04/12/03  中央社会保険医療協議会
 第52回診療報酬基本問題小委員会議事録

(1)日時  平成16年12月3日(金)10:00〜11:00

(2)場所  厚生労働省専用第18会議室

(3)出席者  星野進保委員長 土田武史委員
 対馬忠明委員 小島茂委員(代 花井) 宗岡広太郎委員 松浦稔明委員
 櫻井秀也委員 松原謙二委員 黒ア紀正委員 漆畑稔委員
 岡谷恵子専門委員
 <事務局>
 麦谷医療課長 今別府保険課長 他

(4)議題  ○特定療養費制度について
 ○その他

(5)議事内容

○星野小委員長
 おはようございます。
 ただいまより、第52回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催いたします。
 まず、委員の出欠状況について報告します。
 本日は、村田委員が御欠席であり、小島委員の代理として花井さんがお見えです。
 なお、保険局長は国会関係、及び中島審議官は予算関係ということで、公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けております。
 本日は、特定療養費制度の在り方について、これまでの議論の取りまとめについて議論を行うとともに、主な施設基準の届出状況等についても報告を受けたいと思います。
 なお、本日は12時から自民党社会保障制度調査会の医療委員会におきまして、ヒアリングに出席される予定の委員がいらっしゃると聞いておりますので、議論の状況にもよりますが、通常の終了予定時刻である12時より20分か30分程度早めに終了させていただきたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、議事に入らさせていただきます。
 特定療養費制度について議題としたいと思います。
 前回、これまでの議論と論点を整理した資料に沿って御議論いただいた結果を踏まえ、公益委員の方で、資料診−1のとおり、「特定療養費制度の在り方に係る基本的方向性(案)」という形で、これまでの議論の取りまとめ案を作成いたしました。
 これについて、事務局より朗読をお願いします。

○事務局(水谷補佐)
 朗読させていただきます。
 
特定療養費制度の在り方に係る基本的方向性(案)
平成16年12月3日
中央社会保険医療協議会
診療報酬基本問題小委員会

 特定療養費制度の在り方については、平成15年3月28日に閣議決定された「健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針」において、「患者のニーズの多様化や医療技術の高度化を踏まえ、特定療養費制度の見直しを行う等患者の選択によるサービスの拡充を図る」こととされており、また、同年12月12日に中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)において取りまとめた「平成16年度診療報酬改定の基本方針」において、「患者による選択という観点を含め、特定療養費制度の基本的な在り方及び具体的な評価について、引き続き検討する」ことが了解されていたところである。

 平成16年11月10日の中医協総会においては、特定療養費制度を取り巻く状況について、事務局から報告が行われ、これを下に議論が行われた後、この問題については、当小委員会において議論することとされた。

 これを受け、当小委員会においては、平成16年11月12日及び同月17日の2回にわたり、以下のとおり、合計4名の参考人からヒアリングを行った。
 ・  開原成允氏(国際医療福祉大学副学長・大学院長)
 ・  出月康夫氏(外科系学会社会保険委員会連合会長)
 ・  近藤正晃ジェームス氏(東京大学先端科学技術センター特任助教授)
 ・  齊藤寿一氏(内科系学会社会保険連合代表)

 さらに、これを踏まえ、同月26日及び同年12月3日に議論を行い、ここに、「特定療養費制度の在り方に係る基本的方向性」を取りまとめた。

 なお、この特定療養費制度の在り方の問題については、近時、いわゆる「混合診療」の解禁の問題という形で、クロース・アップされてきている。しかし、当小委員会としては、あくまで上記の基本方針に沿って、特定療養費制度の在り方について議論を行い、その中で、いわゆる「混合診療」の問題と接点が出てくれば、併せて議論を行うといったスタンスで議論を行ったものである。

1 検討に当たっての基本的な考え方について

 我が国の医療保険制度は、「一定の患者負担のみで誰にも必要かつ適切な医療を提供する」という国民皆保険をその基本的な理念としており、このため、保険医療機関が患者に対し、このような患者負担以外の負担を求めることは、原則として許されないこととするとともに、保険外負担をとる診療については、全体として保険外と整理し、費用は全額自己負担となる取扱いとしている。

 一方で、医療技術の進歩に迅速に対応し、患者のニーズの多様化に的確に対応するため、昭和59年の健康保険法改正により、療養費の支給の構成を採ることにより、一定のルールの下で保険外診療との併用を認める特定療養費制度を導入している。

 具体的には、
 一定の有効性及び安全性が認められた新しく高度な医療技術について、基礎的部分について療養費の支給を受けながら、患者が当該技術の技術料相当部分等に係る費用を自己負担して診療を受けることを認める高度先進医療
 患者が特別の療養環境(いわゆる「差額ベッド」)等の快適性等に係る費用を自己負担しつつ、基礎的部分について療養費の支給を受けながら診療を受けることを認める選定療養
の2類型が制度化されている。

 特定療養費制度の在り方を考える前提として、我が国の医療保険制度について、必要かつ適切な医療は、基本的に保険診療により確保していくべきであるとの意見がある一方で、増大する医療費をすべて公費で賄うことには限界があるのではないかとの意見があったが、当小委員会としては、患者による選択の重視という観点に立って、特定療養費制度の在り方について、実態に基づいた検討を行った。

2 患者の選択と情報の非対称性について

 医療サービスについては、医療提供者と患者との間に情報の非対称性があると言われている。この点については、医療提供者からの十分な情報開示を原則とすれば、患者によっては受ける医療サービスへの理解を相当程度深めつつ選択することが可能であるが、医療サービスの専門性を考えると、いわば「超えられない情報の非対称性」があるのではないか、との意見が多かった。

 近時、国民はいろいろな形で医療情報にアクセスすることが可能となっており、医療サービスに関する国民の知識は相当程度上昇してきているものと思われる。しかし、少なくとも、新しく高度な医療技術等については、医療提供者であっても、当該技術等を個別の患者に対して適用すべきか、非常に難しい医学的判断を迫られる。このような技術等を対象とする特定療養費制度の在り方を考えていくに当たっては、医療提供者と患者との間の情報の非対称性を前提としていくべきである。

 なお、情報の非対称性に係る立場の違いにかかわらず、医療提供者と患者との関係を考える上では、情報開示の徹底など患者の選択を保証する仕組みが必要であるということは異論のないところであった。また、患者が不安な心理状態にあって、医師からの情報提供が十分になされても冷静な判断が容易でないことにかんがみると、セカンドオピニオンが重要な役割を持ち得るとの意見があった。
 特に、特定療養費制度は保険外の患者負担を求めるものであることから、その在り方を考えていくに当たっては、十分な情報提供の下での患者の自由な選択と同意を保証することに配慮していくことが必要である。

3 療養の給付と直接関係のないサービス等について

 保険医療機関等において療養の給付を行うに当たり、療養の給付とは直接関係のないサービス等について患者から実費を徴収することは、健康保険法においても特に禁止されていない。

 実費徴収が認められるサービス等としては、「保険医療機関等において患者から求めることができる実費について」(平成12年11月10日保険発第186号保険局医療課長・歯科医療管理官通知)において、以下のものが明記されている。
(1) 日常生活上必要なサービスに係る費用
 ア  おむつ代
 イ  病衣貸与代(手術、検査等を行う場合の病衣貸与を除く。)
 ウ  テレビ代
 エ  理髪代
 オ  クリーニング代 等

(2) 公的保険給付とは関係のない文書の発行に係る費用
 ア  証明書代
 イ  診療録の開示手数料(閲覧、写しの交付等に係る手数料) 等

(3) 診療報酬点数表上実費徴収が可能なものとして明記されている費用
 ア  在宅医療に係る交通費
 イ  薬剤の容器代(ただし、原則として保険医療機関等から患者へ貸与するものとする) 等

 しかしながら、医療現場においては、外国人患者のための通訳など、療養の給付と直接関係のないサービス等に該当するか否かが必ずしも明らかでないものについて、その取扱いについて混乱が生じているのではないか、との意見があった。

 療養の給付と直接関係のないサービス等に該当するか否かが必ずしも明らかでないものとしてどのようなものがあるか、患者や医療現場のニーズを把握した上で、療養の給付と直接関係のないサービス等については、そもそも保険診療と保険外診療との併用の問題が生じないことを明確化するべきである。

4 特定療養費制度における高度先進医療について

 高度先進医療とは、医療技術の進歩に迅速に対応する観点から、保険導入されていない新しく高度な医療技術のうち、一定の有効性及び安全性が認められたものについて、基礎的部分について療養費の支給を受けながら、患者が当該技術の技術料相当部分等に係る費用を自己負担して診療を受けることを認めるものである。

 昭和59年の制度創設以来、165の医療技術が高度先進医療の対象とされ、平成16年12月現在、このうち58技術が保険収載され、10技術が承認を取り消されており、高度先進医療として承認を受けているのは97技術となっている。

 また、このような高度先進医療を行うことができる保険医療機関は、高度な医療の提供にふさわしいものとして、病床数、常勤の医師等の数、看護体制、内部の専門委員会の設置等の要件を満たす保険医療機関(「特定承認保険医療機関」)に限定されており、平成16年12月現在、125の医療機関が承認を受けている。

 高度先進医療については、これまでも、
 平成15年9月より、外部の専門家による検討体制を67名に拡充しているほか、
 平成16年4月より、既に承認されている技術のうち一定のもの(平成16年12月現在20技術)について、特定承認保険医療機関においては届出のみで承認を受けられることとする
等の措置を講じられているが、承認手続の更なる迅速化を図るべきではないかとの意見があった。
 患者の利便性を高める観点からも、審査の更なる迅速化を図るとともに、特定承認保険医療機関の承認要件の更なる簡素化や簡素化対象技術の更なる拡大についても、検討していくべきである。

 また、高度先進医療として認められた技術については、普及性、有効性、効率性、安全性及び技術的成熟度の観点から検討し、速やかに保険収載していくべきであるとの意見があった。

 高度先進医療として認められた技術の保険導入の適否については、さらに、実績報告を下に科学的で透明性の高い議論を行い、速やかな保険収載に繋げていくべきである。

5 特定療養費制度における選定療養について

 選定療養とは、患者の選択に委ねることが適当なサービスについて、患者自ら選択して追加的な費用を自己負担しつつ、基礎的部分について療養費の支給を受けながら、診療を受けることを認めるものである。

 昭和59年の制度創設以来、順次追加されてきており、平成16年12月現在、以下の13種類のものが認められている。

昭和59年  ・ 特別の療養環境
 ・ 前歯部の鋳造歯冠修復等に使用する金合金又は白金合金
平成 4年  ・ 予約診療
 ・ 時間外診療
平成 6年  ・ 金属床総義歯
平成 8年  ・ 200床以上の病院の初診
 ・ 医薬品の治験に係る診療
平成 9年  ・ 小児う蝕の治療終了後の指導管理
平成14年  ・ 医療用具の治験に係る診療
 ・ 200床以上の病院の再診
 ・ 薬事法承認後、保険収載前の医薬品に係る診療
 ・ 180日超の入院
平成16年  ・ 薬価収載された医薬品の適応外投与

 選定療養については、患者の快適性に係るものを保険外負担として明確化するたに設けられたものであるにもかかわらず、その後の追加により多様なものが混在しており、概念が不明確となっているとの意見があった。
 将来的な保険導入を前提としているものであるかどうか、といった観点も踏まえ、再整理を行っていくことについて検討するべきである。

6 特定療養費制度の在り方について

 特定療養費制度は、療養費の支給の構成を採ることにより、一定のルールの下で保険外診療との併用を認める制度である。将来的な保険導入の前段階のものとして患者の追加的な負担によりサービスを利用することを認めているものであるのか、将来的にも保険導入しないものであるからこそ患者の選択に委ねることとしているものであるのか、個別に整理をしていくことが求められるとの意見があった。

 このような考え方に立てば、例えば、一定程度の先進性が認められる医療技術であるが、未だ普及の度合いが低いため保険導入されておらず、また、必ずしも高度でないため高度先進医療の対象ともなっていないような技術については、将来的な保険導入に繋げていく観点からも、特定療養費制度の対象として認めるための方策について検討していくべきである。

 また、規制改革・民間開放推進会議等が保険診療と保険外診療との併用を認めるべきであると主張している具体例については、今後、個別に検証していくことが必要である。
 例えば、乳がん治療により摘出された乳房の再建術については、使用される材料が薬事法上未承認であることを踏まえて、検討していくことが必要である。

 また、保険適用回数が制限されている医療行為を医学的根拠に基づき制限回数以上に行うことや、医師、看護師等の手厚い配置については、本来、保険の中で評価していくべきものではないかといった観点等も踏まえて、検討していくことが必要である。

 このほか、抗がん剤など海外では承認されているが国内では未承認の医薬品については、患者の切実なニーズに迅速に対応していくことが求められる。治験の仕組みをより円滑に活用していくための措置等が求められる。


7 今後の議論について

 特定療養費制度の在り方にかかわる問題は、保険外診療との併用の在り方に係る問題として、「公的医療保険制度によってどのような範囲の医療を保障するべきであるか」といった問題と密接に関連するものであり、医療保険制度全般にわたる議論をも要する問題である。

 医療保険制度全般にわたる基本的な考え方は、社会保障審議会医療保険部会において検討されるべき事項であるが、当小委員会としては、現行の医療保険制度における特定療養費制度について再点検した結果を踏まえ、その在り方に係る基本的方向性について上記のように取りまとめたものである。今後、当小委員会以外の場においても、当小委員会の見解も踏まえた真摯な議論が行われることを期待する。
以上でございます。

○星野小委員長
 どうもありがとうございました。
 この取りまとめ案について、御質問、御意見がありましたら、どうぞ。

○宗岡委員
 公益委員の方でこういう形でまとめていただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。
 1つだけちょっと御意見として申し上げたいのですけれども、2ページ目の一番下のところに、「2 患者の選択と情報の非対称性について」ということでまとめていただいているところがあります。そこの「医療サービスについては」というところの文章の中に、いろいろ配慮して書いていらっしゃるのですけれども、「いわば「超えられない情報の非対称性」があるのではないか、との意見が多かった。」というふうに書いていらっしゃるのですけれども、私自身、何回か申し上げているのですけれども、患者というのを一つの人格に擬して考えていくということではなくて、患者にはいろいろな患者がいるのだということをぜひ考えていくべきではないかというふうに思っております。つまり、さまざまな情報を得て、高い理解力を持って治療に臨む患者もいらっしゃるわけですし、そういう患者が自己責任の考え方のもとに選択するという要素を入れるということは、やはり大事なことではないかと。全部の患者が高度な理解力を持って対応しているということは申し上げるつもりはございませんけれども、そういうふうな制度にしていくべきではないかということをこれまでも申し上げてきたつもりです。無論、その安全性ですとか、あるいは有効性の確保というのは当然必要ですし、その方法として、現在の仕組みがいいのかどうか、これはいろいろ議論する必要があると思っております。ただ、現在の仕組み自体がいろいろな意味で硬直的で、患者の多様なニーズにこたえられている制度になっていないのではないかという問題意識を非常に強く持っておりまして、そういう意味で、安全性、有効性を確保するという前提のもとで、より患者の選択肢を増やすというふうな方向でこの仕組みを大きく変えていくという、そういう努力をしていく必要があるのではないかというふうに感じておりまして、この表現についてちょっとそういう意味で疑問を持っております。
 以上でございます。

○星野小委員長
 何か改訂案はございますか。

○宗岡委員
 いえ、それほどのことではありません。

○星野小委員長
 それでは、議事録にとどめることでよろしいですか、今の御意見は。

○宗岡委員
 それは皆さんの御意見次第だと思います。

○星野小委員長
 どうぞ、ほかにございますか。

○対馬委員
 前回、論点の整理をしたことを踏まえて今回取りまとめていただいたということで、よく整理していただいたかなという感じはまずしていますので、そこのことをまず申し上げます。
 今回、「基本的方向性」ということでございますので、大きな方向性を示すのだと、こういう枠組みですから、そういう意味ではやむを得ないといいますか、そういう整理のもとに書かれていますが、結果的にそうしますと、やはり「検討すべき」という項目がどうしても多くなってくるのだと思うのです。それで、最終的にやはり我々として中医協として、いろいろ問題点があったり、実際患者さんが困っていたりする項目がありますので、できることならば、やはり結論を出すとかないしは実施するということが必要だろうというふうに思うのですが、この特定療養費制度というのは、いわゆる「混合診療」の問題と絡みますし、また、一番最後のところにも整理されていますけれども、今後どういった形で検討されていくのかということにかかわりますので、それはそれでよろしいかというふうに思うのですが、ただ、私どものこの基本小委なり、中医協の場というものは、最終的には問題があるところについては速やかに是正してそれを実施していくということでございますので、この「基本的方向性」ということで確認できれば、それをもっと速やかに具体的な検討に入って、それで議論をし、また結論を出すということが必要であろうかなと、こういうふうに思います。

○星野小委員長
 具体的にちょっと点検してみますと、「検討すべきである」と。「検討を行った」というのは、これは事実だから「検討」でもいいんですけれども、「検討していくべきである」というのは、一つ私は今言われながらぱあっと見ていて、5ページの真ん中辺に、「患者の利便性を高める観点からも、審査の更なる迅速化を図るとともに」云々ということで、「承認要件の更なる簡素化や簡素化対象技術の更なる拡大についても、検討していくべきである。」というふうに、ここに1カ所ありまして、それから、その次の6ページの真ん中辺に「将来的な保険導入を前提としているものであるかどうか、といった観点も踏まえ、再整理を行っていくことについて検討するべきである。」ということ、この2点がちょっと目立ったんですが、これを具体的にどうしろという、それからさらに、7ページの一番上にもう1つありますね、「特定療養費制度の対象として認めるための方策について検討していくべきである。」ということについて、ここに「検討」という字を入れる必要はないのじゃないかというのが、対馬委員……。

○対馬委員
 そういうことではなくて、ここではこれでよろしいのですけれども、我々の責務として、これが大枠がそれでいいということになれば、例えば年明けからでもよろしいのですけれども、速やかに議論をして、それで結論を出すべきではないか、こういうことですので、私の方は、この中身を変えるというよりは、むしろ今の発言を議事録にまたとどめていただいて、それでまた速やかにというのが、我々中医協の委員としての責務ではないかと、こういう意味合いでございます。

○星野小委員長
 わかりました。
 それ以外にいかがでしょうか。

○小島委員(代理花井)
 このペーパーですが、「基本的方向性」、これでよろしいかというふうに考えておりますが、幾つかちょっと意見を述べさせていただきたいのですが、特定療養費制度の議論ということでまとめられておりますが、患者の立場から見た安全性という項目が少ないのではないかというふうに思います。例えば乳がんの手術の問題、それから未承認の抗がん剤といった場合、いずれも今片方で「混合診療」のことが出ていることもあるのですけれども、患者の安全性というものがどんなふうに確保されるのかということが、そこがもう少し強調されていてもいいのかなと思います。それから6ページの下からなんですが、中度先進医療的なものを検討していくべきというふうになっているかと思うのですが、その場合の医療機関の限定とかそれから医療ミスに対する報告義務の問題とか、そういうことがどんなふうに検討されるのか、それから情報開示、そして費用負担の問題、そこが結構患者にとっては大きな心配になることなんですが、そのあたりが少し不足しているというか、すみませんが、そういう印象がありまして、どこかにもし可能なら、患者の立場からの安全性ですとか、費用負担の在り方ですとか、そこの点が強調されたらいいなというふうに考えております。
 以上です。

○星野小委員長
 要するに、患者の安全性だとか有効性という話は、もう大前提なんですね。それで、2ページの「検討に当たっての基本的な考え方」で、もう一回「我が国の医療保険制度は」というところで、適切な診療だとかそういう法の建前をそのまま引用していますけれども、基本的には、この議論は、安全性それから有効性、そういう問題を大前提にした上での話と思って我々やっているものですから、ここは社会保険医療協議会なものですから。したがって、治療で必死な方々からすると、要するに、まだ世間的にも認められていない技術でも、いざ自分の救命のためにはしたいと言う方がいらっしゃることに対して、多分こういう「混合診療」問題みたいなのが起こってきているのが実態だと思うのですけれども、それに対して我々の立場としては、社会保険医療をお預かりしているというか、それの骨格を、我々が一番中心にいるわけですから、そういう観点から、どういうところまでずっと具体に沿って述べられるのか、それから先ほど対馬委員が言われたように、「検討」が多すぎるのは確かにちょっと私も役人作文みたいかなと思うのですけれども、「やる」と書けば非常にすっきりしてしまうのだけれども、だけど、以後今度また専門の方々に一応スクリーニングしてもらってやるという意味合いでは、技術的な意味の検討であって、役人流にやりませんという意味の検討ではないですということなわけなので、そこいらをお踏まえいただければ、十分意は通じさせていただけるのではないかなと。だから、あくまでも大前提、今のここの立場の大前提です。それのために社会保険医療をやっているので、そうではなかったら、アメリカのようにやってしまえばいいのですよね、どうぞ自由診療ですからと。それで、保険会社に任せて、それぞれが勝手に、安全でなくても、いや、安全なんでしょうけれども、安全の範囲が違う。ということを御理解いただければというふうに思います。

○小島委員(代理花井)
 はい。

○松浦委員
 私どもの立場は保険財政を預かっておる立場なものですから、やはり増大する医療費というのはどうしても気にかかるのです。それで、「1 検討に当たっての基本的な考え方について」の4番目のところに、「増大する医療費をすべて公費で賄うことには限界があるのではないかとの意見があったが、当小委員会としては、患者による選択」云々、こういう文言がございます。それでは、この中医協というのは、医療費は全く総額については関係なく議論していっていいのかという問題は、私はあると思いますので、やはりこの「公費で賄うことには限界があるのではないかとの意見があったが」、それはこっちへ置いておいて、それで「患者による選択の重視という観点に立って、特定療養費制度の在り方について、実態に基づいた検討を行った。」と、こういうことには若干抵抗があるような気がいたします。
 それで、私は一つお伺いしたいのですが、高度先進医療が59年に制度として発足したと。そのときの高度先進医療というものを設けなければならなかったその必要性、精神、それについてちょっとお話を聞かせていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○星野小委員長
 法の説明理由があるはずですから、立法、改定時の、それをちょっと紹介していただければいいのじゃないでしょうか。

○事務局(麦谷医療課長)
 今、手元にすぐにはございませんが、法的な文言についてはまた御紹介いたしますけれども、昭和59年にこれを初めて導入しましたときの基本的な考え方というのでしょうか、保険局長通知を出しておりますので、これの通知でございますので、その健康保険法をどう変えたかというのはまた別途調べますが。

○星野小委員長
 提案理由と、議会でどういう説明応答があったかということをやれば、今の御質問には一番ジャストミートなんですけれども、それを解説したものと承ればいいですね。

○事務局(麦谷医療課長)
 保険局長通知で「基本的な考え方」という通知をそのとき出しておりますので、それをちょっと御紹介します。「特定承認保険医療機関制度」は、特定療養費の高度先進医療のことでございます。「基本的な考え方」は、「特定承認保険医療機関制度は、新しい医療技術の出現や医療ニーズの多様化等に対応」するため、医療保険制度内における療養の給付と高度先進医療との調整を図ることを目的として創設された。それから、「高度先進医療の範囲」ということでございますが、「承認の対象となる高度先進医療は、質的・量的に高水準の医療基盤を有する医療機関において実施される場合にはその安全性及び有効性が確立されているが、その実施については未だ一般に普及するには至っていないものであり、当該医療が一般に普及し、保険に導入されるまでの間、本制度の対象とするもの」とする。
 したがいまして、非常に技術が進んできて、すぐに保険適用で対応できないものについて、あるいは全国津々浦々その医療を受けることはできる状態にない場合に、保険に導入するまでの一つの過程として設けられた、新しい技術に対するあるいは医療ニーズに対する対応というふうに、趣旨は御理解いただければと思います。
 法律の文言についてはまた御紹介いたします。

○松浦委員
 そうすると、5ページの上から3つ目の丸のところの、「高度先進医療として認められた技術については、普及性、有効性、効率性、安全性及び技術的成熟度の観点から検討し、速やかに保険収載していくべきであるとの意見があった。」と書いてありまして、その後に、「高度先進医療として認められた技術の保険導入の適否については、さらに、実績報告を下に科学的で透明性の高い議論を行い、速やかな保険収載に繋げていくべきである。」と、こう書いてありますが、その精神は、こういう文言の中に生かされておるわけですか。

○事務局(麦谷医療課長)
 生かされていますし、ここに書いてある「普及性、有効性」云々につきましては、高度先進医療を保険に収載していくときの専門家会議での一つの目安でございます。したがいまして、ただ、専門家会議は公開されておりませんので、そういうことでは、ここに「透明性の高い議論を行い」ということは書かれているというふうに理解しております。

○松浦委員
 そうすると、いわゆるこの医療費総額について、そういうことについての議論というのは全くなされない状況の中で、このことは高度先進医療の議論は進んでいったと、特定療養費の。

○事務局(麦谷医療課長)
 私の説明が少し舌足らずだったかと思います。この「効率性」のところに医療費の議論が実は入っておりまして、効率性というのは何かと申しますと、今まで例えば入院して手術を行って、例えば200万円かかっていたものが、高度先進医療を導入することによって入院期間が3日になって40万円で済んだというところに効率性が入っておりますので、医療費の議論はここでなされております。

○星野小委員長
 松浦委員の最初の御質問のところ、これを御提示申し上げた責任者としてちょっと気になっておりますのは、先ほどの「公費で賄うことには限界があるのではないかとの意見があったが」という、ここの文言を具体的に何か修正の案はございますか。

○松浦委員
 これ、もししていただけるのであれば、意見があって、それを意識しつつ、こういう「患者による選択の重視という観点に立って」この検討を行ったと。意識、どこか頭の片隅には置いた議論ですよというような文言に表現ができれば、やはりありがたいと思いますけれども。

○星野小委員長
 私の頭の中にあるのは、今医療課長が最後に説明されたように、高度先進医療というのは、確かに一件ごとの金額をそのときに見ると非常に大きいのが出てくるのだけれども、全体の医療費から考えると、どうも節約的に働くのではないかと思っておるのです。この前と同じことなんですけれども、私も大病したのですけれども、もしもうちょっと簡単な内視鏡かなんかでできるような話になってくれれば、入院期間は短いし、それから予後の、要するに侵襲状況やなんか、はるかに違うだろうと思うのです。そういうトータル費用を考えると、なるたけ高度先進医療として今我々がいつもここで御相談を受けるような、「ああ、そうですか、そういうふうによく効く」、それでしかも割合とオペレーショナリティーが高いとか、そういうのはいいことだなといつも思いながら聞いておるものですから、そこで「意見があったが」と、確かにちょっとないがしろにしたような表現かなとも思いますけれども、「患者による選択の重視という観点」というのは、そういう効率性も含めた意味で、患者だって自己負担があるわけですから、そういう意味でちょっと書いてみたんですが、お気持ちは非常によくわかります、片やね。一発一発を見ていると非常に高いというのがかなりあり得ますからね、だから、そういう内容はどう表現していいのかというのは、うまい表現があるとよろしいのですけれども、私はちょっと思いつかないものですから、ちょっと今のところこのままで流させていただいてしまおうと思っておるのですが。

○松浦委員
 後でまたいろいろ申し上げるかもしれませんが、そういうことで結構でございます。

○事務局(麦谷医療課長)
 今手元に国会におけるこの提案理由が届きましたので、その肝心なところだけ読み上げます。「新しい医療技術の出現や患者の欲求の多様化等に対応し、高度医療や、特別のサービス等について保険給付との調整を図るため、療養費制度を改正するものであります。」、これは主な提案理由。あと、患者さんの領収書の交付とか、そういうことを提案理由に述べておりますが、核のところはここでございます。

○漆畑委員
 先ほど会長の方から、花井委員の質問に答えられて、ここは社会保険医療協議会ということで、その範囲の議論ということでお話しした後でちょっと言いにくいのですが、ここに書くということよりも、議事録程度のお話だと思うのですけれども、6ページの一番下に、「特定療養費制度の在り方について」の2つ目の丸のところに、「一定程度の先進性が認められる医療技術」とか、それから「未だ普及の度合いが低いため保険導入されて」いないとか、あるいは「必ずしも高度でないため高度先進医療の対象ともなっていないような技術」、こんなことが書いてあるのですけれども、文言、ここも含めて、大変微妙な議論をよく公益の委員の方たちにおまとめいただいて、ここは大変全体整理ができていいと思うのですが、文言としてはこれでしかないのですけれども、例えば「一定程度」というのの実際のそれを議論するときに、「一定程度」というのは一体どこにするのかとか、それから「普及の度合い」というのは一体どこで見るのかとか、「必ずしも高度でない」、高度か高度でないかというのは、これは実はすごく大変な議論で、ここの議論の中でもそういうことがございました。それで、そういうものについては、もちろん具体例をもってこれから議論するということで取りまとめられていますので、この全体はこれでいいと思うのですけれども、議事録程度というのは、実際にはこの文面にもありますように、患者の切迫したニーズというようなことにこたえるために、医師、医療者が、その普及の低いあるいはまだ研究途上にあるようなものの医療技術をどうしても患者さんに行いたいということがあるわけで、それを保険の中でとは私は申しませんで、特定療養費にも多分なじまないと思うのですが、でも、それは必ずあり得るし、それは将来の保険、医療とか保険医療に対して大変重要なことなので、そういうことが、大学病院はもちろんですけれども、その研究者の方がそういう医療を行えることができるような、これは研究のための補助、文科省のようなことになるのかもしれませんけれども、そういうことについてもできるだけ配慮していただくようにしていただきたいと思います。それはだから、この取りまとめの中に表現することではないとは思うのですけれども、関連としては大変重要なことだと思いますので、議事録程度にとどめていただきますとうれしいなと思います。

○星野小委員長
 どうもありがとうございました。
 非常に重要な御指摘なんじゃないかと思います。つまり、先ほど対馬委員からも「検討」について言われたわけですが、ここで言う「検討」というのは、どうやってこれから進めていくための検討なんですよね。そういう意味では、今漆畑委員が言われたことは、そういう面も十分踏まえた検討を専門家にこれからお願いしていくことになる、そのガイドラインの一つの方向性をお示しいただいたのだと思いますから、恐らく具体的に進める場合には、そういうガイドラインやなんかを、また中医協の皆さんに一回見ていただいて、それで御検討を進めていただくということになると思いますので、そのときまたいろいろと御示唆を賜ればありがたいと思いますし、事務方もよくそこいらを踏まえておいていただきたいというふうに思うわけです。むしろ今御指摘のようなことをきちんとやらないと、世の中の今あるような、これは私の言葉の使い方は注意しなければいけないのですけれども、混乱があるのじゃないかと。実態をそれぞれ、こっちの面から見ると、「何かえらいひどいことだな」と、こっちの面から見ると、「いや、でもちゃんとやっているよ」という、そういう誤解が一番つまらないことだから、やり方もそういうところは誤解のないようにきちんと、透明性ですよね、一言で言えば。やっていることはどういうことをやっているのだと、それからどういうところはやってはいけないのか、両方ですよね、ということはきちんとなるような検討をお進めいただけるということを心がけることが大体重要なのではないかというふうに思います。大変いい御示唆をいただきまして、ありがとうございました。
 どうぞ、ほかにございませんでしょうか。
 それでは、他に御質問、御意見がないようでしたら、当小委員会として、今御検討いただきました資料診−1のとおりで「特定療養費制度の在り方に係る基本的方向性」を取りまとめることとしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○星野小委員長
 どうもありがとうございました。
 なお、追って私の方から総会へ御報告させていただくこととしたいと思います。総会についてはこれからちょっと検討させていただきたいと思っておりますが、よろしくお願い申し上げます。
 総会にかける前にもし何かどうしてもということがありましたら、直接私に言っていただければと思いますが、大抵お断りすることが多いのじゃないかと思いますが、別にものぐさで言っているわけではなくてですね。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、そのようなお取り計らいにさせていただきたいと思います。
 次に、もう1件ございまして、主な施設基準の届出状況について報告を受けたいと思います。
 事務局より資料が提出されておりますので、報告をお願いいたします。

○事務局(麦谷医療課長)
 お手元の資料中医協診−2という資料を御参照いただきたいと思います。これは、年に1度、中医協小委員会に御報告をさせていただいているものでございまして、診療報酬点数を算定するに当たって、さまざまな施設基準が設けてございます、その施設基準の届出状況を一覧にして資料として供しているものでございます。
 平成15年7月1日現在における届出状況がそこに取りまとめてございますが、こうした届出状況につきましては、各地方の社会保険事務局においても閲覧することができることとなっております。ただ、これは15年7月1日だけのものでございますので、その増減等についてはこれではわかりませんので、御注意いただきたいと思います。
 それで、項目としましては、ページが何ページかございますが、1ページに、初診料あるいは入院基本料、加算、それから2ページ目で行きますと、特定入院料、そこに各項目ございますが、こういった診療報酬点数を算定している医療機関数、病床数について一覧で書いてございます。指導管理料。それから3ページ目に行きますと、在宅医療、検査、画像診断、注射、リハビリテーション、4ページに、精神科、処置、歯科、それから16の手術ということで、手術は御存じのとおりいろいろ変更がございましたので、増減等がございますが、15年7月1日ではこのような機関数になっております。それから最後5ページに、入院時食事療養費の申請施設数が書いてございます。
 これは毎年1度出しておる報告でございますので、特に説明はございません。
 以上です。

○星野小委員長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの報告につきまして何か御質問等ありましたら、どうぞ。

○対馬委員
 この資料ですけれども、私は非常に問題があるのじゃないかなというふうに思います。
 1つは、15年7月ですから、1年半前ですね。それで、前回中医協でも16年度改定ということをやったわけですから、できればその中医協でやった改定の後でどうなったのかというのは当然知りたいということもありますし、資料のつくり方も、例えば初診料の一番最初のところ、紹介患者加算1と、2、3、4、5と、これでぱっと見て御理解する方はどれだけいるのでしょうか。ちょっと書けば、例えば紹介率80%以上と説明を入れるとか、ないしはこれを見ると、病院なのか診療所なのかもわからないということもありますし、あと、今説明がありましたけれども、時系列が全くない。せめて前回といいますか、2年前でも1年前でもいいのですけれども、前回と比較するのは、これは当然だろうと思いますし、また、医療課として、大変失礼ですけれども、問題意識はないのだろうかと。例えばの話ですけれども、紹介患者加算などというのは、やはり病診連携とか、ないしは医療機関の機能分化とその連携といった観点から見てどうだろうかといった、一切ここに問題意識がなく、ただ単に基準が届けられましたから、それをお出ししますというのは、随分また形式的な資料だなということです。
 私もそういう意味では、せめて前回、前々回ぐらい比較してみようかなというふうに思ったのですけれども、昨年の12月の資料を見ても、一昨年の12月の資料を見ても、12月にはないのです。ですから、恐らくずっと全部さかのぼっていくと出てくるのかもしれませんけれども、ということは、タイミング的にも非常にぶれているのじゃないか、こういうこともありますし、大変私は不本意というか、不親切な資料であろうというふうに思います。

○事務局(麦谷医療課長)
 今の御指摘を踏まえまして、次回から工夫してみたいと思います。工夫というのは、1つは迅速性、これをまず検討してみたいと思います。それから、今おっしゃったとおり、左の項目が一体何を言っているのかということがわからないということ、これもちょっと表現ぶりを工夫してみたいと思います。それから、時系列も、どれぐらい出せるかわかりませんが、できるだけ時系列が出るような形で、これも工夫をしてみたいと思いますが、それをどう評価するか、そのコメントというのはなかなか私どもでは書きぶりがちょっとわかりませんので、今日はコメントはちょっとペンディングさせていただいて、評価についてはこの時点ではお約束できないかと思いますが、報告の出し方については工夫をさせていただきます。

○星野小委員長
 このあれですか、何か追い込むようでかわいそうなんだけれども、報告することの義務というのは、何、規則、何で決まっているのですか。

○事務局(麦谷医療課長)
 通知です。

○星野小委員長
 では、通知のときに報告の内容についてかくかくしかじかの報告をせいと具体的に書いているはずでしょう。それはこういうぽっきり出してくればいいと。

○事務局(麦谷医療課長)
 実はそうです。ぽっきりという表現ですが、こういうものを報告しろということでしか限定しておりません。

○星野小委員長
 ところが、厚労省としては、当然これをもらっても、前のときにもらったのもあるし、ずっとあるから、今対馬委員の言われるようなことは対応できるわけですよね、時系列云々と言われればね。だから、今度は調査される方からすれば、前のまで一緒に届け出るのは大変な作業ですね。だから、届け出てくださる方々は、なるたけ統計としては簡単なものがいいに決まっているので、これでいいと思うけれども、だけど、今度はここで説明するときには、対馬さんの言うとおりじゃないかね、これを出されたってだれもわからないよね。いや、多分こちらのお医者さんの方はわかるかもしれないけれども、ほかの人はあまりわからないのじゃないかな。だから、やはりそれは時系列をちゃんとやってもらって、ある改定が起こったときの後だったら、多分ガタンガタンと数字がなっているだろうから、そうしたら、何の改定でこうなったとか、そのくらいの説明はつけた方が親切なんじゃないかなと思うのだけれども。これだけの数だから、次回はというと、来年の遅くということになるのですか。

○事務局(麦谷医療課長)
 スピードについてはまた検討させていただきます。

○星野小委員長
 超スピードでやったらいいのじゃないですか。年末だから、今は忙しいと思うけれども。

○事務局(麦谷医療課長)
 全国から集めるということで……

○星野小委員長
 いや、これはもうあるわけだから。これに……

○事務局(麦谷医療課長)
 過去のものと……

○星野小委員長
 これ、過去の時系列、そうやって今コンピューターに入っているのだから、ばあっとやればすぐ出るでしょう。

○事務局(麦谷医療課長)
 わかりました。

○星野小委員長
 それから、制度改正をやったところでぎくしゃくが出ているのだったら、制度改正は何をやりましたということぐらいコメントしておけば、あとは賢明な対馬委員ですから、なぜかという理由は探してくれますから、そういう統計にしておけばいいと思います。

○事務局(麦谷医療課長)
 今日はまさに届出状況を報告させていただいただけでございますが、実際には、これから18年改定に向けていろいろな作業のときに、私どもこの数字を使って、加工して、実は情報を出す予定でおりますし……

○星野小委員長
 そうだろうと思いますね。

○事務局(麦谷医療課長)
 また、出さなければいけないと思っておりますので、それに使われるもので、今日はたまたまこういう報告があったということをお示ししただけで、これをこのままどこかに積んでおくというようなことはございません。

○星野小委員長
 可及的速やかに、もしそういう時系列があれば出していただいた方がいいし、今事務方は、多分アリバイ証明だよね。後で、届出があったのに全然我々に出さなかったじゃないかというのでお叱りを受けないために、もう素材のまま提供したというのが今日の実態なんだね。

○櫻井委員
 追い打ちをかけてもしようがないのですけれども、医療課長が言われたように、こういう資料が診療報酬改定の参考資料になってくるのです。例えば18年改定をこれを参考に実施したら、改定以前の話になってしまうし。いろいろな診療行為の調査も相当古いものが改定の参考にされてしまうというのは、いつも問題になっているのです。だから、時系列も大事だけれども、とにかく迅速性というのが重要です。例えばこれは7月1日現在ということになっているのだから、16年7月1日現在の届出はいつごろまでに出せそうだというような、その覚悟示して欲しいのです。追い打ちかけて悪いのだけれども、みんなが気にかかっていることですので。

○事務局(麦谷医療課長)
 今これすべての施設基準をそろえて出しますものですから、このような遅いというのでしょうか、迅速性がなくなるのですが、届いたものから順に出していくということであれば、これはまとまり次第、16年7月1日現在のものをまとまったものから出していくということであれば、次々出すことはできます。今これすべてをそろえて一つにして出すためにこのようになっているわけで、それはちょっとまた工夫してみます。

○小島委員(代理花井)
 ちょっと質問、教えていただきたいのですが、診療報酬改定のときに、医療経済実態調査というのが必ず中医協に報告されまして、そのことをもとにして議論するということがあるかと思うのですが、この調査というのは、診療報酬改定についての中医協に対する報告義務みたいなものというのはかかっているものなのでしょうか。

○事務局(麦谷医療課長)
 毎回御報告することになっています。その法律的な義務はちょっと調べてみないとわからないのですが、毎回報告することになっています。
 今の医療経済実態調査についてですが、次回の、今まだ日にちはこの間とっていただいた22日を予定していますが、そのときに詳しく御説明するつもりでおりますので、そのときまでにきちんと調べて報告義務のことはお伝えします。

○星野小委員長
 ほかにございますか。
 予想より早く終わってしまったんですが、他に御質問等もないようでしたら、本日の小委員会はこのあたりで終了したいと思います。
 次回の小委員会の日程について事務局から何かありますか。

○事務局(麦谷医療課長)
 次回は、前回お話ししました22日を予定しております。それから、前回のときに予備日として12月8日をとっていただきたいとお願いしておりましたが、本日取りまとめが終了いたしましたので、12月8日は開催しないということで、次回は22日を御予定いただきたいと思います。

○星野小委員長
 ちょっと何か座長が下手で、後へ戻ってしまうような感じで、さっき頭の中では宗岡委員の最初の質問というか、御指摘で、「「超えられない情報の非対称性」があるのではないか、との意見が多かった」というところは、「意見があった」ぐらいにしておいたらいいのかなという気もするのだけれども、本質的ではないのですね、議論としては。宗岡委員が言うのは、「超えられない」ということは「超えられる」のじゃないかと。

○宗岡委員
 発言の機会を与えていただいてありがとうございます。
 あえて申し上げますと、「非対称性を前提として」と次のところには書いてあるのですけれども、我々としては「前提にする」ということにもちょっとやはり抵抗感があるのです。なぜかといいますと、先進的なものについての情報についての理解度は下がるということは、もう十分わかっているのですけれども、そもそも「情報の非対称性」と言ったときには多分2つあるのではないかと。1つは、その情報自体が非常に高度だからわからないと。もう1つは、情報が開示されないからわからないと。「情報の非対称性」と言ったときには、そもそも開示されないから、あるいは場合によっては隠されているからいけないのだというニュアンスと2つ、「情報の非対称性」にはあると思っていまして、少なくとも後段の方のことがあってはいけないというのが、ここには随分書いていただいていると思うのです。それは大いに評価したいと思うのですけれども、ただ、「情報の非対称性を前提とする」ということになると、後段の方まで実態をくくってしまうのではないかという、そういう心配を持っておりまして、そういう意味でも申し上げております。
 ただ、せっかくここまで書いていただいたので、ここであえて修文してほしいとは申し上げませんけれども、そういう意見があったということだけ議事録にしっかり書いていただくということで結構だと思います。

○星野小委員長
 どうも恐縮です。僕は、非常に重要な御指摘だったと思うものですから、誤解があると一番いけないものですから、くどくお伺いしたのです。それでは、そういう理解のもとでこのままにさせていただきたいと思います。
 それでは、本日の小委員会はこれにて閉会したいと思います。どうも御協力ありがとうございました。

【照会先】
 厚生労働省保険局医療課企画法令第1係
 代表 03−5253−1111(内線3288)

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