04/12/01 「第18回医療安全対策検討会議」議事録   第18回医療安全対策検討会議                        日時 平成16年12月1日(水)                           15:30〜                        場所 厚生労働省9階省議室 ○北島室長  ただいまから、第18回医療安全対策検討会議を開催いたします。委員の皆様方におか れましては、お忙しい中をご出席いただき、まことにありがとうございます。本日は16 名の委員のご出席を予定しています。座長選出までの間、進行役を務めさせていただき ます。  本日ご出席をいただいた委員の皆様をご紹介します。日本薬剤師会常務理事井上章治 委員、日本ヒューマンファクター研究所所長黒田勲委員、東京女子医科大学名誉教授桜 井靖久委員、日本医学会会長高久史麿委員、日本歯科医師会常務理事高津茂樹委員、慶 應義塾大学医学部教授武田純三委員、日本医師会副会長寺岡暉委員、全日本病院協会常 任理事中村定敏委員、国立保健医療科学院政策科学部長長谷川敏彦委員、榊原記念病院 院長細田瑳一委員、日本病院薬剤師会常務理事堀内龍也委員、独立行政法人国立病院機 構理事長矢崎義雄委員、新潟薬科大学学長山崎幹夫委員です。  なお、本日ご欠席の委員は、東京大学大学院工学系研究科教授飯塚悦功委員、ささえ あい医療人権センターCOML理事長辻本好子委員、東京都立大学法学部長前田雅英委 員です。北里大学薬学部教授望月眞弓委員ほか3名の委員は、都合により遅れておられ ますので、後ほどご紹介を申し上げます。  続いて、厚生労働省職員をご紹介申し上げます。岩尾医政局長、岡島医政局審議官、 黒川医薬食品局審議官、医政局田村看護課長、医薬食品局平山安全対策課長、同課森口 安全使用推進室長です。どうぞよろしくお願いします。  それでは、岩尾医政局長よりご挨拶を申し上げます。 ○岩尾医政局長  本日はお忙しいところ、ご参集いただきましてありがとうございます。委員の先生方 には、医療安全対策はもとより医療行政の推進に格別のご支援、ご協力をいただいてい ることを深く感謝申し上げます。今日は医療安全対策検討会議ということで、開催に当 たりまして一言ご挨拶申し上げます。  本検討会議は、幅広い分野の有識者から構成されており、平成13年5月に設置して以 来、医療安全の推進に向けて委員のそれぞれのお立場からご意見等をいただいてきまし た。今般、委員の改選を行いましたので、新たにご就任いただいた委員の皆様方におか れましては医療安全対策について厳しく、かつ忌憚のないご意見を賜りたいと考えてい ます。  医療安全対策は、我が国の医療政策における最重要課題の一つです。厚生労働省とし ては、平成14年4月に当検討会議において取りまとめられた「医療安全推進総合対策」 及び、平成15年12月の「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」を踏まえ、医療安全 の推進に向けて各般の施策に取り組んできました。今年の10月1日からは、財団法人日 本医療機能評価機構において、医療事故情報の収集等事業が開始され、収集された事例 の分析結果に基づく改善策を広く情報提供することにより、医療事故の発生予防・再発 防止の一層の強化を図りたいと考えています。  来年度の予算の概算要求においては、「診療行為に関連した死亡の調査分析に係るモ デル事業」や「周産期医療施設のオープン病院化モデル事業」など、医療安全に係る新 たな施策を進めるために必要な経費を要求しております。委員の皆様におかれまして は、それぞれご専門のお立場から率直なご意見を賜りますようお願い申し上げ、挨拶と させていただきます。 ○北島室長  次に、本検討会議の座長の選出ですが、設置要綱によりまして委員の互選となってい ます。どなたかご発言等はありませんか。 ○寺岡委員  僭越でございますが、私が発議をさせていただきます。高久史麿委員にお願いをでき ればと思いますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○北島室長  ただいま寺岡委員から、高久委員に座長をお願いしたい旨のご提案がありました。皆 様のご賛同をいただいたと思いますので、高久委員に座長をお願いしたいと存じます。 座長、今後の進行をお願いします。 ○高久座長  ただいま、座長にご選出いただいた高久です。先ほどの局長のお話では、この医療安 全対策検討会議は平成13年度から始まっているということです。ご存じのように極めて 重要な検討会議ですので、私も心を引き締めて座長の座を務めさせていただきたいと考 えていますが、委員の皆様方にも積極的なご意見を是非承りたいと思います。よろしく お願いします。  早速議事に入ります。本日の議題は医療安全対策検討会議関連部会の活動状況、事故 等事案の収集事業、平成17年度の予算概算要求ですが、各々の議題について事務局から ご説明をいただいた上で、委員の皆さん方からご意見をいただきたいと考えていますの で、よろしくお願いします。  資料の確認を事務局からよろしくお願いします。 ○事務局  資料の確認をします。「第18回医療安全対策検討会議議事次第」、資料1、2、3、 参考資料1、2、3の7つの資料がお手元にあるかと思います。欠落等がありましたら 事務局にお知らせいただければと思います。 ○高久座長  最初に、「医療安全対策検討会議関連部会の活動状況について」です。前回、3月5 日のこの検討会議以降の各部会の活動状況について、事務局から随時順番に報告をして いただきます。よろしくお願いします。 ○事務局  資料1の「医療安全対策検討会議関連部会の活動状況について」順次説明します。1 頁に検討会議の概要の表が出ています。現在の組織体系です。この医療安全対策検討会 議をヘッドに、下に大きく4つの部会あるいはワーキンググループが動いています。医 薬品・医療用具等対策部会、ヒューマンエラー部会、この2つの下に事例検討作業部 会、医薬品・医療用具等対策部会の下にワーキンググループが1つという形になってい ます。それぞれの部会の活動状況について、簡単に報告をします。  2頁は、第17回医療安全対策検討会議(平成16年3月5日開催)以降における関連部 会の活動状況すべてを書いたものです。ヒューマンエラー部会部会長は、東海大学医学 部付属本部副本部長の堺先生、平成16年5月31日、6月21日、9月17日の計3回開催し ております。事例検討作業部会は、横浜市立大学の橋本先生が部会長で、平成16年7月 7日、11月16日の2回開催しております。医薬品・医療用具等対策部会部会長は、東京 女子医科大学名誉教授の桜井先生で、7月21日に開催しております。また医薬品類似性 検討ワーキンググループは、7月15日に開催しております。  次頁は、ヒューマンエラー部会の報告です。この部会は3回開催しています。3頁は 第8回の議事次第で、5月31日に開催をしたものです。病院におけるIT活用による医 療安全の取組等々、本年度から医療現場で役立つような取組をご紹介するという趣旨で 第8回から第10回まで、それぞれ分野を絞り込んだ形での取組のご紹介をしています。 第8回はIT化ということで、国立国際医療センター山西看護部長、森田看護師長によ る国立国際医療センターにおける取組、NTT東日本関東病院における取組ということ で、山本副看護部長にご報告をいただいています。  4頁は、第9回のヒューマンエラー部会で6月21日に開催しています。第9回は、内 視鏡手術に係る医療安全の取組ということで、内視鏡外科学会の医療安全担当理事の福 岡大学医学部白日先生に、内視鏡手術に係る医療安全の取組のご紹介をしていただいて います。5頁は、第10回のヒューマンエラー部会で9月17日に開催しています。こちら は、インスリン注射に係る医療安全の取組についてということで、日本看護協会看護研 修学校糖尿病看護学科専任教員の瀬戸氏によるインスリン注射に係る医療安全の取組に ついて、実例の報告をしていただいています。それ以外にそれぞれの回で、医療安全対 策ネットワーク整備事業ヒヤリハットの第8回、第9回、第10回の集計結果等のご報告 をしていただきました。  6頁は、事例検討作業部会の報告です。第7回の部会が7月7日に行われています。 こちらは注射薬のヒヤリ・ハット事例に関連した病院での取組ということで、第7回の 報告事例の中から注射薬に関してのデータを抽出して詳細な分析をしていただいていま す。また、それに関連する報告で、札幌社会保険総合病院の木村看護科長によるご発表 がありました。7頁は、第8回の事例検討作業部会が11月16日に行われています。この 回は、医療安全対策ネットワーク整備事業、ヒヤリ・ハット事例報告の第11回集計結 果、平成14年1年分の全般コード化情報集計結果についてのご報告をいただきました。  医薬品・医療用具等対策部会の報告をします。8頁です。第8回の医薬品・医療用具 対策部会が平成16年7月21日に開催されています。議題として、医薬品のコード表示に 関する標準化の検討会の設置及び体系を検討するためのワーキングの設置についての報 告をしています。それに関連して、現時点でバーコード等を導入している水野薬局及び 国立成育医療センターの先生方にご講演をいただきました。3として医薬品の類似性検 討ワーキンググループ、昨年も1年間検討したワーキングですが、本年度は改めて5つ あったワーキンググループを1つにまとめまして継続して審議するということで、新し い委員の方々及び検討する内容について報告しています。5は、昨年度検討した医薬品 類似性検討ワーキンググループの検討結果に基づく通知について、6月2日に発出した 通知の報告をしています。9頁は、医薬品類似性検討ワーキンググループの議事次第 で、先ほどの部会と同様の項目です。それプラス、現在の進捗状況について付け加えて 報告しています。以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。いま、各部会の報告が事務局から出されましたが、 何かご質問、ご意見はありますか。これは各部会でやっていますね。ある時期に部会の 報告として出るわけですか。それとも、この会議で全部まとめるのですか。 ○北島室長  これまでのところ、四半期に一度部会の報告ということで公表しています。ただ、コ ード化情報は年報として取りまとめてその都度発表していますので、公表については平 成15年の分を追って公表したいと思います。 ○桜井委員  私は、医薬品と医療用具のハードウェアというか、物としての安全対策部会をやらせ ていただいています。ちょっと感じたことを申し上げたいのですが、リスク管理は言う までもありませんがいろいろな要件があると思います。1つ目は、リスク管理というの はひとつの科学技術的な方法論、メソトロジーである。これを単なる精神論や掛け声だ けで終わらせない、要するに科学技術的な方法論であるという認識がないと、うまくい かない。2つ目は、そういうものがうまく機能するような安全意識文化というか、そう いう土壌がないとうまくいかない。安全やリスク管理というのは、縦軸にずっとつなが っていないとうまくいかない。どこか一カ所が良くても、他が抜けていればその抜けて いるところから必ず事故が発生する。今日のご報告を伺って感じたのは、ヒューマンエ ラー部会との間のクロストークがいままで1回もないのです。これは物は物、役所でい うとおそらく医政局と医薬食品局ということになるのかもしれませんが、ヒューマンエ ラー部会と医薬品・医療用具安全対策部会の間のクロストークがあって、しょっちゅう でなくていいと思いますが、年1回ぐらいはそういうものがないと実効性が担保されな いのではないかという気がしたので発言させていただきました。 ○高久座長  たまには合同部会を開いたらどうかというご意見ですが、検討していただけると思い ます。ほかに、どなたかご意見、ご質問はありますか。  次に、事故等事案の収集事業についてです。この事業の実施に当たりましては、医療 法施行規則の一部が改正されていますので、施行通知等についてもご報告をいただきた いと思います。事務局からお願いします。 ○事務局  資料2「医療法施行規則の一部改正について−事故等事案の収集事業の開始−」で す。1頁は通知です。本年9月21日に医政局長名で各都道府県知事、政令市市長、各特 別区区長に宛てた通知です。内容は1頁の下から3行ほどが、こちらの事業の趣旨・内 容です。「医療事故の発生予防・再発防止策を講じるため、医療現場から『幅広く』 『質の高い情報』を収集し、専門家により分析した上で改善方策を医療現場等に提供す る」といった目的で行われる事業です。  2頁の具体的な改正内容について、簡単に説明します。上から7行目ほどの「第二 改正内容」です。「平成16年10月1日より(1)対象医療機関の管理者は、当該医療機 関において(2)の事故等事案が発生した場合には、当該事案が発生した日から原則と して二週間以内に(3)に掲げる項目(詳細は別紙参照)を記載した報告書を作成し厚 生労働大臣の登録を受けたものに提出することとする」といった事業になっています。 多少細かくなりますが、対象医療機関が真ん中ほどに書いてあります。こちらの4つの カテゴリーの病院の提出が義務づけられています。国立高度専門医療センター及び国立 ハンセン病療養所、独立行政法人国立病院機構の開設する病院、学校教育法に基づく大 学の附属施設である病院、特定機能病院、こちらの4つの種類の病院について義務化と なっています。それ以外の医療機関に関しては、3頁の「第三 その他」に記載されて います。事故等事案の報告は義務づけられていませんが、あらかじめ登録分析機関に申 し出ることにより同様の報告を行うことが可能ということで、協力のお願いをしている ところです。  2頁の医療機関における事故等の範囲ですが、大きく3つのカテゴリーに分かれてい ます。誤った医療又は管理を行ったことが明らかであり、その行った医療又は管理に起 因して患者が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若 しくは予期していたものを上回る処置その他の治療を要した事案。2は、誤ったことが 明らかではないといった事例になります。3は、文章的には中身がわかりづらいです。 前二号に掲げるもののほか、医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資 する事案ということで、警鐘的事例と言っていますが、医療現場でこのようなことが起 こるのだろうかというものです。しかし、実際に起こっている事例についてのご報告を お願いしています。  報告を求める項目は、次の頁に5つを掲げています。発生した日時、場所、患者の性 別、年齢、病名、当事者の職種、医師なのか看護師なのか等の医療関係者に関する情 報、それから具体的にどのような内容の事故が発生したのかという情報、当該事案に関 し必要な情報とありますが、院内での分析結果等を記載して報告していただく形になっ ています。それ以降、通知の別紙等で報告を求める項目の詳細だったり、報告範囲の考 え方についての表等を付け合わせています。  10頁は官報です。現在登録を受けたものとしては、9月30日付で登録がなされた日本 医療機能評価機構です。ここに2週間以内に報告をしていただくといった仕組みになっ ています。説明は以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。いま、医療事故の登録について説明がありました。 対象とする医療機関が広がったことと、登録分析機関として医療機能評価機構が当たる という説明がありましたが、どなたかご質問はありますか。 ○堀内委員  2つお尋ねします。1つ目は10月以降にこの制度が動き出して、実際にどのくらいの 報告が既になされているか。2つ目は特定機能病院、特に国立大学病院ではいま病院長 会議等で、その公開基準について議論をしている最中だと思います。したがって、そう いう公開基準等は全国統一の話合いがなされないと、なかなか実効が上がらないと思い ますが、その手立てをどうお考えになっているかをお尋ねしたいと思います。 ○北島室長  10月以降の報告数は、医療機能評価機構で定期的に取りまとめ、個人名が入っている ものなどがありますので、そういったものをスクリーニングし内容をマスキングした上 で取りまとめて公表ということになっており、現在の中間的な数字は私どもに報告して いただいていない状況です。ただ、もう既にいくつかの所からご報告が上がっているこ とは伺っております。  公表基準は、私どもで一定の基準を設けているわけではありませんが、医療事故の情 報ですので他の医療機関の参考になるような事例については、個人情報の保護などの問 題もあり、そういったものにご配慮いただいた上で公表していただきたいことは日頃か ら申し上げています。特段これという一本化した基準を設けていない状況ですので、そ ういったことをまたこの検討会議でもご意見を頂戴できればと思います。 ○高津委員  3頁の第三、その他で、(1)以外の医療機関については、とありますが、これは私 たちの業界でいうと歯科診療所がほとんどこれに該当するかと思います。年間でもいく つかの死亡事例が出ますので、例えばこの会では診療所レベルはどの程度考えているか を伺いたいと思います。 ○北島室長  事故事例に関しては、義務づけられているものは先ほどご説明したとおりですので、 歯科大学もいま登録をご準備いただいています。ほかの医療機関については任意の方式 にはなっていますが、この事業の性質からいいまして広くご参加いただくようにお願い しているところです。 ○高久座長  患者が死亡した場合には、医師法21条で異状死として警察と同時に評価機構に届ける ことになるわけですね。 ○北島室長  医師法の21条は異状死と認められた場合になっていますので、検案をなさった、又は 診察をなさった先生のご判断によりまして届けていただいています。ただ、異状死であ ると認められる場合は、警察とこちらの両方にご報告をいただくことになります。 ○寺岡委員  届け出た症例についての検索はやりにくい状況だと思いますが、そういうものについ てもう少し利用する立場から見て、どのようにしていったらいいかの検討もすべきでは ないかと思います。 ○北島室長  実はこの事故事例の報告の前に、ヒヤリ・ハット事例の記述情報に関してご報告をい ただいていて、専門家のコメントを付けた形で検索可能にして医療機能評価機構のホー ムページに載せています。ただ、検索しにくい等いろいろなご意見があろうかと思いま すので、事故等事案の報告についてはいまのご意見を踏まえて、十分に利用しやすい形 で公表できるように登録機関にも連絡したいと思います。 ○寺岡委員  それは、どこかで相談する、協議する場はありますか。 ○北島室長  一応事業としては、登録機関である医療機能評価機構の中で運営委員会を設けて検討 していただいています。ただ、こういった検討会議でのご意見は事業に反映していただ きたいと思いますので、ご意見をまとめて私どものほうで医療機能評価機構の運営委員 会に持ち込みたいと思います。 ○寺岡委員  もうひとつ、医療機関から届出というか報告があったときに、それを全体の中での位 置づけや頻度なども分析した上で、その医療機関にフィードバックすることはしている わけでしょうか。 ○北島室長  とりまとめた形で公表ということで、医療機関のほうにはホームページ等をご利用い ただいておりまして、個別に返すという形にはなっていません。ただ、事故等事案のほ うにつきましては、医療機関からのご相談にのるというのも医療機能評価機構の事業に 入っていますので、原則は匿名でご報告をいただくことになっていますが、特段個別の ご相談があれば、評価機構で対応可能というようなシステムになっています。 ○寺岡委員  もうひとつ、これは公表の問題が絡んでいるので難しい問題もあると思いますが、医 療事故、あるいは警鐘的な事故も含めて、非常に多いところにいわゆるイエローカード を発行するような、アイデアはありませんか。 ○北島室長  事故の登録が始まったばかりですので、まだそこまでは深く検討はしていませんが、 またそういったことにつきましても、今後ご意見をいただきたいと思います。 ○高久座長  これは登録を受け付けて、それから匿名化するのではなくて、初めから匿名化した形 で受け付けているのですか。 ○北島室長  医療機関のコード番号がありますので、大体どういった医療機関から来ているかとい うことは、医療機能評価機構の一部の事務処理をしている所では、コード番号上ですが 承知しております。ただ、医療機関内の医療従事者の名前や、個人が特定できるような 情報は、削除して報告をいただいております。  また、公表段階では、医療機関名もマスキングした形での公表になります。 ○黒田委員  このシステムができることに関して、大変いろいろなディスカッションが行われてい るのです。もちろんこれは報告をいたしましたあと、再発防止の対策につながるような 解析をし、対策を講じていくのだろうと思いますが、そのシステムは評価機構に課せら れているのですか。  例えばここで大変問題になるのは、いま申しましたように、医療施設がわかっていて も、報告だけでもって解析できないと思われることです。そうしますと、担当の所に問 合わせをしたり、いろいろな調査をする機能というものがあって初めて対策に結び付く ような原因が浮かび上がってくるわけです。その場合には、どうしても人の名前が出て きてしまいます。これは航空事故のときにも大問題になりまして、航空事故調査委員会 の場合においては、設置法の中に「証言をしてもその証言によって不利にならない」と いうことを、法的に担保しているわけです。この場合には、法的に本当のことを話し、 それが刑法上のいろいろな問題とのつながりがあって不利益になっているようなこと を、何かプロテクトするような方法があるのですか、それともこれから考えていくので すか。 ○北島室長  そこの部分につきましては、今後の課題です。医療機能評価機構の体制については先 ほど申し上げましたとおりですが、医療機関からの報告をもとにこの事業をやっており ますので、個人名まで遡って調査にご協力できるかどうかにつきましては、医療機関か らの要請がないと難しい状況になっています。またそういった情報に関する航空事故事 例のような法的整備については、いまのところは未整備ですので、今後の検討課題とな っています。 ○高久座長  難しい問題ですね。ただ、医療機関によっては、かなり大きな事故の場合、当然調査 委員会をつくります。これをどういう形にするかは医療機関に任されるとしましても、 その兼合いということも起きてきます。評価機構が、調査委員会から特に報告を受ける ということはあるのですか。 ○北島室長  ご報告をいただいた医療機関からの要請があれば、そういったことも可能かと思いま す。ただ、まだスタートしたばかりですので、今後の動向を見守りたいと思っておりま す。 ○高久座長  ほかのご質問をどうぞ。 ○中村委員  3月13日付の朝日新聞に、総務省のほうから厚労省、あるいは文科省に、全病院と一 部の診療所の25,000施設で医療事故の報告をするようにとの勧告があったという記事が あります。そういう事実はありましたか。そしてそれに、どのような対応をするように お考えになったのかを、教えていただきたいのですが。 ○事務局  総務省の行政評価・監視の結果に基づく勧告(平成16年3月)により総務省のほうか ら何点か指摘を受けています。いまご意見のありました点も、その内容のひとつです。  例えば現在義務化されているところは、先ほど黒田委員もおっしゃられましたが、こ の事業を始める前段の議論をした委員会の中で、病院の中での報告体制、あるいは分析 体制がしっかりしている医療機関を対象として始めてみようという趣旨で、国立高度専 門医療センターや特定機能病院等の医療機関が、義務づけということになっています。 それ以外の医療機関は、手挙げ方式という形になっていますが、おそらく今後どういう 形になっていくのか、これもまさにまた委員の先生方のご意見を賜りながらという形に なるかと思います。ただ現時点ではそういった体制が整っている所は、いま申し上げた 義務化したような医療機関に限られるであろう、ということでのスタートになっていま す。 ○高久座長  よろしいですか。ほかにどなたかご質問をどうぞ。 ○井上委員  医薬品の関係ですと、緊急安全性情報と一般の副作用情報については、区分けをして 発表されています。特に危険度のレベルの高いものについては、緊急安全性情報という 形で、すぐに全国の医療機関で共有化したほうがいいので、厚生労働省のほうから全国 に発出をするわけでしたね。  ただホームページに掲載するだけでは、要するに能動的なアクセスでしかなかなか情 報が取れないわけで、例えば特定の医療器具や手技についての事故事例で、全国に緊急 にお知らせをしたほうがいいという報告が上がった場合には、どういう手段を今後お考 えなのかということをお聞きしたいと思います。 ○安全対策課長  少し訂正いたします。緊急安全性情報自体は、厚生労働省のほうで内容等は、専門の 委員の方々と相談して決めますが、伝達する手段としては、医薬品を所管、持っている 企業が、一応1カ月以内に医療機関に対して情報を伝える、現実的には1週間か2週間 ぐらいで、緊急の場合は伝えることになっております。それと同時に厚生労働省のほう は、マスコミを通じてこういう事案がありましたということを伝えることになっていま す。 ○高久座長  医薬品の場合は副作用情報として、緊急にやっています。器具の場合もそうです。ほ かにどなたかございますか。 ○楠本委員  いまのことに関連します。情報は非常にいろいろな所から発出されていまして、受け 取る側の問題もあろうかと思いますが、出された通知等が現場でどの程度普及・啓発さ れて実践されているのか、そういったことはどういう形で把握なさっているのか、また これからどういう形で把握なさる予定なのか、その辺をお聞きしたいと思います。とい うのは、本当に類似事故が増えておりまして、現場にいる私どもも、かなり気をつけて 情報を発信しているつもりですが、なかなか喉元過ぎればと言いますか、すぐ便利さ故 にまた元に戻すというような状況があります。そういうところに繰り返しどのように情 報を提供し、警報を鳴らし、またそれが守られているかどうかを把握する手段があれば と思いまして、お聞きしました。 ○北島室長  すべての医療安全情報の把握はなかなか困難ですが、その年に発出した通知等を踏ま えまして、医政局のほうで医療監視に関する基本通知をお出ししております。その中に 重要なものについては盛り込みまして、立入調査の際に確認をさせていただくというよ うな方法も取っています。ただ、全体につきましては、これもひとつの大きな課題だろ うと思います。 ○高久座長  ほかにどなたかよろしいでしょうか。いろいろご意見があると思いますが、この評価 機構の情報収集は始まったばかりです。ですから、先ほどご質問がありましたように、 どの程度集まっているのか、どのような分析を今後進めていくのかというのは、大きな 課題だと思います。委員の皆さん方もよく見守っていただければと思いますので、よろ しくお願いします。  次に、医療安全に関する平成17年度の予算概算要求について、説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料3「平成17年度予算概算要求について−医療安全対策の総合的推進− 」をご覧いただきたいと思います。  1頁ですが、本年度の予算が10億5,300万円に対しまして、平成17年度の要求額は14 億8,500万円です。主だったものについてご紹介をさせていただきます。  まず、冒頭局長からの挨拶にもありました、1の「診療行為に関連した死亡の調査分 析モデル事業」が約1億円です。こちらは後ほどご説明をさせていただきます。  2の「医療事故に関する情報の収集・分析・提供事業の推進」、こちらが先ほどご報 告しました日本医療機能評価機構における事故等の情報の収集事業ということになって います。  3の「医薬品表示コード化による医療事故防止対策の推進」ということで、医薬品の 名称や外観の類似により生じる製品取り違えの医療事故を防止するためのコード体系デ ータベースの整備を図るといった事業です。  4「その他」ということで、細々としたものをいくつか掲げております。1番上のハ イリスク施設・部署の安全ガイドライン導入には、平成17年度に初めて800万円という ことで計上させていただいています。こちらは昨年平成15年12月に、厚生労働大臣のほ うから医療事故対策緊急アピールというものが出されました。その中でも取り上げられ ている事故等が起こりやすいハイリスクな施設・部署、あるいは診療科、こういう所に 的を絞った形の安全対策を、ということのひとつです。来年度は多くの危険因子が存在 する集中治療室における具体的な「医療安全管理指針」の策定ということで、企画を考 えています。  2つ目の○にあります「周産期医療施設のオープン病院化モデル事業」、こちらも後 ほどご説明をさせていただきます。1頁にあります事業は、本年度もやっております。 来年度も同様に実施していきたいと思っています。  基本的に2頁目も、今年度と同じような形で事業を進めていきたいと思っています。 増額要求をしているのが、「医療における安全確保体制の構築に関する研究」というこ とで、厚生労働科学研究費、その下の「医療の質と信頼の確保に関する研究」、あるい は「医療安全の確保に資する電子カルテシステム等の開発と評価に関する研究」、以上 3つの研究費が大幅な増ということになっています。それ以外3頁までが、来年度予算 要求中の事業です。基本的には前年とほぼ並びという形で、予算要求をしているところ です。  4頁の診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業について、簡単にご説明しま す。まず事業の目的です。診療の過程において予期し得なかった死亡、あるいは診療行 為の合併症等で、医療機関の中で亡くなられた場合に、臨床面及び法医学・病理学の両 面からの解剖所見に基づいた正確な死因の究明と、診療内容に関する専門的な調査分析 とに基づきまして、診療行為の問題点と、死因との因果関係を明らかにし、同様の事例 の再発防止のための方策を専門的・学際的に検討し、それを広く普及するといった目的 です。実施期間は5年間、補助先は学会等、5頁に具体的なスキームがあります。医療 機関で診療行為に関連して亡くなられた患者さんが不幸にして発生した場合に、患者ご 家族の承諾を得た上で、設置されているモデル事業を行う調査受付機関(機能)に依頼 をしていただく形になります。依頼を受けますと、現地の調査部隊ということで、大き く2つに分かれています。1つが右側の「解剖」です。ご遺体を解剖させていただきま して、ご遺体のほうからの情報を得る。2つめが左側になりますが、「調査の実施」と いうことで、専門医がカルテ等を調査する、あるいは聴取り等を行って、情報を収集す る。これらの情報を総合して個別の事例の調査報告書というものを作成していただき、 その報告書を医療機関を通じて、医療機関や患者のご家族にお返しするといった内容で す。また個別の事例をたくさん集積したものを分析して、こういった事例が2度と起こ らないように予防的な方策等についての検討をしていただくといったものが、事業の大 きな枠組みの内容になっています。  6頁の「周産期医療施設オープン病院化モデル事業」です。こちらのほうは、安全、 安心な周産期医療体制の確保を図るために、ハイリスク分娩などを受け入れることが可 能な産科オープン病院を中心とした、周産期医療のモデル事業を行うための経費です。 具体的には病診連携のシステムを、地域に構築していただくという内容になっていま す。実施箇所数8か所程度で、3年ほどの実施期間を予定しています。7頁の図は、周 産期医療のオープン病院化のイメージになっています。上がオープン病院、下がそれぞ れの地域の診療所いう形になっています。産科の医療事故に関して申し上げますと、産 科関連の事故というのは非常に多い、というデータがあります。特に裁判・訴訟に係る 比率で言いますと、他の一般の内科等と比べて、3倍ほどの高率で訴訟が起こるという ことです。そのひとつの大きな要因として、特にハイリスクのお産が関連するという研 究結果が、過去に出ています。それを踏まえまして、大きくお産を2つに考えたもの が、左端にあるリスクの高い分娩とリスクがあまりない分娩、あるいは健診、こういっ たものを分けて、リスクの高い分娩は、大きな設備の整ったオープン病院で、リスクの 低い出産、あるいは健診等は地域の診療所で主に対応をしていただく。それぞれの医療 機関・病院等が密な連絡を取り合える、あるいはそういった場を設定するための連絡協 議会の設置の経費ということで、予算を計上しています。説明は以上です。 ○高久座長  ありがとうございました。平成17年度の要求の中で、医療安全に関する予算、特に4 頁にある診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業と、6頁の周産期医療施設オー プン病院化モデルについて説明がありましたが、どなたかご質問、ご意見はおありでし ょうか。 ○堀内委員  死亡原因ですが、例えば不審死が起こったときに、先ほどお話がありましたように警 察に届けて、この場合には司法解剖をするということになるわけですが、だんだんこう いうケースが増えてくるだろうと思われます。この事業の場合には、いわゆる不審死の 場合と、ここで扱おうとしているケースとの関係は、どのようにお考えなのでしょう か。 ○北島室長  このモデル事業につきましては、現行の制度の下でのモデル事業ですので、異状死で あるということであれば、警察に届けていただく必要はあろうかと思います。ただ、こ この図にありますように、診療行為に関連した死亡の場合、なかなか原因がわからない ものも多いわけですので、原因究明という観点で、医療機関からの要請に応じて、モデ ル事業に乗るということを考えています。ただ、警察との異状死の仕分けというか、線 引きの問題がありますので、モデル事業を実施する際には、運営委員会を設けて、警察 関係者等にも運営委員会にお入りいただき、そういった線引きも含めて、検討しながら この事業を進める予定にしています。 ○高久座長  よろしいでしょうか。これは監察機能を有する都道府県がモデルで、大体が監察医制 度のある所ですか。 ○北島室長  実は予算上、まずマンパワーの点で、監察医制度がある所を中心にお声を掛けるとい うことを考えて予算要求をしましたが、必ずしも監察医制度がなくても、法医学・病理 学の教室などが活発な地域につきましては、手を挙げていただいてもということで、ま だ予算は通っていないのですが、ご興味のある地域に、検討をいただいているところで す。 ○高久座長  ほかに質問はございますか。 ○中村委員  診療行為に関連した死亡の調査分析に関わるモデル事業に関連して質問します。10月 1日付の日経新聞に、こういう記事があります。医療不信を払拭しようと、日本内科学 会、日本外科学会など医療関連の19学会は、これは9月30日と思いますが、手術などで 患者が死亡した際に、ミスの有無などを中立的な専門機関で検証する制度を目指す共同 声明を発表したとありますが、このモデル事業とは関係ありますか。 ○北島室長  この流れは座長のほうが、十分ご承知かと思います。19学会が共同声明をお出しにな る前、今年2月に内科学会、外科学会、病理学会、法医学会の4学会が、先に同様の趣 旨の共同声明を出しておられます。そういった流れを踏まえ、医学会の動きに連動しま して私どもは予算要求をしていますので、モデル事業を実施する際には、そういった19 学会と連携を取りながら、また歯科のほうからも参加したいという声が出ていますの で、この事業は各診療科にご賛同をいただいて、共同で進めていくことを予定していま す。 ○北村委員  患者・家族・医療機関との間で、依頼を受けたあとに訴訟問題が発生するとき、ここ で作成された解剖あるいは死体検案書等を司法から当然要求されます。この場合、この モデル事業に参加している医療機関は提出する義務があるのか、あるいは患者側がすべ てコピーを取る権利があるのかどうか。訴訟問題と関連してどこまで司法あるいは警察 からの要求に対応しなければならないのか、拒否できるのかという辺りはどのようにな っていますか。 ○北島室長  モデル事業を実施するに当たっては、法律関係の方にもご参画いただいていまして、 その実施ルール等をいま関係者と詰めています。その中で、医療機関と患者の遺族に評 価結果の報告書そのものをお返しするというのがこの事業ですので、原則訴訟に関して は医療機関又は患者の遺族からそういった資料を提出いただくのが筋であろうと考えて います。 ○北村委員  医療機関と患者側と、両方同じものを持つわけですね。 ○高久座長  そうですね。  この周産期医療施設のオープン病院化は、8箇所が手を挙げる可能性があるのです か。 ○北島室長  オープン、セミオープンについては、日本産婦人科医会においても検討いただいてい る課題ですので、医会を通して全国の関係者にいま打診をしていただいています。箇所 数については予算上で検討中ですが、かなり興味をもっていただいている地域が多いと 伺っています。 ○高久座長  ほかにどなたかどうぞ。 ○寺岡委員  もう一遍、「診療行為に関連した死亡の調査分析に係るモデル事業」に戻って質問さ せていただきます。この事業の趣旨は、ここに書いてありますように「医療の質と安全 の関心を高めていくため云々」ということも非常に大きいのですが、一方では、届出の プロセスといいますかいまの在り方をどのように整理していくのか、あるいは再検討す る必要があるのかという点もあると思います。簡単に言えば、このシステムに届け出れ ばほかのところには届け出なくてもいいというようなやり方をモデル事業として取り組 むことができれば、事業の進め方あるいは目的からいってもいいのではないかと思うの ですが、その点はいかがでしょうか。つまり、二重に届け出なくてはいけないという問 題があります。 ○北島室長  19学会からの共同声明においても、届出機関の新設、それから中立的な機関での分析 評価を望むとなっていますので、将来向かう方向としては関係者からそういった要望を 受けています。そのようなことも含めて、このモデル事業で課題を整理することにはな っていますが、何分現行制度の下で実施する事業ですので、例えば明らかに患者の取り 違えのような形ですと、警察に異状死として届けていただかなければならないケースも あろうかと思っています。ただ、医療機関のほうではっきりしないものについてこの調 査受付機関に連絡があった場合、やはりこれは警察へ届けていただいたほうがいいだろ うという専門家の判断があった場合には、医療機関に是非届けたほうがいいというアド バイスをすることも検討しています。 ○高久座長  ほかにどなたか。それでは、参考資料の説明を事務局からお願いします。 ○事務局  それでは、参考資料について説明させていただきます。まず参考資料1「ヒヤリ・ハ ット事例収集事業参加登録状況」についてです。1頁をご覧ください。本年の3月4日 に医政局長、医薬食品局長の両局長名で、各都道府県知事宛にヒヤリ・ハット事例収集 事業の対象機関を、全医療機関に拡大するといった通知を発出しました。それ以降の経 過です。  2頁をご覧ください。本年11月1日現在の登録施設数です。4月以前までは、約250 の医療機関が登録をしていたのですが、今回1,257、約5倍という形で登録施設数が大 幅に増えています。内訳については、上記のとおり、国関係271、公的医療機関297、社 会保険関係団体72、法人関係449、個人23、その他145、締めて1,257医療機関というこ とになっています。  次に3頁ですが、こちらは都道府県別に見た登録施設数です。やはり医療機関の数が 多い地域の登録が多い傾向にあるのではないかと思っています。  続いて、参考資料2「医療安全支援センター設置状況等」についての報告をさせてい ただきます。1頁目をご覧ください。医療安全支援センターは各都道府県ごとに設置さ れており、簡単にいいますと、行政が設置している患者さんの相談窓口と考えていただ ければいいのですが、支援センターに対する支援事業ということで財団法人日本医療機 能評価機構に事業を委託しています。具体的には、ここに掲げられているように4つの 事業をしていただいています。  まず1つ目、相談職員の研修では、相談職員が2回、専門家が2回、それから代表者 の情報交換会が1回、計5回の相談職員研修を行っています。  2つ目、国民等に対する情報提供では、HP(ホームページ)上で医療安全支援セン ターの設置状況等について情報を提供しています。  3つ目、相談対応ガイドブックですが、昨年度平成15年度に相談対応ガイドブック作 成検討会を発足させまして、現在取りまとめを行い、年内配布の予定です。  4つ目、医療機関に対する医療安全支援センターの現状報告ですが、医療機関向けの 報告会を9月に開催しました。2頁は、その医療機関向けの報告会の内容です。講演と して「患者さまのご意見対応について」「患者側弁護士から見た医療事故相談の課題 」、後半はシンポジウムとして「医療安全支援センターの相談の現状と医療機関に期待 する取組み」という形で開催しました。  次に3頁をご覧ください。11月1日現在の医療安全支援センターの設置状況について の報告です。都道府県単位では、47都道府県すべてに設置が完了しています。二次医療 圏では、26の都道府県で設置済になります。指定都市に関しては下に掲げているとおり で、設置済が12箇所で、残りの1箇所も平成16年度に設置する予定になっています。中 核市は、18箇所が設置済で、残りの17箇所は平成17年度以降になります。政令市に関し ては、設置済が3箇所で平成17年度以降が6箇所、特別区に関しては設置済が1箇所、 平成17年度以降が22箇所ということになっています。  4頁は、相談受付件数です。昨年度1年間で36,961件、約37,000件の相談を受けてい ます。  5頁は、実際の相談件数の内訳を記載しています。大きく苦情と相談という形になっ ています。苦情では、医療行為、医療内容に関するものが9,200件余り、医療機関ある いは従事者の接遇に対する苦情が約500件、それから医療費に対する苦情が4,000件とい った形で、これらが多くなっています。また相談内容に関しては、病気や健康に関する ことが3,500件ほど、医療機関の紹介、案内が2,700件ほどということで、いま申し上げ たことが相談・苦情の中で多い内容となっています。支援センタヘーの設置状況等につ いては以上です。  引続き参考資料3「医療安全対策検討会議等について」ですが、1頁は冒頭でも説明 しました今年度の対策検討会議等の組織図です。2頁以降、それぞれの検討会議あるい は部会等の設置要項、委員の名簿です。  本年度はヒヤリ・ハット事例収集の対象機関を全国に拡大して、10月から医療事故の 情報収集が始まったことにより、収集事例が非常に増加してきています。また、従来こ の会議や下の部会等には、それぞれの部会の役割分担が不明確であるとか、従来数字の 解析だけに終わっていて施策や中身についての議論があまりなされていないのではない か、等の指摘がされているところです。このような指摘を踏まえて現在、ヒューマンエ ラー部会あるいは医薬品・医療用具等対策部会、事例検討作業部会等の役割の再整理 等、ヒューマンエラー部会あるいは医薬品・医療用具等対策部会で議論を始めていると ころですので、要項等をご覧いただければと思います。事務局からは以上です。 ○高久座長  いま、参考資料の説明がありましたが、どなたかご質問、ご意見ありますか。医療安 全支援センターの各県の中で、◎と○というのは、◎は都道府県と二次医療圏と両方あ るということですか。 ○事務局  そうです。 ○矢崎委員  医療安全支援センターの相談件数の内訳を見ますと、各医療機関にも医療相談窓口を 設置して、そこでこのような案件で相談が行われていると思うのですが、この医療安全 支援センターでの相談と各施設の主な苦情との質的な差というものはあるのでしょう か。 ○北島室長  個別の相談内容までは把握しておりませんで、そこまでの分析をしていませんが、一 部の県では相談内容を取りまとめて冊子にして配ったり、医療機関に連絡したりという ようなことをしていただいていますので、そのような取組を広げて医療機関の相談と支 援センターの相談の役割分担などについても、検討課題だろうと思っています。 ○寺岡委員  その件については私は少し違った感じをもっているのですが、私はたまたま広島県に いましたので状況を言いますと、医療機関の窓口と医師会の窓口、それから県の支援セ ンターとがあるわけですが、結局それぞれのところに同じ相談事例がいっているという 状況がかなり多いと思います。これは科学的なデータではありませんが、オーバーラッ プしている状況も相当あるのではないかと思います。 ○北村委員  県のほうにきた苦情並びに相談事項は、もちろん患者はどこの病院で起こっていると いうことをおっしゃると思うのですが、それを各病院にどのように返還し、どのように 指導するという権限は、県がもっているのでしょうか。 ○北島室長  申しわけありません。すべての県の状況ではありませんが、いくつかの県に伺います と、相談者に確認しまして病院のほうに是非伝えて欲しいという場合には、きちんとお 伝えし、どうしてもまだ入院中なので言わないで欲しいというような相談については、 その相談機関にとどまっているという状況も伺っています。 ○高久座長  かなりの数があり、具体的には分からないと思いますが、かなり時間を取られるので しょうね。ほかに、この参考資料についてどなたか。 ○高津委員  いまの意見ですが、都道府県で集計したものが全体の数として上がっているようです が、例えばその中から歯科に関わるものだけを収集するには、どこに行けばそのような 資料が公表されていますか。いくつかの県で歯科関係だけを収集しているのですが、ど この元締めに行けば全部洗い出されるのかを教えてください。 ○北島室長  都道府県事業としてお願いしていますので、県によってきちんと整理して公表してい る所と、内部資料にとどまっている所とがありまして、全国一律に集計をすることが難 しい状況になっています。 ○中村委員  北九州市も指定都市としてこのセンターがあるわけなのですが、この医療安全推進週 間の1つの目玉として、担当者に講演していただきました。大変参考になったのです が、医療事故に関するような相談あるいはクレームの電話は割と少なくて、全般にいろ いろな項目にわたっていたことが印象的でしたが、中には医療機関に相談窓口があれ ば、もうそこで解決してしまうのではないかということも多々あるような感じがしまし た。  これは医師会で開催して、非常に参考になったということで公表したのですが、担当 者から1件で2時間ぐらいの電話があったという苦労話を聞かされました。非常にソフ トな感じで対応していまして、我々もそれを見習わないといけないかなと感心させられ ました。せっかくそのようなセンターの活動がありますので、できるだけその内容を実 地の方々に報告できるような方向にもっていっていただくといいのではないかと思いま す。 ○高久座長  9月に医療機関向け報告会が、主に病院の方々を集めて行われましたが、これを広げ ていけばと思います。 ○矢崎委員  繰返しになりますが、各施設での窓口の相談であれば、比較的個別にすぐ対応するこ とが可能ですが、各都道府県のセンターでいろいろな個別の苦情がきた場合には、その 場で対応するのが極めて困難ではないか、言われていることがどういう状況なのかを把 握することがそもそも難しいのではないかと思います。最初は聞き置くで終わってしま うのかなという気がしました。 ○高久座長  セカンド・オピニオンなどは、医療機関には聞きにくく、むしろこのようなところで 聞く可能性がありますが、意外と少ないですね。 ○中村委員  意外と多かったのは、転院を勧められてどうしたらいいのでしょうかということで、 これはできれば各医療機関が病病・病診連携で解決してあげたら随分違うのではないか なと思います。医療事故等の電話よりも、むしろそちらのほうが頻度としては多かった ような感じがしました。 ○高久座長  どうもありがとうございました。特にご意見、ご質問がなければ、一応用意した資料 の説明は、これで終わりますが、全体について何かありましたらどうぞ。 ○山崎委員  先ほどの議事の2に関連することで少し申し上げたいのですが、事故事案の収集が始 まってこの結果が専門家・担当者のところに伝わって、事故の予見・予防につながるこ とは大変結構だと思いますが、特に発表に関して、医薬品・医療器具の事故に関わる結 果が発表される場合、例えばマスコミに伝わった場合は結果だけが発表されるという事 例が多いです。その結果として、いままで一般生活者の方々に不安と不信を与えること があったように思われます。したがって発表される場合には、関連する協会や専門学会 等の連携によって、その原因や対応の方法まで踏み込んだ内容をもった情報が伝わって いくと、このような事故事案がそのまま生活者の不安・不信につながることが抑制され るのではないかと思っています。 ○黒田委員  全般について少し提案があるのですが、この会はもう3年以上経っています。そうす ると、我々のやっていることによって医療安全がどのぐらい改善されているかという物 差しはどのように取るかということがすごく問題だろうと思います。私どもはちょうど ヒューマンエラーなどをやっていますので、現場の方々にいろいろと相談にあずかった り講演をしたり、現場は大変熱心にやっています。特に看護師の方々は、直接的なトラ ブルがあったときには、表に立ってきますから、とても熱心なのです。それから医療安 全支援センターの方もそうであるように、枠組みが非常にたくさんできました。いまま であまり手を加えてこなかったので、いろいろなところに手を広げざるを得なかったこ とはよく分かるのです。例えばリスクマネージャーというものを置いていまして、アサ インはされているのですが実際にどのようなアプローチをしていったらいいのだろうか ということを現場は悩んでいます。それから、決して人間が十分にあり余って仕事がで きるというわけではないので、リスクマネージャーやいろいろな職務を全部兼務してい ます。  それから、ヒヤリ・ハットを含めて報告書がたくさん出てきますが、医療安全をやっ ていく上でもっと効率のいいシステムデザインを、そろそろ振り返ってみなければいけ ない時期だという感じがします。あまりにもいろいろなことがありまして、それがかえ って医療過誤を起こしている理由になっているところがあります。ですから、その辺り を一生懸命やっている現場や行政の方々はいいのですが、ヒヤリ・ハット事例を出す場 所が増え、それを利用して安全につなげていかなくてはいけないので、たくさん出たも のをどう処理をしてどう現場にフィード・バックしていくのか、現場は情報の洪水の中 で、実は大変困っているところがたくさんあります。そのような問題を踏まえて、もっ と効率よく、安全はあまり気を使いながら一生懸命やらなければいけないことではない ので、ひとりでにそういうシステムになっていくような状態が最も理想的なのです。そ の辺のいままでの評価はおそらく大変有効な部分もあるでしょうし、あまり有効でない 部分もあるでしょう。それから現場の声ですが、大きな病院のようにリスクマネージャ ーを何人も置けるところとは違いまして、小さな病院はとても苦労しています。その辺 りをそろそろ整理しないといけないのではないかという気がします。 ○高久座長  非常に率直な意見をありがとうございました。私も事故が起こったある大学病院に行 きましたら、リスクマネージャーの方々がたくさんいまして、こんなにたくさんの人が いて大変だなという実感をもちましたので、おっしゃる通りだと思いますし、3年以上 経ちますので少し整理する必要も出てくると思います。ヒヤリ・ハットの報告、事故の 報告それから第三者機関など、現場はおっしゃるように非常に大変だと思いますが、そ れだけ安全に対する意識は高まったと思います。しかし、逆にあまり負担になるとマン パワーは限られていますので、黒田委員のおっしゃるとおり、かえって事故が増える可 能性もあると思います。いまのご意見を踏まえて、この委員会でもそのようなことも考 えながら進めていきたいと思います。 ○長谷川委員  単なる情報提供ですが、国際的な医療安全を巡る状況としては、かなりいろいろな活 動がありましたのでご報告します。10月27日にWHOで以前から懸案であった患者の国 際連盟が結成されまして、ワシントンDCで約5、60名の国際的なエキスパートが集まっ て会議が始まったようです。2002年にイギリスの病院局長のドランズさんという方が提 唱されて近々では9月に上海で会議があり、最終的に10月27日に国際連盟が発足したと いうことで、リー事務総長も来られてセレモニーがありました。  この連盟は、6つの領域を国際的に協同でやっていこうということになっているよう で、1つは具体的な挑戦、この2年間は院内感染を減らすこと。2つ目は患者の参加、 3つ目は用語の定義、英語ではtaxonomyといいますがアクシデントとヒヤリ・ハットと いう言葉が非常に混乱していますので、その辺をきちんと定義していこうということで す。4つ目は研究領域、5つ目は具体的な安全方策、6つ目は報告システム、特に報告 システムについては、どのようなシステムを組むといいのか、あるいはどのようなフォ ーマットで始めるのがいいかというガイドラインを現在作成中で、近々発表されると聞 いています。WHOがそのような活動を始めたようですが、EUも同様の活動を始めた というふうに聞いております。 ○高久座長  どうもありがとうございました。それでは、事務局から今後の予定をお願いします。 ○事務局  次回の日程については委員の皆様の日程を確認のうえ、後日ご連絡させていただきま す。それから最後になりましたが、遅れてご出席いただいた委員の方々の紹介をさせて いただきます。国立循環器病センター総長北村惣一郎委員、日本看護協会常任理事楠本 万里子委員、北里大学薬学部教授望月眞弓委員、以上です。 ○高久座長  それでは、これをもちまして第18回医療安全対策検討会議を終わらせていただきま す。どうもありがとうございました。                       (照会先)                       医政局総務課医療安全推進室指導係長                       電話 03-5253-1111 (内線2579)