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認定基準別添1に掲げられている検査以外の検査手技


検査 検査手技 検査内容・方法 指摘事項
末梢循環機能検査 指尖容積脈波
光学的手法により指尖における血液変動(単位体積当たりのヘモグロビン量の変化)を脈波として描出する検査手法。
(1)非侵襲的で検者に特殊技能も不要である。
(2)計測、記録が簡単である。
(3)器械は比較的安価で、客観性も高い。
(4)室温、湿度などの厳密な測定条件の設定が必要となる。
(5)心機能の影響を受けるため、心機図に頸動脈波を加えるなどにより、心機能を評価し、指尖脈波から心機能要因による変化を取り去って波形を観察する必要がある。
(6)他の器質的末梢循環障害との鑑別は困難である。
(7)身体の生理的状態が最も大きく影響する検査であるため、再現性は他の脈波に比べあまりよくない。
サーモグラフィー
赤外線カメラにより体表面からの熱放射を測定することにより得られる体表面の温度分布を二次元的に画像表示する検査手法。
(1)客観性が高く、非侵襲的で特殊技能が不要である。
(2)着衣量を含めた測定条件が適切に設定されている場合、特異度は低いものの、敏感度はかなり高い
(3)厳密な測定条件の設定が必要となる。
(4)他の器質的末梢循環障害との鑑別は困難である。
冷風負荷皮膚温テスト
測定する指を冷風で冷却し、冷却中の皮膚温変化を連続して記録しその変化を観察する検査手法。
(1)特異度は比較的低いものの、敏感度はかなり高い。
(2)血圧の上昇を認めず、疼痛が少なく被検者の負担が少ない。
(3)ハンチング現象の有無により判定するので検査精度がかなりよい。
(4)室温に左右される。
血管造影
動脈内に造影剤を注入し、エックス線撮影により直接血管の走行状態を描出する検査手法。
(1)器質的変化を直接視覚的に診断できる唯一の方法である。
(2)特殊技能が必要であるが、詳細な画像を得ることができる。
(3)被検者に対する侵襲、危険性が他の諸検査より大きい。
(4)高価な設備が必要である。
血管超音波
超音波を用いて血管の断層像から壁の性状、血管経を、パルスドップラー法により血管内腔の血流速度、血流量など血管動態を非侵襲的にリアルタイムに描出する検査手法。主に手首より中枢の比較的太い血管を対象とする。
(1)再現性、客観性が高い。
(2)検査が検者の知識、検査技術、熟練度に依存する。
(3)血管作動性薬物の服用、喫煙等の影響を受ける。
(4)7.5MHz以上の高周波プローブの普及が遅れており、検査機器も高価である。
末梢神経機能検査 手背等の温覚、冷覚検査
(温冷覚閾値)
無髄神経線維のAδ繊維とC繊維の機能障害を評価する検査手法。
温覚計(経20mmの金属製の円筒に壁温が55℃になるように温水を入れたもの)、冷覚計(経20mmの金属製の円筒に氷を入れたもの)を軽く両手の手背等に接触させた後、温覚、冷覚が発生するまのでの時間を測定する。
 
ニューロメーター
5Hz、250Hz、2000Hzの3種類の周波数で0-10mAの電気刺激を経皮的に与えることにより感覚閾値を測定する検査手法。
(1)大、中、小径の神経繊維の伝導速度が簡便に測定でき、普通の伝導速度の測定と比較し情報量が多い。
(2)身体のどの部位でも測定が可能である。
(3)皮膚温に影響される。
(4)感覚受容器(痛み、振動等を受け止める一番末端の器官)がどのようになっているかは、この検査だけでは直接的回答は得られない。
二点識別能
被検者を閉眼させた上で、2点又は1点の触刺激を指先に与え、2点か1点かを識別させる検査手法。
 
筋電図検査
筋肉に針電極を刺入して筋細胞膜に生じる電位変化を記録する検査手法で、前角細胞、軸索、神経終板とその支配筋繊維からなる運動単位の異常を検索することができる。
(1)検査機器はかなり普及している。
(2)ある程度の侵襲をともない、かつ患者の協力を要する。
(3)専門の医師が実施する必要がある。
(4)末梢神経損傷直後には異常が検出しにくく、検査の実施時期について十分に注意が必要となる。
運動誘発電位(MEP)
経頭蓋的に運動野を磁気や電気で刺激して下行性に末梢の筋肉より誘発電位を得る検査手法である。
(1)幾つかの疾患に臨床応用されているが、振動障害への応用はされていない。
体性感覚誘発電位(SEP)
末梢神経を電気的に刺激して大脳皮質から誘発電位を記録する検査手法であるが、その伝導路に含まれる末梢神経、脊髄後索、内側毛帯、視床、大脳皮質感覚野の機能を評価できる、と考えられている。
(1)時間と手間がかかる。
(2)臨床検査技師で実施可能であるが、技術に習熟する必要がある。
(3)得られた結果の評価には専門の医師の知識が不可欠となる。
運動機能検査 レントゲン検査
関節の変形性変化(関節裂隙の矮小化、骨棘形成)などを評価する検査手法。
(1)振動障害そのものの検査としてよりも、骨関節疾患との鑑別に有用である。
CTスキャン検査
筋の横断面積が判定可能な検査手法。
(1)ある程度の筋力が予想できる。
(2)現状では高価な検査手技である。
MRI検査
脊椎、骨関節の状態を観察する検査手法。
(1)脊椎、神経根の圧迫状態を把握するのに有効である。
(2)現状では高価な検査手技である。
徒手筋力検査(MMT)
重力や徒手的抵抗に関係する運動の個々の筋や筋群の力(強さ)と機能を評価する検査手法。検査に当たっては必ず左右を比較して評価することが重要。
最もよく用いられる方法は、検者がまず力を加え、被検者がこれに対抗して力を入れ関節角度を維持させる方法。
(1)施行が容易であるため筋力の評価としては最も広く行われている。
(2)検者の主観が入る。
(3)被検者の最大努力が前提となる。
(4)単に筋力といっても、瞬発力か持久力なのか、等尺性運動か等張性運動かなどの区分があいまいである。
(5)ある関節の主働筋だけを検査することができない。
手の巧緻性の検査    

〈参考資料〉
 ・振動障害の検査手技に係る技術専門検討会報告書(平成13年11月)
 ・振動障害〜35年の軌跡〜(労働調査会 平成15年発行)
 ・振動障害Q&A第2版(労務行政研究所 平成11年発行)


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