04/12/14 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会の 第4回議事録 厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会     第4回 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会      日時 : 平成16年12月14日(火)10:00〜12:00      場所 : 厚生労働省 17階 専用18〜20会議室      出席者: 安部 好弘 委員  井村 伸正 委員           荻原 幸夫 委員  埜中 征哉 委員           林  正弘 委員  松本 恒雄 委員           溝口 昌子 委員  望月 眞弓 委員      議題 : 1.医薬品販売制度改正検討部会における議論について           2.医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する             作業について           3.その他 事務局  定刻になりましたので、ただいまから第4回の専門委員会を始めさせていただきま す。本日は先生方におかれましてはご多忙の中、ご出席いただきましてありがとうござ います。  本日の内容につきましては、まず第3回委員会が終わったあとの時点での、作業の進 め方などについて部会に報告して議論をいたしましたので、その状況を報告させていた だきたいと思っております。部会で行われたやりとりに関しまして、本委員会でどう考 えるかということについて少し議論してみたいと思います。  また、前回以降、新たにワークシートに基礎情報が書き込まれましたので、そのワー クシートをもとに情報の整理の仕方やリスクの評価方法などについて気づいた点を述べ ていただきまして、議論をしてみたいと思います。本日はこの場でワークシートをじっ くりご覧いただく時間もとるようになるかと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  それでは、議事進行は埜中委員長にお願いいたします。 埜中委員長  皆さんおはようございます。お忙しいところをありがとうございます。  まず、委員とオブザーバーの出欠状況について事務局からお願いします。 事務局  まず委員のほうの出欠状況ですが、本日は高橋委員、細谷委員からご欠席という連絡 をいただいております。  オブザーバーの先生方につきましては、本日は増山委員と大山委員がご出席いただく 予定と伺っております。大山委員は少し遅れるということです。以上です。 埜中委員長  議題に入る前に、配付資料の確認をお願いします。 事務局  お手元の資料を確認させていただきます。  一番上に議事次第がありまして、その下に資料1として専門委員会委員名簿がござい ます。  資料2は専門委員会における「作業の状況」に関する医薬品販売制度改正部会での議 論の概要です。  資料3は一般用医薬品の製品群というもので、いつもお配りしています2枚紙です。  資料4は枝番がついておりまして、資料4−1から資料4−11まで合計11種類の資料 が用意してございます。  参考資料として、薬事食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会に報告した製造業者等 からの一般用医薬品の副作用報告一覧というものを委員の先生方にはお手元にお配りさ せていただいております。配付資料は以上です。  なお、このあと議事に入りますので、カメラどり等はここまでとさせていただきま す。よろしくお願いいたします。 埜中委員長  ありがとうございました。  前回の委員会の時に部会への報告の仕方について皆さんにご検討いただきましたが、 今までにワークシートを作成したので、それに沿ってこの仕事を進めていくということ を報告することにいたしました。  11月22日、第7回の部会で今までのこの委員会の進行状況を報告いたしました。部会 に報告した時の状況とディスカッションについて資料を用意しておりますので、それに 沿って事務局から説明をお願いします。 事務局  資料2をご覧いただきたいと思います。前回の委員会で整理をしました「作業の状況 」というペーパーに基づきまして、11月22日の医薬品販売制度改正検討部会に報告させ ていただきましたが、その際のやりとりをまとめております。  資料は横に3つに分かれていまして、左端が部会に報告した「作業の状況」という欄 ですが、この委員会でまとめていただいた内容をそのまま載せております。真ん中が 「部会における質問等」という欄は、左側の「作業の状況」の項目に関連する発言を載 せています。右端の「質問等に対する意見など」という欄は、真ん中にあります「部会 における質問等」を受けて、部会の委員同士、あるいは部会の委員と専門委員の間、事 務局との間で交わされた意見を載せております。  なお、発言の冒頭にマークがついていますが、●は部会委員の発言、◇は専門委員の 発言、△は事務局の発言となっています。部会にも専門委員会にも入っておられる先生 方については◇としています。  それでは内容に入りますが、左端の「作業の状況」は時間の関係で一つずつ説明いた しませんで、意見のあったところだけ触れたいと思います。  まず1ページの左下ですが、○基礎情報の整理は、幅広く情報を集めるという考え方 にたって、医療用医薬品の添付文書を基本に情報を抽出してワークシートとして整理す るというところです。  これに関連して部会委員から、添付文書情報以外にも販売時に注意を払って説明して いるものがあるのかどうかという意見がありました。これは販売者サイドに対する問い かけでして、右側にあるようなコメントを販売サイドの部会委員の先生方からいただい ております。  そのほかに、●第一段階は添付から情報を拾うことは適切だと思う。●情報の量と質 ともに充実している医療用を使うことに賛成。しかし、医療従事者向けのものなので、 医師なら当然知っている情報は書いていないことに注意を要するのではないか。●添付 文書の書き方が一律ではなく、いろいろなところに記載されていることも頭の隅に入れ ておいてほしいという意見がありました。  それに対して専門委員からアセトアミノフェンを例として、医療従事者なら当然やら ないようなことも一般用の添付文書には記載してあるので、一般用の添付文書からも何 らかの形で情報を抽出する必要があるだろうとコメントしております。  次に2ページの2段目ですが、○一般用医薬品の添付文書については、基礎情報を抽 出する作業の次の段階として、「提供する情報」の検討を行う際に、その記載内容を踏 まえた作業を行うというところです。  一般医薬品の添付文書を資料としてお配りした中にアセトアミノフェンがあります が、その中に「5〜6回服用しても症状がよくならない場合」という記載がありまし て、その部分について部会委員から、すべての薬剤にこういう記載が入っているのかと いう質問がありました。  それに関して専門委員から、ものによって異なるとして、右側の欄に書いてあるよう なコメントがされています。一般用の添付文書は、情報提供を考える時に参考として取 り入れていかなければならないというコメントもありました。  その下の段ですが、○一般用と医療用では効能効果、用法用量の違いがあるので、そ のあたりを考えなくてはならないというところです。  これに関連する意見として、●医療用と一般用とでドーズが違う場合、副作用のリス ク評価が難しい。●可能であれば、国への副作用報告も別の資料として使えればいい。 自発報告なので、報告数が多いからリスクが高いということにはならない。件数が必ず しも頻度とつながらないが、参考資料的に使は使えるのではないかという意見がありま した。  副作用報告は薬食審に報告しており、その1年分の資料を示すことが可能であるとい うコメントを事務局からしています。その関連の資料が今日の配付資料の参考資料1と いうことになります。  そのほか、●昨年、一般用医薬品から医薬部外品に移行する際、安全性の問題を検討 した資料は参考にならないのかという意見もありました。  その報告書は専門委員会に提出することは可能だと事務局から回答しています。必要 であると専門委員会で判断され、事務局に申し出れば、手に入れることは可能だという ことです。  3ページに移りまして、(2)相対的リスクの評価方法に関連する部分です。  ○相対的リスクの評価関する作業は、「リスクの程度の評価」に係る8項目(A〜H )として抽出された基礎情報に基づいて行うということに関しては特に意見はありませ んでした。  2つ目の○ですが、8項目のうちB、C、Eについては、他の項目に比べて重要なフ ァクターとして捉える。  これに関連しては、●使用方法に上限のあるものや過量使用や誤使用のおそれのある ものは最初から重要ファクターに入れるべきではないかという意見がありました。  ◇「B.相互作用」「C.重篤な副作用のおそれ」「E.患者背景」は頻度にかかわ らずリスクを重要視していることが反映されているというコメントもありました。  それに対して専門委員から、上限のあるものや過量使用のおそれのあるものを無視す るわけではなく、まずB、C、Eでやるのだというコメントがありました。  「G.使用方法」は大量に使用した場合に重篤な副作用があるということであって、 長期・大量服用とは別問題である。往々にして大量に長期投与されがちな場合の情報は 別のアプローチでやる必要があるというコメントも行っています。  3つ目の○ですが、成分間のリスクを相対的に評価する場合、8項目における基礎情 報の内容を比較のうえ、違いとして捉えるか否かを判断することにより、成分における リスクの相違とする。  これに関連する部会の意見としては、●頻度や重症度という定量的なものをどう考え るのかという意見がありました。  これに関しては、◇頻度等は添付文書から判断できないので、「かなり多い」とか 「少ない」とかで判断していくというコメントがありました。  ◇重篤な副作用があれば頻度が低くてもリスクとして取り上げるべきという意見もあ りました。  また、●数値化しないと、薬と薬の距離を表していくことができないのではないか。 複数の専門家が点数付けをして、ばらつきはあるが、いろいろな人が3点をつけたデー タがあれば、数値的に処理して、有益な結果を導くような手法はあるというコメントが ありました。  これに関して専門委員から、◇今の方法で他の医薬品についても情報を整理した上 で、何らかの評価の方法を考えざるを得ないのではないかという意見がありました。  4ページの一番下ですが、○相対的リスクの評価は、まずは抽出した基礎情報をもと に各成分の特性(物性)に基づくものとして行う。これに関して部会では、●必ずしも 適正に使われない場合のように、頻度が予測できない場合のリスクをどのように取り込 むのかという指摘がありました。  ●頻度や重症度という定量的なものをどう考えるのかという意見もありました。  ●過量に関しては、飲む側のミスだけでなく依存が絡む場合もある。何かの薬に集中 している可能性がないかを調べることが必要であるという意見もありました。  専門委員から、誤使用等に関しては、◇成分に着目した評価が終わってから考慮す る。まずは物性に基づくものとして行いたいという趣旨の意見がありました。依存が絡 むケースについては、◇何らかの形で資料が入手できれば、それも考慮していきたいと いうコメントがありました。  5ページは(3)今後の作業の進め方についてです。  ○まず基礎情報を抽出して、ワークシートを整理する。その後に基礎情報をもとにリ スクの程度の相対的評価に関する作業を開始するという進め方で部会ではまとまりまし て、2つのワークシートを示しています。  これに関して部会では、●ここにあがっている数だけでも1回、評価も含めてやって みると、最終的に出てくるものが見えてくるので、とりあえずテンタティブに見てか ら、作業を広げたほうが効率的ではないか。頻度は項目として別に設ける等、項目の確 定作業も含めて、今ぐらいの時点で点数付けができるものかどうか、やってみたほうが いいのではないかという意見がありました。  それに対して専門委員から、◇点数をつけるとしても、稀でも非常に重篤なものがあ れば点数は高くなるし、コモンにあるものでも大した症状でなければ点数は低くなる。 点数づけはすごく難しい。1回全部やってみて、そこで検討せざるを得ないのではない か。作業を進めていく中で考えていくという答えをしています。  ●まだ2グループしか見ていないので、ここで点数づけとか重みづけというのは難し い。もう少し情報を集めてから全体を見渡したほうがいいという考えもあるという部会 委員同時のやりとりも行われています。  真ん中の欄の●ですが、成分だけでリスクが少ないと評価されると一人歩きするとい う心配があるとの意見 に対して専門委員から、◇いまのワークシートの考え方で整理 をして、一人歩きさせないで、他にも重要なファクターがあり得るということに留意し ながら進めていき、専門委員会で検討してはどうかというコメントがありました。以上 です。 埜中委員長  ありがとうございました。部会に報告したことと、そこでの討議内容について事務局 から説明していただきましたが、これについて何かご意見はございますか。  資料4のワークシートにあります網かけをしてあるB、C、Eを重点的に評価してい きたいということを申し上げて、一応は賛成を得たのですが、Gの使用方法の項目をき っちりと見なくてはいけないのではないかというご意見がありました。我々としては常 用量での副作用の評価を行いたい。Gについても考慮するのですが、まずはB、C、E のところの評価を行いたいということを申し上げたわけです。  そのほか評価方法について点数化できないかというご意見もありましたが、今のとこ ろそういうことは具体的にできないので、現在集めた資料の中で比較検討して、ランク 付けができそうであれば、それをやってみたいということを申し上げました。主なやり とりはそのへんのところでした。  基本的には医療用医薬品の情報をワークシートにして、それをたたき台にして、ほか のいろんな情報を入れて、これから評価にもっていくということです。  こちらが報告して、そういう意見があったということですので、ご質問、ご意見がな ければ、いま申し上げた部会のご意見も含めて、これから検討していきたいと思ってい ます。  今日のメインであります資料4ですが、ワークシートがたくさんできております。こ れは北里大学の望月先生のところで精力的に作っていただいたものです。特に網かけを してあるところがわかりやすくなっていると思います。このワークシートについて望月 先生からご説明いただいて、皆さんにじっくり見ていただいて、ご意見をいただきたい と思います。それでは望月先生、お願いいたします。 望月委員  既に何回かご覧いただいている先生方が多うございますので、今回新たに追加した事 項等について説明させていただきます。  まず資料4−1のかぜ薬(内用、外用)と書いてありますが、かぜ薬の外用につきま しては、今回、医薬部外品に移行されましたので、内用だけになります。  これまで入っていなかった部分として、左端に各成分のおおよその薬理作用を入れて あります。1ページにアスピリン、アセトアミノフェンがありますが、解熱鎮痛成分と いうことで、おおよその薬理作用でくくりを設けてあります。これについては細かな作 用機序等を考慮した形ではなくて、そういった作用があるという形でくくってありま す。  その3つ右の「A薬理作用」の欄に関しても、従来はBからGまでの項目の中で薬理 学的な部分のリスクは評価ができるので必要ないだろうということだったのですが、リ スクをグループ化する時に薬理作用と構造でグループ化していくということがありまし たので、ここに添付文書上の薬理作用を入力してあります。あまりにも長い場合は一部 省略してあります。  「C重篤な副作用のおそれ」と「C′重篤ではないが注意すべき副作用のおそれ」の ところに関して、部会において頻度についての議論がありました。頻度については、添 付文書では正確な頻度になっていないこともありますので、参考程度ということではあ りますが、今回、こちらに頻度についても入力しています。  右端の用法用量と効能効果の欄ですが、今回は医療用医薬品からの整理になっていま すので、医療用医薬品から用法用量と効能効果について抽出しまして、こちらに記入し てあります。これが今までの整理の仕方と変わった点ということになります。  従来は内服が対象になっていたのですが、今回は外用薬が対象になっていますので、 そちらの説明を少しさせていただきます。資料4−10と4−11が外用薬になります。  4−11のほうで説明させていただきます。みずむし・たむし用薬ですが、外用薬の場 合はいろいろな剤形があります。軟膏があったりクリームがあったり液剤があったりス プレー剤があったりと、いろいろあります。  次のページをご覧いただきますと、塩酸ネチコナゾールというみずむしの薬がありま す。次の欄にこれの商品名、アトラント軟膏1%、アトラント外用液1%というのがあ ります。このような形で液剤があったり軟膏剤があったりする関係で、外用について は、軟膏とクリームと両方ある場合は軟膏で情報を抽出して、液の場合は軟膏、クリー ムと副作用の発現が異なる可能性があること、適用が異なる可能性もあるということ で、液は別途採用する形にしました。  共通性のある情報は軟膏と液を同一として整理をしましたが、副作用その他の注意事 項等で軟膏剤と液剤で違いがある場合は、それを区別して整理をしました。  資料4−10の最後のページの塩酸ジフェンヒドラミンというのは一般用医薬品の成分 としてあがってきているものなのですが、実際にはジフェンヒドラミンという塩酸塩で はない形のものが軟膏に配合されていますので、このあたりの塩については無視させて いただいて整理をしました。  そのほかにも塩酸クロルヘキシジンというのがありまして、こちらに関して、トロー チ剤は医療用であるのですが、外用液になりますとグルコン酸クロルヘキシジンになり ますので、こちらを採用する。そういう形で塩については剤形が合うものがあれば、そ ちらで整理をしていくことにしました。  次回、副腎皮質ステロイドを提出させていただくのですが、この場合は塩の種類によ って強さが違ったりするケースがありまして、そこは後でご専門の先生からご指導をい ただきたいと思っています。  外用薬の中には麻酔作用のあるもの、殺菌消毒作用のあるものなどが入っているので すが、麻酔薬については表面麻酔の適応がある製品について取り上げてあります。実際 には表面麻酔で使用する濃度までは一般用医薬品には入っておりませんので、そのへん は考慮しなければいけないところかと思っています。  殺菌消毒薬については、医療用では器具・器材の殺菌消毒の適応をもっていますが、 それが注意事項で出てきた場合は削除しています。  資料4−2の1ページの一番下にジメンヒドリナート、ドラマミンという製品があり ます。これは眠気等が発現する関係で、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事 しないように注意することというコメントがついているのですが、これについては「C ′重篤ではないが注意すべき副作用のおそれ」のところに入れる形で、とりあえず整理 をしています。一般用医薬品の場合、車の運転等に関してはきちんと書かれているケー スが多いので、これもリスクの中で評価していただきたいと思っています。  以上が今までの整理の仕方にプラスして整理をした部分になります。 埜中委員長  ありがとうございました。望月先生に医療用医薬品の添付文書からいろいろと整理を していただきまして、11項目について表を作っていただきました。これから一つ一つに ついて評価をしていきたいと考えています。まだ残っているものがかなりありますの で、それが終わった時点で本格的に始めたいと思いますが、その前にいろいろと検討し ておきたいと思っておりますので、ワークシートをご覧になって、何かご意見はござい ませんでしょうか。  資料4−1にありますように、B、C、Eのところは項目が多く、その頻度もかなり 高いところにありますので、こういうものを見ると、かなり危険度の高いものであると いう評価はできてくると思います。ランク付けというのは今のところできませんので、 これは高い評価だとか低い評価だとか、そういう分け方をして、その中でまた評価をし ていくことになると思います。  部会の時にも頻度のことが問題になりました。頻度というのは難しくて、まず新薬を 開発している時の治験の段階で頻度が出てくる。それから市販後調査で頻度が出てく る。そのへんで終わっているものですから、たくさんの方が使った時の頻度というのは なかなかわからないという欠点があります。ここには医薬品の添付文書に載っている頻 度を書いてありますが、これは必ずしも参考にならないということで、参考資料1を配 っていただきました。この中で報告のあったものを参考にしていきたいと思っていま す。  かぜ薬は何回も出てきましたが、今回は薬理作用などが入っております。代表的なの はかぜ薬になるかと思いますが、このへんをご覧になって、何かご意見をいただければ ありがたいと思います。 安部委員  望月先生にわかりやすく資料をまとめていただいたのですが、私もこの委員会に参加 させていただいて、添付文書とかいろんな参考書レベルではリスク評価という観点で情 報を見てきました。  資料2の5ページの(3)今後の作業の進め方のところで、基礎情報を抽出した後、そ れらをもとにリスク程度の相対的評価に関する作業を開始すると書いてあります。  基礎情報を一覧表にまとめていただいて、同一のグループとして見ていいような構造 を持つグループごとに、その医薬品が一般用医薬品として適正に使用されるために必要 な注意点とか消費者に対する表示、情報提供をどうしたらいいかということに関しては 私もイメージがわくのですが、リスク程度の相対的な評価をして比較をするということ については、一生懸命こういう情報を読んでも、イメージがわきません。アスピリンと アセトアミノフェンのリスク程度をどうやって相対的に評価するのかというのがイメー ジとしてつかめておりません。  リスク程度を比較することに意味があるのか、それとも個別の成分もしくは個別のグ ループの一つ一つに対して医薬品のリスクを評価したり、リスクが起きないようなこと を考えていくのか。相対的な評価というのは私にはとても難しいのですが、どういうふ うにすればいいのでしょうか。そこが悩んでいるところなのですが。 事務局  この場で考え方、イメージを整理していっていただく形になると思うのですが、一つ の見方としては、リスクを回避するような対応ということに最終的にはつながるわけで す。それを具体的にどういう行動で示すかというと、結果として手厚い行動が求められ るものと、そうでないものとに分かれてくる。  さらに上流にさかのぼると、手厚い対応をするものというのは、こういった情報をも とに作業をした場合、どういう情報が付随して販売の時に伝えられるべきかというとこ ろとの関連で、その行動がいろんなパターンに変わってくるのではないかということ で、さかのぼっていくのではないかと思います。最終的には実際に販売する段階での適 正使用というか、安部先生がおっしゃったようなことにつながっていくような対応の仕 方というところに置き換わっていくのではないかと思います。 埜中委員長  アスピリンとアセトアミノフェンはどっちが安全かということを決めるだけでも大変 ですよね。小児であればアスピリンは急性脳症が起こるから危険度が高いけど、大人に とってはそれほど差がないわけです。どっちもショックとかスティーブン・ジョンソン 症候群が起こるとか、稀ではあっても副作用が強い薬ですよね。その2つは、どっちが どうかとは言えないけど、ほかの塗り薬に比べれば危険性はあるという評価になる。あ とで少しずつ変わってくるように思うのですが、いかがですか。 安部委員  水溶性のビタミンしか含まないものとNSAIDsの相対的なリスク評価については、 この表からも、水溶性のビタミンは医療用の添付文書でも禁忌症とか重篤な副作用がな いということであれば、医療用の添付文書からもってくるアスピリンとかアセトアミノ フェンには重篤な副作用はありますので、それがあるグループとないグループというこ とでは分けることはできるかなと思います。しかし、同じNSAIDsの中で比較とい うと非常に難しくなります。  この中でイブプロフェンとイソピロピルアンチピリンを見ますと、情報の量からする とイブプロフェンのほうがたくさん書いてある。そういうところで比較してしまうと勘 違いもしやすいですし、同一薬効群の中では相対的な評価というのは難しいかなという 気がしています。全く違うグループの中でなら相対的な評価はできるのではないか。そ れをやるということでしたら相対的な評価はできるのかなとは思うのですが。 事務局  今の安部先生のご意見については、このワークシートを見て、一つの製品群の中で集 めた情報で比較するようになると思うんですね。情報の多い少ないでは比較できないの で、薬理作用と絡めて、同じ製品群の中で結果的に差がつかないという判断があれば、 それは同じようなものとして一つの評価がなされるのかもしれません。 製品群間の比較を見た場合にはどうかといった時には、そこでの優劣はつくかもしれま せんし、同じ製品群の中でも何らかの情報の違いなり薬理作用の違いなりで違いがつく ものがあれば違いをつけることになりますし、製品群をまたいだ場合でも同じようなこ とで、徐々に違いが見えてくるのではないかと思います。 埜中委員長  望月先生はこれだけまとめられて、作業中に何かお感じになったことはありますか。 望月委員  これだけやってみますと、B、C、Eの重点項目だけを比較しても、ある程度の差は 見えてきますので、先ほど安部委員がおっしゃったように、ある薬理作用の薬物群の群 間での相対的な位置づけというのは作っていくことはできるかなという感じはします。 同じ薬理作用の郡内で相対的なものをどうするかということに関しては微妙なところが あります。  資料4−3はH2受容体の拮抗薬ですが、3品目が載っています。これをざっと見て いただきますと、2番目のシメチジンだけ併用注意のところの情報が付加されている形 になるんですね。その他のところの情報はほとんど変わらないんですが、H2ブロッカ ーの中でシメチジンだけがSYP3A4に阻害作用があるということで、飲み合わせの 問題は、その他のH2ブロッカーに比べると比較的起こる可能性があるという形になり ます。これをどうリスクの差として評価するとか、そういう個別の部分の対応になって いくのかなという感じがしています。  リスクといっても先ほどのアスピリンとアセトアミノフェンですと、お互いに持って いるリスクの内容が違いますので、どっちが高い低いという問題には結びつけられない ところがあると思いますが、今のような形で明らかに情報が他と異なったものが入って いる場合には少し整理ができるのかなと思います。  重篤な副作用のおそれというのは、B、C、Eの中でも特に患者さんに危険が高いも のなので、よく見ていかなければいけないところだと思います。重篤な副作用のおそれ の中も薬理・毒性に基づくものと特異体質・アレルギー等によるものと2つに分けてい るのですが、特異体質・アレルギー等によるものというのは防止することがなかなか難 しい。薬理・毒性に基づくものについては、作用を考えれば、あるいは用量反応がある ことを考えれば、薬局・薬店で何らかの説明なりをサポートすることで防げる部分もあ るだろうということで、ここは分けたのですが、添付文書上ではこのような副作用の発 生機序に関する説明は全くありません。ここはこちらで勝手に分けておりまして、ここ もリスク評価の差に使えないかと思ったのですが、ここが整理できていないというのが 一つ問題点としてあります。  C′のところはCに次いで注目しなければいけないリスクのところなのですが、たく さん書かれている他の副作用の中でどれが問題だろうということは判断がつきかねまし たので、添付文書に載っているものをすべてリストアップしています。臨床で使用して いる間に特にこれは問題になるなという副作用は、ここにリストしたすべてではないと 思いますが、そこについての整理は全くやっておりません。その整理も含めて行うと、 C、C′のところでの副作用の発現に関するリスクの評価がもう少しきちんとできるか もしれないと思っています。以上です。 荻原委員  イソプロピルアンチピリンとイブプロフェンの資料を見た時に、たくさん字が書いて あるのはイブプロフェンのほうですね。アンチピリンのほうは薬理作用がしっかり書い てある。これは学問的なことですから目をつぶるとすると、字がいっぱい書いてあるの はイブプロフェンのほうで、こういうのは相対評価をする時に心理的に利いてくると思 うのです。この2つの薬物の使用頻度が違っていたら、いろんな問題点が情報として出 てくるのは当然のような気がするのですね。これは市販後調査も入っているわけでし ょ。 埜中委員長  市販後調査と、その後に起こった副作用の重大なものは全部入っています。 荻原委員  字が少なくても重篤なケースがあるかもしれないけど、情報がたくさんあるというこ とは、イブプロフェンのほうにいろいろ問題があるのではないかという気になってしま います。売上げが10分の1ぐらいであれば、そんなものかなという気もするのですが、 売上げについての情報はないのですか。 事務局  それをファクターとして入れ込むのは難しいので、それを補うのが教科書的な薬理作 用とかメカニズムのところではないかということだったと思います。 荻原委員  薬理作用もアンチピリンのほうが記載が多いが、要約すれば短く書けるわけですよ ね。アンチピリンのほうは事細かく一字一句解説している、イブプロフェンのほうは要 約みたいな形になっているととれないこともない。相対評価をする時の基準が同じよう な基準であることが望ましいという気がしました。  アスピリンは昔から売られている薬ですから、問題がいっぱい出てきても、そんなも のかなと思うし、これだけ使われて、世の中のためになっているのだなという気もする し。使用頻度について売上高をつかむのは難しいことなのですか。 埜中委員長  これはワークシートですから成分ごとに分析していただいているわけですが、実際に は配合剤の形で販売されますので、価格と薬の量がパラレルかどいう議論もあります し、そこの話になりますと難しいのではないかと思います。こういう成分が入っている 代表的な薬品の売上高という形で市場調査みたいなものが行われていれば、その数字は 出てくるでしょうけど、それで何が言えるかというと、これはまた難しいと思います。 増山部会委員  どっちの薬のリスクが高いかというのは専門家にとっては重要なのかもしれませんけ ど、消費者にとって、それは大きな差ではなくて、一般用医薬品ですごく気をつけなく てはいけないものが5段階に分けられるとして、この薬はどの段階にあるのかというの が重要な気がするのですね。購入して服用しようと考えた場合、アスピリンとなんとか という薬はどちらのリスクが高いかということは迷うぐらいだったら分けないで、これ はAならAにしてしまうという考えもあるのかなと思いました。買う側はそれを厳密に 比較できるほどの知識がないわけですから、すごく気をつけなくてはいけないものなの かどうなのかということがわかったほうがいいような気がしました。 埜中委員長  ランクが1、2、3、4、5とついていて、消費者は5だからこっちを買おうかとい うわけではないですものね。アスピリンはどうも胃腸障害か起こるので、ブルフェンの ほうがいいといって買うという好みもあるでしょうしね。我々も厳密にカチッとランク 付けすることは考えてないのですが、ある程度の差はつけていくことが必要だと思いま すけど。シートを作っていくと、ある程度の差は出てきても、順位付けとか、どうしよ うかという実際の問題になってくると、とても難しいような気がしますね。 増山部会委員  今後の話になると思うのですが、販売方法によってもリスクが変わってくる部分もあ るわけですよね。薬そのものの薬理作用とか使用方法とか、そういうこと以外の環境が 影響してくるのではないかと思います。 埜中委員長  誤使用のおそれと同じように、いろんなファクターをいずれは考えなくてはいけない と思います。 溝口委員  私は今回初めて出席させていただいたのですが、こんなに立派なシートができてい て、非常にわかりやすいと思います。先ほど使用頻度のことが問題になっていました が、相対評価をした後に、実際に薬局・薬店でどう生かされるのかというのを伺いたい のです。例えばアスピリン喘息の人がアスピリンを飲んではいけないのはわかっている のですが、相対評価をした後に、実際にこういう薬に関しては薬局・薬店で薬剤師さん が説明するか、あるいは外箱に書くかという問題があるかと思います。  緑内障に対する抗ヒスタミン剤などもそうかと思いますし、ライエル症候群とかステ ィーブン・ジョンソン症候群とか、ほかの重篤な副作用のあるものはどのような方法で 伝えるかというのは大事な問題だと思うのです。伝えないのもいけないですし、伝えま すと使われなくなってしまう可能性もあります。アスピリンは他の薬に比べたら重篤な 副作用の頻度が少ないとは思うのです。これまでこれだけ使われてきて、比較的安全な 薬だという認識はあると思います。重篤な副作用に関してどういう伝え方をしたらいい かというのがちょっと気になりました。今後の問題かもしれませんが。 埜中委員長  情報提供の方法については検討しなくてはいけないと思うのですが、それについては どうですか。いつも安部委員がいわれるように箱の外側のパッと見えるところに書くと か、情報提供の方法はいろいろあると思うのですけどね。アスピリンの箱にスティーブ ン・ジョンソン症候群、ライエル症候群が起こることがあるので慎重にとか書くと、ア スピリンは飲めなくなっちゃいますよね。 望月委員  情報提供だけではないような部分もあるような気がするのですね。いくら情報提供を しても、ご本人が早い時点で気づいて行動を起こすかどうかということもありますの で、情報提供とあわせて、それのフォローアップというか、どこかに相談できる形をシ ステム上つくっていくことも必要ではないかと思います。 埜中委員長  ただ評価するだけではなくて、情報をきちっと提供することが最後の目的であるわけ です。溝口先生がそれを指摘されたので、それについてもご意見をいただければありが たいと思います。 松本委員  アスピリンは子どもの場合は重篤な症状があるけど大人の場合はあまりないというこ となのですが、薬局に買いに行って、専門家からそういうことを聞けば、私は大人だか らアスピリンでいいのだ、子どもだったらアスピリンはやめておこうという判断が働く でしょう。  症状が改善したらその薬は捨てるかというと、そうではなくて、薬箱に入れておい て、またかぜになったら飲むわけですよね。半年後とか1年後に子どもがかぜをひいた ら、アスピリンがよく効いたなというので飲ませちゃうということもあるのじゃない か。情報提供の直後は記憶に残っていても、その後、置き薬的状態になって、完全に記 憶がなくなって、結果的に誤使用が起こることがけっこう多いのではないかという気が しますので、販売時点の口頭での情報だけでは難しい部分があるのではないかと思いま す。 埜中委員長  小児用の解熱剤にはアスピリンは一切入っていませんよね。 荻原委員  薬を扱う場合は基本的には対面販売であり、薬剤師かそれに類する方とか、少なくと も薬のことを知っている人の説明が必要だといます。基本的な問題はそこにあるような 気がします。 埜中委員長  今回は評価をして情報提供をするということで、スーパーなどで売られる薬を決める ものではないのですね。増山委員がおっしゃるように誤用とかいろんなことがあるの で、対面販売が必要だとは思います。 安部委員  日常、私は薬局で薬を供給する仕事をしておりますが、その薬を選択しないという選 択もありますし、薬を売らないという選択もあるわけです。薬を選択する場合、それを 求める方からいろんなことを根掘り葉掘り聞いたり確認したりしなくてはいけない薬、 そんなことまで聞くの、というところまで聞かないとお売りしないものと、先ほど水溶 性ビタミンの話をしましたが、その方の疾患とか既往症をそれほど深く確認しなくても お売りできるものと、そういったイメージで相対評価をしていけばいいのではないか。  先ほどの事務局からのお答えなどを総合してみると、そういうイメージでこれから相 対評価をしていくのかなと思います。たくさんインタビューをしなければいけないもの と、患者さんに必ずこの情報を読みなさいよと言ってご説明するものと、漠然としたイ メージですけど、それを店頭で薬剤師なり薬種商の方が判断しながら薬を供給している わけですので、そういうイメージで相対評価をしていければなと思っています。 埜中委員長  先生がおっしゃるようなまとまったもので、その中でもランクづけをするという形に もっていかざるを得ないでしょうね。 荻原委員  最近、厚生科学研究費で私の専門の漢方薬の調査をしているのですが、慢性病で長期 間使わなくてはいけない加味逍遥散と、単発的でいい葛根湯と、この2つを薬局の店頭 で販売して、薬効調査をアンケートにより行い、答えてくださったら薬代は無料にする という方法で行っています。加味逍遥散は女性の不定愁訴に効く漢方薬ですけど、ある 程度長期間使うほうは薬剤師の説明を患者さんはきちっと聞いてくださって、症例数も もかなり集まったのですが、葛根湯のほうは対症療法的に使うような慣習があるせい か、症例を集めるのに苦労しています。同じ薬でもユーザーのほうがどういう気持ちで 求めるのかというのは大きな差を生ずるということがわかりました。薬の使用状況によ って、使用者の薬に対する心情に違いがあることがわかります。 安部委員  個人情報のことがあるので詳しくは申し上げられないのですが、昨日、ある方が私ど もものところに咳止めを買いにいらっしゃったのですね。いつから咳が出て、どういう 症状でというお話をしているうちに、かぜではなく、輸入禁止になっている動物を飼っ ていて、その毛とかフケのアレルギーかもしれないということで、咳止めを飲んで咳を マスクしてしまうとだめだから、その動物と別れて暮らしてください、掃除をしてくだ さいと申し上げました。  話を続けていくと、もしかしたら別の感染症を起こしている可能性もあるということ で、その方が住んでいる保健所の電話番号をお伝えして、そこは動物感染症の窓口があ りますので、そこに行って動物感染症をみてもらえるところを紹介してもらってくださ いということで、その場は何もお売りしないでお帰りいただいたわけです。  薬が簡単だから、リスクが少ないから対面販売は必要ありませんよということになっ てしまうと、本来、消費者が薬剤師から受けられるサービスが受けにくくなってしま う。そういうことにならないような相対評価をしなければいけないなと思いました。 溝口委員  相対評価のことなのですが、外用薬に関してはあまり重篤な網かけの必要な副作用が ありませんので、比較的安全なランクになるのではないかと思います。しかし、ちょっ と気になりましたのはサリチル酸とフェノールなのです。先ほど過剰投与とか誤用に関 してはとりあえず考慮に入れないというお話でしたが、サリチル酸に関しては神経毒で すので、なんでこんなに適応が通っているのかと思うほど、全身に皮疹のある病気に使 っていいように書いてありますが、全身に塗って、吸収されたら問題かと思います。誤 用すると恐ろしいことになるのは網かけだけでのランクでは危険ではないかと思いま す。  フェノールは腐食剤ですので、陥入爪の治療の際にフェノールで爪母細胞を殺して爪 を細くする目的で使用します。網かけのところにフェノールとかサルチル酸は書いてな いかもしれませんが、外用は簡単に誤用できます。飲み薬は自殺でもしない限り大量に 飲むことはないと思いますが、そのへんもご配慮いただければありがたいと思います。 埜中委員長  外用薬の水薬なんかは目薬によく似ているので点眼に使ったり、そういう誤用があり ますので、この前、望月先生のところで検討会をした時に、外用薬の誤用というのは網 かけではなくても重要視して検討しようということは考えております。サリチル酸はど のへんにあるのですか。 溝口委員  サリチル酸は化膿性疾患とみずむし・たむし用薬と両方に載っております。適応があ るからだと思いますが、化膿性疾患用薬のほうは1ページ、みずむし・たむし用薬のほ うは一番最後に角質溶解成分として載っています。効能効果のところに、効くはずがな い病気がたくさん書いてあります。 埜中委員長  医療用の添付文書にそう書いてあるわけですよね。それを勝手に直せないのが我々の つらいところなのですよ。 溝口委員  ずいぶん昔に二重盲検法などなしに通った適応症ではないかと思います。  埜中委員長  精神神経薬だったらその専門家、こういう外用薬だったら先生のような専門家に後で チェックしていただくことは考えているわけです。 望月委員  今の溝口先生のご指摘は非常に重要だと思うのですが、外用薬の場合はどのくらい入 っているかという濃度が問題になると思うのですね。みずむし・たむしの場合は主たる 成分は抗真菌作用のある成分で、それに対して角質を軟化させて薬の浸透をよくすると いう意味でサリチル酸が入っている。その場合のサリチル酸の濃度は承認基準では上限 が決められていると思います。  今回、用法用量、効能効果のところは医療用医薬品のものしか取り入れておりませ ん。以前、こちらの会議で、承認基準で上限が決められているものについて事務局で整 理をしていただけるという話が出ていたような記憶があるのですが、特に外用のところ は溝口先生の今のご意見も含めて必要かなと思ったのですが。 林委員長代理  ずっと聞いていまして、かぜ薬で少しまとめたほうがいいかなと思う部分は、量と飲 む期間だといます。相互作用については、頻度が高く使われる薬ほど、薬剤師の皆さん よく知っていますし、対面販売をうまく使うことで危険性は避けられるだろうと思いま す。アスピリンとかアセトアミノフェンはついつい長く使ってしまったり、飲みすぎて しまうことがありますから、そういう時に必ず出てくるのが飲み合わせの問題で、その あたりをうまく整理していけば危険性は避けられるかもしれません。ここに書いてある ような重篤な副作用に至ることはほとんどないと思います。長期連用とかいろいろなこ とが書いてありますが、そのへんをうまくやりくりしていけばいいのではないかという 感じがいたします。  かぜ薬以外の薬についてはよくわからないのですが、ここに出ている情報が多ければ 多いほどよく効く薬で、よく使う薬ですから、よくわかっているわけです。それだけ情 報もありますから、薬を買いに来た人にその点をうまく伝えるということは不可能では ないのではないかと思います。  相対評価というのは難しいですね。アスピリンとアセトアミノフェンはどっちがどう だという評価は難しいと思うのですが、むやみやたらに飲まないことを原則として、薬 を買いに来た方に注意するしかないのではないかと思います。 松本委員  相対評価という言葉がもともとの案に書いてあるので、それが一人歩きしているよう な感じがします。すべての薬を並べて、どれがどれより危険だというのだと絶対評価み たいになるのですが、そうじゃなくて、増山委員がおっしゃったように、大ぐくりで3 つに分けるとか5つに分けるとか、そういう意味の相対評価でいいのじゃないかと思う のですね。かぜ薬の中のこれとこれがどっちかじゃなくて、どちらも別のジャンルのこ れに比べればずいぶんリスクが高いですねというぐらいの大ぐくりの相対評価でいい し、それしかできないのではないかという気がします。Aという薬とBという薬を比べ ようと思うと、数値化して絶対評価のような形にせざるを得なくなってくるのじゃない でしょうか。 埜中委員長  我々も事務局も考えていたことは、大ぐくりでやるけど、その中でランク付けができ れば、それをやっていきたいと考えているわけです。事務局は順番付けをきちっとした いのでしょ。 事務局  まだそこまで頭が回りませんで、ワークシートを見ながら、このへんはどうやって差 を見るのか、情報がなくても同じと見るのかというところを考えていたところです。  ワークシートはこういう見方でいいのかどうかというのを、例を挙げて問題提起して みたいと思います。4−9の鎮咳去痰薬を見ていたのですが、1ページに3つの成分が 並んでいまして、上からクエン酸ピペピジン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノ スカピンがあります。その次のページにジヒドロコデインとリン酸ジメモルファンがあ って、合計5つの咳止め成分があるのですね。  「A薬理作用」のところを見ますと、最初のページの真ん中の成分、臭化水素酸デキ ストロメトルファンについては併用禁忌のところにMAO阻害剤と書いてあって、他の 成分には書いてないというのは情報として差があるのではないか。  2ページの最初の成分、リン酸ジヒドロコデインでについては「G長期使用による健 康健康被害のおそれ」の中に、連用により薬物依存という記載がありますが、他の成分 では、ここに記載がないのですね。  この2つの成分の情報の捉え方として、Bの「併用禁忌」のところで臭化水素酸デキ ストロメトルファンはMAO阻害剤と書いてあって、他の成分では空欄にはなってるん ですが、同じものとして扱えられるものがあるのかどうか。空欄で何も書いてないもの と書いてあるものとが分けられるのであれば、ここで一つ差別化ができるのかもしれな いと思いました。  2ページのリン酸ジメモルファンについては記載がないのですが、成分が似ていると すれば、ここにも臭化水素酸デキストロメトルファンと同じような記載があってもいい のかどうか。使用頻度が少ないからこういった情報がないのか、あるいは本当にないの かどうか、そういったところで情報の差を見出せるのかどうか。  同じことが連用のところでも言えるのですが、ジヒドロコデインにあるような連用の 情報が他の成分でも知られてないだけで実際はあるのかどうかというところで成分間の 比較ができてくるのかなと思いました。  細かい議論なのですが、こういったことを一つ一つ見ていく必要があるのかなと感じ て、例示としてあげさせていただきました。具体的に判断するにはいろいろ調べてみな いとわからないところもあるので結論は難しいと思いますが、そういったところの違い をどうとらえていくかということが評価とか、同じようにくくるという形の作業につな がっていくのではないかと思いました。 安部委員  先ほど溝口先生から医療用医薬品の適応症でおかしいものがあるとご指摘いただきま したが、一般用医薬品の場合は適応症がおかしいというよりは、一般用医薬品を利用す る人が、その適応症にある症状てあれば、すぐさま受診をお勧めするような適応症が効 能効果にある場合、その適応症があること自体が、リスクが高いということになりかね ない。今のところは一般用には適応症が書いてありませんので、そこのところは今回は このシートの中では議論できないのですが、リスク分類をする時に、一般用医薬品の適 応のところを見ないとなりませんので、もう一度、そこの部分をきちんと見なければい けないかなと思います。 増山部会委員  医療用医薬品と一般用医薬品の大きな違いは、医療用医薬品の場合はお医者さんなり 専門家の診断があってその薬が適用されるのですが、一般用医薬品の場合は消費者が自 分の症状に対して適応するかどうかということを見て買っていると思うのですね。例え ば頭が痛いといった時に、かぜをひいて頭が痛いのか、違う病気で頭が痛いのかという ことを区別しないで、頭が痛いという症状で痛み止めを買う。頭痛薬を買えばいいんで すが、本人がこれはかぜからくるものだと思って、かぜ薬を飲む場合もあるわけです。  一般用医薬品の中でも危険度に差があるとすれば、パッケージを見て、強さがわかる といいなと思いました。同じ咳止めでも、すごく注意しなければいけないものと、そう でもないものがあるとしたら、消費者は咳止めが欲しいわけで、この成分が入っている からこの薬にしようと思って飲むわけではないので、強なのか中なのか弱なのかという 目安になるものがあったらいいのかなと思います。リスク区分をして評価ができるので あれば、のように感じました。 埜中委員長  かぜをひいたという時には、あなたの症状だったらこれにしなさいとか、一般薬でラ ンク付けじゃないですけど、そういうのはあるのですか。 安部委員  もちろんあると思います。増山さんがおっしゃった咳止めですと、その方の咳の状態 によってはリン酸コデインを使ってはいけない。便秘ぎみな人にリン酸コデインはなる べく使いたくないとか、鎮咳剤の場合は去痰剤が入っているか入ってないかとか、いろ いろ状況が違います。鎮咳作用の強さを、例えばデキストロメトルファンが何ミリのも のとピペジビンが何ミリのものと、どっちが強いというのは経験的には薬剤師は勘があ るのでしょうけど、一般薬の場合は配合成分の上限が決められていますので、患者さん の条件とか症状とか配合している成分で決まることが多いと思います。主成分の鎮咳作 用の強さもありますが、それよりもその他の条件のほうが中心になるような気がしま す。患者さんの状況をインタビューしていなければ、どれも同じではなく、もしかした らロシアンルーレットみたいに、たまたま悪いものに当たるということが起きるかもし れないということです。 埜中委員長  そうすると対面販売が必要だという結論になりますね。 望月委員  今の増山委員の話は、効果をランク付けしてほしいということですか。 増山部会委員  リスクがあるということは作用が強いということだと思っているのですが、そうとも 言えないのですかね。 安部委員  そうとも言えないですね。 増山部会委員  普通の人は、この成分が入っているからこの薬にしようというのはないと思うのです ね。1日2回でいいのか、3回飲むのかとか、1回に2錠飲むのかとか、そういうこと を見て私は買っているのですけど、作用が強いものかどうかということがわかったらい いなと思うのですね。 望月委員  今回はリスクの評価の委員会ですので、効果の面は難しいと思うのですね。先ほど松 本委員がおっしゃったように、これはご自身で選ばれてもそんなに問題はないかもしれ ない、こちらは相談しなくてはいけない、その間を何段階かに分けることができたとし たら、それはA、B、C、Dという形で外箱に表示をして、評価結果が消費者に伝わる ような形をとるのも一つの方法かなと思うのですね。  スイスがそういう販売方法だったと思うのですが、AとかBの場合は必ず販売者から 説明を受けたほうがいい、それ以外の部分はご自身で判断する、ただし、外箱表示と中 の説明文書をきちんと読む。そういうことをやっていたと思います。今回の検討結果が うまく出て、薬がどの程度の問題を抱えているかいないかというところがわかる形とし て使うことができれば、そういう表示をして公表していくことが重要なことかなと思い ます。 増山部会委員  先ほど私が申し上げたことは、今おっしゃっていただいたイメージに近いです。 埜中委員長  情報提供の方法ですよね。リスク評価をして、情報提供をどうしようかという時に皆 さん方のご意見を伺いたいと思います。  ほかに何かございませんか。だいたい議論は尽くされたように思います。これから評 価という難しい問題に入っていきますが、いろいろ問題が出てくると思いますので、こ の委員会で討議をしていきたいと思います。 井村委員 今日の委員会の中でまとまったことは、どういうことだと思ったらよろしいのでしょう か。 埜中委員長  まず第1点は、評価表をこれからも作っていって、それでやるという方針が、皆さん のご意見でできたと思います。評価に関しては、ランク付けというのは難しい。A群か B群かC群か知りませんけど、そういうものを作って、その中でランク付けという言葉 は悪いのですが、評価を決めたいということです。  評価はB、C、Eという網かけのところを主にやっていきますが、溝口委員がおっし ゃったように、外用薬など特殊なものがある。そういうものについては誤使用のおそれ を重点的に見る必要がある。薬によっては「G使用方法(誤使用のおそれ)」を無視す ることはできないということだろうと思います。  これに沿って評価を進めていくわけですが、情報提供についても今日は議論が少しな されました。具体的なことを決めるところまでいっておりません。評価の程度と結びつ くとは思うのですが、ある程度のランク付けをして、対面販売をするものが必要である とか、箱にA、B、Cのランクを付けるとか、何らかの形で危険度を情報提供する必要 があるのではいかというご意見をいただきました。  まだ11のところまでしかいっておりませんが、これを早急に完成させて、評価してい きたい。さらに、副作用などを経験している医療関係者の意見を取り入れる必要がある だろう。小グループに分かれていくと思うのですが、そういうところで検討していく必 要があるのではないか。そういうことが今日は話し合われたように思います。 井村委員  安部委員が強くおっしゃったと思いますが、情報提供の難易度というか必要性という か重要性というか、それが評価の一つのファクターとして入ってくる可能性があるとい うことだろうと思います。このワークシートを使った評価で、大まかなくくりでグルー プを分けて、それからそういうファクターを入れて、それが組み直されるかもしれな い。そのように作業が進んでいくというふうに考えてよろしいでしょうか。 埜中委員長  それで結構だと思います。今の私のまとめで足りないことはございませんでしょう か。  それでは、この後の作業について事務局からお願いします。 事務局  次回以降の事務連絡をさせていただきます。次回の委員会は年明けになると思います が、改めて先生方のご都合を確認の上、ご案内させていただきます。次回の専門委員会 の前に部会が開かれるようでしたら、本日の検討内容を報告することになりますので、 その場合は委員長と相談させていただきたいと思います。 埜中委員長  それでは、以上をもちまして本日の専門委員会を終了させていただきます。どうもあ りがとうございました。                                     (了)                         (照会先)                         厚生労働省医薬食品局審査管理課                            TEL:03-5253-1111(代表)                           担当:紀平、山脇(2743)