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資料3

ホームヘルパーが行う「たんの吸引」の「業務性」について

H16・12・6


 ALS報告書では、家族以外の者が行うたんの吸引は、「ホームヘルパー業務として位置付けられるものではない」と記されており、この記述を巡っていろいろな受け止め方がなされている。報告書からは必ずしも明らかでないものの、これまでの実務的な理解は、以下の通りである。

 (1) ホームヘルパーの職種としての性格
 ホームヘルパーは非医療職であり、医行為たるたんの吸引を実施することを想定されておらず、その養成課程においても、たんの吸引は教えられていない。
 介護保険法における訪問介護員(ホームヘルパー)の行う訪問介護の内容に、たんの吸引を行うことは含まれていない。
 たんの吸引の実施者は、ホームヘルパーだけでなく、友人、知人、ボランティアなども含めて家族以外の非医療職としており、ホームヘルパーに特徴的な業務というわけではない。

 介護保険法における訪問介護
 居宅要介護者等について、その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの(介護保険法第7条第6項)
 施行令第3条
 一定の研修を修了した者(訪問介護員)
  1級  230時間  主任。2級課程修了者対象
  2級  130時間  主力。
  3級 50時間  入門編。介護報酬上は減額。
 講義において基礎的な医学知識の教授は行われるが、もちろん、実習でも取り組まれておらず、痰の吸引に関する知識、技術の習得は入っていない。
 施行規則第5条
 入浴、排泄、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事(居宅要介護者等が単身の世帯に属するため又はその同居している家族等の障害、疾病等のため、これらの者が自ら行うことが困難な家事であって、居宅要介護者等の日常生活上必要なものとする。)、生活等に関する相談及び助言その他の居宅要介護者等必要な日常生活上の世話とする。
 (2) ホームヘルパーと事業主との使用関係等
 ホームヘルパーがたんの吸引を行うことは、事業主による指揮命令として強制することは不適当で、ホームヘルパー本人の納得が必要である。
 ホームヘルパーと本人との信頼・同意といった特定性が確保されることが必要である。

(参考) ホームヘルパーの実施するたんの吸引行為に対する評価
 介護保険や支援費制度では、次のような取扱いが行われている。

 ・ 介護給付や支援費の対象ではないので、ホームヘルパーがたんの吸引をしても費用は支払われない。
 ・ ただし、介護時間中にたんの吸引をしたとしても、それをもって介護報酬からその時間相当分の報酬を差し引くことはしない。
 ・ 自由契約でたんの吸引を行い、対価を得ることは、介護保険や支援費の関係法規では禁止されていない。


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