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障害に係る公費負担医療の利用者負担の見直し



障害に係る公費負担医療制度の概要

○精神障害者通院公費
精神障害者通院公費のグラフ
○更生医療、育成医療
更生医療、育成医療のグラフ
  精神通院
(昭和40年創設)
更生医療
(昭和29年創設)
育成医療
(昭和29年創設)
対象疾患 精神疾患 視覚障害、聴覚障害、
肢体不自由、内部障害 等
視覚障害、聴覚障害、
肢体不自由、内部障害 等
対象年齢 全年齢 18歳以上 18歳未満
月平均
利用件数
約70万件
(平成14年)
約8万件
(平成14年)
約1万件
(平成14年)
1件平均
医療費
約3.2万円
(通院のみ)
約40.0万円
(入院・通院)
約41.2万円
(入院・通院)
平均負担額 約1,600円/月 約3,200円/月 約5,600円/月
課税世帯割合 約1〜2割(推計) 約5〜6割 約7〜8割



障害に係る公費負担医療の負担軽減措置の課題

○ 現行水準
  精神通院公費
(応益負担)
更生医療
(応能負担)
育成医療
(応能負担)
医療保険負担上限
<多数該当>
生活保護世帯 医療費の5% 0円 0円 35,400円
<24,600円>
市町村民税非課税世帯 医療費の5% 0円 2,200円
市町村民税課税世帯 医療費の5% 4,500〜
44,000円
4,500〜
44,000円
72,300円+医療費1%
<40,200円>
一定以上所得者 医療費の5% 44,000円
〜給付対象外
44,000円
〜給付対象外
139,800円+医療費1%
<77,700円>
※1 更生医療、育成医療の通院については、上記額の1/2
※2 多数該当とは、同一世帯で直近12か月に高額療養費の支給月額が3か月以上ある場合、4か月目から自己負担上限が軽減されるもの。
↓
○ 負担軽減措置の課題
 精神通院公費については、完全に医療費に応じた応益負担となっているため、低所得者であっても高額の医療費の場合には高い負担を求められる。
→ 低所得者に厳しい制度
 更生・育成医療については、所得に応じた応能負担となっているために、医療費の額の多寡が利用者負担に反映されない。
→ 同じ所得層での負担率の不公平



障害に係る公費負担医療の利用者負担の見直し(案)
− 給付対象者の重点化等 −

障害に係る公費負担医療の利用者負担の見直し(案)の図



障害に係る公費負担医療の「制度面」での見直し(案)
− 医療費と所得に着目 −

 医療費のみに着目した応益負担(精神)と所得にのみ着目した応能負担(更生・育成)を、次の観点から、「医療費と所得の双方に着目した負担」の仕組みに統合する。
 制度間の負担の不均衡を解消する。(障害者間の公平=医療費の多寡・所得の多寡に応じた負担
 必要な医療を確保しつつ、制度運営の効率性と安定性を確保する。(障害者自らも制度を支える仕組み)

障害に係る公費負担医療の利用者負担の見直し(案)の図

 ※ 市町村民税非課税の者のうち、食費の減免を受ければ生活保護を要しないこととなる者については、個別に認定を受けて食費を減免。



具体的な利用者負担
当初試算における案



平均的な医療費の利用者の負担の変化(当初試算)(1)
− 通院 −
(精神通院公費)
平均的な医療費
3.2万円
(更生医療)
平均的な医療費

(人工透析)28.1万円
(それ以外)12.5万円
(育成医療)
平均的な医療費
 2.6万円
  現行 改正後
生活保護 1,600円 0円
市町村民
税非課税
I 1,600円 2,500円
II 1,600円 3,200円
一般 重度
かつ
継続
1,600円 3,200円
その他 1,600円 3,200円
全体 1,600円
(5%)
2,113円
(6.7%)
  現行 改正後
生活保護 0円 0円
市町村民
税非課税
I 0円 2,500円
II 0円 5,000円
一般 重度
かつ
継続
所得に応じて
2,250
〜22,000円
(10,000円※)
5,000円
(所得税課税は
10,000円)
その他 所得に応じて
2,250〜
22,000円
12,500円
全体 2,593円
(1.0%)
6,873円
(2.6%)
  現行 改正後
生活保護 0円 0円
市町村民
税非課税
I 1,100円 2,500円
II 1,100円 2,600円
一般 重度
かつ
継続
所得に応じて
2,250〜
22,000円
2,600円
その他 所得に応じて
2,250〜
22,000円
2,600円
全体 2,081円
(8.0%)
2,578円
(9.6%)



平均的な医療費の利用者の負担の変化(当初試算)(2)
− 入院 −
(更生医療)
 平均的な医療費
  94.4万円
(育成医療)
 平均的な医療費
  82.1万円
  現行 改正後
生活保護 0円 0円
市町村民
税非課税
I 0円 2,500円
(+食費)
II 0円 5,000円
(+食費)
一般 重度かつ
継続
所得に応じて
4,500〜
44,000円
5,000円
(所得税課税は
10,000円)
(+食費)
その他 所得に応じて
4,500〜
44,000円
72,300円
(+食費)
全体 5,279円
(0.6%)
35,000円
(3.7%)
  現行 改正後
生活保護 0円 0円
市町村民
税非課税
I 2,200円 2,500円
(+食費)
II 2,200円 5,000円
(+食費)
一般 重度かつ
継続
所得に応じて
4,500〜
44,000円
5,000円
(所得税課税は
10,000円)
(+食費)
その他 所得に応じて
4,500〜
44,000円
72,300円
(+食費)
全体 9,400円
(1.1%)
61,250円
(7.5%)



一人あたり医療費の構成(精神通院)

一人あたり医療費の構成(精神通院)のグラフ



モデル的な利用者の負担
(精神通院)(当初試算)

モデル1  精神通院: うつ病 月1回の受診と継続的な服薬 月額医療費約1万円
  現在 見直し案
生活保護 0.5千円(5%) 0円(0%)
低所得1 1千円(10%)
低所得2 1千円(10%)
所得税課税 1千円(10%)
一定所得以上 3千円(3割)

モデル2  精神通院: 統合失調症 デイケア等を利用 月額医療費約15万円
  現在 見直し案
生活保護 7.5千円(5%) 0円(0%)
低所得1 2.5千円(1.7%)
低所得2 5千円(3.1%)
所得税課税 1万円(6.7%)
一定所得以上 4.5万円(3割)

 ※ 上記数値は月額の負担額である。( )内は、医療費に対する当該負担額の比率(平均負担率)である。



モデル的な利用者の負担
(更生医療・育成医療)(当初試算)

モデル3  更生医療:腎疾患 通院で人工透析を実施 月額医療費約28万円
  現在 見直し案
生活保護 0円(0%) 0円(0%)
低所得1 0円(0%) 2.5千円(0.9%)
低所得2 0円(0%) 5千円(1.8%)
所得税課税 3.5千円(1.2%)
〜1万円(3.6%)
1万円(3.6%)
一定所得以上 1.0万円(3.6%) 1万円(3.6%)

モデル4  育成医療:先天性心臓疾患 月額医療費約150万円
  現在 見直し案
生活保護 0円(0%) 0円(0%)+650円×日数
低所得1 2.2千円(0.1%) 2.5千円(0.2%)+650円×日数
低所得2 2.2千円(0.1%) 5千円(0.3%)+650円×日数
所得税課税 6.9千円(0.5%)
〜4.4万円(2.9%)
8.49万円(5.7%)+780円×日数
→健康保険の規定通り
一定所得以上 5.23万円(3.5%)
〜健康保険の規定通り
15.01万円(10.0%)+780円×日数
→健康保険の規定通り

 ※1 上記数値は月額の負担額である。( )内は、医療費に対する当該負担額の比率(平均負担率)である。
 ※2 650円、780円は入院時の食費にかかる標準負担額(医療保険で自己負担と定めている)である



見直しに係る論点と経過措置等



障害に係る公費負担医療の利用者負担の見直しに伴う論点

 「重度かつ継続」の具体的な範囲の明確化。

 通常高額の医療費が継続的に発生する「重度かつ継続」であるが、一定所得以上の者に係る円滑な移行のための経過措置。

 例えば精神通院公費 統合失調症 医療費15万円  7.5千円 → 4.5万円

 今回の見直しで、平均負担率が1%台から7〜8%になると推計される育成医療に係る負担の円滑な移行のための経過措置。

 精神通院は5%→7%程度、更生医療は1%→3%程度へと変化することとの均衡

(発生要因)
 所得税額30万円未満の若い世帯(課税世帯)の比率が高い(約7割)こと
 上記世帯で、1ヶ月で高額な医療費が発生する場合(小児の先天性心臓疾患等など)には、実質的に給付対象外となること等

 こうした事例も、年間医療費負担でみれば、重度かつ継続と同じような負担水準(月額1万円上限×12月=年間12万円)となり、総負担額の面からは公平性が図られている。



制度改正案に係る経過措置等の概要

 「重度かつ継続」の範囲の見直し
 「重度かつ継続」の範囲については、実証的な研究を踏まえて2年以内に見直し。
 (その後も医学の進歩等の状況も踏まえて、継続的に見直し。)

 「重度かつ継続」であって「一定所得以上」の者に対する経過措置
 「重度かつ継続」に該当するものの、高所得の者についても、制度施行時には、給付対象となるようにする。この場合の負担上限は2万円程度とする。(段階的に見直し)

 育成医療(若い世帯)における「中間層」への経過措置
 中間層において、小児の心臓疾患など高額の医療費が一時的に発生するため、実質的に育成医療の対象とはならない場合(医療保険の高額療養費に該当)も、制度施行時には、育成医療の対象となるようにする。(段階的に縮小)



制度改正案に係る経過措置等の概要(整理図)

制度改正案に係る経過措置等の概要(整理図)



育成医療(若い世帯)の経過措置の概要

 施行時に平均負担率が急上昇する育成医療の激変緩和措置として、一定の年齢以下の者の入院医療費の計算において一定の控除制度を設ける。(食費の標準負担額は患者負担)

 この経過措置により、「重度かつ継続」以外の中間層(一時的に高額医療費の発生するもの)が給付対象となり、平均負担率は、1%台(現状) → 7〜8%台(見直し案) → 5%台(経過措置)と推計。

育成医療(若い世帯)の経過措置の概要の図

○ 当初の計算方式: 平均入院医療費の額まで 実医療費の1/2として計算
 平均入院医療費を超える部分は 実医療費の1/4として計算



経過措置による利用者の負担の変化

モデル2  精神通院: 統合失調症 デイケア等を利用 月額医療費約15万円
  現在 見直し案 経過措置
生活保護 0.75千円(5%) 0円(0%) 0円(0%)
低所得1 2.5千円(1.7%) 2.5千円(1.7%)
低所得2 5千円(3.1%) 5千円(3.1%)
所得税課税 1万円(6.7%) 1万円(6.7%)
一定所得以上 4.5万円(3割) 1.5万円(10%)

モデル4  育成医療:先天性心臓疾患  月額医療費約150万円
  現在 見直し案 経過措置
生活保護 0円(0%) 0円(0%)+650円×日数 0円(0%)+650円×日数
低所得1 2.2千円(0.1%) 2.5千円(0.2%)
+650円×日数
2.5千円(0.2%)
+650円×日数
低所得2 22.2千円(0.1%) 5千円(0.3%)
+650円×日数
5千円(0.3%)
+650円×日数
所得税課税 6.9千円(0.5%)
〜4.4万円(2.9%)
8.49万円(5.7%)
+780円×日数
→健康保険の規定通り
5.8万円(3.9%)
+780円×日数
→約2.7万円の給付
一定所得以上 5.23万円(3.5%)

〜健康保険の規定通り
15.01万円(10.0%)
+780円×日数
→健康保険の規定通り
15.01万円(10.0%)
+780円×日数
→健康保険の規定通り


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