04/12/13 労働政策審議会安全衛生分科会第１６回議事録


　　　　　　　　　　　第１６回労働政策審議会安全衛生分科会

１　日時　　平成１６年１２月１３日（月）１５：００～１７：００

２　場所　　厚生労働省５階　共用第７会議室

３　出席者
（委員）公益代表　　　櫻井委員、今田委員、北山委員、内藤委員、平野委員、
　　　　　　　　　　　和田委員
　　　　　労働者代表　高橋委員、中桐委員、徳永委員、仲田委員、芳野委員
　　　　　使用者代表　伊藤委員、加藤委員、金子委員、小島委員、讃井委員、
　　　　　　　　　　　中田委員、山﨑委員
（事務局）　　　　　　青木労働基準局長、小田安全衛生部長、中沖計画課長、
　　　　　　　　　　　寺岡安全課長、阿部労働衛生課長、古川化学物質対策課長、
　　　　　　　　　　　川島国際室長、高橋建設安全対策室長、中村環境改善室長、
　　　　　　　　　　　角元化学物質評価室長

４　議事録

○櫻井分科会長
　ただいまから第16回「労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。今日は名
古屋委員、鈴木委員、眞部委員が所用のため欠席されております。この結果、労働政策
審議会令第９条に規定する定足数を満たしておりますので、当分科会が成立しているこ
とを申し上げます。
　それでは今日の議事に移ります。今日の議題は前回に引き続き、「今後の労働安全衛
生対策」についてです。前回、過重労働・メンタルヘルス対策以外の取りまとめ素案の
議論は尽くされましたので、今日は過重労働・メンタルヘルス対策に関して、前回の議
論も踏まえ、取りまとめ素案を事務局が用意しておりますので説明をお願いいたしま
す。

○労働衛生課長
　資料No.２をご覧いただきたいと思います。ここに、過重労働・メンタルヘルス対策
の「取りまとめ素案」を用意しました。これは前回までの議論を踏まえて作ったもので
すので、事務局から読み上げた上でご議論をいただきたいと思います。

○計画課企画担当課長補佐　それでは資料を読み上げさせていただきます。
　「取りまとめ素案」。
　第１　労働安全衛生対策をめぐる状況
　２　近年、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者は６割を超えるなど
労働者への負担は拡大する傾向にある。
　一方、一般健康診断結果を見ると、有所見率は年々増加の一途をたどり、平成15年で
は何らかの所見を有する者の割合は47.3％にも達している。その中でも高脂血症、高血
圧症等に関連する所見を有する者の割合が高くなっている。このような状況の下、労働
者に業務による明らかな過重負荷が加わることにより、脳・心臓疾患を発症したとし
て、平成15年度に労災認定された件数は310件を超え、高止まりしている。このうち、
過労死の労災認定件数は157件であり、労働災害死亡件数の約１割相当にまで増加して
いる。また、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発病し、あるいは当該精神
障害により自殺に至る事案が増加し、平成15年度の労災認定件数は100件を超えている。
　このようなことから、労働者の健康確保とりわけ過重労働による健康障害防止対策や
メンタルヘルス対策をさらに進めていくことが求められている。
　第２　労働安全衛生対策の見直しの方向
　３　過重労働・メンタルヘルス対策
　（１）過重労働による健康障害防止対策
　現在の医学的知見によれば、長時間の時間外労働など労働者に過重な労働をさせたこ
とにより疲労が蓄積している場合には、脳・心臓疾患発症のリスクが高まるとされてい
ることから、これらの過重労働による健康障害を防止するためには、適正な労働時間管
理と健康管理に加え、長時間の労働による負荷がかかった労働者についてその健康の状
況を把握し、適切な措置を講じることが必要である。これとともに、過重負荷となる要
因の把握と改善に向けて労使が協力して自主的な取組を行うことが期待される。
　また、対策を適切かつ円滑に推進するためには、産業医に対する研修等の支援や中小
企業に対する支援を行うことが必要である。
　〔対策の方向〕
　ア　事業者は、１週当たり40時間を超えて行う労働が１月当たりで100時間を超え、
疲労の蓄積が認められる者であって、面接指導に係る申出を行った者に対し、医師によ
る面接指導を行うとともに、その結果に応じた措置を講じなければならないこと。ただ
し、前１月以内に医療機関において脳・心臓疾患に係る診察を受けている労働者であっ
て診察結果等から健康上問題がないと医師が認めた労働者等は、面接指導を行わないこ
ととすること。
　イ　産業医は、必要があると認めるときは、労働者に対して、アの面接指導の申出を
行うよう勧奨できるものとすること。
　ウ　労働者は事業者が行う面接指導を受けなければならないこと。ただし、事業場内
での面接指導を希望しない場合、外部の医師による面接指導を受け、その結果を事業者
に提出できるようにすること。
　エ　アの面接指導を受けない労働者であっても、事業者は、長時間にわたる労働によ
り疲労の蓄積が認められ又は労働者自身が健康に不安を感じた労働者であって申出を行
った労働者及び事業場で定めた基準に該当する労働者に対して、面接指導の実施等、必
要な措置を行うよう努めることとすること。
　オ　過重労働による健康障害防止対策を衛生委員会の調査審議事項として追加するこ
と。
　カ　面接指導が適切に実施されるよう、産業医に対して研修等の支援を行うととも
に、中小企業に対して地域産業保健センターによる支援等を行うこと。
　（２）メンタルヘルス対策
　メンタルヘルス対策は、セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ
等によるケア、事業場外資源によるケアにより進めることが重要であるが、自殺予防と
いった観点からもメンタルヘルス不調となったときに介入が可能となる仕組みづくりが
求められる。事業場においてメンタルヘルス対策を推進するためには、労使が協力して
自主的な取組を行うことが期待されるところである。
　また、対策を適切かつ円滑に推進するためには、産業医に対するメンタルヘルスに係
る研修等の支援や中小企業に対する支援を行うことが必要である。
　〔対策の方向〕
　ア　（１）の面接指導において、メンタルヘルス面にも留意するものとすること。
　イ　「職場における労働者の心の健康づくりのための指針」の内容を踏まえながら、
事業場におけるメンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施を図るため、メンタルヘルス
教育の実施、相談体制の整備、外部機関の活用等について、法律に基づく指針で示すこ
と。
　ウ　メンタルヘルス対策を衛生委員会の調査審議事項として追加すること。
　エ　産業医に対して研修等の支援を行うとともに、中小企業に対して地域産業保健セ
ンターによる支援等を行うこと。
　以上です。

○櫻井分科会長
　これについて補足的なご説明があるかと思います。よろしくお願いします。

○労働衛生課長
　若干の補足をさせていただきます。２頁で文言の修正をお願いしたい部分がありま
す。〔対策の方向〕のところのウの行です。「労働者は事業者が行う面接指導を受けな
ければならない」とありますが、その次の文節、「ただし、事業場内での面接指導を希
望しない場合」とありますが、これは例えば企業によっては契約した事業場外の施設等
による面接指導もありますので、「事業者の指定した医師による面接指導を希望しない
場合」と訂正をお願いしたいと思います。それから、「外部の医師による面接指導を受
け、その結果を事業者に提出できるようにすること」というところですが、これは事業
場外という意味でこのようにしたのですが、ここも「他の医師による面接指導を受け」
と修正していただきたいと思います。内部に数人の医師がいる場合に、あるいは別の嘱
託や自分の所というようなところ全部を含めまして、「他の医師」とするのが正しかろ
うということです。
　それと、若干の補足ですが、前回の分科会の議論を踏まえ検討の視点で、「月100時
間又は２～６カ月間に月平均80時間を超える時間外労働を行った場合、法律により事業
者に対し面接指導及び事後措置の実施を義務づけるべきではないか」という点について
ですが、使用者側の意見として、この義務づける対象を、よりリスクの高いものに絞り
込むべきではないかというご意見がありました。また、公益委員からは、それは、例え
ば本人の申出があった場合にするということが考えられないかというご意見と、もう１
つ、時間外労働が月100時間を超えた場合に、脳・心臓疾患の発症リスクが相当程度高
まることが医学的に証明されていることから、面接指導の実施は不可欠であるという意
見を踏まえ、「ア　１週当たり40時間を超えて行う労働が１月当たりで100時間を超え、
疲労の蓄積が認められるものであって、面接指導に係る申出を行った者に対して、面接
指導及び事後措置を義務づけること」とさせていただいています。
　さらにその後、「前１月以内に医療機関において脳・心臓疾患に係る診察を受け、そ
の結果等から医師が問題ないと認めた労働者等は、面接指導を行わないこと」という１
節を加えています。
　もう１つ重要な点ですが、公益委員から、「産業医が必要と認めたときは面接指導を
実施するようにすべきである」というご意見がありました。これを踏まえ、「イ　産業
医は必要があると認めたときは、労働者に対してアの面接指導の申出を行うよう勧奨で
きるものとすること」というところを入れております。この考え方ですが、この義務づ
けの部分については上記のとおり、一定のリスクがある場合に本人の申出をベースに、
面接指導を行うという制度にしていることから、産業医が必要と認めた場合について
も、面接指導を義務づけるのではなく、あくまでも産業医が労働者へ勧奨・助言を行っ
て、それに基づいて労働者が申し出るという形にしているわけです。
　その他ですが、面接指導の義務づけに伴う国の支援措置についての記載を追加してい
ます。使用者側の意見として、面接指導の実施にあたっては、産業医への支援が必要で
ある。また、実施体制が不十分な中小企業への支援が必要であるというご意見がありま
したので、この〔対策の方向〕２頁のカの部分に、「産業医に対する研修等の支援」
「中小企業に対する地域産業保健センターの支援」という項目を付け加えています。産
業医に対する研修等の支援については、前回こちら側が申し上げたように面接指導マニ
ュアルの作成、面接指導の実施方法等に関する研修の実施、専門医による産業医を支援
するための相談体制の整備等です。また、中小企業に対する地域産業保健センターの支
援では、登録産業医による面接指導の実施等を想定しているところです。

○櫻井分科会長
　ただいまの補足説明を含め、ご意見、ご質問がありましたらおっしゃってください。

○讃井委員
　新たにこの過重労働とメンタルヘルスの部分について取りまとめ素案が出てきました
ので、意見を述べさせていただきます。日本経団連としては基本的には法制化に反対と
いう立場は変わりがありません。こういうことを申し上げると誤解されるので、あらか
じめ申し上げておきますが、過重労働にしてもメンタルヘルスについても問題の重要性
ということは十分認識をしており、企業にとっても第１の宝である人材について、こう
いった問題が起きないように然るべき対策が必要と感じていますし、実際にいろいろな
やり方で取り組んでいます。本来の目的は過重労働による健康障害を防止し、さらにメ
ンタル面での健康確保であるわけですが、その目的に照らしどういう方法が効果的なの
かということで、その方法論について私どもは問題を指摘してきたつもりです。
　いずれもプライベートな要因と業務上の要因の境界が峻別しにくい性質を持っている
と思いますが、そういったものについて一律に法律によって事業主責任を定めることが
よいのかどうかという問題だと思います。現実に効果を生む、目的を達成するために職
場の実態を踏まえた方法や時宜というものがあるのではないかというわけです。それが
基本的な見解ですが、今回示された対策の方向については、いまご説明がありましたよ
うに、面接指導を行う基準について、これまで指摘してきたのが時間の要素だけでな
く、総合的な判断が必要ではないか。リスクの高い人に絞ってはどうかということを申
し上げてきたわけですが、これを疲労の蓄積が認められ、あるいは本人の申出という点
が加わり、リスクの高い人に限定されるようになっているということはわかります。
　中小企業や産業医に対する支援の仕組みについてもその導入が指摘されることは、先
ほど説明にあったとおりだと思います。しかし、いちばん初めに申しましたように、根
本的な問題に対する回答は、まだいただけていないのではないかということで、過重労
働総合対策通達で生じている現在の現場での混乱が、法制化によってさらにどうなるか
という点についても、まだ疑問が解消されているわけではありません。そうした上で、
個別にいくつか対策の方向についてお尋ねしたいところと、意見を申し述べたいところ
があります。
　まず、過重労働の対策の方向のアです。１週当たり40時間を超えて行う労働が１月当
たりで100時間ということが規定されているわけですが、この労働時間の把握について、
本来労働時間管理の対象とならない管理監督者、あるいは特別な措置が行われているみ
なし労働時間、あるいは個別の業種に応じた特別の労働時間の定めといったものに対す
る対応は、どのような形でお考えなのでしょうか。
　エのところで、対象は「アの面接指導を受けない労働者で」、と書かれていますが、
具体的にいうとどういう方が対象になるのか。事業場で定めた基準というのがあります
が、この基準はどのようなものが想定されているのか。ここでも労働時間といった要素
が入ってくるのかどうか。「面接指導の実施等、必要な措置」と書いてありますが、こ
れは面接指導に代わる別の措置も可能になるのかどうか、その点を質問させていただき
ます。
　衛生委員会の調査審議事項ということで過重労働とメンタルヘルス対策を追加すると
書かれていますが、これについてはもともとの規定にあるような労働者の健康障害を防
止するための基本となるべき対策というところで対応できるのではないかと思っていま
す。
　これまでもいろいろな健康障害上の課題が出てきました。じん肺、各種の化学物質に
よる中毒や熱中症といったものも、すべて第１項の先ほど述べた項で対応してきたわけ
なので、話し合うこと自体を否定するわけではありませんが、時代時代によって生じる
さまざまな健康生活上の課題を一つひとつ取り上げていくのはいかがなものかという感
じがします。
　（２）のメンタルヘルス対策についてはイで、法律に基づく指針で示すことになって
いるわけですが、いま述べた衛生委員会の調査審議事項と併せて、規制緩和という時代
の流れに合わないのではないかと思うわけで、上段の基本的な方向に「労使が協力して
自主的な取組を行うことが期待される」と書いてありますので、規範化、規制化といっ
た対応が本当に望ましいのだろうかということが疑問になるわけです。繰り返しになり
ますが、私どもの組織、日本経団連としては、ここで拝見しました修正案を一度持ち帰
り、現場の実態に立脚した効果的な方法は何かという視点から精査・検討してまいりた
いと思っています。

○労働衛生課長
　お答え申し上げます。たくさんご質問がありまして、かつてお答えした部分もあるか
と思いますが確認の意味があったかと思います。管理監督者についてのご質問ですが、
これは管理監督者については、時間管理の対象となっていませんので、基本的に月100
時間を超える時間外労働に相当する労働によって、疲労の蓄積があると本人の申出があ
れば、面接指導の対象とするという取扱いにしたいと考えているわけです。これによ
り、管理監督者といえども、労働者として健康管理が大切ですので、時間管理の対象に
はなりませんが、一応申出による健康管理の対象としていただきたいという考え方で
す。
　例えば事業場で定めた基準はいかなる基準であるかということですが、裁量労働制が
適用される労働者については、前に１度申し上げているように、健康確保措置を実施す
ることになっています。このために把握されている労働時間の状況を基に、事業場ごと
に取り決めた方法によって、月100時間を超える時間外労働を行って、疲労の蓄積があ
ると使用者が判断する場合に、面接指導を実施する取扱い等をしたいということです。
　さらに、前回議論になっていました特殊な勤務形態がありますが、このような業態の
労働者ですと、一般の労働時間管理が困難なケースが想定されるものがあります。この
ような方々については別途、実態に即した取扱いを行うということで説明させていただ
いたかと思っています。
　努力義務部分ですが、努力義務の事業場で定めた基準は、どのようになっているかと
いうことですが、これは事業場で衛生委員会等の意見を聞いて基準を設定して、その上
でその対象となったものに必要な措置をとっていただくことを想定しているわけです。
努力義務ですので、法令の中でかなり厳しい枠をはめて決定するという性質のものでな
いと考えますが、一応現在までのいろいろな知見、通知によるいままでの実績等を踏ま
え、80時間当たりを基準とした労働時間を超えた方々に対して、医師の面接等を前提と
した健康確保措置をとっていただきたいということです。
　衛生委員会に過重労働・メンタルヘルスの審議事項を加えるということですが、これ
は２頁の上段にあるように、過重負荷となる要因の把握と改善に向けて労使が協力し
て、自主的な取組を行うことが期待されるという考え方から、現行衛生委員会の活動が
やや低調に移っていることもあり、この中にきちんとした審議事項として入れることに
より、労使での取組、議論がより充実して政策的に健康確保措置の充実が期待されるこ
とから、入れることを提案したものです。
　メンタルヘルス対策は３頁にありますが、労使が協力して自主的な取組を行うことが
第１の条件として期待させていただいているわけですが、お説のとおり、メンタルヘル
スについては事業所だけの問題ですべてが解決するものではありません。メンタルの内
容については家庭の事情や個人の素因、その他いろいろな事情があると思いますが、基
本的には健康確保という健康の概念の中に、身体の健康も心の健康も全部包含される観
点から、昨今のようなメンタルヘルスに同等の問題が生じている事態において、労使協
力して健康確保措置の一貫としてメンタルヘルス対策を実施していただくというのは、
時宜に合った政策としてお認めいただけるのではないかと考えています。これに出てい
る法律に基づく指針ですが、これはあくまでも指針ですので、義務というような強制力
を持って示すというものではありません。現在でもＴＨＰの指針等が示してあります
が、このような形を参考にして、労使ともに事業所内で努力をしてということでお示し
をしているものです。
　面接指導等の必要な措置というご質問は、例えば努力義務の中で80時間以下のような
場合もあり、この中でどのように事業場ごとに健康確保措置を行うかという中で、一応
私どもは直ちに医師による面接指導を行わなくても、チェックリストによるスクリーニ
ング等を行って、その上で医師に面接指導を行うものをセレクションするというような
システムを、事業場ごとに定めていただければそれでもいいのではないかと考えていま
す。そのような措置についてもう少しいろいろな考え方があると思いますので、弾力的
な運用をしていきたいことから、「面接指導等の必要な措置」という書き方に変えさせ
ていただいたものです。

○徳永委員
　今日これを読ませていただいた率直な感想です。先ほどから３人の方が企業側の立場
でお話されましたが、いままで議論してきた中身がかなり後退しているという印象で
す。この間の過重労働とメンタルヘルス対策のあり方検討委員会の報告書等いろいろな
研究の中で、100時間を超すような過重労働が労働者の健康を侵している実態と科学的
な根拠で、ここにきちんとした対策を立てるべきだという提案・報告がなされ、具体的
にそれを進めていくにはどうしたらいいかという議論をしてきたわけです。しかし、今
後もいろいろな産業構造のあり方や雇用のあり方等が複雑化してくるし、特に中小企業
は、労働者も使用者も頑張っていくという過程の中で、この健康障害という問題は今後
懸念されてくるでしょう。そういった意味で、きちんとした一定の歯止めをかけておく
必要がいま必要ではないかと私は思って議論に参加しておりました。
　この中で産業医の面接指導の義務づけについてはいろいろ議論があって、とりあえず
申出があった者というところを読んで、後退しているのだと思っています。申出があっ
た者についてその辺をきちんと把握して、過重労働から救っていくという方向で、むし
ろ前向きにこれをとらえていく姿勢がないと、これを受け身にとってしまうと、結局は
労働者がしんどい思いをして、身体の不調を持ちながら訴え切れないというところがい
っぱいあるのです。だから、そこを救っていく、むしろ積極的に企業側がそれを掘り出
していって、対策を立てていくのだということで、この対策を進めていく必要があるの
ではないか。そういう意味では残念ながら、いまの議論は少し後退をしているなと思っ
ているのが第１点です。
　もう１つは、中小企業対策ということで、ここも強調されていますが、産業医の活用
をもっと具体的に手立てするということと、地域産業保健センターを使っていくとい
う、逆にいうと、そこだけ書いてあるのですが、ちょっと違うのではないか。もっと対
策として手立てが具体的にないかという感じがします。このセンターも率直に申し上げ
てあまり知られていないです。この活用はどういうようになっていますかという質問を
すれば、一定のデータを出していただけるのだと思いますが、意外と中小企業は使って
いないのではないでしょうか。そうだとすれば、これを活かすということであれば、も
っとＰＲもして、中小企業の皆さんが気楽に相談に行ける。そして一定の対策をアドバ
イスしていくというようなことを少し組み立ててもらわないと、これだけでは進まない
のではないかという気がします。

○労働衛生課長
　まず、過重労働対策の法制化の内容が総合対策としての実績後退になっているのでは
ないかというお話でしたが、法制化を考える上で、これは義務としてはいちばんリスク
の高いところで最低守っていただくべきところから、100時間を超える時間外労働を行
って、かつ疲労の蓄積が認められる者というところを義務化の対象とさせていただいた
わけです。その場合は労働者から面接指導を受ける旨の申出があるという条件が付いて
いるわけですが、前回までのいろいろ調整させていただきました議論の中では、例えば
労働者がきちんと手を挙げられるのかどうかという話もありました。そこで、そういう
場合にも産業医が客観的な観点からみて、労働者に面接指導を受けるように勧奨すると
いうことを入れるべきだという話で、この中に入れさせていただいたということです。
　義務の対象以外で、これまでの総合対策で面接指導の対象としていた部分について
は、事業場において努力義務の対象とするように努めていただきたいということで、こ
の取りまとめ案を示したものです。具体的に申しますと、長時間にわたる、これは月80
時間を超える時間外労働に相当すると思います。２～６カ月で80時間という切り方は、
労災の考え方から遡って考えるときにいいのですが、予防として計算していくには非常
に面倒であるというご意見もあります。例えばおおむね月80時間を超える時間外労働に
よって、労働者自身が疲労の蓄積があると認められるような場合、あるいは自ら健康に
不安を感じて面接指導を受ける者として申し出た場合という場合に相当するわけです。
これらについては現行の総合対策の内容を踏まえた上で、各事業場で自主的な基準を定
めて、面接指導を行っていただくように努めていただきたい。私どももそのように指導
をしていきたいと考えているわけです。その中でも、そういう努力義務の内容をきちん
と事業場内で充実してやっていただくためにも、衛生委員会の中で、このメンタルヘル
ス過重労働対策を審議事項に加えて、真剣に協議をしていただくことが必要ではないか
と考えています。
　もう１つ、中小企業対策です。確かに徳永委員がおっしゃるように、現在地域産業保
健センターではいろいろな中小企業対策を行っています。これが中小企業の方々に現在
まだ周知されていない部分があるということは私どもも重々承知をしております。この
中に地産保に来ていただいて、医師による健康相談を行う事業と、もう１つ大事なこと
は地産保から中小企業に出向いて行って、職域の巡回指導等を行うという事業の２つが
あります。これらはこの法制化を目指した上で支援策として、大幅に充実し、かつＰＲ
をしなければならないと考えているわけです。来ていただく部分と、産業保健センター
から中小企業に出向いて行く部分の両方によって、これらの対策を充実させていきたい
と思っております。

○伊藤委員
　いま皆さんの議論の中で、徳永委員から後退しているというお話がありました。いろ
いろ時間に関して調べてみると、何回もお話することになりますが、２年前の特別通達
の45時間という部分があり、それがあまり活用されていないのではないか。例えば45時
間でいろいろなことが指導されていれば、100時間にいくわけはないというのが１つで
す。また別の分科会なのですが、労働条件分科会の中で年間総実労働時間1,800時間と
いう数値目標をクリアしようという会があって、ここは私どもの委員が出て議論してい
るところなのですが、ここのことを見ていきますと、これは５年間の時限立法だったと
思いますが、ベースになっている部分が60時間が基準になっている長時間労働なので
す。
　ここのところで数字が違うのではないか。逆にいうと、こちらは労使の間での話合い
の中で済むのであれば、例えばここが守られていれば100時間に届くわけもないし、そ
ういうところですでにあるいろいろなもので、何も今回のメンタルヘルスにいかなくて
も十分に労働者の健康が守られるのではないか。これは相互の時間の関係の明確化と、
過去に我々が決めている45時間、これは当然時間外の45時間ですから決して短くない、
100時間に比べれば短いですが、これも大変な労働時間です。
　こういうことをもう一度、我々が調査してみますとやはり知らないという回答が非常
に多かったのです。そんなことが見直せないかということと、先ほどから地域産業保健
センターのことが出ていますが、我々が調べてみたら、東京の中に13カ所あるというこ
とでしたが、実質11しかないのです。
　いちばん会社の多い千代田区、中央区、文京区の３区では、会社が50人未満の中小企
業は、55万7,698社あるのです。それで地産保が稼働しているかを調べてみたら、医師
会に委ねられているのでしょうか、日本橋医師会では月に４回だけ、それも午後１時か
ら３時までです。港区が月に２回、多分午後で、通常１時から３時です。おっしゃると
おり、中小企業に出向いていくととったほうがいいのか、確定開催なしという所がいっ
ぱいあって、仮にこの案が通ったとして、現実問題50人未満の会社が55万7,698社あっ
たら、もしかするとできないのではないかという、そうするとどんなものかというその
辺に気づいたので教えていただければありがたいと思います。

○労働衛生課長
　それでは先に地産保のほうからお答えします。確かに地産保は基本的には各郡市区医
師会に置かれています。エリアごとで細かくなると私どもも全部把握していないのです
が、いままでのこれらの政策を出すまでにいろいろ検討したところ、50人未満の中小の
事業場で、いろいろな調査がありますが、我々の調査では月100時間以上労働する労働
者の数というのは、おそらく全国で17～18万人から20万人くらいの間であろうと推測さ
れます。その中で、例えば全く別の調査結果から出てくるのですが、疲労を非常に感じ
ている健康調査、疲労感調査などの調査をやってきますと、大体申出をすると見込まれ
る全国の50人未満の中小企業の労働者は、大体7,000～8,000人から、多くてもその倍く
らいではなかろうか。申出と疲労感の蓄積ということからすると、実際に月100時間以
上残業をする労働者の大体10分の１から20分の１くらいの数が見込まれています。
　あと、偏在の問題は確かにありますが、全国の地産保の私どもが持っているそのよう
な健康相談の能力というと、頑張って最大限に出た場合月５万。おそらくはそこまでは
いかないと思いますが、ほかの種々の調査結果から推測される50人未満の中小企業労働
者で、面接指導を希望する方々には、地産保で十分な余裕を持って医師の面接が行える
と考えています。ただ、伊藤委員ご指摘のように、各地域による格差は相当あると私ど
もも考えていますので、法制化がなった暁には、執行までの期間に、このような調査を
厳密にして、地域による偏り、ある地域では面接を希望しても受けられないというよう
なことがないように、十分な政策的な展開をしていきたいと考えています。そのために
かつてあったかと思いますが50人未満の中小企業にとっては、この法制の執行を若干遅
らせるということも考えてもいいのではないかと思っています。地産保による中小企業
の支援策は以上です。

○計画課長
　1,800時間の問題ですが、他の分科会で議論されております。私どもでは1,800時間と
いう方向は下ろしていくという議論で話が進んでいると聞いていますので、その辺につ
いては中小企業の代表も参加したそちらの分科会での議論ということをご理解いただき
たいと思います。
　45時間の問題については、ご質問の趣旨を確認したいのですが、これには時間外労働
の限度基準45時間という数字があります。これをもっと厳密にどんどん厳しく指導して
いくべきで、そうすればいいのではないかと聞こえたのですが、そういうご質問と理解
してよろしいですか。

○伊藤委員
　厳しくと言うといろいろ語弊がありますが、折角決めたことが末端まで通っていな
い。本来それが守られていれば100にはいかないではないか。最初のほうのことをもう
少し厳しく、又は徹底される方向にもっていくことはどうなのかということです。

○計画課長
　私どもは今回、この安全衛生分科会で議論をしていく際に、使用者側の皆さん方から
お聞きしたのは、企業としてはやはり柔軟性が必要だと。時間外労働については場合に
よっては長くしなければならない部分がある。だから、限度基準についても若干抜け道
的な部分があるわけですが、そういったものをむしろ大事にしてほしいと。今回の100
時間という基準についても、時間だけの要素で縛らないでほしいというのは、むしろそ
ういう趣旨からだとお聞きしたように思うのですが、その辺は使用者側の皆さん方で、
少し意見の相違があるということでよろしゅうございますか。

○伊藤委員
　それでは柔軟性というのは100時間にして、こういう方向のほうがいいという議論に
はならないと思うのですが、それはどうですか、我々の中で意思統一がされていないと
いうことではないと思いますが。

○計画課長
　時間管理を厳しくどんどん取り締まればいいというのは、むしろ使用者側の皆さん方
の従来の意見とは、やや違うのではないかと思うのですが。

○伊藤委員
　例えば指導ということを１つ考えてみたら、その辺が十分ではないとかということが
言えますね。

○計画課長
　私どものほうではできるだけそういった限度基準もありますので、お願いしている部
分は十分にお願いしているつもりです。その部分で足りないものがあるのであれば、そ
れはさらに。

○伊藤委員
　これはどうするのですか、なくしてしまうというのであれば、それはそれで論理が通
っていくことだと思うのです。また、100時間を45時間にしようということですと、え
えっという話になって、逆にいうとそれがメンタルヘルスには結び付かない数字になっ
てしまうと思うので、少し違う問題だと思うのです。そこに行かせないまでのいろいろ
な施策があって、安全衛生委員会で決めるというのは人の生死にかかわるものすごく重
要なことです。もちろんメンタルヘルスがそういうことになるのですが、そこにいくま
でのもっと柔らかな方法で、例えば労働側の方が今日もたくさんいらっしゃって、我々
労使双方の話合いの中で、この1,800時間の問題をとってみても、そういう取り決めが
いくらでもできるような気がするのです。
　という意味で発言させていただいたところで、ここで柔軟性がなくなった方向に持っ
ていこうと言われてしまうと、私も立場がなくなってしまうのですが。

○計画課長
　私どもの基本的な立場としては、45時間が基準法の世界での時間外労働についての限
度基準である。その一方で、100時間というのは健康上の問題、非常にリスクが高い点
から出てきた数字なので、観点が違うのではないかということをまずご理解いただきた
いと思います。したがって、もちろんみんなが45時間であればいいわけですが、それは
企業によって、実態によってはなかなか45時間では収まらない場合も出てくる。そうい
う場合に過労死してしまうのは人命の問題があるので非常に問題がある。そういう方に
ついては自覚症状があれば医師の面接という形で過労死が防げるので、そこは是非ご協
力をしてほしいということでお願いしているわけです。違う次元の話をさせていただい
ていると私どもは理解していますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。

○伊藤委員
　いまここで我々が大きく取り上げているのは、時間によって、メンタルヘルスの問題
によって過労死の方が増えてしまうということが議論の的になっていると思うのです。
例えば皆さんが出されている100時間の根拠が、睡眠時間が５時間になっているところ
が焦点と考えてよろしいのでしょうか。

○計画課長
　100時間を出すときには、一般的な時間配分から見て、100時間外労働をしていると、
睡眠時間がそのくらいになるのが普通であると。

○伊藤委員
　そうすると、医学的に危険だという論法ですね。そうすると、私はいままでズボラで
計算していなかったのですが、労働時間が８時間で、通常の週30時間の労働を仮に５日
間ですれば1.5時間の労働時間です。この100時間ということは月22日で仮に直してみる
と５時間になる。そうすると、足してみると14.5時間なのです。引き算をすると9.5時
間残ってしまうのです。でも、通勤時間があります。通勤時間を東京都の中で平均的に
１時間とみて、もちろん近い人もいて私などは、２、３分なのですが、２時間で引いて
みると7.5時間です。では、7.5時間が食事の時間と趣味の時間だと私は聞いているので
すが、何かそこもちょっと乱暴で、100時間働いている人が趣味をするのかという問題
になってしまうと思うのです。やはりこの辺も少し議論をしてみる必要があるのではな
いかという感じがします。時間の話をしていると、どんどん屁理屈ばかりが出てくるの
で何とも言えませんが、私からの質問はいまのところ一応終わります。

○計画課長
　いま残りの時間という話があったわけですが、24時間のうち基本的に労働として拘束
される時間は９時間あるというのがＮＨＫや総務省の調査で出ています。残りの時間で
すが、人間として必要な労働以外の生活時間が５時間以上あるということです。例えば
食事、通勤時間、その他諸々の時間があるわけで、そうしたものを踏まえると、やはり
時間外労働が５時間を超えると睡眠時間が５時間になるという、これは平均的な数字で
すが、そういう結果が出ています。それに基づいて労災等の運用もなされているわけ
で、その点についてはご理解をいただきたいと考えています。

○安全衛生部長
　いまの報告書の中で、睡眠時間で引き算をしたものもありますが、積極的に労働時間
で比較したものもあるわけです。平均して３時間増えると脳・心臓疾患の割合が2.7倍
に増えるとか、そういったものもあるわけで、それを総合して勘案したとご理解いただ
きたいと思います。
　先ほど徳永委員からも出たのですが、地域産業保健センターの支援だけでは足りない
のではないか、あるいはいまの伊藤委員の東京都等では、地域的な偏りがあって、なか
なか地域産業保健センターのみでは対応ができないのではないかというご質問だと思っ
たのですが、私どもでは、そういった地域的な偏りは十分認識をしております。東京都
は昼間の就労人口も多いので、医療機関の数も全国でいちばん多い医師過密地帯です。
その医療機関を活用しない手はないのではないか。実際に労働者の中には、高血圧や高
脂血症等の持病を持っていて通院されている方も相当数いらっしゃいます。そういった
方については、その医療機関で面接等に相当する部分をお願いすることも可能であろう
と思っております。また、事業者がそういったものを活用するといった場合に、医師会
の協力が必要ですので、それについては私どもで医師会の担当理事にも直接お願いをし
て、快諾を得ています。先週、産業保健のドクターの研修があり、その際に私も大臣の
代理でご挨拶に行かせていただきました。そういった中でもお話をさせていただいてい
ますし、私どもの課長も講演の中でそういった趣旨を話してきておりますので、その点
も含めて総合的に受け皿を充実させていきたいと思っております。
　もちろん地産保についても現状のまま、現在でも２万数千件の相談、あるいは１万数
千件の出張相談を受けているという実績がありますが、これについても予算的に来年度
から相当増やしていくということで、拡充を図っていきたいと思っております。

○伊藤委員
　地産保のことなのですが、これから時間をかけて整備されるというお話ですが、何か
労働者からしてみると、ホームページなどを見ていても、あまりちゃんと見てくれると
いう雰囲気ではないのです。私は杉並区に住んでおり、私どもの会社も杉並区にあるの
ですが、杉並区に関しては地産保のことは一切書かれていないのです。そして実はない
という区が何カ所かあるのです。
　だからもちろん、これから時間をかけられればいいのです。医師会の中でやられてい
るというのは素晴らしいことだと思うのです。余計な建物を建てるような無駄使いを当
然されないわけでしょう。しかし、仮にこれがもっともっと受け入れられ、各医師が必
ず受け入れてくれるというなら、本当にそんな余裕があるのかなと。また、ここにお金
を投じてしまうとこの間のお話のようになって、予算をいろいろな意味で非常に縮小し
なければいけないのに、もしかすると２億4,000万円ではできないのではないかとか、
いろいろなことを考えて、難しくないのかと、素朴な疑問を持ちます。

○労働衛生課長
　先ほどから申し上げていますが、やはり医師会に原則として置いていますが、やり方
はいろいろあると思います。非常に活発に活動している地域産業保健センターもありま
すし、委員がおっしゃるように開店休業状態で看板はあるのですが、周りの企業に周知
が全然なされていなくて、なかなか使っていただけないと。そうすると、医師はそこに
待機しているので、その待機料みたいな形で人件費がかかってしまうという無駄もあり
ます。これは厳重に調査した上で、最も効果的に予算が使われて、かつたくさんの企業
の相談ができるような形で、もう一度最初から法の執行に合わせて見直した上で、必要
な部分を強化し、必要な予算をきちんと注ぎ込んで充実をさせたいと思っています。場
所の偏在の話と、東京都みたいに集中している所は、確かに地域産業保健センターは13
カ所では足りないということはあるかもしれません。そういう場合は医師会にお願いし
て出張の面接指導等ができるはずなので、これらについては医師会も一緒に研究した上
で、全面的にご協力いただくということでお願いしておりますので、いままでの部分に
ついての反省を踏まえて、これらの政策が実現するまでには、かなりの部分で対応でき
るようにさせていただけるのではないかと考えております。

○加藤委員
　これまでの地域産保は、そこに待機していて、そこへ行かないと相談ができないとい
うイメージがあったかと思います。いまお話を聞きますとそうではなくて、例えばある
区に地域産保がなくても、核となるような病院や医院の先生にお願いをして、そこへ相
談に行けば相談に乗っていただけるというシステムを考えていこう、ということです
ね。ですから、地域産保が外へ出て、一緒にやっていこうというものであれば、かなり
点としては広がりますし、やり方としても。

○労働衛生課長
　地域産保は外に積極的に出ていく政策を持ってやっているのです。実績も結構上がっ
ている所は上がっています。如何せん一生懸命にやっていらっしゃる所と、なかなかや
っていただけない所の差が大きくなってという現実はあります。

○安全衛生部長
　それと疎覚えですが、受けるものと出ていくものが２対１ぐらいです。ですから、か
なり活発にやっていることはやっているのです。東京都で数が少ないのは、地区医師会
は郡市区医師会、監督署の数と郡市区医師会の数を合わせて配置しているので、東京都
の場合は３区の医師会で１つというような形になっています。その場合でも３区が協力
してやっていただいていることになっているので、それをもう少し積極的に私どもから
お願いをしていきたいと思っております。

○加藤委員
　ここのところでは使いやすい仕組みが必要だと思いますので、是非よろしくお願いし
たいと思います。

○櫻井分科会長
　ほかに何かございますか。それでは大体意見も出尽くしたようです。讃井委員からは
基本的にはまだ疑問点が残るということでしたが、今日伺ったことも踏まえ、事務局に
おいて次回までに、これまでの議論の取りまとめとして、一応分科会報告書案を提出し
ていただき、次回は最終取りまとめに向けて議論することにさせていただきたいと思い
ますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　（了承の声）

○櫻井分科会長
　それではそのようにさせていただきます。

○伊藤委員
　１つ忘れていることがありました。３頁目の対策の方向で「ウ　メンタルヘルス対策
を衛生委員会の調査審議事項として追加すること」とあって、もし具体的に何かイメー
ジがわかれば教えていただきたいと思います。

○労働衛生課長
　その中でこれに合わせてもう１つ、イに書いてあると思いますが、メンタルヘルス教
育の実施、相談体制の整備、外部機関の活用等について、法律に基づく指針で示すこと
ということがありますので、このような指針に基づいて、この衛生委員会の中で事業所
としてはどのような体制を作ってやっていただけるかということを、これは努力ですの
で、努力をしていただくという仕組みにさせていただきたいと思っています。

○伊藤委員
　なぜこんな質問をしたかというと、実は私どもの工場が山形にあり、村の労働基準監
督署の管轄下にあって、この間、新しい監督署長が見えたのです。そうしたら、安全衛
生委員会の議事録を書面で出せと言われました。そうしますと、人数が違っているとい
うことで、ものすごい厳しいご指導をいただきまして、必ず奇数になると言われたので
す。だから工場長が議長で、労使双方でと。そしたらうちのほうで１人足りなかったの
です。私がこんな仕事をしているから厳しいのかと思いました。これは冗談ですが、非
常に厳しいので、こういうところはちょっと大変だなと思いました。法律ですから厳し
いですが、これはきちんと守らなければならないことで、ここのところで審議事項を明
確にしていただいたほうが、助かるなという素朴な疑問ですので、きちんと言われたこ
とは私は守りますので、よろしくお願いします。

○櫻井分科会長
　それでは今日の会議は以上をもって終了することとしたいと思います。次回は12月22
日（月）13時から、場所は共用第７会議室ですので、よろしくお願いいたします。議事
録への署名は仲田俊一委員と加藤委員にお願いします。それでは皆様、お忙しい中をあ
りがとうございました。


照会先：労働基準局安全衛生部計画課（内線５４７６）