04/12/09 社会保障審議会年金部会第28回議事録              第28回社会保障審議会年金部会                    議事録                平成16年12月9日 第28回 社会保障審議会 年金部会 日時  :平成16年12月9日(木) 15:00〜17:10 場所  :霞ヶ関東京會舘 ゴールドスタールーム 出席委員:宮島部会長、神代部会長代理、井手委員、今井委員、大山委員、小島委員、      近藤委員、杉山委員、堀委員、矢野委員、山崎委員、渡辺委員 ○貝谷総務課長  お待たせいたしました。それでは、ただいまより、第28回「社会保障審議会年金部会 」を開会いたします。私は年金局総務課長の貝谷と申します。去る7月の異動によりま して、総務課長の職に就いております。よろしくどうぞお願いいたします。  まず、委員の御出席の状況でございます。本日は大澤委員、岡本委員、翁委員、山口 委員、若杉委員の5名の方につきましては、御都合によりまして御欠席との御連絡をい ただいております。出席の委員が定足数を超えておりますので、会議は有効に成立する ことを御報告申し上げます。  次に、前回のこの会合が3月4日の会合でございました。7月に人事異動がございま したものですから、議事に入ります前に、私よりそれぞれ事務局を御紹介申し上げま す。  まず正面でございますが、年金局長の渡邉でございます。続きまして、大臣官房審議 官年金担当の大谷でございます。社会保険庁運営部長の青柳でございます。続きまし て、事務局側でございますが、年金局年金課長の高倉でございます。年金局企業年金国 民年金基金課長の神田でございます。同じく年金局の数理課長の山崎でございます。社 会保険庁運営部年金保険課長の植田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げま す。  続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。上に座席図、それから議事 次第、議事次第に今日の資料の目次が付いてございます。順次御確認いただきたいと思 います。資料1−1「平成16年度年金制度改正の施行状況について」以下、1−2、1 −3までございます。資料2の関係が1から4までございます。ちょっと分厚い資料も 入っておりますので、御確認いただければと思います。資料3の関係では、資料3−1 から3−4までの資料が入っております。最後に資料4がございます。御確認いただけ ればと思います。  併せまして、資料に、今回の16年の年金制度改正に関するカラー刷りのパンフレット を入れさせていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。  資料の方よろしければ、以後の進行につきましては、宮島部会長にお願いいたしたい と思います。よろしくどうぞお願いします。 ○宮島部会長  もう今年も12月なってしまいまして、大変お忙しいところ、皆さんにお集まりいただ きまして、大変ありがとうございます。  この部会につきましては、前回の年金部会の際に少し私の方から申し上げましたけれ ども、昨年の9月12日にこの年金部会の年金制度改正に対する意見をとりまとめて、 厚生労働大臣に提出するということをもって、一応この年金部会に与えられておりまし た基本的なミッションというものは果たしたわけでございます。その際にも申し上げま したように、今後も恐らく続く年金制度の議論のプロセスの中で、あるいは実施されて いくプロセスの中で、必要に応じて、ここでその状況等を御報告いただいて、委員の方 々の御意見を伺う機会を設けたいということでございました。  そこで、前回は3月4日でございましたけれども、政府案がまとまった段階でここで 紹介をし、皆さんの御意見をいただいたわけでございますけれども、御承知のとおり、 年金制度改革法案が2月10日に提出されました後、6日5日に成立いたしまして、その 一部と言ってもかなり重要な部分でございますけれども、厚生年金保険料の引き上げが 10月から始まったわけでございます。ですから、成立した新しい年金制度が既に動き出 し、段階を追って今後更に動いていくという状況でございますので、今回この年金部会 を開催させていただきまして、1つは施行状況について、ここでまず御意見をいただく ことにいたします。  御存じのとおり、その後、年金制度をめぐりましては、さまざまな議論が続いており まして、その中で1つは官房長官の下に、社会保障の一体的見直し関する懇談会が設け られました。この懇談会には年金制度改正法の附則で盛り込まれました一体的な見直し と、今後の一元化を展望した年金制度の在り方について議論をするというようなミッシ ョンがございまして、そこで議論が行われてきて、昨日とりあえずの議論の整理が行わ れたわけでございまして、まだこれは今後継続するという点もございます。  もう一つは、社会保険庁の改革をめぐる議論についても各方面でなされておりまし て、社会保険庁は勿論でございますけれども、これもまた官房長官が主宰する有識者会 議の下で議論が進められているという状況でございます。そこで、本日はその改正年金 法の施行状況、それに関連いたしまして、17年度の物価スライドなどについて、まず報 告をすることにいたします。その後、社会保障の一体的見直しに関する有識者会議の中 の、主に年金制度に関する部分につきまして、また少し御報告をさせていただきます。 そして、社会保険庁の改革に関することについて御報告をして、最後に、障害者の年金 に関する法律の制定が行われましたので、それについて御報告致します。  いずれも、年金部会にとっての審議事項というわけではございません。ただ、今こう いう議論が進んでいく中で、当然皆さんからここで伺った御意見が、年金局長あるいは 厚生労働大臣を通じて、あるいは他の審議会等に参画しているそれぞれの委員の方々を 通じて反映されていくということになりますので、是非本日はそういった貴重な御意見 をいただければと思います。  ですから、今日は意見を集約するというような性格の年金部会ではございませんの で、その点はどうぞ御承知おきいただきたいと思います。  それでは、まず平成16年の年金制度改正の施行状況につきまして、先ほど資料の説明 がございましたが、資料が何点かございますので、それについて、まず説明を事務局の 方からお願いしたいと思います。要を得て簡潔にお願いいたします。 ○貝谷総務課長  わかりました。時間が限られておりますので、ポイントだけ申し上げます。  まず、資料1−1をごらんいただきたいと思います。「平成16年年金制度改正の施行 状況について」ということでございます。今、部会長からお話がございましたように、 今年の10月から厚生年金保険料の引上げが既に行われております。第1弾の施行という ことでございまして、御覧のとおり、以下7段階にわたりまして順次施行がされていく ことになっております。保険料引上げにつきましては御案内のとおり、毎年0.354%の 引上げを行っていくとうことでございます。このほか、今年の10月からは基礎年金国庫 負担の引上げ措置に関する規定、その他も施行になったところでございます。  来年の4月からは、国民年金の保険料が引き上げられることになっております。こち らも毎年引き上げ措置が行われるということで、2017年までの引上げが既に決まってい るところでございます。その他、次世代育成支援、育児休業中の保険料免除措置などが 来年の4月から施行されるということでございます。  以下、御覧のとおり順次施行されていくということでございます。私どもはそれぞれ 必要な政省令の作業もかなりの量がございまして、これから順次準備を進め円滑な施行 に努めてまいりたいと思っているところでございます。  2ページでございます。今回の年金改正は、国会審議の際にも随分御指摘がございま したが、内容その他につきましての国民への説明ということにも十分留意する必要があ るということで、私ども政府全体としても、広報と言いますか、そういったものに努め てきているところでございます。特に年金がわかりにくいというお話が多々ございまし て、私どももわかりやすさということに重点を置いた説明に心がけているところでござ います。  (1)にございますが、政府広報、これは政府全体としての広報の重要事項に挙げら れておりまして、新聞、テレビ、ラジオといったマスメディアを通じた、いわゆる政府 広報でございますが、大変内閣でも力を入れてもらっております。  現在12月に入りまして、日曜の朝でございますが、厚生労働大臣が出演して短い時間 でございますが、4回シリーズでわかりやすい年金制度の広報番組を提供させていただ いているということもございます。  その他、首相官邸のホームページを活用した広報がございます。官邸のホームページ と厚生労働省のホームページをリンクし、ここでも大変わかりやすい説明ということ で、これは12月10日前後にアップしたいと思って準備しているところでございます。そ の他、私ども厚生労働省における、資料に書いてありますような様々な媒体を使った普 及広報に力を入れているところでございます。社会保険庁の取組ということも併せて行 っているということでございます。  3ページを御覧いただきたいと思います。今回の16年度の制度改正は、先ほど部会長 からもお話がございましたような法律の審議過程におきまして、法案修正が行われ、公 的年金一元化を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行うという趣旨の規定が盛り込 まれたところでございます。下の方に、ちょっと小さい字で恐縮でございますが、参考 を付けさせていただいております。今回の法律の附則の規定でございまして、1項と2 項、この規定が国会で修正された規定でございます。第1項を御覧いただきますと、政 府は社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な 見直しを行いつつ、公的年金制度について必要な見直しを行うという内容です。第2項 では、この見直しに当たりましては、公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方に ついて検討を行うという規定になっております。こういった規定が盛り込まれたところ でございまして、こういった規定に基づく検討について、私どもは引き続き取り組まな ければいけない大きな課題だと考えているところでございます。  こういった検討と並行しまして、先ほどございました社会保険庁改革についても、推 進してまいりたいと思っておりますが、法律の規定上、特に課題として残されておりま す大きなものが「(1)基礎年金国庫負担割合の引上げ」でございます。これは後ほど 説明を申し上げます。  2点目が「(2)短時間労働者に対する厚生年金の適用」ということでございます。 この点は、16年改正の政府原案のときから盛り込まれておりますが、施行後5年を目途 として総合的な検討を加えて必要な措置を講ずるということで、非常に大きな課題にな っている点でございます。  4ページでございますが、先ほど部会長もお触れになりましたが、いわゆる無年金障 害の方々に対しましての法律の施行も、政府の大きな課題として与えられているところ でございます。  続きまして、資料1−2を御覧いただきたいと思います。先ほど、基礎年金国庫負担 割合の引上げが、これからの大きな課題と申し上げました。既に先般の法律の中で国庫 負担割合の引上げの道筋が決められております。1ページ目ですが、階段状の図がござ いまして、字が幾つか並んでおりますが、年金制度の附則15条という左上の箱の方を御 覧いただきたいと思います。17年度及び18年度において、我が国の経済社会の動向を踏 まえつつ、所要の税制上の措置を講じた上で、国庫負担割合を適切な水準に引き上げる ということが法律の規定で決められているところでございます。与党の税制改正大綱で も、17年度及び18年度において、個人所得課税の抜本的見直しを行うことにより、17年 度以降の基礎年金に対する国庫負担割合の段階的な引上げに必要な財源を確保するとい うことが既に決められておりまして、まさに17年度の税制改正が今、与党の方で最終調 整段階ということでございますが、こういった税制上の見直し措置が行われた段階で必 要な見直し、適切な水準に引き上げる措置を17年度に行ってまいりたいと考えていると ころでございます。  私の方からは、以上でございます。引き続きまして、物価スライドの関係を御説明申 し上げます。 ○高倉年金課長  資料1−3で「平成17年度の年金額の物価スライドについて」の御説明をさせていた だきたいと存じます。一番上の「○」で書いてございますのが、過去のおさらいでござ います。平成12年度、13年度、14年度、この3年度間につきましては、本来物価が変動 した場合には、それに応じて年金額を改定するという原則がございますけれども、特例 を講じる法律によりまして、年金額が据え置かれております。この3年度間の据え置き の累積として、1.7%本来であれば下がるべきところを1.7%置いたままの水準に据え置 かれております。その後、平成15年または16年、ここは少し原則に戻りまして、14年分 あるいは15年分、その直前1年の物価変動分は改定しようということで、それぞれ改定 いたしましたが、12年度から14年度までの間に据え置いた部分はそのまま置いてござい ます。したがいまして、現在の年金の水準は、本則の規定で計算した額よりは1.7%高 い水準にとどめられておるという状況にございます。  2つ目の丸囲みでございますけれども、今回の16年年金改正法におきまして、どのよ うな経過措置になったかということでございます。16年年金改正法の本則の規定上は、 これは本来の計算どおりに粛々と計算しますので、1.7%を据え置いてある部分はない 形で、低い額が計算されることになります。しかし、一気に年金額を1.7%下げること は適当でないことから、そこの据え置いてきている1.7%のところは基本的には、しば らくそのまま置いておこうということに致しました。それで、16年年金改正法の本則の 規定で計算して、新しいルールに基づいて順次に、また新規裁定についての可処分所得 スライドですとか、あるいは既裁定の方については物価スライドというルールで、16年 改正法本来ルールで計算された年金額が徐々に将来上がってまいりますが、1.7%の特 例水準の方がまだ高い間は特例水準の方を支給するという経過措置が講じられておりま す。その間は特例水準を維持いたしまして、物価が上昇しましても年金額の引上げはし ないこととしております。例えば、1%物価が上がったと仮定しますと、では、年金を 1%上げるかというと、それは上げず、結果として、1.7%高かった特例分が1%分は 戻って、0.7%の特例水準になるという形で徐々に特例措置分を解消するという経過措 置を講じております。ただし、物価が下落しました場合には、単年度分の物価スライド でその分は引き下げるというような整理とされております。  それを前提としまして、夏の概算要求の時点では、政府経済見通しで今年度の物価が 0.2%下がるという見通しでございましたので、それを基にした17年度の物価スライド を−0.2ということで要求をしておりますが、実績を直近10月まで出ております数字で 見ますと、1〜10月の実績値では対前年同期比0.1%という状況になっております。今 後11月分、12月分が出てまいりまして、最終的には12月まで実績が来年1月末に確定い たしましてから係数がセットされますけれども、現時点で見込みますと、東京都区部の 11月が、これは野菜の高騰等が背景にあると聞いておりますけれども、前月比+0.6と ややプラスに転じておりますことから、全国もあるいは11月、12月が結果としてプラス になれば、最終的に幅としては、若干戻って−0.2に戻るかもしれませんが、プラスに なれば+0.1ぐらいになるのではないかと、その幅を見込んでおるところでございます。  実際の改定の方針でございますけれども、先ほど御説明いたしました16年改正法の規 定どおりに措置をするということで、具体的には仮に16年1年が例えば、−0.2になっ た、あるいは−0.1というときには、その分のマイナス改定をすることになります。た だし、物価が上昇した場合には、まだ1.7に届かないので据え置くということを予定し ているわけでございます。  最終的に、1.7%特例措置分につきましては、今後、累積で物価が1.7%上昇していっ た場合には、既裁定の方の本来水準がここの特例措置に追い付くので解消されるという ことになりますけれども、17年度で言いますと、16年分の1年分のマイナス改定ないし 据え置きという予定をしているということでございます。  2枚目は参考の係数でございますので、説明は省略させていただきます。以上でござ います。 ○宮島部会長  一応それで資料の方はよろしゅうございますか。それでは、その16年年金改正の施行 状況、今後のスケジュールも含めてでございますが、物価スライド、17年分の特例につ いて何か御質問なり、あるいは御意見も当然あると思いますので、伺っておきたいと思 いますが、いかがでございましょうか。  ちょっと私から質問をしたいのですが、この先のスケジュールですけれども、どこか 前倒しの可能性はあるのですか。 ○貝谷総務課長  基本的には時期が既に決められているものでございますので、決められたとおりにや っていく予定でございます。 ○宮島部会長  勿論、決められたとおりにやってもらえれば一番いいのですけれども、例えば、私は 年金の個人情報のこととか、それは準備がかかるだろうけれども、もし可能なら、そう いうのはなるべく早く実施して頂きたいと思っています。これは20年ですね。 ○貝谷総務課長  今、部会長がおっしゃったのは、一番最後の20年4月「年金個人情報の定期的通知 」、いわゆるポイント制の実施についてだと思いますが、一番遅れた実施になってござ います。現場の色々な準備を考えますと、ぎりぎりのところかなと思っていますが、更 にそこは準備して努めてまいりたいというふうに思っています。 ○宮島部会長  法律で決められているし、いろんな準備があるけれども、しかし、この間の色々な議 論を聞いていれば、先ほどのわかりやすい説明ということもそうだけれども、できれば 被保険者に対する色々な情報提供の整備というのは、準備が整い次第できれば、遅れて はいけないけれども、多少前倒しでできるぐらいの気持ちで本当はやってほしいと思い ますけれども、これも注文ということです。 ○堀委員  今の報告にはなかったのですが、前の国会で特例納付、あるいは5年間の追加納付期 間という法案がたしか出たと思うのですが、私は大変筋の悪い問題のある法案だと思っ ています。障害者に対する給付金は妥当だと思うのですが、あの法案がどうなったの か、ちょっと情報だけ教えてください。 ○貝谷総務課長  まず、法律案の状況でございますが、通常国会終盤に提出が行われました議員提案と いうことで衆議院に提案されまして、中身は過去の未納期間に対して、特例的に追納が できるという趣旨の規定でございます。  自民党からの提案ということで、現在、衆議院の委員会で継続審議ということになっ ておりまして、まだ審議入りはしておりません。そういった状況にございます。 ○堀委員  意見を言うと、今の法案というのは非常に筋が悪いというか、できるだけ成立してほ しくない。この法案の問題を私は『年金と経済』という論文に書きましたので、ここで は余り詳しいことは言いません。 ○山崎委員  今、部会長から前倒しの可能性はないかというお話だったのですが、年金の個人情報 の通知というのは平成20年4月からになっておりますが、新聞情報によりますと、国民 年金、これは1号だろうと思うのですが、保険料の納付状況をお知らせし、それを年末 調整なり確定申告の際に添付してもらうということですが、これはいかがでしょうか。 これも一種の個人情報の通知ですか。 ○青柳運営部長  この点は、後ほど全体の社会保険庁改革の色々なテーマについて資料を用意させてい ただいておりますので、もしよろしければ、その際に併せて御説明をさせていただけれ ばと思いますが。 ○宮島部会長  では、それは後の議題のところで改めて、忘れないでください。他にいかがでしょう か。それでは、特に御意見なり御質問がないようでございますので、次の議題の方に進 ませていただきます。  次は先ほど申し上げました、社会保障制度全般の一体的見直しに関する件でございま して、先ほど、総務課長の方から改正法附則の説明がございまして、それに沿って現在 進行しているということで、これについて、まずは事務局の方から資料の説明をお願い いたします。 ○貝谷総務課長  今日の議題の2つ目でございます。「社会保障全般の一体的見直しの動向について」 ということで、資料2−1から用意させていただいています。  資料2−1では、社会保障の在り方に関する懇談会、冒頭、部会長の方からお話がご ざいましたが、官房長官の下で行われている懇談会の概要でございます。今年の7月27 日に官房長官決裁ということで、この懇談会が設けられ、昨日も第5回目の会合が行わ れました。昨日、一通りのテーマの審議は終わりましたところで、これまでの審議の中 間的な議論の整理が行われました。  資料2−1の2枚目を御覧いただきたいと思います。社会保障の在り方に関する懇談 のメンバーを御覧いただきますと、宮島部会長に座長をお願いしている懇談会でござい ます。ほかにそれぞれ経済界、労働界が入ってございます。また、政府の税制調査会の 石会長もメンバーとして入っていらっしゃるというような、こういう場での審議の状況 を御報告したいということでございます。  資料2−2を御覧いただきたいと思います。社会保障の在り方に関する懇談会、第1 回〜第5回までの議論を踏まえた議論の整理が昨日行われました。その結果がこのペー パーでございます。前段は省略いたしますが、1番には「社会保障の一体的見直しの考 え方」ということで、総論的な記載がございます。今回そもそも懇談会が設けられた趣 旨が、先ほど御説明をしましたような年金法の審議の過程で社会保障全体の見直しを行 っていくという趣旨の規定が追加されたということを踏まえたものでございます。  1ページの2つ目の「○」のところにございますが、「社会保障の一体的見直しの考 え方」といたしまして、ここでは色々考え方があるということが記載されております。  社会保障全体について議論をするにしても、2行目〜3行目でございますけれども、 個別制度の合理化に関する見直しを積み上げた結果で、そういった制度全体の規模を論 じるという意見が出されております。そういった意見と、社会保障給付の在り方と税・ 保険料を含めた負担の在り方については一体的に議論すべきとする意見もあります。ま た、社会保障全体の規模をあらかじめ設定し、個々の制度の合理化に関する見直しを進 めるべきであるという意見もあり、これらは一体的見直しの進め方や考え方について、 まだ色々な意見が出ているということがここで示されているところでございます。  2ページを御覧いただきたいと思います。「自助・共助・公助」という点について も、この懇談会で議論が行われております。ここでも意見がそれぞれ出されておりま す。自助・共助・公助の組み合わせについては、1つの考え方は、4行目でございます が「自助を前提として、民間活力の活用による健康・福祉関連産業の発展・高度化等や シニア層の社会参画・就労機会の拡大等を通じて、民間又は個人で対応できる部分は自 ら対応した上で、これを共助が補完し、公助がラストリゾート(最後の拠り所)として 位置づける」。こういう自助を前提とした考え方が1つ。  また、ほかの意見といたしましては、続きまして記載がございますように、まず公助 を下支えとして共助の部分を更に拡大し、その上に自助を乗せるという考え方で取り組 むべきだという意見も出されたところでございます。  2ページの「潜在的国民負担率」ということにつきましても、さまざまな意見が出さ れております。潜在的国民負担率、いわゆる社会保険料と税負担というものに更に財政 赤字を加えた国民全体としての負担を、どの範囲までで抑えていくべきかということに ついての議論がなされておりまして、さまざまな考え方、上限を50%程度として考える べきであると、あるいは上限が先にあるという考え方は適当ではない、こういった意見 が出されているという記載になっております。  続きまして、3ページを御覧いただきたいと思います。ここで「公的年金一元化」と いうことについて、意見がそれぞれ列記されております。公的年金一元化の議論につき ましては、議論の第1ラウンドの中でもさまざまな意見が出されております。  1つ目の「一元化の意義について」というところにございますが、一元化の意義につ いては「財政の安定性、ライフスタイルに対する中立性、制度間の公平性、制度の利便 性(分かりやすさ)並びに管理運営及び事務費の効率性などの観点から、将来的な選択 肢の一つである」というところについては、共通の理解があったということだろうと思 っております。それから「一元化の課題、議論の進め方について」ということにつきま しては、意見がそれぞれ出されておりますので、ポイントを御紹介申し上げます。  まず最初の「○」でございますが、国民年金と被用者年金の一元化については、高 齢、退職所得リスクの違い、所得形態等の違い、保険料賦課基準所得の定義の違い、こ ういった被用者と自営業者等との相違点を解消する条件整備が不可欠であるという御意 見が強く出されております。その次の「○」でございますが、いわゆる自営業者の所得 把握に関しましては、納税者番号制度を導入すべきであるという意見と、また逆に、納 税者番号制度はその機能には限界があるといった意見が出されたということでございま す。その次の「○」でございますが、「厚生年金と共済年金は給与所得者を対象とする などの点で共通点があり、一元化は比較的容易と考えられるため、まず、これらの一元 化を実現するべきとの意見があった」ということになっております。  共済制度については、「共済制度は、年金一元化という観点のみで考えるべきではな く、公務員の職務や身分の特殊性に鑑みて、その独自性も十分に踏まえて検討していく 必要があるとの意見があった」という記載になっております。  一番下の「○」でございますが、「一元化に際しては、職域あるいは地域が保険者機 能を担うなど、ある程度の分立と拠出者や被保険者による自主的な運営を尊重しつつ、 制度間調整によって負担・給付格差を是正するという分権的な一元化の手法を併せて検 討するべき」という御意見も出されております。  続きまして、4ページでございます。ここではいわゆる税方式と社会保険方式により ます基礎年金に在り方についての意見が出されております。1つ目の「○」でございま す。まず基礎年金を税方式に改めるということでございますが、ここでも皆年金制度の 確立については、空洞化問題の解決抜きでは図れないということを背景に税方式をとる ということが意見として出されています。その際の進め方については、まず被用者年金 を一元化し、将来的には1階部分を消費税等を中心とする税方式にすべきであり、2階 は所得比例とするけれども、財源等については他の社会保障制度との関係も踏まえて検 討していく必要があるという意見の御紹介がございます。  また、「一方」ということで、次の段落でございますが、社会保険方式についての記 載がございます。社会保険方式については、負担と給付の関係の明確性、あるいは被保 険者の参加意識、自主自立の精神などを確保できるというメリットがあり、税方式では 生活保護との違いが不明確になるという点もあるので、この点では不公平感を増すこと になるのではないか、保険料未納あるいは未払い問題の解消のために税方式にするのは 本末転倒である、こういった意見が出されているところでございます。  一元化につきましては、以上のような点が、昨日の議論の整理としてまとめられまし たが、これで方向性が決まったということではないと聞いております。また来年以降、 年金問題を含めまして医療保険制度あるいは雇用問題、さまざまな社会保障制度全体に ついての議論が更に引き続き行われると聞いているところでございます。  また、資料2−3及び2−4、参考までにお付けしておりますが、2−3は今年の9 月に本懇談会の審議の際に連合の笹森会長の方から意見として出された意見書を資料と してお付けしております。後ほどお目通しいただければと思います。併せて、資料2− 4では、同じく9月の日付になっておりますけれども、日本経団連の方から同様の意見 が10月に懇談会の方に出されているというものを併せてお付けをしているところでご ざいます。私の方から説明は省略させていただきます。以上でございます。 ○宮島部会長  ありがとうございました。それでは、懇談会の意見と資料2−3、これは笹森委員の 当時のプレゼンテーション資料でございましたが、その後の2−4は日本経団連の方で ございます。今日は、これについていろいろ御意見や御質問をいただくということもご ざいますけれども、せっかく今日は関係する委員も御出席ですので、少し重要なポイン トを絞って、矢野委員と小島委員にも御説明を少しいただければと思います。 ○矢野委員  2−4の資料は全部説明していると大変なので、一番最後のページに概要の図があり ますので、これを御覧ください。  個別の制度内容については、本文の方にまとめてありますので、後ほどお読みいただ きたいと思いますが、一番大事だと思うところだけ申し上げますと、やはり社会保障制 度は一体改革が必要だということです。私どもが考える社会保障制度は真ん中に個別制 度の名前を書き連ねましたが、個別に順番に改革していくのでは正しい答えが得られな い、全体を見ながら個別を考えるということが必要だと思っております。そのために は、やはり社会保障制度全体に共通する基盤を整備すべきだと思います。一番上の網か けに書きましたが、2つありまして、1つは各制度に共通する個人番号制を設ける。2 つは、個人別の社会保障会計を設けるということでございます。そして、個別の制度を 設計しても、社会保障制度だけでは答えが出ないので、やはり財政、税制と一体的に見 る必要があります。  税制改革という欄が下の真ん中辺りにありますが、消費税の引上げはもう避けられな いという認識を持っております。私どものシミュレーションでは、2007年度に10%に上 げ、その後、少し年数をかけて段階的に15、16%ぐらいで行けば、プライマリーバラン スも収まり、各制度のバランスも取れます。  右下に書きましたが「潜在的国民負担率を50%を目指す」ことで、自助努力を基礎と する社会の実現を目指すべきであります。例えば、私どもが提唱して設けられた会合で ある「社会保障の在り方に関する懇談会」や「経済財政諮問会議」で答えを見出してい くということが大事だと思います。  なお、シミュレーションによると、公的年金制度、医療保険、介護保険で共通して、 現在のレベルよりも20%ぐらい給付を削減する必要がある、一方では若干の保険料引き 上げも予定されておりますし、消費税も上げることによってバランスが取れる。先ごろ の公的年金制度の改正では、15%程度の給付が削減されるということでありますが、あ と5%ぐらい足りないのではないかと見ております。極めて大ざっぱでございますが、 以上でございます。 ○宮島部会長  どうも申し訳ございません。何か御質問があれば、またお答えいただくとことになる と思いますが。では、小島委員どうぞ。 ○小島委員  資料2−3ですが、これは9月10日の第2回目の社会保障の在り方懇談会のときに、 笹森会長が今回の社会保障制度の抜本改革に向けて、基本的な考え方、あるいはこの懇 談会の在り方、位置づけ、役割といったことについて問題提起をした資料であります。  連合の基本的な社会保障制度全般の改革については、社会保障ビジョンという形で、 2年前の2002年にとりまとめております。当日は、個別制度の年金、医療、介護の改革 の中身までは踏み込まずに、これからの社会保障の在り方、これからの改革の進め方に ついての基本的な考え方を述べたものであります。  目次を開いていただいて、1ページのところが、社会保障の在り方懇談会の役割と位 置づけということであります。社会保障の見直しについては、経済財政諮問会議でも議 論されておりますけれども、やはり社会保障全般についての中心的な議論は、労使代 表、関係閣僚が入っている社会保障の在り方懇談会で行うべきだということと、この在 り方懇談会でとりまとめた内容は、政府の改革方針に反映すべきだということを強調し たところであります。  2ページ以下のところは、これからの社会保障の改革に向けて、どういうところを基 本的な認識として進めていくかということについて述べているところであります。これ は特に年金を取り巻く環境ということで、社会保障をめぐる悪循環と表現をしてありま す。制度に対する国民の不信が結果的に保険料未納者あるいは未加入者を増大させて、 それが年金財政を圧迫しているということで、再度の保険料引上げ、あるいは給付水準 の引き下げというような、そういう悪循環に陥っている。これをどう断ち切るかが求め られているということで、もう一度社会保障全体の信頼を取り戻す、そのために揺るぎ ない制度を確立する。それが社会保障の在り方の懇談会の役割だということをここでは 強調したところであります。  3ページのところで、今、社会保障の中で特にどういう問題があるかというところで す。これは年金制度で言えば、厚生年金の加入者の減少、国民年金の方の保険料未納 者、未加入者の増大ということがありますので、そういう空洞化が進んでいる。これを どう解消するかということで、もう一度、最後にありますように、揺るぎない皆年金制 度、皆保険制度の確立が求められているということを説明しているところであります。  今後の社会保障制度改革に当たっては、これからの日本の社会をどう位置づけるの か、どういう方向で考えるかということで、参考のために4ページでは、世界的な3つ の福祉国家という比較を示しています。その中で自由主義社会、保守主義社会あるいは 社民主義社会といったような比較がされております。日本はこの中でアメリカ型の自由 主義社会とドイツ型の保守主義社会の間にあるという位置づけになっております。この 中で、真ん中の保守主義社会と言われている福祉国家自体が大きく揺らいでいる。まさ に日本がどういう方向を目指すのかということです。5ページのところでは、これまで の日本の社会、特に社会保障の特徴としては、企業に依存してきた、あるいは公共事業 に依存してきた、そして家族に依存してきたというような、そういう特徴があります。 しかし、この3つの依存が揺らいでいるということで、まさに新たな日本の社会あるい は社会保障の在り方が問われているということです。次の6ページでは、これから日本 の社会保障改革がどちらの方向を目指すかということについて、第三の選択肢が可能か どうかということも含めて検討をすべきだとしています。  7ページ以下、具体的な社会保障制度見直しに当たっての、幾つかの視点を示してお ります。少子化が進行しており、さらに雇用の流動化、非正規雇用労働者が増えてい る、パート等が増えているというような状況がありますけれども、その流れを前提とし て考えていくのか。7ページの一番下にありますように、経済の在り方、あるいは少子 高齢化、非典型雇用者の動向、その流れを前提にするのではなくて、逆に社会保障の在 り方を通じて日本の社会、少子高齢化あるいは雇用労働の状況を変えていくというよう な視点が必要ではないかということを強調をしています。  8ページのところでは、やはり最後には何といっても、社会保障制度見直しに当たっ ては、その制度に国民あるいは利用者、保険料負担者がどれだけ納得できるかというこ とと、その制度の運営に参画できる制度、そういうものを目指すべきといった視点を強 調しています。  10ページ以下に連合が示している社会保障ビジョン、年金、医療、介護に向けての具 体的な改革についてポイントを記載をしています。時間の関係がありますので、当日も 説明はできなかったということであります。以上であります。 ○宮島部会長  ありがとうございました。それでは、これを一括して、これらの点について何か、御 質問もあるかと思います。今後こういう議論を進めていく上で、今お二人の方から御意 見がございましたけれども、こういう点に留意すべき点とか、こういう点をもう少しき ちんとというようなことがございましたら伺っておきたいと思いますが、いかがでござ いましょうか。井手委員、どうぞ。 ○井手委員  公的年金一元化のところを拝見しますと、国民年金と被用者年金の一元化ですとか、 厚生年金と共済年金の一元化とか、その制度を一元化していこうという話は出ておりま して、その背景としてライフスタイルに対する中立性というような表現もあるのですけ れども、年金部会の中で非常に時間をかけて、女性と年金について論議したときに、1 号、2号、3号という問題を、3号も含めた一元化というふうに理解してよろしいのか どうかということも質問の内容としてあるのですが、そこで論議した時に世帯単位、個 人単位という話も随分出たと思いますが、その辺りの表現がちょっとこれまでの資料か らは読み取れませんでしたので、この一元化の中でそれも含めて継続して論議をしてい ただければと思います。 ○宮島部会長  ありがとうございます。それはよくわかりました。 ○杉山委員  質問と感想ですが、資料2−2のところの1ページ目の「基本的な考え方」で「また 世代間の不公平の是正や」と書いてあるのですけれども、こちらの世代間の不公平の是 正をするに当たって、具体的にどういうことをしましょうかということの御議論があっ たのかどうかということを1点お聞きしたいです。  さっき御説明はなかったのですが、6ページのところに項目として「少子化対策」が 1つ挙がっています。こちらの方でも「社会保障制度の見直しをはじめとする少子化対 策」と書いてあるのですが、少子化対策ということで社会保障制度ではどういうことを するのかというところの話が出たのかどうかというところを質問させてください。  あと、一元化ですけれども、先ほど、小島委員からの御説明の中で、第1号被保険者 の中で自営業者はわずか24%で、あとフルタイム雇用者が21%、短時間雇用者13%、失 業者約14%といった数字が出ていたかと思うのですけれども、多分、第1号被保険者と 言われている人たちの状況が変わってきているのではないかなという気がしていて、そ の実態に合わせて制度をどう変えるかということが恐らく必要になろうというふうに思 うので、これは質問ではないのですが、やはり議論をするときに、現在、第1号被保険 者というのがどういう状況になっているのかみたいなお話も、やはり前提で調査とかを 見ながら御議論していただければなというふうに思います。以上です。 ○宮島部会長  これは、私しか答えようがなくて。正直に申し上げますと、まず今回の議論の整理と いうのは、今年の骨太の基本方針2004の中で社会保障の一体的見直しについての論点整 理を有識者等の会議に求めて、16年中に行うということになっておりました。ただ、正 直申しますと、十分な時間がとれませんで、全体についてはできなかったので、今後継 続して議論をしていくことになります。16年末のところで一応の議論の整理しました が、これは何らかの方向づけではありません。ただ、こういう文章はお読みになると、 こういう意見があったという書き方と、そうなっていない書き方で、意見の動向を読む という形になっているので、おのずと何となくのニュアンスは出ているということにな りますが、大きな点ではまだ非常に意見が対立していると言っていいと思います。  世代間の不公平につきましても、実はこれは、言わば裁判で言えば、主文に当たるも のだけでございますので、バックになっている細かい議論はこの中に全部入れてありま せんから、なかなかそう読めないと思いますけれども、勿論これは社会保障制度におけ る将来の社会保険料負担をどう考えるかというような観点が1つございます。  それから、あとの御質問との関連で申しますと、むしろ若年層を対象とする社会保障 給付を増やしていけば、育児であるとか職業訓練であるとか、あるいは住宅ですとか、 そういうものを含めた給付による世代間の不公平の是正というやり方もあるだろうと。  もう一つは、これは読むと色々なところに出てきておりますけれども、特に高齢者の 遺産ですね。こういうものをもっと社会保障財源として考えるべきではないかという意 見です。そういう世代間の不公平というときに、やはり通常狭い意味で言われてきた負 担・給付の世代間の不公平の是正だけでなく、もう少し幅の広い、ほかの社会保障給付 の在り方ですとか、相続遺産などの考え方。そういうものを含めているということでご ざいます。  ですから、今お話ししたのは、要するに少子化対策で社会保障の見直しというのは、 この中では特に高齢者に非常にウェートの高い社会保障というものを少し若年層の方に シフトするような考え方、これは多くの方がそう思っている。  時間がなかったものですから、12月でできたところはそこまでですが、この後、先ほ ど総務課長からお話がありましたように、医療保険、それから雇用、そういう問題をま だ取り上げておらず、その雇用の中では就労形態が多様化しているだけではなくて、 今、話題になっているニートと言われる人の存在も含めて、そういう人の雇用問題をど うするか、それに対応して、社会保険はどこで対応させるかという問題も当然入ってく ると思いますので、今後それは議論の対象になると思います。恐らくそれは現在の第三 号被保険者の実態というものをきちんと見た上での議論にならざるを得ないだろうと思 っております。 ○渡辺委員  意見じゃなくて、純粋な質問なのですが、この懇談会は、宮島先生がこちらの座長で もいらっしゃるから宮島先生にお伺いするのが適当かもしれないのですが、議事録を読 みますと、2008年に一体的改革といったような言葉、これは個人の御発言かもしれませ んが、それと小泉総理の国会における答弁でも2008年の一体的改革という言葉が出てき ます。まず、この一体的改革という意味が私自身、ちょっと抽象的でわからないような ところもあるのですけれども、いずれにしても在り方懇の中では2008年を目途に置いて おられるのかどうかということ。もう一つは、その際に一体的、つまり少なくともこれ までの厚生労働省のペースだと、来年介護で、再来年2006年度が医療保険制度となって いるのですが、どうもその辺の兼ね合いというのは見えにくいわけです。当然、年金を 含む一体的改革となっていますので、そうなりますとまた2007年か2008年に年金も改革 するという認識でよろしいのかどうか、ちょっと宮島先生にお伺いすることになるかも しれませんが、もしわかればお教えいただきたいと思います。 ○宮島部会長  これは官房長官の主宰の会議でございますし、幾つかちょっと関門みたいなものがあ ることは確かだと思います。例えば、税制改革ですね。これなどは19年度というのが一 つの目途になっていたり、社会保障制度改革について、今お話のように一応の段取りと いうのがあって、そこのところはどこの段階でどこまでというのが、必ずしもまだ明確 ではなく、ターミナルの時期がはっきり定められている感じは持っていません。後で局 長の方からその辺のお話はあると思います。ただ、いずれにしても、全部をワンセット でジグソーパズルを一遍にはめるような形というのはなかなか難しいのではないかとい うのがありますけれども、議論が合致しているものについては、ある程度先行するけれ ども、それはまたどこかで全体的に見直すとか、幾つかのアイデアが出ておりまして、 その年度をどこにおくかというところは、実はかなりの政治的な判断も含まれるのだろ うと、私は了解しています。 ○渡邉年金局長  若干周辺的なことの補足をさせていただきたいと思います。この在り方懇談会の中に おける御意見ということで言えば、正確には座長をしておられる宮島先生のお話です が、たしかその中におきましても、経済界、労働界から御参画をいただいているメンバ ーから、例えば、厚生年金保険料が引き上げられていく過程で15%になるのが平成20年 秋ということもあり、その直前ないしその辺りが一つの切れ目になって、一体改革の展 望を付けていくべきではないかという趣旨と受け止められる御発言、御意見などもあっ たように思っております。  先ほどのまとめの中にも若干1、2行その点について、そういう意見があったと触れ ている部分があったと思います。また、国会における総理の御発言の中にも、厚生年金 保険料率が15%になるころ合い、そのときは平成20年と総理は御答弁されたのですが、 その辺りで1つの区切りとして、という意見に対して、そうした気持ちもよくわかると いうお言葉も出ているという場面はございました。  更には、もっと前になりますが、本年5月の年金法案衆議院通過に際しての自民、公 明、民主三党の合意におきまして、国民年金を含めた年金の一元化の問題について、衆 参両院の厚生労働委員会の下に置かれる小委員会では平成19年3月を目途に議論の整理 を行うというような合意が5月になされました。  それら全体を通じて平成19年〜20年というのが一つの節目ではないかという御意見が しばしば関係者から出されるというような状況がありましたが、どこかで政府として方 針を決めたとというところはございません。 ○堀委員  この懇談会では、社会保障と税制との関連も議論するということになっていると思い ます。基礎年金の財源の関連で報告に若干出ているのですが、税制に関する議論もあっ たのではないかと思います。社会保障の財源としては、定率減税による増税だけでな く、所得税にするかとか、消費税を上げるかとかいう問題もある。これは税制調査会と の関係もあって、その会長の石さんも出ていますが、この報告では社会保障に割と偏っ たようなまとめ方になっていると思います。社会保障にとって一番問題なのは所得の捕 捉で、この問題のために年金制度を一元化できない、そこがネックになっている。これ は社会保障当局としてはいかんともし難いところで、税務当局の制度なり実務なりにか かっていると思います。そういった辺りの議論がなされているのでしょうか。あるいは 希望としては、そういったことを是非とも議論し実現してほしいと思っています。 ○宮島部会長  この懇談会では、そういう議論が当然行われていますけれども、税制の議論としては 余りそういう議論は行われていないと思いますね。むしろ御存じのとおり、金融所得課 税の一体化の方での納税者番号制度の話はかなり限定的な話は出ていますけれども、そ れ以上の話はまだ出ていないと言っていいと思います。 ○山崎委員  まず第1点、宮島部会長に御質問させていただきます。在り方に関する懇談会の資料 の4ページでございますが、「税方式と社会保険方式による基礎年金の在り方について 」というところの最初のパラグラフの最後の2行目でございますが、「年金財政悪化時 に給付で調整する方式を導入すべきとの意見があった」ということですが、これは18.3 %の保険料上限で附則で言う50%水準を確保できなくなったときに、50%以下に引き下 げるということでしょうかという質問が1点でございます。  もう一点は、小島委員にお尋ねしたいのですが、資料の11ページでございますけれど も、これは連合の21世紀社会保障ビジョン2002年10月というものでございますね。それ で11ページに年金制度の抜本改革ということで、「『年金一元化』は中期的な目標」と ありまして、更に「雇用労働者の厚生年金の完全適用を前提に被用者年金の一元化の合 意形成」とあります。最後に「被用者年金と自営業者等の一元化を展望」となっている のですが、非常にのんびりした提言でございまして、民主党とは180度ぐらい違うトー ンだと思うんですね。民主党は単一制度への一元化と言っているけれども、内容的には 統合一本化でございますし、今回の改正に当たっても政府案は廃案にして、直ちにその 方向で検討するということだったと思います。一元化というのは実際には私は財政調整 から統合一本化まで、かなり幅の広い概念だと思っております。したがって、ここでお っしゃる一元化というのは、そういう幅の広い概念でお考えになっているのか、それと も民主党が言うように単一制度への統合一本化なのかということが第1点です。  それから、スケジュールは、今でもこのようにのんびり展望する程度にとどめておら れるのかということをお尋ねしたいということでございます。随分きつい言い方です が、この一元化、特に被用者年金に関しては連合がキャスティング・ボートを握ってい ると思っておりますから、責任者の答弁をお願いします。 ○宮島部会長  前半の部分は別にそこまで具体化している考え方というわけでは、必ずしも私はない と理解しております。要するに、将来1階を消費税財源方式にすると。2階部分は社会 保険的だけれども、その上限は15%に抑えたいと。更にその上で、今で言うマクロ経済 スライドはちゃんとつくるべきだという御意見ですので、それ以上の細かい点について は、まだ踏み込んだ感じにはなっていません。給付水準どうこうという議論は全く今の ところは入っておりません。 ○小島委員  11ページに記載をしているのは、連合が従来主張してきた年金改革の基本的な考え方 で、一番下のところが年金の一元化への方向ということです。これは2002年にとりまと めたものでありますので、この9月の時点までの連合の一元化の考え方です。  懇談会の直後に、連合と民主党のトップ会談の下、4項目合意というものを行ってい ます。その中では、1階部分の基礎年金部分について、民主党は最低保障年金と言って いますけれども、そこについては税方式による一元化を実現するということ。  2つ目では、民主党が考えている形も含めて、2階の報酬比例部分については水準も 含め在り方について更に協議をするということ。  3つ目は、自営業者等の所得捕捉のための納番制度の早期実現を図るということ。  最後に、全国民を対象にした年金制度の一元化を展望するというような4項目を合意 しております。そのスケジュールについては、これから実務者レベルで詰めていくとい うことになっております。  民主党は、先日閉会した臨時国会の中では再度これまで民主党が主張してきたものを ベースに一元化法案を提出しましたけれども、更に実務的にはもっと両者で詰めていく ということになっております。一応11ページで示したものを連合としてはベースにしな がらも、民主党の考えもありますので、そこの調整をこれから図っていくということ を、今、考えております。 ○宮島部会長  大変貴重な情報をいただいたようでございますが、ちょっと時間の関係がございます ので、この議題はここで終わらせていただきたいと思います。  それでは、第3の議題がございまして、年金制度、特に社会保険庁改革につきまし て、これから少し意見を交換していただきたいと思いますが、その前に事務局の方から 資料の説明をお願いいたします。 ○高倉年金課長  それでは、資料3につきまして、まず1の部分は年金局の方から、2以下については 社会保険庁の方から順次御説明をさせていただきます。時間の関係でやや手短にさせて いただきますことをお許しください。  まず3−1でございます。これは社会保険庁、年金制度の目から見ました年金制度の 運営に当たっている組織ということでございますけれども、そこの在り方に関するさま ざまな議論が、現在、進行しております。年金制度論の側から見たときに、それではど のような留意点があるのだろうかといった、言わば原論的な部分につきましても、そう いう制度に関する御議論をいただく年金部会におきまして、御意見を賜れればと思いま して、制度所管の方の年金局において、かなり原則、当たり前のことかもしれませんけ れども、言葉にして整理してみたという資料でございます。  色々な組織論、運営体制論というのを考えていく際に、まず立ち止まって原点で、そ もそもどういう特質を持つ制度なのかというのが1枚目でございます。公的年金として の特質としては、超長期に確実に、実質価値を確保しながら運営する必要がある、制度 として所得再分配機能も持っているという事項が挙げられます。Aは、言わば諸外国の 公的年金に恐らく共通と思われます。  日本の場合には、更に加えて国民皆年金という体制をとっておることから来る特質も プラスαであるのではないかということで、Bの3つの枠を書いております。国民全体 の連帯で世代間扶養を行うという特質です。もう少し具体的に言うと、真ん中の丸囲み に書いてございますように、被用者、自営業者、更には無業の方、不安定就労の方、大 変多種多様な方々を制度的に結合して強制加入でカバーしております。財政の面では、 それを機能させる仕組みの一つとしまして、基礎年金の部分に国庫負担を集中投入しな がらの社会保険方式という日本の国民皆年金を支える工夫もしている、これらが一番の エッセンスではないかと考えております。  この辺りから、それでは運営体制論を考える際の論点としてはどのようなものがある かということを、この1ページの下の枠に4つほど書いてございます。これを更に掘り 下げたものが次のページですので、1ページ目の下はちょっと省略をしまして、2ペー ジ目でございますけれども、それらの論点を保険運営体制の局面ごとに少し掘り下げて 整理してみると、こういうことではないかということで書いてみたものでございます。  まず「制度設計」という局面に関する議論の留意事項でございますが、国民全ての支 え合いということで、強制力の確保が不可欠。また、いざ不均衡というときには負担と 給付の確実な是正が必要でございます。  また、3つ目に書かせていただいておりますが、保険料率、給付水準、国庫負担等、 そういった基本事項につきましては、合意形成の場としては全国民に関わるということ で、国会の関与の下に法律に基づき責任を持って対応することが必要、こういう留意点 であるのではないか等を書いてございます。また、Bの「適用、裁定、給付、記録管理」 ですが、当然ながら全国民に確実にということ、そして、一元的、超長期的に管理する ことが必要です。また、3つ目の「○」はちょっと技術的かもしれませんが、権利保障 の万全を期す意味では、受給者の側からの不服申立て等を保障しなければいけません。 それを行うためには全体としての裁定行為は行政行為として行って、行政訴訟の流れに 乗せる必要もあるのではないかという点があります。守秘義務があるのは当然のことで ございます。Cの「徴収」のところも、信頼性確保、納付の確実、公権的な行為は迅速 ・確実と、こう言ってまいりますと、ほとんどもともと当たり前にやるべきことであっ て、あるいはこの辺りが十分できていないといけないという反省文のようなものかとい う御指摘もあるかもしれませんけれども、基本を改めて書いてございます。  その基本のもう一つとしては、市町村とも同じ公的な主体、住民のためにある市町村 でございますから、一致協力してということが留意点としてあるだろうということで す。  更に、相談等につきましては、できるだけきめ細かくが基本であると思っておりま す。  次の参考1は、現状を図にしただけでございますので、説明は省略させていただきた いと存じます。  参考2は、今申しましたような制度論的な特質といった非常に基本的なところを踏ま えた上で、年金保険運営上の業務を切り分けてみますと、こういうことになるのではな いかということです。基本設計、料率水準設定、数理検証、これまで、そして現在にお きましては、この辺りはまさに国の責任で、国で直接実施しているわけでございます。 あと右側のそれ以外の色々な実施業務につきまして、更に考えてみますと、その中でも 企画的な部門、例えば、予算編成などのマネジメントというような業務は少し他の実際 の執行とは違うのではないか、あるいはまた公権的な性格を有する業務というのも、そ れ以外の実施業務とは対比されるのではないかというふうに考えまして、今後の御議論 をいただく上での参考に業務を区分して書いてみたというものでございます。私から は、以上でございます。続きまして、社会保険庁の方からお願いします。 ○吉岡改革推進本部事務局次長  社会保険庁の改革推進本部事務局次長の吉岡でございます。  社会保険庁の事業運営につきましては、先の年金制度改正の国会審議、またその後の マスコミ報道等におきまして、さまざまな御指摘、御批判をいただいたところでござい ます。そうした御批判を一つひとつしっかり受け止めまして、速やかに変えるべく民間 から着任しました村瀬新長官の下で、今、改革の取組に着手をしたところでございま す。また、そうした中におきまして、地方課長の収賄容疑での逮捕あるいは監修料の問 題といったような事案も生じたところでございまして、委員の先生方にもいろいろと御 心配、御迷惑をおかけしましたことを心からおわびを申し上げる次第でございます。  まず資料3−2でございます。今、進めております、この改革の取組の全体像を掲げ ております。上の方が、言わば内からの改革でございまして、庁内に長官を本部長とい たします、社会保険庁改革推進本部を設置いたしまして、そこにございます6点の課題 ごとに改革プロジェクトチームなどを設置いたしております。また、改革に当たりまし ては、民間の発想や感覚を大胆に導入することとし、長官に加えまして、お二人の最高 顧問、それから課題ごとにプロジェクトリーダーなどの方々を日本経団連に御協力いた だきまして、就任いただいたわけでございます。長官を含めますと、今、12名の民間の スタッフの参画をいただいている状況にあります。その下の「社会保険事業運営評議会 」でございます。長官の下に、社会保険庁の個々の事業運営の適切さ、あるいは効率性 というものをチェックするための評議会として設置をしたところでございます。これま でのところ毎月開催して御議論いただいております。  その下が、言わば外からの改革と呼んでいるものでございまして、社会保険庁の在り 方について、基本に立ち返った議論を行う場といたしまして、官房長官の下に有識者会 議が8月に設置され、これまで5回にわたる御議論をいただいてきたところでございま す。この有識者会議の御意見を踏まえまして、80項目の業務改革メニュー、まずは当面 どのような業務の改革をやるのかということを掲げた「緊急対応プログラム」というも のをまとめさせていただきました。また、第5回の会議では、これまでの議論を中間的 にとりまとめていただいたところでございます。  今後でございますけれども、組織の在り方の問題を中心として、御議論をいただくと いうことになっておりまして、来年の夏あるいは夏前を目途に最終的なとりまとめを行 っていただく予定でございます。  次のページに、有識者会議の工程表、その次に名簿を掲げさせていただいております ので、御参照いただければと思います。  次に、資料3−3でございます。ただいま申しました、この有識者会議の中間とりま とめでございます。最初のページ、1といたしまして「社会保険庁を取り巻く状況等」 あるいは有識者会議設置の背景というものが記されているところでございます。1枚お めくりいただきますと、2が「これまでの議論の状況等」ということであります。第1 回〜第5回まで、主に緊急にどういうことに対応すべきかという方策を中心として御議 論をいただいてきたということ、あるいは第5回の会議で、後ほど申し上げますけれど も、別添のとおり、最終的な緊急対応プログラムというものがとりまとめられたという ことであります。3は、「『緊急対応プログラム』に基づく取組について」として、有 識者会議の御指摘を幾つかいただいております。2つ目の「○」のところにございます のが、今後、社会保険庁においては、緊急対応プログラムに掲げられた取組事項のう ち、緊急に実施すべきものについては、今年度中に確実に実施すべきということ、来年 度の取組につきましても、17年度予算で必要な措置を講じた上で、円滑な実施を図るべ しということであります。また次の「○」でございますが、それらの実施に当たりまし ては、ただ単にこれをやるということではなく、調達コスト削減目標の設定などを通じ て、予算の効果的・効率的な執行を徹底すべきということ、あるいは取組内容等につき ましては、国民にわかりやすい形で情報提供をすべきといったことを特に留意すべき点 として御指摘をいただいたわけでございます。  次のページでございますが、4として「今後の検討方針」であります。今後、有識者 会議におきましては、社会保険庁の組織の在り方を中心として御議論いただくわけであ りますが、その際の検討方針でございます。3つ目の「○」を御覧いただきますと、ま ずは運営主体がどのように変わろうとも国民のニーズに十分に応えることを徹底するこ とと併せて、組織の効率化というものを徹底していくことが不可欠であるとされており ます。その効率化の中身といたしましては、業務そのものの効率化あるいは外部委託等 への転換、広域的な集約化、人員配置の地域格差の是正ということについて、具体的方 策を検討するということでございます。次の「○」でありますが、また、運営主体の在 り方の検討に際しましては、社会保険事業の運営主体に求められる基本的要素というも のを十分に踏まえることが必要であるとされております。具体的に基本要素といたしま しては、Aの持続可能性の確保、あるいはBの「全国民による支え合いの仕組みの確保」 を始めといたしまして、8点の事項が掲げられているところでございます。  こうしたことを前提といたしまして、独立行政法人化等公法人とすべきではないか、 民間に委ねてはどうか、徴収業務を他の機関に移管してはどうかという議論を含め、あ らゆる議論を例外とせず、幅広い検討を進めていくこととされております。今後この有 識者会議の検討結果に沿いまして、社会保険庁として対応していきたいと考えていると ころでございます。  次のページに、緊急対応プログラムの最終的な姿を添付させていただいております。 7月末の新長官就任以降、私どもの取り組んできたことの中心がこのプログラムの策 定、実施ということでございます。  1枚おめくりいただきますと、最初の柱が「国民サービスの向上」でございます。左 側に「現状」ということで、「国民ニーズや利用者の意見を聞き、反映させる仕組みが ない」、「国民が利用しやすいサービスになっていない」といった御指摘をいただいて きたわけであります。それを踏まえまして、右側に、国民のニーズを把握し、ニーズに 対応したサービスを提供していく、そして、必要なサービスを提供するためには、体制 などの見直しも行っていくということを「対応の方向性」として掲げております。  6ページには、その対応の方向性に沿って、それぞれ具体的にどのような取組を行う のかということを掲げております。最初のアのAでは、社会保険庁の業務、サービスに ついて国民から広くアイデア、意見を募集する「長官への手紙・長官へのメール」とい うものも開始いたしました。既にメールで1,800件を超えるメールをいただいていると ころであります。来年度以降におきましては、社会保険事務所の来訪者に対する定期的 な満足度調査というものも継続的に実施をすることにしております。イのCでございま す。年金相談につきましては、待ち時間が長いといったさまざまな御批判もいただいて きたわけでありますが、毎週月曜日には相談時間を延長するということを、12月の6日 からスタートしたところでございます。土日における相談のモデル実施ということで、 年度内にこれから5回実施することにしております。今年度の実施状況を踏まえまし て、来年度からの本格的な対応を図っていきたいと考えております。  次のページでございます。上から2つ目のところにありますけれども、インターネッ トを利用した年金個人情報の提供ということで、365日24時間受け付けて、即時に回答 する仕組みを整備していきたいと考えております。また、Dの申請書類などにつきまし ては、記入しにくい、わかりにくいという御批判をいただいておりますので、年金受給 者などの身になって、そうした申請書類の総点検ということも実施してまいります。ま た、来年度以降でありますが、Bのところに、先ほど御指摘をいただいた件でございま す。20年度からポイント制を導入するわけでございますが、それに先立って毎年年金加 入者全員に対する保険料納付記録の通知を行う仕組みを検討していきたいということ で、まずは来年度、国民年金の第1号被保険者について対応することとしております。 Cでございますが、年金請求書の利便性の向上を図るという観点から、年金支給開始年 齢に到達する直前に年金加入履歴などについて、社会保険庁が保有している情報を基に あらかじめ記載した裁定請求書を郵送するということも考えております。また、Hでは、 住基ネットワークを活用した年金受給者の生存確認による現況届の廃止ということも18 年度を目途に実施することにしております。  次のページでございますが、ウのA、B、Cにありますように、年金相談センターある いは電話相談センター、総合相談室の拡充ということも順次行うことにいたしておりま す。  次の9ページでございます。2つ目の柱の「予算執行の透明性の確保等」ということ では、「対応の方向性」にありますように、不適切な予算執行を徹底的に排除する、透 明性を確保する、チェックシステムを導入するという方針の下で、次の10ページに具体 的な方策を掲げております。まず、アのCでは、調達コストの削減目標数値というもの を今年度中に設定をして、事務費の徹底した削減を図ります。来年度以降におきまして も、レガシーシステムである社会保険オンラインシステムにつきまして、来年度、最適 化計画を策定する、あるいは厚生年金会館、厚生年金病院などの保健・福祉施設につき まして、来年度からの5年間で売却することにしております。また、イのAにございま すように、調達についてさまざまな御指摘をいただいた中で、既に競争入札、企画競争 を原則化するという取組を開始しました。また、ウのAにございますように、調達案件 の審査等をするための調達委員会というものも設置して厳格な審査を進めているところ でございます。  次の11ページが、3つ目の柱「個人情報保護等の徹底」ということであります。左側 の「現状」のところにありますように、「個人情報漏洩防止のためのシステムが整って いない」「規定の整備が不十分」「監視のための体制が整備されていない」ということ で、当然のことができてなかったということでございます。  次の12ページに、そうした現状を改めるため、アのA、Bにございますように、既に担 当職員ごとにカード番号を固定化するとか、本人識別のパスワードを登録する仕組みと したところでございます。今後、ウのAにありますように、仮に業務目的以外の閲覧と いうものがあった場合には、誰がしたのかということがわかるシステムというものを今 年度中に整備して、絶対に個人情報が漏洩しない仕組みというものをつくり上げること にしております。  次の13ページが、4つ目の柱「保険料徴収の徹底」ということであります。左側の 「現状」にありますように、未納などの要因に応じた対策が十分に講じられていないの ではないか、あるいは事務所単位での明確な目標がないのではないかという指摘がござ います。  そうしたことに対応するために、次の14ページを御覧いただきますと、まずアが要員 別の収納対策というものをしっかりと進めるということであります。Aにありますよう に、若い人向けにはコンビニとかインターネットバンキングでの保険料納付ができるよ うになりましたので、そうしたことの周知を図っていく。 あるいはCにありますよう に、負担能力はありながら未納である人につきましては、強制徴収を行っていくという ことで、今年度約三万人を対象として強制徴収を実施することにしております。また、 来年度以降でありますけれども、さきの年金制度改正法案に基づきまして、Aにありま す納付猶予制度の導入、あるいはGにあります多段階免除制度の導入ということを進め ることにしております。  次の15ページでございますけれども、イの「社会全体での取組の推進」ということで は、Cのところにございますように、この10月から市町村から所得情報を取得できるこ とになったわけでございます。そうした情報を基に所得がある方については強制徴収を 実施し、所得の低い方については免除周知を的確に実施するということをこの10月から スタートさせております。また、ウのところにございますように、納付率については平 成19年度に80%という目標を着実に達成するため、この10月から社会保険事務所ごとに 年度別の行動計画を策定するという取組がスタートいたしました。今後、達成状況など を毎月確認、検証することを徹底しまして、着実に19年度80%という目標に到達するよ うに進めていきたいと考えております。  次の16ページが、5つ目の柱「組織の改革」でございます。左側の現状にありますよ うに、組織の一体性や内部統制がとれていない、地域によって、人員配置や事業成績が 大きく異なるといった御指摘がございます。  次の17ページに具体的な方策を掲げておりますが、「ア 内部統制(ガバナンス)等 の強化」ということでは、来年度以降におきまして、社会保険事業計画を全面的に見直 すこととしております。あるいは「イ 組織・人員の配置の見直し」ということでは、 今年度中に人員配置の見直し計画を策定しまして、来年度以降、Bにございますように、 本庁と地方庁の人事交流の大幅な拡大を進めることにしております。また、Dのところ に、業務効率化の観点から外部委託の拡大等を推進するということを掲げております。 これにつきましては、今、規制改革・民間開放推進会議の方で「市場化テスト」の導入 ということが課題になっているところでございます。社会保険庁といたしましても、大 きく3点の事業、具体的には国民年金保険料の収納業務、年金電話相談センター業務、 それから未適用事業所の適用促進業務につきまして、「市場化テスト」の対象にすると いう方向で、今、最終的な調整を行っているところでございます。  次の18ページに、「ウ 職員の意識改革」という最もベーシックな重要な問題を掲げ ております。既に、Aの内部改善提案制度、あるいはBの職員行動規範を策定したところ でございます。来年度以降も各事務局・事務所ごとの事業成績の公表による競争の促進 といったことにも取り組むこととしております。  まずは、こうした80の事項につきまして、スピード感を持って逐次実施していきたい と考えているところでございます。一方、有識者会議の方では、これから組織の在り方 について本格的に議論していただくこととされております。 ○宮島部会長  組織の在り方は、先ほど大きな項目として出ていますので、時間も残り少ないようで すから、この後、質問なり意見の中で必要があれば答えていただくということで、申し 訳ありませんが、そうさせていただきたいと思います。 それでは、15分ほど時間を取 りたいと思いますけれども、比較的大きな組織の在り方に関する話で、当面の緊急の行 動プログラム等の御説明がありましたけれども、これは一応現在進行形の問題がござい ますので、年金部会の方々にも是非年金制度なり、そういう面からの御意見を伺ってお きたいという趣旨でございますので、何か御意見があればどうぞ。 ○堀委員  保険料の未納率が高いとか、あるいは社会保険庁の無駄遣いだとかいったことが、年 金改正法案の足を引っ張ると、そういうような状況も見られたので、この辺は今後しっ かりやっていってほしいというふうに思います。  それから、これだけの対策をやれば、ある程度効果があると思いますが、一般的なテ レビとか、ラジオといったような広報だけでは、必ずしも十分効果があるとは私は思っ ておりません。むしろ、個別的な、これからポイント制で通知をするというようなこと があると思うんですけれども、やはり個別的に、特に未納、未加入者とかに集中して広 報活動をやった方が私は効果があると思います。それから、ポイント通知をする際に も、簡単な制度の説明とか、そういったのも含めてやった方がいいのではないかと思い ます。 ○青柳運営部長  今、堀先生の方から具体的な御指摘がございまして、先ほどちょっと説明できなかっ たところの補足ということになりますけれども、まさに保険料の督促をするときに、今 までは保険料払っていないから払ってくださいということでとどめていたんですが、今 後は、その方に、あなたは実は昔これだけの加入記録をして保険料を払ってますよと、 したがって、このまま滞納を続けてしまうと、昔払った保険料は無駄になりますと、そ ういう意味で個別情報をお伝えしながら、やはり払った方がいいんじゃないだろうかと 思って頂けるような取組は心がけてやりたいと思っておりますので、大変いい御示唆を いただきまして、ありがとうございました。 ○今井委員  納付率の目標が80%ということで、大変高い数字かなと思うのですが、今まで推進員 という方がいらっしゃったわけですけれども、その方の位置づけ、今後どういう形にな るのかということと、今、すごく年金改正が頻繁なもので、国民の皆さんに対する配慮 が、これだけたくさんいろいろ手立てを講じているんですけれども、ものすごい人の出 入りの多い区や町の方だと、年金担当者が対応がし切れなくて待ち時間が長くなるとい うことがあると思いますが、その対応、年金担当者への配慮というのをどうお考えか、 お聞かせ願いたいんのですけれども。 ○青柳運営部長  私の説明が一般論になって不足があるようでしたら補足いたしますけれども、確かに 年金相談は大変にお待たせをして御迷惑をおかけしている面が少なからずあります。こ れは実は社会保険事務所に行っていただくと一目瞭然でわかると思うのですが、そもそ も相談をしていただく方に待っていただくためのスペースが非常に狭くて、スペースか らしてないということを、私もこの立場になりまして、幾つかの事務所を回ってみてつ くづくと痛感いたしました。これは、社会保険事務所というのが、従来はどちらかとい うと、政管健保や厚生年金の仕事を中心に考えていましたので、言ってみれば、事業主 の方を中心に仕事をするという仕事だったという事情があります。従いまして、言わば 事務所の組織そのものが、あるいは構造そのものがそういう形になっているという問題 があるものですから、むしろ年金相談などは、年金相談センターという専門に相談でき るセンター、あるいは電話相談という形で、これは本人であるということが認識できれ ば、個別の情報についても御相談ができるという仕組み、それから、先ほどの説明の中 にも一部あったかと思いますが、今度はインターネットで個人認証の仕組みを使いなが ら、自分の情報をアクセスして引き出すことができて、それに基づいていつでも自分の 都合のいいときに相談をしたり、あるいは専門家の方に相談をすることもできるような 仕組みにするということで、相談の幅というものを少し多様化しようと思っています。  そういった形で、むしろ今お尋ねが最後にあったように、相談の質をどうやって担保 するのかというお尋ねにもなってこようかと思います。年金相談員は、事務所の職員が 勿論対応するケースもありますが、言ってみれば研修をしたりして、ある程度の相談の レベルを維持することを考えております。また、業務センターの中央年金相談室という 形で全国の相談ができるような体制をとっているんですが、ここが中心になって各地の 相談センターに、いろんな研修的な知識の普及みたいなものもやっていくという体制を とっております。  確かに個人個人の方のケースになると、非常に加入記録が複雑だったりして、一件一 件の相談に時間がかかるということは、おっしゃるとおりあると思いますが、年金改正 の中身の方が難しいがために、何か相談がしどろもどろになって時間がかかるというよ りは、どちらかというと、お一人ひとりの加入状況が複雑であるというようなことが結 果的に時間がかかる原因になっている、あるいは、物理的にそれがこなし切れない状況 がこれまであったというところに主たる原因があるのではないかと、私どもは思ってい ますので、質と量の両面と併せて充実をするということで取り組んでおります。  特に量の面で言えば、先ほど申し上げたように、平日の延長と、それから土日の開庁 ということで、その場合にはかなりゆったりと時間を持って、満足のいく御相談に対応 できていくのではないかと思っています。何か補足することがあれば、お願いします。 ○植田年金保険課長  推進員についてお尋ねがありました。平成19年に当面の目標として80%を目指すとい うことになっておりますが、収納事務が市町村事務から国の事務に切り替わった段階 で、どうしても社会保険事務所の職員だけでは人手が足りないということで、現在、外 に出て個別訪問なり尋ねていって納付督励をする要員として、国民年金推進員という者 が、全国で約二千五百名配置されております。これは、すべて身分は非常勤の国家公務 員ということになっておりますので、データ保護に関しましても、公務員と同じような 規制がかかることになります。それから、保険料収納も会計法上の出納職員に任命され ておりますので、すぐできるということで、実際の業務においては職員と全く遜色がご ざいません。そういう状況でございます。 ○今井委員  今の情報提供は大変たくさんの色々な手段があるということはよくわかるのですけれ ども、窓口へ来られる方というのは、大抵情報というか、手立てをよく知らない方が多 いかと思います。それで、多分窓口が混むのだろうと思いますが、そういった窓口の担 当者への配慮も是非お忘れなくお願いしたいと思います。 ○神代部会長代理  資料の3−3の15ページで「市町村から所得情報を取得し」とありますが、これは税 務署を通じて確定申告や何かのデータが市町村の窓口へ行って、それを社会保険庁は利 用するということかなと想像しております。事業所得と資産所得で、特に資産所得の方 の把握の状況、要するに金融資産はもともと分離課税になっていますね。いわゆる家賃 収入とか、そういう資産所得の把握というのは相当的確に行われているのですか、それ ともいわゆる節税、脱税的なものがかなり大きいのんですか。 ○植田年金保険課長  実は、私どもが市町村から提供を受ける所得は、本人と配偶者と世帯主、これが中心 なわけです。基本的には、そもそもこの人は免除に該当するかどうかについて、事前に 把握をしたいというのが1点ございます。もう一つは、所得がかなり高いのにもかかわ らず、保険料を長期にわたって納付していないという人に対しては、その中から選んで 強制徴収を実施したいというのが目的です。先の改正で情報提供を受けられるようにな りましたので、先ほど申し上げましたが、基本的にいただくのは、本人配偶者、世帯 主、市町村の税務課から課税の対象となっている所得はすべていただくようになってお ります。  ちょうど10月からスタートしたばかりでございますので、現在進行形のところもあり ますが、約90%以上、現時点で市町村から既に情報提供を受けられる状況になってお ります。 ○山崎委員  実は、私自身は厚生年金と私学共済と、今、地方公務員共済の3つの年金の加入歴が あります。  私の妻は、厚生年金と国民年金3号の期間があるのですが、妻についても恐らく裁定 請求するときに、私の記録の確認が必要なはずでございます。  つまり、年金一元化ですが、私は財政については財政調整でもいいと思っているので すが、業務については昔から早急に一元化してほしいと考えております。恐らく各共 済、社会保険庁、それぞれの保険者にとっても今の仕組みは不都合だし、それ以上に受 給者にとって、今、非常に不都合なことになっていると思いますが、こういった議論は ないのかどうか。まさに首相官邸に置かれている機関であれば、社会保険庁に限らず、 年金業務ということを幅広くとらえていただきたいと思っております。 ○青柳運営部長  今の山崎先生の御指摘はごもっともだと思います。私どもが今やっておりますのは、 基礎年金番号を導入以降は、基本的には基礎年金番号という形で、各所得情報は私ども の方で支給しませんから持っておりませんけれども、共済組合から情報提供を受けて共 済の方々も含め、加入記録を管理するというのは原則になっております。  ただし、基礎年金番号を導入した際に、例えば共済の制度に入っておられなかった 方、実は私の家内も、昔、共済の加入期間を持っていたのですが、基礎年金番号導入時 にはもう3号になっておりましたので、これに該当するわけですけれども、こういう方 々は基礎年金番号等をリンクされておりません。  したがいまして、そういう方々については、年金の裁定請求時に改めて加入記録をつ なげるという作業をしなければならないのですが、私どもとしては、共済各制度にお願 いをしつつ、そういった方についても、言わば掘り起こす形で基礎年金番号にリンクを させていくとしております。これを少し計画的に進めなければいけないだろうと思って います。  まだ、ちょっと具体的なスケジュールがなかなか立ちにくい作業ではありますが、基 本的には基礎年金番号に統一をしていく形で、便宜を図っていきたいという方向で取り 組ませていただいております。 ○杉山委員  質問ですけれども、私たちは、社会保険庁のことはマスコミとか、テレビで報道を聞 くばかりですけれども、報道などで社会保険庁が無駄遣いをしているのではないのかな という印象を持っていて、それで今ここで80項目やりますと言っていらっしゃるわけで すけれども、それで相談時間を延長したらならば、それだけ人件費が多くかかってしま ったとか、そういう部分がすごく多くなってしまったということになってしまっては、 何となく意味がないというか、関わる部分はあるかとは思いますけれども、その部分 で、例えばこれだけのことをやりますが、これぐらいかかるところを何%のコストを削 減しますとか、努力をしているという部分を見せるということはないのかなと思ったの で、それについてお聞きしたいです。 ○青柳運営部長  御懸念のとおり、一生懸命やったらコストの方は増えましたというのでは笑い話にも ならないと思っておりますが、ただ、これも年金部会の場ですから、むしろ御説明した 方がいいかと思いますが、この通常国会で成立した年金改正、これを冒頭段階的に実施 をしていくということでの御説明もありましたが、これを実施していくためには、当然 のことながらシステムの大規模な改修が必要になったりするために、この部分の経費は 残念ながら平成17年度に向けてはふくらまざるを得ないというふうに、はっきり申し上 げざるを得ないだろうと思います。  しかし、今のお話については、先ほどの説明の中でも一部触れましたように、例えば 調達コストについての削減目標を明確に立てて、それで削減を図っていくこととしてお ります。すなわち、ここに書いたものを実際に数値化をして、それで目標を立てて毎年 次、これを法律化していくということが次のステップの取組として私どもはやらなけれ ばいけないだろうと思っておりますので、増えるものは増えるということで、きちんと お願いをしつつ、そういう形で効率化するものは、むしろ数値目標を示しながら効率化 していくということを心がけて、次のステップとして取り組んでまいりたいと思ってお ります。 ○渡辺委員  質問と意見ですが、社会保険庁の特に年金に関する業務は言うまでもなく、裁定があ って、適用があって、給付があって、保険料徴収があって、年金相談があるだろうと思 います。ほかに政管健保があると思いますが、政管健保は置いておいて、その業務を、 今、例えば「市場化テスト」という話、さっき説明もありましたけれども、外部委託あ るいは民間委託、そこの説明の中にも「コア業務以外の」とありますが、コア業務とい うのはよくわかりません。それで、この間も尾辻大臣は、徴収について「市場化テスト 」と、たしか村上大臣との講演か何かで言っていると思いますが、社会保険庁の年金関 連業務に関して、大きく分けて5つなら5つの業務でコア業務とは何か、あるいはそれ は外部委託できるもの、法律的にできないもの、その辺の仕分けが全然ないから、何か すべての業務が民間委託とか、外部委託といったような報道もなされているし、非常に わかりにくくしていると思います。その辺がもう少し整理されて、何をどうするという ことを明確に示していただきたいなということが1つ。  それから、今、ちょっとお話がありましたけれども、納付率80%と大変結構なことで すが、確かに、これはまともに考えたら、もし社会保険庁がやるとするならば、相当事 務費コストがかかるのではないかと思います。従来、地方事務官のときでも、事務費は 約1,500億円程度かかったと私は記憶していますが、現実問題として、今、全部社会保 険庁がやることは民間委託しないという前提に立つと、大変な数字だと私は思います。 別にけなすわけではなくて、大変いい目標なんだけれども、現実問題として、私も地方 で随分昔に付き合ったことがあるけれども、本当に船に乗って遠くの島まで行って、夜 中に帰ってきて泊まって、事務費一つとっても大変な出費がかかわるわけです。具体的 な行動計画はこれからなのでしょうが、まさにこれをまともにやったら大変なコストを かかると思わざるを得ない。あるいは、さっきの話に関連してもう一点だけ言います と、外部委託した場合に、今、社会保険庁の職員の数はおおざっぱで1万5,000 人ぐら いでしょうか。 ○青柳運営部長  1万7,000 です。 ○渡辺委員  失礼、1万7,000 ですか、そうすると、どの業務を仮に外部委託した場合、どの業務 で人員が余剰人員になって、どっちに回せるとか、それをどう使えるかみたいなことま でも示しながらやらないと、失礼ながら、何か議論がごちゃ混ぜになっていて、とにか く外部委託すればいいんだとか、あるいは、とにかく効率化するんだとか、目標はこう だというのは大変結構ですが、どうもそれをもう少し整理して、わかりやすく示してい ただきたいなという気はします。以上です。 ○宮島部会長  ありがとうございました。それでは、申し訳ありませんが、質問は今の渡辺委員で終 わりにさせていただきます。それから、今日の年金部会は若干時間を延長させていただ きますが、まず、今の御質問の中で後半の部分は青柳さんからお答えいただきました。  その前のコア業務などに関するところは、先ほどちょっと私はもう時間の関係で資料 の説明を省略していただいた部分でございますので、これは改めてその際に御説明いた だくということにしたいと思います。 ○吉岡次長  先ほど省略いたしました資料3−4の2ページ目を御覧いただきたいと思います。  まず、効率的・効果的な組織を徹底するということで、最初に「(1)基本的な考え 方」と書いておりますけれども、運営主体が今後どのように変わろうとも、効率的・効 果的な組織とすることを徹底することが必要だと考えております。 そのためには、基 本的には社会保険業務についてのコア業務以外の業務については、積極的にアウトソー シングしていきたいと考えているところでございます。  社会保険事業のコア業務として何を考えているかというのが、(2)のAからDであり ます。「マネジメント業務」「権利義務を具体的に確定するための業務」「『公』の名 義で行うことが必要な業務」「社会保険の高度な知識が必要な業務」ということで、こ の4点をコア業務として考えております。  したがいまして、先ほどの「市場化テスト」の関係で申しますと、そうしたコア業務 以外のものにつきましては、極力アウトソーシングしていこうということで、国民年金 保険料の収納、年金電話相談業務、適用促進の業務、こうした業務につきまして「市場 化テスト」の対象にして対応していきたいと考えております。また、アウトソーシング することによる効果についてでありますが、 具体的な数値につきましては、実は今、 詳細な業務量調査というものを実施中でございまして、年明けには結果がまとまる予定 でございます。そうした業務量調査の結果を見ながらどの程度の要員削減効果があるの かということも改めてお示ししていきたいと考えております。 ○青柳運営部長  今ので大体お答えしているかなと思いますが、少し補足をしますと、今「市場化テス ト」で議論になる外部委託、具体的に国民年金の収納関係で言えば、電話による納付督 励、それからこれを踏まえた個別訪問、更にそれに基づいて納付の一部分として、言わ ば収納委託という形で、既に国民年金制度の中でやっている仕組みがあります。  実はコンビニエンスストアで払えるというのは、コンビニエンスストアそのものは、 言わば国のお金を預かれる機関ではないので、非常にわかりやすく言うと、コンビニで 預かってもらったものを銀行に納付していただくという形を取ります。納付委託という 仕組みになっているものですから、これを拡大して民間の業者の方に納付委託をしてい ただくと、こういうイメージで収納業務までやるというイメージを考えております。  したがいまして、例えば強制徴収その他については、引き続きコア業務として社会保 険事務所がやらざるを得ないだろうと、こういう整理で具体的なイメージをお持ちいた だければというふうに思っております。  勿論、併せて、例えば所得情報の話が先ほど出ましたけれども、個人の方の所得の情 報をさすがに民間の事業者の方に御提供するということについては、とても市町村の協 力もいただけないだろうと思っておりますので、この所得情報を使わなければいけな い、例えば免除の勧奨をするとか、あるいは強制徴収する、滞納処分をすると、これも 社会保険事務所の職員が従来どおりやらせていただくというイメージを考えておりま す。  それから、80%達成の場合のコストがどうだということでありますけれども、これは 80%にするからコストがふくらむということでは必ずしもないと実は思っています。と いうのは、80%を達成するために一番必要なのは、やはり電話の納付督励も含む、ある いは個別訪問も含む、言わば回数ということになってまいりますので、これをどうやっ て安いコストで実現するかというのが、この外部委託のテーマでございますので、その 意味であれば、私どもは80%を達成するために、できる限り安いコストで実現できるよ うな方法を更に量的にも質的にも増やしていくことを考えております。こういうことで やらせていただきたいと思いますから、80%になることが直ちにコストの増ではないと いうふうに御理解いただければと思います。 ○近藤委員  今までの議論で解ったことは、年金制度運営にとって重要な加入員記録のマスターフ ァイルが各共済を含めた形で出来ていない。これは、基礎年金制度による体系の再編成 がされ、平成8年から全制度共通の基礎年金番号の導入により生涯の加入記録把握が可 能となる仕組みとなったが、現実は完成されていないと言うことで、このままでは相談 コーナーに待ち行列が出来るのは当然のことで、どうやりくりしても不満を解消するこ とは出来ないと考えます。超長期の年金制度で、労働の流動化がさらに進むと言われて いることからも、事務の外部委託では解決できない、大切な基本業務について制度間で の垣根をどうの様に調整し満足できるファイルを整備していくかを先ず議論して頂きた いと思います。 ○矢野委員  社会保険庁の有識者会議の一員なので、余り議論めかしいことをここでするつもりは ないのですが、論議する上で、大事なポジションというのがあります。1つはスピード です。国民の信用回復のためにはスピードを上げることが必要だと思います。一時いろ いろ業務量が増えても信用回復すれば、また元に戻るし、また適当な調整が行われると いうことです。  2つ目は、聖域を設けずに改革を論議することです。これは「市場化テスト」の対 象、それから今後の組織論、あらゆる可能性について議論するということが大事であり ます。今日はどちらかというと事務局のポジションでいろいろお話がありましたが、そ ういう姿勢で、私自身は有識者会議に臨んでおるし、またそういう意見の持ち主もある ということを御紹介しておきます。 ○宮島部会長  ありがとうございました。それでは、本来ならば時間でございますが、もう一つ議題 が残っております。これは少し工夫していただきまして、できるだけ短時間で終わらせ ていただきたいと思いますが、先ほど申しました無年金障害者に関する法律が今回制定 されたこともあって、その経緯と内容などについて説明をよろしくお願いいたします。 ○高倉年金課長  それでは、資料の4をもちまして、無年金障害者に対する給付の支給の法律の経緯と 内容を簡単に御説明させていただきたいと思います。  まず、経緯の方からということで、2ページをおめくりいただけますでしょうか。こ こに書いてあります中で言いますと、一番下に14年7月に坂口試案というものが出され ております。政治的にも非常に大きな検討課題になってきたわけでございます。当年金 部会における以前のこの問題に関する議論の整理といたしましては、拠出制年金制度と しての対応は困難であるとされていました。対応を検討するとしたら福祉的観点からの 検討にするべきであると、こういう御議論が基調であったと理解しておりますけれど も、まさに与党におきましても、今年の4月6日、6月8日と合意が積み重ねられてま いりまして、その中でこれらの方々については、年金制度としての対応は無理であるけ れども、福祉的観点からの措置を講じようと。年金制度の発展過程において生じた事態 であるということにかんがみて、福祉的特別な措置を講じるという方向で合意が形成さ れて、6月10日に自民党、公明党から今回成立した法律案が出されたわけであります。  また、相前後しまして、6月9日には民主党からも法案が提出されておりました。そ の後、先週終了いたしました秋の臨時国会において審議入りをいたしまして、11月25日 に衆議院、12月3日に参議院でそれぞれ可決されまして、成立に至ったという経緯でご ざいます。  内容でございますが、お戻りいただきまして、1ページ目でございますけれども、冒 頭の、まず趣旨ということで、国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情、要 は任意加入制度と位置づけられていて、その後、強制適用に切り替えられたというグル ープにつきまして、任意加入という位置づけであった時代に任意加入していない間の障 害事故ということで無年金障害者になった、そういった意味合いでここの発展過程、特 別な事情と書いてあると理解しておりますけれども、それにかんがみて、それらの方に 対する特別な福祉的措置を講じる観点からの給付金ということが趣旨でございます。  対象者としては、2つのグループが対象とされておりまして、1つは平成3年度に強 制適用に切り替えられた、それまで任意加入対象だった学生というグループ。もう一つ は、61年度から強制適用3号制度となりました、その前までの任意加入であった時代の 被用者の配偶者、これらの2つのグループで、任意加入時代に入っていない間の初診日 で障害となった方でございます。  支給額といたしましては、基本と申しますか、2級が4万円で、1級はその1.25倍の 5万円が、この額につきましては、福祉的な措置ということでございますので、各種関 連の福祉的な手当で障害を負っておられるお子さんに対する手当で、一番高いものが、 おおむね月額4万円ということから、それをベースにして4万円とされています。1級 は1.25倍でございますけれども、こういう額で設定されております。  結果として、これは20歳前障害基礎年金、障害基礎年金の額の6割相当と、20歳前障 害基礎年金の6割が国庫負担でございますので、言わば障害基礎年金の特別国庫負担水 準というものと結果として大体見合っておるというもので水準が設定されております。  物価スライド、所得制限付きということでございまして、全額国庫財源でございま す。  実施主体につきましては、これは国ということですが、市区町村には身近なところで ということで、窓口をお願いするということになっております。給付の事務につきまし ては、社会保険庁におきまして対応するということを予定しております。  「6.その他」のところでございますけれども、これはいろいろ細かい字で書いてご ざいますが、6ページの条文の方で見ていただいた方が目に入りやすいかと存じますの で、6ページで御説明させていただきたいと存じます。これが附則の第2条でございま すけれども、先ほど申し上げましたとおり、今回本則で対応するのが学生と被用者の被 扶養配偶者、任意加入時代ということでございまして、逆に対象になっていない代表的 なものが、昭和57年以前の国籍要件が国民年金制度にあった時代に、外国籍ということ で日本の制度に適用除外であった、その間の障害による障害無年金、いわゆる在日外国 人の方の障害無年金でございます。その部分につきまして、国会でかなり議論がござい まして、最終的には検討規定の中に、その方々が入っているということを明示するとい う冒頭の文言の追加、そしてまたしめくくり言葉として、検討が加えられた上で、必要 があると認められたときは結果に応じて所要の措置が講じられるという文言を書き込む 形で、最終的に別の法案を提出していた民主党も含めた全党の合意で全会一致で成立し たという経緯でございます。  施行は、来年の4月1日からという予定でございまして、国会審議の中でも施行の遺 漏なきようという御指摘をいただいておりますので、私どもとしては、その万全を期し てまいりたいと、このように考えております。以上でございます。 ○宮島部会長  ありがとうございました。何かこの件について御質問なりございますでしょうか。 ○小島委員  では簡単に、17年4月実施で、対象者としては何名ぐらい想定されているんですか。 ○高倉年金課長  お答え申し上げます。これは坂口試案のときに出されております推計がベースになっ ておりまして、10ページに付けてございますけれども、ここにいろいろ出ておりますう ちで、今回対象となりますのが、まず、3番目の学生さんたちで無年金0.4万人、2番 の被用者の被扶養配偶者2.0万人ということが推定されております。 ○山崎委員  細かいことかと思いますが、国民年金の障害基礎年金との一定のバランスをもって水 準が設定されたとのことですが、マクロ経済スライドの対象になるのでしょうか。 ○高倉年金課長  これは年金たる給付ではないということで、マクロ経済スライドの対象にはならない という法案になっています。 ○山崎委員  ということは、将来的には今のバランスからは崩れるということですね。 ○高倉年金課長  おっしゃるとおりでございます。こちらは物価スライドで改定していくという制度に なっております。 ○宮島部会長  そういうことでございますので、本日はどうもありがとうございました。私の不手際 で10分ほど延びてしまいましたけれども、まだ年金につきましては、いろんなレベル、 あるいは色々なところで今後議論が進んでいくと思いますので、今日の意見なども、当 然それぞれ受け止めて、今後の運営なり審議の中に反映していきたいと考えておりま す。本日はこれで年金部会は終了いたします。どうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省年金局総務課企画係 03-5253-1111(内線3316)