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資料1
「健康食品」に係る制度の見直しについて

本年6月に、「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会において出された「提言」について、パブリックコメント等を行い、以下の具体的内容にて実施する予定である。
表示内容の充実−特定保健用食品(特保)制度の見直し−
※赤字が諮問事項
○現行の特保の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を条件付きで特保として許可する
【条件付き特保】
○特保としての許可実績が十分である等科学的根拠が蓄積されており、事務局審査が可能な食品について規格基準を定め、審議会の個別審査なく許可する
【規格基準型特保】
○関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、特保の許可において表示を認める
【疾病リスク低減表示】
表示の適正化−特保・栄養機能食品における表示規制の強化−
○特保・栄養機能食品に「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示を義務づける
○栄養機能食品制度の悪用を防ぐため、定義規定の見直し及び表示禁止規定の創設を行う
○栄養機能食品について、「栄養機能食品(栄養素○○)」という表示を義務づけ、食品中の他の成分・物質による機能表示ではないことを明らかにさせる

○栄養機能食品の表示基準が定められていない残り8つのビタミン・ミネラルについて、栄養機能食品の対象成分となるかどうか検討する
安全性の確保−ガイドラインに従った自主管理の促進−
○錠剤・カプセル状食品の製造者等に対し、GMP(適正製造規範)・原材料の安全性確認のための自己点検ガイドラインを通知する



条件付き特定保健用食品について

提言の概要
現行の特定保健用食品制度では、身体に対する特定の効果に関する「身体の構造/機能表示」を十分認めることができていないため、消費者にとって曖昧な表示を増加させているおそれがある。
国民に対する食品機能についての正確で十分な情報提供を確保する観点から、現行の特保の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として、許可対象として認めることとする。
↓
<条件付き特保の科学的根拠について>
現行の特保に比べ、(1)作用機序、(2)有効性を確認する試験の方法、の2方向から審査基準を緩和し、条件付き特保とする。
試験
作用機序
無作為化比較試験
(危険率5%以下)
無作為化比較試験
(同5%を超え10%以下)
非無作為化比較試験
明確 現行特保 条件付き特保 条件付き特保
不明確 条件付き特保 条件付き特保 ×
※試験の質の担保、安全性についてのヒトや動物試験、国立健康・栄養研究所等による試験等については、従来通り。
<表示について(省令改正事項)>
許可表示:「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適していることが示唆されている食品です。」
マーク及び文字:「条件付き特定保健用食品」と表示させる。
※疾病リスク低減表示は条件付き特保の対象外。
 <参考> 条件付き特定保健用食品



規格基準型特定保健用食品・疾病リスク低減表示について

提言の概要
【規格基準型特定保健用食品】現行の特保において許可されている食品の中で、許可実績が十分である等科学的根拠が蓄積されているもののうち、薬事・食品衛生審議会・食品安全委員会において個別審査を行わなくても許可できるものについて、規格基準を定め、事務局において適合するか否かの審査を行うこととする。

【疾病リスク低減表示】特保の許可表示の一つとして、関与成分と疾病リスク低減効果の関係が医学的・栄養学的に確立されていることが示された場合、疾病リスク低減表示を認めることとする。
↓
<規格基準型特保について>
○既許可の特保のうち、以下のスクリーニング基準を満たすものについて、順次研究班で規格基準の作成を検討していくこととする。※疾病リスク低減表示は対象外。
(1)保健の用途の許可数が合計100件を超えている、(2)関与成分の最初の許可から6年を経過している
(3)複数の企業が当該保健の用途を持つ当該関与成分について許可を取得している
○今回、(1)〜(3)を満たし、研究班において現在、規格基準の作成を検討している関与成分は、「おなかの調子を整える」等の表示をする以下の10成分である。



難消化性デキストリン・ポリデキストロース・小麦ふすま・グァーガム分解物・大豆オリゴ糖・フラクトオリゴ糖・乳果オリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・キシロオリゴ糖・イソマルトオリゴ糖


<疾病リスク低減表示について>
○現時点において科学的根拠が確立されており、特保の許可対象として認める必要性があると考えられるものは、提言で指摘されている「カルシウムと骨粗鬆症」・「葉酸と神経管閉鎖障害」の2つである。
○カルシウムが疾病リスク低減効果を発現する目安量を300〜700mgとする。
(下限値=(食事摂取基準の目安量)−(同平均摂取量)、上限値=医薬品の目安量上限値)
○葉酸が疾病リスク低減効果を発現する目安量を400〜1000μgとする。
(下限値=食事摂取基準において摂取が望まれるとされている量、上限値=同上限量)
 規格基準型、カルシウム及び葉酸に係る疾病リスク低減表示については、いずれも、ヒト摂取試験、国立健康・栄養研究所等による許可試験等については従来通り。



表示の適正化について(1)(バランスの取れた食生活の推進)

提言の概要
過度に「健康食品」に期待し、「健康食品」の摂取を偏重する傾向があるとの意見を踏まえ、こうした傾向を是正し、バランスの取れた食生活について普及啓発を図るため、少なくとも特定保健用食品(既許可のものも含む)・栄養機能食品に「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」等の表示を義務づける。
↓

<特定保健用食品・栄養機能食品について(省令改正事項)>
○「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示を義務づける。

<その他の「いわゆる健康食品」について>
○摂取を偏重する傾向については、特保・栄養機能食品以外についてもあてはまることから、同様の表示を努力義務として課すこととする。



表示の適正化について(2)(栄養機能食品)

提言の概要
【「ダイエット用食品」等における栄養機能食品の表示禁止】
栄養機能食品であって、「ダイエット用食品」と称する食品や、栄養素機能表示が認められていない成分を商品名等で強調した食品など、栄養機能食品の制度の趣旨に照らして不適切な食品は、栄養機能食品の表示をしてはならないこととする。
【栄養素名の表示の義務づけ】
栄養素の機能の周知という点から、現行の「栄養機能食品」という文字での表示に加え、「栄養機能食品(栄養素カルシウム)」等、栄養素名を表示させることとする。
↓

<栄養機能食品における表示禁止事項について(省令改正事項)>
消費者が、本来「栄養機能食品」と表示できない物質についての栄養機能食品であるかのように誤認するような表示を禁止するため、たとえば、以下のような場合にあたる表示を禁止する。
(例)ダイエット等の痩身効果を表示する場合
他の物質の機能等を容器包装の前面等において、より大きく表示している場合

<栄養素名の表示の義務づけについて(省令改正事項)>
「栄養機能食品(栄養素○○)」と表示させる。

<栄養機能食品の定義規定について(省令改正事項)>
現行の定義規定では、栄養機能食品制度の趣旨を十分に表していないことから、定義規定に次の考え方を追加する。
 栄養機能食品は、食生活において特定の栄養成分の補給を主たる目的として摂取をする者に対して表示をするものであること



表示の適正化について(3)(栄養機能食品の成分追加)

提言の概要
現在、栄養機能食品の表示が認められていない残りのビタミン・ミネラル(8栄養素)についても、機能表示を適正化し、消費者へ適切な情報提供を行う観点から、規格基準の設定を検討する。
※残りのビタミン・ミネラル:ビタミンK、リン、カリウム、ヨウ素、マンガン、セレン、クロム、モリブデン
↓

<ビタミンK・リン・カリウムについて>
国民栄養調査の栄養素摂取量によると、3栄養素とも全ての年齢層にわたって必要量を満たしている。

<ヨウ素・マンガン・セレン・クロム・モリブデンについて>
摂取量等の調査が行われていない。

<結論>
従って、これら8栄養素については、当面、消費者への適切な情報提供を行う観点から、(独)国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性のデータベース」を活用して各栄養成分に関する科学的情報の提供を進めることとする。



安全性の確保について

提言の概要
【錠剤・カプセル状等食品のGMPガイドラインの作成】
錠剤・カプセル状等の濃縮された形状の食品について、そのものの均質化を図り信頼性を高めるためにGMPのガイドラインを作成する。
【錠剤・カプセル状等食品の原材料に係る安全性ガイドラインの作成】
原材料の中に天然に微量に含まれる毒性物質が濃縮された場合の過剰摂取による健康被害を防ぐため、原材料の安全性確保に係るガイドラインを示す。
↓

<GMPガイドラインについて>
基本的な考え方は、原料の受け入れから最終製品の出荷に至る全工程について、一定の品質の製品を製造するための様々なチェックを設け、それを守って製造するというものであり、製造管理、品質管理の両観点から、ハード面(構造設備)・ソフト面(作業管理)にわたる工程管理を推進する。
具体的には、製造管理、品質管理の両観点において、責任者の設置と、管理業務の基準書の作成を行い、それらによる適切な管理が行われているかどうかについて記録の作成・保存を行うもの

<原材料の安全性自己点検ガイドラインについて>
原材料の安全性を自己点検するためのフローチャートを示す。
自己点検フローチャートのポイントは以下の2つ。
(1)原材料の製造に使用される基原原料について、文献検索で安全性・毒性情報等の収集を行う
(2)食経験に基づいて安全性を担保できない場合等は原材料等を用いて毒性試験を行う



特定保健用食品の許可の手続

「現」の図

「新」の図



ヒト試験の実施におけるヘルシンキ宣言の遵守について

現状について
○特定保健用食品の審査申請に当たってのヒト試験の実施については、平成13年の保健機能食品制度の施行の際に以下の通り通知している。
「保健機能食品の創設等に伴う特定保健用食品の取扱い等について(平成13年食発第111号)」
ヒトを対象とした試験
 原則として、審査申請する食品(以下「申請食品」という。)を用いて実施する。動物試験において保健の用途に係る有効性を確認した後、ヒトを対象とした試験(以下「ヒト試験」という。)を実施し、保健の用途に係る効果及び摂取量を確認する。
 ヒト試験は、ヘルシンキ宣言の精神に則り、常に被験者の人権保護に配慮し、倫理委員会等の承認を得て、医師の管理の下に実施する。
○これについては、「疫学研究に関する倫理指針(平成14年文部科学省・厚生労働省告示第2号)」において具体化されているが、現在、平成17年4月からの「個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)」の本格的な施行に伴い、所要の見直しが行われているところ。
↓

この見直しを踏まえ、被験者の人権等、倫理面に配慮したヒト試験の実施について、新制度の施行時に改めて周知することとする。


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