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認定基準別添1に掲げられている検査手技及び指摘事項


検査 検査項目 検査手技 指摘事項
末梢循環機能検査 皮膚温(常温・冷却負荷) 常温、冷却負荷中(6分から1分毎に)、冷却負荷直後、5分後、10分後に皮膚温計により手指の皮膚温を測定する。 環境条件、とくに室温、室内の空気の流れや季節の影響、また、測定時の被検者の肉体的、精神的条件に大きく左右される。
冷却時に強い疼痛が生じるので、冷却と疼痛の相乗効果として全身血圧の著明な上昇が起こり、心血管系に危険を及ぼす可能性がある。
冷却と疼痛による血管収縮が同時に生じているものと考えられ、単純に冷却効果を反映しているとはいえない。
爪圧迫(常温・冷却負荷) 常温、冷却負荷直後、5分後、10分後に、被検者の爪の部分を検者の手の拇指と示指で挟み10秒間強く押さえ、はなした後、爪の退色が元に戻るまでの時間を測定する。
その際、被検者の手の高さは心臓の高さとする。
検者の肉眼で判定しているため、客観性に欠ける。
検者の巧緻の差に左右される。
測定値の再現性に問題あり、精度管理の困難さが指摘されている。
被検者が検査時に手指に力を入れていると、血色の回復時間は延長する。
末梢神経機能検査 痛覚(常温・冷却負荷) 常温、冷却負荷直後、5分後、10分後に、手指の皮膚の薄い部位の小範囲について痛覚計の先で軽く4〜5回突き、痛覚の有無を検査する。
その際、被検者に軽く目を閉じさせる。
被検者の皮膚の角質層の厚さ、角化の程度や加齢により痛覚閾値への影響が生じる。
指先の振動覚(常温・冷却負荷) 常温、冷却負荷直後、5分後、10分後に、手掌を水平に保ち、指を軽くのばし、指先を軽く振動子に接触させて検査する。
その際、被検者に軽く目を閉じさせる。
被検者の応答に依存する振動子への指の圧迫力等の測定条件等、検査の客観性に乏しい。
加齢による閾値の上昇が生じる。
運動機能検査 握力(最大握力、瞬発握力) 直立し、腕を伸ばした状態で左右とも最大努力させ、5秒間隔で2回測定する。(5回法の最初の2回値でよい。) 被検者の最大努力が評価の前提となり、検査結果の客観性が問題視される。
維持握力(5回法) 直立し、腕を伸ばした状態で左右とも最大努力させ、5秒間隔で左右交互にこれを5回繰り返し、1回目及び2回目の値のうち大きい方の値と4回目及び5回目の値のうち小さい方の値との差を測定する。 被検者の最大努力が評価の前提となり、検査結果の客観性が問題視される。
維持握力(60%法) 椅座位で握力計を机の上にのせ、肘を約90°に曲げた姿勢で手掌を上に向け、瞬発握力の60%の値を被検者に針を見せながら保持させ、維持できる時間を測定する。
なお、本検査は5回法の実施後、10分以上の時間をあけて行うこと。
被検者の握力の大小により、負荷握力に差が生じ、検査値として測定される維持握力時間が必ずしも筋の持久力を反映したものではない。
つまみ力 拇指を下に測定指を上にし、測定指の遠位指節間接を伸展させ、他の指を軽く伸ばした状態で拇指と示指及び中指間のつまみ力を測定する。 被検者の最大努力が評価の前提となり、検査結果の客観性が問題視される。
タッピング タッピング測定器を用い、椅座位で左手、右手を交互に示指及び中指を1指ずつ30秒間できるだけ早く打たせ、30秒値を測定する。 本人の意思、指機能の器用さ等に左右され、必ずしも指機能を反映した検査所見とは言い難い。

注)検査項目及び検査手技は、認定基準別添1による。
〈参考資料〉
 ・振動障害の検査手技に係る技術専門検討会報告書(平成13年11月)
 ・振動障害に係る各種検査結果の事例収集等に関する研究(平成14年度委託研究報告書)
 ・振動障害診断のための新たな検査体系の確立に関する研究(平成15年度委託研究報告書)
 ・振動障害〜35年の軌跡〜(労働調査会 平成15年発行)


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