04/12/16 労働政策審議会雇用均等分科会第39回議事録            第39回労働政策審議会 雇用均等分科会 1 日時: 平成16年12月16日(木)10:00〜12:00 2 場所: 厚生労働省 専用第21会議室 3 出席者:    労側委員:岡本委員、片岡委員、佐藤(孝)委員、篠原委員、吉宮委員    使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員    公益委員:若菜会長、今田委員、奥山委員、佐藤(博)委員、横溝委員 ○分科会長  ただいまから労働政策審議会雇用分科会を開催します。本日は樋口委員がご欠席で す。また渡邊委員が途中で退席と伺っています。本日の議題に入ります。議第1の「育 児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則の一部 を改正する省令案要綱」及び「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労 働者の職業生活と家庭生活との両立が図れるようにするために事業主が講ずべき措置に 関する指針案」について、議題2の「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善 等のための措置に関する指針の一部を改正する告示案」について、この2つの議題につ いて一括して審議したいと思います。  この2件につきましては、12月10日の当分科会においてご議論いただいたところ ですが、その際に申し上げたように、本日は答申に向けて分科会報告をまとめたいと思 っています。この件につきましては前回、ほぼご意見が出尽くしたかと思っています が、本日、何か特段のご意見がございましたら、お願いします。 ○篠原委員  今回、施行規則ということでご提示いただきまして、その中で例えば育児休業を再度 利用できる理由とか、1歳6ヵ月まで育児休業ができる場合の中に配偶者という言葉が あり、配偶者ということに限定されていることになっています。いまの現状等々を考え れば、例えば親や兄弟が配偶者にかわって面倒を見ている場合も非常にあります。  例えばになりますが、いつも保育園の送り迎えをしているのが配偶者ではなくて、お じいちゃん、おばあちゃんだった場合、仮にそのおばあちゃんが骨折して1ヵ月間、ど うしても入院しなければならなくなったら、その間は誰が保育園の送り迎えをするのか となります。そもそも両親が育児をするものだということは十二分に理解します。た だ、いま申し上げたような現状もあるということが必ず考えられるかと思いますので、 今後の改正の中ということになりますけれども、配偶者ということに限定されないよう な改正をお願いしたいということで、意見を申し述べたいと思います。 ○分科会長  ほかにございますか。吉宮委員、どうぞ。 ○吉宮委員  確認的なことと、それから質問をさせていただきます。1つは今回、有期契約労働者 に適用を拡大するということについて、私ども建議の段階で賛成をしました。その理解 の仕方は2つあって、要するに期限付きの契約をしているものの実質的に無期と変わら ないという判断基準がある。したがって労働者が育児休業を申し出る時点の判断の物差 しとして、まず第1のところが当たるか当たらないかということ。つまり有期であるけ れども、実質的に期間の定めのない労働者なのかというのが1つある。これは仕事内 容、事業の継続性等々を物差しにして見てみましょうということです。  第2のところは、第5条第1項各号に今回、新しく加えられた資格要件として1歳を 越える契約が見込まれる。さらに2歳を越える契約が見込まれる。これはまさに仕事内 容には関わらず、契約の形を見て判断しましょうということです。2種類あるという私 たちの理解で間違いないかというのが1つです。  次に質問ですが、第5条第1項各号の問題で書面なり口頭で判断しましょうというこ と。しかし、書面なり口頭約束があった場合でも実態と異なる場合のことも想定される ので、その場合は事業主の言動とか幾つか要件が示されています。その場合の事業主の 言動というのはどういうことを考えればいいのか。例えば各お店単位で労働者を雇うこ とは判断が委ねられているけれども、形の上ではもっと上のところで承認をしていると 思います。労働者と事業主との間でということで店の責任者と話をしていたけれども、 上のほうに行ったらちょっと違ったという場合に、事業主というのはどういう範囲なの か。実質的な判断をするのかしないのか、その考え方をお聞きしたいと思います。  2つ目の質問ですが、今回、有期契約労働の適用をした場合に、厚生労働省として何 人の利用者を見込まれているのか。そこをお聞きしたいと思います。 ○麻田職業家庭両立課長  1点目ですが、契約が有期の方が育児休業の申出をして取れるパターンとして、従来 どおり実質無期の方と、今回、法律改正をしたことによって適用が拡大された一定の範 囲の有期労働者の方と、2パターンあるということですが、それはご指摘のとおりで す。  2点目の雇用継続の見込みについての判断として指針に示している中で、実態判断の 1つの事項として事業主の言動というのがありますが、これは具体的にどういう事業主 の言動なのかというご趣旨の質問かと思います。そもそも指針にいろいろと事項を並べ て示しているのは、雇用継続の見込みをどうやって判断するか、そのための判断材料を 指針の中に並べているわけです。ですから雇用継続の見込みを判断するために参酌され る事業主の言動というのは、実質的に雇用契約の更新について権限を持つ方の言動とい うのが、最も参考にされるべきというふうに考えています。そういう意味で実質的に見 るということについては、おっしゃるとおりです。  3点目のご質問で、今回の改正によって、有期雇用者で育児休業の利用者が何人見込 まれるのかですが、これは今後の問題ですのでなかなかきちんとお答えすることが難し いわけですけれども、ざっと粗い試算をして1万人という計算をしています。 ○吉宮委員  1点目の有期の判断のところについてはわかりました。2点目は実質的に判断すると いうこと。できればそれをきちんと通達等で誤解を生まないようにしていただきたいと 思います。3点目の今回の改正に伴う利用者数は粗っぽい計算で1万人と言うことです が、この審議会で6ヵ月延長した場合と有期について、育児休業給付金はそのまま適用 されますということで私も理解して、そう聞いてきました。それは間違いないと思いま すが、そこで育児休業給付金のところを議論する雇用保険課が今度、雇用保険法に基づ いて検討依頼するということで、分科会の説明に連合の雇用保険担当者の所にこれられ ました。私も同席させていただいて聞いたところ、利用者としていま考えられている雇 用保険課の物差しは、ここで私どもに示されたものと違っていて、結果2,500人だ という説明を受けたわけです。育児休業給付金受給者は2,500人です。  課長がおっしゃった1万人と2,500人というのは、7,500人の方は育児休業 を取ったけど給付金は支給されないということでしょうか。育児休業を有期契約で取っ た場合に、給付金は出るものと私はずっと考えていました。これは何なのと突っ込んで 聞いたところ、雇用保険の財政バランス、つまり給付金を出すほうとその財源を中立性 にたもたなければいけないという、雇用保険部会のまとめをいただいていますというこ とです。  したがって私どもが見せていただいた資料の中では、有期については実質4年間、つ まり2つの種類があって、過去実績の契約が1年でその後3年間、事業主が労働者の能 力や仕事状況等々を確認して、そこでいわば3年間雇いますよということで確認したも のについて、給付金を支給する判断をする。これが1つのパターンです。2つ目は、過 去の育児休業を取る前の契約期間3年の実績があって、さらに1年見込まれるという2 つの種類に分けますということで、この育児・介護休業制度改正に伴う有期契約労働者 の有資格の判断基準と、雇用保険の判断基準は違う。それで2,500人だと。  私は前から労働基準法で有期契約1年上限であったときにも、有期には適用すべきだ とずっと言っていました。ところが厚生労働省は、それは育児・介護休業法の趣旨と違 うということで、ずっと適用できませんと言っていましたけれども、労働基準法が3年 契約可能に延長されたことに伴ってそこは変えたわけです。それで今回、この見直しを 始めたわけです。それはまさに厚生労働省が労働基準法の改正に伴う影響を受けて、こ こは見直しをしたわけです。  今度、ここで1年6ヵ月の延長と有期も適用しましたというと、雇用保険のほうはこ れを受けてどうしようかと議論したところ、これはちょっと金がないのでということ で、いま説明させてもらったことになります。  私は前回、建議をまとめるときに、雇用保険のあり方について申してきました。つま り、スタート時点では、育児休業の取得者に対し、雇用保険から払うという判断はあっ たのでしょう。しかし今後、少子化問題でどんどん育児休業を取るようにしよう、男性 も取りましょうと旗を振っている。それはいいことです。  そこで12月15日のある新聞に、新新エンゼルプランの厚生労働省の検討案という のが報道されていて、それは私も聞いているように育児休業の男性取得率は10%、女 性については80%です。こっちは一生懸命取ろうというのに、あっちのほうは入口で 閉めてしまっている。育児休業を取らない理由は何かというと、経済的支援をもっと厚 くしてほしいということ。薄いから取らないというのがアンケートに出ています。やっ ていることと言っていることが全然違うと思います。  これも新聞報道ですが、経団連で13日、財政再建に関わる提言をしました。そこで 言われている報道ですと、「出産や育児で休業中に減少する所得を一般財源で補填した り、保育サービスを充実させたりする必要性を指摘」とあり、そういう意味で我が国の 少子化対策は他の先進国に比べて見劣りする、思い切って財源を投入すべきだと提言さ れていることも報道されています。これは12月14日の新聞です。  たぶん、国民的統一認識として、育児休業が経済的にもちゃんと安定して取れるよう にしましょうということが世の中の流れにもかかわらず、今回、せっかくこちらでいい ものを作ったにもかかわらず、雇用保険のほうで閉めてしまうというのは何なのか。私 はこの育児休業制度の改正と雇用保険は一体だと思います。向こうはまだ諮問されてい ませんけどね。今日、答申するということですが、私の頭の中では前提が全然崩れてい ます。これをどのように考えるのか。  樋口委員が、この建議をまとめる段階でどのようなことをおっしゃっていたかという と、短時間勤務をした人について、その休業した時間数を雇用保険で経済的に見たらど うかという提言を、私の記憶に間違いがなければこの分科会でされています。そのよう に本当に経済的にもきちんと保障した休業制度を作ることが大事だというのは、私だけ でなくて多くの方がそういう認識だと思います。  そのときに、こちらは1万人が見込まれます、雇用保険のほうは2,500人ですな んていうことを、この分科会は関係ないとはいうものの、私は一体だと思いますので、 どう考えるのか。これは十分議論しなければ駄目です。局長、厚生労働省は一体でしょ う。こっちは一生懸命取りましょうと言っているのに、向こうへ行ったら金がないから と言う。金がないなら一般財源というのは、前回、雇用保険部会で雇用保険の要件をど うしようかというときに、労側委員は言っているはずです。それもままならないという 現状で、これから一般的に賃金が高い男性が取るようになるでしょう。そうすると雇用 保険がどんどん出ます。私も前回、一般財源というやり方もありますね、新しい保険制 度を作る場合も、北欧にならってやるなど、そのことを中長期で検討したらどうですか と言いました。その姿は見えません。いざとなると閉めてしまう。全然納得できないで す。  その点についてどのようにお考えになるのか。公益の皆さんも、そんなこともあって いいのだと思って議論されたのか。ちょっと違うのではないか。当審議会、分科会の総 意としてきちんと議論してほしいわけです。ここで答申して、みんな「それはそれだ」 と無責任なことにならないでほしい。それはどのようにお考えになるのかお聞きしたい です。 ○麻田職業家庭両立課長  今回の育児・介護休業法の改正に伴って、期間雇用者を育児休業給付の仕組み上、ど ういうふうに取り扱っていくかということについては、雇用保険制度に関する事項を担 当している職業安定分科会、また雇用保険部会において検討される事項です。  今年の1月8日、まさに今回の育児・介護休業法の改正に伴う期間雇用者の雇用保険 上の取扱いについて、既に雇用保険部会で議論が行われています。その議論の報告書と して、「育児・介護休業法の改正により期間雇用者に休業の権利が付与されることとな るが、これに対応し、そのような者のうち雇用継続を援助促進するという、雇用保険制 度として制度化された制度本来の趣旨に適うものについて、給付が行われるよう必要な 措置を講ずる」と、このように報告書が出されているところですので、今後、この報告 書も踏まえた上で雇用保険部会、そして職業安定部会において今回の取扱いについて、 さらに審議がされる予定になっています。  ただいま吉宮委員から大変幅広いご指摘がありました。そういう意見が当分科会であ ったことについても、雇用保険部会、職業安定分科会の事務局のほうに当方からお伝え したいと思います。 ○川本委員  いま、課長のご説明があって、雇用保険部会の事務局のほうにお伝えしたいというこ とでした。私も記憶が定かではないのですが、昨年12月にこの分科会において報告書 を取りまとめたということで、その後、法案ということになったわけです。その分科会 における1年間の議論の中で何度か、この雇用保険の問題も議論にはなっていたかと思 います。ただ、そのときに、あくまでもこれは別の部会のマターであって、ここではお 互いに多少意見は言いましたけれども、別のところで検討されるべき問題だということ で、確か整理をしたというふうに私は記憶しているところです。  記録を持って来ていないので細かいことはわかりませんが、私がそのときに申し上げ たのは、そもそも雇用保険による給付というのは、本来的には失業給付がベースになっ ていますので、次の就職先を探すまでの間の生活のために支給していくものであるとい うことです。条件によって異なりますが、最長はいま1年ぐらいでしょうか、支給され ることになっています。  今回の育児の問題については、失業しないように、つまり継続雇用させるための制度 ということで、本来、雇用保険から支給することが趣旨に適しているか甚だ疑問であっ て、先ほど吉宮委員も言われましたが、本来的には一般財源という話で考えるべき問題 なのではないかという発言も、私は確かさせていただいたと記憶しています。ただ、い ずれにしてもそういう議論の過程で、これはまた別の分科会、部会のマターであって切 り離して考えるべき話ということで、話は確かそういう形になっていったというふうに 私は記憶していますということだけ、申し上げておきたいと思います。 ○吉宮委員  川本委員のおっしゃることも、もちろんそういう経過があったことを私も認識してい ますが、私は素朴に言って財政的な事情があったにしろ、こちらの有期契約労働者の育 児・介護休業を取れる者の判断と、雇用保険の受給資格について、もちろん雇用保険の 受給資格というのは、雇用保険適用事業所の有期契約雇用者が利用した場合が前提です が、違うという場合のその効果が、こっちはせっかくいいものを作ったのに1万人と見 込んで、雇用保険では1万人でない場合がある。もっと広い可能性がある。私は広いと 思います。たぶん1万人と大まかに見た判断というのは、給付金の話は私は抜けている と思います。それは入れているのですか。入れた上で1万人なのですか。私はたぶん入 っていないと思います。  実際、育児休業を取る労働者は、給付金が支給されるか、されないかを判断して、で は取るのをやめようと、資格はあるけど控えようというふうになる。無給でもいいから 取るという方も確かにいるかもしれません。しかし、私どもが期待している効果という のは、有期雇用者についても安心して休業制度が利用できるようにするのが、私どもが 今回作った法律であり、省令、指針であるわけです。それが2,500人としたらもっ と減る。私は有期問題については言いたいことがいっぱいあるのです。だからこういう 問題があるから、有期というのは考えないと、いろいろなことが起こるわけです。  パートのときも議論させてもらいましたが、その根本を本当に何か、委員の皆さんは どう考えますか。1万人が2,500人なのです。同じ厚生労働行政でこれでいいのか と私は思います。審議会は別ですけど、何でお互いに調整しないのか。縦割り行政はず っと批判されてきました。何で一体でやらないのか。本当に私は前提が崩れました。 ○川本委員  この問題は、いま吉宮委員がいろいろ言われましたが、私もこの問題についてはさま ざまな考え方が個人的にはないわけではありませんが、先ほど申し上げたように、いず れにしても他の部会で、それもそこには公労使が参加して意見交換しているマターであ って、だから私もあえて自分の意見を言おうと思いませんが、いずれにしても今日、吉 宮委員からいろいろご意見が出て、先ほど課長のほうからは事務局レベルでお伝えする ということがありましたので、私は私で他の分科会マターであるということを申し上げ たということです。  それから昨年の12月にまとめるまでに、この雇用保険の絡みの問題では幾つか公益 の委員も含めて意見は出ていますので、こういう意見があったのだということだけ、事 務方としてお伝えをしておいていただきたいなと思います。ただ、ここで、いずれにし ても議論すべき話ではなかろうかと思います。 ○麻田職業家庭両立課長  川本委員からのご発言についても、お伝えしたいと思います。 ○分科会長  ほかにご発言、ございますか。 ○吉宮委員  何を伝えるのですか。座長はそういうことは言えないのですか。答申した場合に、川 本委員も先ほど言っていますから、座長まとめとして大臣に直接言うとか、総意として ですよ、私は総意として言ってほしいわけです。労側の委員だけでなく、この分科会の 総意として、何でそれがならないのですか。 ○川本委員  いまのお話で、この雇用保険絡みの問題を、ここで議論をぎりぎりやってきたわけで はないわけです。ここでまとめようもありませんし、また所掌も違うと思います。した がってもう1回申し上げますが、別のところでは、それなりの資料も提供されながら長 い時間をかけて公労使が出てやっている。そこが労も使も入っていなくて、一方的に厚 生労働省が例えば決めているということなら話は別だと思いますが、それはそこの場で 長年かけて議論しているはずです。あえてここが違った問題についてまた議論して何か まとめて出すということにはなり得ないし、またそういうことがあったら、いまの審議 会方式の根底を覆す問題だろうと思います。私はそれはあってはならないと思います。 ○分科会長  これは、ちょっと私から申し上げますが、特段、ここは分掌でもありませんし、もち ろん議論の中でそういう雇用保険の問題が出てきたことは事実ですし、議事録にもそれ は記載されています。そういうことがあった上で、本日の中で出た議論も全部、課長の ほうから雇用保険部会の担当のほうに伝えるということになっていますので、私はそれ でいいのではないかと思います。 ○吉宮委員  公益の委員は全然発言しませんけど、これは本当に何ですか。 ○奥山委員  公益委員の観点から、これは確たる意見ということではないのですが、いまお聞きし ていて、この場では感想という形でしかお話ができませんけれども、労側の吉宮委員が おっしゃることも、それから使側の川本委員がおっしゃることも、私はどちらも理屈は 通っていると思っています。  実質的に見たときに、今回の育児・介護休業法の改正、有期労働者に対する法律上の 権利の拡大という点が、実質的には育介法の改正のもとでは実際上取る前1年、取って 1歳になるまで1年、それから1歳を越えたときに継続雇用が認められて1年と、です から実質上は3年ということを前提にしている。育児・介護休業を取ったときの給付金 の支給要件、雇用保険法の給付金の場合には、それをもう少し延ばそうということです から、そういう点では吉宮委員がおっしゃったように、実際上1万人、こういう有期に ついて権利の拡大が見込まれるという数字は、2,500人になるかどうか、それは私 はわかりませんけれども、おそらくかなり、そういう休んでいる間の経済的な保障とい うのが全くないということになれば、取りたくても取れないという人が出てくるのは考 えられるところです。ですから、そういう点で適用法規自身の問題として違うというこ とはありますが、これは実質的には1本の事柄として議論すべき筋の問題であるという ことは、まさに吉宮委員がおっしゃるとおりだと、私は公益委員として思っています。  一方で、川本委員がおっしゃることも、理屈は通っていると思うのです。雇用保険の 財源でこういう問題をカバーし考えていくか、それとももっと広い形の一般財源にする か、それとももっと特別の制度を作るか、これは非常に重要な問題だと思います。これ からの社会の中で有期雇用契約を働き方の1つとして位置づけていくためには、そうい うことが手立てとして講じられなければいけないし、議論もされなければいけないと思 います。  ただし、現状では行政の縦割りかどうかわかりませんけれども、仕組みとしてはそう いう問題は、雇用保険部会あるいは職業安定分科会のほうで議論してきている経緯もあ ります。またこちらでも川本委員がおっしゃるように、そういう行政の仕組みの中で突 っ込んだ議論はしていないわけです。ですから今日、そういう状況の中で一本化だから ということで、この答申についてそこの状況がどうかわかりませんが、併せてもう一度 議論しなければいけないというのは、お気持としてはわかります。理屈としてもわかり ますけれども、一方でそういう、これまでやってきた議論の仕組みというのがあるわけ ですから、いま吉宮委員が言われたことは、改めて雇用保険部会、職業安定分科会のほ うで議論していただくことが、いまの現状では方法ではないかとは思っています。 ○吉宮委員  私が聞いた情報では公式なものではない。まだ審議会に諮問されていないわけです。 だが故に、当分科会の総意として、こちらで作った有資格の判断で雇用保険も払ったら どうですかということです。財源問題はというときに、まさにいま予算編成をやってい ますが、補正予算もあるでしょう。時間もあるわけですから、なるべく有期契約労働者 が育児休業を取ったときに給付金が出されるように措置すべきです。  2,500人に伴う影響が20億4,000万円で、こちらに言わせれば2,500 人の4倍ですから80億円、そういうことでまだ諮問されていませんし、こちらが先な ので、だから答申することはいいです。施行規則について私は了解しているわけです。 しかし、この実効上機能するように、雇用保険部会の議論はこれからですので、もう1 回再考を願って、こちらの意思が十分反映できるように、お互いにやりましょうという ことです。 ○奥山委員  いまのような労側のご意見を、伝えていただくわけでしょう。 ○吉宮委員  その伝え方が、できる限りこちらのほうに合わせてくれと、財政事情があるけど、取 った方が全員給付されるようにしてほしいというふうに何で言えないのですか。それで 向こうは経緯がありますから判断するでしょう。その上で議論してほしいということを 私は言っているわけです。私の要求は過度でしょうか。向こうが諮問されているのなら 別ですよ、諮問されていないわけですから。 ○奥山委員  そういう要求があったということをお伝えしていただければ、それを踏まえて雇用保 険部会は議論するでしょう。そちらにも労側の委員がお出になっていますし、その意向 をさらに強くおっしゃるのではないですか。 ○吉宮委員  ということは私が言った意見の、つまりこちらの基準に合わせてほしいということを 私は伝えてほしいと課長に言ったわけです。伝えますというわけですよね。そのことは 皆さんも了解していいわけですね。 ○奥山委員  個人的には、そういう議論をしていただいて結構だと思います。ここでそれを是か非 かの議論は、これは川本委員のおっしゃるように筋が違う問題ですからできませんね。 そういう意見があったということを伝えていただいて、そういうものについて実質的に 機能させるためには、そういうことを連動して考えてほしいという意見が、この雇用均 等分科会の答申の場で出されたということをお伝えいただければ、それはいいことでは ないですか。 ○吉宮委員  とにかく伝え方を私はきちんとしてほしい。 ○川本委員  何度も申し上げて申し訳ないですが、この場ではその問題について議論もしていない し、いくつかの話は出ましたが、それは個人的に少し申し上げただけで私もそれ以上の ことは言っていませんし、また逆に言えばそれ以上のことを勉強もしていない。また私 どもの機関に諮っているわけでもない。つまりここの分野という枠組みの中でやってき た話であるということであります。  したがって、ここで議論していないのに、ここの分科会としてこういう意見が出たと いうことを、正式に他の分科会なり部会に物申すということになれば、私は本当にいま の審議会方式は全部信頼関係がなくなると思います。それはそれの責任のもとにやって いる。それも公労使が出てやっているということをいちばん重視すべきです。ですか ら、せいぜい私はできても、例えばこちらの分科会では使側からこんな意見も出まし た、労側からこんな意見も出ました、公益委員からこんな発言がありましたよという議 事録レベルで、情報としてお伝えするというのがせいぜいであって、それをもしも超す ことがあったら、私は本当に筋が通らないと考えます。私はそれは決してあってはなら ないと思います。 ○奥山委員  私がいま申したことは、川本委員が言われるように、この分科会としてのまとまった 意見として、雇用保険部会なり職業安定分科会なりで議論していただくときに、雇用均 等分科会としてのまとめの要望ということではないです。この雇用均等分科会の中でも さまざまで、労側、使側、公益の中にもそれぞれ意見の違い、立場の違いというのはあ り得るわけですから、それを越えて分科会として、そういう意見の要望を出せという意 味ではないです。あくまでも労側からそういう意見があって、公益委員の中にもそうい う考えがあるということを客観的にお伝えしているだけです。それをベースにしてそち らで議論していただきたい、そこまでです。そこを言っているだけです。  ただ、そのときに、川本委員がどういう意味合いでおっしゃっているかわかりません が、全くそれはこの分科会の問題ではないと言う意味合いが、議論としてやるべき土俵 ではないということと、育児・介護休業法の改正に伴うような議論と連動、あるいはそ こまで言うと言い過ぎかどうかわかりませんが、関連している問題として意見が出たと いうこととは、ちょっと違うと思っています。そういうような観点からの私の発言とし て理解していただきたいと思います。 ○片岡委員  川本委員にご意見を伺いたいのですが、私はすごく分かりやすくしか言えないのです けれども、育児休業の適用対象者を議論して、有期の適用要件を決めてきたわけです。 今後は無期であれ、有期であれ休業を取って、その人が意欲を持って仕事を続けていく 環境を整えようというときに、有期の人にも当然、いままでの休業給付のやり方と同様 に休業給付はあるべきだと思われますよね。そこはご意見は同じですよね。 ○川本委員  それについて私は個人的に意意がないわけではありませんが、先ほどから言っている ように、この前の12月に建議をまとめる中で幾つか意見は出ていたと思います。た だ、あくまでもこれは他の部会があるからということで、本当にとば口の話しか私個人 はお話をしていない話ということで、それをいま、ここでまた蒸し返して言うつもりは ないのです。 ○片岡委員  いま、この問題に対していかがですかということできいているのですが。 ○川本委員  ここでいま、そのお話にお答えして私は意味がないと思っているので、お答えをしな いということです。いずれにしても12月までの段階では、議事録を見ていただければ それなりの発言をしていますけれど、ただ、申し上げたのは、本来、雇用保険から出す べき問題ではないでしょうということを、確か申し上げたと思っています。それから吉 宮委員が言われたことは私はあまり記憶していないのです。たぶん同じような意見であ ったということは、その部分についてはあるということですけれども、ただ、給付をど ういう形で、こちらに合わせるとか合わせないとか、根本的にどうであるべきとかい う、本当に突っ込んだ話をしているわけでもないし、逆に私も今日、こんな話が出ると 思っていませんでしたので、特に前の記録を読み返して、私は自分自身がどんな発言を したのかも記憶は定かではありません。また改めて今日、私も頭を整理してきていない ので、このことについて改めて意見を言うつもりはありません。  ただ、いずれにしましても、もう一度言いますが、それぞれ本来、ここで言ってはい けないということを私は言いたいのでなくて、所掌として他の分科会が持っている部分 ですので、それはそれぞれ労側も私どもにしても、そこに委員が出ているわけで、そこ で意見交換しながら、そこで必要があればしていくべき話ではないかなということを言 いたいのです。この一線を越してしまいますと、本当に混乱するのではないかなという ことを申し上げたい。そういうことです。 ○吉宮委員  私のほうは別に、職業安定分科会ですか、その中の雇用保険部会で議論することを否 定しているわけではありません。ただ、向こう側で議論していただくときに、こちらで 作った育児・介護休業法の改正に伴って向こうが議論しているわけです。私は育児休業 の有資格者は、当然、給付金があるものと100パーセント思っていたのです。分離さ れるべきと想定している方は全然矛盾を感じないと思いますが、私が聞いたのは今週の 月曜の午後です。私はびっくりしたわけです。その意味では議論していないです。そん なことは思わなかったし、ここでしっかり議論すれば当然、自動的に一般労働者と同じ ように給付金は出されると思っていたわけです。それがもう1つの基準ができたという ことです。私はだから、その意味では有期労働者が安心して育児休業を取れるために、 当分科会で作った改正案の実効が上がるようにしましょうということを、是非、その趣 旨で検討してほしいということを何で言えないのか。それを受けて向こうが議論するの は、労側も出ていますし否定しません。  しかし、当分科会がせっかく作った改正案がうまくいくように、まさにそういう意味 では雇用保険は関係しているわけですから、そのことをこの分科会で何で言えないの か。実効あるものにするために是非、そんな振り分けはしないで全員適用されるように してください、すべきだということを言うのは、私は全然矛盾は感じないですけどね。 ○分科会長  ほかの方、いかがですか。 ○横溝委員  吉宮委員がおっしゃるように、1人の働く人として見れば権利として、この育児休業 が取れるということが決まった以上は、給付金も受けられるのではないかと思うのが素 朴というか、基本的な考えとしてはそうだと思いますが、やはりステップ・バイ・ステ ップでいろいろな段階があるわけですから、雇用保険部会で慎重にいろいろな資料をも とに審議して、いま川本委員が言われたように労使も参加して審議を深めているわけで す。  私どもは私どもの事務分掌とか所管があるわけです。私どもに与えられた課題につい て議論し、意見を申し上げているということで、その分掌のやり方が、いわゆる縦割り 行政で良いか悪いかという議論はさておいて、現実にはそういう分掌があるわけです。 それで雇用保険部会というのが慎重に議論を深めて、いろいろご意見をおっしゃってい るわけですから、吉宮委員のお気持はよくわかりますけれど、いまの段階では、この雇 用均等分科会としての総意として言うというのは、やはり越権というか拙速です。それ ぞれの委員がこういう意見を持っていると、先ほど課長が言われたような形で報告して いただき、向こうの審議を深めるための資料にしていただくという意味で、それは是非 やっていただきたいと思いますが。雇用均等分科会の総意として出すには私たちの議論 も深まっていないし資料も少ない。深化度も薄いということで、全体として出すにはや や僭越ではないかという気がします。  吉宮委員がおっしゃるように1人の人間として見れば、権利として取れることになっ たのなら、それと対に雇用保険が出る。そうでなければ実質取れないではないかという のは、おっしゃるとおりだと思います。ですけれども現実を見ると、雇用保険から出る のがいいかどうかさえ問題なわけです。どこから財源を持ってきて取りよくするかとい う時に、とりあえず雇用保険から出しておこうと、これは私の個人的な見方で違ってい るかもしれませんが、一種の苦肉の策で雇用保険という制度を使って今は出している。 だけどそうでなくて一般財源から堂々と出すようにするのがいいのかというのも、これ も大きな課題なわけです。  だから、いまの過渡期においては、第1段階としてこれを是としておいて、将来の課 題として取り組んでいただく。そういう方向がいいと思います。あまり今のところで抱 き合わせでやらなければ駄目だと言うと、昔風の言葉で言うと「角を矯めて牛を殺す」 みたいになってしまう。そういうことのないように、よくわかりますけれども、ステッ プ・バイ・ステップの1段階ということで、雇用均等分科会としてはそこは総意でな く、それぞれこういう意見があるということを、課長がおっしゃるような形で報告して いただくことがいいと個人的には思います。 ○今田委員  2つ言いたいことがあります。1つは、育児・介護休業法の今までの制度の発展の経 緯から言って、まず育児休業の取得ということが制度化されて、次に経済的な視点とい う枠組みで拡大し、今度は有期のほうに適用が拡大したわけです。そうすると当然、そ の層に対する経済的な補填ということで、今までの経緯からすれば皆が期待する。だか ら普通に考えれば有期の人に拡大されたのだから、その人たちについて経済的に補填さ れると吉宮委員が言われるのは、ごく普通の議論であり、そういうふうに期待されてい ると思います。  ただ、ずっと言われているように、それが雇用保険の枠組みの中で処理されている。 それは我々がこの育児休業制度を、そういう形で制度化していって選択したわけですか ら、それに拘束されるのは、ある意味で現状ではしようがないと考えられると思いま す。そういう意味で、いま言った育児休業制度の拡充ということから育児休業が取得で き、それの経済的補填ができる制度を作っていったのだから、有期についても拡大され 経済的補填がされる。それは雇用保険でされるのだから当然するべきだと、我々の雇用 均等分科会の中では、そういう議論がされていると私は理解しています。ただ、そのこ とについて雇用保険の問題で補填される問題に関して、ここで議論はされなかったこと は確かです。そういうことが議論されてきたというのは、雇用保険部会の事務局の方た ちもここで傍聴されているし、課長や雇用均等分科会の事務局から、職業安定分科会の ほうにきちっと情報も伝えられると思います。そういう枠組みの中で、私は処理されて いくと期待しています。  2つ目ですが、私もいろいろな分科会に関わっていますけれども、課題が連動する場 合もあれば、片方が先導して課題として課されて次がスタートするのもある。そういう 分科会の中で相互に関連し合う。当たり前の話で、労働問題ですから相互に関係する課 題であるわけです。そのときの各関連というのは、とても難しいだろうと思うのです。 やはり相互に独立しているわけですから、そこでそれぞれ三者がきちっと議論する。誰 からも拘束されずに、その課題にピュアに資料に基づいて議論するというのが理想なわ けです。どこからか何か拘束されるとか圧力がかかるというのは、審議会方式としては まずいわけです。  そういう意味で、そこで純粋に議論してもらうということがいいと思いますが、相互 にテーマとして関わっていますから、そうであると同時に他の分科会で議論されている ものについて、それは最大に考慮すべき情報として、分科会で議論するというのが筋な のだろうと思います。そういう意味で分科会も行われている。今後、職業安定分科会に おいてこの問題が議論されていくときには、ここで議論されてきた趣旨というのは、十 分考慮されるであろうと理解しています。 ○吉宮委員  いま、各分科会で関連する事項を議論する場がどうなっているのか。私ども労側とし ては分科会の上に労働政策審議会というのがありますね。ここできちんとそういう問題 を含めて、中長期の課題も含めて議論すべきだと思います。単に各分科会で決したもの を事後処理するのでなく、まさに各界のトップリーダーの方々が入っている審議会です から、少子化問題をめぐる話題で一方で一生懸命取ろうとやっている施策を、こっちで 経済的に閉めてしまうというのは、あっていいのかどうか。まず労働政策審議会で議論 すべきテーマだと思います。  そういう意味で、まさに雇用保険部会とこっちの分科会の課題があるわけですから、 早急に労働政策審議会を開いて、これをどういうふうに考えるか私はやっていただきた いし、そのことも求めたい。  要するに、各論でそれぞれおっしゃっていますけど、少子化問題というのをこれだけ 国を挙げてやっているときに、皆さんのそれぞれを見れば、経済的な自立性とかいろい ろおっしゃっているはずです。各論になると待ってくれとなる。どういうふうに政策実 行というのを考えるかというのは、まさにいまの場面であって、育児・介護休業制度は 少子化対策で労使が取り組む基本問題です。  まして有期契約者がどんどん増えています。あまり公表しないけど有期は増えてい る。その方たちが、せっかく作った権利が行使できないということに対してどう考えて いくのかというのは、まさに課題なのであって、そういう面からも是非、私はこの有期 雇用労働者の適用要件、これだって私は反対しました。過去1年で2年というのは長過 ぎると。しかしなりました。驚くことに介護休業についても、給付については有期労働 者は4年とされていて、違います。こっちのほうは93日です。向こうは同じ仕組みな のです。介護休業についても4年なければ、取っても給付されないということです。こ んなの実効が上がるのか。無給で介護休業を取るしかない。  こっちが作った仕組みが、せっかく作ったのに、向こうの経緯がわからないと言った って、是非そのことが実効が上がるようにしてほしいということを、何でここの総意と して言えないのか。具体的にはこの分科会とこの分科会にいきましたというのは結構で すが、それは私は否定しません。こちらの総意として実効が上がるようにしてほしいと いうことを私は伝えてほしいわけです。 ○岡本委員  1つの法律を、ある審議会でメインに作っていくるわけですが、その審議会でほぼ合 意できるというものを作り上げていながら、各論の部分でそれぞれの分科会で分かれて 議論する。本来、各論の部分でその法律をさらに補強していくということだと思うので すが、今回のように、そもそもの法律の趣旨と若干財源面という違うアプローチで、こ ういった形になっていくということが、私自身もどうも納得がいかないのです。審議会 のあり方ということになっていくのだろうと思います。  先ほどの吉宮委員の話もそうですが、それぞれの分科会がアプローチの仕方、出発点 としてどうしても問題意識のところが違ってきますので、そういった部分で全体を本当 に少子化ということで見ていくというところが、どうしても必要だというふうに私も思 います。私自身、本審に入っていますけれども、残念ながら本審はほとんどのものが事 後承諾ということで、予算の議論と基本計画ぐらいしかなかなか議論ができないので す。  本来で言えは、本審というあらゆるセクションの方たちが来ているところで、重要な 部分のところを決めていくということがあるべきだと思います。もちろん、忙しい皆さ んですから何回も集まることはできないし、もっと専門的な議論をするために分科会が あるということは十分に認識していますが、こういった問題が起こるということ自体 が、私自も大変残念だなというふうに思います。もう少し大きな視点で十分に事務局の 担当の皆さんと私たち三者で議論できる場を、幅広く持っていただきたいなと思いま す。意見です。 ○佐藤(博)委員  私は吉宮委員が言われていることが間違っていると言うつもりは全然なくて、ただ、 そのことと、どういうふうにこれから議論するかということは、いろいろな制度の調整 とか所得保障をどうするかについて私も個人的意見を持っていますし、言う場があれば 私はそこでも言ってきています。少子化対策の基本計画に基づいた対策を作るときもそ ういう話をしました。  ただ、ここの場では川本委員が言われるようにそれぞれ所掌が決まっていますので、 その範囲内では責任を持って、この分科会で決まったことは出せますが、それ以外につ いて総意として出すのは、それをやると逆に言うと、もし例えば労働基準法とか他で言 われているから、そちらはこうしろと言われたら我々は議論できるのかと言えば、それ は皆さん、それではとてもそれぞれの所掌において議論できないということになると思 います。ですから、それぞれの所掌の範囲内について、総意として議論するという手続 で進めざるを得ないと思います。趣旨はよくわかるのですが、そういう意味では皆さん 言われたように、ここで出た議論というものを向こうの分科会に伝えていただいて、そ れぞれ向こうの分野の専門の立場から、それを踏まえて議論していただく。  もう1つは、労側はそちらの部会に委員を出しているわけですから、それは当然、そ こをきちっと向こうの委員に伝えていただく。それはできる立場ですから、その中で出 ている方が、きちっと吉宮委員なり労側の意を汲んだ発言をしていただくという手続を 踏むしかないのではないか。それを越えてしまうと、我々としてもここで議論できなく なってしまうことを、我々自身がやることになります。そのことと、いま問題があるの を先送りしていいと言うつもりはありません。それはそれで問題として私も自覚してい ますので、さまざまな制度の調整とか財政の問題を議論しなければいけないというのは 私も自覚しています。 ○佐藤(孝)委員  私はフード連合という組織から来ていますが、フード連合からも雇用保険部会にメン バーの人が出ています。事前説明か何かで聞いていますが、その聞いた段階で実はこの ことがわかったわけです。もともとこの議論のときに、そういうことを全く想定してい なかったわけです。それは当然、そういうことでいくものだと思って、これは勝手に思 ったんだからと言われればそうかもしれませんが、この間の議論の中でそういう話は全 く出ていませんから、当然、そういう人たちは今ある制度に乗っかっていくものだと思 っていたところ、違うものが出ているということで、これは何だという話になったわけ です。  そういうようなのは私だけなのか、ほかのメンバーの方は、みんなそういうことを想 定して議論してきたのか。その辺のことを先ほどから言っているわけです。労側だけが 勝手に想定して、そういうことできたということであるならば労側も責任があると思い ますが、これまでの議論の雰囲気からすると、そうではないのではないか。全体の雰囲 気がそういう雰囲気だったのではないかという感じがしているわけです。そういう面で 先ほど吉宮委員が言ったように、そういうようなことを付して報告できないのかどうか と、そういうことを言っているわけです。そういう雰囲気で議論したという感じはない ですかね。労側だけですかね。 ○今田委員  いまのご発言ですが、先ほど課長から、雇用保険部会の育児・介護休業法の改正に伴 う問題としての対応の仕方というものが紹介されましたよね。あれは一応、そういうも のを受けて考えましょうという、雇用保険部会の対応として我々は理解しているという ことです。  いまおっしゃったように、まだ仮定の議論です。雇用保険が2,500人だとか具体 的にそういうことが出て、どういう原則に基づいて2,500人だからというのは、議 論された結論として出てきているわけではないですね。少なくとも公式の発言は課長が 発表された、今後、そういう雇用保険の枠組みとの調整ということで議論しますという 報告ですよね。これからやりますよという宣言はされているわけで、そういう意味で、 いま仮定の議論で出されて、我々は考え方が間違っていたのではないかと問題提起され ても、ちょっと我々としては、それは受け入れかねるというのがあるのです。  我々は当然、先ほど言いましたように、通常の労働者の育児休業の取得、経済的な補 填をやって、同じように有期もそういうふうな給付が確保される。その人に対しての経 済的な補填がされるという通常の常識的な議論の路線で、私は話していたと思います。 ただ、雇用保険という、ある意味ではすごく特異な制度なわけですから、少なくともそ の制度に乗っからざるを得ないという、その拘束は受けるということだろうと思いま す。  純粋に育児休業の制度として、パーフェクトなものにするための制度としては一般財 源とか、もっとやりやすいものがあるほうがいいのかもしれませんが、それは我々とし ては既にスタートしてしまっている制度なのですから、一応、雇用保険の制度で今度の 有期の場合の対応をするだろうと、そのぐらいの予測をして我々は議論してきたわけで す。裏切られたとか、ほかの人は違うのではないかとか、そういう話ではないと思いま す。あくまでいまの吉宮委員の意見も、事実として我々の分科会に知らされたフォーマ ルなものではないわけですよね。そういう仮定のもとにここで議論するというのは、あ まり生産的であると思いません。 ○篠原委員  確かにそうだと思いますが、ただ、せっかくこの場で、ここまでやっとできたという ものになっているので、さらに良いものにしましょうということです。あとは次世代育 成対策推進法という法律ができて、来年4月から行動計画を提出するということになっ ていますし、やはり実効性あるものにしたいということ。あとは先ほど今田委員が言わ れたように、まだテーブルに上がってきたわけではなくて、水面下という言い方はよく ないかもしれませんが、まだまだ論議の最中であるということを考えれば、この分科会 としては良いものにしていくための発言を、その分科会のほうにしていくということ は、やはりしていくべぎてはないかと思います。それは1つの意見として、こういう論 議がありましたということの総意で、やはり言っていくべきではないかと思うわけで す。 ○佐藤(博)委員  できるだけ我々の趣旨を理解してやってほしいというのは、よくわかるのですが、そ れをどうするかということだと思います。私はこのやり方には2つあって、1つは労側 は労側代表委員を通じてその分科会でやってください、というもの。これはフォーマル にやれるわけです。もう1つは、ここで総意として伝えるのか、こういう意見があった と伝えるのか、この2つです。  私は先ほど言いましたように、いくら重要だ、大事だということであったとしても、 それは川本委員と一緒で、この審議会の仕組みを崩すことは避けたい。それをやってし まうと、今後、我々もほかの分科会から制約を受けることになる。そういう議論の仕方 はまずいだろうと思います。  もちろん、分科会間の調整の仕組みを作っていくということは私は賛成です。それを 労働政策審議会なりでやるのは駄目だと言うつもりはないですが、いま現状の分科会と いうことを考えると、現状では総意として伝えるということは、この仕組みを崩すこと になるだろうということで、いまやれることは、こういう意見があったということを課 長のほうから伝えていただく。もう1つは労側としてフォーマルなルートで、労側代表 の人に是非言っていただく。私はそこの部会に入っていませんから、それは私からお願 いです。 ○片岡委員  私は、いまの佐藤(博)委員の総意とすることが仕組みを崩すということが、ちょっ と自分の中にストッと落ちてこないのです。自分の言葉で言えば育児休業法の改正の趣 旨というのは、もともとは少子化対策を頭に、2002年改正後、非常に短期間で今回 のテーマを扱ってきた。その結果、それだけで少子化問題が解決されるとは思わないけ れど、そういう趣旨でこれが始まって、いろいろ議論があった中で、有期で休業が適用 できる人を決めようと、有期労働者で休業対象者という人はこういう人ですよとしたこ と。しからばいま、いわゆる正社員が休業を取ることと雇用保険からの休業給付という のは、一体というかセットで行われており、当然、有期で休業対象となる人に休業給付 を行うということは、そこは全く異論のない、つまりそれが総意というふうになると思 うのです。その総意で臨むということ。 ○佐藤(博)委員  それが合意できるかどうか、議論しなければわからないです。そのことを言っている のでなく、その手続のことを言っているのです。それは合意できるかどうかは議論して みなければわからないです。そのことと伝えるかどうかは別です。手続の問題が私は無 理ではないかと言っているだけです。合意できないかどうかやってみないとわかりませ んけれども。 ○片岡委員  そのことを伺いたかったのと、先ほど吉宮委員や岡本委員から、そうであるなら労働 政策審議会の開催を、吉宮委員は要求するということで意見を申し上げたので、それに 対するお答えをいただきたい。労働政策審議会というのは、それぞれの各分科会で扱っ たことを総合的に議論できる場ですよね。ですからそこに一体的に、この総意をそこで 見い出すために労働政策審議会を開くというのは、とても有効ではないかと思うので、 そういう意味で開くようにと先ほど吉宮委員が言ったと思います。それについてもお答 えがまだないから、それはいかがですか。 ○奥山委員  労働政策審議会という全体の会議に関わる権限と責任の問題を、この分科会の中で求 めるというのは筋違いです。それは事務局としてもそんなすぐに答えられません。 ○片岡委員  一体的に審議する場があるとすれば、そこではないかなと思います。 ○奥山委員  ですから、それはそうです。そうだと思いますが、それをこの場で最終案を求めるよ うな形で分科会の事務局に求めるのは無理です。それはもっと別のルートで、そういう ことが分科会でそれぞれの個別の問題について、もちろん連動している問題ですけれど も、個別の形の問題として議論している分科会が労働政策審議会の中でもそれぞれ存在 するわけです。その上でトータルに縦割りの分科会で決まったことを、さらに調整しよ うということで労働政策審議会、親会議のところでその調整をしようと、すべきだとい う意見は私もよくわかります。でも、すべきではないですかということを意見としてお っしゃることはいいですが、それに対してこの分科会の中で回答を求めるというのはで きないです。責任ある回答というのは、おそらくこの分科会の中ではできないと思いま す。そういうのを改めて検討してくださいという形の要望であれば、労側の要望として 承ると思いますが、これは事務局がお答えすることですから私はわかりませんけれど も、聞いていて、それは無理な回答を求めていらっしゃると思います。 ○麻田職業家庭両立課長  事務局からきちんとお答えできなくて申し訳ありませんが、今日開かれているのは雇 用均等分科会で、私は雇用均等分科会の事務局としてここに出席しているわけです。労 働政策審議会の運営について私の立場でお答えることはできません。 ○川本委員  申し訳ないですが、先ほどから公益委員からもご意見が出ているように、まさしく他 にちゃんと公労使が出ている分科会なり部会があり、それぞれ責任を持ってやっている わけです。そこで勉強もし、いろいろなデータも見ながら精通した上での意見を言って いるわけです。私どもは精通していないのにそこに言うというのは、本当に思いつきで 無責任な議論しか言えないだろうと私は思っています。  したがって先ほども言いましたが、この雇用保険の絡みの問題でそういう分科会も部 会もなくて、政府が単独で勝手にやられているのであれば別ですが、そういうことを決 める場がきちんと存在して議論しているのですから、ここでそれについて中途半端な議 論をしたり、所掌の分野を越すとか、または他の部会や分科会に横槍を入れるというこ とになったら、私はいまの審議会システムのあり方そのものにひびが入るだろうという ことを危惧せざるを得ないというのが1点です。  それと先ほど佐藤(孝)委員から、皆さん、ここの場では保険もそのまま付くだろう と思っていたのではないですかということでしたが、私は全然思っていませんでした。 なぜかというと中でも意見が出たわけです。そのときに、あくまでも別枠の問題である という話になったわけであって、したがって私は前にも、それ以上の意見を言うつもり もありませんでしたし、吉宮委員もある程度意見は言ったけど、それ以上は言わなかっ たのだろうと私は思っています。あのときも、この問題は他の分科会があるからという 話だったということで、ほかのところで検討されるということは承知の上だったと考え ています。  あえてこの場で、その絡みのことを言おうと思っていなかったのですが、ちょっと言 っておきますと、私があのときに言ったのは、本来、一般財源でしょうと、まして少子 化対策だったらそっちの話でしょうということが1つです。それからいまの制度上、雇 用保険ということであるけれども、本来、これが期間が延びていくようなことがあると するならば、雇用保険でやっていくのは向かないし、そもそも野放図に延ばして支給す るような話ではないでしょうということも、確か申し上げたと思います。また雇用保険 となれば、当然財源問題もあるだろうと思っています。  もう1つ付け加えると、例えば私が職場を退職して、「実は半年後に次の就職先が決 まっているんです」と言って雇用保険の失業給付が受けられるのですかと、公共職業安 定所で聞いでも、詳しく知らないですが、たぶんもらえないのではないかと思います。 そういう問題も含めて我々はあまり精通していないというところで、安易にここでは話 をすべきではないというのが私の考えです。  もう1つ、お金の枠組みの話は別と思っていましたが、いずれにしても今までであれ ば有期雇用契約の方というのは、あくまでも期間を限っての雇用なのですから、こうい う休業はあり得ないということで、お休みという概念ではなく、そのときは辞めざるを 得なかった。辞めた後、復職したいときは新たに職を探さなければいけなかったわけで す。それが今回は、この休業によって継続雇用の形になっているというのは、私は大変 な1歩を踏み出したのだと思っています。  そういう意味で公労使、それぞれ意見はいろいろありましたが、昨年12月に建議を まとめたということは、私は歴史的に言っても大変な一歩を踏み出すことができたのだ と思っています。これに必ずお金が付いていなければならないというのは、次のステッ プかと思っています。いずれにしてもデータの話もない、精通もしていない我々が、ほ かの一生懸命検討している部会、それも公労使が出ているところに対して、ああだ、こ うだという意見を軽々に申し上げるべきでは絶対にないと思います。 ○吉宮委員  私としては全然納得いきません。経済的支援のあり方についての議論は私も95年の 改正のとき、亡くなった安枝さんが公益委員のときですが、いわばこれだけ雇用の多様 化が進んでいるときに、国民的な観点から育児休業というか、育児のための支援制度を 雇用保険でやることは、つまり雇われている人だけに限定することは、ちょっとどうか という説明を申し上げたときに、例えば医療保険がありますねという議論が公益側から 出ました。  しかし、その時にいまそれを議論すると相当かかるから、これは課題で残しましょう と、公益側が当時言ったのを私は記憶しているわけです。あれからもう何年経ちます か。あの議論はたぶん95年ごろです。もう10年近く経っている。その間、ずっと失 業者が増えてしまった。雇用保険は大変だねと、そういうこともあって使用者側も保険 料をどこまで上げるのだと、育児休業、介護休業という、失業という観点だとちょっと おかしなものが入っているのではないかと、たぶんそこで今の議論が途中から出てきた と思います。  なおかつ、これからでしょう。先ほど申し上げたように、この10年間で男性は10 %出しましょう、女性は80%という目標を掲げているではないですか。これを具体的 な実効あるものとするためにどうやるのですか。こっちでそういうのを上げながら、実 際、有期労働者、女性が多数だという議論をしているときに、所掌がと。所掌があるこ とはわかっています。雇用保険部会があるわけでしょう。労側はそこで意見は言いま す。しかし、この問題の発信元はここなのです。その前は労働基準法の改正で有期契約 が3年になったのが今回の発信元ですが、まさに厚生労働省の中の部局で話があって、 雇用保険部会がそれを受けて、いま対応しようとしているわけです。  そのときに私どもの考えというのを、是非、今回作られた有期の要件で対応して全員 が支給されるように検討してほしいと、なぜ言えないのですか。こうしなさいと言って いるわけではない。そういうふうに活かして検討してほしいということを何で言えない のですか。そこが全然私はわからない。 ○分科会長  言い方の問題だと思います。議論を整理しますけれども、とにかく審議会のあり方の 根本に遡ったら、これまたいろいろ議論がありますが、これは審議会のやり方としては 現状を前提にするということで、この分科会も進んできたわけです。ここでのテーマを 議論してきたわけです。  その間に、それに関連する問題について、ここなりの意見が出たということはあると 思いますけれども、専門的には今日、諮問のあった事項についてここで議論してきたわ けです。今日は、それについてどういう結論を出すかということで、本日の会議のテー マはそうなっているわけです。  現在、育児・介護休業法の改正を受けて、雇用保険部会でそれに対する保険の対応を これから検討しようという段階にあるわけです。そこでの議論は皆さんが先ほど言われ たように、専門家が公労使それぞれ出ておられて、そこでこれから議論するという段階 にある。これが現状だと思います。  こういうときに、ここで出た意見を伝えるということは、それはそれで結構なことだ と思いますが、伝え方の問題として先ほど課長が言われたように、ここで出た議論をき ちっと担当の部署にお伝えしますということなのですから、それをどうしても総意でな ければいけないという、これはちょっと皆さん納得がいかないと思います。  問題は伝えるか伝えないか。最終的に雇用保険のほうで、こちらの議論を踏まえて専 門的な観点からどういう結論を出されるか。そこが問題なわけです。ここは所掌が違う わけですから、意見は反映してもらいたいということであっても、別にここで総意なん ていうことはできるわけがないのです。ここで専門的観点から議論をしたわけでもない し、ここの所掌でもないのですから、今日出た議論を伝えるということで、それは十分 だというふうに考える。それでよろしいのではないですか。結局、吉宮委員の意見もそ ういうことだと私は理解するのですが、それでまずいですか。総意と言っても、できな いことをしようと言っても無理です。 ○吉宮委員  最初から諦めることはないのではないですか。 ○分科会長  別に諦めるということを言っているわけではありません。 ○川本委員  専門的な議論でまとまるというのは、私は無理だと思います。総意というのはまとめ なければ駄目ですから、まとまらないと思います。 ○分科会長  専門家に、この分科会の各委員の意見を伝える。 ○吉宮委員  こうしなさいでなくて、有期の育児・介護休業制度の扉が開いたと、したがってその 方々が、そういう給付金が出るような検討を是非お願いしたいということを、なぜ言え ないかと私は言っている。それだけです。 ○奥山委員  いままでこの分科会で議論してきたことは、これまで通常のいわゆる正規と呼ばれる ような労働者に対してのみ、基本的に育児・介護休業の権利付与を認めてきたものを、 有期の雇用者についても一定の要件を課しながら、適用拡大しようということについて で、これはさんざん議論してきました。でもそういう労働者に対して、今度休業給付金 を出すときに、一般のそういう常用の労働者に対する給付金の要件と、こういう有期の 人たちに対する当てはめの問題は、先ほど川本委員が言われたようにテーマにして諮問 もされていないし、テーマにして議論していたわけではないわけです。  それについては、公益委員の中にも違った意見があるでしょうし労側にもあるでしょ う。また使側の中にもあり得ると思います。ただ、それをもう1回改めて、この分科会 の総意を図るためにそのテーマについて議論しろと言ったら、もちろん議論できるかも しれませんが、いまの時点では、そういうことをやってきていなかったのだから、今日 突然、そういう話をされて、なぜ分科会として総意ができないかと言っても、それはで きないです。それをするためには意見のすり合わせとか議論をやっていかなければいけ ない。しかもやった上でも、そういうふうにならない可能性だってあり得るわけです。  それを今日の時点で、当然、育児・介護休業法の実効性を図るという点では、公益委 員としても奥山個人としても、吉宮委員が言われることは重々理解していますしお気持 もよくわかっています。わかっていますけれども、いまそれを総意として雇用保険部会 にぶつけろというのは、ちょっとこれはできない。  事柄の中身としても、こういう審議会制度で、分科会で専門的に個別の問題に当たっ てきたこれまでの経緯からしても、それは難しいと思います。ですから、やれることは 最初に私が言ったように、また皆さんがおっしゃっているところですが、労側としては 雇用保険部会に出ている方に、そういう意見をぶつけていただく。今日の意見の限りに おいても、例えば私が先ほど言ったようなことを、公益委員の中にそういう意見があっ たということを言っていただくことは構わないと思っています。でもそれを総意という 形でなぜぶつけられないかというと、もう既におっしゃっていることですから繰り返し ませんが、それはいまのような理由で無理だと思います。 ○分科会長  ですから、この分科会としては、いま奥山委員がおっしゃったような方向で今日の取 りまとめに入りたいと思いますが、よろしいですか。 ○片岡委員  有期で雇用保険料を払っている人がいますよね。もし法律が施行されて該当者が出た ときにやはりそこで選別されて、もともとあった問題としては有期で働いているけれど 雇用保険料も払っているという人は、給付の対象にならないということが、もともと大 きな問題としてあるわけです。だから今回、有期で適用対象者になった該当者に休業給 付をするべきだということが、具体的に担保されるというか、そういうふうにつなぐと いうか、それは労側の意見だけでつながれるということになるのでしょうか。 ○分科会長  そんなことではないでしょう。皆さん、個人的にはいろいろおっしゃったわけですか ら、担保されるという意味がわかっていないのかもしれませんが。担保されるというの はどういう意味ですか。 ○片岡委員  分科会として、雇用保険部会に持っていく意見の中身というのは、どういう形になる のですか。 ○奥山委員  公益委員の中にも個人としてこういう意見があったとかいうことを、個別にお伝えし ていただくことはできると思いますし、またその限りでしかできないと思います。どこ にもこういう議論をする土俵がないというのであれば話は別です。でも土俵があるわけ ですから、そこで片岡委員なり吉宮委員の思いを、その雇用保険部会に出ていらっしゃ る方を通してぶつけていただく。そういうことが今の現状では筋ではないですか。  それを越えて、この分科会として統一的な意見を言うのは、先ほどから繰り返し言っ ているように、おっしゃる趣旨も思いも私個人としては理解できていますから、そうい う形で動くことは議論の流れとしてはありがたいと思いますが、それを分科会として他 の委員も含めた総意としてやるのは、それはちょっと性格上、無理ですよということを 言っているだけです。だから分科会として、分科会としてとおっしゃいますが、そこの ところが意見が違います。 ○吉宮委員  労側として検討させてください。休憩をもらえませんか。 ○分科会長  休憩します。                   (休憩) ○分科会長  分科会を再開します。労側のほうからご発言があるそうです。どうぞ。 ○吉宮委員  私どもは、当分科会に諮問されている事項ではありませんけれども、まさに育児休業 給付金というのは一体であるという認識で、この間、先ほどまで議論させていただきま した。重要な課題なので、できれば分科会全体の総意として育児休業給付金についての 要件、今日答申される要件に基づいて育児休業を取った方、介護休業を取った方、すべ ての有期契約労働者の方が給付されるよう検討してほしいという要請を、総意としてす ることを期待したのですが、残念ながら公益側の皆さんと使用者側の皆さんの賛意は得 られませんでした。極めて私は残念です。  その上で労側の意見としては2点、行政側に要請をしたい。第1点は、これから検討 されるであろう雇用保険に基づく育児休業給付金について、当分科会の考え方に基づい て育児休業を取った方、介護休業を取った方、すべて適用されるような検討を是非お願 いしたいというのが第1点です。2つ目に、分科会のあり方についてご議論がありまし たが、労働政策審議会を開催して分科会にまたがるような問題については、十分いろい ろな角度から議論していただくよう、是非お願いしたいという2点を要望したいと思い ます。 ○分科会長  使側、どうぞ。 ○川本委員  私からも1点、要望したいことがあります。この分科会の取りまとめは昨年12月で あり、その後、通常国会に法案が提出されたわけです。実は通常国会で決まると思って いたのがズレて、この臨時国会で12月1日でしたか、成立ということで今回の運びに なっているわけです。  今回の改正内容で、この有期雇用契約のところの範囲拡大については、大変わかりに くく複雑な部分があるということです。施行が4月1日ですので、これを事業主、働く 方々がよくわかっていないと、たぶん取れなかったり、逆にトラブルが起きたり、いろ いろなことが起きる可能性があって、私はとても心配しているわけです。したがって今 日、これが答申されたとして、あと残りが実質的には3ヵ月ぐらいの間で、事業主並び に働く方々すべてに周知をしていかなければいけないことになりますので、わかりやす い、そして速かにパンフレット等を作って周知に努めていただきたいと思っています。 これはお願いです。 ○分科会長  ほかにご発言がないようでしたら、本日の議題に上がっている2つの諮問案件につい て概ね妥当と認めるということにして、その旨の報告を私から労働政策審議会長宛に行 うことにしたいと思いますが、よろしいですか。ご異議がないようですので、その旨の 報告を取りまとめることにしたいと思います。                <報告文(案)配布> ○分科会長  報告文については、ただいまお手元に配布されたと思います。この案のとおりにした いと思いますが、よろしいですか。それではそのようにさせていただきます。  本日は、これで時間になりましたので、ここで終了させていただきたいと思います。 ○岡本委員  諮問案件に関しての事務局からの現段階でのお答えはないのでしょうか。 ○麻田職業家庭両立課長  雇用保険給付金につきましてご意見、それから労働政策審議会についてご意見をいた だきました。今日、この分科会で出ましたさまざまなご意見につきましては、できるだ け正確に関係の部局にお伝えをしたいと思います。 ○分科会長  議事録署名委員は篠原委員、川本委員にお願いします。次回の予定についてのご連絡 をお願いします。 ○麻田職業家庭両立課長  次回の開催については、日時、場所ともに調整中ですので、決まり次第ご連絡をさせ ていただきたいと存じます。 ○分科会長  それでは本日の分科会は、これで終了します。ご苦労さまでした。 照会先:雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 法規係(内線:7856)