政という部分 を打破しない限りは絶対にこの運動というのは、広がりというのはなかなか大変ではな いかな。その点皆さんどのように、皆さん数値をいっぱいおっしゃってくださってます が、このあと折り返しのあとどのように運動を展開していったらいいかという部分が、 私たちは食生活改善推進員の予算内でそういう部分を、講習の度に8020の運動の話 から、健康寿命を保つためにはお年寄りには噛み合わせをきちっと治せば寿命は伸びま すからとかという、常にそういう運動をしていますが、この縦割りの部分をこういう学 校とか幼稚園とか、管理できる行政で後追いもできるような部分は完璧なんでしょうけ れども、そういう部分でない一般の住民の人たちの部分はボランティアの人の手にかか っているのではないかなと思っています。  そういう部分をどのように予算づけというんでしょうか、縦割りにしますと私たちの 予算の中でそういう部分を、それとまた8020の方へは呼ばれていっては運動をしな くちゃあならないというと、そういうボランティアですからいいですけど、今日もボラ ンティア、明日もボランティアと、自分の家はどうやっているのかしらというような感 じで暮らしていますが、あと折り返しの地点から少しそういう部分を行政とともに住民 と皆さん関わりのある方と考えていったらとどんなものでしょうかと思っているんです が。  久道部会長  これは要望ですね。はい、どうぞお願いいたします。  石井委員  全国22万人いらっしゃる食生活改善推進員の方々はかなり全国で私どもの8020の 推進員になっていただいています。歯科保健事業というのは市町村事業ですので、市町 村がやはり主体となって施策を展開していく、当然それの予算もつけていかなきゃあい けないわけですが、先程の健康づくり計画のところで、市町村の計画がまだ作ってない ところが非常に多い。これは平成の大合併ということもあって、計画づくりがないとこ ろがあるのですが、こと歯の健康、ヘルスだけじゃなくて、他のことも言えると思うん ですが、やはりそこのところを国がもう少し後押ししないと、さっきおっしゃったよう に、やっぱり8020にしても、私どもだけじゃなくて地域住民の方を主体にしていろ んな職種が関連して市町村保健師の方とか、いろんな人が関連して進めていますので、 やはり行政を越えてみんなが連携するような、そういう仕組みづくりを市町村計画の中 できちんと明示していただきたい。市町村計画というのは顔が見えて声が聞こえる、住 民に非常に身近なところですから、そこをぜひ国の方が後押しをされることをお願いを したいと思っています。  久道部会長  それでは前に進みます。前回の会議で時間切れでパスをしてしまった議題なんです が、三位一体改革についての説明を今日はパスをしないでちゃんとやりますので、それ では石井課長さんからお願いいたします。  石井総務課長  総務課長でございます。本日の資料の5を御覧をいただきたいと思います。三位一体 改革について、こういう動きにありますということは実は前々回、10月の当部会で状況 の御報告をいたしました。その後、いろんな報道である程度御覧になっておられると思 いますが、この資料5の表紙をおめくりいただきますと、11月26日の政府・与党のペー パーがございます。これは政府と与党で合意した内容ということでございます。  2頁から具体的な記載が始まっております。その下の方に(1)総額というのがござ いますが、17年度予算、18年度予算において、地方向け国庫補助負担金について3兆円 程度の廃止・縮減等の改革を別紙2のとおり行うということで、その別紙2が7頁で す。政府全体の補助金改革で17年度と18年度2カ年の間に3兆円程度の改革を行う、そ の工程表が、7頁に関係各省の名前とともに載っております。  中ほどに厚生労働省9,340億円程度という金額、また概要という右側の欄には国民健 康保険国庫負担金、養護老人ホーム等保護費負担金ということで、主なものがここに掲 げられておるわけでございます。欄外に(注)がございますが、政府全体で2兆8,380 億円程度のうち、大きく三つに分かれております。税源移譲につながる改革、スリム化 の改革、交付金化の改革、こういう大きく三種類が、ここで3兆円程度といっておりま す国庫補助負担金改革の内訳ということになってございます。  このあと、当省の関係でいろんな報道でもとりあげられましたが、国民健康保険の国 庫負担金の改革についてまず担当課から御報告を申し上げ、そのあと私から保健医療関 係の交付金化の御報告をしたいと思います。それでは国保からお願いいたします。  井上企画官  保険局の企画官でございます。私の方からは今回の三位一体改革の関係で実施を予定 しております国民健康保険における改革の内容について御説明を申し上げたいと存じま す。同じ資料5の11頁を御覧いただきたいと存じます。  ただいまの医療保険制度につきましては、昨年の3月に閣議決定をされました医療保 険制度改革に関する基本方針に基づいて改革の具体的な検討を進めているところでござ います。改革の柱として保険者の再編統合、新たな高齢者医療制度の創設といったこと で議論をしているところでございますが、この基本方針の具体化にあたりましては大き く二つの取組みが必要であるというふうに考えております。それが資料の1の(1)の ところですが、一つ目が総合的な医療費適正化の推進ということでございまして、どの ような形で医療保険制度を構築するにいたしましても、まずは住民の生活の質、QOL を向上させるとともに医療費の適正化を図るための総合的な取組みの推進が不可欠であ ると、このように考えております。  ここに図がございますが、まず予防段階の取組みということで、健康づくりなど、病 気にならないようにする、もしくは病気になっても重くならないようにするための取組 み、また不幸にして病気になった場合でも急性期から回復期、慢性期という形で、患者 さんに対して適切な医療が提供されるような、そういう体制づくり、そしてまた介護が 必要になった場合でも地域や在宅で支えられるような受け皿づくり、こういった施策を 総合的に取り組んでいく必要があるというふうに考えておりまして、こういった取組み につきましては健康増進計画、医療計画、介護保険事業支援計画という関係の計画を都 道府県が作成しているところでございまして、この三計画の策定主体となっている都道 府県の役割の強化というのが必要であるというふうに考えております。  次の12頁を御覧いただきたいと思います。次に二つ目ですが、私どもとしましては、 特に国民健康保険制度の運営の安定化ということを考えますと、医療費の地域差の縮小 と保険料の平準化というのが大きな課題であろうと考えております。国保の保険者は基 本的には市町村が運営しているわけでございますが、国民皆保険がスタートした時と比 べますと小規模な保険者が多くなっております。例えば加入者が3,000人未満という小 規模な保険者が三分の一以上を占めているという、こういう状況でございまして、小規 模な保険者におきましては運営が不安定になるですとか、保険者として役割が十分に果 たせないとか、こういった問題が生じております。  こうしたことから保険運営の広域化を進めていくというのが課題になっております が、その際にネックとなっているのが医療費に市町村間の地域差があるということ、そ れからそれに伴って保険料にも地域差があるということでございます。したがいまして 医療費の地域差の縮小と保険料の平準化を図ることによって、さらに保険運営の広域化 を進めていく、これが大きな課題であろう。その際には広域自治体である都道府県の役 割というのがやはり重要であろうというふうに考えているところでございます。  以上のような考え方に基づきまして、大きな2ですが、都道府県の役割、責任の強化 のための国保における都道府県負担の導入ということを今回の三位一体改革の中で実施 したいというふうに考えているところでございます。具体的には都道府県に対しまし て、都道府県の医療費の適正化や保険料の平準化における役割、責任を強化するため に、国民健康保険における財政調整機能の付与等を行うとともに、国保の給付に対する 都道府県負担を新たに導入するということを考えております。  具体的には、今は国保の給付費というのは保険料で半分、そして国庫負担で半分を負 担するというのを基本的な仕組みとしておりますが、そこに新たに県の負担を導入す る、さらに県に財政調整機能を発揮していただくということを考えております。今回の 改革につきましては二段階で実施するということでございます。  これは市町村の財政に対する激変緩和といいますか、円滑な導入を図るということ で、二段階で実施することにしておりまして、まず17年度には約5,450億円の県負担を 導入するということ、それからまた18年度以降は17年度予算ベースで計算した場合の金 額ですが、約6,850億円の県負担というような形で県負担を導入することを予定してお りまして、これに伴いまして、これに相当する金額の税源移譲というものも三位一体の 改革の中で併せて行われるということでございます。国保の関係は以上でございます。  石井総務課長  それでは続きまして13頁からです。先程7頁で、改革の中身の一つに交付金化という ものがあるということを申し上げました。13頁を横に長く置いて見ていただきますと、 その表題にありますように、保健医療提供体制、この整備を今回の補助金改革を見据え た上で今後どのように進めていくのかということで、医政局とともに検討をし、基本的 な方向をとりまとめましたのが13頁以下でございます。  まず最初の基本的な方向性は、ここに書いているようなことですが、特に地域保健・ 健康増進ということでふれますと、左側の(4)にございますが、国の方で定めておりま す基本指針、基本的な戦略に則して健診や事後指導を実施していく体制、あるいはその 他諸々の地域保健体制、健康増進体制を整備していく。そのことを通じて、右側にござ いますようないろんな目的を達成していこうということを基本に据えまして、以下、計 画関係の見直し、それから次の頁で補助金改革ということで整理をいたしております。  まず13頁の下半分を少し触れさせていただきますと、保健医療提供体制を整備してい く上で非常に関わりの深い計画が三つございます。医療計画、健康増進計画、地域保健 計画でございます。今回、例えば数値目標を設定をする、政策評価をしていくというよ うなことを通じまして、実効性の高い計画にしていこう、あるいは真ん中にございます が、生活習慣病の予防を通じて国民の健康寿命を延伸していけるものにしよう、それか ら各種計画に基づく補助金を自由度の高いものにして、都道府県にいろんな裁量を発揮 していただく中で、こういう大事な方向性を実現していけるようにしよう、こういう考 え方のもとで、これら三つの計画についての見直しをしていきたい、これがベースにあ る考え方でございます。  次は14頁でございますが、そういう計画を各都道府県でお作りいただき、また、実施 に向けて取り組みを進めていただく、これを応援できる、そういうものに補助金を改め ていこうという考え方でございます。都道府県が策定する医療計画、健康増進計画、地 域保健計画の実施を支援する観点から、地方の自主性・裁量性が高まるように、関係す る補助金を一本化いたしまして、交付金化、統合補助金化といった改革を実施をする、 こういう方向で、今後検討を進めてまいりたいと考えております。  具体的には中程にございますが、施設整備費のあとに→で交付金化、事業費・設備整 備費のあとに→で統合補助金化と書いてございます。平たく申し上げますと、ハードの 関係については交付金という形に改めることで、都道府県、地方の自主性・裁量性を高 められるような形にしよう、また、事業費等の関係は統合補助金という形に改めること で、同じように裁量性を高めていきたいという考え方でございまして、現在、その具体 的な枠組みにつきましては、地域保健法の改正なども視野に入れて検討を進めていると ころでございます。  14頁の下の方にスケジュールとございます。今ふれました交付金化、統合補助金化の スケジュールにつきましては、一番下の2行ですが、平成18年に医療制度改革が予定さ れておりますので、これを見据えまして、18年度からの前倒し実施を目指したいと考え ているところでございます。  また、先程はちょっと飛ばしてしまいましたが、この頁の一番上、「三位一体改革の 趣旨に基づき現行の補助金をさらに精査した上で」ということで、今回、大きく交付金 化などを進める改革と合わせて、同化定着している事務事業、それに伴う補助金につい ては税源移譲の対象にするという大きな見直しがございます。現行の補助金を精査いた しまして、保健所と市町村保健センターの初度設備等についての補助金は、17年度から 税源移譲の対象にすることとしたところでございます。  最後の15頁です。ただいま交付金化、統合補助金化ということで申し述べましたが、 具体的な補助金協議・申請の手続きのどこがどう変わるかなかなかわからないという御 指摘があろうかと思います。この点について御理解をいただけるように15頁を作りまし た。これまでの補助制度につきましては、個別の事業ごとに申請行為が必要だ、あるい は事業の進捗や事業費の変化に応じた経費の流用がなかなか難しいといった御批判をい ただいております。今回、ハードについての交付金化、ソフトについての統合補助金化 という改革を行うことを通じまして、右側の上にありますように、申請を簡素化する、 あるいは三つ目の「・」ですが、都道府県が作った計画の範囲内で自由に箇所付けがで きるようにする、あるいは事業間の経費の使用について弾力化を図るといったメリット を実現していきたいと考えておりまして、今後、18年度を目指して具体的な詰めを進め ていきたいということでございます。  久道部会長  どうもありがとうございます。あまり時間はないのですが、ただいま説明をいただい た三位一体改革について、御意見あるいは御質問はございませんでしょうか。  加藤(尚)委員  13頁なんですが、地域格差の是正というのと、この13頁の左の下の方にある具体的数 値目標の設定という点について質問をしたいのですが、私は鳥取県に住んでいるのです が、交通事故にあう数は非常に少ないのですが、一旦交通事故にあうと死亡率が高いん です。  それはおそらく私の推定では、救急病院の設置が人口比でもって配分してある、人口 10万人に対していくつとかというような数字で配分すると、必然的に救急病院の距離は 長くなるんですね。ですから一度大きな事故にあうと、それで死んでしまうパーセンテ ージが非常に高くなる。それと地域格差の是正というのを、今まで人口比を中心に見て きたのに対して、もっときめの細かい数値の算定の仕方が必要になるのではないか。そ ういうことを考えておられるかどうかを知りたいのですが。  瀬上参事官  ここであげられている具体的数値目標は、今回の「健康日本21」で示してきたよう な大きな意味での数値目標、それを作り出すために今先生のおっしゃった趣旨とは若干 異なるかもしれませんが、もう少し年齢階級別の数値を詳しく精査して、平均値とは異 なる目標を設定した中で、その地域特性にあった具体的な目標を都道府県に定めてもら おうとするものであります。よって、今話題に出ましたような、例えば交通事故ですと 救急車の到達時間というような別の指標がある、交通事故死亡の高い地域、例えば今話 題になりました鳥取、それ以上に高いところ、例えば青森とか、そういうようなところ では都道府県の医療計画、あるいはこれから決めていただく地域保健計画(仮称)、そ ういうものの中でその地域特性に応じてプラスαのそういった指標も参考にしながら、 その地域にあった計画かできるようにということで、ここでもうちょっと国の関与を減 らして、それぞれの都道府県で具体的に定めてもらおうという考え方の基本でありま す。  土屋委員  この交付金化とか統合補助金化という言葉で表されるその意味は、要するに地域に裁 量を委ねるということですね。今、参事官がおっしゃった話も、地域の特性というか、 必要性にあったものを自由に一つ箇所付け可能ということになっておりますが、しかし 逆に言いますと、裁量によっては今までやられてきた必要な事業が実施されないという 意味でもありまして、従来のこういうことのためにといったものが、何か全然別のもの に化けてしまうということが考えられるわけですね。  しかし橋を作るのも、何かハード面のいろんなものを作るのも大事なんでしょうが、 一番大事なのは人の健康であるとか生命に関わることで、これを最優先すべきであっ て、地方の裁量にもっと委ねて、国の関与を最小限に止めるなどという、消極的なこと ではなくて、国の責任において指導していただきたいと要望しておきます。  久道部会長  関連して15頁に保健医療関係の補助金の一本化・申請の簡素化というふうに書いてあ るのは、今、土屋先生から保健医療関係の金まで他の予算に、橋はどうだというふうに 使うのかというのとは違うことを書いているわけでしょう。保健医療関係は保健医療関 係の中で裁量をもって使うんだという、そういう話ですか。  石井総務課長  私の説明が言葉足らずで失礼いたしました。今、部会長から補足をいただきました が、まさにその通りでございまして、保健医療提供体制の整備に要する費用という枠の 中で、しかも具体的に各県が地域の実情に応じて計画というものを作っていただく、そ れを拝見しながら国として一定の関与のもとに支援をさせていただく、そういう考え方 でございます。  土屋委員  ではもう一回確認しておきますが、では一括して補助金ということではなくて、これ だけの金額の金は、保健医療関係に使うんですよという、その枠ははめてあるわけです ね。  石井総務課長  はい、○○県が保健医療関係の計画の中のこの部分を実現したいのでいくら金がかか る、ついてはこれぐらい国としても支援してくれよという中で、あくまでも当該県にお ける保健医療提供体制の充実という用途に限って支援させていただくということで、何 か別の公共事業などにそのお金が回っていくようなということはない仕組みを考えてお ります。  久道部会長  他にどうしても発言したいということはありませんか。  坂本委員  地方自治体がそういうような施策をするためには、どこに力を入れていくかきちっと した指標がないといけないと思うんです。今、健康に関しては死亡統計は全国統一でき れいなものです。前回の部会で医療費も医療費から健康という形で分析をしていくとい うことのお話が出ました。今日は国民栄養調査で「健康日本21」の評価をしていると いう御報告をいただいたんですが、全国と比較してその地域の健康度が評価できる指標 がもう少し、学校保健統計とか、母子や老人保健の健診の統計とかの中で出てくる仕組 みになれば市町村もわかりやすいのですが。わざわざ調査をして計画をたてたり評価を するということになりますと、そういう予算まではなかなかとれないのが地方の現状だ と思います。今の国の統計を健康という形で幅広く利用できるような統計に全国的に変 えていくことも必要ではないかというふうに思います。  久道部会長  それは要望ですね。それでは今日の会議はこのぐらいにさせていただきます。長い時 間にわたりまして大変貴重な御意見をありがとうございました。最後に今後のスケジュ ール等について事務局から御説明をお願いいたします。  中島室長  本日は遅い時間まで大変ありがとうございました。次回につきましては、実は厚生科 学審議会の委員の改選を1月に予定しておりますので、それを踏まえまして新しいメン バーでということで本部会を新年に開催させていただこうと思っております。議事につ きましては冒頭に申し上げましたように、たばこ以下、「健康日本21」の中間評価第 2回目ということでございます。日程調整は別途またさせていただきますので、何卒よ ろしくお願いいたします。  久道部会長  それでは今日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○問合せ先  健康局総務課生活習慣病対策室  調査総務係 山本・森山  電話 03−5253−1111     内線2346・2342